高圧放電ランプ用の電極
金属蒸気を含有する放電ランプのための電極(35)は高溶融性で導電性の材料、有利にはタングステン又はタングステンを主として含有する材料から成っている。この電極は長手方向軸線Lを規定するピン状のヘッド部(37)を備えたシャフト(36)から成っている。この場合、ヘッド部分(37)の領域には少なくとも1つの孔(39)が長手方向軸線に対しほぼ横方向に、特に長手方向軸線に対し60°から90°の角度を成して配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求の範囲の上位概念に記載した、金属蒸気で充填された高圧放電ランプ用の電極から出発している。その際、本発明は特に水銀及び/又はナトリウムを含んでいる高圧放電ランプ、特にナトリウム高圧ランプのための電極を対象としている。他の使用領域は例えばメタルハロゲナイドランプである。別の使用領域は水銀が用いられていないメタルハロゲン化ランプである。
【0002】
公知技術
DE−PS976223号明細書によれば金属蒸気で充填された高圧放電ランプのための電極であって、貫通する孔を使用したものがすでに公知である。前記孔はほぼ軸方向に配置されている。この孔はアーク動揺を減じることで貴ガスを含有する高圧放電ランプを安定化させるために用いられる。蒸気化しにくい金属、例えば水銀及びナトリウムを含まずガス形態である貴ガスを含む前記ランプにおいては即座の着火性が特徴である。この場合にはしたがって燃焼過程及び着火改善処置が採られる必要はない。
【0003】
発明の開示
本発明の課題は請求項1の上位概念に記載した電極であって、簡単な処置で金属蒸気を含有するランプの着火性が改善される電極を提供することである。
【0004】
前記課題は、請求項1の特徴によって解決された。特に有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0005】
本発明の別の課題は、前記の如き電極を有するランプを提供すること及び前記の如き電極の簡単な製作方法を提供することである。
【0006】
前記両課題は請求項15もしくは16の特徴によって解決された。
【0007】
通常の形式では金属蒸気を含有する放電ランプのための電極は着火を改善するために、ヘッド部分に螺旋溝を備えている。これに対する公知の選択的な構成は球ヘッド又は円筒ヘッドを備えることである。これらの処置は、着火とアーク受取りとを改善するために役立つ。もちろん、小さな電極に螺旋溝を装備するか又は球ヘッドを装備することは面倒である。球ヘッドは溶融し、不都合な構造変化をもたらす。両方の技術は少なくとも付加的な方法ステップを必要とする。
【0008】
驚くべきことには電極のヘッド部分の領域における単数又は複数の孔は同じ働きを有することが確認された。これは電極製造の著しい簡易化のための基本状態を提供する。特に前記孔は20wから100wまでの領域の小さな出力のためにミニチュア化された電極の好適な形状付与を可能にする。特に電極の構成はコンスタントな直径を有するピンをシャフトとして、統合されたヘッド部分と共に使用できることによって特に簡単になる。従来はこの簡易化には、この場合にアークの発着点が電極上で往復移動し、片側で圧潰されたランプでは圧潰部位へすら移動し、ランプの破壊をもたらすという問題があった。
【0009】
孔あけの基本原理は、孔が着火のための前イオン化空間を提供することで中空カソード効果が達成されることにある。有利には前記空間の容積は0.02mm3と2mm3との間にある。この結果、ランプ稼動開始持にグロー電圧が低くなり、これにより2つの利点が得られるようになった。その1つは電極の材料、通常はタングステンのみ又は少なくとも合金の主要成分としてのタングステンのスパッタリング損耗が減少し、この結果、黒化が減じ、ひいてはルーメンメンテナンスが改善されることでもある。もう1つの利点は高められたグロー電流が達成されることである。これは電極の迅速な加熱をもたらす。特に両方の電極が前述の如き孔を備えていると、この結果、ランプ稼動開始が早くなる。グローアーク移行は容易になる。
【0010】
孔の特に好適な効果は前記孔が先端部に所定の断熱効果を発揮することである。これによって電極はより迅速に加熱し、ランプ稼動開始が加速される。さらに熱伝導による稼働中の熱損失も小さくなる。
【0011】
したがって好適な成果を得るためには前イオン化に対する要求と断熱に対する要求との間にコンプロミスを見出す必要ある。
【0012】
電極を製造するためのベース材料としては、事情によってはタングステンの他に、他の高溶融性の金属、すなわちタンタル、レニウム又はこれらの金属の合金又はカーバイト又はこれらの金属をタングステンの他に50〜20重量%含有する材料を使用することができる。
