説明

高分子化合物及びそれを用いた有機EL素子

【課題】高い輝度寿命を有する有機EL素子、面状光源及び表示装置、並びにこれらを得ることが可能な、高分子化合物を提供することを目的とする。
【解決手段】下記一般式(1)で表される構造連鎖を主鎖に有する高分子化合物。
−[−(Y)−Z−]− (1)
[式中、Yは、一般式(Y−1)又は(Y−2)で表される構造から水素原子を2個除いた2価の基を示す。Zは、一般式(Z−1)、(Z−2)、(Z−3)、(Z−4)、(Z−5)、(Z−6)、(Z−7)又は(Z−8)で表される構造から水素原子を2個除いた2価の基を示す。mは、4〜10000の整数、nは、1〜3の整数を示す。複数あるY、Z及びnは、各々、同一であっても異なっていてもよい。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化合物及びそれを用いた有機EL素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代ディスプレイとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子)を用いた有機ELディスプレイが注目されている。この有機EL素子は、発光層、電荷輸送層等の有機層を有する。有機EL素子は、低分子有機材料を用いて得られる場合と、高分子有機材料を用いて得られる場合とがある。高分子有機材料を主な材料として使用する場合、インクジェットプリント法及びスピンコート法等の塗布法を使用した際に均一な膜を容易に形成することができるため、大型の有機ELディスプレイの作製に有利であり、これまでに高分子有機材料を有機EL素子に用いることが提案されている(特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−56090号公報
【特許文献2】国際公開第99/54385号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の高分子有機材料、特に青色で発光する材料を有機EL素子の作製に用いる場合、有機EL素子の輝度寿命が十分であるとは言えなかった。
【0005】
そこで、本発明は、輝度寿命に優れる有機EL素子、これを用いた面状光源及び表示装置、並びに、この素子の有機層に用いることのできる高分子化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される構成連鎖を主鎖に有する高分子化合物を提供する。
−[−(Y)−Z−]− (1)
[式中、Yは、下記一般式(Y−1)又は(Y−2)で表される構造から水素原子を2個除いた2価の基を示す。Zは、下記一般式(Z−1)、(Z−2)、(Z−3)、(Z−4)、(Z−5)、(Z−6)、(Z−7)又は(Z−8)で表される構造から水素原子を2個除いた2価の基を示す。mは、4〜10000の整数、nは、1〜3の整数を示す。複数あるY、Z及びnは、各々、同一であっても異なっていてもよい。
Y及びZが有する水素原子は、R’で置換されていてもよく、R’は、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド化合物残基、酸イミド残基、1価の複素環基及び1価の複素環チオ基からなる群より選ばれる官能基、又はハロゲン原子を示す。R’が複数ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよく、複数のR’が互いに結合して環構造を形成していてもよい。上記官能基が有する水素原子は置換基で更に置換されていてもよい。]
【0007】
【化1】

【0008】
【化2】


[式中、Xは、−CH=又は−N=を示す。複数あるXは、同一であっても異なっていてもよい。但し、Xとしての−N=の数は、0〜2である。
は、アリール基であり、Rはアルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド化合物残基、酸イミド残基、1価の複素環基及び1価の複素環チオ基からなる群より選ばれる官能基、又は水素原子若しくはハロゲン原子を示す。複数あるRは、同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環構造を形成していてもよい。上記官能基が有する水素原子は置換基で更に置換されていてもよい。]
【0009】
このような高分子化合物から得られる有機EL素子は、輝度寿命に優れる。
【0010】
上記高分子化合物において、Yは、下記一般式(Y−3)、(Y−4)、(Y−5)又は(Y−6)で表される2価の基であることが好ましく、下記一般式(Y−3)、(Y−4)又は(Y−5)で表される2価の基であることがより好ましく、下記一般式(Y−3)又は(Y−5)で表される2価の基であることがさらに好ましく、下記一般式(Y−3)で表される2価の基であることが特に好ましい。
【0011】
【化3】


[式中、R”は、水素原子、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基を示す。複数あるR”は、同一であっても異なっていてもよい。]
【0012】
上記高分子化合物において、Zは、下記一般式(Z−9)、(Z−10)、(Z−11)、(Z−12)、(Z−13)、(Z−14)、(Z−15)、(Z−16)、(Z−17)、(Z−18)、(Z−19)又は(Z−20)で表される2価の基であることが好ましく、下記一般式(Z−9)、(Z−11)、(Z−13)、(Z−15)、(Z−16)、(Z−17)又は(Z−19)で表される2価の基であることがより好ましく、下記一般式(Z−9)、(Z−11)、(Z−15)、(Z−16)、(Z−17)又は(Z−19)で表される2価の基であることがさらに好ましく、下記一般式(Z−11)、(Z−15)又は(Z−17)で表される2価の基であることが特に好ましく、下記一般式(Z−15)で表される2価の基であることがとりわけ好ましい。
【0013】
【化4】


[式中、R”は、水素原子、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基を示す。複数あるR”は、同一であっても異なっていてもよい。R及びRは上記と同義である。]
【0014】
上記高分子化合物には、Yで表される基及びZで表される基が縮合重合により導入されており、Yで表される基及びZで表される基とは相違する任意追加基が縮合重合により導入されていてもよく、
上記高分子化合物における、Y、Z及び任意追加基のモル数をそれぞれN、N及びNとしたときに、N、N及びNが下記式(2)を満たすことが好ましい。
30≦N×100/(N+N+N)≦75 (2)
【0015】
本発明はまた、一対の電極と、該一対の電極の間に設けられた有機層を有し、該有機層が、上記高分子化合物を含む、有機EL素子を提供する。
【0016】
本発明はまた、上記有機EL素子を有する面状光源及び表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の高分子化合物を用いることにより、得られる有機EL素子の輝度寿命を向上させることができる。また、本発明によれば、高い輝度寿命を有する有機EL素子、面状光源及び表示装置、並びに、この素子の有機層に用いることのできる高分子化合物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、tert−ブチル基を「t−Bu」、フェニル基を「Ph」とそれぞれ表記する場合がある。
【0019】
[用語の説明]
以下、本明細書において共通して用いられる用語について、必要に応じて具体例を挙げて説明する。
【0020】
「構成単位」という用語は、高分子化合物の分子鎖に存在する原子又は原子団を表し、「構成連鎖」という用語は、1種又は数種の構成単位を一定の順序で含む分子鎖を表す。
【0021】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0022】
「C〜C」(p、qはp<qを満たす正の整数である)という用語は、この用語の直後に記載された官能基名に該当する部分構造の炭素原子数が、p〜q個であることを表す。すなわち、「C〜C」の直後に記載された有機基が、複数の官能基名を組み合わせて命名された有機基(例えば、C〜Cアルコキシフェニル基)である場合、複数の官能基名のうち「C〜C」の直後に記載された官能基名(例えば、アルコキシ)に該当する部分構造の炭素原子数が、p〜q個であることを示す。例えば、「C〜C12アルキル基」は炭素原子数が1〜12個であるアルキル基を示し、「C〜C12アルコキシフェニル基」は「炭素原子数が1〜12個であるアルコキシ基」を有するフェニル基を示す。
【0023】
アルキル基は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基及び環状アルキル基(シクロアルキル基)のいずれであってもよい。アルキル基としては、直鎖状アルキル基又は環状アルキル基が好ましく、非置換のアルキル基又はハロゲン原子等で置換されたアルキル基が好ましい。
【0024】
置換基としては、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド化合物残基、酸イミド残基、1価の複素環基、1価の複素環チオ基及びハロゲン原子等が挙げられ、これらの基に含まれる水素原子の一部又は全部は、フッ素原子で置換されていてもよい。また、置換基が炭素鎖を有する場合の置換基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましい(以下、「置換基」と言うときは、特記しない限り、同様の基を例示できる。)。
【0025】
アルキル基の炭素原子数は、直鎖状アルキル基及び分岐状アルキル基では、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜12であり、環状アルキル基では、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜15、さらに好ましくは3〜12である。置換基を有していてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、3,7−ジメチルオクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、アリールアルキル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基及びパーフルオロオクチル基等が挙げられる。
【0026】
アリールアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは、非置換のアリールアルキル基又はハロゲン原子若しくはアルコキシ基等で置換されたアリールアルキル基である。アリールアルキル基の炭素原子数は、好ましくは7〜60、より好ましくは7〜48、さらに好ましくは7〜30である。置換基を有していてもよいアリールアルキル基としては、フェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル基、1−ナフチル−C〜C12アルキル基及び2−ナフチル−C〜C12アルキル基等が挙げられる。
【0027】
アルコキシ基は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルコキシ基、分岐状アルコキシ基又は環状アルコキシ基(シクロアルコキシ基)のいずれであってもよい。アルコキシ基としては、直鎖状アルコキシ基又は環状アルコキシ基が好ましく、非置換のアルコキシ基又はハロゲン原子若しくはアルコキシ基等で置換されたアルコキシ基が好ましい。
【0028】
アルコキシ基の炭素原子数は、直鎖状アルコキシ基及び分岐状アルコキシ基では、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜12であり、環状アルコキシ基では、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜15、さらに好ましくは3〜12である。置換基を有していてもよいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、アリールアルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基及び2−メトキシエチルオキシ基等が挙げられる。
【0029】
アリールアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアリールアルコキシ基又はハロゲン原子若しくはアルコキシ基等で置換されたアリールアルコキシ基である。アリールアルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは7〜60、より好ましくは7〜48、さらに好ましくは7〜30である。置換基を有していてもよいアリールアルコキシ基としては、フェニル−C〜C12アルコキシ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルコキシ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C〜C12アルコキシ基及び2−ナフチル−C〜C12アルコキシ基等が挙げられる。
【0030】
アルキルチオ基は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルキルチオ基、分岐状アルキルチオ基及び環状アルキルチオ基(シクロアルキルチオ基)のいずれであってもよい。アルキルチオ基としては、直鎖状アルキルチオ基又は環状アルキルチオ基が好ましく、非置換のアルキルチオ基、及びハロゲン原子等で置換されたアルキルチオ基が好ましい。
【0031】
アルキルチオ基の炭素原子数は、直鎖状アルキルチオ基及び分岐状アルキルチオ基では、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜12であり、環状アルキルチオ基では、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜15、さらに好ましくは3〜12である。置換基を有していてもよいアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、アリールアルキルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ドデシルチオ基及びトリフルオロメチルチオ基等が挙げられる。
【0032】
アリールアルキルチオ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアリールアルキルチオ基又はハロゲン原子若しくはアルコキシ基等で置換されたアリールアルキルチオ基である。アリールアルキルチオ基の炭素原子数は、好ましくは7〜60、より好ましくは7〜48、さらに好ましくは7〜30である。置換基を有していてもよいアリールアルキルチオ基としては、フェニル−C〜C12アルキルチオ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルチオ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C〜C12アルキルチオ基及び2−ナフチル−C〜C12アルキルチオ基等が挙げられる。
【0033】
アリール基は、芳香族炭化水素から芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子1個を除いた残りの原子団であり、置換基を有していてもよい。アリール基としては、芳香環のみからなるアリール基、非置換のアリール基、又はハロゲン原子若しくはアルコキシ基等で置換されたアリール基が好ましい。アリール基としては、ベンゼン環を有する基、縮合環を有する基、ベンゼン環及び/又は縮合環が2個以上、単結合又は2価の有機基(例えば、ビニレン基等のアルキレン基)を介して結合した基等が挙げられる。
【0034】
アリール基の炭素原子数は、好ましくは6〜60、より好ましくは6〜48、さらに好ましくは6〜30である。置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、C〜C12アルコキシフェニル基、C〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、2−フルオレニル基、ペンタフルオロフェニル基、ビフェニリル基、C〜C12アルコキシビフェニリル基又はC〜C12アルキルビフェニリル基等が挙げられ、中でも、フェニル基、C〜C12アルコキシフェニル基、C〜C12アルキルフェニル基、ビフェニリル基、C〜C12アルコキシビフェニリル基及びC〜C12アルキルビフェニリル基が好ましい。
【0035】
〜C12アルコキシフェニル基としては、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、イソプロピルオキシフェニル基、ブチルオキシフェニル基、イソブチルオキシフェニル基、tert−ブチルオキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基及びオクチルオキシフェニル基等が挙げられる。
【0036】
〜C12アルキルフェニル基としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基及びドデシルフェニル基等が挙げられる。
【0037】
アリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアリールオキシ基又はハロゲン原子若しくはアルコキシ基等で置換されたアリールオキシ基である。
【0038】
アリールオキシ基の炭素原子数は、好ましくは6〜60、より好ましくは6〜48、さらに好ましくは6〜30である。置換基を有していてもよいアリールオキシ基としては、フェノキシ基、C〜C12アルコキシフェノキシ基、C〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基及びペンタフルオロフェニルオキシ基等が挙げられ、中でもC〜C12アルコキシフェノキシ基又はC〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
【0039】
〜C12アルコキシフェノキシ基としては、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノキシ基、プロピルオキシフェノキシ基、イソプロピルオキシフェノキシ基、ブチルオキシフェノキシ基、イソブチルオキシフェノキシ基、tert−ブチルオキシフェノキシ基、ペンチルオキシフェノキシ基、ヘキシルオキシフェノキシ基及びオクチルオキシフェノキシ基等が挙げられる。
【0040】
〜C12アルキルフェノキシ基としては、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、イソブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基及びドデシルフェノキシ基等が挙げられる。
【0041】
アリールチオ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアリールチオ基、又はハロゲン原子若しくはアルコキシ基等で置換されたアリールチオ基である。アリールチオ基の炭素原子数は、好ましくは6〜60、より好ましくは6〜48、さらに好ましくは6〜30である。置換基を有していてもよいアリールチオ基としては、フェニルチオ基、C〜C12アルコキシフェニルチオ基、C〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基及びペンタフルオロフェニルチオ基等が挙げられる。
【0042】
アルケニル基は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルケニル基、分岐状アルケニル基及び環状アルケニル基のいずれであってもよい。アルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜15、さらに好ましくは2〜10である。置換基を有していてもよいアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基及びアリールアルケニル基等が挙げられる。
【0043】
アリールアルケニル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアリールアルケニル基、又はハロゲン原子若しくはアルコキシ基等で置換されたアリールアルケニル基である。アリールアルケニル基の炭素原子数は、好ましくは8〜60、より好ましくは8〜48、さらに好ましくは8〜30である。置換基を有していてもよいアリールアルケニル基としては、フェニル−C〜C12アルケニル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルケニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C〜C12アルケニル基及び2−ナフチル−C〜C12アルケニル基等が挙げられ、中でもC〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルケニル基又はC〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルケニル基が好ましい。
【0044】
アルキニル基は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルキニル基、分岐状アルキニル基及び環状アルキニル基のいずれであってもよい。アルキニル基の炭素原子数は、直鎖状アルキニル基及び分岐状アルキニル基では、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜15、さらに好ましくは2〜10であり、環状アルキニル基では、好ましくは10〜20、より好ましくは10〜15である。置換基を有していてもよいアルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、1−オクチニル基及びアリールアルキニル基等が挙げられる。
【0045】
アリールアルキニル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアリールアルキニル基、又はハロゲン原子若しくはアルコキシ基等で置換されたアリールアルキニル基である。アリールアルキニル基の炭素原子数は、好ましくは8〜60、より好ましくは8〜48、さらに好ましくは8〜30である。置換基を有していてもよいアリールアルキニル基としては、フェニル−C〜C12アルキニル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C〜C12アルキニル基及び2−ナフチル−C〜C12アルキニル基等が挙げられ、中でもC〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキニル基又はC〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキニル基が好ましい。
【0046】
1価の複素環基は、複素環式化合物から複素環を構成する原子に結合した水素原子1個を除いた残りの原子団であり、置換基を有していてもよい。1価の複素環基としては、非置換の1価の複素環基、又はアルキル基等の置換基で置換された1価の複素環基が好ましく、1価の芳香族複素環基が好ましい。1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは4〜60、より好ましくは4〜30、さらに好ましくは4〜20である。複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素として、炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子、ヒ素原子等のヘテロ原子を含むものを言う。置換基を有していてもよい1価の複素環基としては、チエニル基、C〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C〜C12アルキルピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、キノリル基及びイソキノリル基等が挙げられ、中でもチエニル基、C〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基又はC〜C12アルキルピリジル基が好ましい。
【0047】
1価の複素環チオ基は、メルカプト基の水素原子が1価の複素環基で置換された基であり、置換基を有していてもよい。1価の複素環チオ基としては、例えば、ピリジルチオ基、ピリダジニルチオ基、ピリミジニルチオ基、ピラジニルチオ基及びトリアジニルチオ基等が挙げられる。
【0048】
アミノ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアミノ基、又はアルキル基、アリール基及び1価の複素環基から選ばれる1又は2個の置換基で置換されたアミノ基(以下、「置換アミノ基」という。)である。該置換基はさらに置換基(以下、官能基の有する置換基が、さらに有する置換基を、「二次置換基」という場合がある。)を有していてもよい。
【0049】
置換アミノ基の炭素原子数は、二次置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは1〜60、より好ましくは2〜48、さらに好ましくは2〜40である。二次置換基を有していてもよい置換アミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ドデシルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ビス(C〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、C〜C12アルキルフェニルアミノ基、ビス(C〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジニルアミノ基、ピラジニルアミノ基、トリアジニルアミノ基、フェニル−C〜C12アルキルアミノ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルアミノ基、ジ(C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル)アミノ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルアミノ基、ジ(C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C〜C12アルキルアミノ基及び2−ナフチル−C〜C12アルキルアミノ基等が挙げられる。
【0050】
シリル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のシリル基、又はアルキル基、アリール基及び1価の複素環基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたシリル基(以下、「置換シリル基」という。)である。該置換基は二次置換基を有していてもよい。
【0051】
置換シリル基の炭素原子数は、二次置換基の炭素原子数を含めないで、好ましくは1〜60、より好ましくは3〜48、さらに好ましくは3〜40である。二次置換基を有していてもよい置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリ−イソプロピルシリル基、ジメチル−イソプロピルシリル基、ジエチル−イソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ドデシルジメチルシリル基、フェニル−C〜C12アルキルシリル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルシリル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルシリル基、1−ナフチル−C〜C12アルキルシリル基、2−ナフチル−C〜C12アルキルシリル基、フェニル−C〜C12アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基及びジメチルフェニルシリル基等が挙げられる。
【0052】
アシル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアシル基、又はハロゲン原子等で置換されたアシル基である。アシル基の炭素原子数は、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜18、さらに好ましくは2〜16である。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基及びペンタフルオロベンゾイル基等が挙げられる。
【0053】
アシルオキシ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアシルオキシ基、又はハロゲン原子等で置換されたアシルオキシ基である。アシルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜18、さらに好ましくは2〜16である。アシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基及びペンタフルオロベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
【0054】
イミン残基は、一般式:H−CRX1=N−RY1又は一般式:H−N=C(RY1の少なくとも一方で表される構造を有するイミン化合物から、上記一般式中の水素原子を除いた残基を意味する。式中、RX1は水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルケニル基又はアリールアルキニル基を示し、RY1は、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルケニル基又はアリールアルキニル基を示す。RY1が2個存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよく、また、2個のRY1は相互に結合し一体となって2価の基、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基又はヘキサメチレン基等の炭素原子数2〜18のアルキレン基として環を形成してもよい。このようなイミン化合物としては、例えば、アルジミン、ケチミン又はアルジミン中の窒素原子に結合した水素原子が、アルキル基、アリール基、アリールアルケニル基及びアリールアルキニル基等で置換された化合物が挙げられる。イミン残基の炭素原子数は、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜18、さらに好ましくは2〜16である。イミン残基の具体例としては、以下の構造式で示される基が挙げられる。
【0055】
【化5】

