説明

高強度モノリス炭素フォーム

【課題】圧縮強度と密度の比が少なくとも約7000psi/g/ccである炭素フォームを包含する、特に複合材料機械類または他の高温用途に有用な炭素フォームの提供。
【解決手段】重合体状フォームブロック、特にフェノール系フォームブロックを不活性または空気を排除した雰囲気中、温度約500℃から、より好ましくは少なくとも約800℃〜約3200℃で炭化させ、密度が約0.05〜約0.4であり、圧縮強度が少なくとも約2000psiであり、気孔率が約65%〜約95%、細孔の細孔容積の少なくとも約90%が約10〜約150ミクロンの直径を有し、縦横比が平均約1.0〜約1.5であるような調整可能なセル構造を有することで高温用途に十分な密度、圧縮強度が得られる。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、複合材料機械類(tooling)を含む用途に有用な高強度モノリス炭素フォームに関する。より詳しくは、本発明は、強度、重量および密度特性が改良された炭素フォームに関する。本発明は、そのようなフォームの製造方法も含む。
【背景技術】
【0002】
炭素フォームは、その低密度特性と、それに関連する非常に高いまたは低い熱導電性のために、最近非常に注目されている。従来、炭素フォームは二通りの一般的な経路により製造されている。非常に黒鉛化し易いフォームは、メソフェーズピッチを高圧下で熱処理することにより製造されている。これらのフォームは、熱的および電気的伝導率が高い傾向がある。例えば、Klettの米国特許第6,033,506号では、メソフェーズピッチを加熱しながら圧力1000psiをかけて、大きさが90〜200ミクロンの互いに接続された細孔を含む連続気泡フォームが製造されている。Klettによれば、2800℃に加熱処理した後、フォームの固体部分が、層間空間が0.366nmの結晶性の高いグラファイト系構造に発達する。このフォームは、以前のフォームより大きい圧縮強度を有する(密度0.53gm/ccに対して3.4MPaまたは500psi)とされている。
【0003】
Hardcastleら(米国特許第6,776,936号)によれば、密度範囲0.678〜1.5gm/ccを有する炭素フォームが、型の中で、800psiまでの圧力でピッチを加熱することにより製造されている。このフォームは、易黒鉛化性が高く、高い熱伝導率(250W/m°K)を備えるとされている。
【0004】
H.J. Andersonらによれば、Proceedings of the 43d International SAMPE Meeting, p756(1998)において、炭素フォームが、メソフェーズピッチを900℃に酸化性熱硬化および炭化することにより製造される。このフォームは、様々な形状を有し、細孔径が39〜480ミクロンを超える互いに接続された細孔の連続気泡構造を有する。
【0005】
Rogersらは、Proceedings of the 45th SAMPE Conference, pg293 (2000)において、石炭系前駆物質から、高圧下で熱処理により、密度0.35〜0.45g/cc、圧縮強度2000〜3000psi(従って、強度/密度比約6000psi/g/cc)の材料を得る炭素フォームの製造を開示している。これらのフォームは、細孔径が1000ミクロンまでの互いに接続された細孔の連続気泡構造を有する。上記のメソフェーズピッチフォームと異なり、これらのフォームは易黒鉛化性が高くない。最近の出版物で、この種のフォームの特性が記載されている(High Performance Composites September 2004, pg.25)。このフォームは、密度0.27g/ccで圧縮強度が800psi、すなわち強度と密度の比が3000psi/g/ccである。
【0006】
Stillerら(米国特許第5,888,469号)は、水素化処理された石炭抽出物の加圧熱処理による炭素フォームの製造を開示している。これらの材料は、密度0.2〜0.4gm/ccに対して高い圧縮強度600psi(強度/密度比1500〜3000psi/g/cc)を有するとされている。これらのフォームは、易黒鉛化性ではないガラス状炭素またはガラス質の性格を有するフォームよりも強度が高いことが示唆されている。
