説明

高アルコキシル化度のアルコキシル化リン酸トリエステル

高いアルコキシル化度を有するアルコキシル化リン酸トリエステル。下記の式(I)で表されるリン酸トリエステルが開示される。該式(I)のアルコキシル化されたリン酸トリエステルは、有利な増粘特性によって特に特徴付けられる。


(式中、x、yおよびzは、互いに独立して、それぞれ51〜200の数を意味する。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、50個より多くのアルコキシ基を有するアルコキシル化された脂肪族アルコールから誘導されたリン酸トリエステルに関する。
【0002】
リン酸エステルは、毒物学的にも生態毒物学的にも問題がなく、その中性pH値のために皮膚にやさしく、化粧品調合物への使用に良好に適している。
【0003】
アルキルリン酸エステルまたはアルケニルリン酸エステルは、通常、脂肪族アルコールと五酸化ピロリンまたはオルトリン酸との縮合によって製造され、その際にモノエステルおよびジエステルを主成分とするモノエステル/ジエステル/トリエステルから成る混合物が得られる。
【背景技術】
【0004】
特開平09−268193号公報(特許文献1)にはリン酸トリエステルの製造方法が記載されており、該製造方法においては、オキシ塩化リンを、TiCl、MgClまたはAlClから選択された触媒の存在下で脂肪族アルコールまたはアルコキシル化された脂肪族アルコールと反応させる。該製造方法により、50個までの−CHCHO単位(EO)を担持することのできるリン酸トリエステルが得られる。そのエトキシル化されたリン酸エステルは、有利に増粘剤として使用することができる。しかしながら、それの水溶性が低く、水性調合物への加工が難しいという欠点がある。
【0005】
それに加えて、製造が原因の塩素含有不純物を全く含まないリン酸トリエステルが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−268193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、良好な増粘特性を示すだけではなく、それと同時に水性ベースの組成物に容易に加工でき、そして化粧品内容成分と良好な相容性(Kompatibilitaeten)を有するリン酸トリエステルを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、この課題はアルコキシル化度>50のリン酸トリエステルによって解決されることが分かった。これは、水性組成物中での良好な増粘作用を特徴とし、水溶性が良好であり、容易に水性調合物に加工することができる。
【0009】
したがって、本発明の対象は、下記式(I)で表されるリン酸トリエステルである。
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、
、RおよびRは、同一または異なることができ、6〜30個、好ましくは8〜22個、特に好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状の飽和アルキル基、6〜30個、好ましくは8〜22個、特に好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状の一価もしくは多価不飽和アルケニル基、またはアリール基、特に、互いに独立して、それぞれ3〜18個、好ましくは4〜12個の炭素原子を含む1〜3個の分枝状アルキル基で置換されることができるフェニル基を表し、
個々の基(OA、(AO)および(AO)は、互いに独立して、それぞれCHCHO、COおよびCOから選択された単位から成り、その際、該単位CHCHO、COまたはCOは、個々の基(OA、(AO)および(AO)の内部でブロック状に、またはランダム状に分布して配置されることができ、
x、yおよびzは、互いに独立して、それぞれ51〜200、好ましくは55〜150、特に好ましくは60〜100の数を意味する。)
【0012】
特に、上記の式(I)で表されるリン酸エステルの残基R、RおよびRは、同一または異なることができ、6〜30個、好ましくは8〜22個、特に好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の飽和アルキル基、または6〜30個、好ましくは8〜22個、特に好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の一価もしくは多価不飽和アルケニル基を表す。
【0013】
さらに好ましくは、上記の式(I)で表されるリン酸エステルにおける単位OA、OAおよびOAは、CHCHOを意味する。
【0014】
