説明

高温の圧延された製品を減速して一時的に蓄積するための装置

第1の軸線(A1)に沿って長手方向に第1の速度V1で移動する高温の圧延された製品を減速して一時的に蓄積するための装置が開示されている。この装置には、湾曲したガイド(12)が設けられており、ガイドが、製品を受け取るための、第1の軸線(A1)と整合した入口端部(12n)と、第1の軸線(A1)から半径方向に間隔を置いて配置されかつ製品を第1の軸線(A1)に対して横方向の出口方向に排出するように向けられた、出口端部(12b)とを有している。湾曲したガイド(12)が、第1の軸線(A1)を中心にして、製品の出口方向とは反対方向に、出口端部(12b)がV1よりも低い第2の速度V2を有するような速度で回転可能であり、これにより、製品が、出口端部から、リングの螺旋状配列として、V1−V2に等しい第3の速度V3で排出されるようになっている。円筒状のドラムが、リングの前記螺旋状配列を軸方向に受け取りかつ、第1の軸線(A1)を中心にして、湾曲したガイド(12)の回転方向とは反対方向に、製品が前記ドラムから第3の速度V3で繰り出されるような速度で、回転可能であるように、配置されている。受取り手段(16)が、ドラムから繰り出される製品を受け取るための、第1の軸線に対して平行な経路に沿って前後に移動する。シュラウド(18)は、ドラムを部分的に包囲するように構成されており、回転可能な内部ローラ(20)は、シュラウド(18)の内部に周方向に間隔を置いて配置されている。内部ローラ(20)は、ドラムの表面から半径方向に間隔を置いて配置されておりかつ前記第1の軸線に対して平行に延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
1.発明の分野
本発明は、高温の圧延された製品を一時的に蓄積して減速するために圧延機において使用される蓄積装置に関する。このような蓄積装置の例は、米国特許第7021103号明細書及び米国特許第7093472号明細書に記載されており、これらの明細書の記載は、引用したことにより本願明細書に記載されたものとする。
【0002】
2.従来技術の説明
図8及び図9において10で概略的に示されたような上述の形式の蓄積装置においては、第1の速度V1で移動する高温の圧延された製品を受け取るために、湾曲したガイド12は、第1の軸線A1と整合させられた入口端部12aを有している。ガイドは、軸線A1から半径方向に間隔を置いて配置された出口端部12bを有しており、この出口端部12bは、製品を、軸線A1に対して横方向の第2の軸線A2に沿った排出方向に排出するように向けられている。ガイド12は、軸線A1を中心にして、製品の排出方向とは反対方向に、出口端部12bが速度V1よりも低い第2の速度V2を有するような速度で、回転可能である。従って、製品は、V1−V2に等しい第3の速度V3で、リングRの螺旋状配列として、出口端部12bから排出される。
【0003】
リングRを軸線方向に受け取るために、円筒状ドラム14が配置されている。ドラムは、軸線A1を中心にして、ガイド12の回転方向とは反対方向で、製品がドラムから速度V3で繰り出されるような速度で回転可能である。
【0004】
キャッチャ16の形式の受取り手段は、ドラムから繰り出された製品を受け取り、製品をさらなる処理のための他の装置(図示せず)へ送るために働く。キャッチャは、ドラムから繰り出される製品とのキャッチャの整合を維持するために、軸線A1に対して平行な経路に沿って、両方向に可動である。
【0005】
理想的には、圧延機制御システムは、湾曲したガイドの排出端部12bの回転速度V2と、製品の進入速度V1とのバランスのとれた関係を維持する。その目的は、ドラム表面の直径よりも僅かに大きな内径を備えた蓄積リングRを提供することである。このこと自体は、ドラムにおける安定した螺旋状リングパターンを維持しつつ、軸線A1の方向でドラム表面に沿ってリングが徐々にずれていくことに対する摩擦抵抗を最小限にする。
【0006】
しかしながら、実用上は、圧延機における不安定な圧延条件により、速度V1は、突発的な偶然の変化を生じることがある。圧延機制御システムが、十分な速度によってこのような変化に対して反応できないと、リングの直径は、望ましくない程度に増減する。リングが小さくなりすぎて、製品がドラムにきつく巻き付けられると、生じる摩擦抵抗はドラム表面に沿ったリングのずれ移動を妨げる。これに対して、リングが大きすぎると、螺旋状リングパターンが崩れ、ドラムから製品を繰り出すことが困難になる。
【0007】
本発明の目的は、これらの両方の潜在的な問題に対処するための手段を提供することである。
【0008】
発明の概要
