説明

高アスペクト比を有する窒化アルミニウム、その製造方法、それを用いた樹脂組成物

【課題】より少ない充填量で高い熱伝導率を達成可能で、且つ作業性、人体への影響の少ない高アスペクト比を有する窒化アルミニウム、その製造方法およびそれを用いた高熱伝導性樹脂複合材料を提供する。
【解決手段】酸化アルミニウムを含む原料と炭素源とを混合し、当該混合物を窒素気流中にて加熱して窒化アルミニウムを製造する方法であって、当該原料のアスペクト比(L/D)が3以上であり、かつ得られた窒化アルミニウムのアスペクト比(L/D)が3以上であることを特徴とする窒化アルミニウムの製造方法。一定の形状、アスペクト比を有する酸化アルミニウム含有物を、還元窒化法により窒化することにより、形状、アスペクト比を維持した窒化アルミニウムを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高いアスペクト比を有する窒化アルミニウムの製造方法、その製造方法により得られる高いアスペクト比を有する窒化アルミニウム、およびそれを用いて作製される高熱伝導性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化アルミニウムは高い熱伝導率(〜320W/mK)、優れた電気絶縁性、及びシリコンに近い熱膨張係数を有する材料として、高放熱性の半導体実装用基板をはじめ、半導体封止用樹脂等の熱伝導性フィラーとしての応用が期待されている。
熱伝導性フィラーは、樹脂中にフィラー成分(無機成分)を添加し、種々の方法で分散、混合、複合化することにより、樹脂の熱伝導性を向上させることを目的とするものである。複合化の際、フィラー成分が樹脂中に分散することにより、熱伝導の経路を形成することで樹脂の熱伝導性を向上させるものである。
【0003】
窒化アルミニウムは、一般には金属アルミニウムや酸化アルミニウムを原料として直接窒化法、還元窒化法などにより合成されている。例えば、金属アルミニウムの加熱溶融体液滴を冷却固化させ、これを流動しながら窒素気流中で加熱、窒化する方法(特許文献1)や球状アルミナ粒子、もしくは高温でアルミナを形成するアルミナ前駆体にカーボン粉末あるいは高温でカーボンとなる有機物を特定割合で加えて混合した後、窒素ガスおよび/またはアンモニアガス中で窒化する方法(特許文献2)が開示されている。
【0004】
しかし、窒化アルミニウムは、その結晶構造がウルツ鉱型であるため、一軸方向に成長させることが難しく、これらの方法により製造される窒化アルミニウムは通常粉末状形状になる。そのため熱伝導性フィラーとして樹脂と混合し、熱伝導度の高い複合成形体を得るためには、通常、大量(60vol%以上)の窒化アルミニウムを樹脂と混合(以下、充填という)し、複合化しなければならず、その結果、粘度が上昇して成形加工性が悪化するという問題があった。
【0005】
また、上記のように大量に熱伝導性フィラーを混合した場合でも、粒子状の窒化アルミニウムは樹脂中に点在するため、十分にその熱伝導性が機能せず、樹脂、あるいはその成形体として高い熱伝導率を達成することは困難であった。
また、特許文献1のように金属アルミニウムを原料とした窒化アルミニウムの合成は窒化反応が発熱反応であるため、反応の制御が困難である。また窒化反応過程で生じた熱により粒子同士が融着し、凝集した粒径の大きい粒子になりやすいため、熱伝導性を向上させる目的での樹脂との複合化には、適さないという課題があった。
【0006】
このような観点から、樹脂への充填に適した窒化アルミニウムを合成する方法が種々検討されている。これらの合成方法により得られる球状もしくは粉末状の窒化アルミニウムは、高充填化による粒子同士の接触を増加させることで熱伝導経路を確保し、高熱伝導化を達成しようとしたものであり、高充填化できる形状、すなわち球状や真球状の窒化アルミニウムに関するものがほとんどである。したがって、高充填化に伴う粘度上昇のため成形加工性が悪化するのみならず、材料コストの増大といった問題があった。上記のような課題を解決するためには、熱伝導フィラーの充填量を下げつつも、熱伝導経路を確保できる異方性を有した熱伝導フィラーの開発が求められてきた。すなわち、より低充填量の熱伝導フィラーで高熱伝導化を達成することができれば、樹脂との複合化による成形加工性を向上できる可能性がある。
【0007】
より低充填量で熱伝導性を確保できる可能性のある窒化アルミニウムとして短軸方向の繊維径(D)と長軸方向の繊維長(L)の比(L/D)が非常に大きい窒化アルミニウムウィスカーの製造方法が開示されている(非特許文献1および非特許文献2)。非特許文献1,2により得られる窒化アルミニウムウィスカーは、窒化アルミニウム結晶粒子が凝集して形成された構造ではなく、繊維径が1μm以下、かつ繊維軸方向の長さが5〜50
0μmと高アスペクト比を有しているために熱伝導率が高い窒化アルミニウムが得られるという特徴がある。
【0008】
このようなアスペクト比が高いフィラーはフィラー間の接触が少なくても熱伝導経路が形成されやすいため熱伝導用フィラーとして好適と考えられる。