【0007】
炭素フォームは、重合体または重合体前駆物質混合物の直接炭化によっても製造することができる。Mitchellは、米国特許第3,302,999号において、ポリウレタン重合体フォームを空気中、200〜255℃で加熱し、続いて不活性雰囲気中、900℃で炭化することにより、炭素フォームを製造することを開示している。これらのフォームは、密度が0.085〜0.387g/ccであり、圧縮強度が130〜2040psi(強度/密度比1529〜5271psi/g/cc)である。
【0008】
米国特許第5,945,084号においてDroegeは、ヒドロキシル化ベンゼンおよびアルデヒドに由来する有機ゲル(フェノール系樹脂前駆物質)を熱処理することによる連続気泡炭素フォームの製造を開示している。これらのフォームは、密度が0.3〜0.9g/ccであり、大きさが2〜50nmの小さなメソ孔から構成されている。
【0009】
Mercuriら(Proceedings of the 9th Carbon Conference, pg206 (1969))は、フェノール系樹脂の熱分解により炭素フォームを製造している。密度0.1〜0.4gm/ccのフォームに対して、圧縮強度と密度の比は2380〜6611psi/g/ccであった。密度0.25gm/ccの炭素フォームで、細孔の形状は長円形であり、細孔径は25〜75ミクロンであった。
【0010】
Stankiewicz(米国特許第6,103,149号)は、調整された縦横比0.6〜1.2を有する炭素フォームを製造している。この特許は、使用者が、優れた特性を得るために完全に等方性のフォームを要求することが多く、縦横比1.0が理想的であることを指摘している。ポリウレタンフォームに炭化性樹脂を含浸させ、続いて熱硬化および炭化させることにより、連続気泡炭素フォームが製造される。これによって、元のポリウレタンフォームの細孔縦横比が1.3〜1.4から0.6〜1.2に変化する。
【0011】
残念ながら、先行技術の方法により製造された炭素フォームは、多くの高温用途、例えば複合材料機械類には効果的ではない。一般的に入手できるフォームはモノリスではなく、そのような用途に必要な強度および強度対密度比を有していない。さらに、高度に相互接続された細孔を含む連続気泡フォームは、そのような用途に適していない多孔度を有する。
【0012】
従って、モノリスであり、調整可能なセル構造を有し、セル構造、強度および強度対密度比が、複合材料機械類や他の用途における使用に適している炭素フォームが望ましい。実際、先行技術で意図する強度対密度比より高い強度対密度比を包含する特性の組合せが、複合材料機械類用途における炭素フォームの使用に必要であることが判明しら。また、そのようなフォームの製造方法も望ましい。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、複合材料機械類等の用途に使用できる独特な炭素フォームを提供する。本発明のフォームは、これまで知られていない特徴である、強度と比較的軽量との組合せを実現する密度、圧縮強度および圧縮強度対密度比を示す。さらに、本フォームのモノリス性質および比較的球形の大および小細孔が組み合わされた双峰セル構造により、所望のサイズおよび形状で製造でき、容易に機械加工できる炭素フォームが得られる。
【0014】
より詳しくは、本発明の炭素フォームは、密度が約0.05〜約0.4グラム/立方センチメートル(g/cc)であり、圧縮強度が少なくとも約2000ポンド/平方インチ(psi)(例えばASTMC695により測定)である。高温用途で使用することを意図する場合、フォームの重要な特徴は、強度と密度の比である。そのような用途には、少なくとも約7000psi/g/ccの強度対密度比、より好ましくは少なくとも約8000psi/g/ccが必要である。
【0015】
