説明

高濃度セサミノール含有物の製造方法

【課題】セサミノールを高濃度で含有するものを収率良く製造することができる方法を提供する。
【解決手段】酸性触媒を用いて脱色処理したゴマ油を原料として用い、これに特定の条件下での分子蒸留、精製、吸着及び脱着溶出等の処理をこの順で施した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高濃度セサミノール含有物の製造方法に関する。ゴマ種子からゴマ油を製造するとき、製造途中の所謂未精製ゴマ油を酸性触媒を用いて脱色処理すると、脱色処理したゴマ油中に0.1質量%程度のセサミノールが含まれてくる。かかるセサミノールの殆どはゴマ種子に豊富に含まれているセサモリンが酸性触媒を用いた脱色処理時に転移反応することにより生成するものである。セサミノールは、細胞の老化やガン発生の原因と考えられている過酸化脂質の生成を抑制したり、所謂悪玉コレステロールの生成を抑制する等、多くの生理活性機能を持つ重要な物質である。本発明は、かかるセサミノールを高濃度で含有するものを収率良く製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴマ油から油溶性リグナン類を製造する方法として、1)ゴマ油を分子蒸留や水蒸気蒸留する方法(例えば特許文献1及び2参照)、2)ゴマ油を液液分配抽出する方法(例えば特許文献3及び4参照)、3)ゴマ油を超臨界の条件下で抽出する方法(例えば特許文献5参照)等が提案されている。
【0003】
しかし、従来提案されている製造方法では、ゴマ種子に由来する油溶性リグナン類のなかで、セサミン、セサモリン、エピセサミン等についてはこれらを相応に高濃度で含有するものを収率良く製造できるものの、セサミノールを高濃度で含有するものを収率良く製造することができないという問題がある。
【特許文献1】特開平10−120695号公報
【特許文献2】特開平10−7676号公報
【特許文献3】特開昭62−581号公報
【特許文献4】特開平3−53866号公報
【特許文献5】特開2000−290679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、セサミノールを高濃度で含有するものを収率良く製造することができる方法を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
しかして本発明者は、上記の課題を解決するべく研究した結果、所定の処理を行なったゴマ油を原料として用い、これに所定の分子蒸留、精製、吸着及び脱着溶出等の処理をこの順で施すのが正しく好適であることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、下記の第1工程〜第5工程を経ることを特徴とする高濃度セサミノール含有物の製造方法に係る。
【0007】
第1工程:酸性触媒を用いて脱色処理したゴマ油を温度200〜320℃の条件下で分子蒸留し、油溶性リグナン類を40質量%以上含有する留分を分取する工程。
【0008】
第2工程:分取した留分からエタノール中にて晶析するものを除去し、更にエタノール濃度60〜80質量%のエタノール水溶液に不溶のものを除去して精製する工程。
【0009】
第3工程:精製したエタノール水溶液をその0.15〜0.50質量倍の塩基性陰イオン交換樹脂製の高分子系吸着剤を用いた温度20〜60℃の条件下での吸着処理に供し、該エタノール水溶液中のセサミノールを該高分子系吸着剤に吸着させる工程。
【0010】
第4工程:セサミノールを吸着させた高分子系吸着剤をその5〜15質量倍のアルカリ性エタノール水溶液を用いた脱着溶出処理に供し、セサミノールを該アルカリ性エタノール水溶液に脱着溶出させる工程。
【0011】
第5工程:セサミノールを脱着溶出させたアルカリ性エタノール水溶液を酸性水溶液で中和した後、濃縮して、高濃度セサミノール含有物を得る工程。
【0012】
