説明

高抵抗率炭化ケイ素の製造方法

【課題】1E5Ωcm以上の抵抗率を有し、200ppm以下の窒素原子を含む、再結晶炭化ケイ素体の製造方法を提供する。
【解決手段】炭化ケイ素粗粒子と、同粗粒子の平均粒径より平均粒径が小さい炭化ケイ素微粒子と混合して混合物を形成する工程、前記混合物を成形して、未焼成品を形成する工程、および、不活性ガスを含み、約25Torr以下の減圧を有する雰囲気中で前記未焼成品を昇華温度に加熱し、再結晶炭化ケイ素体を形成する工程を含む、方法により達成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に炭化ケイ素体に関し、特に、高い電気抵抗率を有する再結晶炭化ケイ素体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス産業は、デバイスを小型化する必要性に駆られて、特に、ウエハ1枚当たりより多くのデバイスを形成する必要性に駆られて、加速的に進歩し続けている。これは、ウエハの大型化とその上に形成されるデバイスの小型化に進展したが、それによって、当然、ウエハ1枚当たりのデバイス数の増加、従って、製造量の増加が可能になる。より大型のウエハ上にデバイスを形成しようとする動向に加えて、バッチ処理方式から枚葉処理(SWP)方式に移行する産業もある。多くの製造業者は、バッチ処理から枚葉処理への変更により、各ウエハ上に形成されるデバイスの制御を改善できることが分かった。更に、バッチ処理からSWPへの変更によって、ウエハごとのばらつきが著しく低減する。従って、最新技術のデバイスに必要なナノメートルサイズの層を形成する場合、プロセス制御が極めて重要であるため、SWPでは製造業者が製造を改善することが可能である。更に、一度にウエハを1枚だけしか処理しないため、バッチ処理プラットフォームと比較してプロセスの拡張性が改善され、そのため、製造業者は、大型化するウエハをより柔軟に処理することができる。
【0003】
これらのプラットフォームの提供者は、SWPプラットフォームの性能を改善する構成要素を探索し続けている。従って、このような構成要素は、改善された物理的特性および化学的特性、並びに、耐久性および他の構成要素や処理されるウエハとの適合性を有する。このようなものとして、産業、特にSWP産業は、SWPプラットフォームに組み込まれる改善された構成要素や材料を引き必要としている。
【0004】
添付の図面を参照することによって、本開示を更によく理解することができ、その多数の特徴および利点が当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】一実施形態による再結晶炭化ケイ素体を形成する方法を示すフローチャートである。
【図2】一実施形態による再結晶炭化ケイ素体を形成する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
異なる図面中に同じ参照記号を使用する場合、それらは類似の又は同一の項目を示す。
【0007】
図1を参照すると、一実施形態による再結晶炭化ケイ素体を形成する方法を記載するフローチャートが示されている。本方法は、工程101で、炭化ケイ素粗粒子を炭化ケイ素微粒子と混合して混合物を形成することによって開始する。典型的には、これらの炭化ケイ素粗粒子と炭化ケイ素微粒子を粉末などの乾燥した形態で混合し、乾燥混合物を形成する。しかし、後述するように、乾燥混合物をスラリーなどの湿潤混合物にしてもよい。二峰性の粒度分布又は更には三峰性の粒度分布を有する混合物を形成すると、再結晶法による炭化ケイ素体の形成が促進される。
【0008】
炭化ケイ素粒子の平均粒径に関して、一般に、炭化ケイ素粗粒子は、約30ミクロン以上の平均粒径を有する。一実施形態では、炭化ケイ素粗粒子の平均粒径は、より大きく、例えば、約40ミクロン以上、又は約60ミクロン以上、又は、更には約70ミクロン以上である。それでもなお、炭化ケイ素粗粒子の平均粒径は、一般に約300ミクロンを超えない。
【0009】
炭化ケイ素微粒子の平均粒径に関して、一般に、炭化ケイ素微粒子の平均粒径は、炭化ケイ素粗粒子の平均粒径より小さい。特に、炭化ケイ素微粒子の平均粒径は、炭化ケイ素粗粒子の平均粒径の約半分以下であってもよい。一実施形態によれば、炭化ケイ素微粒子の平均粒径は、約15ミクロン以下である。別の実施形態では、炭化ケイ素微粒子の平均粒径は、約5ミクロン以下、例えば、約2ミクロン以下、又は、更には約1ミクロン以下である。それでもなお、炭化ケイ素微粒子の平均粒径は、粒子の平均粒径が一般に約0.1ミクロン〜約10ミクロンの範囲内となるように制限される。
【0010】
幾つかの実施形態では、炭化ケイ素粗粒子と炭化ケイ素微粒子に中間のサイズの炭化ケイ素粒子を混合し、三峰性の混合物を形成してもよい。一般に、中間のサイズの炭化ケイ素粒子の平均粒径は、約200ミクロン未満、より典型的には約100ミクロン未満である。三峰性の混合物において、中間のサイズの炭化ケイ素粒子の平均粒径は、より小さくてもよく、例えば、約75ミクロン以下、又は約50ミクロン以下、又は、更には約25ミクロン以下であってもよい。それでもなお、このような三峰性の混合物では、中間のサイズの炭化ケイ素粒子の平均粒径は、一般に約1ミクロン以上である。
