説明

高度計

【課題】 山を長時間にわたって走り続けるような競技において、ユーザに余計な手間を掛けさせることなく、適宜、基準高度の設定を行って正確な高度測定を行うことのできる高度計を提供する。
【解決手段】 気圧と基準高度の設定データとに基づき高度を算出する高度算出手段と、スタートからの時間を計測する時間計測手段(S14)と、時間計測中にスイッチ部が操作された場合にラップ時間又はスプリット時間を算出する途中時間算出手段(S21)とを備えた高度計である。そして、複数のラップ地点又は複数のスプリット地点の高度を記憶する高度記憶手段と、スイッチ部が操作される毎に、高度記憶手段に記憶されているラップ地点又はスプリット地点に対応する高度のデータで基準高度の設定データを更新する基準高度変更手段(S25)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、気圧を測定して高度を算出する高度計に関する。
【背景技術】
【0002】
以前より、気圧を測定して高度を算出する高度計がある。また、このような高度計においては、一般に、測定値の狂いを基準量を用いて補正するために基準高度の設定が行わせるようになっている。基準高度の設定は、例えば、正確な高度が分かっている地点で、ユーザが高度計にその地点の正確な高度値を入力することで行われる。この設定時には、高度計において気圧の測定が並行して行われ、正確な高度値のデータと、それに対応する気圧のデータとが補正用のデータとして内部メモリに記録される。
【0003】
特許文献1には、基準高度の設定が可能な車載用の高度計について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−000013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
山岳マラソンやトレイルランニングなど、山を長時間にわたって走り続けるような競技において、走行中の各時点で高度の確認が行われることがある。また、このような競技が行われる山の中には、その経路途中に高度基準の標識のある地点が存在することがある。
【0006】
気圧から高度を算出する場合、温度や気象条件の変化によって算出される高度の誤差も変化する。従って、山岳マラソンやトレイルランニングにおいて常に正確な高度を確認したい場合には、正確な高度が分かる多くの地点で基準高度の設定を何度も行う必要がある。
【0007】
しかしながら、競技中、正確な高度が分かる多くの地点で、ユーザが逐一立ち止まって高度値を入力して基準高度の設定を行うのは困難である。
【0008】
この発明の目的は、山を長時間にわたって走り続けるような競技において、ユーザに余計な手間を掛けさせることなく、適宜、基準高度の設定を行って正確な高度測定を行うことのできる高度計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するため、
気圧を測定する気圧測定手段と、
この気圧測定手段により測定された気圧と基準高度の設定データとに基づき高度を算出する高度算出手段と、
スタートからの時間を計測する時間計測手段と、
ラップ又はスプリット時間を得るためのスイッチ部と、
前記時間計測手段の時間計測中に前記スイッチ部が操作された場合にラップ時間又はスプリット時間を算出する途中時間算出手段と、
を備えた高度計において、
予め指定される複数のラップ地点又は複数のスプリット地点の高度を記憶する高度記憶手段と、
前記スイッチ部が操作されて前記ラップ時間又はスプリット時間が算出される毎に、前記高度記憶手段に記憶されている当該ラップ地点又はスプリット地点に対応する高度に基づき、前記基準高度の設定データを更新する基準高度変更手段と、
を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に従うと、予め複数のラップ地点又は複数のスプリット地点の高度の値を高度記憶手段に記憶させておくことで、時間の計測中にラップ地点又はスプリット地点に来て、ラップ時間又はスプリット時間を求める操作を行うことで、基準高度の設定が自動的に行われることになる。従って、時間の計測中にユーザに余計な手間を掛けさせることなく、複数の地点で基準高度の設定データの更新がなされて、途中で温度や気象条件が変化しても、常に正確な高度測定を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の高度計機能付きの電子時計の全体構成を示すブロック図である。
