説明

高純度2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法

【課題】電子工業用、耐熱性樹脂等の高機能性樹脂原料として用いられる高純度2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法を提供する。
【解決手段】2−アダマンタノン類、2−アルキル−2−アダマンタノールまたは2−アルキリデンアダマンタンを原料として、下記構造式(1)で示す2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類を製造する方法において、粗2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類を精製する際の晶析操作時に、ニトロソ系重合禁止剤を2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類に対し、0.0001〜0.5重量%添加することを特徴とする高純度2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子工業用、耐熱性樹脂等の高機能性樹脂原料として用いられる2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アダマンチル基を持つモノマーは、一般に電子工業用、耐熱性樹脂等の高機能性樹脂原料として使用されているが、近年、特に半導体の製造においてフォトレジスト用モノマーとして用いられている。電子工業用に用いられる工業用薬品類は、各種不純物を極力低減化した高純度薬品が使用されるが、フォトレジスト用モノマーとして用いられる2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類も同様に高純度化が要求されている。具体的には、金属不純物類、ハロゲン類、原料や生成物に起因するオリゴマー類等の重合物を含む有機不純物の低減等が挙げられており、その中でも基板回路の微細化進展に伴ってオリゴマー類等の重合物を含む有機不純物の低減化が要望されている。
【0003】
2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類する方法としては、2−アダマンタノンまたは2−アダマンタノン誘導体をGrignard試薬またはアルキルLi試薬と反応させることによって生成する2−アルキル−2−アダマンタノール誘導体を反応中間体とし、(メタ)アクリル酸誘導体と反応させる方法が知られている(特許文献1)。しかし、上記の方法では、微量金属不純物のほか、(メタ)アクリル酸誘導体の重合物が副生成物として多量に存在するため、高純度2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類を得るには蒸留精製が有効な方法であった。
【0004】
例えば、蒸留前にメタノールを貧溶媒として再沈によりポリマーの一部を除去後、減圧蒸留によって高純度2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類を得る方法および、シリカゲル、活性炭等の吸着剤を用いて不純物を除去後、減圧蒸留によって高純度2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類を得る方法(特許文献2)等の報告があるが、いずれも、留出と共に発生する蒸留釜内の粘度上昇および留出率低下から、経済性、安全性、効率の面で問題があった。
【0005】
これらを解決する手法として、ポリマー再沈工程、吸着剤工程などを経ずに高純度2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類を得る方法として、低粘度且つ高沸点化合物を蒸留原料とすることで、効率良く高純度品を得る方法もある(特許文献3)。しかし、蒸留中に生成し、留分に混入する生成するオリゴマー類等の重合物を含む有機不純物の除去は完全ではなく、その後、晶析操作により更なる高純度化を行う必要があった。
【0006】
一方、蒸留以外の方法として、晶析による精製が挙げられる。晶析操作で、特定の分子量範囲のオリゴマー不純物を除去し、高純度品を得る方法(特許文献4)もあるが、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類についての検討は十分とは言えない。晶析中の重合防止措置としては、p−メトキシフェノール、メチルハイドロキノン等、一般に市販されている公知の重合禁止剤の使用が良く知られた手段である。これらフェノール系重合禁止剤は、単独添加では効果が小さく、ラジカルトラップを効率良く行うために酸素の存在が不可欠であるが、常温以下で操作する晶析工程では酸素の存在により、爆発範囲組成を形成する可能性が高く、有機溶媒中に連続的に酸素を導入することは、爆発火災防止の観点から問題があった。
【0007】
さらに、フェノール系重合禁止剤は多量に使用すると、晶析操作後の製品中にそれ自体が残存して純度低下を招き、更に製品の着色やレジストポリマー重合時に反応速度が変化するなどの問題がある。この様に、電子工業用に用いられる高純度2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類を製造する上で、オリゴマー類等の重合物を含む有機不純物の低減化については有効な手段は無く、高純度化要求に対して対応が望まれていた。
【特許文献1】国際公開第01/87817号パンフレット
【特許文献2】特開2001−201868号公報
【特許文献3】特開2005−089421号公報
