説明

高圧ガス移送用ホース

【課題】 高度なガスバリア性と低い水素溶解性を有し、さらに高圧ガスの供給、停止に伴う変化に対して優れた耐久性を有するガスバリア層を有する高圧ガス移送用ホースを提供する。
【解決手段】 側鎖1,2−ジオール含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)、及び溶解度パラメータが22〜28MPa1/2であるポリアミド樹脂(B)を含有する樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有する。
【効果】 本発明で用いられているガスバリア層は、ガスバリア性、柔軟性に優れているだけでなく、高圧ガスの供給、停止に伴う亀裂やブリスターの発生、機械的特性の低下も抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧水素等の高圧ガス移送用ホースに関し、特に自動車用の燃料電池へ水素ガスを供給するのに用いられる水素ガス供給用ホース等の高圧ガス移送用ホースに関する。
【背景技術】
【0002】
水素ガスステーション等から燃料電池へ水素ガスを供給する水素ガス供給用ホースとしては、従来、金属パイプが主に検討されていたが、金属パイプは柔軟性がなく、取り扱い性が面倒であることや、水素脆化の問題があるため、近年、ゴム製や樹脂製のホースの開発が進められている。ゴム製や樹脂製ホースを用いる場合、水素ガスが漏れ出ないように、且つ耐久性確保のために、一般に、ガスバリア層、補強層などを積層した多層構造のホースが用いられている。
【0003】
ここで、ガスバリア層としては、例えば、特開平2007−15279号公報(特許文献1)、特開2009−19717号公報(特許文献2)では、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH樹脂)層が用いられている。尚、ホースとしては、内面層に、耐水性を有するオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を使用し、補強層として有機繊維又は金属線を編組みしたシートをスパイラルに巻き付けたものが用いられている。
【0004】
また、特開2006−168358号公報(特許文献3)では、フッ素系ポリマーからなる内層、EVOH樹脂からなるガスバリア層、ポリアミドからなる外層を含む、水素移送用の多層チューブが開示されている。
【0005】
また、液化プロパンガスの供給設備用の高圧ホースについては、特開2007−218338号公報(特許文献4)では、ポリアミド樹脂からなるガスバリア層を使用し、補強層として、有機繊維又は金属ワイヤのスパイラル層を使用し、ホース自体に柔軟性を与えるために、内面に加硫ゴム層を用いた高圧ホースが開示されている。
【0006】
また、特開2010−31993号公報(特許文献5)には、内面層に90℃における乾燥水素ガスのガス透過係数が1×10-8cc・cm/cm2・sec・cmHg以下である熱可塑性樹脂を使用し、補強層としてポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール(PBO)繊維を編み組させたブレード構造を用いたものが提案されている。ここで、ガスバリア層として用いられる上記熱可塑性樹脂の具体例としては、ナイロン、ポリアセタール、EVOH樹脂が挙げられ(段落番号0011)、実施例ではナイロンが用いられている。補強層を、PBO繊維で形成することにより、水素脆化を回避するとともに、70〜80MPa程度の使用内圧に耐えることができると説明されている(段落番号0021)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2007−15279号公報
【特許文献2】特開2009−19717号公報
【特許文献3】特開2006−168358号公報
【特許文献4】特開2007−218338号公報
【特許文献5】特開2010−31993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、ガスバリア層、補強層などを組み合わせた多層構造にすることで、柔軟性、ガスバリア性を付与しているが、以下のような理由から、ガスバリア層の水素バリア性のさらなる向上が求められている。
水素は酸素よりも分子サイズが小さいために、樹脂層に溶解・浸透し易い。また、近年、車載用燃料電池への水素ガス供給に用いられるホースについては、車載水素タンクのコンパクト化及び現在のガソリン車並みの走行距離が可能な量を一回で充填するために、高圧(35〜80MPa)の水素ガスが移送・充填される。このようなことから、高圧水素ガス供給用ホースについては、高圧水素に対する高度なガスバリア性と低い水素溶解性が求められる。
【0009】
