説明

高所作業車用油圧ポンプの駆動装置

【課題】単純な構造を有し、車に搭載されて、車の内部または底部に置かれたバッテリーの電気を利用するか、または外部の交流電気を利用して、既に設けられた油圧ポンプをモーターで作動させることで、エンジンから発生する燃焼ガスが作業場に排出されないため、作業者の作業環境を改善し、作業時に車から発生する音の軽減によって作業場の周辺の騒音を減らすことができるため、多くの人が住むアパートなどで夜に引越荷物を静かに運ぶことができる高所作業車用油圧ポンプの駆動装置を提供する。
【解決手段】高所作業車用油圧ポンプの駆動装置において、油圧ポンプ内のポンプ駆動軸とポンプ従動軸のうち何れか一つを一方向に延ばす軸延長部が油圧ポンプの側面上に突設され、外部の電気またはバッテリーの電気によって駆動するモーターが前記軸延長部と連結されることを特徴とする、高所作業車用油圧ポンプの駆動装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はしご車やクレーン車のような高所作業車に備えられた作業用油圧ポンプを駆動させる装置に係り、さらに詳細には、エンジンから発生する燃焼ガスが作業場に排出されないため、作業者の作業環境を改善し、作業時に車から発生する音の軽減によって作業場の周辺の騒音を減らすことができため、多くの人が住むアパートなどで、夜に引っ越し荷物を静かに運ぶことができる高所作業車用油圧ポンプの駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、高所作業車は、はしご車、クレーン車などがあり、建築物の外部工事や電信柱に電線設置作業、看板及び照明設置作業、橋梁のような構造物のメンテナンス及び設置作業のように、高い所での作業に利用されるか、または構造物を高い所に移動させる際に利用される。
【0003】
そして、前記高所作業車には、動力引出装置の動力を利用して油圧ポンプを駆動させる装置が備えられ、前記油圧ポンプから出力される油圧によって、はしご車のはしご装置、クレーン車のクレーン装置のような高所作業器具が作動する。
【0004】
はしご車の場合には、前記油圧ポンプを駆動させて、はしご車のはしごを伸縮及び積載台を昇降させることができ、クレーン車の場合には、構造物を昇降させることができる。例えば、従来、エンジンの動力を制御するための動力引出装置が駆動軸によって油圧ポンプと連結され、前記油圧ポンプの油圧によってはしご車などのはしご装置が駆動する構造を有し、それは、複数の操作レバーによってはしご装置を駆動させるとともに積載台を昇降させる。
【0005】
すなわち、複数の操作レバーによってはしご装置を駆動させるとき、油圧ポンプの出力を高める必要があるため、操作レバーによって作動するワイヤーがエンジンの出力調整レバーを回転させると、エンジンの出力が増大するとともに、動力引出装置と駆動軸の出力が増大して、油圧ポンプの出力圧力を増大させる。
【0006】
したがって、従来、複数の操作レバーによってはしご装置を駆動させるとき、油圧ポンプの出力圧力が増大して、はしご装置が円滑に作動することができる。
【0007】
しかし、従来、高所作業車のはしご装置のような装置を作動させるとき、エンジンを駆動させた状態ではしご装置を操作するため、エンジンのRPMなどの変化によって作業場所に大きい騒音が発生して、多くの人が住む場所で夜に高所作業車のはしご装置などによって作業することができなかった。
【0008】
特に、工場内で高所作業車で作業する際にも、密閉された工場内にエンジンの燃焼ガスである煤煙によって作業者の作業環境を悪化させるという短所がある。
【0009】
前記のような短所を克服するために、従来、特許文献1には、車両用動力引出装置に連結されるドライブシャフトに油圧ポンプが連結され、前記ドライブシャフト上にクラッチを設け、バッテリーの電気で駆動するモーターとドライブシャフトとの間に動力伝達手段を設けて、モーターの駆動によっても油圧ポンプを駆動させる構造が開示されている。それにより、モーターを駆動させることで騒音を発生させずに油圧ポンプを駆動させることができる。
【0010】
しかし、前記のような従来技術は、車用動力引出装置に備えられた動力制御手段が備えられているにもかかわらず、クラッチをドライブシャフトに設けるため、不要な構成要素が備えられ、また、クラッチを作動させてモーターの動力のみで油圧ポンプを駆動させることができるが、クラッチを制御するための器具を別に設けなければならないため、構成要素の数が多くなるという短所がある。
【0011】
