説明

高圧電位治療用電極パット

【課題】高圧電位治療で体内に流れ込んだ電位を局所的に放電するに際し、第三者に長時間に亘り手伝ってもらう必要が無いとともに被治療者にも負担をかけず、更に、被治療者に痛み等を感じさせることもない電極パッドを提供すること。
【解決手段】導電性の電極基材2と、該電極基材2の表裏面にそれぞれ備えた1又は複数枚の絶縁性シート材3と、該絶縁性シート材3を備えた前記電極基材2を全面的に被覆した絶縁性の被覆シート4と、該被覆シート4の表面に装着したゲルシート5と、該ゲルシート5の上面に貼着した保護シート6と、を具備しており、これにより、電極基材2に流れ込んだ高圧の電位が空中に放電されてしまうことを防止できるとともに、絶縁性シート材3の枚数を変えることで電極基材2へ流れる電位量を調節することもでき、高圧電位の局所的な放電によって被治療者が皮膚に痛みを感じることを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧電位治療器を用いた電位治療に際して、被治療者に流れ込んだ高圧電位を局所的に放電するために用いる高圧電位治療用の電極パッドに係り、より詳しくは、被治療者に痛み等を感じさせること無く、高圧電位治療により被治療者に流れ込んだ高圧電位を放電可能にした高圧電位治療用の電極パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、頭痛、肩こり、不眠等を治療するための装置として、血液循環をよくして体質改善に効果を有する高圧電位治療器が用いられている。
【0003】
即ち、高圧電位治療器とは、被治療者の身体に高圧の電位を加える装置であり、この高圧電位治療器を用いて治療を行うことにより、被治療者は、血液循環が良くなり体質が改善され、頭痛、肩こり、不眠等を無くすることができるものである。
【0004】
ここで、図3は、この高圧電位治療器を説明するための図であり、図において31は被治療者に加える高圧の電位を生成するための治療器本体である。そして、この治療器本体31には通電マット32が接続されており、この通電マット32を介して、前記治療器本体31で生成した高圧の電位を被治療者に加え、これにより高圧電位治療を行うことを可能にしている。
【0005】
そして、この高圧電位治療器を用いて電位治療を行う場合には、例えば図3に示すように、前記通電マット32を椅子等の上に敷き、その後に、被治療者はこの通電マット32上に座るとともに、治療器本体31の電源を入れる。そうすると、通電マット32を介して被治療者の身体に高圧の電位が流れ込み、これにより電位治療を行うことが可能となる。
【0006】
ここで、図3において33は絶縁マットであり、また38は椅子等の脚部の下端に備えた絶縁材であり、即ち、前記高圧電位治療器31を用いて電位治療を行う場合には、被治療者の安全等のために、被治療者は絶縁マット33等の絶縁手段を用いることが必要であり、これにより、被治療者の身体に流れ込んだ高圧の電位は、被治療者の体全体から放電されることになる。
【0007】
このように、高圧電位治療器では一般的に、被治療者の身体に流れ込んだ高圧の電位が被治療者の体全体から放電されることになり、局所的に放電することができないため、特に痛み等の激しい個所を集中的に治療することは困難である。
【0008】
そのため、このような問題点を解決する手段として、図4に示すような、絶縁性の柄35と、この柄35に連結された支持部材36と、この支持部材36に回動自在に設置された導電性のローラー部37とにより構成される放電具34が提供されている。
【0009】
即ち、この放電具34では、電位治療を行っている被治療者における痛み等の激しい個所、例えば膝、肩、肘等にローラー部37を当てるとともに、前記所望する個所の近辺で、柄35をわずかに前後に動かしながらローラー37を回転させる。そうすると、治療器より身体に流れ込んだ電位はローラー部37を介して空中に放電して、ローラー37を充てている個所に電位が集中し、これにより、当該個所における血液がイオン化されるとともに、交流の振動によって筋肉の緊張がほぐれて血の流れが良くなり、所望する個所を集中的に治療することが可能となる。
【0010】
しかしながら、このような放電具34では、柄35を持ちながらローラー37を回転させなければならず、放電具34の重さ等も影響して、治療時間が長時間に亘った場合には疲れてしまうことがあるため、被治療者において使用を躊躇することがあった。また、背中等の手の届かない個所を集中的に治療したい場合などは、電位治療を行っている間、第三者に手伝ってもらう必要があるため、被治療者一人では有効に電位治療を行うことができない場合もあった。
【0011】
そこで、本出願人は過去において、第三者に長時間に亘り手伝ってもらう必要が無いとともに被治療者にも負担をかけずに、体内に流れ込んだ高圧の電位を局所的に放電可能とした高圧電位治療器用局部放電装置を提案した。
【0012】
即ち、この高圧電位治療器用局部放電装置は、電位治療を行っている被治療者の身体に装着される電極を備えており、この電極は放電装置本体に接続されるとともに、放電装置本体内には、発光手段、ブザー等を備えており、被治療者の身体における所望する個所に電極を装着することで、この電極を介して、高圧電位治療によって被治療者の身体に流れ込んだ電位を放電装置本体に流して、放電装置本体内の発光手段を発光させ及びブザー等を作動させて放電可能としており、これにより、第三者に長時間に亘り手伝ってもらうことなく、体内に流れ込んだ高圧の電位を局所的に放電可能としている。
【特許文献1】特開2001−178832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、一般的に電極は、リード線が接続される導電性の電極基材と、適宜この基材に備えたゲル等により構成されているが、このような電極を用いて体内に流れ込んだ高圧の電位を局所的に放電する場合には、被治療者は皮膚に痛みを感じることがある。
【0014】
即ち、高圧電位治療では、直流では最高14,000V、交流では最高9,000Vの電位が体内に流れるが、このような高圧の電位が体内から放電する場合には、例えば9,000Vの電位が空中に放電されると電位が9mm飛ぶと言われているために、単にリード線が接続された電極基材を用いて局所的な放電を行った場合には、体内に流れ込んだ高圧の電位は、電極部分から集中的に空中に放電されてしまい、それにより皮膚に強い痛みを感じるのが一般的である。
【0015】
そこで、本発明は、高圧電位治療によって体内に流れ込んだ電位を局所的に放電するに際して、被治療者に痛み等を感じさせることがない電極パッドを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の高圧電位治療用電極パットは、高圧電位治療器を用いた電位治療において、被治療者の体内に流れ込んだ高圧電流を局所的に放電させるために用いる電極パッドであり、
導電性の電極基材と、該電極基材の表裏面にそれぞれ備えた1又は複数枚の絶縁性シート材と、該絶縁性シート材を備えた前記電極基材を全面的に被覆した絶縁性の被覆シートと、該被覆シートの表面に装着したゲルシートと、を具備したことを特徴としている。
【0017】
また、本発明の高圧電位治療用電極パットは、高圧電位治療器を用いた高圧電位治療において、被治療者の体内に流れ込んだ高圧電位を局所的に放電させるために用いる電極パッドであり、
導電性の電極基材と、該電極基材の表裏面にそれぞれ備えた1又は複数枚の絶縁性シート材と、該絶縁性シート材を備えた前記電極基材を全面的に被覆した絶縁性の被覆シートと、該被覆シートの表面に装着したゲルシートと、該ゲルシートの上面に貼着した保護シートと、を具備したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の高圧電位治療用電極パットでは、体内に流れ込んだ高圧の電位を放電装置側に導くための電極基材の表裏面に1又は複数枚の絶縁性シート材を備えており、更に、絶縁性シート材を備えた電極基材の全面を絶縁性の被覆材により被覆し、これにより、導電性の電極基材を外部から完全にシールしている。そのため、電極基材に流れ込んだ高圧の電位が空中に放電されることがなく、被治療者が皮膚に痛みを感じることを有効に防止できる。
【0019】
また、このとき、電極基材の表裏面に備えた絶縁性シート材の枚数を調整することにより、電極基材に流れる高圧の電位の放電量を調節することができ、これによっても、高圧の電位が放電するときに被治療者の痛みを無くすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の高圧電位治療用電極パットでは、リード線等を介して放電装置本体に接続される導電性の電極基材を有しており、この電極基材としては、例えばカーボンペーパー等が用いられる。
【0021】
また、この電極基材の表裏面には、例えばナイロンターポリン等による絶縁シートが重ねられており、この絶縁シートは複数枚としている。
【0022】
そして、絶縁シートを表裏面に重ね合わせた状態の電極は、その全面を、塩化ビニール等によりなる絶縁性の被覆シートにより被覆されており、これにより電極基材は外部から完全にシールされている。
【0023】
また、前記絶縁性の被覆シートの表面には導電性のゲルシートが貼着されており、このゲルシート側を被治療者の皮膚に貼着することで、高圧電位治療により被治療者の体内に流れ込んだ高圧電位を、ゲルシート、電極基材を介して、放電装置本体側に放電可能としている。
【0024】
ここで、ゲルシートの上面に保護シートを貼着するとよく、これによって、使用していない際に、この保護シートによりゲルシートを保護することが可能となる。
【実施例1】
【0025】
本発明の高圧電位治療用電極パット(以下単に「電極パッド」という。)の実施例について図面を参照して説明すると、図1は、本実施例の電極パッドの構造を示す断面図であり、また、図2は本実施例の電極パッドの底面図である。
【0026】
そして、図において1が本実施例の電極パッドであり、本実施例における電極パッド1は、平面視野で50mm平方寸法の正方形状としている。
【0027】
また、図1において2は電極基材であり、即ち、本実施例の電極パッド1では電極基材2を有しており、本実施例においてこの電極基材2は、厚さ0.1mmのカーボンペーパー製としており、平面視野で略正方形状としている。但し、必ずしもカーボンペーパーを用いる必要はなく、導電製素材であればいずれを用いてもよい。また、形状は特に限定されず、必ずしも平面視野で四角形状にする必要もない。
【0028】
なお、図において201はリード線であり、このリード線201は、前記電極基材2に接続されるとともに、その先端部には、放電装置本体に接続可能なプラグ202が備えられている。
【0029】
次に、前記電極基材2の表裏面には絶縁性シート材が重ね合わされている。即ち、図において3が絶縁性シート材であり、本実施例においてこの絶縁性シート材3は、厚さを0.3mmとしたナイロンターポリンを使用しており、この絶縁性シート3を、前記電極基材2の表裏面のそれぞれに3枚積層している。そして、これにより、被治療者の体内から前記電極基材3へ流れ込む電位量を調節している。
【0030】
次に、図において4は絶縁性の被覆シートである。即ち、本実施例の電極パッド1では、その表裏面に絶縁性シート材3を積層した状態の電極基材2を絶縁性の被覆シート4により被覆している。
【0031】
そして、その被覆に際しては、電極基材2及び絶縁性シート材3を外部から完全にシール可能なように、全面を被覆している。そして、これにより、電極基材2に流れ込んだ高圧の電位がリード線201のみを介して放電されるようにしている。
【0032】
なお、本実施例において前記絶縁性の被覆シート4としては、厚さを0.5mmにするとともに平面視野における外形寸法を50mm四方とした塩化ビニールを用いるとともに、前記電極基材2及び絶縁性シート材3はその外形寸法を50mm四方より小さくしており、これによって、絶縁性の被覆シート4によって前記電極基材2のシールを可能にしている。
【0033】
次に、前記絶縁性の被覆シート4の上面には、導電性のゲルシート5を貼着しており、これにより、本実施例の電極パッド1の被治療者への装着を容易にするとともに、被治療者の負担等を軽減している。
【0034】
即ち、本実施例の電極パッド1では、絶縁性の被覆シート4の上面に導電性のゲルシート5を貼着しているため、このゲルシート5側を被治療者の皮膚に付けることのみで、ゲルの粘着力で電極パッド1を被治療者の皮膚に貼着することが可能である。
【0035】
なお、図において6は保護シートであり、即ち、本実施例の電極パッド1では、ゲルシート5における露出面に塩化ビニール製の保護シート6を着脱自在に貼着しており、これにより、ゲルシート5の汚れ、損傷等を防止している。
【0036】
次に、このように構成される本実施例の電極パッド1の作用について説明すると、本実施例の電極パッド1は、高圧電位治療器を用いて高圧電位治療を行うに際して、リード線201及びプラグ202を介して、例えば、前述の高圧電位治療器用局部放電装置(特開2001−178832号参照)の装置本体に接続して用いる。
【0037】
即ち、高圧電位治療に際して、放電装置に接続した本実施例の電極パッド1を、ゲル保護シート6を剥がした後に、ゲルシート5が皮膚側になるような配置で、特に痛み等が激しい箇所に貼着する。
【0038】
そうすると、高圧電位治療によって体内に流れ込んだ高圧の電位は、ゲルシート5を介して電極基材2に流れ込むとともに、リード線201を介して放電装置本体に流れ、これにより、高圧電位治療によって体内に流れ込んだ高圧の電位を局所的に放電させることが可能となる。
【0039】
そしてそのとき、本実施例の電極パッド1では、絶縁性の被覆シート4により電極基材2を完全に外部からシールしているとともに、電極基材2の表裏面には3枚の絶縁性シート材3を積層しているため、電極基材2に流れ込んだ高圧の電位が空中に放電されてしまうことを防止できるとともに、絶縁性シート材3の枚数を変えることで電極基材2へ流れる電位量を調節することもでき、これによって、高圧電位の放電によって被治療者が皮膚に痛みを感じることを防止することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明では、高圧電位治療によって被治療者の体内に流れ込んだ高圧の電位を局所的に放電するに際して、被治療者が皮膚に痛みを感じることを防止可能としているため、体内に帯電した高圧電位の放電の全般に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の本発明の高圧電位治療用電極パットの実施例の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の本発明の高圧電位治療用電極パットの実施例の底面図である。
【図3】高圧電位治療器の使用方法を説明するための図である。
【図4】従来から用いられている放電具を説明するための図である。
【符号の説明】
【0042】
1 電極パッド
2 電極基材
201 リード線
202 接続用プラグ
3 絶縁性シート材
4 絶縁性被覆シート
5 ゲルシート
6 保護シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧電位治療器を用いた高圧電位治療において、被治療者の体内に流れ込んだ高圧の電位を局所的に放電させるために用いる電極パッドであり、
導電性の電極基材(2)と、
該電極基材(2)の表裏面にそれぞれ備えた1又は複数枚の絶縁性シート材(3)と、
該絶縁性シート材(3)を表裏面に備えた前記電極基材(2)を全面的に被覆した絶縁性の被覆シート(4)と、
該被覆シート(4)の表面に装着したゲルシート(5)と、を具備したことを特徴とする高圧電位治療用電極パッド。
【請求項2】
高圧電位治療器を用いた高圧電位治療において、被治療者の体内に流れ込んだ高圧電位を局所的に放電させるために用いる電極パッドであり、
導電性の電極基材(2)と、
該電極基材(2)の表裏面にそれぞれ備えた1又は複数枚の絶縁性シート材(3)と、
該絶縁性シート材(3)を表裏面に備えた前記電極基材(2)を全面的に被覆した絶縁性の被覆シート(4)と、
該被覆シート(4)の表面に装着したゲルシート(5)と、
該ゲルシート(5)の上面に貼着した保護シート(6)と、を具備したことを特徴とする高圧電位治療用電極パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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