さらに、高圧水素ガス供給用ホースでは、不使用時、ホース内で高圧から常圧に戻される際(脱圧時)に、樹脂層中に溶解した水素ガスが膨張して、膨れや亀裂が発生する場合もあることがわかり、高圧ガス供給、脱圧の繰り返しに対する耐久性も求められるようになっている。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高度なガスバリア性と低い水素溶解性を有し、さらに高圧ガスの供給、停止に伴う変化に対して優れた耐久性を有する高圧ガス移送用ホースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、ガスバリア層の原料として、従来よりガスバリア層に用いられているポリアミド樹脂、EVOH樹脂よりもガスバリア性が高い樹脂として知られているPVA樹脂を利用すべく、種々の検討を試みた。
PVA樹脂は、通常、溶融成形が困難であること、また硬質で可撓性、伸びに乏しいことから、ホースの構成材料として用いるためには、これらの問題を解決する必要がある。溶融成形性に関しては、特定構造のPVA系樹脂を用いることで解決可能であるとの知見の下、この特定構造のPVA系樹脂を使用し、さらに伸び、柔軟性については、ガスバリア性をある程度有し、且つ伸び、柔軟性に優れているポリアミド樹脂を混合することにより解決できるとの考えに達し、検討を進めた。ところが、高圧ガスの供給・停止(脱圧)の繰り返しサイクルに伴う亀裂やブリスターの発生は、単にガスが透過しにくいという意味でのガスバリア性の向上だけでは解決できないことが判明した。
【0012】
そこで、本発明者らは、特定構造のPVA系樹脂及びポリアミド樹脂を含有する樹脂組成物について、更なる検討を進めた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の高圧ガス移送用ホースは、下記一般式(1)で表わされる構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂(A)、及び溶解度パラメータが22〜28MPa1/2であるポリアミド樹脂(B)を含有する樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有する。
【0013】
【化1】


〔式中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は有機基を表し、Xは単結合又は結合鎖を示す〕
【0014】
前記ポリビニルアルコール系樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との含有重量比(A/B)が90/10〜75/25であることが好ましく、前記ポリアミド樹脂(B)の溶融粘度は、200〜2500Pa・secであることが好ましい。
また、前記ポリビニルアルコール系樹脂(A)における上記一般式(1)の含有率は、2〜15モル%であることが好ましい。
【0015】
本発明の高圧ガス移送用ホースは、水素ガス移送用ホースとして好適である。
【0016】
ここで、溶解度パラメータ(SP値)とは、分子の凝集エネルギー密度の平方根をいい、通常、プラスチック材料の耐有機溶剤性の指標に用いられている。
【発明の効果】
【0017】
側鎖1,2−ジオール含有ポリビニルアルコール系樹脂を用いることで、ポリビニルアルコール本来の優れたガスバリア性と35〜80MPaの高圧水素下での極めて低い水素溶解量(4〜10ppm)を保持しつつ、溶融成形が可能となり、さらに特定のポリアミド樹脂を用いることで、高圧水素ガスの供給、脱圧の繰り返し下でも、ガスバリア層におけるブリスターの発生や機械的特性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例で使用した水素透過度測定装置の構成を説明するための模式図である。
【図2】実施例で使用した試験片の構成を示す図である。
【図3】実施例で、高圧水素曝露試験に用いた装置の構成を示す模式図である。
【図4】高圧水素ガス曝露−脱圧サイクル試験の圧力パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
はじめに本発明の高圧ガス移送用ホースのガスバリア層の原料となる樹脂組成物について説明する。
【0020】
<ガスバリア層用樹脂組成物>
本発明のホースのガスバリア層は、以下のような樹脂組成物により構成される。その樹脂組成物とは、特定構造を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)、及び溶解度パラメータが22〜28MPa1/2であるポリアミド樹脂(B)を含有する樹脂組成物である。
【0021】
〔(A)PVA系樹脂〕
上記特定構造を有するポリビニルアルコール(PVA)系樹脂とは、下記一般式(1)で示される側鎖1,2−ジオール単位を有するポリビニルアルコール(以下「側鎖1,2−ジオール含有PVA」という)系樹脂をいう。
【0022】
【化1】

【0023】
上記一般式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は有機基を表す。R〜Rは、すべて水素原子であることが望ましいが、樹脂特性を大幅に損なわない程度の量であれば有機基であってもよい。該有機基としては特に限定しないが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、必要に応じてハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。