【0013】
本発明による電極は高圧放電ランプのあらゆるセラミック製の放電容器内でもガラス製の放電容器内でも使用することができる。この場合には放電容器が片側で閉じられているか又は両側で閉じられているかは問題にならない。片側で圧潰されている場合には電極は折り曲げられる。その際、孔は折り曲げられたヘッド部分内に位置している。電極は放電容器にそのシャフトにより、例えば貫通案内部により、又はシャフトの部分により保持されるか又はこれに取付けられる。この場合、前記貫通部は公知のようにセラミック製の毛細管にてシールされるか又は圧潰部又は溶融部にてシールされる。
【0014】
電極の簡単な製作は孔が機械的な又は電気的な作用で形成されると達成される。特に有利であることは電極の製作が最高10μsの継続時間の、有利には最高2μsの継続時間の、エネルギ密度の高い短いレーザパルスで行なわれることである。この場合、レーザパラメータは溶融相が生ぜしめられることなく、つまりタングステンが直接的に孔から昇華されるように調節される。孔の典型的な直径は200μmであり、ピンの典型的な直径は20から400wであるワットに関連して0.5から5mmであり、20から75wの領域の小さなワット値のために特に有利である。
【0015】
ヘッド部分の領域においては長手方向軸線に対しほぼ横方向に、特に長手方向軸線に対し60°から90°の角度で少なくとも1つの孔が配置されている。有利には1つから3つの孔が使用される。
【0016】
シャフトとヘッド部分は有利には統一的な所定のピン直径Dを有していることができる。しかし大体においてはヘッド部分の直径は事情によってはシャフトの直径よりも大きく、ヘッド部分はシャフトの直径D1を上回る直径D2を有していることができる。
【0017】
孔は貫通して構成されるか又は盲孔として構成されていることができる。
【0018】
ヘッド部分は特にヘッド部分の周方向に分配された最高3つの孔を有していると有利である。
【0019】
有利な寸法設定を説明するためには孔が最大直径Bを有することが規定されている。これは完全に一定である必要はない。
【0020】
複数の孔がある場合には最大直径はしばしばほぼ等しい。さらに孔は有利には直線的であるが、しかし孔は湾曲されていることもできる。熱勘定の好適化にとっては、異なる直径の孔又は直径の変化する孔が可能である。
【0021】
複数の孔がある場合にはこれらの孔は有利にはほぼ一平面内に位置している。これは前記複数の孔が互いに接続され、イオン化室としての作用が改善されるという利点を有している。盲孔として孔を実現する場合には盲孔は有利にはDの少なくとも50%の深さ、最高80%の深さを有している。
【0022】
他の加工が省略されることで特別な利点を提供する簡単なピンの場合にはヘッド部分の先端に丸味がつけられていると有利である。これはもっとも簡単な場合にはピンのタンブリングによって達成することができる。これにより、まくれ及び縁のスパッタ損耗は阻止され、孔との協働により寿命がさらに改善される。これは特に20wから150wの小さなワット値で達成される。
【0023】
電極の先端からの孔(孔の中心)の間隔を符号Aで示すと、有利には比A/Dは1と6の間(最終値を含む)に位置していると有利である。特に効果的であるのは孔の直径Bとヘッド部分Dとの間の比が0.05と0.3との間(最終値を含む)にある孔である。
【0024】
孔を有する少なくとも1つの電極を備えた典型的なランプは、少なくとも1つの放電容器を有し、該放電容器が金属蒸気、特に水銀及び/又はナトリウムを有している。この場合、放電容器はガラス又はセラミックから製作されている。このランプは最高400wの出力を有する比較的にワット値の低いランプである。
【0025】
タングステンから成る電極であって、電極が長手方向軸線を有するピン形状のヘッド部分を備えた電極を製作するための有利な製作方法の特徴は、1つの孔を長手方向軸線に対しほぼ横方向に、最大1μsの継続時間の短いレーザパルスによって形成することである。レーザとしてはパルス化したNeodym−YAG−レーザが使用される。このレーザのエネルギはタングステンを昇華するために必要なエネルギ密度の上に位置するようにフォーカス化される。反復値1KHzの上にある。
【0026】
本発明の有利な実施態様