【0056】
アミド化合物残基は、一般式:H−NRX2−CORY2又は一般式:H−CO−N(RY2の少なくとも一方で表される構造を有するアミド化合物から、上記一般式中の水素原子を除いた残基を意味する。式中、RX2及びRY2は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を表す。アミド化合物残基の炭素原子数は、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜18、さらに好ましくは2〜16である。アミド化合物残基としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基及びジペンタフルオロベンズアミド基等が挙げられる。
【0057】
酸イミド残基は、一般式:RX3−CO−NH−CO−RY3で表される構造を有する酸イミドから、上記一般式中の水素原子を除いた残基を意味する。式中、RX3及びRY3は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を表すか、又は、RX3及びRY3が互いに結合して形成される環構造を表す。酸イミド残基の炭素原子数は、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜18、さらに好ましくは4〜16である。酸イミド残基としては、例えば、以下に示す基が挙げられる。
【0058】
【化6】

【0059】
アリーレン基は、芳香族炭化水素から芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子2個を除いてなる原子団を意味し、独立したベンゼン環又は縮合環を有する基を含み、置換基を有していてもよい。アリーレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、好ましくは6〜60、より好ましくは6〜48、さらに好ましくは6〜30、特に好ましくは6〜18である。該炭素原子数は置換基の炭素原子数を含まない。アリーレン基としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基等のフェニレン基;1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基等のナフタレンジイル基;1,4−アントラセンジイル基、1,5−アントラセンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基等のアントラセンジイル基;2,7−フェナントレンジイル基等のフェナントレンジイル基;1,7−ナフタセンジイル基、2,8−ナフタセンジイル基、5,12−ナフタセンジイル基等のナフタセンジイル基;2,7−フルオレンジイル基、3,6−フルオレンジイル基等のフルオレンジイル基;1,6−ピレンジイル基、1,8−ピレンジイル基、2,7−ピレンジイル基、4,9−ピレンジイル基等のピレンジイル基;3,9−ペリレンジイル基、3,10−ペリレンジイル基等のペリレンジイル基等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいフルオレンジイル基である。
【0060】
2価の複素環基は、複素環式化合物から複素環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に結合した水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、置換基を有していてもよい。2価の複素環基としては、非置換の2価の複素環基又はアルキル基等で置換された2価の複素環基が好ましい。
【0061】
2価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、好ましくは4〜60、より好ましくは4〜30であり、さらに好ましくは4〜12である。2価の複素環基としては、2,5−ピリジンジイル基、2,6−ピリジンジイル基等のピリジンジイル基;2,5−チオフェンジイル基等のチオフェンジイル基;2,5−フランジイル基等のフランジイル基;2,6−キノリンジイル基等のキノリンジイル基;1,4−イソキノリンジイル基、1,5−イソキノリンジイル基等のイソキノリンジイル基;5,8−キノキサリンジイル基等のキノキサリンジイル基;2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル基等の2,1,3−ベンゾチアジアゾールジイル基;4,7−ベンゾチアゾールジイル基等のベンゾチアゾールジイル基;2,7−カルバゾールジイル基、3,6−カルバゾールジイル基等のカルバゾールジイル基;3,7−フェノキサジンジイル基等のフェノキサジンジイル基;3,7−フェノチアジンジイル基等のフェノチアジンジイル基;2,7−ジベンゾシロールジイル基等のジベンゾシロールジイル基等が挙げられる。これらのうち、好ましくは置換基を有していてもよい2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル基、置換基を有していてもよいフェノキサジンジイル基、置換基を有していてもよいフェノチアジンジイル基である。2価の複素環基としては、2価の芳香族複素環基が好ましい。
【0062】
<高分子化合物>
本実施形態の高分子化合物は、上記一般式(1)で表される構成連鎖を主鎖に有する。
【0063】
一般式(1)で表される構成連鎖において、n≧2の場合であって、複数あるYが一般式(Y−1)で表される構造から水素原子を2個除いた2価の基であるときには、複数の一般式(Y−1)で表される構造は同一であっても異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
一般式(1)で表される構成連鎖において、n≧2の場合であって、複数あるYが一般式(Y−1)で表される構造から水素原子を2個除いた2価の基であるときには、複数の一般式(Y−1)で表される構造は、すべてのXが−CH=である構造のみからなっていてもよく、すべてのXが−CH=である構造とXの内の1つ又は2つが−N=であり残りのXが−CH=である構造の両方からなっていてもよく、或いはXの内1つ又は2つが−N=であり残りのXが−CH=である構造のみからなっていてもよいが、好ましくはすべてのXが−CH=である構造のみからなる。
また、Y及びZが有する水素原子がR’で置換されている場合、R’は、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基及び1価の複素環基からなる群より選ばれる官能基又はハロゲン原子である。R’は、より好ましくはアルキル基、アリール基及び1価の複素環基からなる群より選ばれる官能基又はハロゲン原子であり、さらに好ましくはアルキル基又はアリール基であり、特に好ましくはアルキル基である。また、R’が複数ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよく、複数のR’が互いに結合して環構造を形成していてもよい。R’が環構造を形成する場合、不飽和結合を持たない環構造であることが好ましく、そのような環構造を形成し得るR’としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基及びシリル基等が挙げられる。
【0064】
一般式(1)で表される構成連鎖において、n≧2の場合であって、複数あるYが一般式(Y−2)で表される構造から水素原子を2個除いた2価の基であるときには、複数の一般式(Y−2)で表される構造は同一であっても異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
一般式(1)で表される構成連鎖において、n≧2の場合であって、複数あるYが一般式(Y−2)で表される構造から水素原子を2個除いた2価の基であるときには、複数の一般式(Y−2)で表される構造は、すべてのXが−CH=である構造のみからなっていてもよく、すべてのXが−CH=である構造とXの内の1つ又は2つが−N=であり残りのXが−CH=である構造の両方からなっていてもよく、或いはXの内1つ又は2つが−N=であり残りのXが−CH=である構造のみからなっていてもよいが、好ましくはすべてのXが−CH=である構造のみからなる。
Y及びZが有する水素原子がR’で置換されている場合の、R’の好ましい範囲は、上記と同じである。
【0065】
一般式(1)で表される構成連鎖において、m個ある[−(Y)−Z−]で表される構造は、各々、同一であっても異なっていてもよい。例えば、m=4であって、4個あるnが左の構造から順番に、n=1、2、1、2である場合、該構成連鎖は、[−Y01−Z01−]−[−Y02−Y03−Z02−]−[−Y04−Z03−]−[−Y05−Y06−Z04−]と表されるが、ここで、Y01、Y02、Y03、Y04、Y05及びY06は、同一であっても異なっていてもよく、Z01、Z02、Z03及びZ04は、同一であっても異なっていてもよい。m及びnが、その他の整数の組み合わせであっても同様である。
【0066】
高分子化合物が一般式(1)で表される構成連鎖を有することにより、これを有機EL素子の発光層として用いた場合の輝度寿命を向上させることができる。
【0067】
一般式(1)中、Rは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基又は1価の複素環基であることが好ましく、アルキル基又はアリール基であることがより好ましく、アルキル基であることがさらに好ましい。
【0068】
一般式(1)中、mは4〜10000の整数を示す。mは、8〜10000の整数であることが好ましく、30〜10000の整数であることがさらに好ましく、50〜5000の整数であることが特に好ましい。一般式(1)中、複数あるnは1〜3の整数を示すが、同じ整数を示すことが好ましく、複数あるnがすべて1、又はすべて2を示すことがさらに好ましい。
【0069】
一般式(1)中、複数あるYは、同一又は異なり、上記一般式(Y−3)、(Y−4)、(Y−5)又は(Y−6)で表される2価の基であることが好ましい。
【0070】
上記一般式(Y−3)、(Y−4)、(Y−5)及び(Y−6)中、R”は、好ましくは水素原子、アルキル基又はアリール基であり、より好ましくは水素原子又はアルキル基であり、特に好ましくは水素原子である。
【0071】
一般式(1)中のYの好ましい構造としては、下記の基が挙げられる。
【0072】
【化7】

【0073】
【化8】

【0074】
一般式(1)で表される構成連鎖において、Zは一般式(Z−1)、(Z−2)、(Z−3)、(Z−4)、(Z−5)、(Z−6)、(Z−7)又は(Z−8)で表される構造から水素原子を2個除いた2価の基を示す。複数あるZは一般式(Z−1)、(Z−2)、(Z−3)、(Z−4)、(Z−5)、(Z−6)、(Z−7)及び(Z−8)で表される構造から水素原子を2個除いた2価の基のいずれか1つの基のみからなっていてもよく、複数の基からなっていてもよいが、いずれか1つの基のみからなっていることが好ましい。
【0075】
一般式(1)で表される構成連鎖において、複数あるZの中の2以上が一般式(Z−1)、(Z−2)、(Z−3)、(Z−4)、(Z−5)、(Z−6)、(Z−7)及び(Z−8)で表される構造から水素原子を2個除いた2価の基のいずれか1つである場合、一般式(Z−1)、(Z−2)、(Z−3)、(Z−4)、(Z−5)、(Z−6)、(Z−7)又は(Z−8)で表される構造は同一であっても異なっていてもよいが、好ましくは同一である。Zの中の複数が一般式(Z−1)、(Z−2)、(Z−3)、(Z−4)、(Z−5)、(Z−6)、(Z−7)又は(Z−8)で表される構造から水素原子を2個除いた2価の基である場合、複数の一般式(Z−1)、(Z−2)、(Z−3)、(Z−4)、(Z−5)、(Z−6)、(Z−7)又は(Z−8)で表される構造は、すべてのXが−CH=である構造のみからなっていてもよく、すべてのXが−CH=である構造とXの内の1つ又は2つが−N=であり残りのXが−CH=である構造の両方からなっていてもよく、或いはXの内1つ又は2つが−N=であり残りのXが−CH=である構造のみからなっていてもよいが、好ましくはすべてのXが−CH=である構造のみからなる。
【0076】
一般式(1)中のZは、上記一般式(Z−9)、(Z−10)、(Z−11)、(Z−12)、(Z−13)、(Z−14)、(Z−15)、(Z−16)、(Z−17)、(Z−18)、(Z−19)又は(Z−20)で表される2価の基であることが好ましい。複数あるZは、同一であっても異なっていてもよい。
【0077】
Zは、これらの中でも、一般式(Z−9)、(Z−11)、(Z−13)、(Z−15)、(Z−16)、(Z−17)又は(Z−19)で表される2価の基であることが好ましく、一般式(Z−9)、(Z−11)、(Z−15)、(Z−16)、(Z−17)又は(Z−19)で表される2価の基であることがより好ましく、一般式(Z−11)又は(Z−15)又は(Z−17)で表される2価の基であることがさらに好ましく、一般式(Z−15)で表される2価の基であることが特に好ましい。
【0078】
一般式(1)中のZの好ましい構造としては、下記の構造が挙げられる。
【0079】
【化9】

【0080】
【化10】

【0081】
【化11】

【0082】
一般式(1)中のYとZの組み合わせとしては、例えば、式(Y−3)で表される2価の基と式(Z−9)で表される2価の基の組み合わせ(以下、単に「(Y−3)と(Z−9)」のように言う。)、(Y−3)と(Z−11)、(Y−3)と(Z−13)、(Y−3)と(Z−15)、(Y−3)と(Z−16)、(Y−3)と(Z−17)、(Y−3)と(Z−19)、(Y−4)と(Z−9)、(Y−4)と(Z−11)、(Y−4)と(Z−13)、(Y−4)と(Z−15)、(Y−4)と(Z−16)、(Y−4)と(Z−17)、(Y−4)と(Z−19)、(Y−5)と(Z−9)、(Y−5)と(Z−11)、(Y−5)と(Z−13)、(Y−5)と(Z−15)、(Y−5)と(Z−16)、(Y−5)と(Z−17)、(Y−5)と(Z−19)、(Y−6)と(Z−9)、(Y−6)と(Z−11)、(Y−6)と(Z−13)、(Y−6)と(Z−15)、(Y−6)と(Z−16)、(Y−6)と(Z−17)又は(Y−6)と(Z−19)が挙げられ、好ましくは、(Y−3)と(Z−9)、(Y−3)と(Z−11)、(Y−3)と(Z−13)、(Y−3)と(Z−15)、(Y−3)と(Z−16)、(Y−3)と(Z−17)、(Y−3)と(Z−19)、(Y−4)と(Z−9)、(Y−4)と(Z−11)、(Y−4)と(Z−13)、(Y−4)と(Z−15)、(Y−4)と(Z−16)、(Y−4)と(Z−17)、(Y−4)と(Z−19)、(Y−5)と(Z−9)、(Y−5)と(Z−11)、(Y−5)と(Z−13)、(Y−5)と(Z−15)、(Y−5)と(Z−16)、(Y−5)と(Z−17)又は(Y−5)と(Z−19)であり、より好ましくは、(Y−3)と(Z−9)、(Y−3)と(Z−11)、(Y−3)と(Z−15)、(Y−3)と(Z−16)、(Y−3)と(Z−17)、(Y−3)と(Z−19)、(Y−4)と(Z−9)、(Y−4)と(Z−11)、(Y−4)と(Z−15)、(Y−4)と(Z−16)、(Y−4)と(Z−17)、(Y−4)と(Z−19)、(Y−5)と(Z−9)、(Y−5)と(Z−11)、(Y−5)と(Z−15)、(Y−5)と(Z−16)(Y−5)と(Z−17)又は(Y−5)と(Z−19)であり、さらに好ましくは、(Y−3)と(Z−11)、(Y−3)と(Z−15)、(Y−3)と(Z−16)、(Y−3)と(Z−17)、(Y−4)と(Z−11)、(Y−4)と(Z−15)、(Y−4)と(Z−16)、(Y−4)と(Z−17)、(Y−5)と(Z−11)、(Y−5)と(Z−15)、(Y−5)と(Z−16)又は(Y−5)と(Z−17)である。特に好ましくは、(Y−3)と(Z−11)、(Y−3)と(Z−15)、(Y−3)と(Z−17)、(Y−4)と(Z−11)、(Y−4)と(Z−15)、(Y−4)と(Z−17)、(Y−5)と(Z−11)、(Y−5)と(Z−15)又は(Y−5)と(Z−17)である。
【0083】
一般式(1)中で表される構成連鎖において、[−(Y)−Z−]で表される構造の、好ましい例を下記に示す。
【0084】
【化12】

