説明

高湿度環境用濾過媒体

本発明は、少なくとも1種類の感湿性ポリマーを含有するナノファイバーに関する。その繊維はまた、繊維の本体中に組み込まれた水素結合性材料のナノ粒子を含有する。水素結合性材料は、ポリマー質量の2%を超える量に相当する量で存在し、かつその長さに沿って測定される1μm未満の算術平均繊維径を有する。この繊維のナノウェブから作られるフィルター媒体もまた含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過の分野、具体的には空気流および他の気体流を濾過するための改良された方法および材料に関する。
【背景技術】
【0002】
空気流および気体流などの流体流は、多くの場合その中に粒子状物質を保持している。その粒子状物質の一部または全部を流体流から取り除くことが必要とされる。例えば、原動機付き乗り物の客室への吸気流、コンピュータディスクドライブ内の空気、HVACの空気、クリーンルームの換気、およびフィルターバッグ、バリア布、織物材料を使用する用途、原動機付き乗り物用エンジンまたは発電設備への空気、ガスタービンに向けられるガス流、ならびに様々な燃焼炉への空気流は、多くの場合その中に粒子状物質を含む。キャビンエアフィルターの場合、乗客の快適性および/または美的感覚にとって粒状物質を除去することが望ましい。エンジン、ガスタービン、および燃焼炉への空気およびガスの吸気流に関しては、粒子は関係する様々な機構の内部の働きにかなりの損傷を与える恐れがあるので、粒子状物質を除去することが望ましい。他の例では、工業プロセスまたはエンジンからの生産ガスまたは排ガスは、その中に粒子状物質を含有する可能性がある。そのようなガスは様々な下流設備を経由して大気中に排出することができ、また排出すべきであるが、その前にこれらの流れからの粒子状物質の実質的な除去が行われていることが望ましい。
【0003】
ポリマー材料から作られる濾過媒体についてはより要求の厳しい用途が想定されるので、周囲温度を超える温度、特に高湿度での、または液体の水の存在下での温度の厳しさに耐えるように著しく改良された材料が必要とされる。ポリマー材料は、熱および/または水分の存在下で劣化するか、または形態的変化を受ける恐れがあり、また濾過効率低下または圧力降下が生ずる恐れもある。水分の存在下で圧力降下が増す場合、フィルターの寿命が減少するか、あるいはフィルターに空気またはガスを通すコストが上昇するかのいずれかである。
【0004】
したがって、形成後のフィルター要素の一つの重要なパラメータは、熱、湿度、またはその両方の影響に対するその耐久性である。水分をうまく処理することができるフィルターに対する必要性に関する一つの実例は、ガスタービンが沿岸地域近くで、あるいは雨または霧の条件下で運転される場合のガスタービン吸気フィルターに関するものである。水分はフィルター要素中に取り込まれるようになり、タービンの出力を減少させる圧力降下の増大を引き起こす恐れがある。水分によって影響を受けないフィルター媒体の能力は、タービン操作員にとって価値があるはずであり、タービンが吸引抵抗の増大による損失なしに電力を生み出すことを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、より高温かつより高湿を有する流れを濾過するための特性の向上をもたらすポリマー材料、マイクロファイバーおよびナノファイバー材料、ならびにフィルター構造体に対する必要性に対処する。具体的には本発明は、湿度の存在下で圧力変動を示さないフィルター構造体を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はナノファイバーを対象とし、このナノファイバーは、少なくとも1種類の感湿性ポリマーと、その繊維の本体中に組み込まれた水素結合性材料の本質的に球形のナノ粒子とを含む。この材料は、ポリマー質量の2%を超える量に相当する量で存在し、またこのナノファイバーは、その長さに沿って測定される1μm未満の算術平均繊維径を有する。
【0007】
本発明はさらに、ナノウェブを含むフィルター媒体を対象とする。前記ナノウェブは、1μm以下の数平均繊維径の感湿性ポリマーナノファイバーを含み、前記繊維は、水素結合性材料の本質的に球形のナノ粒子を取り込んでいる。この水素結合性材料は、ポリマー質量の2%を超える量に相当する量で存在し、またこのナノファイバーは、その長さに沿って測定される1μm未満の算術平均繊維径を有する。
【0008】
本発明はさらに、空気に媒体を通過させるステップを含む空気の濾過方法を対象とする。前記媒体は前述のナノウェブを含む。前記ナノウェブは、1μm以下の数平均繊維径の感湿性ポリマー繊維を含み、また水素結合性材料のナノ粒子を含む。この材料はポリマー質量の2%を超える量に相当する量で存在し、またこのナノファイバーは、その長さに沿って測定される1μm未満の算術平均繊維径を有する。この方法の一実施形態ではナノ粒子は本質的に球形である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明はナノファイバーを対象とし、このナノファイバーは、少なくとも1種類の感湿性ポリマーと、その繊維の本体中に組み込まれた水素結合性材料の本質的に球形のナノ粒子とを含む。この材料は、ポリマー質量の2%を超える量に相当する量で存在し、またこのナノファイバーは、その長さに沿って測定される1μm未満の算術平均繊維径を有する。好ましくはナノ粒子は本質的に球形である。
【0010】