【0024】
上記一般式(1)中、Xは単結合又は結合基であり、結晶性の向上や非晶部におけるフリーボリューム(分子間空隙)低減の点から単結合であることが好ましい。上記結合鎖としては、特に限定しないが、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素は、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていてもよい)の他、−O−、−(CHO)m−、−(OCH)m−、−(CHO)mCH−、−CO−、−COCO−、−CO(CH)mCO−、−CO(C)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−、−HPO−、−Si(OR)−、−OSi(OR)−、−OSi(OR)O−、−Ti(OR)−、−OTi(OR)−、−OTi(OR)O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等が挙げられるが(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数である)が挙げられる。なかでも、製造時の粘度安定性や耐熱性等の点で、炭素数6以下のアルキレン基、特にメチレン基、あるいは−CHOCH−が好ましい。
【0025】
上記一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位における最も好ましい構造は、R〜Rがすべて水素原子であり、Xが単結合である。すなわち、下記構造式(1a)で示される構造単位が最も好ましい。
【0026】
【化1a】

【0027】
このような側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂は、特に限定しないが、(i)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(2)で示される化合物との共重合体をケン化する方法、(ii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(3)で示されるビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(iii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(4)で示される2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法などにより、製造することができる。
【0028】
【化2】


【化3】


【化4】

【0029】
(2)(3)(4)式中、R〜Rは、いずれも(1)式の場合と同様である。R及びRは、それぞれ独立して水素またはR−CO−(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である)。R10及びR11は、それぞれ独立して水素原子又は有機基である。
(i)、(ii)、及び(iii)の方法については、例えば、特開2006−95825に説明されている方法を採用できる。
【0030】
なかでも、共重合反応性及び工業的な取扱いにおいて優れるという点で(i)の方法が好ましく、特にR〜Rが水素、Xが単結合、R、RがR−CO−であり、Rがアルキル基である3,4−ジアシロキシ−1−ブテンが好ましく、その中でも特にRがメチル基である3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが好ましく用いられる。
【0031】
上記ビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済的にみて中でも酢酸ビニルが好ましく用いられる。
【0032】
また上述のモノマー(ビニルエステル系モノマー、一般式(2)〜(4)で示される化合物)の他に、ガスバリア性に影響与えない範囲(通常、50モル%以下、好ましくは33モル%以下、より好ましくは高圧下での水素溶解量に影響を与えない10モル%以下)であれば、共重合成分として、エチレンやプロピレン等のα−オレフィン;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類;さらにビニレンカーボネート類やアクリル酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル、アクリロニトリル等のニトリル類、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩などの化合物が共重合されていてもよい。なかでも、ビニルアルコール構造単位と共晶を形成するエチレンが特に好ましい。
【0033】
ビニルエステル系モノマーと上記一般式(2),(3),又は(4)の重合は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより行うことができる。
【0034】
