説明

高周波発振器および高周波発振方法

【課題】 位相雑音の少ない高周波発振器を得る。
【解決手段】 光源と、光変調手段と、第1の光伝送手段と、光電変換器と、電気信号を発生する信号発生手段と、この電気信号を分岐する第1の分岐手段と、分岐した電気信号の一方と光電変換器からの電気信号をミキシングする第1のミキサと、前記第1のミキサにより生成された差周波数を有する電気信号を通過させるバンドパスフィルタと、前記バンドパスフィルタを通過した電気信号と前記第1の分岐手段で分岐した電気信号の他方をミキシングし、前記光変調手段で光を変調する電気信号を生成する第2のミキサと、前記第1の電気信号または前記第2の電気信号の一部を分岐し出力信号として出力する第2の分岐手段と、前記第3の電気信号の一方、前記第3の電気信号の他方、および、前記第4の電気信号のいずれかの通過時間を調整する通過時間調整手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばレーザ光を用いてミリ波やマイクロ波等の高周波信号を発振する高周波発振器および高周波発振方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の高周波発振器として、例えば特許文献1に示されたものがある。この高周波発振器は、光信号を伝送する光伝送系と、電気信号を伝送する電気伝送系とを備えている。光伝送系は、レーザ光源と、光変調器と、光電変換器とを備えている。また、電気伝送系は、発振器(ローカル発振器)と、第1のカプラと、第1のミキサと、バンドパスフィルタと、第2のミキサと、信号選択手段と、第2のカプラとを備えている。光伝送系では、レーザ光源からのレーザ光は、光変調器において第1の周波数で強度変調される。強度変調されたレーザ光は、光電変換器で電気信号に変換される。一方、電気伝送系では、第1の周波数とは異なる第2の周波数を有するローカル発振器からの高周波信号を第1のカプラで2分岐する。第1のミキサは、光電変換器からの高周波信号および第1のカプラからの一方の高周波信号をミキシングして、2つの高周波信号を生成する。バンドパスフィルタは、第1のミキサからの2つの高周波信号から、第3の周波数を中心周波数とする所定の通過帯域に含まれる信号成分のみ通過させる。第2のミキサは、バンドパスフィルタおよび第1のカプラからのもう一方の高周波信号をミキシングして2つの高周波信号を生成する。信号選択手段は、2つの高周波信号のうち何れか一方の高周波信号を選択して通過させる。第2のカプラは、信号選択手段からの高周波信号を2分岐し、一方を、第1の周波数を有する高周波信号として外部に出力するとともに、他方を光変調器に出力する。ここで、第3の周波数は、高周波発振器から出力される第1の周波数よりも低い周波数に設定されている。
【0003】
この高周波発振器では、光伝送系からの高周波信号を第1のミキサでダウンコンバートした後、バンドパスフィルタを通過させ、第2のミキサにより再度光伝送系からの入力信号と同じ周波数にアップコンバートすることで、発振周波数より低い中心周波数を有するバンドパスフィルタの利用を可能とし、これにより、スプリアスを効果的に抑圧している。(以下ではこの動作方式をダウンアップコンバート方式と称する。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−157044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の従来の高周波発振器では、ダウンアップコンバート方式を用いた構成により、スプリアスを効果的に抑制している。しかし、光伝送系での通過時間が大きいことに起因して、ミキサ間に配置したバンドパスフィルタにおける通過時間も大きくなるため、第2の周波数を有するローカル発振器からの高周波信号が第1のミキサでミキシングされるタイミングと、第2のミキサでミキシングされるタイミングに大きな時間差を生じる。これにより、第2のミキサから出力される高周波信号は、第2の周波数を有するローカル発振器の位相雑音の影響を強く受けるという課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、高周波信号がミキサ間に配置されたバンドパスフィルタを通過するのに要する時間と、ローカル発振器からの高周波信号が第2のミキサに到達する時間と第1のミキサに到達する時間との時間差を調整することで、出力信号へのローカル発振器の位相雑音の重畳を抑圧し、より低位相雑音の高周波発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る高周波発振器は、
光を発生する光源と、
前記光源で発生した光を第1の電気信号により変調する光変調手段と、
前記光変調手段で変調された光を伝送する第1の光伝送手段と、
前記第1の光伝送手段で伝送された光を第2の電気信号に変換する光電変換器と、
第3の電気信号を発生する信号発生手段と、
前記信号発生手段で発生した前記第3の電気信号を2つに分岐する第1の分岐手段と、