感湿性ポリマーは、特に限定されないが、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、セルロースエーテルおよびエステル、ポリアルキレンスルフィド、ポリアリーレンオキシド、ポリスルホン、変性ポリスルホンポリマー、およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。また、ポリ(塩化ビニル)、ポリメチルメタクリレート(および他のアクリル樹脂)、架橋形態および非架橋形態の様々な加水分解度(87%〜99.5%)のポリビニルアルコールであることもできる。
【0011】
水素結合性材料もまた、特に限定されないが、シリカ、アルミナ、ジルコニア、および有機ポリマーからなる群から選択することができる。
【0012】
水素結合性材料はまた、ポリマー質量の2.5%を超える、好ましくはポリマー質量の3%を超える、さらにはポリマー質量の4%または5%を超える量に相当する量で存在することができる。
【0013】
本発明はさらに、ナノウェブを含むフィルター媒体を対象とする。前記ナノウェブは、1μm以下の数平均繊維径の感湿性ポリマーナノファイバーを含み、前記繊維は、前述の水素結合性材料のナノ粒子を取り込んでおり、ポリマー質量の2%または2.5%を超える、好ましくはポリマー質量の3%を超える、さらにはポリマー質量の4%または5%さえも超える量に相当する量で存在することができる。
【0014】
本発明はまた、前述のフィルター媒体を含むフィルターアセンブリを対象とする。
【0015】
本発明はさらに、空気に媒体を通過させるステップを含む空気の濾過方法を対象とする。前記媒体は前述のナノウェブを含む。前記ナノウェブは、1μm以下の数平均繊維径の感湿性ポリマー繊維を含み、またナノウェブは水素結合性材料のナノ粒子を含み、ポリマー質量の2%、または2.5%さえも超える、好ましくはポリマー質量の3%を超える、さらにはポリマー質量の4%または5%さえも超える量に相当する量で存在する。この方法の一実施形態ではナノ粒子は本質的に球形である。
【0016】
定義
「懸濁液」または「ゾル」は、流体中に分散させた任意の形状またはサイズの粒子の任意のスラリー、懸濁液、またはエマルションを指すことができる。一般にはこの流体は水であるが、本発明は水性懸濁液には限定されない。懸濁液は、次第に沈降することに関しては不安定であるが、本発明における使用期間のあいだ分散している系を指すことができる。
【0017】
本明細書中で使用される「繊維」は、長さ寸法が幅および厚さの横寸法よりもはるかに大きい細長い物体を意味する。したがって「繊維」には、例えばモノフィラメントと、マルチフィラメント糸(連続またはステープル)と、リボンと、ストリップと、ステープルと、チョップト繊維、カットファイバー、または不連続繊維などの他の形態と、一定または不規則断面を有するものとが含まれる。「繊維」は、前記のいずれか1種類または前記の組合せの複数本を含む。
【0018】
本発明で使用される「ナノ粒子」は、実質的に無機または有機材料のどちらかから作られる約750nm未満の、好ましくは約500nm未満の、より好ましくは約200nm未満または100nmさえもの主(最長)寸法を有する粒子を意味する。本発明のナノ粒子は、それらを取り込むポリマーと水素結合することができる。用語「水素結合」とは、当業界、具体的には化学業界の熟練者ならば理解するはずの分子間結合の種類を意味する。本発明の脈絡ではこのポリマー上のアミン結合、アミド結合、およびカルボキシル結合などの極性基が、この材料上の極性結合と静電気的に結合することができる。この材料が無機である場合、その材料上のこのような極性結合は、一般には金属−酸素結合、例えばSi−O、Al−O、Zr−O、Ti−Oなどであるはずである。
【0019】
「本質的に球形」とは、それらの製造方法が許容する精度の範囲内までの球形対称を有し、粒子のどの一つの軸または方向も他のどれより有意に長いと判定することができなかったことを意味する。どちらもポリマー繊維マトリックス中での粒子の配向において好ましい軸ではない。製造の方法または粒子の観察の結果として起こる球形対称の変形があっても、本発明の用語においては粒子を球形対称と解釈して表現する。
【0020】
本発明で使用するのに適したナノ粒子材料には、これらに限定されないがシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、およびハイブリッド材料、あるいはポリマーマトリックス中に取り込まれた場合にナノ粒子構造体を形成する有機ポリマーが挙げられる。カオリンクレーを本発明で使用することができ、これは含水(Al23・2SiO2・2H2O)またはか焼(Al23・2SiO2)のいずれかであることができる。含水およびか焼カオリンクレーはよく知られた市販の材料である。
【0021】
ナノ粒子は、様々な手法によってポリアミド繊維中に組み込むことができる。例えばナノ粒子は、重合に先立ってそのポリマーを形成するモノマーと混合することもでき、また非揮発性油と混合して注入可能なスラリーを形成し、次いでポリマーに加えることもできる。さらなる方法はマスターバッチ技術によるものであり、ポリアミドとカオリンクレーを含有する濃縮物をブレンドまたはレットダウンして供給材料またはベースポリアミド樹脂にする。次いでこのブレンドを紡糸して繊維にする。濃縮物は、ベースポリマー樹脂を含む紡糸機中に注入することができる。濃縮物は、濃縮物の質量を基準にしてナノ粒子材料を約9〜約50質量%、好ましくは約25〜約35質量%含むことができ、残りはポリマーである。
【0022】
繊維中のナノ粒子の量は、ポリマー繊維の質量を基準にして約2.0質量%を超え、好ましくは2.5質量%を超え、3.0、4.0、または5.0質量%でさえあるべきである。2質量%未満を含む場合、ポリマー繊維は望ましい防湿性を示さないはずである。
【0023】
