高純度アルミニウムの連続精製システム
【課題】小さな設備面積で短時間に共晶系不純物、包晶系不純物の低減を可能とし、精製時に発生する残留溶湯を極力低減し、精製処理時のエネルギー効率の向上が可能な高純度アルミニウムの連続精製システムを提供する。
【解決手段】アルミニウムの溶解炉11、21、31、溶解炉からの溶湯が順に送り込まれる、直列的に連結された複数の溶湯保持槽13、23、33、各溶湯保持槽と対を成す回転冷却体130、230、330を備えた一連の装置を1組のラインとする。このラインが複数組用いられたN次ライン(ただし2≦N)からなり、(n−1)次ライン(ただし2≦n≦N)で回転冷却体に付着凝固し回収された高純度アルミニウム塊は、続くn次ラインの溶解炉で溶解され、溶湯が順々に溶湯保持槽を通り排出される。n次ラインの保持槽及び回転冷却体の数は(n−1)次ラインより少ない。
【解決手段】アルミニウムの溶解炉11、21、31、溶解炉からの溶湯が順に送り込まれる、直列的に連結された複数の溶湯保持槽13、23、33、各溶湯保持槽と対を成す回転冷却体130、230、330を備えた一連の装置を1組のラインとする。このラインが複数組用いられたN次ライン(ただし2≦N)からなり、(n−1)次ライン(ただし2≦n≦N)で回転冷却体に付着凝固し回収された高純度アルミニウム塊は、続くn次ラインの溶解炉で溶解され、溶湯が順々に溶湯保持槽を通り排出される。n次ラインの保持槽及び回転冷却体の数は(n−1)次ラインより少ない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏析凝固を利用した高純度アルミニウムの連続精製システムに関する。
【背景技術】
【0002】
偏析凝固を利用した高純度アルミニウムの精製方法として、特許文献1に記載された方法が知られているが、この特許文献1には、次のようなことが開示されている。
【0003】
即ち、アルミニウム中に、アルミニウムと共晶系(例:Fe、Si、Cu、Mg等)不純物元素(以下、共晶不純物という)が含まれている場合、該アルミニウムを溶解した後、この溶融アルミニウムを凝固させる際に得られる最初の固相中の不純物濃度Csは理論上次式で表される。
【0004】
Cs=koCo(1−fs)ko−1 ・・・・・・・1)
上式においてkoは平衡分配係数、Coは元のアルミニウム中の不純物濃度、fsは固相率である。
【0005】
共晶不純物は平衡分配係数koが1より小さいので、上式から明らかなように、得られた固相中の不純物濃度Csは元のアルミニウム中の不純物濃度Coよりも低くなる。また、上式から見て固相率fsが大きくなるほど得られた固相中の不純物濃度が高くなる。
【0006】
一方、Ti、V、Zr等の包晶不純物は、平衡分配係数koが1より大きいので、固相中の不純物濃度Csは元のアルミニウム中の不純物濃度Coよりも高くなる。従って、溶融アルミニウム中に必要量以上のホウ素を添加し、TiB2、VB2、ZrB2等の不溶性ホウ素化合物を生成し、精製前に予め除去する。
【0007】
そして、前述の特許文献1は、前述の1)式の原理を利用して晶出したアルミニウムから効率良く、かつ連続的に共晶不純物を除去することが可能な装置を提供することを目的として、溶融アルミニウム中に冷却体を浸漬し、冷却体を回転させ、冷却体表面に共晶不純物の少ないアルミニウムを晶出させる方法を開示している。
【0008】
このような回転冷却体を用いた精製装置では、その遠心力により、晶出したアルミニウム表面と溶湯界面から、不溶性ホウ素化合物を溶湯中に効率的に分離できることが可能となり、包晶不純物も同時に除去できることが知られている(例えば特許文献2)。
【0009】
さらに、溶湯保持槽と回転冷却体からなる精製工程において、包晶不純物を効率よく除去するために、ホウ素を含有したアルミニウム溶湯、あるいはアルミニウム溶湯にホウ素を添加した後、保持槽でのガスを用いた撹拌の実施により包晶不純物を除去する方法も知られている(例えば特許文献3、4)。
【0010】
また、アルミニウム溶解炉と、相互に連通せしめられている複数の溶湯保持槽と、その溶湯保持槽内に一つずつ配置された高純度アルミニウムを晶出させるための回転冷却体からなり、アルミニウム溶湯が溶解炉から溶湯保持槽に順々に送りこまれ、最終保持槽から不純物濃度が高くなった溶湯が排出されていくシステムが、特許文献2及び5に開示されている。
【0011】
これらの特許文献2、5によれば、一連の装置で連通された溶湯保持槽の数が増大すれば、回収できるアルミニウムの量が増大するとともに、その純度も高めることができるものとなされている。
【0012】
このほか、回転冷却体の損耗等による経済性の低下を避けるため、直列的に連通した溶湯保持槽を2列配置し、連通されている溶湯保持槽に回転冷却体を浸漬し、高純度アルミニウムを晶出させ、別のライン上の溶湯保持槽内で加熱溶融させて回収し、更にその溶湯保持槽内に回転冷却体を浸漬して高純度アルミニウムを晶出させることを繰り返す方法やシステムも知られている(例えば特許文献6)。
【特許文献1】特開昭57−123935号公報
【特許文献2】特開昭59−9136号公報
【特許文献3】特開平9−194964号公報
【特許文献4】特開2004−300571号公報
【特許文献5】特開昭60−190534号公報
【特許文献6】特開平2−228432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、単にホウ素の添加と回転冷却体の回転時の遠心力による分離では、精製アルミニウム塊からの包晶不純物は十分に除去されない。
【0014】
また、ホウ素を含有したアルミニウム溶湯、あるいはアルミニウム溶湯にホウ素を添加した後、保持槽でのガスを用いた撹拌の実施により包晶不純物を除去する方法では、ホウ素と包晶金属との反応に時間を要し、短時間で包晶不純物を十分低減できない。
【0015】
また、純度を高めるために、溶湯保持槽と回転冷却体の対を複数連結し、アルミニウム溶湯が溶解炉から溶湯保持槽に順々に送り込まれ、最終保持槽から不純物濃度が高くなった溶湯が排出されていくシステムでは、複数回の精製において同数の連結したラインで実施されるため、連続生産として効率が悪く、また設備面積が増大するなど経済性が低下する問題があった。
【0016】
さらに、回転冷却体の寿命を増大させるために、直列的に連通した溶湯保持槽を2列配置し、その間に回転冷却体に付着した高純度アルミニウムを再溶解して回収する方法やシステムでは、再溶解に時間がかかり、生産性に問題があった。
【0017】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、小さな設備面積で短時間に共晶系不純物、包晶系不純物の低減を可能とした上で、さらに精製時に発生する残留溶湯を極力低減し、精製処理時のエネルギー効率の向上が可能な高純度アルミニウムの連続精製システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題は以下の手段によって解決される。
(1)アルミニウムを溶解するための溶解炉と、前記溶解炉からの溶湯が順に送り込まれる、直列的に連結された複数の溶湯保持槽と、各溶湯保持槽と対を成し、溶湯内で高純度アルミニウムを晶出させるための回転冷却体と、を備え、最終の溶湯保持槽から系外へ溶湯が排出される一連の装置を1組のラインとし、前記ラインが複数組用いられたN次ライン(ただし2≦N)からなり、(n−1)次ライン(ただし2≦n≦N)で回転冷却体に付着凝固して回収された高純度アルミニウム塊は、続くn次ラインの溶解炉で溶解され、溶解炉で溶解された溶湯が順々に溶湯保持槽を通り、排出されるものとなされ、かつ、n次ラインの前記溶湯保持槽及び該保持槽と対に配置された前記回転冷却体の数は、(n−1)次ラインのそれより少ないことを特徴とする高純度アルミニウムの連続精製システム。
(2)ラインの次数Nが2または3であることを特徴とする前項1に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
(3)前記複数組のラインの内、1つあるいは複数のラインの溶解炉にホウ素が添加されることを特徴とする前項1または2に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
(4)溶解炉と溶湯保持槽の間に、ホウ素の添加が可能な撹拌槽が設置され、前記溶解炉から撹拌槽までの間のいずれかの場所においてホウ素が添加されるものとなされていることを特徴とする前項3に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
(5)溶解炉と溶湯保持槽の間に、包晶不純物を不溶性ホウ素化合物として分離抽出が可能な分離槽が設置されていることを特徴とする前項3または4に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
(6)アルミニウムを溶解するための溶解炉と、前記溶解炉からの溶湯が順に送り込まれる、直列的に連結された複数の溶湯保持槽と、各溶湯保持槽と対を成し、溶湯内で高純度アルミニウムを晶出させるための回転冷却体と、を備え、最終の溶湯保持槽から系外へ溶湯が排出される一連の装置を1組のラインとし、
前記ラインが複数組用いられたN次ライン(ただし2≦N)からなり、(n−1)次ライン(ただし2≦n≦N)で回転冷却体に付着凝固して回収された高純度アルミニウム塊は、続くn次ラインの溶解炉で溶解され、溶解炉で溶解された溶湯が順々に溶湯保持槽を通り、排出されるものとなされ、
1次ラインで排出される溶湯はライン外に排出される一方、n次ラインで排出される溶湯は(n−1)次ラインの溶解炉に戻されるものとなされ、
かつ、n次ラインの前記溶湯保持槽及び該保持槽と対に配置された前記回転冷却体の数は、(n−1)次ラインのそれより少ないことを特徴とする高純度アルミニウムの連続精製システム。
(7)ラインの次数Nが2または3であることを特徴とする前項6に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
(8)前記複数組のラインの内、1つあるいは複数のラインの溶解炉にホウ素が添加されることを特徴とする前項6または7に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
(9)溶解炉と溶湯保持槽の間に、ホウ素の添加が可能な撹拌槽が設置され、前記溶解炉から撹拌槽までの間のいずれかの場所においてホウ素が添加されるものとなされていることを特徴とする前項8に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
(10)溶解炉と溶湯保持槽の間に、包晶不純物を不溶性ホウ素化合物として分離抽出が可能な分離槽が設置されていることを特徴とする前項8または9に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
【発明の効果】
【0019】
前項(1)に記載の発明によれば、従来の直列的に連続する精製設備よりも効率よく高純度のアルミニウムを精製することができる。即ち、回収率(回収重量/元の投入重量)が同じ場合、より高い純度を得ることができる。しかも、n次ラインの前記溶湯保持槽及び該保持槽と対に配置された前記回転冷却体の数は、(n−1)次ラインのそれより少ないから、各ラインにおける溶湯保持槽及び回転冷却体の数が同じ場合に較べて、小さな設備面積ですむ。
【0020】
前項(2)に記載の発明によれば、さらに効率よく、所望の純度が得られ、操業性に優れたものとなる。
【0021】
前項(3)、(4)に記載の発明によれば、包晶系不純物を低減することができる。
【0022】
前項(5)に記載の発明によれば、包晶系不純物をさらに低減することができる。
【0023】
前項(6)に記載の発明によれば、排出される溶湯を再利用できるので、エネルギー効率と材料回収率が向上し、共晶系不純物を低減できる。
【0024】
前項(7)に記載の発明によれば、効率よく高純度のアルミニウムを精製することができるとともに、操業性に優れたシステムとなしうる。
【0025】
前項(8)、(9)に記載の発明によれば、包晶系不純物の低減を効率的に行うことができる。
【0026】