【図2】RAMに設けられる時間・高度データテーブルの具体的な一例を示すデータチャートである。
【図3】CPUにより実行される1Hzごとの制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図3のステップS7で実行されるキー処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1には、本発明の実施形態の高度計としての機能を有する電子時計の全体構成を表わしたブロック図を示す。
【0014】
この実施形態の電子時計1は、高度計とストップウォッチの機能を備えるとともに、ユーザの腕などに装着可能な形態の時計である。この電子時計1は、機器の全体的な制御を行うCPU(中央演算処理装置)10と、CPU10に作業用のメモリ空間を提供するRAM(Random Access Memory)11と、CPU10が実行する制御プログラムや制御データが格納されたROM(Read Only Memory)12と、CPU10に一定周波数の信号を供給するための発振回路13および分周回路14と、複数の操作キーを有し外部から操作指令を入力するキー部(スイッチ部)15と、時間や高度の表示を行う例えば液晶表示器などの表示部(表示手段)16と、気圧を計測する気圧測定手段としての圧力センサ17と、圧力センサ17のセンサ出力をデジタルデータに変換するA/D変換回路18等を備えている。
【0015】
圧力センサ17とA/D変換回路18とは、CPU10から作動信号が送られた場合に動作して、圧力センサ17から気圧を表わすセンサ出力がA/D変換回路18に送られ、A/D変換回路18でこのセンサ出力がデジタルデータに変換されてCPU10に送られる。
【0016】
キー部15には、電子時計1の動作モードや表示モードを切り替えるモード切替キーが設けられている。切り替えられる動作モードまたは表示モードには、現在時刻を表示する時刻表示モード、スタート時からの計測時間やラップ時間の表示を行うストップウォッチモード、高度の計測と表示とを行う高度計モード、ユーザが予めラップ地点の正確な高度データを入力するデータ入力モードなどがある。
【0017】
また、キー部15には、ストップウォッチの時間計測を開始させたり停止させたりするスタート・ストップキー、ストップウォッチの時間計測中にラップ時間を求めたり記録したりするためのラップキー、データ入力モードで入力値を昇降させてデータ入力を行うためのアップキー、ダウンキー、入力キーなどが設けられている。上記の各キーは、専用のキーとして設けられていても良いし、一つのキーが異なる操作内容を入力するキーを兼用するようにて設けられていても良い。
【0018】
図2には、RAM11の時間・高度データテーブル11aのデータチャートを示す。
【0019】
RAM11には、時間・高度データテーブル11aが設けられ、このデータテーブル11aには、時刻表示、ストップウォッチ、高度測定でそれぞれ使用される各種データが格納されるようになっている。具体的には、時間・高度データテーブル11aの各記憶部のうち、現在時刻記憶部aには、CPU10により常に一定周期でカウントアップされて現在時刻を表わす時刻データが記憶される。ストップウォッチ時間記憶部bには、ストップウォッチモードの時間計測中にCPU10により一定周期でカウントアップされて経過時間を表わす計時データが記憶される。
【0020】
測定気圧記憶部cには、直近の高度測定の際に圧力センサ17により測定された気圧データが記憶され、現在高度記憶部dには、直近の高度測定の際に算出された高度データが記憶される。基準気圧記憶部eには、正確な高度(例えば正確な海抜高度)が分かっている基準地点で測定された気圧データが記憶され、基準高度記憶部fには、上記基準地点の正確な高度(例えば正確な海抜高度)を表わすデータが記憶される。
【0021】
スタート高度記憶部g、ラップ1〜ラップ10高度記憶部kは、高度記憶手段として機能するもので、山岳マラソンやトレイルランニングを行う前にユーザによりデータ入力が行われる記憶部である。これらの記憶部には、ユーザにより予め指定されるスタート地点、ラップタイムを取得する複数のラップ地点の正確な高度の値がデータ入力されて記憶される。