「カレンダー加工」は、ウェブに2本のロール間のニップを通過させる工程である。これらロールは、互いに接触していても、またロール表面間に固定または可変ギャップが存在してもよい。有利には本発明のカレンダー工程ではニップは、軟質ロールと硬質ロールの間に形成される。「軟質ロール」は、カレンダー中の2本のロールが離ればなれにならないように加えられる圧力下で変形するロールである。「硬質ロール」は、この工程の圧力下で工程または製品に著しい影響を及ぼす変形が起こらない表面を有するロールである。「無地の」ロールは、これらを製造するために使用されるその工程の能力の範囲内で滑らかな表面を有するものである。点接合ロールとは違ってウェブがニップを通過するにつれてその上に意図的にパターンを生じさせるための点またはパターンは存在しない。
【0024】
「スクリム」は支持層であり、ナノウェブがそれと接合、接着、または積層することができる任意の構造体であることができる。有利には本発明で有用なスクリム層はスパンボンド不織布層であるが、不織繊維のカードウェブなどから作ることもできる。幾つかのフィルター用途に有用なスクリム層は、ひだおよび永久折れ目を保持するのに十分な剛性を必要とする。
【0025】
用語「不織布」は、多数の繊維を含むウェブを意味する。それら繊維は互いに接合されてもよく、また非接合でもよい。これら繊維は、ステープル繊維または長繊維であることができる。これら繊維は、単一材料、あるいは異なる繊維の組合せとしての、またはそれぞれ異なる材料からなる同様の繊維の組合せとしての多数の材料を含むことができる。
【0026】
本発明の実施形態で有用な不織繊維ウェブは、例えばエラストマー、ポリエステル、レーヨン、セルロース、ナイロン、およびこのような繊維のブレンドなどの材料の感湿性繊維を含む。不織繊維ウェブについては複数の定義が提案されている。これら繊維には、一般にステープル繊維または連続フィラメントが挙げられる。本明細書中で使用される「不織繊維ウェブ」は、比較的平坦で、可撓性、かつ多孔性のほぼ平面の構造物を定義するためのその包括的な意味で使用され、ステープル繊維または連続フィラメントから構成される。不織布の詳細な説明については、E.A,Vaughn著、ASSOCIATION OF THE NONWOVEN FABRICS INDUSTRY,3d Edition(1992)による「Nonwoven Fabric Primer and Reference Sampler」を参照されたい。これら不織布は、カード式、スパンボンデッド、湿式、エアレイド式、およびメルトブローン式であることができ、このような製品は業界においてよく知られている。
【0027】
不織布の例には、メルトブローンウェブ、スパンボンドウェブ、カードウェブ、エアレイドウェブ、湿式ウェブ、スパンレースウェブ、および2枚以上の不織層を含む複合ウェブが挙げられる。
【0028】
本明細書中で使用される用語「ナノファイバー」は、約1000nm未満、さらには約800nm未満、さらには約50nm〜500nmの間、またさらには約100nm〜400nmの間の数平均径を有する繊維を指す。非円形断面ナノファイバーの場合、本明細書中で使用される用語「直径」は、その最大断面径を指す。
【0029】
「感湿性ポリマー繊維を含むウェブ」とは、ウェブが空気などの気体中でフィルター媒体として使用される場合、液滴の形態、あるいは湿った空気または気体流の形態のいずれかの水分の存在下で圧力スパイクを示すポリマーから作られた繊維を含むウェブを意味する。このようなポリマーは、普通はポリマー鎖の主鎖中またはその末端基中に、2つの異種要素間に少なくとも1種類の極性共有結合を有するはずである。
【0030】
本発明のポリマー組成物で使用することができる感湿性ポリマー材料の例には、付加重合ポリマー材料および縮合ポリマー材料の両方、例えば、これらには限定されないがポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、セルロースエーテルおよびエステル、ポリアルキレンスルフィド、ポリアリーレンオキシド、ポリスルホン、変性ポリスルホンポリマー、およびこれらの混合物が挙げられる。これらの総称的種類に含まれる好ましい材料には、ポリ(塩化ビニル)、ポリメチルメタクリレート(および他のアクリル樹脂)、架橋形態および非架橋形態の様々な加水分解度(87%〜99.5%)のポリビニルアルコールが挙げられる。好ましい付加重合ポリマーは、ポリ塩化ビニルおよびポリメチルメタクリレート材料、ならびにポリビニルアルコール材料の場合のようにガラス質(室温を超えるTg)であることができ、可塑剤を取り込むことができる。
【0031】
本発明で有用なポリアミド縮合ポリマーの一つの種類はナイロン材料である。用語「ナイロン」は、長鎖合成ポリアミド全体に対する総称的名称である。一般にナイロンの命名法は、出発原料がC6ジアミンとC6二酸(最初の数字はC6ジアミンを示し、二番目の数字はC6ジカルボン酸化合物を示す)であることを示すナイロン−6,6の場合などの一連の数を含む。ナイロンはまた、少量の水の存在下でεカプロラクタムの重縮合によって作ることもできる。この反応は、線状ポリアミドであるナイロン−6(環状ラクタム−εアミノカプロン酸としても知られる−から作られる)を形成する。さらに、ナイロンコポリマーもまた考えられる。コポリマーは、様々なジアミン化合物、様々な二酸化合物、および様々な環状ラクタム構造体を組み合わせて反応混合物にし、次いでランダムに位置決めされたモノマー材料を有するナイロンを形成してポリアミド構造体にすることによって作ることができる。例えば、ナイロン6,6−6,10材料は、ヘキサメチレンジアミンと、C6およびC10二酸のブレンドとから製造されるナイロンである。ナイロン6−6,6−6,10は、エプシロンアミノカプロン酸と、ヘキサメチレンジアミンと、C6およびC10二酸材料のブレンドとを共重合することによって製造されるナイロンである。