前記第1の分岐手段により分岐された前記第3の電気信号の一方と前記第2の電気信号とのミキシングにより、前記第3の電気信号の一方と前記第2の電気信号との差周波数を有する第4の電気信号を生成する第1のミキサと、
前記第1のミキサにより生成された前記差周波数を有する第4の電気信号を通過させるバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタを通過した前記第4の電気信号と前記第1の分岐手段により分岐された前記第3の電気信号の他方とのミキシングにより、前記第2の電気信号と同じ周波数を有し前記光変調手段で光を変調する前記第1の電気信号を生成する第2のミキサと、
前記第1の電気信号または前記第2の電気信号の一部を分岐し、この分岐した電気信号を出力信号として出力する第2の分岐手段と、
前記第3の電気信号の一方、前記第3の電気信号の他方、および、前記第4の電気信号のいずれかの通過時間を調整する通過時間調整手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係わる高周波発振器は、位相雑音の少ない出力信号を得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る高周波発振器の構成を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態2に係る高周波発振器の構成を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態3に係る高周波発振器の構成を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態4に係る高周波発振器の構成を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態5に係る高周波発振器の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の高周波発振器の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。なお、各図において同一、または相当する部材、部位については、同一符号を付して説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る高周波発振器の構成を示す構成図である。図1において、1は高周波発振器、2は光伝送系、21は光源であるレーザ光源、22は光変調手段である光変調器、23は第1の光伝送手段である第1の光ファイバ、24は光電変換器、3は電気伝送系、31は信号発生手段であるローカル発振器、32は第1の分岐手段である第1のカプラ、33は第1のミキサ、34は第2のミキサ、35はバンドパスフィルタ、36はフィルタ、37は高周波増幅器、38は第2の分岐手段である第2のカプラ、4は通過時間調整手段、41はE/O(Electrical/Optical)変換器、42は第2の光伝送手段である第2の光ファイバ、43はO/E(Optical/Electrical)変換器、5は出力信号である。
この発明の実施の形態1に係る高周波発振器1は、図1に示すように、光信号を伝送する光伝送系2と、電気信号を伝送する電気伝送系3とを備え、発振周波数が第1の周波数である高周波信号(出力信号5)を出力する。
【0012】
光伝送系2は、レーザ光源21と光変調器22と第1の光ファイバ23と光電変換器24とを備えている。また、電気伝送系3は、ローカル発振器31と第1のカプラ32と、第1のミキサ33と、第2のミキサ34と、バンドパスフィルタ35と、フィルタ36と、高周波増幅器37と、第2のカプラ38を備え、上記第1のカプラ32と第2のミキサ34との間には、通過時間調整手段4として、E/O変換器41と、第2の光ファイバ42と、O/E変換器43とを備えている。
【0013】
次に、この発明の実施の形態1に係る高周波発振器の動作について、図1を参照しながら説明する。
まず、光伝送系2では、レーザ光源21からのレーザ光を光変調器22に入力する。ここでレーザ光の波長は1.5μm帯を用いているが、他の波長帯のレーザ光を用いることもできる。また、レーザ光源21を用いたレーザ光でなくとも、例えばLED(Light Emitting Diode)から発生させた放出光などでもよく、種々の光源を用いて発生させた光を用いることができる。光変調器22に入力されたレーザ光は、第2のカプラ38から入力される第1の電気信号に応じて強度変調される。この電気信号は、本高周波発振器1が定常状態で発振動作した後は第1の周波数fを有する電気信号となる。第1の周波数fとしては、ここでは10GHzとなるようにしている。光変調器22で強度変調されたレーザ光は、第1の光ファイバ23に出力される。第1の光ファイバ23により伝送された変調光信号は、光電変換器24に入力される。光電変換器24は、直接検波により変調光信号を第2の電気信号に変換し、電気伝送系3の第1のミキサ33に出力する。第2の電気信号は、第1の電気信号と同じく第1の周波数fを有している。
【0014】
なお、必ずしもレーザ光源21対し光変調器22を外部に個別に設ける必要はなく、光源と光変調手段が一体化した直接変調型のレーザ光源などを用いることもできる。