本発明の第1工程に供するゴマ油は、ゴマ種子からゴマ油を製造する途中の所謂未精製ゴマ油を酸性触媒を用いて脱色処理したゴマ油である。かかるゴマ油としては例えば、1)未焙煎のゴマ種子から圧搾搾油した未精製ゴマ油を脱酸処理、酸性触媒を用いて脱色処理及び脱臭処理したゴマ油、2)焙煎ゴマ種子から圧搾搾油した未精製ゴマ油を脱酸処理、酸性触媒を用いて脱色処理及び脱臭処理したゴマ油、3)未焙煎のゴマ種子からn−ヘキサンで抽出した未精製ゴマ油を脱酸処理、酸性触媒を用いて脱色処理及び脱臭処理したゴマ油、4)焙煎ゴマ種子からn−ヘキサンで抽出した未精製ゴマ油を脱酸処理、酸性触媒を用いて脱色処理及び脱臭処理したゴマ油、5)未焙煎のゴマ種子から圧搾搾油した未精製ゴマ油を脱酸処理及び酸性触媒を用いて脱色処理したゴマ油、6)焙煎ゴマ種子からn−ヘキサンで抽出した未精製ゴマ油を脱酸処理及び酸性触媒を用いて脱色処理したゴマ油等が挙げられる。脱色処理に用いる酸性触媒としては、活性白土、酸性白土、低級有機酸、無機酸等が挙げられるが、なかでも活性白土が好ましい。
【0013】
本発明の第1工程では、以上説明したような酸性触媒を用いて脱色処理したゴマ油を温度200〜320℃の条件下で分子蒸留し、油溶性リグナン類を40質量%以上、好ましくは50質量%以上含有する留分を分取する。分子蒸留には公知の分子蒸留機が使用でき、これには例えば、流下薄膜式分子蒸留機や遠心式分子蒸留機等が挙げられる。分子蒸留における油温は200〜320℃とするが、220〜300℃とするのが好ましい。また圧力は通常13.3〜66.7Pa(0.1〜0.5mmHg)とするが、26.7〜53.3Pa(0.2〜0.4mmHg)とするのが好ましい。かかる分子蒸留により、セサミン、セサモリン、セサミノール、エピセサミン等の油溶性リグナン類を40質量%以上、好ましくは50質量%以上含有する留分を分取する。これらの油溶性リグナン類は、特開昭62−000581号公報や特開平3−279385号公報に記載されている公知の方法で分析できる。
【0014】
本発明の第2工程では、分子蒸留により分取した油溶性リグナン類を40質量%以上、好ましくは50質量%以上含有する留分を精製する。かかる精製は、前記の留分からエタノール中にて晶析するものを除去する前段処理と、更にエタノール水溶液に不溶のものを除去する後段処理とからなっている。前段処理では、前記の留分をエタノールを用いて晶析する。例えば、油溶性リグナン類を40質量%以上含有する留分に対して、その6〜20質量倍のエタノールを用い、該留分をエタノールに加熱溶解した後、冷却して、主にセサミンを晶析させ、かかる晶析による析出物を濾別し、濾液としてセサミノールを含有するエタノール溶液を得る。そしてこのセサミノールを含有するエタノール溶液を通常は濃縮し、好ましくはエタノールを蒸発除去して、セサミノール含有物を得る。このセサミノール含有物には、セサミノールとして、セサミノールの他に、エピセサミノールやジアセサミノールが含まれる。
【0015】
前記の後段処理では、前段処理したものをエタノール水溶液と加熱混合し、該混合液から不溶物を除いてセサミノールを含有する精製したエタノール水溶液を得る。ここで用いるエタノール水溶液は、エタノール濃度が60〜80質量%のものとし、好ましくは65〜75質量%のものとする。例えば、前段処理で得たセサミノール含有物に対して5〜15質量倍のエタノール水溶液を用い、双方を加熱しつつ混合し、好ましくは40〜90℃で加熱しつつ混合し、その混合液から遠心分離、デカンテーション、常圧濾過、加圧濾過、減圧濾過等の公知の方法で不溶物を除く。
【0016】
本発明の第3工程では、以上説明したように精製したエタノール水溶液を塩基性陰イオン交換樹脂製の高分子系吸着剤を用いた吸着処理に供し、該エタノール水溶液中のセサミノールを該高分子系吸着剤に吸着させる。吸着に用いる塩基性陰イオン交換樹脂製の高分子系吸着剤としては、1)ゲル形スチレン系塩基性陰イオン交換樹脂製の高分子系吸着剤、2)ゲル形アクリル系塩基性陰イオン交換樹脂製の高分子系吸着剤、3)ポーラス形スチレン系塩基性陰イオン交換樹脂製の高分子系吸着剤、4)パイポーラス形スチレン系塩基性陰イオン交換樹脂製の高分子系吸着剤、5)マクロ網状(MR)形スチレン系塩基性陰イオン交換樹脂製の高分子系吸着剤等が挙げられる。かかる塩基性陰イオン交換樹脂製の高分子系吸着剤において、塩基性の種類としては、弱塩基性、中塩基性、強塩基性が挙げられるが、なかでも弱塩基性のものが好ましい。吸着処理では、前記の精製したエタノール水溶液に対して、0.15〜0.50質量倍、好ましくは0.25〜0.45質量倍の塩基性陰イオン交換樹脂製の高分子吸着剤を用いる。