得られた共重合体のケン化も公知の方法、ケン化方法としては、側鎖1,2−ジオールを含有しないPVAで、従来より行われている公知のケン化方法を採用することができる。すなわち共重合体をアルコール又は水/アルコール溶媒に溶解させた状態で、アルカリ触媒又は酸触媒を用いて行うことができる。前記アルカリ触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートを用いることができる。
【0035】
ケン化反応の反応温度は、20℃〜60℃とすることが好ましい。反応温度が低すぎると、反応速度が小さくなり反応効率が低下し、高すぎると反応溶媒の沸点以上となる場合があり、製造面における安全性が低下する。なお、耐圧塔式連続ケン化塔などを用いて高圧下でケン化する場合には、より高温、例えば、80〜150℃でケン化することが可能であり、少量のケン化触媒も短時間、高ケン化度のものを得ることが可能である。
【0036】
以上のような側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂における重合度は、通常250〜1000、好ましくは300〜650、より好ましくは400〜500である。重合度が高くなりすぎると、溶融粘度が高くなりすぎて、押出機に負荷がかかり、成形しにくくなる。また、溶融混練時のせん断発熱により、樹脂温度が高くなり、樹脂が劣化するおそれがある。一方、重合度が低くなりすぎると、成形品がもろくなるため、ガスホースにおいて、ガスバリア層にクラックが入りやすく、水素ガスバリア性が低下する傾向にある。
【0037】
また、側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂におけるビニルエステル部分のケン化度は、JIS K6726に基づいて測定した値で、通常98〜100モル%、好ましくは99〜99.9モル%、より好ましくは99.5〜99.8モル%である。ケン化度が低くなりすぎると、OH基の含有量が少なくなることを意味し、水素ガスバリア性が低下する傾向にある。一方、高ケン化度、完全ケン化のPVA系樹脂は、工業的に生産が困難になる傾向がある。
【0038】
上記式(1)で表わされる構造単位の含有率(側鎖1,2−ジオール含有率)は、通常2〜15モル%、好ましくは4〜12モル%、さらに好ましくは5〜8モル%である。側鎖1,2−ジオール含有率が高くなりすぎると、ガラス転移温度が高くなり、水素溶解性を低減させるという点では好ましいが、PVAの生産性が低下する傾向がある。一方、側鎖1,2−ジオール含有率が低すぎると、PVA系樹脂の融点と分解点が近づき、溶融成形が困難となる。さらに、水素ガスバリア性が不十分となり、水素溶解性が増大する。
【0039】
以上のような側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂は、溶融成形できることに加えて、さらに、EVOH樹脂、未変性PVA系樹脂と比べても、水素ガスバリア性と低水素溶解性に優れる傾向にある。一般に、側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂は、側鎖1,2−ジオール部分が結晶化を乱すことから、未変性PVAと比べて結晶性が低いことが知られている。このことから、側鎖1,2−ジオール含有PVAは、未変性PVAよりもガスバリア性が劣っていると予想されるが、本発明者らの研究により、水素のような小さい分子のガスバリア性については、側鎖1,2−ジオール含有PVAの方が未変性PVAよりも優れる傾向にあるという予想に反することが見出された。このことは、アモルファス部分において、側鎖1,2ジオール部分が一級水酸基の存在により、通常のPVA系樹脂よりも強固な水素結合による緻密なネットワークを形成し、非晶部分におけるフリーボリュームを小さくすることができるためではないかと考えられる。
さらに、好ましいことに、側鎖1,2−ジオール含有PVAは、未変性PVAよりも結晶のラメラサイズが小さいため、低融点、低結晶化度となり、溶融成形性に優れているという利点がある。
【0040】
〔(B)ポリアミド樹脂〕
本発明で使用されるポリアミド樹脂は、主鎖中にアミド結合を有する樹脂で、SP値(MPa1/2)22〜28、好ましくは24〜26のポリアミド樹脂である。ここで、溶解度パラメータ(SP値)とは、分子の凝集エネルギー密度の平方根をいい、通常、プラスチック材料の耐有機溶剤性の指標に用いられている。
【0041】
ポリアミド樹脂のSP値は、ポリアミドの構造(構成モノマーユニット)に依存する。本発明で用いることができるポリアミド樹脂は、SP値(MPa1/2)22〜28であればよく、構成モノマーの種類、組成、重合度等は、特に限定しない。
SP値(MPa1/2)22〜28のポリアミド樹脂としては、例えば、ポリカプラミド(ナイロン6,SP値25.7)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66、SP値27.5)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミンアジペート共重合体(ナイロン6/66、共重合比80/20の共重合体のSP値25.8)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12、共重合比80/20の共重合体のSP値24.4)などが挙げられる。