【0015】
一方、電気伝送系3のローカル発振器31では、第3の電気信号を発生させ、第1のカプラ32に出力する。第3の電気信号の周波数は、第2の周波数fである。第2の周波数fとしては、ここでは9GHzを選んでいる。第1のカプラ32は、ローカル発振器31からの第3の電気信号を2分岐し、それぞれの電気信号を、第1のミキサ33、および通過時間調整手段4を介して第2のミキサ34に出力する。
第1のミキサ33は、光電変換器24からの第2の電気信号と第1のカプラ32からの第3の電気信号の一方とをミキシングし、第4の電気信号を生成する。第4の電気信号は、ミキシングする第2の電気信号と第3の電気信号との和周波数および差周波数を有する2つの周波数成分を有している。第1のミキサ33は、この第4の電気信号をバンドパスフィルタ35に出力する。バンドパスフィルタ35は、第1の周波数fよりも低い周波数である第3の周波数f=f−f(f>fの場合)を中心周波数とするあらかじめ設定された通過帯域に含まれる信号成分のみを通過させて、第2のミキサ34に出力する。ここでは第1の周波数fを10GHz、第2の周波数fを9GHzとしているので、第3の周波数fは1GHzとなる。
【0016】
第2のミキサ34は、バンドパスフィルタ35を通過した第4の電気信号と、第1のカプラ32から通過時間調整手段4を介して到達した第3の電気信号の他方とをミキシングし、第1の電気信号を生成する。この第1の電気信号には和周波数(f)および差周波数(|f−f|)の2つの周波数成分が含まれている。ここでは和周波数は10GHzとなり、差周波数は8GHzとなる。第2のミキサ34は、この第1の電気信号をフィルタ36に出力する。フィルタ36では、入力された2つの周波数成分のうち、第1の周波数f以外のもう一方の周波数成分(イメージ信号)が除去されて、第1の周波数fの電気信号のみが高周波増幅器37に出力される。ここでは8GHzのイメージ信号は除去され、10GHzの信号が出力される。この信号は、第1のミキサ33に入力した第2の電気信号と同じ周波数を有している。高周波増幅器37では、入力された第1の電気信号を所定のゲインで増幅し、第2のカプラ38に出力する。
【0017】
第2のカプラ38に入力された第1の電気信号は所定の分岐比で2分岐され、分岐された一方の電気信号は出力信号5として外部に出力され、分岐されたもう一方の電気信号は光変調器22に出力される。
ここで、第2のカプラ38で分岐された第1の電気信号が光変調器22に再び入力されることにより、帰還回路が構成される。帰還回路全体の損失よりも帰還ゲインが大きくなるように設定することで、この高周波発振器1は、定常状態において、第1の周波数fである10GHzで発振する。
【0018】
実施の形態1の高周波発振器1は、帰還回路の一部に第1の光ファイバ23を用いており、その伝送損失は非常に小さい。例えば、1.5μm帯の光ファイバでは、伝送損失が0.2dB/km程度のものが市販されている。これは、代表的な電線ケーブルである同軸ケーブルや導波管と比較して非常に優れた特性である。このため、第1の光ファイバ23の長さを長くすることにより、伝送損失を大きくすることなく、帰還回路の伝送路の延長を図ることができる。高周波発振器1において、帰還回路の長さを長くすることにより、発振のQ値が増加され、通常の電気伝送系3のみを用いて帰還回路を構成した高周波発振器よりも位相雑音が低減される。すなわち第1の光ファイバ23の長さを長くすればするほど低位相雑音の特性が得られる。
【0019】
一方、高周波発振器1の発振する可能性のある周波数(以下、モードと称する。)の間隔は、光ファイバ長に反比例しており、第1の光ファイバ23を長くするほどモード間隔が狭くなる。従って、不要なモードであるスプリアスを抑圧するため、第1の周波数である発振周波数f以外のモードを減衰させるフィルタが帰還回路の内部に必要となる。ここでは、光電変換器24からの第2の電気信号を第1のミキサ33でダウンコンバートして第4の電気信号に周波数変換した後、バンドパスフィルタ35を通過させ、第2のミキサ34により再度光電変換器24からの出力と同じ周波数の第1の電気信号にアップコンバートする、ダウンアップコンバート方式を用いている。このため、第1の周波数fである発振周波数fより低い第2の周波数fを中心周波数とするバンドパスフィルタ35を利用することが可能であり、ダウンアップコンバート方式を用いない場合に比べてバンドパスフィルタ35に要求される比帯域を広げることができる。
【0020】
しかし、ダウンアップコンバート方式を適用するかしないかにかかわらず、バンドパスフィルタに要求される帯域幅自体には変更はない。例えば、低位相雑音化を図るために第1の光ファイバ23のファイバ長を1kmと長くした場合、光ファイバ材料の屈折率を1.5とすると、発振ループ遅延時間は約5μsとなるため、モード間隔は遅延時間の逆数である約200kHzとなる。本高周波発振器では、1つのモードをバンドパスフィルタ35で選択することで1つのモードのみを発振させる必要があるので、バンドパスフィルタ35の帯域幅としては、kHzオーダの小さい値が必要となる。バンドパスフィルタの通過時間は一般的に帯域幅の逆数に近い値となるため、その通過時間τはμsオーダと考えられる。