【0085】
【化13】

【0086】
【化14】

【0087】
【化15】

【0088】
【化16】


(式中、x及びyは共重合比を表し、x+y=1を満たす数である。)
【0089】
一般式(1)で表される構成連鎖は、例えば、上記式[−(Y)−Z−]で表される構造を1種又は2種以上組み合わせて合計m個連鎖した構造であってもよい。
【0090】
一般式(1)で表される構成連鎖を主鎖に有する高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは1×10〜1×10であり、より好ましくは1×10〜5×10である。また、上記高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1×10〜5×10であり、より好ましくは5×10〜1×10である。
数平均分子量及び重量平均分子量が上記下限を上回る場合は、電荷移動に対する抵抗が小さくなる傾向にあり、かつ、塗布法での成膜性が向上する傾向にあり、上記上限を下回る場合は、塗布法による成膜性が良好となる傾向がある。
【0091】
以下に本実施形態の高分子化合物の好ましい製造方法を詳細に説明する。本実施形態の高分子化合物は、例えば、縮合重合により製造することができる。
【0092】
上記縮合重合の方法としては、Suzuki反応により重合する方法(ケミカル レビュー(Chem. Rev.),第95巻,2457頁(1995年))、Grignard反応により重合する方法(共立出版、高分子機能材料シリーズ第2巻、高分子の合成と反応(2)、432〜433頁)又は山本重合法により重合する方法(プログレッシブ ポリマー サイエンス(Prog. Polym. Sci.),第17巻, 1153〜1205頁, 1992年)等が挙げられる。
【0093】
上記高分子化合物は、縮合重合により合成されるものであることが好ましく、Suzuki反応により重合する方法により合成されるものであることがより好ましい。
【0094】
特に、一般式(1)で表される構成連鎖を含む高分子化合物を重合する場合、[−(Y)−Z−]の構成単位を一つのユニットとして合成した後、ポリマー主鎖に組み込む方法、及び、Suzuki反応により重合する方法等、シーケンスを制御できる重合方法で構成連鎖を含むポリマーを重合する方法等が挙げられる。その中でも、Suzuki反応により重合する方法が好ましいが、構成連鎖を含むポリマーであればその合成方法に制限はない。
【0095】
以下、Suzuki反応により重合する方法について説明する。
高分子化合物において、Y及びZで表される基並びに一般式(1)で表される構成連鎖は、例えば、下記一般式(M1)で表される化合物と下記一般式(M2)で表される化合物とを、又は下記一般式(M3)で表される化合物と下記一般式(M4)で表される化合物とを、縮合重合することにより導入することができる。高分子化合物には、Y及びZで表される基とは相違する任意追加基が縮合重合により導入されていてもよい。
【0096】
A−Y−A (M1)
[式中、Yは上記と同義である。Aは、ハロゲン原子を表す。2つのAは同一であっても異なっていてもよい。]
【0097】
B’−Z−B’ (M2)
[式中、Zは上記と同義である。B’は、ホウ酸エステル残基、ホウ酸残基(−B(OH))、下記式(a−1)で表される基、下記式(a−2)で表される基、下記式(a−3)で表される基、又は下記式(a−4)で表される基を表す。2つのB’は、同一であっても異なっていてもよい。]
【0098】
【化17】


[式中、Rは、アルキル基又はアリール基を表し、置換されていてもよい。Xは、ハロゲン原子を表す。]
【0099】
A−Z−A (M3)
[式中、Z及びAは上記と同義である。2つのAは同一であっても異なっていてもよい。

【0100】
B’−Y−B’ (M4)
[式中、Y及びB’は上記と同義である。2つのB’は同一であっても異なっていてもよい。]
【0101】
A及びXで表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0102】
B’で表されるホウ酸エステル残基としては、下記式で表される基が挙げられる。
【0103】
【化18】

【0104】
上記式(a−1)中、Rで表されるアルキル基は、上述の[用語の説明]の記載及び例と同じであるが、非置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基が好ましく、置換のアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が好ましい。
【0105】
上記式(a−1)中、Rで表されるアリール基は、上述の[用語の説明]の記載及び例と同じであるが、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基が好ましい。
【0106】
スルホネート基としては、例えば、メタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基、フェニルスルホネート基、4−メチルフェニルスルホネート基が挙げられる。
【0107】
上記式(a−4)中、Rで表される非置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−ブチル基等が挙げられる。Rで表される置換のアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が挙げられる。
【0108】
上記式(a−1)中、Rで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基等が挙げられる。
【0109】
上記式(a−4)で表される基としては、例えば、トリメチルスタナニル基、トリエチルスタナニル基、トリブチルスタナニル基が挙げられる。
【0110】
上記一般式(M1)、(M2)、(M3)又は(M4)で表される化合物は、予め合成し単離したものを用いることも、反応系中で調製してそのまま用いることもできる。
【0111】
上記一般式(M2)及び(M4)中のBは、上記一般式(M2)及び(M4)で表される化合物の合成が簡便となり、かつ、取り扱い易くなるので、ホウ酸エステル残基又はホウ酸残基であることが好ましい。
【0112】
上記縮合重合の方法としては、上記一般式(M1)、(M2)、(M3)又は(M4)で表される化合物を、適切な触媒や適切な塩基を用いて、反応させる方法が挙げられる。
【0113】
上記触媒としては、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、パラジウムアセテート等のパラジウム錯体、ニッケル[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル、[ビス(1,4−シクロオクダジエン)]ニッケル等のニッケル錯体等の遷移金属錯体と、必要に応じて、さらにトリフェニルホスフィン、トリ(tert−ブチルホスフィン)、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノプロパン、ビピリジル等の配位子とからなる触媒が挙げられる。上記触媒は、予め合成したものを用いることもできるし、反応系中で調製したものをそのまま用いることもできる。これらの触媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0114】
上記触媒を用いる場合には、上記一般式(M1)、(M2)、(M3)又は(M4)で表される化合物のモル数の合計に対する触媒の金属原子の量は、0.00001〜3モル当量であることが好ましく、0.00005〜0.5モル当量であることがより好ましく、0.0001〜0.2モル当量であることがさらに好ましく、0.0001〜0.01モル当量であることが特に好ましい。
【0115】
上記塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム若しくはリン酸三カリウム等の無機塩基、又はフッ化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム若しくは水酸化テトラブチルアンモニウム等の有機塩基が挙げられる。これらの塩基は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0116】
上記塩基を用いる場合には、その使用量は、上記一般式(M1)、(M2)、(M3)又は(M4)で表される化合物のモル数の合計に対して、0.5〜20モル当量であることが好ましく、1〜10モル当量であることがより好ましい。
【0117】
縮合重合は、通常、有機溶媒等の溶媒の存在下で行われる。
【0118】
上記有機溶媒は、上記一般式(M1)、(M2)、(M3)又は(M4)で表される化合物の種類や反応によって異なるが、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド又はN,N−ジメチルホルムアミドである。副反応を抑制するために、これらの溶媒に対して、脱酸素処理をしておくことが望ましい。これらの有機溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0119】
上記有機溶媒の使用量は、上記一般式(M1)、(M2)、(M3)又は(M4)で表される化合物の合計濃度が、通常、0.1〜90質量%、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは2〜30質量%となる量である。
【0120】
縮合重合の反応温度は、好ましくは−100〜200℃であり、より好ましくは−80〜150℃であり、さらに好ましくは0〜120℃である。
【0121】
上記反応時間は、反応温度等の条件によるが、通常、1時間以上であり、好ましくは2〜500時間である。
【0122】
高分子化合物において、Y、Z及び任意追加基Mのモル数をそれぞれN、N及びNとしたときに、N、N及びNが下記式(2−0)を満たすことが好ましく、下記式(2)を満たすことがより好ましく、下記式(2−1)を満たすことがさらに好ましい。
20≦N×100/(N+N+N)≦75 (2−0)
30≦N×100/(N+N+N)≦75 (2)
40≦N×100/(N+N+N)≦75 (2−1)
【0123】
このとき、高分子化合物は、主鎖が上記一般式(1)で表される構成連鎖のみからなるものであることが好ましい。高分子化合物の主鎖が上記一般式(1)で表される構成連鎖のみからなるものであることにより、輝度寿命が一層向上する傾向にある。
【0124】
縮合重合の後処理は、メタノール等の低級アルコールに縮合重合で得られた反応液を加えて析出させた沈殿物をろ過、乾燥する方法等の公知の方法で行うことができる。
【0125】
上記のようにして得られた高分子化合物は、例えば後述する発光材料と、公知の方法により混合され、組成物とすることができる。
【0126】
Suzuki反応により上述の高分子化合物を重合する場合、使用するモノマーのモノマー種及びモノマー比を適切に選ぶことが好ましい。
【0127】
例えば、モノマーとして、Yのジブロモ体(50mol%)及びZのジホウ酸体(50mol%)を準備し、これらをSuzuki反応により重合する場合は、Y及びZの交互共重合体ができるため、下記一般式(1)で表される構成連鎖のみからなるポリマーを重合できる。
[−Y−Z−] (1)
【0128】
また、Yのジブロモ体、Zのジホウ酸体及び第3成分のモノマー(Jとする)を準備し、Yのジブロモ体、Zのジホウ酸体及びJのジブロモ体をそれぞれ37.5mol%:50mol%:12.5mol%のモル比で使用して、これらをSuzuki反応により重合して得られるポリマーの場合には、下記一般式(1−1):

…−Y−Z−Y−Z−Y−Z−J−Z−Y−Z−Y−Z−Y−Z−J−Z… (1−1)

