説明

高凝集性感圧接着剤の製造方法

【課題】
溶剤も熱可塑性添加物も使用せずそしてそれでも配合の間に熱分解が少ないままである、エラストマーを基礎とする高凝集性非熱可塑性感圧接着剤の製造方法の提供。
【解決手段】
この課題は、各成分の予備混合の後に接着剤中に導入されそしてそこにおいて衝撃的に蒸発させ、それによって接着剤を急冷する蒸発可能な加工助剤の添加によって達成される。更に接着剤の冷却のために水を用いることを提案しそしてこうして製造された高凝集性感圧接着剤並びにこの種類の接着剤を持つ感圧接着テープを提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一の混合段階で、少なくとも1種類のエラストマーを含む感圧接着剤の成分を第一の混合装置によって該第一の混合装置の第一の装置温度で混合して予備混合物を得そして第二の混合段階において予備混合物の成分を第二の混合装置によって該第二の混合装置の第二の混合温度で均一に混合することによって、高凝集性の非熱可塑性感圧接着剤を製造する方法に関する。更に本発明はこの方法で製造できる高凝集性感圧接着剤並びにこの種類の感圧接着剤を持つ粘着性の二次元要素にも関する。
【背景技術】
【0002】
感圧接着剤の重要性は近年ますます増加している。感圧接着剤とは、既に比較的に弱い押し圧のもとで被接着基体との耐久的接合を可能としそして使用後に実質的に残留物なしに基体から再びに剥離することができる接着剤である。接着剤の接合性はそれの接着特性に基づいており、剥離性はそれの凝集性に基づいている。
【0003】
“接着”とは一般に、互いに接触する2種類の相の関係をそれらの境界の所で、そこに生じる分子間相互作用に基づいて発現する物理的効果を言う。従って接着は、粘着性(いわゆる“タック”)として及び接着力として測定できる、基体表面の所での接着剤の粘り付きを測定する。接着剤の接着性に意図的に影響させるために、接着剤には可塑剤及び/又は接合力増強樹脂(いわゆる“粘着付与剤”)が添加される。
【0004】
“凝集性”とは、物質又は物質混合物の内部結合を分子間相互作用及び/又は分子内相互作用に基づいてもたらす物理的効果である。従って凝集力は、例えば粘度として及び剪断安定性として測定され、接着剤の粘着性及び流動性を測定する。接着剤の凝集性を意図的に高めるために、接着剤に反応性(従って架橋性)の成分又は他の化学的架橋剤が添加され及び/又は接着剤に後処理としてイオン化放射線を照射する、追加的な架橋がしばしば行われる。
【0005】
感圧接着剤の接着技術的性質は第一に接着性と凝集性との間の関係によって決められる。例えばある種の用途にとっては、使用される接着剤が高凝集性であり、すなわち、特に強い内部結合を持つことが重要である。
【0006】
感圧接着剤としては、例えば、熱可塑性を持つこの種の接着剤を使用することが可能である。その他に、非熱可塑性の感圧接着剤も存在する。後者は、室温で形状的に安定しておりそして弾性的に変形し得る少なくとも1種類のポリマー(いわゆる“エラストマー”)と混合物全体(いわゆる“コンパウンド”)の性質に所望のよう影響を及ぼすために使用される他の成分との混合物である。この種類の感圧接着剤の製造は一般に、個々の成分を互いにいわゆる“コンパウンド化”の過程で互いに混合することによって行われる。この混合と同時に(又は混合の後に)、感圧接着剤の製造には追加的に化学反応、例えば粘度を増加させるために、塗布した接着剤の後架橋が必要とされ得る。
【0007】
非熱可塑性感圧接着剤は、それぞれの感圧接着剤を、塗布の間又は後で除去される溶剤に溶解して存在させる方法で製造しそして塗布することができる。これによって、加工のときに溶剤のために低粘度である感圧接着剤が得られるが、最終生成物においては高い粘性を有している。しかしながらこのような溶剤を基礎とする加工法の使用は追加的な方法段階、例えば溶剤へのポリマーの溶解又は最終生成物からの溶剤の除去を必要とし、それ故に有利ではない。
【0008】
それ故に、混合並びに接着剤の塗布を溶剤での補助手段なしに行う溶剤不含の方法が開発されている。例えば、完全には架橋せず、それ故に加工に十分な低い粘度を持つ非熱可塑性の反応性ポリマーを添加物と混合し、適当な支持体又は基体に塗布しそして次に後架橋反応に付される、反応性ポリマーよりなる接着剤を使用することができる。後架橋反応なしでは、この種類の慣用の非熱可塑性感圧接着剤は低い凝集性しか有していない。この種類の感圧接着剤は基体からしばしば残留物なく剥離することができないので、このように低い粘性の感圧接着剤は多くの用途で使用できない。それ故に、この感圧接着剤を塗布した後に後続の後架橋反応に付すことが必要とされる。
【0009】
これの代わりに非熱可塑性ポリマーをベースとする感圧接着剤を溶剤なしで製造することは、後での後架橋段階なしで接着剤の個々の成分を溶剤不使用下に混合することによっても実施することができる。この方法は、このために使用するポリマーの高い粘度のために、適切な混合装置を選択することを必要としている。接着剤の各成分は混合装置に一般に液状又は固体状態で供給され、後者の場合には好ましくは個々の破片、例えば顆粒又はペレットとして供給される。
【0010】
それ故に個々の成分の混合には、強力な混合を同時に高い混合効率で実現することを可能とする混合装置を使用することが必要とされる。この目的のためには、特に非熱可塑性成分の高い粘度のために、接着剤を均一に十分混合するのに必要な高い剪断エネルギーを提供することができるように、内部ミキサー又は押出機、例えば二軸スクリュー式押出機又は遊星形多軸スクリュー押出機が頼られている。
【0011】
高粘度混合物への高い剪断エネルギーの導入は、混合物の温度を上昇させる結果をもたらし、このことが再びポリマーの部分的な熱分解及び平均鎖長、平均分子量の低下をもたらし得る。この効果は主鎖に不飽和機能を持つ非熱可塑性エラストマーの場合、例えば天然ゴムの場合に特に顕著に生じる。
【0012】
この種の分解は、いわゆる“劣化”と称する不所望の制御不能な副反応である。劣化するとき鎖の分解及びそのときに生じて接着剤中に残留する分解生成物のためにポリマー混合物の性質及び性能、例えば老化安定性及び温度安定性に一般にマイナスの影響を及ぼす。
