説明

高分子衣料品材料

衣料品材料の製造方法であって、凝固剤(34)を生地(32)に塗布し、高分子材料の発泡体(38)を生地(32)に塗布する工程、凝固剤(34)で多少の発泡体を凝固する工程、及び非凝固発泡体(38)を生地(32)から除去する工程であって、それによって、生地(32)上に一層の凝固高分子材料を残す、非凝固発泡体(38)を生地(32)から除去する工程を有する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子衣料品材料、衣料品及び高分子衣料品材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子材料は一般に広範囲の衣料品のために用いられ、これらの衣料品のうちのいくつか(例えばレインコート及びエプロン)は材料の保護特性を利用し、他の衣料品(例えば履物、下着及びファッション衣料)は、材料の外観及び/又は感触のために、高分子材料を用いる。
【0003】
図1は、ポリウレタン(PU)コーティングを有するナイロンニット衣料品の既知の一製造方法の工程を示す。工程10では、ナイロンニット裏地が型に合わされる。ナイロン裏地は、PUコーティングが塗布される生地として作用する。図2は、裏地32が完成衣料品のための望ましい形状を取るよう、裏地32を支持する型30に合わせられるソックス裏地32を示す。この場合、衣料品はソックスであるが、当該方法は他の衣料品に適用可能である。工程12では、型30(ソックス裏地32を取り付けている)は、PU及びジメチルホルムアミド(DMF)の溶液中に浸漬される。工程14では、型30はPU及びDMFの溶液から引き出され、そして余分な溶液が排液されて、裏地32上にPU/DMP溶液のコーティングを残す。工程16では、型が水中に浸漬される。浸漬は、裏地32上のPUコーティングを凝固させ、即ちPUコーティングが硬化する。DMF溶媒が裏地から水中に浸出されるよう、型30は90〜120分間の間水中に留まる。工程18では、型は水中から取り出され、PU被覆ナイロン裏地を乾燥するために炉中に入れられる。最後に工程20で、PU被覆ナイロン裏地は型30から取り出されて、PU被覆ナイロンソックスが得られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この製法に伴う主な欠点は、DMFを使用する点である。DMFは非常に有毒であることが既知であり、且つそれは皮膚を通して容易に吸収される溶液である。したがってPU/DMFの溶液を取り扱う場合には多大の注意が払われなければならない。安全作業環境が提供されるためには、製法が実行される大気は十分に換気され、且つ換気扇を備える必要がある。
【0005】
工程16では、DMFが水中に浸出されると、水はDMFで飽和されるようになる。したがって水は繰り返し取り換えられる必要がある。これは、時間と費用の両方を要する。さらにDMF飽和水溶液は有毒であり、廃棄により起こりうる環境損害を最小限にするために、DMF飽和水を廃棄する場合には注意しなければならない。
【0006】
DMFに代わるものは、THF(テトラヒドロフラン)の使用である。しかしながらTHFも有毒化学物質であり、DMFに関連した欠点の多くを有する。
当該製法のさらなる欠点は、PUコーティングがナイロン裏地の隙間に浸透する、という点である。したがってPUコーティングは、このような衣料品が皮膚に隣接して着用される場合、この製法により製造される衣料品の着用者の皮膚と接触するようになる。これは皮膚と隣接して刺激を引き起こし、発汗を強め、そして特に着用者の中にはPUに対してアレルギー体質である者がいる可能性がある。皮膚刺激は、浸出工程16中に除去されていなかった任意のDMF又はTHFによっても引き起こされ得る。DMFは特に、皮膚を通して容易に吸収される。DMFのさらなる害悪は、発癌性であり、且つ胎児欠陥の原因であることが既知である、という点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様によれば、凝固剤を生地に塗布する工程、高分子材料の発泡体を生地に塗布する工程、凝固剤で多少の発泡体を凝固する工程、及び非凝固発泡体を生地から除去する工程であって、それによって、生地上に一層の凝固高分子材料を残す、非凝固発泡体を生地から除去する工程を有する衣料品材料の製造方法が提供される。
【0008】
発泡(気泡)高分子材料の使用は、高分子材料がDMF、THF又はさらにいえば任意のその他の溶媒中に溶解される必要性を除去する。したがって当該方法は、低害悪性であり、そして環境により優しい。当該方法により製造される衣料品材料は、潜在的に有害な微量の溶媒を含有しない。
【0009】
広範囲の高分子材料が発泡体の生成に適しており、これらの例としては、ニトリルラテックス、天然ラテックス、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ネオプレン(ポリクロロプレン)及びゴム、並びにPUラテックスが挙げられる。発泡体は、これらの高分子材料のうちの1つから、又は2つ以上の高分子材料の配合物から生成され得る。それゆえ、本発明により提供される方法は、PUの使用に限定される既知の方法(図1に例示)より広範に適用可能である。
【0010】
生地は、例えばナイロンニットであるが、広範囲の材料が生地として用いられ、例えば生地は以下の:綿、スパンデックス、ライクラ、ポリエステル、アラミド、ダイニーマ、アクリル、炭素導電性繊維、銅導電性繊維、サンダーロン(thunderon) 導電性繊維、液晶ポリマーから紡がれるマルチフィラメント糸(商標名Vectran(商標)で入手可能)、タクテル、CoolMax(商標)、ThermaStat(商標)、Thermax(商標)及びViafil(RTM)のうちの1つ、又はそれらのうちの2つ以上のものの配合物であり得る。例えば生地はナイロン及びライクラの配合物であり、ナイロン95%及びライクラ5%の配合物を含み得る。このような配合物は特に着心地がよく、衣料品が着用者の形状に良好に適合する。
【0011】
好ましくは非凝固発泡体を除去する工程は、流体を生地に誘導することを包含する。例えば、水等の液体の噴霧は、生地に向けられる。
意外にも、余分な非凝固発泡体を除去するこの方法は、生地上に高分子材料の粘着性、多孔性及び通気性層を後に残す。この方法で製造される衣料品材料から作られる衣料品は、衣料品の着用者から汗を逃させて、衣料品内で増大する熱を低減する。
【0012】
衣料品材料はより可撓性且つ軽量であり、衣料品材料から作られる衣料品は、図1に例示された従来技術の方法により製造される衣料品より着心地がよい。