【0011】
一般に、炭化ケイ素粗粒子と炭化ケイ素微粒子の混合は、細粒成分と粗粒成分をそれぞれ特定量使用して粒子を混合することを含む。このようなものとして、一般に、混合物は、炭化ケイ素粗粒子を約10重量%以上含む。他の実施形態は、粗粒子をより大きい含有率で使用し、混合物が炭化ケイ素粗粒子を約30重量%以上、又は約50重量%以上、又は、更には約75重量%以上含むようにする。それでもなお、混合物中の炭化ケイ素粗粒子の量は、一般に約80重量%以下であり、特に約20重量%〜約70重量%の範囲内である。
【0012】
従って、混合物中の炭化ケイ素微粒子の量は、一般に、約10重量%以上、より詳細には、約30重量%以上である。他の実施形態は、混合物中に炭化ケイ素微粒子をより大きい含有率で、例えば、約50重量%以上、又は約75重量%以上使用する。典型的には、混合物は、炭化ケイ素微粒子を約80重量%以下、特に約20重量%〜約70重量%の範囲内で含む。
【0013】
三峰性の混合物において、混合物に、中間のサイズの炭化ケイ素粒子をある一定のパーセンテージで加えてもよい。このような混合物中の中間のサイズの炭化ケイ素粒子の含有率は、一般に約10重量%以上である。他の実施形態は、このような中間のサイズの粒子をより大きい含有率で、例えば、約20重量%以上、又は約40重量%以上使用する。典型的には、三峰性の混合物は、中間のサイズの炭化ケイ素粒子を約75重量%より多く含まない。
【0014】
更に、炭化ケイ素粗粒子と炭化ケイ素微粒子に関して、このような粒子は、典型的には炭化ケイ素原料が低い不純物含有率を有する、特に金属元素を含まないようにして得られる。このようなものとして、炭化ケイ素原料の純度は、一般に、炭化ケイ素純度約97%以上、又は、更には炭化ケイ素純度約99.9%以上である。一実施形態によれば、炭化ケイ素粒子の純度は、炭化ケイ素純度約99.99%以上である。
【0015】
炭化ケイ素微粒子と炭化ケイ素粗粒子の混合は、このような粒子を乾燥混合物又は湿潤混合物の状態で混合することを含み得る。一実施形態によれば、炭化ケイ素粗粒子と炭化ケイ素微粒子の混合は、湿潤混合物又はスラリーの形成を含む。スラリーの形成によって、ある特定の成形法、例えば、スリップキャスト法が容易になり得る。このようなものとして、スラリーは、液体媒体中に微粒子と粗粒子、および、場合によっては中間の粒子を含み、液体媒体は有機物質であっても又は無機物質であってもよい。一実施形態によれば、液体媒体は水性である、即ち、スラリーは、水と混合された炭化ケイ素粒子の乾燥混合物を含む。特に、スラリーは、液体媒体の他に、スラリーの好適なレオロジーおよび化学的性質を促進する有機化合物又は無機化合物を含む他の添加剤、例えば、界面活性剤およびバインダなどを含んでもよい。
【0016】
更に、湿潤混合物の形成に関して、スラリー中の乾燥成分(炭化ケイ素粗粒子と炭化ケイ素微粒子を含み得る)のパーセンテージは、一般に、スラリーの総重量の50重量%以下である。特定の実施形態によれば、スラリー中の乾燥成分のパーセンテージは、40重量%以下、例えば、約30重量%以下、又は約20重量%以下である。従って、スラリー中の乾燥成分のパーセンテージは、典型的には、約5重量%以上である。このようなものとして、スラリー中の液体媒体の量は、一般に、約10重量%以上である。一実施形態では、スラリー中の液体媒体の量は、約30重量%以上、例えば、約50重量%以上、又は、更には約75重量%以上である。一般に、スラリー中の液体媒体の量は、約20重量%〜約80重量%の範囲内である。
【0017】
本方法は、工程103で、混合物を成形し未焼成品を形成することによって続く。一般に、成形法は、鋳込み成形、金型成形、押出成形、プレス成形、又はこれらの組み合わせなどの方法を含み得る。成形法は、一部には、形成される混合物の種類、即ち、湿潤混合物であるか又は乾燥混合物であるかによって決定される。特定の実施形態によれば、成形法は、鋳込み成形法、より詳細にはスリップキャスト法を含み、ここで、中間のサイズの粒子を含有しないとしても炭化ケイ素粗粒子と炭化ケイ素微粒子を含有するスラリーを金型に流し込み、鋳込み成形し、特定の輪郭を有する未焼成品を形成する。
【0018】
混合物を成形して未焼成品を形成した後、本方法は、典型的には、未焼成品に適切な強度を付与するための乾燥工程を含む。乾燥工程は、未焼成品を低湿度雰囲気中で高温に暴露することを含み得る。未焼成品の乾燥は、典型的には、室温(22℃)より高くてもよいが、典型的には約200℃未満の温度で、場合によっては、約100℃未満の温度で未焼成品を乾燥させることを含む。典型的には、乾燥時間は、約2日未満、例えば1日未満、又は、更には約12時間未満である。
