説明

高ジルコニア含有量を有する耐火製品

本発明は、酸化物に基づく重量百分率で酸化物の合計100%に対して、
ZrO+HfO:100%までの補完分、
4.0%<SiO<6.5%
Al≦0.75%
0.2%<B<1.5%
0.3%<Ta
Nb+Ta<1.4%
NaO+KO<0.2%
BaO<0.2%
<0.15%
Fe+TiO<0.55%
他の酸化物種:<1.5%
を含む溶融鋳造耐火製品であって、Al/Bの重量含有量の比A/Bが1.50未満である、溶融鋳造耐火製品に関する。本発明は、ガラス溶解炉内で使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高ジルコニア含有量を有する新規の溶融鋳造耐火製品に関する。
【背景技術】
【0002】
耐火製品の中でも、ガラス溶解炉の構造用として周知の溶融鋳造製品と焼結製品が区別される。
【0003】
焼結製品とは対照的に、溶融鋳造製品は、結晶粒を結合する粒間ガラス相を含むことが多い。したがって、焼結製品と溶融鋳造製品が提起する問題およびそれらを解決するために採用される技術的解決法は、一般に異なるものである。したがって、焼結製品を製造するために開発された組成物は、先験的にそのままの状態では、溶融鋳造製品を製造するために使用できず、その逆の場合も同様である。
【0004】
多くの場合電鋳製品と呼ばれる溶融鋳造製品は、電気アーク炉内で適切な原料の混合物を溶解させることによってかまたはこれらの製品に適したあらゆる他の技術により得られる。次に、溶解材料は金型内に鋳込まれ、得られた製品は、亀裂を発生させずに室温に到達するような形で制御型冷却サイクルに付される。この作業を当業者は「アニーリング」と呼ぶ。
【0005】
溶融鋳造製品の中でも、高ジルコニア含有量を有する、すなわち85重量%超のジルコニア(ZrO)を有する電鋳製品は、生産されたガラスを変色させることなく、かつ欠陥を発生させることなく、その非常に高い耐食性の品質がよく知られている。
【0006】
従来、高ジルコニア含有量を有する溶融鋳造製品は同様に、製品中に存在するジルコニアおよびシリカからのジルコンの形成を防止するため、酸化ナトリウム(NaO)を含んでいる。ジルコンの形成は、およそ20%の体積減少を伴い、それにより亀裂の原因となる機械的応力を生成するため実際に有害である。
【0007】
Saint−Gobain SEFPROにより製造販売され、欧州特許第403387B号明細書により網羅されている製品ER−1195は、現在ガラス溶解炉において広く使用されている。その化学的組成は、約94%のジルコニア、4〜5%のシリカ、約1%のアルミナ、0.3%の酸化ナトリウムそして0.05重量%未満のPを含む。それは、ガラス炉のために使用される高ジルコニア含有量を有する製品の代表的なものである。
【0008】
仏国特許第2701022号明細書には、0.05〜1.0重量%のPと0.05〜1.0重量%の酸化ホウ素Bを含む高ジルコニア含有量を有する溶融鋳造製品が記載されている。これらの製品は、高い電気抵抗率を有する。有利には、これにより、ガラスの電気的溶解中の電力消費量を安定化することそして特に耐火製品内で短絡を発生させその急速な劣化をもたらすあらゆる問題を回避することが可能となる。実際、ガラスの電気的溶解中、電流の一部分が耐火製品を通過する。したがって、これらの耐火製品の抵抗率の増加により、それらの中を通過できる電流の量を低減させることが可能である。
【0009】
国際公開第2009027610号パンフレットには、6〜12%のシリカ含有量についてNbおよびTaから選択される少なくとも1つの酸化物の存在下で高い電気抵抗率を有する高ジルコニア含有量の溶融鋳造製品が記載されている。
【0010】
国際公開第2007099253号パンフレットには、CrO、Nb、MoO、TaおよびWOから選択される少なくとも1つの酸化物の存在下で高い電気抵抗率を有する高ジルコニア含有量の溶融鋳造製品が記載されている。これらの製品は、0.1〜2.4%のアルミナ含有量に対して、1.5重量%未満のBを含む。
【0011】
国際公開第2005068393号パンフレットには、BaO、SrO、MgO、CaO、P、NaOおよびKOの含有量を最小限におさえながら高い電気抵抗率を有する高ジルコニア含有量の溶融鋳造製品が記載されている。これらの製品は、0.1〜1.2重量%のBと0.8%〜2.5%のアルミナを含む。この文献は、TaまたはBの添加を示唆していない。
【0012】