しかしながら、非特許文献1で記載されている昇華再結晶法では、操作温度が1800-2000
℃と非常に高いため、工業的ではなく、非特許文献2で記載されている気相合成法も量産には不向きであるという問題がある。また、高アスペクト比を有するものの繊維径が1μ
m以下と小さく、物理的な形状がアスベスト様であるために作業性が悪く、人体への影響なども懸念される。
【0009】
さらに、特許文献3 には、δ−アルミナおよびθ−アルミナの少なくとも一方を含むアルミナ原料を出発物質として、アンモニア及び炭化水素からなる混合ガス中で還元窒化反応させることにより、出発原料の形状が保持された窒化率50%以上の窒化アルミニウムが製造可能であることが開示されている。
しかし、アンモニアガスを用いる方法は、高温下では装置腐食などの問題があり、工業的な量産には不向きである。また、気−固相間の反応による形状保持については記載されているが、炭素などの還元剤を用いた固−固相間の反応で形態が保持できるかについては記載されていない。また、得られた窒化アルミニウムを樹脂と複合化した際の熱伝導率についても明らかにはされていない。
【特許文献1】特開昭59−013610
【特許文献2】特開平4−074705
【特許文献3】特開2002−097006
【非特許文献1】電気化学, vol.10, p743, 1972
【非特許文献2】日本セラミック協会学術論文誌, vol.97, p864, 1989 現段階では、高い熱伝導性と加工性の双方を確保でき、さらに工業的に利用可能な手法により異方性を有する窒化アルミニウムを得られる実用的な方法はなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような状況下、樹脂との複合化に際して、より少ない充填量で高い熱伝導率を達成可能で、且つ作業性、人体への影響の少ない高アスペクト比を有する窒化アルミニウム、その製造方法およびそれを用いた高熱伝導性樹脂複合材料が求められている。
本発明者らは従来技術により作製される窒化アルミニウムの問題点に鑑み、種々検討を行った結果、特定形状の酸化アルミニウム含有物を用いて、上述の炭素を用いた還元窒化反応を行なうことで、窒化アルミニウムの結晶核が原料表面から生成し、数ミクロンの大きさの結晶核が多数生成、原料形状を保持したまま窒化できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち本発明の高アスペクト比を有する窒化アルミニウムは、高アスペクト比を有する酸化アルミニウム含有物を炭素源の共存下、窒素ガス中で処理し、窒化する還元窒化法により得られる。
具体的には、繊維軸方向または面方向の平均長さ(L)と繊維軸に垂直方向または厚み
方向の平均長さ(D)との比が4以上である酸化アルミニウム含有物を原料として用いる
ことで、従来困難であったアスペクト比が高い窒化アルミニウムを工業的な量産が可能で、簡便な条件下で合成できることを見出した。
従来、粒子径が50μm以下のアルミナを原料とした場合、還元窒化法では、粒子同士が焼結し、原料由来の構造を保持できなくなる傾向にあることは知られており(特許文献2)、このようなアスペクト比の高い酸化アルミニウム含有物を、炭素を用いた還元窒化法で窒化した場合、特に固−固相間の反応で形態が保持できるかは本検討により初めて明らかとなった。
【0012】
すなわち、本発明の第一の要旨は、酸化アルミニウムを含む原料と炭素源とを混合して、当該混合物を窒素気流中下で加熱して窒化アルミニウムを製造する方法であり、当該酸化アルミニウムを含む原料のアスペクト比(L/D)が3以上であり、かつ得られた窒化アルミニウムのアスペクト比(L/D)が3以上であることを特徴とする窒化アルミニウムの製造方法に存する。
【0013】
第二の要旨は当該原料の酸化アルミニウムの形状が繊維状であり、その酸化アルミニウムの繊維軸方向の平均長さ(D)とのアスペクト比(L/D)が3以上であり、かつ得られた繊維状窒化アルミニウムの繊維軸方向の平均長さ(L)が30μm以上2000μm以下かつ繊維軸に垂直方向の平均長さ(D)が7μm以上50μm以下であることを特徴
とする窒化アルミニウムの製造方法に存する。
【0014】
第三の要旨は該原料中の酸化アルミニウムの形状が板状であり、該酸化アルミニウムの面方向の平均長さ(L)と厚み方向の平均長さ(D)とのアスペクト比(L/D)が3以上であり、かつ得られた板状窒化アルミニウム方向の面方向の平均長さ(L)が0.2μm以上60μm以下でかつ厚み方向の平均長さ(D)が0.05μm以上15μm以下であることを特徴とする窒化アルミニウムの製造方法に存する。
【0015】
第四の要旨は該酸化アルミニウムが70重量%以上99.5重量%以下であり且つシリカ成分が0.5重量%以上30重量%以下である原料を用いて、炭素または高温で炭素前駆体となる還元剤を用いた還元窒化法による窒化アルミニウムの製造方法に存する。
第五の要旨は、繊維状の形状の窒化アルミニウムであって、繊維軸方向の平均長さ(L
