説明

高純度(メタ)アクリル酸エステルの製造方法

【課題】工業的に優位で、しかも高純度で得られる新規(メタ)アクリル酸エステルの製造方法の提供。
【解決手段】下記式(1)


(式中、R及びRは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。)で表されるD−グルクロノ−6,3−ラクトンから派生するヒドロキシ化合物を(メタ)アクリル化する方法において、(メタ)アクリル化反応後に晶析工程により生成物の精製をすることを特徴とする高純度(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
10,10−ジメチル−4−オキソ−3,7,9,11−テトラオキサトリシクロ[6.3.0.02,6]ウンデカン−5−イル=(メタ)クリレートで代表される(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に係る。当該(メタ)アクリル酸エステルは新規な極性基含有単量体であり、塗料用樹脂などに有用である。
【背景技術】
【0002】
本発明の新規な(メタ)アクリル酸エステルは酸素原子を多く含む環状骨格を有するエステルであり、塗料用樹脂として耐水性や金属密着性など高機能な要素を含む。原料としてはD−グルクロノ−6,3−ラクトンを出発原料とするものであり、原料面でも工業的に供給される可能性は高い。しかし、今までに、本発明のその効果的な製造方法は提案されていない。
【0003】
塗料向けの(メタ)アクリル酸エステルとしてやはり高機能な樹脂原料であるものは提案(特許文献1)されているが、特に(メタ)アクリル酸エステルの製法を説明するものではない。しかも塗料に使用されるためには高純度なエステルが必要であるが、その精製方法についても提案はない。
【特許文献1】特開平06−145105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の新規(メタ)アクリル酸エステルをD−グルクロノ−6,3−ラクトンから派生するヒドロキシ化合物から工業的に優位で、しかも高純度で得られる製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】

本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、D−グルクロノ−6,3−ラクトンから派生するヒドロキシ化合物を(メタ)アクリル酸クロライド又は(メタ)アクリル酸無水物を使用するエステル化方法により対応するエステルを合成した後、適切な晶析方法を行うことで高純度の(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法を発見することにより本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明は、下記式(1)
【0007】
【化1】

(式中、R及びRは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。)
で表される化合物を(メタ)アクリル化することにより、下記式(2)
【0008】
【化2】

(式中、R及びRは前記に同じで、Rは水素原子又はメチル基である。)
で表される(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法において、(メタ)アクリル化反応後に晶析工程により生成物の精製をすることを特徴とする高純度(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供する。
【0009】
また本発明は、(メタ)アクリル化反応において、(メタ)アクリル化剤として(メタ)アクリル酸クロライドまたは(メタ)アクリル酸無水物を使用することを特徴とする前記記載の高純度(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供する。
【0010】
更に本発明は、前記式(2)で示される(メタ)アクリル酸エステルが10,10−ジメチル−4−オキソ−3,7,9,11−テトラオキサトリシクロ[6.3.0.02,6]ウンデカン−5−イル=(メタ)クリレートであることを特徴とする前記記載の高純度(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
【0011】
本発明はまた、晶析工程では反応後の反応溶液に貧溶媒を添加することを特徴とする前記記載の高純度(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供する。
【0012】
更に本発明はまた、析出した結晶を貧溶媒にて洗浄することを特徴とする前記記載の高純度(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書においてアクリル基であるアクリルとメタクリル基であるメタクリルを総称して(メタ)アクリルとして記載する。
【0014】
本発明はD−グルクロノ−6,3−ラクトンを塗料用樹脂原料として応用を可能とする製造方法を提供するものである。前記式(1)で示される化合物を以降ヒドロキシラクトン(略称HL)と呼び、前記式(2)で示される本発明の新規な(メタ)アクリル酸エステルを新規エステル(略称MAE)と呼ぶことがある。また、D−グルクロノ−6,3−ラクトンを単にグルコノラクトンと呼ぶこともある。また、(メタ)アクリル化剤である(メタ)アクリル酸クロライドを酸クロ(MCL)、(メタ)アクリル酸無水物を単に酸無水物(MAA)と呼ぶこともある。
【0015】
前記式(1)で示されるヒドロキシラクトンはグルコノラクトンと各種ケトンとの縮合反応により合成される。その反応式は下記式によって示される。
【0016】
【化3】

