説明

高周波電源装置

【課題】直流電圧をインバータ回路により高周波交流電圧に変換して負荷に供給する高周波電源装置の構成の簡素化を図る。
【解決手段】直流電源部20が発生する直流電力を交流電力に変換するインバータ回路3と、インバータ回路の出力が一次側に入力されたトランス4とを備えて、トランスの二次側から負荷7に高周波電力を供給する高周波電源装置において、インバータ回路3の出力電流と出力電圧の位相差を検出する位相差検出部11と、負荷に与える高周波電力を検出する電力検出部10とを設け、インバータ回路3に入力する直流電圧を一定として、インバータ回路の出力電流の出力電圧に対する位相を遅れ位相の状態に維持する制御を行いつつ、インバータ回路3の出力端から負荷側を見た回路のインピーダンスの抵抗分を増減させて負荷に与える高周波電力を設定値に近づけるか又は許容範囲に保つ制御を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理装置等の負荷に高周波電力を供給する高周波電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高周波電源装置として、特許文献1に示されているように、商用交流電圧を直流電圧に変換する整流平滑回路と、この整流平滑回路から得られる直流電圧を一旦交流電圧に変換した後再度直流電圧に変換するDC−DCコンバータと、DC−DCコンバータの出力を高周波交流電力に変換するインバータ回路とを備えて、DC−DCコンバータの出力電圧を制御することにより、負荷に供給する高周波電力を設定値に近づける制御を行うようにしたものが知られている。
【0003】
図8は、特許文献1に示された高周波電源装置の構成を示したものである。同図において、1は商用電源から得られる交流電圧を整流して平滑する整流平滑回路、2は整流平滑回路から得られる直流電圧が入力されたDC−DCコンバータ、3はDC−DCコンバータ2の出力を高周波交流電力に変換するインバータ回路である。
【0004】
インバータ回路3は、図9に示すように、スイッチ素子S1ないしS4をHブリッジ接続してなるスイッチ回路と、スイッチ素子S1ないしS4にそれぞれ逆並列接続された帰還用ダイオードD1ないしD4とを備えた周知の回路からなっている。インバータ回路3は、Hブリッジの一方の対辺を構成する対のスイッチ素子S1及びS4と、他方の対辺を構成する他の対のスイッチ素子S2及びS3とを交互にオン状態にすることにより、DC−DCコンバータ2から与えられる直流電圧Vdcを矩形波状の高周波交流電圧Vinvに変換する。
【0005】
インバータ回路3から出力される矩形波状の高周波交流電圧は、正弦波形の高周波電圧及び電流に変換されて負荷7に供給される。図示の例では、インバータ回路の出力がトランス4の一次側に入力され、トランス4の出力が直列共振回路5とローパスフィルタ6とを通して負荷7に入力されている。インバータ回路3が出力する矩形波状の交流電圧及び電流は、直列共振回路5とローパスフィルタ6とにより正弦波形の高周波電圧及び電流に変換されて負荷7に供給される。
【0006】
8はインバータ回路3の出力電圧を検出する電圧検出部、9はインバータ回路3とトランス4との間を流れるインバータの出力電流Iinvを検出する電流検出部、10は負荷7に供給される高周波電力を検出する電力検出部である。
【0007】
電圧検出部8の出力及び電流検出部9の出力は、インバータ回路3の出力電流の出力電圧に対する位相差を検出する位相差検出部11に入力され、位相差検出部11から得られる位相差の検出値が、インバータ回路3の出力周波数を決定する周波数指令を発生する周波数制御部12′に与えられている。
【0008】
13は周波数制御部12′から与えられる周波数指令により指令された周波数を有する正弦波形の高周波信号を発生する高周波信号発生部、14は高周波信号発生部13が出力する高周波信号を、インバータ回路3のスイッチ素子に与える制御信号V1及びV2に変換する信号変換部、15はインバータ回路から負荷に供給される高周波電力の電力値を設定値に近づけるか又は設定された許容範囲に保つ制御を行なう電力制御部である。
【0009】
制御信号V1は、インバータ回路3を構成するHブリッジの一方の対辺(対角位置にある辺)にあるスイッチ素子S1,S4をオン状態にするために該対のスイッチ素子S1,S4の制御端子に与える制御信号であり、制御信号V2は、インバータ回路3を構成するHブリッジの他方の対辺を構成する対のスイッチ素子S2,S3をオン状態にするために該対のスイッチ素子S2,S3の制御端子に与える制御信号である。高周波信号発生部13は、ダイレクト・デジタル・シンセサイザー(DDS)からなっていて、与えられた周波数指令により指令された通りの周波数を有する正弦波信号を発生する。
【0010】
特許文献1に示された高周波電源装置では、負荷に与えられる高周波交流電流と高周波電圧との位相差を可能な限り小さくするように(好ましくは0とするように)、インバータ回路3の出力周波数を制御している。このように、インバータ回路の出力周波数を制御すると、インバータ回路3を構成するスイッチ素子で生じるスイッチング損失を少なくして、高周波電源装置の効率を高くすることができる。
【0011】
プラズマ処理装置などの負荷に高周波電力を供給す高周波電源装置では、負荷に与える高周波電力を設定値に保つ必要がある。図8に示した高周波電源装置では、インバータ回路3からトランス4と直列共振回路5とローパスフィルタ6とを通して負荷に与えられる高周波電力を設定値に保つ制御を行う必要がある。そのため、従来のこの種の高周波電源装置では、特許文献1には特に示されていないが、インバータ回路3に入力する直流電力を発生するDC−DCコンバータ2の出力電圧を制御することにより、負荷7に供給される高周波電力を制御している。図8に示した例では、電力検出部10の出力が、電力制御部15に与えられている。電力制御部15は、負荷7に与えられる高周波電力の検出値と設定値との偏差を演算して、演算した偏差を零に近づけるようにDC−DCコンバータ2の出力電圧の値を制御し、これにより、インバータ回路3の出力電圧及び出力電流を制御して、負荷7に与えられる高周波交流電力を設定値に保つ。
【0012】
図8に示された例では、整流平滑回路1と、DC−DCコンバータ2とにより直流電源部が構成されている。また位相差検出部11と、周波数制御部12′と、高周波信号発生部13と信号変換部14とによりインバータ制御部25′が構成され、インバータ回路3、トランス4、直列共振回路5、フィルタ部6、電圧検出部8、電流検出部9及びインバータ制御部25′により高周波電力発生部PS′が構成されている。更に、整流平滑回路1とDC−DCコンバータ2とからなる直流電源部と、高周波電力発生部PS′と、電力検出部10と、電力制御部15とにより高周波電源装置が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007−185000号公報(図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図8に示された従来の高周波電源装置においては、負荷に供給する高周波電力を設定値に保つ制御を行うために、インバータ回路3の前段に直流出力電圧を制御することが可能なDC−DCコンバータ2を設けて、電力検出部10により検出される電力を設定値に保つように、DC−DCコンバータ2の出力電圧を制御していた。そのため、電源装置の構成が複雑になり、そのコストが高くなるという問題があった。
【0015】
またDC−DCコンバータは内部に大容量の平滑用コンデンサを有していて、その出力電圧を低下させるのに時間がかかるため、制御の応答性が悪くなるのを避けられなかった。制御の応答性を高めるためには、DC−DCコンバータの平滑用コンデンサを強制的に放電させる回路を設ける等の工夫をすることが必要になり、回路構成が複雑になるのを避けられなかった。
