説明

高純度の蒸気を生成する方法

蒸気の浄化方法、蒸気を浄化するシステム、蒸気流量を測定および/または制御する方法、および浄化蒸気の使用が提供される。また、膜を通るガス透過に対する水蒸気透過の高い比率を有する、ペルフルオロ化アイオノマー(例えば、ペルフルオロエチレンスルホン酸/テトラフルオロエチレン膜)などの実質的にガス不透過性の膜が提供される。また、蒸気の浄化のために比較的高い作動温度でこのような膜を操作する方法、および蒸気の浄化のために比較的低い温度および大気より低い圧力でこのような膜を操作する方法が提供される。好ましい一実施形態では、蒸気を浄化するシステム400は、蒸気供給物源を生成するヒータ404と、実質的にガス不透過性の膜424を格納する浄化装置416とを備えている。システム400の操作では、脱イオン化水などの水が、容器402に加えられて、蒸気供給物源を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年9月13日出願の米国仮特許出願第60/716,727号、および、2006年5月4日出願の米国仮特許出願第60/798,805号の特典を請求するものであり、その開示の全体を参照して本明細書に援用しここに明示的に本出願の一部とされる。
【0002】
超高純度の蒸気を生成する方法が提供される。この方法は、非多孔性イオン膜を通る水蒸気の高速度の拡散を生成する能力に基づいている。高い拡散速度を有するために、膜にまがたる圧力差は、約0.5kPa以下から約350kPa以上まであることが好ましい。膜にまたがる水蒸気に対するこのような高い圧力差を生成するため、作動水蒸気圧力は、100℃に近づくまたはこれを超える温度で、完全に飽和または過飽和される。また、システムが減圧で作動される場合、より低い温度が使用されてもよい。このような場合、10℃以下に近づく温度を使用することができる。周囲より明らかに高い温度での膜の最適な動作のために、浄化されていない水蒸気が提供される膜の側(膜の供給側)は水蒸気で飽和されることが好ましい。
【背景技術】
【0003】
高純度の蒸気は、半導体製造、医療用のガスの生成、オイルの回収および燃料電池技術で利用されるプロセスを含む現在の先進技術プロセスでの多くの応用例で使用される。高純度の蒸気は、プロセスに導入される有廃棄副産物等の不純物が最小であるため、例えば(電子工学および半導体産業などにおける)半導体の表面上の薄膜ゲート酸化物の製造、金属酸化物または他の薄膜の成長において、超高純度洗浄プロセス、およびフォトリソグラフィプロセスに対するフォトレジスト除去において、シリコンの酸化に使用することができる。
【0004】
製薬およびバイオテクノロジー産業では、高純度の蒸気は殺菌に使用され、または濃縮して高純度水を生成することができる。標準的な脱イオン化プロセスより通常は高価だが、高純度蒸気からの液体水の製造により、少ない量の、例えば、プリオン、ウィルス、アレルゲン、タンパク質、細菌、および標準的な水の脱イオン化プロセスによっては効果的に除去することができない生体系に存在する他の生物活性高分子または物質を有する生成物を作り出すことができる。さらに、通常は脱イオン化水システムを通過するホウ酸塩およびケイ酸塩などの無機物質、または、金属スチルから生成される水に特徴的である鉄、ニッケル、クロム、銅および他の有害金属などの金属物質を実質的に少ないレベルで含む水が超純度蒸気から得ることができる。
【0005】
通常、技術的および工業的応用例での蒸気は、脱イオン化水を単に沸騰させることによって、または気体水素および酸素を反応させて水蒸気を作り出すことによって、生成される。後者の場合、純粋な蒸気の生成は、生成物水蒸気内に残っている残留酸素および/または水素の存在により実際は不可能である。これらの成分を除去するにはしばしば、追加の高額で複雑な分離プロセスが必要である。さらに、高濃度の気体水素がしばしば、水素(約100kPaの圧力で約8%)の爆発限界より十分上の高温で行われる、酸素との合成反応に必要である。このような条件で行われる蒸気合成プロセスは、適切に行われない場合、危険な安全性に関する問題を提示する可能性がある。
【0006】
高純度脱のイオン化水を単に沸騰させて蒸気を作り出すことで、蒸気を生成させるための水素と酸素との直接反応に固有の問題および危険を防ぐことができる。しかし、溶解したガスを除去することは難しいことがあり、しばしば高額である可能性がある気密環境内での多数の蒸発/濃縮サイクルを必要とする。さらに、塩または金属などの通常は揮発性ではない材料を含むエアロゾルが蒸発プロセス中に生成されうる。このようなエアロゾルを含む蒸気が使用点で濃縮されると、これらの不純物が濃縮液に組み込まれ、液体水に望ましくない不純物が加わる可能性があり、それによって不純物の除去に必要なその後の処理工程でより高い費用につながる可能性がある。超純水自体は腐食性が非常に高いので、ボイラを構成するのに使用される材料はどれでも(例えば、石英、ステンレス鋼、ガラスなど)は、蒸気内に溶解し、その後エアロゾル内に含まれうる。
【0007】
有毒材料を活性化させるために蒸気が使用されるプロセス、例えばオイル回収のための蒸気圧入などでは、飽和蒸気が、環境内に放出すべきではない注入による副産物を含んでいる可能性がある。炭化水素、硫化物、および他の有毒不純物を除去するための蒸気の浄化により、浄化蒸気を直接大気へ放出することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術の方法の制限および欠点を克服する、高純度の蒸気を生成する新規の方法および装置の開発の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、第1の態様では、不純物の除去による蒸気供給物よりも高い純度を有する浄化された蒸気を形成するために、作動温度および作動圧力で少なくとも1つの実質的にガス不透過性のイオン交換膜を通して蒸気供給物を通過させるステップを含み、蒸気供給物が、その作動温度および作動圧力で飽和される、蒸気を浄化する方法が提供される。
【0010】
第1の態様の一実施形態では、浄化された蒸気は大気より低い圧力である。
【0011】
第1の態様の一実施形態では、供給蒸気は外部プロセスで生成される。
【0012】
第1の態様の一実施形態では、供給蒸気は商業プロセスまたは工業プロセスからの廃棄副産物である。
【0013】
第1の態様の一実施形態では、イオン交換膜は、スルホン酸、カルボン酸、フェノール、およびそれらの塩からなる群から選択された官能基を含んでいる。
【0014】
第1の態様の一実施形態では、イオン交換膜は、少なくとも300の当量を有するポリマーを含んでいる。
【0015】
第1の態様の一実施形態では、イオン交換膜は、少なくとも1000の当量を有するポリマーを含んでいる。
【0016】
第1の態様の一実施形態では、イオン交換膜は、少なくとも2000の当量を有するポリマーを含んでいる。
【0017】
第1の態様の一実施形態では、イオン交換膜は、無機酸化物に含浸される。
【0018】
第1の態様の一実施形態では、イオン交換膜は、フッ素含有ポリマーを含んでいる。
【0019】
第1の態様の一実施形態では、イオン交換膜は、酸性基、またはその塩を含むペルフルオロエチレンおよびペルフルオロビニルの共重合体である。
【0020】
第1の態様の一実施形態では、酸性基は、スルホン酸およびカルボン酸からなる群から選択される。
【0021】
第1の態様の一実施形態では、塩は、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩からなる群から選択される。
【0022】
第1の態様の一実施形態では、膜は、スルホン酸基またはそのカリウム塩を含むペルフルオロエチレンおよびペルフルオロビニルの共重合体を含んでいる。
【0023】
第1の態様の一実施形態では、膜は、カルボン酸基またはそのカリウム塩を含むペルフルオロエチレンおよびペルフルオロビニルの共重合体を含んでいる。
【0024】
第1の態様の一実施形態では、膜は、標準的な雰囲気および圧力で10−3cm/cm−s未満のガス漏出速度を有する。
【0025】
第1の態様の一実施形態では、膜は、標準的な雰囲気および圧力で10−6cm/cm−s未満のガス漏出速度を有する。
【0026】
第1の態様の一実施形態では、膜は、少なくとも100:1の水蒸気透過率対不純物ガス透過率の割合を有する。
【0027】
第1の態様の一実施形態では、膜は、少なくとも1000:1の水蒸気透過率対不純物ガス透過率の割合を有する。
【0028】
第1の態様の一実施形態では、膜は、少なくとも10000:1の水蒸気透過率対不純物ガス透過率の割合を有する。
【0029】
第1の態様の一実施形態では、膜は、少なくとも1000000:1の水蒸気透過率対不純物ガス透過率の割合を有する。
【0030】
第1の態様の一実施形態では、通過ステップは、少なくとも1つの膜の第1の表面を蒸気供給物と接触させるステップと、浄化した蒸気を膜の反対の第2の表面から流すことを可能にするステップとを含んでいる。
【0031】
第1の態様の一実施形態では、この方法はさらに、第1の表面を膜を実質的に通過しない蒸気供給物のパージ流に接触させるステップを含んでいる。
【0032】
第1の態様の一実施形態では、蒸気供給物のパージ流は、蒸気供給物の一部である。
【0033】
第1の態様の一実施形態では、この方法はさらに、パージ流の速度を制御するステップを含んでいる。
【0034】
第1の態様の一実施形態では、この方法はさらに、パージ流の速度を制御することによって少なくとも1つの膜を通過する蒸気の流量を最大限にするステップを含んでいる。
【0035】
第1の態様の一実施形態では、パージ流の速度は、膜の下流側に位置決めされたバルブによって制御される。
【0036】
第1の態様の一実施形態では、パージ流の速度は、膜の上流側に位置決めされたバルブによって制御される。
【0037】
第1の態様の一実施形態では、パージ流の速度は、膜の上流側に位置決めされたバルブによって制御され、バルブは上流側圧力を放出することによって上流側圧力を制御する。
【0038】
第1の態様の一実施形態では、パージ流は連続して維持される。
【0039】
第1の態様の一実施形態では、パージ流は断続的に維持される。
【0040】
第1の態様の一実施形態では、この方法はさらに、膜の厚さにわたって一定の蒸気圧力差を維持するステップを含んでいる。
【0041】
第1の態様の一実施形態では、蒸気圧力差は、上流側バルブにより蒸気供給物の圧力を制御することによって維持される。
【0042】
第1の態様の一実施形態では、蒸気圧力差は、上流側温度を変えることによって蒸気供給物の圧力を制御することによって維持される。
【0043】
第1の態様の一実施形態では、蒸気供給物の流量は、膜の下流側に位置決めされたバルブによって制御される。
【0044】
第1の態様の一実施形態では、多孔質支持体は、膜の第2の表面に接触する。
【0045】
第1の態様の一実施形態では、膜は互いに対して実質的に平行に位置決めされた膜のアレイを含んでいる。
【0046】
第1の態様の一実施形態では、膜のアレイは管のアレイを含んでいる。
【0047】
第1の態様の一実施形態では、膜のアレイは平面シートのアレイを含んでいる。
【0048】
第1の態様の一実施形態では、各膜は、約0.5ミクロンから約2000ミクロンの厚さを有する。
【0049】
第1の態様の一実施形態では、各膜は、約0.5ミクロンから約200ミクロンの厚さを有する。
【0050】
第1の態様の一実施形態では、各膜は、約0.5ミクロンから約100ミクロンの厚さを有する。
【0051】
第1の態様の一実施形態では、各膜は、約0.5ミクロンから約50ミクロンの厚さを有する。
【0052】
第1の態様の一実施形態では、蒸気供給物は、蒸気供給物の合計重量に対して約80%から約99重量%の純度を有する。
【0053】
第1の態様の一実施形態では、蒸気供給物は、蒸気供給物の合計重量に対して約85%から約99重量%の純度を有する。
【0054】
第1の態様の一実施形態では、蒸気供給物は、蒸気供給物の合計重量に対して約95%から約99.9重量%の純度を有する。
【0055】
第1の態様の一実施形態では、浄化蒸気は、少なくとも約90重量%の純度を有する。
【0056】
第1の態様の一実施形態では、浄化蒸気は、少なくとも約99重量%の純度を有する。
【0057】
第1の態様の一実施形態では、浄化蒸気は、少なくとも約99.9重量%の純度を有する。
【0058】
第1の態様の一実施形態では、浄化蒸気は、少なくとも約99.99重量%の純度を有する。
【0059】
第1の態様の一実施形態では、浄化蒸気は、少なくとも約99.999重量%の純度を有する。
【0060】
第1の態様の一実施形態では、浄化蒸気は、少なくとも約99.9999重量%の純度を有する。
【0061】
第1の態様の一実施形態では、1ppm以下への前記蒸気供給物の不純物含有量の減少が達成される。
【0062】
第1の態様の一実施形態では、1ppb以下への前記蒸気供給物の不純物含有量の減少が達成される。
【0063】
第1の態様の一実施形態では、100ppt以下への前記蒸気供給物の不純物含有量の減少が達成される。
【0064】
第1の態様の一実施形態では、1ppt以下への前記蒸気供給物の不純物含有量の減少が達成される。
【0065】
第1の態様の一実施形態では、不純物は金属種を含んでいる。
【0066】
第1の態様の一実施形態では、不純物は、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、および硫酸塩からなる群から選択した少なくとも1つの種を含んでいる。
【0067】
第1の態様の一実施形態では、不純物は有機種を含んでいる。
【0068】
第1の態様の一実施形態では、不純物は、アンモニア、尿素、および窒素を含む種からなる群から選択した少なくとも1つの種を含んでいる。
【0069】
第1の態様の一実施形態では、不純物は気体である。
【0070】
第1の態様の一実施形態では、不純物は、窒素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、メタン、エタン、炭化水素、硫化水素、SO、およびNOからなる群から選択した少なくとも1つの種を含んでいる。
【0071】
第1の態様の一実施形態では、不純物はプロトン性極性種を含んでいる。
【0072】
第1の態様の一実施形態では、不純物はアルカリ性種を含んでいる。
【0073】
第1の態様の一実施形態では、不純物は粒子状種を含んでいる。
【0074】
第1の態様の一実施形態では、不純物は生体活性物質を含んでいる。
【0075】
第1の態様の一実施形態では、不純物は、カビ、カビ胞子、プリオン、ウィルス、アレルゲン、タンパク質、および細菌からなる群から選択された少なくとも1つの材料を含んでいる。
【0076】
第1の態様の一実施形態では、供給蒸気は大気より低い圧力である。
【0077】
第1の態様の一実施形態では、蒸気供給物は、約10℃から300℃の温度で膜を通過する。
【0078】
第1の態様の一実施形態では、蒸気供給物は、約10℃から100℃の温度で膜を通過する。
【0079】
第1の態様の一実施形態では、蒸気供給物は、約80℃から300℃の温度で膜を通過する。
【0080】
第1の態様の一実施形態では、蒸気供給物は、約100℃から300℃の温度で膜を通過する。