生地への発泡体の浸透は、発泡体が生地に完全に浸透しないよう制御され得る。この方法では、製造される衣料品材料は、高分子材料を曝露していない内面を有する。これは、多数の人々が皮膚に隣接して着用される高分子材料(特にラテックス)に対するアレルギー反応を有し、且つ生地の非浸透部分が衣料品の着用者と高分子材料のコーティングとの間にバリアを形成するため、有益である。DMF及びTHFのような溶媒により引き起こされるさらなる皮膚刺激の危険も、この製法がこのような溶媒の必要性を除去するため、除去される。これは、DMFが皮膚を通して容易に吸収され、且つ発癌性であること及び胎児欠陥を引き起こすことが共に既知であるので、特に重要である。
【0013】
本発明の第二の態様によれば、本発明の第一の態様の方法により製造される衣料品材料が提供される。
本発明の第三の態様によれば、本発明の第一の態様の方法により製造される衣料品が提供される。
【0014】
本発明の第四の態様によれば、生地、及び生地を少なくとも部分的に浸透する一層の凝固高分子材料を有する衣料品又は衣料品材料であって、3.5〜6.5mg・cm−2・h−1の範囲の水蒸気透過率を有する衣料品又は衣料品材料が提供される。
【0015】
本発明の第五の態様によれば、生地、及び生地を浸透する一層の凝固高分子材料を有する衣料品又は衣料品材料であって、高分子材料が生地を完全に浸透するわけではない衣料品又は衣料品材料が提供される。
【0016】
本発明の第六の態様によれば、生地、及び生地を少なくとも部分的に浸透する一層の凝固高分子材料を有する衣料品又は衣料品材料であって、3.5〜6.5mg・cm−2・h−1の範囲の水蒸気透過率を有する衣料品又は衣料品材料が提供される。好ましくは衣料品又は衣料品材料は、5.0〜6.5mg・cm−2・h−1の範囲の水蒸気透過率を有する。
【0017】
本発明の第七の態様によれば、265分間、20±2℃の温度及び65±2%の相対湿度に付された場合、衣料品又は衣料品材料1 c mあたり1.0mg〜8.5mgの水を保持する衣料品又は衣料品材料が提供される。
【0018】
好ましくは衣料品又は衣料品材料は、265分間、20±2℃の温度及び65±2%の相対湿度に付された場合、衣料品又は衣料品材料1 c mあたり1.0mg〜5.5mgの水を保持する。
【0019】
本発明の第八の態様によれば、本発明の第一の態様の方法により製造される衣料品又は衣料品材料の凝固発泡体の層に高分子コーティングの別個の区域を塗布する方法が提供される。当該方法は、以下の:残留物を除去するために衣料品又は衣料品材料を洗浄する工程;衣料品又は衣料品材料を部分的に乾燥し、且つドット生成機で衣料品又は衣料品材料を整えた後、高分子コーティングを塗布する工程、次にドットを硬化する工程、及び高分子コーティングを塗布後にドット生成機から衣料品又は衣料品材料を剥ぎ取る工程のうちの少なくとも1つをさらに包含する。
【0020】
好ましくは衣料品又は衣料品材料は、水及び洗剤の溶液で洗浄される。衣料品又は衣料品材料は好ましくは、約50〜70℃の温度で部分的に乾燥される。有益には、ドットコーティングが湿った凝固高分子層に塗布されるよう、洗浄衣料品又は衣料品材料を一部だけ乾燥することは、ドット及び凝固発泡体間の結合を改善する。
【0021】
ドットコーティングは、ニトリルラテックス、天然ラテックス、PUラテックス及びラテックスのうちの1つ、又は2つ以上の配合物を含み、好ましくは約100〜400ポアズの粘度を有する。
【0022】
ドットコーティングは、60〜140℃の温度で30〜45分間硬化され得る。あるいはドットコーティングは、二段階で硬化され得る。第一段階は、60〜80℃で15〜30分間から成り得る。第二段階は、120〜150℃で20〜40分間から成り得る。ドットコーティングは、硬化前は約0.2〜2.0mmの厚みを有し、これは硬化後には約0.05〜1.0に低減され得る。
【0023】
本発明の第九の実施形態によれば、本発明の第八の態様により製造される衣料品又は衣料品材料が提供される。
本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照しながら、実施例によりここで説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図3及び4を参照すると、本発明の一実施形態にしたがって衣料品を製造するために、工程210では、裏地又は生地32が型30に適合される。型30は、衣料品材料を製造するために生地32に適用される種々の製法段階中の生地32を支持する。衣料品材料が製造された後、それは型30から取り外される。
【0025】
生地32は、完成衣料品、例えばソックスの形態(図2に例示されているように)をとり、又は衣料品の一部分、例えばコート用のポケットである形態であり得る。このような場合、型32は完成衣料品又は衣料品区分のための的確な形状を提供する。型が完成衣料品の形態をとる場合、型30に適合される生地32は、完成衣料品もシームレスであるよう、シームレスであるのが好ましい。あるいは型30は任意の特定の形態をとる必要はなく、衣料品材料のシートが当該製法により生成される。例えば生地は、2つの締め具又はローラー間でいっぱいに伸ばされるが、本明細書の目的のために、「型」という用語は、生地32に張力を与えることにより生地32を支持する締め具及びローラー等の配置を網羅する。この場合、衣料品又は衣料品部分は、衣料品材料のシートをさらに加工処理すること、例えば衣料品材料のシートから切断された小片により次にシートを用いて衣料品を作ることにより製造され得る。
【0026】
型30は、例えば金属、ポーセリン、ガラス繊維又はプラスチックから作られ得る。
生地32に関して適切な材料としては、以下の:ナイロン、綿、スパンデックス、ライクラ、ポリエステル、アラミド、ダイニーマ、アクリル、炭素導電性繊維、銅導電性繊維、サンダーロン導電性繊維、液晶ポリマーから紡がれるマルチフィラメント糸(商標名Vectran(商標)で入手可能)、タクテル、CoolMax(商標)、ThermaStat(商標)、Thermax(商標)及びViafil(RTM)のうちの1つ、又はそれらのうちの2つ以上の配合物が挙げられる。例えば生地は、ナイロン95%及びライクラ5%の配合物を含み得る。生地32は格子構造を有し、編成、製織又は何らかのその他の既知の製法により形成され得る。
【0027】
当該製法は、製法工程が型30の一群に適用され、各々の型30が生地32を支持するよう、生地のバッチに適用され得る(バッチ加工)。代替的に当該製法は、型30がシステム100により連続的に移されるよう、連続的に適用され得る。もちろん型30は、システム100のいくつかの部分を通して連続的に移され、且つシステム100の他の部分では、それらの位置で特別な製法工程に従って、ある期間、静止している。図5を参照すると、生地32を保有する型30は、「フライトバー」と呼ばれるバー50上に一列に載せられる。示された例では、4対の型30(4対の手袋をそれぞれ保有する)がフライトバー50の上に載せられる。フライトバー50は、ある加工場所から別の場所に設定速度で直線方向に移動する。もちろんフライトバーが設定される速度は、変更され得る。いくつかのフライトバー50が存在し、各々のフライトバー50は当該製法の種々の工程にあり、且つある場所から次の場所へのフライトバー50の移動は設定間隔でなされる。