【0016】
なお図8において、DC−DCコンバータ2を省略して、インバータ回路3のスイッチ素子をPWM制御することにより、負荷7に供給する電力を設定値に保つ制御を行うことも考えられる。しかしながら、インバータ回路3のスイッチ素子のPWM制御は、インバータ回路3の出力周波数よりも遙かに高い周波数でスイッチ素子をオンオフさせることにより行う必要があるため、インバータ回路3の出力周波数が高い場合(現状のスイッチ素子の性能では、例えば数10乃至数100MHzの場合)には採用することが困難である。
【0017】
本発明の目的は、出力電圧を制御する機能を有しない簡単な構成の直流電源部の出力電圧を直接インバータ回路に入力する構成をとって構成の簡素化を図り、コストの低減を図ることを可能にした高周波電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、交流電圧を整流平滑して直流電圧を出力する直流電源部と、直流電源部から出力される直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路とを備えてインバータ回路から負荷に供給する高周波電力を発生する高周波電力発生部と、高周波電力発生部から負荷に供給される高周波電力の電力値を設定値に近づけるか又は設定された許容範囲に保つ制御を行なう電力制御部とを備えた高周波電源装置を対象とする。
【0019】
本発明に係わる高周波電源装置は、インバータ回路の出力電流を検出する電流検出部と、電流検出部により検出される電流とインバータ回路の出力電圧との位相差を検出する位相差検出部と、負荷に供給される高周波電力を検出する電力検出部と、位相差検出部により検出された位相差を入力として電流検出部により検出される電流の位相をインバータ回路の出力電圧の位相に対して設定された遅れ量だけ遅れた状態に保つようにインバータ回路の出力周波数を予め定めた範囲内で制御する周波数制御部とを備えている。
【0020】
また上記電力制御部は、少なくとも一つの可変リアクタンス素子を含む複数のリアクタンス素子からなっていて、可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、高周波電力発生部の出力端から負荷側を見た回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスを調整するインピーダンス調整器と、電力検出部により検出された電力値に応じて負荷側インピーダンスの抵抗分を変化させて高周波電力発生部から負荷に供給される高周波電力の電力値を設定値に近づけるか又は設定された許容範囲に保つ制御を行うべく、電力検出部により検出された電力値に応じてインピーダンス調整器の可変リアクタンス素子を制御するインピーダンス制御部とを備えている。
【0021】
インバータ回路から負荷側を見た回路のインピーダンスは、通常直列共振特性を有している。インバータ回路から負荷側を見た回路のインピーダンスが直列共振特性を有している場合、インバータ回路の出力周波数が直列共振周波数に等しいときにインバータ回路から負荷側を見た回路のインピーダンスが最小になり、負荷に供給される電力が最大になる。インバータ回路の出力周波数が直列共振周波数よりも高い領域では、該インピーダンスが誘導性を示し、インバータ回路の出力電流の位相が出力電圧の位相よりも遅れる。またインバータ回路の出力周波数が直列共振周波数よりも低い領域では、インバータ回路の負荷のインピーダンスが容量性を示し、インバータ回路の出力電流の位相が出力電圧の位相よりも進む。
【0022】
電流のスイッチング動作が行われるインバータ回路から直列共振特性を有する負荷に高周波電力を供給する電力供給システムにおいて、インバータ回路より負荷側の回路のインピーダンスが容量性を示す領域にインバータ回路の出力周波数を設定した場合には、インバータ回路による電流のスイッチング動作に伴って電流波形が大きく歪むが、インバータ回路より負荷側の回路のインピーダンスが誘導性を示す領域にインバータ回路の出力周波数を設定した場合には、電流の波形歪みが比較的少ないことが知られている。
【0023】
従って、インバータ回路から直列共振特性を有する負荷に電力を供給する場合には、インバータ回路から負荷側を見た回路のインピーダンスが誘導性を示すようにしておく必要がある。そのため、本発明においては、インバータ回路の出力周波数を予め定めた範囲内で制御することにより、電流検出部により検出される電流の位相をインバータ回路から出力される電圧の位相に対して設定された遅れ量だけ遅れた状態に保つ制御を行う。これにより、インバータ回路から負荷側を見た回路のインピーダンスを誘導性に保って、制御の安定性を確保する。
【0024】
また高周波電力発生部から負荷に高周波電力を供給する場合、高周波電力発生部の出力端から負荷側を見た回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスの抵抗分を小さくすることにより、高周波電力発生部から負荷に供給される高周波電力を増大させることができ、該負荷側インピーダンスの抵抗分を大きくすることにより、高周波電力発生部から負荷に供給される高周波電力を減少させることができる。
【0025】
従って、高周波電力発生部の出力端から負荷側を見た回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスを調整するインピーダンス調整器を設けて、電力検出部により検出された電力値に応じて該インピーダンス調整器を制御して負荷側インピーダンスの抵抗分を増減させることにより、高周波電力発生部から負荷に供給される高周波電力の電力値を設定値に近づけるか又は設定された許容範囲に保つ制御を行なわせることができる。
【0026】
電力制御部で生じる損失を少なくするため、上記インピーダンス調整器としては、少なくとも一つの可変リアクタンス素子を含む複数のリアクタンス素子からなっていて、可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより負荷側インピーダンスを調整することができるもの(抵抗素子を含まないもの)を用いることが好ましい。
【0027】
上記のように、本発明においては、高周波電力発生部の出力端から負荷側を見た回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスを調整するインピーダンス調整器を設けて、インバータ回路の出力電流の出力電圧に対する位相を設定された遅れ量だけ遅れた状態に保つようにインバータ回路の出力周波数を制御することにより制御の安定性を確保しつつ、電力検出部により検出された電力値に応じてインピーダンス調整器を制御することにより負荷側インピーダンスの抵抗分を増減させて、高周波電力発生部から負荷に供給される高周波電力の電力値を設定値に近づけるか又は設定された許容範囲に保つ制御を行なわせるので、インバータ回路に入力する直流電圧を制御することなく、負荷に供給する電力を制御することができる。このように構成すると、直流電源部は、直流出力電圧を制御する機能を持つ必要がなく、交流電圧を整流・平滑して一定の直流電圧を出力するだけの簡単な整流平滑回路等により構成することができるため、高周波電源装置の構成の簡素化を図ってコストの低減を図ることができる。
【0028】
また上記のように構成すると、平滑用コンデンサが制御の応答性を遅らせる要因にならないため、平滑用コンデンサを強制放電させる回路を設ける等の工夫が不要になり、回路構成が複雑になるのを防ぐことができる。
【0029】