【0021】
ここで、バンドパスフィルタ35での上記通過時間τとローカル発振器31の位相雑音とが、高周波発振器1の位相雑音に与える影響について説明する。
光電変換器24から第1のミキサ33に入力される第2の電気信号である正弦波の高周波信号をs0(t)とすると、s0(t)は次式(1)で表される。
【0022】
s0(t)=sin[ω0t+φ0(t)] ・・・(1)
【0023】
ここで、ω0は高周波発振器1の発振角周波数、φ0(t)は高周波発振器1の位相雑音を示している。一方、第1のミキサ33に入力される、ローカル発振器31からの第3の電気信号の一方である高周波信号をsl(t)とすると、sl(t)は次式(2)で表される。
【0024】
sl(t)=sin[ωlt+φl(t)] ・・・(2)
【0025】
ここで、ωlはローカル発振器31の発振角周波数、φl(t)はローカル発振器31の位相雑音を示している。式(1)、(2)より第1のミキサ33からの差周波数成分の出力信号をs1m(t)とすると、s1m(t)は次式(3)で表される。
【0026】
s1m(t)=sin[(ω0l)t+φ0(t)-φl(t)] ・・・(3)
【0027】
ここで、高周波信号が第1および第2のミキサ間に配置したバンドパスフィルタ35を通過する時間をτ1、高周波信号がローカル発振器31から第2のミキサ34まで達する時間と、ローカル発振器31から第1のミキサ33まで達する時間との差をτ2とすると、式(1)〜(3)と同様に考えることにより、第2のミキサ34からの出力信号をs2m(t)とすると、s2m(t)は次式(4)で表される。
【0028】
s2m(t)=sin[ω0(t+τ1)+ωl21)+φ0(t+τ1)+φl(t+τ2)-φl(t+τ1)]
・・・(4)
【0029】
ここで、式(4)においてτ1=τ2とすると、式(4)は式(5)のように表すことができる。
【0030】
s2m(t)=sin[ω0(t+τ1)+φ0(t+τ1)] ・・・(5)
【0031】
式(5)では、ローカル発振器31の位相雑音に起因する項が全てキャンセルされていることが分かる。したがって、τ1=τ2とすることにより、すなわちミキサ間のバンドパスフィルタ35の通過時間と同じ遅延を、第1のカプラ32と第2のミキサ34との間で発生させることで、ローカル発振器31の位相雑音の影響をキャンセルすることができる。
【0032】
なお、上記τ1とτ2とが完全に一致しなくとも、τ1とτ2とを近い値にすることにより、その差に応じた周波数帯域においてローカル発振器31の位相雑音の影響を減少することができる。
【0033】
光伝送系を有する高周波発振器は、帰還回路の長さが長くでき、発振のQ値が大きいので、ローカル発振器31の位相雑音が重畳しなければ、非常に低位相雑音を実現できる。しかし、ダウンアップコンバート方式において通過時間の調整を行わなかった場合、出力信号にローカル発振器31の位相雑音が重畳されてしまう。このため、出力信号の位相雑音はローカル発振器31の雑音成分が支配的になる可能性が高い。低位相雑音のローカル発振器31を用いることで、ある程度の改善は見込めるが、完全な位相雑音のキャンセルは困難である。また、このような低位相雑音のローカル発振器31は非常に高価である。本高周波発振器1では、τ1とτ2を同様の値とすることにより、ローカル発振器31の位相雑音の影響を抑圧し、低位相雑音の高周波発振器を得ることができる。
【0034】
本高周波発振器1では、第1のカプラ32から第2のミキサ34側に出力される第3の電気信号の他方は、通過時間調整手段4に入力する。そして通過時間調整手段4に含まれるE/O変換器41で電気信号から光信号に変換され、第2の光ファイバ42に出力される。ここで、E/O変換器41は、レーザ光源と光変調器の組み合わせであっても良いし、直接変調型のレーザ光源であっても良く、電気信号をこの電気信号で変調された光信号に変換するものであればどのようなものでも良い。第2の光ファイバ42は、バンドパスフィルタ35で生じる通過時間τと、通過時間調整手段4で生じる通過時間τ2とが同様となるようなファイバ長に設定されている。第2の光ファイバ42を伝送した光信号は、O/E変換器43で光信号から電気信号に変換され、バンドパスフィルタ35で生じる通過時間τと同等の通過時間を有する高周波信号として、第2のミキサ34に出力される。
【0035】
ここで、本高周波発振器1の通過時間調整手段4としては、例えば同軸ケーブルや遅延素子などを用いても良い。ただし、本高周波発振器1のバンドパスフィルタ35での通過時間τは、上記した通りμsオーダである。μsオーダの時間で電磁波が進む距離は数百メートル相当であり、同軸ケーブルでその距離を伝送させた場合、伝送損失が非常に大きくなる。また、同軸ケーブルは、直径が大きく、可とう性にも優れないため膨大な配置スペースが必要である。
【0036】