のように、mが4未満の高分子化合物が重合される可能性がある。一方で、Yのジブロモ体が37.5mol%より大きく、Jのジブロモ体が12.5mol%より小さい場合には必ずmが4以上の構成連鎖を有する高分子化合物が重合される。例えば、Yのジブロモ体、Zのジホウ酸体及びJのジブロモ体を、それぞれ45mol%:50mol%:5mol%のモル比で使用して、これらをSuzuki反応により重合する場合でも、上記一般式(1)で表される構成連鎖を主鎖に有する高分子化合物を重合できる。
本実施形態において、上記のようにYのジブロモ体及びZのジホウ酸体以外のモノマーを用いて高分子化合物を重合する場合には、必ず上記一般式(1)で表される構成連鎖を含む高分子化合物となるように、それぞれのモノマー種及びモノマー比を選ぶことが好ましい。
【0129】
上記のように、Yのジブロモ体とZのジホウ酸体に加え、第3成分Jのジブロモ体が存在する場合において、Yのジブロモ体、Zのジホウ酸体及びJのジブロモ体を、それぞれ50−t(mol%):50(mol%):t(mol%)の割合で使用したとき、tの好ましい範囲としては、0<t<12.5であり、より好ましくは0<t≦10、さらに好ましくは0<t≦5である。ここで、tは、0を超え50未満の数である。
【0130】
また、Suzuki反応を用いて、上記構成連鎖を含む本実施形態の高分子化合物を合成する場合、重合するモノマー比によって生じる構成連鎖の平均を、予め下記の[重合シミュレーション]に記載の方法により求めることで、高分子化合物が上記構成連鎖を含むか否かを判断することができる。
【0131】
[重合シミュレーション]
重合シミュレーションは以下の機能をもつプログラムを作成して実施した。
脱離基A(例えば、ホウ酸エステル残基)を2個持つk種類(kは1以上の整数)のモノマーユニット(以下、「モノマーユニットA群」と言う。)をそれぞれ
個、....、M個(M、....、Mは1以上の整数)、
脱離基B(例えば、臭素原子)を2個持つv種類(vは1以上の整数)のモノマーユニット(以下、「モノマーユニットB群」と言う。)をそれぞれ
個、....、N個(N、....、Nは1以上の整数)
と定義する。そして、次の2つのステップ([ステップ1]及び[ステップ2])を、初期に存在する脱離基数(N)に対する未反応の脱離基数(N)の割合(N/N)がある特定の値(以下、「R値」と言う。)に減少するまで繰り返すプログラムを作成した。ここで、未反応の脱離基数とは、下記の2つのステップ([ステップ1]及び[ステップ2])を実施した後に残っている脱離基の総数を表す。
[ステップ1]2個の乱数によりモノマーユニットA群及びモノマーユニットB群のそれぞれから1個ずつモノマーユニットを選ぶステップ。
[ステップ2]ステップ1で選ばれた2個のモノマーユニットの間の結合を登録し、選ばれたモノマーユニットの持つ脱離基の数を1つずつ減じるステップ。
【0132】
計算機による乱数の発生については、Hiroshi Haramoto, Makoto Matsumoto、INFORMS Journal on Computing Vol. 20, No. 3, Summer 2008, pp. 385−390)に記載されたプログラムを使用した。
【0133】
[平均連鎖長の計算]
平均連鎖長は、以下のとおり、計算した。まず、モノマーユニットA群及びモノマーユニットB群のそれぞれから1個ずつモノマーユニットを選択し、それらに同一の識別記号Pを与えた上で[重合シミュレーション]を実施した。重合によって得られたポリマーの配列をスキャンして、記号Pで識別されるモノマーユニットの連鎖(以下、「P連鎖」と言う。)を構成するPの個数(以下、「P連鎖長」と言う。)を記録した。記号Pで識別されるモノマーユニットが連鎖を形成せずに存在する場合(すなわち、Pが未反応モノマーとして存在する場合)と、Pに結合したモノマーユニットがいずれもPでない場合と、を除外する。換言すれば、Pの連鎖が存在しない場合を除外する。そして、P連鎖を構成するPの総和(つまり、P連鎖長の総和)をP連鎖の数で除した値を平均連鎖長とした。さらに、上述の[重合シミュレーション]を1つの重合条件に対して、独立に5回実施し、得られた5回分の平均連鎖長を平均して目的の平均連鎖長とした。
【0134】
具体的な計算の条件は、以下の設定とした。
(S1)重合シミュレーション条件(共通)
k=1、v=2、R値=0.003、及び、M=5000とし、モノマーユニットA群及びモノマーユニットB群ともに1番目の種類のモノマーユニットに識別記号Pを与える。
(S2)個別の重合シミュレーション条件
重合条件1: N=500、N=4500
重合条件2: N=1000、N=4000
重合条件3: N=1500、N=3500
重合条件4: N=2000、N=3000
重合条件5: N=2500、N=2500
重合条件6: N=3000、N=2000
重合条件7: N=3500、N=1500
重合条件8: N=4000、N=1000
重合条件9: N=4500、N=500
計算によって得られた平均連鎖長は以下のとおりである。
重合条件1: 平均連鎖長=3.2
重合条件2: 平均連鎖長=3.5
重合条件3: 平均連鎖長=3.8
重合条件4: 平均連鎖長=4.3
重合条件5: 平均連鎖長=5.0
重合条件6: 平均連鎖長=5.9
重合条件7: 平均連鎖長=7.6
重合条件8: 平均連鎖長=10.7
重合条件9: 平均連鎖長=19.8
【0135】
ここで、M、Nが、それぞれ上記一般式(1)におけるZ、(Y)に相当するとした場合、上記の重合条件におけるポリマーでは、上記一般式(1)のmに相当する値の平均値(m’)は下記のとおりである。
重合条件1: m’=1.6
重合条件2: m’=1.75
重合条件3: m’=1.9
重合条件4: m’=2.15
重合条件5: m’=2.5
重合条件6: m’=2.95
重合条件7: m’=3.8
重合条件8: m’=5.35
重合条件9: m’=9.9
【0136】
上記で求めたm’について、好ましくはm’≧3.0であり、より好ましくはm’≧3.8であり、さらに好ましくはm’≧5.35であり、特に好ましくはm’≧9.9である。
【0137】
一方、上記[重合シミュレーション]の記載に基づいて合成した高分子化合物が、上記一般式(1)を満たすか否かは、例えば、核磁気共鳴分光法(NMR)を用いて判断することができる。
【0138】
<発光材料>
本実施形態の高分子化合物は、そのものだけを用いて発光層を形成することができるが、一般的な発光材料と混合して発光層を形成すると、耐久性の高い有機EL素子を得ることができるので好ましい。このような発光材料としては、好ましくは、「有機ELディスプレイ」(時任静士、安達千波矢、村田英幸共著、株式会社オーム社、平成16年8月20日第1版第1刷発行)17〜48頁、83〜99頁又は101〜120頁に記載の低分子蛍光材料、高分子蛍光材料又は三重項発光材料が利用できる。低分子蛍光材料(低分子蛍光体)としては、例えば、ペリレン及びその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系若しくはシアニン系等の色素類、8−ヒドロキシキノリンの金属錯体、8−ヒドロキシキノリン誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン及びその誘導体、並びに、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体等が挙げられ、より具体的には、特開昭57−51781号公報、特開昭59−194393号公報に記載されているもの等が使用されうる。その他にも、上記発光材料としては、例えば、国際公開第99/13692号パンフレット、国際公開第99/48160号パンフレット、独国特許出願公開第2340304号明細書、国際公開第00/53656号パンフレット、国際公開第01/19834号パンフレット、国際公開第00/55927号パンフレット、独国特許出願公開第2348316号明細書、国際公開第00/46321号パンフレット、国際公開第00/06665号パンフレット、国際公開第99/54943号パンフレット、国際公開第99/54385号パンフレット、米国特許第5777070号明細書、国際公開第98/06773号パンフレット、国際公開第97/05184号パンフレット、国際公開第00/35987号パンフレット、国際公開第00/53655号パンフレット、国際公開第01/34722号パンフレット、国際公開第99/24526号パンフレット、国際公開第00/22027号パンフレット、国際公開第00/22026号パンフレット、国際公開第98/27136号パンフレット、米国特許第573636号明細書、国際公開第98/21262号パンフレット、米国特許第5741921号明細書、国際公開第97/09394号パンフレット、国際公開第96/29356号パンフレット、国際公開第96/10617号パンフレット、欧州特許出願公開第0707020号明細書、国際公開第95/07955号パンフレット、特開2001−181618号公報、特開2001−123156号公報、特開2001−3045号公報、特開2000−351967号公報、特開2000−303066号公報、特開2000−299189号公報、特開2000−252065号公報、特開2000−136379号公報、特開2000−104057号公報、特開2000−80167号公報、特開平10−324870号公報、特開平10−114891号公報、特開平9−111233号公報若しくは特開平9−45478号公報等に開示されているポリフルオレン、その誘導体の共重合体、ポリアリーレン、その誘導体の共重合体、ポリアリーレンビニレン、その誘導体の共重合体、芳香族アミン及びその誘導体の(共)重合体が例示される。発光材料であって、さらに上記一般式(1)で表される構成連鎖を主鎖に有する高分子化合物は、上記高分子化合物に分類されるものとする。
【0139】
発光材料の含有割合は、本実施形態の高分子化合物100質量部に対して、発光効率が良好になるので、好ましくは3〜30質量部であり、より好ましくは3〜20質量部であり、特に好ましくは3〜10質量部である。
【0140】
本実施形態に係る高分子化合物は、正孔輸送材料及び電子輸送材料からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料との組成物としてもよく、これを発光層及び/又は電荷輸送層として用いることができる。正孔輸送材料及び電子輸送材料は、主に電荷(正孔及び電子)バランスの調整の役割を担う。
【0141】
正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、並びに、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体等が挙げられる。その他にも、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、又は特開平3−152184号公報に記載された正孔輸送材料も挙げられる。
【0142】
正孔輸送材料の含有割合は、これを発光層として用いる場合、本実施形態の高分子化合物100質量部に対して、電荷バランスが良好になるので、好ましくは3〜30質量部であり、より好ましくは3〜20質量部であり、特に好ましくは3〜10質量部である。
また、正孔輸送材料の含有割合は、これを正孔輸送層として用いる場合、本実施形態の高分子化合物100質量部に対して、電荷バランスが良好になるので、好ましくは3〜95質量部、より好ましくは3〜90質量部、特に好ましくは5〜80質量部である。
【0143】
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、並びに、ポリフルオレン及びその誘導体等が挙げられる。その他にも、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、又は特開平3−152184号公報に記載された電子輸送材料も挙げられる。
【0144】
電子輸送材料の含有割合は、これを発光層として用いる場合、本実施形態の高分子化合物100質量部に対して、電荷バランスが良好になるので、好ましくは5〜50質量部であり、より好ましくは5〜30質量部であり、特に好ましくは5〜20質量部である。
また、電子輸送材料の含有割合は、これを電荷輸送層として用いる場合、本実施形態の高分子化合物100質量部に対して、電荷バランスが良好になるので、好ましくは3〜95質量部、より好ましくは3〜90質量部、特に好ましくは5〜80質量部である。
【0145】
本実施形態の高分子化合物は、有機溶媒と併用することにより、溶液又は分散液(以下、単に「溶液」という。)とすることができる。溶液とすることにより、塗布による成膜を行うことができる。この溶液は、一般的に、インク組成物、液状組成物等と呼ばれる。該溶液には、上述の発光材料、正孔輸送材料及び電子輸送材料から選ばれる材料がさらに含まれていてもよい。
【0146】
有機溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン及びo−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン及びメシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン及びn−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルベンゾエート及びエチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン及び1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール若しくはその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びシクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、並びに、N−メチル−2−ピロリドン及びN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。これらの有機溶媒のうち、ベンゼン環を含む構造を有し、かつ融点が0℃以下、沸点が100℃以上である有機溶媒を含むと、溶液の粘度が適切な範囲となり、その結果、成膜性が良好となる傾向があるので好ましい。
【0147】
有機溶媒の含有割合は、本実施形態の高分子化合物1質量部に対して、成膜性が良好となるので、好ましくは10〜1000質量部であり、より好ましくは20〜500質量部であり、特に好ましくは30〜100質量部である。
【0148】
本実施形態の高分子化合物が有機溶媒を含む場合、高分子化合物からなる薄膜を積層・成膜させるには、溶液を塗布した後、乾燥により有機溶媒を除去するだけでよく、製造上非常に有利である。溶液は、50〜150℃に加温して乾燥させてもよく、また、10−3Pa程度に減圧して乾燥させてもよい。
【0149】
積層・成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、及び、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
【0150】
本実施形態の高分子化合物が有機溶媒を含む場合、溶液の粘度は印刷法によって異なるが、25℃において0.5〜500mPa・sの範囲であることが好ましい。また、インクジェットプリント法等、溶液が吐出装置を経由するものの場合には、吐出時の目詰まりや飛行曲がりを防止するために、溶液の粘度は25℃において0.5〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。
【0151】
[薄膜]
上記高分子化合物は、有機層として薄膜を形成する。このような薄膜は、上述の方法により、上記溶液から容易に製造することができる。そして、このような薄膜は、上記高分子化合物を含有するため、有機EL素子の発光層及び/又は電荷輸送層として好適であり、当該薄膜を発光層及び/又は電荷輸送層として有する有機EL素子は輝度寿命が向上されたものとなる。
【0152】
[有機EL素子]
有機EL素子は、陽極と陰極とからなる一対の電極、及び該一対の電極の間に設けられた上記有機層を有する。ここで、上記有機層は、発光層及び/又は電荷輸送層として機能する。有機EL素子は、好ましくは、上記薄膜からなる発光層及び/又は電荷輸送層を有するものである。
【0153】
上記有機EL素子の構成としては、以下のa)〜d)の構成が挙げられる。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下、同様である。)
【0154】
発光層とは、発光する機能を有する層であり、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層である。正孔輸送層と電子輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。
【0155】
各層の積層・成膜は、溶液から行うことができる。溶液からの積層・成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、及び、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
【0156】
発光層の厚さは、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0157】
有機EL素子が正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送材料としては、上記と同様のものが挙げられる。正孔輸送層の成膜は、如何なる方法で行ってもよいが、正孔輸送材料が低分子化合物である場合には、高分子バインダーとの混合溶液から成膜することが好ましい。正孔輸送材料が高分子化合物である場合には、溶液から成膜することが好ましい。
溶液からの成膜には、塗布法として例示した方法を用いることができる。
【0158】
混合する高分子バインダーは、電荷輸送を極度に阻害しないものであって、可視光に対する吸収が強くないものが好ましい。高分子バインダーとしては、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、及び、ポリシロキサン等が挙げられる。
【0159】
正孔輸送層の厚さは、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、正孔輸送層の厚さは、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0160】
有機EL素子が電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送材料としては、上記と同様のものが挙げられる。電子輸送層の成膜は、如何なる方法で行ってもよいが、電子輸送材料が低分子化合物である場合には、粉末からの真空蒸着法、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が好ましい。電子輸送材料が高分子化合物である場合には、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が好ましい。溶液又は溶融状態からの成膜には、高分子バインダーを併用してもよい。溶液からの成膜には、塗布法として例示した方法を用いることができる。
【0161】
混合する高分子バインダーは、電荷輸送を極度に阻害しないものであって、可視光に対する吸収が強くないものが好ましい。高分子バインダーとしては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、並びに、ポリシロキサン等が挙げられる。
【0162】
電子輸送層の厚さは、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、電子輸送層の厚さは、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0163】
また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と呼ぶことがある。さらに、電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して上記の電荷注入層又は絶縁層を設けてもよく、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。積層する層の順番や数、及び各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して選択すればよい。
【0164】
電荷注入層を設けた有機EL素子としては、以下のe)〜p)の構造を有するものが挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電荷輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
【0165】
電荷注入層としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層等が挙げられる。
【0166】
電荷注入層が導電性高分子を含む層である場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10−5S/cm〜10S/cmであることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10−5S/cm〜10S/cmであることがより好ましく、10−5S/cm〜10S/cmであることがさらに好ましい。かかる範囲を満たすために、導電性高分子に適量のイオンをドープしてもよい。
【0167】
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンとしては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオン等が挙げられ、カチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン等が挙げられる。
【0168】
電荷注入層の厚さは、例えば、1〜100nmであり、2〜50nmが好ましい。
【0169】
電荷注入層に用いる材料としては、電極や隣接する層の材料との関係で選択すればよく、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニン等)、並びに、カーボン等が挙げられる。
【0170】
絶縁層は、電荷注入を容易にする機能を有するものである。この絶縁層の平均厚さは、通常、0.1〜20nmであり、好ましくは0.5〜10nm、より好ましくは1〜5nmである。
絶縁層に用いる材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、又は有機絶縁材料等が挙げられる。
【0171】
絶縁層を設けた有機EL素子としては、以下のq)〜ab)の構造を有するものが挙げられる。
q)陽極/絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/絶縁層/陰極
s)陽極/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
t)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
v)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
w)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
y)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
z)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
ab)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
【0172】
有機EL素子を形成する基板は、電極及び有機物の層を形成する際に化学的に変化しないものであればよく、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、及び、シリコン等の基板が挙げられる。不透明な基板の場合には、該基板により近い電極と反対側の電極が透明又は半透明であることが好ましい。
【0173】
本実施形態において、通常は、陽極及び陰極からなる電極の少なくとも一方が透明又は半透明であり、陽極側が透明又は半透明であることが好ましい。
【0174】
陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられ、具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性無機化合物を用いて作製された膜、NESA、金、白金、銀、銅等が用いられる。また、陽極として、ポリアニリン及びその誘導体、並びに、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、又はカーボン等からなる層、或いは金属酸化物、金属フッ化物、又は有機絶縁材料等からなる層を設けてもよい。
【0175】
陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、及びメッキ法等が挙げられる。
【0176】
陽極の厚さは、光の透過性と電気伝導度とを考慮して選択することができるが、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは40nm〜500nmである。
【0177】
陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、若しくはイッテルビウム等の金属、それらのうち2種以上の合金、又はそれらのうち1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン及び錫のうち1種以上との合金、或いはグラファイト若しくはグラファイト層間化合物等が用いられる。
【0178】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。
【0179】
陰極の厚さは、電気伝導度や耐久性を考慮して選択することができるが、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0180】
また、陰極と発光層又は陰極と電子輸送層との間に、導電性高分子からなる層、或いは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる層を設けてもよく、陰極作製後、有機EL素子を保護する保護層を装着していてもよい。該有機EL素子を長期安定的に用いるためには、有機EL素子を外部から保護するために、保護層及び/又は保護カバーを装着することが好ましい。
【0181】
保護層としては、樹脂、金属酸化物、金属フッ化物、又は金属ホウ化物等を用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、又は表面に低透水率処理を施したプラスチック板等を用いることができ、該保護カバーを熱硬化樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴン等の不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にタメージを与えるのを抑制することが容易となる。
【0182】
本実施形態の高分子化合物を含有する有機層を有する有機EL素子は、曲面状光源、及び、平面状光源等の面状光源(例えば、照明);セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置(例えば、ドットマトリックスのフラットディスプレイ)、及び、液晶表示装置(例えば、液晶表示装置、液晶ディスプレイのバックライト)等の表示装置等に有用である。また、本実施形態の高分子化合物は、これらの作製に用いられる材料として好適である以外にも、レーザー用色素、有機太陽電池用材料、有機トランジスタ用の有機半導体、導電性薄膜、及び、有機半導体薄膜等の伝導性薄膜用材料、蛍光を発する発光性薄膜材料、並びに、高分子電界効果トランジスタの材料等としても有用である。
【0183】
白色照明の一部として本実施形態の高分子化合物を含有する発光層を用いる場合は、白色の色純度を得るために青色以外の発光材料を該発光層に組成物として含有してもよいし、青色以外の発光材料を有する第二の発光層を有していてもよい。
【0184】
本実施形態の高分子化合物を含有する有機層を有する有機EL素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、該面状の有機EL素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、陽極及び陰極のいずれか一方、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。
これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号等を表示できるセグメント表示装置が得られる。さらに、ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法や、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、及び、ビデオカメラのビューファインダー等の表示装置として用いることができる。
【実施例】
【0185】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0186】
(数平均分子量及び重量平均分子量)
実施例において、数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、島津製作所製、商品名:LC−10Avp)により、ポリスチレン換算で、求めた。測定する化合物を、約0.5質量%の濃度になるようテトラヒドロフラン(以下、「THF」という。)に溶解させ、溶液をGPCに30μL注入した。GPCの移動相にはTHFを用い、0.6mL/分の流速で流した。カラムには、TSKgel SuperHM−H(東ソー製)2本とTSKgel SuperH2000(東ソー製)1本を直列に繋げたものを用いた。検出器には、示差屈折率検出器(島津製作所製、商品名:RID−10A)を用いた。
【0187】
(NMR測定)
実施例において、単量体のNMR測定は、以下の条件で行った。
装置 : 核磁気共鳴装置、INOVA300(商品名)、バリアン社製
測定溶媒 : 重水素化クロロホルム又は重水素化テトラヒドロフラン
サンプル濃度 : 約1質量%
測定温度 : 25℃
【0188】
(LC−MS測定)
LC−MSの測定は、以下の方法で行った。測定試料を約2mg/mLの濃度になるようにクロロホルム又はテトラヒドロフランに溶解させて、LC−MS(アジレント・テクノロジー製、商品名:1100LCMSD)に1μL注入した。LC−MSの移動相には、イオン交換水、アセトニトリル、テトラヒドロフラン又はそれらの混合溶液を用い、必要に応じて酢酸を添加した。カラムは、L−column 2 ODS(3μm)(化学物質評価研究機構製、内径:2.1mm、長さ:100mm、粒子径3μm)を用いた。
【0189】
(重合に用いられる化合物の合成)
<合成例1:化合物3Aの合成>
4口フラスコ内の気体を窒素置換し、上記フラスコ内で、2,7−ジブロモフルオレノン16.5質量部をジフェニルエーテルに懸濁させた。懸濁液を120℃まで加熱し、2,7−ジブロモフルオレノンを溶解させた後、溶液に水酸化カリウム15.5質量部を加え、160℃まで昇温し、2.5時間撹拌した。溶液を室温まで放冷後、ヘキサンを加えて、ろ過し、得られた固形分をヘキサンで洗浄した。4口フラスコ内の気体を窒素置換し、上記フラスコ内で、得られた物を脱水N,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」という。)に溶解させた。90℃に昇温した該溶液に、反応を追跡しながら合計53.0質量部のヨウ化メチルを加えた。反応時間は合計10時間であった。室温まで放冷した溶液を0℃に冷却した水の中に滴下し、反応生成物をヘキサンで2回抽出した。シリカゲルを敷いたグラスフィルターでろ過後、濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物1Aを13.3質量部得た。
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=3.68(s,3H)、7.15(d,2H)、7.20(d,1H)、7.52(d,2H)、7.65(d,1H)、8.00(brs,1H).
13C−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=52.6、121.8、122.2、130.1、131.6、132.3、132.4、133.2、134.7、139.4、140.6、167.8.
【化19】