(式中、R及びRは前記に同じ。)
前記式で示されるように、(メタ)アクリル化反応は(メタ)アクリル化剤として(メタ)アクリル酸クロライド又は(メタ)アクリル酸無水物が使用される。(メタ)アクリル化反応としては、酸触媒下で(メタ)アクリル酸による脱水エステル化反応が一般的であるが、分解反応が激しいためか工業的に採用される方法とはいえない。
【0017】
(メタ)アクリル酸クロライドは常温放置すると2量化反応を起こしやすく、蒸留精製後、または高純度品を購入後は低温保存することが必要である。(メタ)アクリル酸エステルは通常は高純度品が望まれており、従って、使用する(メタ)アクリル酸クロライドの純度も高純度のものを使用することが好ましい。通常使用される(メタ)アクリル酸クロライドの純度は96重量%以上であり、好ましくは97重量%以上である。96重量%未満の純度の(メタ)アクリル酸クロライドを使用すると生成する(メタ)アクリル酸エステルの純度が低下し、余計な精製工程が必要とされる。
【0018】
使用されるヒドロキシラクトン(HL)と(メタ)アクリル酸クロライド(MCL)とのモル比は特に限定されるものではないが、通常はHL/MCL=0.5〜1.5である。好ましくは、0.6〜1.4であり、特に好ましくは、0.7〜1.3程度である。0.5より小さいとMCLが大過剰となり、残存MCLの処理も必要になるし、経済的ではない。また、1.5より大きいと、HLが過剰となり後処理でHLの分離が難しくなる。
【0019】
使用されるヒドロキシラクトン(HL)と(メタ)アクリル酸無水物(MAA)とのモル比は特に限定されるものではないが、通常はHL/MAA=0.5〜1.5である。好ましくは、0.6〜1.4であり、特に好ましくは、0.7〜1.3程度である。0.5より小さいとMAAが大過剰となり、残存MAAの処理も必要になるし、経済的ではない。また、1.5より大きいと、HLが過剰となり後処理でHLの分離が難しくなる。
【0020】
ヒドロキシラクトンと(メタ)アクリル酸クロライドとの反応は溶媒を使用した溶液中で反応させる。使用される溶媒としては非水溶性溶媒が好ましい。
【0021】
非水溶性溶媒とは、芳香族炭化水素類、エステル類、ケトン類、エーテル類の中で水に不溶のものを言う。例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジプロピルケトン等のケトン類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類などが挙げられる。これらの溶媒は混合使用されてもかまわない。中でも、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類及び酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類が好ましい。
【0022】
また、このエステル化反応は比較的低温度で行うことが好ましい。通常は50℃以下であり、好ましくは40℃以下である。50℃より高い温度でも可能ではあるが、高い温度を採用するとそれだけ重合反応が無視できなくなる。また、(メタ)アクリル酸クロライド又は(メタ)アクリル酸無水物は最初に反応機にすべてを仕込むのではなく、滴下ロートより滴下しながら反応させることが好ましい。最初からすべて仕込むと反応が激しく、適切な温度が維持できない。
【0023】
本反応では(メタ)アクリル酸クロライドから塩素が塩化水素の形で発生するために塩化水素補足剤が必要である。塩化水素補足剤としては塩基性物質であれば使用できる。無機塩基性物質としては、アルカリ金属の炭酸塩や炭酸水素塩などが使用できる。有機塩基性物質としては3級アミン類が使用できる。中でも有機塩基性物質である3級アミン類が好ましい。3級アミン類としては、例えば、トリエチルアミンやトリプロピルアミン等のトリアルキルアミン、ピリジンやピコリン等のピリジン塩基類が挙げられる。
【0024】
同様に(メタ)アクリル酸無水物を使用した時も前記した塩基性物質を使用することが好ましい。
【0025】
塩化水素補足剤の使用量としては、通常は使用されるMCL又はMAAのモル数に対して、0.8〜10倍モルであり、好ましくは0.9〜8倍モル、特に好ましくは、1.0〜7倍モル程度である。塩化水素補足剤がMCLのモル数に対して0.8倍未満では残存MCL又はMAAの処理が必要になり、10倍モルを超えると過剰であり経済的ではない。
【0026】
また、反応時間はMCLまたはMAA滴下後に熟成時間をとることにより収率が向上するので好ましい。熟成時間は特に限定されるものではないが、通常は0.5時間から15時間程度である。
【0027】
反応終了後反応液は濃縮されて貧溶媒が加えられて冷却静置する事で結晶が析出する。濃縮された反応液に加えられる貧溶媒の量は使用する溶媒によってもその比は異なっても良い。それぞれ使用される反応溶媒及び貧溶媒の種類によって、あらかじめ最適な比率を求めることが好ましい。
【0028】
析出した結晶はろ過や遠心分離などの固液分離手段によって分離される。分離された結晶は貧溶媒で洗浄することが好ましい。洗浄する洗浄液の量は結晶に対して通常、洗浄溶媒/結晶(重量比)で0.1〜100倍であり、好ましいくは0.2〜50倍、特に好ましくは0.3〜20倍程度である。
【0029】