特開昭63−285173号公報には、6.5%未満のシリカ含有量について優れた電気抵抗率と亀裂耐性を有する高ジルコニア含有量の溶融鋳造製品が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
非常に高品質のガラス、特にLCDタイプのフラットスクリーン用のガラスにおける最近の開発により、ガラス溶解炉の耐火製品に対する要求が高まっている。詳細には、ガラスによる腐食に対する優れた耐性を有しながら、改善された電気抵抗率を伴う耐火製品に対するニーズが存在する。
【0014】
本発明は、このニーズを満たすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
より詳細には、本発明は、
酸化物に基づく重量百分率で酸化物の合計100%に対して、
ZrO+HfO:100%までの補完分
4.0%<SiO<6.5%
Al≦0.75%
0.2%<B<1.5%
0.3%<Ta<1.5%
Nb<1.5%、好ましくはTa+Nb<1.4%;
NaO+KO<0.2%
BaO<0.2%
<0.15%
Fe+TiO<0.55%
他の酸化物種:<1.5%
を含む溶融鋳造耐火製品であって、Al/Bの重量含有量の比A/Bが1.50未満である、溶融鋳造耐火製品に関する。
【0016】
以下でわかるように、意外にも発明人らは、この組成により本発明に係る耐火製品は、6.5%未満のシリカ含有量について優れた電気抵抗率を有することができ、優れた耐食性およびNbおよびTaの低い含有量の維持を可能にし、とりわけコストを制限できるようにする、ということを見出した。
【0017】
このとき、本発明に係る耐火製品はさらに、以下の任意の特徴の1つ以上を含むことができる:
− Al/Bの重量含有量の比A/Bは、1.40以下、好ましくは1.30未満、さらには1.20未満、さらには1.10未満である。
− Al/Bの重量含有量の比A/Bは、0.10超、さらには0.20超、さらには0.30超である。
− ZrO+HfOの重量含有量の比は95.5%未満、さらには95.0%未満、さらには94.0%未満、かつ/または87.0%超、90.0%超、91.0%超、さらには92.0%超である。
− Al/SiO比は0.20未満、好ましくは0.15未満、好ましくは0.13未満、好ましくは0.10未満である。
− シリカSiOの重量含有量は6.3%未満、6.0%未満、さらには5.8%未満または5.6%未満である。
− シリカSiOの重量含有量は、4.2%超、さらには4.5%超、さらには4.8%超、さらには5.0%超、または5.2%超である。
− アルミナAlの重量含有量は0.7%未満、0.6%未満、さらには0.55%未満、さらには0.5%未満である。
− アルミナAlは不純物としてのみ存在する。
− Alの重量含有量は0.2%超、さらには0.25%超である。
− Bの重量含有量は0.25%超、0.30%超、0.35%超、さらには0.4%超である。
− Bの重量含有量は1.2%未満、さらには1.0%未満、さらには0.80%未満、0.7%未満、0.6%未満、さらには0.55%未満である。
− Nb+Taの合計重量含有量は0.4%超、好ましくは0.5%超、好ましくは0.6%超および/または1.3%未満、さらには1.2%未満である。
− Taの重量含有量は0.4%超、好ましくは0.5%超、好ましくは0.6%超および/または1.4%未満、さらには1.3%未満、さらには1.2%未満である。
− Nbの重量含有量は1.0%未満、0.6%未満、さらには0.40%未満である。
− ZrO/(Nb+Ta)の重量比は50超、80超および/または200未満、150未満である。
− (NaO+KO)の重量含有量は、0.1%未満、さらには0.05%未満である。
− Pの重量含有量は0.05%未満である。
− 鉄および/または、チタンおよび/またはカルシウムおよび/またはストロンチウムおよび/またはバリウムおよび/またはマグネシウムおよび/または亜鉛および/またはリンの酸化物は、不純物としてのみ存在する。
− 鉄および/またはチタンの酸化物の重量含有量Fe+TiOは0.4%未満、好ましくは0.3%未満、好ましくは0.2%未満である。
− カルシウムおよび/またはストロンチウムおよび/またはバリウムおよび/またはマグネシウムおよび/または亜鉛の酸化物の重量含有量は0.15%未満、好ましくは0.1%未満である。
− カルシウムおよび/またはストロンチウムおよび/またはバリウムおよび/またはマグネシウムおよび/または亜鉛の酸化物の合計重量含有量CaO+SrO+BaO+MgO+ZnOは0.3%未満、好ましくは0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満である。