【0081】
第1の態様の一実施形態では、蒸気供給物は、約150℃から300℃の温度で膜を通過する。
【0082】
第1の態様の一実施形態では、蒸気供給物は、約100℃から160℃の温度で膜を通過する。
【0083】
第1の態様の一実施形態では、蒸気供給物は、約100℃から150℃の温度で膜を通過する。
【0084】
第1の態様の一実施形態では、この方法はさらに、アルコール、有機酸、ケトン、ヒドロキシル含有化合物、および硫黄含有化合物からなる群から選択した少なくとも1つの種を予め濾過するステップを含んでいる。
【0085】
第1の態様の一実施形態では、この方法は、半導体表面上で酸化物を成長させるためのものである。
【0086】
第1の態様の一実施形態では、この方法は、半導体ウェーハからフォトレジストを除去するためのものである。
【0087】
第1の態様の一実施形態では、この方法は、半導体ウェーハから不純物を除去する際に使用するためのものである。
【0088】
第1の態様の実施形態では、この方法は、石油の回収のために使用される噴射蒸気から不純物を除去する際に使用するためのものである。
【0089】
第1の態様の一実施形態では、この方法は、環境内に放出する、または大気に通気を案内する前に排出した蒸気から不純物を取り除く際に使用するためのものである。
【0090】
第1の態様の一実施形態では、この方法は、薬剤使用のためにきれいな蒸気を生成する際に使用するためのものである。
【0091】
第1の態様の一実施形態では、この方法は、薬剤使用のために超純水を生成するためのものである。
【0092】
第2の態様では、蒸気供給物源と、少なくとも1つの実質的にガス不透過性のイオン交換膜の1つの表面に蒸気供給物源を案内する第1の通路と、実質的にガス不透過性の膜の反対の表面から離れるように浄化した蒸気を案内する第2の通路とを備えた、蒸気浄化システムが提供される。
【0093】
第2の態様の一実施形態では、蒸気供給物源は、ヒータに取り付けられた容器内に入れられた水を含んでいる。
【0094】
第2の態様の一実施形態では、システムはさらに、膜を通過しない第1の表面と接触する蒸気供給物のパージ流を含んでいる。
【0095】
第2の態様の実施形態では、システムは、蒸気供給物のパージ流を膜から離れるように案内する第3の通路をさらに備えている。
【0096】
第2の態様の一実施形態では、システムはさらに、パージ流の流量を制御するために、第3の通路に取り付けられているバルブまたはオリフィスを備えている。
【0097】
第2の態様の一実施形態では、システムはさらに、浄化した蒸気の流量を制御するために、第2の通路に取り付けられているバルブを備えている。
【0098】
第2の態様の一実施形態では、システムはさらに、蒸気供給物の流量を制御するために、第1の通路に取り付けられているバルブを備えている。
【0099】
第2の態様の一実施形態では、システムはさらに、膜の第2の表面に接触する多孔質支持体を備えている。
【0100】
第2の態様の一実施形態では、システムはさらに、水をシステム内に維持するバルブおよび水位制御スイッチを備えている。
【0101】
第2の態様の一実施形態では、システムはさらに、システム内の水位を監視するように蒸気供給物に対する平行脚部を備えている。
【0102】
第2の態様の一実施形態では、システムはさらに、膜にまたがる正しい圧力差を維持するように、ヒータ、圧力トランスデューサ、およびコントローラを備えている。
【0103】
第2の態様の一実施形態では、システムはさらに、第1の通路、第2の通路、および第3の通路の少なくとも1つを大気より低い圧力に接続させる通路を備えている。
【0104】
第2の態様の一実施形態では、システムはさらに、有機アルコール、アルデヒド、有機酸、他の有機分子、および硫黄含有化合物からなる群から選択した少なくとも1つの種を除去する前置フィルタを備えている。
【0105】
第2の態様の一実施形態では、システムはさらに、イオン分子を除去する前置フィルタを備えている。
【0106】
第2の態様の一実施形態では、システムはさらに、生体物質を除去する前置フィルタを備えている。
【0107】
第2の態様の一実施形態では、システムはさらに、無機物を除去する前置フィルタを備えている。
【0108】
第3の態様では、ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の第1の表面を蒸気供給物に接触させるステップと、ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の反対の第2の表面から浄化蒸気を収集するステップと、浄化蒸気の量が蒸気供給物の量より少ないように、蒸気供給物の少なくとも一部で第1の表面をパージするステップとを含む、蒸気を浄化する方法が提供される。
【0109】
第3の態様の一実施形態では、蒸気供給物は少なくとも90%の純度を有する。
【0110】
第3の態様の一実施形態では、蒸気供給物は少なくとも99%の純度を有する。
【0111】
第3の態様の一実施形態では、ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、10℃から300℃までの温度で操作される。
【0112】
第3の態様の一実施形態では、ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、10℃から100℃までの温度で操作される。
【0113】
第3の態様の一実施形態では、ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、80℃から300℃までの温度で操作される。
【0114】
第3の態様の一実施形態では、ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、100℃から300℃までの温度で操作される。
【0115】
第3の態様の一実施形態では、ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、100℃から150℃までの温度で操作される。
【0116】
第3の態様の一実施形態では、ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、0.5ミクロンから2000ミクロンの厚さを有する。
【0117】
第3の態様の一実施形態では、ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の第2の表面は多孔質構造によって支持され、ある量の浄化蒸気が集められその後多孔質構造を通して運ばれる。
【0118】
第3の態様の一実施形態では、多孔質構造は、ポリマー、セラミック、および金属からなる群から選択されている。
【0119】
第3の態様の一実施形態では、多孔質構造は、ポリテトラフルオロエチレン、石英、および316Lステンレス鋼からなる群から選択されている。
【0120】
第4の態様では、ペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の第1の表面を蒸気供給物と接触させるステップと、ペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の反対の第2の表面から浄化した蒸気を収集するステップと、浄化した蒸気の量が蒸気供給物の量より少ないように、第1の表面を蒸気供給物の少なくとも一部で浄化するステップとを含む、蒸気を浄化する方法が提供される。
【0121】
第4の態様の一実施形態では、蒸気供給物の量は、少なくとも90%の純度を有する。
【0122】
第4の態様の一実施形態では、蒸気供給物の量は、少なくとも99%の純度を有する。
【0123】
第4の態様の一実施形態では、ペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、操作中に10℃から300℃の温度に曝される。
【0124】
第4の態様の一実施形態では、ペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、操作中に10℃から100℃の温度に曝される。
【0125】
第4の態様の一実施形態では、ペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、操作中に80℃から300℃の温度に曝される。
【0126】
第4の態様の一実施形態では、ペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、操作中に100℃から300℃の温度に曝される。
【0127】
第4の態様の一実施形態では、ペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、操作中に100℃から150℃の温度に曝される。
【0128】
第4の態様の一実施形態では、ペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、0.5ミクロンから2000ミクロンの厚さを有する。
【0129】
第4の態様の一実施形態では、ペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の第2の表面は多孔質構造によって支持され、ある量の浄化蒸気が集められその後多孔質構造を通して運ばれる。
【0130】
第5の態様では、第1の圧力でペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の第1の表面を蒸気に接触させるステップと、第2の圧力でペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の反対の第2の表面から蒸気を集めるステップと、第1の圧力および第2の圧力を測定するステップと、第1の圧力および第2の圧力の測定により蒸気質量の流量を決定するステップとを含む、蒸気の流量を測定する方法が提供される。
【0131】
第5の態様の一実施形態では、第1の圧力および第2の圧力は大気より低い圧力である。
【0132】
第6の態様では、第1の圧力でペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の第1の表面を蒸気に接触させるステップと、第2の圧力でペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の反対の第2の表面から蒸気を集めるステップと、第1の圧力および第2の圧力を測定するステップと、第1の圧力と第2の圧力の間の差を決定するステップと、その差から蒸気質量の流量を決定するステップと、蒸気質量の流量が所定の値と一致するまでその差を変えるステップとを含む、蒸気の流量を制御する方法が提供される。
【0133】
第6の態様の一実施形態では、第1の圧力および第2の圧力は大気より低い圧力である。
【0134】
第7の態様では、第1の圧力でペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の第1の表面を蒸気に接触させるステップと、第2の圧力でペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の反対の第2の表面から蒸気を集めるステップと、第1の圧力および第2の圧力を測定するステップと、第1の圧力および第2の圧力の測定により蒸気質量の流量を決定するステップとを含む、蒸気の流量を測定する方法が提供される。
【0135】
第7の態様の一実施形態では、第1の圧力および第2の圧力は大気より低い圧力である。
【0136】
第8の態様では、第1の圧力でペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の第1の表面を蒸気に接触させるステップと、第2の圧力でペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の反対の第2の表面から蒸気を集めるステップと、第1の圧力および第2の圧力を測定するステップと、第1の圧力と第2の圧力の間の差を決定するステップと、その差から蒸気質量の流量を決定するステップと、蒸気質量の流量が所定の値と一致するまでその差を変えるステップとを含む、蒸気の流量を制御する方法が提供される。
【0137】
第8の態様の一実施形態では、第1の圧力および第2の圧力は大気より低い圧力である。
【0138】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、いくつかの好ましい実施形態を図示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0139】
以下の説明および例は、本発明の好ましい実施形態を詳細に示す。当業者は、その範囲に含まれる本発明のいくつかの変更形態および変形形態があることが分かるだろう。したがって、好ましい実施形態の説明は、本発明の範囲を制限するとみなすべきではない。
【0140】
浄化蒸気
蒸気供給物よりも高純度の浄化蒸気を形成するために、少なくとも1つの実質的にガス不透過性のイオン交換膜を通して、蒸気供給物を通過させるステップを含む、蒸気を浄化する方法が提供される。
【0141】
本明細書で使用される「蒸気」という用語は広義語であり、当業者にその通常および慣習的な意味が与えられるものである(特別なまたは特定の意味に限定されるものではなく)。これに限るものではないが、飽和水蒸気を含むガス混合物のことをいう。本明細書で使用される「蒸気供給物(steam feed)」という用語は広義語であり、当業者にその通常および慣習的な意味が与えられるものである(特別なまたは特定の意味に限定されるものではなく)。これに限るものではないが、少なくとも1つの不純物、例えば、あらゆる固体、液体、または、水蒸気以外のガス、を有する蒸気のことをいう。例示的な不純物としては、これに限らないが、エアロゾル、粒子、および水蒸気以外のガス(例えば、水素、窒素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、炭化水素、および他の揮発性有機化合物)、カビ、カビ胞子、ウィルス、プリオン、高分子、細菌、金属、およびイオン材料を含む生物材料が挙げられる。当業者は、不純物の量は相対的であってもよく、許容不純物レベルが蒸気に対する最終的な用途によって決定できることは簡単に分かる。一実施形態では、蒸気供給物は、約10、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、または950ppbより大きい量、または約110、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、または950ppmより大きい量、またはさらに蒸気の合計重量に対して約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10重量%より大きい量などの、ガス混合物(例えば、1つの特定の不純物、または合計不純物のいずれかに対して)の約1ppbより大きい量の1つまたは複数の不純物を含んでいる。
【0142】
別の実施形態では、蒸気供給物は、蒸気供給物の合計重量に対して約81、82、83、84、85、86、87、88、または89重量%から約99重量%以上までの含水量、またはさらに約90、91、92、93、94、95、96、97、または98重量%から約99重量%以上までの含水量を含む、蒸気供給物の合計重量に対して約80重量%以下から約99重量%以上の純度(すなわち、割合含水量)を有する。
