説明

高アスペクト比の金属ナノ構造体の単離方法

【課題】高アスペクト比の金属ナノ構造体を、不純物残留量が少ない状態でろ過等簡易な方法により短時間で単離する方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1種のアルカリ金属以外の金属、及び酸素を含み、短軸方向の大きさが1nm以上、長軸方向の大きさが0.5μm以上である金属ナノ構造体を、pHが4未満の溶液と接触させた後に、pHが4〜7の溶液と接触させるか60〜300℃で熱処理し、さらに、溶液と分離する。この後、水又は有機溶媒で洗浄してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化チタンナノチューブ等の金属ナノ構造体を単離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高アスペクト比を有する金属ナノ構造体(ナノチューブ、ナノワイヤー、ナノファイバー等)は、様々な用途に使用されている。例えば、酸化チタンからなるナノ構造体は、光触媒、色素増感太陽電池、センサー、除湿剤等の用途として注目されている。
【0003】
しかし、直径又は単軸方向の長さが30nm以下、特に15nm以下の構造体は、比表面積が大きいという利点を有している(特許文献1及び2)が、目詰まりを起こしやすいため、ろ過による単離を行うことが困難である。また、これらは極めて凝集しやすく、凝集した状態のまま単離すると、合成に用いたアルカリ金属等の不純物が残留し、容易に除去できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3983533号
【特許文献2】特許第3513738号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高アスペクト比の金属ナノ構造体を、不純物残留量が少ない状態でろ過等簡易な方法により短時間で単離する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を鑑み、鋭意研究をした結果、本発明者らは、高アスペクト比を有する金属ナノ構造体を、一旦強酸性溶液中でアルカリ金属等の不純物を除去した後、弱酸性の溶液と接触させて軽く凝集させることにより、ろ過で単離でき、不純物濃度も高くならないことを見出し、さらに研究を重ね、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の構成を包含する。
項1.少なくとも1種のアルカリ金属以外の金属、及び酸素を含み、短軸方向の大きさが1nm以上、長軸方向の大きさが0.5μm以上である金属ナノ構造体を単離する方法であって、
(A1)前記金属ナノ構造体と、pHが4未満の溶液と接触させる工程、
(A2)工程(A1)の後、前記金属ナノ構造体を、pHが4〜7の溶液と接触させる工程、及び
(A3)工程(A2)の後、前記金属ナノ構造体を溶液と分離する工程
を備える、単離方法。
項1−1.前記アルカリ金属以外の金属が遷移金属である、項1に記載の単離方法。
項1−2.前記金属ナノ構造体が、遷移金属の酸化物からなる、項1又は1−1に記載の単離方法。
項1−3.前記金属ナノ構造体が、酸化チタン又は酸化タングステンからなる、項1〜1−2のいずれかに記載の単離方法。
項1−4.前記金属ナノ構造体が、管状、繊維状又は板状である、項1〜1−3のいずれかに記載の単離方法。
項2.前記金属ナノ構造体の短軸方向の大きさが、1〜30nmである、項1〜1−4のいずれかに記載の単離方法。
項3.前記工程(A1)が、pHが4未満の溶液中に、前記金属ナノ構造体を浸漬する工程である、項1〜2のいずれかに記載の単離方法。
項4.pH4が未満の溶液が、塩酸、硝酸、酢酸、しゅう酸、硫酸、フッ化水素酸及びギ酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶液を含む、項1〜3のいずれかに記載の単離方法。
項5.前記工程(A2)が、前記pHが4未満の酸性溶液のpHを4〜7に上昇させる工程である、項1〜4のいずれかに記載の単離方法。
項6.前記工程(A2)が、前記pHが4未満の溶液に、金属を含まないアルカリ成分を添加してpHを4〜7に上昇させる工程である、項5に記載の単離方法。
項7.前記金属を含まないアルカリ成分が、アンモニア又はアンモニア誘導体である、項6に記載の単離方法。
項8.前記アンモニア誘導体が、式(1):
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、X、Y及びZは同じか又は異なり、それぞれH又はOH;l、m及びnは同じか又は異なり、それぞれ0〜12の整数;ただし、X、Y及びZが全てHであり、l、m及びnが全て0であるものは除く)、又は式(2):
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、a、b、c及びdは同じか又は異なり、それぞれ0〜12の整数である;ただし、a、b、c及びdが全て0であるものは除く)