【0022】
ラップ1〜ラップ10時間記憶部jには、山岳マラソンやトレイルランニングなどでストップウォッチモードの時間計測中にラップキーの操作によって取得されたラップ時間が記憶されていく。
【0023】
次に、上記構成の電子時計1の動作について説明する。
【0024】
図3には、CPU10により実行される1Hzごとの制御処理のフローチャートを示す。
【0025】
この制御処理のプログラムは、ROM12に格納されており、分周回路14から1秒周期で送られてくる1Hz信号の入力に基づいてCPU10により繰り返し実行される。この制御処理が開始されると、先ず、CPU10は、時間・高度データテーブル11aの現在時刻記憶部aの値を1秒分カウントアップする計時処理(ステップS1)を行う。次いで、ストップウォッチの時間計測のスタート中であるか判別し(ステップS2)、スタート中であればストップウォッチ時間記憶部bの値を1秒分カウントアップする計時処理(ステップS3:時間計測手段)を行ってから、次に進む。一方、スタート中でなければ、そのまま次に進む。
【0026】
次に進んだら、CPU10は、動作モードが高度計モードであるか判別し(ステップS4)、高度計モードであれば、先ず、圧力センサ17とA/D変換回路18を作動させて気圧を測定してデータテーブル11aの測定気圧記憶部cに記憶させる(ステップS5)。続いて、測定された気圧、データテーブル11aの基準気圧記憶部eと基準高度記憶部fの値から現在の高度を算出して現在高度記憶部dに記憶させる(ステップS6:高度算出手段)。
【0027】
ステップS6の高度の算出は、詳細には、基準気圧記憶部eの値と測定された気圧との差を、気圧差から高度差を求める所定の関数又は変換テーブルを用いて高度差に変換し、基準高度記憶部fの値にこの高度差を加算することで行われる。
【0028】
或いは、一定の誤差を含んだ絶対高度(例えば海抜高度)の値を気圧から求める所定の関数又は変換テーブルを用いて、基準気圧記憶部eの値に対応する基準地点の絶対高度を誤差を含めて求めるとともに、基準高度記憶部fの正確な高度の値と比較して上記一定の誤差を求める。さらに、ステップS5で測定された気圧から、上記の関数又は変換テーブルを用いて一定の誤差を含んだ絶対高度を算出し、この値から先に求めた一定の誤差を差し引いて、誤差を除去した絶対高度を算出するように処理することもできる。
【0029】
なお、後者の方式で測定地点の高度を算出する場合には、基準高度の情報として、基準地点で測定された気圧のデータと、基準地点の正確な高度のデータとを、ずっと記憶しておく必要はなく、これらのデータから上記一定の誤差を算出したら、この一定の誤差のデータのみを記憶しておくようにしても良い。
【0030】
そして、ステップS6の算出処理で測定地点の高度を算出して記憶させたら、次に進む。一方、ステップS4の判別処理で、高度計モードでないと判別された場合には、ステップS5,S6の処理を飛ばして、そのまま次に進む。
【0031】
次に進んだら、CPU10は、キー部15からの入力に対応するキー処理を行う(ステップS7)。キー処理については後に詳述する。
【0032】
続いて、CPU10は、現在の動作モードや表示モードに応じた表示内容を表示部16に出力させる処理を行う(ステップS8)。すなわち、時刻表示モード中であれば現在時刻の表示を、ストップウォッチモード中であれば計測時間や操作に応じたラップ時間等の表示を、高度計モード中であれば測定された高度の表示を、それぞれ出力させる。高度計モード中の上記ステップS4〜S6,S8の制御処理により高度表示制御手段が構成される。そして、図3の制御処理を終了して、次の1Hz信号の入力で、再び、この制御処理を実行する。
【0033】
図4には、図3のステップS7で実行されるキー処理の詳細なフローチャートを示す。
【0034】
このキー処理は、1Hzごとの制御処理の中で1秒間隔で繰り返し実行される処理であり、CPU10が、キー部15からの入力信号を確認して、何れかのキー入力が確認された場合に、このキー入力に対応する処理を実行するものである。このキー処理が1秒間隔で繰り返し実行されることで、電子時計1の動作中にユーザが行ったキー操作に対応する個別の処理や一連の処理が実現される。