したがって、従来、構成要素の数を減らすために、他の例として、本出願人によって特許文献2に開示されている技術が開発された。それは、エンジンの出力を制御する動力引出装置がエンジンと駆動軸との間に設けられて、前記駆動軸の端部に油圧ポンプが設けられ、油圧ポンプから出力される油圧が操作レバーによって操作されて高所作業器具を駆動し、前記操作レバーとエンジンの出力調整レバーとの間にワイヤーが連結される高所作業車用油圧ポンプの駆動装置において、油圧ポンプと直接または間接的に連結されてそれを駆動するモーター、高所作業器具を操作する操作レバーによって調整されて、前記モーターに入力される電気を調整する可変抵抗器、前記モーターに連結される補助油圧ポンプ、及び前記補助油圧ポンプの出口に連結されて、前記油圧ポンプの出口に連結された高圧ホースと連通する補助高圧ホースを備える構造を有する。
【0012】
前記のような従来技術は、モーターや補助油圧ポンプなどが別に備えられ得るため、高所作業時に外部の電気で補助油圧ポンプを作動させて静かに作業を行うことができる。
【0013】
しかし、このような従来技術は、既に設けられた高圧ホースに補助油圧ホースを連結せねばならないため、高圧ホースと補助油圧ホースとの連結作業が非常に難しいという短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2005−329871号公報
【特許文献2】韓国特許出願公開第10−2009−59193号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、単純な構造を有し、車に搭載されて、車の内部または底部に置かれたバッテリーの電気を利用するか、または外部の交流電気を利用して、既に設けられた油圧ポンプをモーターで作動させることで、エンジンから発生する燃焼ガスが作業場に排出されないため、作業者の作業環境を改善し、作業時に車から発生する音の軽減によって作業場の周辺の騒音を減らすことができるため、多くの人が住むアパートなどで夜に引越荷物を静かに運ぶことができる高所作業車用油圧ポンプの駆動装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記のような目的を達成するために、本発明は、高所作業車に備えられた油圧ポンプを駆動させる高所作業車用油圧ポンプの駆動装置において、油圧ポンプ内のポンプ駆動軸とポンプ従動軸のうち何れか一つを一方向に延ばす軸延長部が形成され、外部の電気またはバッテリーの電気で駆動するモーターが前記軸延長部と連結されることを特徴とする高所作業車用油圧ポンプの駆動装置を提供する。
【0017】
また、高所作業車に備えられた動力引出装置の駆動軸と油圧ポンプのポンプ駆動軸との間と、モーターのモーター軸と油圧ポンプの軸延長部との間のうち何れか一方または両方にワンウェイ・クラッチを設けることを特徴とする高所作業車用油圧ポンプの駆動装置を提供する。
【0018】
さらに、本発明では、外部の電気またはバッテリーの電気で駆動するモーターが車の油圧ポンプの周辺に設けられ、前記モーターのモーター軸と油圧ポンプのポンプ駆動軸との間に動力伝達手段が備えられ、前記動力伝達手段から油圧ポンプのポンプ駆動軸に一方向に動力を伝達する第1ワンウェイ・クラッチが前記油圧ポンプのポンプ駆動軸と動力伝達手段との間に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明による高所作業車用油圧ポンプの駆動装置は、単純な構造を有して車に設けられて、車内に搭載されるか、または車の底部に置かれたバッテリーの電気または外部の交流電気によって駆動するモーターの動力で既に設けられた油圧ポンプを作動させるため、エンジンから発生する燃焼ガスが作業場に排出されないため、作業者の作業環境を改善するだけでなく、作業者の健康悪化の原因を低減させ、モーターの音が小さいため、作業場の周辺から発生する騒音を減らすことができ、特に、多くの人が住むアパートなどで夜に引越荷物を静かに運ぶことができるため、引っ越し時間帯を容易に広げることができる。
【0020】
また、本発明は、動力引出装置の駆動軸から油圧ポンプのポンプ駆動軸に一方向に動力を伝達する第1ワンウェイ・クラッチを設けるため、モーターによって油圧ポンプを駆動させる際に動力引出装置の駆動軸が回転せず、モーターの動力損失を容易に軽減させることができ、モーターのモーター軸から油圧ポンプの軸延長部に一方向に動力を伝達する第2ワンウェイ・クラッチを設けるため、動力引出装置の駆動軸で油圧ポンプを駆動させる際にモーターが回転せず、モーター内の軸受などの摩耗程度を減らすことができるため、モーターの寿命を容易に伸ばすことができる。