【0143】
本明細書で使用する「浄化蒸気」という用語は、広義語であり、当業者にその通常および慣習的な意味が与えられるものである(特別なまたは特定の意味に限定されるものではなく)。これに限るものではないが、蒸気供給物よりも高純度(すなわち、割合含水量)を有する蒸気のことをいう。浄化蒸気は、濃縮または飽和を防ぐように過熱することができる。一実施形態では、浄化蒸気は、少なくとも約91、92、93、94、95、96、97、98、または99重量%の純度、または少なくとも約99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、または99.9重量%の純度、または少なくとも約99.91、99.92、99.93、99.94、99.95、99.96、99.97、99.98、または99.99重量%の純度、または少なくとも約99.991、99.992、99.993、99.994、99.995、99.996、99.997、99.998、または99.999重量%の純度、または少なくとも約99.9991、99.9992、99.9993、99.9994、99.9995、99.9996、99.9997、99.9998、または99.9999重量%の純度などの、蒸気の合計重量に対して約90重量%以上の純度を有する。
【0144】
別の実施形態では、浄化蒸気は、少なくとも約99.99999重量%(100ppb)の純度(すなわち、割合含水量)、少なくとも99.999999重量%(10ppb)の純度、少なくとも99.9999999重量%(1ppb)の純度、または少なくとも99.99999999重量%(1ppt)の純度を有する。
【0145】
蒸気を浄化するのに好適な形態の方法および装置を利用することが一般に好ましいが、例えばアンモニアおよびアルコールが浄化するのに用いられてもよい。また、ガスを除湿または加湿するために、またはエノール化によるアルコールへの変換により供給蒸気からアルデヒドまたはケトンを除去するために、方法および装置を利用することができる。
【0146】
分離膜
一実施形態では、蒸気供給物は、実質的にガス不透過性のイオン交換膜にその供給物を通すことによって浄化される。本明細書で使用される「実質的にガス不透過性の膜」という用語は、広義語であり、当業者にその通常および慣習的な意味が与えられるものである(特別なまたは特定の意味に限定されるものではなく)。これに限るものではないが、水蒸気に対して透過性であるが、他のガス(これに限らないが水素、窒素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、炭化水素(例えば、メタン、エタン)、揮発性酸および塩基、耐火性化合物、および他の揮発性有機化合物など)に対して比較的不透過性である膜のことをいう。ガス不透過性は、特定なガス種に対する膜の「漏出速度」によって決定することができる。本明細書で使用される「漏出速度」という用語は、広義語であり、当業者にその通常および慣習的な意味が与えられるものであり(特別なまたは特定の意味に限定されるものではなく)、これに限るものではないが、単位時間毎に膜表面を透過する特定のガスの量のことをいう。例えば、実質的にガス不透過性の膜は、標準大気および圧力(すなわち、海水位での条件)において約10−3cm/cm/秒未満の漏出速度などの、水蒸気以外のガスの低い漏出速度を有する。別の方法では、「実質的にガス不透過性の」膜は、他のガスの透過性と比べた水蒸気の比によって特定することができる。実質的にガス不透過性の膜は、少なくとも約20,000:1、30,000:1、40,000:1、50,000:1、60,000:1、70,000:1、80,000:1、90,000:1の比、または少なくとも約100,000:1、200,000:1、300,000:1、400,000:1、500,000:1、600,000:1、700,000:1、800,000:1、900,000:1の比、またはさらに少なくとも約1,000,000:1の比などの、少なくとも約10,000:1の比だけ他のガスより水蒸気に対してより透過性が大きいことが好ましい。しかし、他の実施形態では、例えば1.5:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、50:1、100:1、500:1、1,000:1、または5,000:1以上の1:1より大きい他の比も許容される。
【0147】
本明細書で使用される「イオン交換膜」という用語は、広義語であり、当業者にその通常および慣習的な意味が与えられるものである(特別なまたは特定の意味に限定されるものではなく)。これに限るものではないが、膜と外部物質の間でイオン結合するまたはイオン交換することができる化学基を含む膜のことをいう。このような化学基としては、これに限らないが、スルホン酸、カルボン酸、リン酸、リン酸、砒素基、セレン酸基、フェノール、およびそれらの塩が挙げられる。化学基は、陽イオンまたはプロトンが外部源、例えば溶液またはガスから他の陽イオンと交換可能である、塩の形または酸の形であってもよい。イオン交換膜は、酸の形で提供し、アルカリ金属塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸水素カリウム水素化リチウム、またはアルカリ土類金属塩基、例えば水酸化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、または炭酸マグネシウムなどの塩基で膜を前処理することによって塩の形に変換することができる。
【0148】
一実施形態では、イオン交換膜は、ポリマー含有交換可能イオンなどの樹脂である。イオン交換膜は、フッ素含有ポリマー、例えばポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオライドプロピレンヘキサフルオライド共重合体(FEP)、エチレンテトラフルオライドペルフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンテトラフルオライドエチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド、ビニリデンフルオライドトリフルオリネートエチレンクロライド共重合体、ビニリデンフルオライドプロピレンヘキサフルオライド共重合体、ビニリデンフルオライドプロピレンヘキサフルオライドエチレンテトラフルオライド三元重合体、エチレンテトラフルオライドプロピレンゴム、およびフッ化熱可塑性エラストマーであることが好ましい。別の方法では、樹脂は、隣接した膜材料を提供するために、ポリマーの合成物または混合物、またはポリマーおよび他の成分の混合物を含んでいる。特定の実施形態では、膜材料は2つ以上の層を含むことができる。異なる層は、同じまたは異なる特性、例えば、化学組成、気孔率、透過性、厚さなどを有することができる。特定の実施形態では、層、例えば濾過膜に支持を与える、またはいくつかの他の望ましい特性を有する膜を利用することも望ましい可能性がある。
【0149】
イオン交換膜は、エチレンと酸性基またはその塩を含むビニルモノマーとの共重体を含むペルフルオロ化アイオノマーであることが好ましい。例示的なペルフルオロ化アイオノマーとしては、これに限らないが、ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体(「PFSA−TFE共重合体」)およびペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体(「PFCA−TFE共重合体」)が挙げられる。これらの膜は、NAFION(登録商標)(E.I.du Pont de Nemours&Company)、FLEMION(登録商標)(Asahi Glass Company,Ltd)、およびACIPLEX(登録商標)(Asahi Chemical Industry Company)の商用名で市販されている。
【0150】
【化1】

加水分解したスルホン酸の形のPFSA−TFE共重合体
【0151】
PFSA−TEF共重合体は、ペルフルオロスルホン酸(ペルフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサ−7−オクテン−1−スルホン酸))基が付けられる、テトラフルオロエチレン(TFE)「バックボーン」を含んでいる。6つのTFEバックボーン単位毎に1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのペルフルオロスルホン酸基がある可能性がある。あらゆる適切な分子量ポリマーを利用することができるが、この分類のポリマーは通常は当量(EW)によって分類される。当量は、官能基のモル毎のポリマー材料のグラムとして定義されている。約500EW以下から約2000EW以上の当量が利用されることが好ましい。当量はまた、約600、700、800、または900EWから約1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、または1900EWであってもよい。当量はさらに、約910、920、930、940、950、960、970、980、または990EWから約1000、1010、1020、1030、1040、1050、1060、1070、1080、または1090EWであってもよい。単一の共重合体を利用することができる、または2つ以上の異なる共重合体の組合せ(例えば、化学組成、分子量、または他の特性が異なる)を利用することができる。単一のピーク分子量を有する共重合体が通常は好ましいが、特定の実施形態では、異なる分子量を有する様々な量のポリマー鎖で、二面性または多面性分子量分布を備えたポリマーを利用することが好ましい可能性がある。共重合体は、あらゆる構成、例えば、ブロック、テーパ状、ランダム、直線状、分岐状、および/または架橋状であってもよい。
【0152】
【化2】

加水分解したカルボン酸の形のPFCA−TFE共重合体の化学構造
【0153】
PFCA−TFE共重合体は、ペルフルオロカルボン酸(ペルフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサ−7−オクテン−1−カルボン酸))基が付けられる、テトラフルオロエチレン(TFE)「バックボーン」を含んでいる。PFSA−TFE共重合体およびPFCA−TFE共重合体は、アルカリ金属塩基(例えば、上に記載したような)などの適切な塩基での前処理によって塩の形に変えることができる。イオン交換膜のこのような前処理プロセスは、当技術分野でよく知られており、例えば製造者の勧めに従って行うことができる。蒸気供給物の性質(例えば、不純物、不純レベル)および得られる所望の浄化蒸気によって、前処理条件を調節して、最適な膜を作り出すことができる。例えば、塩基、使用する溶剤、温度、露出時間、濯ぎ条件、イオン交換範囲(例えば、10%以下から90%以上まで)の選択を調節することができる。また、親水性剤で架橋する、またはポリマーを親水性成分で同時鋳造することによって、得られる膜の親水性を調節することが望ましい可能性がある。このような実施形態では、ポリマーは既に、架橋可能な基を含んでいる、または架橋可能な基を含むように官能基化される。表面化学性を変えることなく、他の形の前処理(例えば、ポリマーの表面形態を変える(気孔率を粗くする、増減する等)ための薬剤との反応などを利用することもできる。
【0154】
別の実施形態では、ポリマーは無機酸化物に含浸させることができる。これらの酸化物は、5〜50℃だけ、得られる膜の熱安定性を良くすることができる。さらに、これらの無機酸化物は、2〜40%だけ、水運搬率性を大きくすることができる。通常の無機酸化物としては例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、および酸化マンガンが挙げられる。
【0155】
膜は、実質的にガス不透過性であるペルフルオロアイオノマーであることが好ましい。図1は、選択したガス分子に対するNAFION(登録商標)膜の相対透過率を示すチャート(参照;E.I.du Pont de Nemours&Company)である。チャートは、COおよびCOなどの他のガスに対する水蒸気の相対透過率を示している。チャートはまた、水蒸気の透過率がCOまたはCOの透過率より3桁超大きく、酸素または窒素の透過率より実質的に6桁大きいことを示している。
【0156】
図1に示すチャートが示すように、水蒸気の通過を可能にしながら、水素拡散をNAFION(登録商標)膜を通して効果的に抑えることができる。実質的にガス不透過性の膜は、実質的に孔がないことが好ましい。実質的にガス不透過性の膜は、気体、および粒子、エアロゾル、ウィルス、細菌、プリオン、金属、イオン、および他の空中分子不純物などの他の材料の拡散を抑えることができる。
【0157】
ペルフルオロアイオノマー膜厚さは、約0.5ミクロンから約2000ミクロンであることが好ましい。漏出速度は、長い期間にわたって独立した静的システム内の圧力を監視することによって測定することができる。好ましい実施形態の膜の上で行われた測定で、窒素に対する10−9cm/cm/秒の範囲の漏出速度が分かった。
【0158】
超純蒸気を調整する際、蒸気供給物が膜を通される。本明細書で使用する「蒸気供給物を膜に通す」という用語は、広義語であり、当業者にその通常および慣習的な意味が与えられるものである(特別なまたは特定の意味に限定されるものではなく)。これに限るものではないが、水分子が膜を通過するように膜の第1の側を蒸気供給物に接触させて、膜の反対側で浄化した蒸気を得ることをいう。第1および第2の側は、膜がシートである場合に、実質的に平らな反対の平面領域の形を有することができる。膜は、また、管状もしくは円筒状であってもよく、これらにおいては、1つの表面が管の内側部分を形成し、反対の表面がその内側表面の上にある。当業者は、第1の表面および反対の第2の表面が膜材料の大部分を挟む限り、膜があらゆる形をとりうることが簡単に分かる。処理条件、供給蒸気の性質、生成される蒸気の量、および他の要因によって、膜の特性を調節することができる。特性としては、これに限らないが、物理的形(例えば、厚さ、表面積、形状、シートの形における長さおよび幅、ファイバの形の場合の直径)、構成((1つまたは複数の)平らなシート、(1つまたは複数の)螺旋状またはロール状シート、(1つまたは複数の)折畳みまたは捲縮シート、(1つまたは複数の)ファイバアレイ)、製造方法(例えば、溶液からの押出鋳造)、支持層の有無、活性層(例えば、特定の寸法の粒子を吸着するための多孔質前置フィルタ、化学反応または結合により不純物を除去するための反応性前置フィルタ)の有無などが挙げられる。膜は、約0.5ミクロン以下の厚さから2000ミクロン以上の厚さ、好ましくは約1、5、10、25、50、100、200、300、400、または500ミクロンから約600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、または1900ミクロンであることが通常は好ましい。より薄い膜が利用される場合、膜に機械的な支持を与える(例えば、支持膜、スクリーンまたは網目、または他の支持構造物を利用することによって)ことが望ましいが、より厚い膜を支持体なしで利用することができる。膜の表面積は、生成される浄化蒸気の量に基づいて選択することができる。通常、760トールの圧力および108℃のボイラ温度を有する環境に10.0g/分または12.4リットル/分の蒸気を与えるために、少なくとも280cmの表面積を有する好ましい実施形態の膜を利用することが望ましい。しかし、膜の化学的性質に基づき、より高いまたは低い表面積が望ましい可能性がある。上に挙げた条件における膜のボイラ供給側と透過側の間の圧力差は、少なくとも240トールに維持されることが最も好ましい。より高い圧力差は、より高い浄化蒸気流量を生じさせることができる。例えば、440トールで維持された圧力差は、280cmの膜表面積が使用される場合に30リットル/分の流量の浄化蒸気を生じさせることができる。圧力の制御は有利には、浄化蒸気運搬速度を調節するのに利用することができる。