【特許文献4】特開2005−104964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、精製工程中の晶析操作時におけるオリゴマー等の重合物を含む有機不純物の生成を抑制し、目的物より高分子量の有機不純物を低減化した高純度2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決し、目的物より高分子量の有機不純物を低減化した高純度2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類を製造する方法について鋭意研究を重ねた結果、精製工程中の晶析操作において、ニトロソ系重合禁止剤を所定量添加することで、課題であったフェノール系重合禁止剤の多量使用による純度低下や着色を回避し、最終製品中に含まれる高分子量の有機不純物を低減した高純度2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類を得る方法を見出して本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、2−アダマンタノン類、2−アルキル−2−アダマンタノールまたは2−アルキリデンアダマンタンを原料として、下記構造式(1)で示す2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類を製造する方法において、粗2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類を精製する際の晶析操作時に、ニトロソ系重合禁止剤を2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類に対し、0.0001〜0.5重量%添加することを特徴とする高純度2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法を用いることにより、オリゴマー等の重合物を含む高分子量有機不純物の生成を抑制した高純度2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明において対象となる2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類は、下記式(1)で示される。
【0013】
【化1】

(式中、Yは同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン含有アルキル基、ハロゲン基、またはエーテル基を有する炭化水素基を示し、n=1〜14の整数を示す。R1〜R4は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の炭化水素基、または炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基を示す。)
【0014】
本発明で対象となる2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類は、2−アダマンタノンまたは2−アダマンタノン誘導体と、Grignard試薬、アルキルMg試薬、またはアルキルLi試薬とを反応させることによって2−アルキル−2−アダマンタノール誘導体に変え、直接(メタ)アクリル酸ハライド、(メタ)アクリル酸無水物、または(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸誘導体とを反応させることによって製造したもの、2−アルキル−2−アダマンタノールに(メタ)アクリル酸ハライド、(メタ)アクリル酸無水物、または(メタ)アクリル酸エステルとを反応させることによって製造したもの、2−アルキリデンアダマンタンに(メタ)アクリル酸を付加させることによって製造したもの何れでもよい。
【0015】
製造された粗2−アルキル−2−アダマンタチル(メタ)アクリレート類中には、通常、重合もしくは分解因子となり得る不純物が含まれるため、これらを除去するために水洗を行い、その後、濃縮したものを精製原料とする。このとき、洗浄水中に塩化ナトリウムや炭酸水素ナトリウム等、適当な無機塩が含まれていてもよい。水洗回数に制限はなく、不純物含有量に応じ、任意の回数行うことができる。
【0016】
晶析前に公知の方法で蒸留操作を加えることができる。蒸留の方法に特に制限はなく、単蒸留、フラッシュ蒸留、精密蒸留、薄膜蒸留等いずれの方法も適用可能である。蒸留の温度条件については、目的とする粗2−アルキル−2−アダマンタチル(メタ)アクリレート類により異なるが、好ましくは200℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。温度がこれ以上高い場合、目的物自身の分解により、収率が下がり好ましくない。また圧力条件については、好適な温度条件に対応して留出する圧力以下であれば、特に制限はない。
【0017】
蒸留を行う際には、重合禁止剤を添加することによって、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類の重合物の副生を抑えることができる。特に、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、N−ニトロソ−N−(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソ−N−メチルアニリンの重合禁止効果が高い。
【0018】
