説明

高透過率の超吸水性ポリマー組成物を含む吸収性物品

【課題】高透過率の超吸水性ポリマー組成物を含む吸収性物品を提供する。
【解決手段】本発明の吸収性物品は、トップシート、バックシート、及び、トップシートとバックシートとの間に配置された吸収コアを備える。前記吸収性コアは、超吸水性ポリマー及び表面添加物を含有する超吸水性ポリマー組成物を含む。前記超吸水性ポリマーは、(a)前記超吸水性ポリマーの総量に基づいて約55重量%ないし約99.9重量%の重合可能な不飽和の酸性基含有モノマーと、(b)前記重合可能な不飽和の酸性基含有モノマーの総量に基づいて、約0.001重量%ないし約5重量%の内部架橋剤とを含む。前記超吸水性ポリマー組成物は、遠心保持容量試験で測定された少なくとも約30g/gの遠心保持容量と、自由膨潤ゲルベッド透過率試験で測定された少なくとも約10ダルシーの自由膨潤ゲルベッド透過率とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高透過率の超吸水性ポリマー組成物を含む吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品などの物品は、人体から分泌または排泄される液体を含む様々な種類の液体を吸収するのに有用である。そのような物品の吸収性を向上させるために、吸収性物品には超吸水性ポリマー(Superabsorbent polymer:SAP)がよく使用される。SAPは一般的にポリマーベースであり、例えば粉末、顆粒、微小粒子、膜及び繊維などの様々な形態で利用可能である。そのようなSAPは、液体と接触したときにその構造内に液体を吸収して膨張する。一般的に、SAPは、物品内に浸入した液体を素早く吸収することができると共に、漏出を防ぐため及び液体の浸入後でも乾いた感触を提供するために吸収した液体を保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】PCT国際公開第WO2000/37009号公報
【特許文献2】米国特許第4,940,464号明細書
【特許文献3】米国特許第5,766,389号明細書
【特許文献4】米国特許第6,645,190号明細書
【特許文献5】米国特許第5,883,028号明細書
【特許文献6】米国特許第5,116,662号明細書
【特許文献7】米国特許第5,114,781号明細書
【特許文献8】米国特許第6,552,245号明細書
【特許文献9】米国特許第6,641,134号明細書
【特許文献10】米国特許第5,486,166号明細書
【特許文献11】米国特許第5,490,846号明細書
【特許文献12】米国特許第5,820,973号明細書
【特許文献13】米国特許第3,849,241号明細書
【特許文献14】米国特許第5,350,624号明細書
【特許文献15】米国特許第4,100,324号明細書
【特許文献16】米国特許第4,587,154号明細書
【特許文献17】米国特許第4,604,313号明細書
【特許文献18】米国特許第4,655,757号明細書
【特許文献19】米国特許第4,724,114号明細書
【特許文献20】米国特許第4,100,324号明細書
【特許文献21】英国特許第GB2,151,272号明細書
【特許文献22】米国特許第6,362,389号明細書
【特許文献23】米国特許出願第10/883174号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】NRL Report 4364, "Manufacture of Super-Fine Organic Fibers" by V. A. Wendt, E. L. Boone and C. D. Fluharty
【非特許文献2】NRL Report 5265, "An Improved Device For the Formation of Super-Fine Thermoplastic Fibers" by K. D. Lawrence, R. T. Lukas and J. A. Young
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸収性物品の性能を向上させるための努力が継続的になされており、特に流体飽和レベルが高い場合における吸収性物品の性能を向上させ、それにより漏出の発生を減少させること並びに装着感及び快適性を向上させることが行われている。このことは、吸収性物品の使用中に吸収性物品が液体の浸入を繰り返し受ける場合は特に重要である。吸収性物品のデザインにおける最近の試みは、吸収性構造体をより薄くかつより柔軟に作製するために、超吸収性材料の濃度を高めること及び繊維の量を少なくすることに概ね集中しているので、吸収性物品の性能向上はますます難しい問題となってきている。しかし、超吸収性材料の濃度を増加させることにより総吸収容量を増加させたとしても、そのような吸収性物品はそれでもやはり使用中に漏出し得る。そのような漏出は、一部には、低透過率及び利用可能な空隙容量の不足などの要因に起因して、物品の吸収性コア構成要素の吸上げ率(すなわち、超吸収性材料による吸収後に、吸収性コアが被吸収液体を吸収及び保持する率)が不十分であることが原因であり得る。そのため、高レベルの超吸収性材料を含有し、かつ十分な吸上げ率を維持することができる吸収性物品が求められている。
【0006】
加えて、十分な吸収性及び/または保持性などの他の特性を維持したままで、透過率を高めた超吸水性ポリマー材料も求められている。透過率は、多孔質構造体(繊維のマットまたは気泡のスラブ、この場合は架橋されたポリマーである)の有効連結性の単位であり、超吸水性ポリマー材料の空隙比及び連結程度を単位として特定することもできる。ゲル透過性は、粒子の集団の全体としての性質であり、粒径分布、粒子形状、及び開孔の連結性、膨潤ゲルの剛性率及び表面改質に関連する。具体的に言うと、超吸水性ポリマー材料の透過率は、液体が膨張粒子の集団をどのくらい素早く通過するかを表す量である。低透過率は、液体が超吸水性ポリマー材料を容易に通過できないことを示し(一般的にゲルブロッキングと呼ばれる)、液体の強制的流動(例えば、吸収性物品の使用中に2回目の尿を吸収するとき)は代替経路を通らなければならない(例えば、漏出)ことを示す。そのため、向上した透過率を示す吸収性物品が求められている。
【0007】
極薄で繊維含有量が少ないおむつの透過率を向上させる1つの方法は、超吸収性材料の架橋結合量を増加させることである。しかし、超吸水性ポリマーの架橋結合を増加させると、超吸水性ポリマーの吸収性及び保持性の値は望ましくない低いレベルに減少する。そのため、無負荷下で液体を保持する高吸収能力、圧力下で液体を保持する高吸収能力、及び/または向上したゲルベッド透過率を含む向上した適用性を示す超吸水性ポリマー組成物を提供することがさらに求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した要望に応えるために、本発明の吸収性物品は、トップシート、バックシート、及び、トップシートとバックシートとの間に配置された吸収コアを備える。
【0009】
いくつかの態様では、前記吸収性コアは、超吸水性ポリマー及び表面添加物を含有する超吸水性ポリマー組成物を含む。前記超吸水性ポリマーは、(a)前記超吸水性ポリマーの総量に基づいて約55重量%ないし約99.9重量%の重合可能な不飽和の酸性基含有モノマーと、(b)前記重合可能な不飽和の酸性基含有モノマーの総量に基づいて、約0.001重量%ないし約5重量%の内部架橋剤とを含み、前記超吸水性ポリマーが、約25%を超える中和度を有し、前記要素(a)及び(b)が、重合化され超吸水性ポリマー粒子に製剤化され、前記表面添加物が、(i)前記超吸水性ポリマー組成物の総量に基づいて約0.001重量%ないし約5重量%の表面架橋剤と、(ii)前記超吸水性ポリマー組成物の総量に基づいて約0.01重量%ないし約2重量%の不水溶性の無機金属化合物と、(iii)前記超吸水性ポリマー組成物の総量に基づいて0重量%ないし約5重量%のポリマーコーティングとを含む。
【0010】
いくつかの態様では、前記吸収性物品における、トップシート、バックシート及び吸収性コアのうちの少なくとも1つは伸縮可能である。他の態様では、前記吸収性コアは、少なくとも30重量%、例えば約60重量%ないし約95重量%などの前記超吸水性ポリマー組成物を含む。さらなる他の態様では、前記吸収性コアは、綿毛をさらに含む。さらに別の態様では、前記吸収性コアは、界面活性剤をさらに含む。