【0159】
別の実施形態では、浄化蒸気は大気より低い圧力で運ぶことができる。これは、原子層成長法(ALD)を含むいくつかの応用例で非常に望ましい。大気より低い圧力は、下流側の真空ポンプ、例えば、透過側に一次ポンプとボイラ側に二次ポンプ(図2)とを設けることによって達成することができる。圧力条件は、ボイラ温度および/または下流側蒸気通気を調整することによって管理することができる。圧力差条件により、大気より低い圧力での浄化蒸気運搬速度の正確な制御が可能になる。浄化蒸気は、大気圧力で、またはそれより低く維持されたボイラ圧力で、10から760トールの圧力で運ぶことができる。好ましい実施形態の方法の特徴の1つは、圧力差と浄化蒸気運搬速度との関係が、独立のボイラに依存したままであることであり、透過側は、大気圧より低い状態で漸近の最大値まで上昇し、そこでは、ボイラ圧または温度が上昇しても透過速度はもはや上昇しない(図3)。さらに、大気より低い圧力により、低い温度での動作が可能になる。このような条件で、10℃以下に近づく温度を利用することができる。
【0160】
ファイバ型の膜は、通常、好ましいオーバーシート型であり、これは、ファイバが利用される場合に固定量でより広い露出膜面積を提供できることによる。膜は中空ファイバを含んでおり、これらファイバはヘッダ内で各端部に固定されていることが好ましい。ファイバは通常、浄化蒸気の除去を可能にするように下端部が密封され、上端部が開いているが、いくつかの配置では、ファイバは一方または両方の端部からの浄化蒸気の除去を可能にするように両端部で開いていてもよい。別の方法では、蒸気供給物は膜ファイバの内部に与えることができ、浄化蒸気はファイバの外部を囲む空間から除去することができる。
【0161】
濾過装置
膜は、モジュールまたは他の適切な濾過装置内に固定されていることが好ましい。膜がファイバの形である場合、円筒形のアレイまたは束に配置されていることが好ましいが、例えば、四角形、六角形、三角形、不規則形などの他の構成も利用することができる。膜モジュールは、それぞれのヘッダの間に長手方向に延び、各端部がそれぞれのヘッダに取り付けられている複数の中空膜ファイバを含んでいることが好ましいが、例えば、両端部が単一のヘッダ内に固定されているループ状ファイバなどの他の構成も考えられる。ファイバは緊張していても緩んでいてもよく、密接に充填された構成であっても、離れていてもよい。通常、モジュール内のファイバは、約5%以下から約95%以上、好ましくは約6、7、8、9、または10%から約60、65、70、80、または90%、より好ましくは約11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20%から約21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、または55%の充填密度(上に規定したような)を有する。
【0162】
ファイバは、その間に1つまたは複数の空間を形成するようにいくつかの束に分割することができ、または単一の束を利用することができる。通常、ファイバ間である程度の度合いの間隔を維持して、蒸気供給物の循環を容易にすることが好ましい。ファイバの束はモジュール支持スクリーンによって保護することができる。別の方法では、ケーシングはファイバを含み、1つまたは複数のヘッダに支持を与えることができる。適当に間隔を置いて配置された支持要素は、ファイバに絞られないガス流を与えることができる。別の方法では、ファイバ束を結合するのにクリップまたはリングを利用することもできる。ヘッダおよびあらゆる支持体またはケーシングで利用される材料は、高い温度および圧力条件に耐え、蒸気供給物または浄化蒸気との反応またはその汚染に耐えることができるように選択される。1つまたは複数の膜モジュールはカセットまたは電池内に配置することができ、各カセットまたは電池は蒸気源、ポンプ、バルブ、および器具類を備えることができる。
【0163】
好ましい一実施形態では、蒸気供給物源と、蒸気供給物がこれを通して実質的にガス不透過性の膜(適切なモジュールまたは他の濾過装置内の膜)の第1の側に運ばれる通路と、実質的にガス不透過性の膜の反対側表面からの浄化蒸気がそれによって除去される第2の通路とを備えた、蒸気を浄化するシステムが提供される。蒸気供給物源はこれに限らないが、ボイラ、反応炉、加圧保持タンク、または蒸気発生工業プロセスによる蒸気を含むことができる。第1および第2の通路は、好ましくは、そこを通して通過する蒸気にかなりの不純物を加えず、蒸気の高温特徴に耐えることができる、蒸気(第1の通路の場合)または超純水(第2の通路の場合)に対して非反応性である、または最小反応性である材料から製造されたパイプまたは他の導管を備えていることが好ましい。通路を製造するのに使用する好ましい材料としては、耐腐食性合金、非反応性高分子材料、ガラスまたは石英裏打ち管などが挙げられる。膜は、上に論じるように、モジュールの構成をしていることが好ましい。浄化蒸気はこれを利用するプロセスまたは装置に直接案内することができる、あるいは、上に論じるように貯蔵タンクに案内することができる。
【0164】
水が蒸気を作り出すのに十分な温度に加熱される、容器が提供されることが好ましい。適切な温度としては、約50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、または210℃などの、約20℃以下から約300℃以上、または約40℃から約220℃の温度が挙げられる。適切な温度としてはまた、約80℃から約200℃、約100℃から約180℃、約100℃から約170℃、約100℃から約160℃、または約100℃から約250℃の温度が挙げられる。適切な温度としてはさらに、約105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃、140℃、145℃、150℃、および155℃が挙げられる。適切な温度は、容器内の圧力に基づき選択することができる。
【0165】
蒸気に適切な温度としては、1atmより大きい、好ましくは、約1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、または9.5atmから最大約10atm以上の圧力で、約90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、または200℃などの、約80℃以下から約200℃以上の温度が挙げられる。
【0166】
大気より低い浄化蒸気運搬では、圧力差と浄化蒸気運搬速度の間の関係の一貫性が非常に有利である。この実施形態では、蒸気に適切な温度は、約20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、または130℃などの、約10℃以下から約130℃以上である。ボイラ側に適切な圧力は、10〜1400トールであり、透過側に適切な圧力は0.001〜760トールである。
【0167】
構成の観点から、蒸気発生装置への水の連続供給を保証するために、二重ベッドシステムを利用することができる。このようなシステムは、操作中に、一方のユニットがオンラインであり、もう一方がオフラインであるように、またはその逆であるように、切換バルブで利用することができる。別の方法では、個別のユニットをオフライン(例えば、保守のため、または少ない蒸気需要の間)にする、オンラインに(例えば、大きい蒸気需要の間に)する、または大きいまたは小さい蒸気出力速度で個別に操作することができるように、2つ以上の濾過ユニットの郡を適当なバルブおよび配管と平行に利用することができる。また、蒸気発生装置に対して一定の水供給を保証するために、システム内で脱イオン化水自動再充填システムを利用することが望ましい。脱イオン化水システムは、多数のフィルタベッドを利用することができ、圧力降下、または透過発生速度の低下の際に、ベッドを自動的に切り換えるまたは交換することが可能である。フィルタベッドは、自動または手動のいずれかで、機械的に除去するまたは切り換えることができる。フィルタベッド内の圧力降下がイオン汚染による場合、吸収剤の表面を再生するのに、酸性蒸気を利用することができる。他の形の汚染では、汚染物を除去するのに高圧水を使用することができる。
【0168】
蒸気発生装置
図4および図5は、蒸気を運ぶ蒸気発生装置を示している。この発生装置は、水を貯蔵するタンクと、供給蒸気を生成する熱源を備えたボイラアセンブリと、ボイラ内の蒸気圧力を監視する圧力トランスデューサと、システムから水を空にする排水バルブと、ボイラ内の過圧状態を防ぐ圧力逃がしバルブと、ボイラ内で正しい水位を維持する水位制御スイッチとを含むことができる。システムは手動で制御することができるが、好ましい方法は、自動充填バルブで水位を制御し、ヒータを消したりつけたりすることによって圧力を制御する自動制御システムを利用することである。さらに、システム全体を加熱して、蒸気および浄化蒸気の濃縮を防ぐことができる。蒸気発生装置は、耐腐食性材料、例えば、ステンレス鋼、石英、サファイア、またはペルフルオロアルコキシポリマー樹脂(PFA)から作ることができる。熱源は、今日通常に使用される赤外線ヒータまたは抵抗ヒータであってもよい。
【0169】
水位制御は、機械浮遊スイッチ、または光学スイッチ(水に接触する、または非接触のいずれかである)を使用することができる。蒸気の濃縮性質により、(例えば、OMRONから入手可能な)外部に取り付けられる非接触センサが好ましい。雑音を制限するため、平行脚部は、正しい水位上での沸騰の影響を弱めるように延びることができる。
【0170】
圧力は、ゲージで、または好ましくは、例えばMKS(マサチューセッツ)、HoneywellまたはMSIを含む多くの供給者によって製造されるような圧力トランスデューサで測定することができる。
【0171】
圧力の監視、外部ユーザ要件、およびバルブおよびヒータの制御は、OMRON、Allen−Bradley(ウィスコンシン州、Milwaukee)によって作られたプログラム可能論理コントローラ、または他の供給者による他の適切なシステムのいずれかを使用する電子制御装置によって達成されることが好ましい。別の方法では、PC104ベースシステムなどのパーソナルコンピュータと同様に、マイクロプロセッサに基づくカスタム設計システムを使用することができる。
【0172】
図5は、ヘッド空間を通気させる配分制御バルブを備えた代替構成を示している。別の方法では、ボイラ内の圧力を制御するのに浄化装置の出口を使用することができる。この通気バルブは、大気モードで作動する場合に大気に対して開いており、大気より低いモードで作動する場合に絞りで真空に接続されている。
【0173】
通常はボイラ内で蒸気を発生されることが好ましいが、蒸気供給物源はまた、あらゆる商業または工業プロセスからの廃棄蒸気を含むことができる。別の実施形態では、蒸気は、冷却、化学反応または洗浄などの工業プロセスによって発生した熱によるものなどのあらゆる外部プロセスから発生させることができる。
【0174】
特定の実施形態では、浄化蒸気を後の使用のために集めて貯蔵する、または浄化蒸気を特定の応用例のために蒸気を使用するシステムの装置に再び案内することが望ましい。別の方法では、蒸気は貯蔵または直ぐの使用のいずれかのために、浄化水に変換することができる、または浄化蒸気を発生させるために再加熱することができる。蒸気を貯蔵するのに適したタンク、例えば、使用の準備ができた状態で蒸気を維持する温度制御を有する加圧タンクを提供することが望ましい。別の方法では、システムは、コンデンサまたは熱交換器、および濃縮蒸気を貯蔵する液体水貯蔵タンク、または蒸気を再生する加熱システムを備えることができる。
【0175】
濾過効率の維持
いくつかの実施形態では、膜の乾燥が、不純物ガスと接触する領域内で高温(80℃以上)で起こり、膜を通る水蒸気流を妨げる可能性がある。例えば、PFSA−TFE共重合体膜の場合、膜を通る浸透は膜の含水量に依存ことがある。膜の一部が乾燥ガス、例えば水をほとんどまたは全く含んでいない不純物ガスによって遮られると、膜の含水量が少なくなり、それによってその後、水透過速度が小さくなる可能性がある。膜の乾燥、または不純物による膜の閉塞を最小限に抑えるために、膜にパージ流を与えることが望ましい。パージ流は蓄積された不純物を流し、膜内の水分レベルを維持することができる。膜へのパージ流の量は、蒸気供給物内の揮発性(または、非濃縮)不純物のタイプおよびレベルと、膜が曝される供給蒸気の量の生成される浄化蒸気の量に対する比によって調節することができる。パージ流量は、入力流量の約1%以下から約50%以上、好ましくは約5、10、15、または20%から約25、30、35、40、または45%であることが好ましい。パージ流量はまた、システム幾何形状に基づき調節することができる。膜モジュールが高い膜表面積、少量の蒸気供給物、およびより大きなパージ流量を有する特定の実施形態では、容量内でのガス不純物などの不純物のあらゆる蓄積を防ぐのに、より高いパージ流が必要である可能性がある。連続的、断続的、または周期的なパージを行うことができる。パージオンおよびパージオフ時間が等しい長さであり、合計サイクル時間(パージオンおよびパージオフの期間)が約1秒以下から約1時間以上、好ましくは、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、または120秒から約130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、または300秒、または約6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、または60分以上である周期的パージを行うことが特に好ましい。好ましい速度または変化する速度で、パージ速度が非連続的方法で、むしろ次第に変化しない、正弦、三角形、または他のタイプのサイクルと同様に、規則的または不規則的サイクル(パージオンおよびパージオフ時間が変わる)を利用することができる。異なるサイクルパラメータを、適切なように組み合わせて変えることができる。特定の実施形態では、膜を通る蒸気の流量が監視され、流量が予め選択した値より低くなると、パージサイクルが開始する。別の方法では、予め選択したパージサイクルが実施される。連続パージを凌ぐ非連続パージの利点としては、省エネルギーおよびより大きな効率が挙げられる。あらゆる適切なパージガスを利用することができるが、通常は蒸気供給物の一部を利用することが好ましい。別の方法では、過剰な浄化蒸気が生成されると、この過剰な蒸気は膜の蒸気供給物側に再循環させることができる。