【0028】
工程214では、凝固剤34が生地32に塗布される。これは、凝固剤34を含有する浴又は槽36中に生地32(型30上に支持される)を浸漬することにより、又は生地32上に凝固剤34を噴霧することにより、達成され得る。凝固剤は、電解質の水溶液又はアルコール性溶液である。適切な電解質としては、蟻酸、酢酸、硝酸カルシウム又はこれらの2つ以上の混合物が挙げられる。エタノールは電解質のアルコール性溶液を提供するのに用いられ得るが、その他のアルコールも適しており、例えばイソプロピルアルコール及びメタノールも用いられ得る。
【0029】
工程218では、余分な凝固剤34、即ち生地32により吸収されない凝固剤は、生地
32から排液させられる。凝固剤34が、凝固剤34の浴/槽36中の浸漬により塗布された場合には、工程218は浴/槽36からの型30の撤去を包含する。
【0030】
代替的には生地に凝固剤を塗布するために、生地は凝固剤で飽和されたスポンジ上に押しつけられ得る。この方法は、生地により取り入れられる凝固剤の量を低減して、生地から余分な凝固剤を排液させる時間を必要としないようにする。
【0031】
工程222では、高分子材料の発泡体38が、例えば生地32を支持する型30を、発泡体38の浴/槽37中に浸漬することにより、生地32に塗布される。高分子材料の発泡体38の生成は、当業者に既知である。発泡体38は、いくつかの高分子材料のうちの1つから、又はそれらの組合せから形成され得る。適切な高分子材料としては、PUラテックス、ニトリルラテックス、天然ラテックス、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ネオプレン(ポリクロロプレン)及びゴムが挙げられる。発泡体38は、15〜35%の範囲の密度を有し(即ち発泡体中に15〜35容量%の空気が存在する)、且つ80〜180ポアズ(8〜18Ns/m)の範囲の粘度を有する。発泡体38が必要な粘度を有するよう、発泡体は増粘剤を含有する。増粘剤は通常は、高分子材料が液体形態である場合、即ちそれが曝気される前に、高分子材料に付加される。増粘剤の例としては、ポリビニルアルコール(0.2〜0.6容量部/100容量部高分子材料)、メチルセルロース(0.2〜0.8容量部/100容量部高分子材料)及びポリアクリレート(0.2〜0.6容量部/100容量部高分子材料)が挙げられる。発泡体は、発泡体38が安定である(即ち液体に分解しない)よう、安定剤及びコーティングが例えば磨耗、破裂及び引裂きに対して耐性であるよう、機械的強度を有する発泡体から得られる高分子コーティングを提供する硬化剤も含有する。安定剤及び硬化剤は通常、高分子材料が液体形態のとき、高分子材料に付加される。安定剤の例としては、ジフェニルグアニジンアルコール(約0.5容量部/100容量部高分子材料の濃度を有する)及びアルカリ性カゼイン(0.3〜0.8容量部/100容量部高分子材料)が挙げられる。増粘剤、安定剤及び硬化剤は普通は、液体高分子材料が曝気される前に付加されるが、それらは、例えば発泡体特性の改質が必要とされる場合、曝気後にも付加され得る(例えばより多くの増粘剤を付加することにより発泡体の粘度を増大する)。
【0032】
工程226では、生地32が発泡体38から除去され、余分な発泡体が生地32から排液させられて、生地32上に一層の発泡体38を残す。発泡体は、以下でさらに詳細に説明されるように、生地32を通過しないが、外表面上に残留するか又は生地を一部は通過するよう、配置される。したがって発泡体は生地32上の外側に一層を形成する。
【0033】
工程228では、発泡体38は、生地32により吸収された凝固剤34と反応して、発泡体38の凝固を引き起こす。
したがって発泡体38の一部だけの凝固が必要とされ、発泡体38は、限定期間、凝固剤34と反応させられる。この期間の後、生地32に最も近い発泡体は凝固されるが、発泡体の外面が凝固されない(即ち外面は湿潤性である)よう、凝固の程度は生地32からの距離に伴って漸増的に低減する。典型的には発泡体38は、60〜180秒の範囲の期間、凝固剤34と反応させられ、その後、余分な(非凝固)発泡体38が除去される。この期間は、生地32と接触する発泡体層の下側は凝固するが、発泡体層の外側部分は凝固しないよう、制御される。したがってフィルムスキンは発泡体層の外面に形成されない。発泡体層は、0.5〜1.5mmの範囲の厚みを有する。
【0034】
工程230では、余分な非凝固発泡体38の外層は、生地32上の発泡体層の実質的に全域から除去される。これは、生地32に水40の1又は複数の噴霧を向けることにより実行され得る。水は、1つ又は複数のノズル42により生地32に向けられる。水40の各噴霧は、98〜392kPa(1〜4bar)(1×10〜4×10N/m)の
範囲の圧力を有する。噴霧過程は、約5〜20秒間継続する。
【0035】
ノズル42は、生地32に対して設定配向で静止され得る。代替的には、生地32に対するノズル42の配向が噴霧過程中に変更され得るよう、ノズル42は可動性であり得る。噴霧40による生地32の良好な適用範囲を提供するために噴霧過程中の生地に対して、ノズル42は移動可能でもあり得る。噴霧の代わりに連続噴射を用いることも可能であるが、水をより経済的に使用するため、噴霧が好ましい。
【0036】
図6〜9を参照すると、本発明の一実施形態によれば、生地32を保有する型30は、フライトバー50上で噴霧場所52に移動される。図6〜9は、下方に向いている手袋裏地の指を有する手袋裏地の形態の生地32を例示する(もちろん本発明は、ソックス裏地及びその他の衣料品生地に適用可能である)。噴霧場所52は、多数の噴霧ノズル42を包含する。ノズルは、1つの列のノズルが生地32の前面(例えば手袋裏地32の掌側)を噴霧する一方、他の列のノズルが生地32の背面(例えば手袋裏地32の手甲側)を噴霧するよう、配向される2つの列43を構成する。ノズル42は、予備設定噴霧角度で固定位置に存在し、且つノズル42は噴霧過程中は動かない。各ノズル42の噴霧角度は、水平に対して0°〜45°の範囲であり(水平は生地32の表面に対して垂直である)、且つ噴霧角度は噴霧過程前に調整され得る。ノズル42は対として配置され、1つの列上のノズル42aは他方の列のノズル42bと向かい合う。ノズル42a及び42bは、異なる角度に設定され得る。例えばノズル42a及び42bの対は、図7に例示したように、水平に対して約45°で上方に向けられ得る。ノズル42a及び42bは、図8に例示したように、水平に向けられ得る。又はノズル42a及び42bは、図9に例示したように、水平に対して約45°で下方に向けられ得る。各対でのノズル42a及び42bが水平に対して同一角度で配向される必要はない。
【0037】