)と繊維軸に垂直方向の平均長さ(D)との比が3以上であり、繊維軸方向の平均長さ(L)が20μm以上2000μm以下かつ繊維軸に垂直方向の平均長さ(D)が6μm以上50μm以下である窒化アルミニウムに存する。
【0016】
第六の要旨は、板状の形状の窒化アルミニウムであって、面方向の平均長さ(L)と厚
み方向の平均長さ(D)との比が3以上であり、面方向の平均長さ(L)が0.2μm以上60μm以下でかつ厚み方向の平均長さ(D)が0.05μm以上15μm以下である窒化アルミニウムに存する。
第七の要旨は、繊維状の形状の窒化アルミニウムであって、繊維軸方向の平均長さ(L
)と繊維軸に垂直方向の平均長さ(D)との比が3以上であり、繊維軸方向の平均長さ(L)が20μm以上2000μm以下かつ繊維軸に垂直方向の平均長さ(D)が6μm以上50μm以下である窒化アルミニウムを含む樹脂組成物、または板状の形状の窒化アルミニウムであって、面方向の平均長さ(L)と厚み方向の平均長さ(D)との比が3以上であり、面方向の平均長さ(L)が0.2μm以上60μm以下でかつ厚み方向の平均長さ(D)が0.05μm以上15μm以下である窒化アルミニウムを含む樹脂組成物であり、かつ熱伝導率が2W/m・K以上である樹脂組成物に存する。
【0017】
本願第八の要旨は繊維状の形状の窒化アルミニウムであって、繊維軸方向の平均長さ(L)と繊維軸に垂直方向の平均長さ(D)との比が3以上であり、繊維軸方向の平均長さ(L)が20μm以上2000μm以下かつ繊維軸に垂直方向の平均長さ(D)が6μm以上50μm以下である窒化アルミニウムを含む樹脂成形体、または板状の形状の窒化アルミニウムであって、面方向の平均長さ(L)と厚み方向の平均長さ(D)との比が3以上であり、面方向の平均長さ(L)が0.2μm以上60μm以下でかつ厚み方向の平均長さ(D)が0.05μm以上15μm以下である窒化アルミニウムを含む樹脂成形体、かつ熱伝導率が2W/m・K以上である樹脂成形体に存する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高いアスペクト比を有する窒化アルミニウムを実用的、かつ安全な製造方法にて製造することができ、またこの製造方法によって得られる高いアスペクト比を有する窒化アルミニウムは樹脂への充填性にすぐれ、かつ高いアスペクト比を有する窒化アルミニウムと樹脂よりなる組成物は、従来から用いられているアスペクト比の低い微粉状の窒化アルミニウムを用いて作製された組成物と比較して同一の添加量でより高い熱伝導率を達成することが可能、すなわちより少ない充填量で高い熱伝導率を有する組成物、成形物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の窒化アルミニウムを作製する際に必要とされる要件について詳細に説明する。
「酸化アルミニウムを含む原料」
本発明で用いられる酸化アルミニウム(アルミナ)を含む原料としては、酸化アルミニウムを含有していれば特に限定されない。(以下、単に原料と呼ぶことがある)
酸化アルミニウムとしては、α、γ、θ、η等の結晶構造を持つものが挙げられ、好ましくはα型、γ型である。
【0020】
原料成分中の酸化アルミニウムの割合は、通常70重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上で有り、通常99.5重量%以下、好ましくは98重量%以下が好ましい。酸化アルミニウムが少なすぎると、得られる窒化アルミニウムの熱伝導率が低くなり、多すぎると原料である酸化アルミニウム含有物の形状を制御しにくくなり、粉末状となり好ましくない。
【0021】
原料成分中、アルミナ以外の成分を含んでいてもよく、具体的には例えばシリカ、アルミナ、カルシウム元素含有化合物、マグネシウム元素含有物、イットリウム元素含有物などのバインダーが含有されたものなどが挙げられる。
アルミナ以外の成分の、原料中の含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、更に好ましくは2重量%で有り、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
【0022】
特に繊維状の酸化アルミニウム含有物を原料とする場合には、バインダーとしてシリカを含有するものが好適に用いられる。このシリカは原料の酸化アルミニウム含有物の形状を制御するために用いられるものである。通常は原料中の酸化アルミニウムの割合は、通常70重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上で有り、通常99.5重量%以下、好ましくは98重量%以下である。酸化アルミニウムが70重量%よりも少なすぎると、得られる窒化アルミニウムの熱伝導率が低くなり、多すぎると原料である酸化アルミニウム含有物の形状制御が困難となり、粉末状となるため好ましくない。シリカの、原料中の含有量は、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上であり、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