で示される、項7に記載の単離方法。
項9.アンモニア誘導体が、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン及びトリエチルアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項7又は8に記載の単離方法。
項10.さらに、
(A4)単離した金属ナノ構造体を水及び/又は有機溶媒で洗浄する工程
を備える、項1〜9のいずれかに記載の単離方法。
項11.前記有機溶媒がt−ブチルアルコールである、項10に記載の単離方法。
項12.少なくとも1種のアルカリ金属以外の金属、及び酸素を含み、短軸方向の大きさが1nm以上、長軸方向の大きさが0.5μm以上である金属ナノ構造体を単離する方法であって、
(B1)前記金属ナノ構造体と、pHが4未満の溶液と接触させる工程、
(B2)工程(B1)の後、前記金属ナノ構造体を、60〜300℃で熱処理する工程、及び
(B3)工程(B2)の後、前記金属ナノ構造体を溶液と分離する工程
を備える、単離方法。
項12−1.前記アルカリ金属以外の金属が遷移金属である、項12に記載の単離方法。
項12−2.前記金属ナノ構造体が、遷移金属の酸化物からなる、項12又は12−1に記載の単離方法。
項12−3.前記金属ナノ構造体が、酸化チタン又は酸化タングステンからなる、項12〜12−2のいずれかに記載の単離方法。
項12−4.前記金属ナノ構造体が、管状、繊維状又は板状である、項12〜12−3のいずれかに記載の単離方法。
項13.前記金属ナノ構造体の短軸方向の大きさが、1〜30nmである、項12〜12−4のいずれかに記載の単離方法。
項14.前記工程(B1)が、pHが4未満の溶液中に、前記金属ナノ構造体を浸漬する工程である、項12〜13のいずれかに記載の単離方法。
項15.pH4が未満の溶液が、塩酸、硝酸、酢酸、しゅう酸、硫酸、フッ化水素酸及びギ酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶液を含む、項12〜14のいずれかに記載の単離方法。
項16.前記工程(B2)が、液相中で行われる、項12〜15のいずれかに記載の方法。
項17.前記工程(B2)が、密閉条件下で行われる、項12〜16のいずれかに記載の方法。
項18.さらに、
(B4)単離した金属ナノ構造体を水及び/又は有機溶媒で洗浄する工程
を備える、項12〜17のいずれかに記載の単離方法。
項19.前記有機溶媒がt−ブチルアルコールである、項18に記載の単離方法。
項20.項1〜19のいずれかに記載の単離方法を用いて、式(3):
(KO)(NaO)(HO)TiO
(式中、p、q及びrは同じか又は異なり、それぞれ0以上1未満;p+q+r<1である)
で示される金属酸化物からなる単離されたナノ構造体を製造する方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高アスペクト比の金属ナノ構造体を、不純物残留量が少ない状態でろ過等簡易な方法により短時間で単離することができる。
【0012】
なお、本発明の単離方法は、高アスペクト比を有する金属ナノ構造体であればどのようなものにも適用することができ、特に、凝集しやすく単離が困難な短軸方向の大きさが小さい金属ナノ構造体(例えば、低温の水熱合成法で作製された金属ナノ構造体)も、不純物の混入を抑制しながら単離できる点で有用である。
【0013】
しかも、本発明は、(1)溶液のpHの調整のみ、又は(2)溶液のpHの調整及び加熱のみという極めて簡便な手法により、ろ過による単離を可能とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明で使用する金属ナノ構造体は、細長く、比表面積が高く、表面エネルギーが高いものが好ましい。
【0015】
しかし、このような金属ナノ構造体は、
(1)お互いに絡み合いやすく、凝集しやすい
(2)ろ過を行う際に目詰まりしやすい
(3)上記(1)及び(2)に起因し、内部に混入した不純物、合成時に使用した金属分等を除去しにくい
等といった問題点を有するため、単離するのが困難である。
【0016】
例えば、この金属ナノ構造体として、式(3):
(KO)(NaO)(HO)TiO
(式中、p、q及びrは同じか又は異なり、それぞれ0以上1未満;p+q+r<1である)
で示される金属酸化物からなる場合には、例えば、酸化チタンとアルカリ金属水酸化物の水溶液を反応させることにより合成できるが、上記のように凝集しやすいため、余剰のアルカリ金属水酸化物、金属ナノ構造体中に取り込まれたアルカリ金属を除去するのは困難である。
【0017】
しかし、本発明によれば、このように単離するのが困難な金属ナノ構造体をも、不純物残留量が少ない状態で容易に単離することが可能である。以下、詳述する。
【0018】
1.単離方法(1)