【0032】
ブロックコポリマーもまた、本発明の製品および方法で有用である。このようなコポリマーの場合、溶媒膨潤剤の選択が重要である。選択される溶媒は、その溶媒中に両ブロックが可溶なものである。そのようなブロックコポリマーの例は、Pebax(登録商標)(e−カプロラクタム−b−エチレンオキシドの一種)、Sympatex(登録商標)(ポリエステル−b−エチレンオキシド)、およびエチレンオキシドとイソシアナートのポリウレタンである。
【0033】
ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタートのような付加重合ポリマー、ならびにアモルファス付加重合ポリマー、例えばポリ(アクリロニトリル)、およびそのアクリル酸およびメタクリレートとのコポリマーと、ポリスチレンと、ポリ(塩化ビニル)およびその様々なコポリマーと、ポリ(メタクリル酸メチル)およびその様々なコポリマーとが本発明で使用するのに適しており、これらは低い圧力および温度で可溶であるために比較的容易に溶液紡糸することができる。
【0034】
ポリマー混合状態で、アロイ形態で、または架橋により化学的に接合された構造で2種類以上のポリマー材料を含むポリマー組成物を形成することには利点がある。このようなポリマー組成物は、ポリマーの属性を変えることによって、例えばポリマー鎖の可撓性または鎖運動性を改良することによって、全体的に分子量を増加することによって、またポリマー材料の網目組織の形成により補強を与えることによって物理的性質を向上させる。
【0035】
このコンセプトの一実施形態では2種類の同類のポリマー材料をブレンドして有益な特性を得ることができる。例えば、高分子量ポリ塩化ビニルを低分子量ポリ塩化ビニルとブレンドすることができる。同様に、高分子量ナイロン材料を低分子量ナイロン材料とブレンドすることができる。さらに、汎用ポリマー類の異なる種をブレンドすることもできる。例えば、ナイロン−6材料をナイロンコポリマー、例えばナイロン6と6,6と6,10のコポリマーとブレンドすることができる。さらに、87%加水分解ポリビニルアルコールなどの低加水分解度を有するポリビニルアルコールを、98〜99.9%以上の間の加水分解度を有する完全または超加水分解ポリビニルアルコールとブレンドすることもできる。混合状態のこれらの材料のすべてを適切な架橋機構を用いて架橋することができる。これらナイロンは、反応性の架橋剤を用いてアミド結合中の窒素原子と架橋させることができる。ポリビニルアルコール材料は、ヒドロキシル反応性材料、例えばホルムアルデヒドなどのモノアルデヒド、尿素、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂およびその類似体、ホウ酸および他の無機化合物、ジアルデヒド、二酸、ウレタン、エポキシ、および他の既知の架橋剤を用いて架橋することができる。架橋技術はよく知られまた分かっている事象であり、架橋試薬がポリマー鎖間で反応し、共有結合を形成して分子量、耐薬品性、全体的強度、および機械的劣化抵抗性を実質的に改良する。
【0036】
非常に広範囲の繊維フィルター媒体が様々な用途に対して存在することを理解されたい。本発明で述べる耐久性ナノファイバーおよびミクロファイバーを、その媒体のいずれにも加えることができる。また本発明で述べる繊維を使用してこれらの既存の媒体の繊維成分を置き換えることもできる。これは、より優れた耐久性を示すと同時に、それらの小さな径により性能の向上(効率の向上および/または圧力降下の低減)という顕著な利点を与える。
【0037】
物理的性質の望ましい改良を与えるために本発明の紡糸したままのナノウェブをカレンダー加工することができる。本発明の一実施形態では紡糸したままのナノウェブを2本の無地ロール間のニップに供給する。一方のロールは無地の軟質ロールであり、一方のロールは無地の硬質ロールであり、またナノウェブのナノファイバーがカレンダーニップを通過するときに可塑化状態になるように、硬質ロールの温度をTg(本明細書中ではポリマーがガラス状態からゴム状態へ転移する温度と定義する)とTom(本明細書中ではポリマーの融解開始温度と定義する)の間の温度に維持する。両ロールの組成および硬さを変えて所望の最終用途の特性を得ることができる。本発明の一実施形態では一方のロールはステンレス鋼などの硬質金属であり、もう一方は軟質金属またはポリマー被覆ロール、あるいはロックウェルB70未満の硬度を有する複合材ロールである。2本のロール間のニップ中のウェブの滞留時間はウェブの線速度、好ましくは約1m/分から約50m/分の間の線速度によって制御され、また2本のロール間のフットプリントは、ウェブが両ロールと同時に接触して移動するMD距離である。フットプリントは、2本のロール間のニップにかけられる圧力によって制御され、ロールのCDの線寸法当たりの力で一般に測定され、好ましくは約1mm〜約30mmの間である。
【0038】
さらに不織ウェブは、任意選択的にナノ繊維ポリマーのTgから最低Tomの間の温度に加熱しながら、延伸することができる。延伸は、ウェブをカレンダーロールに供給する前および/または後のいずれかで、またMDまたはCDのいずれかの方向あるいは両方向で行うことができる。
【0039】