【0176】
水以外のガスは、環境が完全に飽和されるかどうかにかかわらず、膜全体にわたって水蒸気の流れを制限することができる。このようなガスとしては、これに限らないが、上に論じたガス、粒子状物質、および他の材料が挙げられる。膜にまたがる水蒸気の拡散の許容速度を維持するために、膜の表面は、膜/ガス境界層での非水蒸気ガスの蓄積を防ぐために、上に記載したように連続的にまたは頻繁にパージすることができる。ガス不純物の作動温度、駆動圧力、または濃度が高ければ高いほど、境界層清潔度を維持するのに利用されるパージ速度がより頻繁におよび/またはより高くなる。膜にまたがる流れの速度が高くなれば高くなるほど、溶解ガスが膜の境界層で蓄積する可能性がより高くなる。
【0177】
初期の開始状態では、ヘッド空間は、膜にまたがる水蒸気の濾過の開始を防いだり抑制したりしないようにガス不純物が除去されるまたは少なくなることを保証するように、パージまたは排出が行われることが好ましい。膜が加熱され、より低い圧力が膜の濾過側に加えられると、膜の正味乾燥が起こり、膜障害につながる可能性がある。流れが開始すると、膜パージは、プロセス条件によって上に論じたように連続的にまたは断続的に行われることが好ましい。特定の条件では、例えば、超高純水への浸漬する、あるいは、好ましくは完全飽和を保証する高圧および/または温度で、水または水蒸気に膜を曝すことによって、膜を予め調整することが望ましい可能性がある。
【0178】
超高純度蒸気の生成の最適な速度では、膜システムは飽和水蒸気環境で操作され、膜の境界層は、膜を通る水蒸気拡散を遮断するまたは少なくする可能性がある不純物を除去するようにパージされることが好ましい。
【0179】
好ましい実施形態の方法およびシステムで利用される特定の膜は、ヒドロキシル含有化合物、例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、および高級アルコール、およびアルデヒドまたは有機酸などの他の極性化合物に対して浸透可能である。前置フィルタを利用して、ヒドロキシル含有および他の不純物を除去するまたは少なくすることができる。適切な前置フィルタとしては例えば、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、塩基性アルミナ、塩基性炭素、イオン交換材料、ゼオライト、多孔質粘土鉱物、および分子ふるいが挙げられる。このような前置フィルタはまた、高レベルの生体、イオン、または無機物質を除去するのに使用することができる。高レベルのイオン不純物は通常、水道水中に見られる。このような不純物は、イオン樹脂フィルタベッドを急速に消耗させる可能性があり、好ましい実施形態のフィルタを急速に詰まらせる可能性がある。したがって、イオンまたは再生可能フィルタベッドを利用して、不純物を少なくすることができる。例えば、不純物を少なくするオゾン処理、「HEPAタイプ」フィルタ、イオン化帯電媒体タイプフィルタ、化学吸着などの、供給蒸気または供給蒸気源内の不純物の量を少なくする他の方法を利用することもできる。適切な不純物減少方法および装置は、処理する水の形(例えば、液体または蒸気)に基づき選択することができる。
【0180】
膜はまた、HClまたはHFなどの表面上に酸性蒸気を流すことによって再生することができる。特定の実施形態では、他の酸、例えばHBR、有機酸、液体の形の酸などを利用することが望ましい可能性がある。酸は濃縮されていてもよいし、または希釈した形でもよい。好ましくは、約1、2、3、4、または5重量%以下の酸から約95重量%以上、より好ましくは、約10、15、または20重量%から約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、または90重量%の酸の溶液を利用することができる。別の方法では、アルコール洗浄を利用することができる。アルコールへの露出により、好ましい実施形態の膜が膨張される。好ましい実施形態の膜は、熱いイソプロピルアルコール(IPA)を通して流すことによって洗浄し、その後、蒸気で流すことができる。酸またはアルコール処理が行われた後に、液体超純水内で膜をすすぐ、または膜を超純蒸気に曝して、あらゆる残留酸を除去することが望ましい。
【0181】
特定の実施形態では、膜内の漏出を検出する方法が提供される。膜の上流側および下流側の圧力トランスデューサが、漏出を示す膜の下流側の急激な圧力上昇に対して監視される、圧力検査が行われることが好ましい。漏出が特定されると、濾過アセンブリをオフラインにし、交換または修理のいずれかを行うことができる。
【0182】
動作方法
図6は、蒸気を浄化するシステムの一実施形態の略図である。システム400は、蒸気供給物の供給源を作るヒータ404と、実質的にガス不透過性の膜424を格納する浄化装置416と、を備えている。システム400の動作においては、蒸気の供給源を提供するために、脱イオン化水などの水が容器402内に加えられる。水は、バルブ408を介して容器402内に案内することができ、このバルブは、入力配管406を通る入力水の流れを制御することができる。任意選択で、排水配管410が、時間とともに不揮発性不純物が蓄積するのを防ぐように、容器402内に入れられた流体の少しを排水する目的で、容器402に結合されてもよい。バルブ412は、排水配管410を通して廃棄される流体の量を制御するために、排水配管410に取り付けることができる。
【0183】
沸騰容器402内で生成された蒸気供給物は、例えば配管414を通して浄化装置416まで、合計流Fで進む。膜424は、例えば管の部分断面略図として示されている。しかし、当業者は、膜424は平らなシートとして存在してもよいことが分かるだろう。あるいは、膜424は管のアレイ、例えば2つのヘッダ間に結合された平行管の郡、または平面シートのアレイ、例えばフィルタプレスと同様に気密フレーム内に保持された平面シートの郡として存在することができる。アレイは、極めて高い純度または大規模応用例に対して大きな膜表面積を効果的に提供することができる。
【0184】
図6では、容量418を介して浄化装置416に入る蒸気供給物が示されており、その合計入力流Fの一部は、膜424を通過して容量422内に入り、浄化蒸気を形成する。浄化蒸気は、例えば配管428を介して、浄化流Fとして装置416の量422から出ることができる。装置416内に入った蒸気供給物内の不純物は膜424によって、例えば図7に示すように成分特定膜の分離率に従って、拒絶される。配管428を通して流れる浄化蒸気は、使用点まで制御バルブ432によって制御される流れでシステムから出ることができる。
【0185】
システム400はまた、容量418から入力流Fの部分F(「パージ流」ともいう)を運ぶ配管426を提供する。パージ流Fは、容量418に曝された膜424の表面と接触し、膜を通過しない。膜を通過しないあらゆる水蒸気は、浄化蒸気を形成し、したがって、パージ流F中の蒸気の量は入力流F中の蒸気の量より少ない。
【0186】
流れFは、膜の全体の領域にわたる蒸気透過を助けるのに有用である可能性がある。流れFは、入力流Fと接触する膜424の面に沿って、またはさらに膜のバルク内で蓄積する可能性がある揮発性の不純物(例えば、窒素、酸素、蒸気炭化水素、および他のガス)を洗い流すことができる。拡散速度が速ければ速いほど、膜の表面の不純物の蓄積はより迅速になる。蓄積した不純物は膜へのアクセスを妨げ、膜424を通る水蒸気の流れを遅くする可能性があるので、流れFの使用は、水蒸気流に対して利用可能である膜424の表面積を最大化するのに役立つ。流れFは、例えば配管426に取り付けられたバルブ430によって制御された速度でシステム400から放出されてもよい。別の方法では、システム400から流れFを放出する代わりに、再使用のために、流れFからの水蒸気を濃縮するコンデンサ434に案内することによって蒸気供給物源として再使用することができる。濃縮不可能な不純物はコンデンサ434から放出され(図示せず)、液体水が配管436を介してボイラ402に戻されてもよい。
【0187】
一実施形態では、所望の開口直径を露出するバルブ430を開くことによって、Fがシステム400から連続的に放出されてもよい。別の一実施形態では、例えば所望の時間間隔でバルブ430を開閉することによって、Fを断続的にシステム400から放出することができる。制御バルブ430は、以下に記載するように、手動で、または制御システム(図示せず)によって動作することができる。
【0188】
ある状況では、Fを低い又はゼロの流量まで減らすことにより、膜424を通る水蒸気流を停止または実質的に少なくすることができる。ある程度の水蒸気の流れが拡散によって起こることがあるが、通常の透過速度に比べると、遅くなりうる。さらに、Fが低すぎる場合、ボイラ内で生じる換気または濃縮不可能ガスから容量422からの逆拡散により、蒸気供給物が汚染しうる危険がある。したがって、Fを適切な流量に維持することが通常は好ましいが、特定の実施形態では、低いまたはゼロの流量が許容される、またはさらには好ましい可能性がある。
【0189】
蒸気流を容易にするために、予め選択された、膜にまたがる圧力差を維持することが通常は好ましい。図6を参照すると、パージ流Fは配管426を介して制御バルブ430に案内される。バルブ430は、容器402、および浄化装置416の容量418内の圧力を制御するのを助けることができる。制御バルブ430は、当業者によく知られている方法で、手動で、または制御システム(図示せず)によって操作することができる。様々な変数、例えば沸騰容器402圧力、容量422内の圧力、圧力使用点、および/または沸騰温度など、を監視する制御システムが使用されてもよく、これにより、又は、水への熱を加えることまたは減ずることにより、圧力差が維持される。制御システムは、膜にまたがる所望の圧力差を得るために最適な圧力および流量を算出することが可能であるコンピュータオペレーティングソフトウェアに関連付けられていてもよい。
【0190】
他の実施形態では、圧力差は、熱流を制御すること、または蒸気を上流側に放出することによる温度および/または圧力を備えた容器402内の圧力、および/または蒸気供給物流Fおよび/またはパージ流Fを制御することによって維持することができる。
【0191】
システム400内の容器および配管は、蒸気および水の汚染、および蒸気および水による腐食に対して耐性がある材料で構成することができる。例えば、沸騰容器402は、電子研磨ステンレス鋼、石英、ガラス裏打ちスチール、またはPVDF(ポリビニリデンジフルオライド)、KYNAR(登録商標)、フルオリネートエチレンプロピレン(FEP)TEFLON(登録商標)、ペルフルオロアルコキシポリマー樹脂(PFA)TEFLON(登録商標)、テトラフルオロエチレン(TFE)Teflon(登録商標)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ(エチレンクロロトリフルオロエチレン)(ECTFE)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)(PCTEF)、およびTEFZEL(登録商標)改質ETFE((エチレンテトラフルオロエチレン)フルオロポリマー)などのフルオロカーボンポリマー材料で作ることができる。材料の選択は、利用する温度、圧力、および保守スケジュールによって決定することができる。配管およびバルブは、製品の純度を維持するのに有用である可能性がある上記ポリマー材料、または金属または合金などの他の適切な材料から作ることができる。蒸気浄化装置416は、上記ポリマー材料で構成することができる、またはあらゆる湿潤領域が不活性または比較的非反応材料に曝されるような材料で構成されていることが好ましい。配管414、428および装置416は、蒸気の濃縮を防ぐように絶縁および/または外部加熱(図示せず)する、または絶縁または外部加熱なしで利用することができる。
【0192】
蒸気を浄化するシステムは、大気より低いか大気であるかどうかによって、大気システムに対して約10℃から約1300℃、または約100℃から約300℃などの、約10℃以下から約300℃以上の温度で作動することが好ましい。一実施形態では、温度は、膜厚さおよび/または使用機械支持などの要因によって、約110℃から約160℃までであってもよい。特定の実施形態の温度は、本明細書に記載する要因によって、約250℃から約300℃の高さであってもよい。
【0193】
例えば、PFSA−TFE共重合体膜では、100℃から300℃の温度を、1.0から85大気絶対圧力の圧力で飽和蒸気の濾過に使用することができる。PFSA−TFE共重合体膜厚さは、0.5ミクロンから0.062インチ(1600ミクロン)の間であってもよい。膜がミクロンおよびサブミクロン範囲の厚さを有する一実施形態では、膜は通常、ピンホールがなく、漏出する可能性がある裂けおよび歪みを防ぐように支持されている。膜の好ましい厚さは、幾何形状(例えば、平らなシート対中空ファイバ)、表面積、圧力降下、飽和蒸気温度、熱膨張速度、寿命、所望の純蒸気生成速度などの様々な要因に左右される可能性がある。
【0194】
別の実施形態では、膜の拡散特徴に基づく、浄化蒸気の流量の制御および測定方法が提供される。当業者によく知られているように、高純度蒸気の正確な測定および制御は極めて難しい可能性がある。従来の質量流コントローラは、移動するガスへの熱伝達に頼っており、蒸気が飽和状態に近い場合などに、大きな誤差を生じる傾向がありうる。さらに、熱質量流コントローラは、蒸気圧ガスが低い場合または高温の場合効果が低く、オリフィスおよびベンチュリ測定装置はまた、測定装置内での圧力変化中に濃縮が起こる場合、誤差を生じる可能性もある。これらの装置はまた、圧力トランスデューサの精度および小さなオリフィスでの粒子蓄積、に対して敏感である。
【0195】
一実施形態では、PFSA−TFEまたはPFCA−TFE共重合体の膜を通る蒸気の運搬速度は、膜にまたがる圧力降下の関数として測定される。本明細書で論じるように、膜を通る蒸気の質量運搬速度は、膜にまたがる圧力降下にほぼ比例している。例えば直線、対数、および放物線などの較正曲線を、様々な運搬特性に対して生成することができる。膜は、線型関係を有する運搬速度を開始する(図8)。しかし、上流圧力が上昇するにつれて、流れに対する関係は対数となり、最終漸近値に到達する。バルブまたは他の圧力絞り装置により膜の両側の圧力を変えることによって、高純度蒸気流のコントローラが構成されうる。当業者は、圧力差を備えた較正流曲線を生成するように、膜の質量運搬速度による多数の流れデザインを設計することができる。
【0196】
図7は、別の実施形態による、蒸気の浄化のためのシステム500の略図である。蒸気浄化システム504の外側のいずれかまたは全ての要素の操作および説明は、上記図6の議論から当てはめることができる。