上記の式(I)で表されるリン酸エステルにおける残基R−(OA、R−(OAおよびR−(OAは、51〜200EO単位(EO=CHCHO)、好ましくは55〜150EO単位、特に好ましくは60〜100EO単位をもつエトキシ化脂肪族アルコールから選択されたエトキシ化脂肪族アルコールから誘導されたものであり、その時、脂肪族アルコール残基RO−、RO−およびRO−が、それぞれオクタノール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、ベヘニルアルコール、8〜22個のC鎖部分をもつ脂肪族アルコール、好ましくはC10/C12の脂肪族アルコール、C12/C14の脂肪族アルコール、C12/C15の脂肪族アルコールおよびC16/C18の脂肪族アルコール、特に好ましくは80個のエチレンオキシド単位を有するC16/C18のエトキシ化脂肪族アルコール、分枝状の脂肪族アルコール、好ましくはゲルベアルコール類、および一価の不飽和脂肪族アルコール、好ましくはデルタ−9−シス−ヘキサデカノール、デルタ−9−シス−オクタデカノール、トランス−9−オクタデカノールおよびシス−デルタ−11−オクタデカノールから選択されたアルコールから誘導されたものである。
【0015】
さらに、上記の式(I)で表されるリン酸トリエステルにおける基(OA、(OAおよび(OAは、それぞれCHCHO単位およびCO単位で構成されることが好ましく、その場合、CHCHO単位およびCO単位は個々の基(OA、(OAおよび(OAの内部でブロック状に、またはランダム状に分布して配置されることができ、上記の基は、それぞれ51〜199、好ましくは55〜150、特に好ましくは60〜100個のCHCHO単位および1〜20、好ましくは1〜10、特に好ましくは2〜5個のCO単位を含む。
【0016】
上記の式(I)で表されるリン酸トリエステルは、リン酸またはリン酸誘導体をアルコキシル化脂肪族アルコールと反応させることにより好ましく製造することができ、その場合、アルコキシル化脂肪族アルコールは少なくとも51個のアルコキシ基を担持している。
【0017】
上記の式(I)で表されるリン酸エステルの製造は、リン酸、あるいはオルトリン酸、テトラリンデカオキシド、ポリリン酸、オキシ塩化リンまたは五塩化リンから選択されたリン酸誘導体と脂肪族アルコールアルコキシレートを、150〜250℃の温度で、好ましくは180〜240℃、特に好ましくは200〜230℃で反応させることによってとりわけ好ましく行われる。
【0018】
上記の式(I)で表されるリン酸エステルの製造は、オルトリン酸、ポリリン酸またはテトラリンデカオキシド、特に好ましくは、オルトリン酸と脂肪族アルコールアルコキシレートを反応させることによって特に好ましく行われる。この方法の実施形態によれば、塩素を含まない、上記の式(I)で表されるリン酸トリエステルが得られる。これは得られたリン酸トリエステルが塩素不純物を全く含まないことを意味している。
【0019】
本発明のさらなる好ましい一実施形態では、上記の式(I)で表されるリン酸エステルは塩素を含まない。
【0020】
上記の式(I)で表されるリン酸トリエステルは、別のリン酸エステルと一緒に混合物として有利に存在させることもできる。
【0021】
したがって、上記の式(I)で表されるリン酸トリエステルを一種または複数種と、次式(II)で表されるリン酸エステルを一種または複数種を含む混合物は、本発明のさらなる対象である。
【0022】
【化2】

【0023】
(式中、
は、6〜30個、好ましくは8〜22個、特に好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状の飽和アルキル基、6〜30個、好ましくは8〜22個、特に好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状の一価もしくは多価不飽和アルケニル基、またはアリール基、特に、互いに独立して、それぞれ3〜18個、好ましくは4〜12個の炭素原子を有する1〜3個の分枝状アルキル基で置換されることができるフェニル基を表し、
は、H、Li、Na、K、Mg++、Ca++、Al+++、NH、または第4アンモニウムイオン[HNR(式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素、1〜22個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、2〜22個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状の一価もしくは多価不飽和アルケニル基、2〜10個の炭素原子を有する直鎖状のモノヒドロキシアルキル基、好ましくはモノヒドロキシエチル基もしくはモノヒドロキシプロピル基、または3〜10個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のジヒドロキシアルキル基を意味する。)を表し、