【0035】
キー処理に移行すると、CPU10は、先ず、スタート・ストップキーの入力があったか判別する(ステップS11)。その結果、このキー入力が有りと判別されたら、CPU10は、続いて、このキー入力に対応する処理(ステップS12〜S18)を実行する。
【0036】
すなわち、先ず、CPU10は、このキー入力がスタートキーの入力を意味するものかストップキーの入力を意味するものかを判別するために、現在、ストップウォッチの時間計測がストップ中か否かを判別する(ステップS12)。そして、ストップ中でなければストップキーの入力と見なせるので、時間計測の実行フラグをオフにするなど時間計測を停止させる処理を行う(ステップS13)。
【0037】
一方、ステップS12の判別処理でストップ中であると判別されたらスタートキーの入力と見なせるので、時間計測の実行フラグをオンにするなど時間計測を開始させる処理を行う(ステップS14)。続いて、ラップ地点の番号を表わす変数iをゼロに初期化する(ステップS15)。さらに、CPU10は、圧力センサ17とA/D変換回路18を作動させて気圧を測定し(ステップS16)、この測定値を時間・高度データテーブル11aの基準気圧記憶部eに記憶させ(ステップS17)、時間・高度データテーブル11aの基準高度記憶部fの値をスタート高度記憶部gの値に変更する(ステップS18)。そして、このキー入力に対応する処理(ステップS12〜S18)を実行したら、1回のキー処理を終了する。
【0038】
上記ステップS17,S18の処理により、例えば、山岳マラソンやトレイルランニングの際、予め指定されているスタート地点でスタート・ストップキーが操作されて、ストップウォッチの時間計測が開始された場合に、このスタート地点の気圧と高度のデータが、以降の高度算出に使用される基準高度のデータとして登録されるようになっている。この処理により、これ以降の高度計測処理において、現状の気温や気象条件にあった基準高度のデータが用いられることになって、正確な高度が算出されることになる。
【0039】
なお、上記ステップS16〜S18の基準量のデータを更新する処理は、時間・高度データテーブル11aのスタート高度記憶部gの入力データがある場合にのみ実行され、この入力データがない場合には省略されるようにしても良い。
【0040】
一方、ステップS11の入力キーの判別処理で、スタート・ストップキーの入力でないと判別された場合には、次に、CPU10は、ラップキーの入力があったか否かを判別する(ステップS19)。その結果、このキー入力が有りと判別されたら、CPU10は、続いて、ラップキーの入力に対応する処理(ステップS20〜S25)を実行する。
【0041】
すなわち、先ず、CPU10は、ラップ地点の番号を表わす変数iの値を更新し、前回のラップ地点(1回目のラップ地点である場合はスタート地点)から今回のラップ地点までの所要時間を算出し(ステップS21:途中時間算出手段)、このラップ時間をラップ1〜ラップ10時間記憶部jのi番目に記憶させる(ステップS22)。
【0042】
続いて、圧力センサ17とA/D変換回路18を作動させて気圧を測定し(ステップS23)、この測定値を時間・高度データテーブル11aの基準気圧記憶部eに記憶させ(ステップS24)、時間・高度データテーブル11aの基準高度記憶部fの値をラップ1〜ラップ10高度記憶部kのi番目に記憶されている値に変更する(ステップS25)。上記のステップS23〜S25の処理手段により基準高度変更手段が構成される。そして、このラップキーの入力に対応する処理(ステップS20〜S25)を実行したら、1回のキー処理を終了する。
【0043】
上記ステップS24,S25の処理により、山岳マラソンやトレイルランニングの際、予めユーザにより指定されているラップ地点でラップキーが操作されて、ラップ時間が取得された際、このラップ地点の気圧と高度のデータが、以降の高度算出に使用される基準高度のデータとして登録されることになる。この登録処理により、これ以降の高度計測処理において、現状の気温や気象条件にあった基準高度のデータが用いられることになって、正確な高度が算出されることになる。
【0044】
なお、ステップS23〜S25の基準量のデータを更新する処理は、時間・高度データテーブル11aのラップ1〜ラップ10高度記憶部kのi番目に入力データがある場合にのみ実行され、この入力データがない場合には省略されるようにしても良い。