【0019】
乾燥工程中、炭化ケイ素未焼成品は幾らか線収縮する可能性があるが、このような収縮は、他の形成法と比較して最小限になり得る。一般に、線収縮の量は5%以下である。他の実施形態では、収縮がより小さくなり得る、例えば、約3%以下、又は、更には約1%以下になり得る。
【0020】
図1を再び参照すると、工程103で未焼成品を形成した後、本方法は、工程105で、未焼成品を昇華温度に加熱し再結晶炭化ケイ素(ReSiC)体を形成することによって続く。本明細書で使用する場合、特に、昇華温度の文脈における「加熱」の用語は、炭化ケイ素微粒子が昇華して気体状態になり、その後、炭化ケイ素粗粒子上で再結晶し、ReSiC体を形成する加熱温度を指す。一般に、昇華温度は、典型的には約1700℃より高い。一実施形態によれば、昇華温度は、約1800℃より高く、例えば、約1900℃より高い、又は、更には約2000℃より高い。典型的には、昇華温度は、約2500℃以下である。
【0021】
未焼成品の加熱中、本方法は、昇華を促進する減圧雰囲気中で実施することができる。このようなものとして、雰囲気は、一般に、約25Torr以下の圧力を有する。別の実施形態によれば、加熱は、約20Torr以下、例えば、約15Torr以下、又は、更には約10Torr以下の圧力で実施される。このようなものとして、圧力は、典型的には、約4Torr〜約15Torrの範囲内、より詳細には、約4Torr〜約12Torrの範囲内である。
【0022】
更に雰囲気に関して、典型的には、加熱時の雰囲気は、通常の雰囲気ガスとは異なる気体又は気体混合物を含有する。即ち、通常の雰囲気を、加熱工程の前に適したガスでパージし、置換してもよい。特に適したガスとしては、不活性ガス又は不活性ガスの組み合わせ、より詳細には希ガスが挙げられる。一実施形態によれば、加熱中の雰囲気は、雰囲気の約90体積%以上がアルゴンとなるように、アルゴンを含む。
【0023】
更に、不活性ガスなどの好適なガスを含む雰囲気を提供することに加えて、加熱中、チャンバにこのようなガスを流通させてもよい。特定の実施形態によれば、炉の容積が約1m以上である場合、更に特定の実施形態では、1.25m(直径52インチ、深さ36インチ)である場合、チャンバに不活性ガスを毎分約2標準リットル(SLPM)以上の流量で流通させてもよい。別の実施形態では、流量は、より大きく、例えば、約4SLPM以上、又は約6SLPM以上、又は、更には約8SLPM以上である。一般に、不活性ガスの流量が大きいほど処理条件が改善される。しかし、1つの特定の実施形態によれば、約1.25mの容積を有する炉では、流量は約20SLPM以下である。
【0024】
特に、加熱中、雰囲気は、低い窒素含有率を有する。一実施形態によれば、チャンバ内の窒素含有率は、窒素の濃度が約15ppm以下となるように低減される。他の実施形態では、より低濃度の、例えば、約12ppm以下、又は約10ppm以下、又は、更には8ppm以下の窒素を使用してもよい。一般に、雰囲気中の窒素濃度が低いほうが、処理条件および好適な物品の形成が改善される。しかし、1つの特定の実施形態では、窒素濃度は約1ppm以上である。
【0025】
典型的には、約30分以上、昇華温度で加熱工程を実施する。一実施形態によれば、昇華温度での加熱は、約1時間以上、例えば、約4時間以上、又は、更には約8時間以上実施される。本明細書の実施形態では、昇華温度で、典型的には約1時間〜8時間、典型的には約12時間以下加熱する。
【0026】
加熱して再結晶SiC体を形成する時、再結晶SiC体は、線収縮が少ない。線収縮が少ないと、ニアネットシェイプ品の形成が容易になり、後処理の形成および機械加工操作が低減する。一般に、線収縮は、約3%以下である。事実、加熱中のReSiC体の線収縮は、より小さく、例えば、約2%以下、約1%以下、又は、更には約0.5%以下となり得る。典型的には、加熱中のReSiC体の線収縮は、約0.1%〜約3%の範囲内である。
【0027】
図1に概要を示した方法で形成された再結晶炭化ケイ素体は、高抵抗率再結晶炭化ケイ素体である。即ち、ReSiC体は、300Kで約1E5Ωcm以上の抵抗率を有する。1つの特定の実施形態では、ReSiC体の抵抗率は、約1E6Ωcm以上、例えば、約1E7Ωcm以上、又は、更には約1E8Ωcm以上(300K)である。一般に、ReSiC体の抵抗率は、約1E5Ωcm〜約1E12Ωcm(300K)の範囲内である。より特定的には、1E7Ωcm〜約1E11Ωcm(300K)の範囲内である。本明細書に記載のこのような抵抗率値は全て、ASTM4496に準拠して得られたことが分かるであろう。
【0028】
更に、図1に記載の方法に従って形成されたReSiC体に関して、典型的には、ReSiC体は、ReSiC体中の窒素含有率が200ppm以下である。本明細書で使用する場合、「窒素含有率」の用語は、ReSiC体中の結合(例えば、共有結合)している窒素原子の含有率を指す。前述のように、ReSiC体の窒素含有率は、一般に約200ppm以下、更には約150ppm以下である。特定の実施形態によれば、ReSiC体は、より低い、例えば、約100ppm以下、又は、約75ppm以下、又は、更には約50ppm以下の窒素含有率を有する。窒素含有率は、典型的には約1ppm〜約150ppmの範囲内である。