【0017】
吸着処理では、前記の精製したエタノール水溶液と塩基性陰イオン交換樹脂製の高分子系吸着剤とを接触させる。これには例えば、1)高分子系吸着剤を充填したカラムに精製したエタノール水溶液を通液する方法、2)高分子系吸着剤を精製したエタノール水溶液の中に加えて撹拌する方法等が挙げられるが、1)の方法が好ましい。精製したエタノール水溶液と高分子系吸着剤とを接触させるときの温度は、20〜60℃とする。かくして精製したエタノール水溶液と高分子系吸着剤とを接触させることにより、該エタノール水溶液中のセサミノールを高分子系吸着剤に吸着させる。前記2)の方法で双方を接触させた場合には、セサミノールを吸着させた高分子系吸着剤を、デカンテーション、遠心分離、濾過等の公知の方法で取り出す。
【0018】
本発明の第4工程では、以上説明したようにセサミノールを吸着させた高分子系吸着剤をアルカリ性エタノール水溶液を用いた脱着溶出処理に供し、セサミノールを該アルカリ性エタノール水溶液に脱着溶出させる。脱着溶出に用いるアルカリ性エタノール水溶液のエタノール濃度は通常40〜90質量%とするが、50〜80質量%とするのが好ましい。セサミノールを脱着溶出させるときの温度は、通常60℃以下とするが、20〜50℃とするのが好ましい。セサミノールの脱着溶出に用いるアルカリ性エタノール水溶液の使用量は、セサミノールを吸着させた高分子系吸着剤の5〜15質量倍とする。またエタノール水溶液をアルカリ性にするアルカリの種類としては、1)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、2)炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、3)炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩等が挙げられるが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が好ましい。アルカリ性エタノール水溶液中のアルカリ濃度は通常0.5〜10質量%とする。セサミノールを吸着させた高分子系吸着剤から該セサミノールを脱着溶出させる方法としては、1)セサミノールを吸着させた高分子系吸着剤をカラムに充填し、該カラムにアルカリ性エタノール水溶液を常圧又は加圧下で通液する方法、2)セサミノールを吸着させた高分子系吸着剤をアルカリ性エタノール水溶液中に加えて撹拌する方法等が挙げられる。2)の方法でセサミノールを脱着溶出させた場合には、脱着溶出後の高分子系吸着剤を、デカンテーション、遠心分離、濾過等の公知の方法で分離する。
【0019】
本発明の第5工程では、以上説明したようにセサミノールを脱着溶出させたアルカリ性エタノール水溶液を酸性水溶液で中和する。酸性水溶液に用いる酸としては、塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸、酢酸、クエン酸等の低級有機酸が挙げられるが、塩酸が好ましい。中和は、セサミノールを脱着溶出させたアルカリ性エタノール水溶液と酸性水溶液との混合水溶液のpHが通常6.5〜7.5となるように行なう。そして中和したエタノール水溶液を濃縮し、好ましくは更に乾燥して、高濃度セサミノール含有物を得る。中和したエタノール水溶液からエタノールと水とを除いて濃縮し、更には乾燥する方法としては、減圧留去、スプレードライ、凍結乾燥等が挙げられる。かくして得られる高濃度セサミノール含有物は、セサミノールを通常60質量%以上含有するものとなるが、79質量%以上含有するものとするのが好ましい。収率は通常20質量%以上となるが、50質量%以上、更には60質量%以上とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、セサミノールを高濃度で含有するものを収率良く製造することができるという効果がある。