【0021】
さらに、モーターのモーター軸の動力を伝達する動力伝達手段から油圧ポンプのポンプ駆動軸に一方向に動力を伝達する第1ワンウェイ・クラッチを設けるため、動力引出装置の駆動軸で油圧ポンプを駆動させる際にモーターが回転せず、モーター内の軸受などの摩耗程度を減らすことができるため、モーターの寿命を容易に伸ばすことができ、動力引出装置の駆動軸から油圧ポンプのポンプ駆動軸に一方向に動力を伝達する第2ワンウェイ・クラッチを設けるため、モーターで油圧ポンプを駆動させる際に動力引出装置の駆動軸が回転せず、モーターの動力損失を容易に軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による油圧ポンプの駆動装置の一実施形態が適用される高所作業車の一例を示す側面図である。
【図2】本発明による高所作業車用油圧ポンプの駆動装置の図1の実施形態に適用される一例を示す概略的な構成図である。
【図3】本発明による高所作業車用油圧ポンプの駆動装置の図1の実施形態に適用される他の例を示す概略的な構成図である。
【図4】本発明による高所作業車用油圧ポンプの駆動装置の図1の実施形態に適用されるさらに他の例を示す概略的な構成図である。
【図5】本発明による高所作業車用油圧ポンプの駆動装置の図1の実施形態に適用されるさらに他の例を示す概略的な構成図である。
【図6】本発明による油圧ポンプの駆動装置の他の一実施形態が適用される高所作業車の一例を示す側面図である。
【図7】本発明による高所作業車用油圧ポンプの駆動装置の図6の実施形態に適用される一例を示す概略的な構成図である。
【図8】本発明による高所作業車用油圧ポンプの駆動装置の図6の実施形態に適用される他の例を示す概略的な構成図である。
【図9】本発明による高所作業車用油圧ポンプの駆動装置の図6の実施形態に適用されるさらに他の例を示す概略的な構成図である。
【図10】本発明による高所作業車用油圧ポンプの駆動装置の図6の実施形態に適用されるさらに他の例を示す概略的な構成図である。
【図11】本発明による高所作業車用油圧ポンプの駆動装置の図6の実施形態に適用されるさらに他の例を示す概略的な構成図である。
【図12】本発明による高所作業車用油圧ポンプの駆動装置の図6の実施形態に適用されるさらに他の例を示す概略的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に詳細に説明するように、本発明による高所作業車用油圧ポンプの駆動装置は、高所作業車に備えられた油圧ポンプを駆動させる高所作業車用油圧ポンプの駆動装置において、油圧ポンプ内のポンプ駆動軸とポンプ従動軸のうち何れか一つを一方向に延ばす軸延長部が油圧ポンプの側面上に突設され、外部の電気またはバッテリーの電気によって駆動するモーターが前記軸延長部と連結され、外部の電気またはバッテリーの電気によって駆動するモーターが車の油圧ポンプの周辺に設けられ、前記モーターのモーター軸と油圧ポンプのポンプ駆動軸との間に動力伝達手段が備えられ、前記動力伝達手段から油圧ポンプのポンプ駆動軸に動力を一方向に伝達する第1ワンウェイ・クラッチが前記油圧ポンプのポンプ駆動軸と動力伝達手段との間に設けられる。
【0024】
したがって、本発明は、単純な構造を有して車に設けられて、車内に搭載されるか、または車の底部に置かれたバッテリーの電気または外部の交流電気によって駆動するモーターの動力で既に設けられた油圧ポンプを作動させるため、エンジンから発生する燃焼ガスが作業場に排出されないため、作業者の作業環境を改善するだけでなく、作業者の健康悪化の原因を低減させ、モーターの音が小さいため、作業場の周辺から発生する騒音を減らすことができ、特に、多くの人が住むアパートなどで夜に引越荷物を静かに運ぶことができるため、引っ越し時間帯を容易に広げることができる。
【0025】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0026】
図1及び図2は、本発明による油圧ポンプの駆動装置が適用される高所作業車の一例であるはしご車を示す図面であって、本発明の駆動装置は、高所作業車に備えられた油圧ポンプ1を駆動させる。
【0027】
例えば、前記油圧ポンプ1は、従来のように、エンジン2に設けられた動力引出装置3の駆動軸4によって作動し、前記油圧ポンプ1から流出される油圧の方向及び圧力が操作レバー5によって可変して、高所作業器具6を作動させる。
【0028】
一実施形態として、本発明では、前記油圧ポンプ1内のポンプ駆動軸1aとポンプ従動軸1bのうち何れか一つを一方向に延ばす軸延長部11が油圧ポンプ1の側面上に突設される。