【0029】
ReSiC体は、一般に、複数の結晶粒を含む多結晶構造を有する。一般に、ReSiC体中の炭化ケイ素結晶粒の平均結晶粒径は、約0.5ミクロン以上である。更に、他の実施形態は、平均結晶粒径が約50ミクロン以上、又は約75ミクロン以上、又は、更には約100ミクロン以上となるように、より大きい結晶粒を有する多結晶体を使用する。典型的には、平均結晶粒径は、約20ミクロン〜約200ミクロンの範囲内である。
【0030】
ReSiC体は、一般に、開放気孔および閉鎖気孔を含む気孔含有率を有する。このようなものとして、ReSiC体は、典型的には、ReSiC体の全体積の約5体積%以上の気孔率を有する。一実施形態では、気孔率は、約8体積%以上、例えば、約10体積%以上、又は、更には約12体積%以上である。典型的には、ReSiC体の気孔率は、約5体積%〜約25体積%の範囲内であり、典型的には、気孔率は約50体積%以下である。
【0031】
更に、ReSiC体は、特定の密度、例えば、約2.9g/cc以下の密度を有し得る。別の実施形態では、密度は、より小さく、例えば、約2.8g/cc以下、又は、更には約2.7g/cc以下である。
【0032】
更に、形成された再結晶品に関して、ReSiC体は、典型的には約30W/mK以下の熱伝導度を有する。一実施形態によれば、ReSiC体は、約28W/mK以下、例えば、約26W/mK以下の熱伝導度を有する。典型的には、ReSiC体は、約20W/mK〜約26W/mKの範囲内の熱伝導度を有する。
【0033】
ReSiC体の機械的特性に関して、適した機械的特性があると、ReSiC体をある特定の用途に使用することが容易になる。一般に、ReSiC体の曲げ強さ(MOR)は、約300MPa以下である。特に、ReSiC体は、一般に、約250MPa以下、例えば、約225MPa以下、又は、更には150MPa以下のMORを有する。一実施形態によれば、ReSiC体は、100MPa〜約200MPaの範囲内の、より詳細には100MPa〜150MPaの範囲内のMORを有する。
【0034】
更に、ReSiC体は、約350GPa以下の弾性率(MOE)を有し得る。一実施形態によれば、ReSiC体のMOEは、約325GPa以下、例えば、約300GPa以下、又は、更には約250GPa以下である。一実施形態では、ReSiC体のMOEは、約200GPa〜約250GPaの範囲内である。
【0035】
ReSiC体の熱膨張係数(CTE)は、典型的には約4.2×10−6/℃以上である。他の実施形態によれば、ReSiC体のCTEは、より大きく、例えば、約4.5×10−6/℃以上、又は、更には約4.7×10−6/℃以上となり得る。一般に、ReSiC体のCTEは、5×10−6/℃未満であり、より詳細には約4.5×10−6/℃〜約4.9×10−6/℃の範囲内である。
【0036】
更に、図1に記載の方法に従って形成されるReSiC体に関して、ReSiC体は、一般に、特定の金属種を低含有率で含む。特定の実施形態によれば、ReSiC体中の結合しているアルミニウム原子のアルミニウム含有率は、約200ppm以下である。特に、アルミニウム含有率は、より小さく、例えば、100ppm以下、約50ppm以下、又は、更には約25ppm以下となり得る。典型的には、ReSiC体中のアルミニウム含有率は、約5ppm〜約200ppmの範囲内である。
【0037】
図1の方法によれば、ReSiC体中のホウ素含有率は、一般に低く、例えば、約50ppm以下である。他のReSiC体は、より少ない、例えば、約40ppm以下、約30ppm以下、又は、更には約20ppm以上のホウ素を有し得る。図1の方法に従って形成されるReSiC体のホウ素含有率は、典型的には、1ppm〜約50ppmの範囲内である。
【0038】
ReSiC体は、枚葉処理装置に使用されるウエハ支持体などの特定の用途に適した寸法を有してもよい。このようなものとして、ReSiC体は、長さ、幅、および厚さの寸法を有する。特に、これらの寸法間の関係は、次の通り:長さ≧幅≧厚さであり、より詳細には、幅は厚さより大きいことが多い。図1に記載の方法に従って形成される物品では、一般に、このようなReSiC体の厚さは約30mm以下である。より詳細には、このような再結晶炭化ケイ素体の厚さは、一般に約20mm以下、例えば、約15mm以下、又は、更には約10mm以下である。
【0039】