分別された結晶はそのまま湿結晶として重合に使用することも可能であるが、通常は乾燥することが好ましい。乾燥条件として、温度は100℃以下、好ましくは70℃以下、特に好ましくは50℃以下で実施する。圧力は特に限定されるものではないが、乾燥時間を短縮し、熱履歴を軽減するために減圧下で実施することが好ましい。
【0030】
晶析に使用される貧溶媒としては、生成したエステルを溶解せずに、反応使用した溶媒と混和する性質を有すれば特に限定されるものではない。例えば、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、イソブチルエーテル等のエーテル類;ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール等のアルコール類;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素類;ジイソブチルケトン等のケトン類等が挙げられる。中でも、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、イソブチルエーテル等のエーテル類やヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素類が好ましい。これらの溶媒は単独でも2種類以上混合されて使用されることも可能である。
【0031】
更に、反応前にハイドロキノンやP−メトキシフェノールのような重合禁止剤を添加することも好ましい。
【0032】
生成する新規エステルは原料となるヒドロキシラクトンにより異なる。ヒドロキシラクトンはグルコノラクトンをケトンで縮合反応する時に使用されるケトンの種類によって異なる。それは前記した反応式によって理解されるであろう。つまり、R1及びR2によって異なる。以下にその種類を化合物名示し、それに化合物番号を示した。ヒドロキシラクトンとしては以下に示されるものである。
(HL−1)5−ヒドロキシ−10,10−ジメチル−4−オキソ−3,7,9,11−テトラオキサトリシクロ[6.3.0.02,6]ウンデカン
(HL−2)5−ヒドロキシ−10,10−ジエチル−4−オキソ−3,7,9,11−テトラオキサトリシクロ[6.3.0.02,6]ウンデカン
(HL−3)5−ヒドロキシ−10,10−ジプロピル−4−オキソ−3,7,9,11−テトラオキサトリシクロ[6.3.0.02,6]ウンデカン
(HL−4)5−ヒドロキシ−10,10−ジブチル−4−オキソ−3,7,9,11−テトラオキサトリシクロ[6.3.0.02,6]ウンデカン
(HL−5)5−ヒドロキシ−10−メチル−10−エチル−4−オキソ−3,7,9,11−テトラオキサトリシクロ[6.3.0.02,6]ウンデカン
それぞれに対応する新規エステルとしては、以下に示すものである。
(MAE−1)10,10−ジメチル−4−オキソ−3,7,9,11−テトラオキサトリシクロ[6.3.0.02,6]ウンデカン−5−イル=(メタ)クリレート
(MAE−2)10,10−ジエチル−4−オキソ−3,7,9,11−テトラオキサトリシクロ[6.3.0.02,6]ウンデカン−5−イル=(メタ)クリレート
(MAE−3)10,10−ジプロピル−4−オキソ−3,7,9,11−テトラオキサトリシクロ[6.3.0.02,6]ウンデカン−5−イル=(メタ)クリレート
(MAE−4)10,10−ジブチル−4−オキソ−3,7,9,11−テトラオキサトリシクロ[6.3.0.02,6]ウンデカン−5−イル=(メタ)クリレート
(MAE−5)10−メチル−10−エチル−4−オキソ−3,7,9,11−テトラオキサトリシクロ[6.3.0.02,6]ウンデカン−5−イル=(メタ)クリレート
得られた新規エステルは再結晶、カラムクロマトグラフィー等の精製手段で純度を生成することも可能である。
【実施例】
【0033】
以下に実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0034】
使用原料
ヒドロキシラクトン;Tetrahedron,43(2),415-422(1987)によって合成した。
メタクリル酸クロライド;減圧蒸留精製によりメタクリル酸クロライドの2量体が1重量%以下のものを使用した。使用したものはガスクロマトグラフィーによる純度99.5重量%であった。
メタクリル酸無水物;市販の試薬をそのまま使用した。
【0035】
実施例においては使用した原料及び生成物は略称を用いて記載した。( )内は前記した化合物番号である。
【0036】
実施例1
攪拌機、冷却器及び滴下ローとを備えたガラス製反応容器を窒素置換し、ヒドロキシラクトン(HL−1)120g(0.56モル)、トルエン1200g、トリエチルアミン59.0g(0.58モル)を入れた。攪拌しつつ氷浴で冷却し、5℃まで冷却し、さらにメタクリル酸クロライド58.0g(0.55モル)を30分かけて滴下ロートより滴下した。滴下終了後、水浴で25℃に保温しつつ4時間攪拌した。反応液を水300g、1%塩酸水溶液300gでそれぞれ洗浄した。以上の洗浄は全て液温を25℃以下となるように行った。得られた有機層にP−メトキシフェノール0.5gを添加した後、35℃の水浴で加熱しつつ、液量が約470gになるまで減圧濃縮した。さらに、液温を35℃に保ったままジイソプロピルエーテル500gを1時間かけて添加した。添加後、攪拌シツツ液を氷浴にて冷却し、液温2℃に3時間保った。析出した結晶を吸引ろ過し、2℃に冷却したジイソプロピルエーテル120gで洗った後、湿結晶を減圧乾燥した。乾燥温度は25℃であった。その結果、エステル(MAE−1)の白色結晶116g(収率74%)を得た。得られた結晶をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度は99.4%であった。得られた結晶のNMRデータは以下に示す。