【0042】
ポリアミド樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂と比べるとガスバリア性に劣るが、柔軟性、伸びに優れており、ポリアミド樹脂を配合することで、ポリビニルアルコール系樹脂に、可撓性と、伸びを付与することが可能であると考えられる。
一方、側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂のSP値は、重合度、ケン化度、1,2−ジオール含有率により変わるが、一般に、44〜47程度である。従って、側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂とポリアミド樹脂とは、SP値の差から推定されるように相溶性がなく、混合の自由エネルギーがプラス側に働き、両者の混合物である樹脂組成物は、主成分である側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂をマトリックス樹脂とする海島構造を構成する。
【0043】
SP値が大きいポリアミド樹脂は、一般に融点が高くなる傾向にあることから、PVA樹脂との溶融ブレンド工程の温度を上げざるを得ず、側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂の劣化の原因となり、工業的生産性の低下をもたらす。一方、ポリアミド樹脂のSP値が小さすぎると、側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂とのSP値の差が大きくなりすぎて、側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂との濡れ性が低下するためか、高圧水素ガスの供給後、脱圧時にブリスターが発生し易くなり、ひいてはホースの耐久性が低下する。このブリスターの発生は、PVA系樹脂単独からなるガスバリア層、ポリアミド樹脂単独のポリアミド層では見られなかった現象で、ポリアミド樹脂とPVA系樹脂の混合系の樹脂組成物を用いたガスバリア層、特にその表層部分で発生する現象である。また、水素ガス透過量や水素溶解量が少ない場合であっても、発生し得る現象であることがわかった。本発明者らが検討した結果、PVA系樹脂とポリアミド樹脂との混合系において、両者のSP値がかけ離れている場合、分散性が低下するだけでなく、PVA系樹脂とポリアミド樹脂との界面における結合(親和性)も緩やかとなるためか、この界面部分に、水素のような小さいガス分子が侵入しやすくなったのではないかと考えられる。そして、一旦、侵入した水素ガスは、本来のPVA系樹脂自体が有するガスバリア性に基づき、排斥されにくくなり、ガスバリア層内にとどまることになり、この取り込まれた水素分子が、脱圧時にPVA系樹脂とポリアミド樹脂の海島界面で分子運動することが可能となって、膨張(いわゆるブリスター発生)し易くなるのではないかと考えられる。一方、SP値(MPa1/2)22〜28のポリアミド樹脂を用いることで、SP値差が小さくなったとしても、相溶性を確保するには至らないので、海島構造を取ることについては変わらない。しかしながら、海島構造の界面での濡れ性が向上し、高圧水素脱圧時の水素膨張に耐えることが可能になったものと考えられる。
【0044】
本発明で用いられるポリアミド樹脂の220℃、せん断速度122sec-1での溶融粘度は、通常、200〜2500Pa・s、好ましくは500〜1800Pa・s、より好ましくは1000〜1500Pa・sである。溶融粘度が高すぎると、PVA系樹脂(A)との溶融混合性が悪くなり、PVA系樹脂とポリアミド樹脂で形成される海島構造中の島成分(ポリアミド樹脂)のサイズが大きくなりすぎる。溶融粘度が低すぎると、PVA系樹脂(A)との溶融混合性が悪くなり、ポリアミド樹脂の均質な分散が不十分となり、ポリアミド樹脂配合による柔軟性付与等の効果が十分得られない。
【0045】
ポリアミド樹脂は、側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との含有重量比(A/B)として、通常、95/5〜60/40であり、好ましくは90/10〜70/30、より好ましくは90/10〜75/25である。含有量比A/Bが大きくなりすぎると、すなわち、PVA系樹脂含有率が多くなりすぎると、耐久性、耐屈曲疲労性、伸縮性が乏しくなる。A/Bが小さくなりすぎると、すなわち、PVA系樹脂含有率が小さいと、PVA系樹脂による水素ガスバリア効果が不十分となる。
【0046】
〔(C)その他の添加物〕