上記の問題に対し、本高周波発振器1の通過時間調整手段4は、低損失の光ファイバ中を伝送して通過時間を発生させているので、μsオーダの遅延があっても、ほぼ損失なく伝送させることができる。また、光ファイバは軽量で、可とう性に優れるため装置の小型・軽量化につながる。また、光ファイバは一般的に同軸ケーブルに対して広帯域であり、ローカル発振器31の高周波化に対してもほぼ影響を受けない。更に、光ファイバ42に外部環境の変化によるファイバの伸縮を抑圧した光ファイバを用いることで、通過時間の安定化が図れる。このように、通過時間調整手段4に同軸ケーブルや遅延素子などを用いることもできるが、光ファイバを用いることで、より小型で高周波に対応しやすい高周波発振器1を得ることができる。
【0037】
以上のように、この発明の実施の形態1に係る高周波発振器1は、第1の光ファイバ23が長くなることに伴い発生する不要なスプリアスを抑圧するため第1のミキサ33と第2のミキサ34との間に挿入するバンドパスフィルタ35において生じるμsオーダの通過時間に対し、第1のカプラ32と第2のミキサ34との間に備えた、E/O変換器41と、第2の光ファイバ42と、O/E変換器43とを含む通過時間調整手段4により、第3の電気信号の他方の通過時間を調整し、バンドパスフィルタ35の通過時間を補償して、同様の通過時間を発生させているため、出力信号に生じるローカル発振器31の位相雑音の影響をキャンセルでき、低位相雑音の高周波発振器が得られる。
【0038】
なお、本実施の形態において、通過時間調整手段4に、E/O変換器41と、第2の光ファイバ42と、O/E変換器43とを用いたものを示したが、本発明はこれに限らず、第3電気信号の他方の通過時間を調整することができるあらゆる回路等を用いることができる。
【0039】
また、本実施の形態において、第2のカプラ38を高周波増幅器37と光変調器22との間に挿入し、出力信号5を取り出す構成を示したが、本発明はこれに限らず、第2のカプラ38を第2のミキサ34と光変調器22との間であれば任意の場所に挿入することができる。さらに、光電変換器24と第1のミキサ33との間に挿入することもできる。これらの部分には共通に第1の周波数fを有する高周波信号が伝送しており、低位相雑音で第1の周波数fを有する出力信号5を取り出すことができる。
【0040】
さらに、本実施の形態において、ローカル発振器31で発生する第3の電気信号の周波数である第2の周波数fを、高周波発振器の発振周波数である第1の周波数fよりも低くした場合について説明したが、これに限らず、第2の周波数fを第1の周波数fより高くしても良い。例えば、fを10GHzとし、fを11GHzとすることもできる。この場合には第3の周波数fはf−fとなり、やはり1GHzとなる。このfを中心周波数とするバンドパスフィルタ35を用いることで、同様に不要モードであるスプリアスを除去することができる。第2のミキサ34では和周波数である12GHzと差周波数である10GHzの高周波信号を発生するが、フィルタ36で差周波数10GHzの高周波信号を選択することにより、同様に高周波発振器を第1の周波数fで発振させることができ、本実施例の効果も同様に得られる。
【0041】
実施の形態2.
図2は、この発明の実施の形態2に係る高周波発振器の構成を示す構成図である。図2において、34bは出力に発生する和周波数信号と差周波数信号のうち不要な信号であるイメージ信号を抑圧するミキサであるイメージリジェクションミキサである。
この発明の実施の形態2に係る高周波発振器1は、この発明の実施の形態1に係る高周波発振器1の第2のミキサ34をイメージリジェクションミキサ34bとし、更にフィルタ36を取り除いたことが異なり、それ以外は実施の形態1と同様であるので、同一又は対応する部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
高周波発振器1のイメージリジェクションミキサ34bには、バンドパスフィルタ35を通過した第4の電気信号と、第1のカプラ32から通過時間調整手段4を介して伝送された第3の電気信号の他方とが入力される。イメージリジェクションミキサ34bから出力した第1の電気信号は高周波増幅器37に出力される。
【0042】
次に、この発明の実施の形態2に係る高周波発振器1の動作について説明する。
実施の形態1では、第2のミキサ34に入力された2つの高周波信号をミキシングし、和周波数および差周波数を有する2つの高周波信号を生成し、フィルタ36で一方の不要な高周波信号であるイメージ信号を除去している。これに対し、実施の形態2では、ミキシングして得られた和周波数、および差周波数のうちの不要となる一方の信号を抑圧し、もう一方の所望の発振周波数fを有する信号のみを出力するイメージリジェクションミキサ34bを備えている。つまり、第1の形態における信号選択手段としてのフィルタ36の役割をイメージリジェクションミキサ34bが兼ね備えており、イメージリジェクションミキサ34bのみで発振周波数f以外の不要なイメージ信号の抑圧が可能である。
以上のように、第2のミキサとしてイメージリジェクションミキサ34bを用いることで、イメージ信号抑圧用のフィルタ36が不要となるため、高周波発振器1をさらに小型化できるという効果が得られる。
【0043】
実施の形態3.