【0021】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例及び比較例を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【実施例】
【0022】
試験区分1
・実施例1
原料のゴマ油として、未焙煎のゴマ種子から圧搾搾油した未精製ゴマ油を、脱酸処理、活性白土を用いて脱色処理及び脱臭処理したゴマ油を用いた。このゴマ油100kgを遠心式分子蒸留機に仕込み、温度(品温)245℃、圧力27Paの条件下で分子蒸留し、油溶性リグナン類を56%含有する留分1kgを得た(第1工程)。この留分1kgとエタノール10kgとを還流冷却器付フラスコに仕込み、1時間還流して、留分をエタノールに溶解した後、常温まで冷却し、静置して、主にセサミンを晶析した。晶析による析出物を濾別し、濾液として得たセサミノールを含有するエタノール溶液から減圧下にエタノールを除去して、セサミノールを14質量%含有するセサミノール含有物680gを得た(第2工程の前段)。セサミノール含有物680gとエタノール濃度70%のエタノール水溶液6.8kgとを還流冷却器付フラスコに仕込み、80℃で1時間加熱還流して混合液とした後、冷却し、静置して、不溶物を濾別し、濾液としてセサミノールを1%含有する精製したエタノール水溶液6528gを得た(第2工程の後段)。精製したエタノール水溶液6528gをスチレン系マクロ網状形弱塩基性陰イオン交換樹脂製の高分子吸着剤(ローム・アンド・ハース・ジャパン社製の商品名アンバーライトIRA96SB)2285gを充填したカラムに25℃で通液して、セサミノールを吸着させた高分子吸着剤2285gを得た(第3工程)。セサミノールを吸着させた高分子吸着剤2285gに、4%水酸化ナトリウム70%エタノール水溶液22850gを20℃で通液してセサミノールを脱着溶出させたアルカリ性エタノール水溶液を得た(第4工程)。セサミノールを脱着溶出させたアルカリ性エタノール水溶液を7%塩酸水溶液で中和した後、エバポレーターで水及びエタノールを除去して、セサミノールを81%含有する高濃度セサミノール含有物を75gを得た(第5工程)。原料として使用したゴマ油中のセサミノール量に対する収率は61%であった。
【0023】
・実施例2〜29、比較例1〜10
実施例1と同様にして、(高濃度)セサミノール含有物得た。実施例1も含め、以上の各例の条件及び結果を表1及び表2にまとめて示した。




【0024】
【表1】









【0025】
【表2】

【0026】
表1及び表2において、
A−1:未焙煎のゴマ種子から圧搾搾油した未精製ゴマ油を脱酸処理、活性白土を用いて脱色処理及び脱臭処理したゴマ油
A−2:焙煎したゴマ種子から圧搾搾油した未精製ゴマ油を脱酸処理、活性白土を用いて脱色処理及び脱臭処理したゴマ油
A−3:未焙煎のゴマ種子からn−ヘキサンで溶媒抽出した未精製ゴマ油を脱酸処理、活性白土を用いて脱色処理及び脱臭処理したゴマ油
A−4:焙煎したゴマ種子からn−ヘキサンで溶媒抽出した未精製ゴマ油を脱酸処理、活性白土を用いて脱色処理及び脱臭処理したゴマ油
A−5:未焙煎のゴマ種子から圧搾搾油した未精製ゴマ油を脱酸処理及び活性白土を用いて脱色処理したゴマ油
A−6:焙煎したゴマ種子からn−ヘキサンで溶媒抽出した未精製ゴマ油を脱酸処理及び活性白土を用いて脱色処理したゴマ油
B−1:弱塩基性陰イオン交換樹脂製(アミノ基を持つスチレン−ジビニルベンゼン共重合体製)の高分子系吸着剤(ローム・アンド・ハース・ジャパン社製の商品名アンバーライトIRA96SB)