【0029】
また、外部の電気またはバッテリーの電気で駆動する直流モーターまたは交流モーターなどのモーター12が前記軸延長部11と連結される。
【0030】
本実施形態の軸延長部11は、前記油圧ポンプ1内のポンプ従動軸1bを一方向に延ばして油圧ポンプ1の側面上に突設されており、図示していないが、前記油圧ポンプ1内のポンプ駆動軸1aを一方向に延ばして油圧ポンプ1の側面上に突設されることも可能である。
【0031】
本発明による高所作業車用油圧ポンプの駆動装置には、前記モーター12の動力を可変させる必要があるため、従来の車に備えられた高所作業器具6を操作する操作レバー5と連動するか、または前記操作レバー5に連結されたワイヤー5aと連動するエンジン2の出力調整レバー4aと連動する可変抵抗器7が、前記モーター12に印加される電気を調整する必要があり、前記モーター12に印加される電気を制御するスィッチ(図示せず)などが備えられることは言うまでもない。
【0032】
また、モーター12によって油圧ポンプ1を駆動させるとき、エンジン2と動力引出装置3間の動力伝達を遮断する必要があるため、従来のように、動力引出装置3にはクラッチ・レバー3aが備えられており、前記クラッチ・レバー3aの操作によってエンジン2と動力引出装置3の駆動軸4間の動力伝達が制御されることは言うまでもない。
【0033】
このように、本発明による高所作業車用油圧ポンプの駆動装置は、エンジン2の作動を中止させた状態でモーター12を作動させて、静かな高所作業を実現することができる。
すなわち、車内に備えられたバッテリー、作業場に配置された複数のバッテリー、作業場に備えられた交流電気などによってモーター12を作動させることができ、前記モーター12によって軸延長部11が回転しつつ、油圧ポンプ1が作動し、前記油圧ポンプ1から流出される油圧の方向及び圧力が操作レバー5によって可変しつつ高所作業器具6を作動させる。
【0034】
バッテリーを利用する場合、騒音の影響を受けない作業場では、エンジン2を作動させて、バッテリーを充電しつつモーター12を作動させることも可能である。
【0035】
一方、モーター12の駆動力で油圧ポンプ1を駆動させるとき、動力引出装置3の駆動軸4が回転すれば、モーター12に大きい負荷が発生し得るため、本実施形態では、図3に示すように、油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aと動力引出装置3の駆動軸4との間に第1ワンウェイ・クラッチ13を設ける。
【0036】
すなわち、前記第1ワンウェイ・クラッチ13は、動力引出装置3の駆動軸4から油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aに動力を伝達することができるが、油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aから動力引出装置3の駆動軸4には動力が伝達されない。
【0037】
例えば、第1ワンウェイ・クラッチ13は、図示していないが、内径部と外径部との間に複数のスプラグなどが備えられており、内径部または外径部の一方向に回転するとき、外径部または内径部が回転し、内径部または外径部の他方向に回転するとき、外径部または内径部が回転しない。
【0038】
したがって、本発明では、動力引出装置3の駆動軸4を一方向に回転させるとき、油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aに動力を伝達することができるが、油圧ポンプ1の駆動軸1aのみが前記駆動軸4と同じ方向に回転するとき、動力引出装置3の駆動軸4には動力が伝達されないため、モーター12が油圧ポンプ1を駆動させる際には、動力引出装置3の駆動軸4が回転せず、モーター12の負荷を軽減させることができる。
【0039】
一方、動力引出装置3の駆動軸4が回転すれば、モーター12が回転するため、モーター12内の軸受やブラッシュなどが摩耗して、モーター12の寿命が短縮し得るため、本実施形態では、図4に示すように、本発明の油圧ポンプ1に備えられる軸延長部11とモーター12のモーター軸12aとの間に第2ワンウェイ・クラッチ14を設ける。
【0040】
すなわち、前記第2ワンウェイ・クラッチ14は、モーター12のモーター軸12aから油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aに動力を伝達することができるが、油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aからモーター12のモーター軸12aには動力が伝達されない。