図3は、この発明の実施の形態3に係る高周波発振器の構成を示す構成図である。図3において、44は光路長可変手段であり、光ファイバに機械的な応力を与えて光ファイバの光路長を可変できるファイバストレッチャである。また、45は電気信号の通過遅延時間を可変できる回路素子である可変遅延素子である。
この発明の実施の形態3に係る高周波発振器1は、この発明の実施の形態1に係る高周波発振器1の通過時間調整手段4に、ファイバストレッチャ44と、可変遅延素子45とを追加したことが異なり、それ以外は同様であるので、同一又は対応する部分に同じ符号を付記し説明は簡略化する。
実施の形態3の高周波発振器1では、第1のカプラ32とE/O変換器41との間に可変遅延素子45を備えている。また、E/O変換器41と、O/E変換器43との間の第2の光ファイバ42に隣接して、ファイバストレッチャ44を備えている。
【0044】
次に、この発明の実施の形態3に係る高周波発振器1の動作について説明する。
実施の形態1では、通過時間調整手段4は、E/O変換器41と、第2の光ファイバ42と、O/E変換器43とを備えることで、バンドパスフィルタ35と同等の通過時間を発生している。しかし、上記実施の形態1では、第2の光ファイバ42のファイバ長のみで通過時間を調整するため、通過時間の微調整が必ずしも容易ではない。
【0045】
そこで実施の形態3の高周波発振器1では、第1のカプラ32から第2のミキサ34側に出力した第3の電気信号の他方を、通過時間調整手段4に含まれる可変遅延素子45を介してE/O変換器41に入力する。E/O変換器41では電気信号を変調光信号に変換し、第2の光ファイバ42に出力する。第2の光ファイバ42に入力された変調光信号は、ファイバストレッチャ44を介してO/E変換器43に出力する。O/E変換器43は、変調光信号を電気信号に変換し、第2のミキサ34に出力する。
【0046】
上記構成では、可変遅延素子45またはファイバストレッチャ44で通過時間の微調整が可能であるため、通過時間調整手段4の通過時間をバンドパスフィルタ35の通過時間に正確に合わせることができる。従って、出力信号5に対するローカル発振器31の位相雑音の重畳をより完全に近い状態で抑制することができる。また、外部環境の変化により通過時間が変化した場合や、使用する設定条件が変更になった場合などにも、簡単に再調整が可能である。
【0047】
なお、実施の形態3においては、可変遅延素子45とファイバストレッチャ44は、少なくともどちらか一方が備えられていれば良い。また、可変遅延素子45は、必ずしも上記した第一のカプラ32と、E/O変換器41との間にある必要はなく、第一のカプラ32と、E/O変換器41との間、O/E変換器43と第2のミキサ34との間、第1のカプラ32と第1のミキサ33との間、第1のミキサ33とバンドパスフィルタ35との間、およびバンドパスフィルタ35と第2のミキサ34との間の少なくとも一箇所に備えられていれば良い。また、可変遅延素子45は、正の通過時間を有する遅延素子に限られることはなく、負の通過時間(群遅延時間)を有する遅延素子であっても良い。
【0048】
以上のように、通過時間調整手段4に、ファイバストレッチャ44、可変遅延素子45のいずれか、およびその両方を備えることにより、出力信号5へのローカル発振器31の位相雑音の重畳をより完全に近い状態で抑制することができる。また、環境変化等に対する通過時間の変化に対しても調整が可能であり、フレキシブルな対応が可能となるという効果が得られる。
【0049】
実施の形態4.
図4は、この発明の実施の形態4に係る高周波発振器の構成を示す構成図である。図4において、25は光分岐手段である光カプラ、46はE/O変換器である第2の光変調器、6は第3の光ファイバである。
この発明の実施の形態4に係る高周波発振器1は、この発明の実施の形態1に係る高周波発振器1において、E/O変換器41を第2の光変調器46のみの構成とし、レーザ光源21からのレーザ光を分岐する光カプラ25と、光カプラ25と第2の光変調器46とを接続する第3の光ファイバ6を追加したことが異なり、それ以外は同様であるので、同一又は対応する部分に同じ符号を付記し説明は簡略化する。
高周波発振器1では、レーザ光源21からのレーザ光を2分岐する光カプラ25と、分岐した一方のレーザ光を、通過時間調整手段4に含まれる第2の光変調器46に伝送する第3の光ファイバ6を備えている。
【0050】
次に、この発明の実施の形態4に係る高周波発振器1の動作について説明する。
実施の形態1では、光伝送系2と通過時間調整手段4とが完全に独立しているため、通過時間調整手段4にも光ファイバを用いる構成とした場合には、最低でも2つのレーザ光源等が必要である。そこで実施の形態4の高周波発振器1では、レーザ光源21からのレーザ光を光カプラ25で2分岐し、一方を光変調器22に出力し、もう一方を、第3の光ファイバ6を介して通過時間調整手段4に含まれる第2の光変調器46に出力する。第2の光変調器46は、第3の光ファイバ6から入力されたレーザ光に対して、ローカル発振器31で発生し第1のカプラ32を介して入力される第3の電気信号の他方によって変調を施し、この変調光信号を第2の光ファイバ42を介してO/E変換器43へ出力する。実施の形態1では通過時間調整手段4のE/O変換器41内にレーザ光源等の光源が必要であったが、実施の形態4の通過時間調整手段4では、レーザ光源21からのレーザ光を分岐して使用するため、新たにレーザ光源等を備えることなく、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0051】
以上のように、光カプラ25で分岐した一方のレーザ光を第3の光ファイバ6を介して第2の光変調器46に入力することで、レーザ光源21のレーザ光が通過時間調整手段4でも利用可能となるため、1つのレーザ光源等で高周波発振器1が動作可能となり、高周波発振器の小型化・低コスト化および低消費電力化が図れるという効果が得られる。
【0052】
実施の形態5.