【0011】
いくつかの態様では、前記吸収性コアは、複数の層から成る。いくつかの特定の態様では、前記複数の層のうちの少なくとも1つの層が、実質的に前記超吸水性ポリマー組成物のみから成り、前記複数の層のうちの少なくとも1つの別の層が、実質的に綿毛のみから成る。
【0012】
いくつかの態様では、前記吸収性物品は、パーソナルケア用吸収性物品、保健用/医療用吸収性物品、家庭用/産業用吸収性物品、またはスポーツ用/建設業用吸収性物品から選択される。
【0013】
いくつかの態様では、前記超吸水性ポリマー組成物は、熱処理される。いくつかの特定の態様では、前記超吸水性ポリマー組成物は、約150℃ないし約250℃の温度で熱処理される。
【0014】
いくつかの態様では、前記超吸水性ポリマー組成物は、遠心保持容量試験で測定された少なくとも約30g/gの遠心保持容量と、自由膨潤ゲルベッド透過率試験で測定された少なくとも約10ダルシーの自由膨潤ゲルベッド透過率とを有する。他の態様では、前記超吸水性ポリマー組成物は、遠心保持容量試験で測定された少なくとも約32g/gの遠心保持容量と、自由膨潤ゲルベッド透過率試験で測定された少なくとも約20ダルシーの自由膨潤ゲルベッド透過率とを有する。さらなる他の態様では、前記超吸水性ポリマー組成物は、遠心保持容量試験で測定された少なくとも約32g/gないし約40g/gの遠心保持容量と、自由膨潤ゲルベッド透過率試験で測定された少なくとも約40ダルシーの自由膨潤ゲルベッド透過率とを有する。
【0015】
いくつかの態様では、前記不水溶性無機金属化合物は、金属リン酸塩、チタンホウ酸塩、アルミニウムホウ酸塩、鉄ホウ酸塩、マグネシウムホウ酸塩、マンガンホウ酸塩、カルシウムホウ酸塩から選択される。他の態様では、前記金属リン酸塩は、アルミニウムリン酸塩である。さらなる他の態様では、前記無機金属化合物の粒子は、約2μm未満の質量中央粒径を有する。
【0016】
いくつかの態様では、前記ポリマーコーティングは、前記超吸水性ポリマー組成物の総量に基づいて約0.01重量%ないし約0.5重量%の熱可塑性ポリマーである。他の態様では、前記ポリマーコーティングは、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンアクリル酸コポリマー、スチレンコポリマー、エチレンアルキルメタクリル酸塩コポリマー、ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、または、それらの混合物及びコポリマーから選択される。さらなる他の態様では、前記ポリマーコーティングは、カチオン性ポリマーである。さらに別の態様では、前記ポリマーコーティングは、ポリビニルアミンである。さらなる別の態様では、前記ポリマーコーティングは、マレイン化ポリプロピレンとエチレンアクリル酸コポリマーとの混合物である。
【0017】
いくつかの態様では、前記超吸水性ポリマー組成物の少なくとも約40重量%が、約300μmないし約600μmの粒径を有する。他の態様では、前記超吸水性ポリマー組成物の少なくとも約50重量%が、約300μmないし約600μmの粒径を有する。
【0018】
いくつかの態様では、前記重合可能な不飽和の酸性基含有モノマーの少なくとも約50重量%の酸性基がカルボキシル基を含み、前記酸性基が少なくとも50モル%まで中和されており、前記内部架橋剤が、前記重合可能な不飽和の酸性基含有モノマーの総量に基づいて約0.2重量%ないし約3重量%含まれる。
【0019】
いくつかの態様では、前記不水溶性の無機金属化合物は、前記超吸水性ポリマー粒子の表面に懸濁液形態で塗布される。他の態様では、前記不水溶性の無機金属化合物は、前記超吸水性ポリマー粒子の表面に、乾燥形態で塗布される。
【0020】
ある態様では、吸収性コアを備える吸収性物品であって、前記吸収性コアが、超吸水性ポリマー粒子を含有する超吸水性ポリマー組成物を含み、前記超吸水性ポリマー粒子が、超吸水性ポリマー組成物の総量に基づいて約0.01重量%ないし約2重量%の、不水溶性金属リン酸塩または不水溶性金属ホウ酸塩から選択される無機金属化合物で表面処理された吸収性物品が提供される。
【0021】
いくつかの態様では、前記吸収性物品は、トップシート及びバックシートをさらに有し、前記吸収性コアが、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される。他の態様では、前記トップシート、前記バックシート及び前記吸収性コアのうちの少なくとも1つが伸縮可能である。
【0022】
いくつかの態様では、前記吸収性コアは、少なくとも約30重量%の前記超吸水性ポリマー組成物を含む。いくつかの特定の態様では、前記吸収性コアは、約60重量%ないし約95重量%の前記超吸水性ポリマー組成物を含む。
【0023】
いくつかの態様では、前記吸収性コアは、綿毛をさらに含む。他の態様では、前記吸収性コアは、界面活性剤をさらに含む。
【0024】
いくつかの態様では、前記吸収性コアは、複数の層から成る。いくつかの特定の態様では、前記複数の層のうちの少なくとも1つの層が、実質的に前記超吸水性ポリマー組成物のみから成り、前記複数の層のうちの少なくとも1つの別の層が、実質的に綿毛のみから成る。
【0025】
いくつかの態様では、前記吸収性物品は、パーソナルケア用吸収性物品、保健用/医療用吸収性物品、家庭用/産業用吸収性物品、またはスポーツ用/建設業用吸収性物品から選択される。
【0026】
いくつかの態様では、超吸水性ポリマー組成物は、遠心保持容量試験で測定された少なくとも約30g/gの遠心保持容量と、自由膨潤ゲルベッド透過率試験で測定された少なくとも約10ダルシーの自由膨潤ゲルベッド透過率とを有する。他の態様では、超吸水性ポリマー組成物は、遠心保持容量試験で測定された少なくとも約32g/gの遠心保持容量と、自由膨潤ゲルベッド透過率試験で測定された少なくとも約20ダルシーの自由膨潤ゲルベッド透過率とを有する。
【0027】
いくつかの態様では、前記不水溶性金属ホウ酸塩は、チタンホウ酸塩、アルミニウムホウ酸塩、鉄ホウ酸塩、マグネシウムホウ酸塩、マンガンホウ酸塩、カルシウムホウ酸塩から選択される。他の態様では、前記無機金属化合物の粒子は、約2μm未満の体積平均粒径を有する。
【0028】
いくつかの態様では、前記超吸水性ポリマー組成物の少なくとも約40重量%が、約300μmないし約600μmの粒径を有する。
【0029】
ある態様では、吸収性コアを備える吸収性物品であって、前記吸収性コアが超吸水性ポリマー組成物を含み、前記超吸水性ポリマー組成物が、(a)超吸水性ポリマー粒子を準備するステップと、(b)第1の無機金属塩を含有する第1の溶液を調製するステップと、(c)第2の無機金属塩を含有する第2の溶液を調製するステップと、(d)前記第1及び第2の溶液を前記超吸水性ポリマー粒子に塗布し、不水溶性無機金属塩の沈殿物を前記超吸水性ポリマー粒子の表面またはその近傍に直接的に形成するステップとを含む方法により調製された吸収性物品が提供される。
【0030】
いくつかの態様では、前記吸収性物品はトップシート及びバックシートをさらに備え、前記吸収性コアは前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される。
【0031】
いくつかの態様では、前記第1の無機金属塩には、アルミニウム、チタン、カルシウムまたは鉄から選択されるカチオンが含まれ、前記第2の無機金属塩には、リン酸塩、ホウ酸塩またはクロム酸塩から選択されるアニオンが含まれる。他の態様では、前記第1の無機金属塩は硫硫酸アルミニウムリン酸三ナトリウム14水和物(aluminum sulfate tetradecahydrate trisodium phosphate)であり、前記第2の無機金属塩はリン酸三ナトリウムである。
【0032】
本発明の様々な他の特徴及び利点が以下の説明から明らかになるであろう。以下の説明では、本発明の例示的な実施形態について説明する。そのような実施形態は、本発明の全範囲を表すものではない。それ故、本発明の全範囲を解釈するためには、特許請求の範囲を参照されたい。簡潔さ及び簡明さの理由から、本明細書に記載されているあらゆる数値範囲は、その範囲内の全ての値を含むことを意図するものであり、その範囲内の全ての実数値を末端値とする小範囲を記している特許請求の範囲をサポートするものと解釈される。具体的な例を挙げると、本明細書中における1から5という範囲の開示は、1−5;1−4;1−3;1−2;2−5;2−4;2−3;3−5;3−4;及び4−5の小範囲のいずれに対しても、特許請求の範囲をサポートすると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】自由膨潤ゲルベッド透過率試験に用いられる試験装置を示す側面図である。