水がノズル42を通して押出されると、フライトバー50はノズル42により生成される噴霧により垂直に移動される。例えば型30は、噴霧によりまず下方に動かされ、次に型がフライトバー50上の噴霧場所により動かされると、噴霧により上方に動かされる。
【0038】
他の流体は発泡体38を除去するために用いられ、例えば圧縮空気の噴射が生地32に向けられ得る。発泡体38は、水性媒質の浴及び/又は槽中に生地32を浸漬することによっても除去され得る。水性媒質は、発泡防止剤、例えば0.01〜0.1容量%の濃度範囲の有機変性ポリシロキサンの乳濁液、又は0.2〜0.8容量%の濃度範囲の石油及び非晶質シリカの配合物を含み得る。
【0039】
生地32に流体を向けることによる過剰発泡体38の除去は、生地32上に高分子材料の粘着性多孔性及び通気性層を後に残す。過程のこの段階で、高分子材料の層は、0.34〜1.0mmの範囲の厚みを有する。
【0040】
工程232では、過剰凝固剤34が生地32から除去される。これは、水41の浴及び/又は槽中に生地32を浸漬することにより実行され得る。典型的には浸漬は約15分間である。
【0041】
工程234では、高分子材料の層を伴う生地32が乾燥される。乾燥は、炉44の全体に熱を均一に分布させる1つ又は複数の送風機を取り付けられ得る炉44中で実行され得る。乾燥は、生地上に空気を向けることによっても達成され得る。空気は、それが生地32上に向けられる前に、乾燥及び/又は加熱され得る。
【0042】
乾燥された後、高分子材料の層は、0.26〜0.80mmの範囲の厚みを有する。
工程236では、高分子コーティングを伴う生地32から成る衣料品材料が、型から取
り出される。
【0043】
上記の過程により製造される衣料品材料は、均一な多孔性を有する。
生地32中への発泡体38の浸透は、発泡体が生地32を完全に浸透しないよう、制御され得る。この方法では、製造される衣料品材料は、高分子材料は全く又は極少ししか曝露されない内表面を有する。これは、皮膚に接して着用される高分子材料(特にラテックス)に対するアレルギー反応を多くの人々が有し、且つ生地32の非浸透部分は、衣料品の着用者と高分子材料のコーティングとの間にバリアを形成し得るため、有益である。
【0044】
生地中への発泡体の浸透(及び完成衣料品材料の多孔性)は、以下の多数のパラメーターを変更することにより制御され得る:
i. 高分子材料の処方;
ii.凝固剤の処方;
iii.凝固剤の塗布と発泡体の塗布との間の時間;
iv.発泡体の塗布と過剰(非凝固)発泡体の除去の間の時間;
v.発泡体密度;
vi.発泡体粘度;及び
viii.生地の重量及び構成。
【0045】
明細書の中で開示されたパラメーター値は所望の特性を有する布帛材料を提供するが、当業者は、示したものから変更されたパラメーターを有する方法を用いて、本発明の利点を達成し得る。
【0046】
本発明により製造される衣料品材料は、手袋、例えば園芸用手袋並びに組立軽作業(例えば電気構成成分の組立)用に用いられる手袋に特に適している。このような手袋(特に軽作業組立用手袋)は、高度の作業縦横性を着用者に提供する必要があり、手袋が長期間着用される場合、手は涼しく、乾燥し、且つ快適に保持される必要がある。本発明の製法により製造される手袋は、手袋から汗を逃させ/手袋に吸収させ、且つ着用者の手は手袋により(発生した熱、汗、溶媒残渣又は手袋の裏地上に存在する高分子材料により)刺激されない。従来技術の衣料品材料のコーティングと比較した場合の高分子コーティングの柔軟性増大は、手袋による良好な作業縦横性及び使用可能性を与える。
【0047】
本発明に従って製造された手袋を、水蒸気透過性及び水吸収性に関して試験した。試験は、温度20±2℃及び相対湿度65±2%で4つの異なる手袋から得た試料に関して実施した。すべてのこれら試料の厚みは、1.08mmであった。これらの試験の結果を表1に示す。
【0048】
比較のため、4つの従来技術の手袋からの試料も、同一条件下で試験した。従来技術の手袋は、図1に例示した方法に従って、DMF中に溶解したポリウレタン(PU)の溶液を用いて製造した。これらの試料の各々の厚みは1.03mmで、面積は18cmであった。これらの試験に関する結果を、表2に示す。
【0049】
水蒸気透過性特徴は、1時間に1平方センチメートルの試料を通過する水のミリグラム数という単位(mg・cm−2・h−1)で示す。吸収特徴は、温度20±2℃及び相対湿度65±2%で、設定期間後に、括弧内の試料1平方センチ当たりの当量を用いて測定した全試料により吸収される水のミリグラム数で示す。
【0050】
表1. 本発明の一実施形態よる手袋から採取した試料に関する試験結果
【0051】
【表1】

【0052】
表2. DMF中のPUの溶液を用いて製造した従来技術の手袋から採取した試料に関する試験結果
【0053】
【表2】

【0054】
本発明の実施形態による手袋から採取した試料の平均透過率は5.3mg・cm−2・h−1である一方、従来技術の手袋から採取した試料に関しては、平均透過率は10.4mg・cm−2・h−1であった。
【0055】
試験は、独立した試験団体(サトラ(SATRA Technology Centre), Kettering, Northamptonshire, UK)により実施された。この団体は、水蒸気透過率に関する以下の分類を用いる:
非常に高い透過率 − 5.0mg・cm−2・h−1より上
高透過率 − 2.6〜5.0mg・cm−2・h−1
中透過率 − 1.0〜2.5mg・cm−2・h−1
低透過率 − 1.0mg・cm−2・h−1より下
したがって、両組の試料は、非常に高い透過率を有すると考えられる(表1の試料2は除く)。従来技術の手袋の透過率は本発明の方法により製造される手袋よりはるかに高い、ということが分かる。しかしながら本発明の手袋を着用すると、従来技術の手袋を着用した場合より、汗の発生は有意に低い。これは、吸収特徴を考慮することにより説明し得る。本発明を具体化する手袋は、従来技術の手袋よりはるかに多くの水分を吸収する。したがって本発明を具体化する手袋に関しては、着用した場合、汗のうちあるものは着用者の手から吸収されて、手袋中に保持され、且つ汗のうちのあるものは、手袋を透過して(
即ち逃れて)、それゆえ手袋の内面に生じる汗は少ない。手袋の製造方法のため、従来技術と比較して、高分子層はより大きな間質隙間を有するため、本発明を具体化する手袋はより多くの水分を吸収する、と考えられる(即ち、本発明の方法は発泡ポリマーを使用し、これは次に、例えば水噴霧により洗い落とされ、その後十分に凝固するが、従来技術の方法に関しては、手袋裏地/生地はポリマーの溶液中に浸され、次に高分子溶液を凝固するために水に浸漬される)。間質間隙は、「吸い上げ作用」を手袋に付与し、即ち、毛管作用により手袋中に水が引き込まれる。
【0056】