【0041】
したがって、本発明では、モーター12の駆動で油圧ポンプ1を駆動させることができるが、動力引出装置3の駆動軸4で油圧ポンプ1を作動させる際には、第2ワンウェイ・クラッチ14が油圧ポンプ1の軸延長部11からモーター12のモーター軸12aに動力が伝達されないようにして、不要なモーター12のモーター軸12aの回転を防止することでモーター12の寿命を伸ばすことができる。
【0042】
一方、本実施形態では、モーター12の負荷を軽減させつつモーター12の不要な作動を防止する必要があるため、図5に示すように、油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aと動力引出装置3の駆動軸4との間に第1ワンウェイ・クラッチ13を設けるとともに、油圧ポンプ1に備えられる軸延長部11とモーター12のモーター軸12aとの間に第2ワンウェイ・クラッチ14を設ける。
【0043】
前述のように、モーター12が作動する際には、第1ワンウェイ・クラッチ13をして動力引出装置3の駆動軸4を駆動させないようにしてモーター12の負荷を軽減させることができ、動力引出装置3の駆動軸4で油圧ポンプ1を駆動させる際には、第2ワンウェイ・クラッチ14をしてモーター12のモーター軸12aを駆動させないようにしてモーター12の摩耗程度を減らすことができる。
【0044】
図6ないし図12は、本発明による高所作業車用油圧ポンプの駆動装置の他の一実施形態を示す図面であって、本実施形態では、前記油圧ポンプ1内のポンプ駆動軸1aをモーター21で直接駆動させる。
【0045】
前述の実施形態と同様に、本実施形態では、外部の電気またはバッテリーの電気で駆動する直流モーターまたは交流モーターのようなモーター21が車の油圧ポンプ1の周辺に設けられ、前記モーター21のモーター軸と油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aとの間に動力伝達手段が備えられる。
【0046】
前記動力伝達手段では、油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aに一方向に動力を伝達する第1ワンウェイ・クラッチ22が、前記油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aと動力伝達手段との間に設けられる。
【0047】
ここで、前記動力伝達手段は、図6ないし図9に示すような歯車列を利用することができ、図9及び図10に示すように、チェーン及びスプロケットを利用することができ、図11及び図12に示すように、プーリ及びベルトを利用することができ、図示していないが、プーリとタイミングベルトを利用することもできる。
【0048】
すなわち、一例として、前記動力伝達手段は、モーター21に駆動ギアー31を連結し、前記駆動ギアー31を従動ギアー32と噛み合わせる構造を有し、前記油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aと従動ギアー32の中心部との間に第1ワンウェイ・クラッチ22を設ける。
【0049】
したがって、前記従動ギアー32の回転によってポンプ駆動軸1aが回転して、油圧ポンプ1が作動するが、動力引出装置3の駆動軸4によって前記油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aが回転しても、モーター21のモーター軸が第1ワンウェイ・クラッチ22によって回転しない。
【0050】
例えば、第1ワンウェイ・クラッチ22は、図示していないが、内径部と外径部との間に複数のスプラグなどを備え、内径部または外径部の一方向に回転する際に外径部または内径部が回転し、内径部または外径部の他方向に回転する際に外径部または内径部が回転しない。
【0051】
このような本発明による高所作業車用油圧ポンプの駆動装置は、エンジン2の作動を中止させた状態でモーター21を作動させることで、静かな高所作業を実現する。
【0052】
すなわち、車内に備えられたバッテリー、作業場に配置された複数のバッテリー、作業場に備えられた交流電気などによってモーター21を作動させることができ、前記モーター21の回転力が動力伝達手段によって伝達されて油圧ポンプ1を作動させ、前記油圧ポンプ1から流出される油圧の方向及び圧力が操作レバー5によって可変して、高所作業器具6を作動させる。
【0053】