は、RまたはRと同じ意味を有し、
上記の個々の基(OAおよび(AO)は、互いに独立して、それぞれCHCHO、COおよびCOから選択された単位から成り、その際、該単位CHCHO、COおよびCOは、上記の個々の基(OAおよび(AO)の内部でブロック状に、またはランダム状に分布して配置されることができ、
xは、51〜200、好ましくは55〜150、特に好ましくは60〜100の数を表し、
wは、0、または51〜200、好ましくは55〜150、特に好ましくは60〜100の数を表す。)
【0024】
本発明による好ましい混合物は、上記の式(I)の化合物と上記の式(II)の化合物とから成る。
【0025】
上記の式(I)および上記の式(II)で表されるリン酸エステルを含む、本発明による混合物において、上記の式(I)で表されるリン酸トリエステルの量は、上記の式(I)および上記の式(II)で表されるリン酸エステルの総重量に基づいて、好ましくは80.0重量%超、より好ましくは82.0〜95.0重量%、特に好ましくは85.0〜89.0重量%である。
【0026】
上記の式(II)に従うリン酸エステルにおいてエステル化されていないリンの原子価(P−OH)の中和度は、0〜100%の値を取ることができる。
【0027】
リン原子の残余の自由な原子価は酸基であることができるが、Li、Na、K、Mg++、Ca++、Al+++、NH、第4アンモニウムイオン[HNR(式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素、1〜22個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、2〜22個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状の一価もしくは多価不飽和アルケニル基、2〜10個の炭素原子を有する直鎖状のモノヒドロキシアルキル基、好ましくはモノヒドロキシエチル基もしくはモノヒドロキシプロピル基、並びに3〜10個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のジヒドロキシアルキル基であることができる。)から選択された対イオンであることもできる。
【0028】
本発明のさらに好ましい一実施形態では、上記の式(II)に従うリン酸エステルは0〜20.0%の中和度で中和されている。
【0029】
本発明の別の好ましい一実施形態では、上記の式(II)に従うリン酸エステルは20.1〜100%の中和度で中和されている。
【0030】
本発明による混合物は、上記の式(II)のリン酸エステルのうち、RはRと同じで、wが0を表すものを一種または複数種含むことができる。これらの化合物としては、モノリン酸エステルが挙げられる。本発明による混合物中において、これらの化合物は、上記の式(I)および上記の式(II)に従うリン酸エステルの総重量に基づいて、好ましくは<3.0重量%、より好ましくは<1.0重量%、特に好ましくは<0.1重量%の量で存在する。上記の式(II)のモノリン酸エステルにおいて、RとRは同一または異なることができる。
【0031】
本発明のさらに好ましい一実施形態においては、本発明による混合物が、式(II)で表され、そのうち、式中のRがRと同じ意味を有し、wが51〜200、好ましくは55〜150、特に好ましくは60〜100の数を表すリン酸エステルを一種または複数種を含む。これらの化合物としてはピロリン酸エステルが挙げられる。本発明による混合物において、上記の式(I)および上記の式(II)で表されるリン酸エステルの総重量に基づいて、これらの化合物は好ましくは5.0〜18.0重量%、より好ましくは10.0〜17.0重量%、特に好ましくは11.0〜15.0重量%の量で存在する。上記の式(II)のピロリン酸エステルにおいて、残基RとRは同一または異なることができる。
【0032】
上記の式(I)のリン酸エステルと上記の式(II)のリン酸エステルの混合物の製造は、リン酸、あるいはオルトリン酸、五酸化ニリンおよびポリリン酸から選択されたリン酸誘導体と脂肪族アルコールとの反応、特に好ましくは、オルトリン酸と脂肪族アルコールアルコキシレートを150〜250℃、好ましくは180〜240℃、特に好ましくは200〜230℃の温度で反応させることによって行う。
【0033】
この方法によれば、上記の式(I)のリン酸エステルと上記の式(II)のリン酸エステルの、塩素を含まない混合物が得られる。特にこれは、上記の式(I)および上記の式(II)で表されるこれらのリン酸エステルが塩素不純物を全く含まないことを意味する。
【0034】
さらに、上記の式(I)および上記の式(II)で表われるリン酸エステルを含む本発明による好ましい混合物は塩素を含まない。
【0035】