前項(10)に記載の発明によれば、さらに包晶系不純物の低減を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[概要]
本発明者らは、前述の技術的課題の解決のために以下に述べる手段を見出した。
1)1次ライン
この実施形態による高純度アルミニウムの連続精製装置は、アルミニウムを溶解するための溶解炉を備え、溶解炉からの溶湯を直列的に接続された複数の溶湯保持槽に順に送り込み、最終の溶湯保持槽から系外へ溶湯が排出される一連の装置を1組のラインとして、まず1次ラインを構成する。このとき各溶湯保持槽と対をなして、溶湯内で高純度アルミニウムを晶出させるための回転冷却体を備えたものとする。
【0028】
このとき複数の溶湯保持槽は、例えば一つの大きな槽を隔壁により複数の区画に区分し、この各区画を溶湯保持槽とするとともに、隔壁に連通口を設けて各溶湯保持槽を溶湯が通過するようにしてもよい。また、るつぼの形態をした複数の溶湯保持槽を直列に並べ、各るつぼを樋によって連結させてもよい。
【0029】
各溶湯保持槽と対をなす回転冷却体は、溶湯中で回転する際、その周面に高純度アルミニウムを晶出させる。その回転冷却体周面のアルミニウムの晶出は、回転冷却体が溶湯保持槽内のアルミニウム溶湯に回転しながら浸漬される際、エアー若しくは水蒸気のような冷却流体で冷却された状態で生じるものである。
【0030】
この回転冷却体の周面上に所定の時間、不純物を溶湯に排除しながらアルミニウムを晶出させた後、回転させながら引き上げ、溶湯保持槽外で回転冷却体からアルミニウムを回収する。
【0031】
回転冷却体の冷却能が大きくなるほど生産性は高くなる。一方、凝固速度が大きくなるため、精製純度が低下する。このため、精製されるアルミニウム塊の純度と抽出に要する時間とのバランスを配慮した最適条件を設定することが好ましい。
【0032】
各溶湯保持槽に浸漬された回転冷却体に晶出し純化されたアルミニウム塊を回収する場合、一斉に回収しても良いが、連続した生産を考えると順次回収していくことが望ましい。
2)複合するライン
1. 1次ラインと同じく、アルミニウムを溶解するための溶解炉と、前記溶解炉からの溶湯が順に送り込まれる、直列的に連結された複数の溶湯保持槽と、各溶湯保持槽と対を成し、溶湯内で高純度アルミニウムを晶出させるための回転冷却体と、を備え、最終の溶湯保持槽から系外へ溶湯が排出される一連の装置からなる1組のラインを、さらに1組以上組み合わせて、N次ライン(ただし2≦N)を構成する。
【0033】
2. 1次ラインにおける各溶湯保持槽において回転冷却体上に晶出して回収・精製されたアルミニウム塊は、引き続き2次ラインの溶解炉で溶解されたのち、1次ラインの場合と同様に各溶湯保持槽に送り込まれ、各溶湯保持槽において回転冷却体に晶出して回収・精製される。
【0034】
3. 本実施形態で規定する精製システムは、前述のラインが2組以上備えられたN次ライン(ただし2≦N)から成り、(n−1)次ライン(ただし2≦n≦N)で回転冷却体に付着凝固させて回収された高純度アルミニウム塊は、続くn次ラインの溶解炉で溶解され、溶湯は複数の直列的に連結した溶湯保持槽に樋や連通孔等を介して送り込まれ、各溶湯保持槽において、再び回転冷却体上にアルミニウムを晶出させて回収・精製を繰り返す。
【0035】
4. n次ラインにおける溶湯保持槽および対をなす回転冷却体の数は、(n−1)次のラインでの溶湯保持槽および対をなす回転冷却体の数よりも減少させる必要がある。
【0036】
その理由として、下記に記述するa〜dの4点が挙げられる。
【0037】
なお、投入アルミニウム原料重量SW1に対する高純度アルミニウム精製塊の回収総重量sw2の比率を回収率(sw2/SW1)とする。
a:回収率(sw2/SW1)は常に1未満となり、回収されるアルミニウム塊から不純物濃度を低減するには、回収率を低くする必要がある。この結果、回転冷却体によりn次のラインでアルミニウム塊が抽出される所要時間と、(n-1)次のラインでアルミニウム塊が抽出される所要時間を連動させるには、溶湯保持槽の数が、n次のラインにおいて(n−1)次よりも回収率に応じて減少されなければならない。
b:n次ラインの溶湯保持槽の数は、n−1次ラインの溶湯保持槽の数より少なくする場合、n−1次ラインの回収重量に対するn次ラインの回収重量の比率が小さいほど、より高い純度のアルミニウム塊が得られる。
c:前述に記述したように溶湯保持槽を次数に伴い減少させた精製ラインを、n次ラインまで並列的に設置することにより、小さな設備面積で、エネルギー効率を高め、共晶不純物を従来開示されている精製設備よりもさらに低減できる設備・システムが得られる。このとき、このラインのエネルギー効率を総合的に高める目的において、各ラインの間隔は極力近接させることが望ましい。
【0038】
5. このとき2次以上のn次ラインで排出された溶湯は、冷却・凝固されることなく直ちに(n−1)次ラインの溶解炉に戻入され、再利用されても良い。この再利用により(n−1)次ラインの溶解炉では、溶解原料と同水準の純度の原料を、溶解エネルギーを要することなく利用が可能となり、エネルギー効率がさらに高まる。
3)ラインの次数
ラインの次数(N次)は、2次または3次であることが望ましい。3次を超えて設備を構築しても設備の複雑性が増し、操業面や経済性の面での優位性が乏しくなる。
【0039】
さらに1次〜n次の各ラインにおいて直列的に連続した溶湯保持槽における溶湯の不純物濃度は、最初の保持槽から、最終の保持槽に向けて順次上昇する。このため、1ラインの連結する溶湯保持槽が多いほど精製塊の回収効率(同じ回収重量に対するAl純度)が高くなるが、過多になると溶湯温度の制御など、操業が困難になる。
【0040】
このため、直列的に連続する溶湯保持槽の数は1次ラインで8〜25基、また、(n−1)次の溶湯保持槽の数に対するn次の溶湯保持槽の数の比率を0.5〜0.8に設定するのが好ましい。
4)ホウ素の添加
N次のラインの少なくとも1つにおいて、溶解炉11、21、31にホウ素を添加し、Ti、Zr、V等の包晶系の不純物とホウ素を反応させても良い。また、溶解炉と回転冷却体を伴う溶湯保持槽の間に、ホウ素の添加が可能な撹拌槽が設置されてもよい。この撹拌槽においてホウ素を添加することによっても、Ti、Zr、V等の包晶系の不純物とホウ素を反応させることができる。また、溶解炉や撹拌槽だけでなく溶解炉や撹拌槽を連結する樋においてホウ素を添加しても良い。ホウ素は、Al−B(ボロン/ホウ素)母合金として添加するのが一般的であるが、それに限定されるものではない。添加した後、包晶系不純物とホウ素の反応を促進させる方法として、永久磁石による非接触式の溶湯撹拌、黒鉛製の回転子による撹拌、または溶湯中に処理ガスを吹き込む方法、等がある。
5)包晶不純物の分離
前述のホウ素の添加と撹拌により、溶湯からは、Ti、Zr、V等の包晶元素とホウ素とを反応させて不溶性ホウ素化合物を生成させ除去することにより、包晶不純物を除去することが可能となる。このとき不溶性ホウ素化合物の分離は撹拌槽の表面において浮滓として機械的に除去することができる。
【0041】
さらに、溶湯撹拌槽と溶湯保持槽の間に分離槽を構成することも有効である。
この分離槽は、溶湯表面に浮遊した浮滓を溶湯保持槽以外の系へ分離するため、分離槽との間に隔壁を設け、溶湯表面のみ別経路の樋を設けて排出できるものとする。また不溶性ホウ素化合物は不溶性の化合物となっているので、フィルターを設置して除去してもよい。
[具体的実施形態]
図1および図2は本発明の一実施形態に係る高純度アルミニウムの精製システムを示す。
【0042】
図1において、アルミニウムの精製システムは、アルミニウムを精製して高純度アルミニウムを連続的に得る装置からなる1組のラインが複数、連続して配置されてなる。
【0043】
最初の1次ラインにおいて、共晶不純物および包晶不純物を含んだ精製すべきアルミニウムを溶解する溶解炉11 と、望ましくは、溶解炉11 に連続して撹拌槽12が配置されている。撹拌槽12では、溶解炉11から受けたアルミニウム溶湯中にAl−B母合金としてホウ素を添加した後、Arガス等の気泡放出、分散装置を下降させて撹拌槽12内のアルミニウム溶湯中に浸漬し、駆動手段により気泡放出して回転させる。この状態は、図2で詳述する。
【0044】
撹拌槽12に続いて、複数基(この例では10基)の溶湯保持槽13、13・・・が直列的に連続して配置されている。これらの溶解炉11、撹拌槽12、溶湯保持槽13、13・・・は各々溶湯を送る樋15で連結されている。
【0045】
溶湯保持槽13、13・・・に、撹拌槽12から溶湯が送り込まれ、所定の量が満たされた段階で、各溶湯保持槽13、13・・・のアルミニウム溶湯中に、内部をエアー、ガス、水蒸気等の冷却流体で冷却された回転冷却体130、130・・・を浸漬する。溶湯保持槽13、13・・・のアルミニウム溶湯温度を、凝固点を越えた温度に加熱保持しておくと、偏析凝固の原理により、各回転冷却体130、130・・・の表面において、精製すべき純度の高いアルミニウムが晶出し、高純度アルミニウム塊が形成される。溶湯保持槽13、13・・・中の不純物濃度の高くなったアルミニウム溶湯は、排出溶湯受14へ排出される。
【0046】
各回転冷却体130、130・・・の表面に晶出し、抽出されたアルミニウム塊は、回転しながら引き上げられ、回転が停止した後、回転冷却体130、130・・・から機械的に回収される。
【0047】
各回転冷却体130、130・・・へ供給される冷却流体は、冷却能が大きいほうが生産性は高くなるが、一方、凝固速度が過度に大きくなる場合、回収されるアルミニウム塊の不純物濃度が高くなる。このため、精製するアルミニウム塊の純度に適合した回収重量と、不純物濃度のバランスの最適精製条件に配慮が必要である。
【0048】
回収された精製塊は、つづく2次ラインの溶解炉21に投入され、溶解炉21から1次ラインと同様に、撹拌槽22と、連続する溶湯保持槽23、23・・・に溶湯が送られる。1次ラインで精製塊を回収する場合、全ての回転冷却体130、130・・・から同時に回収する方法でも良いが、操業に連続性を持たせるために順次回収していく方法が望ましい。図1に示した例では、2次ラインにおける溶湯保持槽23の数は、1次ラインの溶湯保持槽13の数よりも少ない5基に設定されている。
【0049】
2次ラインの溶解炉21で溶解された不純物濃度の低い溶湯は、1次ラインと同様に溶解炉21または、撹拌槽22でホウ素を添加した後、撹拌槽22で撹拌される。1次ラインと同様に、撹拌槽22からの溶湯が、直列的に連続する溶湯保持槽23、23・・・へ送られ、所定の量が満たされた段階で、内部をエアー、ガス、水蒸気等の冷却流体で冷却された回転冷却体230、230・・・を、各溶湯保持槽23、23・・・のアルミニウム溶湯中に浸漬する。回転冷却体230、230・・・の表面において、1次ラインで得られた純度より、さらに高いアルミニウムが晶出し、塊を形成する。溶湯保持槽中の不純物濃度の高いアルミニウム溶湯は、排出溶湯受24へ排出される。
【0050】
2次ラインの各回転冷却体230、230・・・の表面に晶出した精製塊は、回転しながら引き上げられ、回転が停止した後、回収される。
【0051】
回収された精製塊は、つづく3次ラインの溶解炉31に投入され、1次ラインと同様に撹拌槽32と、連続する溶湯保持槽330、330・・・に、溶解炉31から溶湯が送られ、各溶湯保持槽330、330・・・に対応する回転冷却体330、330・・・で順次精製塊が回収される。図1に示した例では、3次ラインにおける溶湯保持槽33の数は、2次ラインの溶湯保持槽13の数よりも少ない3基に設定されている。
【0052】
全てのラインまたは一部のラインで、撹拌槽と溶湯保持槽の間に、撹拌槽で精製した不溶性ホウ素化合物を除去できる分離槽を設けても良い。図1に示す例では、3次ラインの撹拌槽32溶湯保持槽33との間に分離槽35が設けられている。
【0053】
分離槽35は、気泡で浮上分離された不溶性ホウ素化合物を分離するだけでなく、溶湯中に沈降する不溶性ホウ素化合物も除去するものであり、このため分離槽内にフィルターを設置しても良い。このとき、溶湯保持槽33、33・・・中の不純物濃度の高くなったアルミニウム溶湯は、排出溶湯受34へ排出される。
【0054】