【0045】
一方、ステップS11,S19のキー入力の判別処理で、スタート・ストップキーの入力でもラップキーの入力でもないと判別された場合には、他のキーの入力の判別と他のキー入力に対応する処理を実行する(ステップS26)。そして、他のキー入力も無いか或いは他のキー入力に対応する処理を完了したら、この1回のキー処理を終了する。
【0046】
ステップS26の他のキー処理では、1秒毎にこの処理が繰り返し実行されることで、ユーザが、電子時計1の動作モードをデータ入力モードに切り替えて、種々のデータの入力を行っていく処理も実現される。例えば、このステップS26の他のキー処理が繰り返し実行されることで、山岳マラソンやトレイルランニングの前日などに、時間・高度データテーブル11aのスタート高度記憶部gやラップ1〜ラップ10高度記憶部kに、スタート地点やラップ地点の正確な高度データをユーザが入力する処理も実現される。
【0047】
以上のように、この実施形態の電子時計1によれば、予めラップ地点の正確な高度を時間・高度データテーブル11aに記憶させておくことで、ラップ時間を取得するラップキーの操作が行われるごとにラップ地点において基準高度の設定が自動的に行われるようになっている。従って、山岳マラソンやトレイルランニングの競技中でも、ユーザに煩雑な操作を行わせることなく、基準高度の設定が適宜な間隔で行われて、高度測定により常に正確な高度を得ることができる。
【0048】
具体的には、ラップキーの操作ごとに、ラップ1〜ラップ10高度記憶部kのデータが基準高度記憶部fに移されるとともに、気圧の測定が行われてその測定データが基準気圧記憶部eに記憶されて基準高度の設定が行われる。従って、これらのデータを用いて、誤差を除去した正確な高度の測定が可能となる。
【0049】
そして、電子時計1を高度計モードにして高度を周期的に測定させて表示部16に表示させることで、山岳マラソンやトレイルランニングの競技中などに、各時点の高度を確認しながら走行することが可能となる。
【0050】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、上記実施形態では、ラップ時間を取得する操作によって、基準高度の設定が自動的に行われるようになっているが、ラップ時間の替わりにスプリット時間(スタートから所定の途中地点までの所要時間)を取得する操作によって同様の基準高度の自動設定が行われるようにしても良い。
【0051】
また、ラップ時間やスプリット時間の取得操作に伴って基準高度の自動設定が行われる機能モードと、このような基準高度の自動設定が行われない機能モードとを選択的に切り換えられるように構成しても良い。その他、実施の形態に示した細部等は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
[付記]
<請求項1>
気圧を測定する気圧測定手段と、
この気圧測定手段により測定された気圧と基準高度の設定データとに基づき高度を算出する高度算出手段と、
スタートからの時間を計測する時間計測手段と、
ラップ又はスプリット時間を得るためのスイッチ部と、
前記時間計測手段の時間計測中に前記スイッチ部が操作された場合にラップ時間又はスプリット時間を算出する途中時間算出手段と、
を備えた高度計において、
予め指定される複数のラップ地点又は複数のスプリット地点の高度を記憶する高度記憶手段と、
前記スイッチ部が操作されて前記ラップ時間又はスプリット時間が算出される毎に、前記高度記憶手段に記憶されている当該ラップ地点又はスプリット地点に対応する高度に基づき、前記基準高度の設定データを更新する基準高度変更手段と、
を備えていることを特徴とする高度計。
<請求項2>
前記基準高度の設定データには、
基準地点となる任意の地点の高度と当該地点の気圧とを表わす設定データが含まれ、
前記基準高度変更手段は、
前記スイッチ部が操作されて前記ラップ時間又はスプリット時間が算出される毎に、前記基準地点の高度の設定データを前記高度記憶手段に記憶されている高度のデータに変更するとともに、前記気圧測定手段に気圧を測定させて、前記基準地点の気圧の設定データを測定された気圧のデータに変更する
ことを特徴とする請求項1記載の高度計。
<請求項3>