【0023】
このようなアスペクト比の高い繊維状酸化アルミニウム含有物としては、アルミナ繊維が好適に用いられる。また、板状の酸化アルミニウム含有物としては、アスペクト比の高
い板状アルミナとして、α−アルミナ(例えばキンセイマテック(株)社製、商品名:セラフ10030 酸化アルミニウム成分99.3wt%、等)も好適に用いられる。
「アスペクト比」
アスペクト比とは、繊維状または板状などの形状の異方性を表す指標として用いられ、通常、最大長と最大垂直長の比(アスペクト比=最大長/最大垂直長)である。
【0024】
繊維状の試料の場合、長軸方向の長さと長軸と垂直方向の径の比をアスペクト比とする。板状の試料の場合、長軸方向(面方向)と短軸方向(面方向と垂直方向な厚み方向長さ)の比をアスペクト比とする。このようなアスペクト比は、粒度・形状分布測定装置(例えば、(株)セイシン企業製のPITA−1)を用い、水を分散媒体として、セラミック繊維の繊維形状(アスペクト比)およびその個数を計測することによって計測個数の平均値として得られる。また、走査型電子顕微鏡などによる直接観察により、任意に選択した粒子について、その長軸方向長さおよび短軸方向長さを計測することによって計測個数の平均値として求めることもできる。
【0025】
「原料形状」
原料は、原料のアスペクト比(L/D)が3以上である。好ましくは5以上、より好ましくは6以上、より好ましくは10以上であり、さらに好ましくは20以上であり、上限は通常制限はないが、成型加工性の面で100以下であり、好ましくは50以下、より好ましくは30以下である。
【0026】
原料形状に特に制限はないが、具体的な形状としては繊維状、板状、リボン状、チューブ状などが挙げられる。
好ましい原料形状としては繊維状、板状のものが挙げられる。
原料が繊維状の場合、繊維軸方向の平均長さ(L)は通常30μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上、通常2000μm以下、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下である。
【0027】
繊維軸に垂直方向の平均長さ(D)は通常6μm以上、好ましくは10μm以上、通常50μm以下、好ましくは30μm以下がよい。原料が繊維状のときのアスペクト比(L/D)は通常3以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上である。
繊維軸方向(長軸方向)の平均長さが30μmより小さいと熱伝導性を発現するための熱伝導経路が効率的に構成されなくなる恐れがあり好ましくなく、2000μm以上だと分散不良などにより成形加工性が悪化するために好ましくない。繊維軸に垂直方向の平均長さ(D)が7μmより小さいと流動性の低下などによる加工性の悪化、50μmより大きいと分散不良などによる加工性の低下があり好ましくない。
【0028】
原料が板状の場合、面方向(長軸方向)の平均長さ(L)は通常0.2μm以上、好ましくは2μm以上、より好ましくは10μm以上である。通常60μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは15μm以下である。厚み方向(短軸方向)の平均長さ(D)は、通常0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上である。通常15μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
【0029】
原料が板状のときのアスペクト比(L/D)は通常3以上、好ましくは5以上、より好ましくはは10以上、最も好ましくは20以上である。
面方向(長軸方向)の平均長さが0.2μmより小さいと熱伝導性を発現するための熱伝導経路が効率的に構成されなくなる恐れがあるばかりでなく、粒子同士の融着凝集により窒化反応における原料形状の保持が困難となり好ましくなく、60μmより大きいと分
散不良などにより成形加工性が悪化するために好ましくない。
【0030】
厚み方向(短軸方向)の平均長さ(D)が0.05μmより小さい場合も窒化反応に伴う、粒子の粉化が生じやすく、原料形状を維持することが困難となるために好ましくなく、15μmより大きいと分散不良などによる加工性の低下があり好ましくない。
「炭素源」
本願発明における還元窒化反応の際に用いられる炭素源としては、固体炭素が好ましく、具体的にはカーボンブラック、黒鉛、高温でカーボン源となり得るカーボン前駆体が使用できる。カーボンブラックは、ファーネス法、チャンネル法などのカーボンブラック、アセチレンブラックなどを使用することができる。このうち好ましい炭素源はカーボンブラック、カーボン前駆体であり、より好ましいのは入手の容易さ、作業性、反応の安定性などの点でカーボンブラックである。
【0031】