本発明で用いられるガスバリア層用樹脂組成物には、上記側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)の他、必要に応じて、本発明の効果を損なわない限り(例えば、樹脂組成物全体の5重量%未満にて)、SP値が22〜28の範囲外のポリアミド樹脂;上記一般式(1)の構造単位を有しない未変性PVA系樹脂;他の熱可塑性樹脂;エチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコール等の可塑剤;飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン)等の滑剤;アンチブロッキング剤;酸化防止剤;着色剤;帯電防止剤;紫外線吸収剤;抗菌剤;不溶性無機塩(例えば、ハイドロタルサイト等);充填材(例えば無機フィラー等);酸素吸収剤(例えば、ポリオクテニレン等のシクロアルケン類の開環重合体や、ブタジエン等の共役ジエン重合体の環化物等);界面活性剤、ワックス;分散剤(ステアリン酸モノグリセリド等)、熱安定剤、光安定剤、乾燥剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、共役ポリエン化合物などの公知の添加剤を適宜配合することができる。
【0047】
〔ガスバリア層用樹脂組成物の調製〕
ガスバリア層用樹脂組成物は、上記側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)、さらに必要に応じて添加される添加物(C)を、所定量配合し、溶融混練することにより調製できる。
【0048】
溶融混練は、押出機、バンバリーミキサー、ニーダールーダー、ミキシングロール、ブラストミル等の公知の混練機を用いることができる。例えば、押出機の場合、単軸または二軸の押出機等が挙げられる。溶融混練後、樹脂組成物をストランド状に押出し、カットしてペレット化する方法が採用され得る。
【0049】
溶融混練温度は、上記側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)の種類に応じて適宜選択されるが、通常215〜230℃、好ましくは220〜235℃である。
【0050】
<高圧ガス移送用ホース>
本発明の高圧ガス移送用ホースは、上記ガスバリア層用樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含むもので、好ましくは多層構造からなるホースのうち、内層又は中間層、より好ましくは中間層、特に内層より中間層に含むものである。ガスバリア層が中間層となる場合、ホース最内層には、耐水性、水分不透過性の熱可塑樹脂層が好ましく用いられる。また、最外層、あるいは中間層に、補強層を設けることが好ましい。
【0051】
ホースの内径は、特に限定しないが、通常、4.5〜12mm程度であり、外径は7〜15mm程度であり、その厚さは、1〜10mm程度に設定される。
ガスバリア層の厚みは、特に限定しないが、ホースの厚さの5〜15%、特に8〜12%の範囲で選択される。
【0052】
水分不透過性の熱可塑性樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、疎水性熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。例えば具体的には、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、環状ポリオレフィン、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したもの等の広義のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド、共重合ポリアミド等のポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル等のビニルエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0053】
補強層としては、ホースの可撓性、伸びを損なわない限り、例えば、不織布、布、金属箔などを用いることができる。好ましくは、ポリパラフェニレンべンズビスオキサゾール(PBO)繊維、アラミド繊維等の高強度樹脂繊維を編み組したシート層又は当該シートをスパイラルに巻き付けてなる層で構成することが好ましい。
【実施例】
【0054】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
【0055】
〔測定評価方法〕
はじめに、以下の実施例で採用した測定評価方法について説明する。
(1)水素ガスバリア性(水素ガス透過量)
厚み20μmのフィルム試験片を、図1に示す水素透過度測定装置のサンプル部分にセットし、41℃、水素圧0.5MPaで加圧水素をフィルムサンプルに向けて加圧水素を送り、透過した水素を回収し、透過量(cc・20μm/m2・day・atm)を測定した。
【0056】
(2)引張破断伸び(%)
図2に示すサイズの厚み2mmのダンベル状試験片を用いて、引張試験機で、長さ30%伸長させた。30%伸長するまでに破断した場合には、破断したときの伸びを測定値とし、30%伸長しても破断しなかった場合には、測定値を30%超とした。
【0057】
(3)高圧水素ガス曝露−脱圧サイクル試験(耐久性)