本発明の炭素フォームは、必要な高い圧縮強度を与えるために、比較的一様な細孔分布を有するべきである。さらに、細孔は比較的等方性である、つまり細孔は比較的球形であり、細孔の平均縦横比が約1.0(これは完全な球形幾何学的構造を表す)〜約1.5であるべきである。縦横比は、細孔の長い方の寸法を短い方の寸法で割ることにより求められる。
【0016】
フォームは、総気孔率が約65%〜約95%、より好ましくは約70%〜約95%であるべきである。さらに、双峰細孔分布を有する、すなわち2つの平均細孔径の組合せを有し、主要画分が大きいサイズの細孔であり、小画分が小さいサイズの細孔であるのが非常に有利であることが分かった。好ましくは、細孔の、細孔容積の少なくとも約90%、より好ましくは細孔容積の少なくとも約95%が大きいサイズの画分であるべきであり、細孔容積の少なくとも約1%、より好ましくは細孔容積の約2%〜約10%が小さいサイズの画分であるべきである。
【0017】
本発明の炭素フォームにおける双峰細孔分布の大きい方の細孔画分は、直径約10〜約150ミクロン、より好ましくは直径約15〜約95ミクロン、最も好ましくは直径約25〜約95ミクロンであるべきである。細孔の小さい方の細孔画分は、約0.8〜約3.5ミクロン、より好ましくは約1〜約2ミクロンの直径を有する細孔を含んでなるべきである。本発明のフォームの双峰性質は、連続気泡フォームと独立気泡フォームの間の中間構造を備え、それによってフォーム構造を維持しながらフォームの液体透過性を制限する。実際、有利なことに、本発明の炭素フォームは、約3.0ダルシー(darcy)以下、より好ましくは約2.0ダルシー以下の透過性を示すべきである(例えばASTMC577により測定して)。
【0018】
本発明のフォームを製造するには、重合体状フォームブロック、特にフェノール系フォームブロックを、不活性または空気を排除した雰囲気中、温度約500℃から、より好ましくは少なくとも約800℃〜約3200℃で炭化させ、高温用途に有用な炭素フォームを製造するのが有利である。
【0019】
従って、本発明の目的は、高温用途、例えば複合材料機械類用途に使用できる特徴を有するモノリス炭素フォームである。
【0020】
本発明のもう一つの目的は、高温用途に十分な密度、圧縮強度、および圧縮強度と密度の比を有する炭素フォームである。
【0021】
本発明の別の目的は、高度に接続された多孔度が好ましくない用途で使用できる多孔度およびセル構造および分布を有する炭素フォームである。
【0022】
本発明のさらに別の目的は、所望のサイズおよび形状に製造でき、容易に機械加工するか、または接合してより大きな炭素フォーム構造を形成することができる炭素フォームである。
【0023】
本発明の別の目的は、本発明の炭素フォームを製造する方法を提供することである。
【0024】
下記の説明を読むことにより当業者には明らかな、これらの態様および他の態様は、圧縮強度と密度の比が少なくとも約7000psi/g/ccであり、特に圧縮強度と密度の比が少なくとも約8000psi/g/ccである炭素フォームから形成された炭素フォーム製品により達成することができる。本発明の炭素フォームは、密度が約0.05〜約0.4であり、圧縮強度が少なくとも約2000psiであり、気孔率が約65%〜約95%であるのが有利である。炭素フォームの細孔は、縦横比が平均約1.0〜約1.5である。
【0025】
好ましくは、細孔の細孔容積の少なくとも約90%が約10〜約150ミクロンの直径を有し、実際、最も好ましくは細孔の細孔容積の少なくとも約95%が約25〜約95ミクロンの直径を有する。細孔の細孔容積の少なくとも約1%が約0.8〜約3.5ミクロンの直径を有し、より好ましくは細孔の細孔容積の約2%〜約10%が約1〜約2ミクロンの直径を有するのが有利である。
【0026】
本発明のフォームは、重合体フォーム製品、特にフェノール系フォームを、不活性または空気を排除した雰囲気中で炭化させることにより、製造することができる。フェノール系フォームは、好ましくは圧縮強度が少なくとも約100psiである。
【0027】
上記の一般的な説明および下記の詳細な説明の両方が本発明の実施態様を与え、特許請求する本発明の本質および性格を理解する全体像または骨格を与えることは言うまでもない。
