説明

高められた溶融剛性を有する成形材料または成形部材の製造法

ポリアミド成形材料は、少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物ならびにポリエーテルアミドを含有しかつ末端基の少なくとも50%がアミノ末端基として存在するマスターバッチを用いて溶融液中で縮合され、その上、この溶融混合物は搬出され、成形材料または成形部材に固化される。得られた生成物は、高められたアミノ末端基含量およびそれに続いて改善された加水分解安定性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高められた溶融剛性を有する、ポリアミドとポリエーテルアミドとからなる成形材料の製造法ならびに相応する成形部材の製造法に関する。
【0002】
WO 00/66650の記載から、ポリアミドを縮合する方法は、公知であり、この場合分子量を増加させる添加剤として少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物が使用される。この添加剤は、鎖状結合下にポリアミドのアミノ末端基と反応する。この場合、この添加剤の供給は、マスターバッチの形で添加剤の正確な計量供給を可能にする。相応する方法は、欧州特許出願公開第1512710号明細書A2、欧州特許出願公開第1690889号明細書A1および欧州特許出願公開第1690890号明細書A1の記載から公知である。その上、マスターバッチが使用されることによって、改善された押出物品質が達成されることが明らかになった。この公知技術水準によれば、このマスターバッチは、マトリックス材料として有利に縮合されてもよいポリアミド、またはそれと相溶性のポリアミドを含む。この場合、末端基が主にカルボン酸基として存在するポリアミドは、マスターバッチのための材料として好ましい。例えば、欧州特許出願公開第1690889号明細書A1の記載によれば、末端基の少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%は、酸基として存在する。このことも納得がゆくことである。それというのも、ポリアミド中の大部分のアミノ末端基は、このアミノ末端基が既にマスターバッチの製造の際に添加剤と反応し、望ましくない分子量構成をもたらし、このことは、マスターバッチの混入を著しく困難にしうることをまねくであろうからである。その上、この添加剤の一部分は反応するので、全配合物中での添加剤の正確な計量供給は、困難になるであろう。
【0003】
欧州特許出願公開第1690889号明細書A1および欧州特許出願公開第1690890号明細書A1に記載の方法は、殊に大型の管の製造または被覆の際に有効であることが実証された。しかし、例えば、長距離エネルギー、新鮮な水、廃水、ガス、油、例えば粗製油、燃料、石油化学薬品、溶剤、ゾルまたはアルカリ液のための、例えばインライナー、輸送管、供給管または排出管の構造的層または被覆として使用される、前記のような管の場合、1つの著しい欠点の理由は、マスターバッチにより持ち込まれたカルボキシ末端基がポリアミドの加水分解安定性を減少させることにある。
【0004】
従って、高められた溶融剛性およびカルボキシル末端基の最小化された含量を有する加水分解安定性の成形材料の製造を可能にする方法を提供するという課題が課された。
【0005】
この課題は、次の工程:
a)ポリアミドおよび場合によってはポリエーテルアミドを基礎とするポリマー成形材料を準備し、この場合ポリアミドの末端基は、少なくとも50%、有利に少なくとも60%、特に有利に少なくとも70%、殊に有利に少なくとも80%、全く殊に有利に少なくとも90%がアミノ末端基として存在し、ポリアミドの割合は、10〜99質量部、有利に20〜95質量部、特に有利に30〜90質量部、殊に有利に40〜85質量部であり、およびポリエーテルアミノの割合は、0〜90質量部、有利に0〜80質量部、特に有利に0〜70質量部、殊に有利に0.1〜60質量部であり、
b)ポリアミド成形材料と、少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物ならびにポリエーテルアミドを含有するマスターバッチとからなる混合物を製造し、この場合マスターバッチ中のポリエーテルアミドの割合は、1〜90質量部、有利に5〜80質量部、特に有利に10〜70質量部、殊に有利に15〜60質量部であり、
その際、a)のポリアミドの質量部、a)のポリエーテルアミドの質量部およびb)のポリエーテルアミドの質量部の総和は、100であり、ポリエーテルアミドの末端基は、少なくとも50%、有利に少なくとも60%、特に有利に少なくとも70%、殊に有利に少なくとも80%、全く特に有利に少なくとも90%がアミノ末端基として存在し、
c)この混合物を場合によっては貯蔵しおよび/または運搬し、