− 「他の酸化物種」の合計重量含有量は1.0%未満、0.6%未満、0.5%未満、さらには0.3%未満である。
− 「他の酸化物種」は、不純物のみで構成され、「他の酸化物種」の合計重量含有量は、0.6%未満、0.5%未満、さらには0.3%未満である。
− 酸化イットリウムYの重量含有量は、1%未満、好ましくは0.5%未満、より好ましくは0.4%未満、さらには0.3%未満、さらには0.25%未満である。一実施形態においては、Y<0.15%、さらにはY<0.05%であるか、またはYの含有量はゼロである。
【0018】
特定の一実施形態によると、本発明は、酸化物に基づく重量百分率で、
92.0%<ZrO+HfO<94.7%
4.5%<SiO<6.5%
Al<0.7%
0.3%<B<0.6%
0.5%<Ta<1.4%
NaO+KO<0.05%
CaO+SrO+MgO+ZnO+BaO<0.2%
(ZrO、HfO、SiO、Al、B、Ta、NaO、KO、CaO、SrO、MgO、ZnOおよびBaO以外の)他の酸化物種;100%までの補完分、
を含み、Al/Bの重量含有量の比A/Bが1.2以下である、溶融鋳造耐火製品を提供する。
【0019】
好ましくは、他の酸化物種は、2.5%未満、2.0%未満、1.5%未満、1.0%未満、0.5%未満、さらには0.3%未満を占める。
【0020】
本発明は同様に、本発明に係る耐火製品の製造方法であって、
a)原料を混合して出発投入物を形成するステップと;
b)溶解材料が得られるまで前記出発投入物を溶解させるステップと;
c)冷却により前記溶解材料を鋳造・固化して、耐火製品を得るステップと;
を含む方法であって、前記原料は前記耐火製品が本発明に係るものとなるように選択されることを特徴とする方法にも関する。
【0021】
好ましくは、含有量を最少とすることが必要とされる酸化物、とりわけZrO、SiO、B、Taまたはこれらの酸化物の前駆物質は、計画的にかつ系統的に添加される。詳細には、Yは添加されない。好ましくは、他の酸化物の供給源中のこれらの酸化物の含有量は(この供給源においてこれらの酸化物が従来不純物とみなされている場合)考慮に入れられる。
【0022】
好ましくは、冷却ステップは、一時間あたり20℃未満の速度、好ましくは、一時間あたり約10℃の速度で実施されるように制御される。
【0023】
本発明は同様に、特に溶解ガラスと接触するように意図されている領域において、本発明に係る耐火製品、または本発明に係る方法によって製造されたまたは製造可能である耐火製品を含むガラス溶解炉にも関する。本発明に係る炉内では、耐火製品は有利には、それが1200℃超の温度で溶解ガラスと接触し得る、溶解とりわけ電気溶解によってガラスを製造するための槽の一部を形成することができる。
【0024】
定義
酸化物の重量含有量とは、業界で一般的な慣例にしたがって、最も安定した酸化物の形で表現された対応する化学元素の各々についての合計含有量を意味する。したがって、これには、上述の元素の亜酸化物そして任意には窒化物、オキシ窒化物、炭化物、オキシ炭化物、炭窒化物さらには上述の元素の金属種が含まれる。
【0025】
「溶解材料」とは、その形状を保つために容器内に収納する必要のある液体質量である。それは、幾分か固体粒子を含み得るが、その量は前記質量を構造化できるには不充分なものである。
【0026】
「不純物」とは、原料と共に非意図的にかつ必然的に導入されたかまたはそれらとの反応から結果として生じる不可避的構成成分を意味する。不純物は必要な構成成分ではなく、単に許容されるものである。例えば、鉄、チタン、バナジウムおよびクロムの酸化物、窒化物、オキシ窒化物、炭化物、オキシ炭化物、炭窒化物および金属種の群の中に含まれる化合物は、不純物である。
【0027】
別段の指定のないかぎり、記述され請求されている製品中の酸化物の含有量は全て、酸化物に基づく重量百分率である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る溶融鋳造製品においては、高いジルコニアZrO含有量により、生産されたガラスの変色なく、かつ前記ガラスの品質を損うことなく高い耐食性要件を満たすことが可能になっている。
【0029】