【0190】
3口丸底フラスコに1−ブロモ−4−n−ヘキシルベンゼン7.5質量部及び無水テトラヒドロフランを加え、−78℃に冷却した。ゆっくりと1.6Mのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1−ブロモ−4−n−ヘキシルベンゼンに対して1モル当量)を加え、−78℃で2時間撹拌した。温度を保ちながら化合物1A 4.95質量部を無水テトラヒドロフランに溶かし、滴下ロートを用いて、該溶液を−70℃以下に保ちながら滴下した。滴下終了後、−78℃で2時間撹拌し、ゆっくりと室温まで昇温した。該溶液に塩化アンモニウム飽和水溶液を加えて撹拌し、分液ロートに移して水層を除去した。溶液をさらに水で2回洗浄し、得られたテトラヒドロフラン溶液に無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。シリカゲルの層を敷いたグラスフィルターに、上記テトラヒドロフラン溶液を通じてろ過し、テトラヒドロフランで洗浄した。得られた溶液を濃縮し乾燥した。次いで、ヘキサン300mLに懸濁させて攪拌した後、ろ過することにより洗浄し、化合物2Aを6.0質量部得た。
【化20】

【0191】
3口フラスコに化合物2A(6.0質量部)及びジクロロメタンを加え、氷浴を用いて0℃に冷却した。溶液に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(27質量部)を、滴下ロートを用いて滴下した。溶液を2時間0℃で撹拌した後、該溶液を水と氷が加えられたビーカーに注加して反応を停止した。溶液を分液ロートへ移して分液し、ジクロロメタンで抽出した後、有機層を合わせて水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。シリカゲルの層を敷いたグラスフィルターを用いて硫酸ナトリウムをろ過し、濃縮した。得られた油状物にトルエンを加えて加熱還流し、70℃まで冷却後イソプロピルアルコールを加えて撹拌し、室温まで放置して冷却した。生じた結晶をろ過し、乾燥した。得られた結晶をナスフラスコに加え、さらにヘキサン及び活性炭を加えて加熱還流を2時間行った。ラジオライト(昭和化学工業品)、その上にセライトを敷いたグラスフィルターを、加熱(70℃)しておき、これを用いて活性炭をろ過して取り除いた。得られたろ液を半量濃縮し、加熱還流した後室温で1時間撹拌した。さらに氷浴を用いて冷やしながら2時間撹拌し、生じた結晶をろ過して集めた。目的とする化合物3Aを5.4質量部得た。
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=0.87(t,6H)、1.28〜1.37(m,12H)、1.50〜1.62(m,4H)、2.54(t,4H)、7.04(s,8H)、7.45(d,2H)、7.49(s,2H)、7.55(d,2H).
13C−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=14.4、22.9、29.4、31.6、32.0、35.8、65.4、121.8、122.1、128.1、128.7、129.7、131.1、138.3、141.9、142.1、153.7.
【化21】

【0192】
<合成例2:化合物4Aの合成>
不活性雰囲気下、化合物3A(6.1質量部)及び無水テトラヒドロフランからなる溶液に、−78〜−70℃にて2.5Mのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(化合物3Aに対して2.5モル当量)を滴下し、さらに6時間撹拌した。次いで、−70℃以下にて化合物5A(イソプロピルピナコールボレート)(5.2質量部)を滴下し、室温にて一晩撹拌した。得られた反応混合物に、塩酸エーテル溶液を−30℃にて滴下した。滴下後に室温まで戻し、減圧濃縮し、トルエンを加え撹拌し、シリカゲルを敷き詰めたろ過器を通じてろ過し、得られたろ液を減圧濃縮し固体を得た。得られた固体をアセトニトリルとトルエンから再結晶を行い、目的とする化合物4Aを4.5質量部得た。
【化22】

【0193】
<合成例3:化合物2Bの合成>
アルゴン気流下、反応容器に1−ブロモ−3,5−ジ−n−ヘキシルベンゼン(20.0質量部)とテトラヒドロフランを加え、均一溶液を調製し、該溶液を−69℃まで冷却した。該溶液に2.76Mのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1−ブロモ−3,5−ジ−n−ヘキシルベンゼンに対して1モル当量)を−68℃で1.5時間かけて滴下し、さらに該溶液を−70℃で1.5時間撹拌した。次いで、化合物1B−1(9.0質量部)とテトラヒドロフランからなる溶液を−70℃で1時間かけて滴下し、−70℃で2時間撹拌した。次いで、該溶液に−70℃にてメタノール、蒸留水を加え撹拌した後、室温まで昇温し、室温にて一晩撹拌した。次いで、反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮し、ヘプタン、水を加え撹拌し、静置して分液した有機層から水層を除去した。該有機層に飽和食塩水を加え撹拌し、静置して分液した有機層から水層を除去した。有機層に硫酸マグネシウム加え撹拌し、ろ過して得られたろ液を濃縮し、化合物1Bを23.4質量部得た。
【化23】

【0194】
アルゴン気流下、反応容器に化合物1B(48.0質量部)及びジクロロメタンを加え、均一溶液を調製し、−30℃に冷却した。該溶液に三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(化合物1Bに対して1モル当量)を30分間かけて滴下し、室温にて一晩撹拌した。次いで、反応混合物を−20℃に冷却し、蒸留水を加え、1時間撹拌した後、静置して分液した水層を有機層から除去した。次いで、水を加え撹拌し、静置して分液した水層を有機層から除去した。得られた有機層に10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液を加え撹拌し、静置して分液した水層を有機層から除去した。該有機層を濃縮し溶媒を除去した。次いで、トルエン及びヘプタンを展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、濃縮して溶媒を除去した。次いで、酢酸ブチルとメタノールを用い再結晶することにより、目的とする化合物2Bを23.2質量部得た。
【化24】

【0195】
<合成例4:化合物3Bの合成>
アルゴン気流下、4口フラスコに化合物2B(9.5質量部)、化合物3B−1(6.6質量部)、1,4−ジオキサン、酢酸カリウム(7.05質量部)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf、0.1質量部)及び1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯体(PdCl(dppf)・CHCl、0.15質量部)を加え、100〜102℃で5時間撹拌した。次いで、得られた反応混合物を室温まで冷却した後、セライト及びシリカゲルを敷き詰めたろ過器でろ過し、得られたろ液を濃縮して溶媒を除去した。次いで、ヘキサンを加えて調製した溶液に、活性炭を加え、ヘキサンが還流する温度にて1時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却後、セライトを敷き詰めたろ過器でろ過し、濃縮して溶媒を除去した。
次いで、トルエン及びアセトニトリルで再結晶を行うことにより、目的とする化合物3Bを10.1質量部得た。
【化25】

【0196】
<合成例5:化合物2Cの合成>
不活性雰囲気下、3口フラスコに、3−n−ヘキシル−5−メチルブロモベンゼン(26.2質量部)及び無水テトラヒドロフランを加え均一溶液とし、−70℃に冷却した。得られた溶液に、2.5Mのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(3−n−ヘキシル−5−メチルブロモベンゼンに対して0.93モル当量)を、溶液の温度が−70℃に保たれるように滴下し、同温度にて4時間撹拌し、溶液(以下、「溶液A」と言う。)を調製した。
別途、2口フラスコに、2−メトキシカルボニル−4,4’−ジブロモビフェニル(16.0質量部)及び無水テトラヒドロフランを加え、溶液(以下、「溶液B」と言う。
)を調製した。
溶液Aに溶液Bを、溶液Aの温度が−70℃に保たれるように滴下し、撹拌した。次いで、反応液を室温にて15時間撹拌した。次いで、反応液に水を0℃にて加え、撹拌した。次いで、減圧下濃縮操作により溶媒を留去し、残留物にヘキサン及び水を加え、撹拌し、静置して生成した水層を除去し有機層を得た。この有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥させた後、減圧下で濃縮することにより、下記式で表される化合物1Cを白色固体として得た。
【化26】

【0197】
不活性雰囲気下、3口フラスコに、化合物1C(30.0質量部)及び無水ジクロロメタンを加え、5℃に冷却した。得られた混合物に、温度が0〜5℃の範囲内に保たれるように、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(化合物1Cに対して4.2モル当量)を滴下した後、室温にて終夜撹拌した。反応液を、氷水に注意深く注ぎ、30分撹拌し、静置して分液した水層を有機層から除去した。この有機層に10質量%リン酸カリウム水溶液を加え、2時間撹拌した後、静置して生成した水層を有機層から除去した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥させた後、濃縮することにより溶媒を留去し、オイル状の液体を得た。このオイル状の液体にメタノールを加え、固体を得た。この固体をn−ブチルアセテート及びメタノールから再結晶を行うことにより、下記式で表される化合物2Cを24.0質量部得た。
【化27】

【0198】
<合成例6:化合物3Cの合成>
3口フラスコに、化合物2C(8.0質量部)、ビス(ピナコレート)ジボロン(6.6質量部)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯体(Pd(dppf)・CHCl、0.15質量部)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.099質量部)、無水1,4−ジオキサン及び酢酸カリウム(7.0質量部)を加え、100℃で20時間撹拌した。反応液を室温に冷却した後、シリカゲルを通液させ、シリカゲルをトルエンで洗浄し、得られた溶液の溶媒を濃縮することにより留去し、褐色の液体を得た。この液体を、ヘキサンを展開溶媒とし、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した後、濃縮することにより得られた液体にアセトニトリルを加え、固体を得た。この固体をアセトニトリル及びトルエンから再結晶を1回行い、ジクロロメタン及びメタノールから再結晶を1回行い、減圧下で乾燥させることにより、下記式で表される化合物3Cを2.9質量部得た。
【化28】

【0199】
<合成例7:化合物2Dの合成>
3口フラスコ内の気体を窒素置換し、3口フラスコ内で、1−ブロモ−3−n−ヘキシルベンゼン22.6質量部を、無水テトラヒドロフランに溶解させた。得られた溶液を−75℃以下に冷却し、2.5M n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1−ブロモ−3−n−ヘキシルベンゼンに対して0.96モル当量)を滴下し、−75℃以下に保ちながら5時間撹拌した。そこに、2−メトキシカルボニル−4,4’−ジブロモビフェニル15.0質量部を無水テトラヒドロフランに溶解させた溶液を−70℃以下に保ちながら滴下した。得られた溶液を室温までゆっくりと昇温後、終夜撹拌した。反応液を0℃で撹拌しながら、水を滴下した。反応液から溶媒を留去した後、残渣に水を加え、ヘキサン3回で抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、水層をヘキサンで再抽出した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去したところ、26.4質量部の化合物1Dの粗生成物を得た。
【化29】

【0200】
3口フラスコ内で、上記で合成した化合物1D 26.4質量部を、ジクロロメタンに溶解させ、該フラスコ内の気体を窒素置換した。得られた溶液を0℃以下に冷却し、5℃以下に保ちながら三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(化合物1Dに対して5モル当量)を滴下した。室温までゆっくり昇温後、終夜撹拌した。反応液を氷水中に撹拌しながら注ぎ、30分撹拌した。反応液を分液し、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、10質量%リン酸カリウム水溶液を加えて分液し、有機層を水2回で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去して得られたオイルをトルエンに溶解させ、シリカゲルを敷いたグラスフィルターに通し、ろ過した。溶媒を留去した後、メタノールを加えて激しく撹拌した。得られた結晶をろ過し、メタノールで洗浄した。
ヘキサン/酢酸ブチル混合溶媒で再結晶して、化合物2Dを12.1質量部得た。
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=0.86(6H,t)、1.26(12H,m)、1.52(4H,m)、2.51(4H,t)、6.87(2H,d)、7.00(2H,s)、7.04(2H,d)、7.12(2H,t)、7.46(2H,dd)、7.48(2H,d)、7.55(2H,d).
【化30】

【0201】
<合成例8:化合物3Dの合成>
3口フラスコに化合物2D 5.0質量部を加え、該フラスコ内の気体を窒素置換した。そこに、無水テトラヒドロフランを加え、−70℃以下に冷却した。得られた溶液を−70℃以下に保ちながら2.5M n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(化合物2Dに対して2.2モル当量)を滴下した。滴下後、温度を保ちながら4時間撹拌した。そこに、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(化合物2Dに対して2.8モル当量)を加えた後、室温までゆっくり昇温し終夜撹拌した。反応液を−30℃に冷却し、2M塩酸/ジエチルエーテル溶液を滴下した後、室温まで昇温した。そこから溶媒を留去した後、トルエンを加えて溶解させ、シリカゲルを敷いたグラスフィルターに通してろ過し、得られた溶液の溶媒を留去して、5.0質量部の粗生成物を得た。この粗生成物を、窒素雰囲気下でトルエン/アセトニトリル混合溶媒から再結晶し、化合物3Dを3.4質量部得た。
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=0.86(6H,t)、1.26−1.29(12H,m)、1.31(24H,s)、1.52−1.53(4H,m)、2.50(4H,t)、6.92(2H,d)、7.00(2H,d)、7.08(2H,t)、7.13(2H,s)、7.77(2H,d)、7.81−7.82(4H,m).
【化31】

【0202】
<合成例9:化合物1Eの合成>
ピレン(8.8質量部)にクロロホルムを加えて調製した溶液に、臭素(13.4質量部)とクロロホルムからなる溶液を20〜25℃にて7時間かけて滴下し、さらに20〜25℃にて3時間撹拌した。次いで、20〜25℃にて3時間静置した後、析出した固体をろ過し、クロロホルムで洗浄し、減圧乾燥を行い、固体A9.7質量部を得た。次いで、得られた固体A(4.0質量部)にトルエンを加え30〜35℃にて1時間撹拌し、5℃にて18時間静置した。析出した固体をろ過し、メタノールで洗浄し、減圧乾燥することにより、目的とする化合物1E(2.66質量部)を得た。
LC−MS(APPI−MS(posi)):358 [M]
【化32】

【0203】
<合成例10:化合物4Iの合成>
反応容器をアルゴン雰囲気下とし、1−ブロモ−3,5−ジ−n−ヘキシルベンゼン(58.4g)およびテトラヒドロフランを加え、均一溶液を調製し、−75℃まで冷却した。該溶液に2.5Mのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1−ブロモ−3,5−ジ−n−ヘキシルベンゼンに対して1モル当量)(71.2ml)を−75℃で1.5時間かけて滴下し、さらに該溶液を−70℃で1.5時間撹拌した。次いで、2,7−ジブロモフルオレノン(55.2g)とテトラヒドロフランからなる溶液を−75℃で1時間かけて滴下し、反応液を室温まで昇温させ4時間撹拌した。次いで、該溶液を0℃まで冷却させ、アセトン、2mol%塩酸水をゆっくり加え撹拌した後、室温まで昇温し、室温にて静置した。次いで、反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮し、ヘキサン、水を加え撹拌し、静置して分液した有機層から水層を除去した。該有機層に飽和食塩水を加え撹拌し、静置して分液した有機層から水層を除去した。有機層に硫酸マグネシウムを加え撹拌し、ろ過して得られたろ液を濃縮し、化合物1I(30.2g)を得た。
【化33】

【0204】
反応容器をアルゴン気流下とし、化合物1I(27.7g)およびトリフルオロ酢酸(36ml)を加えた。該溶液にトリメチルシラン(8.4ml)とヘキサン(25ml)の混合溶液を30分間かけて滴下し、室温にて一晩撹拌した。次いで、該反応液を10℃に冷却し、ヘキサンと蒸留水を加え、1時間撹拌した後、静置して分液した水層を有機層から除去した。次いで、水を加え撹拌し、静置して分液した水層を有機層から除去した。該有機層に飽和食塩水を加え撹拌し、静置して分液した有機層から水層を除去した。有機層に硫酸マグネシウムを加え撹拌し、ろ過して得られたろ液を濃縮した。次いで、ヘキサンおよびジクロロメタンを展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、濃縮して溶媒を除去した。次いで、メタノールで洗浄することにより、目的とする化合物2I(12.1g)を得た。
【化34】

【0205】
反応容器をアルゴン気流下とし、化合物2I(12.0g)、ジメチルスルホキシド(60ml)、水(2ml)及び水酸化カリウム(4.85g)を加えた。該溶液にヨウ化メチル(4.1ml)を滴下し、室温にて一晩撹拌した。次いで、該反応液を室温にて、ヘキサンと蒸留水を加え、1時間撹拌した後、静置して分液した水層を有機層から除去した。次いで、水を加え撹拌し、静置して分液した水層を有機層から除去した。該有機層に飽和食塩水を加え撹拌し、静置して分液した有機層から水層を除去した。有機層に硫酸マグネシウムを加え撹拌し、ろ過して得られたろ液を濃縮した。次いで、メタノールと酢酸ブチルを用いて再結晶することにより、目的とする化合物3I(4.3g)を得た。
【化35】