図1に記載の方法の他に、ReSiC体を形成する方法は、ReSiC体の一部を被覆する上部を形成することを更に含んでもよい。上部は、ReSiC体を被覆する材料のフィルム又は層、特に、ReSiC体と直接接触してReSiC体を被覆する材料のフィルム又は層の形成を含む。上部は、例えば、上面の緻密化を改善し、剥がれによるパーティクルの発生、および起こり得る被加工物の汚染を低減することにより、機械的安定性を促進し得る。上部はまた、特に、ReSiC体と接触する被加工物を汚染し得る幾つかの元素種の存在を低減することによって、化学的安定性の向上も提供し得る。上部の形成は、ReSiC体の選択された表面上に、又は、或いはReSiC体の大部分に材料の層を形成することを含んでもよい。このようなものとして、上部は、一般に、ReSiC体の全表面積の約20%以上を被覆する。他の実施形態によれば、上部は、ReSiC体の表面積をより大きいパーセンテージで、例えば、約50%以上、又は約80%以上、又は、更には95%以上、被覆してもよい。1つの特定の実施形態によれば、上部はReSiC体の使用可能な表面層全体を被覆する。
【0040】
上部の形成は、厚膜堆積法又は薄膜堆積法などの堆積法を含み得る。好適な薄膜堆積法は、例えば、化学的気相成長(CVD)などの気相成長法、又は、或いは、溶射法を含み得る。1つの特定の実施形態によれば、溶射法は、フレーム溶射法、特に、プラズマ溶射法を含み得る。或いは、堆積法は、スパッタリング法を含み得る。
【0041】
一般に、上部の平均厚さは、10ミクロン以上である。一実施形態によれば、上部の平均厚さは、約15ミクロン以上、例えば、約20ミクロン以上、約100ミクロン以上、又は、更には約500ミクロン以上である。一般に、上部の平均厚さは、約10ミクロン〜約1mmの範囲内である。
【0042】
更に、上部は、一般にReSiC体の気孔率より小さい気孔率を有する緻密層であってもよい。このようなものとして、上部の気孔率は、一般に5体積%以下、例えば、約3体積%以下、又は、更には約1体積%以下である。特に、緻密な上部を形成すると、パーティクルの発生が低減され得る。
【0043】
図2を参照すると、別の実施形態による再結晶炭化ケイ素体の形成方法を示すフローチャートが記載されている。本方法は、工程201で、炭化ケイ素粗粒子、炭化ケイ素微粒子、およびホウ素含有化合物を組み合わせて混合物を形成することによって開始する。炭化ケイ素粗粒子と炭化ケイ素微粒子に関して、これらの粒子の組み合わせは、図1に記載の実施形態による、上記に概要を記載したのと同じプロセスパラメータを含み得る。更に、この実施形態の炭化ケイ素粗粒子と炭化ケイ素微粒子は、前述したのと同じ特性を有してもよい。また、このような混合物は、前述のように三峰性の混合物を形成し得るように、中間のサイズの炭化ケイ素粒子成分を含み得ることが分かるであろう。
【0044】
ホウ素含有化合物は、一般に無機材料である。一実施形態によれば、ホウ素含有化合物はセラミック材料であり、特に適したセラミック材料としては、炭化ホウ素、窒化ホウ素、酸化ホウ素、ホウ化物、又はこれらの組み合わせなどの材料が挙げられる。1つの特定の実施形態では、ホウ素含有化合物は、炭化ホウ素である。別の特定の実施形態によれば、ホウ素含有化合物は窒化ホウ素である。
【0045】
一般に、ホウ素含有化合物は、混合物中の成分の乾燥重量に基いて、約1重量%以下の量で混合物中に存在する。別の実施形態では、ホウ素含有化合物の量は、約0.5重量%以下、例えば、約0.1重量%以下、又は、更には約0.05重量%以下である。混合物は、前述のような炭化ケイ素微粒子量および炭化ケイ素粗粒子量を含有し得ることが分かるであろう。
【0046】
特に、混合物は、湿潤混合物であってもよく、炭化ケイ素粗粒子および炭化ケイ素微粒子およびホウ素含有化合物を含む乾燥成分を液体媒体と混合してスラリーを形成してもよい。スラリーは、本明細書に記載のパラメータに従って形成されてもよい。
【0047】
再度、図2を参照すると、工程201で粒子を混合した後、本方法は、混合物を成形して未焼成品を形成することを含む工程203で続く。未焼成品の成形は、鋳込み成形、金型成形、押出成形、およびプレス成形、並びにこれらの組み合わせなどの方法を含み得る。1つの特定の実施形態によれば、未焼成品は、鋳込み成形によって、より詳細にはスリップキャスト法によって成形される。特に、未焼成品の形成は、また、前述のような乾燥工程も含み得る。
【0048】
工程203で未焼成品を成形した後、本方法は、工程205で、未焼成品を昇華温度に加熱して再結晶炭化ケイ素体を形成することによって続く。特に、この実施形態によれば、再結晶炭化ケイ素(ReSiC)体の形成は、典型的には約1800℃以上である昇華温度で行われる。別の実施形態によれば、昇華温度は、約1900℃以上、又は約2000℃以上である。従って、この実施形態に従って形成されるReSiC体の昇華温度は、一般に、約1900℃〜約2500℃の範囲内である。
【0049】
加熱は、一般に、加熱中のチャンバ内の圧力が約25Torr以下となるように、減圧雰囲気中で実施される。1つの特定の実施形態によれば、加熱中のチャンバ内の圧力は、約20Torr以下、例えば、約15Torr以下、約10Torr以下、又は、更には約8Torr以下である。一般に、加熱中のチャンバ内の圧力は、約4Torr〜約15Torrの範囲内である。