図1において示された35wの出力を有するメタルハロゲン化ランプ1は片側で閉じた、石英ガラスから成る放電容器2を有している。電極3は圧潰部4によりシールされている。この場合、電極はタングステンWから製作されかつ放電容器の内部にシャフト5を有し、該シャフト5には円筒形のヘッド6が側部に取り付けられている。ヘッド6の先端の間には放電部が構成されている。円筒状のヘッド6はヘッドの長手方向軸線に対し横方向に位置する孔を備えている(図11E参照)。電極3はほぼWから、すなわち50%よりも多くのタングステンWから製作され、残りは例えばレニウムであることができる。充填物は水銀とナトリウム、Sn、TI、Tm等のハロゲン化を有している。充填物は主としてほぼ水銀又はナトリウム蒸気だけを含有することもできる。正確な充填物は問題ではない。
【0027】
図2には150wの出力を有する、両側で閉じられたセラミック製の放電容器11を有する金属ハロゲニトポンプ10が示されている。電極12は一貫してコンスタントな直径を有するピン13から成っている。ピン13は一貫してコンスタントな直径を有している。前記直径は300μmである。先端から2mmの間隔をおいて直径150μmの孔が電極の長手方向軸線に対し横方向に形成されている(図3を参照)。
【0028】
図3には図2のランプのための電極が詳細に示されている。電極は直径Dを有する一貫したピン13を有している。ピン13の先端から間隔Aをおいて孔14が長手方向軸線Lに対し横方向に形成されている。孔14は横軸に対し中心的に位置し、直径Bを有している。有利な寸法は比B/D=0.05から0.30である。有利な比A/Dは1から6までである。
【0029】
図4においては一平面内で長手方向軸線Lに対し横方向に90°互いにずらされた2つの孔15,16を有する電極13が示されている。両方の孔15,16は貫通孔であって、両方の孔15,16は中心点にて互いに接続されていることができる(図4Aを参照)。電極13はそのヘッド38にて尖らされて構成されている。
【0030】
図5においては、異なる平面にて互いに90°ずらされて配置された2つの孔17,18を有する電極13が示されている。両方の孔17,18は貫通しておりかつ同じ直径を有している(図5Aと図5Bとを参照せよ)。
【0031】
図6においては一平面内で長手方向軸線Lに対し90°横方向に互いにずらされた2つの孔20,21を有する電極13が示されている。両方の孔20,21は盲孔として構成され、中心点にて互いに接続されている。(図6Aを参照せよ)。
【0032】
図7においては長手方向軸線Lに対し25°傾けられた孔22を有する電極13が示されている。この構想は特に水平の燃焼状態に対し応用可能である。
【0033】
図8においては短い盲孔24を有する電極13が示されている。該盲孔24は有利には直径Dの深さの少なくとも50%、有利には約65%の深さを有している。この場合には十分な昇華室を準備するためには直径Bが比較的に大きく選択される必要がある。Bは特に0.8D≦B≦1.2Dの領域内で選択する必要がある。
【0034】
図9においてはシャフト26の直径D1が比較的に大きい電極25が示されている。この場合、ヘッド部分27はより大きい直径D2を有し、特に個別に取り付けられている。このような電極は150から400wの比較的に大きな出力のために好適である。ヘッド部分27は2つの孔28と29を有し、これらの孔28と29は異なる平面にて長手方向軸線Lに対し90°互いにずらされて配置されている。この両方の孔28,29は貫通しているが、しかし異なる直径B1とB2を有している(図9Aと9Bとを参照せよ)。
【0035】
図10には直径Dのほぼ55%の深さを有する短い盲孔30を有する電極13が示されている。この場合には盲孔の直径Bは外から内へ減少させられている。これは製作技術的に有利である。
【0036】
図11においては片側の閉じられた放電容器のための電極35が示されている。この場合にはシャフト36はヘッド37に対して横に位置している。円筒形のヘッド部分は先端38と孔39とを有している。孔39の直径Bはヘッド部分の直径D2に比較して小さく選ぶ必要がある。何故ならばこの場合には十分な昇華室を準備することができるからである。高い熱容量はシャフトの直径D1に対するヘッド部分の直径D2が大きいことで既に保証されるからである。
【0037】
このような電極の製造は例えば5μs継続時間、しばしばより短い継続時間を有する短いレーザパルスを使用することで行なわれる。レーザ光線は特にレンズでフォーカス化される。有利にはレーザ光線は例えば3KHz又はそれ以上の高い反復値でパルス化される。フォーカス化は有利には、フォーカス化されたレーザ光線のエネルギ密度が電極材料の昇華に必要なエネルギ密度の上にあるように行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】高圧放電ランプの側面図。