上記インピーダンス制御部は、電力検出部により検出された電力値が設定値よりも小さいか又は許容範囲の下限値を下回っているときに負荷側インピーダンスの抵抗分を小さくし、電力検出部により検出された電力値が前記設定値よりも大きいか又は許容範囲の上限値を上回っているときに負荷側インピーダンスの抵抗分を大きくするように可変リアクタンス素子を制御して、電力検出部により検出された電力を設定値に近づけるか又は設定された許容範囲に保つ制御を行なうように構成することができる。
【0030】
本発明の好ましい態様では、上記インピーダンス制御部が、負荷側インピーダンスの抵抗分を制御可能な最小値にするように可変リアクタンス素子を制御しても電力検出部により検出される電力値が設定値よりも小さいか又は許容範囲の下限値よりも小さいとき、及び負荷側インピーダンスの抵抗分を制御可能な最大値にするように可変リアクタンス素子を制御しても電力検出部により検出される電力値が設定値よりも大きいか又は許容範囲の上限値よりも大きいときに異常信号を出力するように構成される。
【0031】
負荷側インピーダンスの抵抗分を制御可能な最小値にしても電力検出部により検出された電力値が設定値より小さいか又は許容範囲の下限値よりも小さい状態、及び負荷側インピーダンスの抵抗分を制御可能な最大値にしても電力検出部により検出された電力値が設定値よりも大きいか又は許容範囲の上限値よりも大きい状態は、負荷に供給される高周波電力が調整可能な範囲外にある状態であり、何らかの異常が生じている状態である。このような状態が生じたときには、電源装置の運転を停止する等の措置を講じる必要がある。上記のような異常信号出力手段を設けておけば、異常状態への対処を容易にすることができる。
【0032】
本発明の好ましい態様では、可変リアクタンス素子が、負荷に対して並列に接続される可変コンデンサにより構成される。この場合インピーダンス制御部は、電力検出部により検出された電力値が設定値よりも小さいか又は許容範囲の下限値を下回っているときに可変コンデンサの静電容量を小さくし、電力検出部により検出された電力値が設定値よりも大きいか又は許容範囲の上限値を上回っているときに可変コンデンサの静電容量を大きくする制御を行なうように構成される。
【0033】
本発明の好ましい態様では、インバータ回路の後段にトランスが設けられて、インバータ回路からトランスを通して負荷に高周波電力を供給するように構成される。
【0034】
本発明の他の好ましい態様では、インバータ回路と負荷との間に直流阻止用コンデンサが挿入されて、インバータ回路から直流阻止用コンデンサを通して負荷に高周波電力を供給するように構成される。
【0035】
本発明の好ましい態様では、インバータ回路を制御するために、周波数指令により指令された通りの周波数の高周波信号を発生する高周波信号発生部が設けられる。この場合、インバータ回路は、高周波信号発生部が発生する高周波信号により制御されて、整流平滑回路が出力する直流電圧を、高周波信号と周波数及び位相が等しい高周波交流電圧に変換する。
【0036】
本発明の好ましい態様では、インバータ回路の出力電圧を検出する電圧検出部が設けられる。この場合、位相差検出部は、電流検出部により検出される電流の位相と、電圧検出部により検出される電圧の位相とから前記位相差を検出するように構成することができる。
【0037】
周波数指令により指令された通りの周波数の高周波信号を発生する高周波信号発生部が設けられる場合には、位相差検出部を、電流検出部により検出される電流の位相と高周波信号の位相とから前記位相差を検出するように構成することができる。
【0038】
高周波信号発生部が発生する高周波信号によりインバータ回路のスイッチ素子を制御して、直流電力を高周波電力に変換する場合、高周波信号の位相はインバータ回路の出力電圧の位相と等しいため、上記のように、電流検出部により検出される電流の位相と、高周波信号発生部が発生する高周波信号の位相とから、電流検出部により検出される電流とインバータ回路の出力電圧との位相差を検出することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明においては、可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより高周波電力発生部の出力端から負荷側を見た回路のインピーダンスを調整するインピーダンス調整器を設けて、インバータ回路の出力電流の位相を出力電圧の位相に対して設定された遅れ量だけ遅れた状態に保つようにインバータ回路の出力周波数を制御して、制御の安定性を確保しつつ、電力検出部により検出された電力値に応じてインピーダンス調整器の可変リアクタンス素子を制御することにより、負荷回路のインピーダンスの抵抗分を増減させて高周波電力発生部から負荷に供給される高周波電力の電力値を設定値に近づけるか又は設定された許容範囲に保つ制御を行なわせるようにしたので、インバータ回路に入力する直流電圧を制御することなく、負荷に供給する電力を制御することができる。従って、直流電源部は、直流出力電圧を制御する機能を持つ必要がなく、交流電圧を整流・平滑して一定の直流電圧を出力するだけの簡単な整流平滑回路等により構成することができるため、高周波電源装置の構成の簡素化を図ってコストの低減を図ることができる。
【0040】
また本発明によれば、平滑用コンデンサが制御の応答性を遅らせる要因になることがないため、平滑用コンデンサを強制放電させる回路を設ける等の工夫が不要になり、回路構成が複雑になるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係わる高周波電源装置の構成を示した回路図である。
【図2】図1の実施形態で用いる電力制御部の構成例を示した回路図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係わる高周波電源装置の構成を示した回路図である。
【図4】本発明の更に他の実施形態に係わる高周波電源装置の構成を示した回路図である。
【図5】本発明の実施形態において、インバータ回路から負荷側を見た回路のインピーダンスを示す等価回路図である。
【図6】(A)ないし(C)は、インバータ回路から直列共振特性を有する負荷に高周波電力を供給するシステムにおいて、インバータ回路の出力周波数を変化させた際の高周波電力の電力値の変化を、インバータ回路から負荷側を見た回路のインダクタンスをパラメータとして示したグラフである。
【図7】本発明の一実施形態を説明するために用いるスミスチャートである。
【図8】従来の高周波電源装置の構成を示した回路図である。
【図9】インバータ回路の構成例を示した回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本発明に係わる高周波電源装置の一実施形態を示したものである。同図において、20は一定の直流電圧を発生する直流電源部、3は直流電源部20の出力電圧及び出力電流を交流電圧及び交流電流に変換するインバータ回路、4はインバータ回路3の出力が入力されたトランスであり、インバータ回路3とトランス4とにより、直流電力を高周波電力に変換する電力変換部21が構成されている。
【0043】
直流電源部20は、商用電源から与えられる交流電圧を全波整流する整流器と、該整流器の出力端子間に接続された平滑用コンデンサとを備えた整流・平滑回路からなっていって、商用電源の交流電圧により決まるほぼ一定の直流電圧Vdcを出力する。
【0044】