図2に、3次ラインにおける溶解炉31、撹拌槽32、溶湯保持槽33等の構成を記述するが、他のラインにおける溶解炉、撹拌槽、溶湯保持槽の構成も同じである。
【0055】
撹拌槽32の上端部には溶解炉31から供給される溶湯を受ける受け樋としての連結樋36が設けられ、溶解炉31から最も離れた溶湯保持槽33の上端部に溶湯排出樋としての連結樋36が設けられ、撹拌槽32と溶湯保持槽33の間及び各溶湯保持槽33同士は、連結樋36で連結されている。
【0056】
撹拌槽32内には、図示しない駆動手段によって上下駆動するとともに回転するものとなされた回転軸321と、この回転軸321の下端に固定状に設けられた分散用回転体322とを備える分散装置320が配置されている。前記回転軸321には内部に長さ方向に伸びる処理ガス通路が形成され、前記分散用回転体322の下端面には処理ガス通路に連通する処理ガス吹出口(図示せず)が設けられているとともに、複数の撹拌促進用の突起が周方向に間隔をおいて形成されている。そして、回転軸321を回転させながら処理ガス通路に処理ガスを供給すると、貯留された溶湯が撹拌されるとともに、処理ガスが処理ガス吹出口から溶湯中に微細な気泡として放出され、溶湯60の全体に分散される。
【0057】
また、撹拌槽12の出湯口323と対応する位置において、出湯口323の撹拌槽32内側端部および撹拌槽32内面における出湯口323の下方に連なる部分を覆うような水平断面略U字形の垂直隔壁324が設けられている。この垂直隔壁324により、ホウ素と包晶元素の反応で生成した不溶性ホウ素化合物が、その下流側の溶湯保持槽に流出するのを防止することができる。
【0058】
前記撹拌槽32を経由した溶湯は分離槽35に流入する。分離槽35には隔壁351が設けられており、不溶性ホウ素化合物及び溶湯中に沈降する不溶性ホウ素化合物が除去された溶湯60が、次段の溶湯保持槽33に流入する。
【0059】
各溶湯保持槽33、33・・・には、図示しない駆動手段によって上下駆動するとともに回転駆動される回転軸331に連結されて、前述の回転冷却体330、330・・・が配置されている。各回転軸331には内部に長さ方向に伸びる冷却流体通路(図示せず)が形成されている。また、各回転冷却体330は下方に向かって断面積が減少する有底の逆円錐台形状であり、前記冷却流体通路に連通する内部空間が形成され、冷却流体を冷却流体通路を介して内部空間に供給することによって溶湯に接触する外周面を所定の温度に保持し得るものとなされている。従って、前記回転冷却体330は、アルミニウム溶湯と反応により溶湯を汚染しないことはもとより、熱伝導性の良い材料、たとえば黒鉛等により形成されていることが好ましい。また、前記回転冷却体330は、上端部を除いた部分がアルミニウム溶湯中に浸漬する高さに設定される。
【0060】
図3は、他の実施形態を示すものである。この例では、図1に示したシステムと同じく3次のラインから構成されるとともに、各ラインにおける装置の構成は、3次ラインにおける分離槽35が設置されていない点を除いて図1に示したものと同様である。
【0061】
図3に示したシステムは、2次ラインにおける溶解炉21、撹拌槽22において適宜Al―B合金、またはそれに準ずるホウ素含有物を投入できる開口部を有する。溶解炉21より受け樋で受けた溶湯は撹拌槽22に達する。
【0062】
而して、図3の例では、各溶湯保持槽23、23・・・を通過して余剰となった溶湯については、最終段の溶湯保持槽23から戻し装置27により1次ラインの溶解炉11に戻されるものとなされている。
【0063】
また、3次ラインの各溶湯保持槽33、33・・・を通過して余剰となった溶湯についても、最終の溶湯保持槽33から戻し装置37により2次ラインの溶解炉21に戻されるものとなされている。
【0064】
このように、最終の溶湯保持槽から余剰の溶湯を前ラインの溶解炉に戻すことにより、溶湯を効率的に使用でき、操業性に優れたシステムとなる。
【実施例】
【0065】
[図1に示したシステムに係る実施例]
精製システムに供したアルミニウム原料と、精製後のアルミニウム塊の組成を表1に、各精製条件と、精製効率の比較数値を表2に示す。
【0066】
さらに、各条件での精製内容と比較例の事例を、表の後に引続き詳述する。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
(実施例1)
図4に示すように、回転冷却体130、230を配置した溶湯保持槽13、23の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個に設定した連続2回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、重量比で、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。
【0070】
カーボン製回転冷却体の回転数は400rpmとし、エアーを流して内面を冷却し、8分間溶湯中で精製し、晶出した高純度アルミニウムを引き上げ、回収した。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ラインともに同じ条件で実施した。
【0071】
回収率(高純度アルミニウム精製塊の回収総重量/投入アルミニウム原料重量)は33%である。
【0072】
このときに2次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0018%、Si0.0024%、Ti0.002%、V0.005%であった。
(実施例2)
図5に示すように、回転冷却体130、230を配置した溶湯保持槽13、23の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個に設定した連続2回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン及び2次ラインにおける各溶解炉11、21の次段に配置した撹拌槽12、22にホウ素を濃度が0.015%になるように添加した。
【0073】
回転冷却体(材質カーボン)の回転数は400rpmで、エアーを流して内面を冷却し、8分間溶湯中で精製し、晶出した高純度アルミニウムを引き上げ、回収した。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ラインともに同じ条件で実施した。回収率は33%である。
【0074】
このときに2次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0016%、Si0.0023%、Ti0.0001%、V0.0003%、B0.0015%であった。
【0075】
なお、撹拌槽12、22を設けることなく、1次ライン及び2次ラインにおける各溶解炉11、21にホウ素を濃度が0.015%になるように添加した以外は、上記と同一の条件で試験を行ったところ、回収率、2次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成ともに、上記と同等の結果が得られた。
(実施例3)
図6に示すように、回転冷却体130,230、330を配置した溶湯保持槽13、23、33の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個、3次ラインでは3個に設定した連続3回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン、2次ライン及び3次ラインにおける各溶解炉11、21、31の次段に配置した撹拌槽12、22、32にホウ素を濃度が0.015%になるように添加した。
【0076】
回転冷却体(材質カーボン)の回転数、冷却条件、溶湯浸漬時間等の精製条件は実施例1と同じである。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ライン、3次ラインともに同じ条件で実施した。回収率は18%である。
【0077】
このときに3次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0006%、Si0.0012%、Ti0.0001%、V0.0002%、B0.0008%であった。
(実施例4)
図7に示すように、回転冷却体130、230、330を配置した溶湯保持槽13、23、33の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個、3次ラインでは3個に設定した連続3回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン、2次ライン及び3次ラインにおける各溶解炉11、21、31の次段に配置した撹拌槽12、22、32にホウ素を濃度が0.015%になるように添加した。
【0078】
このとき、各ラインにおいてB添加した撹拌槽12、22、32と溶湯保持槽13、23、33の間に、分離槽16、26、35を設置した。回転冷却体(材質カーボン)の回転数、冷却条件、溶湯浸漬時間等の精製条件は実施例1と同じである。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ライン、3次ラインともに同じ条件で実施した。回収率は18%である。
【0079】
このときに3次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0006%、Si0.0011%、Ti0.0001%、V0.0001%、B0.0007%であった。
(実施例5)
図8に示すように、回転冷却体130、230、330、430を配置した溶湯保持槽13、23、33、43の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個、3次ラインでは3個、4次ラインでは2個に設定した連続4回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン、2次ライン、3次ライン及び4次ラインにおける各溶解炉11、21、31、41の次段に配置した撹拌槽12、22、32、42にホウ素を濃度が0.015%になるように添加した。
【0080】
回転冷却体(材質カーボン)の回転数、冷却条件、溶湯浸漬時間等の精製条件は実施例1と同じである。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ライン、3次ライン、4次ラインともに同じ条件で実施した。回収率は12%である。
【0081】
このときに4次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0004%、Si0.0008%、Ti0.0001%、V0.0001%、B0.0004%であった。
(比較例6)
図9に示すように、回転冷却体130を配置した溶湯保持槽13の数を10個に設定した1次ラインのみの精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。
【0082】
回転冷却体(材質カーボン)の回転数は400rpmで、エアーを流して内面を冷却し、8分間溶湯中で精製し、晶出した高純度アルミニウムを引き上げ、回収した。
【0083】
この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。回収率は75%である。
【0084】
このときに得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.01%、Si0.01%、Ti0.002%、V0.005%であった。
[図3に示したシステムに係る実施例]
本実施例に用いる回転冷却体は、カーボン製で上端の外径が200mm、下端の外径が150mmの逆円錐台形である。
【0085】
精製システムに供したアルミニウム母材と、精製後のアルミニウム塊の組成を表3に、各精製条件と、精製効率の比較数値を表4に示す。
【0086】
さらに、各条件での精製内容と比較例の事例を、表の後に引続き詳述する。
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
(実施例7)