バッテリーを利用する場合、騒音の影響を受けない作業場では、エンジン2を作動させて、バッテリーに電気を充電しつつモーター21に電気を印加することができる。
【0054】
前記第1ワンウェイ・クラッチ22は、モーター21のモーター軸から油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aに動力を伝達させることができるが、油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aからモーター21のモーター軸には動力を伝達させない。
【0055】
したがって、本発明では、モーター21の駆動によって油圧ポンプ1を駆動させることができるが、動力引出装置3の駆動軸4によって油圧ポンプ1を作動させる際には、第1ワンウェイ・クラッチ22が油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aからモーター21のモーター軸に動力を伝達させないことにより、不要なモーター21のモーター軸の回転を防止することでモーター21の寿命を伸ばすことができる。
【0056】
一方、モーター21の駆動力によって油圧ポンプ1を駆動させるとき、動力引出装置3の駆動軸4が回転すれば、モーター21に大きい負荷が発生し得るため、本実施形態では、図8に示すように、油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aと動力引出装置3の駆動軸4との間に第2ワンウェイ・クラッチ23を設ける構造を有する。
【0057】
すなわち、前記第2ワンウェイ・クラッチ23は、動力引出装置3の駆動軸4から油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aに動力を伝達させることができるが、油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aから動力引出装置3の駆動軸4には動力を伝達させない。
【0058】
したがって、本発明では、動力引出装置3の駆動軸4を一方向に回転する際に油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aに動力が伝達されることができるが、油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aのみが前記駆動軸4と同じ方向に回転する際には、動力引出装置3の駆動軸4には動力が伝達されないため、モーター21が油圧ポンプ1を駆動させる際には動力引出装置3の駆動軸4が回転せず、モーター21の負荷を軽減させることができる。
【0059】
一方、前述の二つの実施形態の場合、動力伝達手段が歯車列器具を使用したが、図9及び図10に示すように、動力伝達手段としてチェーン及びスプロケット器具を使用することも可能である。
【0060】
すなわち、前記動力伝達手段は、モーター21に駆動スプロケット33を連結し、チェーン34によって従動スプロケット35が前記駆動スプロケット33と連動する構造を有し、前記油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aと従動スプロケット35の中心部との間に第1ワンウェイ・クラッチ22を設ける。
【0061】
それにより、前記従動スプロケット35の回転によってポンプ駆動軸1aが回転して油圧ポンプ1が作動するが、動力引出装置3の駆動軸4によって前記油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aが回転しても、第1ワンウェイ・クラッチ22によって従動スプロケット35が回転しないため、モーター21が駆動しない。
【0062】
本実施形態でも、モーター21の駆動力によって油圧ポンプ1を駆動させるとき、動力引出装置3の駆動軸4を回転させないために、図10に示すように、油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aと動力引出装置3の駆動軸4との間に第2ワンウェイ・クラッチ23を設ける。
【0063】
一方、図11及び図12に示すように、動力伝達手段としてベルト及びプーリを使用することも可能である。
【0064】
すなわち、前記動力伝達手段は、モーター21に駆動プーリ36を連結し、ベルト37によって従動プーリ38が前記駆動プーリ36と連動する構造を有し、前記油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aと従動プーリ38の中心部との間に第1ワンウェイ・クラッチ22を設ける。