本発明のさらなる実施形態によれば、発泡及び凝固ポリマーの区域を覆って、保護コーティングを提供するよう、一連の別個の区域の高分子材料が手袋の表面に適用される。例えばこれは、一連のドットを含み得る。高分子材料のこのコーティングは、凝固高分子発泡体の層の磨耗耐性を増大する。図10を参照すると、ドット102が手袋の表面全体に整列して塗布される。コーティング104の付加的パッチは、手袋の表面の特定部分, 例えば指部分間及び指先に適用される。これらは、より多くの摩滅又は磨耗に付されると思われる区域であり、そこでは磨耗耐性コーティングのより大型のパッチが特に有益である。
【0057】
図10に示した実施形態では、ドット102は円形であり、手袋の表面全体に均一に間隔を置いて配置される。指先106上のさらなる強化パッチ104は、半円形細片の形態であり、親指108と人指し指110との間にさらなる区域が適用される。しかし、任意の形状及びサイズのコーティングの区域が衣料品に適用され得る、と理解される。例えば指先の強化パッチは、コーティングの密な区域であり、この区域は各指の間に適用され得る。コーティングは、手袋以外の衣料品にも適用され得る。例えばコーティングの区域はソックスの踵に適用され得るし、一連のより小さい別個の区域が足底に適用され得る。
【0058】
図11は、図10のポリマーコーティングの別個の区域を、衣料品の凝固高分子発泡体の層に塗布する工程を例示する。図3の方法を用いて手袋を製造した後、発泡体被覆手袋は、工程310で冷水及び洗剤の溶液で洗浄されて、手袋コーティング中に残された任意の残留凝固剤を除去する。任意の残留凝固剤の除去は、ドット及び発泡体コーティング間の良好な接着を達成するために重要である。手袋は、水及び洗剤の浴/槽中への浸漬により洗浄され得るし、代替的には水及び洗剤の噴射が、手袋製造の初期工程で用いた噴霧場所52におけるもののようなノズルを通して手袋上に噴霧され得る。工程312では、手袋は、わずかに湿った状態になるまで、約50℃〜70℃の温度で部分乾燥される。手袋の湿った状態は、発泡体コーティングへのドットの接着をさらに改良する。
【0059】
ドットを塗布するために、工程314で示した平坦生成機上で部分乾燥手袋を整える。次に、手で又は機械を用いて、ドットコーティングを工程316で塗布し得る。塗布されたドットコーティングの厚みは、約0.2〜2.0mmであるべきである。ドット化合物は、多数の適切な高分子材料、例えばニトリルラテックス、天然ラテックス、PUラテックス、ラテックスのうちの1つ、又はこれらのうちの2つ以上の配合物であり得、約100〜400ポアズの粘度を有するべきである。
【0060】
工程318では、ドット処理手袋は、炉、例えば炉44中で、30〜45分間、60℃〜140℃の温度で硬化される。代替的にはドットコーティングは、2段階で硬化され得る。第一段階は、60℃〜80℃で15〜30分から成り、第二段階は、120℃〜150℃で20〜40分から成る。硬化後のドットコーティングの厚みは、約0.05〜1.0mmに低減される。従来技術の手袋上のドットに関して用いられることが既知であるPVCより低い温度で硬化するため、ラテックスポリマーが用いられる。ラテックスポリマーは、PVCより良好な磨耗耐性を有することも既知である。工程320に示したドット処理過程の最終段階は、ドット生成機から手袋を手動で剥ぎ取ることを包含する。その結
果生じる完成手袋の発泡体コーティング及びドット層の厚みは、約0.3〜1.8mmである。
【0061】
図12は、生地112、多孔性凝固発泡体114及び高分子コーティング116の層を例示する。従来技術の手袋に塗布されたドットは、ドット及びコーティング間の不十分な結合のため、容易に擦り落とされ得る。しかし、本発明による手袋の多孔性発泡体コーティング114は、ドットの材料116が発泡体114中の孔118を通って広がり、発泡体コーティング114にそれ自体を固着して、ドット及びコーティング間の結合を改良する、ということを意味する。
【0062】
裏地及びドット間の結合を制御する多数のパラメーターが存在する。これらの例を以下に挙げる:
i. 高分子材料の処方;
ii.高分子発泡体の処方;
iii.発泡体密度;
iv.ドットコーティングを硬化するための温度及び時間;
v.ドットコーティングの粘度;及び
vi.衣料品又は衣料品材料の重量及び構成。
【0063】
最適結合を達成するためにこれらの因子のいずれかが変更され得る、と理解される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】ポリウレタン被覆衣料品を製造する従来技術の方法を模式的に示すフローチャート。
【図2】型上に置かれた生地を模式的に示す上面図。
【図3】本発明の実施形態による衣料品材料の製造方法を模式的に示すフローチャート。
【図4】本発明の実施形態による衣料品材料の製造システムを模式的に示す側面図。
【図5】いくつかの型が載せられたフライトバーを模式的に示す平面図。
【図6】図5のフライトバー(噴霧場所に移されている)を模式的に示す側面図。
【図7】図6の噴霧場所の一区分における衣料品生地を模式的に示す(ノズルは上方に向いている)側面図。
【図8】図6の噴霧場所の一区分における衣料品生地を模式的に示す(ノズルは水平に向いている)側面図。
【図9】図6の噴霧場所の一区分における衣料品生地を模式的に示す(ノズルは下方に向いている)側面図。
【図10】図3の方法を用いて製造される衣料品又は衣料品材料の表面に塗布される高分子コーティングの一連の別個の区域を示す上面図。
【図11】図3の方法を用いて製造される衣料品又は衣料品材料の表面への高分子コーティングの一連の別個の区域の塗布方法を模式的に示すフローチャート。
【図12】図10の衣料品又は衣料品材料を通る横断面を模式的に示す断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝固剤を生地に塗布する工程、
高分子材料の発泡体を生地に塗布する工程、
凝固剤で多少の発泡体を凝固する工程、及び
非凝固発泡体を生地から除去する工程であって、それによって、生地上に一層の凝固高分子材料を残す、非凝固発泡体を生地から除去する工程
を有する衣料品材料の製造方法。
【請求項2】
前記非凝固発泡体を除去する工程が発泡体の外層を除去して生地上に凝固高分子材料の内層を残すことを備える請求項1に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項3】
前記外層が除去された後に発泡体層の外表面上にスキンが形成される請求項2に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項4】
前記非凝固発泡体を除去する工程が流体を生地に誘導することを備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項5】
前記流体が液体である請求項4に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項6】