図10に示すように、回転冷却体130、230を配置した溶湯保持槽13、23の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個に設定した連続2回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、重量比で、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。
【0090】
このとき、2次ラインの最後尾の溶湯保持槽23からは、溶湯戻し装置27を通じて1次ラインの溶解炉11に溶湯が戻入されるものとした。
【0091】
カーボン製回転冷却体の回転数は400rpmとし、エアーを流して内面を冷却し、8分間溶湯中で精製し、晶出した高純度アルミニウムを引き上げ、回収した。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ラインともに同じ条件で実施した。回収率(高純度アルミニウム塊の回収綜重量/元のアルミニウム供給量)は75%である。
【0092】
このときに2次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0017%、Si0.0023%、Ti0.002%、V0.005%であった。
(実施例8)
図11に示すように、回転冷却体130、230を配置した溶湯保持槽13、23の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個に設定した連続2回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン及び2次ラインにおける各溶解炉11、21の次段に配置した撹拌槽12、22にホウ素を濃度が0.015%になるように添加した。
【0093】
このとき、2次ラインの最後尾の溶湯保持槽23からは、溶湯戻し装置27を通じて1次ラインの溶解炉11に溶湯が戻入される。
【0094】
回転冷却体(材質カーボン)の回転数は400rpmで、エアーを流して内面を冷却し、8分間溶湯中で精製し、晶出した高純度アルミニウムを引き上げ、回収した。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ラインともに同じ条件で実施した。回収率は75%である。
【0095】
このときに2次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0018%、Si0.0024%、Ti0.0001%、V0.0003%、B0.0013%であった。
(実施例9)
図12に示すように、回転冷却体130、230、330を配置した溶湯保持槽13、23、33の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個、3次ラインでは3個に設定した連続3回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、重量比でFe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン、2次ライン及び3次ラインにおける各溶解炉11、21、31の次段に配置した撹拌槽12、22、32にホウ素を濃度が0.015%になるように添加した。
【0096】
このとき、2次ラインの最後尾の溶湯保持槽23からは、溶湯戻し装置27を通じて1次ラインの溶解炉11へ、3次ラインの最後尾の溶湯保持槽33からは、溶湯戻し装置37を通じて2次ラインの溶解炉21へ溶湯が戻入される。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ライン、3次ラインともに同じ条件で実施した。回収率は75%である。
【0097】
このときに3次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0006%、Si0.0012%、Ti0.0001%、V0.0002%、B0.0008%であった。
(実施例10)
図13に示すように、回転冷却体130、230、330を配置した溶湯保持槽13、23、33の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個、3次ラインでは3個に設定した連続3回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン、2次ライン及び3次ラインにおける各溶解炉11、21、31の次段に配置した撹拌槽12、22、32にホウ素を濃度が0.015%になるように添加した。
【0098】
このとき、各ラインにおいてB添加した撹拌槽12、22、32と溶湯保持槽13、23、33の間に、分離槽16、26、35を設置して用いた。回転冷却体(材質カーボン)の回転数、冷却条件、溶湯浸漬時間等の精製条件は実施例1と同じである。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ライン、3次ラインともに同じ条件で実施した。回収率は73.8%である。
【0099】
このときに3次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0006%、Si0.0012%、Ti0.0001%以下、V0.0001%、B0.0007%であった。
(実施例11)
図14に示すように、回転冷却体130、230、330、430を配置した溶湯保持槽13、23、33、43の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個、3次ラインでは3個、4次ラインでは2個に設定した連続4回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン、2次ライン、3次ライン及び4次ラインにおける各溶解炉11、21、31、41の次段に配置した撹拌槽12、22、32、42にホウ素を濃度が0.015%になるように添加した。
【0100】
回転冷却体(材質カーボン)の回転数、冷却条件、溶湯浸漬時間等の精製条件は実施例1と同じである。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ライン、3次ライン、4次ラインともに同じ条件で実施した。回収率は75%である。
【0101】
このときに4次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0003%、Si0.0007%、Ti0.0001%以下、V0.0001%、B0.0004%であった。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】この発明の一実施形態に係る高純度アルミニウムの連続精製システムの構成を示す図である。
【図2】図1のシステムの一部のラインの構成を詳細に示す図である。
【図3】この発明の他の実施形態に係る高純度アルミニウムの連続精製システムの構成を示す図である。
【図4】実施例1で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図5】実施例2で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図6】実施例3で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図7】実施例4で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図8】実施例5で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図9】比較例6で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図10】実施例7で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図11】実施例8で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図12】実施例9で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図13】実施例10で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図14】実施例11で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0103】
11、21、31、41 溶解炉
12、22、32、42 撹拌槽
13、23、33、43 溶湯保持槽
130、230、330 回転冷却体
16、26、35 分離槽
15、25、36 樋
27、37 溶湯戻し装置
60 溶湯
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏析凝固を利用した高純度アルミニウムの連続精製システムに関する。
【背景技術】
【0002】
偏析凝固を利用した高純度アルミニウムの精製方法として、特許文献1に記載された方法が知られているが、この特許文献1には、次のようなことが開示されている。
【0003】
即ち、アルミニウム中に、アルミニウムと共晶系(例:Fe、Si、Cu、Mg等)不純物元素(以下、共晶不純物という)が含まれている場合、該アルミニウムを溶解した後、この溶融アルミニウムを凝固させる際に得られる最初の固相中の不純物濃度Csは理論上次式で表される。
【0004】
Cs=koCo(1−fs)ko−1 ・・・・・・・1)
上式においてkoは平衡分配係数、Coは元のアルミニウム中の不純物濃度、fsは固相率である。
【0005】
共晶不純物は平衡分配係数koが1より小さいので、上式から明らかなように、得られた固相中の不純物濃度Csは元のアルミニウム中の不純物濃度Coよりも低くなる。また、上式から見て固相率fsが大きくなるほど得られた固相中の不純物濃度が高くなる。
【0006】
一方、Ti、V、Zr等の包晶不純物は、平衡分配係数koが1より大きいので、固相中の不純物濃度Csは元のアルミニウム中の不純物濃度Coよりも高くなる。従って、溶融アルミニウム中に必要量以上のホウ素を添加し、TiB2、VB2、ZrB2等の不溶性ホウ素化合物を生成し、精製前に予め除去する。
【0007】
そして、前述の特許文献1は、前述の1)式の原理を利用して晶出したアルミニウムから効率良く、かつ連続的に共晶不純物を除去することが可能な装置を提供することを目的として、溶融アルミニウム中に冷却体を浸漬し、冷却体を回転させ、冷却体表面に共晶不純物の少ないアルミニウムを晶出させる方法を開示している。
【0008】
このような回転冷却体を用いた精製装置では、その遠心力により、晶出したアルミニウム表面と溶湯界面から、不溶性ホウ素化合物を溶湯中に効率的に分離できることが可能となり、包晶不純物も同時に除去できることが知られている(例えば特許文献2)。
【0009】
さらに、溶湯保持槽と回転冷却体からなる精製工程において、包晶不純物を効率よく除去するために、ホウ素を含有したアルミニウム溶湯、あるいはアルミニウム溶湯にホウ素を添加した後、保持槽でのガスを用いた撹拌の実施により包晶不純物を除去する方法も知られている(例えば特許文献3、4)。
【0010】
また、アルミニウム溶解炉と、相互に連通せしめられている複数の溶湯保持槽と、その溶湯保持槽内に一つずつ配置された高純度アルミニウムを晶出させるための回転冷却体からなり、アルミニウム溶湯が溶解炉から溶湯保持槽に順々に送りこまれ、最終保持槽から不純物濃度が高くなった溶湯が排出されていくシステムが、特許文献2及び5に開示されている。
【0011】
これらの特許文献2、5によれば、一連の装置で連通された溶湯保持槽の数が増大すれば、回収できるアルミニウムの量が増大するとともに、その純度も高めることができるものとなされている。
【0012】
このほか、回転冷却体の損耗等による経済性の低下を避けるため、直列的に連通した溶湯保持槽を2列配置し、連通されている溶湯保持槽に回転冷却体を浸漬し、高純度アルミニウムを晶出させ、別のライン上の溶湯保持槽内で加熱溶融させて回収し、更にその溶湯保持槽内に回転冷却体を浸漬して高純度アルミニウムを晶出させることを繰り返す方法やシステムも知られている(例えば特許文献6)。
【特許文献1】特開昭57−123935号公報
【特許文献2】特開昭59−9136号公報