本実施形態で用いられているインバータ回路3は、図9に示されているように、スイッチ素子S1ないしS4をHブリッジ接続してなるスイッチ回路と、Hブリッジを構成するスイッチ素子S1ないしS4にそれぞれ逆並列接続された帰還用ダイオードD1ないしD4とからなっている。インバータ回路3は、Hブリッジの対角位置にある一方の対辺を構成する対のスイッチ素子S1及びS4と、対角位置にある他方の対辺を構成する他の対のスイッチ素子S2及びS3とを交互にオン状態にするように制御されて、直流電源部20から与えられる直流電圧Vdcを矩形波状の高周波交流電圧Vinvに変換する。インバータ回路3を構成するスイッチ素子S1ないしS4は、MOSFET、バイポーラ型のパワートランジスタ、IGBT等の半導体スイッチ素子からなっている。
【0045】
インバータ回路3は、直流入力端子3a,3bと、交流出力端子3c、3dとを有していて、直流入力端子3a,3bが直流電源部20の出力端子に接続され、交流出力端子3c,3dがトランス4の1次コイル4aの両端に接続されている。トランス4の2次コイル4bの一端は、コイル5aとコンデンサ5bとの直列回路からなる直列共振回路5を通してローパスフィルタからなるフィルタ部6の入力端子に接続され、フィルタ部6の出力端子は電力検出部10を通して高周波電力発生部PSの一方の出力端子22aに接続されている。トランス4の2次コイル4bの他端は、高周波電力発生部PSの他方の出力端子22bに接続され、高周波電力発生部PSの出力端子22a,22bが、電力制御部30と、電力ケーブル等により構成された線路とを通して負荷7の入力端子に接続されている。
【0046】
電力変換部21には、インバータ回路3の出力端子3c,3d間の電圧を検出する電圧検出部8と、インバータ回路3とトランス4との間でインバータ回路の出力電流Iinvを検出する電流検出部9とが設けられ、トランス4の二次側の回路には、負荷7に与えられる高周波電力を検出する電力検出部10が設けられている。電力検出部10は、電力変換部21で発生する高調波成分を取り除いた基本周波数における電力を検出することが望ましいため、本実施形態では、図示のように、電力検出部10をフィルタ部6よりも負荷側に設けている。
【0047】
電圧検出部8の出力及び電流検出部9の出力は、インバータ回路3の出力電流の出力電圧に対する位相差を検出する位相差検出部11に入力され、位相差検出部11から得られる位相差の検出値が、インバータ回路3の出力周波数を制御する周波数制御部12に入力されている。
【0048】
23及び24はそれぞれ周波数制御部12に対して設けられた第1のメモリ及び第2のメモリである。第1のメモリ23は、負荷に与える高周波電力の周波数可変範囲の上限び下限をそれぞれ定める上限周波数及び下限周波数を記憶しており、第2のメモリ24は、負荷7に与える高周波電力の周波数の初期値を記憶している。この初期値は固定値でもよく、前回の制御の終了時の値(最終値)でもよい。
【0049】
13は周波数制御部12から与えられる周波数指令により指令された周波数を有する正弦波形の高周波信号を発生する高周波信号発生部、14は高周波信号発生部13が出力する高周波信号を、インバータ回路3を構成するスイッチ素子に与える制御信号V1及びV2に変換する信号変換部である。高周波信号発生部13は、与えられた周波数指令により指令された通りの周波数と、与えられた振幅指令により指令された振幅とを有する正弦波信号を発生するダイレクト・デジタル・シンセサイザー(DDS)からなっている。
【0050】
信号変換部14は、高周波信号発生部13が発生する正弦波形の高周波信号の一方の極性の半波の期間第1の制御信号V1を発生し、他方の半波の期間第2の制御信号V2を発生する。第1の制御信号V1は、インバータ回路3を構成するHブリッジの対角位置にある一方の対辺を構成する対のスイッチ素子S1,S4をオン状態にするために該対のスイッチ素子S1,S4の制御端子に与える制御信号であり、第2の制御信号V2は、インバータ回路3を構成するHブリッジの対角位置にある他方の対辺を構成する対のスイッチ素子S2,S3をオン状態にするために該対のスイッチ素子S2,S3の制御端子に与える制御信号である。
【0051】
本実施形態では、位相差検出部11と、周波数制御部12と、高周波信号発生部13と、信号変換部14と、第1及び第2のメモリ23及び24とにより、インバータ回路3を制御するインバータ制御部25が構成されている。また電力変換部21と、インバータ制御部25と、直列共振回路5と、フィルタ部6とにより、直流電源部20から与えられる直流電圧を交流電圧に変換して、負荷に供給する高周波電力を発生する高周波電力発生部PSが構成され、直流電源部20と、高周波電力発生部PSと、電力検出部10と、電力制御部30とにより、本発明に係わる高周波電源装置が構成されている。
【0052】
インバータ回路3は、対角位置にある対のスイッチ素子S1,S4及び他の対のスイッチ素子S2,S3を交互にオン状態にすることにより、直流電源部20から与えられる直流電圧Vdcを、高周波信号発生部13が発生する高周波信号と周波数(周波数制御部12により指令された周波数)及び位相が等しい矩形波状の高周波交流電圧に変換する。この交流電圧は、トランス4を通して直列共振回路5に印加される。矩形波状の交流電圧が直列共振回路5に印加されることにより、基本波成分以外の高調波成分の殆どが除去されて、正弦波形に近い波形を有する高周波電圧が得られる。フィルタ部6は、直列共振回路5を通して得られる高周波電圧から基本周波数成分のみを抽出して正弦波形の高周波電力を負荷7に与える。
【0053】
トランス4は、インバータ回路3から出力される単極性の矩形波状の高周波電圧を、零レベルを基準にして正負の極性に変化する波形の高周波電圧に変換するとともに、出力端子22a,22bからインバータ回路3側を見たインピーダンスを、負荷側のインピーダンス(負荷7に給電するための線路のインピーダンス)に変換する。負荷7に給電するための線路としては、一般的には特性インピーダンスが50Ωのものが使用される。
【0054】
上記のように、インバータ回路3から直列共振特性を有する回路に高周波電力を供給する場合、インバータ回路3から負荷側を見た回路のインピーダンスは、図5に示すように、インダクタンスLと、キャパシタンスCと、抵抗Rとの直列回路により表すことができる。ここで、インダクタンスLをL1,L2及びL3(L1>L2>L3)として、周波数fを変化させたとすると、負荷に供給される電力Pは、図6の(A)ないし(C)のように変化する。これらの図においてfoは直列共振周波数である。
【0055】
図6から明らかなように、インバータ回路3から負荷7側を見た回路のインピーダンスが直列共振特性を有するように構成されている場合、インバータ回路3の出力周波数が直列共振周波数foに等しいときにインバータ回路3から負荷7側を見た回路のインピーダンスが最小になり、負荷に供給される電力Pが最大になる。インバータ回路3の出力周波数が直列共振周波数foよりも高い領域では、インバータ回路3から負荷7側を見た回路のインピーダンスが誘導性を示し、インバータ回路3の出力電流の位相が出力電圧の位相よりも遅れる。またインバータ回路3の出力周波数が直列共振周波数foよりも低い領域では、インバータ回路3から負荷側を見たインピーダンスが容量性を示し、インバータ回路の出力電流の位相が出力電圧の位相よりも進む。
【0056】
インバータ回路3から直列共振特性を有する負荷側回路に高周波電力を供給する電力供給システムにおいて、インバータ回路3の出力周波数fを負荷側回路のインピーダンスが容量性を示す領域に設定した場合には、インバータ回路のスイッチ素子がオン状態になった瞬間に電流が流れるハードスイッチング(hard switching)が起り、異常電圧が発生して大きな損失をもたらす。したがって、スイッチ素子のオンオフ動作により直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路3から直列共振特性を有する負荷側回路に電力を供給する場合に安定な電力制御を行なわせるためには、特別な理由がない限り、インバータ回路3の出力周波数を、負荷側回路のインピーダンスが誘導性を示す領域に設定する必要がある。