これらカーボンブラックの粒径は、任意であるが、0.01〜200μmのものが好ましい。また、カーボン前駆体としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フランフェノール樹脂等の合成樹脂縮合物やピッチ、タール等の炭化水素化合物、セルロース、ショ糖、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレンなどの有機化合物が挙げられる。特に、フェノール樹脂、セルロース、ポリフェニレンなど金属不純物などが少ないものが好ましい。
【0032】
加える炭素源の量としては、加えるカーボンブラック等の炭素源を「炭素分子」として分子量換算し、酸化アルミニウムに対して通常3倍モル以上、好ましくは3.3倍モル以上、より好ましくは3.6倍モル以上である。加える炭素の量が少なすぎると、還元反応が不十分な状態となり、多すぎると窒化反応後の生成物中の炭素残存量が多くなるため好ましくない。但し、還元反応が不十分な場合でも樹脂組成物および樹脂成形体として目的とする熱伝導性が確保できればこの限りではない。
【0033】
「酸化アルミニウム含有物と炭素源の混合」
本発明において酸化アルミニウム含有物と炭素源の混合方法としては、酸化アルミニウム含有物と炭素源が均一になるような方法であればハンドブレンド(単純混合)、カッターミルなどを用いた湿式法、ボールミルなどを用いた乾式法何れの方法でも良い。原料形状(高アスペクト比)を容易に保持しうる観点で、(ボールミルなどによる混合よりは、)ハンドブレンド、カッターミルなどによる混合が望ましい。湿式混合の際に使用する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、トルエン、キシレン等が挙げられる。均一混合した後のスラリーは、溶媒を除去するために乾燥され窒化工程に供される。
【0034】
「窒化温度」
上記の工程で作製された酸化アルミニウム含有物と炭素源の乾燥混合物は、通常、塊を乳鉢などで軽く粉砕後、アルミナ製のルツボに移され、窒素気流中、通常1200℃以上、好ましくは1400℃以上、より好ましくは1500℃以上、さらに好ましくは1600℃以上、また通常1800℃以下、好ましくは1750℃以下、より好ましくは1700℃以下の条件下で還元窒化される。窒化温度が低すぎると窒化反応が遅く、窒化温度が高すぎると窒化反応が速くなり、微粉化が起こったり、場合によっては繊維状窒化アルミニウム同士もしくは板状窒化アルミニウム同士の融着が顕著になりアスペクト比の高い窒化アルミニウムを得ることが困難となる。
【0035】
「窒化後の熱処理」
還元窒化反応に要する時間は通常、加えられた炭素源の量および酸化アルミニウム含有物の形状(大きさ、厚み)によって変化するが、本発明で規定される酸化アルミニウム含
有物を用いた場合、通常は48時間以内に反応が終了する。窒化反応に必要な炭素源の量は、通常酸化アルミニウムに対して3倍モルであるが、完全に窒化反応を行なわせたい場合、3倍モルよりも過剰に炭素源を加えるのが通常である。この場合、完全に窒化反応が行なわれた場合でも微量の炭素源が残存しており、この炭素源を取り除く必要がある。通常は、酸化雰囲気下にて熱処理をすることで残存炭素源を取り除くことができる。熱処理の温度は通常500℃以上、好ましくは700℃、通常900℃以下、好ましくは800℃以下で熱処理を行なう。900℃以上で熱処理を行なうと窒化された表面が酸化され、内部まで酸化層が形成される恐れがあり好ましくない。500℃よりも低い温度で熱処理を行なうと炭素の除去が十分行なわれず、好ましくない。
【0036】
熱処理に要する時間は炭素源が除去される範囲において制限はなく、熱処理温度によっても異なるが、通常3時間以上、5時間以下が好ましい。熱処理時間が長すぎると、窒化された表面が酸化され、内部まで酸化層が形成される恐れがあり好ましくない。特に900℃以上の高温で熱処理する場合、顕著となる。熱処理時間が短いと炭素の除去が十分行なわれず、好ましくない。
【0037】
「窒化アルミニウム」
このようにして生成したアスペクト比の高い窒化アルミニウムは、アスペクト比が3以上の窒化アルミニウムであり、好ましくは4以上、より好ましくは5以上である。通常原料である酸化アルミニウム含有物の高いアスペクト比を保持したまま窒化される。
すなわち、得られた窒化アルミニウムは、原料として繊維状の原料を用いた場合、繊維軸方向(長軸方向)の平均長さ(L)は通常20μm以上、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上、通常2000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下でかつ繊維軸に垂直方向(短軸方向)の平均長さ(D)が通常6μm以上、好ましくは10μm以上、通常50μm以下、好ましくは30μm以下となる。
【0038】
このときのアスペクト比(L/D)が3以上、好ましくは4以上、より好ましくは5以上の繊維状窒化アルミニウムが得られる。