d)この混合物を剪断下に溶融液中で混合し、および
e)溶融混合物を搬出し、および固化することを含む、ポリアミドに対して0.005〜10質量%の少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物でのポリアミド成形材料の縮合下に成形材料または成形部材を製造する方法によって解決された。
【0006】
従って、生じる成形材料または生じる成形部材は、ポリアミド10〜99質量部およびポリエーテルアミド1〜90質量部、特にポリアミド20〜95質量部およびポリエーテルアミド5〜80質量部、特に有利にポリアミド30〜90質量部およびポリエーテルアミド10〜70質量部、殊に有利にポリアミド40〜85質量部およびポリエーテルアミド15〜60質量部を含有する。この場合、ポリアミドの質量部とポリエーテルアミドの質量部との総和は、100である。多成分系成形部材の場合には、この組成は、本発明により製造されたポリアミド/ポリエーテルアミド成形材料からの層が当てはまり;別の存在する成分、例えば層は、別の材料からなることができる。
【0007】
本発明の範囲内で適したポリアミドは、ラクタム、アミノカルボン酸、ジアミンまたはジカルボン酸を基礎に形成されている。更に、前記ポリアミドは、例えばトリカルボン酸、トリアミンまたはポリエチレンイミンに由来する、分枝化作用を有する構成成分を含有することができる。それぞれホモポリマーまたはコポリマーとして、例えばPA6、PA46、PA66、PA610、PA66/6、PA6/6T、PA66/6Tならびに殊にPA610、PA612、PA810、PA108、PA812、PA128、PA814、PA148、PA1010、PA1012、PA1212、PA613、PA614、PA1014、PA8、PA9、PA10、PA11またはPA12は、適したタイプである。
【0008】
工程a)からのポリアミド成形材料は、ポリアミドと共に他の成分としてラクタム、アミノカルボン酸、ジアミン、ジカルボン酸およびポリエーテルジアミンを基礎とするポリエーテルアミドを含有することができ、このポリエーテルアミドは、特にマスターバッチのポリエーテルアミドと同一である。このポリエーテルアミドは、末端基に関連してマスターバッチのポリエーテルアミドと同じ制限を受ける。
【0009】
好ましくは、出発ポリアミドは、5000超、殊に8000超の分子量Mnを有する。この場合には、末端基が少なくとも部分的にアミノ基として存在するポリアミドが使用される。例えば、末端基の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%は、アミノ末端基として存在する。ジアミンまたはポリアミンを調節剤として使用しながらの高いアミノ末端基含量を有するポリアミドの製造は、公知技術水準である。本発明の場合には、ポリアミドの製造には、有利に4〜44個のC原子を有する脂肪族、脂環式または芳香脂肪族のジアミンが調節剤として使用される。適当なジアミンは、例えばヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2.2.4−トリメチルヘキサメチレンジアミンまたは2.4.4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1.4−ジアミノシクロヘキサン、1.4−ジメチルアミノシクロヘキサンまたは1.3−ジメチルアミノシクロヘキサン、4.4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4.4′−ジアミノ−3.3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4.4′−ジアミノジシクロヘキシルプロパン、イソホロンジアミン、メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミンである。
【0010】
もう1つの好ましい実施態様において、ポリアミドを製造する場合には、ポリアミドは、調節剤として、および分枝化剤として使用される。このための例は、ジエチレントリアミン、1.5−ジアミノ−3−(β−アミノエチル)ペンタン、トリス(2−アミノエチル)アミン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−N′,N′−ビス[2−[ビス(2−アミノエチル)アミノ]−エチル]−1,2−エタンジアミン、デンドリマーならびにポリエチレンイミン、殊にアジリジンを重合することによって得ることができ(Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie,第E20卷,第1482〜1487頁,Georg Thieme Verlag Stuttgart,1987)かつ一般に次のアミノ基分布:
第1アミノ基25〜46%、
