説明

高性能断熱材及びその製造方法

【課題】 特殊な被覆材やバインダーを使用せず、加工、搬送、取付などの際に破損や粉末粒子の剥落などを抑制することができ、優れた柔軟性と断熱性を兼ね備えた断熱材、並びにその製造方法を提供する。
【解決手段】 シート状繊維成形体1の片方の表面側に低熱伝導率の断熱被覆層2を有する高性能断熱材であって、シート状繊維成形体1の嵩密度が64〜160kg/mであり、断熱被覆層2はシリカ粉末、アルミナ粉末、ケイ酸アルミニウム粉末から選ばれた粉末と熱反射機能材料の粉末を含んでいる。断熱被覆層2の表面には、2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンとパラフィン系炭化水素を含む溶液の塗布層3を具えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器等を周囲の熱から保護するために、電気機器に取り付けるシート状の断熱材並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気機器用の断熱材として、断熱性に優れるヒューム状のシリカ粉末、アルミナ粉末、ケイ酸アルミニウム粉末もしくはこれらの混合物に熱反射機能を有する材料として酸化チタンの粉末などを加え、圧縮成形して製造したシート状の断熱材が広く使用されている。
【0003】
しかしながら、このような無機粉末を圧縮成形した断熱材は、非常に脆弱であるため損壊したり、断熱材を構成している無機粉末の粒子が剥落して飛散したりしやすい。そのため、切断や穴あけなどの加工の際はもちろん、搬送時や電気機器に取り付ける施工の際にも、断熱材が破損したり、表面の無機粉末粒子が剥落したりする問題があった。
【0004】
このような無機粉末粒子の剥落や飛散を防ぐために、特開2008−194974号公報(特許文献1)には、ガラス繊維製の織布やセラミック繊維製の不織布等の多孔質被覆材で断熱材表面を覆い、バインダーにより接着することが行われている。しかし、多孔質被覆材やバインダーの影響によって断熱性が低下し易いうえ、多孔質被覆材の厚みが厚くなると断熱材の柔軟性が損なわれ、加工や施工の際に損傷が生じていた。
【0005】
また、特開2007−230858号公報(特許文献2)には、断熱材の表面に無機粒子とバインダーからなる被膜を形成する方法が記載され、特開2005−36975号公報(特許文献3)には断熱材の表面をバインダーなどで高密度化する方法が開示されている。しかし、これらの方法では、被膜が剥離したり、バインダーの影響で断熱材に亀裂や損壊が生じたり、断熱性が低下したりする問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−194974号公報
【特許文献2】特開2007−230858号公報
【特許文献3】特開2005−36975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した従来の事情に鑑み、従来のように特殊な被覆材やバインダーを使用せず、加工、搬送、取付などの際に破損や無機粉末粒子の剥落などを抑制することができ、優れた柔軟性と断熱性を兼ね備えた断熱材並びにその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明者らは、断熱材の破損や無機粉末粒子の剥落などを抑制する手段について検討を重ねた結果、従来のように断熱性に優れる無機粉末を圧縮成形するのではなく、無機粉末をシート状の繊維成形体表面に吸着や圧着などの方法で保持することによって、破損や無機粉末粒子の剥落などを抑制できることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0009】
即ち、本発明が提供する高性能断熱材は、シート状繊維成形体と、その片方の表面側に設けた低熱伝導率の断熱被覆層とを有し、シート状繊維成形体の嵩密度が64〜160kg/mであって、断熱被覆層がシリカ粉末、アルミナ粉末、ケイ酸アルミニウム粉末から選ばれた少なくとも1種と熱反射機能材料の粉末とを含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明が提供する高性能断熱材の製造方法は、シート状繊維成形体と、その片方の表面側に設けた低熱伝導率の断熱被覆層とを有する高性能断熱材の製造方法であって、シリカ粉末、アルミナ粉末、ケイ酸アルミニウム粉末から選ばれた少なくとも1種の粉末と熱反射機能材料の粉末とを混合し、得られた混合粉末を嵩密度が64〜160kg/mのシート状繊維成形体の表面側に保持させて断熱被覆層を形成することを特徴とする。