用語「ナノ粒子」にはまた「ナノクレー」および「オルガノクレー」が含まれる。「ナノ粒子」とは、約750nm(ナノメートル)未満またはそれ以下の最大寸法(例えば直径)を有する粒子を意味する。また、0nm〜750nmの間にあるすべての範囲の粒子サイズが、本明細書中に明確に書かれているのと同様に本明細書中に組み込まれまた含まれる。本明細書全体を通して与えられるあらゆる限度には、場合によってはより低いまたはより高いあらゆる限度が、あたかもそのようなより低いまたはより高い限度が本明細書中に明確に書かれているかのように含まれることになることを理解されたい。ナノ粒子の粒径分布の非限定的な例は、約2nmから約750nm未満まで、あるいは約2nmから約200nm未満まで、あるいは約2nmから約150nm未満までの範囲に含まれるものである。また、そのナノ粒子が組み込まれる繊維のサイズによっては粒径の或る範囲が有用である場合もあることを理解されたい。様々な種類の粒子の算術平均粒径は、それら粒子の粒径分布と異なる場合がある。例えば、層状合成ケイ酸塩は約25nmの算術平均粒径を有することができるが、その粒径分布は一般に約10nm〜約40nmの間で変わる可能性がある。(本明細書中で述べる粒径は、それらを水性媒体中に分散した場合の粒子に対するものであり、またその算術平均粒径は粒子個数分布の算術平均に基づくことを理解されたい。
【0040】
本発明では球形粒子が好ましいが、ナノ粒子は非球形粒子を含むことができる。ナノ粒子の非限定的な例には、約2〜約750nmの粒径を有する結晶性またはアモルファス粒子を挙げることができる。例えばベーマイトアルミナは、2から750nmまでの平均粒径分布を有することができる。ナノチューブは、長さ1cmまでの、あるいは約2から約50nmまでの粒径を有する構造物を含むことができる。
【0041】
本発明の組成物に使用するのに適したナノ粒子は、形状が実質上球形であることができ、約750nm未満の平均粒径を有し、化学組成が実質上無機である。このナノ粒子は本質的にシリカなどの単一酸化物を含んでもよく、またはその上に別の種類の酸化物を付着させた一種類の酸化物の核(または金属酸化物以外の物質の核)を含んでもよい。一般にナノ粒子はまた、サイズ(算術平均粒径)が約2nm〜約750nm、約2nm〜約500nm、約10nm〜約300nm、または約10nm〜約100nmの範囲にあることができ、またサイズが5〜500nmの間の任意の範囲にあることができる。ナノ粒子はまた、所与の算術平均粒径を中心とした比較的狭い粒径分布を有することが望ましい。
【0042】
幾種類かの層状クレー材料および無機金属酸化物がこれらナノ粒子の例であることができ、それらはまた本明細書中で「ナノクレー」とも呼ばれる。本発明で使用するのに適した層状クレー材料には、スメクタイト類、カオリン類、イライト類、緑泥石類、アタパルガイト類、および混合層粘土類の地質学的種類のものが挙げられる。これらの種類に属する特定のクレーの典型例は、スメクタイト類、カオリン類、イライト類、緑泥石類、アタパルガイト類、および混合層粘土類である。スメクタイト類には、例えばモンモリロナイト、ベントナイト、葉ろう石、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、ノントロナイト、タルク、バイデライト、ヴォルコンスキー石、および蛭石が挙げられる。カオリン類には、高陵石、ディッカイト、ナイル石、アンチゴライト、アナウキサイト、ハロサイト、インデライト、およびクリソタイルが挙げられる。イライト類には、ブラバイサイト、白雲母、ソーダ雲母、金雲母、および黒雲母が挙げられる。緑泥石類には、コレンス石、苦土緑泥石、ドンバサイト、須藤石、菫泥石、およびクリノクロアが挙げられる。アタパルガイト類には海泡石およびパリゴルスキー石が挙げられる。混合層粘土類にはアレバルダイトおよびバーミキュライトビオタイトが挙げられる。これらの層状粘土鉱物の変種および同形置換物は独自の用途を提供する。
【0043】
層状粘土鉱物は、天然に産出するものでも合成のものでもどちらでもよい。本明細書中で使用されるナノクレー粒子の一つの非限定的実施形態の例は、天然または合成のヘクトライト、モンモリロナイト、およびベントナイトを使用する。別の実施形態は市販のヘクトライトクレーを使用し、市販のヘクトライトの典型的な供給源は、Southern Clay Products,Inc.,U.S.A.から入手できる一群のLAPONITE(登録商標)と、R.T.Vanderbilt,U.S.A.から入手できるVeegum ProおよびVeegum Fと、Baroid Division,National Read Comp.,U.S.A.から入手できる一群のBarasym、一群のMacaloid、および一群のPropaloidである。
【0044】
天然粘土鉱物は、一般には層状ケイ酸塩鉱物として、またそれほど多くはないがアモルファス鉱物として存在する。層状ケイ酸塩鉱物は、SiO4四面体シートが二次元網目構造に配列されている。2:1型層状ケイ酸塩鉱物は、マグネシウム八面体シートまたはアルミニウム八面体シートがシリカ四面体シートの2枚のシートの間に挟まれた三層構造を有する数枚から数十枚のケイ酸塩シートの積層構造を有する。幾つかの実施形態ではナノファイバー組成物は2:1層状ケイ酸塩以外の種類の(または第一群の)ナノ粒子を含む複数種類のナノ粒子を含むことが望ましい場合もある。このようなナノ粒子の群がナノ粒子の種類を指すこと、またそのようなナノ粒子が任意の様式でナノファーバー組成物全体にわたって分布することができ、一まとめにする必要がないことを理解されたい。また、これらの実施形態においてさえ、ナノファーバー組成物は、2:1層状ケイ酸塩を含むナノ粒子(それは第二群のナノ粒子を含んでもよい)を少なくとも若干(ことによると機能しない量)含むことができる。
【0045】