【特許文献3】特開平9−194964号公報
【特許文献4】特開2004−300571号公報
【特許文献5】特開昭60−190534号公報
【特許文献6】特開平2−228432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、単にホウ素の添加と回転冷却体の回転時の遠心力による分離では、精製アルミニウム塊からの包晶不純物は十分に除去されない。
【0014】
また、ホウ素を含有したアルミニウム溶湯、あるいはアルミニウム溶湯にホウ素を添加した後、保持槽でのガスを用いた撹拌の実施により包晶不純物を除去する方法では、ホウ素と包晶金属との反応に時間を要し、短時間で包晶不純物を十分低減できない。
【0015】
また、純度を高めるために、溶湯保持槽と回転冷却体の対を複数連結し、アルミニウム溶湯が溶解炉から溶湯保持槽に順々に送り込まれ、最終保持槽から不純物濃度が高くなった溶湯が排出されていくシステムでは、複数回の精製において同数の連結したラインで実施されるため、連続生産として効率が悪く、また設備面積が増大するなど経済性が低下する問題があった。
【0016】
さらに、回転冷却体の寿命を増大させるために、直列的に連通した溶湯保持槽を2列配置し、その間に回転冷却体に付着した高純度アルミニウムを再溶解して回収する方法やシステムでは、再溶解に時間がかかり、生産性に問題があった。
【0017】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、小さな設備面積で短時間に共晶系不純物、包晶系不純物の低減を可能とした上で、さらに精製時に発生する残留溶湯を極力低減し、精製処理時のエネルギー効率の向上が可能な高純度アルミニウムの連続精製システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題は以下の手段によって解決される。
(1)アルミニウムを溶解するための溶解炉と、前記溶解炉からの溶湯が順に送り込まれる、直列的に連結された複数の溶湯保持槽と、各溶湯保持槽と対を成し、溶湯内で高純度アルミニウムを晶出させるための回転冷却体と、を備え、最終の溶湯保持槽から系外へ溶湯が排出される一連の装置を1組のラインとし、前記ラインが複数組用いられたN次ライン(ただし2≦N)からなり、(n−1)次ライン(ただし2≦n≦N)で回転冷却体に付着凝固して回収された高純度アルミニウム塊は、続くn次ラインの溶解炉で溶解され、溶解炉で溶解された溶湯が順々に溶湯保持槽を通り、排出されるものとなされ、かつ、n次ラインの前記溶湯保持槽及び該保持槽と対に配置された前記回転冷却体の数は、(n−1)次ラインのそれより少ないことを特徴とする高純度アルミニウムの連続精製システム。
(2)ラインの次数Nが2または3であることを特徴とする前項1に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
(3)前記複数組のラインの内、1つあるいは複数のラインの溶解炉にホウ素が添加されることを特徴とする前項1または2に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
(4)溶解炉と溶湯保持槽の間に、ホウ素の添加が可能な撹拌槽が設置され、前記溶解炉から撹拌槽までの間のいずれかの場所においてホウ素が添加されるものとなされていることを特徴とする前項3に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
(5)溶解炉と溶湯保持槽の間に、包晶不純物を不溶性ホウ素化合物として分離抽出が可能な分離槽が設置されていることを特徴とする前項3または4に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
(6)アルミニウムを溶解するための溶解炉と、前記溶解炉からの溶湯が順に送り込まれる、直列的に連結された複数の溶湯保持槽と、各溶湯保持槽と対を成し、溶湯内で高純度アルミニウムを晶出させるための回転冷却体と、を備え、最終の溶湯保持槽から系外へ溶湯が排出される一連の装置を1組のラインとし、
前記ラインが複数組用いられたN次ライン(ただし2≦N)からなり、(n−1)次ライン(ただし2≦n≦N)で回転冷却体に付着凝固して回収された高純度アルミニウム塊は、続くn次ラインの溶解炉で溶解され、溶解炉で溶解された溶湯が順々に溶湯保持槽を通り、排出されるものとなされ、
1次ラインで排出される溶湯はライン外に排出される一方、n次ラインで排出される溶湯は(n−1)次ラインの溶解炉に戻されるものとなされ、
かつ、n次ラインの前記溶湯保持槽及び該保持槽と対に配置された前記回転冷却体の数は、(n−1)次ラインのそれより少ないことを特徴とする高純度アルミニウムの連続精製システム。
(7)ラインの次数Nが2または3であることを特徴とする前項6に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
(8)前記複数組のラインの内、1つあるいは複数のラインの溶解炉にホウ素が添加されることを特徴とする前項6または7に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
(9)溶解炉と溶湯保持槽の間に、ホウ素の添加が可能な撹拌槽が設置され、前記溶解炉から撹拌槽までの間のいずれかの場所においてホウ素が添加されるものとなされていることを特徴とする前項8に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
(10)溶解炉と溶湯保持槽の間に、包晶不純物を不溶性ホウ素化合物として分離抽出が可能な分離槽が設置されていることを特徴とする前項8または9に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
【発明の効果】
【0019】
前項(1)に記載の発明によれば、従来の直列的に連続する精製設備よりも効率よく高純度のアルミニウムを精製することができる。即ち、回収率(回収重量/元の投入重量)が同じ場合、より高い純度を得ることができる。しかも、n次ラインの前記溶湯保持槽及び該保持槽と対に配置された前記回転冷却体の数は、(n−1)次ラインのそれより少ないから、各ラインにおける溶湯保持槽及び回転冷却体の数が同じ場合に較べて、小さな設備面積ですむ。
【0020】
前項(2)に記載の発明によれば、さらに効率よく、所望の純度が得られ、操業性に優れたものとなる。
【0021】
前項(3)、(4)に記載の発明によれば、包晶系不純物を低減することができる。
【0022】
前項(5)に記載の発明によれば、包晶系不純物をさらに低減することができる。
【0023】
前項(6)に記載の発明によれば、排出される溶湯を再利用できるので、エネルギー効率と材料回収率が向上し、共晶系不純物を低減できる。
【0024】
前項(7)に記載の発明によれば、効率よく高純度のアルミニウムを精製することができるとともに、操業性に優れたシステムとなしうる。
【0025】
前項(8)、(9)に記載の発明によれば、包晶系不純物の低減を効率的に行うことができる。
【0026】
前項(10)に記載の発明によれば、さらに包晶系不純物の低減を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[概要]
本発明者らは、前述の技術的課題の解決のために以下に述べる手段を見出した。
1)1次ライン
この実施形態による高純度アルミニウムの連続精製装置は、アルミニウムを溶解するための溶解炉を備え、溶解炉からの溶湯を直列的に接続された複数の溶湯保持槽に順に送り込み、最終の溶湯保持槽から系外へ溶湯が排出される一連の装置を1組のラインとして、まず1次ラインを構成する。このとき各溶湯保持槽と対をなして、溶湯内で高純度アルミニウムを晶出させるための回転冷却体を備えたものとする。
【0028】
このとき複数の溶湯保持槽は、例えば一つの大きな槽を隔壁により複数の区画に区分し、この各区画を溶湯保持槽とするとともに、隔壁に連通口を設けて各溶湯保持槽を溶湯が通過するようにしてもよい。また、るつぼの形態をした複数の溶湯保持槽を直列に並べ、各るつぼを樋によって連結させてもよい。
【0029】
各溶湯保持槽と対をなす回転冷却体は、溶湯中で回転する際、その周面に高純度アルミニウムを晶出させる。その回転冷却体周面のアルミニウムの晶出は、回転冷却体が溶湯保持槽内のアルミニウム溶湯に回転しながら浸漬される際、エアー若しくは水蒸気のような冷却流体で冷却された状態で生じるものである。
【0030】
この回転冷却体の周面上に所定の時間、不純物を溶湯に排除しながらアルミニウムを晶出させた後、回転させながら引き上げ、溶湯保持槽外で回転冷却体からアルミニウムを回収する。
【0031】
回転冷却体の冷却能が大きくなるほど生産性は高くなる。一方、凝固速度が大きくなるため、精製純度が低下する。このため、精製されるアルミニウム塊の純度と抽出に要する時間とのバランスを配慮した最適条件を設定することが好ましい。
【0032】
各溶湯保持槽に浸漬された回転冷却体に晶出し純化されたアルミニウム塊を回収する場合、一斉に回収しても良いが、連続した生産を考えると順次回収していくことが望ましい。
2)複合するライン
1. 1次ラインと同じく、アルミニウムを溶解するための溶解炉と、前記溶解炉からの溶湯が順に送り込まれる、直列的に連結された複数の溶湯保持槽と、各溶湯保持槽と対を成し、溶湯内で高純度アルミニウムを晶出させるための回転冷却体と、を備え、最終の溶湯保持槽から系外へ溶湯が排出される一連の装置からなる1組のラインを、さらに1組以上組み合わせて、N次ライン(ただし2≦N)を構成する。
【0033】
2. 1次ラインにおける各溶湯保持槽において回転冷却体上に晶出して回収・精製されたアルミニウム塊は、引き続き2次ラインの溶解炉で溶解されたのち、1次ラインの場合と同様に各溶湯保持槽に送り込まれ、各溶湯保持槽において回転冷却体に晶出して回収・精製される。
【0034】
3. 本実施形態で規定する精製システムは、前述のラインが2組以上備えられたN次ライン(ただし2≦N)から成り、(n−1)次ライン(ただし2≦n≦N)で回転冷却体に付着凝固させて回収された高純度アルミニウム塊は、続くn次ラインの溶解炉で溶解され、溶湯は複数の直列的に連結した溶湯保持槽に樋や連通孔等を介して送り込まれ、各溶湯保持槽において、再び回転冷却体上にアルミニウムを晶出させて回収・精製を繰り返す。
【0035】
4. n次ラインにおける溶湯保持槽および対をなす回転冷却体の数は、(n−1)次のラインでの溶湯保持槽および対をなす回転冷却体の数よりも減少させる必要がある。
【0036】
その理由として、下記に記述するa〜dの4点が挙げられる。
【0037】
なお、投入アルミニウム原料重量SW1に対する高純度アルミニウム精製塊の回収総重量sw2の比率を回収率(sw2/SW1)とする。
a:回収率(sw2/SW1)は常に1未満となり、回収されるアルミニウム塊から不純物濃度を低減するには、回収率を低くする必要がある。この結果、回転冷却体によりn次のラインでアルミニウム塊が抽出される所要時間と、(n-1)次のラインでアルミニウム塊が抽出される所要時間を連動させるには、溶湯保持槽の数が、n次のラインにおいて(n−1)次よりも回収率に応じて減少されなければならない。
b:n次ラインの溶湯保持槽の数は、n−1次ラインの溶湯保持槽の数より少なくする場合、n−1次ラインの回収重量に対するn次ラインの回収重量の比率が小さいほど、より高い純度のアルミニウム塊が得られる。
c:前述に記述したように溶湯保持槽を次数に伴い減少させた精製ラインを、n次ラインまで並列的に設置することにより、小さな設備面積で、エネルギー効率を高め、共晶不純物を従来開示されている精製設備よりもさらに低減できる設備・システムが得られる。このとき、このラインのエネルギー効率を総合的に高める目的において、各ラインの間隔は極力近接させることが望ましい。
【0038】
5. このとき2次以上のn次ラインで排出された溶湯は、冷却・凝固されることなく直ちに(n−1)次ラインの溶解炉に戻入され、再利用されても良い。この再利用により(n−1)次ラインの溶解炉では、溶解原料と同水準の純度の原料を、溶解エネルギーを要することなく利用が可能となり、エネルギー効率がさらに高まる。