次の例および作業手順は、本発明をより詳しく説明するためのものであり、本発明をそれらに限定するものではない。パーセント表示はいずれも重量%(wt.%)である。
【実施例】
【0036】
製造例、一般的な作業手順
本発明によるリン酸エステルの製造の場合、リン酸(85%濃度)と、エトキシ化脂肪族アルコールを所定のモル比で使用する。そのために、全ての反応物(Edukte)を加熱マントル(Heizpilz)、冷縮器付き分離器(Auskreiser)および真空接続部を備えた撹拌装置に提供する。混合物を100℃に加熱し、100ミリバールまで3回排出し、続いて窒素を通気して元通りにする。100℃でさらに4時間、不活性化処理(20リットル/時の窒素導入)した後に、バッチ(Ansatz)を窒素導入下で230℃に加熱してエステル化する(水の排出)。反応時間は24〜42時間(230℃のエステル化温度から計算)、特に40時間である。そのときの残りの酸価は<3mgKOH/gである。これは、約93〜96%の転化率(開始時の酸価に関する)に相当する。反応終了後に、生成物を80℃に冷却し、シャーレに注ぎ出し、そして凝固した溶融物を細かく砕く。
【0037】
例1
リン酸11.4gとセテアレス(Ceteareth)−80(C16/18の脂肪族アルコール+エチレンオキシド80モル)935.1g(モル比1:3)のエステル、残りの酸価:0.8mgKOH/g(転化率96%)、31P−NMR:ジエステル/トリエステル=15/85モル%。これは、融点約40℃の白ろうである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(I)で表されるリン酸トリエステル。
【化1】

(式中、
、RおよびRは、同一または異なることができ、6〜30個、好ましくは8〜22個、特に好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状の飽和アルキル基、6〜30個、好ましくは8〜22個、特に好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状の一価もしくは多価不飽和アルケニル基、またはアリール基、特に、互いに独立して、それぞれが3〜18個、好ましくは4〜12個の炭素原子を含む1〜3個の分枝状アルキル基で置換されることができるフェニル基を表し、
個々の基(OA、(AO)および(AO)は、互いに独立して、それぞれCHCHO、COおよびCOから選択された単位から成り、その際、該単位CHCHO、COまたはCOは、個々の基(OA、(AO)および(AO)の内部でブロック状に、またはランダム状に分布して配置されることができ、
x、yおよびzは、互いに独立して、それぞれ51〜200、好ましくは55〜150、特に好ましくは60〜100の数を意味する。)
【請求項2】
前記残基R、RおよびRが、同一または異なることができ、6〜30個、好ましくは8〜22個、特に好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状の飽和アルキル基、または6〜30個、好ましくは8〜22個、特に好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状の一価もしくは多価不飽和アルケニル基を表すことを特徴とする、請求項1に記載のリン酸トリエステル。
【請求項3】
単位OA、OAおよびOAが、CHCHOを意味することを特徴とする、請求項1または2に記載のリン酸トリエステル。
【請求項4】
残基R−(OA、R−(OAおよびR−(OAが、51〜200EO単位(EO=CHCHO)、好ましくは55〜150EO単位、特に好ましくは60〜100EO単位をもつエトキシ化脂肪族アルコールから選択されたエトキシ化脂肪族アルコールから誘導されたものであり、その時、脂肪族アルコール残基RO−、RO−およびRO−が、それぞれオクタノール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、ベヘニルアルコール、8〜22個のC鎖部分をもつ脂肪族アルコール、好ましくはC10/C12の脂肪族アルコール、C12/C14の脂肪族アルコール、C12/C15の脂肪族アルコールおよびC16/C18の脂肪族アルコール、特に好ましくは80個のエチレンオキシド単位を有するC16/C18のエトキシ化脂肪族アルコール、分枝状の脂肪族アルコール、好ましくはゲルベアルコール類、および一価の不飽和脂肪族アルコール、好ましくはデルタ−9−シス−ヘキサデカノール、デルタ−9−シス−オクタデカノール、トランス−9−オクタデカノールおよびシス−デルタ−11−オクタデカノールから選択されたアルコールから誘導されたものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載のリン酸トリエステル。
【請求項5】