溶解によって得られた製品においては、HfOはZrOから化学的に解離され得ない。したがって、このような製品の化学的組成において、ZrO+HfOはこれら2つの酸化物の合計含有量を表わす。しかしながら、本発明によると、HfOは、出発投入物中に意図的に添加されない。したがってHfOは、微量の酸化ハフニウムのみを表わし、この酸化物は、ジルコニア供給源中に一般的に2%未満の含有量で天然に必ず存在する。したがって、明確さを期して、ジルコニアおよび微量の酸化ハフニウムの含有量を、ZrO+HfOまたはZrOによって、あるいは「ジルコニア含有量」のいずれかによって表示することができる。
【0030】
本発明に係る製品中の酸化ハフニウムHfOの含有量は、5%未満、一般に2%未満である。
【0031】
シリカSiOの存在は、とりわけ、可逆的同素変態中すなわち単斜相から正方相への遷移中のジルコニアの体積変化に有効に対応できる粒間ガラス相の形成を可能にする。
【0032】
しかしながら、高い耐食性を得るためにはシリカの添加を制限しなければならない。その上、シリカ含有量が過度に高い場合、石(製品の凝集損失の結果としてもたらされる耐火製品の断片)の脱離を介してガラス内に欠陥をひき起こすと考えられ、これは、応用時における不良な性質であるとみなされる。
【0033】
アルミナの存在は、安定したガラス相の形成を促進し、金型内の製品の鋳造性を改善する。過度の含有量は、ガラス相に不安定性(結晶形成)を導き、これは、特に酸化ホウ素の存在下で、実現可能性に対し不利な効果を及ぼす。したがって、アルミナの重量含有量は制限された状態にとどめなくてはならない。
【0034】
Al/Bの重量含有量の比A/Bが1.50未満となる割合でBの重量含有量が存在することにより、電気抵抗率を増大させることが可能となる。
【0035】
酸化物TaおよびNbは、電気抵抗率に対し有利な効果を有する。Taの重量含有量は、詳細には0.3%超でなければならない。
【0036】
本発明に係る製品において、酸化物NaOおよびKOは類似の効果を有するとみなされる。
【0037】
酸化物NaOおよびKOは、電気抵抗率に対する不利な影響を有する。したがって、NaO+KOの重量含有量は0.2%未満でなければならない。
【0038】
本発明によると、Fe+TiOの重量含有量は、0.55%未満であり、Pの重量含有量は0.15%未満、好ましくは0.10%未満、より好ましくは0.05%未満である。実際、これらの酸化物は、有害であることがわかっており、その含有量は好ましくは、原料と共に不純物として導入される微量に制限されなければならない。
【0039】
別段の指定のないかぎり、「他の酸化物種」は、以上で列挙されていない種、すなわちZrO、HfO、SiO、Al、B、Ta、Nb、NaO、KO、BaO、P、FeおよびTiO以外の種である。一実施形態において、「他の酸化物種」は、その存在が特に所望されず、一般に原料内に不純物として存在する種に限定される。
【0040】
従来、溶融鋳造製品において、酸化物は、製品の質量の98.5%超、99%超、さらにはおおよそ100%を占める。本発明に係る製品においても、それは同じである。
【0041】
本発明に係る製品は、以下に記述されたステップa)〜c)にしたがって従来通りに製造可能である:
a)原料を混合して出発投入物を形成するステップ;
b)溶解材料が得られるまで前記出発投入物を溶解させるステップ;
c)冷却により前記溶解材料を固化して、本発明に係る耐火製品を得るステップ。
【0042】
ステップa)において、原料は、最終製品中の酸化物の含有量を保証するように選択される。
【0043】
ステップb)において、溶解は好ましくは、還元をひき起こさないかなり長い電気アークと、製品の再酸化を促進する混合ステップの組合せ作用を通して行われる。
【0044】
金属の外観をもつ結節の形成を最小限に抑え、最終製品内の亀裂形成またはひび割れを防ぐためには、酸化条件下で溶解を実施することが好ましい。
【0045】
仏国特許第1208577号明細書およびその追加物第75893号および第82310号に記述されている長アーク溶解プロセスが好ましくは使用される。
【0046】
このプロセスは、投入物とこの投入物から一定の距離をおいた少なくとも1つの電極との間でそのアークストライクが行なわれるアーク炉を使用するステップと;アーク自体の作用によってか、または酸化性ガス(空気または酸素など)を浴中で泡立てることによってか、または過酸化物または窒化物などの酸素を放出する物質を浴に添加することによってかのいずれかにより、溶解浴の上に酸化性雰囲気を維持し前記浴を混合する一方で、還元作用が最小限におさえられるように、アークの長さを調整するステップとで構成される。
【0047】