本発明の第1の態様に係る単離方法は、特定の金属ナノ構造体を単離する方法である。具体的には、
(A1)金属ナノ構造体と、pHが4未満の溶液と接触させる工程、
(A2)工程(A1)の後、金属ナノ構造体を、pHが4〜7の溶液と接触させる工程、及び
(A3)工程(A2)の後、前記金属ナノ構造体を溶液と分離する工程
を備える。
【0019】
<金属ナノ構造体>
本発明で使用する金属ナノ構造体は、上述のように、細長い形状を有するものである。
【0020】
金属ナノ構造体の短軸方向の大きさは、平均が1nm以上、好ましくは1〜30nmである。本発明の単離方法は、どのような金属ナノ構造体も単離することが可能であるが、短軸方向の大きさが小さく、凝集しやすい金属ナノ構造体をも単離することができるため、このように凝集しやすい金属ナノ構造体の単離方法として特に有用である。このような観点から、金属ナノ構造体の短軸方向の大きさは、より好ましくは1〜15nmである。
【0021】
金属ナノ構造体の長軸方向の大きさは、平均が0.5μm以上、好ましくは1〜1000μmである。
【0022】
金属ナノ構造体の平均アスペクト比は、10〜100000が好ましく、20〜50000がより好ましい。なお、短軸方向の大きさと同様に、凝集しやすい金属ナノ構造体の単離方法として特に有用である点から、平均アスペクト比は、50〜50000がさらに好ましい。
【0023】
なお、金属ナノ構造体の比表面積は、大きいほうが好ましく、30m/g以上が好ましく、100m/g以上がより好ましい。なお、比表面積の上限値は特に制限は無いが、通常1000m/g程度である。
【0024】
本発明で使用する金属ナノ構造体を構成する金属としては、アルカリ金属以外の金属であるが、遷移金属であることが好ましい。なお、金属ナノ構造体を構成する材料としては、金属酸化物又は金属酸が好ましく、具体的には、酸化チタン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ等が挙げられ、酸化チタン又は酸化タングステン(特に酸化チタン)が好ましい。なお、ここで金属酸とは、例えば、チタン酸(HTi2n+1)等のように、金属及び酸素以外に水素を有するものを言う。
【0025】
この金属ナノ構造体は、細長い形状を有していれば、形状は特に限定されない。具体的には、管状であってもよいし、繊維状であってもよいし、板状であってもよい。
【0026】
このような金属ナノ構造体の製造方法としては、特に制限されず、公知の方法で製造したものを用いればよい。
【0027】
具体的な製造方法としては、特に制限されない。
【0028】
金属ナノ構造体の典型例である酸化チタンナノ構造体を例にとれば、簡便な製造方法として、アルカリ金属水酸化物の水溶液中で、酸化チタン微粒子をアルカリ処理する通常の水熱合成法を採用すればよい。
【0029】
例えば、3〜20mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中で、低温(160℃以下)でアルカリ処理すれば、直径5〜10nm程度の酸化チタンナノチューブ(I)が得られる(特許文献2及び3参照)。また、5〜25mol/Lの水酸化カリウム水溶液中で、低温(160℃以下)でアルカリ処理すれば、直径5〜10nm程度の酸化チタンナノワイヤー(II)が得られる。
【0030】
一方、高温でアルカリ処理すると、短軸方向の大きさが若干大きく、分散性に優れた酸化チタンナノ構造体が得られる。
【0031】
具体的には、3〜20mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中で、高温(160℃より高い温度)でアルカリ処理すれば、短軸方向の大きさが20〜200nm程度の板状酸化チタンナノ構造体(III)が得られる。また、5〜25mol/Lの水酸化カリウム水溶液中で、高温(160℃より高い温度)でアルカリ処理すれば、短軸方向の大きさが8〜40nm程度の板状酸化チタンナノ構造体(IV)が得られる。
【0032】
上記の酸化チタンナノ構造体のなかでも、本発明の単離方法は、短軸方向の大きさが小さく、凝集しやすいものでも単離できる点で有用なことから、酸化チタンナノチューブ(I)、酸化チタンナノワイヤー(II)又は板状酸化チタンナノ構造体(IV)、特に酸化チタンナノチューブ(I)又は酸化チタンナノワイヤー(II)にも有用である。
【0033】
なお、金属ナノ構造体の製造方法については、典型例である酸化チタンナノ構造体について説明したが、本発明ではこれに限られることなく、他の金属ナノ構造体についても、公知の方法で製造したものを採用することができる。
【0034】
<工程(A1)>
工程(A1)では、金属ナノ構造体をpH4未満の酸性溶液と接触させる。これにより、金属ナノ構造体の表面電位を+にし、溶液中に分散するとともに、比表面積の高いナノ構造体中又はナノ構造体間に含まれるナトリウム、カリウム等のアルカリ金属分又は不純物を除去しやすくすることができる。
【0035】