図3に示すように構成された水素高圧ガス設備を用いて、試験体とある部分に、図2に示すサイズの厚み2mmのダンベル状試験片をセットして、図4に示す圧力パターン(70MPaの高圧水素を20時間曝露し、脱圧後0.5時間静置を1サイクルとして、20サイクル繰り返した(合計曝露時間400時間)。
高圧水素ガス曝露−脱圧サイクル試験後、試験片を取り出し、試験片の状態を目視で観察し、特にブリスターの発生の有無(通常、ダンベル部分に発生)を観察した。
【0058】
〔樹脂組成物の調製〕
(1)側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂(A)
還流冷却器、攪拌機を備えた反応容器に、酢酸ビニル68.0部、メタノール23.8部、3,4−ジアセトキシ−ブテン8.2部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.3モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。酢酸ビニルの重合率が90%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し、共重合体のメタノール溶液とした。
次いで、上記メタノール溶液を、さらにメタノールで希釈し、濃度45%に調整して、ニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して11.5ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。
ケン化が進行するとともに、ケン化物が析出し、粒子状となった時点で濾別した。得られたケン化物をメタノールでよく洗浄して熱風乾燥機で乾燥し、上記(1a)式の側鎖1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂(A1)を得た。
【0059】
得られた側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂のケン化度は、残存酢酸ビニル及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの加水分解に要するアルカリ消費量にて分析したところ、99.9モル%であった。また、平均重合度は、JIS K6726に準じて分析を行ったところ、450であった。また、一般式(1a)で表わされる1,2−ジオール構造単位の含有量は1H−NMR(300MHzプロトンNMR、d6−DMSO溶液、内部標準物質:テトラメチルシラン)にて測定した積分値より算出したところ、6モル%であった。また、MFR(210℃、荷重2160g)は、5.5g/10分、溶融粘度(220℃、せん断速度122sec-1)は1148Pa・sであった。
【0060】
(2)ポリアミド樹脂(B)
下記ポリアミド樹脂B1又はB2を用いた。
B1:ナイロン6/66、三菱エンジニアリング社製の「Novamid2420J」(SP値25.8)を用いた。溶融粘度(220℃、せん断速度122sec-1)は1368Pa・sである。
B2:ナイロン11、エムスケミース・ジャパン社の「Rilsan P40」(SP値20.8)を用いた。溶融粘度(220℃、せん断速度122sec-1)は1557Pa・sである。
【0061】
(3)樹脂ペレット及び試験片No.1−4の作製
PVA系樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)とを、表1に示す重量比でドライブレンドし、二軸押出機(テクノベル社製)を用いて、下記条件でペレット化した。
スクリュー径:15mm
L/D=60mm
回転方向:同方向
スクリューパターン:3か所練り
スクリーンメッシュ:90/90メッシュ
スクリュー回転数 :200rpm
温度パターン:C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/D=180/195/210/210/215/220/220/220/220℃
吐出量:15kg/hr
【0062】
作製した試験片を用いて、上記測定評価方法に基づき、水素ガスバリア性、柔軟性、耐久性を測定評価した。結果を表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
表1のNo.3とNo.4の比較から、ポリアミド樹脂単独の水素ガス透過量は、側鎖1,2−ジオール含有PVAの透過量の約4000倍であった。この点、No.1−3のの比較から、PVA樹脂の20%程度をポリアミドに置換したときの水素ガス透過量は、PVA樹脂単独の場合と比べて増加しているものの、2倍未満であった。一方、伸びについては、ポリアミドの配合により増大し、SP値が高いポリアミドB1(側鎖1,2−ジオールPVA系樹脂との親和性が高いと考えられるポリアミド樹脂)の方が、破断伸びの向上効果は大きかった。
【0065】