【図2】図1に示した自由膨潤ゲルベッド透過率試験装置に含まれるシリンダ/カップアセンブリを示す側断面図である。
【図3】図1に示した自由膨潤ゲルベッド透過率試験装置に含まれるプランジャーを示す上面図である。
【図4】負荷下吸収性試験に用いられる試験装置を示す側面図である。
【図5】飽和容量試験装置の部分破断上面図。
【図6】垂直吸上げ率試験に用いられる試験装置を示す上面図である。
【図7】図6に示した垂直吸上げ率試験に用いられる試験装置の6−6線に沿った側断面図である。
【図8】本発明に従って作製された吸収性物品の一実施形態を示す斜視図である。
【図9】図8に示した吸収性物品の平面図である。吸収性物品は、留められていない、折り畳まれていない、平らに広げられた状態である。装着時にユーザと対向する面が示されており、下層の特徴を示すために一部が破断されている。
【図10】吸収性コアを製造するための方法及び装置の1つのバージョンを示す概略図である。
【図11】本発明の層状吸収性コアの側断面図である。
【図12A】本発明の吸収性創傷被覆材の側断面図である。
【図12B】本発明の吸収性創傷被覆材の上部斜視図である。
【図13】本発明の吸収性ベッド若しくは家具ライナーの上部斜視図である。
【図14】本発明の吸収性汗止めバンドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
試験方法
【0035】
遠心保持容量試験(Centrifuge retention capacity Test:CRC)
【0036】
この試験は、ハイドロゲル形成ポリマーの自由膨潤容量を測定する。測定により求められた保持容量は、サンプル1重量グラム当たりに保持される液体のグラム数(g/g)で示される。この試験方法では、約300〜約600ミクロンの粒径画分を有する乾燥超吸水性ポリマー組成物粒子0.2000±0.0050gが、ティーバッグに入れられる。超吸水性ポリマー組成物粒子は、例えば、米国オハイオ州メンターにあるW.S.テイラー社(W. S. Tyler, Inc.)社から入手可能なRO-TAP機械式ふるい振とう器Model Bによって予めふるい分けされ得る。ふるい分けは、10分間行われる。米国コネティカット州ウィンザーロックスに本拠地を置くデクター社(Dexter Corporation, Windsor Locks, Connecticut, U.S.A.)から入手可能なモデル名称「1234T」ヒートシール可能なフィルタペーパーなどのティーバッグ材料が、ほとんどの用途に対して有用である。このバッグは、12.7cm×7.6cm(5インチ×3インチ)のバック材料サンプルを半分に折り、2ヶ所の開放端縁部を熱融着して6.4cm×7.6cm(2.5インチ×3インチ)の矩形の小袋を形成することによって作製される。熱融着は材料の端縁より約0.64cm(0.25インチ)内側にすべきである。小袋内にサンプルを入れた後、小袋の残りの開放端縁も熱融着される。対照としての役割を果す空の袋も作製される。ティーバッグを、食塩溶液(すなわち0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液)中に30分間浸漬させる(少なくとも、0.83リットルの食塩溶液/1gのポリマー)。ティーバッグは、完全に湿潤されるまで確実に浸漬させる。その後、ティーバッグを、290Gの力(約286から約292Gまでのばらつきがある)で3分間遠心分離する。Gの力は、急速な加速または重力を受けた身体にかかる慣性力の単位と定義され、海面位で、9.8m/秒/秒(32フィート/秒/秒)と等しい。食塩溶液の吸収された量は、ティーバッグの重量を測定することにより求められる。超吸水性ポリマー組成物サンプルにより保持された溶液の量、すなわち超吸水性ポリマー組成物の遠心保持容量(CRC)は、ティーバッグ自体により保持された溶液を考慮に入れて、超吸水性ポリマー組成物1グラム当たりに保持される流体のグラム数として表される。より具体的には、保持容量は次の方程式により求められる。
{(遠心分離後のサンプル/バッグ重量)−(遠心分離後の空のバッグ重量)−(乾燥サンプル重量)}÷(乾燥サンプル重量)
【0037】
水分
【0038】
水分の量は、次のようにして、「%水分」として計測される。
1)予め重さが計測されたアルミニウム製の計量皿に載置した4.5〜5.5gの超吸水性ポリマー組成物(superabsorbent polymer composition:SAP)の重さを正確に測定する。
2)SAP及び計量皿を、150℃に予加熱した熱標準的な実験室オーブンに約30分間入れる。
3)取り出し、計量皿及び内容物を再び測定する。
4)次の式を用いて、水分の割合を計算する。
%水分={((計量皿の重量+初期のSAPの重量)−(乾燥させたSAPと計量皿の重量)*100}/乾燥させたSAPの重量
【0039】
自由膨潤ゲルベッド透過率試験(Free swell gel bed permeability Test:FSGBP)
【0040】
本明細書中では、自由膨潤ゲルベッド透過率試験は、0psi膨潤圧力下での「ゲルベッド透過率(GBP)」試験とも呼ばれ、一般的に「自由膨潤」条件と呼ばれる条件下で、ゲル粒子(例えば、表面処理済み吸収性材料または表面処理前の超吸収性材料)の膨潤ベッドの透過率を測定するものである。「自由膨潤」という用語は、超吸水性ポリマー組成物粒子が、これから説明するように、試験溶液の吸収時に膨潤制限負荷を受けることなく膨潤できることを意味する。ゲルベッド透過率試験を行うのに適切な装置が図1、図2及び図3に示されており、全体的に500で示されている。試験装置528は、全体的に530で示されるサンプル容器、及び全体的に536で示されるプランジャーを含む。プランジャーは、その縦軸に下向きに穿孔された同心の円筒形孔を有するシャフト538と、シャフトの底部に位置するシャフトヘッド550とを備える。シャフト孔562は、約16mmの直径を有する。プランジャーヘッドは、接着などによってシャフトに取り付けられる。シャフト軸には12個の孔544が穿孔される。孔544は6.4mmの直径を有し、シャフト軸の周方向に90度ごとに3つ設けられる。シャフト538はレキサン(LEXAN)ロッド又は同等の材料から機械加工により作成され、約2.2cmの外径と、約16mmの内径を有する。
【0041】
プランジャーヘッド550は、7個の孔から成る同心内側リング560と、14個の孔から成る同心外側リング554とを備える。各孔は約8.8mmの直径を有する。また、約16mmの直径を有する孔がシャフトと整列している。プランジャーヘッド550は、レキサン(LEXAN)ロッド又は同等の材料から機械加工により作成され、約16mmの高さと、円筒534内に嵌合され、円筒534内の壁との間隙が最小となるかつ自由に摺動できるような直径を有する。プランジャーヘッド550とシャフト538の合計高さは約8.25cmであり、シャフトの頂部でプランジャー536の所望の質量を得るように機械加工される。プランジャー536は、その最底部に、2軸方向にピンと張って取り付けられた、100メッシュのステンレス鋼布スクリーン564を備える。このスクリーンは、強固な接着をもたらす適切な溶剤を使用して、プランジャーヘッド550に取り付けられる。スクリーンの開口部分に余分な溶剤が流れ込んで、液体が連通するための開口部を減少させないように気をつけるべきである。米国カリフォルニア州グラナダに本拠地を置くIPS社(IPS Corporation)製のアクリル溶剤Weld-On 4が、適切な溶剤である。
【0042】
サンプル容器530は、シリンダ534及び400メッシュのステンレス鋼布スクリーン566を含む。スクリーン566は、シリンダ534の最底部に、2軸方向にピンと張って取り付けられる。このスクリーンは、強固な接着をもたらす適切な溶剤を用いてシリンダに取り付けられる。スクリーンの開口部分に余分な溶剤が流れ込んで、液体が連通するための開口部を減少させないように気をつけるべきである。米国カリフォルニア州グラナダに本拠地を置くIPS社(IPS Corporation)製のアクリル溶剤Weld-On 4が、適切な溶剤である。試験中は、ゲル粒子サンプル568(図2参照)はシリンダ534内のスクリーン566上に支持される。