【0057】
図6において、使用可能領域B1ないしB3はそれぞれインダクタンスLがL1,L2及びL3であるときに、電流の電圧に対する位相が遅れ位相となる領域であり、スイッチ素子のオンオフ動作により直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路3から負荷側回路に電力を供給する場合に、電力の制御を安定に行なわせることができる領域である。図6から明らかなように、インバータ回路3の出力周波数が、負荷側の回路のインピーダンスを誘導性とする領域にある場合には、インバータ回路の出力周波数fを上げると、負荷に供給される高周波電力を減少し、インバータ回路3の出力周波数fを下げると、負荷に供給される高周波電力が増大する。
【0058】
従来の高周波電源装置では、高周波電力の周波数を、負荷のインピーダンスに対して最適な周波数(通常は電力を最大にする周波数)に設定した状態で、インバータ回路に入力する直流電圧を変化させることにより、負荷に供給する電力を制御していた。例えば図8に示した従来例では、インバータ回路3から負荷7に供給する高周波電力の周波数を、負荷のインピーダンスに対して最適な周波数に設定した状態で、DC−DCコンバータ2を制御してインバータ回路3に入力する直流電圧を変化させることにより、負荷7に供給する電力を制御していた。このように、DC−DCコンバータ2を設けてその出力電圧を制御する構成をとると、電源装置の構成が複雑になり、コストが高くなるのを避けられない。またDC−DCコンバータ2は内部に大容量の平滑用コンデンサを有していて、その出力電圧を低下させるのに時間がかかるため、DC−DCコンバータの出力電圧を制御することにより負荷に与える電力を制御する構成をとると、制御の応答性が悪くなるのを避けられない。
【0059】
これに対し、本実施形態においては、インバータ回路3に入力する直流電圧を一定とし、周波数制御部12により、電流検出部9で検出される電流の位相を、インバータ回路3の出力電圧の位相に対して設定された一定の遅れ量だけ遅れた状態に保つようにインバータ回路3の出力周波数を予め定めた範囲内で制御する。この制御により、インバータ回路3から負荷7側を見た回路のインピーダンスを誘導性に保って、電流のスイッチング動作が行われるインバータ回路3から負荷7に与えられる電力の制御を、ハードスイッチングによる異常電圧の発生を伴うことなく、安定に行わせることができる状態を確保する。
【0060】
本実施形態ではまた、上記の制御と並行して、電力制御部30において、電力検出部10で検出される電力値に応じて高周波電力発生部PSの出力端から負荷7側を見た回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスの抵抗分を変化させることにより、高周波電力発生部PSから負荷7に供給される高周波電力の電力値を設定値に近づける制御を行う。
【0061】
上記の各制御を行なわせるため、本実施形態では、インバータ回路3→電圧検出部8及び電流検出部9→位相差検出部11→周波数制御部12→高周波信号発生部13→信号変換部14→インバータ回路3の回路からなる負荷側回路インピーダンス制御部と、電力検出部10と電力制御部30とからなる出力制御部とが構成されている。
【0062】
上記負荷側回路インピーダンス制御部により、インバータ回路3の出力周波数を、負荷側回路のインピーダンスが誘導性を示す領域に維持する制御が行なわれる。また上記出力制御部により、電力検出部10により検出された電力値に応じて高周波電力発生部PSの出力端から負荷7側を見た回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスの抵抗分を変化させることにより高周波電力発生部PSから負荷7に供給される高周波電力の電力値を設定値に近づける制御が行われる。負荷側回路インピーダンス制御部による制御と、出力制御部による制御とは同時に並行して行なわれる。
【0063】
インバータ回路3の出力周波数を制御するに当っては、予想される負荷7のインピーダンスの変動範囲を考慮して、インバータ回路3の出力電流の位相を出力電圧の位相に対して設定された遅れ量だけ遅れた状態に維持することができる(インバータ回路から負荷側を見た回路のインピーダンスを誘導性に保つことができる)周波数の範囲を周波数可変範囲として定めておき、この周波数可変範囲の上限値及び下限値を第1のメモリ23に記憶させておく。また負荷7に与える高周波電力の基本周波数の中心値を、初期値として第2のメモリ24に記憶させておく。
【0064】
例えば、負荷に与える高周波電力の中心周波数を13.56MHzとし、上記周波数可変範囲の上限値を14.96MHz、下限値を12.16MHzとする場合、高周波信号発生部13を構成するDDSとしては、上記周波数可変範囲をカバーし得る範囲の周波数を有する高周波信号を発生し得るもの、即ち13.56±1.4MHzの範囲の周波数を有する高周波信号を発生し得るものを用いる。周波数の可変範囲は、発振器の性能や共振回路の特性等を考慮して適宜に設定する。
【0065】
図1に示された周波数制御部12は、例えば下記のようにして、インバータ回路3の出力周波数を制御する。周波数制御部12は、制御開始時(高周波電源装置の起動時)に先ず第2のメモリ24に記憶されている周波数の初期値に等しい高周波信号を発生することを指令する周波数指令を高周波信号発生部13に与えて、初期値に等しい周波数の高周波信号を高周波信号発生部13から発生させ、インバータ回路3から初期値に等しい周波数の高周波電圧、電流を出力させる。周波数制御部12は次いで位相差検出部11からインバータ回路3の出力電流Iinvの出力電圧Vinvに対する位相差を取込んで、この位相差を設定された位相差と比較する。その結果、出力電流Iinvの位相の出力電圧Vinvの位相に対する遅れ量が、設定された遅れ量よりも多い場合には、インバータ回路3の出力周波数を第1のメモリ23に記憶された周波数可変範囲の下限値を下回らない範囲で低くし、出力電流Iinvの位相の出力電圧Vinvの位相に対する遅れ量が、設定された遅れ量よりも少ない場合には、インバータ回路3の出力周波数を第1のメモリ23に記憶された周波数可変範囲の上限値を超えない範囲で高くするように、出力電流Iinvの位相の出力電圧Vinvの位相に対する遅れ量に応じて高周波信号発生部13に与える周波数指令を変化させる。これにより、インバータ回路3の出力電流Iinvの位相の出力電圧Vinvの位相に対する遅れ量を設定された遅れ量に保つ。
【0066】
電力制御部30は、図2に示されているように、高周波電力発生部PSの出力端と負荷7との間に設けられて、高周波電力発生部PSの出力端から負荷側を見た回路のインピーダンスを調整するインピーダンス調整器31と、電力検出部10により検出された電力値に応じて高周波電力発生部PSから負荷7側を見た回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスの抵抗分を変化させることにより高周波電力発生部PSから負荷7に供給される高周波電力の電力値を設定値に近づける制御を行うべく、電力検出部10により検出された電力値に応じてインピーダンス調整器31に設けられた可変リアクタンス素子を制御するインピーダンス制御部32とを備えている。
【0067】