B−2:強塩基性陰イオン交換樹脂製(ジメチルエタノールアミンの官能基を持つスチレン−ジビニルベンゼン共重合体製)の高分子系吸着剤(ローム・アンド・ハース・ジャパン社製の商品名アンバーライトIRA410)
b−1:表面積600m/g以上、細孔容積0.7ml/gのスチレン−ジビニルベンゼン共重合体製の高分子系吸着剤(ローム・アンド・ハース・ジャパン社製の商品名アンバーライトXAD2000)
C−1:高分子系吸着剤を充填したカラムにセサミノールを含有するエタノール水溶液を通液する方法
C−2:高分子系吸着剤をセサミノールを含有するエタノール水溶液の中に加えて撹拌する方法
D−1:4%水酸化ナトリウム70%エタノール水溶液
D−2:4%水酸化ナトリウム50%エタノール水溶液
D−3:4%水酸化カリウム50%エタノール水溶液
D−4:7%炭酸水素ナトリウム70%エタノール水溶液
d−1:4%水酸化ナトリウム水溶液
d−2:70%エタノール水溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の第1工程〜第5工程を経ることを特徴とする高濃度セサミノール含有物の製造方法。
第1工程:酸性触媒を用いて脱色処理したゴマ油を温度200〜320℃の条件下で分子蒸留し、油溶性リグナン類を40質量%以上含有する留分を分取する工程。
第2工程:分取した留分からエタノール中にて晶析するものを除去し、更にエタノール濃度60〜80質量%のエタノール水溶液に不溶のものを除去して精製する工程。
第3工程:精製したエタノール水溶液をその0.15〜0.50質量倍の塩基性陰イオン交換樹脂製の高分子系吸着剤を用いた温度20〜60℃の条件下での吸着処理に供し、該エタノール水溶液中のセサミノールを該高分子系吸着剤に吸着させる工程。
第4工程:セサミノールを吸着させた高分子系吸着剤をその5〜15質量倍のアルカリ性エタノール水溶液を用いた脱着溶出処理に供し、セサミノールを該アルカリ性エタノール水溶液に脱着溶出させる工程。
第5工程:セサミノールを脱着溶出させたアルカリ性エタノール水溶液を酸性水溶液で中和した後、濃縮して、高濃度セサミノール含有物を得る工程。
【請求項2】
第1工程において、圧力13.3〜66.7Paの条件下で分子蒸留する請求項1記載の高濃度セサミノール含有物の製造方法。
【請求項3】
第1工程において、温度220〜300℃、圧力26.7〜53.3Paの条件下で分子蒸留して油溶性リグナン類を50質量%以上含有する留分を分取する請求項1記載の高濃度セサミノール含有物の製造方法。
【請求項4】
第2工程において、分取した留分からエタノール中にて晶析するものを除去し、更にエタノール濃度65〜75質量%のエタノール水溶液に不溶のものを除去して精製する請求項1〜3のいずれか一つの項記載の高濃度セサミノール含有物の製造方法。
【請求項5】
第3工程において、精製したエタノール水溶液をその0.25〜0.45質量倍の塩基性陰イオン交換樹脂製の高分子吸着剤を用いた吸着処理に供する請求項1〜4のいずれか一つの項記載の高濃度セサミノール含有物の製造方法。
【請求項6】
第3工程の高分子系吸着剤が、弱塩基性陰イオン交換樹脂製のものである請求項1〜5のいずれか一つの項記載の高濃度セサミノール含有物の製造方法。
【請求項7】
第4工程のアルカリ性エタノール水溶液が、アルカリ金属水酸化物濃度0.5〜10質量%且つエタノール濃度50〜80質量%のものである請求項1〜6のいずれか一つの項記載の高濃度セサミノール含有物の製造方法。
【請求項8】
第4工程の高濃度セサミノール含有物が、セサミノールを79質量%以上含有するものである請求項1〜7のいずれか一つの項記載の高濃度セサミノール含有物の製造方法。

【公開番号】特開2008−214234(P2008−214234A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52239(P2007−52239)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000210654)竹本油脂株式会社 (138)
【Fターム(参考)】