【0206】
反応容器をアルゴン雰囲気下とし、化合物3I(4.2g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン)(4.0g)、1,4−ジオキサン(45ml)、酢酸カリウム(4.2g)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf、59mg)及び1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯体(PdCl(dppf)・CHCl、88mg)を加え、100℃で20時間撹拌した。次いで、得られた反応混合物を室温まで冷却した後、セライトおよびシリカゲルを敷き詰めたろ過器でろ過し、得られたろ液を濃縮して溶媒を除去した。次いで、ヘキサンを加えて調製した溶液に、活性炭を加え、ヘキサンが還流する温度にて1時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却後、セライトを敷き詰めたろ過器でろ過し、濃縮して溶媒を除去した。次いで、トルエンおよびメタノールで再結晶を行うことにより、目的とする化合物4I(3.9g)を得た。
【化36】

【0207】
<合成例11:化合物1Tの合成>
100mLの3口フラスコを窒素置換し、2−エチルヘキシルマグネシウムブロミド(1.0Mジエチルエーテル溶液、25mL、25mmol)を取り、還流した。この溶液に2−ブロモアントラセン(5.34g、20.8mmol)とPdCl2(dppf)・CH2Cl2(33mg、0.04mmol)とを50mlの脱水シクロペンチルメチルエーテルに懸濁させた懸濁液を35分間で滴下した。1時間還流後、氷浴につけて冷却し、2M塩酸(5mL)を滴下した。トルエン50mLを加え、50mL、30mLの水で分液洗浄した。水層を合わせ、トルエンで再抽出した。トルエン層を合わせ、飽和食塩水30mLで洗浄した。シリカゲル20gを敷いたグラスフィルターを通して濾過し、トルエンで洗浄した。濾液の溶媒を留去したところ、7.45gの粗生成物を得た。
5.40gの粗生成物をイソプロピルアルコール(54mL)で再結晶をおこなった。加熱、溶解を確認した後、放冷し、内温65℃で結晶化が見られ、この温度で2時間保温した。その後、ゆっくり冷却し、室温まで放冷した後、濾過、イソプロピルアルコールで洗浄した。イソプロピルアルコールによる再結晶を更に2回繰り返し、3.81gの2−(2−エチルヘキシル)アントラセン(収率67.2%)を白色固体として得た。
LC−MS(APPI positive):291([M+H]、exact mass=290)
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=0.87〜0.94(6H、m)、1.27〜1.48(8H、m)、1.68〜1.75(1H、m)、2.71(2H、d)、7.29(1H、d)、7.40〜7.46(2H、m)、7.71(s、1H)、7.91(1H、d)、7.95〜7.98(2H、m)、8.32(1H、s)、8.36(1H、s).
13C−NMR(75MHz/CDCl):
δ(ppm)=11.1、14.4、23.4、25.9、29.2、32.8、40.9、41.0、125.2、125.5、125.6、126.2、127.2、128.2、128.3、128.4、128.5、131.0、131.8、132.2、139.2.
【化37】

【0208】
300mLの4口フラスコを窒素置換し、2−(2−エチルヘキシル)アントラセン(3.50g、12.1mmol)を取り、105mLの脱水ジクロロメタンに溶解させた。反応マスを氷浴につけて冷却し、20分で臭素(4.17g、26.1mmol)を20分かけて滴下した。滴下後、45分攪拌した後、1%チオ硫酸ナトリウム水溶液を5分で滴下し、反応をクエンチした。分液し、有機層をクロロホルム100mLで抽出した。有機層を合わせ、水洗した。シリカゲル20gを敷いたグラスフィルターを通して濾過し、ヘキサンで洗浄した。濾洗液を濃縮し、5.47gの粗生成物を黄色粘性オイルとして得た。
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ120g、展開溶媒ヘキサンのみ)にて精製し、4.26gの黄色粘性オイルとして得た。次いでメタノール1Lを加え加熱溶解し、一晩静置して結晶を得た。このスラリー溶液を約150mLまで濃縮した後、濾過し、3.91gの淡黄色固体を得た。
得られた固体をヘキサン(50mL)に溶解させ、活性炭1.00gを加え、1時間攪拌した。セライト13gを敷いたグラスフィルターを通して濾過、ヘキサン洗浄し、濾洗液を濃縮した。これにイソプロピルアルコール(100mL)を加えて加熱した後、35℃まで放冷し、種晶を加えた。攪拌後、濾過、イソプロピルアルコールで洗浄し、2.76g(収率51%)の9,10ジブロモ−2−(2−エチルヘキシル)アントラセン(化合物1T)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=0.86〜0.97(6H、m)、1.20〜1.40(8H、m)、1.72〜1.77(1H、m)、2.78(2H、d)、7.43(1H、d)、7.55〜7.59(2H、m)、8.28(1H、s)、8.46(1H、d)、8.51〜8.54(2H、m).
13C−NMR(75MHz/CDCl):δ(ppm)=11.2、14.5、23.3、25.9、29.1、32.7、40.7、40.9、122.8、123.6、127.2、127.3、127.6、128.3、128.4、128.5、130.3、130.8、131.4、141.7.
【化38】

【0209】
<合成例12:化合物3Pの合成>
窒素雰囲気下、1,5−ナフチルビス(トリフルオロメタンスルホネート)(化合物1P、25.0g)と、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメチレン付加体(0.24g)と、tert−ブチルメチルエーテル(410mL)を仕込み、10℃以下で、2−エチルヘキシルマグネシウムブロマイド(1mol/L ジエチルエーテル溶液173mL)を滴下し、室温にて4時間攪拌した。反応終了後、水と2N塩酸の混合液に反応液を注加し、水層を酢酸エチルにより抽出した後、得られた有機層を塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。洗浄した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧下で溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン)により精製を行い、化合物2Pを淡黄色油状物として21.3g得た。
MS(ESI、positive):[M]353
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=0.75−1.00(12H,m),1.10−1.50(16H,m),1.69−1.85(2H,m),2.90−3.05(4H,m),7.24−7.38(3H,m),7.35−7.44(3H,m),7.90−7.95(3H,m).
【化39】

【0210】
窒素雰囲気下、化合物2P(21.3g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン)(46.0g)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ジ−μ−メトキシジイリジウム(I)(0.24g)(アルドリッチ社製)、4,4’−ジtert−ブチル−2,2’−ジピリジル(0.19g)及びジオキサン(140mL)の混合物を、100℃で3時間攪拌した。得られた混合物を冷却後、ジオキサンを減圧下で留去し、残留物にメタノールを加え、析出した固体をろ取し、乾燥させた。この固体をトルエンに溶解させ、活性白土を加え、60℃で30分撹拌した。その後、混合物を、シリカゲルをプレコートした濾過機にて熱時ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた濃縮残渣にメタノールを加え、析出した固体をろ取し、乾燥させて、化合物3Pを白色粉末固体として28.0g得た。
LC−MS(ESI、positive):[M]605
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=0.85−0.95(12H,m),1.24−1.50(16H,m),1.66−1.85(2H,m),2.90−3.18(4H,m),7.60(2H,s),8.47(2H,s).
【0211】
【化40】

【0212】
<合成例13:化合物6Mの合成>
5Lの三つ口フラスコに、マグネシウム(60.5g、2.485mol)、脱水ジエチルエーテル(1500mL)、1,2−ジブロモエタン(1mL、0.0115mol)を加え、そこに、2−エチルヘキシルブロミドをゆっくり加え、40℃にて2時間攪拌し、室温に戻し溶液Aを調製した。次いで、5Lの三つ口フラスコに、3,4−ジブロモチオフェン(100g、0.4233mol)、ビス(ジフェニルフォスフィノプロパン)ニッケル(II)及び脱水ジエチルエーテル(1500mL)を加えて溶液を調製し、そこに、溶液Aを室温にて加え、室温で4時間攪拌し、さらに40℃にて14時間攪拌した。得られた反応液を、1.5N塩酸水溶液と氷の混合物に加え攪拌し、分離した有機層を水層と分離した。該有機層を水(1000mL)、飽和食塩水(1000mL)で洗浄し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的とする化合物1Mを得た(124g、収率97%)。
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=0.96〜1.03(12H、m)、1.19〜1.38(16H、m)、1.55〜1.60(2H、m)、2.44(4H、d)、6.86(2H、s).
【化41】

【0213】
5Lの三つ口フラスコに、化合物1M(124g、0.4018mol)及びジクロロメタン(2.5L)を加え、そこに攪拌しながらメタクロロ過安息香酸(m−CPBA)をゆっくり加え、室温にて14時間攪拌した。次いで、ジクロロメタン(1L)を加え、NaHSO3水溶液(500mL)にて2回、NaHCO3水溶液(500mL)にて2回、飽和食塩水(500mL)にて2回洗浄し、有機層を濃縮乾固して粗生成物を得た。該粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、目的とする化合物2Mを得た(80g、収率59%)。
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=0.86〜0.92(12H、m)、1.27〜1.39(16H、m)、1.40〜1.60(2H、m)、2.22(4H、d)、6.20(2H、s).
【化42】

【0214】
2Lの三つ口フラスコに、化合物2M(80g、0.2349mol)、1,4−ナフタレンジオン(63.15g、0.3993mol)及びジメチルスルホキシド(1600mL)を加え、110℃にて60時間攪拌した。次いで、得られた反応液を、室温にて水(1L)にゆっくり加え攪拌し、ジクロロメタン(2L)を加え攪拌し、得られた有機層を水層と分離した。該有機層を、水(500mL)で2回、飽和食塩水(1000mL)で1回洗浄し、濃縮乾固して粗生成物を得た。次いで、該粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的とする化合物3Mを得た(51g、収率49%)
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=0.92〜0.99(12H、m)、1.26〜1.39(16H、m)、1.66〜1.68(2H、m)、2.71(4H、d)、7.78(2H、dd)、8.05(2H、s)、8.31(2H、dd).
【化43】

【0215】
1,4−ジブロモベンゼン(31.20g、132mmol)及び脱水ジエチルエーテル(279mL)からなる溶液に、1.67Mのn−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(79.2mL、132mmol)を−78℃にて滴下し、同温度にて1時間攪拌し、溶液Bを調製した。次いで、化合物3M(14.31g、33mmol)及び脱水ジエチルエーテル(28mL)からなる溶液に、溶液Bを−78℃にて滴下し、同温度にて1時間攪拌した。次いで、室温にて3時間攪拌し、0℃にて水(140mL)を加え攪拌した。次いで、酢酸エチルを加え攪拌して得られた有機層を水層と分離した。得られた有機層を濃縮乾固し、目的とする化合物4Mを得た(32.8g)。
【化44】

【0216】
化合物4M(24.69g)、酢酸(165mL)、ヨウ化カリウム(14.27g)及びNaHPO・HO(31.54g)を125℃にて3時間攪拌した。得られた反応液を氷水に加え攪拌し、さらにトルエンを加え攪拌し、得られた有機層を水層と分離した。該有機層を濃縮乾固し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的とする化合物5Mを得た(21.83g)。
【化45】

【0217】
不活性ガス雰囲気下、化合物5M(1.70g、2.39mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン)(1.33g、5.25mmol)、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(Pd(dppf)・CHCl、38mg、0.05mmol)、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(30mg、0.05mmol)、無水1,4−ジオキサン(20mL)及び酢酸カリウム(1.4g、14.31mmol)を加え、還流下6時間攪拌した。得られた混合物を室温に戻した後、水、トルエンを加え攪拌し、得られた有機層を水層と分離し、濃縮乾固し、粗生成物を得た。該粗生成物に、ヘキサン(100mL)、活性炭(0.3g)を加え40℃にて30分攪拌し、セライトを敷き詰めた濾過器にて濾過を行い、濃縮乾固し固体を得た。該固体をヘキサンにて再結晶を行い、目的とする化合物6Mを得た(0.43g)。
【化46】

【0218】
<合成例14:化合物5Nの合成>
まず、化合物1Nを用いて下記のとおり化合物2Nを合成した。
【化47】


(式中、波線は、当該波線を有する化合物が幾何異性体混合物であることを示す。)
【0219】
撹拌器を備えた1Lの四つ口フラスコにヘプチルトリフェニルホスホニウムブロミド(115.0g)入れ、フラスコ内の気体をアルゴンで置換した。このフラスコ内に、トルエン(375g)を入れ、5℃以下に冷却した。カリウムtert−ブトキシド(29.2g)を入れ、室温まで昇温した後、室温で3時間保温撹拌した。反応液中に生じた赤色スラリーに、化合物1N(15.0g)を入れ、室温で12時間保温撹拌した。反応液に酢酸(10.0g)を入れて15分撹拌した後、濾過し、濾過残渣をトルエンで複数回洗浄した。複数回分のろ液を合わせて濃縮し、ヘキサンを入れたところスラリーが生じたので、このスラリーを50℃で、1時間保温しながら撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却し、濾過した。濾過残渣をヘキサンで複数回洗浄し、複数回分のろ液を合わせて濃縮することで粗生成物が得られた。この粗生成物をシリカゲルカラム(展開溶媒 ヘキサン)を用いて精製することで、無色透明液体として化合物2Nを21.7g得た。
LC−MS(ESI、positive):[M+K]491
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=0.87(6H、t)、1.20〜1.36(16H、m)、1.82〜1.97(4H、m)、2.57〜2.81(8H、m)、5.20(2H、br)、7.23〜7.32(4H、m)、7.41〜7.48(2H、m)、7.87〜7.90(2H、m).
【0220】
次いで、化合物2Nを用いて下記のとおり化合物3Nを合成した。
【化48】


(式中、波線は、当該波線を有する化合物が幾何異性体混合物であることを示す。また、式中、*は、それを付した炭素原子が不斉炭素原子であることを示す。)
【0221】
撹拌器を備えた1Lの四つ口フラスコに化合物2N(21.7g)を入れた後、酢酸エチル(152.4g)とエタノール(151.6g)を入れ、フラスコ内の気体を窒素で置換した。5重量%Pd/C(約50重量%含水品)(4.3g)を入れた後、フラスコ内の気体を水素で置換し、水素雰囲気下、40℃で27時間保温しながら撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却し、セライトをプレコートした濾過器により濾過し、残渣を酢酸エチルで複数回洗浄し、複数回分のろ液を合わせて濃縮することにより、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラム(展開溶媒 ヘキサン)を用いて精製することで、無色透明液体として化合物3Nを21.7g得た。
LC−MS(APPI、positive):[M]456
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=0.66〜0.98(6H、m)、1.00〜2.22(34H、m)、7.13〜7.50(6H、m)、7.80〜7.98(2H、m).
【0222】
次いで、化合物3Nを用いて下記のとおり化合物4Nを合成した。
【化49】


(式中、*は、それを付した炭素原子が不斉炭素原子であることを示す。)
【0223】
撹拌器を備えた500mLの四つ口フラスコに化合物3N(21.7g)、クロロホルム(261.1g)及びトリフルオロ酢酸(44g)を入れ、フラスコ内の気体をアルゴンで置換した。四つ口フラスコ全体を遮光し、臭素(19.0g)とクロロホルム(65.3g)の混合物を室温で、15分かけてフラスコ内に滴下し、その後35℃まで昇温した。
【0224】
35℃で7時間、保温しながら撹拌した後、15℃以下に冷却した。反応液に10重量%亜硫酸ナトリウム水溶液(109g)入れ、室温まで昇温した。反応液から水層を分離し、有機層を水、5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順に洗浄した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ろ液を濃縮することにより、粗生成物を得た。この粗生成物をエタノールとヘキサンの混合液で、2回再結晶を行った。得られた固体をヘキサンに溶解させ、シリカゲルカラム(展開溶媒 ヘキサン)を用いて精製し、得られたヘキサン溶液に活性炭(2.1g)を加え、45℃で1時間、保温しながら撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却し、セライトをプレコートした濾過器により濾過し、残渣をヘキサンで複数回洗浄し、複数回分のろ液を合わせて一部濃縮しヘキサン溶液を得た。このヘキサン溶液にエタノールを加えて、再結晶することにより、化合物4Nを白色固体として18.8g得た。
LC−MS(ESI、negative):[M+Cl]648
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=0.66〜0.98(6H、m)、1.00〜2.20(34H、m)、7.22〜7.78(6H、m).
【0225】
H−NMRの測定結果から、化合物4Nが立体化学の異なる異性体(4a:4b:4c=51:39:10)(モル比)の混合物であることを確認した。
【化50】