また板状原料を用いた場合、面方向(長軸方向)の平均長さ(L)が通常0.2μm以上、好ましくは、2μm以上、より好ましくは10μm以上、通常60μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは15μm以下でかつ厚み方向(短軸方向)の平均長さ(D)が通常0.05μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上、通常15μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下となり、アスペクト比(L/D)が3以上の板状窒化アルミニウムが得られる。
【0039】
その高いアスペクト比、熱伝導率などの性能を損なわない範囲において、表面が部分的に窒化されたものであっても良く、種々の表面処理などを施しても良い。通常、市販されているカップリング剤などで処理することにより、樹脂との界面の親和性、接合性、および充填材の疎水性を高めることができる。好適に用いられるカップリング剤としては、シラン系、チタネート系などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
得られた窒化アルミニウムは樹脂組成物として使用することができる。具体的には樹脂やゴム、接着剤、塗料などの媒体と複合化した際、通常の粉末状窒化アルミニウムと比較して少ない充填量で高い熱伝導率を発現できるため、放熱特性などが要求される各種用途の充填剤として広く用いることができる。また、アスペクト比が高いため、強度を要求される複合材成形物としても好適である。特に繊維状窒化アルミニウムは、熱伝導性と強度のバランスに優れるために射出成形品を作製するためのフィラーとして好適に用いられる。板状の窒化アルミニウムは、薄物に対する成形加工性に優れるためにシート、フィルム用組成物のフィラーとして好適に用いられる。
【0041】
特に、熱伝導率向上を目的とした場合、樹脂との複合化に際して、本発明の高アスペクト比を有する窒化アルミニウム以外に、微粉末状窒化アルミニウム、球状窒化アルミニウム、窒化ホウ素、粒子状アルミナ、その他の微粒状充填材、可塑剤、滑材、離型剤、酸化防止剤、硬化剤、熱および光安定剤、難燃剤、粘度調整剤などをその性能を損なわない範囲において適宜添加して使用することもできる。
【0042】
樹脂組成物、樹脂成形物として使用される樹脂としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂何れも使用可能であり、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂およびこれらの混合物、共重合物、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマーおよびこれらの誘導体などが挙げられる。特に、半導体の封止材、接着剤などの目的のためにはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の架橋性樹脂類が好適に用いられ、光ピックアップや電子機器の筐体などの目的のためには耐熱性、流動性などの観点からポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリエステル樹脂などが好適に用いられる。
【0043】
樹脂組成物中の窒化アルミニウム量は30重量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは40重量%以上である。また80重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは70重量%以下である。多すぎると成形が困難となり、成形加工性に問題があり、少なすぎると所望の熱伝導率を得られにくくなる。
樹脂成形物は、例えば本発明の高アスペクト比を有する窒化アルミニウムを樹脂原料と一緒にあるいは途中で混合し作製された液状樹脂組成物、または熱可塑性樹脂との混練等により作製された樹脂組成物を通常の成形機で成形することで得られる。
【0044】
本発明の樹脂組成物及び樹脂成形体は、熱伝導率が2W/m・K以上であることが好ましい、さらに好ましくは3W/m・K以上である。高い熱伝導率を有することにより、発熱部位からの高い放熱効果が期待できる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