工程(A1)は、これに限定されるわけではないが、金属ナノ構造体を、酸性溶液中に浸漬すればよい。具体的には、金属ナノ構造体を酸性溶液中に直接投入してもよいし、金属ナノ構造体の分散液と酸性溶液とを混合してもよい。溶液中に均一に分散させる観点から、あらかじめ金属ナノ構造体の分散液を作製し、これと酸性溶液とを混合することが好ましい。なお、浸漬の際には、分散を促進させるために、撹拌、超音波等による分散操作を行えば、時間を短縮することができる。
【0036】
pHが4未満の酸性溶液としては、後に除去する必要があることから、塩酸、硝酸、酢酸、しゅう酸、硫酸、フッ化水素酸、ギ酸等の分子量が小さく、揮発又は分解しやすい酸の水溶液が好ましい。これらの酸は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0037】
酸性溶液のpHは、4未満であるが、効率よくアルカリ金属を除去できる点から、−1〜3が好ましく、0〜2がより好ましい。なお、酸性溶液のpHが4以上の場合には、比表面積の高いナノ構造体中又はナノ構造体間に含まれるナトリウム、カリウム等のアルカリ金属分又は不純物を充分に除去できない。
【0038】
酸性溶液中に添加する金属ナノ構造体の量は、特に制限されないが、撹拌を充分に行い、かつ生産効率を高める点から、0.1〜10重量%程度、好ましくは1〜5重量%とすればよい。
【0039】
酸性溶液と金属ナノ構造体とを接触させる時間は、特に制限はなく、1〜168時間程度とすればよい。
【0040】
<工程(A2)>
工程(A1)では、金属ナノ構造体を酸性溶液中に分散させ、不純物を除去することができるが、非常に細かくアスペクト比のある物質が分散している状態であるため、このままろ過、遠心分離等による分離操作を行っても、目詰まり等により充分に固液分離が困難である。
【0041】
また、金属ナノ構造体は比表面積が非常に高いため、仮に長時間かけてろ過等を行ったとしても、金属ナノ構造体自体が工程(A1)により、一度除去したはずのアルカリ金属分又は不純物が遊離した溶液を多く抱え込んでいるため、その洗浄除去が必要となってしまう。また、この洗浄除去は困難を極めるため、重金属分又は不純物を充分に低減することができない。
【0042】
一方、本発明では、工程(A2)のように、工程(A1)を施した金属ナノ構造体を、pHが4〜7の弱酸性の溶液と接触させることで、若干凝集させ、ろ過、遠心分離等の固液分離が容易な状態にすることができる。しかも、この際にろ過又は遠心分離の時間が短いため繰り返し洗浄を行うことができ、アルカリ金属分又は不純物を充分に低減することができる。
【0043】
工程(A2)において、金属ナノ構造体を接触させる溶液のpHは4〜7、好ましくは5〜6である。pHが4未満では、上述した工程(A2)を行わない場合と同様に、ろ過、遠心分離等による分離操作を行っても、目詰まり等により充分に固液分離が困難であり、仮に長時間かけてろ過等を行ったとしても、単離された金属ナノ構造体はアルカリ金属分又は不純物を多く含んでいるため、その洗浄除去が必要となってしまうとともに、このような洗浄除去は困難を極める。一方、pHが7をこえると、金属ナノ構造体の表面電位が−になり、ろ過等の分離操作がしにくくなるとともに、溶液中に遊離しているアルカリ金属分又は不純物が再度混入してしまう。
【0044】
工程(A2)の簡便な手法としては、工程(A1)の後、酸性溶液のpHを4〜7に上昇させればよい。この際、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属を有する塩基を使用すると、金属ナノ構造体に再度アルカリ金属分が混入してしまう可能性があるため、金属を含まない塩基を用いてpHを調整することが好ましい。
【0045】
このような金属を含まない塩基としては、例えば、アンモニア、アンモニア誘導体、イミダゾール類、ピリジン類等が挙げられる。これらのなかでも、水溶性且つ揮発性であり、乾燥、加熱等により除去しやすい点から、アンモニア又はアンモニア誘導体が好ましい。
【0046】
これらのなかでも、アンモニア誘導体は、
式(1):
【0047】
【化3】

【0048】
(式中、X、Y及びZは同じか又は異なり、それぞれH又はOH;l、m及びnは同じか又は異なり、それぞれ0〜12の整数;ただし、X、Y及びZが全てHであり、l、m及びnが全て0であるものは除く)、又は式(2):
【0049】
【化4】

【0050】
(式中、a、b、c及びdは同じか又は異なり、それぞれ0〜12の整数である;ただし、a、b、c及びdが全て0であるものは除く)
で示されるものが好ましい。
【0051】
具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を組合せて用いればよい。
【0052】
<工程(A3)>
上記工程(A1)及び(A2)の後、常法で、固形分(金属ナノ構造体)と液体とを分離すればよい。
【0053】