【0043】
シリンダ534は、透明なレキサン(LEXAN)ロッドまたは同等物を穿孔して作成されるか、あるいは、レキサンチューブ又は同等の材料を切断して作成され、内径は約6cm(例えば、断面積が28.27cm)、壁厚は約0.5cm、高さは約7.95cmである。外径66mmの領域534aがシリンダ534の底部から31mm存在するように、シリンダ534の外径には段差部が機械加工される。領域543aの外径に適合するOリング540が、段差部の上部に配置される。
【0044】
環状重り548は、直径約2.2cmのカウンタボア孔と、1.3cmの深さを有し、シャフト538上で自由に摺動可能である。環状重りはまた、約16mmの貫通孔548aを有する。環状重り548は、ステンレス鋼から、または0.9重量パーセント塩化ナトリウム蒸留水溶液である試験溶液の存在下で耐腐食性を有する他の適切な材料から作製することができる。プランジャー536と環状重り548とを組み合わせた重量は、約596グラムに等しく、これは、約28.27cmの面積を有するサンプル568に対して加えられる約0.3ポンド/平方インチ(psi)又は約20,700ダイン/cm(2.07kPa)の圧力に対応する。
【0045】
後述するように試験中に試験装置に試験溶液を通過させる際は、図1に示すように、サンプル容器530はその全体が堰(weir)600上に載置される。堰の目的は、サンプル容器530の上部から溢れた液体を離れた収集機器601へ分流させることである。堰は、膨潤したサンプル568(図2)を通過した食塩溶液を収集するためのビーカー603が載置されたスケール602の上方に配置することができる。
【0046】
「自由膨潤」条件下で「ゲルベッド透過率試験」を行うために、その上に重り548が載せられたプランジャー536を空のサンプル容器530に入れ、重り548の頂部からサンプル容器530の底部までの高さを、0.01mmの精度を有する適切なゲージを用いて測定する。測定中に厚さゲージが受ける力はできるだけ小さくすべきであり、75グラム未満であることが好ましい。複数の試験装置を用いる場合は、空の各サンプル容器530の高さを測定すると共に、どのプランジャー536及び重り548を用いたかを記録しておくことが重要である。飽和後に膨潤させたサンプル568を後ほど測定する際は、前回の測定時に使用したのと同じプランジャー536及び重り448を用いるべきである。また、サンプルカップ530が載置される基部が水平であり、重り548の上面がサンプルカップ530の底面と平行であることも重要である。
【0047】
試験するサンプルは、米国標準30メッシュスクリーンによって事前にふるい分けされ、米国標準50メッシュスクリーン上に保持された超吸水性ポリマー組成物粒子が用いられる。結果的に、試験サンプルには、約300ミクロンないし約600ミクロンの粒径の粒子が含まれる。粒子は、手動又は自動で事前にふるい分けることができる。超吸水性ポリマー粒子は、例えば、米国オハイオ州メンターのW.S.タイラー社(W. S. Tyler, Inc.)から入手可能なRO-TAP機械式ふるい振とう器Model Bなどによって事前にふるい分けることもできる。約2.0グラムのサンプルを、サンプル容器530内に入れて、サンプル容器の底部に均等に分散させる。その後、その中に2.0グラムのサンプルが入れられたサンプル容器を、その中にプランジャー536と重し548を収容しない状態で、食塩溶液(すなわち、0.9重量パーセントの塩化ナトリウム水溶液)を貯留した液体槽(図示せず)中に約60分間沈めてサンプルを湿潤させ、制限負荷を掛けることなくサンプルを自由膨潤させる。湿潤中、サンプル容器530は液体槽の底部から若干上方に位置するように、前記液体槽に設置されたメッシュ(図示せず)上に載置される。前記メッシュは、食塩溶液のサンプル容器530への流れを妨げない。好適なメッシュは、米国ウィスコンシン州アップルトンにあるイーグルサプライアンドプラスチック社(Eagle Supply and Plastic)製の品番7308である。食塩水は、試験セル内の完全に平坦な食塩水表面から証明されるように、超吸収体を完全には覆わない。セル内の表面が膨潤した超吸収体のみにより規定されるように、食塩水の深さはあまり低くしない。
【0048】
この期間の終了時に、プランジャー536及び重り548のアセンブリをサンプル容器30内の飽和させたサンプル568上に置き、その後、サンプル容器530、プランジャー536、重り548、及びサンプル568を溶液から取り出す。飽和サンプル568の厚さは、ゼロ地点を最初に測定した高さから変更しないという条件で、前回の測定時に使用したのと同一の厚さゲージを用いて重り548の頂部からサンプル容器530の底部までの高さを再び測定することにより求められる。厚さの測定中は、サンプル容器内の液体が表面張力によって平坦な表面上に溢れるのを防止するために、サンプル容器530、プランジャー536、重り548、及びサンプル568の組み合わせは、均一な厚さを有する平らで大きな格子状の非変形性のプレート上に置く。プレートの全寸法は7.6cm×7.6cmであり、各格子は、長さ1.59cm、幅1.59cm、奥行き1.12cmのセルサイズ寸法を有する。適切な平坦で大きな格子状の非変形性プレート材料は、所望の寸法に切断することができる、米国イリノイ州シカゴにあるマックマスターカールサプライ社(McMaster Carr Supply Company)製のカタログ番号1624K27の放物線拡散板である。この平坦で大きな格子状の非変形性プレート材料は、初期の空のアセンブリの高さを測定する際に、存在しなくてはならない。高さの測定は、厚さゲージを係合させた後に、可能な限り早く行わなければならない。サンプル568を飽和した後に得られた高さの測定値から、空のサンプル容器530、プランジャー536及び重り548を測定することによって得た高さの測定値を差し引く。その結果得られた値が厚さ、すなわち、膨潤サンプルの高さ「H」である。
【0049】
透過率の測定は、飽和サンプル568、プランジャー536及び重り548をその内部に収容したサンプル容器530に試験溶液の流れを供給することにより開始される。サンプル容器に供給される試験溶液の流量を調節してシリンダ534の上部から食塩溶液が溢れるようにし、そのことによって、ヘッド圧力がサンプル容器530の高さと等しくなるようにする。試験溶液は、シリンダの上部から少量だが一定の量がオーバーフローするのを確実にするのに十分な、例えば定量ポンプ604などの任意の適切な方法で加えられる。溢れた液体は、離れた収集装置601に分流させられる。サンプル568を通過する溶液の経時的な量を、スケール602及びビーカー603を使用して重量測定法により測定する。スケール602から得られるデータ点は、少なくとも60秒間にわたって毎秒収集される。データ収集は、手動で、あるいは、データ収集ソフトウエアを用いて行うことができる。膨潤サンプル568を通る流量Qは、サンプル568を通過する流体(グラム)対時間(秒)のデータ点の線形最小二乗当て嵌め法によりグラム/秒(g/s)単位で求められる。
【0050】
cm単位の透過率は、以下の式から求めることができる。
K=[Qμ]/[AρP]
ここで、K=透過率(cm)、Q=流量(g/秒)、H=サンプルの高さ(cm)、μ=液体粘性(ポアズ)(この試験に用いた試験溶液では、約1センチポアズ)、A=液体流に対する断面積(cm)(この試験に用いたサンプル容器では、約28.27cm)、ρ=液体密度(g/cm)(この試験に用いた試験溶液では、ほぼ1g/cm)、P=静水圧(ダイン/cm)(通常、約7,797ダイン/cm)である。静水圧は、P=ρ*g*hから計算される。ここで、ρ=液体密度(g/cm)、g=重力加速度(通常981cm/秒)、h=流体高さ(例えば、本明細書に説明するゲルベッド透過率試験では7.95cm)である。
【0051】
最低2つのサンプルを試験し、結果を平均してサンプルのゲルベッド透過率を求める。
【0052】
負荷下吸収性試験(Absorbency Under Load Test:AUL)
【0053】