図示のインピーダンス調整器31は、固定のキャパシタC1と、キャパシタC1に直列に接続されたインダクタL1と、キャパシタC1とインダクタL1との直列回路の一端と接地間に接続された可変リアクタンス素子としての可変コンデンサVCxとからなっていて、キャパシタC1とインダクタL1との直列回路の一端が高周波電力発生部PSの非接地側の出力端子に接続されている。キャパシタC1とインダクタL1との直列回路の他端は、特性インピーダンスが50Ωの線路を通して負荷7の非接地側端子に接続され、可変コンデンサVCxが、キャパシタC1とインダクタL1とを通して負荷7に対して並列に接続されている。
【0068】
図2に示された電力制御部30において、可変コンデンサVCxの静電容量を大きくすると、負荷側インピーダンスの抵抗分が大きくなり、可変コンデンサVCxの静電容量を小さくすると、負荷側インピーダンスの抵抗分が小さくなる。可変コンデンサVCxの静電容量の変化に伴う負荷側インピーダンスの抵抗分の変化は、図7に示したスミスチャートを用いて説明することができる。図7に示したスミスチャートは、インピーダンスチャートとアドミッタンスチャートとを重ね合わせたもので、図7において、a1,a2,a3及びb1,b2,b3はそれぞれアドミッタンスチャートを構成する等コンダクタンス円及び等サセプタンス円、c1,c2,c3及びd1,d2,d3はそれぞれインピーダンスチャートを構成する等抵抗円及び等リアクタンス円である。
【0069】
図2に示されたインピーダンス調整器31において、高周波電力発生部PSから負荷側を見た回路のインピーダンスの抵抗分が50Ωであるとすると、可変コンデンサVCxの静電容量を小さくする方向に変化させたときに、高周波電力発生部PSから負荷7側を見た回路のアドミッタンスが、図7の等コンダクタンス円a2上を図示の矢印P方向に例えばX点まで動く。このとき高周波電力発生部PSから負荷7側を見た回路のインピーダンス(負荷側インピーダンス)は、点Xを通る等抵抗円c3上に存在する。等抵抗円c3上にある負荷側インピーダンスの抵抗分はRΩ(<50Ω)となる。従って、可変コンデンサVCxの静電容量を小さくする方向に変化させることにより、負荷側インピーダンスの抵抗分を50ΩからRΩまで減少させることができる。また高周波電力発生部PSから負荷7側を見た回路のアドミッタンスが点Xにある状態で、可変コンデンサVCxの静電容量を大きくする方向に変化させると、負荷側の回路のアドミッタンスが図示の矢印Pと反対方向に移動し、これに伴って負荷側インピーダンスが乗る円の半径が小さくなっていくため、負荷側インピーダンスの抵抗分が大きくなっていく。これより、図2に示されたインピーダンス調整器31において、可変コンデンサVCxの静電容量を小さくする方向に変化させることにより、負荷側インピーダンスの抵抗分を減少させることができ、逆に、可変コンデンサVCxの静電容量を大きくする方向に変化させることにより、負荷側インピーダンスの抵抗分を増大させることができることが分かる。
【0070】
図2に示されたインピーダンス制御部32は、電力検出部10により検出された電力値が設定値よりも小さいときに可変コンデンサVCxの静電容量を小さくし、電力検出部10により検出された電力値が設定値よりも大きいときに可変コンデンサVCxの静電容量を大きくするように制御することにより、電力検出部10により検出された電力値に応じて負荷側インピーダンスの抵抗分を変化させて、高周波電力発生部PSから負荷7に供給される高周波電力の電力値を設定値に近づける制御を行なう。
【0071】
図示の例では、可変コンデンサVCxの操作部を操作するためにモータ33を備えたアクチュエータが設けられ、インピーダンス制御部32によりモータ33の回転方向と回転量とを制御することにより、可変キャパシタVCxの静電容量を調整することができるようになっている。この場合、インピーダンス制御部32は、電力検出部10により検出された電力値が設定値より大きいときに可変コンデンサVCxの静電容量を小さくし、検出された電力値が設定値より小さいときに可変コンデンサVCxの静電容量を大きくするようにモータ33を制御して、高周波電力発生部PSから負荷7に供給される高周波電力の電力値を設定値に近づける制御を行なう。
【0072】
上記の制御を行なうため、インピーダンス制御部32は所定のサンプルタイミングが到来する毎に電力検出部10が検出している電力値を読み込んで、読み込んだ電力値と設定値とを比較し、その比較の結果に応じて、可変コンデンサVCxの静電容量を大きくすればよいのか小さくすればよいのかを判定して、判定した方向に可変コンデンサVCxの静電容量を変化させるべくモータ33を制御する。これにより、負荷側インピーダンスの抵抗分を変化させて、電力検出部10により検出される電力値を設定値に近づける。電流検出部9により検出される電流の位相がインバータ回路の出力電圧の位相に対して遅れた状態に維持されている場合、負荷側インピーダンスは、図7に示したスミスチャートの上の半円内の領域に存在していることになる。そのため、可変コンデンサVCxの静電容量を小さくすると、負荷側インピーダンスの抵抗分が減少し、可変コンデンサVCxの静電容量を大きくすると、負荷側インピーダンスの抵抗分が増加するという関係が成り立つ。したがって、電力検出部10により検出される電力値と設定値とを比較することによって、可変コンデンサVCxの静電容量を小さくすればよいのか、反対に大きくすればよいのかが分かる。
【0073】
上記の説明では、電力制御部30が、電力検出部10により検出される電力値を設定値に近づける制御を行なうとしたが、電力検出部10により検出された電力を設定された許容範囲に保つ制御を行なうように電力制御部10を構成することができるのはもちろんである。電力検出部10により検出された電力値を設定された許容範囲に保つ制御を行なう場合には、電力値の許容範囲の上限値と下限値とを定めておいて、検出された電力値が許容範囲の上限値を超えたときに負荷側インピーダンスの抵抗分を大きくし、検出された電力値が許容範囲の下限値を下回ったときに負荷側インピーダンスの抵抗分を小さくするように、インピーダンス調整器31を制御するようにすればよい。
【0074】
本実施形態ではまた、インピーダンス制御部32が、負荷側インピーダンスの抵抗分を制御可能な最小値にするように前記可変リアクタンス素子を制御しても電力検出部により検出された電力値が設定値よりも小さいとき、及び負荷側インピーダンスの抵抗分を制御可能な最大値にするように前記可変リアクタンス素子を制御しても電力検出部により検出された電力値が設定値よりも大きいときに異常信号を出力するように構成されている。
【0075】
負荷側インピーダンスの抵抗分を制御可能な最小値にするように前記可変リアクタンス素子を制御しても電力検出部により検出された電力値が設定値よりも小さいか又は許容範囲に収まらない状態、及び負荷側インピーダンスの抵抗分を制御可能な最大値にするように前記可変リアクタンス素子を制御しても電力検出部により検出された電力値が設定値よりも大きいか又は許容範囲に収まらない状態は、負荷に供給される高周波電力が調整可能な範囲外にある状態であり、何らかの異常が生じている状態である。このような状態が生じたときには、電源装置の運転を停止する等の措置を講じる必要がある。上記のような異常信号出力手段を設けておけば、異常状態への対処を容易にすることができる。
【0076】
上記のような異常状態に対処し得るようにするため、インピーダンス制御部32は、モータ33を制御して可変コンデンサVCxの静電容量を変化させる際に、モータ33の回転角度位置が予め定めた許容範囲内にあるか否かを見ることにより、モータ33の回転角度位置を監視して、モータ33を許容範囲の限界位置まで回転させても電力検出部10により検出される電力値が設定値にならないか又は許容範囲に収まらないときに異常信号を出力する異常信号出力手段を備えている。異常信号を出力する際には、負荷への高周波電力の供給を停止させる等の安全策を講じるようにしておくのが好ましい。
【0077】