溶解は詳細には2300℃超の温度、好ましくは2400℃〜2500℃の温度で行なうことができる。
【0048】
ステップc)において、冷却は、一時間あたり20℃未満の速度で、好ましくは一時間あたり約10℃の速度で実施される。
【0049】
このようにして製造された本発明の製品は、ガラス相により取り囲まれたジルコニアの結晶粒からなる。ジルコニアは、重量百分率で80%超、90%超、99%超またはおおよそ100%まで単斜晶系であり得る。ガラス相は例えば、このガラス相に基づいた重量百分率で、50%超、さらには70%超のシリカ、5%〜20%のBそして1%〜20%のアルミナを含むことができる。シリカ、Bおよびアルミナは、ガラス相の重量の95%超、97%超、さらにはおおよそ100%を占めることができる。
【0050】
出発投入物の組成により、本発明に係る製品のものに準じた組成を有する製品を得ることができるということを条件として、ガラス溶解炉における利用分野のために意図されたジルコニアに基づいた溶融製品を製造する従来の任意の方法を使用することができる。
【実施例】
【0051】
本発明を例示する目的で、以下の非限定的実施例を示す。
【0052】
これらの実施例においては、以下の原料を使用した:
− 主として、重量平均で98.5%のZrO+HfO、0.2%のSiOおよび0.02%のNaOを含むジルコニア、
− 33%のシリカのジルコンサンド、
− 99%超の純度の酸化ホウ素、
− 99%超の純度の酸化ニオブおよび酸化タンタル。
【0053】
従来のアーク炉溶解プロセスにより原料を溶解させ、その後溶解材料を鋳込んで220mm×450mm×150mmの寸法を有するブロックを得た。
【0054】
実施例1はSaint−Gobain SEFPROにより市販されている製品ER1195に対応し、基準を構成する。
【0055】
得られた全ての製品について、結晶学的解析は、70%超のシリカを典型的に有するガラス相でとり囲まれた単斜晶系ジルコニアの結晶を明らかにしている。ジルコニアを除き全てのシリカならびに他の酸化物種がガラス相内にある。
【0056】
得られた製品の化学分析が表1に示されている。これは、重量百分率で示された平均的な包括化学分析(average overall chemical analysis)である。
【0057】
下表1では、はその実施例が本発明以外のものであることを示しており、空欄は、0.05重量%以下の含有量に対応している。
【0058】
直径30mm高さ30mmの製品の筒形棒を、生産したブロックのさまざまな実施例から抽出した。これらの棒を、それぞれ電気抵抗率「R1500」および「R1600」を測定するため、それぞれ1500℃または1600℃で100Hertzの周波数で、1ボルトの電位差に付した。
【0059】
【表1】

【0060】
結果は、試験対象の本発明の製品が電気抵抗率を改善したことを示している。
【0061】
実施例5*(または6*)そして次に13*と実施例7を比較しその後、実施例5*(または6*)次に13*と実施例8とを比較することで、おおよそ一定のシリカ含有量でかつおおよそ同一の合計ドーパント含有量で、比A/Bの減少に極めてプラスの効果が示されている。同じことは、実施例4*と実施例12とを比較した場合にもあてはまる。
【0062】
実施例7と8は、おおよそ一定のシリカ含有量における1.44〜1.04の比A/Bの減少のきわめてプラスの効果およびドーパントとのその相乗効果を実証している。
【0063】
実施例8と9または実施例9と10の比較は、B、AlおよびTaの含有量の減少に関わらず、比A/Bが維持された場合性能を維持できるということを示している。
【0064】
最後に、測定値は、本発明の製品の溶解ガラスに対する耐食性が、基準例1*のものと等価であることを示した。
【0065】
当然のことながら、本発明は実施例中の実施形態に限定されるわけではなく、これらは例示を目的として示されたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物に基づく重量百分率で前記酸化物の合計100%に対して、
ZrO+HfO:100%までの補完分
4.0%<SiO<6.5%
Al≦0.75%
0.2%<B<1.5%
0.3%<Ta
Nb+Ta<1.4%
NaO+KO<0.2%
BaO<0.2%
<0.15%
Fe+TiO<0.55%
他の酸化物種:<1.5%
を含む溶融鋳造耐火製品であって、Al/Bの重量含有量の比A/Bが1.50未満である、溶融鋳造耐火製品。
【請求項2】