アルミナ繊維(酸化アルミニウム:シリカ=95:5(wt%)、直径(繊維軸に垂直方向(短軸方向)の平均長さ)6μm、繊維軸方向の平均長さが60μm、L/D=10)8gにカーボンブラック(キシダ化学(株))3.42g(対酸化アルミニウム3.6倍モル)と純水75mlをカッターミル(大阪ケミカル(株)社製アブソリュートミル)容器に入れ、37,000rpmで3分間粉砕・混合した。その後、スラリー状の混合物を取り出し、通風式乾燥器内で120℃,10時間乾燥した。乾燥したアルミナ繊維−炭素混合物を乳鉢で軽く粉砕し、アルミナ製坩堝に20g充填し、高温雰囲気炉中にセットした。窒素を0.5l/min流通させながら、昇温速度200℃/hrで1600℃まで昇温し、その温度で35時間保持した。反応終了後、自然冷却し、坩堝よりサンプルを取り出し、タングステンカーバイド製乳鉢を使って軽く解砕した。更に、残存している炭素を除去するためマッフル炉を用いて酸化雰囲気下、650℃で3hr、700℃で1hr熱処理し、サンプルを作製した。X線回折装置(XRD)で測定し、回折パターンから生成相を同定するとともに、走査型電子顕微鏡(SEM)で形態を観察した。XRDの測定結果を図1にSEMの観察結果を図2に示す。図1よりからシリカに由来すると考えられる不純物ピークおよびAl9O3N7に由来すると考えられるピークが僅かに観察されたが、繊維状酸化アルミニウム含有物は窒化アルミニウムに変換されていることが確認された。また、SEM観察結果から、原料形態を保持したアスペクト比の高い(繊維軸方向(長軸方向)の平均長さL:80μm、繊維軸に垂直方向(短軸方向)の平均長さD:7μm、L/D>11)窒化アルミニウムであることが確認された。
【0046】
実施例2
板状アルミナ(キンセイマテック(株)製:面方向(長軸方向)の平均長さ10μm、厚み方向(短軸方向)の平均長さ0.3μm、L/D=33、酸化アルミニウム成分:99.3wt%)35.06gにカーボンブラック(キシダ化学(株))14.89gと純水100mlをカッターミル(大阪ケミカル(株)社製アブソミュートミル)容器に入れ、37,000rpmで3分間粉砕・混合した。その後、更に20mlの純水を加えて3分間粉砕・混合し、この操作を2回行なった(最終的な純水添加量は140ml)。スラリー状の混合物を取り出し、通風式乾燥器内で150℃,20時間乾燥した。乾燥した板状アルミナ−炭素混合物を乳鉢で軽く粉砕し、アルミナ製坩堝2個にそれぞれ20g充填し、高温雰囲気炉中にセットした。窒素を0.5l/min流通させながら、昇温速度200℃/hrで1600℃まで昇温し、その温度で24時間保持した。反応終了後、自然冷却し、坩堝よりサンプルを取り出し、タングステンカーバイド製乳鉢を使って軽く解砕した。更に、残存している炭素を除去するためマッフル炉を用いて酸化雰囲気下、650℃で3hr、700℃で1hr熱処理し、サンプルを作製した。サンプルを作製した。X線回折装置(XRD)で測定し、回折パターンから生成相を同定するとともに、走査型電子顕微鏡(SEM)で形態を観察した。XRDの測定結果を図3にSEMの観察結果を図4に示す。図3より原料はほぼ完全に窒化アルミニウムに変換されていることが確認された。また、SEM観察結果から、僅かに粒子間の融着が観察されるものの原料形態を保持したアスペクト比の高い(面方向(長軸方向)の平均長さL:12μm、厚み方向(短軸方向)の平均長さD:2μm、L/D>6)板状窒化アルミニウムであることが確認された。
【0047】
実施例3
本例は、基材樹脂としてエポキシ樹脂を用いて樹脂組成物を作製する例である。
具体的には基材樹脂としてエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製 JER828)100重量部と硬化剤(酸無水物系硬化剤、ジャパンエポキシレジン株式会社製
JER YH300)80重量部、硬化促進剤(2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール)2重量部との混合物を準備した。次に、基材樹脂33重量%と、実施例1で得られた窒化アルミニウム67重量%とをアルミナ製乳鉢にて混合して樹脂組成物を得た。
これを金型に注型し、東洋精機製作所製ミニテストプレスを使用し、温度:120℃、圧力:10MPa、保持時間:1時間の条件で硬化させ、幅40mm、長さ40mm、厚み10mmの成型体を得た。本成型体から、直径φ10mm、厚さ2mmの円盤状のサンプルを切り出し、株式会社アルバック製TC−7000H/SB−2を用いて、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率を測定した。
基材樹脂と窒化アルミニウムとの混合比率及び熱伝導率を表−1に示す。
【0048】
実施例4
実施例3と同様に、基材樹脂としてエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製
JER828)100重量部と硬化剤(酸無水物系硬化剤、ジャパンエポキシレジン株式会社製 JER YH300)80重量部、硬化促進剤(2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール)2重量部との混合物を準備した。次に、基材樹脂33重量%と、実施例2で得られた板状窒化アルミニウム67重量%とをアルミナ製乳鉢にて混合して樹脂組成物を得た。これを金型に注型し、東洋精機製作所製ミニテストプレスを使用し、温度:120℃、圧力:10MPa、保持時間:1時間の条件で硬化させ、幅40mm、長さ40mm、厚み10mmの成型体を得た。本成型体から、直径φ10mm、厚さ2mmの円盤状のサンプルを切り出し、株式会社アルバック製TC−7000H/SB−2を用いて、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率を測定した。