【0013】
熱分解は、混合物の粘度を所望のように低下させるために意図的にも使用される。これはいわゆう“素練り”として知られる事象である。意図的に実施されるこのゴム分解の場合、反応パラメータ(例えば粘度、剪断応力、所定の物質温度並びに物質の組成及び周囲の雰囲気)を制御することによってポリマーの制御された分解が達成される。制御を改善するために接着剤に、場合によってはいわゆる“素練り剤(masticating agents )”又は“素練り促進剤(peptizer)”として知られる他の化学的補助物質を添加してもよい。ゴム工業においてはこのような素練りは例えば他の添加物を組み入れ易くするために使用されている。素練りの過程でゴムが部分的に分解するために、次いで、最終的に必要とされる粘着剤の凝集性を達成するため接着剤の後架橋がしばしば実施される。
【0014】
前記の方法は多種多様に知られている。例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3並びに特許文献4及び特許文献5にエラストマーゴムをベースとする非熱可塑性感圧接着剤の製法が開示されており、そこでは二軸スクリュー押出機が使用され、該押出機中において均一な感圧接着剤混合物がゴムの素練り及びこれに続いての個々の助剤の段階的な添加によって得られ、次いで電子線照射での架橋が行われる。
【0015】
特許文献6には、非熱可塑性の炭化水素−エラストマーをベースとする接着剤の加工法が開示されており、この方法では粘度を低減させそしてそれ故に同様に混合温度を下げ、結果としてそれぞれの粘度に調整するために、加工助剤として熱可塑性添加物が混合物に添加されている。これはエラストマーの分解に対向しそして同時に混合物及びそれから得られる被覆物の均一性及び品質を向上させるそうである。この方法の場合には素練りが必要とされない。
【0016】
更に特許文献7からは、混合装置として遊星形多軸スクリュー押出機を使用することを重要な基礎とする非熱可塑性エラストマーをベースとする感圧接着剤の溶剤不使用下での連続製造法が公知である。この種類の遊星形多軸スクリュー押出機は久しい依然から公知であり、熱可塑性ポリマー、例えばポリ塩化ビニルを加工するときに最初に使用されており、該押出器はカレンダー装置又はロールミルの様な下流での装置に備えるために主として使用される。 遊星形多軸スクリュー押出機の内部で強力に十分混合されるので、該押出機では滞留時間が短く、相まって滞留時間スペクトルが狭く、かつ、表面領域の再生頻度が多い。このことが素早い材料交換及び熱搬出をもたらす。これによって内部摩擦行程によってポリマーに導入されるエネルギーが速やかに、かつ、効果的に除去される。この性質に基づいて、遊星形多軸スクリュー押出機が今やコンパウンド化行程のためにも使用され、特に穏やかでそして温度制御された操作に焦点が合わされている。
【0017】
特許文献7に記載の方法では、添加物、例えば可塑剤、又は混合物の粘度を下げる熱可塑性添加物を添加しなくとも遊星形多軸スクリュー押出機自体を非熱可塑性エラストマーの場合に使用することが素練りを省くことを可能としている。その結果、鎖分解の程度を少なくすることができそしてそれ故に高い凝集性の接着剤を後架橋することなく製造することが可能である。
【0018】
しかしながら、直ぐ前に挙げた二つの方法はゴム工業において通例の素練り段階を実施しないにもかかわらず、これらの場合にも個々の成分の混合、混合された接着剤の搬送及び接着剤の適用の過程で劣化に起因する接着剤の変化がある。
【0019】
接着剤を混合する間に生じる如何なる分解の影響を減少させるために、接着剤の混合を保護ガスを用いる不活性雰囲気で行うことができる(いわゆる“不活性化”)。この様にして酸素に起因する顕著な分解を防止することができる。
【0020】
不活性化の有利な影響は例示混合物を用いて次の通り実証される:40重量%の天然ゴム、同じ割合の(例えば+100℃の融点を持つ)炭化水素樹脂、19重量%の炭酸カルシウム及び酸化防止剤としての1重量%の立体障害フェノールよりなる接着剤を混合する場合には、酸素不存在の雰囲気(窒素ガス雰囲気)で混合するとき約200,000Pa・sの複素粘度(0.1 rad/s及び110℃で振動粘度計で測定)及び約180℃の温度の物質が得られ、これに対して、酸素含有雰囲気(空気雰囲気)では約100,000Pa・sの著しく低い複素粘度(同様に0.1 rad/s及び110℃で振動粘度計で測定)で140℃の明らかに低い物質温度が観察される。
【0021】
酸素不存在の雰囲気で加工する場合の比較的に高い粘度は、この条件の下で、酸素含有雰囲気での混合の場合よりも大きいポリマー鎖平均鎖長が生じることを示している。比較的に長い平均鎖長である結果として、接着剤の混合のために必要とされる比較的に高い剪断エネルギーを付与することを可能とするために、混合物の加工のときに比較的高い混合効率を提供しなければならない。この剪断エネルギーは接着剤において内部摩擦の結果として熱に転換され、物質温度を上昇させる。それ故にこの結果は、酸素含有雰囲気で加工するときに分解行程の過程でポリマー鎖の顕著な部分的熱分解を少なくとも伴うことを間接的に結論付けている。
【0022】
この様な分解行程は、エラストマーをベースとするあらゆる非熱可塑性感圧接着剤で観察される。この様な系の場合にも十分に高い凝集を保証することができるために、この種類の接着剤は支持体に塗布した後に又は所望の要求プロフィールに相応して基体に直接的に場合によっては後架橋処理する。例えば後続の電子線照射後架橋又は化学架橋させる。
【0023】
既に前述した通り、化学的後架橋のときに接着剤中に存在する未だ完全には架橋しておらず接着剤の反応性成分である成分を接着剤の塗布後に後続の架橋段階で架橋させる。後架橋反応は、接着剤をそれぞれの反応系の架橋温度以上の温度に加熱するとによって熱的に開始することができる。例えば反応系としてのフェノール樹脂の場合には、約130℃の温度以上で顕著な架橋反応が開始される。
【0024】