前記高度算出手段は、
前記基準地点の気圧と前記気圧測定手段により測定地点で測定された気圧との差から前記測定地点と前記基準地点との高度差を算出し、この高度差を前記基準地点の高度に加算することで、前記測定地点の高度を算出することを特徴とする請求項2記載の高度計。
<請求項4>
前記高度算出手段は、
前記気圧測定手段により測定地点で測定された気圧値を所定の変換処理により誤差を含む高度値に変換するとともに、前記基準地点の気圧と高度とから前記所定の変換処理の誤差を求め、前記誤差を含む高度値から前記求められた誤差を差し引くことで、前記測定地点の高度を算出することを特徴とする請求項2記載の高度計。
<請求項5>
情報を表示する表示手段と、
前記気圧測定手段による気圧の測定と前記高度算出手段による高度の算出とを行わせて算出された高度の情報を前記表示手段に表示させる高度表示制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の高度計。
【符号の説明】
【0053】
1 電子時計
10 CPU
11 RAM
11a 時間・高度データテーブル
e 基準気圧記憶部
f 基準高度記憶部
g スタート高度記憶部
k ラップ1〜ラップ10高度記憶部
12 ROM
13 発振回路
14 分周回路
15 キー部
16 表示部
17 圧力センサ
18 A/D変換回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気圧を測定する気圧測定手段と、
この気圧測定手段により測定された気圧と基準高度の設定データとに基づき高度を算出する高度算出手段と、
スタートからの時間を計測する時間計測手段と、
ラップ又はスプリット時間を得るためのスイッチ部と、
前記時間計測手段の時間計測中に前記スイッチ部が操作された場合にラップ時間又はスプリット時間を算出する途中時間算出手段と、
を備えた高度計において、
予め指定される複数のラップ地点又は複数のスプリット地点の高度を記憶する高度記憶手段と、
前記スイッチ部が操作されて前記ラップ時間又はスプリット時間が算出される毎に、前記高度記憶手段に記憶されている当該ラップ地点又はスプリット地点に対応する高度に基づき、前記基準高度の設定データを更新する基準高度変更手段と、
を備えていることを特徴とする高度計。
【請求項2】
前記基準高度の設定データには、
基準地点となる任意の地点の高度と当該地点の気圧とを表わす設定データが含まれ、
前記基準高度変更手段は、
前記スイッチ部が操作されて前記ラップ時間又はスプリット時間が算出される毎に、前記基準地点の高度の設定データを前記高度記憶手段に記憶されている高度のデータに変更するとともに、前記気圧測定手段に気圧を測定させて、前記基準地点の気圧の設定データを測定された気圧のデータに変更する
ことを特徴とする請求項1記載の高度計。
【請求項3】
前記高度算出手段は、
前記基準地点の気圧と前記気圧測定手段により測定地点で測定された気圧との差から前記測定地点と前記基準地点との高度差を算出し、この高度差を前記基準地点の高度に加算することで、前記測定地点の高度を算出することを特徴とする請求項2記載の高度計。
【請求項4】
前記高度算出手段は、
前記気圧測定手段により測定地点で測定された気圧値を所定の変換処理により誤差を含む高度値に変換するとともに、前記基準地点の気圧と高度とから前記所定の変換処理の誤差を求め、前記誤差を含む高度値から前記求められた誤差を差し引くことで、前記測定地点の高度を算出することを特徴とする請求項2記載の高度計。
【請求項5】
情報を表示する表示手段と、
前記気圧測定手段による気圧の測定と前記高度算出手段による高度の算出とを行わせて算出された高度の情報を前記表示手段に表示させる高度表示制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の高度計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−198155(P2012−198155A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63480(P2011−63480)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】