説明

高炉ベルレスシュート交換用マンホール蓋の着脱装置及び着脱方法

【課題】炉体櫓の主構成梁の改造なくして、狭隘な空間でも容易に高炉ベルレスシュート交換用マンホール蓋の取り外しを可能な着脱装置を提供する。
【解決手段】高炉炉頂に配設された高炉ベルレスシュート交換用マンホール蓋の着脱装置であって、マンホール蓋2をチャッキングしスライドさせるスライドユニット14と、このスライドユニット14を傾動させる傾動装置15を、高炉炉頂に配設したベルレスシュート着脱装置16に配設してなる高炉ベルレスシュート交換用マンホール蓋の着脱装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉ベルレスシュート交換用マンホール蓋を着脱する着脱装置及び着脱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉の炉内へ原料を投入するベルレス式炉頂装入装置では、図3に示すように炉体鉄皮3の上部に設置されたシュート駆動装置7に、支持軸8を介してベルレスシュート5が支持されており、シュート駆動装置7によりベルレスシュート5の旋回と傾動角度の調節を行い炉内へ原料を投入している。ベルレスシュート5には、投入原料による摩耗を防止するため、内面ライナー6が取り付けてある。ベルレスシュート5による原料投入を長期間繰り返すと内面ライナー6の摩耗が進行するため、摩耗が限界に達したら内面ライナー6の交換のために、高炉定修時に定期的なベルレスシュート5の交換が必要になる。
【0003】
このため高炉の炉体鉄皮3には、炉内のベルレスシュート5を取り出すことが可能な開口を有したベルレスシュート交換用マンホール1が設けてあり、ベルレスシュート着脱装置16にてベルレスシュート5の交換を行うことができるようになっている(例えば特許文献1参照)。この際、ベルレスシュート交換用マンホール1を覆うマンホール蓋2の取り外しは、ベルレスシュート交換用マンホール1の上方に設置されたマンホール蓋着脱用揚重機17により、ベルレスシュート交換用マンホール1からマンホール蓋2を上方に吊り上げることによって行う。
【0004】
ところが、近年の高炉改修においては、設備費低減のために、メンテナンスデッキや付帯機器を支持する炉体櫓を流用して高炉本体の拡張を行うため、炉体鉄皮3に設置されるベルレスシュート交換用マンホール1が炉体櫓の主構成梁9に近接して設置されるケースがある。
【0005】
これに対して、従来のマンホール蓋の着脱方法では、上述のとおり、ベルレスシュート交換用マンホール1の上方に設置されたマンホール蓋着脱用揚重機16により、マンホール蓋2を吊り上げることによりマンホール蓋2を取り外すようにしているため、マンホール蓋2の取り外しにはマンホール蓋2の前方及び上方に障害物の無い空間が必要となり、ベルレスシュート交換用マンホール1と炉体櫓の主構成梁9が近接して設置された場合には、炉体櫓の主構成梁9が障害となりマンホール蓋2の着脱が困難となる。
【0006】
また、マンホール蓋2の着脱を可能とするために、障害となる炉体櫓の主構成梁9の改造を実施することは、炉体櫓の大幅な改造となり、設備費の大幅なアップとなる。
【0007】
なお、従来、高炉炉頂のマンホール蓋の着脱機構としては例えば特許文献2〜4に記載されたものが知られているが、いずれも障害物を回避してマンホール蓋を着脱できるようにはなっておらず、上記従来技術の問題点を解消することはできない。
【特許文献1】特開2001−288503号公報
【特許文献2】特開平9−13111号公報
【特許文献3】特開平4−316764号公報
【特許文献4】実開昭56−98844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、炉体櫓の主構成梁の改造なくして、狭隘な空間でも容易に高炉ベルレスシュート交換用マンホール蓋の取り外しが可能な装置及び方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明はマンホール蓋の着脱時にマンホール蓋をスライド及び傾動させる機能を備えたものである。
【0010】
すなわち、本発明に係る高炉ベルレスシュート交換用マンホール蓋の着脱装置は、高炉炉頂に配設された高炉ベルレスシュート交換用マンホール蓋の着脱装置であって、前記マンホール蓋をチャッキングしスライドさせるスライドユニットと、このスライドユニットを傾動させる傾動装置と備えたマンホール蓋着脱装置を、高炉炉頂に配設したベルレスシュート着脱装置に配設してなるものである。
【0011】
また、高炉ベルレスシュート交換用マンホール蓋の着脱方法は、高炉炉頂に配設された高炉ベルレスシュート交換用マンホール蓋の着脱方法において、前記マンホール蓋をチャッキングし、チャッキング後スライドさせ、スライドさせたマンホール蓋を傾動させてマンホール蓋を取り外すことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、炉体櫓の主構成梁にベルレスシュート交換用マンホールが近接して設置され、障害物の無い周辺空間が確保できない狭隘な状態でも、短時間で能率よく且つ安全にマンホール蓋の着脱作業を行うことができるばかりでなく、障害物の無い周辺空間の確保のための大幅な炉体櫓の改造を不要とし、設備コストの低減を可能とできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明に係る高炉ベルレスシュート交換用マンホール蓋の着脱装置を用いた着脱方法を示す側面図、図2は図1に示す着脱装置の構造を示す側面図である。