固液分離の手法としては、特に制限されることはなく、ろ過、遠心分離等を行えばよい。遠心分離を行う際には、例えば、3000rpm以下等のような低速で行っても単離可能である。
【0054】
<工程(A4)>
工程(A3)の後、単離された金属ナノ構造体を水及び/又は有機溶媒で洗浄して純度を高めてもよい。
【0055】
この際使用できる水は、導電率が200μS/cm以下のものを使用することが好ましい。また、有機溶媒としては、アルコール類が好ましく、t−ブチルアルコール等がより好ましい。
【0056】
洗浄の方法としては、特に、水の洗浄により、金属ナノ構造体中の金属塩等が除去できた段階で、有機溶媒等で置換を行うことが好ましい。例えば、アルコール等の有機溶媒で置換することにより、乾燥時の凝集を抑制することができる。また、t−ブチルアルコールのような高融点低沸点溶媒に置換し、加熱せずに真空乾燥することにより、よりかさ高い生成物を得ることができる。
【0057】
また、工程(A3)及び(A4)を繰り返し、さらに純度を高めてもよい。
【0058】
2.単離方法(2)
本発明の第2の態様に係る単離方法は、特定の金属ナノ構造体を単離する方法である。具体的には、
(B1)金属ナノ構造体と、pHが4未満の溶液と接触させる工程、
(B2)工程(B1)の後、金属ナノ構造体を、60〜300℃で熱処理する工程、及び
(B3)工程(B2)の後、前記金属ナノ構造体を溶液と分離する工程
を備える。
【0059】
<金属ナノ構造体>
金属ナノ構造体としては、前記第1の態様に係る単離方法と同様のものを使用することができる。好ましいものも第1の態様と同様である。
【0060】
<工程(B1)>
工程(B1)は、前記第1の態様における工程(A1)と同様とすることができる。好ましい条件等も工程(A1)と同様である。
【0061】
<工程(B2)>
工程(B2)では、工程(B1)の後、金属ナノ構造体を60〜300℃で熱処理する。この工程(B2)は、液相中で行うことが好ましい。
【0062】
加熱温度は、60〜300℃、好ましくは80〜250℃である。加熱温度が60℃未満では、ろ過、遠心分離等による分離操作を行っても、目詰まり等により充分に固液分離が困難であり、仮に長時間かけてろ過等を行ったとしても、単離された金属ナノ構造体はアルカリ金属分又は不純物を多く含んでいるため、その洗浄除去が必要となってしまうとともに、このような洗浄除去は困難を極める。また、加熱温度が300℃をこえると、使用エネルギーが大きく、かつ処理できる装置が限定されるとともに、ナノ構造が壊れる場合がある。
【0063】
<工程(B3)及び(B4)>
工程(B3)及び(B4)は、それぞれ前記第1の態様における工程(A3)及び(A4)と同様とすることができる。好ましい条件等もそれぞれ工程(A3)及び(A4)と同様である。
【0064】
3.単離した金属ナノ構造体
このようにして単離された金属ナノ構造体は、アルカリ金属分が低減されたものである。具体的には、アルカリ金属含有量を、総重量の10重量%以下、好ましくは5重量%以下とすることができる。
【0065】
本発明では、典型例である酸化チタンナノ構造体を単離した場合には、式(3):
(KO)(NaO)(HO)TiO
(式中、p、q及びrは同じか又は異なり、それぞれ0以上1未満;p+q+r<1である)
で示される金属酸化物からなる単離されたナノ構造体が得られる。
【0066】
この際、K及びNaの量は非常に低減されているため、p及びqをいずれも0.1以下とすることができる。
【実施例】
【0067】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらのみに限定されるものではない。
【0068】
合成例1
平均粒子径が7nmの酸化チタン微粒子(アナターゼ型酸化チタン:100重量%)3.2gを400gの蒸留水を加え撹拌した後、249gのKOH(純度90%)を加えさらに5分間撹拌した(酸化チタンの濃度:0.1mol/L、KOH水溶液の濃度:10mol/L)。この混合液をPTFEライニングしたSUS316製圧力容器に入れて250℃加熱炉中で12時間静置したところ、白色の沈殿が得られた。ここで得られた構造体は、短軸方向の大きさが平均12nm程度、長軸方向の大きさが平均6μm程度、平均アスペクト比が500程度であった。
【0069】
合成例2
平均粒子径が7nmの酸化チタン微粒子(アナターゼ型酸化チタン:100%)3.2gを400gの蒸留水を加え撹拌した後、249gのKOH(純度90%)を加えさらに5分間撹拌した(酸化チタンの濃度:0.1mol/L、KOH水溶液の濃度:10mol/L)。この混合液をポリブテン製のメスフラスコに投入し、オイルバスにより115℃に加熱し、12時間静置したところ、白色の沈殿が得られた。ここで得られた構造体は、短軸方向の大きさが平均が3nm以上、長軸方向の大きさが平均が0.5μm以上のものであった。
【0070】
合成例3