また、前記の重合禁止剤以外に、他の重合禁止剤を共存させるとより、蒸留中の重合抑制効果が高まる場合がある。そのような重合禁止剤として、ニトロソナフトール、p−ニトロソフェノール、N,N’−ジメチル−p−ニトロソアニリンなどのニトロソ化合物、フェノチアジン、メチレンブルー、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどの含硫黄化合物、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、4−ヒドロキシジフェニルアミン、アミノフェノールなどのアミン類、ヒドロキシキノリン、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、p−ベンゾキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテルなどのキノン類、メトキシフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、カテコール、3−s−ブチルカテコール、2,2−メチレンビス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)などのフェノール類、N−ヒドロキシフタルイミドなどのイミド類、シクロヘキサンオキシム、p−キノンジオキシムなどのオキシム類、ジアルキルチオジプロピネート類などが挙げられる。一方、これらの重合禁止剤を単独で用いても、重合禁止効果はほとんどみられない。
添加する重合禁止剤量として、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類に対して、0.0001〜0.5重量%添加する。少ない場合は重合禁止効果が十分ではなく、一方、多い場合でも重合禁止効果の向上は見られない。
【0019】
本発明において、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類の晶析時に添加されるニトロソ系重合禁止剤は、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、N−ニトロソジフェニルアミン、N,N‘−ジメチル−p−ニトロソアニリン、p−ニトロソフェノール、N−ニトロソ−N−メチルアニリン、p−トルエンスルホニル−N−メチル−N−ニトロソアミド、1−ニトロソ−2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン等が挙げられる。特に、金属不純物の混入防止を目的とする場合にはN−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウムが好ましく、それ以外の用途ではN−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウムを単独又は組み合わせて用いても良い。
【0020】
晶析時に用いるニトロソ系重合禁止剤の添加量は、有機相中の2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類に対して0.0001〜0.5重量%の範囲で添加することが好ましく、添加量がこれ以上少ない場合は、重合禁止効果が十分で無く、また多い場合は重合禁止剤の残留による純度低下や、レジストポリマー重合時の反応速度に影響を与えるため好ましくない。ニトロソ系重合禁止剤を添加する方法については、粉体を直接添加しても良いし、予め晶析操作に影響を与えない有機溶媒に溶解してから添加しても良い。
【0021】
晶析に用いる溶媒種、溶媒量について特に制限はなく、目的とする2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類の溶解度等を加味し、任意に選択することができるが、ニトリル類や低級アルコール等の親水性有機溶媒の使用が高回収であるため、良好なことが多い。操作は、濃縮晶析や冷却晶析など公知の晶析法を用いることが出来る。濃縮晶析では、対象となる目的物の性質に依存するが、一般的に常圧ないしは減圧下、20〜80℃で実施することが好ましく、更に好ましくは10〜40℃の範囲である。一方、冷却晶析の場合は、制御が可能であれば下限温度は特に制限を受けない。また、晶析操作については、純度向上など所望に応じて2回以上実施しても良い。この他に、結晶化を容易にするために種結晶を添加しても良い。さらに、晶析操作に用いる装置や材質は特に制限が無く、目的物の性質や最終用途などを勘案して選択することが出来る。
【0022】
このようにして得た2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類について、前述のニトロソ系重合禁止剤を添加し、晶析操作を行う。晶析後は、濾別あるいは遠心分離により湿結晶を取出し、リンス、乾燥した後、さらに必要に応じて再結晶を施すことにより目的生成物を単離できる。リンスでは前記晶析に使用した溶媒等を使用すれば良く、また、乾燥法は風乾や減圧乾燥等の慣用の方法が採用できる。さらに再晶析を行う場合には、前述した晶析の条件に準じてニトロソ系重合禁止剤を再び添加することができる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例を挙げて本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に何ら制約されるものではない。尚、以下の文中で高分子量有機不純物はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算量で示した。
【0024】
合成例1(2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート)
2−アダマンタノンにエチルリチウムを反応させ、2−エチル−2−リチウムアルコラートを中間体とし、メタクリル酸メチルとのエステル交換反応で合成した2−エチル−2−アダマンチルメタクリレートを5%硫酸で酸洗後、水洗を2回行い、その後、反応溶媒を濃縮して純度85%の粗2−エチル−2−アダマンチルメタクリレートを得た。
得られた粗2−エチル−2−アダマンチルメタクリレートについて、重合禁止剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシルを50ppm、2−メルカプトベンゾイミダゾールを500ppm添加して、オルダーショウ式蒸留装置で真空度40〜60Pa、液温112〜115℃で減圧蒸留を行った。本留として純度95.5%、オリゴマー等の有機不純物が3800ppmの2−エチル−2−アダマンチルメタクリレートを収率70%で得た。