1H−NMR(CDCl
δ1.35(s、3H)、δ1.52(s、3H)、δ2.00(s、3H)、δ4.85(d、1H)、δ4.90(d、1H)、δ5.10(dd、1H)、δ5.55(d、1H)、δ5.73(s、1H)、δ6.02(d、1H)、δ6.32(s、1H)
比較例1
攪拌機、冷却器及び滴下ローとを備えたガラス製反応容器を窒素置換し、ヒドロキシラクトン(HL−1)120g(0.56モル)、トルエン1200g、トリエチルアミン59.0g(0.58モル)を入れた。攪拌しつつ氷浴で冷却し、5℃まで冷却し、さらにメタクリル酸クロライド58.0g(0.55モル)を30分かけて滴下ロートより滴下した。滴下終了後、水浴で25℃に保温しつつ4時間攪拌した。反応液を水300g、1%塩酸水溶液300gでそれぞれ洗浄した。以上の洗浄は全て液温を25℃以下となるように行った。得られた有機層にP−メトキシフェノール0.5gを添加した後、35℃の水浴で加熱しつつ、液量が約470gになるまで減圧濃縮した。濃縮した溶液は室温で静置し、生成した結晶をろ過により採取して、25℃で減圧乾燥し結果、エステル(MAE−1)の白色結晶110g(収率69%)を得たが、ガスクロマトグラフィーによると純度は98.0%であった。
【0037】
実施例2
濃縮液に添加するジイソプロピルエーテル500gに代えてヘキサン500gを使用し、更に洗浄用ジイソプロピルエーテル120gに代えてヘキサン120gを使用した以外は実施例1と同様な操作を実施した。得られたエステル(MAE−1)の白色結晶は115g(収率74%)であった。純度は99.3%であった。
【0038】
実施例3
攪拌機、冷却器及び滴下ローとを備えたガラス製反応容器を窒素置換し、ヒドロキシラクトン(HL−1)120g(0.56モル)、トルエン1200g、トリエチルアミン59.0g(0.58モル)を入れた。攪拌しつつ氷浴で冷却し、5℃まで冷却し、さらにメタクリル酸無水物84.7g(0.55モル)を30分かけて滴下ロートより滴下した。滴下終了後、水浴で25℃に保温しつつ4時間攪拌した。反応液を水300g、1%塩酸水溶液300gでそれぞれ洗浄した。以上の洗浄は全て液温を25℃以下となるように行った。得られた有機層にP−メトキシフェノール0.5gを添加した後、35℃の水浴で加熱しつつ、液量が約470gになるまで減圧濃縮した。さらに、液温を35℃に保ったままジイソプロピルエーテル500gを1時間かけて添加した。添加後、攪拌シツツ液を氷浴にて冷却し、液温2℃に3時間保った。析出した結晶を吸引ろ過し、2℃に冷却したジイソプロピルエーテル120gで洗った後、湿結晶を減圧乾燥した。その結果、エステル(MAE−1)の白色結晶110g(収率69%)を得た。得られた結晶をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度は99.2%であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】

(式中、R及びRは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。)
で表される化合物を(メタ)アクリル化することにより、下記式(2)
【化2】

(式中、R及びRは前記に同じで、Rは水素原子又はメチル基である。)
で表される(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法において、(メタ)アクリル化反応後に晶析工程により生成物の精製をすることを特徴とする高純度(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
【請求項2】
(メタ)アクリル化反応において、(メタ)アクリル化剤として(メタ)アクリル酸クロライドまたは(メタ)アクリル酸無水物を使用することを特徴とする請求項1記載の高純度(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
【請求項3】
前記式(2)で示される(メタ)アクリル酸エステルが10,10−ジメチル−4−オキソ−3,7,9,11−テトラオキサトリシクロ[6.3.0.02,6]ウンデカン−5−イル=(メタ)クリレートであることを特徴とする請求項1記載の高純度(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
【請求項4】
晶析工程では反応後の反応溶液に貧溶媒を添加することを特徴とする請求項1記載の高純度(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
【請求項5】
析出した結晶を貧溶媒にて洗浄することを特徴とする請求項4記載の高純度(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。