平均粒子径が7nmの酸化チタン微粒子(アナターゼ型酸化チタン:100%)3.2gを400gの蒸留水を加え撹拌した後、160gのNaOHを加えさらに5分間撹拌した(酸化チタンの濃度:0.1mol/L、NaOH水溶液の濃度:10mol/L)。この混合液をポリブテン製のメスフラスコに投入し、オイルバスにより115℃に加熱し、12時間静置したところ、白色の沈殿が得られた。ここで得られた構造体は、短軸方向の大きさが平均が1nm以上、長軸方向の大きさが平均が0.5μm以上のものであり、一部シート状の構造体が混合していた。
【0071】
実施例1
合成例1の沈殿を1000gの水中に投入し、激しく撹拌した後、35%塩酸を加え、pH1.0に調整した。48時間撹拌すると、半透明の分散液が得られた。
【0072】
この溶液に25%アンモニア水溶液を加え、pH6.0に調整したところ、半透明の沈殿が生じた。この物質を10μm親水化PTFEフィルタでろ過したところ、常圧でも0.5時間でろ過することができた。さらに減圧を行い、水分を絞ったところ、半透明のケーキが得られた。この後、ケーキを1000g水で洗浄、常圧ろ過、減圧ろ過を3回繰り返し、洗浄された半透明のケーキを得た。
【0073】
得られた物質を150℃減圧乾燥を行うことにより3.1gの白色粉末を得た。
【0074】
この物質のカリウム含有量をWDX蛍光X線で測定したところ、0.3重量%であった。
【0075】
実施例2
合成例2の沈殿を1000gの水中に投入し、激しく撹拌した後、35%塩酸を加え、pH1.0に調整した。48時間撹拌すると、半透明の分散液が得られた。
【0076】
この溶液に25%アンモニア水溶液を加え、pH6.0に調整したところ、半透明の沈殿が生じた。この物質を10μm親水化PTFEフィルタでろ過したところ、常圧でも2時間でろ過することができた。さらに減圧を行い、水分を絞ったところ、半透明のケーキが得られた。この後、ケーキを1000g水で洗浄、常圧ろ過、減圧ろ過を3回繰り返し、洗浄された半透明のケーキを得た。
【0077】
得られた物質を150℃減圧乾燥を行うことにより3.0gの白色粉末を得た。この物質のカリウム含有量をWDX蛍光X線で測定したところ、1.0重量%であった。
【0078】
実施例3
合成例3の沈殿を1000gの水中に投入し、激しく撹拌した後、35%塩酸を加え、pH1.0に調整した。48時間撹拌すると、半透明の分散液が得られた。
【0079】
この溶液に25%アンモニア水溶液を加え、pH6.0に調整したところ、半透明の沈殿が生じた。この物質を10μm親水化PTFEフィルタでろ過したところ、常圧でも1.5時間でろ過することができた。さらに減圧を行い、水分を絞ったところ、半透明のケーキが得られた。この後、ケーキを1000g水で洗浄、常圧ろ過、減圧ろ過を3回繰り返し、洗浄された半透明のケーキを得た。
【0080】
得られた物質を150℃減圧乾燥を行うことにより3.0gの白色粉末を得た。この物質のナトリウム含有量をWDX蛍光X線で測定したところ、検出限界以下(0.1重量%以下)であった。
【0081】
実施例4
合成例1の沈殿を1000gの水中に投入し、激しく撹拌した後、35%塩酸を加え、pH1.0に調整した。48時間撹拌すると、半透明の分散液が得られた。
【0082】
この溶液にトリメチルアミンを加え、pH6.0に調整したところ、半透明の沈殿が生じた。この物質を10μm親水化PTFEフィルタでろ過したところ、常圧でも0.5時間でろ過することができた。さらに減圧を行い、水分を絞ったところ、半透明のケーキが得られた。この後、ケーキを1000g水で洗浄、常圧ろ過、減圧ろ過を3回繰り返し、洗浄された半透明のケーキを得た。
【0083】
得られた物質を150℃減圧乾燥を行うことにより3gの白色粉末を得た。この物質のカリウム含有量をWDX蛍光X線で測定したところ、0.7重量%であった。
【0084】
実施例5
合成例1の沈殿を1000gの水中に投入し、激しく撹拌した後、35%塩酸を加え、pH1.0に調整した。48時間撹拌すると、半透明の分散液が得られた。
【0085】
この溶液にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド10重量%溶液を加え、pH6.0に調整したところ、半透明の沈殿が生じた。この物質を10μm親水化PTFEフィルタでろ過したところ、常圧でも0.5時間でろ過することができた。さらに減圧を行い、水分を絞ったところ、半透明のケーキが得られた。この後、ケーキを1000g水で洗浄、常圧ろ過、減圧ろ過を3回繰り返し、洗浄された半透明のケーキを得た。
【0086】
得られた物質を150℃減圧乾燥を行うことにより3gの白色粉末を得た。この物質のカリウム含有量をWDX蛍光X線で測定したところ、0.9重量%であった。
【0087】
実施例6
合成例1の沈殿を1000gの水中に投入し、激しく撹拌した後、65%硝酸を加え、pH1.0に調整した。12時間撹拌したのち、90℃で12時間加熱したところ、白色の沈殿が得られた。
【0088】