図5は、この発明の実施の形態5に係る高周波発振器の構成を示す構成図である。図5において、47は通過時間調整手段である負の群遅延時間発生手段である。
この発明の実施の形態5に係る高周波発振器1は、この発明の実施の形態1に係る高周波発振器1の通過時間調整手段4を、負の群遅延時間発生手段47とし、この通過時間調整手段4を第1のカプラ32と第2のミキサ34の間ではなく、第1のカプラ32と第1のミキサ33の間に挿入したことが異なり、それ以外は同様である。他の、同一又は相当する部分には同じ符号を付記し説明は簡略化する。
高周波発振器1では、第1のカプラ32と第1のミキサ33との間に、負の群遅延時間発生手段47を備えている。
【0053】
次に、この発明の実施の形態5に係る高周波発振器1の動作について説明する。
実施の形態1では、通過時間調整手段4は、E/O変換器41、第2の光ファイバ42、およびO/E変換器43で構成されており、その通過時間は正の遅延時間である。一方実施の形態5では、通過時間調整手段4として、特定の周波数において負の群遅延時間を発生する負の遅延時間発生手段47を備えている。このような手段としては、例えば、周期構造を持つ直列共振と並列共振を用いた回路により、共振周波数を中心としたある周波数領域で負の群遅延時間を発生させること等で実現できる。
【0054】
第1のカプラ32は、ローカル発振器31からの第3の電気信号を2分岐し、分岐された第3の電気信号の他方を第2のミキサ34に出力し、分岐された第3の電気信号の一方を、負の群遅延時間発生手段47に出力する。負の群遅延時間発生手段47では、後に通過するバンドパスフィルタ35で生じる正の遅延時間と同等の負の遅延時間を第3の電気信号の一方に与え、第1のミキサ33に出力する。第1のミキサ33は、負の群遅延時間発生手段47からの負の遅延時間を有する第3の電気信号の一方と、光電変換器24からの第2の電気信号をミキシングし、これら2つの電気信号の和周波数および差周波数を有する高周波信号をバンドパスフィルタ35に出力する。バンドパスフィルタ35は、第3の周波数を中心周波数とする所定の通過帯域に含まれる信号成分のみを通過させ、第2のミキサ34に出力する。
【0055】
この際、バンドパスフィルタ35では遅延時間が発生するが、負の群遅延時間発生手段47でバンドパスフィルタ35の遅延時間に相当する負の遅延時間が与えられているため、これらの遅延時間はキャンセルされる。従って、第1のカプラ32から第2のミキサ34に直接入力される第3の電気信号の他方と、第1のカプラ32から負の群遅延時間発生手段47、第1のミキサ33、バンドパスフィルタ35を通過して第2のミキサ34に入力される第4の電気信号とは時間差を生じない。このため、出力信号5に対するローカル発振器31の位相雑音の重畳をキャンセルでき、低位相雑音の高周波発振器が得られる。
また、実施の形態1では、通過時間調整手段4は、E/O変換器41、第2の光ファイバ42、およびO/E変換器43と、多くの要素で構成されているが、それに比べ実施の形態5では負の群遅延時間発生手段47のみの簡単な構成でよいため、高周波発振器を小型化、低消費電力化する効果が得られる。
【0056】
以上のように、負の群遅延時間発生手段47で負の遅延時間を与えることにより、第1のカプラ32から第2のミキサ34に直接入力される第3の電気信号の他方と、第1のカプラ32から負の群遅延時間発生手段47、第1のミキサ33、バンドパスフィルタ35を通過して第2のミキサ34に入力される第4の電気信号の時間差をキャンセルすることができるので、低位相雑音の高周波発振器が得られる。また、通過時間調整手段4が簡単な構成であるため、高周波発振器の小型化・低消費電力化が可能という効果が得られる。
【0057】
なお、実施の形態では、通過時間調整手段である負の群遅延時間発生手段47を第1のカプラ32と第1のミキサ33の間に挿入した場合を示したが、本発明はこれに限らず、負の群遅延時間発生手段47を、第1のミキサ33とバンドパスフィルタ35の間、バンドパスフィルタ35と第2のミキサ34の間、のいずれかに挿入しても良いことは明らかであり、これらの場合にも同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 高周波発振器、2 光伝送系、21 レーザ光源、22 光変調器、23 第1の光ファイバ、24 光電変換器、25 光カプラ、3 電気伝送系、31 ローカル発振器、32 第1のカプラ、33 第1のミキサ、34 第2のミキサ、34b イメージリジェクションミキサ、35 バンドパスフィルタ、36 フィルタ、37 高周波増幅器、38 第2のカプラ、4 通過時間調整手段、41 E/O変換器、42 第2の光ファイバ、43 O/E変換器、44 ファイバストレッチャ、45 可変遅延素子、46 第2の光変調器、47 負の群遅延時間発生手段、5 出力信号、6 第3の光ファイバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発生する光源と、
前記光源で発生した光を第1の電気信号により変調する光変調手段と、
前記光変調手段で変調された光を伝送する第1の光伝送手段と、