No.1とNo.2とを比較した場合、いずれも側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂の20%をポリアミド樹脂に置換した場合に該当し、水素ガス透過量については、差異はほとんどなかったにもかかわらず、高圧水素ガス曝露−脱圧サイクル試験の耐久性については、No.2ではブリスターの発生が認められた。一方、水素ガス透過量が4000倍も多いポリアミド樹脂単独の場合(No.4)では、ブリスターの発生は認められなかった。このことから、高圧水素ガス曝露−脱圧サイクル試験に関しては、ガス透過量が少なくても発生し得る現象であり、各樹脂成分単独では起こらないにもかかわらず、混合物となったときに初めて発生する現象であることがわかる。
【0066】
従って、ブリスターの発生原因は、PVA系樹脂とポリアミド樹脂の界面に起因するものであると推測され、SP値が20.8であるポリアミド11では、ポリアミドとPVAの界面の相互作用が弱いために、発生したのではないかと考えられる。一方、SP値が25.8のポリアミド66/6では、界面における結びつき(一級水酸基によるプロトンドナーとアミド結合部のプロトンアクセプターの関係)が強くなり、側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂で構成される海、ポリアミド樹脂で構成される島部分だけでなく、側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂とポリアミド樹脂との界面の濡れ性が強く、その結果、脱圧繰り返しサイクルにおいても、水素ガス膨張によるブリスターの発生が抑制されたのではないかと考えられる。
【0067】
なお、No.1のダンベル状試験片について、耐久性試験前後で、固体NMRを測定した。測定条件は、下記のとおりである。耐久性試験前後の測定結果において、分子間水素結合に起因する共鳴、及び分子内水素結合に起因する共鳴線について、大きな変化は認められなかった。このことは、側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂(A)と溶解度パラメータが22〜28MPa1/2であるポリアミド樹脂(B)とを含有する樹脂組成物からなる層(ガスバリア層)では、高圧水素ガスの曝露、脱圧によって、水素ガスの取り込みはほとんどなく、固体構造に大きな変化がないと言える。
【0068】
・装置:Bruker AVANCEIII 400WB
・プローブ:4mmΦ CPMAS
・温度:22℃
・試料管回転数:5000Hz
・測定手法:Inversion Recovery
1H 90°パルス幅:4.2μsec×44W
13C90°パルス幅:4.2μsec×124W
・Contact time 350μsec
1H decoupling sequence TPPM15
1H decoupling power 44W(70kHz)
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の高圧ガス移送用ホースは、水素のような小さな分子のガスに対して高度なガスバリア性を有し、しかも伸び、柔軟性にも優れているので、ガスステーションにおいて、燃料電池への水素ガス供給に用いるような、高圧水素ガス供給用のホースとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表わされる構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂(A)、及び溶解度パラメータが22〜28MPa1/2であるポリアミド樹脂(B)を含有する樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有する高圧ガス移送用ホース。
【化1】


〔式中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は有機基を表し、Xは単結合又は結合鎖を示す〕
【請求項2】
前記ポリビニルアルコール系樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との含有重量比(A/B)が90/10〜75/25である請求項1に記載の高圧ガス移送用ホース。
【請求項3】
前記ポリアミド樹脂(B)の溶融粘度が200〜2500Pa・secである請求項1又は2に記載の高圧ガス移送用ホース。
【請求項4】
前記ポリビニルアルコール系樹脂(A)における上記一般式(1)の含有率は、2〜15モル%である請求項1〜3のいずれかに記載の高圧ガス移送用ホース。
【請求項5】
水素ガス移送用である請求項1〜4のいずれかに記載の高圧ガス移送用ホース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−71979(P2013−71979A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210988(P2011−210988)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「水素先端科学基礎研究事業/水素先端科学基礎研究/水素に対して耐性に優れた適用材料の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004101)日本合成化学工業株式会社 (572)
【Fターム(参考)】