130℃の架橋温度と、非熱可塑性接着剤を溶剤なしでかつ素練り段階なしで混合するときに発生する140℃又はそれどころか180℃の通例の物質温度との比較でわかる通り、架橋温度及び物質温度が同じ程度の高さである。それ故に混合のときに反応系の著しい成分が既に架橋していることを避けることができるためには、物質温度を出来るだけ低く維持しなければならない。この目的のためには、方法行程を正確に制御することが必須であり、しかしながらこれは現時点まで公知の方法では十分には達成できていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】国際特許出願公開第94/11175号明細書
【特許文献2】国際特許出願公開第95/25774号明細書
【特許文献3】国際特許出願公開第97/07963号明細書
【特許文献4】米国特許第5,539,033号明細書
【特許文献5】米国特許第5,550,175号明細書
【特許文献6】ヨーロッパ特許第1,326,939号明細書
【特許文献7】ヨーロッパ特許出願公開第1,056,584号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
それ故に本発明の課題は、混合するときに溶剤又は接着剤中に残留する添加物の不使用下に制御された操作方式を可能とする高凝集性感圧接着剤の製造方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0027】
この課題は本発明に従って冒頭に記載した種類の方法において、第一の装置温度及び第一の装置温度のときの予備混合物の温度が第二の装置温度よりも高くそして更に第一の混合段階と第二の混合段階との間で予備混合物を、沸点が第一の装置温度よりも低い加工助剤を予備混合物に添加することによって急冷することを特徴とする、上記方法によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】遊星形多軸スクリュー押出機の使用下に粘着性二次元構造物の製法を概略的に図示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この方法は、エラストマーをベースとする高凝集性の非熱可塑性感圧接着剤を製造するために使用することができる。高凝集性感圧接着剤としては、後架橋なしに(未架橋の状態でも)既に高い粘度を有しているあらゆる感圧接着剤が該当する。高い粘度としては、20,000Pa・sより高い、特に50,000Pa・sより高い、狭義では80,000Pa・sより高い複素粘度(それぞれ0.1 rad/s及び110℃で振動粘度計で測定)が考えられる。このこと自体は、始めから既に高い粘度に更に高めるために、この種類の高粘性接着剤を基体又は支持体に塗布した後に後架橋に後から付することを排除するものではない。
【0030】
基本成分(ベース成分)としてこの種類の非熱可塑性感圧接着剤は少なくとも1種類の完全熱可塑性でないエラストマーも包含している。この種類の完全熱可塑性でないエラストマーとしては例えばあらゆる非熱可塑性エラストマー、要するにそれ自体が熱可塑性を有していないエラストマー、例えば天然ゴムのような高分子量ゴムがある。
【0031】
更に完全熱可塑性でないエラストマーは同様に一部分だけ熱可塑性であるエラストマー、例えばそれ自身が(すなわち、ホモポリマーとして)熱可塑性を有していない少なくとも1種類のポリマーブロックを有するブロックコポリマーであってもよい。これの例としては例えば、熱可塑性のポリスチレンブロックの他に非熱可塑性のポリイソプレン或いはポリブタジエンを含有するスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)又はスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)が挙げられる。
【0032】
本発明の方法では原則として公知の及び文献に記載されたあらゆる非熱可塑性感圧接着剤、特に粘着性を有するものを溶剤不存在下に加工することができる。しかしながら非熱可塑性感圧接着剤が、天然ゴム及び合成ゴムよりなる群から選択された少なくとも1種類のゴムを含有する少なくとも1種類の非熱可塑性エラストマーを有するゴムをベースとする接着剤である場合が特に有利である。感圧接着剤のベース成分が天然ゴム及び合成ゴムよりなる群から選択される非熱可塑性エラストマー又は天然ゴム及び合成ゴムよりなる混合物(いわゆる“ブレンド”)である場合が有利である。ゴムをベースとするこの種類の感圧接着剤を穏やかに製造するために本発明の方法が卓越的に適している。何故ならば、これらの系の場合には穏やかな分解が効果的に相当な程度で低減されるからである。
【0033】
天然ゴムとしては原則として適するあらゆる天然ゴムを使用することが可能である:これらには例えば必要な純度及び必要な粘度に応じて選択することができる入手の容易な品質の天然ゴム、例えばクレープ、RSS、ADS、TSR又はCVの各タイプがある。
【0034】
合成ゴムとしては原則として適するあらゆる合成ゴムを使用することができる。例えばランダムに共重合されたスチレン−ブタジエン−ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(XIIR)、アクリレートゴム(ACM)、エチレン−酢酸ビニル−共重合体(EVA)、ポリウレタン、シリコーンゴム及び/又はこれらの混合物があるが、可能な例として此処に挙げたものに不必要に選択を制限されない。
【0035】
更に接着剤は基礎成分として1種類以上の非ゴム様エラストマーを有しているのが有利であり、この点で代表的なのはポリアクリレート又は部分的にのみ熱可塑性のエラストマー、例えばスチレン−イソプレン−スチレン−ブロックコポリマー(SIS)及びスチレン−ブタジエン−スチレン−ブロックコポリマー(SBS)がある。
【0036】
この種の感圧接着剤はベース成分として完全熱可塑性でないエラストマーの他に熱可塑性添加物も含有していてもよい。
【0037】