【0011】
上記した本発明の高性能断熱材及びその製造方法においては、前記断熱被覆層の表面に、更に2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンをパラフィン系炭化水素に溶解した溶液を塗布して、塗布層を設けることができる。
【0012】
また、本発明は、上記した本発明の高性能断熱材を2枚具備し、少なくとも片方の高性能断熱材の断熱被覆層表面に2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンとパラフィン系炭化水素を含む塗布層を具え、該塗布層を挟んで互いの断熱被覆層が対向するように2枚の高性能断熱材を積層した構造を有し、低熱伝導率の断熱被覆層を内包することを特徴とする複層構造の高性能断熱材を提供するものである。
【0013】
更に、本発明は、上記本発明による2枚の高性能断熱材を得た後、少なくとも片方の高性能断熱材の断熱被覆層表面に2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンをパラフィン系炭化水素に溶解した溶液を塗布し、得られた塗布層が乾燥する前に、該塗布層を挟んで互いの断熱被覆層が対向するように2枚の高性能断熱材を積層することを特徴とする、低熱伝導率の断熱層を内包する複層構造の高性能断熱材の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来のように圧縮成形をおこなわず且つ特殊な被覆材やバインダーを使用することなく、加工、搬送、取り付けるなどの際に破損や無機粉末粒子の剥落などを抑制することができ、優れた柔軟性と断熱性を兼ね備えた断熱材を提供することができる。
【0015】
更に、断熱被覆層の表面に粉末粒子の剥落防止用の塗布層を設けるか、あるいは塗布層を挟んで互いの断熱被覆層が対向するように2枚の高性能断熱材を積層することによって、搬送時や加工時又は施工時などにも粉末粒子の剥落ないし飛散を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による高性能断熱材の一具体例を示す概略の斜視図である。
【図2】本発明による断熱被覆層を内包した複層構造の高性能断熱材の一具体例を示す概略の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の高性能断熱材は、従来はシート状に圧縮成形して断熱材としていた断熱性に優れている無機粉末の少なくとも1種と、熱反射機能を有する材料の粉末との混合粉末を、吸着や圧着などの手段によりシート状繊維成形体の表面に保持させることによって、シート状繊維成形体の片方の表面側に低熱伝導率の断熱被覆層を設けたものである。
【0018】
上記断熱被覆層を構成する無機粉末は、具体的にはシリカ粉末、アルミナ粉末、ケイ酸アルミニウム粉末の少なくとも1種であり、揮発性や昇華性の化合物を火炎中で燃焼して煙霧質としたヒュームドシリカやヒュームドアルミナ等のヒューム状のものが好ましい。また、熱反射機能材料としては、赤外線に対する反射率あるいは散乱効果の大きい耐熱性の物質であればよく、例えば酸化チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、炭化珪素などを好適に用いることができる。
【0019】
上記断熱被覆層は基本的にシリカ粉末等の無機粉末と熱反射機能材料の粉末とで構成されるが、強度を保ち且つ粉末粒子の剥落を防ぐために、無機質繊維を含有することができる。無機質繊維としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、ムライト繊維、シリカ繊維、ケイ酸アルミニウム繊維、若しくはこれらの混合物が挙げられる。尚、使用する無機質繊維の繊維径や繊維長に特に制限はない。
【0020】
上記シート状繊維成形体は、アルミナ−シリカ繊維、アルミナ繊維、ムライト繊維などの無機質繊維を、単独あるいは混合してシート状に成形したものである。例えば、これらの繊維を集綿して圧縮し、ニードリングして製造されるブランケットなどを用いることができる。具体的には、イソライト工業(株)製のイソウールブランケット(商品名)、三菱化成(株)製のマッテックブランケット(商品名)、ITM(株)製のファイバーエクセル(商品名)などがある。