第2アミノ基30〜45%および
第3アミノ基16〜40%を有する分枝鎖状ポリエチレンイミンである。
【0011】
ポリアミド成形材料は、1つの可能な実施態様においてポリアミドだけからなることができる。しかし、このポリアミド成形材料は、ポリアミド成形材料の製造の際に使用される通常の添加剤を含有することもできる。このための詳細な例は、着色剤、レーザー筆記可能性を可能にする添加剤、難燃剤および防炎剤、安定剤、充填剤、潤滑能改善剤、離型剤、耐衝撃剤、可塑剤、結晶化促進剤、静電防止剤、滑剤、加工助剤ならびにポリアミドと通常配合される他のポリマーである。老化プロセスの際に生じうるカルボキシル基を捕捉するために、ポリアミド成形材料は、ビスオキサゾリンまたはオリゴオキサゾリンおよび/またはビスカルボジイミド、オリゴカルボジイミドまたはポリカルボジイミドを含有することができる。
【0012】
前記の添加剤の例は、次の通りである:
着色剤:二酸化チタン、鉛白、亜鉛白、リプトン(Liptone)、アンチモン白、カーボンブラック、酸化鉄黒、マンガン黒、コバルト黒、アンチモン黒、鉛クロム酸塩、鉛丹、亜鉛黄、亜鉛緑、カドミウム赤、コバルト青、ベルリン青、ウルトラマリン、マンガンバイオレット、カドミウム黄、シュヴァインフルト緑(Schweinfurter Gruen)、モリブデンオレンジおよびモリブデン赤、クロムオレンジおよびクロム赤、酸化鉄赤、酸化クロム緑、ストロンチウム黄、モリブデン青、白亜、黄色土、アンバー、緑土、テラディシエナ(Terra di Siena)焼土、黒鉛または可溶性の有機着色剤。
難燃剤および防炎剤:三酸化アンチモン、ヘキサブロムシクロドデカン、テトラクロロビスフェノールまたはテトラブロモビスフェノールおよびハロゲン化燐酸塩、硼酸塩、クロロパラフィンならびに赤燐、さらに錫酸塩、メラミンシアヌレートおよびその縮合生成物、例えばメラム、メレム、メロン、メラミン化合物、例えばメラミンピロリン酸塩およびメラミンポリ燐酸塩、アンモニウムポリ燐酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムならびにハロゲンを含有しない燐有機化合物、例えばレソルシノールジフェニルホスフェートまたはホスホン酸エステル。
安定剤:金属塩、殊に銅塩およびモリブデン塩ならびに銅錯体、亜燐酸塩、立体障害フェノール、第2アミン、UV吸収剤およびHALS安定剤。
充填剤:ガラス繊維、ガラス玉、粉砕ガラス繊維、珪藻土、タルク、カオリン、粘土、CaF2、酸化アルミニウムならびに炭素繊維。
潤滑能改善剤および滑剤:MoS2、パラフィン、脂肪アルコールならびに脂肪酸アミド。
離型剤および加工助剤:ワックス(モンタネート)、モンタン酸ワックス、モンタンエステルワックス、脂肪酸と脂肪アルコールとのエステル、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール、SiO2、珪酸カルシウムならびにペルフルオロポリエーテル。
可塑剤:BBSA、POBO。
耐衝撃剤:ポリブタジエン、EPM、EPDM、HDPE、アクリレートゴム、NBR、H−NMR。
静電防止剤:カーボンブラック、炭素繊維、黒鉛フィブリル、鋼繊維、多価アルコール、脂肪酸エステル、アミン、酸アミド、第四級アンモニウム塩。
他のポリマー:ABS、ポリプロピレン。
【0013】
前記添加剤は、当業者に公知の通常の量で使用されることができる。
【0014】
成形材料は、ポリアミドとポリエーテルアミドとからなる混合物を特に少なくとも50質量%、有利に少なくとも60質量%、特に有利に少なくとも70質量%、殊に有利に少なくとも80質量%、全く特に有利に少なくとも90質量%含有する。
【0015】
ポリエーテルアミドは、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第3006961号明細書の記載から公知であり;このポリエーテルアミドは、ポリエーテルジアミンをコモノマーとして含有する。
【0016】
ポリエーテルジアミンの場合、ポリエーテル単位は、例えば1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールまたは1,3−ブタンジオールを基礎とすることができる。ポリエーテル単位は、例えばジオールに由来する単位のランダムな分布またはブロック的な分布で混合して形成されていてもよい。ポリエーテルジアミンの分子量の質量平均は、200〜5000g/mol、特に400〜3000g/molであり;ポリエーテルアミドに対するポリエーテルジアミンの割合は、有利に4〜60質量、特に有利に10〜50質量%である。適したポリエーテルジアミンは、還元的アミン化またはアクリルニトリルでのカップリングおよび次の水素化による相応するポリエーテルジオールの変換によって入手可能であり;このポリエーテルジアミンは、例えばJEFF AMIN(登録商標)DタイプまたはEDタイプ、またはELASTAMINE(登録商標)タイプの形でHuntsman Corp.社から商業的に入手可能であるか、またはポリエーテルアミンDシリーズの形でBASF SE社から商業的に入手可能である。分枝化ポリエーテルアミドが使用される場合には、ポリエーテルトリアミン、例えばJEFF AMIN(登録商標)Tタイプも微少量で併用されてもよい。特に、エーテル酸素1個当たり平均で少なくとも2.3個の炭素原子を鎖中に含有するポリエーテルジアミンが使用される。