【好ましい実施態様の詳細な説明】
【0028】
本発明の炭素フォームは、重合体状フォーム、例えばポリウレタンフォームまたはフェノール系フォームから製造されるが、フェノール系フォームが好ましい。フェノール系樹脂は、重合体およびオリゴマーの大きな一群であり、フェノールとホルムアルデヒドの反応に基づく非常に様々な構造から構成される。フェノール系樹脂は、酸性または塩基性触媒の存在下で、フェノールまたは置換されたフェノールとアルデヒド、特にホルムアルデヒドとの反応により製造される。フェノール系樹脂フォームは、連続および独立気泡から構成された硬化系である。これらの樹脂は、一般的に、あるホルムアルデヒド:フェノールの比で、水酸化ナトリウムにより触媒作用させる水性レゾールであり、この比は変えることができるが、好ましくは約2:1である。遊離のフェノールおよびホルムアルデヒドの含有量は低いはずであるが、ホルムアルデヒド補集剤として尿素を使用することができる。
【0029】
フォームは、樹脂の含水量を調節し、界面活性剤(例えばエトキシル化された非イオン系)、発泡剤(例えばペンタン、メチレンクロライド、またはクロロ過フッ化炭化水素)、および触媒(例えばトルエンスルホン酸またはフェノールスルホン酸)を加えることにより、製造される。スルホン酸が反応に触媒作用し、樹脂中に乳化している発泡剤が発熱により蒸発し、フォームが膨脹する。界面活性剤はセルサイズならびに連続気泡と独立気泡単位の比を調整する。バッチ式および連続式の両製法が使用される。連続式製法では、機械は、連続ポリウレタンフォームに使用する機械と類似している。フォームの特性は、主として密度およびセル構造により異なる。
【0030】
好ましいフェノールはレゾルシノールであるが、他の、アルデヒドと縮合生成物を形成できる種類のフェノールも使用できる。そのようなフェノールとしては、1価および多価フェノール、ピロカテコール、ヒドロキノン、アルキル置換されたフェノール、例えばクレゾールまたはキシレノール、多核1価または多価フェノール、例えばナフトール、p,p’−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタンまたはヒドロキシアントラセンがある。
【0031】
フォーム出発材料の製造に使用するフェノールを、フェノールと同様にアルデヒドと反応し得る非フェノール系化合物との混合物で使用することもできる。
【0032】
溶液で使用するのに好ましいアルデヒドは、ホルムアルデヒドである。他の好適なアルデヒドとしては、同じ様式でフェノールと反応するアルデヒドがある。これらの材料には、例えばアセトアルデヒドおよびベンズアルデヒドがある。
【0033】
一般的に、本発明の方法に使用できるフェノールおよびアルデヒドは、ここにその開示を参考として含める米国特許第3,960,761号および第5,047,225号に記載されている。
【0034】
本発明の炭素フォームの製造に出発材料として使用する重合体状フォームは、形成すべき炭素フォームに望ましい最終的な密度を反映する初期密度を有するべきである。つまり、重合体状フォームは、約0.1〜約0.6g/cc、より好ましくは約0.1〜約0.4g/ccの密度を有するべきである。重合体状フォームのセル構造は、気孔率約65%〜約95%で独立しており、比較的高い圧縮強度、すなわち少なくとも約100psiで、約300psi以上までの高いオーダーの圧縮強度を有するべきである。
【0035】
重合体状フォームを炭素フォームに転化するには、不活性または空気を排除した雰囲気中、例えば窒素の存在下で、温度約500℃、より好ましくは少なくとも約800℃〜約3200℃に加熱することにより、フォームを炭化させる。重合体状フォームは、炭化の際に約50%以上も収縮し得るので、加熱速度は、重合体フォームが数日間かけて所望の温度になるように制御すべきである。効果的に炭化させるには、重合体フォームを確実に一様に加熱するように注意すべきである。
【0036】