このような接着剤を製造するとき、完全熱可塑性でないエラストマーを第一の混合装置における配合操作の範囲内で場合によっては他の成分と混合する。任意の別の成分としてはこの目的にとって通例の適する添加物、例えば可塑剤、フィラー、核形成剤、膨張剤、配合剤、老化防止剤及び/又は接着力改質添加物がある。
【0038】
可塑剤としては接着剤技術において公知のあらゆる可塑性物質を使用することができる。この目的のためには例えばパラフィン性及びナフテン性油、(官能化された)オリゴマー、例えばオリゴブタジエン又はオリゴイソプレン、液状ニトリルゴム、液状テルペン樹脂、植物性及び動物性油及び油脂、フタレート、官能化アクリレート等が挙げられる。
【0039】
接着力改質添加物としては公知の及び文献に記載のこの種のあらゆる添加物、例えば接着力増強性樹脂(“粘着付与樹脂”)を例外無く使用することができる。代表例としてはコロホニウム樹脂、それの不均化された、水素化された、重合された及び/又はエステル化された誘導体及び塩、脂肪族及び芳香族炭化水素樹脂、テルペン樹脂及びテルペンフェノール樹脂が挙げられる。これらは得られる接着剤の性質を所望のように調整するために、単独でも又はこれらの樹脂の及び他の樹脂との任意の組合せで使用することもできる。これらに関する化学技術の説明はDonatas Satas (van Nostrand, New York 1989) の“Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology(粘着剤技術のハンドブック)”で明らかにされている。
【0040】
混合するために、あらゆる適する混合装置、特に高い内部剪断力のもとで混合用成分を強力に混合するために高混合効率を可能とするもの、例えば二軸スクリュー式押出機及び特に遊星形多軸スクリュー押出機のような押出機を使用できる。この種類の高効率装置の使用によって、混合時間を特に短く維持することが可能である。このように第一の混合段階において生じる如何なる分解も僅かであるので、完全熱可塑性でないエラストマーの分解が言うに値する程生じない。
【0041】
例えば 遊星形多軸スクリュー押出機としては通例の適するあらゆる遊星形多軸スクリュー押出機を使用することができる。これらは製造元次第で色々なデザイン及び寸法で入手でき、ローラ円筒の代表的な直径は70mm〜400mmの範囲内にあり、所望の処理量に相応して選択される。
【0042】
遊星形多軸スクリュー押出機は一般に装填域及び配合域を有している。装填域はしばしば搬送用スクリューを有しており、これに全ての混合成分、特に固体成分が連続的に又は擬似連続的に配量供給される。搬送用スクリューが材料を配合域に搬送する。搬送用スクリューを備えた装填域の区分は、材料が搬送用スクリューの外側にくっつくのを防止するために冷却するのが好ましい。
【0043】
遊星形多軸スクリュー押出機が機能する最も重要な区分には配合域を備えている。この配合域には一般に駆動用中心軸及び複数の遊星形軸があり、該遊星形軸は内部偏心ギヤを備えた1つ以上のローラ円筒内で中心軸の回りを旋回する。中心軸の回転数(及びそれ故に遊星形軸の旋回速度)は変えることができ、従ってこれが混合操作を制御するための重要なパラメータである。
【0044】
中心軸と遊星形軸との間並びに場合によっては遊星形軸とローラ円筒のハスバ歯車との間で、混合すべき各成分を循環させ、その際に材料は外部温度調整下に剪断エネルギーの供給によって均一な配合物に分散される。
【0045】
各ローラ円筒中で旋回する遊星形軸の数はそれぞれの方法での要求に合わせることができる。該軸の数は遊星形多軸スクリュー押出機中の自由容積並びに材料の滞留時間に影響を及ぼし、そして更に熱交換及び材料交換のために使用する面積の大きさを決める。遊星形軸の数は更にこのようにして導入できる剪断エネルギーによって配合結果に影響を及ぼす。一定のローラ円筒直径のもとで遊星形軸の数が多ければ多い程、均一化効率及び分散効率がますます良好であり並びに生成物生産量がますます多い。
【0046】
中心軸とロール円筒との間に組み込まれている遊星形軸の最大数はロール円筒の直径及び使用される遊星形軸の直径に左右される。(例えば製造規模において生産率を達成するために必要とされる様な)大きいロール直径の場合又は遊星形軸の直径が小さい場合には、結果としてロール円筒は比較的に沢山の遊星形軸を装備していてもよい。一般に70mmのロール直径では最高7本の遊星形軸が使用され、200mmのロール直径の場合には例えば10本そして400mmのロール直径の場合には例えば24本の遊星形軸を備えることができる。
【0047】
更に本発明の方法を実現するために同様に使用できる別の構造の遊星形多軸スクリュー押出機も存在する。遊星形多軸スクリュー押出機が例えば搬送用スクリュー域無しに形成されていてもよく、この場合には材料が中心軸と遊星形軸との間の押出機空隙に直接的に導入される。
【0048】
全体として遊星形多軸スクリュー押出機は接着剤の各成分の特に強力で、かつ、静かに混合するという長所を提供するので、この装置は本発明の方法を最も実現するものである。
【0049】
第一の混合段階のためには、感圧接着剤の各成分を同時に又は相前後して第一の混合装置に導入しそして互いに一緒にされる。それらの導入は連続的に又は不連続的に行うことができる。各成分はそれぞれ簡単化された塊状品の状態で、例えばペレット又は顆粒として導入するのが有利であり、これらは塗布する前に追加的な不活性剥離剤、例えばタルクで保護することができる。連続法の場合には、それぞれの導入量を例えば容積制御法又はベルト重量によって監視しながら添加を行う。第一の混合段階の過程で、完全熱可塑性でないエラストマー及び場合によっては他の成分、例えば樹脂及び/又はフィラーは潰され、それによって接着剤の各成分が最初から粗く分散されて存在するが、場合によっては既に細かく分散された状態であってもよい。
【0050】
正確な加工方式を保証するために、第一の混合装置を、決められた第一の装置温度に加熱する。混合物の高い粘度の結果として、混合物内に生じる剪断力に基づき追加的な熱エネルギーが放出され、その結果第一の装置温度で生じる予備混合物の温度は第一の装置温度よりも高い。
【0051】