前記基(OA、(OAおよび(OAが、それぞれCHCHO単位およびCO単位から構成されており、その時、該CHCHO単位およびCO単位は、個々の基(OA、(OA)および(OA)の内部でブロック状に、またはランダム状に分布して配置されることができ、そしてそれぞれが51〜199個、好ましくは55〜150個、特に好ましくは60〜100個のCHCHO単位および1〜20個、好ましくは1〜10個、特に好ましくは2〜5個のCO単位を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のリン酸トリエステル。
【請求項6】
塩素を含まないことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のリン酸トリエステル。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の上記の式(I)で表されるリン酸トリエステルを一種または複数種と、次式(II)で表されるリン酸エステルを一種または複数種を含む混合物。
【化2】

(式中、
は、6〜30個、好ましくは8〜22個、特に好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状の飽和アルキル基、6〜30個、好ましくは8〜22個、特に好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状の一価もしくは多価不飽和アルケニル基、またはアリール基、特に、互いに独立して、それぞれ3〜18個、好ましくは4〜12個の炭素原子を有する1〜3個の分枝状アルキル基で置換されることができるフェニル基を表し、
は、H、Li、Na、K、Mg++、Ca++、Al+++、NH、または第4アンモニウムイオン[HNR(式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素、1〜22個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、2〜22個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状の一価もしくは多価不飽和アルケニル基、2〜10個の炭素原子を有する直鎖状のモノヒドロキシアルキル基、好ましくはモノヒドロキシエチル基もしくはモノヒドロキシプロピル基、または3〜10個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のジヒドロキシアルキル基を意味する。)を表し、
は、RまたはRと同じ意味を有し、
上記の個々の基(OAおよび(AO)は、互いに独立して、それぞれCHCHO、COおよびCOから選択された単位から成り、その際、該単位CHCHO、COおよびCOは、上記の個々の基(OAおよび(AO)の内部でブロック状に、またはランダム状に分布して配置されることができ、
xは、51〜200、好ましくは55〜150、特に好ましくは60〜100の数を表し、
wは、0、または51〜200、好ましくは55〜150、特に好ましくは60〜100の数を表す。)
【請求項8】
前記式(I)の化合物と前記式(II)の化合物とから成ることを特徴とする、請求項7に記載の混合物。
【請求項9】
前記式(I)で表されるリン酸トリエステルの量が、前記式(I)および前記式(II)で表されるリン酸エステルの総重量に基づいて、80.0重量%超、好ましくは82.0〜95.0重量%、特に好ましくは85.0〜89.0重量%であることを特徴とする、請求項7または8に記載の混合物。
【請求項10】
前記式(II)で表され、そのうち、式中のRがRと同じ意味を有し、そしてwが51〜200、好ましくは55〜150、特に好ましくは60〜100の数を表すリン酸エステルを一種または複数種含み、これらが、前記式(I)および前記式(II)で表されるリン酸エステルの総重量に基づいて、5.0〜18.0重量%、好ましくは10.0〜17.0重量%、特に好ましくは11.0〜15.0重量%の量で存在することを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項11】
塩素を含まないことを特徴とする、請求項7〜10のいずれか一項に記載の混合物。

【公表番号】特表2010−535255(P2010−535255A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518555(P2010−518555)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/006221
【国際公開番号】WO2009/015859
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】