前述のように、インバータ回路3のスイッチ素子にハードスイッチングを行なわせることなく、インバータ回路を安定に動作させるためには、インバータ回路3の出力電流の出力電圧に対する位相を遅れ位相の範囲(図6の使用可能領域B1ないしB3の範囲)に維持することが必要である。本実施形態においては、電力制御部10がインピーダンス調整器31を制御して負荷側インピーダンスの抵抗分を増減させることにより負荷に与える高周波電力を設定値に近づけるか又は許容範囲に保つ制御を行なう過程で、インバータ回路3の出力電流の位相を出力電圧の位相に対して遅れた状態に保つように、周波数制御部12がインバータ回路の出力周波数を制御するが、負荷に供給される高周波電力の電力値を制御する過程で、可変コンデンサVCxの静電容量がとる値によっては、周波数制御部12によりインバータ回路3の出力周波数を制御しても、インバータ回路の出力電流の位相を出力電圧の位相に対して遅れ位相とすることができなくなる状態が生じるおそれがある。このような状態が生じると、インバータ回路から負荷側を見た回路のインピーダンスを誘導性の状態に維持することができなくなるため、インバータ回路を構成するスイッチ素子のスイッチング動作がハードスイッチングの状態になって、異常電圧が発生したり、出力波形が歪んだりするおそれがある。
【0078】
このような異常状態に対処し得るようにするため、本実施形態においては、周波数制御部12が周波数可変範囲でインバータ回路3の出力周波数をどのように変化させても、電流検出部9により検出される電流の位相をインバータ回路の出力電圧の位相に対して遅れた状態に維持することができなくなったときに異常信号を出力する異常信号発生手段を周波数制御部12に設けている。異常信号は、警報を発生させるために用いてもよく、負荷への高周波電力の供給を強制的に遮断するスイッチ手段を駆動する信号として用いてもよい。
【0079】
上記の実施形態のように電力制御部30を構成すると、インバータ回路3に入力する直流電圧を制御する必要がないため、直流電源部20は、直流出力電圧を制御する機能を持たない簡単な構成とすることができ、交流電圧を整流・平滑して一定の直流電圧を出力するだけの簡単な整流平滑回路等により構成することができる。
【0080】
また上記のように構成すると、平滑用コンデンサが制御の応答性を遅らせる要因になることがないため、平滑用コンデンサを強制放電させる回路を設ける等の工夫が不要になり、回路構成を簡単にすることができる。
【0081】
上記の実施形態では、電力変換部21が一つだけ設けられていたが、電力変換部21を一つだけ設けただけでは負荷に供給する電力が不足する場合には、図3に示すように、インバータ回路3の出力電圧の位相が等しく、出力電流の位相が等しい複数(図示の例では4個)の電力変換部21Aないし21Dを設けて、これらの電力変換部の出力を合成して直列共振回路5とフィルタ部6とを通して負荷に供給するようにしてもよい。図示の例では、電力変換部21Aないし21Dのトランス4の二次コイルを並列に接続することにより、電力変換部21Aないし21Bの出力を合成する合成回路40を構成している。
【0082】
図3に示したように構成する場合には、信号発生部14が発生する制御信号V1及びV2を信号分配部16により、電力変換部21Aないし21Dのインバータ回路3に分配して、電力変換部21Aないし21Dのインバータ回路3から同位相の高周波信号を発生させる。このように構成する場合、電力変換部21Aないし21Dのインバータ回路3の出力電圧の位相及び出力電流の位相は等しいため、電圧検出部8及び電流検出部9はいずれか一つの電力変換部にのみ設ければよい。図3に示した例では、電力変換部21Dに電圧検出部8と電流検出部8とを設けている。
【0083】
図3に示した例では、電力変換部21Aないし21Bのトランス4の二次コイルを並列に接続することにより、電力変換部21Aないし21Bの出力を合成する合成回路40を構成したが、合成回路40の構成は図3に示した例に限定されるものではなく、他の周知の構成を有する合成回路を用いることもできる。
【0084】
上記の例では、インバータ回路3とトランス4とにより電力変換部21を構成するとしたが、直列共振回路5及びフィルタ部6をも電力変換部に含めて、その後段に合成回路を設けるように構成することもできる。
【0085】
上記の各実施形態では、インバータ回路3とトランス4との間でインバータ回路の出力電流を検出する電流検出部9と、インバータ回路の出力電圧を検出する電圧検出部8を設けて、電流検出部9により検出される電流の位相と、電圧検出部8により検出される電圧の位相とから、インバータ回路の出力電流と出力電圧との位相差を検出するように、位相差検出部が構成されているが、本発明は、位相差検出部をこのように構成する場合に限定されない。上記の実施形態のように、周波数指令により指令された通りの周波数の高周波信号を発生する高周波信号発生部13を設けて、この高周波信号発生部が発生する高周波信号によりインバータ回路を制御することによって、直流電源部が出力する直流電圧を、高周波信号と周波数及び位相が等しい高周波交流電圧に変換するように構成する場合には、インバータ回路の出力電圧が、高周波信号発生部13が発生する高周波信号と同位相であるので、電流検出部9により検出される電流の位相と、高周波信号発生部13が発生する高周波信号の位相とからインバータ回路の出力電流と出力電圧との位相差を検出するように構成することができる。このように構成すると、電圧検出部8を省略することができるため、装置の構成の簡素化を図ることができる。
【0086】
上記の実施形態では、インバータ回路3の出力をトランス4を通して負荷に供給しているが、本発明が対象とする高周波電源装置は、交流電圧を整流平滑して直流電圧を出力する直流電源部20と、直流電源部20が出力する直流電圧を高周波交流電圧に変換するインバータ回路3とを備えて、インバータ回路3から負荷7に高周波電力を供給するものであればよく、インバータ回路3と負荷7との間の回路の構成は、上記の実施形態で示した構成に限定されない。
【0087】
例えば、トランスを用いずに、図4に示すように、インバータ3の交流出力端子3cと直列共振回路5との間、及び交流出力端子3dと高周波電力発生部PSの出力端子22bとの間にそれぞれ直流阻止用コンデンサ51及び52を挿入して、インバータ回路3から直流阻止用コンデンサ51及び52を通して負荷7に高周波電力を供給するように構成してもよい。
【0088】
また上記の各実施形態では、トランス4とフィルタ部6との間に直列共振回路5を挿入しているが、インバータ回路3から負荷7側を見た回路が直列共振特性を有する場合には、直列共振回路5を省略することができる。
【0089】
電力制御部30に設けるインピーダンス調整器31は、少なくとも一つの可変リアクタンス素子を含む複数のリアクタンス素子からなっていて、可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、高周波電力発生部の出力端から負荷側を見た回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスを調整することができるものであればよく、上記の実施形態で用いたものに限定されない。例えば図2において、インダクタL1の負荷側の端子と接地間にキャパシタを接続したπ型のインピーダンス調整器を用いることもできる。但し、電力制御部30で損失が生じるのを防ぐため、インピーダンス調整器としてはリアクタンス素子のみにより構成されたもの(抵抗素子を含まないもの)を用いるのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明に係わる高周波電源装置は、プラズマ発生装置やレーザ発信装置などの高周波電力を供給することが必要な負荷の電源として広く用いることができる。本発明によれば、インバータ回路3に入力する直流電圧を一定とし、高周波電力発生部の出力端から負荷側を見た回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスの抵抗分を増減させることにより、負荷に供給する高周波電力を制御するので、直流電源部の構成を簡単にしてコストの低減を図ることができる。また大容量の平滑コンデンサの影響を受けることなく負荷に与える高周波電力を制御できるので、制御の応答性を良好にすることができる。このように、本発明は、高周波電源装置のコストの低減と性能の向上とに寄与するものであるので、産業上の利用可能性が大である。