前記液体が水から成る請求項5に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項7】
前記液体が噴霧として誘導される請求項5又は6に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項8】
前記噴霧が98〜981kPa(1〜10bar)の範囲の圧力を有する請求項7に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項9】
前記噴霧が98〜392kPa(1〜4bar)の範囲の圧力を有する請求項8に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項10】
前記流体がガスである請求項4に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項11】
前記ガスが少なくとも主に空気である請求項10に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項12】
前記ガスが噴射として誘導される請求項10又は11に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項13】
前記噴射が98〜981kPa(1〜10bar)の範囲の圧力を有する請求項12に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項14】
前記噴射が98〜392kPa(1〜4bar)の範囲の圧力を有する請求項13に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項15】
前記流体が生地の表面に対して法線から0°〜45°の範囲の角度で誘導される請求項4〜14のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項16】
前記非凝固発泡体を生地から除去する工程が液体中に生地を浸漬することを包含する請求項1に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項17】
前記液体が水から成る請求項16に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項18】
前記生地がナイロンニットから成る前記請求項のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項19】
前記生地がナイロン95%及びライクラ5%の配合物である請求項1〜17のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項20】
前記非凝固発泡体を生地から除去する工程の後に水中に生地を浸漬する工程であって、それによって、凝固剤を除去する、水中に生地を浸漬する工程を包含する前記請求項のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項21】
前記水中に生地を浸漬する工程の後に生地を乾燥する工程を包含する請求項20に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項22】
前記乾燥が炉中に生地を入れることを包含する請求項21に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項23】
前記凝固剤で多少の発泡体を凝固する工程が60〜180秒の範囲の期間継続する前記請求項のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項24】
前記凝固剤が1つ又は複数の電解質の水溶液である前記請求項のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項25】
前記凝固剤が1つ又は複数の電解質のアルコール性溶液である請求項1〜23のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項26】
前記1つ又は複数の電解質が、蟻酸、酢酸、硝酸カルシウム及び塩化カルシウムのうちの1つ又は複数の物質を含む請求項24又は25に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項27】
前記高分子材料がニトリルラテックス、天然ラテックス、ポリウレタンラテックス、ポリ塩化ビニルラテックス、ネオプレン及びポリ酢酸ビニルのうちの1つを含む前記請求項のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項28】
前記高分子材料がニトリルラテックス、天然ラテックス、ポリウレタンラテックス、ポリ塩化ビニルラテックス、ネオプレン及びポリ酢酸ビニルのうちの2つ以上の配合物を含む請求項27に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項29】
前記生地が型に入れられた後に凝固剤が生地に塗布される前記請求項のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項30】
前記型が1つ又は複数の以下の材料:金属、セラミック、ガラス繊維及びプラスチックから成る請求項29に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項31】
前記型が衣料品の一部という形態をとる請求項29又は30に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項32】
前記型が完成衣料品の形態をとる請求項29又は30に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項33】
前記衣料品が、コート、エプロン、ブーツ、靴、ソックス、下着の一品目、手袋及びコルセットのうちの1つから選択される衣料品である前記請求項のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項34】
凝固高分子材料の層に一連の別個の区域でコーティングを塗布する工程をさらに包含する前記請求項のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項35】
衣料品又は衣料品材料を洗浄する工程であって、それによって、残留物を除去する、衣料品又は衣料品材料を洗浄する工程、
衣料品又は衣料品材料を部分的に乾燥する工程、
アレイ生成機で衣料品又は衣料品材料を整える工程であって、その後コーティングを塗布する、アレイ生成機で衣料品又は衣料品材料を整える工程、
次にコーティングの層を硬化する工程、及び
アレイ生成機から衣料品又は衣料品材料を剥ぎ取る工程