【0226】
次いで、化合物4Nを用いて下記のとおり化合物5Nを合成した。
【化51】


(式中、*は、それを付した炭素原子が不斉炭素原子であることを示す。)
【0227】
200mLの4つ口フラスコに、化合物4N(9.70g)、ビスピナコレートジボロン(8.82g)及び酢酸カリウム(9.25g)を入れた後、フラスコ内の気体を窒素で置換した。そこに、1,4−ジオキサン(95mL)、塩化パラジウム(ジフェニルホスフィノフェロセン)ジクロロメタン付加体(PdCl(dppf)(CHCl)(0.195g)及びジフェニルホスフィノフェロセン(dppf)(0.131g)を加え、105℃で7時間攪拌した。得られた溶液を、室温まで冷却した後、セライトをプレコートした漏斗で濾過した。濾液を減圧濃縮して得られた濃縮物をヘキサンに溶解させた後、活性炭を加えて40℃で1時間加熱しながら攪拌した。得られた混合物を、室温まで冷却した後、セライトをプレコートした漏斗で濾過した。濾液を減圧濃縮して得られた固体を、トルエンとアセトニトリルの混合溶媒で再結晶することで白色固体として化合物5Nを9.0g得た。
LC−MS(ESI、positive、KCl添加):[M+K]747
【0228】
<合成例15:化合物2Qの合成>
下記化合物1Q(3.00g)、ビスピナコレートジボロン(2.84g)、酢酸カリウム(2.99g)、1,4−ジオキサン(30g)、塩化パラジウム(ジフェニルホスフィノフェロセン)ジクロロメタン付加体(PdCl(dppf)(CHCl)(83mg)及びジフェニルホスフィノフェロセン(dppf)(56mg)を、103℃で6時間攪拌した。得られた溶液を、室温まで冷却した後、セライトを敷き詰めた漏斗で濾過した。濾液を減圧濃縮して得られた濃縮物をヘキサンに溶解させた後、活性炭を加えて40℃で1時間加熱しながら攪拌した。得られた混合物を、室温まで冷却した後、セライトを敷き詰めた漏斗で濾過した。濾液を減圧濃縮して得られた固体を、トルエンとアセトニトリルの混合溶媒で再結晶することで白色固体として化合物2Qを2.6g得た。
【化52】

【0229】
(重合体の製造)
【0230】
<重合例1:重合体1の合成>
不活性雰囲気下、化合物3C(13.380g、17.45mmol)、下記式:
【化53】


で表される化合物(F8BE:3.702g、6.98mmol)、化合物2D(16.121g、24.93mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(17.5mg)及びトルエン(478mL)を混合し、100℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(83.7g)を滴下し、4.5時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(300mg)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(17.5mg)を加え、さらに14時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水で2回、3質量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体1(14.75g)を得た。重合体1のポリスチレン換算の数平均分子量は6.1×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.1×10であった。
【0231】
重合体1は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化54】


で表される構成単位と、下記式:
【化55】


で表される構成単位と、下記式:
【化56】


で表される構成単位とを、36:14:50のモル比で有する共重合体であった。
【0232】
<重合例2:重合実施例1となる重合体2の合成>
不活性雰囲気下、化合物3A(2.218g、3.00mmol)、下記式:
【化57】


で表される化合物(化合物1F:1.008g、3.02mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.1mg)及びトルエン(75mL)を混合し、105℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10mL)を滴下し、5.5時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(36.6mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.1mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10mL)を加え、さらに14時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水で2回、3質量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体2(高分子化合物:1.33g)を得た。重合体2(高分子化合物)のポリスチレン換算の数平均分子量は1.4×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は3.2×10であった。
【0233】
重合体2は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化58】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化59】


で表されるYに該当する構成単位とを、50:50のモル比で有しており、上述の重合シミュレーションによれば、一般式(1)で表される構成連鎖(n=1)のみからなる交互共重合体であった。
【0234】
<重合例3:重合実施例2となる重合体3の合成>
不活性雰囲気下、化合物3B(2.694g、2.97mmol)、化合物1F(1.008g、3.00mmol)、フェニルボロン酸(7.3mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.1mg)及びトルエン(71mL)を混合し、105℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10mL)を滴下し、6.5時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(36.5mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.1mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10mL)を加え、さらに16.5時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水で2回、3質量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体3(高分子化合物:2.13g)を得た。重合体3のポリスチレン換算の数平均分子量は2.9×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は8.6×10であった。
【0235】
重合体3は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化60】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化61】


で表されるYに該当する構成単位とを、50:50のモル比で有し、式(1)で表される構成連鎖(n=1)のみからなる交互共重合体であった。
【0236】
<重合例4:重合実施例3となる重合体4の合成>
不活性雰囲気下、化合物3C(2.300g、3.00mmol)、化合物1F(1.008g、3.00mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.1mg)及びトルエン(71mL)を混合し、105℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10mL)を滴下し、3.5時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(37.0mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.1mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10mL)を加え、さらに16時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水で2回、3質量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体4(高分子化合物:1.50g)を得た。重合体4のポリスチレン換算の数平均分子量は1.3×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は3.6×10であった。
【0237】
重合体4は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化62】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化63】


で表されるYに該当する構成単位とを、50:50のモル比で有し、式(1)で表される構成連鎖(n=1)のみからなる交互共重合体であった。
【0238】
<重合例5:重合実施例4となる重合体5の合成>
不活性雰囲気下、化合物3B(1.785g、1.97mmol)、化合物1E(0.720g、2.00mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.4mg)及びトルエン(47mL)を混合し、105℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(7mL)を滴下し、4時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24.4mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.3mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(7mL)を加え、さらに19時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水で2回、3質量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体5(高分子化合物:1.41g)を得た。重合体5のポリスチレン換算の数平均分子量は6.1×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.5×10であった。
【0239】
重合体5は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化64】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化65】


で表されるYに該当する構成単位とを、50:50のモル比で有し、式(1)で表される構成連鎖(n=1)のみからなる交互共重合体であった。
【0240】
<重合例6:重合実施例5となる重合体6の合成>
不活性雰囲気下、化合物3B(1.805g、1.99mmol)、下記式:
【化66】


で表される化合物1G(1.024g、2.00mmol)、酢酸パラジウム(0.5mg)、トリス(トリ−o−メトキシフェニルホスフィン)(2.8mg)及びトルエン(60mL)を混合し、105℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(7mL)を滴下し、3時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24.4mg)、酢酸パラジウム(0.5mg)、トリス(トリ−o−メトキシフェニルホスフィン)(2.8mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(7mL)を加え、さらに18.5時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水で2回、3質量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体6(高分子化合物:0.87g)を得た。重合体6のポリスチレン換算の数平均分子量は5.6×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は3.1×10であった。
【0241】
重合体6は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化67】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化68】


で表されるYに該当する構成単位とを、50:50のモル比で有し、式(1)で表される構成連鎖(n=2)のみからなる交互共重合体であった。
【0242】
<重合例7:重合体7の合成>
不活性雰囲気下、化合物3B(2.688g、2.96mmol)、下記式:
【化69】


で表される化合物1H(1.640g、1.80mmol)、下記式:
【化70】


で表される化合物(F8BR:0.411g、0.75mmol)、下記式:
【化71】


で表される化合物1J(0.238g、0.45mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.1mg)及びトルエン(62mL)を混合し、105℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10mL)を滴下し、3時間20分還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(36.8mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.1mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10mL)を加え、さらに16時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水で2回、3質量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体7(3.12g)を得た。重合体7のポリスチレン換算の数平均分子量は8.0×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.6×10であった。
【0243】
重合体7は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化72】


で表される構成単位と、下記式:
【化73】


で表される構成単位と、下記式:
【化74】


で表される構成単位と、下記式:
【化75】


で表される構成単位とを、50:30:12.5:7.5のモル比で有する共重合体であった。
【0244】
<重合例8:重合実施例6となる重合体8の合成>
不活性雰囲気下、化合物4I(1.725g、2.55mmol)、化合物1F(0.8401g、2.50mmol)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(2.2mg)及びトルエン(39mL)を混合し、100℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(8.3mL)を滴下し、2.5時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(30.5mg)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(2.2mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(8.3mL)を加え、さらに12時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水(18mL)で2回、3質量%酢酸水溶液(18mL)で2回、水(18mL)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(253mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエン(52mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(253mL)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体8(高分子化合物:6.4g)を得た。重合体8のポリスチレン換算の数平均分子量は1.2×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は4.8×10であった。
【0245】
重合体8は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化76】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化77】


で表されるYに該当する構成単位とを、50/50のモル比で有し、式(1)で表される構成連鎖(n=1)のみからなる交互共重合体であった。
【0246】
<重合例9:重合実施例7である重合体9の合成>
不活性雰囲気下、化合物4I(1.999g、3.0mmol)、化合物1T(1.345g、3.0mmol)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(2.7mg)及びトルエン(55mL)を混合し、100℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10mL)を滴下し、6.5時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(37mg)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(2.7mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10mL)を加え、さらに12時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水(30mL)で2回、3質量%酢酸水溶液(30mL)で2回、水(30mL)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(360mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエン(123mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(360mL)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体9(高分子化合物:1.37g)を得た。重合体9のポリスチレン換算の数平均分子量は9.4×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.6×10であった。
【0247】
重合体9は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化78】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化79】


で表されるYに該当する構成単位とを、50/50のモル比で有し、式(1)で表される構成連鎖(n=1)のみからなる交互共重合体であった。
【0248】
<重合例10:重合実施例8である重合体10の合成)
不活性雰囲気下、化合物3P(1.782g、2.95mmol)、化合物1T(1.345g、3.00mmol)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(2.7mg)及びトルエン(50mL)を混合し、100℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10mL)を滴下し、3.0時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(37mg)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(2.7mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10mL)を加え、さらに12時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水(27mL)で2回、3質量%酢酸水溶液(27mL)で2回、水(27mL)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(323mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエン(199mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(323mL)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体10(高分子化合物:1.60g)を得た。重合体10のポリスチレン換算の数平均分子量は4.4×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.9×10であった。
【0249】
重合体10は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化80】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化81】


で表されるYに該当する構成単位とを、50/50のモル比で有し、式(1)で表される構成連鎖のみ(n=1)からなる交互共重合体であった。
【0250】
<重合例12:重合実施例10である重合体12の合成>
不活性雰囲気下、化合物3P(0.7300g、1.21mmol)、化合物5N(0.8858g、1.25mmol)、化合物1T(1.1206g、2.50mmol)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(2.2mg)及びトルエン(45mL)を混合し、100℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(8.3mL)を滴下し、4時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(31mg)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(2.2mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(8.3mL)を加え、さらに20時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水(24mL)で2回、3質量%酢酸水溶液(24mL)で2回、水(24mL)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(292mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエン(120mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(292mL)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体12(高分子化合物:1.25g)を得た。重合体12のポリスチレン換算の数平均分子量は7.0×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は8.0×10であった。
【0251】
重合体12は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化82】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化83】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化84】


で表されるYに該当する構成単位とを、25/25/50のモル比で有し、式(1)で表される構成連鎖(n=1)のみからなる共重合体であった。
【0252】
<重合例13:重合実施例11となる重合体13の合成>
不活性雰囲気下、化合物2Q(1.3419g、1.960mmol)、化合物4I(0.3383g、0.500mmol)、化合物1T(1.1206g、2.50mmol)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(2.2mg)及びトルエン(46mL)を混合し、100℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(8.3mL)を滴下し、4時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(31mg)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(2.2mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(8.3mL)を加え、さらに20時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水(25mL)で2回、3質量%酢酸水溶液(25mL)で2回、水(25mL)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(303mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエン(124mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(673mL)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体13(高分子化合物:1.36g)を得た。重合体13のポリスチレン換算の数平均分子量は7.5×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は3.0×10であった。
【0253】
重合体13は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化85】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化86】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化87】


で表されるYに該当する構成単位とを、40/10/50のモル比で有し、式(1)で表される構成連鎖(n=1)のみからなる共重合体であった。
【0254】
<重合例14:重合実施例12となる重合体14の合成>
不活性雰囲気下、化合物3P(0.7330g、1.213mmol)、化合物4I(0.8457g、1.250mmol)、化合物1T(1.1206g、2.50mmol)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(2.2mg)及びトルエン(44mL)を混合し、100℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(8.3mL)を滴下し、5時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(31mg)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(2.2mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(8.3mL)を加え、さらに20時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水(24mL)で2回、3質量%酢酸水溶液(24mL)で2回、水(24mL)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(285mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエン(117mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(380mL)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体14(高分子化合物:1.14g)を得た。重合体14のポリスチレン換算の数平均分子量は8.0×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.6×10であった。
【0255】
重合体14は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化88】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化89】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化90】


で表されるYに該当する構成単位とを、25/25/50のモル比で有し、式(1)で表される構成連鎖(n=1)のみからなる共重合体であった。
【0256】
<重合例15:重合実施例13となる重合体15の合成>
不活性雰囲気下、化合物3P(4.9955g、8.264mmol)、化合物4I(1.4208g、2.100mmol)、化合物1T(4.7064g、10.500mmol)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(9.3mg)及びトルエン(177mL)を混合し、100℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(35mL)を滴下し、4時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(128mg)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(9.3mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(35mL)を加え、さらに20時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水(96mL)で2回、3質量%酢酸水溶液(96mL)で2回、水(96mL)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(1158mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエン(237mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(1158mL)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体15(高分子化合物:5.0g)を得た。重合体15のポリスチレン換算の数平均分子量は7.0×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.6×10であった。
【0257】
重合体15は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化91】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化92】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化93】


で表されるYに該当する構成単位とを、40/10/50のモル比で有し、式(1)で表される構成連鎖(n=1)のみからなる共重合体であった。
【0258】
<重合例16:重合実施例14となる重合体16の合成>
不活性雰囲気下、化合物3B(8.888g、9.80mmol)、化合物2B(0.813g、1.00mmol)、化合物1F(3.024g、9.00mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(7.0mg)及びトルエン(202mL)を混合し、100℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(33mL)を滴下し、6時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(122mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(7.0mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(33mL)を加え、さらに12時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水(129mL)で2回、3質量%酢酸水溶液(129mL)で2回、水(129mL)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(1560mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエン(320mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(1560mL)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体16(高分子化合物:6.4g)を得た。重合体16のポリスチレン換算の数平均分子量は6.9×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.1×10であった。
【0259】
重合体16は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化94】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化95】


で表されるYに該当する構成単位とを、55/45のモル比で有する共重合体であった。この共重合体は、上記の重合シミュレーションを用いた場合の重合条件9に該当し、共重合体中に含まれる式(1)で表される構成連鎖(n=1、m’=9.9)を含む共重合体であった。
【0260】
<重合例17>(重合実施例15となる重合体17の合成)
不活性雰囲気下、化合物3B(8.888g、9.80mmol)、化合物2B(1.6257g、2.0mmol)、化合物1F(2.688g、8.00mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(7.0mg)及びトルエン(213mL)を混合し、100℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(33mL)を滴下し、6時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(122mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(7.0mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(33mL)を加え、さらに12時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水(129mL)で2回、3質量%酢酸水溶液(129mL)で2回、水(129mL)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(1560mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエン(320mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(1560mL)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体17(高分子化合物:9.12g)を得た。重合体17のポリスチレン換算の数平均分子量は3.1×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は9.5×10であった。
【0261】
重合体17は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化96】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化97】


で表されるYに該当する構成単位とを、60/40のモル比で有する共重合体であった。この共重合体は、上記の重合シミュレーションを用いた場合の重合条件8に該当し、共重合体中に含まれる式(1)で表される構成連鎖(n=1、m’=5.35)を含む共重合体であった。
【0262】
<重合例18:重合体18の合成>
不活性雰囲気下、化合物3B(1.796g、1.98mmol)、化合物2B(0.650g、0.80mmol)、化合物1F(0.403g、1.2mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.4mg)及びトルエン(47mL)を混合し、100℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.6mL)を滴下し、5時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24.4mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.4mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.6mL)を加え、さらに20時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水(26mL)で2回、3質量%酢酸水溶液(26mL)で2回、水(26mL)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(311mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエン(63mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(311mL)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体18(1.74g)を得た。重合体18のポリスチレン換算の数平均分子量は1.1×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は3.7×10であった。
【0263】
重合体18は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化98】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化99】


で表されるYに該当する構成単位とを、70/30のモル比で有する共重合体であった。この共重合体は、上記の重合シミュレーションを用いた場合の重合条件6に該当し、共重合体中に含まれる式(1)で表される構成連鎖(n=1、m’=2.95)を含む共重合体であった。
【0264】
<重合例19:重合体19の合成>
不活性雰囲気下、化合物3B(1.796g、1.98mmol)、化合物3C(1.301g、1.60mmol)、化合物1F(0.131g、0.40mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.4mg)及びトルエン(47mL)を混合し、100℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.6mL)を滴下し、5時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24.4mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.4mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.6mL)を加え、さらに20時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水(26mL)で2回、3質量%酢酸水溶液(26mL)で2回、水(26mL)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(311mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエン(63mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(311mL)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体19(2.07g)を得た。重合体19のポリスチレン換算の数平均分子量は1.1×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は3.4×10であった。
【0265】
重合体19は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化100】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化101】