【0017】
意外なことに、アミノ末端基に富んだポリエーテルアミドは、溶融液中で、即ちマスターバッチの製造の際ならびにd)およびe)に記載の加工工程の際に少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物と反応しないかまたは僅かな範囲でのみ少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物と反応することが判明した。ポリエーテルアミドのアミノ末端基の僅かな反応性に対する理由は、公知ではなく;可能な限り、立体障害が原因である。
【0018】
本発明による方法において、少なくとも2個のカーボネート単位を有する少なくとも1つの化合物は、使用されるポリアミドとの比で計算した0.005〜10質量%の量比で使用される。特に、前記比は、0.01〜5.0質量%の範囲内、特に有利に0.05〜3質量%の範囲内にある。本明細書中で、"カーボネート"の概念は、炭酸と殊にフェノールまたはアルコールとのエステルを意味する。
【0019】
少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物は、低分子量のオリゴマーまたはポリマーであることができる。この化合物は、完全にカーボネート単位からなることができるかまたはなお他の単位を有することができる。この単位は、特にオリゴエステル単位、オリゴエーテル単位、オリゴエーテルエステルアミド単位またはオリゴエーテルアミド単位、またはポリアミドエステル単位、ポリアミドエーテル単位、ポリアミドエーテルエステルアミド単位またはポリアミドエーテルアミド単位である。このような化合物は、公知のオリゴマー化法または重合法によって製造されてもよいし、ポリマー類似の反応によって製造されてもよい。
【0020】
1つの好ましい実施態様において、少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物は、例えばビスフェノールAを基礎とするポリカーボネートであるかまたはこの種のポリカーボネートブロックを含有するブロックコポリマーである。
【0021】
少なくとも2個のカーボネート単位を有する適当な化合物は、本明細書中で参考のために記載されているWO 00/66650に詳細に記載されている。
【0022】
マスターバッチ中での少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物の濃度は、特に0.15〜50質量%、特に有利に0.2〜25質量%、殊に有利に0.3〜15質量%である。このようなマスターバッチは、当業者に公知の通常の方法で、殊に溶融液中での混合によって製造される。
【0023】
好ましくは、加工の際に濃縮すべきポリアミド成形材料は、顆粒として、マスターバッチの顆粒と混合される。しかし、配合された完成ポリアミド成形材料とマスターバッチとの顆粒混合物が製造されてもよく、引続き輸送されてもよいし、貯蔵されてもよく、その後に加工されてもよい。勿論、相応して粉末混合物を用いて実施されてもよい。混合物を加工の際に初めて溶融することは、重要なことである。加工の際の溶融液の徹底的な混合は、望ましい。しかし、マスターバッチは、同様に溶融液流として、提供された押出機により加工すべきポリアミド成形材料の溶融液中に供給されることができ、さらに徹底的に混入されることができる。
【0024】
本発明は、製造にとって不可避的に燐少なくとも5ppmを酸性化合物の形で含有するポリアミドの場合に使用可能である。この場合には、ポリアミド成形材料に配合前または配合時にポリアミドに対して0.001〜10質量%の弱酸の塩が添加される。適当な塩は、参考のために本明細書中に記載されているドイツ連邦共和国特許出願公開第10337707号明細書中に開示されている。
【0025】
しかし、本発明は、製造にとって不可避的に燐5ppm未満を酸性化合物の形で含有するかまたは燐を全く含有しないポリアミドの場合にまさに良好に使用可能である。この場合には、弱酸の相応する酸を実際に添加することができるが、しかし、弱酸の相応する塩は、添加する必要はない。
【0026】
ポリアミド成形材料とマスターバッチとの反応によって得られた溶融混合物は、搬出され、および固化される。これは、例えば次の方法で行なうことができる:
溶融液は、例えば水浴の冷却および引続くストランドの造粒によってストランドとして搬出される。引続き、得られた成形材料は、成形部材に後加工されることができる。
溶融液は、異形成形材として、例えば管として押し出される。
この溶融液は、管に造形され、この管は、被覆のために管上に施こされる。
この溶融液は、シートまたは板として押し出され;これらのシートまたは板は、引続き場合によっては一軸または二軸で延伸されおよび/または金型断片の周囲に巻き付けられることができる。これらのシートまたは板は、後加工前に深絞り成形されてもよい。
この溶融液は、プリフォームに押し出され、このプリフォームは、引続き吹込成形法で成形される。
この溶融液は、射出成形法で形成部材に加工される。
【0027】
本発明により製造された成形部材は、1つの実施態様において、殊に大きな直径を有する中空体または中空異形成形材、例えばライナー、ガス導管、海洋掘削用導管の層、海底導管または供給導管、精油所の導管、油圧導管、化学薬品用導管、ケーブル通路、ガソリンスタンド供給導管、通気用導管、空気吸い込み管、タンク注入接続管、貯蔵容器および燃料タンクである。この種の成形部材は、例えば吸込み吹込み成形、3D吹込成形、チューブ差込法(Schlaucheinlegesverfahren)およびチューブマニピュレーション法(Schlauchmanipulationsverfahren)を含めて伸び、同時押出または吹込成形によって製造可能である。前記方法は、公知技術水準である。
【0028】
これに関連して、前記の中空体または中空異形成形材の壁は、単層であることができ、この場合には、完全に特許請求の範囲の記載により使用される成形材料からなることができ、また、前記壁は、多層であることができ、この場合には、本発明により使用される成形材料は、外層、内層および/または中間層を形成することができる。この壁は、多数の層からなることができ;この層の数は、使用目的に左右される。単数の別の層または複数の別の層は、別のポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、フルオロポリマー、または金属、例えば鋼を基礎とする成形材料からなる。例えば、海洋掘削用導管に使用される可撓性導管は、多層で構成されており;この可撓性導管は、一般に、少なくとも2つのポリマー層および一般に少なくとも2つのポリマー層を含む鋼構造からなる。このような管の内部構造は、例えばWO 2006/097678中に記載されている。この場合、ポリマー層は、一面で管を密閉する機能を受け継ぎ、したがって、運搬される流体は、流出することができず、他面、層が外層である場合には、周辺の海水に抗する鋼層の保護の機能を有する。運搬される流体に抗して密閉されたポリマー層は、1つの実施態様において内在するカーカス上に押し出されている。このポリマー層、しばしばバリヤー層とも呼称される、は、上記の記載のように再び多数のポリマー層からなることができる。
【0029】
マスターバッチ中のポリエーテルアミドを使用することによって、好ましくは、成形材料の可撓性は、場合によっては外部可塑剤によるさらなる可塑化が不用となりうるように高めることができる。これは、強力な抽出媒体、例えば過臨界の二酸化炭素との接触の場合も材料特性が一定のままであるという利点を有する。
【0030】
次に、本発明を例示的に詳説する。実施例中で次の材料が使用される:
PA12:NH2基56ミリ当量/kgおよびCOOH基16ミリ当量/kg;25℃でm−クレゾール中の0.5質量%の溶液として測定した、EN ISO 307に記載の粘度数:220ml/g。顆粒は、全体量に対してCeasit(登録商標)PC0.1質量%を含有する。
PEA:次の成分から製造したポリエーテルアミド:
ラウリンラクタム47.452kg
ドデカン二酸4.781kg
Elastamine(登録商標)RP−2005 42.767kg
次亜燐酸0.095kg(50%の水溶液として)。
生成物は、以下の物性値を有していた:
NH2基26ミリ当量/kg
COOH基11ミリ当量/kg
EN ISO 307に記載の粘度数:200ml/g。
Brueggolen(登録商標)M1251:低粘稠なポリカーボネートと酸末端基を有するPA6との混合物。
Ceasit(登録商標)PC:ステアリン酸カルシウム。
【0031】
マスターバッチの製造:
型式Werner & Pfleiderer ZSK 30の二軸押出機上で、240℃で次の材料を溶融液中で混合し、押出し、および造粒した:
PEA 96.9質量部、
Brueggolen(登録商標)M 1251 3.0質量部および
Ceasit(登録商標)PC 0.1質量部。
【0032】
この生成物は、223ml/gのEN ISO 307に記載の粘度数を有していた。即ち、分子量の言うに値する構成は、生じなかった。
【0033】
管の製造