不活性または空気を排除した環境で加熱した重合体状フォームを使用することにより、密度は出発重合体フォームとほぼ等しいが、圧縮強度が少なくとも約2000psiであり、重要なことに、強度と密度の比が少なくとも約7000psi/g/cc、より好ましくは少なくとも約8000psi/g/ccである、易黒鉛化しないガラス質炭素フォームが得られる。この炭素フォームは、平均縦横比が約1.0〜約1.5である等方性細孔の比較的一様な分布を有する。
【0037】
得られる炭素フォームは、総気孔率が約65%〜約95%、より好ましくは約70%〜約95%であり、双峰細孔分布を有し、細孔の細孔容積の少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%が約10〜約150ミクロンの直径、より好ましくは約15〜約95ミクロンの直径、最も好ましくは約25〜約95ミクロンの直径を有し、細孔の細孔容積の少なくとも約1%、より好ましくは約2%〜約10%が約0.8〜約3.5ミクロン、より好ましくは約1〜約2ミクロンの直径を有する。本発明のフォームの双峰性質により、連続気泡フォームと独立気泡フォームの中間構造が得られ、フォームの液体透過性を制限しながら、フォーム構造を維持する。3.0ダルシー未満、さらには2.0ダルシー未満の透過性が好ましい。
【0038】
典型的には、気孔率および個別細孔の径および形状のような特徴は、光学的に、例えば明視野照明を使用するエポキシマイクロスコピーマウントを使用して測定し、市販のソフトウエア、例えばMaryland、Silver SpringのMedia Cyberneticから市販されているImage-Pro Softwareを使用して決定する。
【実施例】
【0039】
本発明の原理および操作をさらに説明するために、下記の例を提供する。しかし、この例は、いかなる点においても制限するものではない。
【0040】
長さ7.8インチ、幅3.9インチ、厚さ2.9インチの長方形フェノール系フォームブロックを、下記の様式で炭素フォームに転化する。出発フェノール系フォームは、密度0.32g/cc、圧縮強度約300psiを有する。このフォームを鋼製缶に充填し、空気から遮断し、毎時2℃で温度550℃に、次いで毎時10℃で900℃に加熱し、その温度に約20時間保持する。得られた炭素フォームは、密度0.336g/cc、および圧縮強度4206psiを有し、強度と密度の比が12,517psi/g/ccである。フォームの熱伝導率は25℃で0.3W/m°K、透過率は0.17ダルシーと測定される。
【0041】
フォームを光学顕微鏡法により検査し、フォームの気孔率は79.5%と測定される。2組の細孔が観察され、これらの細孔は丸く、極めて一様な直径を有している。画像解析手順を使用し、2組の異なった細孔の平均直径および縦横比を決定する。直径が25ミクロンを超える大きいサイズの細孔に関しては、計算された平均直径は35ミクロンで、標準偏差は24ミクロンである。細孔の縦横比は1.16と計算され、実質的に球形であることを示している。これらの大きな細孔は総気孔率の細孔容積の96%になる。総気孔率の細孔容積の4%になる小さなサイズの細孔は、平均直径が1.75ミクロンで、標準偏差は0.35である。これらの細孔の縦横比は1.10と計算される。
【0042】
フォームの細孔構造は、連続気泡と独立気泡形状の中間の概観を有する点で、他のフォームと比較して独特である。大きな細孔は、細かい細孔により互いに弱く接続されているだけなので、このフォームは、水に対して透過性を示すが、粘度のより高い液体は容易に吸収しない。
【0043】
様々な密度の前駆材料を使用して一連の炭素フォームを製造する。これらの製品の特性を以下に示す。
【表1】

【0044】
従って、本発明の実施により、これまで認められていない特徴を有する炭素フォームが製造される。これらのフォームは、圧縮強度と密度の比が著しく高く、顕著な双峰セル構造を有し、複合材料機械類のような用途に特に効果的である。
【0045】
本明細書に記載した特許および文献の開示内容はすべて参考として本明細書に包含される。
【0046】