溶融紡糸法によってナノ粒子を直接に繊維中に取り込む場合、比較的高い濃度の剥離クレーを含有するナノ複合組成物のマスターバッチを作製し使用することができる。例えば剥離クレーを30質量%含有するナノ複合組成物マスターバッチを使用することができる。3質量%の剥離クレーを有する組成物が必要な場合、この30質量%マスターバッチの1質量部を「純粋」ポリアミドの9質量部と混合することによって3質量%の剥離クレーを有する組成物を作製することができる。混合は、押出加工によるポリマー溶融液で、あるいはマスターバッチと「純粋」ポリアミドを共通溶媒中に同時溶解することによって達成することができる。
【0046】
このようなマスターバッチ組成物は、一般的な溶融混合技術によって作製することができる。例えば、成分を単軸または二軸スクリュ押出機あるいはニーダーに加え、通常のやり方で混合することができる。材料を混合した後、それらを二次成形(切断)して取扱いに便利なペレットまたは他の粒子にすることができる。それをポリマーとより相溶性にする場合、スメクティッククレー(例えばモンモリロナイト)は、最もよくポリマーマトリックス全体にわたって個々の小板として均一に分散し、また剥離することができる。これは、モンモリロナイトクレー中のナトリウムをポリマーとより相溶性のアルキルアンモニウムイオンと陽イオン交換するか、あるいは、例えばグラフト化によりポリマーを化学的に変性して、それをクレーとより相溶性にすることによって達成することができる。
【0047】
ポリマー/クレー混合物に十分なせん断応力を加えてクレーの各層を分離し、続いてこうして剥離したクレーの小板を溶融液中に均一に分布させることが必要である。押出機のスクリュは、高いせん断応力およびある程度の軸混合を加えるように設計すべきである。
【0048】
溶液紡糸法によってナノ粒子を直接に繊維中に取り込む場合、紡糸前にナノ粒子をポリマー溶液中に直接に取り込むことができる。その場合、ナノ粒子はその溶液中で懸濁またはコロイドを形成する。任意選択的にナノ粒子の溶液中への適切な分散を確実にするために界面活性剤が加えられていてもよい。粒子の十分な分散を達成するために溶液に熱およびせん断を加えることが必要なこともあり、当業熟練者ならばこの作業を完遂する方法および装置を見分けることができるはずである。
【0049】
紡糸したままのナノウェブは、有利にはエレクトロスピニング、例えば伝統的なエレクトロスピニングまたはエレクトロブローによって、またある種の環境ではメルトブローまたは他のこのような適切な方法によって生産されるナノファイバーを、主として含むかまたはそのナノファイバーのみを含む。伝統的なエレクトロスピニングは、本明細書中にその全体が援用される米国特許第4,127,706号明細書中に例示されている技術である。そこでは溶液状態のポリマーに高電圧を印加してナノファイバーおよび不織マットを作り出す。しかしながら、エレクトロスピニング法の総処理能力が低すぎて、より重い坪量のウェブを形成する際に商業的に実行できない。
【0050】
「エレクトロブロー」法は、本明細書中にその全体が参照により援用される国際公開第03/080905号パンフレットに開示されている。ポリマーおよび溶媒を含むポリマー溶液の流れを貯蔵タンクから紡糸口金内の一連の紡糸ノズルに供給し、この紡糸口金に高電圧を印加し、そこを通してポリマー溶液を放出する。一方で、任意選択的に加熱されていてもよい圧縮空気を、紡糸ノズルの両側または周囲に配置された空気ノズルから流出させる。この空気は、新たに流出したポリマー溶液を包み、かつそれを進める吹込ガス流としてほぼ下方に向けられ、繊維ウェブの形成を助ける。この繊維ウェブを、真空チャンバー上方の接地された多孔性回収ベルト上に回収する。エレクトロブロー法により、比較的短時間で約1gsmを超える、さらに約40gsm以上もある高い坪量の商業的な規模および量のナノウェブを形成することが可能になる。
【0051】
ナノウェブはまた、本発明の場合には遠心紡糸の方法で生産することもできる。遠心紡糸は、円錐形回転ノズル(凹内面と前部の面の放出縁部とを有する)を有する回転噴霧機に、紡糸液または溶融液(少なくとも1種類のポリマーが少なくとも1種類の溶媒中に溶解されていてもよい)を供給するステップと、回転噴霧機から紡糸液を凹内面に沿って流出させて前記紡糸液をノズルの放出縁部の前部の面へ向けて配送するステップと、溶媒を気化させながら紡糸液からばらばらの繊維流を形成し、電場の存在下または不在下でポリマー繊維を生成するステップとを含む繊維形成法である。付形流体をノズルの周囲に流して紡糸液を回転噴霧機から離れる方向に向けることができる。これら繊維をコレクタ上に回収して繊維ウェブを形成することができる。遠心紡糸法の例は、それらの全体が本明細書中に援用される米国特許出願第11/593,959号明細書および同第12/077,355号明細書中に見出される。
【0052】
基材またはスクリムをコレクタ上に配置して、基材上に紡糸されるナノファイバーウェブを回収し抱合させることができ、その抱合した繊維ウェブを高性能フィルター、ワイパーなどとして使用する。基材の例には、メルトブローン不織布、ニードルパンチまたはスパンレース不織布などの様々な不織布、織布、編布、紙などを挙げることができ、その基材上にナノファイバー層を加えることができる限り、制限なく使用することができる。不織布は、スパンボンド繊維、乾式または湿式繊維、セルロース繊維、メルトブローン繊維、ガラス繊維、またはこれらの混紡繊維を含むことができる。
【0053】