負荷下吸収性(AUL)試験は、0.9psi負荷下における、室温での、超吸水性ポリマー粒子の食塩水溶液(試験溶液)吸収能力を測定する。AUL試験用の装置は、シリンダ、4.4gのピストン、及び317グラムの重りを含むAULアセンブリから構成される。このアセンブリの構成要素を、以下にさらに詳述する。
・平坦な底部を有するプラスチックトレイ。このトレイは、その上にガラスフリットをその壁部に触れることなく載置することが可能な十分な広さを有する。この試験方法には、22.9cm×22.9cm(9インチ×9インチ)の底面積と、1.3〜2.5cm(0.5〜1インチ)の深さを有するプラスチックトレイが一般的に使用される。
・「C」(20〜25ミクロン)の空隙率を有する直径12.5cmの焼結ガラスフリット。このフリットは、食塩水中での平衡化により事前に作成される。フリットは、少なくとも2部の新鮮な食塩水で洗浄するのに加えて、AUL測定前に食塩水中に少なくとも12時間浸漬させるべきである。
・ワットマン(Whatman)社製のグレード1、直径12.5cmの円形のフィルタ紙。
・食塩水の供給(0.9重量%塩化ナトリウム蒸留水溶液)。
【0054】
図4を参照して、超吸水性ポリマー組成物410を収容するに使用されるAULアセンブリ400のシリンダ412は、同心であることを確実にするために若干機械加工された、内径2.54cm(1インチ)の透明なアクリル製の管から作成される。機械加工後、スクリーンのシリンダへの強固な接着を可能にする適切な溶剤を使用して、シリンダ412の底部に400メッシュのステンレススチールワイヤ布が接着される。スクリーンの開口部分に余分な溶剤が流れ込んで、液体が連通するための開口部を減少させないように気をつけるべきである。米国カリフォルニア州グラナダに本拠地を置くIPS社(IPS Corporation)製のアクリル溶剤Weld-On 4が、適切な溶剤である。封止に失敗したときや破れたときには、はんだごてを用いて修復することもできる。平坦で平滑な底部を維持し、かつシリンダ412の内部を変形させることがないように注意すべきである。
【0055】
4.4グラムのピストン416が直径2.5cm(1インチ)の固形材料(例えばプレキシグラス(PLEXIGLAS))から作製され、シリンダ412の内部と結合することなく密接に嵌合するように機械加工される。
【0056】
317gの重り418を用いて、約0.9psi(62,053ダイン/cm)の制限負荷を与える。重りは、円筒状で、直径2.5cm(1インチ)のステンレス鋼製であり、シリンダの内部と結合することなく密接に嵌合するように機械加工される。
【0057】
特に指定がない限り、少なくとも約300gsm(0.16g)の超吸水性ポリマー粒子の層に相当するサンプル410が、AULの試験に使用される。サンプル410は、US標準#30メッシュによって事前にふるい分けされ、US標準#50メッシュ上に保持された超吸水性ポリマー組成物粒子から得られる。超吸水性ポリマー組成物粒子は、米国オハイオ州メンターのW.S.タイラー社から入手可能なRO-TAP機械式ふるい振とう器Model Bなどによって事前にふるい分けすることができる。ふるい分けは、10分間行われる。
【0058】
ふるい分けされた超吸水性ポリマー組成物粒子410の所望の量のサンプル(約0.16g)が、計量紙の上で計量され、シリンダ412の底部のワイヤ布414上に均等に分布させられる。シリンダの底部に置かれた超吸水性ポリマー組成物の重量は、後述するAUL計算で使用するために「SA」と記録される。超吸水性ポリマー組成物粒子が、シリンダの壁部に付着することがないように、気をつけるべきである。シリンダ412の内部に超吸水性ポリマー組成物粒子410を入れる前に、シリンダ412の内部を帯電防止布で拭いておく。シリンダ412内の超吸水性ポリマー組成物粒子410の上に、4.4gのピストン412と、317gの重り418を慎重に置いた後、シリンダ、ピストン、重り及び超吸水性ポリマー組成物を含むAULアッセンブリ400の重量を計測し、計測した重量を「A」として記録する。
【0059】
上述した焼結ガラスフリット424を、プラスチックトレイ420内に設置する。そして、焼結ガラスフリット424の上面のレベルまで、食塩水422を加える。一枚の円形のフィルタ紙426を、ガラスフリット上に優しく置く。その後、フィルタ紙426の上に、超吸水性ポリマー粒子410を含むAULアッセンブ400を置く。AULアッセンブ400は、トレイ内の食塩水のレベルを一定に保つことに注意を払いながら、1時間の試験期間中はフィルタ紙426上に置いたままにする。1時間の試験期間の終わりに、AUL装置の重量を計測し、その値を「B」として記録する。
【0060】
AUL(0.9psi)は、次のようにして計算する。
AUL(0.9psi)=(B−A)/SA
ただし、
A=乾燥SAPを含むAULユニットの重量
B=60分間吸収後の、SAPを含むAULユニットの重量
SA=実際のSAPの重量
【0061】
最低2回の試験を行い、結果を平均して0.9psi負荷下でのAUL値を求める。サンプルの試験は、約23℃の温度、約50%の相対湿度の条件下で行う。
【0062】
飽和容量試験
【0063】
この試験は、吸収性構造体の飽和容量を測定するのに使用される。図5を参照して、約7.6cm(3インチ)の直径を有する円形の吸収性構造体サンプルの重量をg単位で記録する。サンプル308は、その後、過剰量の食塩溶液(すなわち0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液)中に、室温(例えば約23℃)で約20分間浸漬させられる。この期間後、試験溶液中からサンプル308を取り出し、全体的に300で示される試験装置上に置く。試験装置300は、真空箱302と、0.6cm(0.25インチ)の開口を有するテフロン(登録商標)コーティングされ、蛍光拡散板(図示せず)により真下から支持された繊維ガラススクリーン304(米国ウィスコンシン州アップルトンに本拠地を置くイーグルサプライアンドプラスチック社(Eagle Supply and Plastic)から入手可能な部品番号8308)と、真空の適用中に繊維ガラススクリーン304が変形するのを防止するための水平ロッド(図示せず)とを含む。適切な拡散パネルは、米国イリノイ州シカゴに本拠地を置くマックマスターカールサプライ社(McMaster Carr Supply Company)から部品番号1624K27として入手することができる。拡散パネルは、真空ボックスの幅方向に等間隔で配置された3本の直径1.9cm(3/4インチ)のアクリル製水平ロッドによって、真下から支持することが好ましい。また、装置300は、真空ボックス上のスクリーンを覆うことができるサイズのサージカルグレードのラテックスカバー306も含む。前記カバーは、米国イリノイ州シカゴに本拠地を置くマックマスターカールサプライ社(McMaster Carr Supply Company)から部品番号8611K16として入手可能である。ラテックスカバーは、サンプルと真空ボックスの全ての開口を覆い、シールを形成する。
【0064】
より具体的には、吸収性構造体308は、スクリーン上に置かれる。その後、サンプル308とスクリーン304上にラテックスカバー306が掛けられ(すなわち、真空ボックス302を概ね覆うシールが形成され)、真空ボックスにより約34,474ダイン/平方cm(約0.5ポンド/平方インチ)の真空(V)が約5分間吸引される。装置からサンプル308を取り出し、重量を測定する。重量はg単位で記録される。
【0065】
吸収性サンプルの完全性が低い場合、または浸漬中若しくは移送中に崩壊した場合、例えばペーパータオルなどの吸収性サンプルは封止材料中にラッピングすることができる。ペーパータオルとしては、例えば、米国ウィスコンシン州ニーナにあるキンバリークラーク社(Kimberly-Clark Corporation)製のスコット(SCOTT)ペーパータオルがある。吸収性サンプルは、所定の位置でオーバーラップした状態で試験することができる。オーバーラップの容量は独立的に測定され、ラップされた吸収性サンプル全体の湿潤湿重量から差し引くことにより湿潤吸収重量が得られる。
【0066】
各吸収性材料の全容量は、この時点で測定された各吸収性サンプルの湿潤重量から、その吸収性サンプルの乾燥重量をその差し引くことにより測定される。
吸収性構造体の飽和容量は、次の式により求められる。
飽和容量=(湿潤重量−乾燥重量)/乾燥重量
飽和容量値は、液体g/吸収性構造体gの単位を有する。飽和容量は、各サンプルについて少なくとも3つのサンプルを試験し、結果を平均すべきである。