で表されるYに該当する構成単位とを、90/10のモル比で有する共重合体であった。この共重合体は、上記の重合シミュレーションを用いた場合に重合条件2に該当し、共重合体中に含まれる式(1)で表される構成連鎖)(n=1、m’=1.75)を含む共重合体であった。
【0266】
<重合例20:重合体20の合成>
不活性雰囲気下、化合物F8BE(1.254g、2.0mmol)、化合物1T(0.896g、2.0mmol)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.8mg)及びトルエン(47mL)を混合し、100℃に加熱した。反応液に20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.6mL)を滴下し、5時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24.4mg)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.8mg)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.6mL)を加え、さらに20時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水(26mL)で2回、3質量%酢酸水溶液(26mL)で2回、水(26mL)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(311mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエン(63mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(311mL)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、重合体20(0.99g)を得た。重合体20のポリスチレン換算の数平均分子量は5.0×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.4×10であった。
【0267】
重合体20は、使用した原料の量比から求めた理論値では、下記式:
【化102】


で表されるZに該当する構成単位と、下記式:
【化103】


で表されるYに該当する構成単位とを、50/50のモル比で有する交互共重合体であった。
【0268】
<合成例16:低分子蛍光体1の合成>
不活性ガス雰囲気下、4−オクチルフェニルフェニルアミン(4.92g、17.48mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.076g、0.08mmol)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.095g、0.33mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(2.40g、24.97mmol)にトルエン11mL加え、100℃まで加熱攪拌し、溶解させた。得られた溶液に100℃でジブロモピレン(3.00g、8.33mmol)を加え、100℃で5時間攪拌した。室温に冷却後、反応液にトルエンを加えて攪拌し、シリカゲルを積層させた濾過器を通液させ、濾液を濃縮乾固した。得られた固体をトルエンとメタノールで再結晶を行い、さらにヘキサンで再結晶することにより、下記式で表される低分子蛍光体1を得た(2.53g、収率40%)。
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)= 0.89(t,6H)、1.28(m,20H)、1.58(m,4H)、2.53(t,4H)、6.90(t,2H)、7.01(m,12H)、7.18(t,4H)、7.79(d,2H)、7.89(d,2H)、8.07(d,2H),8.13(d,2H).
【化104】

【0269】
(有機EL素子の製造と評価)
<実施例1:有機EL素子1の製造と評価>
スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ−1200(Plextronics社製)をスピンコートにより50nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で170℃で15分間乾燥し、有機EL用基材を作製した。
【0270】
次に、キシレン溶媒中に0.7質量%の濃度で溶解させた正孔輸送性重合体(重合体7)の溶液をスピンコートして、約20nmの厚みに成膜した。その後、窒素雰囲気下においてホットプレート上で180℃、60分間加熱した。
【0271】
次に、キシレン溶媒中に1.2質量%の濃度で溶解させた重合体2の溶液と、キシレン溶媒中に1.2質量%の濃度で溶解させた低分子蛍光体1の溶液とを質量比で、重合体2:低分子蛍光体1=95:5となるように混合して、組成物1を調製した。
【0272】
組成物1をスピンコート法により1200rpmの回転速度で、上記基材上に成膜し、厚さが約60nmの発光層を作製した。これを窒素雰囲気下130℃で10分間乾燥した後、陰極としてフッ化ナトリウムを約3nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、有機EL素子1を作製した。真空度が、1×10−4Pa以下に到達した後に金属の蒸着を開始した。
【0273】
得られた有機EL素子1に電圧を印加したところ、この素子から低分子蛍光体1に由来する465nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.9Vから発光が開始し、最大発光効率は8.0cd/Aであった。
【0274】
上記で得られた有機EL素子1を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は45時間後に半減した。
【0275】
<実施例2:有機EL素子2の製造と評価>
実施例1における組成物1に代えて、キシレン溶媒中に1.2質量%の濃度で溶解させた重合体3の溶液と、キシレン溶媒中に1.2質量%の濃度で溶解させた低分子蛍光体1の溶液とを質量比で、重合体3:低分子蛍光体1=95:5となるように混合して得られる、組成物2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子2を作製した。得られた有機EL素子2に電圧を印加したところ、この素子から低分子蛍光体1に由来する465nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は4.0Vから発光が開始し、最大発光効率は5.9cd/Aであった。
【0276】
上記で得られた有機EL素子2を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は30時間後に半減した。
【0277】
<実施例3:有機EL素子3の製造と評価>
実施例1における組成物1に代えて、キシレン溶媒中に1.2質量%の濃度で溶解させた重合体4の溶液と、キシレン溶媒中に1.2質量%の濃度で溶解させた低分子蛍光体1の溶液とを質量比で、重合体4:低分子蛍光体1=95:5となるように混合して得られる、組成物3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子3を作製した。得られた有機EL素子3に電圧を印加したところ、この素子から低分子蛍光体1に由来する465nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は3.9Vから発光が開始し、最大発光効率は5.8cd/Aであった。
【0278】
上記で得られた有機EL素子3を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は32時間後に半減した。
【0279】
<実施例4:有機EL素子4の製造と評価>
実施例1における組成物1に代えて、キシレン溶媒中に1.2質量%の濃度で溶解させた重合体5の溶液と、キシレン溶媒中に1.2質量%の濃度で溶解させた低分子蛍光体1の溶液とを質量比で、重合体5:低分子蛍光体1=95:5となるように混合して得られる、組成物4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子4を作製した。得られた有機EL素子4に電圧を印加したところ、この素子から低分子蛍光体1に由来する465nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.9Vから発光が開始し、最大発光効率は7.4cd/Aであった。
【0280】
上記で得られた有機EL素子4を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は24時間後に半減した。
【0281】
<実施例5:有機EL素子5の製造と評価>
実施例1における組成物1に代えて、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた重合体6の溶液と、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた低分子蛍光体1の溶液とを質量比で、重合体6:低分子蛍光体1=95:5となるように混合して得られる、組成物5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子5を作製した。得られた有機EL素子5に電圧を印加したところ、この素子から低分子蛍光体1に由来する465nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は3.1Vから発光が開始し、最大発光効率は7.1cd/Aであった。
【0282】
上記で得られた有機EL素子5を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は84時間後に半減した。
【0283】
<実施例6:有機EL素子6の製造と評価>
実施例1における組成物1に代えて、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた重合体8の溶液と、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた低分子蛍光体1の溶液とを質量比で、重合体8:低分子蛍光体1=95:5となるように混合して得られる、組成物6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子6を作製した。得られた有機EL素子6に電圧を印加したところ、この素子から低分子蛍光体1に由来する465nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は3.0Vから発光が開始し、最大発光効率は8.2cd/Aであった。
【0284】
上記で得られた有機EL素子6を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は22時間後に半減した。
【0285】
<実施例7:有機EL素子7の製造と評価>
実施例1における組成物1に代えて、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた重合体9の溶液と、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた低分子蛍光体1の溶液とを質量比で、重合体9:低分子蛍光体1=95:5となるように混合して得られる、組成物7を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子7を作製した。得られた有機EL素子7に電圧を印加したところ、この素子から低分子蛍光体1に由来する465nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は3.3Vから発光が開始し、最大発光効率は6.2cd/Aであった。
【0286】
上記で得られた有機EL素子7を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は50時間後に半減した。
【0287】
<実施例8:有機EL素子8の製造と評価>
実施例1における組成物1に代えて、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた重合体10の溶液と、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた低分子蛍光体1の溶液とを質量比で、重合体10:低分子蛍光体1=95:5となるように混合して得られる、組成物10を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子8を作製した。得られた有機EL素子8に電圧を印加したところ、この素子から低分子蛍光体1に由来する465nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は4.0Vから発光が開始し、最大発光効率は5.0cd/Aであった。
【0288】
上記で得られた有機EL素子8を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は50時間後に半減した。
【0289】
<実施例9:有機EL素子9の製造と評価>
実施例1における組成物1に代えて、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた重合体12の溶液と、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた低分子蛍光体1の溶液とを質量比で、重合体12:低分子蛍光体1=95:5となるように混合して得られる、組成物12を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子9を作製した。得られた有機EL素子9に電圧を印加したところ、この素子から低分子蛍光体1に由来する465nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は3.9Vから発光が開始し、最大発光効率は6.4cd/Aであった。
【0290】
上記で得られた有機EL素子9を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は20時間後に半減した。
【0291】
<実施例10:有機EL素子10の製造と評価>
実施例1における組成物1に代えて、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた重合体13の溶液と、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた低分子蛍光体1の溶液とを質量比で、重合体13:低分子蛍光体1=95:5となるように混合して得られる、組成物13を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子10を作製した。得られた有機EL素子10に電圧を印加したところ、この素子から低分子蛍光体1に由来する465nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は3.3Vから発光が開始し、最大発光効率は8.2cd/Aであった。
【0292】
上記で得られた有機EL素子10を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は50時間後に半減した。
【0293】
<実施例11:有機EL素子11の製造と評価>
実施例1における組成物1に代えて、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた重合体14の溶液と、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた低分子蛍光体1の溶液とを質量比で、重合体14:低分子蛍光体1=95:5となるように混合して得られる、組成物14を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子11を作製した。得られた有機EL素子11に電圧を印加したところ、この素子から低分子蛍光体1に由来する465nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は3.3Vから発光が開始し、最大発光効率は6.4cd/Aであった。
【0294】
上記で得られた有機EL素子11を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は67時間後に半減した。
【0295】
<実施例12:有機EL素子12の製造と評価>
実施例1における組成物1に代えて、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた重合体15の溶液と、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた低分子蛍光体1の溶液とを質量比で、重合体15:低分子蛍光体1=95:5となるように混合して得られる、組成物15を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子12を作製した。得られた有機EL素子12に電圧を印加したところ、この素子から低分子蛍光体1に由来する465nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は3.5Vから発光が開始し、最大発光効率は6.3cd/Aであった。
【0296】
上記で得られた有機EL素子12を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は59時間後に半減した。
【0297】
<実施例13:有機EL素子13の製造と評価>
実施例1における組成物1に代えて、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた重合体16の溶液と、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた低分子蛍光体1の溶液とを質量比で、重合体16:低分子蛍光体1=95:5となるように混合して得られる、組成物16を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子13を作製した。得られた有機EL素子13に電圧を印加したところ、この素子から低分子蛍光体1に由来する465nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.8Vから発光が開始し、最大発光効率は6.8cd/Aであった。
【0298】
上記で得られた有機EL素子13を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は47時間後に半減した。
【0299】
<実施例14:有機EL素子14の製造と評価>
実施例1における組成物1に代えて、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた重合体17の溶液と、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた低分子蛍光体1の溶液とを質量比で、重合体17:低分子蛍光体1=95:5となるように混合して得られる、組成物17を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子14を作製した。得られた有機EL素子14に電圧を印加したところ、この素子から低分子蛍光体1に由来する465nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は3.0Vから発光が開始し、最大発光効率は6.7cd/Aであった。
【0300】
上記で得られた有機EL素子14を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は24時間後に半減した。
【0301】
<比較例1:有機EL素子C1の製造と評価>
実施例1における組成物1に代えて、キシレン溶媒中に1.2質量%の濃度で溶解させた重合体1の溶液と、キシレン溶媒中に1.2質量%の濃度で溶解させた低分子蛍光体1の溶液とを質量比で、重合体1:低分子蛍光体1=95:5となるように混合して得られる、組成物8を用いた以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子C1を作製した。得られた有機EL素子C1に電圧を印加したところ、この素子から重合体1に由来する465nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.8Vから発光が開始し、最大発光効率は6.5cd/Aであった。
【0302】
上記で得られた有機EL素子C1を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は8時間後に半減した。
【0303】
<比較例2:有機EL素子C2の製造と評価>
実施例1における組成物1に代えて、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた重合体18の溶液と、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた低分子蛍光体1の溶液とを質量比で、重合体18:低分子蛍光体1=95:5となるように混合して得られる、組成物18を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子C2を作製した。得られた有機EL素子C2に電圧を印加したところ、この素子から低分子蛍光体1に由来する465nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は3.2Vから発光が開始し、最大発光効率は6.4cd/Aであった。
【0304】
上記で得られた有機EL素子C2を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は10時間後に半減した。
【0305】
<比較例3:有機EL素子C3の製造と評価>
実施例1における組成物1に代えて、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた重合体19の溶液と、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた低分子蛍光体1の溶液とを質量比で、重合体19:低分子蛍光体1=95:5となるように混合して得られる、組成物19を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子C3を作製した。得られた有機EL素子C3に電圧を印加したところ、この素子から低分子蛍光体1に由来する465nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は3.6Vから発光が開始し、最大発光効率は4.8cd/Aであった。
【0306】
上記で得られた有機EL素子C3を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は5時間後に半減した。
【0307】
<比較例4:有機EL素子C4の製造と評価>
実施例1における組成物1に代えて、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた重合体20の溶液と、クロロベンゼン溶媒中に1.0質量%の濃度で溶解させた低分子蛍光体1の溶液とを質量比で、重合体20:低分子蛍光体1=95:5となるように混合して得られる、組成物20を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子C4を作製した。得られた有機EL素子C4に電圧を印加したところ、この素子から低分子蛍光体1に由来する465nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は3.3Vから発光が開始し、最大発光効率は5.7cd/Aであった。
【0308】
上記で得られた有機EL素子C4を初期輝度が5000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は17時間後に半減した。
【0309】
実施例1〜14及び比較例1〜4の評価結果をまとめて表1に示す。
【0310】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される構成連鎖を主鎖に有する高分子化合物。
−[−(Y)−Z−]− (1)
[式中、
Yは、下記一般式(Y−1)又は(Y−2)で表される構造から水素原子を2個除いた2価の基を示す。
Zは、下記一般式(Z−1)、(Z−2)、(Z−3)、(Z−4)、(Z−5)、(Z−6)、(Z−7)又は(Z−8)で表される構造から水素原子を2個除いた2価の基を示す。
mは、4〜10000の整数、nは、1〜3の整数を示す。
複数あるY、Z及びnは、各々、同一であっても異なっていてもよい。
Y及びZが有する水素原子は、R’で置換されていてもよく、R’は、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド化合物残基、酸イミド残基、1価の複素環基及び1価の複素環チオ基からなる群より選ばれる官能基、又はハロゲン原子を示す。R’が複数ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよく、複数のR’が互いに結合して環構造を形成していてもよい。前記官能基が有する水素原子は置換基で更に置換されていてもよい。]
【化1】


【化2】


[式中、
Xは、−CH=又は−N=を示す。複数あるXは、同一であっても異なっていてもよい。但し、Xとしての−N=の数は、0〜2である。
は、アリール基であり、Rはアルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド化合物残基、酸イミド残基、1価の複素環基及び1価の複素環チオ基からなる群より選ばれる官能基、又は水素原子若しくはハロゲン原子を示す。複数あるRは、同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環構造を形成していてもよい。前記官能基が有する水素原子は置換基で更に置換されていてもよい。]
【請求項2】
前記Yが、下記一般式(Y−3)、(Y−4)、(Y−5)又は(Y−6)で表される2価の基である、請求項1に記載の高分子化合物。
【化3】


[式中、R”は、水素原子、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基を示す。複数あるR”は、同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項3】
前記Zが、下記一般式(Z−9)、(Z−10)、(Z−11)、(Z−12)、(Z−13)、(Z−14)、(Z−15)、(Z−16)、(Z−17)、(Z−18)、(Z−19)又は(Z−20)で表される2価の基である、請求項1又は2に記載の高分子化合物。
【化4】


[式中、R”は、水素原子、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基を示す。複数あるR”は、同一であっても異なっていてもよい。R及びRは前記と同義である。]
【請求項4】
前記Zが、前記一般式(Z−11)、(Z−15)又は(Z−17)で表される2価の基である、請求項3に記載の高分子化合物。
【請求項5】
前記高分子化合物には、前記Yで表される基及び前記Zで表される基が縮合重合により導入されており、Yで表される基及びZで表される基とは相違する任意追加基が縮合重合により導入されていてもよく、
高分子化合物における、Y、Z及び任意追加基のモル数をそれぞれN、N及びNとしたときに、N、N及びNが下記式(2)を満たす、請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子化合物。
30≦N×100/(N+N+N)≦75 (2)
【請求項6】
一対の電極と、該一対の電極の間に設けられた有機層を有し、該有機層が、請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有する面状光源。
【請求項8】
請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有する表示装置。

【公開番号】特開2012−144721(P2012−144721A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−279913(P2011−279913)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】