のうちの少なくとも1つをさらに包含する請求項34に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項36】
前記衣料品又は衣料品材料を洗浄するために水及び洗剤の溶液を用いる請求項35に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項37】
前記衣料品又は衣料品材料が約50〜70℃の温度で部分的に乾燥される請求項35又は請求項36に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項38】
前記コーティングの層がニトリルラテックス、天然ラテックス、PUラテックス及びラテックスのうちの1つ、又は2つ以上の配合物を含む請求項34〜37のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項39】
前記コーティングの層の粘度が約100〜400ポアズである請求項34〜38のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項40】
前記コーティングの層が60〜140℃で30〜45分間硬化される請求項34〜39のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項41】
前記コーティングの層が二段階で硬化され、第一段階が60〜80℃で15〜30分間から成り、且つ第二段階が120〜150℃で20〜40分間から成る請求項34〜39のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項42】
前記コーティングの一連の別個の区域がドットのアレイを包含する請求項34〜41のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項43】
前記コーティングの一連の別個の区域がドットのアレイ及び強固パッチの組合せを含む請求項34〜41のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項44】
前記請求項のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法により製造される衣料品材料。
【請求項45】
3.5〜6.5mg・cm−2・h−1の範囲の水蒸気透過率を有する請求項44に記載の衣料品材料。
【請求項46】
265分間、20±2℃の温度及び65±2%の相対湿度に付された場合、衣料品材料1 c mあたり1.0mg〜8.5mgの水を保持する請求項44又は請求項45に記載の衣料品材料。
【請求項47】
前記請求項1〜43のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法により製造される衣
料品材料。
【請求項48】
3.5〜6.5mg・cm−2・h−1の範囲の水蒸気透過率を有する請求項47に記載の衣料品材料。
【請求項49】
265分間、20±2℃の温度及び65±2%の相対湿度に付された場合、衣料品材料1 c mあたり1.0mg〜8.5mgの水を保持する請求項47又は48に記載の衣料品材料。
【請求項50】
手袋である請求項47〜49のいずれか一項に記載の衣料品。
【請求項51】
生地、及び生地を少なくとも部分的に浸透する一層の凝固高分子材料を有する衣料品又は衣料品材料であって、3.5〜6.5mg・cm−2・h−1の範囲の水蒸気透過率を有する衣料品又は衣料品材料。
【請求項52】
265分間、20±2℃の温度及び65±2%の相対湿度に付された場合、衣料品又は衣料品材料1 c mあたり1.0mg〜8.5mgの水を保持する請求項51に記載の衣料品又は衣料品材料。
【請求項53】
生地、及び生地を少なくとも部分的に浸透する一層の凝固高分子材料を有する衣料品又は衣料品材料であって、265分間、20±2℃の温度及び65±2%の相対湿度に付された場合、衣料品又は衣料品材料1 c mあたり1.0mg〜8.5mgの水を保持する衣料品又は衣料品材料。
【請求項54】
生地及び生地に浸透する一層の凝固高分子材料を有する衣料品又は衣料品材料であって、高分子材料が生地に完全に浸透するわけではない衣料品又は衣料品材料。
【請求項55】
凝固高分子材料の層に結合される高分子材料から形成されるドットの一層をさらに包含する請求項51〜54のいずれか一項に記載の衣料品又は衣料品材料。
【請求項56】
生地、及び生地に少なくとも部分的に浸透する一層の凝固高分子材料を有する衣料品又は衣料品材料であって、凝固高分子材料の層と結合するのが高分子材料から形成されるドットの一層である衣料品又は衣料品材料。
【請求項57】
前記衣料品が手袋である請求項51〜56のいずれか一項に記載の衣料品又は衣料品材料。
【請求項58】
生地を支持するために配置される型、生地に高分子材料の発泡体を塗布するために配置される発泡体塗布手段、及び生地上の一層の凝固高分子材料を残すために生地から非凝固発泡体を除去するため配置される発泡体除去手段を包含する衣料品材料を製造するための装置。
【請求項59】
前記凝固高分子材料の層にドットコーティングを塗布するために配置されるドット塗布手段をさらに包含する請求項58に記載の衣料品材料を製造するための装置。
【請求項60】
衣料品材料から任意の残留物を除去するために配置される洗浄手段、洗浄した手袋を部分的に乾燥するために配置される乾燥手段、及びドットコーティングを硬化するために配置される硬化手段のうちの少なくとも1つをさらに包含する請求項59に記載の衣料品材料を製造するための装置。
【請求項61】
図3及び4を参照して説明される前記のような衣料品材料の製造方法。
【請求項62】
図4を参照して説明される前記のような衣料品材料を製造するための装置。
【請求項63】
図3及び4を参照して説明される前記のような衣料品材料の製造方法にしたがって製造される衣料品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝固剤を生地に塗布する工程、
高分子材料の発泡体を生地に塗布する工程、
凝固剤で多少の発泡体を凝固する工程、及び
非凝固発泡体を生地から除去する工程であって、それによって、生地上に一層の凝固高分子材料を残す、非凝固発泡体を生地から除去する工程
を有する衣料品材料の製造方法。
【請求項2】
前記非凝固発泡体を除去する工程が流体を生地に誘導することを備える請求項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項3】
前記流体が液体である請求項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項4】
前記流体がガスである請求項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項5】
前記非凝固発泡体を生地から除去する工程が液体中に生地を浸漬することを包含する請求項1に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項6】