【図2】別の高圧放電ランプの側面図。
【図3】図1のランプの電極の断面図。
【図4】電極の別の実施例を示す図。
【図5】電極の別の実施例を示す図。
【図6】電極の別の実施例を示す図。
【図7】電極の別の実施例を示す図。
【図8】電極の別の実施例を示す図。
【図9】電極の別の実施例を示す図。
【図10】電極の別の実施例を示す図。
【図11】電極の別の実施例を示す図。
【符号の説明】
【0039】
1 メタルハロゲン化ランプ、 2 放圧容器、 3 電極、 4 圧潰部、 5 シャフト、 6 ヘッド、 11 放電容器、 12 電極、 13 ピン、 14 孔、 15,16 孔、 17,18 孔、 20,21 孔、 22 孔、 24 盲孔、 25 電極、 26 シャフト、 27 ヘッド部、 28,29 孔、 30 盲孔、 35 電極、 36 シャフト、 37 ヘッド、 38 先端、 39 孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求の範囲の上位概念に記載した、金属蒸気で充填された高圧放電ランプ用の電極から出発している。その際、本発明は特に水銀及び/又はナトリウムを含んでいる高圧放電ランプ、特にナトリウム高圧ランプのための電極を対象としている。他の使用領域は例えばメタルハロゲナイドランプである。別の使用領域は水銀が用いられていないメタルハロゲン化ランプである。
【0002】
公知技術
DE−PS976223号明細書によれば金属蒸気で充填された高圧放電ランプのための電極であって、貫通する孔を使用したものがすでに公知である。前記孔はほぼ軸方向に配置されている。この孔はアーク動揺を減じることで貴ガスを含有する高圧放電ランプを安定化させるために用いられる。蒸気化しにくい金属、例えば水銀及びナトリウムを含まずガス形態である貴ガスを含む前記ランプにおいては即座の着火性が特徴である。この場合にはしたがって燃焼過程及び着火改善処置が採られる必要はない。
【0003】
発明の開示
本発明の課題は請求項1の上位概念に記載した電極であって、簡単な処置で金属蒸気を含有するランプの着火性が改善される電極を提供することである。
【0004】
前記課題は、請求項1の特徴によって解決された。特に有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0005】
本発明の別の課題は、前記の如き電極を有するランプを提供すること及び前記の如き電極の簡単な製作方法を提供することである。
【0006】
前記両課題は請求項15もしくは16の特徴によって解決された。
【0007】
通常の形式では金属蒸気を含有する放電ランプのための電極は着火を改善するために、ヘッド部分に螺旋溝を備えている。これに対する公知の選択的な構成は球ヘッド又は円筒ヘッドを備えることである。これらの処置は、着火とアーク受取りとを改善するために役立つ。もちろん、小さな電極に螺旋溝を装備するか又は球ヘッドを装備することは面倒である。球ヘッドは溶融し、不都合な構造変化をもたらす。両方の技術は少なくとも付加的な方法ステップを必要とする。
【0008】
驚くべきことには電極のヘッド部分の領域における単数又は複数の孔は同じ働きを有することが確認された。これは電極製造の著しい簡易化のための基本状態を提供する。特に前記孔は20wから100wまでの領域の小さな出力のためにミニチュア化された電極の好適な形状付与を可能にする。特に電極の構成はコンスタントな直径を有するピンをシャフトとして、統合されたヘッド部分と共に使用できることによって特に簡単になる。従来はこの簡易化には、この場合にアークの発着点が電極上で往復移動し、片側で圧潰されたランプでは圧潰部位へすら移動し、ランプの破壊をもたらすという問題があった。
【0009】
孔あけの基本原理は、孔が着火のための前イオン化空間を提供することで中空カソード効果が達成されることにある。有利には前記空間の容積は0.02mm3と2mm3との間にある。この結果、ランプ稼動開始持にグロー電圧が低くなり、これにより2つの利点が得られるようになった。その1つは電極の材料、通常はタングステンのみ又は少なくとも合金の主要成分としてのタングステンのスパッタリング損耗が減少し、この結果、黒化が減じ、ひいてはルーメンメンテナンスが改善されることでもある。もう1つの利点は高められたグロー電流が達成されることである。これは電極の迅速な加熱をもたらす。特に両方の電極が前述の如き孔を備えていると、この結果、ランプ稼動開始が早くなる。グローアーク移行は容易になる。
【0010】
孔の特に好適な効果は前記孔が先端部に所定の断熱効果を発揮することである。これによって電極はより迅速に加熱し、ランプ稼動開始が加速される。さらに熱伝導による稼働中の熱損失も小さくなる。