【0067】
各吸収性構造体に対して少なくとも3つのサンプルを試験し、結果を平均して吸収性構造体の保持容量を求める。
【0068】
液体吸上げ率試験
【0069】
液体吸上げ率試験(Fluid Intake rate:FIR)試験は、吸収性構造体が、既知の量の食塩水試験溶液(室温、0.9重量パーセント塩化ナトリウム蒸留水溶液)を吸上げる(吸収する必要は無い)のに要する時間を測定する。FIR試験を実施するための適切な装置200を、図6及び図7に示す。試験装置200は、上側アセンブリ202及び下側アセンブリ204を含む。下側アセンブリ204は、PLEXIGLAS(Degussa AG社(Dusseldorf, Germany)から入手可能)などの透明性材料から構成され、試験中に吸収性サンプルを支持するための17.8cm×17.8cm(7インチ×7インチ)の概ね正方形の下側板206と、下側板206の中央に配置された11.4cm×11.4cm(4.5インチ×4.5インチ)の概ね正方形のプラットホーム218とを含む。
【0070】
上側アセンブリ202は、下側板206と同様に構成された概ね正方形の上側板208を含み、上側板208には中央開口部210が設けられている。約2.5cm(1インチ)の内径を有するシリンダ(液体送達チューブ)212が、中央開口部210において上側板208に固定され、上側板に対して実質的に垂直に上方に延在する。上側板208の中央開口部210は、上側板208上に載置されるシリンダ212の内径と少なくとも等しい直径を有するべきである。しかし、その代わりに、中央開口部210の直径は、中央開口部210においてシリンダ212が上側板208に固定されるように、中央開口部内にシリンダ212の外径を十分に受容できる大きさにすることもできる。
【0071】
ピン要素214が、下側板206の外側角部の近傍に配置され、ピン要素214に対応する孔部216が上側板208に設けられる。孔部216は、試験中に、上側アセンブリ202を下側アセンブリ204上に正確に整列させるために、ピン要素を受容するようなサイズを有する。上側アセンブリ202(上側板208及びシリンダ212)の重量は約360gであり、FIR試験中に吸収体サンプル上に約0.11ポンド/平方インチ(psi)の圧力が加えられる。
【0072】
FIR試験を実行するために、直径7.6cm(3インチ)の吸収体サンプル207の重量を計測し、計測した重量をグラム単位で記録する。その後、サンプル207を下側アセンブリ204のプラットホーム218の中央に置く。上側アセンブリ202は、サンプル207上に下側アセンブリ204の反対側に配置される。下側板206のピン要素214は上側板208に形成された孔部216に挿入され、シリンダ212はサンプル207の概ね中央に位置される。0.9%NaCl食塩水試験溶液16gをシリンダ212の頂部に注入し、吸収体サンプル207に向かって落下させる。最初の水滴がサンプル207に接触したときにストップウオッチをスタートさせ、シリンダ212の端部とサンプル207との間の液体リングが消失した時点で止める。ストップウオッチの計測値を小数第2位まで記録し、1回目の被吸収液体(insult)を吸収体サンプル207内に吸上げるのに要する吸上げ時間(秒)を示す。
【0073】
15分間経過した後、1回目の被吸収液体と同じ2回目の被吸収液体をシリンダ212の上部に注入して、吸上げ時間を上述したようにして測定する。15分後、3回目の被吸収液体について手順を繰り返す。3つの被吸収液体のそれぞれについての吸上げ率(ミリリットル/秒)は、各被吸収液体に使用された溶液の量(16グラム)を、その被吸収液体に要した吸上げ時間で割ることにより求められる。
【0074】
各吸収試験の少なくとも3つのサンプルをFIR試験し、結果を平均して吸上げ率を求める。
【0075】
定義
【0076】
本開示に使用される場合、「含む」という用語及び「含む」という語根からの他の派生語は、任意の言及された特徴、要素、整数、工程、部品の存在を明示する、限定の意味を伴わない用語を意図しており、1つ又は複数の特徴、要素、整数、工程、部品又はそれらのグループの存在あるいは追加を排除するものではないことに留意すべきである。
【0077】
「吸収性物品」という用語は、一般的に、液体を吸収し、それを保持する手段を意味する。例えば、パーソナルケア用吸収性物品は、皮膚に接してまたは近接して配置され、身体から排泄される種々の液体を吸収して保持する手段を意味する。
【0078】
「コフォーム」という用語は、メルトブローンポリマー材料を空中成形しながら、それと同時にメルトブローン繊維流内に空気浮遊セルロース繊維を吹き込むことにより成形された、メルトブローン繊維とセルロース繊維との混合体を意味する。コフォーム材料は、超吸収性材料などの他の材料も含むこともできる。木質繊維及び/または他の材料を含むメルトブローン繊維は、例えば少孔を有するベルトなどにより提供される成形面上に堆積させられる。成形面は、該成形面上に配置されるスパンボンド布材料などの、気体透過性材料を含み得る。
【0079】
「架橋」という用語は、超吸収性ポリマーに関して用いる場合、通常は水溶性の材料を、実質的に水不水溶性であるが膨潤可能な材料へ効果的に改変するための任意の手段を意味する。このような架橋手段には、例えば、物理的交絡、結晶ドメイン、共有結合、イオン錯体及び会合、水素結合などの親水性会合、疎水性会合、又はファンデルワールス力が含まれる。
【0080】
「ダルシー」という用語は、透過率のCGS単位である。1ダルシーは、1atmの圧力差の下で、1センチポアズの粘度を有する流体1cmが、固形物の厚さ1cm及び断面積1cmの区間を1秒間に通過する透過率に相当する。透過率は同一の面積単位を有する。透過率のSI単位は存在しないので、平方メートルが使用される。1ダルシーは、約0.98692×10−12または約0.98692×10−8cmと等しい。
【0081】
「使い捨て」という用語は、本明細書では、1度使用した後に洗濯及び他の方法で状態回復させて吸収性物品として再利用することが意図されていない吸収性物品を表すのに用いられる。このような使い捨ての吸収性物品の例には、これらに限定しないが、パーソナルケア用吸収性物品、保健用/医療用吸収性物品、家庭用/産業用吸収性物品、スポーツ用/建設業用吸収性物品が含まれる。
【0082】
「超吸水性ポリマー乾燥組成物」という用語は、一般的に、約10%未満の水分を有する超吸水性ポリマー組成物を意味する。
【0083】
「弾性」、「エラストマー性」、「弾性的」、「伸縮性」、「弾性的」及び「弾性的な伸縮性」という用語は互換的に使用され、天然ゴムの特性に近い特性を一般的に示す材料又は複合体を意味する。エラストマー性材料は一般的に伸張又は他の方法で変形可能であり、伸張力又は変形力が取り除かれた後はその形状の大部分は復元される。
【0084】
「流体不透過性」、「液体不透過性」、「流体不透過性」及び「液体不透過性」は、通常の使用条件下で、層または積層体の平面と接触した水または体液などの流体が、前記平面に対して実質的に垂直な方向においては、前記層または積層体を実質的に通過しないことを意味する。
【0085】
「保健用/医療用吸収性物品」という用語は、種々な職業用及び消費者用ヘルスケア製品を含み、そのようなものとしては、これらに限定しないが、例えば、熱治療又は低温治療を施すための製品、医療用ガウン(すなわち防護用及び/又は手術用ガウン)、手術用ドレープ、帽子、手袋、顔面マスク、包帯、外傷用手当用品、拭き布、カバー、コンテナ、フィルタ、使い捨て衣類及びベッドパッド、医療用吸収性衣類、アンダーパッドなどを含む。
【0086】
「家庭用/産業用吸収性物品」という用語は、建設業用及び包装用の供給品、洗浄及び殺菌用の製品、拭き布、カバー、フィルタ、タオル、使い捨て切断シート、トイレットペーパー、フェイシャルティッシュ、不織ロール製品、家庭用快適製品(例えば枕、パッド、マット、クッションなど)、マスク及び身体ケアー製品(例えば皮膚を清浄又は処理するために使用される製品)、実験用コート、作業服、ごみ箱、染み抜き剤、局所用組成物、ペットケア用吸収性ライナー、洗濯用汚れ/インク吸収体、洗剤の塊、親油性流体セパレータなどを含む。
【0087】