【0015】
図1に示すように、高炉炉頂部分には、シュート駆動装置7に支持軸8を介してベルレスシュート5が支持されている。炉体鉄皮3には、ベルレスシュート5を取り出すことが可能な開口を有したベルレスシュート交換用マンホール1が設けてあり、その開口には操業時のガス遮断用として、マンホール蓋2が締結ボルト4を用いて締結されている。
【0016】
高炉の休風時にベルレスシュート5交換のためにマンホール蓋2の取り外しを行うマンホール着脱装置10は、ベルレスシュート5の着脱作業を行うために高炉炉頂に別途設置されているベルレスシュート着脱装置16上に搭載してある。このマンホール着脱装置10は、図2に示すように、ベルレスシュート着脱装置16上に載置される架台11と、この架台11から伸びたアーム12に支持軸13を介して傾動可能に支持されたスライドユニット14を備えている。スライドユニット14は、基板14aと基板14aに対してスライド可能に取り付けたスライド板14bとを備え、スライド用アクチュエーター14cによってスライド板14bを基板14aに対してスライドさせる。スライド板14bを基板14aに対してスライドさせる機構としては、例えばラックピニオン機構を利用する。また、スライド板14bにはボルト等によりマンホール蓋をチャッキングできるようになっている。
【0017】
スライドユニット14の基板14aとアーム12との間には、傾動装置として傾動用アクチュエーター15が設けてあり、この傾動用アクチュエーター15を伸縮させることにより、スライドユニット14が支持軸13を中心として傾動し、スライドユニット14にチャッキングされたマンホール蓋2も傾動する。
【0018】
以上の構成においてマンホール蓋2を取り外すには、スライドユニット14のスライド板14bにマンホール蓋2をチャッキングしてベルレスシュート交換用マンホール1との締結ボルト4を取り外し、ベルレスシュート着脱装置16を後退させ、ベルレスシュート交換用マンホール1とマンホール蓋2の間に隙間を生じさせる。その後、スライド用アクチュエーター14cを作動させてスライドユニット14のスライド板14bをベルレスシュート交換用マンホール1の開口縁に沿って斜め下方にスライドさせ、さらに傾動用アクチュエーター15を作動させてスライドユニット14(マンホール蓋)を傾動させる。
【0019】
上記の動作を必要に応じて繰り返し、マンホール蓋2が炉体櫓の主構成梁9との障害が無い位置まで移動した後は、マンホール蓋2をチャッキングした状態でマンホール蓋着脱装置10をベルレスシュート着脱装置16から取り外し、ベルレスシュート5の交換作業に支障の無い場所に仮置きする。
【0020】
ベルレスシュート5の交換作業が完了した後は、ベルレスシュート着脱装置16にマンホール蓋着脱装置10を再度搭載し、上記取り外し作業の逆手順にてマンホール蓋2をベルレスシュート交換用マンホール1に装着し締結ボルト4により締結を行う。これによりベルレスシュート5の交換作業が完了する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る高炉ベルレスシュート交換用マンホール蓋の着脱装置を用いた交換方法を示す側面図である。
【図2】図1に示す着脱装置の構造を示す側面図である。
【図3】従来のベルレスシュート交換方法を示す側面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 ベルレスシュート交換用マンホール
2 マンホール蓋
3 炉体鉄皮
4 締結ボルト
5 ベルレスシュート
6 内面ライナー
7 シュート駆動装置
8 支持軸
9 炉体櫓の主構成梁
10 マンホール蓋着脱装置
11 架台
12 アーム
13 支持軸
14 スライドユニット
14a 基板
14b スライド板
14c スライド用アクチュエーター
15 傾動用アクチュエーター(傾動装置)
16 ベルレスシュート着脱装置
17 マンホール蓋着脱用揚重機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉炉頂に配設された高炉ベルレスシュート交換用マンホール蓋の着脱装置であって、前記マンホール蓋をチャッキングしスライドさせるスライドユニットと、このスライドユニットを傾動させる傾動装置と備えたマンホール蓋着脱装置を、高炉炉頂に配設したベルレスシュート着脱装置に配設してなる高炉ベルレスシュート交換用マンホール蓋の着脱装置。
【請求項2】
高炉炉頂に配設された高炉ベルレスシュート交換用マンホール蓋の着脱方法において、前記マンホール蓋をチャッキングし、チャッキング後スライドさせ、スライドさせたマンホール蓋を傾動させてマンホール蓋を取り外すことを特徴とする高炉ベルレスシュート交換用マンホール蓋の着脱方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−197769(P2007−197769A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17806(P2006−17806)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(390022873)日鐵プラント設計株式会社 (275)
【Fターム(参考)】