前記第1の光伝送手段で伝送された光を第2の電気信号に変換する光電変換器と、
第3の電気信号を発生する信号発生手段と、
前記信号発生手段で発生した前記第3の電気信号を2つに分岐する第1の分岐手段と、
前記第1の分岐手段により分岐された前記第3の電気信号の一方と前記第2の電気信号とのミキシングにより、前記第3の電気信号の一方と前記第2の電気信号との差周波数を有する第4の電気信号を生成する第1のミキサと、
前記第1のミキサにより生成された前記差周波数を有する第4の電気信号を通過させるバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタを通過した前記第4の電気信号と前記第1の分岐手段により分岐された前記第3の電気信号の他方とのミキシングにより、前記第2の電気信号と同じ周波数を有し前記光変調手段で光を変調する前記第1の電気信号を生成する第2のミキサと、
前記第1の電気信号または前記第2の電気信号の一部を分岐し、この分岐した電気信号を出力信号として出力する第2の分岐手段と、
前記第3の電気信号の一方、前記第3の電気信号の他方、および、前記第4の電気信号のいずれかの通過時間を調整する通過時間調整手段と、
を備えたことを特徴とする高周波発振器。
【請求項2】
前記通過時間調整手段は、前記バンドパスフィルタにおける前記差周波数を有する第4の電気信号の通過時間を補償することを特徴とする請求項1に記載の高周波発振器。
【請求項3】
前記通過時間調整手段は、
前記第1の分岐手段により分岐された前記第3の電気信号の他方に応じて変調された光を出力するE/O(Electrical/Optical)変換器と、
前記E/O変換器から出力された光を伝送する第2の光伝送手段と、
前記第2の光伝送手段で伝送された光を電気信号に変換し、この変換した電気信号を前記第2のミキサに出力するO/E(Optical/Electrical)変換器と、
を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高周波発振器。
【請求項4】
前記E/O変換器と前記O/E変換器の間の光路長を可変する光路長可変手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の高周波発振器。
【請求項5】
前記第2の光伝送手段は光ファイバであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の高周波発振器。
【請求項6】
前記光源で発生した光を2つに分岐し、この分岐した光の一方を前記光変調手段に出力するとともに、他方を前記E/O変換器に出力する光分岐手段を備えたことを特徴とする請求項3から請求項5のいずれかに記載の高周波発振器。
【請求項7】
前記第2のミキサは、ミキシングにより生成された不要な信号であるイメージ信号を抑圧するイメージリジェクションミキサであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の高周波発振器。
【請求項8】
前記通過時間調整手段は、前記第3の電気信号の一方または前記第4の電気信号に負の群遅延時間を与えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高周波発振器。
【請求項9】
光を発生する光発生ステップと、
前記光発生ステップで発生した光を第1の電気信号により変調する光変調ステップと、
前記光変調ステップで変調された光を伝送する光伝送ステップと、
前記光伝送ステップで伝送された光を第2の電気信号に変換する光電変換ステップと、
第3の電気信号を発生する信号発生ステップと、
前記信号発生ステップで発生した第3の電気信号を2つに分岐する第1の分岐ステップと、
前記第1の分岐ステップで分岐された前記第3の電気信号の一方と前記第2の電気信号とのミキシングにより、前記第3の電気信号の一方と前記第2の電気信号との差周波数を有する第4の電気信号を生成する第1のミキシング・ステップと、
前記第1のミキシング・ステップで生成された前記差周波数を有する第4の電気信号を通過させるフィルタリング・ステップと、
前記フィルタリング・ステップで通過した第4の電気信号と前記第1の分岐ステップで分岐された第3の電気信号の他方とのミキシングにより、前記第2の電気信号と同じ周波数を有し前記光変調ステップで光を変調する前記第1の電気信号を生成する第2のミキシング・ステップと、
前記第1の電気信号または前記第2の電気信号の一部を分岐し、この分岐した電気信号を出力信号として出力する第2の分岐ステップと、
前記第3の電気信号の一方、前記第3の電気信号の他方、および、前記第4の電気信号のいずれかの通過時間を調整する通過時間調整ステップと、
を備えたことを特徴とする高周波発振方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−88554(P2012−88554A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235567(P2010−235567)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】