【0050】
一般に、加熱は、約30分以上実施される。本明細書に記載の他の実施形態によれば、加熱は、1時間以上、例えば、約2時間以上、約4時間以上、又は、更には約8時間以上実施される。一般に、加熱は、約2時間〜約8時間、典型的には約12時間以下実施される。
【0051】
このようなものとして、形成中、特にReSiC体の加熱中、ReSiC体は僅かに、例えば、約5%以下、線収縮し、一実施形態によれば、加熱中のReSiC体の線収縮は、約3%以下、例えば、約2%以下、又は、更には約1%以下である。一般に、加熱中のReSiC体の線収縮は小さく、例えば、約0.1%〜約3%の範囲内である。
【0052】
炭化ケイ素品の特性に関して、図2に記載の方法に従って形成されたReSiC体は、一般に、特定のホウ素含有率を有する高抵抗率炭化ケイ素体である。一実施形態によれば、ReSiC体の抵抗率は、約1E5Ωcm(300K)以上である。1つの特定の実施形態では、ReSiC体の抵抗率は、約1E6Ωcm以上、例えば、約1E7Ωcm以上、又は、更には約1E8Ωcm以上(300K)である。一般に、ReSiC体の抵抗率は、約1E5Ωcm〜約1E12Ωcm(300K)の範囲内、より詳細には1E7Ωcm〜約1E11Ωcm(300K)の範囲内である。
【0053】
更に、図2に記載の方法に従って形成されるReSiC体は、特定のホウ素含有率を有する。本明細書で使用する場合、「ホウ素含有率」の用語は、再結晶炭化ケイ素体中で結合している、再結晶炭化ケイ素体中のホウ素原子の含有率を記載する。特に、ReSiC体のホウ素含有率は、約500ppm以下である。一実施形態によれば、ホウ素含有率はより少なく、例えば、約400ppm以下、例えば、300ppm以下、又は、約200ppm以上である。本明細書の実施形態によれば、ホウ素含有率は、約50ppm〜約200ppmの範囲内、より詳細には約50ppm〜約150ppmの範囲内である。
【0054】
図2に記載の方法に従って形成されるReSiC体は、図1と関連する実施形態に基いて前述したのと同じ機械的特性、例えば、MOR、MOEおよびCTEを有し得る。図2の方法に従って形成されるReSiC体は、前述のもののような特性、特に、図1に記載の方法に従って形成されるReSiC体に基いて上記で開示されたものと同じ気孔率、収縮率、密度、熱伝導度、および結晶粒径を有する。
【0055】
ReSiC体は、長さ、幅、および厚さの寸法を含むことができ、これらは、一般に、次のような関係を有する:長さ≧幅≧厚さ。より詳細には、長さは、典型的には、形成される物品の最も長い寸法であり、幅は、一般に、2番目に長い寸法であり、一般に厚さより大きい。厚さは、一般に、最も短い寸法であり、より典型的には幅より小さい。一実施形態では、図2に記載の方法に従って形成されるReSiC体の厚さは、約5mm以上である。実際、この方法に従って形成されるReSiC体は、より大きい厚さ、例えば、約10mm以上、例えば、約20mm以上、又は、更には30mm以上の厚さを有する頑丈な物品を含み得る。一般に、前述の方法に従って形成される物品は、約10mm〜約100mmの範囲内の厚さを有する。
【0056】
更に、再結晶炭化ケイ素体の形成の他に、本方法は、上部を含み得る。上部の形成は、上記実施形態で記載の方法および特徴を含み得る。上部は、堆積法又は含浸法で形成することができ、特に、無機材料、例えば、炭化物、特に炭化ケイ素を含んでもよい。
【実施例】
【0057】
実施例1
再結晶炭化ケイ素体のサンプルを含むサンプル1〜11の抵抗率を含む、表1を下記に記載する。各サンプルについて、表1は、加熱温度、出発原料、および、特に、加熱環境、昇華/再結晶反応中に「動的」環境であるか又は「静的」環境であるかを記載している。
【0058】
【表1】

【0059】
一般に、各サンプルの形成は、特定の出発原料から混合物を形成することによって開始される。表1に記載のように、特定の出発原料は、少なくとも二峰性の粒度分布が達成されるように、細粒の炭化ケイ素粒子と粗粒の炭化ケイ素粒子の組み合わせを含む。幾つかの実施例では、特定の粒度分布が達成されるように、第3の種類の炭化ケイ素粒子が含まれる。従って、E280、E285、およびGMF5Cの出発原料は、約3ミクロンの平均粒径を有する炭化ケイ素微粒子である。E300出発原料は、約100ミクロンの平均粒径を有する炭化ケイ素粗粒子である。SiC微粒子(E280およびE285)とSiC粗粒子(E300)の混合物は、微粒子が混合物の52重量%を構成し、粗粒子が残りの48重量%を構成するように、混合される。E280およびE285などの2種類の炭化ケイ素微粒子を使用するとき、その組み合わせは、両方の成分を同じパーセンテージ含む、即ち、それぞれを、微粒子成分の総重量の50重量%、又は、乾燥混合物の総重量の26重量%含む。
【0060】