【0021】
上記シート状繊維成形体の嵩密度は64〜160kg/mの範囲とする。嵩密度が64kg/m未満では、繊維成形体に空隙が多くなり過ぎるため、表面に吸着や圧着などの手段によって粉末粒子を保持することが困難である。また、嵩密度が160kg/mを超えると、逆に空隙が少なくなり過ぎるため、例えば真空吸引では濾過抵抗が大きくて粉末粒子を捕集することができず、加圧しても十分な量の粉末を圧着することが難しい。
【0022】
次に、上記本発明の高性能断熱材の製造方法について説明する。まず、シリカ粉末、アルミナ粉末、ケイ酸アルミニウム粉末から選ばれた少なくとも1種の粉末と熱反射機能材料の粉末とを混合し、得られた混合粉末を嵩密度が64〜160kg/mのシート状繊維成形体の表面に保持させることにより断熱被覆層を形成する。
【0023】
シート状繊維成形体の表面に混合粉末を保持させる具体的な方法としては、例えば、シート状繊維成形体の片方の表面側から混合粉末を真空吸引して吸着保持させる方法、シート状繊維成形体の上に混合粉末を充填してピストンなどで加圧圧縮するか又はローラーで転圧する方法などがある。これらの方法によって、混合粉末はシート状繊維成形体の繊維間に充填されたり若しくは繊維間に絡まったりして保持されるので、シート状繊維成形体の表面側に断熱被覆層を形成することができる。
【0024】
上記断熱被覆層を形成する方法において、真空吸引による場合の吸引時の好適な静圧は3kPa程度、風量は15〜50m/分程度である。また、ピストンやローラーで加圧する場合、好適な圧力は10〜50kgf/m程度である。尚、シート状繊維成形体の厚さは、真空吸引による場合は濾過抵抗の点で約13mm以下が好ましい。また、ピストンやローラーで加圧する場合は、厚すぎると圧縮により粉末粒子が十分に入らない程度にまで密度が大きくなるため、同じく約13mm以下の厚さが好ましい。
【0025】
このようにして得られる本発明の高性能断熱材は、表面の断熱被覆層がシート状繊維成形体の厚みよりも薄く、シート状繊維成形体本来の柔軟性を保持しており、搬送や加工の際にも欠けや損壊が生じ難い。また、断熱被覆層を構成する粉末の粒子は、シート状繊維成形体の繊維間に充填され若しくは繊維間に絡まって保持されているから、断熱材の搬送及び加工や施工の際に多少剥落する程度であって、その他の場合には粉末粒子の剥落はほとんど起こらない。
【0026】
好ましい態様として、断熱被覆層の表面に2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンをパラフィン系炭化水素に溶解した溶液を塗布することにより、図1に示すように、シート状繊維成形体1の断熱被覆層2の表面に粉末の剥落防止用の塗布層3を形成することができる。溶液の塗布方法は特に限定されないが、塗布の際に粉末粒子が剥落することをなくすため、炭酸ガスなどの噴霧剤を用いて噴霧する方法が好適である。
【0027】
上記溶液の組成は特に限定されず、2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンが溶剤であるパラフィン系炭化水素に溶解していればよい。好適な市販品としては、2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンとシクロペンタンに炭酸ガスを添加した一時硬化剤でファインケミカルジャパン(株)製のFC−205(商品名)がある。尚、塗布層形成用の溶液にバインダーを添加することも考えられるが、バインダーが断熱材中に残存すると、断熱材の柔軟性や断熱性が損なわれるため好ましくない。
【0028】
上記塗布層を設けることによって、断熱被覆層を構成する粉末粒子の保持力を高め、搬送や加工、施工の際にも粉末粒子の剥落をより一層剥落抑えることができる。ただし、塗布層を構成する2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンとパラフィン系炭化水素は、高温にさらされるか又は時間の経過に伴ってほとんどが蒸発ないし昇華する。従って、上記塗布層を形成した断熱材は、できるだけ高温を避け且つ長時間経過しない間に、搬送及び加工や施工を行うことが望ましい。
【0029】