前記比A/Bが1.40未満である、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記比A/Bが1.30未満である、請求項2に記載の製品。
【請求項4】
前記比A/Bが1.20未満である、請求項3に記載の製品。
【請求項5】
Nb+Ta>0.5%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製品。
【請求項6】
Nb+Ta<1.2%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製品。
【請求項7】
シリカSiOの重量含有量が6.0%未満である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製品。
【請求項8】
シリカSiOの重量含有量が4.5%超である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製品。
【請求項9】
シリカSiOの重量含有量が4.8%超である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製品。
【請求項10】
の重量含有量が1.0%未満である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製品。
【請求項11】
の重量含有量が0.80%未満である、請求項10に記載の製品。
【請求項12】
Alの重量含有量が0.7%未満である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製品。
【請求項13】
Alの重量含有量が0.6%未満である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の製品。
【請求項14】
Alの重量含有量が0.55%未満である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の製品。
【請求項15】
NaO+KOの重量含有量が0.1%未満である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の製品。
【請求項16】
NaO+KOの重量含有量が0.05%未満である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の製品。
【請求項17】
前記酸化物に基づく重量百分率で、
92.0%<ZrO+HfO<94.7%
4.5%<SiO<6.5%
Al<0.7%
0.3%<B<0.6%
0.5%<Ta
Nb+Ta<1.4%
NaO+KO<0.05%
CaO+SrO+MgO+ZnO+BaO<0.2%
ZrO、HfO、SiO、Al、B、Ta、NaO、KO、CaO、SrO、MgO、ZnOおよびBaO以外の酸化物種;100%までの補完分、
を含み、Al/Bの重量含有量の比A/Bが1.2以下である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の製品。
【請求項18】
の重量含有量が0.25%未満である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の製品。
【請求項19】
鉄および/またはチタンの酸化物の重量含有量Fe+TiOが0.4%未満であり、Pの重量含有量が0.05%未満であり、カルシウムおよび/またはストロンチウムおよび/またはバリウムおよび/またはマグネシウムおよび/または亜鉛の酸化物の合計重量含有量CaO+SrO+BaO+MgO+ZnOが0.3%未満であり、他の酸化物種の合計重量含有量が0.6%未満である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の製品。
【請求項20】
溶解ガラスと接触するよう意図された領域内に請求項1〜19のいずれか一項に記載の製品を含むガラス溶解炉。

【公表番号】特表2013−518027(P2013−518027A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550553(P2012−550553)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050389
【国際公開番号】WO2011/092658
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(511104875)
【Fターム(参考)】