システム500は、PFSA−TFE共重合体膜などの、実質的にガス不透過性の膜508を含む浄化装置504を備えている。膜508は、装置504の内部総量を2つの気密容量506、510に分割する。この実施形態では、供給物が、膜508の外側表面に接触される。一方、図6に図示の前の実施形態は、膜424の内側表面と蒸気供給物との接触を示す。膜は、管のアレイ、例えば2つのヘッダ間に結合された平行管の郡、または平面シートのアレイ、例えばフィルタプレスと同様に気密フレーム内に保持された平面シートの郡、それらの組合せ、のいずれかとして、共に直列または並列で存在することができることが当業者には分かるだろう。容器402からの不純蒸気は、容量510内に案内され、ここで合計流Fの一部Fが膜508を通過して容量506内に入り、流れFとして浄化された状態で配管428を介して装置504から出る。蒸気と共に装置504に入る不純物は、例えば図1に示すように、成分特定膜分離要素により膜によって拒絶される。パージ流Fは、バルブ430を制御して容量510から出る。図7のパージ流Fの大きさは、図6のものと異なる可能性がある。というのは、容量418は容量510と大きく異なる可能性があるからである。
【0197】
好ましくは、高純度の蒸気を得るための膜浄化プロセスは、過剰パージ、脱気、および多数の濃縮および再沸騰サイクルから選択したプロセスの少なくとも1つを行うことなく、酸素および窒素などの不活性ガスを除去できる能力を有していてもよい。別の実施形態では、膜浄化プロセスは、望ましくない有機材料または生体材料を拒絶しながら、浄化蒸気内へのエアロゾル運搬を防ぐことが可能である。
【0198】
図9は、特定の実施形態による、図6の細部420または図7の細部502の拡大図を示している。膜608は、不純な蒸気混合物を含む領域602を、浄化蒸気を含む領域604から、分離する。膜608にまたがる水蒸気流を容易にするために、領域602内の蒸気供給物の圧力は領域604内の浄化蒸気の圧力より高い。特に、領域602内の蒸気供給物の圧力は、領域604内の浄化蒸気の圧力より大きい。一実施形態では、水分運搬速度は、通常、水が蒸気供給物および浄化蒸気の主な成分であるという事実により、膜608にまたがる合計圧力降下(圧力差)に関連する。
【0199】
多孔質膜支持体606が、構造的および/または機械的な完全性を膜に追加するために、領域604に曝された膜608の表面に接触して、位置決めされていてもよい。一実施形態では、支持体の気孔率は、膜の干渉および操作を最小限に抑えるようになっており、このような気孔率は当業者によって判断することができる。支持された膜により、より高温で、またはより薄い寸法での使用が可能になる。支持体606は、多孔質ポリマー、セラミック、または金属で作ることができる。支持体606の例示的な材料としては、これに限らないが、TEFLON(登録商標)TFE、多孔質石英、または316Lステンレス鋼が挙げられる。圧力および温度に耐え、浄化蒸気を汚染することなく最小圧力降下を生じさせることができるあらゆる他の適切な材料を使用することもできる。別の方法では、膜608は十分厚くされてもよく、または、変形に耐える幾何形状(例えば小径配管)に製造されてもよい。小径配管は、当業者によく知られているように、浄化蒸気の適当なスループットに十分な表面積を与えるように、平行なアレイで配置することができる。
【0200】
多孔質膜支持体606は、利用される場合、水蒸気の流れに与える制限が最小であることが好ましい(または、膜の動作に対して最小の干渉)。その全体の目的は、圧力差での膜608の崩壊を防ぐことなどによって、膜の構造的完全性を大きくすることである。より高い水分運搬速度が、膜の構造的剛性が最も弱いより高温で、またより高い圧力差で見られるので、膜支持体606は有用である可能性がある。さらに、より薄い膜608を通る運搬は、膜の剛性がさらに失われるより高い速度で起こる。
【0201】
浄化のレベル
好ましい実施形態の装置および方法は、様々な要件を備えた多くの潜在的応用例を有する。これらは、数百ppm(百万分の一)レベルの純度の蒸気を必要とするにすぎない従来の工業プロセス(例えば、原材料プロセス)から、低ppmまたは高ppb(十億分の一)の純度の蒸気を必要とする薬剤応用例まで、を含んでいる。極端な場合では、いくつかの半導体応用例は、ppt(一兆分の一)レベル純度の蒸気を必要とする。このより低い極限では、金属除去は最も重要な問題である。上に記載した方法およびシステムは、要件の範囲全体に合うような設計であってもよい。しかし、下に記載する例およびデータは主に、最も厳しい要件に合うように設計した。データの代表的な要約を、図10に示す。
【実施例1】
【0202】
蒸気からの金属の除去
図11の装置は、PFSA−TFE共重合体管状膜によって浄化された蒸気の生成速度および純度、を測定するために構成した。ボイラ802は、石英で構成し、石英放射ヒータ804によって加熱した。脱イオン化水900を容器802内で沸騰させ、蒸気供給物を生成した。トランスデューサ806を利用して、蒸気供給物の圧力を制御および監視した。蒸気供給物はNafion(登録商標)管808の内側に運ばれ、この管は、0.012インチ(0.3048mm)の壁面厚さを有する0.110インチ(2.794mm)ODであった。管808は、40インチ(1.016m)の長さであった。Nafion(登録商標)膜管808の両端部は、減少T字810、816の孔で終端した。膜管808は、1/4インチ(6.35mm)のTefzel(登録商標)外側管814に囲まれ、この管814も、Tefzel(登録商標)T字810、816それぞれで終端した。蒸気供給物は、Nafion(登録商標)管808の内部から、管808の外径と外側管814の内径の間の環状領域への、壁面を通した運搬によって浄化した。T字816から出る浄化蒸気は、コンデンサ818内で濃縮し、容器822内で浄化水904として収集した。蒸気供給物の連続的なパージは、制御バルブ824経由でコンデンサ828内へ流れることを可能にした。制御バルブ824の調節はまた、Nafion(登録商標)管808内のシステム沸騰圧力および背圧の制御を行った。また、バルブ824の完全な閉塞により、コンデンサ818内への浄化蒸気が減少し、最終的に終了につながることが証明された。不純蒸気の濃縮試料902を、さらなる分析のために、容器830内に収集した。
【0203】
表1は、前述の例の、浄化蒸気904、底部(ボトム)900、および膜902に対する蒸気供給物の化学分析を示している。分析は、ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析法)によって行い、濃度をppb(十億分の一)で報告する。
【0204】
【表1】

【0205】
「底部」または源水900は、検査した34の元素のほぼ全てのかなりの濃度を示している。この実施例で使用される蒸気供給物は、検出限界より上の3つの元素、0.26ppbのホウ素、1.1ppbのカリウム、および3.0ppbのナトリウムを示している。浄化蒸気904分析は、カリウムおよびナトリウムの明らかな減少を示した。また、酸素、CO、および窒素などの溶解したガスはまた、不純蒸気から除去されていることが予測される。これは、膜を通過することによってシステムから出ることができない不活性ガスの蓄積によると思われることにより、パージ流が停止した場合に、蒸気透過速度がゼロまで低下することの観察により間接的に確認される。
【実施例2】
【0206】
圧力差と透過速度の線型関係
実施例1を参照すると、図8は図11の装置に関する、上流圧力と浄化蒸気流量とのチャートである。上流圧力は、不純蒸気の絶対圧力であり、ボイラ802内の圧力に実質的に等しい。膜管808にまたがる圧力差は、この圧力から、外側管814の内側の圧力(この例の条件ではコンデンサ818内の冷却水の温度での水蒸気圧)を引いたものに実質的に等しい。コンデンサ818内の冷却水の温度は25℃であり、約23トールの絶対圧力の圧力を提供した。23トールを図8の上流圧力から引くことによって、Nafion(登録商標)膜管にまたがる圧力差を算出することができる。この計算により、膜にまたがる圧力差と浄化蒸気流量の間のほぼ直線関係が示される。200トールの圧力降下では、蒸気流量は約1g/分または0.036g/分−cmで測定した。約950トールの圧力差では、蒸気流量は約0.113g/分−cmまで上昇した。このデータによって、NAFION(登録商標)PFSA−TFE共重合体膜が、100℃を超えるの温度で効果的に使用することができる(950トールでの飽和蒸気は、約106℃の温度である)ことが確認される。
【実施例3】
【0207】
パージヘッド空間および透過速度間の関係
実施例1を参照すると、図12は、図11の装置に対する、バルブ824を開いた状態に応じた、時間に対する浄化蒸気の流量を示すチャートである。このチャートは、パージ速度Fの、浄化蒸気の透過速度Fへの影響を示している。チャートは、約20分から約260分の期間にわたって、図11の装置内のバルブ824の流れ抵抗が1つの閉位置から複数の開位置に変わった場合の検査の結果を示している。データ点1102では、時間=20分であり、バルブ824が閉じ、浄化蒸気は生成されない。データ点1104では、時間=40分であり、バルブ824は2回開き、浄化蒸気生成速度は2.1g/分となる。データ点1106では、時間=110分であり、バルブ824はさらに2回加えられて4回開き、蒸気生成速度は2.4g/分まで大きくなる。データ点1108では、時間=120分であり、バルブ824はさらに2回加えられて6回開き、蒸気生成速度は2.5g/分まで大きくなる。データ点1110では、時間=140分であり、データ点1112では時間=155分であり、バルブ部824は閉じて2回開き、2.5g/分の蒸気生成速度には変化はない。このデータは、最大浄化蒸気生成速度を作り出すための最小パージ速度が存在することを示している。この最小速度を超えて、浄化蒸気の速度のさらなる上昇は観察されなかった。
【0208】
データ点1114〜1118(時間=200分より大きい)では、バルブ824は完全に閉じている。チャートから分かるように、蒸気生成速度は、50分の期間にわたって最大の2.5g/分からゼロまで低下する。これらの結果は、表面近くの揮発性不純物の濃度が大きくなるにつれて、膜へのアクセスが遮られる仮定を裏付ける。したがって、蒸気の対流運搬が制限される。
【実施例4】
【0209】
尿素除去
実施例1で上に記載したように、図11の装置は、尿素を入れ、PFSA−TFE共重合体管状膜によって浄化した蒸気の生成速度および純度を測定するために構成した。不純蒸気の濃縮試料を分析のために収集した。初期のDI水900は、2200ppbの尿素および1468pptのアンモニウムを入れた。浄化蒸気は、2.6ppbの尿素および116pptを含むことが分かった。結果は、表2に示されている。
【0210】
【表2】

【実施例5】
【0211】
大気より低い透過速度
大気より低い圧力での、浄化蒸気の運搬流量を検査するために、実験を行った。蒸気浄化装置アセンブリ(SPA)は、3/8インチ(9.525mm)OD×5/16インチ(7.94mm)IDのTeflon(登録商標)管の1つの5R管腔からなっている。管腔は、10.45インチ(0.265m)の長さであり、0.75インチ(18.8mm)長さのナイロンスリーブと嵌合させた。膜の露出長さは8.95インチ(0.227m)であった。両方のスリーブ付端部は、3/8インチ(9.525mm)PTFEロッド内に供給され、その中心を穿孔した。ロッドは両方とも、3/8インチ(9.525mm)Plasmatech T字および3/8インチ(9.525mm)Plasmatechユニオンで3/8インチ(9.525mm)Teflon管の端部に取り付けた。T字の分岐部は、透過物出口であった。SPAユニットを絶縁した。図2は、この実験で使用されるマニホールドの略図である。加湿器は、検査全体を通して水平位置にあった。Rasirc Intaeger蒸気発生器を使用して、SPAに蒸気を与えた。IntaegerとSPAの間の配管を絶縁した。MKS 621C13TBFHC圧力トランスデューサは、圧力を監視するためにSPAの透過物出口に配置された。透過物および濃縮物は、コンデンサに送られて、水を液体状態に変換し戻した。コンデンサを冷却する冷却装置は、5℃に設定した。Varian 949−9411ダイアフラム真空ポンプを使用して、システムの濃縮および透過側の両方に760トール未満の圧力を作り出した。バルブ7を使用して、透過側の圧力を制御した。バラストを使用して、水を集め、圧力を安定化させた。収集管は、測定のために水を補足するように、透過物コンデンサの下流側にあった。窒素を使用して、水を出すために収集管を加圧した。窒素は、Aeronex 500KF I−シリーズ浄化装置で浄化し、収集管内の圧力はVeriflow圧力調節装置で5ポンド/平方インチ(psig)に維持した。水の量は、My Weigh i1200スケールで測った。
【0212】
試料の収集では、以下の方法を行った。
システム上に真空引きするポンプの通路を提供するために、バルブ1および4を使用した。試料の収集を開始するために、バルブ1を閉じ、バルブ2を開いた。これにより、通路は、収集管内に水を流すことが可能となる。水が設定期間収集されると、バルブ2およびバルブ4は閉じて収集管を分離し、バルブ1が開いた。バルブ3が開いて、収集管を加圧した。加圧されると、バルブ5が開いて水がブレーカ内に移った。収集管が空になると、バルブ3が閉じ、続いてバルブ5が閉じた。バルブ4はその後、ゆっくり開いて、透過側の圧力の不安定性が小さくなった。
【0213】
初期検査は、760トール未満のボイラ圧力で行った。このステップ中の所望の透過側圧力は、40および100トールであった。結果(図3)は、これらの圧力両方での流量と圧力差の対数関係を示している。
【0214】
その後の検査では、ボイラ圧力が上昇し、透過側の圧力が約200トールに維持された。膜を通る蒸気の透過のより完全なモデルを開発するために、範囲を大きくした。前に観察したように、流量と圧力差の対数関係が示されている(図3)。
【0215】
全体の結果は、個別のボイラおよび透過側圧力とは関係なく、流量と圧力差の関係が維持されていることを示している。このデータからの線型回帰は、0.6407*Ln(x)−2.0452(R=0.9679)である。
【0216】
図3は、NAFION(登録商標)PFSA−TFE共重合体膜に対する大気より低い透過速度を示している。この検査は、約35トールで保持された下流圧力で大気より低い圧力で行われた。ボイラ圧力は、約40トールから1000トール超まで上げた。収集した透過物は、0から2.5グラム/分の範囲であった。関係は最初は直線であり、最大値、すなわち2.5グラム/分に向かって移動する対数となった。
【実施例6】
【0217】
膜漏出速度
PFSA−TFEイオン交換膜のガス不透過性を調べるために実験を行った。図13は、実験準備の図である。窒素が、バルブ1によってシステムに加えられた。窒素はその後、100K Aeronex不活性ガス浄化装置を使用して浄化した。加水分解した膜内の圧力は、APtech圧力調節装置で制御した。バルブ2は圧力調節装置と100psi圧力ゲージを分離して、膜の内圧を監視することが可能になった。中空ファイバ膜が、両端部で、1/8インチ(3.175mm)Teflon(登録商標)スリーブに固定され、膜をシステムに取り付けるのにプラスマテック器具が使われてもよい。
【0218】
管腔内の圧力は、圧力調節装置を使用して、ゆっくりと30psigにされた。管腔は、漏出を検査するために水の下に置いた。Snoop(登録商標)を使用して、全ての接続に対する漏出を検査した。システム内に漏出がないことが明らかになると、加圧された管腔および圧力ゲージは、バルブ2を閉じることによってシステムの残りから隔離させた。管腔圧力をその後、監視した。この検査は、5R 3/8インチ(9.525mm)OD ×5/16インチ(7.94mm)ID(8.7インチ(0.221m)露出)の膜で行った。管腔は、64時間48分間圧力を加えておいた。