3)ラインの次数
ラインの次数(N次)は、2次または3次であることが望ましい。3次を超えて設備を構築しても設備の複雑性が増し、操業面や経済性の面での優位性が乏しくなる。
【0039】
さらに1次〜n次の各ラインにおいて直列的に連続した溶湯保持槽における溶湯の不純物濃度は、最初の保持槽から、最終の保持槽に向けて順次上昇する。このため、1ラインの連結する溶湯保持槽が多いほど精製塊の回収効率(同じ回収重量に対するAl純度)が高くなるが、過多になると溶湯温度の制御など、操業が困難になる。
【0040】
このため、直列的に連続する溶湯保持槽の数は1次ラインで8〜25基、また、(n−1)次の溶湯保持槽の数に対するn次の溶湯保持槽の数の比率を0.5〜0.8に設定するのが好ましい。
4)ホウ素の添加
N次のラインの少なくとも1つにおいて、溶解炉11、21、31にホウ素を添加し、Ti、Zr、V等の包晶系の不純物とホウ素を反応させても良い。また、溶解炉と回転冷却体を伴う溶湯保持槽の間に、ホウ素の添加が可能な撹拌槽が設置されてもよい。この撹拌槽においてホウ素を添加することによっても、Ti、Zr、V等の包晶系の不純物とホウ素を反応させることができる。また、溶解炉や撹拌槽だけでなく溶解炉や撹拌槽を連結する樋においてホウ素を添加しても良い。ホウ素は、Al−B(ボロン/ホウ素)母合金として添加するのが一般的であるが、それに限定されるものではない。添加した後、包晶系不純物とホウ素の反応を促進させる方法として、永久磁石による非接触式の溶湯撹拌、黒鉛製の回転子による撹拌、または溶湯中に処理ガスを吹き込む方法、等がある。
5)包晶不純物の分離
前述のホウ素の添加と撹拌により、溶湯からは、Ti、Zr、V等の包晶元素とホウ素とを反応させて不溶性ホウ素化合物を生成させ除去することにより、包晶不純物を除去することが可能となる。このとき不溶性ホウ素化合物の分離は撹拌槽の表面において浮滓として機械的に除去することができる。
【0041】
さらに、溶湯撹拌槽と溶湯保持槽の間に分離槽を構成することも有効である。
この分離槽は、溶湯表面に浮遊した浮滓を溶湯保持槽以外の系へ分離するため、分離槽との間に隔壁を設け、溶湯表面のみ別経路の樋を設けて排出できるものとする。また不溶性ホウ素化合物は不溶性の化合物となっているので、フィルターを設置して除去してもよい。
[具体的実施形態]
図1および図2は本発明の一実施形態に係る高純度アルミニウムの精製システムを示す。
【0042】
図1において、アルミニウムの精製システムは、アルミニウムを精製して高純度アルミニウムを連続的に得る装置からなる1組のラインが複数、連続して配置されてなる。
【0043】
最初の1次ラインにおいて、共晶不純物および包晶不純物を含んだ精製すべきアルミニウムを溶解する溶解炉11 と、望ましくは、溶解炉11 に連続して撹拌槽12が配置されている。撹拌槽12では、溶解炉11から受けたアルミニウム溶湯中にAl−B母合金としてホウ素を添加した後、Arガス等の気泡放出、分散装置を下降させて撹拌槽12内のアルミニウム溶湯中に浸漬し、駆動手段により気泡放出して回転させる。この状態は、図2で詳述する。
【0044】
撹拌槽12に続いて、複数基(この例では10基)の溶湯保持槽13、13・・・が直列的に連続して配置されている。これらの溶解炉11、撹拌槽12、溶湯保持槽13、13・・・は各々溶湯を送る樋15で連結されている。
【0045】
溶湯保持槽13、13・・・に、撹拌槽12から溶湯が送り込まれ、所定の量が満たされた段階で、各溶湯保持槽13、13・・・のアルミニウム溶湯中に、内部をエアー、ガス、水蒸気等の冷却流体で冷却された回転冷却体130、130・・・を浸漬する。溶湯保持槽13、13・・・のアルミニウム溶湯温度を、凝固点を越えた温度に加熱保持しておくと、偏析凝固の原理により、各回転冷却体130、130・・・の表面において、精製すべき純度の高いアルミニウムが晶出し、高純度アルミニウム塊が形成される。溶湯保持槽13、13・・・中の不純物濃度の高くなったアルミニウム溶湯は、排出溶湯受14へ排出される。
【0046】
各回転冷却体130、130・・・の表面に晶出し、抽出されたアルミニウム塊は、回転しながら引き上げられ、回転が停止した後、回転冷却体130、130・・・から機械的に回収される。
【0047】
各回転冷却体130、130・・・へ供給される冷却流体は、冷却能が大きいほうが生産性は高くなるが、一方、凝固速度が過度に大きくなる場合、回収されるアルミニウム塊の不純物濃度が高くなる。このため、精製するアルミニウム塊の純度に適合した回収重量と、不純物濃度のバランスの最適精製条件に配慮が必要である。
【0048】
回収された精製塊は、つづく2次ラインの溶解炉21に投入され、溶解炉21から1次ラインと同様に、撹拌槽22と、連続する溶湯保持槽23、23・・・に溶湯が送られる。1次ラインで精製塊を回収する場合、全ての回転冷却体130、130・・・から同時に回収する方法でも良いが、操業に連続性を持たせるために順次回収していく方法が望ましい。図1に示した例では、2次ラインにおける溶湯保持槽23の数は、1次ラインの溶湯保持槽13の数よりも少ない5基に設定されている。
【0049】
2次ラインの溶解炉21で溶解された不純物濃度の低い溶湯は、1次ラインと同様に溶解炉21または、撹拌槽22でホウ素を添加した後、撹拌槽22で撹拌される。1次ラインと同様に、撹拌槽22からの溶湯が、直列的に連続する溶湯保持槽23、23・・・へ送られ、所定の量が満たされた段階で、内部をエアー、ガス、水蒸気等の冷却流体で冷却された回転冷却体230、230・・・を、各溶湯保持槽23、23・・・のアルミニウム溶湯中に浸漬する。回転冷却体230、230・・・の表面において、1次ラインで得られた純度より、さらに高いアルミニウムが晶出し、塊を形成する。溶湯保持槽中の不純物濃度の高いアルミニウム溶湯は、排出溶湯受24へ排出される。
【0050】
2次ラインの各回転冷却体230、230・・・の表面に晶出した精製塊は、回転しながら引き上げられ、回転が停止した後、回収される。
【0051】
回収された精製塊は、つづく3次ラインの溶解炉31に投入され、1次ラインと同様に撹拌槽32と、連続する溶湯保持槽330、330・・・に、溶解炉31から溶湯が送られ、各溶湯保持槽330、330・・・に対応する回転冷却体330、330・・・で順次精製塊が回収される。図1に示した例では、3次ラインにおける溶湯保持槽33の数は、2次ラインの溶湯保持槽13の数よりも少ない3基に設定されている。
【0052】
全てのラインまたは一部のラインで、撹拌槽と溶湯保持槽の間に、撹拌槽で精製した不溶性ホウ素化合物を除去できる分離槽を設けても良い。図1に示す例では、3次ラインの撹拌槽32溶湯保持槽33との間に分離槽35が設けられている。
【0053】
分離槽35は、気泡で浮上分離された不溶性ホウ素化合物を分離するだけでなく、溶湯中に沈降する不溶性ホウ素化合物も除去するものであり、このため分離槽内にフィルターを設置しても良い。このとき、溶湯保持槽33、33・・・中の不純物濃度の高くなったアルミニウム溶湯は、排出溶湯受34へ排出される。
【0054】
図2に、3次ラインにおける溶解炉31、撹拌槽32、溶湯保持槽33等の構成を記述するが、他のラインにおける溶解炉、撹拌槽、溶湯保持槽の構成も同じである。
【0055】
撹拌槽32の上端部には溶解炉31から供給される溶湯を受ける受け樋としての連結樋36が設けられ、溶解炉31から最も離れた溶湯保持槽33の上端部に溶湯排出樋としての連結樋36が設けられ、撹拌槽32と溶湯保持槽33の間及び各溶湯保持槽33同士は、連結樋36で連結されている。
【0056】
撹拌槽32内には、図示しない駆動手段によって上下駆動するとともに回転するものとなされた回転軸321と、この回転軸321の下端に固定状に設けられた分散用回転体322とを備える分散装置320が配置されている。前記回転軸321には内部に長さ方向に伸びる処理ガス通路が形成され、前記分散用回転体322の下端面には処理ガス通路に連通する処理ガス吹出口(図示せず)が設けられているとともに、複数の撹拌促進用の突起が周方向に間隔をおいて形成されている。そして、回転軸321を回転させながら処理ガス通路に処理ガスを供給すると、貯留された溶湯が撹拌されるとともに、処理ガスが処理ガス吹出口から溶湯中に微細な気泡として放出され、溶湯60の全体に分散される。
【0057】
また、撹拌槽12の出湯口323と対応する位置において、出湯口323の撹拌槽32内側端部および撹拌槽32内面における出湯口323の下方に連なる部分を覆うような水平断面略U字形の垂直隔壁324が設けられている。この垂直隔壁324により、ホウ素と包晶元素の反応で生成した不溶性ホウ素化合物が、その下流側の溶湯保持槽に流出するのを防止することができる。
【0058】
前記撹拌槽32を経由した溶湯は分離槽35に流入する。分離槽35には隔壁351が設けられており、不溶性ホウ素化合物及び溶湯中に沈降する不溶性ホウ素化合物が除去された溶湯60が、次段の溶湯保持槽33に流入する。
【0059】
各溶湯保持槽33、33・・・には、図示しない駆動手段によって上下駆動するとともに回転駆動される回転軸331に連結されて、前述の回転冷却体330、330・・・が配置されている。各回転軸331には内部に長さ方向に伸びる冷却流体通路(図示せず)が形成されている。また、各回転冷却体330は下方に向かって断面積が減少する有底の逆円錐台形状であり、前記冷却流体通路に連通する内部空間が形成され、冷却流体を冷却流体通路を介して内部空間に供給することによって溶湯に接触する外周面を所定の温度に保持し得るものとなされている。従って、前記回転冷却体330は、アルミニウム溶湯と反応により溶湯を汚染しないことはもとより、熱伝導性の良い材料、たとえば黒鉛等により形成されていることが好ましい。また、前記回転冷却体330は、上端部を除いた部分がアルミニウム溶湯中に浸漬する高さに設定される。
【0060】
図3は、他の実施形態を示すものである。この例では、図1に示したシステムと同じく3次のラインから構成されるとともに、各ラインにおける装置の構成は、3次ラインにおける分離槽35が設置されていない点を除いて図1に示したものと同様である。
【0061】
図3に示したシステムは、2次ラインにおける溶解炉21、撹拌槽22において適宜Al―B合金、またはそれに準ずるホウ素含有物を投入できる開口部を有する。溶解炉21より受け樋で受けた溶湯は撹拌槽22に達する。
【0062】
而して、図3の例では、各溶湯保持槽23、23・・・を通過して余剰となった溶湯については、最終段の溶湯保持槽23から戻し装置27により1次ラインの溶解炉11に戻されるものとなされている。
【0063】
また、3次ラインの各溶湯保持槽33、33・・・を通過して余剰となった溶湯についても、最終の溶湯保持槽33から戻し装置37により2次ラインの溶解炉21に戻されるものとなされている。
【0064】
このように、最終の溶湯保持槽から余剰の溶湯を前ラインの溶解炉に戻すことにより、溶湯を効率的に使用でき、操業性に優れたシステムとなる。
【実施例】
【0065】
[図1に示したシステムに係る実施例]
精製システムに供したアルミニウム原料と、精製後のアルミニウム塊の組成を表1に、各精製条件と、精製効率の比較数値を表2に示す。
【0066】
さらに、各条件での精製内容と比較例の事例を、表の後に引続き詳述する。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
(実施例1)
図4に示すように、回転冷却体130、230を配置した溶湯保持槽13、23の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個に設定した連続2回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、重量比で、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。
【0070】
カーボン製回転冷却体の回転数は400rpmとし、エアーを流して内面を冷却し、8分間溶湯中で精製し、晶出した高純度アルミニウムを引き上げ、回収した。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ラインともに同じ条件で実施した。