この物質を10μm親水化PTFEフィルタでろ過したところ、常圧でも1.5時間でろ過することができた。さらに減圧を行い、水分を絞ったところ、半透明のケーキが得られた。この後、ケーキを1000g水で洗浄、常圧ろ過、減圧ろ過を2回繰り返し、洗浄された白色のケーキを得た。
【0089】
得られた物質を150℃減圧乾燥を行うことにより3gの白色粉末を得た。この物質のカリウム含有量をWDX蛍光X線で測定したところ、3.0重量%であった。
【0090】
実施例7
合成例1の沈殿を200gの水中に投入し、激しく撹拌した後、65%硝酸を加え、pH1.0に調整した。6時間撹拌したのち、チタン製高圧反応容器に封入し、200℃で12時間加熱したところ、白色の沈殿が得られた。
【0091】
この物質を10μm親水化PTFEフィルタでろ過したところ、常圧でも0.5時間でろ過することができた。さらに減圧を行い、水分を絞ったところ、白色のケーキが得られた。この後、ケーキを1000g水で洗浄、常圧ろ過、減圧ろ過を2回繰り返し、洗浄された白色のケーキを得た。
【0092】
得られた物質を150℃減圧乾燥を行うことにより3gの白色粉末を得た。この物質のカリウム含有量をWDX蛍光X線で測定したところ、検出限界以下(0.1重量%以下)であった。
【0093】
実施例8
合成例1の沈殿を1000gの水中に投入し、激しく撹拌した後、35%塩酸を加え、pH1.0に調整した。48時間撹拌すると、半透明の分散液が得られた。
【0094】
この溶液に25%アンモニア溶液を加え、pH6.0に調整したところ、半透明の沈殿が生じた。この物質を10μm親水化PTFEフィルタでろ過したところ、常圧でも0.5時間でろ過することができた。さらに減圧を行い、水分を絞ったところ、半透明のケーキが得られた。この後、ケーキを1000g水で洗浄、常圧ろ過、減圧ろ過を3回繰り返し、さらに1000gのt−ブチルアルコールで洗浄、常圧ろ過、減圧ろ過を2回繰り返し、半透明のケーキを得た。
【0095】
得られた物質を150℃減圧乾燥を行うことにより2.9gの非常にかさ高い白色粉末を得た。
【0096】
この物質のカリウム含有量をWDX蛍光X線で測定したところ、0.5重量%であった。
【0097】
比較例1
合成例1の沈殿を1000gの水中に投入し、激しく撹拌した後、35%塩酸を加え、pH1.0に調整した。48時間撹拌すると、半透明の分散液が得られた。
【0098】
この溶液を10μm親水化PTFEフィルタでろ過したところ、12時間かかってろ過することができた。
【0099】
ろ紙に付着した固体を150℃減圧乾燥を行うことにより白色粉末を得た。
【0100】
しかし、この物質のカリウム含有量をWDX蛍光X線で測定したところ、14重量%も含まれていた。
【0101】
比較例2
合成例2の沈殿を1000gの水中に投入し、激しく撹拌した後、35%塩酸を加え、pH1.0に調整した。48時間撹拌すると、半透明の分散液が得られた。
【0102】
この溶液を10μm親水化PTFEフィルタでろ過したところ、非常に粗いろ紙にもかかわらず目詰まりし、24時間かけてもろ過することができなかった。
【0103】
比較例3
合成例3の沈殿を1000gの水中に投入し、激しく撹拌した後、35%塩酸を加え、pH1.0に調整した。48時間撹拌すると、半透明の分散液が得られた。
【0104】
この溶液を10μm親水化PTFEフィルタでろ過したところ、非常に粗いろ紙にもかかわらず目詰まりし、24時間かけてもろ過することができなかった。
【0105】
比較例4
合成例1の沈殿を1000gの水中に投入し、激しく撹拌した後、静置したところ白色の沈殿が得られた。
【0106】
そのまま、この溶液を10μm親水化PTFEフィルタでろ過したところ、常圧でも1時間でろ過することができた。さらに減圧を行い、水分を絞ったところ、半透明のケーキが得られた。この後、ケーキを1000g水で洗浄、常圧ろ過、減圧ろ過を3回繰り返し、洗浄された半透明のケーキを得た。
【0107】
ろ紙に付着した固体を150℃減圧乾燥を行うことにより白色粉末を得た。
【0108】
しかし、この物質のカリウム含有量をWDX蛍光X線で測定したところ、21重量%も含まれていた。
【0109】
比較例5
合成例1の沈殿を1000gの水中に投入し、激しく撹拌した後、35%塩酸を加え、pH7.0に調整した。
【0110】
この溶液を10μm親水化PTFEフィルタでろ過したところ、減圧で2時間でろ過することができ、半透明のケーキが得られた。この後、ケーキを1000g水で洗浄、常圧ろ過、減圧ろ過を3回繰り返し、洗浄された半透明のケーキを得た。
【0111】
ろ紙に付着した固体を150℃減圧乾燥を行うことにより白色粉末を得た。
【0112】
しかし、この物質のカリウム含有量をWDX蛍光X線で測定したところ、17重量%も含まれていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のアルカリ金属以外の金属、及び酸素を含み、短軸方向の大きさが1nm以上、長軸方向の大きさが0.5μm以上である金属ナノ構造体を単離する方法であって、