水性スラリーは各混合物から形成され、試験サンプルは、各スラリーから鋳込み成形して未焼成品を形成することによって形成される。未焼成品を昇華/再結晶温度に加熱し、5mmの平均厚さを有する再結晶炭化ケイ素サンプルを形成する。各サンプル1〜11の昇華/再結晶温度は、1800℃〜2050℃であり、サンプルをこの温度で180分間保持する。特に、各サンプル1〜11を「動的」又は「静的」環境中で加熱する。「動的」環境は、約6Torrの減圧雰囲気、および、典型的には約6ppmの低い窒素分圧、並びに、1.25mの容積を有するチャンバでは毎分約8標準リットル(SLPM)の流量の加熱チャンバを通る不活性ガス(例えば、Ar)流を含む。静的環境は、通常の雰囲気圧力および通常の雰囲気ガス濃度を含む通常の環境を含む。各サンプル1〜11は、15〜20体積%の気孔率を有する。
【0061】
表1に記載のように、動的環境中でサンプルを加熱すると、静的環境中のサンプルより少なくとも2桁大きい抵抗率を有する再結晶炭化ケイ素体が得られた。動的環境中で形成されたサンプル(サンプル1〜7)は、300Kで約1E7Ωcmの典型的な抵抗率と、300Kで1E8Ωcmの高さの抵抗率を有した。一方、静的環境中で形成されたサンプル8〜11は、300Kで約3E3Ωcmの抵抗率を有した。ほとんどの場合、動的環境中で形成されたサンプルと静的環境中で形成されたサンプルとの抵抗率の差は、4桁であった。一般に、表1から、本明細書の実施形態に記載の特徴および方法の特定の組み合わせを使用して、高抵抗率再結晶炭化ケイ素体の形成が可能であることが分かる。
【0062】
実施例2
上記実施形態に記載の、ホウ素ドーピング法を使用して形成されるサンプル1〜12の抵抗率を含む表2を下記に記載する。各サンプルについて、表2は、加熱温度、出発原料、および、特に、各サンプル中のホウ素ドープ剤濃度(ホウ素含有率)を記載する。
【0063】
【表2】

【0064】
サンプル1〜12は、本明細書に記載の実施形態に従って形成される。即ち、スラリーは、水、および、細粒の炭化ケイ素粒子と粗粒の炭化ケイ素粒子の混合物を使用して形成される。炭化ケイ素粒子の乾燥混合物は、また、BC粉末を異なるパーセンテージで含んだが、それは、適切なホウ素ドープ剤濃度を提供するために添加される。500ppmのホウ素ドープ剤濃度を有するサンプルは、元の乾燥混合物中にBCを約0.06重量%含む。200ppmのホウ素ドープ剤濃度を有するサンプルは、元の乾燥混合物中にBCを約0.03重量%含む。75ppmのホウ素ドープ剤濃度を有するサンプルは、元の乾燥混合物中にBCを約0.01重量%含む。
【0065】
各サンプル1〜12をスリップキャスト成形し、50mmの平均厚さを有する未焼成サンプルを形成する。特に、サンプル1〜12の厚さは、実施例1で形成されたサンプルより大きい。未焼成品を昇華/再結晶温度に加熱して再結晶炭化ケイ素サンプルを形成する。各サンプル1〜12の昇華/再結晶温度は、1700℃〜約2150℃であり、サンプルをこの温度で180分間保持する。特に、各サンプル1〜12を、6Torrの圧力を有する減圧雰囲気中で加熱する。チャンバに不活性ガスを流通させない。サンプル1〜12は、一般に15〜20体積%の気孔率を有する。
【0066】
表2は、ドープ剤濃度と加熱温度の関係を示す。1700℃の温度では、500ppmのホウ素含有率を有するサンプル1は、高抵抗率(300Kで>1E5Ωcm)を有する。しかし、それぞれ200ppmおよび75ppmのホウ素含有率を有するサンプル2および3は、高抵抗率を有していない。それでもなお、表2に更に示されているように、本発明者らは、特定の原料とプロセスパラメータを組み合わせて、温度を高くすることにより、比較的低いホウ素含有率を使用して高抵抗率再結晶炭化ケイ素体が得られることを見出した。例えば、1850℃の加熱温度と75ppmのホウ素含有率では、3E7Ωcmの抵抗率を有する再結晶炭化ケイ素体が形成される。更に、1850℃より高い加熱温度では、低レベルのホウ素含有率(例えば、75ppm)を用いて類似の高抵抗率再結晶炭化ケイ素体が得られた。従って、表2から、比較的少ないホウ素濃度を使用して、厚い断面を有する高抵抗率再結晶炭化ケイ素体を形成できることが分かる。
【0067】
本明細書に記載の再結晶高ケイ素品は、電子工業に、特に電子部品の製造に使用するのに適している。本明細書に記載の再結晶炭化ケイ素体は、特定の特徴、例えば、電気抵抗率、機械的特性、および、それらを枚葉処理用途に使用することを容易にする純度(即ち、汚染源となり得る元素の濃度が低いこと)などを含む。
【0068】