第二の混合段階では次にこの予備混合物を第二の混合装置で更に均一化される。この目的のために第二の混合装置は、分解プロセスの発生を低減するために第一の装置温度よりも低い第二の装置温度に加熱する。
【0052】
第二の混合装置としては適するあらゆる混合装置、特により高い混合効率の混合装置、例えば二軸スクリュー式押出機及び特に遊星形多軸スクリュー押出機のような押出機を使用することができる。この種類の高効率混合装置は、これの使用によって、短い混合時間の間に効果的な混合を可能とし、その結果一方においては加工助剤を予備混合物中に特に速やかに組み入れることができそしてそれ故に該予備混合物を特に迅速に冷却することもできるという長所が提供される。もう一方においては、これによって接着剤の完全な均一化が早められ、更なる分解プロセスの発生が低減される。
【0053】
装置上の意味では、第二の混合装置は第一の混合装置から分離することができるか又は第一の混合装置と連結されて存在していても又は第一の混合装置と同一でもよく、例えば連続混合の場合には遊星形多軸スクリュー押出機の異なる区分領域又は混合領域として実現される。
【0054】
第二の混合段階の後に接着剤の各成分は均一に混合されそしてそれ故に少なくとも巨視的レベルでは均一に分散されそして単一相の状態で存在する。このことは、接着剤において巨視的レベルで不均一性、例えばミクロ相分離プロセスの過程で生じる種類の不均一性がない。
【0055】
特に有利な結果は、第一の装置温度を+130℃〜+180℃の範囲から選択しそしての第二の装置温度を+70℃〜+140℃の範囲から選択する場合に達成される。このようなプロセス条件が第一に第一の混合装置において十分に良好な予備混合を可能としそして同時に許容し得る均一化を第二の混合装置において可能とし、その際に如何なる分解プロセスの程度も可能な限り最小限に維持することができる。従って装置温度についての範囲を特別に組合せることが、加工助剤の添加後に特に穏やかなプロセス方式を実現することを可能とする最適化法である。
【0056】
本発明によれば第一の装置温度での予備混合物の温度は第二の装置温度よりも高く、この予備混合物も第一の混合段階と第二の混合段階との間で冷却される。この冷却は、予備混合物に加工助剤を添加することによって、すなわち第二の混合段階の前に、要するに第一の混合段階の終わり又は第一の混合段階の後で行う。本発明の目的での加工助剤とは、予備混合物に添加されるあらゆる助剤であるが、これらは直接的には化学変化を引き起こさず、特に接着剤の基本成分の溶剤としても適していない。更にこれらの補助物質は接着剤中に残留してはならず、従って最終製品中にはもはや存在していない。
【0057】
補助物質の添加によって予備混合物は急冷されるので、該予備混合物は第二の混合段階を開始する直前には第一の混合段階よりも低い物質温度を有している。本発明の目的での“急冷”は予備混合物が突然に冷却される過程での予備混合物の熱処理を意味する。このような特別な強力冷却は、本発明に従って、加工助剤において相応する温度で生じる相転換を利用することによって達成される。一般にこれは、加工助剤が液状の集合状態からガス状の集合状態に衝撃的に転換する蒸発行程である。相転換に必要なエネルギー(蒸発エンタルピー又は蒸発熱に相当する)は熱エネルギーの状態で熱い予備混合物から取り出し、その結果予備混合物が全体的に冷却される。
【0058】
この場合に、蒸発した加工助剤が接着剤から脱気で除かれた場合には、蒸発熱として転換された熱エネルギーが加工助剤の凝縮の際に予備混合物中に戻らないことが保証される。
【0059】
加工助剤は接着剤を迅速に、高効率でそして強力に冷却することを可能とする。驚くべきことに、本発明者によって、天然ゴムをベースとする接着剤を製造する沢山の一連の実験において、加工助剤として水を添加した後に遊星形多軸スクリュー押出機の出口ノズルのところで、加工助剤を使用しない場合に測定される出口温度よりも90℃ほど低い接着剤温度を得ることが可能であり、この低い温度でも均一な接着剤が得られることが確認された。第二の混合段階でのこのような低い温度では、大抵、エラストマーの分解が僅かしか生じないことが保証される。従ってこのような加工助剤の添加は予備混合物の粘度の突発的上昇がもたらすが、それによって高凝集性感圧接着剤、例えば天然ゴムをベースとするものの製造を可能とする。
【0060】
さらに前記の加工条件の場合、加工助剤は冷却後にガスとして存在しそして予備混合物から簡単に除くことができる。これによって加熱されたガスが排出されるために連続的な熱の搬出が可能であるだけでなく、同時に最終生成物中に、すなわち完成の接着剤塗膜中に加工助剤の残留物が残留しない。
【0061】
混合装置として遊星形多軸スクリュー押出機を使用する場合には、蒸発した加工助剤は好ましくは遊星形多軸スクリュー押出機を通って後方排出口(backwards venting)を経て排除することができる。押出機の出口ノズルの前に物質を保持するので、押出機中での接着剤の内部圧力は出口ノズルまで上昇する。混合区間に沿ってのこの圧力傾斜のために、ガス状の(従って容易に移動する)蒸発した加工助剤は、遊星形多軸スクリュー押出機の装填域の方に材料搬送方向と反対に運ばれそしてそこで押出機から漏れ出すことができる。このように、混合装置に別の廃棄手段が必要なく、それによって混合装置の特にコンパクト化された構造が可能となる。物質中に閉じ込められた僅かな加工助剤残留物はノズルから出るときに及びその接着剤を基体又は支持体に適用するときに最終的に漏れ出る。
【0062】
このように急激な冷却を得るためには、加工助剤の沸点温度が第一の装置温度(又は第一の装置温度で生じる予備混合物の物質温度よりも少なくとも)低いことが必要とされる。
【0063】
液体状態から気体状態への相転換の代わりに、勿論、予備混合物の加工助剤が熱エネルギーを取れる他のあらゆる相転換、例えばある固相から他の固相への転換又は固体加工助剤の昇華も本発明に従って使用することができる。更に原則として多重相転換、例えば固体から液体状態及び続いての液体から気体状態への多重相転換も原則として本発明に従って使用することができる。例えば破砕した氷を添加することによって冷却することが可能である。この場合には、例えば“沸点”を本発明の目的において、相変換或いは相転換が生じる相応する温度、例えば昇華温度又は溶融温度として説明できる。