また、2枚の高性能断熱材の片方又は両方の断熱被覆層表面に2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンをパラフィン系炭化水素で溶解した溶液を塗布し、得られた塗布層が乾燥する前に、その塗布層を挟んで互いの断熱被覆層が対向するように2枚の高性能断熱材を積層することによって、低熱伝導率の断熱層を内包する複層構造の高性能断熱材を得ることができる。
【0030】
得られる複層構造の高性能断熱材は、図2に示すように、上記したシート状繊維成形体1と断熱被覆層2を有する2枚の高性能断熱材を具備し、片方又は両方の高性能断熱材の断熱被覆層2、2の表面に2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンとパラフィン系炭化水素を含む塗布層3を具え、その塗布層3を挟んで互いの断熱被覆層2、2が対向するように2枚の高性能断熱材を積層した構造を有している。
【0031】
上記複層構造の高性能断熱材は、低熱伝導率の断熱被覆層が2層重ねて内包されているため、単層構造に比べて断熱性に優れているだけでなく、断熱被覆層を構成する無機粉末の粉末粒子が剥落したり飛散したりする危険がほとんどない。尚、この複層構造の場合も、塗布層を構成する2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンとパラフィン系炭化水素は高温にさらされるか又は時間の経過に伴ってほとんどが蒸発ないし昇華する。
【実施例1】
【0032】
[実施例1]
シリカ粉末70重量部と、熱反射機能材料である酸化チタン粉末20重量部と、Eガラス繊維10重量部とを撹拌混合した。得られた混合物の撹拌を続けながら、嵩密度64kg/mで厚さ6mmのシリカアルミナファイバー製のシート状繊維成形体(商品名:イソウール エースブランケット、イソライト工業(株)製)の片方の表面を吸引面とし、真空吸引して捕集することにより厚さ約2mmの断熱被覆層を形成した。
【0033】
その後、2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンとシクロペンタンに炭酸ガスを添加した一時硬化剤FC−205(商品名、ファインケミカルジャパン(株)製)を、上記断熱被覆層の表面にスプレー噴射することにより塗布層を形成した。
【0034】
得られた断熱材は、搬送、加工、施工を行った際に、断熱被覆層の損壊や粉末粒子の剥落は生じなかった。また、得られた断熱材の断熱被覆層のない側の表面を900℃の熱面にさらし、断熱被覆層表面の温度を測定したところ338℃であり、十分な断熱性能を有することが確認された。
【0035】
[実施例2]
シリカ粉末70重量部と、熱反射機能材料である酸化チタン粉末20重量部と、Eガラス繊維10重量部とを撹拌混合した。得られた混合物の撹拌を続けながら、嵩密度160kg/mで厚さ6mmのシリカアルミナファイバー製のシート状繊維成形体(商品名;イソウール エースブランケット、イソライト工業(株)製)の片方の表面を吸引面とし、真空吸引して捕集することにより厚さ約2mmの断熱被覆層を形成した。
【0036】
その後、2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンとシクロペンタンに炭酸ガスを添加した一時硬化剤(商品名;FC−205、ファインケミカルジャパン(株)製)を、上記断熱被覆層の表面にスプレー噴射することにより塗布層を形成した。
【0037】
得られた断熱材は、搬送、加工、施工を行った際に、断熱被覆層の損壊や粉末粒子の剥落は生じなかった。また、得られた断熱材の断熱被覆層のない側の表面を900℃の熱面にさらし、断熱被覆層表面の温度を測定したところ305℃であり、十分な断熱性能を有することが確認された。
【0038】
[実施例3]
上記実施例1で得られた断熱材を2枚用意し、上記実施例2と同様にして塗布層を形成した後、引き続いて互いの断熱被覆層を重ね合わせて積層することによって、断熱被覆層を内包した複層構造の断熱材を作製した。
【0039】
得られた複層構造の断熱材は、搬送、加工、施工を行った際に、断熱被覆層の損壊や粉末粒子の剥落は生じなかった。また、得られた断熱材の断熱被覆層のない片方の表面を900℃の熱面にさらし、反対側の表面の温度を測定したところ244℃であり、十分な断熱性能を有することが確認された。
【0040】
[比較例1]