基材樹脂と板状窒化アルミニウムとの混合比率及び熱伝導率を表−1に示す。
【0049】
比較例1
実施例3と同様に、基材樹脂としてエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製
JER828)100重量部と硬化剤(酸無水物系硬化剤、ジャパンエポキシレジン株式会社製 JER YH300)80重量部、硬化促進剤(2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール)2重量部との混合物を準備した。次に、基材樹脂33重量%と、株式会社トクヤマ製の窒化アルミニウム粒子(平均粒子径1.1μm、アスペクト比(L/D)<2)67重量%とをアルミナ製乳鉢にて混合して樹脂組成物を得た。これを金型に注型し、東洋精機製作所製ミニテストプレスを使用し、温度:120℃、圧力:10MPa、保持時間:1時間の条件で硬化させ、幅40mm、長さ40mm、厚み10mmの成型体を得た。本成型体から、直径φ10mm、厚さ2mmの円盤状のサンプルを切り出し、株式会社アルバック製TC−7000H/SB−2を用いて、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率を測定した。
基材樹脂と窒化アルミニウム粒子との混合比率及び熱伝導率を表−1に示す。
【0050】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例1のXRDの測定結果である。
【図2】実施例1の窒化アルミニウムのSEMの観察結果である。
【図3】実施例2のXRDの測定結果である。
【図4】実施例2の窒化アルミニウムのSEMの観察結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化アルミニウムを含む原料と炭素源とを混合し、当該混合物を窒素気流中にて加熱して窒化アルミニウムを製造する方法であって、当該原料のアスペクト比(L/D)が3以上であり、かつ得られた窒化アルミニウムのアスペクト比(L/D)が3以上であることを特徴とする窒化アルミニウムの製造方法。
【請求項2】
該原料中の酸化アルミニウムの形状が繊維状であり、該酸化アルミニウムの繊維軸方向の平均長さ(L)と繊維軸に垂直方向の平均長さ(D)とのアスペクト比(L/D)が3以上であり、かつ得られた繊維状窒化アルミニウムの繊維軸方向の平均長さ(L)が30μm以上2000μm以下でかつ繊維軸に垂直方向の平均長さ(D)が7μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウムの製造方法
【請求項3】
該原料中の酸化アルミニウムの形状が板状であり、該酸化アルミニウムの面方向の平均長さ(L)と厚み方向の平均長さ(D)とのアスペクト比(L/D)が3以上であり、かつ得られた板状窒化アルミニウム方向の面方向の平均長さ(L)が0.2μm以上60μm以下でかつ厚み方向の平均長さ(D)が0.05μm以上15μm以下であることを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウムの製造方法。
【請求項4】
該酸化アルミニウムを含む原料中に、酸化アルミニウムが70重量%以上99.5%以下であり且つシリカ成分0.5重量%以上30重量%以下を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の窒化アルミニウムの製造方法。
【請求項5】
繊維状の形状の窒化アルミニウムであって、繊維軸方向の平均長さ(L)と繊維軸に垂
直方向の平均長さ(D)との比が3以上であり、繊維軸方向の平均長さ(L)が20μm以上2000μm以下かつ繊維軸に垂直方向の平均長さ(D)が6μm以上50μm以下で
ある窒化アルミニウム。
【請求項6】
板状の形状の窒化アルミニウムであって、面方向の平均長さ(L)と厚み方向の平均長
さ(D)との比が3以上であり、面方向の平均長さ(L)が0.2μm以上60μm以下でかつ厚み方向の平均長さ(D)が0.05μm以上15μm以下である窒化アルミニウム。
【請求項7】
請求項5または6記載の窒化アルミニウムを含む樹脂組成物であり、かつ熱伝導率が
2W/m・K以上であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項8】
請求項5または6記載の窒化アルミニウムを含む樹脂成形体であり、かつ熱伝導率が
2W/m・K以上であることを特徴とする樹脂成形体。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−138056(P2010−138056A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318998(P2008−318998)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】