(A1)前記金属ナノ構造体と、pHが4未満の溶液と接触させる工程、
(A2)工程(A1)の後、前記金属ナノ構造体を、pHが4〜7の溶液と接触させる工程、及び
(A3)工程(A2)の後、前記金属ナノ構造体を溶液と分離する工程
を備える、単離方法。
【請求項2】
前記金属ナノ構造体の短軸方向の大きさが、1〜30nmである、請求項1に記載の単離方法。
【請求項3】
前記工程(A1)が、pHが4未満の溶液中に、前記金属ナノ構造体を浸漬する工程である、請求項1又は2に記載の単離方法。
【請求項4】
pH4が未満の溶液が、塩酸、硝酸、酢酸、しゅう酸、硫酸、フッ化水素酸及びギ酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶液を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の単離方法。
【請求項5】
前記工程(A2)が、前記pHが4未満の酸性溶液のpHを4〜7に上昇させる工程である、請求項1〜4のいずれかに記載の単離方法。
【請求項6】
前記工程(A2)が、前記pHが4未満の溶液に、金属を含まないアルカリ成分を添加してpHを4〜7に上昇させる工程である、請求項5に記載の単離方法。
【請求項7】
前記金属を含まないアルカリ成分が、アンモニア又はアンモニア誘導体である、請求項6に記載の単離方法。
【請求項8】
前記アンモニア誘導体が、式(1):
【化1】

(式中、X、Y及びZは同じか又は異なり、それぞれH又はOH;l、m及びnは同じか又は異なり、それぞれ0〜12の整数;ただし、X、Y及びZが全てHであり、l、m及びnが全て0であるものは除く)、又は式(2):
【化2】

(式中、a、b、c及びdは同じか又は異なり、それぞれ0〜12の整数である;ただし、a、b、c及びdが全て0であるものは除く)
で示される、請求項7に記載の単離方法。
【請求項9】
アンモニア誘導体が、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン及びトリエチルアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項7又は8に記載の単離方法。
【請求項10】
さらに、
(A4)単離した金属ナノ構造体を水及び/又は有機溶媒で洗浄する工程
を備える、請求項1〜9のいずれかに記載の単離方法。
【請求項11】
前記有機溶媒がt−ブチルアルコールである、請求項10に記載の単離方法。
【請求項12】
少なくとも1種のアルカリ金属以外の金属、及び酸素を含み、短軸方向の大きさが1nm以上、長軸方向の大きさが0.5μm以上である金属ナノ構造体を単離する方法であって、
(B1)前記金属ナノ構造体と、pHが4未満の溶液と接触させる工程、
(B2)工程(B1)の後、前記金属ナノ構造体を、60〜300℃で熱処理する工程、及び
(B3)工程(B2)の後、前記金属ナノ構造体を溶液と分離する工程
を備える、単離方法。
【請求項13】
前記金属ナノ構造体の短軸方向の大きさが、1〜30nmである、請求項12に記載の単離方法。
【請求項14】
前記工程(B1)が、pHが4未満の溶液中に、前記金属ナノ構造体を浸漬する工程である、請求項12又は13に記載の単離方法。
【請求項15】
pH4が未満の溶液が、塩酸、硝酸、酢酸、しゅう酸、硫酸、フッ化水素酸及びギ酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶液を含む、請求項12〜14のいずれかに記載の単離方法。
【請求項16】
前記工程(B2)が、液相中で行われる、請求項12〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記工程(B2)が、密閉条件下で行われる、請求項12〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
さらに、
(B4)単離した金属ナノ構造体を水及び/又は有機溶媒で洗浄する工程
を備える、請求項12〜17のいずれかに記載の単離方法。
【請求項19】
前記有機溶媒がt−ブチルアルコールである、請求項18に記載の単離方法。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれかに記載の単離方法を用いて、式(3):
(KO)(NaO)(HO)TiO
(式中、p、q及びrは同じか又は異なり、それぞれ0以上1未満;p+q+r<1である)
で示される金属酸化物からなる単離されたナノ構造体を製造する方法。

【公開番号】特開2012−211031(P2012−211031A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76846(P2011−76846)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】