【0219】
8.7インチ(0.221m)の5R管腔は漏出速度、1.72E−09cm/cm/秒を有していた。その後の検査では、2つの6インチの5R管腔を横並びで検査した。管腔の重量は、0.337gおよび0.351gであった。スリーブと嵌合した後に、0.337gおよび0.351gの膜は、それぞれ4.1インチ(10.4cm)および4.2インチ(10.7cm)の露出長さを有していた。1.16E−09cm/cm/秒および2.418E−09cm/cm/秒の対応する漏出速度が観察された。この検査はいくらか基本的であるが、結果はPFTA−TFE膜の窒素ガス不透過性を示している。
【0220】
これに限らないが、公開および未公開出願、特許、および文献を含む、本明細書で引用した全ての参照物は、全体を本明細書に参照として援用し、ここに本明細書の一部をなす。援用した公開物および特許または特許出願が明細書に含まれる開示と矛盾する範囲においては、明細書はあらゆるこのような矛盾する材料に取って代わるおよび/または優先することを意図したものである。
【0221】
本明細書で使用される「備えた」という用語は、「含む」、「含んでいる」、または「特徴とする」という同義であり、包含的または開放型であり、追加の引用されていない要素または方法ステップを排除するものではない。
【0222】
明細書で使用される成分の量、反応条件などを示す全ての数は、「約」という用語によって全ての場合に変えられることを理解するものとする。したがって、そうでないと示されていない限り、本明細書に記載された数値的パラメータは、得ることを求める所望の特性によって変わる可能性がある概算である。最低限でも、本出願の対する優先権を請求するあらゆる出願のいずれかの特許請求の範囲に等しい原則の応用例に限定する意図ではなく、各数値的パラメータは有効数字の数、および通常の四捨五入の方法を鑑みて解釈すべきである。
【0223】
上の説明は、本発明のいくつかの方法および材料を開示している。本発明は、方法および材料の変更と、製造方法および機器の変更を行うことができる。このような変更は、本明細書に開示された発明の本開示または実施の検討材料から当業者には明らかであろう。したがって、本発明は本明細書で開示する特定の実施形態に限ることを意図するものではなく、本発明の真の範囲および精神内にある全ての変更形態および変形形態を含んでいることを意図したものである。
【図面の簡単な説明】
【0224】
【図1】選択したガス分子に対するNAFION(登録商標)膜の相対透過率を示すチャートである。
【図2】大気より低い蒸気運搬速度検査装置の略図である。
【図3】大気より低い状態での流量と圧力差の関係を示すグラフである。
【図4】蒸気運搬構成1の略図である。
【図5】蒸気運搬構成2の略図である。
【図6】蒸気を浄化するシステムの第1の実施形態の略図である。
【図7】蒸気を浄化するシステムの第2の実施形態の略図である。
【図8】図11の装置に対する上流側圧力対浄化した蒸気の流量のチャートである。
【図9】図6の細部の拡大図である。
【図10】いくつかの不純物の除去のための代表的な浄化した蒸気の検査データの表である。
【図11】PFSA−TFE共重合体管状膜によって浄化された蒸気の生成速度および純度を測定するように構成された装置の略図である。
【図12】図11の装置に対するバルブ開状態の関数としての浄化した蒸気の流量対時間のチャートである。
【図13】膜漏出検査に使用される検査装置の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物を除去することで蒸気供給物よりも高い純度を有する浄化蒸気を生成するために、蒸気供給物を、実質的にガス不透過性の少なくとも1つのイオン交換膜を通して所定の作動温度および圧力で通過させるステップを備える蒸気の浄化方法であって、
前記蒸気供給物が、前記作動温度および作動圧力で飽和される蒸気の浄化方法。
【請求項2】
前記浄化蒸気は、大気より低い圧力である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記供給蒸気は、外部プロセスで生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記供給蒸気は、商業プロセスまたは工業プロセスからの廃棄副産物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記イオン交換膜は、スルホン酸、カルボン酸、フェノール、およびそれらの塩からなる群から選択された官能基を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記イオン交換膜は、少なくとも300の当量を有するポリマーを含んでいる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記イオン交換膜は、少なくとも1000の当量を有するポリマーを含んでいる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記イオン交換膜は、少なくとも2000の当量を有するポリマーを含んでいる、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記イオン交換膜は、無機酸化物に含浸される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記イオン交換膜は、フッ素含有ポリマーを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記イオン交換膜は、酸性基、またはその塩を含むペルフルオロエチレンおよびペルフルオロビニルの共重合体である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記酸性基は、スルホン酸およびカルボン酸からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記塩は、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記膜は、スルホン酸基またはそのカリウム塩を含むペルフルオロエチレンおよびペルフルオロビニルの共重合体を含んでいる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記膜は、カルボン酸基またはそのカリウム塩を含むペルフルオロエチレンおよびペルフルオロビニルの共重合体を含んでいる、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記膜は、標準雰囲気および標準圧力で10−3cm/cm−s未満のガス漏出速度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記膜は、標準雰囲気および標準圧力で10−6cm/cm−s未満のガス漏出速度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記膜は、少なくとも100:1の水蒸気透過率対不純物ガス透過率の割合を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記膜は、少なくとも1000:1の水蒸気透過率対不純物ガス透過率の割合を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記膜は、少なくとも10000:1の水蒸気透過率対不純物ガス透過率の割合を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記膜は、少なくとも1000000:1の水蒸気透過率対不純物ガス透過率の割合を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記通過ステップは、
前記少なくとも1つの膜の第1の表面と前記蒸気供給物と接触させるステップと、
前記浄化蒸気を前記膜の反対の第2の表面から流すことを可能にするステップと、
を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
さらに、
前記第1の表面と、前記膜を実質的に通過しない蒸気供給物のパージ流とを接触させるステップを含んでいる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
蒸気供給物の前記パージ流が、前記蒸気供給物の一部である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
さらに、
前記パージ流の速度を制御するステップを含んでいる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
さらに、
前記パージ流の速度を制御することによって、前記少なくとも1つの膜を通過する蒸気の流量を最大限にするステップを含んでいる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記パージ流の速度が、膜の下流側に位置決めされたバルブによって制御される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記パージ流の速度が、膜の上流側に位置決めされたバルブによって制御される、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記パージ流の速度が、膜の上流側に位置決めされたバルブによって制御され、
該バルブは、前記上流側の圧力を放出することによって当該上流側圧力を制御する、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記パージ流は連続して維持される、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記パージ流は断続的に維持される、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
さらに、
前記膜の厚さにわたって一定の蒸気圧力差を維持するステップを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記蒸気圧力差は、上流側バルブにより前記蒸気供給物の圧力を制御することによって維持される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記蒸気圧力差は、上流側温度を変えることで前記蒸気供給物の圧力を制御することによって維持される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
蒸気供給物の流量は、前記膜の下流側に位置決めされたバルブによって制御される、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
多孔質支持体が、膜の前記第2の表面に接触する、請求項22に記載の方法。
【請求項37】
前記膜は、互いに実質的に平行に位置決めされた膜のアレイを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記膜のアレイは管のアレイを含んでいる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記膜のアレイは平面シートのアレイを含んでいる、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
各膜は、約0.5ミクロンから約2000ミクロンの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
各膜は、約0.5ミクロンから約200ミクロンの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
各膜は、約0.5ミクロンから約100ミクロンの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
各膜は、約0.5ミクロンから約50ミクロンの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
前記蒸気供給物は、蒸気供給物の合計重量に対して、約80%から約99重量%の純度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
前記蒸気供給物は、蒸気供給物の合計重量に対して、約85%から約99重量%の純度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記蒸気供給物は、蒸気供給物の合計重量に対して、約95%から約99.9重量%の純度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
浄化蒸気は、少なくとも約90重量%の純度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
浄化蒸気は、少なくとも約99重量%の純度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
浄化蒸気は、少なくとも約99.9重量%の純度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
浄化蒸気は、少なくとも約99.99重量%の純度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
浄化蒸気は、少なくとも約99.999重量%の純度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
浄化蒸気は、少なくとも約99.9999重量%の純度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項53】
前記蒸気供給物の不純物含有量の1ppm以下への減少が達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項54】
前記蒸気供給物の不純物含有量の1ppb以下への減少が達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項55】
前記蒸気供給物の不純物含有量の100ppt以下への減少が達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項56】
前記蒸気供給物の不純物含有量の1ppt以下への減少が達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項57】
前記不純物は金属種を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項58】
前記不純物は、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、および硫酸塩からなる群から選択した少なくとも1つの種を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項59】