【0065】
それにより、前記従動プーリ38の回転によってポンプ駆動軸1aが回転して、油圧ポンプ1が作動するが、動力引出装置3の駆動軸4によって前記油圧ポンプ1のポンプ駆動軸1aが回転しても、第1ワンウェイ・クラッチ22によって従動プーリ38が回転しないため、モーター21が駆動しない。
【0066】
本実施形態でも、モーター21の駆動力によって油圧ポンプ1を駆動させるとき、動力引出装置3の駆動軸4を回転させないために、図12に示すように、油圧ポンプ1の駆動軸1aと動力引出装置3の駆動軸4との間に第2ワンウェイ・クラッチ23を設ける。
【0067】
このように、本発明による高所作業車用油圧ポンプの駆動装置に適用されるモーター12、21は、車用バッテリー、作業場などに配置されたバッテリー、外部の電気などによって作動させて油圧ポンプ1を円滑に駆動させることができ、はしご車のはしご装置、クレーン車のクレーン装置のような高所作業器具を円滑に作動させることができる。
【0068】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0069】
1 油圧ポンプ
1a ポンプ駆動軸
1b ポンプ従動軸
2 エンジン
3 動力引出装置
3a クラッチ・レバー
4 駆動軸
5 操作レバー
5a ワイヤー
6 高所作業器具
7 可変抵抗器
11 軸延長部
12、21 モーター
12a モーター軸
13、22 第1ワンウェイ・クラッチ
14、23 第2ワンウェイ・クラッチ
31 駆動ギアー
32 従動ギアー
33 駆動スプロケット
34 チェーン
35 従動スプロケット
36 駆動プーリ
37 ベルト
38 従動プーリ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
高所作業車に備えられた油圧ポンプを駆動させる高所作業車用油圧ポンプの駆動装置において、
油圧ポンプ内のポンプ駆動軸とポンプ従動軸のうち何れか一つを一方向に延ばす軸延長部が油圧ポンプの側面上に突設され、
外部の電気またはバッテリーの電気によって駆動するモーターが前記軸延長部と連結されることを特徴とする、高所作業車用油圧ポンプの駆動装置。
【請求項2】
高所作業車に備えられた動力引出装置の駆動軸から油圧ポンプのポンプ駆動軸に一方向に動力を伝達する第1ワンウェイ・クラッチが前記動力引出装置の駆動軸と油圧ポンプのポンプ駆動軸との間に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の高所作業車用油圧ポンプの駆動装置。
【請求項3】
前記モーターのモーター軸から油圧ポンプの軸延長部に一方向に動力を伝達する第2ワンウェイ・クラッチがモーターのモーター軸と油圧ポンプの軸延長部との間に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の高所作業車用油圧ポンプの駆動装置。
【請求項4】
高所作業車に備えられた動力引出装置の駆動軸から油圧ポンプのポンプ駆動軸に一方向に動力を伝達する第1ワンウェイ・クラッチが前記動力引出装置の駆動軸と油圧ポンプのポンプ駆動軸との間に設けられ、
前記モーターのモーター軸から油圧ポンプの軸延長部に一方向に動力を伝達する第2ワンウェイ・クラッチがモーターのモーター軸と油圧ポンプの軸延長部との間に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の高所作業車用油圧ポンプの駆動装置。
【請求項5】
高所作業車に備えられた油圧ポンプを駆動させる高所作業車用油圧ポンプの駆動装置において、
外部の電気またはバッテリーの電気によって駆動するモーターが車の油圧ポンプの周辺に設けられ、前記モーターのモーター軸と油圧ポンプのポンプ駆動軸との間に動力伝達手段が備えられ、前記動力伝達手段から油圧ポンプのポンプ駆動軸に動力を一方向に伝達する第1ワンウェイ・クラッチが前記油圧ポンプのポンプ駆動軸と動力伝達手段との間に設けられる特徴とする、高所作業車用油圧ポンプの駆動装置。
【請求項6】
高所作業車に備えられた動力引出装置の駆動軸から前記油圧ポンプのポンプ駆動軸に動力を一方向に伝達する第2ワンウェイ・クラッチが油圧ポンプのポンプ駆動軸と動力引出装置の駆動軸との間に設けられることを特徴とする、請求項5に記載の高所作業車用油圧ポンプの駆動装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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