【0071】
回収率(高純度アルミニウム精製塊の回収総重量/投入アルミニウム原料重量)は33%である。
【0072】
このときに2次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0018%、Si0.0024%、Ti0.002%、V0.005%であった。
(実施例2)
図5に示すように、回転冷却体130、230を配置した溶湯保持槽13、23の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個に設定した連続2回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン及び2次ラインにおける各溶解炉11、21の次段に配置した撹拌槽12、22にホウ素を濃度が0.015%になるように添加した。
【0073】
回転冷却体(材質カーボン)の回転数は400rpmで、エアーを流して内面を冷却し、8分間溶湯中で精製し、晶出した高純度アルミニウムを引き上げ、回収した。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ラインともに同じ条件で実施した。回収率は33%である。
【0074】
このときに2次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0016%、Si0.0023%、Ti0.0001%、V0.0003%、B0.0015%であった。
【0075】
なお、撹拌槽12、22を設けることなく、1次ライン及び2次ラインにおける各溶解炉11、21にホウ素を濃度が0.015%になるように添加した以外は、上記と同一の条件で試験を行ったところ、回収率、2次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成ともに、上記と同等の結果が得られた。
(実施例3)
図6に示すように、回転冷却体130,230、330を配置した溶湯保持槽13、23、33の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個、3次ラインでは3個に設定した連続3回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン、2次ライン及び3次ラインにおける各溶解炉11、21、31の次段に配置した撹拌槽12、22、32にホウ素を濃度が0.015%になるように添加した。
【0076】
回転冷却体(材質カーボン)の回転数、冷却条件、溶湯浸漬時間等の精製条件は実施例1と同じである。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ライン、3次ラインともに同じ条件で実施した。回収率は18%である。
【0077】
このときに3次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0006%、Si0.0012%、Ti0.0001%、V0.0002%、B0.0008%であった。
(実施例4)
図7に示すように、回転冷却体130、230、330を配置した溶湯保持槽13、23、33の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個、3次ラインでは3個に設定した連続3回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン、2次ライン及び3次ラインにおける各溶解炉11、21、31の次段に配置した撹拌槽12、22、32にホウ素を濃度が0.015%になるように添加した。
【0078】
このとき、各ラインにおいてB添加した撹拌槽12、22、32と溶湯保持槽13、23、33の間に、分離槽16、26、35を設置した。回転冷却体(材質カーボン)の回転数、冷却条件、溶湯浸漬時間等の精製条件は実施例1と同じである。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ライン、3次ラインともに同じ条件で実施した。回収率は18%である。
【0079】
このときに3次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0006%、Si0.0011%、Ti0.0001%、V0.0001%、B0.0007%であった。
(実施例5)
図8に示すように、回転冷却体130、230、330、430を配置した溶湯保持槽13、23、33、43の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個、3次ラインでは3個、4次ラインでは2個に設定した連続4回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン、2次ライン、3次ライン及び4次ラインにおける各溶解炉11、21、31、41の次段に配置した撹拌槽12、22、32、42にホウ素を濃度が0.015%になるように添加した。
【0080】
回転冷却体(材質カーボン)の回転数、冷却条件、溶湯浸漬時間等の精製条件は実施例1と同じである。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ライン、3次ライン、4次ラインともに同じ条件で実施した。回収率は12%である。
【0081】
このときに4次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0004%、Si0.0008%、Ti0.0001%、V0.0001%、B0.0004%であった。
(比較例6)
図9に示すように、回転冷却体130を配置した溶湯保持槽13の数を10個に設定した1次ラインのみの精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。
【0082】
回転冷却体(材質カーボン)の回転数は400rpmで、エアーを流して内面を冷却し、8分間溶湯中で精製し、晶出した高純度アルミニウムを引き上げ、回収した。
【0083】
この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。回収率は75%である。
【0084】
このときに得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.01%、Si0.01%、Ti0.002%、V0.005%であった。
[図3に示したシステムに係る実施例]
本実施例に用いる回転冷却体は、カーボン製で上端の外径が200mm、下端の外径が150mmの逆円錐台形である。
【0085】
精製システムに供したアルミニウム母材と、精製後のアルミニウム塊の組成を表3に、各精製条件と、精製効率の比較数値を表4に示す。
【0086】
さらに、各条件での精製内容と比較例の事例を、表の後に引続き詳述する。
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
(実施例7)
図10に示すように、回転冷却体130、230を配置した溶湯保持槽13、23の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個に設定した連続2回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、重量比で、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。
【0090】
このとき、2次ラインの最後尾の溶湯保持槽23からは、溶湯戻し装置27を通じて1次ラインの溶解炉11に溶湯が戻入されるものとした。
【0091】
カーボン製回転冷却体の回転数は400rpmとし、エアーを流して内面を冷却し、8分間溶湯中で精製し、晶出した高純度アルミニウムを引き上げ、回収した。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ラインともに同じ条件で実施した。回収率(高純度アルミニウム塊の回収綜重量/元のアルミニウム供給量)は75%である。
【0092】
このときに2次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0017%、Si0.0023%、Ti0.002%、V0.005%であった。
(実施例8)
図11に示すように、回転冷却体130、230を配置した溶湯保持槽13、23の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個に設定した連続2回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン及び2次ラインにおける各溶解炉11、21の次段に配置した撹拌槽12、22にホウ素を濃度が0.015%になるように添加した。
【0093】
このとき、2次ラインの最後尾の溶湯保持槽23からは、溶湯戻し装置27を通じて1次ラインの溶解炉11に溶湯が戻入される。
【0094】
回転冷却体(材質カーボン)の回転数は400rpmで、エアーを流して内面を冷却し、8分間溶湯中で精製し、晶出した高純度アルミニウムを引き上げ、回収した。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ラインともに同じ条件で実施した。回収率は75%である。
【0095】
このときに2次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0018%、Si0.0024%、Ti0.0001%、V0.0003%、B0.0013%であった。
(実施例9)
図12に示すように、回転冷却体130、230、330を配置した溶湯保持槽13、23、33の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個、3次ラインでは3個に設定した連続3回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、重量比でFe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン、2次ライン及び3次ラインにおける各溶解炉11、21、31の次段に配置した撹拌槽12、22、32にホウ素を濃度が0.015%になるように添加した。
【0096】
このとき、2次ラインの最後尾の溶湯保持槽23からは、溶湯戻し装置27を通じて1次ラインの溶解炉11へ、3次ラインの最後尾の溶湯保持槽33からは、溶湯戻し装置37を通じて2次ラインの溶解炉21へ溶湯が戻入される。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ライン、3次ラインともに同じ条件で実施した。回収率は75%である。
【0097】
このときに3次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0006%、Si0.0012%、Ti0.0001%、V0.0002%、B0.0008%であった。
(実施例10)
図13に示すように、回転冷却体130、230、330を配置した溶湯保持槽13、23、33の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個、3次ラインでは3個に設定した連続3回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン、2次ライン及び3次ラインにおける各溶解炉11、21、31の次段に配置した撹拌槽12、22、32にホウ素を濃度が0.015%になるように添加した。
【0098】
このとき、各ラインにおいてB添加した撹拌槽12、22、32と溶湯保持槽13、23、33の間に、分離槽16、26、35を設置して用いた。回転冷却体(材質カーボン)の回転数、冷却条件、溶湯浸漬時間等の精製条件は実施例1と同じである。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ライン、3次ラインともに同じ条件で実施した。回収率は73.8%である。
【0099】
このときに3次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0006%、Si0.0012%、Ti0.0001%以下、V0.0001%、B0.0007%であった。