【0064】
加工助剤としては原則として、上記の加工条件の下で容易に蒸発し得るあらゆる適当な物質を使用することができる。このものは予備混合物に対して化学的に不活性であり、その結果予備混合物の化学組成を変えないことが重要である。加工操作において少なくとも必要とされる高い温度に関しては、更に、爆発の危険及び火災の危険を減らすために、加工助剤自体は非燃焼性でありそして燃焼反応に関係しないことが重要である。これらの仮定の全て並びに方法全体の環境汚染に関する他の要求は特に水が満足させている。何故ならば水は加工助剤として第一に挙げられるものであるからである。低い加工温度又はしかし酸素不存在の環境の場合には他の加工助剤、例えば短鎖乃至中鎖のアルカン、アルコール等も、これらが接着剤の基本成分を溶解せず又は膨潤させない限りにおいて使用することができる。
【0065】
加工助剤は添加するときに0℃〜+25℃の範囲から選択される加工助剤温度を有する場合が特に有利である。物質温度との関係で冷たい加工助剤を添加することによって、添加時の加工助剤の冷却効果が更に改善され、その結果この様に予備混合物の特に迅速な急冷が可能である。この場合、加工助剤は予備混合物に固体状態、例えば氷としても添加することができる。
【0066】
更に加工助剤を予備混合物に最高20重量%の割合で、好ましくは少なくとも3重量%でそして最高10重量%の割合で添加するのが有利である。更に少量の加工助剤の場合には、冷却効果は全体として僅かだけであり、その結果分解の発生が効果的に低減されない。これに対して加工助剤の割合が20重量%を超える場合には、接着剤中にグリース状の凝固物が観察される。これの原因は、激しい混合のために必要とされる剪断力が発揮されず、接着剤をもはや完全に均一化できないことにある。更にこのように多量に加工助剤が蒸発した場合には、混合装置内に顕著な物質の不均一化が生じる。その結果として混合装置が交番的に著しい機械的負荷に曝され、これが混合装置に損傷をもたらす原因になる。さらに、このような不均一なグリース状物質は接着剤塗膜として全く塗布できないか又は多大な装置的費用を掛けなければ塗布できない。
【0067】
本発明の方法は全体として、高粘度の接着剤を穏やかな方法で別の熱的分解又は少なくとも熱に起因する分解を生じることなく製造することができる。このように酸素含有雰囲気、例えば空気の雰囲気でも、窒素を用いる不活性化のもとでのみ実現し得る様な粘度を持つ接着剤が製造される。
【0068】
本発明の使用で、物質温度を劇的に低下することが可能であることによって、本発明の方法では、高温に対して高い過敏性を持つ非耐熱性添加物、例えば高い揮発性で熱分解性又は反応性物質、例えば架橋剤、香料又は発泡剤を使用することも可能である。これに対してエラストマーを含有する非熱可塑性感圧接着剤を溶剤を用いない慣用の製造法の場合には、これが不可能である。
【0069】
この様な非耐熱性添加物は感圧接着剤に第一の混合段階の既に前に、第一の混合段階の間に又は第一の混合段階と第二の混合段階との間に添加することができ、それどころか特別な用途のためには第二混合段階の後に初めて導入することも可能である。
【0070】
添加物として架橋剤を使用するのが特に有利である。これは、接着剤が混合及び基体への塗布後に最終的に後架橋し、それによって接着剤の既に高いレベルの凝集性を更に高めることを可能とする。
【0071】
架橋剤としては原則としてあらゆる適する化学的及び/又は物理的架橋性の系、例えば架橋剤又は架橋剤成分(要するに架橋剤系の成分として架橋剤系の別の成分と一緒になって架橋反応をもたらす物質;架橋性の多成分系の他にここでは例えば架橋反応用触媒、架橋反応促進剤、架橋反応開始剤等)を使用することができる。適する架橋剤は通常の通り、例えば高温で、エネルギーに富んだ光、例えば紫外線光、又はエネルギーに富んだ放射線、例えば電子線のもとで架橋開始した後にだけ架橋反応を促進する。すなわちこの架橋反応は開始後でも残っている。
【0072】
熱的に誘発される化学架橋反応に適する架橋剤としては全く公知の熱的に活性化可能なあらゆる化学架橋剤系、例えば促進硫黄系又は硫黄供与系、イソシアネート系、反応性メラミン系、ホルムアルデヒド樹脂系、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂系(場合によってはハロゲン化されていてもよい)、エポキシ化ポリエステル樹脂系及びアクリレート樹脂系又はこれらの組合せ、並びに架橋剤成分としての適当な活性剤と一緒に使用できる反応性フェノール樹脂系又はジイソシアネート架橋系が使用できる。熱による架橋開始は一般に50℃以上の温度で、特に90℃〜160℃の温度、中でも少なくとも110℃で最高140℃の温度で実施する。
【0073】
その際に、架橋剤を加工助剤の添加後に初めて添加する場合が特に有利である。これは例えば加工助剤の添加直後に、第二の混合段階で初めて又はその後で、例えば別の混合段階で初めて行うことができる。予備混合物の急冷後に初めて架橋剤を添加する結果、架橋剤は第一の混合段階で生じる比較的に高い物質温度に曝されず、添加される架橋剤の架橋性能を最適に利用することが可能である。
【0074】
従って本発明のベースとなる課題は、完全熱可塑性でない成分をエラストマーと一緒に含む感圧接着剤を遊星形多軸スクリュー押出機中で急激に冷却するために、遊星形多軸スクリュー押出機中で二つの加工段階相互の間に感圧接着剤に水を直接的に添加して水を利用することによって解決される。この急激な冷却、要するに少なくとも短時間での高い冷却効率の提供は、特に強力にそしてそれと供に接着剤に穏やかに加工助剤としての水で急冷するときに達成される。これは特に完全熱可塑性でない成分を含有する感圧接着剤の場合に、その中に存在する高分子量ゴムの様なエラストマー、例えば天然ゴムを分解プロセスから保護するために有利である。混合装置中に水を直接的に添加するので、接着剤の急激な冷却を2つの方法段階の間で、言うに値する程の分解自体を生じることなしに行うことができる。