「親水性」及び「湿潤性」という用語は、互換的に使用され、空気中での水との接触角が90度未満の材料を意味する。「疎水性」という用語は、空気中での水との接触角が少なくとも90度である材料を意味する。本出願の目的において、接触角測定は、「表面及びコロイド科学−実験的方法」、第II巻、Robert J. Good、及び、Robert J. Stromberg編(プレナム・プレス、1979年)に記載されているようにして求められ、前記文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす。
【0088】
「層」という用語は、単数形で使用される場合は、単一要素又は複数要素の2つの意味を持つことができる。
【0089】
超吸水性ポリマー組成物粒子の所与のサンプルの「質量平均粒径」は、サンプルを質量に基づいて半分に分割した際の粒径と定義される。すなわち、重量に基づいたサンプルの半分は、質量平均粒径よりも大きい粒径を有し、質量に基づいたサンプルの半分は、質量平均粒径よりも小さい粒径を有する。そのため、例えば、重量に基づいたサンプルの半分の粒径が2ミクロンよりも大きいと測定された場合は、超吸水性ポリマー組成物粒子のサンプルの質量平均粒径は2ミクロンである。
【0090】
「MD」または「マシン方向」は、吸収性ウェブにおける、成形ファブリックの進行方向と平行な方向を意味し、一般的に、成形面により作成された平面内にある。「CD」または「クロスマシン方向」は、MDと垂直な方向を意味し、一般的に、成形面により作成された平面内にある。MD及びCDの両方は、一般的に、成形面と平行な平面を画定する。「ZD」または「Z方向」は、MD及びCDによって形成された平面に対して垂直な方向を意味する。
【0091】
「メルトブローン繊維」という用語は、溶融した熱可塑性材料を、通常は円形の断面形状を有する複数の微細なダイキャピラリから溶融した溶融糸あるいは単繊維として、通常は高温の高速ガス(例えば空気)流中へ押し出し、その流れにより溶融した熱可塑性材料の単繊維の直径を減少させることにより形成される繊維を意味する。コフォーム工程の特別な場合では、前記メルトブローン繊維流は、異なる方向から導入された1つまたは複数の材料流と交差する。その後、メルトブローン繊維及び他の材料は、高速ガス流により運ばれ、収集面上に堆積される。成形されたウェブ内でのメルトブローン繊維の分布及び方向は、形状及び工程条件に依存する。あるプロセス及び器具の条件下では、作製された繊維は、実質的に「連続的」であり得、顕微鏡によって10倍または20倍の倍率で複数の視野を検査した際に、分離、壊れた繊維またはテーパーされた端部が少ししかないと定義される。「連続的」なメルトブローン繊維が作製された場合、一般的に、個々の繊維の側面は、個々の繊維長さにおいて、繊維径の最小変化と平行である。対照的に、他の条件下では、繊維はオーバードローされ得、糸は破壊され、一連の不規則さ、別々の繊維長さ、及び多数の壊れた端部を形成する。一旦縮径され破壊された繊維の収縮は、多くの場合、ポリマーの大きな凝集をもたらす。
【0092】
「不織」及び「不織ウェブ」という用語は、編成織物のように識別可能な繰り返し方法ではない方法によってインターレイ(interlaid)された個々の繊維又は単繊維の構造を有する材料またはウェブを指す。「繊維」及び「単繊維」という用語は、本明細書中では互換的に使用される。不織布又はウェブは、例えばメルトブローン法、スパンボンド法、空気集積法、及びボンディング・カーディン(bonded carded)ウェブ法などの様々な方法により作製されてきた。不織布の坪量は通常、材料の1平方ヤード当たりのオンス(osy)または1平方メートル当たりのグラム(gsm)で表され、繊維の直径は通常はミクロンで表される(osyをgsmに変換するには、osyに33.91を乗ずることに留意されたい)。
【0093】
「パーソナルケア用吸収性物品」という用語は、これらに限定しないが、オムツ、パンツ型オムツ、子供用拭き布、訓練用パンツ、吸収性下着、子供用ケアーパンツ、水着、及び他の使い捨て衣類;生理用ナプキン、拭き布、月経用パッド、月経用パンツ、パンティライナー、パンティーシールド、陰唇内挿具、タンポン及びタンポンアプリケーターを含む女性用ケアー製品;拭き布、乳房用パッドなどのパッド、コンテナ、失禁用製品及び尿用シールドを含む大人用ケアー製品;衣服用部品;よだれ掛け;アスレチック及びレクレーション用製品などの吸収性物品を含む。
【0094】
「ポリマー」という用語は、これらに限定しないが、ホモポリマー、コポリマー(例えばブロック、グラフト、ランダム及び交互コポリマーなど)、ターポリマー、その他、並びにそれらの混合物及び修飾物を含む。さらに、特に指定がない限り、「ポリマー」という用語は、その材料のあらゆる可能な配置異性体を含むものとする。これらの構成には、これらに限定しないが、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びアタクチック対称が含まれる。
【0095】
一般的に、本明細書中で使用される「ポリオレフィン」という用語は、これらに限定しないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマーなどの材料、それらのホモポリマー、コポリマー及びターポリマー、並びに、それらの混合物及び修飾物を含む。「ポリオレフィン」という用語は、それのあらゆる可能な構造を含むべきであり、そのような構造には、これらに限定しないが、アイソタクチック、シンジオタクチック及びランダム対称などが含まれる。コポリマーには、ランダム及びブロックコポリマーが含まれる。
【0096】
「スポーツ用/建設業用吸収性物品」という用語は、ヘッドバンド、リストバンド及び他の汗吸収のための補助物品、スポーツ用品のグリップ及びハンドル用の吸収用巻回物、タオル、または、使用中に器具を清掃及び乾燥させるための吸収性ワイパを含む。
【0097】
「スパンボンド」及び「スパンボンド繊維」という用語は、溶融した熱可塑性材料を、スピナレット(spinneret)の通常は円形の断面形状を有する複数の微細なキャピラリから、単繊維として押し出し、その後、押し出された繊維の直径を急激に縮径させることにより形成される繊維を意味する。
【0098】
「伸縮性」という用語は、伸縮可能であるか、あるいは、弾性的に伸縮可能な材料を意味する。
【0099】
「超吸収体」という用語は、最も好ましい条件下で、約0.9重量パーセントの塩化ナトリウムを含有する水性溶液内で、それ自体の重量の少なくとも約10倍を、またはそれ自体の重量の少なくとも約15倍を、またはそれ自体の重量の少なくとも約25倍を吸収することが可能な、水膨潤性の不水溶性有機材料若しくは無機材料を意味する。
【0100】
「超吸水性ポリマー組成物」という用語は、表面架橋剤及び/または表面添加物を含む超吸水性ポリマーを意味する。
【0101】
「超吸水性予生成物」という用語は、超吸水性ポリマーを製造するための、材料の乾燥、粉砕機での粗い粉砕、及び、粒径が850ミクロンより大きい及び約150ミクロン未満の粒子の除去を含む本明細書中に記載したような全ての工程を実施することにより作製された材料を意味する。
【0102】
「表面架橋」という用語は、超吸水性ポリマー粒子の表面の近傍での機能的架橋レベルが、一般的に、超吸水性ポリマー粒子の内部での機能的架橋レベルよりも高いことを意味する。本明細書中で使用される「表面」は、前記粒子の外側の境界面を意味する。多孔性の超吸水性ポリマー粒子の場合、露出した内面もまた、表面の定義に含まれる。
【0103】
「標的領域」という用語は、吸収性コアにおける、例えば尿、月経または排便などの被吸収液体(fluid insult)の大部分が最初に接触するのに特に望ましい領域を意味する。特に、吸収性コアに1つまたは複数の液体吸収地点が設けられる場合、被吸収標的領域は、吸収性コアにおける、各液体吸収地点から両方向に前記複合材料の全長の15%と等しい長さまで延在する領域を意味する。
【0104】
「熱可塑性物質」という用語は、熱に曝されると軟化し、室温まで冷却されると非軟化状態に実質的に戻る材料を意味する。
【0105】
「重量パーセント」という用語は、本明細書中において超吸水性ポリマー組成物の成分に関連して使用される場合、特に指定がない限り、超吸水性ポリマー組成物の乾燥重量に基づくと解釈される。
【0106】
これらの用語は、本明細書の残りの部分において付加的な言葉によって定義される場合がある。
【0107】
詳細な説明
【0108】
本発明の吸収性物品は、トップシート、バックシート、及び、トップシートとバックシートとの間に配置された吸収性コアを備える。前記吸収性コアは、本発明の超吸水性ポリマー組成物を含む。