(実施例11)
図14に示すように、回転冷却体130、230、330、430を配置した溶湯保持槽13、23、33、43の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個、3次ラインでは3個、4次ラインでは2個に設定した連続4回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン、2次ライン、3次ライン及び4次ラインにおける各溶解炉11、21、31、41の次段に配置した撹拌槽12、22、32、42にホウ素を濃度が0.015%になるように添加した。
【0100】
回転冷却体(材質カーボン)の回転数、冷却条件、溶湯浸漬時間等の精製条件は実施例1と同じである。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ライン、3次ライン、4次ラインともに同じ条件で実施した。回収率は75%である。
【0101】
このときに4次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0003%、Si0.0007%、Ti0.0001%以下、V0.0001%、B0.0004%であった。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】この発明の一実施形態に係る高純度アルミニウムの連続精製システムの構成を示す図である。
【図2】図1のシステムの一部のラインの構成を詳細に示す図である。
【図3】この発明の他の実施形態に係る高純度アルミニウムの連続精製システムの構成を示す図である。
【図4】実施例1で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図5】実施例2で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図6】実施例3で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図7】実施例4で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図8】実施例5で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図9】比較例6で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図10】実施例7で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図11】実施例8で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図12】実施例9で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図13】実施例10で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【図14】実施例11で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0103】
11、21、31、41 溶解炉
12、22、32、42 撹拌槽
13、23、33、43 溶湯保持槽
130、230、330 回転冷却体
16、26、35 分離槽
15、25、36 樋
27、37 溶湯戻し装置
60 溶湯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムを溶解するための溶解炉と、前記溶解炉からの溶湯が順に送り込まれる、直列的に連結された複数の溶湯保持槽と、各溶湯保持槽と対を成し、溶湯内で高純度アルミニウムを晶出させるための回転冷却体と、を備え、最終の溶湯保持槽から系外へ溶湯が排出される一連の装置を1組のラインとし、
前記ラインが複数組用いられたN次ライン(ただし2≦N)からなり、(n−1)次ライン(ただし2≦n≦N)で回転冷却体に付着凝固して回収された高純度アルミニウム塊は、続くn次ラインの溶解炉で溶解され、溶解炉で溶解された溶湯が順々に溶湯保持槽を通り、排出されるものとなされ、
かつ、n次ラインの前記溶湯保持槽及び該保持槽と対に配置された前記回転冷却体の数は、(n−1)次ラインのそれより少ないことを特徴とする高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項2】
ラインの次数Nが2または3であることを特徴とする請求項1に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項3】
前記複数組のラインの内、1つあるいは複数のラインの溶解炉にホウ素が添加されることを特徴とする請求項1または2に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項4】
溶解炉と溶湯保持槽の間に、ホウ素の添加が可能な撹拌槽が設置され、前記溶解炉から撹拌槽までの間のいずれかの場所においてホウ素が添加されるものとなされていることを特徴とする請求項3に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項5】
溶解炉と溶湯保持槽の間に、包晶不純物を不溶性ホウ素化合物として分離抽出が可能な分離槽が設置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項6】
アルミニウムを溶解するための溶解炉と、前記溶解炉からの溶湯が順に送り込まれる、直列的に連結された複数の溶湯保持槽と、各溶湯保持槽と対を成し、溶湯内で高純度アルミニウムを晶出させるための回転冷却体と、を備え、最終の溶湯保持槽から系外へ溶湯が排出される一連の装置を1組のラインとし、
前記ラインが複数組用いられたN次ライン(ただし2≦N)からなり、(n−1)次ライン(ただし2≦n≦N)で回転冷却体に付着凝固して回収された高純度アルミニウム塊は、続くn次ラインの溶解炉で溶解され、溶解炉で溶解された溶湯が順々に溶湯保持槽を通り、排出されるものとなされ、
1次ラインで排出される溶湯はライン外に排出される一方、n次ラインで排出される溶湯は(n−1)次ラインの溶解炉に戻されるものとなされ、
かつ、n次ラインの前記溶湯保持槽及び該保持槽と対に配置された前記回転冷却体の数は、(n−1)次ラインのそれより少ないことを特徴とする高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項7】
ラインの次数Nが2または3であることを特徴とする請求項6に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項8】
前記複数組のラインの内、1つあるいは複数のラインの溶解炉にホウ素が添加されることを特徴とする請求項6または7に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項9】
溶解炉と溶湯保持槽の間に、ホウ素の添加が可能な撹拌槽が設置され、前記溶解炉から撹拌槽までの間のいずれかの場所においてホウ素が添加されるものとなされていることを特徴とする請求項8に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項10】
溶解炉と溶湯保持槽の間に、包晶不純物を不溶性ホウ素化合物として分離抽出が可能な分離槽が設置されていることを特徴とする請求項8または9に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項1】
アルミニウムを溶解するための溶解炉と、前記溶解炉からの溶湯が順に送り込まれる、直列的に連結された複数の溶湯保持槽と、各溶湯保持槽と対を成し、溶湯内で高純度アルミニウムを晶出させるための回転冷却体と、を備え、最終の溶湯保持槽から系外へ溶湯が排出される一連の装置を1組のラインとし、
前記ラインが複数組用いられたN次ライン(ただし2≦N)からなり、(n−1)次ライン(ただし2≦n≦N)で回転冷却体に付着凝固して回収された高純度アルミニウム塊は、続くn次ラインの溶解炉で溶解され、溶解炉で溶解された溶湯が順々に溶湯保持槽を通り、排出されるものとなされ、
かつ、n次ラインの前記溶湯保持槽及び該保持槽と対に配置された前記回転冷却体の数は、(n−1)次ラインのそれより少ないことを特徴とする高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項2】
ラインの次数Nが2または3であることを特徴とする請求項1に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項3】
前記複数組のラインの内、1つあるいは複数のラインの溶解炉にホウ素が添加されることを特徴とする請求項1または2に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項4】
溶解炉と溶湯保持槽の間に、ホウ素の添加が可能な撹拌槽が設置され、前記溶解炉から撹拌槽までの間のいずれかの場所においてホウ素が添加されるものとなされていることを特徴とする請求項3に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項5】
溶解炉と溶湯保持槽の間に、包晶不純物を不溶性ホウ素化合物として分離抽出が可能な分離槽が設置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項6】
アルミニウムを溶解するための溶解炉と、前記溶解炉からの溶湯が順に送り込まれる、直列的に連結された複数の溶湯保持槽と、各溶湯保持槽と対を成し、溶湯内で高純度アルミニウムを晶出させるための回転冷却体と、を備え、最終の溶湯保持槽から系外へ溶湯が排出される一連の装置を1組のラインとし、
前記ラインが複数組用いられたN次ライン(ただし2≦N)からなり、(n−1)次ライン(ただし2≦n≦N)で回転冷却体に付着凝固して回収された高純度アルミニウム塊は、続くn次ラインの溶解炉で溶解され、溶解炉で溶解された溶湯が順々に溶湯保持槽を通り、排出されるものとなされ、
1次ラインで排出される溶湯はライン外に排出される一方、n次ラインで排出される溶湯は(n−1)次ラインの溶解炉に戻されるものとなされ、
かつ、n次ラインの前記溶湯保持槽及び該保持槽と対に配置された前記回転冷却体の数は、(n−1)次ラインのそれより少ないことを特徴とする高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項7】
ラインの次数Nが2または3であることを特徴とする請求項6に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項8】
前記複数組のラインの内、1つあるいは複数のラインの溶解炉にホウ素が添加されることを特徴とする請求項6または7に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項9】
溶解炉と溶湯保持槽の間に、ホウ素の添加が可能な撹拌槽が設置され、前記溶解炉から撹拌槽までの間のいずれかの場所においてホウ素が添加されるものとなされていることを特徴とする請求項8に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
【請求項10】
溶解炉と溶湯保持槽の間に、包晶不純物を不溶性ホウ素化合物として分離抽出が可能な分離槽が設置されていることを特徴とする請求項8または9に記載の高純度アルミニウムの連続精製システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−24234(P2009−24234A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189971(P2007−189971)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
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