【0011】
したがって好適な成果を得るためには前イオン化に対する要求と断熱に対する要求との間にコンプロミスを見出す必要ある。
【0012】
電極を製造するためのベース材料としては、事情によってはタングステンの他に、他の高溶融性の金属、すなわちタンタル、レニウム又はこれらの金属の合金又はカーバイト又はこれらの金属をタングステンの他に50〜20重量%含有する材料を使用することができる。
【0013】
本発明による電極は高圧放電ランプのあらゆるセラミック製の放電容器内でもガラス製の放電容器内でも使用することができる。この場合には放電容器が片側で閉じられているか又は両側で閉じられているかは問題にならない。片側で圧潰されている場合には電極は折り曲げられる。その際、孔は折り曲げられたヘッド部分内に位置している。電極は放電容器にそのシャフトにより、例えば貫通案内部により、又はシャフトの部分により保持されるか又はこれに取付けられる。この場合、前記貫通部は公知のようにセラミック製の毛細管にてシールされるか又は圧潰部又は溶融部にてシールされる。
【0014】
電極の簡単な製作は孔が機械的な又は電気的な作用で形成されると達成される。特に有利であることは電極の製作が最高10μsの継続時間の、有利には最高2μsの継続時間の、エネルギ密度の高い短いレーザパルスで行なわれることである。この場合、レーザパラメータは溶融相が生ぜしめられることなく、つまりタングステンが直接的に孔から昇華されるように調節される。孔の典型的な直径は200μmであり、ピンの典型的な直径は20から400wであるワットに関連して0.5から5mmであり、20から75wの領域の小さなワット値のために特に有利である。
【0015】
ヘッド部分の領域においては長手方向軸線に対しほぼ横方向に、特に長手方向軸線に対し60°から90°の角度で少なくとも1つの孔が配置されている。有利には1つから3つの孔が使用される。
【0016】
シャフトとヘッド部分は有利には統一的な所定のピン直径Dを有していることができる。しかし大体においてはヘッド部分の直径は事情によってはシャフトの直径よりも大きく、ヘッド部分はシャフトの直径D1を上回る直径D2を有していることができる。
【0017】
孔は貫通して構成されるか又は盲孔として構成されていることができる。
【0018】
ヘッド部分は特にヘッド部分の周方向に分配された最高3つの孔を有していると有利である。
【0019】
有利な寸法設定を説明するためには孔が最大直径Bを有することが規定されている。これは完全に一定である必要はない。
【0020】
複数の孔がある場合には最大直径はしばしばほぼ等しい。さらに孔は有利には直線的であるが、しかし孔は湾曲されていることもできる。熱勘定の好適化にとっては、異なる直径の孔又は直径の変化する孔が可能である。
【0021】
複数の孔がある場合にはこれらの孔は有利にはほぼ一平面内に位置している。これは前記複数の孔が互いに接続され、イオン化室としての作用が改善されるという利点を有している。盲孔として孔を実現する場合には盲孔は有利にはDの少なくとも50%の深さ、最高80%の深さを有している。
【0022】
他の加工が省略されることで特別な利点を提供する簡単なピンの場合にはヘッド部分の先端に丸味がつけられていると有利である。これはもっとも簡単な場合にはピンのタンブリングによって達成することができる。これにより、まくれ及び縁のスパッタ損耗は阻止され、孔との協働により寿命がさらに改善される。これは特に20wから150wの小さなワット値で達成される。
【0023】
電極の先端からの孔(孔の中心)の間隔を符号Aで示すと、有利には比A/Dは1と6の間(最終値を含む)に位置していると有利である。特に効果的であるのは孔の直径Bとヘッド部分Dとの間の比が0.05と0.3との間(最終値を含む)にある孔である。
【0024】
孔を有する少なくとも1つの電極を備えた典型的なランプは、少なくとも1つの放電容器を有し、該放電容器が金属蒸気、特に水銀及び/又はナトリウムを有している。この場合、放電容器はガラス又はセラミックから製作されている。このランプは最高400wの出力を有する比較的にワット値の低いランプである。
【0025】
タングステンから成る電極であって、電極が長手方向軸線を有するピン形状のヘッド部分を備えた電極を製作するための有利な製作方法の特徴は、1つの孔を長手方向軸線に対しほぼ横方向に、最大1μsの継続時間の短いレーザパルスによって形成することである。レーザとしてはパルス化したNeodym−YAG−レーザが使用される。このレーザのエネルギはタングステンを昇華するために必要なエネルギ密度の上に位置するようにフォーカス化される。反復値1KHzの上にある。