本発明によるフィルター媒体構造体は、ナノウェブのみを含むか、あるいは第一表面を有する透過性の目の粗い繊維媒体または基材の第一層を含むことができる。透過性の目の粗い繊維媒体の第一層の第一表面に、目の細かい繊維媒体の第一層を固定する。好ましくはこの透過性の目の粗い繊維材料の第一層は、少なくとも10μm、一般にはまた好ましくは約12(または14)〜30μmの平均径を有する繊維を含む。また、好ましくはこの透過性の目の粗い繊維材料の第一層は、約300g/m2以下、好ましくは約70〜270g/m2、最も好ましくは少なくとも15g/m2の坪量を有する媒体を含む。好ましくはこの透過性の目の粗い繊維媒体の第一層は、少なくとも0.0005インチ(12μm)の厚さである。一般にはまた好ましくは約0.001〜0.030インチ(25〜800μm)の厚さである。
【0054】
本発明によるある種の好ましい配置は、フィルター構造体全体に、一般に定義されるようなフィルター媒体を含む。このような使用法の幾つかの好ましい配置は、円筒形のひだのある形状に配列された媒体を含み、そのひだはほぼ長手方向に、すなわち円筒形パターンの長手方向軸と同じ方向に延びる。このような配置の場合、従来のフィルターの場合と同様に媒体をエンドキャップ中に埋め込むことができる。このような配置は、典型的な通常の目的のために望むならば上流ライナーおよび下流ライナーを含むことができる。
【0055】
幾つかの用途では本発明による媒体を他の種類の媒体、例えば従来の媒体と併せて使用して、全体的な濾過性能または寿命を改善することもできる。例えば、本発明による媒体を従来の媒体に貼り合せ、スタック配置で利用するか、あるいは従来の媒体の1つまたは複数の領域を含む媒体構造に組み込む(一体機能)ことができる。それを良好な負荷を得るためにこのような媒体の上流に使用することもでき、かつ/またはそれを高効率研磨フィルターとして従来の媒体から下流に使用することもできる。
【0056】
本発明によれば濾過方法が提供される。この方法は、一般に前述の媒体を濾過のために有利に利用することを含む。本発明による媒体は、フィルター設計の当業熟練者によって具体的に構成され構築されて、相対的に効率のよいシステムにおいて相対的に長い寿命を与えることができる。
【実施例】
【0057】
含水量試験
フィルター媒体の濡れのシミュレーションおよび関連する通気抵抗の増加の測定は、媒体の17.8cm×17.8cm試料を使用することを伴った。試料を圧力チャンバーの161.3cm2の開口部を覆うように、その周囲を囲んで均等な間隔をあけた10個の特別頑丈なクランプを用いて固定し密封した。次いで空気管を低圧調節装置に連結し、また圧力チャンバー中への空気流を3個の別個の流量計によって制御した。流量計は、その約0〜100L/分を計量する能力により、空気が圧力チャンバーに入るのを可能にする。次いで17.2L/分に設定した空気流が媒体試料の5インチ×5インチの正方形の面積を通過しようと試みると、0〜1270mmの間の水を測定する3個の圧力ゲージがチャンバー内の圧力を表示した。この乾燥試料の圧力の測定値を初期圧力として記録した。17.2L/分の流量によって生じた面速度は、161.3cm2の媒体面積の場合は約1.78cm/秒であり、これはガスタービンフィルターを作動させる際に見られる典型的な面速度に相当した。この試料を、圧力チャンバー内に位置するノズルからの水ミストの噴霧に55〜70mL/分の間の流量で6分間さらした。水噴霧の開始から、試料が完全に乾燥され、最初の乾燥開始圧力にほぼ戻るまで30秒ごとに圧力測定を行った。
【0058】
実施例1
この含水量試験手順を用いて、約2g/m2のナイロン6,6エレクトロブローンナノファイバーで上張りした、Kolon Industries,Inc.によって製造された165g/m2のスパンボンドポリエステルL2165型からなる対照試料を基線性能データセットとして試験した。同じ母材および坪量を用いて加工されたがまた、エチレングリコールに対して体積で20.7%濃度のNissan Chemicalsによって製造された商品名EG−STのシリカナノ粒子の添加剤を含有し、このエレクトロブローンナイロン6,6ナノファイバーと同時紡糸された試料について、同じプロトコルを用いて後続の含水量試験を行った。この約2g/m2のナイロン6,6が約3質量%および5質量%の<100nm径のアモルファスシリカナノ粒子を含有するように、EG−STの2種類の質量濃度を作製した。表1に示した結果は、加えたアモルファスシリカナノ粒子の濃度に関係した改良を、165g/m2のスパンボンドポリエステルとアモルファスシリカナノ粒子を全く含有しない2g/m2のナイロン6,6ナノファイバーとの対照試料に対して明らかにする。また、ナイロン6,6ナノファイバーなしの、Kolon Industries,Inc.によって製造された165g/m2のスパンボンドポリエステルL2165型だけの性能を示して、アモルファスシリカナノ粒子を加えられなかった構造体のスパンボンドPET部分だけの圧力降下の寄与を区別する。
【0059】
【表1】

【0060】
実施例2
この含水量試験手順を用いて、約2g/m2のナイロン6,6エレクトロブローンナノファイバーで上張りした、Kolon Industries,Inc.によって製造された165g/m2のスパンボンドポリエステルL2165型からなる対照試料を基線性能データセットとして試験した。同じ母材および坪量を用いて加工されたがまた、塩化メチレンに対して体積で30.5%濃度のNissan Chemicalsによって製造された商品名MEK−STのシリカナノ粒子の添加剤を含有し、このエレクトロブローンナイロン6,6ナノファイバーと同時紡糸された試料について、同じプロトコルを用いて後続の含水量試験を行った。この約2g/m2のナイロン6,6が約1質量%、3質量%、および5質量%の<100nm径のアモルファスシリカ粒子を含有するように、MEK−STの3種類の質量濃度を作製した。表2に示した結果は、加えたアモルファスシリカナノ粒子の濃度に関係した改良を、165g/m2のスパンボンドポリエステルとアモルファスシリカナノ粒子を全く含有しない2g/m2のナイロン6,6ナノファイバーとの対照試料に対して明らかにする。また、ナイロン6,6ナノファイバーなしの、Kolon Industries,Inc.によって製造された165g/m2のスパンボンドポリエステルL2165型だけの性能を示して、アモルファスシリカナノ粒子を加えられなかった構造体のスパンボンドPET部分だけの圧力降下の寄与を区別する。