【0075】
更に本発明の課題は、既に後架橋することなしに高い粘度を持つ、少なくとも1種類の完全熱可塑性でないエラストマーを含有する高凝集性感圧接着剤を提供することであった。慣用の方法からの匹敵する接着剤は著しい分解に付されるので、エラストマーの後架橋は慣用の接着剤においては部分的に熱分解され、短鎖のポリマーに加えてこのポリマーの低分子量の分解生成物も接着剤中に存在している。このことが接着剤の老化安定性を著しく低下させ得る。この課題は、エラストマー成分が従来の方法に従って得ることのできるのよりも大きい平均鎖長を持ちそして同時にエラストマー鎖の熱分解生成物が存在しないか又は極めて僅かな程度でしか存在しない接着剤にて解決できる。
【0076】
最終的な本発明の課題は、粘着性を有しそして良好に再剥離できる二次元要素を提供することである。本発明の目的における二次元要素としては実質的に二次元に広がりを持つあらゆる通例の適当な構造物が当てはまる。更にこのものは接合を可能としそしてその際に色々に、特に柔軟に形成することができ、接着フィルム、接着テープ、接着チケット又は打ち抜き物として形成することができる。粘着性二次元要素とは、既に僅かな押し圧で貼り付けることができそして貼り付けた基体から再び残留物なく剥がすことができる二次元要素である。この目的のためには二次元要素は片面又は両面に接着剤が塗布されており、両面の場合に接着剤は同じものでも異なっていてもよい。二次元要素は支持体を有しているか又は支持体なしに形成されていてもよく、例えば転写接着テープとして形成されていてもよい。本発明によれば粘着性二次元要素は、いずれの場合にも僅かな割合でしか熱分解生成物を含有していない前述の高凝集性感圧接着剤を有している。この二次元要素を製造するためには、接着剤層のための公知の適当なあらゆる製作法並びに適当な塗装法も使用することができる。
【0077】
別の長所及び使用法は、添付の図面によって更に詳細に説明される後述の実施例から明らかである。図1は、遊星形多軸スクリュー押出機の使用下に粘着性二次元構造物の製法を概略的に図示している。
【0078】
遊星形多軸スクリュー押出機として原則として複数の混合領域を持つあらゆる遊星形多軸スクリュー押出機が使用される。図1に図示する押出機の場合には、2つの混合領域が図示されている。しかしながらこれの代わりに、押出機は傾斜配合を可能とするために別の混合領域及び/又は運搬領域も有していてもよい。装填域(1)では感圧接着剤の各成分が押出機中に装入され、この場合にはそれらは顆粒化されたゴム、粘着性樹脂及びフィラーである。第一の混合領域(2)のロール円筒中では第一の混合段階が行われる。ここではゴム顆粒、樹脂並びにフィラーが磨り潰されそして予備混合物として第一の混合領域(2)から搬送される。第一の混合領域では強い内部摩擦のために200℃よりも高い物質温度になる。
【0079】
第二の混合領域(3)は混合領域(2)に連結要素(4)を介して連結されている。連結要素(4)においては予備混合物に加工助剤として3〜10重量%の水が添加される。予備混合物の高い物質温度のために水は添加するとただちに蒸発し、それによって予備混合物は急激に冷される。その際に生じる水蒸気は第一の混合領域(2)を通り、押出機の内部空間から後方排出口を経て装填域(1)を通って除去される。
【0080】
今や冷却された予備混合物は第二の混合領域(3)のロール円筒中に搬送されそしてそこでの第二の混合段階で均一化される。第二の混合領域(3)の終わりで接着剤は出口ノズル(5)を経て押出機から搬送されそしてロールアプリケータ(6)に移される。ロールアプリケータ(6)において接着剤を一時的支持体(いわゆる“プロセスライナー”)に塗布し、次いで永久的支持体としての支持体フィルムに貼り付ける。接着剤中に含まれる残留水は出口ノズル(5)の所を出るときに接着剤から除去され又はロールアプリケータ(6)の加熱された入口間隙の所で蒸発される。
【0081】
本発明の有利な効果を以下に任意に選択した通来の接着剤組成に相当する例示的処方で実証する。
【0082】
接着剤は40重量%の天然ゴム(Weber & Schaer社のTSR 3L),40重量%の炭化水素樹脂(Eastman Chemicals社のPiccotac 1100E;約+100℃の融点を持つ)、フィラーとしての19重量%の炭酸カルシウム(Vereinigte Kreidewerke Damman社のMikrosohl 40 )及び酸化防止剤としての1重量%の立体障害フェノール(Ciba Geigy社のIrganox 1076 )を含有している。
【0083】
本発明の方法はこの場合、図1に図示する基本的な構造を持つ遊星形多軸スクリュー押出機を使用して実施する。それぞれ同じ処方でそしてその他は一定した条件のもとで遊星形多軸スクリュー押出機を空気雰囲気で及び窒素ガス雰囲気で運転する。
【0084】
第一の混合領域のロール円筒の第一の装置温度は80℃にセットしそして第二の混合領域のロール円筒の第二の装置温度は90℃にセットする。接着剤組成物を急冷するためにこれらをそれぞれ加工助剤としての液状の水と混合する。遊星形多軸スクリュー押出機の生産量は90回/分の回転数で20kg/時に調整する。
【0085】
各成分を遊星形多軸スクリュー押出機の第一の混合領域のロール円筒中で混合して予備混合物とし、そしてそこから第二の混合領域のロール円筒中に移して最終的に均一化する。加工助剤として予備混合物に色々な量で水を添加する。測定は酸素含有の条件のもとで及び酸素不存在の条件のもとでそれぞれ実施する。
【0086】
それぞれの方法操作で測定されたパラメータとしては、押出機の物質出口での接着剤の温度並びに接着剤の粘度を測定する。粘度測定は、約4.5cmの試料容積について振動粘度計(Alpha Technologies社のRPA 2000)により0.1 rad/sの振動数及び10°の振幅で測定した。測定結果を比較可能とするために測定をそれぞれ110℃の同じ物質温度で実施する。
【0087】