上記の説明は、当業者が本発明を実施できるようになることを意図している。この説明を読むことにより当業者には明らかになる、可能な変形や修正のすべてを詳細に説明することは意図していない。しかしながら、そのような修正および変形のすべては、請求項により規定される本発明の範囲内に入る。状況が特に反対のことを示していない限り、本発明が意図する目的に有効であるあらゆる配置または順序において説明された部品および工程は、特許請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮強度と密度の比が少なくとも約7000psi/g/ccである炭素フォームを含んでなる、炭素フォーム製品。
【請求項2】
前記炭素フォームの圧縮強度と密度の比が少なくとも約8000psi/g/ccである、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記炭素フォームの密度が約0.05〜約0.4であり、圧縮強度が少なくとも約2000psiである、請求項2に記載の製品。
【請求項4】
前記炭素フォームの気孔率が約65%〜約95%である、請求項3に記載の製品。
【請求項5】
前記炭素フォームの細孔の平均縦横比が約1.0〜約1.5である、請求項4に記載の製品。
【請求項6】
前記細孔の細孔容積の少なくとも約90%が約10〜約150ミクロンの直径を有する、請求項1に記載の製品。
【請求項7】
前記細孔の細孔容積の少なくとも約95%が約25〜約95ミクロンの直径を有する、請求項6に記載の製品。
【請求項8】
前記細孔の細孔容積の少なくとも約1%が約0.8〜約3.5ミクロンの直径を有する、請求項6に記載の製品。
【請求項9】
前記細孔の細孔容積の約2%〜約10%が約1〜約2ミクロンの直径を有する、請求項8に記載の製品。
【請求項10】
約3.0ダルシー以下の透過性を有する、請求項1に記載の製品。
【請求項11】
細孔の細孔容積の少なくとも約90%が約10〜約150ミクロンの直径を有し、細孔の細孔容積の少なくとも約1%が約0.8〜約3.5ミクロンの直径を有するような細孔分布を有する炭素フォームを含んでなる、炭素フォーム製品。
【請求項12】
前記細孔の細孔容積の少なくとも約95%が約25〜約95ミクロンの直径を有する、請求項11に記載の製品。
【請求項13】
前記細孔の細孔容積の約2%〜約10%が約1〜約2ミクロンの直径を有する、請求項12に記載の製品。
【請求項14】
前記炭素フォームの圧縮強度と密度の比が少なくとも約7000psi/g/ccである、請求項11記載の製品。
【請求項15】
前記炭素フォームの圧縮強度と密度の比が少なくとも約8000psi/g/ccである、請求項14に記載の製品。
【請求項16】
前記炭素フォームの密度が約0.05〜約0.4であり、圧縮強度が少なくとも約2000psiである、請求項15に記載の製品。
【請求項17】
前記炭素フォームの気孔率が約65%〜約95%である、請求項16に記載の製品。
【請求項18】
前記炭素フォームの細孔の平均縦横比が約1.0〜約1.5である、請求項17に記載の製品。
【請求項19】
約3.0ダルシー以下の透過性を有する、請求項11に記載の製品。
【請求項20】
炭素フォーム製品の製造方法であって、重合体フォーム製品を不活性または空気を排除した雰囲気中で炭化させることを含んでなる、方法。
【請求項21】
前記重合体フォーム製品がフェノール系フォームを含んでなる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記フェノール系フォームの圧縮強度が少なくとも約100psiである、請求項21に記載の方法。

【公開番号】特開2006−117507(P2006−117507A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−137604(P2005−137604)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(500500125)ユーカー、カーボン、カンパニー、インコーポレーテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】UCAR CARBON COMPANY INC.
【Fターム(参考)】