本発明の一態様によれば、ドラムを部分的に包囲するようにシュラウドが構成されている。回転可能な内部ローラは、シュラウドの内側に周方向に間隔を置いて配置されている。内部ローラは、ドラム表面から半径方向に間隔を置いて配置されており、ドラム軸線に対して平行に延びている。シュラウドにおける周方向の間隙は、ドラム軸線に対して平行な方向でのキャッチャの往復運動を提供するために働く。好適には、内部ローラは、端部が重なり合いながら、ドラム軸線の方向で互い違いにずれている。
【0009】
本発明の別の態様によれば、回転可能な外部ローラがドラムの表面に沿って周方向に間隔を置いて配置されている。外部ローラもドラム軸線に対して平行に延びており、好適には、端部が重なり合いながらドラム軸線の方向で互い違いにずれている。
【0010】
シュラウドと、内部ローラとは、リングの直径が大きすぎる場合にリングを半径方向で制限するために働くのに対して、ドラム表面における外部ローラは、リングが小さすぎてドラムにきつく巻き付けられる場合に、リングを半径方向で支持するために働く。
【0011】
本発明のさらに別の態様によれば、ドラムの表面に沿ったリングの螺旋状配列の規定されたずれ移動を促進及び制御するための手段が設けられている。
【0012】
本発明のこれらの特徴及び結果的な利点並びにその他の特徴及び結果的な利点を、ここで添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による蓄積装置の上面図である。
【図2】蓄積装置の側面図であり、シュラウドの一部が省略されている。
【図3】図1の3−3線に沿ってみた断面図である。
【図4】ドラム表面に沿ったリングの螺旋状配列の規定されたずれ移動を促進及び制御するための手段の1つの実施の形態を示す、図1と同様の図である。
【図5】ドラム表面に沿ったリングの螺旋状配列の規定されたずれ移動を促進及び制御するための手段の1つの実施の形態を示す、図2と同様の図である。
【図6】ドラム表面に沿ったリングの螺旋状配列の規定されたずれ移動を促進及び制御するための手段の別の実施の形態を示す、図1と同様の図である。
【図7】ドラム表面に沿ったリングの螺旋状配列の規定されたずれ移動を促進及び制御するための手段の別の実施の形態を示す、図3と同様の図である。
【図8】従来技術の蓄積装置の三次元の図である。
【図9】湾曲したガイドの進入端部から下流をみた、概略的な断面図である。
【0014】
詳細な説明
図1から図3に示された本発明の第1の態様によれば、定置のシュラウド18はドラム14を包囲しており、"X"及び"Y"で示された位置の間に周方向間隙を形成している。シュラウドは、典型的に20で示された複数の回転可能な内部ローラを支持している。ローラ20は、ドラム表面から半径方向に間隔を置いて配置されており、好適にはドラム軸線A1に対して平行に延びている。図1及び図2に最も詳しく示されているように、ローラ20は好適には、端部が重なり合いながら、軸線A1の方向で互い違いにずれている。
【0015】
XとYとの間の間隙は、ドラムから製品を繰り出す間、キャッチャ16の前後移動のための妨げられない経路を提供する。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、ドラム14の表面に沿って複数の外部ローラ22が間隔を置いて配置されている。ローラ22も、端部が重なり合いながら、ドラム軸線の方向で互い違いにずれている。
【0017】
ドラムに蓄積するリングRが過剰な成長を生じた場合、シュラウド18における内部ローラ20は半径方向の制限を提供し、これにより、螺旋状リング配列を保つ。択一的に、リング直径が、製品がドラムの周囲にきつく巻き付き始めるような程度にまで減少した場合、外部ローラ22は、軸線A1の方向でのドラム表面に沿ったリングのずれ移動に対する摩擦抵抗を最小限にするように働く。
【0018】
装置は、選択的に、ドラム14の表面に沿ってリングRの螺旋状配列の規定されたずれ移動を促進及び制御するための手段を有する。図4及び図5に示されているように、1つのこのような手段は、ドラム表面の上部から半径方向に間隔を置いて配置されかつ軸線A1に対して平行に延びたねじ24を含む。ねじは、シュラウド18によって支持されており、小型のギヤモータ26によって駆動される。個々のリングRは、ねじの螺旋状のねじ山の間に収容され、これにより、規定された間隔でドラム表面に沿って推進される。
【0019】
択一的に、図6及び図7に示されているように、典型的に28で示された複数のフリーホイールピンチローラは、軸線A1に対して平行にドラム14の上部に沿って整合させられていてよい。ローラ28は、ドラム表面に対して螺旋状リング配列の上部領域を挟持するために配置されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の軸線に沿って長手方向に第1の速度V1で移動する高温の圧延された製品を減速して一時的に蓄積するための装置において、