一連の実験の結果を表1に空気雰囲気での測定について掲載しそして窒素雰囲気で実施した測定については表2に掲載する。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
窒素雰囲気で測定された粘度はいずれの場合にも空気雰囲気での相応する粘度よりも明らかに高い。これは、窒素雰囲気では接着剤中での分解がより僅かしか生じず、その結果接着剤中に含まれるポリマーの平均鎖長が著しく減少せず、それ故に測定される粘度も高く維持されることに起因している。物質出口温度は窒素雰囲気で及び空気雰囲気での測定値は互いに近似している。ただし、窒素雰囲気での測定値は空気雰囲気での相応する測定値よりも若干より多く低下する傾向がある。
【0091】
空気雰囲気での測定並びに窒素雰囲気での測定では、5重量%の添加で既に粘度の著しい増加がもたらされることがわかる。これはここで実験した系の場合には物質の出口温度の僅かな低下に比例している(この場合、物質の出口温度の低下はベース成分として選択されるポリマー並びに混合物の別の組成に依存して他の系の場合にも著しく大きくあり得る)。この場合、空気雰囲気での測定粘度が窒素雰囲気での水含有量0重量%で測定した粘度よりも大きい。僅かな粘度増加は、これに対して僅かな量、例えば1重量%だけの水を添加した場合に観察される(表に記載していない)。
【0092】
10重量%以上の水を添加した場合には粘度の変化は(0重量%の水を5重量%の水に変えた場合の粘度変化に比較して)僅かだけ増加があるが、物質出口温度は如何なる顕著な変化も認められない。更に、それぞれに空気雰囲気で測定された測定ちと窒素雰囲気で測定された測定値との間の差は少なくとも10重量%の水を添加した場合には5重量%だけ水を添加した場合よりも明らかに僅かである。
【0093】
これらの結果は、本発明の方法では僅かな量の加工助剤を添加したときに既に、完全熱可塑性でないエラストマーをベースとする高粘度の感圧接着剤を追加的な溶剤又は熱可塑性添加物を使用しなくとも得ることができることを示唆している。更にこのような僅かな量の加工助剤は、系から再び容易に除去できるという長所も提供する。更に急冷を不活性化と結び付けた場合には、従来の比較可能な方法で達成できなかった粘度を持つ接着剤が製造される。添加する水の量を更に増やすと、使用した混合物の場合には、接着剤の更に顕著な粘度増加はもたらされなかった。
【符号の説明】
【0094】
1・・・装填域
2・・・第一の混合領域
3・・・第二の混合領域
4・・・連結要素
5・・・出口ノズル
6・・・ロールアプリケータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の混合段階で、少なくとも1種類のエラストマーを含む感圧接着剤の成分を第一の混合装置によって該第一の混合装置の第一の装置温度で混合して予備混合物を得、そして第二の混合段階において予備混合物の成分を第二の混合装置によって該第二の混合装置の第二の混合温度で均一に混合することによって、高凝集性の非熱可塑性感圧接着剤を製造する方法において、第一の装置温度及び第一の装置温度のときの予備混合物の温度が第二の装置温度よりも高くそして更に第一の混合段階と第二の混合段階との間で予備混合物に、沸点が第一の装置温度よりも低い加工助剤を予備混合物に添加することによって急冷することを特徴とする、上記方法。
【請求項2】
第一の装置温度を+130℃〜+180℃の範囲から選択しそしての第二の装置温度を+70℃〜+140℃の範囲から選択する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
加工助剤として水を使用する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
加工助剤を予備混合物に最高20重量%の割合で、好ましくは少なくとも3重量%で最高10重量%の割合で添加する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
添加するときに加工助剤が0℃〜+25℃の範囲から選択される加工助剤温度を有している、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
第二の混合装置として押出機、特に遊星形多軸スクリュー押出機を使用する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
第一の混合装置として押出機、特に遊星形多軸スクリュー押出機を使用する、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
蒸発した加工助剤は遊星形多軸スクリュー押出機を通って後方排出口(backwards venting)を経て排出される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
非耐熱性助剤、特に架橋剤を加工助剤の添加後に添加する、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
遊星形多軸スクリュー押出機内部での2つの加工段階の間に感圧接着剤に直接的に添加することによって、遊星形多軸スクリュー押出機において少なくとも1種類のエラストマーと一緒に完全熱可塑性でない成分を含む感圧接着剤を自発的に冷却するための水の使用。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法で得られる、少なくとも1種類の完全熱可塑性でないエラストマーを含む高凝集性感圧接着剤。
【請求項12】
少なくとも1種類の完全熱可塑性でないエラストマーが天然ゴム及び合成ゴムを含む群から選択される少なくとも1種類のゴムを非熱可塑性エラストマーとして含有する、請求項11に記載の高凝集性感圧接着剤。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の高凝集性感圧接着剤を有する粘着性二次元要素。

【図1】
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