【0025】
合成例2(2−エチル−2−アダマンチルアクリレート)
2−アダマンタノンにエチルリチウムを反応させ、2−エチル−2−リチウムアルコラートを中間体とし、アクリル酸無水物とのエステル交換反応で合成した2−エチル−2−アダマンチルアクリレートを5%硫酸で酸洗後、水洗を2回行い、その後、反応溶媒を濃縮して純度82%の粗2−エチル−2−アダマンチルアクリレートを得た。
得られた粗2−エチル−2−アダマンチルアクリレートについて、合成例1と同様に重合禁止剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシルを50ppm、2−メルカプトベンゾイミダゾール500ppmを添加して、オルダーショウ式蒸留装置で真空度40〜60Pa、液温110〜113℃で減圧蒸留を行った。本留として純度94.2%、オリゴマー等の有機不純物が6000ppmの2−エチル−2−アダマンチルメタクリレートを収率67%で得た。
【0026】
実施例1(2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート)
合成例1の本留分について、アセトニトリル80重量%を添加し30℃にて均一溶液とし、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウムを2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート類に対し0.1重量%となるように加えた。本溶液を攪拌しながら、液温5℃まで冷却後、固液分離を行った。湿結晶について、予め5℃に保冷したアセトニトリル50重量%で2回リンスを施した後、室温下660Paにて減圧乾燥を行った。こうして得られた精製2−エチル−2−アダマンチルメタクリレートを分析した結果、純度99.4%、高分子量有機不純物含量60ppmであった。
【0027】
実施例2(2−エチル−2−アダマンチルアクリレート)
合成例1の本留分について、アセトニトリル80重量%を添加し30℃にて均一溶液とし、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウムを2−エチル−2−アダマンチルアクリレート類に対し0.1重量%となるように加えた。液温5℃まで冷却後、固液分離を行った。湿結晶について、予め5℃に保冷したアセトニトリル50重量%で2回リンスを施した後、室温下660Paにて減圧乾燥を行った。こうして得られた精製2−エチル−2−アダマンチルメタクリレートを分析した結果、純度99.2%、高分子量有機不純物含量90ppmであった。
【0028】
比較例1(2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート)
実施例1のN−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウムを0.1重量%加える代わりに、4−メトキノンを0.6重量%添加し、空気を連続的に吹込んだ以外は同様の操作を行った。こうして得られた2−エチル−2−アダマンチルメタクリレートを分析した結果、純度99.0%、高分子量有機不純物含量400ppmであった。
【0029】
比較例2(2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート)
実施例1でN−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン塩の添加を行わなかった以外は同様の操作を行った。こうして得られた2−エチル−2−アダマンチルメタクリレートを分析した結果、純度99.3%、高分子量有機不純物含量2000ppmであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−アダマンタノン類、2−アルキル−2−アダマンタノールまたは2−アルキリデンアダマンタンを原料として、下記構造式(1)で示す2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類を製造する方法において、粗2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類を精製する際の晶析操作時に、ニトロソ系重合禁止剤を2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類に対し、0.0001〜0.5重量%添加することを特徴とする高純度2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法。
【化1】

(式中、Yは同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン含有アルキル基、ハロゲン基、またはエーテル基を有する炭化水素基を示し、n=1〜14の整数を示す。R〜Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の炭化水素基、または炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基を示す。)
【請求項2】
ニトロソ系重合禁止剤がN−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン塩であることを特徴とする請求項1記載の高純度2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法。

【公開番号】特開2007−277118(P2007−277118A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102853(P2006−102853)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】