前記不純物は有機種を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項60】
前記不純物は、アンモニア、尿素、および窒素を含む種からなる群から選択した少なくとも1つの種を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項61】
前記不純物は気体である、請求項1に記載の方法。
【請求項62】
前記不純物は、窒素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、メタン、エタン、炭化水素、硫化水素、SO、およびNOからなる群から選択した少なくとも1つの種を含んでいる、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記不純物はプロトン性極性種を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項64】
前記不純物はアルカリ性種を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項65】
前記不純物は粒子状種を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項66】
前記不純物は生体活性物質を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項67】
前記不純物は、カビ、カビ胞子、プリオン、ウィルス、アレルゲン、タンパク質、および細菌からなる群から選択された少なくとも1つの材料を含んでいる、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記供給蒸気が大気より低い圧力である、請求項1に記載の方法。
【請求項69】
前記蒸気供給物は、約10℃から300℃の温度で膜を通過する、請求項1に記載の方法。
【請求項70】
前記蒸気供給物は、約10℃から100℃の温度で膜を通過する、請求項1に記載の方法。
【請求項71】
前記蒸気供給物は、約80℃から300℃の温度で膜を通過する、請求項1に記載の方法。
【請求項72】
前記蒸気供給物は、約100℃から300℃の温度で膜を通過する、請求項1に記載の方法。
【請求項73】
前記蒸気供給物は、約150℃から300℃の温度で膜を通過する、請求項1に記載の方法。
【請求項74】
前記蒸気供給物は、約100℃から160℃の温度で膜を通過する、請求項1に記載の方法。
【請求項75】
前記蒸気供給物は、約100℃から150℃の温度で膜を通過する、請求項1に記載の方法。
【請求項76】
さらに、
アルコール、有機酸、ケトン、ヒドロキシル含有化合物、および硫黄含有化合物からなる群から選択した少なくとも1つの種を予め濾過するステップを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項77】
半導体表面上で酸化物を成長させるための、請求項1に記載の方法。
【請求項78】
半導体ウェーハからフォトレジストを除去するための、請求項1に記載の方法。
【請求項79】
半導体ウェーハから前記不純物を除去する際に使用するための、請求項1に記載の方法。
【請求項80】
石油の回収のために使用される噴射蒸気から前記不純物を除去する際に使用するための、請求項1に記載の方法。
【請求項81】
環境内に放出する、または大気に通気を案内する前に排出した蒸気から前記不純物を取り除く際に使用するための、請求項1に記載の方法。
【請求項82】
薬剤使用のためにきれいな蒸気を生成する際に使用するための、請求項1に記載の方法。
【請求項83】
薬剤使用のために超純水を生成するための、請求項1に記載の方法。
【請求項84】
蒸気供給源と、
少なくとも1つの実質的にガス不透過性のイオン交換膜の1つの表面に蒸気供給物源を案内する第1の通路と、
実質的にガス不透過性の膜の反対の表面から離れるように浄化した蒸気を案内する第2の通路とを備えた、蒸気浄化システム。
【請求項85】
蒸気供給物源は、ヒータに取り付けられた容器内に入れられた水を含んでいる、請求項84に記載のシステム。
【請求項86】
さらに、膜を通過しない第1の表面と接触する蒸気供給物のパージ流を含んでいる、請求項84に記載のシステム。
【請求項87】
蒸気供給物のパージ流を膜から離れるように案内する第3の通路をさらに備えている、請求項86に記載のシステム。
【請求項88】
さらに、パージ流の流量を制御するために、第3の通路に取り付けられているバルブまたはオリフィスを備えている、請求項87に記載のシステム。
【請求項89】
さらに、浄化した蒸気の流量を制御するために、第2の通路に取り付けられているバルブを備えている、請求項84に記載のシステム。
【請求項90】
さらに、蒸気供給物の流量を制御するために、第1の通路に取り付けられているバルブを備えている、請求項84に記載のシステム。
【請求項91】
さらに、膜の第2の表面に接触する多孔質支持体を備えている、請求項84に記載のシステム。
【請求項92】
さらに、水をシステム内に維持するバルブおよび水位制御スイッチを備えている、請求項84に記載のシステム。
【請求項93】
さらに、システム内の水位を監視するように蒸気供給物に対する平行脚部を備えている、請求項84に記載のシステム。
【請求項94】
さらに、膜にまたがる正しい圧力差を維持するための、ヒータ、圧力トランスデューサ、およびコントローラを備えている、請求項84に記載のシステム。
【請求項95】
さらに、第1の通路、第2の通路、および第3の通路の少なくとも1つを大気より低い圧力に接続させる通路を備えている、請求項84に記載のシステム。
【請求項96】
さらに、有機アルコール、アルデヒド、有機酸、他の有機分子、および硫黄含有化合物からなる群から選択した少なくとも1つの種を除去する前置フィルタを備えている、請求項84に記載のシステム。
【請求項97】
さらに、イオン分子を除去する前置フィルタを備えている、請求項84に記載のシステム。
【請求項98】
さらに、生体物質を除去する前置フィルタを備えている、請求項84に記載のシステム。
【請求項99】
さらに、無機物を除去する前置フィルタを備えている、請求項84に記載のシステム。
【請求項100】
ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の第1の表面を蒸気供給物に接触させるステップと、
ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の反対の第2の表面から浄化蒸気を収集するステップと、
浄化蒸気の量が蒸気供給物の量より少ないように、蒸気供給物の少なくとも一部で第1の表面をパージするステップとを含む、蒸気を浄化する方法。
【請求項101】
蒸気供給物は少なくとも90%の純度を有する、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
蒸気供給物は少なくとも99%の純度を有する、請求項100に記載の方法。
【請求項103】
ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、10℃から300℃までの温度で操作される、請求項100に記載の方法。
【請求項104】
ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、10℃から100℃までの温度で操作される、請求項100に記載の方法。
【請求項105】
ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、80℃から300℃までの温度で操作される、請求項100に記載の方法。
【請求項106】
ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、100℃から300℃までの温度で操作される、請求項100に記載の方法。
【請求項107】
ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、100℃から150℃までの温度で操作される、請求項100に記載の方法。
【請求項108】
ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、0.5ミクロンから2000ミクロンの厚さを有する、請求項100に記載の方法。
【請求項109】
ペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の第2の表面は多孔質構造によって支持され、ある量の浄化蒸気が集められその後多孔質構造を通して運ばれる、請求項100に記載の方法。
【請求項110】
多孔質構造は、ポリマー、セラミック、および金属からなる群から選択される、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
多孔質構造は、ポリテトラフルオロエチレン、石英、および316Lステンレス鋼からなる群から選択される、請求項109に記載の方法。
【請求項112】
ペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の第1の表面を蒸気供給物と接触させるステップと、
ペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の反対の第2の表面から浄化した蒸気を収集するステップと、
浄化した蒸気の量が蒸気供給物の量より少ないように、第1の表面を蒸気供給物の少なくとも一部で浄化するステップとを含む、蒸気を浄化する方法。
【請求項113】
蒸気供給物の量は、少なくとも90%の純度を有する、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
蒸気供給物の量は、少なくとも99%の純度を有する、請求項112に記載の方法。
【請求項115】
ペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、操作中に10℃から300℃の温度に曝される、請求項112に記載の方法。
【請求項116】
ペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、操作中に10℃から100℃の温度に曝される、請求項112に記載の方法。
【請求項117】
ペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、操作中に80℃から300℃の温度に曝される、請求項112に記載の方法。
【請求項118】
ペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、操作中に100℃から300℃の温度に曝される、請求項112に記載の方法。
【請求項119】
ペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、操作中に100℃から150℃の温度に曝される、請求項112に記載の方法。
【請求項120】
ペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜は、0.5ミクロンから2000ミクロンの厚さを有する、請求項112に記載の方法。
【請求項121】
ペルフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の第2の表面は多孔質構造によって支持され、ある量の浄化蒸気が集められその後多孔質構造を通して運ばれる、請求項112に記載の方法。
【請求項122】
第1の圧力でペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の第1の表面を蒸気に接触させるステップと、
第2の圧力でペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の反対の第2の表面から蒸気を集めるステップと、
第1の圧力および第2の圧力を測定するステップと、
第1の圧力および第2の圧力の測定により蒸気質量の流量を決定するステップとを含む、蒸気の流量を測定する方法。
【請求項123】
第1の圧力および第2の圧力は大気より低い圧力である、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
第1の圧力でペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の第1の表面を蒸気に接触させるステップと、
第2の圧力でペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の反対の第2の表面から蒸気を集めるステップと、
第1の圧力および第2の圧力を測定するステップと、
第1の圧力と第2の圧力の間の差を決定するステップと、
その差から蒸気質量の流量を決定するステップと、
蒸気質量の流量が所定の値と一致するまでその差を変えるステップとを含む、蒸気の流量を制御する方法。
【請求項125】
第1の圧力および第2の圧力は大気より低い圧力である、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
第1の圧力でペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の第1の表面を蒸気に接触させるステップと、
第2の圧力でペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の反対の第2の表面から蒸気を集めるステップと、
第1の圧力および第2の圧力を測定するステップと、
第1の圧力および第2の圧力の測定により蒸気質量の流量を決定するステップとを含む、蒸気の流量を測定する方法。
【請求項127】
第1の圧力および第2の圧力は大気より低い圧力である、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
第1の圧力でペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の第1の表面を蒸気に接触させるステップと、
第2の圧力でペルフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体膜の反対の第2の表面から蒸気を集めるステップと、
第1の圧力および第2の圧力を測定するステップと、
第1の圧力と第2の圧力の間の差を決定するステップと、
その差から蒸気質量の流量を決定するステップと、
蒸気質量の流量が所定の値と一致するまでその差を変えるステップとを含む、蒸気の流量を制御する方法。
【請求項129】
第1の圧力および第2の圧力は大気より低い圧力である、請求項128に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−507643(P2009−507643A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531312(P2008−531312)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/035790
【国際公開番号】WO2007/058698
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(508076462)
【Fターム(参考)】