【0026】
本発明の有利な実施態様
図1において示された35wの出力を有するメタルハロゲン化ランプ1は片側で閉じた、石英ガラスから成る放電容器2を有している。電極3は圧潰部4によりシールされている。この場合、電極はタングステンWから製作されかつ放電容器の内部にシャフト5を有し、該シャフト5には円筒形のヘッド6が側部に取り付けられている。ヘッド6の先端の間には放電部が構成されている。円筒状のヘッド6はヘッドの長手方向軸線に対し横方向に位置する孔を備えている(図11E参照)。電極3はほぼWから、すなわち50%よりも多くのタングステンWから製作され、残りは例えばレニウムであることができる。充填物は水銀とナトリウム、Sn、TI、Tm等のハロゲン化を有している。充填物は主としてほぼ水銀又はナトリウム蒸気だけを含有することもできる。正確な充填物は問題ではない。
【0027】
図2には150wの出力を有する、両側で閉じられたセラミック製の放電容器11を有する金属ハロゲニトポンプ10が示されている。電極12は一貫してコンスタントな直径を有するピン13から成っている。ピン13は一貫してコンスタントな直径を有している。前記直径は300μmである。先端から2mmの間隔をおいて直径150μmの孔が電極の長手方向軸線に対し横方向に形成されている(図3を参照)。
【0028】
図3には図2のランプのための電極が詳細に示されている。電極は直径Dを有する一貫したピン13を有している。ピン13の先端から間隔Aをおいて孔14が長手方向軸線Lに対し横方向に形成されている。孔14は横軸に対し中心的に位置し、直径Bを有している。有利な寸法は比B/D=0.05から0.30である。有利な比A/Dは1から6までである。
【0029】
図4においては一平面内で長手方向軸線Lに対し横方向に90°互いにずらされた2つの孔15,16を有する電極13が示されている。両方の孔15,16は貫通孔であって、両方の孔15,16は中心点にて互いに接続されていることができる(図4Aを参照)。電極13はそのヘッド38にて尖らされて構成されている。
【0030】
図5においては、異なる平面にて互いに90°ずらされて配置された2つの孔17,18を有する電極13が示されている。両方の孔17,18は貫通しておりかつ同じ直径を有している(図5Aと図5Bとを参照せよ)。
【0031】
図6においては一平面内で長手方向軸線Lに対し90°横方向に互いにずらされた2つの孔20,21を有する電極13が示されている。両方の孔20,21は盲孔として構成され、中心点にて互いに接続されている。(図6Aを参照せよ)。
【0032】
図7においては長手方向軸線Lに対し25°傾けられた孔22を有する電極13が示されている。この構想は特に水平の燃焼状態に対し応用可能である。
【0033】
図8においては短い盲孔24を有する電極13が示されている。該盲孔24は有利には直径Dの深さの少なくとも50%、有利には約65%の深さを有している。この場合には十分な昇華室を準備するためには直径Bが比較的に大きく選択される必要がある。Bは特に0.8D≦B≦1.2Dの領域内で選択する必要がある。
【0034】
図9においてはシャフト26の直径D1が比較的に大きい電極25が示されている。この場合、ヘッド部分27はより大きい直径D2を有し、特に個別に取り付けられている。このような電極は150から400wの比較的に大きな出力のために好適である。ヘッド部分27は2つの孔28と29を有し、これらの孔28と29は異なる平面にて長手方向軸線Lに対し90°互いにずらされて配置されている。この両方の孔28,29は貫通しているが、しかし異なる直径B1とB2を有している(図9Aと9Bとを参照せよ)。
【0035】
図10には直径Dのほぼ55%の深さを有する短い盲孔30を有する電極13が示されている。この場合には盲孔の直径Bは外から内へ減少させられている。これは製作技術的に有利である。
【0036】
図11においては片側の閉じられた放電容器のための電極35が示されている。この場合にはシャフト36はヘッド37に対して横に位置している。円筒形のヘッド部分は先端38と孔39とを有している。孔39の直径Bはヘッド部分の直径D2に比較して小さく選ぶ必要がある。何故ならばこの場合には十分な昇華室を準備することができるからである。高い熱容量はシャフトの直径D1に対するヘッド部分の直径D2が大きいことで既に保証されるからである。
【0037】
このような電極の製造は例えば5μs継続時間、しばしばより短い継続時間を有する短いレーザパルスを使用することで行なわれる。レーザ光線は特にレンズでフォーカス化される。有利にはレーザ光線は例えば3KHz又はそれ以上の高い反復値でパルス化される。フォーカス化は有利には、フォーカス化されたレーザ光線のエネルギ密度が電極材料の昇華に必要なエネルギ密度の上にあるように行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】高圧放電ランプの側面図。
【図2】別の高圧放電ランプの側面図。
【図3】図1のランプの電極の断面図。
【図4】電極の別の実施例を示す図。
【図5】電極の別の実施例を示す図。
【図6】電極の別の実施例を示す図。
【図7】電極の別の実施例を示す図。
【図8】電極の別の実施例を示す図。
【図9】電極の別の実施例を示す図。
【図10】電極の別の実施例を示す図。
【図11】電極の別の実施例を示す図。
【符号の説明】
【0039】
1 メタルハロゲン化ランプ、 2 放圧容器、 3 電極、 4 圧潰部、 5 シャフト、 6 ヘッド、 11 放電容器、 12 電極、 13 ピン、 14 孔、 15,16 孔、 17,18 孔、 20,21 孔、 22 孔、 24 盲孔、 25 電極、 26 シャフト、 27 ヘッド部、 28,29 孔、 30 盲孔、 35 電極、 36 シャフト、 37 ヘッド、 38 先端、 39 孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属蒸気を含有する放電ランプのための電極(35)であって、高溶融性の導電材料、有利にはタングステンから成るか又は主としてタングステンを含有する材料から成り、シャフト(36)と長手方向軸線Lを規定するピン状のヘッド部分(37)とから構成されている形式のものにおいて、前記ヘッド部分(37)の領域に少なくとも1つの孔(39)が長手方向軸線に対しほぼ横方向に、特に長手方向軸線に対し60°から90°の角度で配置されていることを特徴とする、高圧放電ランプ用の電極。
【請求項2】
シャフトとヘッド部分とが統一的な所定のピン直径Dを有している、請求項1記載の電極。
【請求項3】
ヘッド部分がシャフトを超える直径D2を有している、請求項1記載の電極。
【請求項4】
前記孔が貫通孔として又は盲孔として構成されている、請求項1記載の電極。
【請求項5】
ヘッド部分が最高3つの孔を有している、請求項1記載の電極。
【請求項6】
前記孔の直径が変化しており、該孔が最大直径Bを有している、請求項1記載の電極。
【請求項7】
複数の孔がある場合に、最大直径がそれぞれほぼ同じ大きさである、請求項6記載の電極。
【請求項8】
孔が直線的である、請求項1記載の電極。
【請求項9】
複数の孔が一平面内に位置している、請求項1記載の電極。
【請求項10】
複数の孔が互いに接続されている、請求項8記載の電極。
【請求項11】
各盲孔が直径Dの少なくとも50%の深さを有している、請求項4記載の電極。
【請求項12】
ヘッド部分の先端(7)に丸味が付けられている、請求項1記載の電極。
【請求項13】
先端からの孔(孔の中心)の間隔をAとした場合に比A/Dが1と6の間(最終値を含む)に位置している、請求項1記載の電極。
【請求項14】
孔の直径Bとヘッド部分の直径Dとの間の比が0.05と0.3との間(最終値を含む)に位置する、請求項1記載の電極。
【請求項15】
請求項1の電極を少なくとも1つ有し、金属蒸気、特に水銀及び/又はナトリウムを含有する放電容器を有し、該放電容器がガラス又はセラミックから製作されていることを特徴とするランプ。
【請求項16】
長手方向軸線を有するピン状のヘッド部分を備えた電極を製作する方法において、長手方向軸線に対しほぼ横方向の孔を最大10μs継続時間の短いレーザパルスによって形成することを特徴とする、電極を製作する方法。
【請求項17】
レーザ光線をフォーカス化する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
パルスの反復値が少なくとも1KHzである、請求項16記載の方法。
【請求項19】
フォーカス化されたレーザ光線のエネルギ密度が電極の材料の昇華に必要なエネルギ密度の上にある、請求項17記載の方法。
【請求項1】
金属蒸気を含有する放電ランプのための電極(35)であって、高溶融性の導電材料、有利にはタングステンから成るか又は主としてタングステンを含有する材料から成り、シャフト(36)と長手方向軸線Lを規定するピン状のヘッド部分(37)とから構成されている形式のものにおいて、前記ヘッド部分(37)の領域に少なくとも1つの孔(39)が長手方向軸線に対しほぼ横方向に、特に長手方向軸線に対し60°から90°の角度で配置されていることを特徴とする、高圧放電ランプ用の電極。
【請求項2】
シャフトとヘッド部分とが統一的な所定のピン直径Dを有している、請求項1記載の電極。
【請求項3】
ヘッド部分がシャフトを超える直径D2を有している、請求項1記載の電極。
【請求項4】
前記孔が貫通孔として又は盲孔として構成されている、請求項1記載の電極。
【請求項5】
ヘッド部分が最高3つの孔を有している、請求項1記載の電極。
【請求項6】
前記孔の直径が変化しており、該孔が最大直径Bを有している、請求項1記載の電極。
【請求項7】
複数の孔がある場合に、最大直径がそれぞれほぼ同じ大きさである、請求項6記載の電極。
【請求項8】
孔が直線的である、請求項1記載の電極。
【請求項9】
複数の孔が一平面内に位置している、請求項1記載の電極。
【請求項10】
複数の孔が互いに接続されている、請求項8記載の電極。
【請求項11】
各盲孔が直径Dの少なくとも50%の深さを有している、請求項4記載の電極。
【請求項12】
ヘッド部分の先端(7)に丸味が付けられている、請求項1記載の電極。
【請求項13】
先端からの孔(孔の中心)の間隔をAとした場合に比A/Dが1と6の間(最終値を含む)に位置している、請求項1記載の電極。
【請求項14】
孔の直径Bとヘッド部分の直径Dとの間の比が0.05と0.3との間(最終値を含む)に位置する、請求項1記載の電極。
【請求項15】
請求項1の電極を少なくとも1つ有し、金属蒸気、特に水銀及び/又はナトリウムを含有する放電容器を有し、該放電容器がガラス又はセラミックから製作されていることを特徴とするランプ。
【請求項16】
長手方向軸線を有するピン状のヘッド部分を備えた電極を製作する方法において、長手方向軸線に対しほぼ横方向の孔を最大10μs継続時間の短いレーザパルスによって形成することを特徴とする、電極を製作する方法。
【請求項17】
レーザ光線をフォーカス化する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
パルスの反復値が少なくとも1KHzである、請求項16記載の方法。
【請求項19】
フォーカス化されたレーザ光線のエネルギ密度が電極の材料の昇華に必要なエネルギ密度の上にある、請求項17記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図8】
【図9】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図8】
【図9】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−522608(P2007−522608A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545906(P2006−545906)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【国際出願番号】PCT/DE2004/002704
【国際公開番号】WO2005/062343
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(390009472)パテント−トロイハント−ゲゼルシヤフト フユール エレクトリツシエ グリユーラムペン ミツト ベシユレンクテル ハフツング (152)
【氏名又は名称原語表記】Patent−Treuhand−Gesellschaft fuer elektrische Gluehlampen mbH
【住所又は居所原語表記】Hellabrunner Strasse 1, Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【国際出願番号】PCT/DE2004/002704
【国際公開番号】WO2005/062343
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(390009472)パテント−トロイハント−ゲゼルシヤフト フユール エレクトリツシエ グリユーラムペン ミツト ベシユレンクテル ハフツング (152)
【氏名又は名称原語表記】Patent−Treuhand−Gesellschaft fuer elektrische Gluehlampen mbH
【住所又は居所原語表記】Hellabrunner Strasse 1, Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
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