三帯域軸を備えおよびL=25Dを有する、ライフェンホイザー社の型式50の一軸押出機上でPA12 75質量部とマスターバッチ25質量部との顆粒混合物を250℃で加工し、2.9mmの肉厚および32mmの外径を有する管として押し出した。
【0034】
この管の材料は、275ml/gのEN ISO 307に記載の粘度数を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程:
a)ポリアミドを基礎とする成形材料を準備し、この場合ポリアミドの末端基は、少なくとも50%がアミノ末端基として存在し、ポリアミドの割合は、10〜99質量部であり、
b)ポリアミド成形材料と、少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物ならびにポリエーテルアミドを含有するマスターバッチとからなる混合物を製造し、この場合マスターバッチ中のポリエーテルアミドの割合は、1〜90質量部であり、
この場合ポリアミドの質量部およびポリエーテルアミドの質量部の総和は、100であり、ポリエーテルアミドの末端基は、少なくとも50%がアミノ末端基として存在し、
c)この混合物を場合によっては貯蔵しおよび/または運搬し、
d)この混合物を剪断下に溶融液中で混合し、および
e)溶融混合物を搬出し、および固化することを含む、ポリアミドに対して0.005〜10質量%の少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物でのポリアミド成形材料の縮合下に成形材料または成形部材を製造する方法。
【請求項2】
ポリアミドを基礎とする成形材料は、付加的にポリエーテルアミド0.1〜90質量部を含有し、この場合a)のポリアミドの質量部とa)のポリエーテルアミドの質量部とb)のポリエーテルアミドの質量部との総和は、100であり、ポリエーテルアミドの末端基は、少なくとも50%がアミノ末端基として存在する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
生じる成形材料または生じる成形部材は、ポリアミド10〜99質量部およびポリエーテルアミド1〜90質量部を含有し、この場合ポリアミドの質量部とポリエーテルアミドの質量部との総和は、100である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
多成分系成形部材の場合、請求項1または2の記載により製造された成形材料からなる成分は、ポリアミド10〜99質量部およびポリエーテルアミド1〜90質量部を含有し、この場合ポリアミドの質量部とポリエーテルアミドの質量部との総和は、100である、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
生じる成形材料または生じる成形部材は、ポリアミドとポリエーテルアミドとの混合物を少なくとも50質量%含有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ポリエーテルアミド中にコモノマーとして含有されているポリエーテルジアミンは、200〜5000g/molの分子量の質量平均を有し、ポリエーテルアミドに対するポリエーテルジアミンの割合は、4〜60質量%である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
マスターバッチ中の少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物の濃度は、0.15〜50質量%である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項の記載により製造された成形材料。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれか1項の記載により製造された成形部材。
【請求項10】
成形部材が異形成形材、板またはシートである、請求項9記載の成形部材。
【請求項11】
成形部材がライナー、ガス導管、海洋掘削用導管の層、海底導管または供給導管、精油所の導管、油圧導管、化学薬品用導管、ケーブル通路、ガソリンスタンド供給導管、通気用導管、空気吸い込み管、タンク注入接続管、貯蔵容器または燃料タンクである、請求項9または10記載の成形部材。

【公表番号】特表2012−510545(P2012−510545A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538931(P2011−538931)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065289
【国際公開番号】WO2010/063568
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】