断熱被覆層を形成していないシリカアルミナファイバー製のシート状繊維成形体について、上記実施例1と同様にして断熱性を評価した。用いたシート状繊維成形体は、嵩密度が64kg/mで厚さが8mmのシート状繊維成形体と、嵩密度が160kg/mで厚さが8mmのシート状繊維成形体(共に、商品名;イソウール エースブランケット、イソライト工業(株)製)の2種とした。
【0041】
即ち、上記2種のシート状繊維成形体について片方の表面を900℃の熱面にさらし、反対側の表面の温度を測定したところ、嵩密度が64kg/mで厚さが8mmのシート状繊維成形体では417℃であり、嵩密度が160kg/mで厚さが8mmのシート状繊維成形体では345℃であった。
【0042】
[比較例2]
シリカ粉末70重量部と、熱反射機能材料であるチタニア粉末20重量部と、Eガラス繊維10重量部とを撹拌混合した。得られた混合物の撹拌を続けながら、嵩密度192kg/mで厚さ6mmのシリカアルミナファイバー製のシート状繊維成形体(商品名;イソウール エースペーパー、イソライト工業(株)製)の片方の表面を吸引面として真空吸引したが、濾過抵抗が大きくて捕集することができず、断熱被覆層を形成することができなかった。
【符号の説明】
【0043】
1 シート状繊維成形体
2 断熱被覆層
3 塗布層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状繊維成形体と、その片方の表面側に設けた低熱伝導率の断熱被覆層とを有し、シート状繊維成形体の嵩密度が64〜160kg/mであって、断熱被覆層がシリカ粉末、アルミナ粉末、ケイ酸アルミニウム粉末から選ばれた少なくとも1種と熱反射機能材料の粉末とを含むことを特徴とする高性能断熱材。
【請求項2】
前記断熱被覆層の表面に、2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンとパラフィン系炭化水素を含む塗布層を具えることを特徴とする、請求項1に記載の高性能断熱材。
【請求項3】
前記断熱被覆層が無機質繊維を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の高性能断熱材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの2枚の高性能断熱材を具備し、且つ少なくとも片方の高性能断熱材の断熱被覆層表面に2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンとパラフィン系炭化水素を含む塗布層を具え、該塗布層を挟んで互いの断熱被覆層が対向するように2枚の高性能断熱材を積層した構造を有し、低熱伝導率の断熱被覆層を内包することを特徴とする複層構造の高性能断熱材。
【請求項5】
シート状繊維成形体と、その片方の表面側に設けた低熱伝導率の断熱被覆層とを有する高性能断熱材の製造方法であって、シリカ粉末、アルミナ粉末、ケイ酸アルミニウム粉末から選ばれた少なくとも1種の粉末と熱反射機能材料の粉末とを混合し、得られた混合粉末を嵩密度が64〜160kg/mのシート状繊維成形体の表面に保持させて断熱被覆層を形成することを特徴とする高性能断熱材の製造方法。
【請求項6】
前記断熱被覆層の表面に、2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンをパラフィン系炭化水素に溶解した溶液を塗布して、塗布層を形成することを特徴とする、請求項5に記載の高性能断熱材の製造方法。
【請求項7】
請求項5の方法により2枚の高性能断熱材を得た後、少なくとも片方の高性能断熱材の断熱被覆層表面に2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンをパラフィン系炭化水素で溶解した溶液を塗布し、得られた塗布層が乾燥する前に、該塗布層を挟んで互いの断熱被覆層が対向するように2枚の高性能断熱材を積層することを特徴とする、低熱伝導率の断熱層を内包する複層構造の高性能断熱材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−163483(P2011−163483A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28400(P2010−28400)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(391029509)イソライト工業株式会社 (24)
【Fターム(参考)】