【符号の説明】
【0091】
3 インバータ回路
4 トランス
5 直列共振回路
6 フィルタ部
7 負荷
8 電圧検出部
9 電流検出部
10 電力検出部
11 位相差検出部
12 周波数制御部
13 高周波信号発生部
14 信号変換部
20 直流電源部
30 電力制御部
31 インピーダンス調整器
32 インピーダンス制御部
33 モータ
40 合成回路
51 直流阻止用コンデンサ
52 直流阻止用コンデンサ
VCx 可変コンデンサ
C1 コンデンサ
L1 インダクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を整流平滑して直流電圧を出力する直流電源部と、前記直流電源部から出力される直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路とを備えて前記インバータ回路から負荷に供給する高周波電力を発生する高周波電力発生部と、前記高周波電力発生部から負荷に供給される高周波電力の電力値を設定値に近づけるか又は設定された許容範囲に保つ制御を行なう電力制御部とを備えた高周波電源装置において、
前記インバータ回路の出力電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部により検出される電流と前記インバータ回路の出力電圧との位相差を検出する位相差検出部と、
前記負荷に供給される高周波電力を検出する電力検出部と、
前記位相差検出部により検出された位相差を入力として前記電流検出部により検出される電流の位相を前記インバータ回路の出力電圧の位相に対して設定された遅れ量だけ遅れた状態に保つように前記インバータ回路の出力周波数を予め定めた周波数可変範囲内で制御する周波数制御部と、
を具備し、
前記電力制御部は、少なくとも一つの可変リアクタンス素子を含む複数のリアクタンス素子からなっていて、前記可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、前記高周波電力発生部の出力端から前記負荷側を見た回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスを調整するインピーダンス調整器と、前記電力検出部により検出された電力値に応じて前記負荷側インピーダンスの抵抗分を変化させて前記高周波電力発生部から負荷に供給される高周波電力の電力値を前記設定値に近づけるか又は設定された許容範囲に保つ制御を行うべく、前記電力検出部により検出された電力値に応じて前記インピーダンス調整器の可変リアクタンス素子を制御するインピーダンス制御部とを備えていることを特徴とする高周波電源装置。
【請求項2】
前記インピーダンス制御部は、前記電力検出部により検出された電力値が前記設定値よりも小さいか又は前記許容範囲の下限値を下回っているときに前記負荷側インピーダンスの抵抗分を小さくし、前記電力検出部により検出された電力値が前記設定値よりも大きいか又は前記許容範囲の上限値を上回っているときに前記負荷側インピーダンスの抵抗分を大きくするように前記可変リアクタンス素子を制御して、前記電力検出部により検出された電力を設定値に近づけるか又は設定された許容範囲に保つ制御を行なうように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の高周波電源装置。
【請求項3】
前記インピーダンス制御部は、前記負荷側インピーダンスの抵抗分を制御可能な最小値にするように前記可変リアクタンス素子を制御しても前記電力検出部により検出される電力値が前記設定値よりも小さいか又は前記許容範囲の下限値を下回っているとき、及び前記負荷側インピーダンスの抵抗分を制御可能な最大値にするように前記可変リアクタンス素子を制御しても前記電力検出部により検出される電力値が前記設定値よりも大きいか又は前記許容範囲の上限値よりも大きいときに異常信号を出力するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の高周波電源装置。
【請求項4】
前記周波数制御部は、前記周波数可変範囲で前記インバータ回路の出力周波数をどのように変化させても、前記電流検出部により検出される電流の位相をインバータ回路の出力電圧の位相に対して遅れた状態に維持することができなくなったときに異常信号を出力するように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の高周波電源装置。
【請求項5】
前記高周波電力発生部から負荷側を見た回路が、直列共振特性を有するように構成されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の高周波電源装置。
【請求項6】
前記可変リアクタンス素子は、負荷に対して並列に接続される可変コンデンサからなり、
前記インピーダンス制御部は、前記電力検出部により検出された電力値が前記設定値よりも小さいか又は前記許容範囲の下限値を下回っているときに前記可変コンデンサの静電容量を小さくし、前記電力検出部により検出された電力値が前記設定値よりも大きいか又は前記許容範囲の上限値を上回っているときに前記可変コンデンサの静電容量を大きくする制御を行なうように構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の高周波電源装置。
【請求項7】
前記インバータ回路の後段にトランスが設けられて、前記インバータ回路から前記トランスを通して前記負荷に高周波電力を供給するように構成されている請求項1ないし6のいずれか一つに記載の高周波電源装置。
【請求項8】
前記インバータ回路と前記負荷との間に直流阻止用コンデンサが挿入されて、前記インバータ回路から直流阻止用コンデンサを通して前記負荷に高周波電力を供給するように構成されている請求項1ないし6のいずれか一つに記載の高周波電源装置。
【請求項9】
周波数指令により指令された通りの周波数の高周波信号を発生する高周波信号発生部が設けられ、
前記インバータ回路は、前記高周波信号により制御されて、前記整流平滑回路が出力する直流電圧を、前記高周波信号と周波数及び位相が等しい高周波交流電圧に変換すること、
を特徴とする請求項1ないし8のいずれか一つに記載の高周波電源装置。
【請求項10】
前記インバータ回路の出力電圧を検出する電圧検出部が設けられ、
前記位相差検出部は、前記電流検出部により検出される電流の位相と、前記電圧検出部により検出される電圧の位相とから前記位相差を検出するように構成されていること、
を特徴とする請求項1ないし9のいずれか一つに記載の高周波電源装置。
【請求項11】
前記位相差検出部は、前記電流検出部により検出される電流の位相と、前記高周波信号発生部が発生する高周波信号の位相とから前記位相差を検出するように構成されていること、
を特徴とする請求項9に記載の高周波電源装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate