高度に形状適合性の分岐型医療デバイスの分枝アクセス
本発明は、側枝デバイスのための採用随意の入口を有する、高度に形状適合性であるステントグラフトを含む。上記ステントグラフトは、ステントによって支持されるグラフトであって、ステントは互いに反対の第1及び第2の方向の尖部を各々が備える波状起伏を備える、グラフトと、テープ部材であって、テープ部材の端縁が各々の波状起伏の第1の尖部の端縁に位置合わせされるように上記ステント及びグラフトに取り付けられ、このため波状起伏の前記第1の方向の尖部をグラフトに閉じ込め、波状起伏の第2の方向の尖部はグラフトに対して閉じ込められていない、テープ部材とを備え、上記グラフトは、長手方向に圧縮されると、一方向性の折りひだを形成し,上記波状起伏の上記第1の方向の尖部は、圧縮されると、隣の折りひだの下に位置させられる。本発明は、さらに、上記の高度に形状適合性であるステントグラフトを作成し且つ使用する方法と、採用随意の入口を形成する方法とを開示して特許請求する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年10月9日に出願された米国特許仮出願公開第61/250,313号明細書と、2010年6月18日に出願された米国特許出願公開第12/818,551号明細書と、2010年6月18日に出願された米国特許出願公開第12/818,575号明細書との優先権の利益を主張し、これらは全ての目的のために参照によって本明細書の一部を構成する。
【0002】
本発明の一つの態様が、一体的な支持チューブを有する改良されたモジュール式の分岐型ステントグラフトに関する。本発明の別の態様が、採用随意の分岐部を有する高度に形状適合性のステントグラフトに関する。
【背景技術】
【0003】
動脈瘤は、患者の年齢、疾病、又は、遺伝的素因のために血管壁の強度又は弾力性が血液が中を通過する時の血管壁の膨らみ又は伸長を防止するのに不十分である部位において血管内で生じる。動脈瘤が未治療のままになっている場合には、血管壁が膨張して破裂することがあり、多くの場合には結果的に死に至る。
【0004】
動脈瘤の破裂を防止するために、ステントグラフトが血管内に経皮的に導入され、動脈瘤嚢に跨がるように展開される。ステントグラフトは、1つ又は複数のステントの円筒形の骨組み又は枠組みに固定されているグラフト繊維を含む。1つ又は複数のステントは、グラフトを管状に開いた形に保つための剛性及び構造を提供し、且つ、グラフトと血管壁の健康な部分との間のシールを生じさせて移行抵抗を実現するために必要とされる外向きの半径方向の力を提供する。血管の中を通って流れる血液が、動脈瘤嚢の場所において血管壁への応力を(除去しはしなくとも)低減させるために、ステントグラフトの管腔表面を通過して流されることが可能である。ステントグラフトは、動脈瘤部位における血管壁の破裂の危険性を低下させ、且つ、血液が間断なく血管の中を通って流れることを可能にする。
【0005】
しかし、動脈瘤の除去のような様々な血管内修復処置が、血管分岐部に近接してステントグラフトが移植されることを必要とする。動脈瘤が分岐部の中に延伸し、ステントグラフトがその分岐部の中に設置されることが必要とされる場合が多い。したがって、こうした場合には分岐型ステントグラフトが必要とされる。多くの場合には、別々に分かれている本体と分枝構成要素とを有するモジュール式のステントグラフトが、展開の容易性と正確性とのために、こうした処置において好ましい。別々に分かれている本体ステント構成要素と分枝ステント構成要素とを有するモジュール式のステントグラフトの一例に関しては、Hartley等に対する特許文献1を参照されたい。Hartley等の公開公報では、この本体ステントは、側枝ステントと係合して側枝ステントを固定するように特別に形成されている側壁内の開窓(fenestration)を有する。このような形状の側枝ステントは、本体の開窓との「線間(line to line)」締りばめの形であり、ステント対ステントの接合部の耐疲労性に対する潜在的な脆弱性の原因となる。Quinnに対する特許文献2が、より強固なステント対ステントの接合構成を提供する。Quinnの特許では、本体ステントの内部に位置する管状の支持体が、ステント対ステントの接合の信頼性を強化するために組み込まれている。Quinnの管状の内部支持体は、延長されたシーリング長さ(sealing length)と、改善された耐疲労性とを実現する。しかし、最内側チューブが、チューブの形に形成されており且つ主グラフト構成部分に縫い付けられ且つ/又は接着させられた追加の材料を追加することによって作られている。
【0006】
これに加えて、人体内の最大の動脈である大動脈の中で発生する動脈瘤は胸部で発生し(胸部大動脈瘤)又は腹部で発生しうる(腹部大動脈瘤)。大動脈弓の湾曲のせいで、胸部大動脈瘤は特に治療が困難である可能性がある。大動脈から延びる総腸骨動脈のような脈管構造の他の部分も、極度に曲がりくねっている可能性がある。したがって、こうした領域の中に展開されるステントグラフトが、その脈管構造に対して形状的に適合することが可能であることが好ましい。高度の形状適合性によって、ステントグラフトが湾曲して最適な形で本来の血管に対して対抗してシールすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0114446号明細書
【特許文献2】米国特許第6,645,242号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明の一実施態様が、一体的な支持チューブを有する改良されたモジュール式の分岐型ステントグラフトに関する。別の実施態様では、本発明は、側枝デバイス(例えばステントグラフト)のための少なくとも1つの入口(portal)を有し又は有しない、高度に形状適合性であるステントグラフトに関する。
【0009】
本発明の一実施態様が、多腔型ステントグラフトを備え、この多腔型ステントグラフトは、開口部を有する最内側チューブと開口部を有する最外側チューブとから構成されており且つ主ステントによって支持されているグラフトによって画定されている主管腔と、グラフトの最内側チューブと最外側チューブとの間に配置されており且つ上記開口部を通して流体連通している副管腔とを備える。一実施態様では、上記副管腔は副ステント又はステントアセンブリを備える。別の実施態様では、上記副管腔は、より小さい別のステントグラフトを受け入れることが可能である。
【0010】
本発明の別の実施態様が、主枝血管と側枝血管とを有する分岐した体内管腔内における移植のためのステントグラフトを備え、ステントグラフトは、開口部を有する最内側チューブと開口部を有する最外側チューブとから構成されているグラフトであって、遠位端部から近位端部に長手方向の軸線に沿って延びており、グラフトの中を貫通して延びる主管腔を画定し、且つ、主ステントによって支持されているグラフトと、上記グラフトの最内側チューブと最外側チューブとの間に配置されている副管腔であって、上記グラフトの遠位端部と近位端部との間に定置されており、且つ、上記最内側チューブの開口部と上記最外側チューブの開口部とを通して流体連通している副管腔とを備える。一実施態様では、上記主ステントは自己拡張型ステントである。
【0011】
本発明の別の実施態様が、溝とその溝の背壁とを備える第1のマンドレルを最内側ポリマーチューブで覆うことと、上記溝の背壁に沿って上記ポリマーチューブにスリットを入れることと、第1のマンドレルの上記溝の中に第2のマンドレルを設置して、上記第2のマンドレルを溝の背壁と位置合わせし、上記最内側ポリマーチューブを変形させることと、上記最内側ポリマーチューブの上に最外側ポリマーチューブを設置することと、より小さい上記第2のマンドレルの上に開口部を形成することとを含み、上記最外側チューブ及び最内側チューブはグラフト部材を備える。
【0012】
本発明の別の実施態様が、ステントによって支持されるグラフトを備え、上記ステントは、互いに反対の第1及び第2の方向の尖部を各々が備える波状起伏(undulation)と、第1及び第2の長手方向の端縁を有するテープ部材とを備え、このテープ部材は、第1のテープ端縁が波状起伏の各々の第1又は第2の方向の尖部を実質的に覆うように上記ステント及びグラフトに取り付けられ、このため波状起伏の第1又は第2の方向の尖部をグラフトに閉じ込め、波状起伏の第1又は第2の方向の尖部はグラフトに対して閉じ込められていない。一実施形態では、上記第1の方向の尖部はグラフトに閉じ込められており、上記第2の方向の尖部はグラフトに対して閉じ込められていない。別の実施態様では、上記第2の方向の尖部はグラフトに閉じ込められており、上記第1の方向の尖部はグラフトに閉じ込められていない。別の実施態様では、上記グラフトは、長手方向に圧縮されると、円周方向に方向配置された一方向性の折りひだを形成する。別の実施態様では、上記波状起伏の第1の方向の上記尖部は、圧縮されると、隣の折りひだの下に位置させられる。別の実施態様では、上記ステントは、上記グラフトの周りに螺旋状に巻き付けられた単一の連続ワイヤから形成されている。別の実施態様では、上記ステントは自己拡張型のステントである。別の実施態様では、上記ステントはニチノールから作られている。別の実施態様では、上記波状起伏は正弦波形状を有する。別の実施態様では、上記グラフトはポリテトラフルオロエチレンを含む。
【0013】
本発明の追加の特徴と利点とが、説明の中で明らかにされ、又は、本発明の実施によって理解されるだろう。本発明のこれら特徴と他の利点とが、本明細書において記述されている説明と特許請求の範囲と添付図面とに詳細に指摘されている構造によって実現され且つ達成されるだろう。
【0014】
上述の概括的な説明と以下の詳細な説明の両方が例示的且つ説明的であり、及び、特許請求されている本発明のさらに詳細な説明を提示することが意図されているということを理解されたい。
【0015】
添付されている図面が、本発明のさらなる理解を実現するために含まれており、本明細書に組み入れられており且つ本明細書の一部を構成し、本発明の実施形態を図示し、説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】図1Aは、本体ステントと、内側支持チューブと、取り付けられた側枝ステントとを有する、モジュール式の分岐型ステントグラフトの斜視図である。
【図1B】図1Bは、本体グラフトの一部から作られている少なくとも1つの側枝入口を本体が備える、分岐型ステントグラフトを備える。
【図1C】図1Cは、本体グラフトの一部から作られている少なくとも1つの側枝入口を本体が備える、分岐型ステントグラフトを備える。
【図1D】図1Dは、本体グラフトの一部から作られている少なくとも1つの側枝入口を本体が備える、分岐型ステントグラフトを備える。
【図1E】図1Eは、本体グラフトの一部から作られている少なくとも1つの側枝入口を本体が備える、分岐型ステントグラフトを備える。
【図2A】図2Aは、一体的な支持チューブを有する本体ステントグラフトを作成するために使用されるマンドレルの斜視図を示す。
【図2B】図2Bは、一体的な支持チューブを有する本体ステントグラフトを作成するために使用されるマンドレルの斜視図を示す。
【図3A】図3Aは、一体的な支持チューブと副ステントアセンブリとを有する本体ステントグラフトを作成するために使用されるマンドレルの斜視図を示す。
【図3B】図3Bは、一体的な支持チューブと副ステントアセンブリとを有する本体ステントグラフトを作成するために使用されるマンドレルの斜視図を示す。
【図4A】図4Aは、一体的な支持チューブと副ステントアセンブリとを有する本体ステントグラフトを作成するために使用されるマンドレルの概略的な側面図を示す。
【図4B】図4Bは、一体的な支持チューブと副ステントアセンブリとを有する本体ステントグラフトを作成するために使用されるマンドレルの概略的な側面図を示す。
【図5A】図5Aは、マンドレル及びステントの組立プロセスの側面図である。
【図5B】図5Bは、マンドレル及びステントの組立プロセスの側面図である。
【図5C】図5Cは、マンドレル及びステントの組立プロセスの側面図である。
【図5D】図5Dは、マンドレル及びステントの組立プロセスの側面図である。
【図6】図6は、側枝入口を有する分岐型ステントグラフトの平面図である。
【図7】図7は、3つの特設部分(purpose built portion)を有する側枝ステントの斜視図である。
【図8】図8は、完全に伸展したステントグラフトを示す。
【図9】図9は、一方向性の折りひだがステントグラフトの全周の周りに形成されている、長手方向に完全な圧縮状態にある可とう性ステントグラフトを示す。
【図10A】図10Aは、圧縮されたステントグラフトの一方向性の折りひだ(pleating)を示す、図8の横断面3−3に沿った、ステントグラフトの1つの壁の部分横断面図を示す。
【図10B】図10Bは、圧縮されたステントグラフトの一方向性の折りひだを示す、図8の横断面3−3に沿った、ステントグラフトの1つの壁の部分横断面図を示す。
【図11】図11は、一方向性の折りひだがステントグラフトの円周の一部上に(すなわち、内側経線上に)形成されており、且つ、外側経線が、折りひだがない、すなわち直線状の部分を有する部分的な長手方向の圧縮状態(又は、折り畳まれた形状)にある可とう性ステントグラフトを示す。
【図12】図12は、円筒形マンドレルの「平らな、すなわち、広げられた(unrolled)」図を示す。
【図13】図13は、単一の円周巻き付けパターンを示す。
【図14】図14は、グラフト材料を取り囲む波状起伏形の螺旋ワイヤステントを有するステントグラフトを示す。このステントは、螺旋状のテープ部材によってグラフト材料に取り付けられている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態が、一体的な支持チューブを有する改良されたモジュール式の分岐型ステントグラフトに関する。別の実施態様では、本発明は、側枝デバイス(例えばステントグラフト)のための少なくとも1つの入口を有し又は有しない、高度に形状適合性であるステントグラフトに関する。
【0018】
一般的に、ほとんどの分岐型ステントグラフトは、別のチューブ又はステントグラフトが中に挿入されるステントグラフトの側部上の分岐部又は開窓を形成するために、内側チューブを有する。例えば、Quinn等に対する米国特許第6,645,242号明細書と、Shokoohiに対する米国特許第6,077,296号明細書を参照されたい。図1が、内側チューブ104を伴う本体102を有する一般的なモジュール式の分岐型ステントグラフト100の斜視図である。一般的に、ほとんどの内側チューブ(すなわち、分岐チューブ)は、チューブ又は分岐部位の形に形成されており且つ本体(通常はそのグラフト)の内側側部に縫い付けられ且つ/又は接着されている追加の材料を追加することによって作られている。内側チューブ104は、本体入口108から突き出る形で示されている側枝デバイス106に係合して固定するための大きさにされている。本体102は、枝血管112の中に移植されている側枝ステントを伴って主血管110の中に移植されている形で示されている。本発明は、図1Bから図7に示されているように、分岐型ステントグラフトを含み、この分岐型ステントグラフトでは、本体が、本体グラフトの一部から作られている少なくとも1つの側枝入口を備え、上記入口の少なくとも一部が上記グラフトと一体であり、上記入口の少なくとも一部は、グラフトの主血流表面内、及び/又は、不連続的な構造のせいで弱くされた区域内には継ぎ目を持たない。
【0019】
本発明の一実施形態が図1Bから図1Dに示されている。図1Bは、側枝入口124を有する主ステント(すなわち、本体ステント)122を有する分岐型ステントグラフト120の平面図である。側枝入口のための区域を生じさせるステント特徴要素121も示されている。この実施形態では、上記特徴要素は「二重のW状部(double W)」と呼ばれている。この実施形態では、上記「二重のW状部」は、側枝入口を支持するのに役立ち、且つ上記入口が潰れることを防止する。これに加えて、この設計は、ステントの本体巻き付けパターンに高歪み領域(high strain region)を生じさせることなく、側枝入口のための領域を生じさせる。特定の理論に束縛されることではないが、1つの理由が、「二重のW状部」設計が、フレームを硬直させ、より高い歪みを結果的に生じさせ、且つ、ステントが応力を加えられる時に破損を引き起こすことがあるより短い振幅支柱(amplitude strut)に依存しないということだろう。本体入口124は、側枝ステントと係合して側枝ステントを固定するための大きさにされており、その一実施形態が図7に700で示されている。
【0020】
図1Cは、図1Bの部分縦断面を伴う側面図である。この図は、主管腔128と、副管腔130と、最外側チューブ132と、最内側チューブ134と、採用随意の副ステント126とを示す。さらに、最内側チューブの開口部131も示されている。
【0021】
図1Dは、図1CにおけるA−Aの横断面である。この図は、主ステント122と、副ステント126と、主管腔128と、副管腔130とを示す。この図は、さらに、最外側チューブ132と最内側チューブ134とを示す。
【0022】
図1Eは、図1Dに示されている部分Dの拡大図である。したがって、この図は、側枝入口の横断面の拡大図である。この図は、主ステント122と、副ステント126と、副管腔130とを示す。この図は、さらに、最外側チューブ132と最内側チューブ134とを示す。グラフト136が、最内側チューブ134と最外側チューブ132とによって構成されている。さらに、血流表面138(すなわち、内側グラフト表面)と、最内側チューブの外側表面140と、最外側チューブの内側表面141とが示されている。
【0023】
したがって、本発明の一実施形態では、その分岐型(多腔型(multi−lumen))ステントグラフトは主管腔128及び副管腔130を備え、主管腔128は、開口部131を有する最内側チューブ134と開口部124を有する最外側チューブ132とから構成されており且つ主ステント122によって支持されているグラフト136によって画定され、副管腔130は上記グラフト136の最内側チューブ132と最外側チューブ134との間に配置され且つ開口部131、124を通して流体連通している。一実施形態では、上記副管腔130は副ステント126又は副ステントアセンブリを備える.本明細書で使用される場合に、上記副ステントアセンブリは、被覆されており且つ放射線不透過性のマーカーのような追加の特徴要素を備えうる副ステントである。別の実施形態では、上記副管腔は主ステントグラフト又は本体の両端の間に配置されている。別の実施形態では、上記副ステント又は副ステントアセンブリの一部は最内側チューブ134の一部に対して当接する。別の実施形態では、上記副ステント又は副ステントアセンブリはグラフト136の一部に対して当接する。別の実施形態では、上記副ステント又は副ステントアセンブリの一部は最外側チューブの外側表面140上に位置している。別の実施形態では、上記副管腔は最内側チューブによって及び最外側チューブによって部分的に画定されている。別の実施形態では、上記副管腔は最内側チューブの外側表面140と最外側チューブの内側表面141とによって部分的に画定されている。
【0024】
本発明のステントグラフトのグラフトは、選択された体内管腔内においてグラフトとして使用に適しているあらゆる材料で作られるだろう。上記グラフトは同一の材料又は異なる材料で形成されることが可能である。さらに、上記グラフトは、同一の材料又は異なる材料であることが可能な材料の複数の層を備えることが可能である。このグラフトは幾つかの材料層を有することが可能であるが、上記グラフトは、チューブ(最内側チューブ)の形に形成されている層と、チューブ(最外側チューブ)の形に形成されている最外側層とを有するだろう。本発明における目的のために、最外側チューブは、より詳細に後述するようにステントをグラフトに接着するために使用されることがあるテープ層を備えない。本発明の一実施形態では、上記グラフトは最内側チューブと最外側チューブとを備える。
【0025】
多くのグラフト材料が知られており、特に、血管グラフト材料として使用されることが可能なグラフト材料が知られている。一実施形態では、上記材料は、グラフトを構成するために組合せの形で且つ互いに組み合わされて使用されることが可能である。ステントグラフトで使用されるグラフト材料は、押し出し成形され、被覆され、又は、巻かれたフィルム(wrapped film)から形成されることが可能であり、又は、これらの組合せであることが可能である。ポリマー、生分解性材料、及び天然材料を、個々の用途のために使用することが可能である。
【0026】
合成ポリマーの例が、非限定的に、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エラストマー性有機ケイ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリグリコール酸、ポリエステル、ポリアミド、これらの混合物、ブレンド及びコポリマーを含み、これらはグラフト材料として適している。一実施形態では、上記グラフトは、ダクロン(登録商標)及びマイラー(登録商標)を含むポリエチレンテレフタレートのような一群のポリエステルと、ケブラー(登録商標)のようなポリアラミドと、共重合ヘキサフルオロプロピレンを伴うか又は伴わないポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなポリフルオロカーボン(テフロン(登録商標)又はゴアテックス(登録商標))と、多孔性又は非多孔性のポリウレタンとから作られる。別の実施形態では、上記グラフトは、その全体が参照によって本明細書の一部を構成する英国特許第1,355,373号明細書、同第1,506,432号明細書、同第1,506,432号明細書、又は、米国特許第3,953,566号明細書、同第4,187,390号明細書、同第5,276,276号明細書に説明されている、発泡(expanded)フルオロカーボンポリマー(特にPTFE)材料を含む。好ましいフルオロポリマーのグループには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)とのコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)のホモポリマー、TFEとのそのコポリマー、エチレン−クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)のコポリマー、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、及び、ポリフッ化ビニル(PVF)が含まれる。ePTFEが、血管プロテーゼにおいて広く使用されているので、特に好ましい。別の実施形態では、上記グラフトは、上述した材料の組合せを含む。別の実施形態では、上記グラフトは、体液に対して実質的に不浸透性である。この実質的に不浸透性であるグラフトは、体液に対して実質的に不浸透性である材料から作られることが可能であり、又は、(例えば、上述した、又は、当業で公知である異なるタイプの材料を層状に積み重ねることによって)体液に対して実質的に不浸透性であるように処理され又は製造された浸透性の材料で作られることが可能である。別の実施形態では、上記最外側チューブはePTFEを含む。別の実施形態では、上記最内側チューブはePTFEを含む。別の実施形態では、上記最内側チューブ及び上記最外側チューブは、チューブの形に巻かれているePTFEフィルムを含む。別の実施形態では、上記副ステントは、本明細書に開示され又は当業で公知である材料のいずれかによって被覆されている。別の実施形態では、副ステント被覆はePTFEを含む。
【0027】
グラフト材料の追加の例が、非限定的に、ビニリデンフルオリド/ヘキサフルオロプロピレン・ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、ビニリデンフルオリド、1−ヒドロペンタフルオロプロピレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ペンタフルオロプロペン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロアセトン、ヘキサフルオロイソブチレン、フッ化ポリ(エチレン−co−プロピレン)(FPEP)、ポリ(ヘキサフルオロプロペン)(PHFP)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)(PCTFE)、ポリ(ビニリデンフルオリド)(PVDF)、ポリ(ビニリデンフルオリド−co−テトラフルオロエチレン)(PVDF−TFE)、ポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロペン)(PVDF−HFP)、ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ヘキサフルオロプロペン)(PTFE−HFP)、ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ビニルアルコール)(PTFE−VAL)、ポリ(テトラフルオロエチレン−co−酢酸ビニル)(PTFE−VAC)、ポリ(テトラフルオロエチレン−co−プロペン)(PTFEP)、ポリ(ヘキサフルオロプロペン−co−ビニルアルコール)(PHFP−VAL)、ポリ(エチレン−co−テトラフルオロエチレン)(PETFE)、ポリ(エチレン−co−ヘキサフルオロプロペン)(PEHFP)、ポリ(フッ化ビニリデン−co−クロロトリフルオロエチレン)(PVDFーCTFE)、及び、これらの組合せと、すべての目的のためにその全体が参照によって本明細書の一部を構成する米国特許出願公開第2004/0063805号明細書に説明されている追加のポリマー及びコポリマーを含む。追加のポリフルオロコポリマーが、テトラフルオロエチレン(TFE)/パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)を含む。PAVEは、両方がすべての目的のためにその全体が参照によって本明細書の一部を構成する米国特許出願公開第2006/0198866号明細書と米国特許第7,049,380号明細書とに本質的に説明されているように、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、パーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)、又はパーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)であることが可能である。他のポリマー及びコポリマーが、ポリラクチド、ポリカプロラクトン−グリコリド、ポリオルトエステル、ポリアンヒドリド、ポリアミノ酸、ポリサッカリド、ポリホスファゼン、PEO−PLLA又はそのブレンドのようなポリ(エーテル−エステル)コポリマー、ポリジメチル−シロキサン、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)、例えばポリ(ヒドロキシエチルメチルメタクリレート)、ポリビニルピロリジノンのようなアクリル酸塩を主成分とするポリマー又はコポリマー、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ化ポリマー、及び、本明細書にその全体が参照によって本明細書の一部を構成する米国特許出願公開第2004/0063805号明細書に説明されているセルロースエステル並びにあらゆるポリマー及びコポリマーを含む。
【0028】
本発明の上記ステントは、一般的に円筒形であり、且つ、複数の螺旋状の巻回を有する螺旋状に構成された波状起伏を備える。この波状起伏は、図8に示されているように、互いに対して「同相(in−phase)」であるように位置合わせされていることが好ましい。さらに明確に述べると、波状起伏は、互いに反対向きである第1の方向の尖部814と第2の方向の尖部816とを有する。この波状起伏が同相である時には、隣り合う螺旋状巻回の尖部が、これらの尖部が隣の巻回の対応する波状起伏のそれぞれの尖部の中に移動させられることが可能であるように、位置合わせされている。一実施形態では、上記波状起伏は正弦波の形状である。別の実施形態では、上記波状起伏はU字形である。別の実施形態では、上記波状起伏はV字形である。別の実施形態では、上記波状起伏は卵形である。これら形状は、米国特許第6,042,605号明細書、図14A〜Eに詳細に説明されている。米国特許第6,042,605号明細書は、すべての目的のためにその全体が参照によって本明細書の一部を構成する。
【0029】
本発明の別の実施形態では、上記ステントは、移植可能な医療デバイスの製造に使用される公知の材料(又は材料の組合せ)を含む様々な生体適合性材料から作られることが可能である。典型的な材料は、316Lステンレス鋼、コバルト−クロム−ニッケル−モリブデン−鉄合金(「コバルト−クロム」)、L605のような他のコバルト合金、タンタル、ニチノール、又は、他の生体適合性金属を含む。一実施形態では、上記ステントグラフトはバルーン拡張型ステントグラフトである。別の実施形態では、上記ステントグラフトは、自己拡張型ステントグラフトである。別の実施形態では、上記ステントは巻線型ステント(wire wound stent)である。別の実施形態では、上記巻線型ステントは波状起伏を備える。
【0030】
巻線型ステントは、適度に高い強度を有する材料、すなわち、応力が加えられる時に塑性変形に耐える材料から作られることが可能である。一実施形態では、ステント部材は、後述するように、螺旋状巻回と波状起伏とが同時に形成されうるように、上に構成されたピンを有するマンドレルの周りに螺旋状に巻き付けられているワイヤを備える。他の構造も使用可能である。例えば、適切な形状が、平らな原材料から形成されて円筒に巻かれ、適切な形状に形成された所定の長さの管から形成され、又は、材料シートをレーザ切断することによって形成されうる。別の実施形態では、上記ステントは超弾性合金から作られる。ニチノールのような超弾性合金がステントにおいて使用される様々な開示内容が存在している。例えば、Dotterに対する米国特許第4,503,569号明細書、Balko等に対する米国特許第4,512,338号明細書、Wilkoffに対する米国特許第4,990,155号明細書、Harada等に対する米国特許第5,037,427号明細書、MacNamara等に対する米国特許第5,147,370号明細書、Clouseに対する米国特許第5,211,658号明細書、及びTermin等に対する米国特許第5,221,261号明細書を参照されたい。
【0031】
様々な材料、ニチノールのような様々な金属超弾性合金がこれらステントにおける使用に適している。こうした材料の主要な必要条件が、こうした材料が、非常に薄いシート又は小さな直径のワイヤの形に作られる時にさえ適切に弾性があるということである。高い弾性を生じさせるために、物理的に、化学的に、又はその他の方法で処理されている様々なステンレス鋼が適しており、同様に、コバルトクロム合金(例えば、エルジロイ(登録商標))、白金/タングステン合金、及び、特に、「ニチノール」として一般的に知られているニッケル−チタン合金のような他の金属合金も適している。
【0032】
ニチノールが、その「超弾性」又は「擬似弾性」形状回復特性、すなわち、大きな量の湾曲と屈曲とに耐え且つ恒久的に変形することなくその当初の形状に戻る能力のおかげで特に好ましい。これら金属は、これら金属が特定の温度においてオーステナイト結晶構造から応力誘起マルテンサイト構造に変形させられることが可能であり、且つ、応力が解除されると、そのオーステナイト形状に弾性的に戻ることが可能であることによって特徴付けられている。これら交代性の結晶構造がその合金に超弾性特性を与える。これら合金は、公知であり、米国特許第3,174,851号明細書、米国特許第3,351,463号明細書、及び米国特許第3,753,700号明細書に記述されている。
【0033】
他の適切なステント材料が、特定のポリマー材料、特に、サーモトロピック液晶ポリマー(「LCP」)のようなエンジニアリングプラスチックを含む。これらポリマーは、その材料が(流動することが可能であるという点で)液体の特性の幾つかを有するいわゆる「液晶状態」で存在することが可能であるが、長いレンジの結晶の分子秩序を保持する高分子量材料である。術語「サーモトロピック」は、温度調整によって形成されるLCPの種類を意味する。LCPは、p,p′−ジヒドロキシ−多環芳香族化合物又はジカルボキシ−多環芳香族化合物のようなモノマーから調製されるだろう。LCPは、容易に形成され、且つ、折り曲げ可能なステントとして必要とされる高強度プラスチック加工物として機能するために室温において必要なポリマー間の引力(interpolymer attraction)を維持する。LCPは、後述する金属又は合金の繊維のような繊維によって増強され又は充填される時に、特に適している。この繊維は、直線状である必要は必ずしもないが、複合材料の物理的ねじり強化能力を増大させる波形ひだ(corrugation)のような役割を有することがあるということに留意されたい。
【0034】
本発明の別の実施形態が、主枝血管と側枝血管とを有する分岐した体内管腔の中に移植するためのステントグラフトを備え、このステントグラフトはグラフト及び副管腔を備え、グラフトは、開口部を有する最内側チューブと開口部を有する最外側チューブとから構成されており、遠位端部から近位端部に長手方向の軸線に沿って延び、グラフト内を貫通して延びる主管腔を画定し、且つ主ステントによって支持され、副管腔は、上記グラフトの最内側チューブと最外側チューブとの間に定置され、その一部が上記グラフトの遠位端部と近位端部との間に位置させられており、且つ、上記最内側チューブの開口部と上記最外側チューブの開口部とを通して流体連通している。一実施形態では、上記主ステントは自己拡張型のステントである。別の実施形態では、上記自己拡張型ステントはチタン−ニッケル合金を含む。別の実施形態では、上記ステントは、上記グラフトの周りに螺旋状に巻き付けられた単一の連続ワイヤを備える。別の実施形態では、上記単一の連続ワイヤは波状起伏を有する。別の実施形態では、上記波状起伏ワイヤは、上記波状起伏の複数の巻回を備え、及び、上記波状起伏ワイヤの各々の巻回が複数の尖部を備え、1つの巻回の波状起伏が隣の巻回の波状起伏と概して同相である。別の実施形態では、上記波状起伏はU字形である。別の実施形態では、上記波状起伏はV字形である。別の実施形態では、上記波状起伏は卵形である。別の実施形態では、上記波状起伏は正弦波形状である。別の実施形態では、上記ステントは上記グラフトに取り付けられている。別の実施形態では、上記ステントはリボン又はテープによって上記グラフトに取り付けられている。別の実施形態では、上記リボン又はテープは、上記ステントの一部と上記グラフトの一部とに接着されている。別の実施形態では、上記リボン又はテープは、複数の巻回を有する螺旋状の形状に構成されている。別の実施形態では、上記リボン又はテープは、各巻回が隣の巻回から間隔を置かれている複数の巻回を有する螺旋状の形状に構成されている。別の実施形態では、上記巻回の相互間の間隔は均一である。別の実施形態では、上記リボンは上記波状起伏の一部を覆う。別の実施形態では、上記ステントは、尖部部分と基部部分とを各々が備える波状起伏を備え、上記リボン又はテープは、そのリボンが各々の波状起伏の基部部分に沿って設置されるように上記ステントに対して取り付けられ、このため、グラフトに対して波状起伏の基部部分を閉じ込め、波状起伏の尖部部分は閉じ込められない。
【0035】
一体的な支持チューブを有する本体ステントグラフトを作成するための少なくとも1つの方法が、図2から図7において説明されている。
【0036】
図2Aは、そのマンドレルの一方の末端に形成されているスロット又は溝202を有する金属マンドレル200の斜視図である。溝202は背壁204の中に終端する。斜視図である図2Bに示されているように、内側チューブ206はマンドレル200上に滑合されており且つマンドレル溝202の一部を覆う。内側チューブは、(その後の側枝ステントの挿入を可能にするために)変形可能である任意の生体適合性ポリマーを含むことが可能であり、且つ、押し出し成形されるか、被覆されるか、又は巻かれたフィルムから形成されることが可能である。内側チューブのための使用に適した材料が、非限定的に、任意の上述の材料、当業で公知の任意の他の生体適合性材料、又はその組合せを含むだろう。
【0037】
図3Aは、内側チューブ206によって覆われているマンドレル200の斜視図である。この内側チューブは切断されてマンドレル溝202の背壁204においてスリット300を形成する。図3Bに示されているように、側枝又は副ステントアセンブリ302がマンドレル溝202とマンドレル背壁204と内側チューブのスリット300とに位置合わせされている。(後述する)第1の支持部分が副ステントアセンブリの中に入れられ、その次に、この副ステントアセンブリ302は、(第1の支持部分と共に)マンドレル溝202の中に挿入され、内側チューブ206をマンドレル溝の形に変形させる。背壁204は最内側チューブ内の開口部(図1E、131)を画定する。
【0038】
内側チューブの変形した形状を調整するために、図4Aと図4Bとに示されているように、支持部分が副ステントアセンブリとマンドレル溝との中に入れられる。マンドレル200と溝202と溝の背壁204との概略的な側面図が図4Aに示されている。マンドレル200とマンドレル溝202と内側チューブ206との概略的な側面図が図4Bに示されている。副ステントアセンブリ302は、マンドレル溝の背壁204に結合するように形成されている端部を有する第1の支持部分400上に設置されている。第1の支持部分の反対側の端部が、図4Bに示されているような先細の壁又は角張った壁を有する。第2の支持部分402は、内側チューブ206の下のマンドレル溝202の中に入れられる。第2の支持構造は、第1の支持構造の角張った壁と結合する角張った壁を有することが可能であるが、第2の支持構造が角張った壁を有することは必ずしも必要ではない。この第2の支持構造の目的の1つが、製造中に第1の支持部分400を所定の位置に保つことである。マンドレル溝202の形に変形された内側チューブ206が示されている。内側チューブ206が、支持部分400の角張った壁によって形成されている、先細の、傾斜した、又は角張った壁部分404を有することも示されている。
【0039】
内側チューブ(図3A、206)をさらに補強するために、追加のシート又はフィルム層が、副ステントアセンブリの挿入の前に内側チューブの上に追加されてもよい。例えば、2つの軸線方向の高い強度を有する正方形/長方形の薄いフィルムシートが内側チューブ206上に置かれてマンドレル溝に位置合わせされる。このシートはマンドレル溝の幅よりも幅が広く且つマンドレル溝の長さに近い長さを有するように寸法決定されることが可能である。その次に、この補強層はマンドレル溝の形に変形させられ、内側チューブ/副ステントアセンブリに対する追加的な支持を実現する。複数の補強層が、内側チューブの特性を強化するために組み合わされるだろう。層を補強するために使用される適切な材料が、非限定的に、上述の材料のいずれか、当業で公知のいずれかの他の生体適合性材料、又はこれらの組合せを含むだろう。
【0040】
上述の方法では、1つだけの入口を有する分岐型ステントグラフトの形成が説明されたが、追加の入口も、上述した方法に類似した方法を使用して形成されることが可能である。したがって、本発明の別の実施形態は、少なくとも2つの入口を有するステントグラフトを含む。別の実施形態では、本発明の上記ステントグラフトは、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つの入口を備える。こうしたステントグラフトは、特に、腎動脈が枝分かれする腹部大動脈の中にステントグラフトを移植するために有用だろう。これに加えて、本発明のステントグラフトは、形状適合性が高いので、後述するように左鎖骨下動脈と左総頸動脈と腕頭動脈とに対する血液の流れを遮断することなく大動脈の弓形部の中に設置されることが可能である。別の実施形態では、上記幾つかの入口は、必要に応じて、ステントに長手方向に沿って及び/又はステントの周りに円周方向に設置されることが可能である。当業者は、上記入口を脈管構造内の任意の領域において設計することが可能である。
【0041】
副ステントアセンブリを形成する少なくとも1つの方法が図5Aから図5Dに概略的に示されている。図5A及び図5Bの側面図に示されているように、ポリマーチューブ502がマンドレル500上に滑合されている。波状起伏ワイヤが、突出ピン付きのマンドレルの上にそのワイヤを巻き付けることによって、リングステント506の形に形成されることが可能である。マンドレルの直径とピンの直径とピンの位置とが、リングステントの最終的な形態を決定する。そのワイヤがマンドレル上に巻き付けられた後に、そのマンドレルとワイヤとが熱処理され、及び、ステントの形状を固めるために急冷される。その次に、そのワイヤがマンドレルから取り外される。そのワイヤの両端部が、ポリマー熱収縮管材料の切片によって互いに接着され、リングステント506を形成する。他の方法(例えば、レーザ切断)が、副ステントを作るために使用されることが可能である。その次に、これらリングステント506の1つ又は複数が、ポリマーチューブ502上に設置される。その次に、採用随意の放射線不透過性マーカーバンド504がポリマーチューブ502上に設置される。副ステントを作るために使用されるワイヤ又は金属チューブが上述されている。一実施形態では、上記副ステントはニチノールを含む。
【0042】
その次に、図5Cに示されているように、ポリマーチューブ502の一方の端部が、裏返しにされ、ワイヤリングステント506と採用随意の放射線不透過性マーカーバンド504との上に引っ張られる。その次に、マンドレル、ポリマーチューブ、リングステント、及び放射線不透過性バンドが、これら構成要素をステントアセンブリの形に一体的に接着するために熱処理される。このアセンブリはマンドレルから取り外され、一定の長さに切り取られて、図5Dに示されている副ステントアセンブリ302を形成する。その次に、副ステントアセンブリは、第1の支持部分400上に設置される。放射線不透過性マーカーは、非限定的に、金、白金、白金−タングステン、パラジウム、白金−イリジウム、ロジウム、タンタル、若しくはこれらの金属の合金又は複合材料を含む。
【0043】
図4Bにおいて上述したように、その次に、副ステント(又は副ステントアセンブリ)と第1の支持アセンブリとがマンドレル溝202の中に挿入され、マンドレル溝の形に内側チューブ206を変形させる。その次に、図4Bに示されているアセンブリは、外側ポリマーチューブで被覆される。本明細書で説明されているように、上記チューブは、押し出し成形されるか、被覆されるか、又は巻かれたフィルムから形成されることが可能である。
【0044】
このアセンブリは、内側チューブを外側チューブに接着するために熱処理される。側枝入口又は開口部(図1、品目108)が上述のように形成される。その次に、主ワイヤステントが、突出ピンを有するマンドレル上にワイヤを巻き付けることによって形成される。このワイヤは、副ステント(図5B)を形成するために使用されるプロセスに類似したプロセスによってワイヤの形状を固めるために熱処理される。その次に、主ステントが外側ポリマーチューブ上に設置されてポリマーフィルムによって包まれる。その次に、そのアセンブリは、その構成要素を一体的に接着するために熱処理される。
【0045】
ステントをグラフトに取り付ける方法が当業で公知である。一実施形態が、一般的には、少なくとも1つの概して平らな表面を有する平らなリボン又はテープである結合部材を含む。本発明の別の実施形態では、そのテープ部材は、接着剤で被覆された発泡PTFE(ePTFE)から作られている。別の実施形態では、上記接着剤は熱可塑性接着剤である。別の実施形態では、上記熱可塑性接着剤はフッ化エチレンプロピレン(FEP)である。この実施形態では、FEPで被覆された側面が、ステント及びグラフトの外側表面に面するとともに接触し、こうしてステントをグラフトに取り付ける。特定のテープ部材の形態とパターンとが図示されて説明されているが、他の形態及び/又はパターンが、本発明の範囲から逸脱することなく使用されることが可能である。ステントをグラフトに取り付けるための材料及び方法が、すべての目的のために参照によって本明細書の一部を構成するMartinに対する米国特許第6,042,602号に説明されている。
【0046】
図6は、側枝入口124を有する分岐型ステントグラフト120の平面図を示す。この実施形態では、ステントグラフトは、螺旋状に形成されている波状起伏ワイヤの主ステント122を備える。この主ステント122は、上述したように、フィルム巻き付け物(film wrapping)606によってグラフト136に接着されている。このステントは、ステントグラフトアセンブリ120の2つの互いに反対側の端部上に、フィルムが巻き付けられたシーリングカフ(sealing cuff)608を有する。このアセンブリ方法は、例えば、すべての目的のために参照によって本明細書の一部を構成する、Martin等に交付された米国特許第6,042,605号明細書と、Martin等に交付された米国特許第6,361,637号明細書と、Martin等に交付された米国特許第6,520,986号明細書とに概略的に説明されている。
【0047】
側枝ステントグラフトは、理想的には、血管壁に対する並置とシールとを可能にするために、半径方向の高度の剛性を有する遠位部分を有するだろう。側枝ステントグラフトは、さらに、高度に可とう性であり、且つ、天然血管によって与えられる脈動的且つ周期的な負荷に対する高い耐疲労性を有する中間部分も有するだろう。側枝ステントは、さらに、本体ステントの中に展開されている近位部分も有するだろう。側枝ステントのこの近位部分は、本体入口の中へ適正にドッキングしてシールするために半径方向の高度の剛性を必要とする。
【0048】
ワイヤ巻き付け金属ステント702と、グラフト被覆704と、放射線不透過性マーカーバンド706とを備える側枝ステントグラフト700の一実施形態が、図7に示されている。この側枝ステントは、遠位部分708と、中間部分710と、近位部分712とを有する。遠位部分708は、枝血管壁(図1、112)に対する並置とシールとを可能にするために半径方向の高度の剛性を有する。中間部分710は、高度に可とう性であり、且つ、天然血管によって与えられる脈動的且つ周期的な負荷に対して高度に耐疲労性である。本体ステント(図1、102)の中に展開される近位部分712は、本体入口の中へ適正にドッキングしてシールするために、半径方向の高度の剛性を有し、且つ、追加のデバイス展開が使用される場合(例えば、エキステンダ)に、圧縮に耐えて開存性を維持することが可能である。
【0049】
側枝ステントグラフト700を製造するために使用されるプロセスは、上記定義されたようにステントグラフトアセンブリ(図6、120)を製造するために使用されることが可能である。こうしたアセンブリ方法は、例えば、Martin等に交付された米国特許第6,042,605号明細書と、Martin等に交付された米国特許第6,361,637号明細書と、Martin等に交付された米国特許第6,520,986号明細書とに概略的に開示されている。側枝ステントの剛性、半径方向の強度、可とう性、及び疲労寿命が、ステントワイヤの特性、ワイヤの巻き付けパターン形状、グラフトの特性、及びワイヤ/グラフト取り付け形態によって調整されることが可能である。例えば、図7では、側枝ステント700の遠位部分708は、比較的大きい波状起伏の振幅を有する波状起伏ワイヤパターンを有する。この波状起伏は、さらに、比較的大きな間隔を開けられている。これに比較して、側枝ステントの中間部分710は、比較的小さい波状起伏の振幅を有する波状起伏ワイヤパターンを有する。この波状起伏も比較的大きな間隔を置かれている。最後に、本体ステント(図1、102)内に展開されている近位部分712は、比較的大きい波状起伏の振幅を有する波状起伏ワイヤパターンを有する。波状起伏は、さらに、隣接するワイヤに対して比較的小さい間隔を置かれている。
【0050】
側枝ステントグラフトを主ステントグラフトに接着する方法が公知である。これら方法は、非限定的に、摩擦嵌合、フック、逆とげ(barb)、及び/又は隆起ステント尖部を含む。追加の方法は、すべての目的のためにその全体が参照によって本明細書の一部を構成するHamer及びZukowskiに交付された米国特許出願公開第2009/0043376号明細書に開示されている。
【0051】
ステントグラフトは、縮小した直径になるように折り畳まれた後に、典型的には脈管構造を経由して経皮的に送達されるだろう。意図された送達部位に到達すると、このステントグラフトは血管壁上の内張りを形成するように拡張させられる。一実施形態では、このステントグラフトは、その長手方向の軸線に沿って折り畳まれて、弾性戻りで開くこと(springing open)が抑制される。その次に、このステントグラフトは、このグラフトが血管壁に押し当たって開くことを可能にするように、抑制機構を取り除くことによって展開される。本発明のステントグラフトは、一般的に、一旦展開されると自動的に開く。必要に応じて、ステントグラフトの完全な開きを確実にするための膨張型バルーンカテーテル又はこれに類似した手段が、特定の状況下において使用されてもよい。別の実施形態では、上記ステントグラフトはバルーン拡張型ステントである。側枝も、縮小した直径になるように折り畳まれた後に経皮的に送達されることが可能である。
【0052】
本発明のステントグラフトは、脈管構造内のステントグラフトの正確な位置決めを容易にするために、少なくとも1つ又は2つの放射線不透過性マーカーを備えることができる。上記放射線不透過性マーカーは、上記側枝入口が正確に位置合わせされていることを確認するために軸線方向と回転方向の両方においてステントグラフトを正確に位置合わせするために使用されることが可能である。上記放射線不透過性マーカーは、非限定的に、金、白金、白金−タングステン、パラジウム、白金−イリジウム、ロジウム、タンタル、又は合金を含む。あるいは、これに代わる代替策として、送達カテーテルの設計が十分なトルク伝導を示す場合に、グラフトの回転方向配置がそのカテーテルの近位端部上の指標付きマーカー(indexed marker)によって調整されることが可能であり、その結果としてそのカテーテルが1つ又は複数の側枝を適切に位置合わせするために回転させられるだろう。本発明の分岐型ステントグラフトとこれに関連した側枝とを送達する別の方法が、両方がすべての目的のためにその全体が参照によって本明細書の一部を構成する、Hamer及びJohnsonに対する米国特許出願公開第2008/0269866号明細書と、Johnsonに対する米国特許出願公開第2008/0269867号明細書とに開示されている。
【0053】
本発明の別の実施形態が、天然血管の高度に曲がりくねった区域に形状的に適合することが可能な形状適合性が高いステントグラフトを備える。上記ステントグラフトは、採用随意に、少なくとも1つの側枝入口を包含することができる。
【0054】
図8を参照すると、本発明の形状適合性が高いステントグラフト800が、一般的には、グラフト804と、ステント802と、ステント及びグラフト部材を一体的に結合するためのテープ部材(1406、図14)とを含み、且つ、形状適合性が高い。ステント及びグラフトは、概して同軸上にあるように一体的に結合されることが好ましい。
【0055】
本発明の一実施形態では、形状適合性が高いステントグラフト800は、グラフト804を取り囲む螺旋状に形成されたワイヤステント802を有する。このワイヤ形態のステントは、互いに反対側に位置する第1の方向の尖部814と第2の方向の尖部816とを有する。ステントグラフト800は、シーリングカフ808を採用随意に備える第1の端部部分806を有する。同様に、ステントグラフト800は、第2のシーリングカフ812(図示のために折り返されている)と放射線不透過性マーカー818とを採用随意に備える第2の端部部分810を有する。図9に示されているように、可とう性ステントグラフト800は、長手方向の圧縮時に形成される一方向性の折りひだ900を有する。一実施形態では、本発明の上記ステントグラフトは、側枝デバイスの導入のために本発明の上記ステントグラフトの両端部の間に少なくとも1つの入口を有する。別の実施形態では、上記側枝デバイスはステントグラフトである。
【0056】
図9は、長手方向圧縮状態にある可とう性ステントグラフト800を示し、この場合には、一方向性の折りひだ900がステントグラフト800の全周の周りに形成されている。
【0057】
図10Aは、圧縮されたステントグラフト800の一方向性の折りひだ形成を示している、図9の横断面3−3に沿った、ステントグラフト800の1つの壁の長手方向部分横断面図である。この一方向性の折りひだは、共通の方向配置を有し、且つ、同一の方向にすべてが曲げられている。ワイヤステント802は、反対向きの第1の方向の尖部814がグラフト材料804の隣接した折り畳み部分の下に折り込まれて一方向性の折りひだ900を形成している形で示されている。矢印1000が、血流の中断と乱流とを最小限にするために「折りひだと調和する(going with pleat)」ような好ましい血流方向を示す。図10Bは、図10Aと類似した長手方向横断面図であり、好ましい血流方向1000と共に一方向性の折りひだ900を示す。
【0058】
図11は、一方向性の折りひだ900がステントグラフト円周の一部(すなわち、内側経線)上に形成されている、湾曲の内側経線に沿ってグラフトの壁に対して圧縮(すなわち、部分的な長手方向の圧縮)を与える湾曲形状の形で可とう性ステントグラフト800を示す。外側経線が、折りひだの無い、すなわち、直線状のグラフト部分1100を有する。矢印1102が、図10において上述した好ましい血流の方向を示す。
【0059】
本発明の一実施形態は、ステントによって支持されているグラフトを備え、上記ステントは、互いに反対向きである第1の方向と第2の方向の尖部を各々が備える波状起伏と、第1及び第2の長手方向端縁を有するテープ部材とを備え、このテープ部材は、その第1のテープ端縁が各々の波状起伏の第1又は第2の方向の尖部を実質的に覆うように上記スタント及びグラフトに取り付けられ、このため波状起伏の第1又は第2の方向の尖部をグラフトに閉じ込め、波状起伏の第1又は第2の方向の尖部はグラフトに対して閉じ込められていない。一実施形態では、上記第1の方向の尖部はグラフトに閉じ込められており、且つ、第2の方向の尖部はグラフトに対して閉じ込められていない。別の実施形態では、第2の方向の上記尖部はグラフトに閉じ込められており、且つ、第1の方向の尖部はグラフトに対して閉じ込められていない。別の実施形態では、上記グラフトは、長手方向に圧縮される場合に、円周方向に方向配置された一方向性の折りひだを形成する。別の実施形態では、上記波状起伏の(第1の方向又は第2の方向のどちらかの)上記閉じ込められた尖部は、圧縮されている時に、隣接する折りひだの下に位置している。術語「閉じ込められた尖部(confined apices)」は、尖部がテープ部材によってグラフトに取り付けられ又は当業で公知の別の方法によってグラフトに取り付けられているということを意味する。別の実施形態では、上記閉じ込められた尖部は、第1の方向の尖部の波状起伏高さ1312の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%を覆うように、隣接する折りひだの下に位置されている。ステントをグラフトにテープで固定する方法、ステントのデザイン、グラフトの構造、及び/又は、ステントグラフトの構造に起因する他のあらゆる考慮すべき事項に応じて、すべての尖部は、隣接する折りひだの下に必ずしも位置しなくてもよく、又は、隣接する折りひだの背後に位置しうる波状起伏高さ1312において必ずしも異ならなくてもよい。したがって、本発明にしたがって圧縮可能でないことがあるステントグラフトの区域が存在することがある。したがって、別の実施形態では、ステントグラフトの一区域だけが、閉じ込められた尖部を隣接する折りひだの下に位置させることによって、圧縮されることがある。別の実施形態では、ステントグラフトの一部だけが、図11に示されているように、(内側経線において)閉じ込められた尖部を隣接する折りひだの下に位置させることによって、折り畳まれることがある。開示している実施形態は、折りひだの背後に位置している第1の方向の尖部を備えるが、本発明は、さらに、グラフトに取り付けられており且つ隣接する折りひだの下に位置させられている第2の方向の尖部も包含し、他方では、第1の方向の尖部は閉じ込められていない。
【0060】
本発明の重要な一側面が、第1及び第2の長手方向端縁を備えるテープ部材がステント部材をグラフト部材に固定してステント部材の一部だけを覆うということである。明確に述べると、上記テープ部材は、上記テープ部材の第1の端縁が各々の波状起伏の第1の方向の尖部を実質的に覆うように上記ステント及びグラフトに取り付けられ、このため波状起伏の第1の方向の尖部をグラフトに閉じ込める。一実施形態では、上記テープ部材の第1の端縁は、図14に実質的に示されているように、各々の波状起伏の第1の方向の尖部814の端縁に位置合わせされている。この構造によって、図9と図11とに示されているように、ステントグラフトが圧縮される時に、グラフトは、円周方向において一方向性の折りひだを形成し、且つ、第1の方向の上記尖部814が隣接する折りひだの下に位置させられることを可能にする。図11に示されているように、上記一方向性の折りひだの形成が上記ステントグラフトの形状適合性を高め、こうして湾曲する能力をステントグラフトに与える。一実施形態では、上記ステントグラフトは、捩れることなく少なくとも90°に湾曲することが可能である(すなわち、管腔表面において実質的に円形の横断面を維持する)。別の実施形態では、上記ステントグラフトは、生体内での展開の後に、捩れることなく少なくとも90°に湾曲することが可能である。
【0061】
テープ部材は、ステント及びグラフトと接合するための概して幅広の且つ/又は平らな表面を有する。このことが、ステントグラフトの構造的完全性を強化するために、テープ部材とグラフト部材との間の潜在的な接着表面積を増大させる。この増大された接着表面積は、さらに、テープ部材の厚さを最小化することを容易にする。これに加えて、テープ部材は、図14に示されている実施形態による螺旋状の形態に構成される(螺旋状に構成されたテープ部材1406)。図示されているように、テープ部材は一定の幅に形成され、且つ、巻回の間が均一の間隔になるように構成されている。テープ部材1406は各々の波状起伏の第1の方向の尖部を覆うだけでなく各波状起伏の一部も覆う。別の実施形態では、ステントグラフト上に幾つかのテープ部材が存在することが可能であり、これらのテープ部材は上述した機能と同じ機能を果たす。ステントグラフト上に幾つかのテープ部材を有することの非限定的な理由が、図12、1206、図14、1408、図1B、121に示されているように、ステントパターンに分断がある場合に、例えば側枝デバイスのための入口のための空間を作るためにステントパターンを変化させることである。別の実施形態では、上記テープ部材は、ステントグラフトが圧縮されていない時に、波状起伏ステント部材の隣接する列に重ならない。実施形態及び図が、各々の波状起伏の第1の方向の尖部がテープ部材によってステントグラフトに取り付けられている実施形態を示すが、上記第2の方向の尖部もステントグラフトに取り付けられてもよく、且つ、他方では、第1の方向の尖部がステントグラフトに取り付けられていない。
【0062】
テープ部材の幅がステントグラフトの可とう性に影響を与える可能性があるということが分かってきた。テープ部材の幅が広ければ広いほど、ステントグラフトの可とう性が低下するだろう。したがって、一実施形態では、上記テープ部材は、波状起伏高さ1312(図13)の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%を覆う。別の実施形態では、上記テープ部材の全幅が上記ステント及びグラフトに接着される。別の実施形態では、上記テープ部材は、例えば非圧縮時又は部分圧縮時に、波状起伏ステント部材の隣接する列に延びないか又は接触しない。別の実施形態では、上記一方向性の折りひだの幅がテープ部材の幅と同一である。テープ部材が各波状起伏の一部を覆うことが可能であり、上述したように、第1の方向の尖部をグラフトに閉じ込めることを含むが、波状起伏の第2の方向の尖部はグラフトに対して閉じ込められていない(例えば、図8の816)。この構造が、ステントグラフトが圧縮される場合に、折りひだの形成を可能にする。ステントグラフトが長手方向に圧縮する時に、折りひだは、図9に示されているように、完全円周であることが可能であり、又は、図11に示されているように、湾曲部の内側経線であることが可能である。別の実施形態では、最初に圧縮される時に、上記一方向性の円周折りひだが形成される。言い換えると、上記一方向性の円周折りひだを形成するためには、ステントグラフトをさらに操作することが不要である。別の実施形態では、上記一方向性の円周折りひだは、展開される時に、生体内で形成されうる。別の実施形態では、上記折りひだは、上記ステントグラフトが展開される時に、生体内で内側経線において形成されうる。本発明の上記ステントグラフトは、上述したように、大動脈弓、又は、他の曲がりくねった、湾曲した、若しくは曲がった体内管腔に対して形状的に適合することが可能である。別の実施形態では、テープ部材(又は、その別個の部品)は、さらに、ステント部材によって形成されている支持構造に対してグラフト部材の末端部分を固定するために、ステントグラフトの末端端部部分も取り囲む。
【0063】
本発明の別の実施形態では、テープ部材は、接着剤で被覆された発泡PTFE(ePTFE)で作られている。別の実施形態では、上記接着剤は熱可塑性接着剤である。別の実施形態では、上記熱可塑性接着剤はフッ化エチレンプロピレン(FEP)である。この実施形態では、FEP被覆された側面が、ステント及びグラフトの外側表面に面して且つ接触しており、こうしてステントをグラフトに付着させる。特定のテープ部材の形態とパターンとが図示されて説明されているが、他の形態及び/又はパターンが、本発明の範囲から逸脱することなしに使用されてもよい。
【0064】
本発明の別の実施形態では、本発明の上記ステントグラフトは、そのデバイスの蛍光透視による可視化を可能にするためにそのデバイスの中に(特にグラフトの中に)組み込まれることがある、金、白金、白金−タングステン、パラジウム、白金−イリジウム、ロジウム、タンタル、又は、これらの金属の合金又は複合物のような1つ又は複数の放射線不透過性の金属繊維を備える。
【0065】
本発明の別の実施形態では、本発明の上記ステントグラフトは、図8に示されているように、採用随意のシーリングカフ808、812を備える。上記シーリングカフは、ステントグラフト800の外側表面に固定されている第1のカフ端部と、フランジを形成するためにその少なくとも一部が固定されていない第2のカフ端部とを備える。この形態では、そのフランジは、ステントグラフト800を円周方向に取り囲み且つステントグラフトの周りの流れを閉鎖する一方向弁を形成する。一実施形態では、上記シーリングカフは、ステントグラフト800の第1の末端部分806の周りに定置されている。別の実施形態では、上記シーリングカフは、ステントグラフト800の第2の末端部分810の周りに定置されている。別の実施形態では、上記シーリングカフは、ステントグラフト800の第1の末端部分806と第2の末端部分810との周りに定置されている。別の実施形態では、シーリングカフ(808、812)は、血液中又は他の含水体液中のように、水に露出される時に膨張する親水性材料、好ましくは親水性ポリマー又はゲル発泡体を含む。別の実施形態では、上記シーリングカフ808、812は、上述の材料を含むことが可能である。シーリングカフの記述が、すべての目的のためにその全体が参照によって本明細書の一部を構成する米国特許第6,015,431号明細書に見出される。
【0066】
本発明は、さらに、限定と見なされるべきではない後述の実施例によって説明される。すべての図及び参照の内容が参照によって本明細書の一部を構成する。
【0067】
本発明の特定の実施形態が本明細書で図示されて説明されてきたが、本発明は、こうした図解と説明とに限定されてはならない。変形と変更とが、後述の特許請求の範囲内において、本発明の一部として組み込まれ且つ実現されてよいということが明らかなはずである。
【実施例1】
【0068】
高度に形状適合性であるステントグラフトの作成
図8に示されている概略的な構成を有する可とう性ステントグラフトが組み立てられた。
【0069】
このステントグラフトは、基部チューブを形成するために、最初に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のチューブを押し出し成形して延伸させることによって製造された。この基部チューブは、約60mmの長さと、約0.06mmの壁厚と、約26mmの直径とを有した。この基部チューブは、このチューブが長手方向では相対的に強く且つ半径方向では相対的に弱いように、長手方向に実質的な線維方向配置を有した。この基部チューブは、約31mmの直径を有するマンドレルの上で半径方向に伸張させられた。
【0070】
流体の浸透に対する耐性を実現するために、且つ、基部チューブの半径方向の強度を強化するために、高密度ePTFEフィルムが基部チューブの上に巻き付けられた。このフィルムは薄くて強いフルオロポリマーだった。この用途のための特に好ましい材料が、以下では「実質的に不浸透性であるePTFE/FEP絶縁テープ」と呼ばれる、熱可塑性フッ化エチレンプロピレン(FEP)の接着性被覆物を備えている非多孔性ePTFEである。FEPは基部チューブに対して下向きに方向付けられていた。EPTFEは医療デバイス分野では公知である。これは、一般的に、Goreに対する米国特許第3,953,566号明細書及び米国特許第4,187,390号明細書によって説明されているように作られる。本明細書で説明されているテープは、約0.0064mmの厚さと、約0.6MPaよりも大きいイソプロピル泡立ち点と、60(分/1平方インチ/100cc)(又は、60(分/6.45平方センチメートル/100cc))よりも大きいガ−レー数(Gurley No.)(透過率)と、2.15g/ccの密度と、長さ方向(最も丈夫な方向)における約309MPaの引張り強さとを有する、実質的に非多孔性であるePTFE/FEPフィルムから切り取られる。このフィルムは、4つのパス(pass)が約86°のピッチ角で螺旋状に巻き付けられた状態で約19mm(0.75″)の幅を有した。
【0071】
基部チューブの半径方向の強度をさらに増強するために、及び、目の粗い構造の接着層(open structure bonding layer)を提供するために、追加のフィルム層が付着させられた。このePTFEフィルムは、長手方向における高い強度を有し,且つ、非常に目の粗い微細構造を有した。この目の粗い微細構造は、グラフトに対するステントフレームの後続のFEP/ePTFE接着を強化した。このフィルムは約2.5ミクロン(0.0001″)の厚さと、約25.4mm(1.0″)の幅とを有した。8つの螺旋状に巻かれた層が約83°のピッチ角で付着させられた。
【0072】
その次に、マンドレルと巻き付けられたフィルムとが、フィルムを互いに接着させるために、空気対流炉内で熱処理された。
【0073】
その次に、ステントフレームが、突出ピンを有するマンドレルの上にニチノールワイヤを巻き付けることによって形成された。円筒形マンドレルの「平らな、すなわち広げられた」図が図12に示されている。全体的な巻き付けパターン1200と、詳細な第1の末端部分1202と第2の末端部分1204とが示されている。さらに、枝入口が必要とされる場合に全体的パターンの中に組み込まれることが可能な採用随意の「側枝入口」構成1206も示されている。1206として示されている汎用の単一の円周巻き付けパターンが、必要に応じて、採用随意の側枝パターン1206に取って代わることが可能である。
【0074】
1206として示されている単一の円周巻線パターンが図13に示されている。このパターンは、直線ピッチ1300と、ピン直径1302と、ワイヤ直径1304と、ワイヤ頂角1306と、周長1308と、頂部−基部半周波数(apex to base half frequency)1310とを含む。示されているこのパターンは、以前に図12に示されていた第1及び第2の末端部分を除いて、ステント長さに沿って反復された。採用随意の側枝入口構成(図12、1206)は含まれていなかった。
【0075】
ステントフレームは、図13に示されている次の寸法にしたがって形成された。直線ピッチ1300が約9.7mm(0.383″)であり、ピン直径1302が約1.6mm(0.063″)であり、ワイヤ直径1304が約0.5mm(0.0195″)であり、ワイヤ頂角1306が約50.4度であり、周長1308が約97.3mm(3.83″)であり、及び、頂部−基部半周波数1310が約5.3mm(0.21″)だった。
【0076】
その次に、巻き付けられたワイヤを有するマンドレルが、当業で公知のように(例えば、Leopoldに対する米国特許第6,352,561号明細書を参照されたい)、空気対流炉内で熱処理され、その次に、室温の水の中で冷却された。
【0077】
そのワイヤステントが巻き付けマンドレルから取り外された。ワイヤの末端(図12に1202及び1204で示されている)が、切断されて、図14に1402と1404とで示されているように、高温繊維によって互いに結び合わされた。その入れ子状態の対の振幅は、そのワイヤが入れ子にされている時にその入れ子状態のワイヤが、悪い形で強く引っ張られた領域(図14の1410及び1412を参照されたい)を生じさせないように隣の尖部よりも長い。ステントが、ステントワイヤの一部に隣接しているその下に位置するFEPをはんだごてを使用して溶融させることによって、巻き付けられたチューブに部分的に接着させられた。FEPと共に積層されているePTFEテープの最後の層が、図14に示されているパターンにしたがってワイヤステントの上に巻き付けられて、ステントをグラフトに固定するようにそのフィルムをその下に位置するグラフトに接着するために炉の中に入れられた。
【0078】
グラフト材料804を取り囲む波状起伏形の螺旋状ワイヤステント802を有するステントグラフト1400が、図14に示されている。このステントは、螺旋状に付着させられたテープ部材1406によってグラフト材料に取り付けられている。図示されているように、螺旋状に付着させられているテープ部材1406の第1の端縁は、ワイヤステントの互いに反対側に位置する第1の尖部814を覆う。側枝入口が必要である場合には、採用随意の巻き付けパターン区域1408が組み込まれることが可能である。テープ1406は、約5.5mm(0.215″)の幅と約10ミクロン(0.0004″)の厚さとを有するePTFE/FEP積層物だった。このテープは、はんだごてを使用してステントワイヤの一部に隣接したその下に位置するFEPを溶融することによって、巻き付けられたチューブに部分的に接着させられた。犠牲圧縮テープ(sacrificial compression tape)がステントグラフト上に螺旋状に巻き付けられた。この圧縮テープは、約51mm(2″)の幅で約0.5mm(0.02″)の厚さであり、約50%の重なりを伴って巻き付けられた。追加の犠牲フィルムが、後続の熱処理圧縮段階を補助するために巻き付けられた。このフィルムは、長手方向の繊維/強度方向と、約2.5ミクロン(0.0001″)の厚さと、約51mm(2″)の幅とを有するePTFEテープだった。5つのパス(pass)が、フィルム層の間の約50%の重なりを伴って加えられた。
【0079】
その次に、このアセンブリが、(Leopoldに対する米国特許第6,352,561号明細書に基本的に説明されているように)フィルム層を一体的に接着するために空気対流炉内で熱処理された。この熱処理サイクル中に、フィルムはマンドレルに対して押し付けられ、これによって溶融FEPがその下に位置するフィルム層の中に流れ込むことを引き起こし、グラフト層をワイヤステントと共に一体的に接着した。冷却後に、犠牲フィルム圧縮層が取り除かれて、グラフト材料の末端が特定の長さになるように切断され、ステントグラフトがマンドレルから取り外された。この結果として得られたステントグラフトが、採用随意のシーリングカフ(図8、806、810)を除いて、図8に示されている。
【実施例2】
【0080】
一体的な側枝入口を有する高度に形状適合性であるステントグラフトの作成
図2Aと図2Bとを参照すると、金属マンドレル200が、そのマンドレルの一方の末端の中に形成されているスロット202を有して形成された。このスロット202は背壁204上で終端する。このマンドレルは約31mmの直径を有し,このスロットは約12.5mmの幅と約10mmの深さと約13cmの長さとを有した。図2Bに示されているように、内側チューブ206はマンドレル200上に半径方向に伸張させられ且つマンドレル溝202の一部を覆った。内側チューブは、押出し成形されて延伸させられたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のチューブだった。この内側チューブは、約60mmの長さと、約0.06mmの壁厚さと、約26mmの直径とを有した。この内側チューブは、そのチューブが長手方向で相対的に強く且つ同時に半径方向で相対的に弱いように、実質的な長手方向の繊維方向配置を有した。
【0081】
図3Aに示されているように、マンドレル200は内側チューブ206によって覆われていた。この内側チューブは切断されてマンドレル溝202の背壁204にスリット300を形成した。
【0082】
内側チューブ(図3A、206)をさらに強化するために、副ステントアセンブリの挿入の前に、2つの追加のポリマーシートが内側チューブ上に追加された。その次に、その補強層は、マンドレル溝の形に変形させられ、内側チューブ/副ステントアセンブリに対する追加的な支持を実現した。この補強層は、以下では「実質的に不浸透性であるePTFE/FEP絶縁テープ」と呼ばれる、熱可塑性フッ化エチレンプロピレン(FEP)の接着性被覆物を備えている高密度ePTFEを含んだ。この補強層のFEPは基部チューブに向けて方向配置された。EPTFEは医療デバイス分野では公知である。これは、一般的に、Goreに対する米国特許第3,953,566号明細書及び米国特許第4,187,390号明細書によって説明されているように作られる。本明細書に説明されているこの補強層は、約0.0064mmの厚さと、約0.6MPaよりも大きいイソプロピル泡立ち点と、60(分/1平方インチ/100cc)(又は60(分/6.45平方センチメートル/100cc))よりも大きいガ−レー数(Gurley No.)(透過率)と、2.15g/ccの密度と、長さ方向(すなわち、最も強い方向)における約309MPaの引張り強さとを有する、実質的に非多孔性であるePTFE/FEPフィルムから切断された。この第1の補強層は、約25mmの幅で約25mmの長さであり、スロットの背壁から(マンドレルの末端に向かって)約15mm、マンドレルスロット上において中央に位置決めされた。第2の補強層が、約25mmの幅及び約40mmの長さであり、且つ、スロット背壁204に当接するマンドレルスロット上において中央に位置決めされた。
【0083】
図3Bに示されているように、副ステントアセンブリ302は、マンドレル溝202と、マンドレル背壁204と、補強層及び内側チューブスリット300とに位置合わせされた。(後述する)第1の支持部分が副ステントアセンブリの中に入れられ、その次に、この副ステントアセンブリ302は、(第1の支持部分と共に)マンドレル溝202の中に挿入され、内側チューブ206(及び、補強層)をマンドレル溝の形に変形させた。背壁204は最内側チューブ(図1E、130)内に開口部を画定した。
【0084】
内側チューブの変形された形状を調整するために、支持部分が、図4Aと図4Bとに示されているように、副ステントアセンブリの中とマンドレル溝の中とに入れられた。マンドレル200と溝202と溝背壁204の概略的な側面図が図4Aに示されている。マンドレル200とマンドレル溝202と内側チューブ206との概略的な側面図が図4Bに示されている。副ステントアセンブリ302が、マンドレル溝の背壁204に係合するように形成された端部を有する第1の支持部分400の上に置かれた。第1の支持部分の反対側の端部が、図4Bに示されているように、先細の壁又は角張った壁を有した。第2の支持部分402が、内側チューブ206の下のマンドレル溝202の中に入れられた。第2の支持構造は、平らな壁を有し、且つ、第1の支持構造400を所定の場所に保持するために使用された。内側チューブ206はマンドレル溝202の形に変形された形で示されている。この内側チューブ206は、さらに、支持部分400の角張った壁によって形成された先細の、傾斜した、又は角張った壁部分404を有する形でも示されている。
【0085】
副ステントアセンブリが、図5Aから図5Dに概略的に示されているようにアセンブリされた。図5Aと図5Bとに示されているように、ポリマーチューブ502がマンドレル500上に滑合された。このチューブは、上述した補強層のために使用される材料と同一の材料のフィルムで形成された。このフィルムは、マンドレルから離れるように方向配置されたFEP層を伴って、約8mmの直径を有するマンドレル上に螺旋状に巻き付けられた。その次に、この巻き付けられたマンドレルは、チューブを形成するFEP/ePTFE層を溶融させるために熱固化(heat set)された。波状起伏ワイヤが、突出ピンを有するマンドレル上にそのワイヤを巻き付けることによって、リングステント506の形に形成された。マンドレルの直径とピンの直径とが、そのピンの場所と共に、そのリングステントの最終的な形態を決定した。そのワイヤは、ニチノールであり、約0.15mmの直径を有した。波状起伏ステントパターンが約5mmの尖部−尖部長さ(apex to apex length)を有した。そのワイヤがマンドレル上に巻き付けられた後に、そのステントの形状を固まらせるために、そのマンドレルとワイヤとが熱処理されて室温の水の中で冷却された。その次に、そのワイヤはマンドレルから取り外された。そのワイヤの両端部がポリマー熱収縮チューブの切片によって接着され、リングステント506を形成した。その次に、この2つのリングステント506が、ポリマーチューブ502上に置かれた。その次に、放射線不透過性の金のマーカーバンド504がそのポリマーチューブ502上に設置された。
【0086】
その次に、図5Cに示されているように、ポリマーチューブ502の一方の端部が裏返しにされてワイヤリングステント506と放射線不透過性マーカーバンド504との上に引っ張られた。その次に、マンドレルと、ポリマーチューブと、リングステントと、放射線不透過性バンドとが、これら構成要素をステントアセンブリの形に一体的に接着するために熱処理された。このアセンブリはマンドレルから取り外されて、特定の長さに切断され、図5Dに示されているような副ステントアセンブリ302を形成した。その次に、この副ステントアセンブリは、第1の支持部分400上に置かれた。
【0087】
上述したように(図4B)、その次に、副ステント(すなわち、副ステントアセンブリ)と第1の支持アセンブリとはマンドレル溝202の中に挿入されて内側チューブ206をマンドレル溝の形に変形させた。第2の支持部分402は、内側チューブ206の下のマンドレル溝202の中に入れられた。その次に、図4Bに示されているアセンブリは、外側支持フィルムによって覆われた。この支持体は、上述した補強層のために使用された材料と同一の材料のフィルムによって形成された。このフィルムは、幅約30mmで幅約27mmであり、且つ、(マンドレルの末端から距離を置いて)スロット背壁の約6mmの背後においてマンドレルスロット上において中央に位置決めされた。そのFEP層はマンドレルに向かって下向きに方向配置された。
【0088】
流体の浸透に対する耐性を実現するために、且つ、基部チューブの半径方向の強度を増大させるために、高密度ePTFEのフィルムが基部チューブ上に巻き付けられた。このフィルムは薄くて強いフルオロポリマーであり、この用途のための特に好ましい材料が、以下では「実質的に不浸透性であるePTFE/FEP絶縁テープ」と呼ばれている、熱可塑性フッ化エチレンプロピレン(FEP)の接着剤被覆を備える非多孔性ePTFEである。このFEPは、基部チューブに対して下向きに方向配置された。EPTFEは医療デバイス分野で公知である。これは、一般的に、Goreに対する米国特許第3,953,566号明細書及び米国特許第4,187,390号明細書によって説明されているように作られる。本明細書で説明されているテープは、約0.0064mmの厚さと、約0.6MPaよりも大きいイソプロピル泡立ち点と、60(分/1平方インチ/100cc)(又は、60(分/6.45平方センチメートル/100cc))よりも大きいガ−レー数(Gurley No.)(透過率)と、2.15g/ccの密度と、長さ方向(最も強い方向)における約309MPaの引張り強さとを有する、実質的に非多孔性であるePTFE/FEPフィルムから切断される。このフィルムは、約86°のピッチ角で螺旋状に巻き付けられている4つのパス(pass)を有する約19mm(0.75″)の幅を有した。
【0089】
基部チューブの半径方向の強度をさらに増強するために,及び、目の粗い構造の接着層を提供するために、追加のフィルム層が加えられた。ePTFEフィルムは、長手方向に高い強度を有し、且つ、非常に目の粗い微細構造を有した。この目の粗い微細構造は、後でグラフトに対してステントフレームをFEP/ePTFE接着することを増強した。そのフィルムは、約2.5ミクロン(0.0001″)の厚さと約25.4mm(1.0″)の幅とを有した。8つの螺旋状に巻き付けられた層が、約83°のピッチ角で付加された。
【0090】
その次に、マンドレルと巻き付けられたフィルムとが、フィルム層を一体的に接着するために空気対流炉内で熱処理された。
【0091】
その次に,ステントフレームが、ニチノールワイヤを、突出ピンを有するマンドレル上に巻き付けることによって形成された。円筒形マンドレルの「平らな、すなわち、広げられた」図が図12に示されている。全体的な巻き付けパターン1200と、詳細な第1の末端部分1202と第2の末端部分1204とが示されている。さらに、枝入口を形成するために全体的パターンの中に組み込まれた「側枝入口」構成1206も示されている。
【0092】
1206として示されている単一の円周巻線パターンが図13に示されている。このパターンは、直線ピッチ1300と、ピン直径1302と、ワイヤ直径1304と、ワイヤ頂角1306と、周長1308と、頂部−基部半周波数(apex to base half frequency)1310とを含む。示されているこのパターンが、以前に図12(1202、1204)に示されていた第1及び第2の末端部分を除いて、ステント長さに沿って反復された。採用随意の側枝入口構成(図12、1206)は含まれていた。
【0093】
ステントフレームは、図13に示されている次の寸法にしたがって形成された。直線ピッチ1300が約9.7mm(0.383″)であり、ピン直径1302が約1.6mm(0.063″)であり、ワイヤ直径1304が約0.5mm(0.0195″)であり、ワイヤ頂角1306が約50.4度であり、周長1308が約97.3mm(3.83″)であり、頂部−基部半周波数1310が約5.3mm(0.21″)だった。
【0094】
その次に、巻き付けられたワイヤを伴うマンドレルが、当業で公知のように空気対流炉内で熱処理され、その次に、室温の水の中で冷却された。
【0095】
その次に、ワイヤステントが巻き付けマンドレルから取り外された。ワイヤの末端(図12に1202及び1204で示されている)が、切り取られて、図14に1402と1404で示されているように、高温繊維によって互いに結び合された。その次に、そのワイヤステントは、前もってフィルムが巻き付けられたチューブ/マンドレル上に置かれた。ステントが、ステントワイヤの一部に隣接しているその下に位置するFEPをはんだごてを使用して溶融させることによって、巻き付けられたチューブに部分的に接着させられた。FEPと共に積層されているePTFEテープの最後の層が、図14に示されているパターンにしたがってワイヤステントの上に巻き付けられた。
【0096】
グラフト材料804を取り囲む波状起伏形の螺旋状ワイヤステント802を有するステントグラフト1400が、図14に示されている。このステントは、螺旋状に付着させられたテープ部材1406によってグラフト材料に取り付けられている。図示されているように、螺旋状に付着させられているテープ部材1406の第1の端縁は、ワイヤステントの反対側に位置する第1の尖部814を覆う。側枝入口を形成するために、巻き付けパターン区域1408が組み込まれた。テープ1406は、約5.5mm(0.215″)の幅と約10ミクロン(0.0004″)の厚さとを有するePTFE/FEP積層物だった。このテープは、はんだごてを使用してステントワイヤの一部に隣接したその下に位置するFEPを溶融することによって、巻き付けられたチューブに部分的に接着させられた。犠牲圧縮テープがステントグラフト上に螺旋状に巻き付けられた。この圧縮テープは、約51mm(2″)の幅で約0.5mm(0.02″)の厚さであり、約50%の重なりを伴って巻き付けられた。追加の犠牲フィルムが、後続の熱処理圧縮段階を補助するために巻き付けられた。このフィルムは、長手方向の繊維/強度方向と、約2.5ミクロン(0.0001″)の厚さと、約51mm(2″)の幅とを有するePTFEテープだった。5つのパス(pass)が、フィルム層の間の約50%の重なりを伴って加えられた。
【0097】
その次に、このアセンブリが、フィルム層を一体的に接着するために空気対流炉内で熱処理された。この熱処理サイクル中に、フィルムはマンドレルに対して押し付けられ、これによって溶融FEPがその下に位置するフィルム層の中に流れ込むことを引き起こし、グラフト層をワイヤステントと共に一体的に接着させた。冷却後に、犠牲フィルム圧縮層が取り除かれて、グラフト材料の末端が特定の長さになるように切断され、ステントグラフトがマンドレルから取り外された。この結果として得られたステントグラフトが、採用随意のシーリングカフ(図8、806、810)を除いて、図8に示されている。
【0098】
本発明の思想又は範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更が本発明においてなされることが可能であることが当業者には明らかだろう。したがって、本発明の修正及び変更が、添付された特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に含まれるならば、こうした修正及び変更を本発明がその範囲内に含むということが意図されている。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年10月9日に出願された米国特許仮出願公開第61/250,313号明細書と、2010年6月18日に出願された米国特許出願公開第12/818,551号明細書と、2010年6月18日に出願された米国特許出願公開第12/818,575号明細書との優先権の利益を主張し、これらは全ての目的のために参照によって本明細書の一部を構成する。
【0002】
本発明の一つの態様が、一体的な支持チューブを有する改良されたモジュール式の分岐型ステントグラフトに関する。本発明の別の態様が、採用随意の分岐部を有する高度に形状適合性のステントグラフトに関する。
【背景技術】
【0003】
動脈瘤は、患者の年齢、疾病、又は、遺伝的素因のために血管壁の強度又は弾力性が血液が中を通過する時の血管壁の膨らみ又は伸長を防止するのに不十分である部位において血管内で生じる。動脈瘤が未治療のままになっている場合には、血管壁が膨張して破裂することがあり、多くの場合には結果的に死に至る。
【0004】
動脈瘤の破裂を防止するために、ステントグラフトが血管内に経皮的に導入され、動脈瘤嚢に跨がるように展開される。ステントグラフトは、1つ又は複数のステントの円筒形の骨組み又は枠組みに固定されているグラフト繊維を含む。1つ又は複数のステントは、グラフトを管状に開いた形に保つための剛性及び構造を提供し、且つ、グラフトと血管壁の健康な部分との間のシールを生じさせて移行抵抗を実現するために必要とされる外向きの半径方向の力を提供する。血管の中を通って流れる血液が、動脈瘤嚢の場所において血管壁への応力を(除去しはしなくとも)低減させるために、ステントグラフトの管腔表面を通過して流されることが可能である。ステントグラフトは、動脈瘤部位における血管壁の破裂の危険性を低下させ、且つ、血液が間断なく血管の中を通って流れることを可能にする。
【0005】
しかし、動脈瘤の除去のような様々な血管内修復処置が、血管分岐部に近接してステントグラフトが移植されることを必要とする。動脈瘤が分岐部の中に延伸し、ステントグラフトがその分岐部の中に設置されることが必要とされる場合が多い。したがって、こうした場合には分岐型ステントグラフトが必要とされる。多くの場合には、別々に分かれている本体と分枝構成要素とを有するモジュール式のステントグラフトが、展開の容易性と正確性とのために、こうした処置において好ましい。別々に分かれている本体ステント構成要素と分枝ステント構成要素とを有するモジュール式のステントグラフトの一例に関しては、Hartley等に対する特許文献1を参照されたい。Hartley等の公開公報では、この本体ステントは、側枝ステントと係合して側枝ステントを固定するように特別に形成されている側壁内の開窓(fenestration)を有する。このような形状の側枝ステントは、本体の開窓との「線間(line to line)」締りばめの形であり、ステント対ステントの接合部の耐疲労性に対する潜在的な脆弱性の原因となる。Quinnに対する特許文献2が、より強固なステント対ステントの接合構成を提供する。Quinnの特許では、本体ステントの内部に位置する管状の支持体が、ステント対ステントの接合の信頼性を強化するために組み込まれている。Quinnの管状の内部支持体は、延長されたシーリング長さ(sealing length)と、改善された耐疲労性とを実現する。しかし、最内側チューブが、チューブの形に形成されており且つ主グラフト構成部分に縫い付けられ且つ/又は接着させられた追加の材料を追加することによって作られている。
【0006】
これに加えて、人体内の最大の動脈である大動脈の中で発生する動脈瘤は胸部で発生し(胸部大動脈瘤)又は腹部で発生しうる(腹部大動脈瘤)。大動脈弓の湾曲のせいで、胸部大動脈瘤は特に治療が困難である可能性がある。大動脈から延びる総腸骨動脈のような脈管構造の他の部分も、極度に曲がりくねっている可能性がある。したがって、こうした領域の中に展開されるステントグラフトが、その脈管構造に対して形状的に適合することが可能であることが好ましい。高度の形状適合性によって、ステントグラフトが湾曲して最適な形で本来の血管に対して対抗してシールすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0114446号明細書
【特許文献2】米国特許第6,645,242号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明の一実施態様が、一体的な支持チューブを有する改良されたモジュール式の分岐型ステントグラフトに関する。別の実施態様では、本発明は、側枝デバイス(例えばステントグラフト)のための少なくとも1つの入口(portal)を有し又は有しない、高度に形状適合性であるステントグラフトに関する。
【0009】
本発明の一実施態様が、多腔型ステントグラフトを備え、この多腔型ステントグラフトは、開口部を有する最内側チューブと開口部を有する最外側チューブとから構成されており且つ主ステントによって支持されているグラフトによって画定されている主管腔と、グラフトの最内側チューブと最外側チューブとの間に配置されており且つ上記開口部を通して流体連通している副管腔とを備える。一実施態様では、上記副管腔は副ステント又はステントアセンブリを備える。別の実施態様では、上記副管腔は、より小さい別のステントグラフトを受け入れることが可能である。
【0010】
本発明の別の実施態様が、主枝血管と側枝血管とを有する分岐した体内管腔内における移植のためのステントグラフトを備え、ステントグラフトは、開口部を有する最内側チューブと開口部を有する最外側チューブとから構成されているグラフトであって、遠位端部から近位端部に長手方向の軸線に沿って延びており、グラフトの中を貫通して延びる主管腔を画定し、且つ、主ステントによって支持されているグラフトと、上記グラフトの最内側チューブと最外側チューブとの間に配置されている副管腔であって、上記グラフトの遠位端部と近位端部との間に定置されており、且つ、上記最内側チューブの開口部と上記最外側チューブの開口部とを通して流体連通している副管腔とを備える。一実施態様では、上記主ステントは自己拡張型ステントである。
【0011】
本発明の別の実施態様が、溝とその溝の背壁とを備える第1のマンドレルを最内側ポリマーチューブで覆うことと、上記溝の背壁に沿って上記ポリマーチューブにスリットを入れることと、第1のマンドレルの上記溝の中に第2のマンドレルを設置して、上記第2のマンドレルを溝の背壁と位置合わせし、上記最内側ポリマーチューブを変形させることと、上記最内側ポリマーチューブの上に最外側ポリマーチューブを設置することと、より小さい上記第2のマンドレルの上に開口部を形成することとを含み、上記最外側チューブ及び最内側チューブはグラフト部材を備える。
【0012】
本発明の別の実施態様が、ステントによって支持されるグラフトを備え、上記ステントは、互いに反対の第1及び第2の方向の尖部を各々が備える波状起伏(undulation)と、第1及び第2の長手方向の端縁を有するテープ部材とを備え、このテープ部材は、第1のテープ端縁が波状起伏の各々の第1又は第2の方向の尖部を実質的に覆うように上記ステント及びグラフトに取り付けられ、このため波状起伏の第1又は第2の方向の尖部をグラフトに閉じ込め、波状起伏の第1又は第2の方向の尖部はグラフトに対して閉じ込められていない。一実施形態では、上記第1の方向の尖部はグラフトに閉じ込められており、上記第2の方向の尖部はグラフトに対して閉じ込められていない。別の実施態様では、上記第2の方向の尖部はグラフトに閉じ込められており、上記第1の方向の尖部はグラフトに閉じ込められていない。別の実施態様では、上記グラフトは、長手方向に圧縮されると、円周方向に方向配置された一方向性の折りひだを形成する。別の実施態様では、上記波状起伏の第1の方向の上記尖部は、圧縮されると、隣の折りひだの下に位置させられる。別の実施態様では、上記ステントは、上記グラフトの周りに螺旋状に巻き付けられた単一の連続ワイヤから形成されている。別の実施態様では、上記ステントは自己拡張型のステントである。別の実施態様では、上記ステントはニチノールから作られている。別の実施態様では、上記波状起伏は正弦波形状を有する。別の実施態様では、上記グラフトはポリテトラフルオロエチレンを含む。
【0013】
本発明の追加の特徴と利点とが、説明の中で明らかにされ、又は、本発明の実施によって理解されるだろう。本発明のこれら特徴と他の利点とが、本明細書において記述されている説明と特許請求の範囲と添付図面とに詳細に指摘されている構造によって実現され且つ達成されるだろう。
【0014】
上述の概括的な説明と以下の詳細な説明の両方が例示的且つ説明的であり、及び、特許請求されている本発明のさらに詳細な説明を提示することが意図されているということを理解されたい。
【0015】
添付されている図面が、本発明のさらなる理解を実現するために含まれており、本明細書に組み入れられており且つ本明細書の一部を構成し、本発明の実施形態を図示し、説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】図1Aは、本体ステントと、内側支持チューブと、取り付けられた側枝ステントとを有する、モジュール式の分岐型ステントグラフトの斜視図である。
【図1B】図1Bは、本体グラフトの一部から作られている少なくとも1つの側枝入口を本体が備える、分岐型ステントグラフトを備える。
【図1C】図1Cは、本体グラフトの一部から作られている少なくとも1つの側枝入口を本体が備える、分岐型ステントグラフトを備える。
【図1D】図1Dは、本体グラフトの一部から作られている少なくとも1つの側枝入口を本体が備える、分岐型ステントグラフトを備える。
【図1E】図1Eは、本体グラフトの一部から作られている少なくとも1つの側枝入口を本体が備える、分岐型ステントグラフトを備える。
【図2A】図2Aは、一体的な支持チューブを有する本体ステントグラフトを作成するために使用されるマンドレルの斜視図を示す。
【図2B】図2Bは、一体的な支持チューブを有する本体ステントグラフトを作成するために使用されるマンドレルの斜視図を示す。
【図3A】図3Aは、一体的な支持チューブと副ステントアセンブリとを有する本体ステントグラフトを作成するために使用されるマンドレルの斜視図を示す。
【図3B】図3Bは、一体的な支持チューブと副ステントアセンブリとを有する本体ステントグラフトを作成するために使用されるマンドレルの斜視図を示す。
【図4A】図4Aは、一体的な支持チューブと副ステントアセンブリとを有する本体ステントグラフトを作成するために使用されるマンドレルの概略的な側面図を示す。
【図4B】図4Bは、一体的な支持チューブと副ステントアセンブリとを有する本体ステントグラフトを作成するために使用されるマンドレルの概略的な側面図を示す。
【図5A】図5Aは、マンドレル及びステントの組立プロセスの側面図である。
【図5B】図5Bは、マンドレル及びステントの組立プロセスの側面図である。
【図5C】図5Cは、マンドレル及びステントの組立プロセスの側面図である。
【図5D】図5Dは、マンドレル及びステントの組立プロセスの側面図である。
【図6】図6は、側枝入口を有する分岐型ステントグラフトの平面図である。
【図7】図7は、3つの特設部分(purpose built portion)を有する側枝ステントの斜視図である。
【図8】図8は、完全に伸展したステントグラフトを示す。
【図9】図9は、一方向性の折りひだがステントグラフトの全周の周りに形成されている、長手方向に完全な圧縮状態にある可とう性ステントグラフトを示す。
【図10A】図10Aは、圧縮されたステントグラフトの一方向性の折りひだ(pleating)を示す、図8の横断面3−3に沿った、ステントグラフトの1つの壁の部分横断面図を示す。
【図10B】図10Bは、圧縮されたステントグラフトの一方向性の折りひだを示す、図8の横断面3−3に沿った、ステントグラフトの1つの壁の部分横断面図を示す。
【図11】図11は、一方向性の折りひだがステントグラフトの円周の一部上に(すなわち、内側経線上に)形成されており、且つ、外側経線が、折りひだがない、すなわち直線状の部分を有する部分的な長手方向の圧縮状態(又は、折り畳まれた形状)にある可とう性ステントグラフトを示す。
【図12】図12は、円筒形マンドレルの「平らな、すなわち、広げられた(unrolled)」図を示す。
【図13】図13は、単一の円周巻き付けパターンを示す。
【図14】図14は、グラフト材料を取り囲む波状起伏形の螺旋ワイヤステントを有するステントグラフトを示す。このステントは、螺旋状のテープ部材によってグラフト材料に取り付けられている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態が、一体的な支持チューブを有する改良されたモジュール式の分岐型ステントグラフトに関する。別の実施態様では、本発明は、側枝デバイス(例えばステントグラフト)のための少なくとも1つの入口を有し又は有しない、高度に形状適合性であるステントグラフトに関する。
【0018】
一般的に、ほとんどの分岐型ステントグラフトは、別のチューブ又はステントグラフトが中に挿入されるステントグラフトの側部上の分岐部又は開窓を形成するために、内側チューブを有する。例えば、Quinn等に対する米国特許第6,645,242号明細書と、Shokoohiに対する米国特許第6,077,296号明細書を参照されたい。図1が、内側チューブ104を伴う本体102を有する一般的なモジュール式の分岐型ステントグラフト100の斜視図である。一般的に、ほとんどの内側チューブ(すなわち、分岐チューブ)は、チューブ又は分岐部位の形に形成されており且つ本体(通常はそのグラフト)の内側側部に縫い付けられ且つ/又は接着されている追加の材料を追加することによって作られている。内側チューブ104は、本体入口108から突き出る形で示されている側枝デバイス106に係合して固定するための大きさにされている。本体102は、枝血管112の中に移植されている側枝ステントを伴って主血管110の中に移植されている形で示されている。本発明は、図1Bから図7に示されているように、分岐型ステントグラフトを含み、この分岐型ステントグラフトでは、本体が、本体グラフトの一部から作られている少なくとも1つの側枝入口を備え、上記入口の少なくとも一部が上記グラフトと一体であり、上記入口の少なくとも一部は、グラフトの主血流表面内、及び/又は、不連続的な構造のせいで弱くされた区域内には継ぎ目を持たない。
【0019】
本発明の一実施形態が図1Bから図1Dに示されている。図1Bは、側枝入口124を有する主ステント(すなわち、本体ステント)122を有する分岐型ステントグラフト120の平面図である。側枝入口のための区域を生じさせるステント特徴要素121も示されている。この実施形態では、上記特徴要素は「二重のW状部(double W)」と呼ばれている。この実施形態では、上記「二重のW状部」は、側枝入口を支持するのに役立ち、且つ上記入口が潰れることを防止する。これに加えて、この設計は、ステントの本体巻き付けパターンに高歪み領域(high strain region)を生じさせることなく、側枝入口のための領域を生じさせる。特定の理論に束縛されることではないが、1つの理由が、「二重のW状部」設計が、フレームを硬直させ、より高い歪みを結果的に生じさせ、且つ、ステントが応力を加えられる時に破損を引き起こすことがあるより短い振幅支柱(amplitude strut)に依存しないということだろう。本体入口124は、側枝ステントと係合して側枝ステントを固定するための大きさにされており、その一実施形態が図7に700で示されている。
【0020】
図1Cは、図1Bの部分縦断面を伴う側面図である。この図は、主管腔128と、副管腔130と、最外側チューブ132と、最内側チューブ134と、採用随意の副ステント126とを示す。さらに、最内側チューブの開口部131も示されている。
【0021】
図1Dは、図1CにおけるA−Aの横断面である。この図は、主ステント122と、副ステント126と、主管腔128と、副管腔130とを示す。この図は、さらに、最外側チューブ132と最内側チューブ134とを示す。
【0022】
図1Eは、図1Dに示されている部分Dの拡大図である。したがって、この図は、側枝入口の横断面の拡大図である。この図は、主ステント122と、副ステント126と、副管腔130とを示す。この図は、さらに、最外側チューブ132と最内側チューブ134とを示す。グラフト136が、最内側チューブ134と最外側チューブ132とによって構成されている。さらに、血流表面138(すなわち、内側グラフト表面)と、最内側チューブの外側表面140と、最外側チューブの内側表面141とが示されている。
【0023】
したがって、本発明の一実施形態では、その分岐型(多腔型(multi−lumen))ステントグラフトは主管腔128及び副管腔130を備え、主管腔128は、開口部131を有する最内側チューブ134と開口部124を有する最外側チューブ132とから構成されており且つ主ステント122によって支持されているグラフト136によって画定され、副管腔130は上記グラフト136の最内側チューブ132と最外側チューブ134との間に配置され且つ開口部131、124を通して流体連通している。一実施形態では、上記副管腔130は副ステント126又は副ステントアセンブリを備える.本明細書で使用される場合に、上記副ステントアセンブリは、被覆されており且つ放射線不透過性のマーカーのような追加の特徴要素を備えうる副ステントである。別の実施形態では、上記副管腔は主ステントグラフト又は本体の両端の間に配置されている。別の実施形態では、上記副ステント又は副ステントアセンブリの一部は最内側チューブ134の一部に対して当接する。別の実施形態では、上記副ステント又は副ステントアセンブリはグラフト136の一部に対して当接する。別の実施形態では、上記副ステント又は副ステントアセンブリの一部は最外側チューブの外側表面140上に位置している。別の実施形態では、上記副管腔は最内側チューブによって及び最外側チューブによって部分的に画定されている。別の実施形態では、上記副管腔は最内側チューブの外側表面140と最外側チューブの内側表面141とによって部分的に画定されている。
【0024】
本発明のステントグラフトのグラフトは、選択された体内管腔内においてグラフトとして使用に適しているあらゆる材料で作られるだろう。上記グラフトは同一の材料又は異なる材料で形成されることが可能である。さらに、上記グラフトは、同一の材料又は異なる材料であることが可能な材料の複数の層を備えることが可能である。このグラフトは幾つかの材料層を有することが可能であるが、上記グラフトは、チューブ(最内側チューブ)の形に形成されている層と、チューブ(最外側チューブ)の形に形成されている最外側層とを有するだろう。本発明における目的のために、最外側チューブは、より詳細に後述するようにステントをグラフトに接着するために使用されることがあるテープ層を備えない。本発明の一実施形態では、上記グラフトは最内側チューブと最外側チューブとを備える。
【0025】
多くのグラフト材料が知られており、特に、血管グラフト材料として使用されることが可能なグラフト材料が知られている。一実施形態では、上記材料は、グラフトを構成するために組合せの形で且つ互いに組み合わされて使用されることが可能である。ステントグラフトで使用されるグラフト材料は、押し出し成形され、被覆され、又は、巻かれたフィルム(wrapped film)から形成されることが可能であり、又は、これらの組合せであることが可能である。ポリマー、生分解性材料、及び天然材料を、個々の用途のために使用することが可能である。
【0026】
合成ポリマーの例が、非限定的に、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エラストマー性有機ケイ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリグリコール酸、ポリエステル、ポリアミド、これらの混合物、ブレンド及びコポリマーを含み、これらはグラフト材料として適している。一実施形態では、上記グラフトは、ダクロン(登録商標)及びマイラー(登録商標)を含むポリエチレンテレフタレートのような一群のポリエステルと、ケブラー(登録商標)のようなポリアラミドと、共重合ヘキサフルオロプロピレンを伴うか又は伴わないポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなポリフルオロカーボン(テフロン(登録商標)又はゴアテックス(登録商標))と、多孔性又は非多孔性のポリウレタンとから作られる。別の実施形態では、上記グラフトは、その全体が参照によって本明細書の一部を構成する英国特許第1,355,373号明細書、同第1,506,432号明細書、同第1,506,432号明細書、又は、米国特許第3,953,566号明細書、同第4,187,390号明細書、同第5,276,276号明細書に説明されている、発泡(expanded)フルオロカーボンポリマー(特にPTFE)材料を含む。好ましいフルオロポリマーのグループには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)とのコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)のホモポリマー、TFEとのそのコポリマー、エチレン−クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)のコポリマー、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、及び、ポリフッ化ビニル(PVF)が含まれる。ePTFEが、血管プロテーゼにおいて広く使用されているので、特に好ましい。別の実施形態では、上記グラフトは、上述した材料の組合せを含む。別の実施形態では、上記グラフトは、体液に対して実質的に不浸透性である。この実質的に不浸透性であるグラフトは、体液に対して実質的に不浸透性である材料から作られることが可能であり、又は、(例えば、上述した、又は、当業で公知である異なるタイプの材料を層状に積み重ねることによって)体液に対して実質的に不浸透性であるように処理され又は製造された浸透性の材料で作られることが可能である。別の実施形態では、上記最外側チューブはePTFEを含む。別の実施形態では、上記最内側チューブはePTFEを含む。別の実施形態では、上記最内側チューブ及び上記最外側チューブは、チューブの形に巻かれているePTFEフィルムを含む。別の実施形態では、上記副ステントは、本明細書に開示され又は当業で公知である材料のいずれかによって被覆されている。別の実施形態では、副ステント被覆はePTFEを含む。
【0027】
グラフト材料の追加の例が、非限定的に、ビニリデンフルオリド/ヘキサフルオロプロピレン・ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、ビニリデンフルオリド、1−ヒドロペンタフルオロプロピレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ペンタフルオロプロペン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロアセトン、ヘキサフルオロイソブチレン、フッ化ポリ(エチレン−co−プロピレン)(FPEP)、ポリ(ヘキサフルオロプロペン)(PHFP)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)(PCTFE)、ポリ(ビニリデンフルオリド)(PVDF)、ポリ(ビニリデンフルオリド−co−テトラフルオロエチレン)(PVDF−TFE)、ポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロペン)(PVDF−HFP)、ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ヘキサフルオロプロペン)(PTFE−HFP)、ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ビニルアルコール)(PTFE−VAL)、ポリ(テトラフルオロエチレン−co−酢酸ビニル)(PTFE−VAC)、ポリ(テトラフルオロエチレン−co−プロペン)(PTFEP)、ポリ(ヘキサフルオロプロペン−co−ビニルアルコール)(PHFP−VAL)、ポリ(エチレン−co−テトラフルオロエチレン)(PETFE)、ポリ(エチレン−co−ヘキサフルオロプロペン)(PEHFP)、ポリ(フッ化ビニリデン−co−クロロトリフルオロエチレン)(PVDFーCTFE)、及び、これらの組合せと、すべての目的のためにその全体が参照によって本明細書の一部を構成する米国特許出願公開第2004/0063805号明細書に説明されている追加のポリマー及びコポリマーを含む。追加のポリフルオロコポリマーが、テトラフルオロエチレン(TFE)/パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)を含む。PAVEは、両方がすべての目的のためにその全体が参照によって本明細書の一部を構成する米国特許出願公開第2006/0198866号明細書と米国特許第7,049,380号明細書とに本質的に説明されているように、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、パーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)、又はパーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)であることが可能である。他のポリマー及びコポリマーが、ポリラクチド、ポリカプロラクトン−グリコリド、ポリオルトエステル、ポリアンヒドリド、ポリアミノ酸、ポリサッカリド、ポリホスファゼン、PEO−PLLA又はそのブレンドのようなポリ(エーテル−エステル)コポリマー、ポリジメチル−シロキサン、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)、例えばポリ(ヒドロキシエチルメチルメタクリレート)、ポリビニルピロリジノンのようなアクリル酸塩を主成分とするポリマー又はコポリマー、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ化ポリマー、及び、本明細書にその全体が参照によって本明細書の一部を構成する米国特許出願公開第2004/0063805号明細書に説明されているセルロースエステル並びにあらゆるポリマー及びコポリマーを含む。
【0028】
本発明の上記ステントは、一般的に円筒形であり、且つ、複数の螺旋状の巻回を有する螺旋状に構成された波状起伏を備える。この波状起伏は、図8に示されているように、互いに対して「同相(in−phase)」であるように位置合わせされていることが好ましい。さらに明確に述べると、波状起伏は、互いに反対向きである第1の方向の尖部814と第2の方向の尖部816とを有する。この波状起伏が同相である時には、隣り合う螺旋状巻回の尖部が、これらの尖部が隣の巻回の対応する波状起伏のそれぞれの尖部の中に移動させられることが可能であるように、位置合わせされている。一実施形態では、上記波状起伏は正弦波の形状である。別の実施形態では、上記波状起伏はU字形である。別の実施形態では、上記波状起伏はV字形である。別の実施形態では、上記波状起伏は卵形である。これら形状は、米国特許第6,042,605号明細書、図14A〜Eに詳細に説明されている。米国特許第6,042,605号明細書は、すべての目的のためにその全体が参照によって本明細書の一部を構成する。
【0029】
本発明の別の実施形態では、上記ステントは、移植可能な医療デバイスの製造に使用される公知の材料(又は材料の組合せ)を含む様々な生体適合性材料から作られることが可能である。典型的な材料は、316Lステンレス鋼、コバルト−クロム−ニッケル−モリブデン−鉄合金(「コバルト−クロム」)、L605のような他のコバルト合金、タンタル、ニチノール、又は、他の生体適合性金属を含む。一実施形態では、上記ステントグラフトはバルーン拡張型ステントグラフトである。別の実施形態では、上記ステントグラフトは、自己拡張型ステントグラフトである。別の実施形態では、上記ステントは巻線型ステント(wire wound stent)である。別の実施形態では、上記巻線型ステントは波状起伏を備える。
【0030】
巻線型ステントは、適度に高い強度を有する材料、すなわち、応力が加えられる時に塑性変形に耐える材料から作られることが可能である。一実施形態では、ステント部材は、後述するように、螺旋状巻回と波状起伏とが同時に形成されうるように、上に構成されたピンを有するマンドレルの周りに螺旋状に巻き付けられているワイヤを備える。他の構造も使用可能である。例えば、適切な形状が、平らな原材料から形成されて円筒に巻かれ、適切な形状に形成された所定の長さの管から形成され、又は、材料シートをレーザ切断することによって形成されうる。別の実施形態では、上記ステントは超弾性合金から作られる。ニチノールのような超弾性合金がステントにおいて使用される様々な開示内容が存在している。例えば、Dotterに対する米国特許第4,503,569号明細書、Balko等に対する米国特許第4,512,338号明細書、Wilkoffに対する米国特許第4,990,155号明細書、Harada等に対する米国特許第5,037,427号明細書、MacNamara等に対する米国特許第5,147,370号明細書、Clouseに対する米国特許第5,211,658号明細書、及びTermin等に対する米国特許第5,221,261号明細書を参照されたい。
【0031】
様々な材料、ニチノールのような様々な金属超弾性合金がこれらステントにおける使用に適している。こうした材料の主要な必要条件が、こうした材料が、非常に薄いシート又は小さな直径のワイヤの形に作られる時にさえ適切に弾性があるということである。高い弾性を生じさせるために、物理的に、化学的に、又はその他の方法で処理されている様々なステンレス鋼が適しており、同様に、コバルトクロム合金(例えば、エルジロイ(登録商標))、白金/タングステン合金、及び、特に、「ニチノール」として一般的に知られているニッケル−チタン合金のような他の金属合金も適している。
【0032】
ニチノールが、その「超弾性」又は「擬似弾性」形状回復特性、すなわち、大きな量の湾曲と屈曲とに耐え且つ恒久的に変形することなくその当初の形状に戻る能力のおかげで特に好ましい。これら金属は、これら金属が特定の温度においてオーステナイト結晶構造から応力誘起マルテンサイト構造に変形させられることが可能であり、且つ、応力が解除されると、そのオーステナイト形状に弾性的に戻ることが可能であることによって特徴付けられている。これら交代性の結晶構造がその合金に超弾性特性を与える。これら合金は、公知であり、米国特許第3,174,851号明細書、米国特許第3,351,463号明細書、及び米国特許第3,753,700号明細書に記述されている。
【0033】
他の適切なステント材料が、特定のポリマー材料、特に、サーモトロピック液晶ポリマー(「LCP」)のようなエンジニアリングプラスチックを含む。これらポリマーは、その材料が(流動することが可能であるという点で)液体の特性の幾つかを有するいわゆる「液晶状態」で存在することが可能であるが、長いレンジの結晶の分子秩序を保持する高分子量材料である。術語「サーモトロピック」は、温度調整によって形成されるLCPの種類を意味する。LCPは、p,p′−ジヒドロキシ−多環芳香族化合物又はジカルボキシ−多環芳香族化合物のようなモノマーから調製されるだろう。LCPは、容易に形成され、且つ、折り曲げ可能なステントとして必要とされる高強度プラスチック加工物として機能するために室温において必要なポリマー間の引力(interpolymer attraction)を維持する。LCPは、後述する金属又は合金の繊維のような繊維によって増強され又は充填される時に、特に適している。この繊維は、直線状である必要は必ずしもないが、複合材料の物理的ねじり強化能力を増大させる波形ひだ(corrugation)のような役割を有することがあるということに留意されたい。
【0034】
本発明の別の実施形態が、主枝血管と側枝血管とを有する分岐した体内管腔の中に移植するためのステントグラフトを備え、このステントグラフトはグラフト及び副管腔を備え、グラフトは、開口部を有する最内側チューブと開口部を有する最外側チューブとから構成されており、遠位端部から近位端部に長手方向の軸線に沿って延び、グラフト内を貫通して延びる主管腔を画定し、且つ主ステントによって支持され、副管腔は、上記グラフトの最内側チューブと最外側チューブとの間に定置され、その一部が上記グラフトの遠位端部と近位端部との間に位置させられており、且つ、上記最内側チューブの開口部と上記最外側チューブの開口部とを通して流体連通している。一実施形態では、上記主ステントは自己拡張型のステントである。別の実施形態では、上記自己拡張型ステントはチタン−ニッケル合金を含む。別の実施形態では、上記ステントは、上記グラフトの周りに螺旋状に巻き付けられた単一の連続ワイヤを備える。別の実施形態では、上記単一の連続ワイヤは波状起伏を有する。別の実施形態では、上記波状起伏ワイヤは、上記波状起伏の複数の巻回を備え、及び、上記波状起伏ワイヤの各々の巻回が複数の尖部を備え、1つの巻回の波状起伏が隣の巻回の波状起伏と概して同相である。別の実施形態では、上記波状起伏はU字形である。別の実施形態では、上記波状起伏はV字形である。別の実施形態では、上記波状起伏は卵形である。別の実施形態では、上記波状起伏は正弦波形状である。別の実施形態では、上記ステントは上記グラフトに取り付けられている。別の実施形態では、上記ステントはリボン又はテープによって上記グラフトに取り付けられている。別の実施形態では、上記リボン又はテープは、上記ステントの一部と上記グラフトの一部とに接着されている。別の実施形態では、上記リボン又はテープは、複数の巻回を有する螺旋状の形状に構成されている。別の実施形態では、上記リボン又はテープは、各巻回が隣の巻回から間隔を置かれている複数の巻回を有する螺旋状の形状に構成されている。別の実施形態では、上記巻回の相互間の間隔は均一である。別の実施形態では、上記リボンは上記波状起伏の一部を覆う。別の実施形態では、上記ステントは、尖部部分と基部部分とを各々が備える波状起伏を備え、上記リボン又はテープは、そのリボンが各々の波状起伏の基部部分に沿って設置されるように上記ステントに対して取り付けられ、このため、グラフトに対して波状起伏の基部部分を閉じ込め、波状起伏の尖部部分は閉じ込められない。
【0035】
一体的な支持チューブを有する本体ステントグラフトを作成するための少なくとも1つの方法が、図2から図7において説明されている。
【0036】
図2Aは、そのマンドレルの一方の末端に形成されているスロット又は溝202を有する金属マンドレル200の斜視図である。溝202は背壁204の中に終端する。斜視図である図2Bに示されているように、内側チューブ206はマンドレル200上に滑合されており且つマンドレル溝202の一部を覆う。内側チューブは、(その後の側枝ステントの挿入を可能にするために)変形可能である任意の生体適合性ポリマーを含むことが可能であり、且つ、押し出し成形されるか、被覆されるか、又は巻かれたフィルムから形成されることが可能である。内側チューブのための使用に適した材料が、非限定的に、任意の上述の材料、当業で公知の任意の他の生体適合性材料、又はその組合せを含むだろう。
【0037】
図3Aは、内側チューブ206によって覆われているマンドレル200の斜視図である。この内側チューブは切断されてマンドレル溝202の背壁204においてスリット300を形成する。図3Bに示されているように、側枝又は副ステントアセンブリ302がマンドレル溝202とマンドレル背壁204と内側チューブのスリット300とに位置合わせされている。(後述する)第1の支持部分が副ステントアセンブリの中に入れられ、その次に、この副ステントアセンブリ302は、(第1の支持部分と共に)マンドレル溝202の中に挿入され、内側チューブ206をマンドレル溝の形に変形させる。背壁204は最内側チューブ内の開口部(図1E、131)を画定する。
【0038】
内側チューブの変形した形状を調整するために、図4Aと図4Bとに示されているように、支持部分が副ステントアセンブリとマンドレル溝との中に入れられる。マンドレル200と溝202と溝の背壁204との概略的な側面図が図4Aに示されている。マンドレル200とマンドレル溝202と内側チューブ206との概略的な側面図が図4Bに示されている。副ステントアセンブリ302は、マンドレル溝の背壁204に結合するように形成されている端部を有する第1の支持部分400上に設置されている。第1の支持部分の反対側の端部が、図4Bに示されているような先細の壁又は角張った壁を有する。第2の支持部分402は、内側チューブ206の下のマンドレル溝202の中に入れられる。第2の支持構造は、第1の支持構造の角張った壁と結合する角張った壁を有することが可能であるが、第2の支持構造が角張った壁を有することは必ずしも必要ではない。この第2の支持構造の目的の1つが、製造中に第1の支持部分400を所定の位置に保つことである。マンドレル溝202の形に変形された内側チューブ206が示されている。内側チューブ206が、支持部分400の角張った壁によって形成されている、先細の、傾斜した、又は角張った壁部分404を有することも示されている。
【0039】
内側チューブ(図3A、206)をさらに補強するために、追加のシート又はフィルム層が、副ステントアセンブリの挿入の前に内側チューブの上に追加されてもよい。例えば、2つの軸線方向の高い強度を有する正方形/長方形の薄いフィルムシートが内側チューブ206上に置かれてマンドレル溝に位置合わせされる。このシートはマンドレル溝の幅よりも幅が広く且つマンドレル溝の長さに近い長さを有するように寸法決定されることが可能である。その次に、この補強層はマンドレル溝の形に変形させられ、内側チューブ/副ステントアセンブリに対する追加的な支持を実現する。複数の補強層が、内側チューブの特性を強化するために組み合わされるだろう。層を補強するために使用される適切な材料が、非限定的に、上述の材料のいずれか、当業で公知のいずれかの他の生体適合性材料、又はこれらの組合せを含むだろう。
【0040】
上述の方法では、1つだけの入口を有する分岐型ステントグラフトの形成が説明されたが、追加の入口も、上述した方法に類似した方法を使用して形成されることが可能である。したがって、本発明の別の実施形態は、少なくとも2つの入口を有するステントグラフトを含む。別の実施形態では、本発明の上記ステントグラフトは、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つの入口を備える。こうしたステントグラフトは、特に、腎動脈が枝分かれする腹部大動脈の中にステントグラフトを移植するために有用だろう。これに加えて、本発明のステントグラフトは、形状適合性が高いので、後述するように左鎖骨下動脈と左総頸動脈と腕頭動脈とに対する血液の流れを遮断することなく大動脈の弓形部の中に設置されることが可能である。別の実施形態では、上記幾つかの入口は、必要に応じて、ステントに長手方向に沿って及び/又はステントの周りに円周方向に設置されることが可能である。当業者は、上記入口を脈管構造内の任意の領域において設計することが可能である。
【0041】
副ステントアセンブリを形成する少なくとも1つの方法が図5Aから図5Dに概略的に示されている。図5A及び図5Bの側面図に示されているように、ポリマーチューブ502がマンドレル500上に滑合されている。波状起伏ワイヤが、突出ピン付きのマンドレルの上にそのワイヤを巻き付けることによって、リングステント506の形に形成されることが可能である。マンドレルの直径とピンの直径とピンの位置とが、リングステントの最終的な形態を決定する。そのワイヤがマンドレル上に巻き付けられた後に、そのマンドレルとワイヤとが熱処理され、及び、ステントの形状を固めるために急冷される。その次に、そのワイヤがマンドレルから取り外される。そのワイヤの両端部が、ポリマー熱収縮管材料の切片によって互いに接着され、リングステント506を形成する。他の方法(例えば、レーザ切断)が、副ステントを作るために使用されることが可能である。その次に、これらリングステント506の1つ又は複数が、ポリマーチューブ502上に設置される。その次に、採用随意の放射線不透過性マーカーバンド504がポリマーチューブ502上に設置される。副ステントを作るために使用されるワイヤ又は金属チューブが上述されている。一実施形態では、上記副ステントはニチノールを含む。
【0042】
その次に、図5Cに示されているように、ポリマーチューブ502の一方の端部が、裏返しにされ、ワイヤリングステント506と採用随意の放射線不透過性マーカーバンド504との上に引っ張られる。その次に、マンドレル、ポリマーチューブ、リングステント、及び放射線不透過性バンドが、これら構成要素をステントアセンブリの形に一体的に接着するために熱処理される。このアセンブリはマンドレルから取り外され、一定の長さに切り取られて、図5Dに示されている副ステントアセンブリ302を形成する。その次に、副ステントアセンブリは、第1の支持部分400上に設置される。放射線不透過性マーカーは、非限定的に、金、白金、白金−タングステン、パラジウム、白金−イリジウム、ロジウム、タンタル、若しくはこれらの金属の合金又は複合材料を含む。
【0043】
図4Bにおいて上述したように、その次に、副ステント(又は副ステントアセンブリ)と第1の支持アセンブリとがマンドレル溝202の中に挿入され、マンドレル溝の形に内側チューブ206を変形させる。その次に、図4Bに示されているアセンブリは、外側ポリマーチューブで被覆される。本明細書で説明されているように、上記チューブは、押し出し成形されるか、被覆されるか、又は巻かれたフィルムから形成されることが可能である。
【0044】
このアセンブリは、内側チューブを外側チューブに接着するために熱処理される。側枝入口又は開口部(図1、品目108)が上述のように形成される。その次に、主ワイヤステントが、突出ピンを有するマンドレル上にワイヤを巻き付けることによって形成される。このワイヤは、副ステント(図5B)を形成するために使用されるプロセスに類似したプロセスによってワイヤの形状を固めるために熱処理される。その次に、主ステントが外側ポリマーチューブ上に設置されてポリマーフィルムによって包まれる。その次に、そのアセンブリは、その構成要素を一体的に接着するために熱処理される。
【0045】
ステントをグラフトに取り付ける方法が当業で公知である。一実施形態が、一般的には、少なくとも1つの概して平らな表面を有する平らなリボン又はテープである結合部材を含む。本発明の別の実施形態では、そのテープ部材は、接着剤で被覆された発泡PTFE(ePTFE)から作られている。別の実施形態では、上記接着剤は熱可塑性接着剤である。別の実施形態では、上記熱可塑性接着剤はフッ化エチレンプロピレン(FEP)である。この実施形態では、FEPで被覆された側面が、ステント及びグラフトの外側表面に面するとともに接触し、こうしてステントをグラフトに取り付ける。特定のテープ部材の形態とパターンとが図示されて説明されているが、他の形態及び/又はパターンが、本発明の範囲から逸脱することなく使用されることが可能である。ステントをグラフトに取り付けるための材料及び方法が、すべての目的のために参照によって本明細書の一部を構成するMartinに対する米国特許第6,042,602号に説明されている。
【0046】
図6は、側枝入口124を有する分岐型ステントグラフト120の平面図を示す。この実施形態では、ステントグラフトは、螺旋状に形成されている波状起伏ワイヤの主ステント122を備える。この主ステント122は、上述したように、フィルム巻き付け物(film wrapping)606によってグラフト136に接着されている。このステントは、ステントグラフトアセンブリ120の2つの互いに反対側の端部上に、フィルムが巻き付けられたシーリングカフ(sealing cuff)608を有する。このアセンブリ方法は、例えば、すべての目的のために参照によって本明細書の一部を構成する、Martin等に交付された米国特許第6,042,605号明細書と、Martin等に交付された米国特許第6,361,637号明細書と、Martin等に交付された米国特許第6,520,986号明細書とに概略的に説明されている。
【0047】
側枝ステントグラフトは、理想的には、血管壁に対する並置とシールとを可能にするために、半径方向の高度の剛性を有する遠位部分を有するだろう。側枝ステントグラフトは、さらに、高度に可とう性であり、且つ、天然血管によって与えられる脈動的且つ周期的な負荷に対する高い耐疲労性を有する中間部分も有するだろう。側枝ステントは、さらに、本体ステントの中に展開されている近位部分も有するだろう。側枝ステントのこの近位部分は、本体入口の中へ適正にドッキングしてシールするために半径方向の高度の剛性を必要とする。
【0048】
ワイヤ巻き付け金属ステント702と、グラフト被覆704と、放射線不透過性マーカーバンド706とを備える側枝ステントグラフト700の一実施形態が、図7に示されている。この側枝ステントは、遠位部分708と、中間部分710と、近位部分712とを有する。遠位部分708は、枝血管壁(図1、112)に対する並置とシールとを可能にするために半径方向の高度の剛性を有する。中間部分710は、高度に可とう性であり、且つ、天然血管によって与えられる脈動的且つ周期的な負荷に対して高度に耐疲労性である。本体ステント(図1、102)の中に展開される近位部分712は、本体入口の中へ適正にドッキングしてシールするために、半径方向の高度の剛性を有し、且つ、追加のデバイス展開が使用される場合(例えば、エキステンダ)に、圧縮に耐えて開存性を維持することが可能である。
【0049】
側枝ステントグラフト700を製造するために使用されるプロセスは、上記定義されたようにステントグラフトアセンブリ(図6、120)を製造するために使用されることが可能である。こうしたアセンブリ方法は、例えば、Martin等に交付された米国特許第6,042,605号明細書と、Martin等に交付された米国特許第6,361,637号明細書と、Martin等に交付された米国特許第6,520,986号明細書とに概略的に開示されている。側枝ステントの剛性、半径方向の強度、可とう性、及び疲労寿命が、ステントワイヤの特性、ワイヤの巻き付けパターン形状、グラフトの特性、及びワイヤ/グラフト取り付け形態によって調整されることが可能である。例えば、図7では、側枝ステント700の遠位部分708は、比較的大きい波状起伏の振幅を有する波状起伏ワイヤパターンを有する。この波状起伏は、さらに、比較的大きな間隔を開けられている。これに比較して、側枝ステントの中間部分710は、比較的小さい波状起伏の振幅を有する波状起伏ワイヤパターンを有する。この波状起伏も比較的大きな間隔を置かれている。最後に、本体ステント(図1、102)内に展開されている近位部分712は、比較的大きい波状起伏の振幅を有する波状起伏ワイヤパターンを有する。波状起伏は、さらに、隣接するワイヤに対して比較的小さい間隔を置かれている。
【0050】
側枝ステントグラフトを主ステントグラフトに接着する方法が公知である。これら方法は、非限定的に、摩擦嵌合、フック、逆とげ(barb)、及び/又は隆起ステント尖部を含む。追加の方法は、すべての目的のためにその全体が参照によって本明細書の一部を構成するHamer及びZukowskiに交付された米国特許出願公開第2009/0043376号明細書に開示されている。
【0051】
ステントグラフトは、縮小した直径になるように折り畳まれた後に、典型的には脈管構造を経由して経皮的に送達されるだろう。意図された送達部位に到達すると、このステントグラフトは血管壁上の内張りを形成するように拡張させられる。一実施形態では、このステントグラフトは、その長手方向の軸線に沿って折り畳まれて、弾性戻りで開くこと(springing open)が抑制される。その次に、このステントグラフトは、このグラフトが血管壁に押し当たって開くことを可能にするように、抑制機構を取り除くことによって展開される。本発明のステントグラフトは、一般的に、一旦展開されると自動的に開く。必要に応じて、ステントグラフトの完全な開きを確実にするための膨張型バルーンカテーテル又はこれに類似した手段が、特定の状況下において使用されてもよい。別の実施形態では、上記ステントグラフトはバルーン拡張型ステントである。側枝も、縮小した直径になるように折り畳まれた後に経皮的に送達されることが可能である。
【0052】
本発明のステントグラフトは、脈管構造内のステントグラフトの正確な位置決めを容易にするために、少なくとも1つ又は2つの放射線不透過性マーカーを備えることができる。上記放射線不透過性マーカーは、上記側枝入口が正確に位置合わせされていることを確認するために軸線方向と回転方向の両方においてステントグラフトを正確に位置合わせするために使用されることが可能である。上記放射線不透過性マーカーは、非限定的に、金、白金、白金−タングステン、パラジウム、白金−イリジウム、ロジウム、タンタル、又は合金を含む。あるいは、これに代わる代替策として、送達カテーテルの設計が十分なトルク伝導を示す場合に、グラフトの回転方向配置がそのカテーテルの近位端部上の指標付きマーカー(indexed marker)によって調整されることが可能であり、その結果としてそのカテーテルが1つ又は複数の側枝を適切に位置合わせするために回転させられるだろう。本発明の分岐型ステントグラフトとこれに関連した側枝とを送達する別の方法が、両方がすべての目的のためにその全体が参照によって本明細書の一部を構成する、Hamer及びJohnsonに対する米国特許出願公開第2008/0269866号明細書と、Johnsonに対する米国特許出願公開第2008/0269867号明細書とに開示されている。
【0053】
本発明の別の実施形態が、天然血管の高度に曲がりくねった区域に形状的に適合することが可能な形状適合性が高いステントグラフトを備える。上記ステントグラフトは、採用随意に、少なくとも1つの側枝入口を包含することができる。
【0054】
図8を参照すると、本発明の形状適合性が高いステントグラフト800が、一般的には、グラフト804と、ステント802と、ステント及びグラフト部材を一体的に結合するためのテープ部材(1406、図14)とを含み、且つ、形状適合性が高い。ステント及びグラフトは、概して同軸上にあるように一体的に結合されることが好ましい。
【0055】
本発明の一実施形態では、形状適合性が高いステントグラフト800は、グラフト804を取り囲む螺旋状に形成されたワイヤステント802を有する。このワイヤ形態のステントは、互いに反対側に位置する第1の方向の尖部814と第2の方向の尖部816とを有する。ステントグラフト800は、シーリングカフ808を採用随意に備える第1の端部部分806を有する。同様に、ステントグラフト800は、第2のシーリングカフ812(図示のために折り返されている)と放射線不透過性マーカー818とを採用随意に備える第2の端部部分810を有する。図9に示されているように、可とう性ステントグラフト800は、長手方向の圧縮時に形成される一方向性の折りひだ900を有する。一実施形態では、本発明の上記ステントグラフトは、側枝デバイスの導入のために本発明の上記ステントグラフトの両端部の間に少なくとも1つの入口を有する。別の実施形態では、上記側枝デバイスはステントグラフトである。
【0056】
図9は、長手方向圧縮状態にある可とう性ステントグラフト800を示し、この場合には、一方向性の折りひだ900がステントグラフト800の全周の周りに形成されている。
【0057】
図10Aは、圧縮されたステントグラフト800の一方向性の折りひだ形成を示している、図9の横断面3−3に沿った、ステントグラフト800の1つの壁の長手方向部分横断面図である。この一方向性の折りひだは、共通の方向配置を有し、且つ、同一の方向にすべてが曲げられている。ワイヤステント802は、反対向きの第1の方向の尖部814がグラフト材料804の隣接した折り畳み部分の下に折り込まれて一方向性の折りひだ900を形成している形で示されている。矢印1000が、血流の中断と乱流とを最小限にするために「折りひだと調和する(going with pleat)」ような好ましい血流方向を示す。図10Bは、図10Aと類似した長手方向横断面図であり、好ましい血流方向1000と共に一方向性の折りひだ900を示す。
【0058】
図11は、一方向性の折りひだ900がステントグラフト円周の一部(すなわち、内側経線)上に形成されている、湾曲の内側経線に沿ってグラフトの壁に対して圧縮(すなわち、部分的な長手方向の圧縮)を与える湾曲形状の形で可とう性ステントグラフト800を示す。外側経線が、折りひだの無い、すなわち、直線状のグラフト部分1100を有する。矢印1102が、図10において上述した好ましい血流の方向を示す。
【0059】
本発明の一実施形態は、ステントによって支持されているグラフトを備え、上記ステントは、互いに反対向きである第1の方向と第2の方向の尖部を各々が備える波状起伏と、第1及び第2の長手方向端縁を有するテープ部材とを備え、このテープ部材は、その第1のテープ端縁が各々の波状起伏の第1又は第2の方向の尖部を実質的に覆うように上記スタント及びグラフトに取り付けられ、このため波状起伏の第1又は第2の方向の尖部をグラフトに閉じ込め、波状起伏の第1又は第2の方向の尖部はグラフトに対して閉じ込められていない。一実施形態では、上記第1の方向の尖部はグラフトに閉じ込められており、且つ、第2の方向の尖部はグラフトに対して閉じ込められていない。別の実施形態では、第2の方向の上記尖部はグラフトに閉じ込められており、且つ、第1の方向の尖部はグラフトに対して閉じ込められていない。別の実施形態では、上記グラフトは、長手方向に圧縮される場合に、円周方向に方向配置された一方向性の折りひだを形成する。別の実施形態では、上記波状起伏の(第1の方向又は第2の方向のどちらかの)上記閉じ込められた尖部は、圧縮されている時に、隣接する折りひだの下に位置している。術語「閉じ込められた尖部(confined apices)」は、尖部がテープ部材によってグラフトに取り付けられ又は当業で公知の別の方法によってグラフトに取り付けられているということを意味する。別の実施形態では、上記閉じ込められた尖部は、第1の方向の尖部の波状起伏高さ1312の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%を覆うように、隣接する折りひだの下に位置されている。ステントをグラフトにテープで固定する方法、ステントのデザイン、グラフトの構造、及び/又は、ステントグラフトの構造に起因する他のあらゆる考慮すべき事項に応じて、すべての尖部は、隣接する折りひだの下に必ずしも位置しなくてもよく、又は、隣接する折りひだの背後に位置しうる波状起伏高さ1312において必ずしも異ならなくてもよい。したがって、本発明にしたがって圧縮可能でないことがあるステントグラフトの区域が存在することがある。したがって、別の実施形態では、ステントグラフトの一区域だけが、閉じ込められた尖部を隣接する折りひだの下に位置させることによって、圧縮されることがある。別の実施形態では、ステントグラフトの一部だけが、図11に示されているように、(内側経線において)閉じ込められた尖部を隣接する折りひだの下に位置させることによって、折り畳まれることがある。開示している実施形態は、折りひだの背後に位置している第1の方向の尖部を備えるが、本発明は、さらに、グラフトに取り付けられており且つ隣接する折りひだの下に位置させられている第2の方向の尖部も包含し、他方では、第1の方向の尖部は閉じ込められていない。
【0060】
本発明の重要な一側面が、第1及び第2の長手方向端縁を備えるテープ部材がステント部材をグラフト部材に固定してステント部材の一部だけを覆うということである。明確に述べると、上記テープ部材は、上記テープ部材の第1の端縁が各々の波状起伏の第1の方向の尖部を実質的に覆うように上記ステント及びグラフトに取り付けられ、このため波状起伏の第1の方向の尖部をグラフトに閉じ込める。一実施形態では、上記テープ部材の第1の端縁は、図14に実質的に示されているように、各々の波状起伏の第1の方向の尖部814の端縁に位置合わせされている。この構造によって、図9と図11とに示されているように、ステントグラフトが圧縮される時に、グラフトは、円周方向において一方向性の折りひだを形成し、且つ、第1の方向の上記尖部814が隣接する折りひだの下に位置させられることを可能にする。図11に示されているように、上記一方向性の折りひだの形成が上記ステントグラフトの形状適合性を高め、こうして湾曲する能力をステントグラフトに与える。一実施形態では、上記ステントグラフトは、捩れることなく少なくとも90°に湾曲することが可能である(すなわち、管腔表面において実質的に円形の横断面を維持する)。別の実施形態では、上記ステントグラフトは、生体内での展開の後に、捩れることなく少なくとも90°に湾曲することが可能である。
【0061】
テープ部材は、ステント及びグラフトと接合するための概して幅広の且つ/又は平らな表面を有する。このことが、ステントグラフトの構造的完全性を強化するために、テープ部材とグラフト部材との間の潜在的な接着表面積を増大させる。この増大された接着表面積は、さらに、テープ部材の厚さを最小化することを容易にする。これに加えて、テープ部材は、図14に示されている実施形態による螺旋状の形態に構成される(螺旋状に構成されたテープ部材1406)。図示されているように、テープ部材は一定の幅に形成され、且つ、巻回の間が均一の間隔になるように構成されている。テープ部材1406は各々の波状起伏の第1の方向の尖部を覆うだけでなく各波状起伏の一部も覆う。別の実施形態では、ステントグラフト上に幾つかのテープ部材が存在することが可能であり、これらのテープ部材は上述した機能と同じ機能を果たす。ステントグラフト上に幾つかのテープ部材を有することの非限定的な理由が、図12、1206、図14、1408、図1B、121に示されているように、ステントパターンに分断がある場合に、例えば側枝デバイスのための入口のための空間を作るためにステントパターンを変化させることである。別の実施形態では、上記テープ部材は、ステントグラフトが圧縮されていない時に、波状起伏ステント部材の隣接する列に重ならない。実施形態及び図が、各々の波状起伏の第1の方向の尖部がテープ部材によってステントグラフトに取り付けられている実施形態を示すが、上記第2の方向の尖部もステントグラフトに取り付けられてもよく、且つ、他方では、第1の方向の尖部がステントグラフトに取り付けられていない。
【0062】
テープ部材の幅がステントグラフトの可とう性に影響を与える可能性があるということが分かってきた。テープ部材の幅が広ければ広いほど、ステントグラフトの可とう性が低下するだろう。したがって、一実施形態では、上記テープ部材は、波状起伏高さ1312(図13)の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%を覆う。別の実施形態では、上記テープ部材の全幅が上記ステント及びグラフトに接着される。別の実施形態では、上記テープ部材は、例えば非圧縮時又は部分圧縮時に、波状起伏ステント部材の隣接する列に延びないか又は接触しない。別の実施形態では、上記一方向性の折りひだの幅がテープ部材の幅と同一である。テープ部材が各波状起伏の一部を覆うことが可能であり、上述したように、第1の方向の尖部をグラフトに閉じ込めることを含むが、波状起伏の第2の方向の尖部はグラフトに対して閉じ込められていない(例えば、図8の816)。この構造が、ステントグラフトが圧縮される場合に、折りひだの形成を可能にする。ステントグラフトが長手方向に圧縮する時に、折りひだは、図9に示されているように、完全円周であることが可能であり、又は、図11に示されているように、湾曲部の内側経線であることが可能である。別の実施形態では、最初に圧縮される時に、上記一方向性の円周折りひだが形成される。言い換えると、上記一方向性の円周折りひだを形成するためには、ステントグラフトをさらに操作することが不要である。別の実施形態では、上記一方向性の円周折りひだは、展開される時に、生体内で形成されうる。別の実施形態では、上記折りひだは、上記ステントグラフトが展開される時に、生体内で内側経線において形成されうる。本発明の上記ステントグラフトは、上述したように、大動脈弓、又は、他の曲がりくねった、湾曲した、若しくは曲がった体内管腔に対して形状的に適合することが可能である。別の実施形態では、テープ部材(又は、その別個の部品)は、さらに、ステント部材によって形成されている支持構造に対してグラフト部材の末端部分を固定するために、ステントグラフトの末端端部部分も取り囲む。
【0063】
本発明の別の実施形態では、テープ部材は、接着剤で被覆された発泡PTFE(ePTFE)で作られている。別の実施形態では、上記接着剤は熱可塑性接着剤である。別の実施形態では、上記熱可塑性接着剤はフッ化エチレンプロピレン(FEP)である。この実施形態では、FEP被覆された側面が、ステント及びグラフトの外側表面に面して且つ接触しており、こうしてステントをグラフトに付着させる。特定のテープ部材の形態とパターンとが図示されて説明されているが、他の形態及び/又はパターンが、本発明の範囲から逸脱することなしに使用されてもよい。
【0064】
本発明の別の実施形態では、本発明の上記ステントグラフトは、そのデバイスの蛍光透視による可視化を可能にするためにそのデバイスの中に(特にグラフトの中に)組み込まれることがある、金、白金、白金−タングステン、パラジウム、白金−イリジウム、ロジウム、タンタル、又は、これらの金属の合金又は複合物のような1つ又は複数の放射線不透過性の金属繊維を備える。
【0065】
本発明の別の実施形態では、本発明の上記ステントグラフトは、図8に示されているように、採用随意のシーリングカフ808、812を備える。上記シーリングカフは、ステントグラフト800の外側表面に固定されている第1のカフ端部と、フランジを形成するためにその少なくとも一部が固定されていない第2のカフ端部とを備える。この形態では、そのフランジは、ステントグラフト800を円周方向に取り囲み且つステントグラフトの周りの流れを閉鎖する一方向弁を形成する。一実施形態では、上記シーリングカフは、ステントグラフト800の第1の末端部分806の周りに定置されている。別の実施形態では、上記シーリングカフは、ステントグラフト800の第2の末端部分810の周りに定置されている。別の実施形態では、上記シーリングカフは、ステントグラフト800の第1の末端部分806と第2の末端部分810との周りに定置されている。別の実施形態では、シーリングカフ(808、812)は、血液中又は他の含水体液中のように、水に露出される時に膨張する親水性材料、好ましくは親水性ポリマー又はゲル発泡体を含む。別の実施形態では、上記シーリングカフ808、812は、上述の材料を含むことが可能である。シーリングカフの記述が、すべての目的のためにその全体が参照によって本明細書の一部を構成する米国特許第6,015,431号明細書に見出される。
【0066】
本発明は、さらに、限定と見なされるべきではない後述の実施例によって説明される。すべての図及び参照の内容が参照によって本明細書の一部を構成する。
【0067】
本発明の特定の実施形態が本明細書で図示されて説明されてきたが、本発明は、こうした図解と説明とに限定されてはならない。変形と変更とが、後述の特許請求の範囲内において、本発明の一部として組み込まれ且つ実現されてよいということが明らかなはずである。
【実施例1】
【0068】
高度に形状適合性であるステントグラフトの作成
図8に示されている概略的な構成を有する可とう性ステントグラフトが組み立てられた。
【0069】
このステントグラフトは、基部チューブを形成するために、最初に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のチューブを押し出し成形して延伸させることによって製造された。この基部チューブは、約60mmの長さと、約0.06mmの壁厚と、約26mmの直径とを有した。この基部チューブは、このチューブが長手方向では相対的に強く且つ半径方向では相対的に弱いように、長手方向に実質的な線維方向配置を有した。この基部チューブは、約31mmの直径を有するマンドレルの上で半径方向に伸張させられた。
【0070】
流体の浸透に対する耐性を実現するために、且つ、基部チューブの半径方向の強度を強化するために、高密度ePTFEフィルムが基部チューブの上に巻き付けられた。このフィルムは薄くて強いフルオロポリマーだった。この用途のための特に好ましい材料が、以下では「実質的に不浸透性であるePTFE/FEP絶縁テープ」と呼ばれる、熱可塑性フッ化エチレンプロピレン(FEP)の接着性被覆物を備えている非多孔性ePTFEである。FEPは基部チューブに対して下向きに方向付けられていた。EPTFEは医療デバイス分野では公知である。これは、一般的に、Goreに対する米国特許第3,953,566号明細書及び米国特許第4,187,390号明細書によって説明されているように作られる。本明細書で説明されているテープは、約0.0064mmの厚さと、約0.6MPaよりも大きいイソプロピル泡立ち点と、60(分/1平方インチ/100cc)(又は、60(分/6.45平方センチメートル/100cc))よりも大きいガ−レー数(Gurley No.)(透過率)と、2.15g/ccの密度と、長さ方向(最も丈夫な方向)における約309MPaの引張り強さとを有する、実質的に非多孔性であるePTFE/FEPフィルムから切り取られる。このフィルムは、4つのパス(pass)が約86°のピッチ角で螺旋状に巻き付けられた状態で約19mm(0.75″)の幅を有した。
【0071】
基部チューブの半径方向の強度をさらに増強するために、及び、目の粗い構造の接着層(open structure bonding layer)を提供するために、追加のフィルム層が付着させられた。このePTFEフィルムは、長手方向における高い強度を有し,且つ、非常に目の粗い微細構造を有した。この目の粗い微細構造は、グラフトに対するステントフレームの後続のFEP/ePTFE接着を強化した。このフィルムは約2.5ミクロン(0.0001″)の厚さと、約25.4mm(1.0″)の幅とを有した。8つの螺旋状に巻かれた層が約83°のピッチ角で付着させられた。
【0072】
その次に、マンドレルと巻き付けられたフィルムとが、フィルムを互いに接着させるために、空気対流炉内で熱処理された。
【0073】
その次に、ステントフレームが、突出ピンを有するマンドレルの上にニチノールワイヤを巻き付けることによって形成された。円筒形マンドレルの「平らな、すなわち広げられた」図が図12に示されている。全体的な巻き付けパターン1200と、詳細な第1の末端部分1202と第2の末端部分1204とが示されている。さらに、枝入口が必要とされる場合に全体的パターンの中に組み込まれることが可能な採用随意の「側枝入口」構成1206も示されている。1206として示されている汎用の単一の円周巻き付けパターンが、必要に応じて、採用随意の側枝パターン1206に取って代わることが可能である。
【0074】
1206として示されている単一の円周巻線パターンが図13に示されている。このパターンは、直線ピッチ1300と、ピン直径1302と、ワイヤ直径1304と、ワイヤ頂角1306と、周長1308と、頂部−基部半周波数(apex to base half frequency)1310とを含む。示されているこのパターンは、以前に図12に示されていた第1及び第2の末端部分を除いて、ステント長さに沿って反復された。採用随意の側枝入口構成(図12、1206)は含まれていなかった。
【0075】
ステントフレームは、図13に示されている次の寸法にしたがって形成された。直線ピッチ1300が約9.7mm(0.383″)であり、ピン直径1302が約1.6mm(0.063″)であり、ワイヤ直径1304が約0.5mm(0.0195″)であり、ワイヤ頂角1306が約50.4度であり、周長1308が約97.3mm(3.83″)であり、及び、頂部−基部半周波数1310が約5.3mm(0.21″)だった。
【0076】
その次に、巻き付けられたワイヤを有するマンドレルが、当業で公知のように(例えば、Leopoldに対する米国特許第6,352,561号明細書を参照されたい)、空気対流炉内で熱処理され、その次に、室温の水の中で冷却された。
【0077】
そのワイヤステントが巻き付けマンドレルから取り外された。ワイヤの末端(図12に1202及び1204で示されている)が、切断されて、図14に1402と1404とで示されているように、高温繊維によって互いに結び合わされた。その入れ子状態の対の振幅は、そのワイヤが入れ子にされている時にその入れ子状態のワイヤが、悪い形で強く引っ張られた領域(図14の1410及び1412を参照されたい)を生じさせないように隣の尖部よりも長い。ステントが、ステントワイヤの一部に隣接しているその下に位置するFEPをはんだごてを使用して溶融させることによって、巻き付けられたチューブに部分的に接着させられた。FEPと共に積層されているePTFEテープの最後の層が、図14に示されているパターンにしたがってワイヤステントの上に巻き付けられて、ステントをグラフトに固定するようにそのフィルムをその下に位置するグラフトに接着するために炉の中に入れられた。
【0078】
グラフト材料804を取り囲む波状起伏形の螺旋状ワイヤステント802を有するステントグラフト1400が、図14に示されている。このステントは、螺旋状に付着させられたテープ部材1406によってグラフト材料に取り付けられている。図示されているように、螺旋状に付着させられているテープ部材1406の第1の端縁は、ワイヤステントの互いに反対側に位置する第1の尖部814を覆う。側枝入口が必要である場合には、採用随意の巻き付けパターン区域1408が組み込まれることが可能である。テープ1406は、約5.5mm(0.215″)の幅と約10ミクロン(0.0004″)の厚さとを有するePTFE/FEP積層物だった。このテープは、はんだごてを使用してステントワイヤの一部に隣接したその下に位置するFEPを溶融することによって、巻き付けられたチューブに部分的に接着させられた。犠牲圧縮テープ(sacrificial compression tape)がステントグラフト上に螺旋状に巻き付けられた。この圧縮テープは、約51mm(2″)の幅で約0.5mm(0.02″)の厚さであり、約50%の重なりを伴って巻き付けられた。追加の犠牲フィルムが、後続の熱処理圧縮段階を補助するために巻き付けられた。このフィルムは、長手方向の繊維/強度方向と、約2.5ミクロン(0.0001″)の厚さと、約51mm(2″)の幅とを有するePTFEテープだった。5つのパス(pass)が、フィルム層の間の約50%の重なりを伴って加えられた。
【0079】
その次に、このアセンブリが、(Leopoldに対する米国特許第6,352,561号明細書に基本的に説明されているように)フィルム層を一体的に接着するために空気対流炉内で熱処理された。この熱処理サイクル中に、フィルムはマンドレルに対して押し付けられ、これによって溶融FEPがその下に位置するフィルム層の中に流れ込むことを引き起こし、グラフト層をワイヤステントと共に一体的に接着した。冷却後に、犠牲フィルム圧縮層が取り除かれて、グラフト材料の末端が特定の長さになるように切断され、ステントグラフトがマンドレルから取り外された。この結果として得られたステントグラフトが、採用随意のシーリングカフ(図8、806、810)を除いて、図8に示されている。
【実施例2】
【0080】
一体的な側枝入口を有する高度に形状適合性であるステントグラフトの作成
図2Aと図2Bとを参照すると、金属マンドレル200が、そのマンドレルの一方の末端の中に形成されているスロット202を有して形成された。このスロット202は背壁204上で終端する。このマンドレルは約31mmの直径を有し,このスロットは約12.5mmの幅と約10mmの深さと約13cmの長さとを有した。図2Bに示されているように、内側チューブ206はマンドレル200上に半径方向に伸張させられ且つマンドレル溝202の一部を覆った。内側チューブは、押出し成形されて延伸させられたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のチューブだった。この内側チューブは、約60mmの長さと、約0.06mmの壁厚さと、約26mmの直径とを有した。この内側チューブは、そのチューブが長手方向で相対的に強く且つ同時に半径方向で相対的に弱いように、実質的な長手方向の繊維方向配置を有した。
【0081】
図3Aに示されているように、マンドレル200は内側チューブ206によって覆われていた。この内側チューブは切断されてマンドレル溝202の背壁204にスリット300を形成した。
【0082】
内側チューブ(図3A、206)をさらに強化するために、副ステントアセンブリの挿入の前に、2つの追加のポリマーシートが内側チューブ上に追加された。その次に、その補強層は、マンドレル溝の形に変形させられ、内側チューブ/副ステントアセンブリに対する追加的な支持を実現した。この補強層は、以下では「実質的に不浸透性であるePTFE/FEP絶縁テープ」と呼ばれる、熱可塑性フッ化エチレンプロピレン(FEP)の接着性被覆物を備えている高密度ePTFEを含んだ。この補強層のFEPは基部チューブに向けて方向配置された。EPTFEは医療デバイス分野では公知である。これは、一般的に、Goreに対する米国特許第3,953,566号明細書及び米国特許第4,187,390号明細書によって説明されているように作られる。本明細書に説明されているこの補強層は、約0.0064mmの厚さと、約0.6MPaよりも大きいイソプロピル泡立ち点と、60(分/1平方インチ/100cc)(又は60(分/6.45平方センチメートル/100cc))よりも大きいガ−レー数(Gurley No.)(透過率)と、2.15g/ccの密度と、長さ方向(すなわち、最も強い方向)における約309MPaの引張り強さとを有する、実質的に非多孔性であるePTFE/FEPフィルムから切断された。この第1の補強層は、約25mmの幅で約25mmの長さであり、スロットの背壁から(マンドレルの末端に向かって)約15mm、マンドレルスロット上において中央に位置決めされた。第2の補強層が、約25mmの幅及び約40mmの長さであり、且つ、スロット背壁204に当接するマンドレルスロット上において中央に位置決めされた。
【0083】
図3Bに示されているように、副ステントアセンブリ302は、マンドレル溝202と、マンドレル背壁204と、補強層及び内側チューブスリット300とに位置合わせされた。(後述する)第1の支持部分が副ステントアセンブリの中に入れられ、その次に、この副ステントアセンブリ302は、(第1の支持部分と共に)マンドレル溝202の中に挿入され、内側チューブ206(及び、補強層)をマンドレル溝の形に変形させた。背壁204は最内側チューブ(図1E、130)内に開口部を画定した。
【0084】
内側チューブの変形された形状を調整するために、支持部分が、図4Aと図4Bとに示されているように、副ステントアセンブリの中とマンドレル溝の中とに入れられた。マンドレル200と溝202と溝背壁204の概略的な側面図が図4Aに示されている。マンドレル200とマンドレル溝202と内側チューブ206との概略的な側面図が図4Bに示されている。副ステントアセンブリ302が、マンドレル溝の背壁204に係合するように形成された端部を有する第1の支持部分400の上に置かれた。第1の支持部分の反対側の端部が、図4Bに示されているように、先細の壁又は角張った壁を有した。第2の支持部分402が、内側チューブ206の下のマンドレル溝202の中に入れられた。第2の支持構造は、平らな壁を有し、且つ、第1の支持構造400を所定の場所に保持するために使用された。内側チューブ206はマンドレル溝202の形に変形された形で示されている。この内側チューブ206は、さらに、支持部分400の角張った壁によって形成された先細の、傾斜した、又は角張った壁部分404を有する形でも示されている。
【0085】
副ステントアセンブリが、図5Aから図5Dに概略的に示されているようにアセンブリされた。図5Aと図5Bとに示されているように、ポリマーチューブ502がマンドレル500上に滑合された。このチューブは、上述した補強層のために使用される材料と同一の材料のフィルムで形成された。このフィルムは、マンドレルから離れるように方向配置されたFEP層を伴って、約8mmの直径を有するマンドレル上に螺旋状に巻き付けられた。その次に、この巻き付けられたマンドレルは、チューブを形成するFEP/ePTFE層を溶融させるために熱固化(heat set)された。波状起伏ワイヤが、突出ピンを有するマンドレル上にそのワイヤを巻き付けることによって、リングステント506の形に形成された。マンドレルの直径とピンの直径とが、そのピンの場所と共に、そのリングステントの最終的な形態を決定した。そのワイヤは、ニチノールであり、約0.15mmの直径を有した。波状起伏ステントパターンが約5mmの尖部−尖部長さ(apex to apex length)を有した。そのワイヤがマンドレル上に巻き付けられた後に、そのステントの形状を固まらせるために、そのマンドレルとワイヤとが熱処理されて室温の水の中で冷却された。その次に、そのワイヤはマンドレルから取り外された。そのワイヤの両端部がポリマー熱収縮チューブの切片によって接着され、リングステント506を形成した。その次に、この2つのリングステント506が、ポリマーチューブ502上に置かれた。その次に、放射線不透過性の金のマーカーバンド504がそのポリマーチューブ502上に設置された。
【0086】
その次に、図5Cに示されているように、ポリマーチューブ502の一方の端部が裏返しにされてワイヤリングステント506と放射線不透過性マーカーバンド504との上に引っ張られた。その次に、マンドレルと、ポリマーチューブと、リングステントと、放射線不透過性バンドとが、これら構成要素をステントアセンブリの形に一体的に接着するために熱処理された。このアセンブリはマンドレルから取り外されて、特定の長さに切断され、図5Dに示されているような副ステントアセンブリ302を形成した。その次に、この副ステントアセンブリは、第1の支持部分400上に置かれた。
【0087】
上述したように(図4B)、その次に、副ステント(すなわち、副ステントアセンブリ)と第1の支持アセンブリとはマンドレル溝202の中に挿入されて内側チューブ206をマンドレル溝の形に変形させた。第2の支持部分402は、内側チューブ206の下のマンドレル溝202の中に入れられた。その次に、図4Bに示されているアセンブリは、外側支持フィルムによって覆われた。この支持体は、上述した補強層のために使用された材料と同一の材料のフィルムによって形成された。このフィルムは、幅約30mmで幅約27mmであり、且つ、(マンドレルの末端から距離を置いて)スロット背壁の約6mmの背後においてマンドレルスロット上において中央に位置決めされた。そのFEP層はマンドレルに向かって下向きに方向配置された。
【0088】
流体の浸透に対する耐性を実現するために、且つ、基部チューブの半径方向の強度を増大させるために、高密度ePTFEのフィルムが基部チューブ上に巻き付けられた。このフィルムは薄くて強いフルオロポリマーであり、この用途のための特に好ましい材料が、以下では「実質的に不浸透性であるePTFE/FEP絶縁テープ」と呼ばれている、熱可塑性フッ化エチレンプロピレン(FEP)の接着剤被覆を備える非多孔性ePTFEである。このFEPは、基部チューブに対して下向きに方向配置された。EPTFEは医療デバイス分野で公知である。これは、一般的に、Goreに対する米国特許第3,953,566号明細書及び米国特許第4,187,390号明細書によって説明されているように作られる。本明細書で説明されているテープは、約0.0064mmの厚さと、約0.6MPaよりも大きいイソプロピル泡立ち点と、60(分/1平方インチ/100cc)(又は、60(分/6.45平方センチメートル/100cc))よりも大きいガ−レー数(Gurley No.)(透過率)と、2.15g/ccの密度と、長さ方向(最も強い方向)における約309MPaの引張り強さとを有する、実質的に非多孔性であるePTFE/FEPフィルムから切断される。このフィルムは、約86°のピッチ角で螺旋状に巻き付けられている4つのパス(pass)を有する約19mm(0.75″)の幅を有した。
【0089】
基部チューブの半径方向の強度をさらに増強するために,及び、目の粗い構造の接着層を提供するために、追加のフィルム層が加えられた。ePTFEフィルムは、長手方向に高い強度を有し、且つ、非常に目の粗い微細構造を有した。この目の粗い微細構造は、後でグラフトに対してステントフレームをFEP/ePTFE接着することを増強した。そのフィルムは、約2.5ミクロン(0.0001″)の厚さと約25.4mm(1.0″)の幅とを有した。8つの螺旋状に巻き付けられた層が、約83°のピッチ角で付加された。
【0090】
その次に、マンドレルと巻き付けられたフィルムとが、フィルム層を一体的に接着するために空気対流炉内で熱処理された。
【0091】
その次に,ステントフレームが、ニチノールワイヤを、突出ピンを有するマンドレル上に巻き付けることによって形成された。円筒形マンドレルの「平らな、すなわち、広げられた」図が図12に示されている。全体的な巻き付けパターン1200と、詳細な第1の末端部分1202と第2の末端部分1204とが示されている。さらに、枝入口を形成するために全体的パターンの中に組み込まれた「側枝入口」構成1206も示されている。
【0092】
1206として示されている単一の円周巻線パターンが図13に示されている。このパターンは、直線ピッチ1300と、ピン直径1302と、ワイヤ直径1304と、ワイヤ頂角1306と、周長1308と、頂部−基部半周波数(apex to base half frequency)1310とを含む。示されているこのパターンが、以前に図12(1202、1204)に示されていた第1及び第2の末端部分を除いて、ステント長さに沿って反復された。採用随意の側枝入口構成(図12、1206)は含まれていた。
【0093】
ステントフレームは、図13に示されている次の寸法にしたがって形成された。直線ピッチ1300が約9.7mm(0.383″)であり、ピン直径1302が約1.6mm(0.063″)であり、ワイヤ直径1304が約0.5mm(0.0195″)であり、ワイヤ頂角1306が約50.4度であり、周長1308が約97.3mm(3.83″)であり、頂部−基部半周波数1310が約5.3mm(0.21″)だった。
【0094】
その次に、巻き付けられたワイヤを伴うマンドレルが、当業で公知のように空気対流炉内で熱処理され、その次に、室温の水の中で冷却された。
【0095】
その次に、ワイヤステントが巻き付けマンドレルから取り外された。ワイヤの末端(図12に1202及び1204で示されている)が、切り取られて、図14に1402と1404で示されているように、高温繊維によって互いに結び合された。その次に、そのワイヤステントは、前もってフィルムが巻き付けられたチューブ/マンドレル上に置かれた。ステントが、ステントワイヤの一部に隣接しているその下に位置するFEPをはんだごてを使用して溶融させることによって、巻き付けられたチューブに部分的に接着させられた。FEPと共に積層されているePTFEテープの最後の層が、図14に示されているパターンにしたがってワイヤステントの上に巻き付けられた。
【0096】
グラフト材料804を取り囲む波状起伏形の螺旋状ワイヤステント802を有するステントグラフト1400が、図14に示されている。このステントは、螺旋状に付着させられたテープ部材1406によってグラフト材料に取り付けられている。図示されているように、螺旋状に付着させられているテープ部材1406の第1の端縁は、ワイヤステントの反対側に位置する第1の尖部814を覆う。側枝入口を形成するために、巻き付けパターン区域1408が組み込まれた。テープ1406は、約5.5mm(0.215″)の幅と約10ミクロン(0.0004″)の厚さとを有するePTFE/FEP積層物だった。このテープは、はんだごてを使用してステントワイヤの一部に隣接したその下に位置するFEPを溶融することによって、巻き付けられたチューブに部分的に接着させられた。犠牲圧縮テープがステントグラフト上に螺旋状に巻き付けられた。この圧縮テープは、約51mm(2″)の幅で約0.5mm(0.02″)の厚さであり、約50%の重なりを伴って巻き付けられた。追加の犠牲フィルムが、後続の熱処理圧縮段階を補助するために巻き付けられた。このフィルムは、長手方向の繊維/強度方向と、約2.5ミクロン(0.0001″)の厚さと、約51mm(2″)の幅とを有するePTFEテープだった。5つのパス(pass)が、フィルム層の間の約50%の重なりを伴って加えられた。
【0097】
その次に、このアセンブリが、フィルム層を一体的に接着するために空気対流炉内で熱処理された。この熱処理サイクル中に、フィルムはマンドレルに対して押し付けられ、これによって溶融FEPがその下に位置するフィルム層の中に流れ込むことを引き起こし、グラフト層をワイヤステントと共に一体的に接着させた。冷却後に、犠牲フィルム圧縮層が取り除かれて、グラフト材料の末端が特定の長さになるように切断され、ステントグラフトがマンドレルから取り外された。この結果として得られたステントグラフトが、採用随意のシーリングカフ(図8、806、810)を除いて、図8に示されている。
【0098】
本発明の思想又は範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更が本発明においてなされることが可能であることが当業者には明らかだろう。したがって、本発明の修正及び変更が、添付された特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に含まれるならば、こうした修正及び変更を本発明がその範囲内に含むということが意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多腔型のステントグラフトであって、
開口部を有する最内側チューブと開口部を有する最外側チューブとから構成されており且つ主ステントによって支持されているグラフトによって画定されている主管腔と、
前記グラフトの前記最内側チューブと前記最外側チューブとの間に配置されている副管腔とを備え、
前記副管腔は前記開口部を通して流体連通している、ステントグラフト。
【請求項2】
前記副管腔は副ステント又はステントアセンブリを備える、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項3】
前記最外側チューブはePTFEを含む、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項4】
前記最内側チューブはePTFEを含む、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項5】
前記主ステントは結合部材によって前記グラフトに取り付けられている、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項6】
前記主ステントは、側枝入口のための領域を生じさせる二重のW状部を備える、請求項2に記載のステントグラフト。
【請求項7】
前記主ステントは波状起伏を備える、請求項2に記載のステントグラフト。
【請求項8】
前記波状起伏は同相である、請求項7に記載のステントグラフト。
【請求項9】
前記副ステントは被覆されている、請求項3に記載のステントグラフト。
【請求項10】
前記副ステントの被覆はePTFEを含む、請求項9に記載のステントグラフト。
【請求項11】
前記副ステント又はステントアセンブリの一部が前記最内側チューブの一部に対して当接する、請求項2に記載のステントグラフト。
【請求項12】
当該ステントグラフトの両端部上にカフを備える、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項13】
前記副管腔は、より小さい別のステントグラフトを受け入れることが可能である、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項14】
前記より小さい別のステントグラフトは前記副管腔の中に固着する、請求項13に記載のステントグラフト。
【請求項15】
主枝血管と側枝血管とを有する分岐した体内管腔内における移植のためのステントグラフトであって、
開口部を有する最内側チューブと開口部を有する最外側チューブとから構成されているグラフトであって、遠位端部から近位端部に長手方向の軸線に沿って延びており、該グラフトの中を貫通して延びる主管腔を画定し、且つ、主ステントによって支持されているグラフトと、
前記グラフトの前記最内側チューブと前記最外側チューブとの間に配置されている副管腔であって、前記グラフトの前記遠位端部と前記近位端部との間に定置されており、且つ、前記最内側チューブの開口部と前記最外側チューブの開口部とを通して流体連通している副管腔と
を備える、ステントグラフト。
【請求項16】
前記主ステントは自己拡張型ステントである、請求項15に記載のステントグラフト。
【請求項17】
前記自己拡張型ステントはチタン−ニッケル合金を含む、請求項16に記載のステントグラフト。
【請求項18】
前記主ステントは、前記グラフトの周りに螺旋状に巻き付けられている単一の連続ワイヤを備える、請求項15に記載のステントグラフト。
【請求項19】
前記単一の連続ワイヤは波状起伏を備える、請求項18に記載のステントグラフト。
【請求項20】
前記単一の連続ワイヤは、側枝入口のための領域を生じさせる二重のW状部を備える、請求項18に記載のステントグラフト。
【請求項21】
前記波状起伏ワイヤは前記波状起伏の複数の巻回を備え、前記波状起伏ワイヤの各巻回が複数の尖部を備え、1つの巻回の波状起伏は隣の巻回の波状起伏と概して同相である、請求項19に記載のステントグラフト。
【請求項22】
前記波状起伏はU字形である、請求項21に記載のステントグラフト。
【請求項23】
前記波状起伏はV字形である、請求項21に記載のステントグラフト。
【請求項24】
前記波状起伏は卵形である、請求項21に記載のステントグラフト。
【請求項25】
前記波状起伏は正弦波形である、請求項21に記載のステントグラフト。
【請求項26】
前記主ステントは前記グラフトに取り付けられている、請求項15に記載のステントグラフト。
【請求項27】
前記主ステントはリボン又はテープによって前記グラフトに取り付けられている、請求項16に記載のステントグラフト。
【請求項28】
前記リボン又はテープは、前記ステントの一部と前記グラフトの一部とに接着させられている、請求項27に記載のステントグラフト。
【請求項29】
前記リボン又はテープは、複数の巻回を有する螺旋状の形態に構成されている、請求項27に記載のステントグラフト。
【請求項30】
前記リボン又はテープは、複数の巻回を有する螺旋状の形態に構成されており、各々の巻回は隣の巻回から間隔を置かれている、請求項29に記載のステントグラフト。
【請求項31】
前記巻回間の前記間隔は均一である、請求項30に記載のステントグラフト。
【請求項32】
前記リボンは前記波状起伏の一部を覆う、請求項27に記載のステントグラフト。
【請求項33】
前記主ステントは、尖部部分と基部部分とを各々が備える波状起伏を備え、前記リボン又はテープは、前記波状起伏の各々の前記基部部分に沿って設置されるように前記主ステントに取り付けられ、このため前記波状起伏の前記基部部分を前記グラフトに対して閉じ込め、前記波状起伏の前記尖部部分は閉じ込められていない、請求項27に記載のステントグラフト。
【請求項34】
前記ステントグラフトは入れ子状になることが可能である、請求項27に記載のステントグラフト。
【請求項35】
多腔型ステントグラフトを作成する方法であって、
溝と該溝の背壁とを備える第1のマンドレルを最内側ポリマーチューブで覆うことと、
前記溝の背壁に沿って前記最内側ポリマーチューブにスリットを入れることと、
前記第1のマンドレルの溝の中に第2のマンドレルを設置して、該第2のマンドレルを前記溝の背壁と位置合わせし、前記最内側ポリマーチューブを変形させることと、
前記最内側ポリマーチューブの上に最外側ポリマーチューブを設置することと、
より小さい前記第2のマンドレルの上で前記最外側ポリマーチューブに開口部を切断することとを含み、
前記最外側ポリマーチューブ及び前記最内側ポリマーチューブはグラフト部材を備える、方法。
【請求項36】
主ステントが前記グラフト部材上に設置される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記主ステントは結合部材によって前記グラフト部材に取り付けられる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記主ステントは波状起伏を備える、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記波状起伏は同相である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記最外側ポリマーチューブはePTFEを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記最内側ポリマーチューブはePTFEを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記第2のマンドレルの周りに副ステント又はステントアセンブリが存在している、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記副ステント又はステントアセンブリは前記最内側チューブの少なくとも一部に当接する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記最内側ポリマーチューブにスリットを入れることと、前記最外側ポリマーチューブ内に開口部を作ることとによって、前記開口部を通して流体連通している副管腔を生じさせる、請求項35に記載の方法。
【請求項45】
ステントグラフトであって、
ステントによって支持されるグラフトであって、前記ステントは互いに反対の第1及び第2の方向の尖部を各々が備える波状起伏を備える、グラフトと、
第1及び第2の長手方向の端縁を備えるテープ部材であって、該テープ部材は、前記第1のテープ端縁が前記波状起伏の各々の前記第1又は第2の方向の尖部を実質的に覆うように前記ステント及びグラフトに取り付けられ、このため前記波状起伏の前記第1又は第2の方向の尖部を前記グラフトに閉じ込め、前記波状起伏の前記第1又は第2の方向の尖部は前記グラフトに対して閉じ込められていない、テープ部材と
を備え、
前記グラフトは、長手方向に圧縮されると、円周方向に方向配置された一方向性の折りひだを形成し、前記波状起伏の前記第1又は第2の方向の尖部は、圧縮されると、隣の折りひだの下に位置させられる、ステントグラフト。
【請求項46】
前記第1の方向の尖部は前記グラフトに閉じ込められており、前記第2の方向の尖部は前記グラフトに対して閉じ込められていない、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項47】
前記第2の方向の尖部は前記グラフトに閉じ込められており、前記第1の方向の尖部は前記グラフトに対して閉じ込められていない、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項48】
前記ステントは,前記グラフトの周りに螺旋状に巻き付けられた単一の連続ワイヤから形成されている、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項49】
前記ステントは自己拡張型ステントである、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項50】
前記ステントはニチノールから作られている、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項51】
前記ステントはバルーン拡張型ステントである、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項52】
前記波状起伏は正弦波形状を有する、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項53】
前記一方向性の折りひだは展開後に生体内で形成される、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項54】
前記グラフトはポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項55】
前記ポリテトラフルオロエチレンは延伸させられている、請求項54に記載のステントグラフト。
【請求項56】
前記テープ部材はポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項57】
前記テープ部材は熱可塑性接着剤をさらに含む、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項58】
前記熱可塑性接着剤はFEPである、請求項57に記載のステントグラフト。
【請求項59】
前記ステントグラフトは少なくとも1つのシーリングカフを備える、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項60】
前記ステントグラフトは少なくとも1つの放射線不透過性マーカーを備える、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項61】
前記ステントグラフトは、展開される時に生体内で捻れることなく少なくとも90°に曲がることが可能である、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項62】
前記ステントグラフトは、血流の中断と乱流とを最小限にするために血流の方向が前記折りひだに調和した状態で体内管腔の中に設置される、請求項61に記載のステントグラフト。
【請求項1】
多腔型のステントグラフトであって、
開口部を有する最内側チューブと開口部を有する最外側チューブとから構成されており且つ主ステントによって支持されているグラフトによって画定されている主管腔と、
前記グラフトの前記最内側チューブと前記最外側チューブとの間に配置されている副管腔とを備え、
前記副管腔は前記開口部を通して流体連通している、ステントグラフト。
【請求項2】
前記副管腔は副ステント又はステントアセンブリを備える、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項3】
前記最外側チューブはePTFEを含む、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項4】
前記最内側チューブはePTFEを含む、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項5】
前記主ステントは結合部材によって前記グラフトに取り付けられている、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項6】
前記主ステントは、側枝入口のための領域を生じさせる二重のW状部を備える、請求項2に記載のステントグラフト。
【請求項7】
前記主ステントは波状起伏を備える、請求項2に記載のステントグラフト。
【請求項8】
前記波状起伏は同相である、請求項7に記載のステントグラフト。
【請求項9】
前記副ステントは被覆されている、請求項3に記載のステントグラフト。
【請求項10】
前記副ステントの被覆はePTFEを含む、請求項9に記載のステントグラフト。
【請求項11】
前記副ステント又はステントアセンブリの一部が前記最内側チューブの一部に対して当接する、請求項2に記載のステントグラフト。
【請求項12】
当該ステントグラフトの両端部上にカフを備える、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項13】
前記副管腔は、より小さい別のステントグラフトを受け入れることが可能である、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項14】
前記より小さい別のステントグラフトは前記副管腔の中に固着する、請求項13に記載のステントグラフト。
【請求項15】
主枝血管と側枝血管とを有する分岐した体内管腔内における移植のためのステントグラフトであって、
開口部を有する最内側チューブと開口部を有する最外側チューブとから構成されているグラフトであって、遠位端部から近位端部に長手方向の軸線に沿って延びており、該グラフトの中を貫通して延びる主管腔を画定し、且つ、主ステントによって支持されているグラフトと、
前記グラフトの前記最内側チューブと前記最外側チューブとの間に配置されている副管腔であって、前記グラフトの前記遠位端部と前記近位端部との間に定置されており、且つ、前記最内側チューブの開口部と前記最外側チューブの開口部とを通して流体連通している副管腔と
を備える、ステントグラフト。
【請求項16】
前記主ステントは自己拡張型ステントである、請求項15に記載のステントグラフト。
【請求項17】
前記自己拡張型ステントはチタン−ニッケル合金を含む、請求項16に記載のステントグラフト。
【請求項18】
前記主ステントは、前記グラフトの周りに螺旋状に巻き付けられている単一の連続ワイヤを備える、請求項15に記載のステントグラフト。
【請求項19】
前記単一の連続ワイヤは波状起伏を備える、請求項18に記載のステントグラフト。
【請求項20】
前記単一の連続ワイヤは、側枝入口のための領域を生じさせる二重のW状部を備える、請求項18に記載のステントグラフト。
【請求項21】
前記波状起伏ワイヤは前記波状起伏の複数の巻回を備え、前記波状起伏ワイヤの各巻回が複数の尖部を備え、1つの巻回の波状起伏は隣の巻回の波状起伏と概して同相である、請求項19に記載のステントグラフト。
【請求項22】
前記波状起伏はU字形である、請求項21に記載のステントグラフト。
【請求項23】
前記波状起伏はV字形である、請求項21に記載のステントグラフト。
【請求項24】
前記波状起伏は卵形である、請求項21に記載のステントグラフト。
【請求項25】
前記波状起伏は正弦波形である、請求項21に記載のステントグラフト。
【請求項26】
前記主ステントは前記グラフトに取り付けられている、請求項15に記載のステントグラフト。
【請求項27】
前記主ステントはリボン又はテープによって前記グラフトに取り付けられている、請求項16に記載のステントグラフト。
【請求項28】
前記リボン又はテープは、前記ステントの一部と前記グラフトの一部とに接着させられている、請求項27に記載のステントグラフト。
【請求項29】
前記リボン又はテープは、複数の巻回を有する螺旋状の形態に構成されている、請求項27に記載のステントグラフト。
【請求項30】
前記リボン又はテープは、複数の巻回を有する螺旋状の形態に構成されており、各々の巻回は隣の巻回から間隔を置かれている、請求項29に記載のステントグラフト。
【請求項31】
前記巻回間の前記間隔は均一である、請求項30に記載のステントグラフト。
【請求項32】
前記リボンは前記波状起伏の一部を覆う、請求項27に記載のステントグラフト。
【請求項33】
前記主ステントは、尖部部分と基部部分とを各々が備える波状起伏を備え、前記リボン又はテープは、前記波状起伏の各々の前記基部部分に沿って設置されるように前記主ステントに取り付けられ、このため前記波状起伏の前記基部部分を前記グラフトに対して閉じ込め、前記波状起伏の前記尖部部分は閉じ込められていない、請求項27に記載のステントグラフト。
【請求項34】
前記ステントグラフトは入れ子状になることが可能である、請求項27に記載のステントグラフト。
【請求項35】
多腔型ステントグラフトを作成する方法であって、
溝と該溝の背壁とを備える第1のマンドレルを最内側ポリマーチューブで覆うことと、
前記溝の背壁に沿って前記最内側ポリマーチューブにスリットを入れることと、
前記第1のマンドレルの溝の中に第2のマンドレルを設置して、該第2のマンドレルを前記溝の背壁と位置合わせし、前記最内側ポリマーチューブを変形させることと、
前記最内側ポリマーチューブの上に最外側ポリマーチューブを設置することと、
より小さい前記第2のマンドレルの上で前記最外側ポリマーチューブに開口部を切断することとを含み、
前記最外側ポリマーチューブ及び前記最内側ポリマーチューブはグラフト部材を備える、方法。
【請求項36】
主ステントが前記グラフト部材上に設置される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記主ステントは結合部材によって前記グラフト部材に取り付けられる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記主ステントは波状起伏を備える、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記波状起伏は同相である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記最外側ポリマーチューブはePTFEを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記最内側ポリマーチューブはePTFEを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記第2のマンドレルの周りに副ステント又はステントアセンブリが存在している、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記副ステント又はステントアセンブリは前記最内側チューブの少なくとも一部に当接する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記最内側ポリマーチューブにスリットを入れることと、前記最外側ポリマーチューブ内に開口部を作ることとによって、前記開口部を通して流体連通している副管腔を生じさせる、請求項35に記載の方法。
【請求項45】
ステントグラフトであって、
ステントによって支持されるグラフトであって、前記ステントは互いに反対の第1及び第2の方向の尖部を各々が備える波状起伏を備える、グラフトと、
第1及び第2の長手方向の端縁を備えるテープ部材であって、該テープ部材は、前記第1のテープ端縁が前記波状起伏の各々の前記第1又は第2の方向の尖部を実質的に覆うように前記ステント及びグラフトに取り付けられ、このため前記波状起伏の前記第1又は第2の方向の尖部を前記グラフトに閉じ込め、前記波状起伏の前記第1又は第2の方向の尖部は前記グラフトに対して閉じ込められていない、テープ部材と
を備え、
前記グラフトは、長手方向に圧縮されると、円周方向に方向配置された一方向性の折りひだを形成し、前記波状起伏の前記第1又は第2の方向の尖部は、圧縮されると、隣の折りひだの下に位置させられる、ステントグラフト。
【請求項46】
前記第1の方向の尖部は前記グラフトに閉じ込められており、前記第2の方向の尖部は前記グラフトに対して閉じ込められていない、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項47】
前記第2の方向の尖部は前記グラフトに閉じ込められており、前記第1の方向の尖部は前記グラフトに対して閉じ込められていない、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項48】
前記ステントは,前記グラフトの周りに螺旋状に巻き付けられた単一の連続ワイヤから形成されている、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項49】
前記ステントは自己拡張型ステントである、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項50】
前記ステントはニチノールから作られている、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項51】
前記ステントはバルーン拡張型ステントである、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項52】
前記波状起伏は正弦波形状を有する、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項53】
前記一方向性の折りひだは展開後に生体内で形成される、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項54】
前記グラフトはポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項55】
前記ポリテトラフルオロエチレンは延伸させられている、請求項54に記載のステントグラフト。
【請求項56】
前記テープ部材はポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項57】
前記テープ部材は熱可塑性接着剤をさらに含む、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項58】
前記熱可塑性接着剤はFEPである、請求項57に記載のステントグラフト。
【請求項59】
前記ステントグラフトは少なくとも1つのシーリングカフを備える、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項60】
前記ステントグラフトは少なくとも1つの放射線不透過性マーカーを備える、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項61】
前記ステントグラフトは、展開される時に生体内で捻れることなく少なくとも90°に曲がることが可能である、請求項45に記載のステントグラフト。
【請求項62】
前記ステントグラフトは、血流の中断と乱流とを最小限にするために血流の方向が前記折りひだに調和した状態で体内管腔の中に設置される、請求項61に記載のステントグラフト。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2013−507194(P2013−507194A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533347(P2012−533347)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/051974
【国際公開番号】WO2011/044459
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/051974
【国際公開番号】WO2011/044459
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
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