前記生地がナイロンニットから成る請求項1〜5のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項7】
前記生地がナイロン95%及びライクラ5%の配合物である請求項1〜5のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項8】
前記非凝固発泡体を生地から除去する工程の後に水中に生地を浸漬する工程であって、それによって、凝固剤を除去する、水中に生地を浸漬する工程を包含する請求項1〜7のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項9】
前記水中に生地を浸漬する工程の後に生地を乾燥する工程を包含する請求項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項10】
前記凝固剤が1つ又は複数の電解質の水溶液である請求項1〜9のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項11】
前記凝固剤が1つ又は複数の電解質のアルコール性溶液である請求項1〜9のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項12】
前記高分子材料がニトリルラテックス、天然ラテックス、ポリウレタンラテックス、ポリ塩化ビニルラテックス、ネオプレン及びポリ酢酸ビニルのうちの少なくとも1つを含む請求項1〜11のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項13】
前記生地が型に入れられた後に凝固剤が生地に塗布される請求項1〜12のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項14】
凝固高分子材料の層に一連の別個の区域でコーティングを塗布する工程をさらに包含する請求項1〜13のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項15】
衣料品又は衣料品材料を洗浄する工程であって、それによって、残留物を除去する、衣料品又は衣料品材料を洗浄する工程、
衣料品又は衣料品材料を部分的に乾燥する工程、
アレイ生成機で衣料品又は衣料品材料を整える工程であって、その後コーティングを塗布する、アレイ生成機で衣料品又は衣料品材料を整える工程、
次にコーティングの層を硬化する工程、及び
アレイ生成機から衣料品又は衣料品材料を剥ぎ取る工程
のうちの少なくとも1つをさらに包含する請求項14に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項16】
前記コーティングの層がニトリルラテックス、天然ラテックス、PUラテックス及びラテックスのうちの1つ、又は2つ以上の配合物を含む請求項14又は15に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項17】
前記コーティングの一連の別個の区域がドットのアレイを包含する請求項14〜16のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項18】
前記コーティングの一連の別個の区域がドットのアレイ及び強固パッチの組合せを含む請求項14〜16のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の衣料品材料の製造方法により製造される衣料品材料。
【請求項20】
3.5〜6.5mg・cm−2・h−1の範囲の水蒸気透過率を有する請求項19に記載の衣料品材料。
【請求項21】
265分間、20±2℃の温度及び65±2%の相対湿度に付された場合、衣料品材料1 c mあたり1.0mg〜8.5mgの水を保持する請求項19又は20に記載の衣料品材料。
【請求項22】
生地、及び生地を少なくとも部分的に浸透する一層の凝固高分子材料を有する衣料品又は衣料品材料であって、3.5〜6.5mg・cm−2・h−1の範囲の水蒸気透過率を有する衣料品又は衣料品材料。
【請求項23】
265分間、20±2℃の温度及び65±2%の相対湿度に付された場合、衣料品又は衣料品材料1 c mあたり1.0mg〜8.5mgの水を保持する請求項22に記載の衣料品又は衣料品材料。
【請求項24】
生地、及び生地を少なくとも部分的に浸透する一層の凝固高分子材料を有する衣料品又は衣料品材料であって、265分間、20±2℃の温度及び65±2%の相対湿度に付された場合、衣料品又は衣料品材料1 c mあたり1.0mg〜8.5mgの水を保持する衣料品又は衣料品材料。
【請求項25】
生地及び生地に浸透する一層の凝固高分子材料を有する衣料品又は衣料品材料であって、高分子材料が生地に完全に浸透するわけではない衣料品又は衣料品材料。
【請求項26】
凝固高分子材料の層に結合される高分子材料から形成されるドットの一層をさらに包含する請求項22〜25のいずれか一項に記載の衣料品又は衣料品材料。
【請求項27】
生地を支持するために配置される型、生地に高分子材料の発泡体を塗布するために配置される発泡体塗布手段、及び生地上の一層の凝固高分子材料を残すために生地から非凝固発泡体を除去するため配置される発泡体除去手段を包含する衣料品材料を製造するための装置。
【請求項28】
前記凝固高分子材料の層にドットコーティングを塗布するために配置されるドット塗布手段をさらに包含する請求項27に記載の衣料品材料を製造するための装置。
【請求項29】
衣料品材料から任意の残留物を除去するために配置される洗浄手段、洗浄した手袋を部分的に乾燥するために配置される乾燥手段、及びドットコーティングを硬化するために配置される硬化手段のうちの少なくとも1つをさらに包含する請求項28に記載の衣料品材料を製造するための装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2006−524754(P2006−524754A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500268(P2006−500268)
【出願日】平成16年11月20日(2004.11.20)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004900
【国際公開番号】WO2005/088005
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(505398309)ジョン ワード セイロン(プライベート)リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】JOHN WARD CEYLON(PRIVATE)LIMITED
【Fターム(参考)】