湾曲したガイドが設けられており、該ガイドが、前記製品を受け取るための、前記第1の軸線と整合した入口端部と、前記第1の軸線から半径方向に間隔を置いて配置されかつ前記製品を前記第1の軸線に対して横方向の排出方向に排出するように向けられた、出口端部とを有しており、前記湾曲したガイドが、前記第1の軸線を中心にして、前記排出方向とは反対方向に、前記出口端部がV1よりも低い第2の速度V2を有するような速度で回転可能であり、これにより、前記製品が、前記出口端部から、リングの螺旋状配列として、V1−V2に等しい第3の速度V3で排出されるようになっており、
円筒状のドラムが設けられており、該ドラムが、リングの前記螺旋状配列を軸線方向に受け取るように配置されており、前記ドラムが、前記第1の軸線を中心にして、前記湾曲したガイドの回転方向とは反対方向に、前記製品が前記ドラムから前記第3の速度で繰り出されるような速度で、回転可能であり、
前記ドラムから繰り出される製品を受け取るための、前記第1の軸線に対して平行な経路に沿って可動な受取り手段が設けられており、
前記ドラムを部分的に包囲するように構成されたシュラウドが設けられており、
前記シュラウドの内側に周方向に間隔を置いて配置された回転可能な内部ローラが設けられており、該内部ローラが、前記ドラムの表面から半径方向に間隔を置いて配置されておりかつ前記第1の軸線に対して平行に延びていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記ドラムの表面に沿って周方向に間隔を置いて配置された回転可能な外部ローラが設けられており、該外部ローラも前記第1の軸線に対して平行に延びている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記内部ローラが、端部が重なり合いながら、前記第1の軸線の方向に互い違いにずれている、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記外部ローラが、端部が重なり合いながら、前記第1の軸線の方向に互い違いにずれている、請求項2記載の装置。
【請求項5】
前記シュラウドが、前記受取り手段の経路の外側に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記外部ローラが、前記ドラムの全周に沿って配置されている、請求項2又は4記載の装置。
【請求項7】
前記内部ローラが、前記ドラムに受け取られた螺旋を半径方向で制限するように配置されている、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記外部ローラが、前記ドラムに受け取られた螺旋を半径方向で支持するように配置されている、請求項2記載の装置。
【請求項9】
前記ドラムの表面に沿ったリングの前記螺旋状配列の規定されたずれ移動を促進及び制御するための手段が設けられている、請求項1又は2記載の装置。
【請求項10】
前記促進及び制御するための手段が、ドラム表面から半径方向に間隔を置いて配置されておりかつ前記第1の軸線に対して平行に延びた回転ねじを含む、請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記促進及び制御するための手段が、前記ドラムの表面に対して前記螺旋状リング配列の上部領域を挟持するように配置された複数のローラを含む、請求項9記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−509179(P2012−509179A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536356(P2011−536356)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/059323
【国際公開番号】WO2010/056430
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(510002268)シーメンス インダストリー インコーポレイテッド (21)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Industry, Inc.
【住所又は居所原語表記】3333 Old Milton Parkway, Alpharetta, GA 30005−4437, United States of America
【Fターム(参考)】