高い抵抗率を有し得る炭化ケイ素品が形成されたが、典型的には、このような物体は、焼結体であり、高い焼結温度を必要とする高い密度を有し、製造中の収縮率が大きい。本明細書に開示される特定の物品および方法は、高抵抗率を有する再結晶炭化ケイ素品を可能にする。本物品および方法は、再結晶炭化ケイ素品において、技術的現状からの逸脱を示す、特定の再結晶炭化ケイ素体の形成を可能にする。更に、本明細書で開示されているReSiC体は、特定のホウ素含有率又は窒素含有率、体積抵抗率、線収縮、平均結晶粒径、気孔率、MOR、MOE、CTE、被覆層、および寸法を含む特徴の組み合わせを組み込む。特に、本明細書に開示される方法は、SiC微粒子とSiC粗粒子の特定の比、SiC微粒子とSiC粗粒子の特定の粒径、および、特定の環境(即ち、減圧、窒素分圧、および不活性ガス流)を含み得る加熱工程、昇華温度、および持続時間を含む特徴の組み合わせを組み込む。
【0069】
一実施形態によれば、特徴の特定の組み合わせにより、以前から現在まで高抵抗率ReSiC体を形成するのに不十分であった低濃度のホウ素でReSiC体を形成することが容易になる。ホウ素は、ウエハ処理で不純物と見なされ得るため、ホウ素含有率を低減しつつ高い抵抗率を達成することは、特に重要である。このような高抵抗率ReSiC体は、現在使用されている材料と比較して高温、腐食性の環境での処理により適している、基板、ウエハホルダ、および、他の装備品(furniture)などの構成部品を提供するため、SWPプラットフォームに組み込まれてもよい。
【0070】
別の実施形態によれば、ReSiC体において、窒素濃度を低減することによって抵抗率の驚くべき上昇(増加)が現れることが分かった。窒素は、抵抗率と機能的に関連していると理解されているが、ReSiC体中の窒素を低減することによって予想外に高い抵抗率を達成できることが分かった。特定の理論に拘束されることを望まないが、異なる結晶粒径の組み合わせによってSiC結晶粒中に異なる窒素濃度が生じると考えられる。その結果、特定の処理条件で、SiC粗粒間にあるSiC細粒からの優先的窒素抽出が起こり得、そのため再結晶SiC結晶粒中の抵抗率が局所的に、特に粒界で増加し、それによって全体的に高い抵抗率を有するReSiC品が形成される。従って、低い窒素含有率を有する高抵抗率ReSiC体は、現在使用されている材料と比較して、高温で腐食性の環境での処理に適しており、基板、ウエハホルダ、および他の装備品などの構成要素を提供するために、SWPプラットフォームに組み込まれ得る。
【0071】
特定の実施形態の文脈で本発明を例証し、説明してきたが、本発明の範囲から決して逸脱することなく、様々な変更および代替を行い得るため、本発明は、示された詳細に限定されるものではない。例えば、追加の又は同等の代替物を提供することができ、追加の又は同等の製造工程を使用することができる。このようなものとして、当業者は、通常程度の実験法を使用して、本明細書に開示されている本発明の他の変更および同等物を想到することができ、このような変更および同等物は全て、以下の請求項によって定義される本発明の範囲に入るものと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1E5Ωcm以上の抵抗率を有し、窒素含有率が200ppm以下である再結晶多結晶炭化ケイ素品を形成する方法であって、
炭化ケイ素粗粒子と、前記炭化ケイ素粗粒子の平均粒径より小さい平均粒径を有する炭化ケイ素微粒子と混合して混合物を形成する工程、
前記混合物を成形して、未焼成品を形成する工程、
不活性ガスを含み、約25Torr以下の減圧を有する雰囲気中で前記未焼成品を昇華温度に加熱し、再結晶炭化ケイ素体を形成する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
前記加熱中の雰囲気が、約15ppm以下の窒素濃度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1.25mの容積を有するチャンバでは、加熱中、前記未焼成品を収容するチャンバに前記不活性ガスを毎分約2標準リットル(SLPM)以上の流量で流通させる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記炭化ケイ素粗粒子の平均粒径が、約30ミクロン以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記炭化ケイ素微粒子の平均粒径が、約15ミクロン以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−82625(P2013−82625A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−11560(P2013−11560)
【出願日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【分割の表示】特願2010−531329(P2010−531329)の分割
【原出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(593150863)サン−ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティド (139)
【Fターム(参考)】