【0061】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノファイバーであって、少なくとも1種類の感湿性ポリマーと、前記繊維の本体中に組み込まれた水素結合性材料の本質的に球形のナノ粒子とを含み、前記材料が、前記ポリマーの質量の2%を超える量に相当する量で存在し、かつ前記ナノファイバーが、その長さに沿って測定される1μm未満の算術平均繊維径を有する、ナノファイバー。
【請求項2】
前記感湿性ポリマーが、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、セルロースエーテル、セルロースエステル、ポリアルキレンスルフィド、ポリアリーレンオキシド、ポリスルホン、変性ポリスルホンポリマー類およびこれらの混合物、ポリ(塩化ビニル)、ポリメチルメタクリレート、ならびに架橋形態および非架橋形態のポリビニルアルコールからなる群から選択される、請求項1に記載のナノファイバー。
【請求項3】
前記材料が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、および有機ポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載のナノファイバー。
【請求項4】
前記材料が、前記ポリマーの質量の2.5%を超える量に相当する量で存在する、請求項1に記載のナノファイバー。
【請求項5】
前記材料が、前記ポリマーの質量の3%を超える量に相当する量で存在する、請求項1に記載のナノファイバー。
【請求項6】
前記材料が、前記ポリマーの質量の4%を超える量に相当する量で存在する、請求項1に記載のナノファイバー。
【請求項7】
前記材料が、前記ポリマーの質量の5%を超える量に相当する量で存在する、請求項1に記載のナノファイバー。
【請求項8】
ナノウェブを含むフィルター媒体において、前記ナノウェブが1μm未満の数平均繊維径の感湿性ポリマー繊維を含み、前記繊維が水素結合性材料の本質的に球形のナノ粒子を含む媒体であって、前記材料が前記ポリマーの質量の2%を超える量に相当する量で存在する、媒体。
【請求項9】
前記感湿性ポリマーが、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、セルロースエーテル、セルロースエステル、ポリアルキレンスルフィド、ポリアリーレンオキシド、ポリスルホン、変性ポリスルホンポリマー類およびこれらの混合物、ポリ(塩化ビニル)、ポリメチルメタクリレート、ならびに架橋形態および非架橋形態のポリビニルアルコールからなる群から選択される、請求項8に記載の媒体。
【請求項10】
前記材料が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、および有機ポリマーからなる群から選択される、請求項8に記載の媒体。
【請求項11】
前記材料が、前記ポリマーの質量の2.5%を超える量に相当する量で存在する、請求項8に記載の媒体。
【請求項12】
前記材料が、前記ポリマーの質量の3%を超える量に相当する量で存在する、請求項8に記載の媒体。
【請求項13】
前記材料が、前記ポリマーの質量の4%を超える量に相当する量で存在する、請求項8に記載の媒体。
【請求項14】
前記材料が、前記ポリマーの質量の5%を超える量に相当する量で存在する、請求項8に記載の媒体。
【請求項15】
空気を濾過するための方法において、前記空気に媒体を通過させるステップを含み、前記媒体がナノウェブを含み、前記ナノウェブが1μm以下の数平均繊維径の感湿性ポリマー繊維を含み、前記繊維が前記繊維中に組み込まれた水素結合性材料のナノ粒子を含む方法であって、前記材料が前記ポリマーの質量の2%を超える量に相当する量で存在する、方法。
【請求項16】
前記ポリマーおよび前記材料は、前記ナノ粒子の存在下では前記媒体が、55〜70mL/分の水流量の存在下で1.78cm/秒の空気流の面速度と相まって、220mm未満の水の圧力スパイクを161.3cm2の表面積全体にわたって示すように選択され、その場合、前記ナノ粒子の不在下では前記圧力スパイクが240mmの水を超えるはずである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ナノ粒子が本質的に球形である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ナノ粒子が本質的に球形である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
請求項8に記載の前記フィルター媒体を含むフィルターアセンブリ。

【公表番号】特表2013−511627(P2013−511627A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539928(P2012−539928)
【出願日】平成22年11月3日(2010.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/055228
【国際公開番号】WO2011/062761
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】