【0109】
本発明をより良く理解するために、本発明のトレーニングパンツの例示を目的とする図8及び図9に注目されたい。本発明は、これらに限定しないが、例えば、他のパーソナルケア用吸収性物品、保健用/医療用吸収性物品、家庭用/産業用吸収性物品、またはスポーツ用/建設業用吸収性物品などの様々な他の吸収性物品に適用可能であることを理解されたい。
【0110】
トレーニングパンツを作製するための様々な材料及び方法が、特許文献1ないし特許文献4に開示されている(これらの文献は全て、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。
【0111】
図8は、部分的に留められている状態のトレーニングパンツを示す。図9は、開いた、折り畳まれていない状態のトレーニングパンツを示す。トレーニングパンツは、着用時の前面から後面へ延びる縦方向48を規定する。縦方向48に垂直な方向が横方向49となる。
【0112】
トレーニングパンツは、前方領域22、後方領域24、及び、前方領域22と後方領域24との間で縦方向に延在し両者を相互接続する股領域26を規定する。また、トレーニングパンツは、使用時に着用者に面するように構成された(例えば、トレーニングパンツの他の構成要素よりも内側に配置された)内面、及び、前記内面の反対側に設けられた外面を規定する。このトレーニングパンツは、横方向の両端に設けられた一対の側縁部、及び、縦方向の両端に設けられた一対のウエスト端部を有する。
【0113】
図示したトレーニングパンツ20は、胴体部32、前方領域22における横方向両側部に設けられた一対の前方側面パネル34、及び、後方領域24における横方向両側部に設けられた一対の後方側面パネル134を含み得る。
【0114】
胴体部32は、バックシート40及びトップシート42を含み、トップシート42は接着剤、超音波接合、熱接合またはその他の従来技術によってバックシート40に接合され得る。胴体部32は、図9に示すような、バックシート40とトップシート42との間に配置された、着用者から滲出する体液(滲出液)を吸収するための吸収性コア44をさらに含み得る。また、胴体部32は、トップシート42または吸収性コア44に固定された、身体滲出液の側方流動を阻止するための一対の封止フラップ46をさらに含み得る。
【0115】
バックシート40、トップシート42及び吸収性コア44は、当該技術分野で既知の様々な材料から作製され得る。これら3つの層は全て、例えば、伸縮可能及び/または弾性伸縮可能であり得る。あるいは、各層の伸縮性は、製品全体での伸縮性を調節するために、それぞれ異なり得る。
【0116】
バックシート40は、例えば、通気性及び/または液体不透過性であり得る。バックシート40は、1つの層、複数の層、積層、スパンボンド繊維、フィルム、メルトブローン繊維、弾性網、微小孔性ウェブ、またはボンディング・カーディングされたウェブから作製され得る。バックシート40は、例えば、液体不透過性材料の単層であり得るか、あるいは、少なくとも一層が液体不透過性である多層積層構造であり得る。
【0117】
バックシート40は、2軸方向に伸縮性であり得、随意的に2軸方向に弾性であり得る。バックシート40として使用することができる弾性不織積層ウェブには、1つ若しくは複数のギャザー寄せ可能な(gatherable)不織ウェブ若しくはフィルムに接合された不織材料が含まれる。エラストマー複合材料の例としては、伸縮結合積層体(SBL)及びネック結合積層体(NBL)が挙げられる。
【0118】
適切な不織材料の例には、スパンボンド/メルトブローン繊維、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド繊維、スパンボンド繊維、またはフィルムとそれらの繊維の積層体、あるいは他の不織ウェブが含まれる。エラストマー材料には、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリオレフィンエラストマー並びにそれらの組み合わせから成る、キャスト若しくはインフレーションフィルム、メルトブローン繊維またはスパンボンド繊維が含まれ得る。エラストマー材料には、PEBAXエラストマー(米国ペンシルベニア州フィラデルフィアに本拠地を置くアトフィナケミカルズ社(AtoFina Chemicals, Inc.)から入手可能)、HYTREL弾性ポリエステル(米国カンザス州ウィチタに本拠地を置くインビスタ社(Invista)から入手可能)、KRATONエラストマー(米国テキサス州ヒューストンに本拠地を置くクレイトン・ポリマーズ社(Kraton Polymers)から入手可能)、またはLYCRAエラストマー(インビスタ社から入手可能)など、並びにそれらの組み合わせが含まれ得る。バックシート40には、機械的処理、印刷処理、加熱処理または化学処理を経てエラストマー性を有する材料が含まれ得る。例えば、そのような材料は、開口加工、クレープ加工、ネッキングストレッチ加工、加熱活性化、エンボス加工及びマイクロストレイン加工(micro-strained)され得、かつ、フィルム、ウェブ及び積層体の形態であり得る。
【0119】
2軸方向伸縮性バックシート40の適切な材料の一例は、例えば特許文献5(この文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)に説明されているような通気性弾性フィルム/不織積層体である。2軸方向伸縮性を有する材料の例は、特許文献6及び特許文献7に開示されている(両文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。特許文献6及び特許文献7には、少なくとも2つの方向に伸縮可能な複合弾性材料が説明されている。この材料は、少なくとも1つの弾性シートと、該弾性シートに結合された少なくとも1つのネック化材料若しくは可逆的にネック化された材料とを有する。前記ネック化若しくは可逆的にネック化されたウェブは、非線形配置された少なくとも3ヶ所の位置のうちの2ヶ所の位置の間でギャザー寄せされるように前記弾性シートに結合される。
【0120】
トップシート42は、柔軟で、柔らかい肌触りで、かつ着用者の皮膚を刺激しないことが適切である。トップシート42は、身体滲出液を吸収性コア44の厚さ方向に迅速に透過させるのに十分な液体透過性も有する。適切なトップシート42は、例えば多孔質発泡体、網状発泡体、開口加工されたプラスチックフィルム、織ウェブ、不織ウェブまたはそれらの任意の材料の組み合わせなどの様々なウェブ材料から作製され得る。例えば、トップシート42には、天然繊維、合成繊維またはそれらの組み合わせから成る、メルトブローンウェブ、スパンボンドウェブまたはボンディング・カーディングされたウェブが含まれる。トップシート42は、実質的に疎水性の材料から構成され得る。前記疎水性材料は、随意的に、所望のレベルの湿潤性及び親水性を付与するために界面活性剤または他の方法で処理され得る。
【0121】
トップシート42はまた、伸縮可能及び/または弾性的に伸縮可能であり得る。トップシート42の作製に適切な弾性材料には、弾性ストランド、ライクラー(LYCRA)エラストマー、キャスト若しくはインフレーション弾性フィルム、不織弾性ウェブ、メルトブローン若しくはスパンボンド弾性繊維ウェブ、並びにそれらの組み合わせが含まれ得る。適切な弾性材料の例には、クレイトン(KRATON)エラストマー、ハイトレル(HYTREL)弾性ポリエステル、エステン(ESTANE)弾性ポリウレタン(米国オハイオ州クリーブランドに本拠地を置くノベオン社(Noveon)から入手可能)、またはペバックス(PEBAX)エラストマーが含まれ得る。トップシート42は、特許文献8に説明されている伸縮可能材料から作成することもできる(この文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。トップシート42は、特許文献9に説明されているような2軸方向に伸縮可能な材料から作成することもできる(この文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。
【0122】
物品20は、随意的に、吸収性コア44に隣接して配置され接着などの当該技術分野で既知の方法によって例えば吸収性コア44またはトップシート42などの物品20の様々な要素に取り付けられ得るサージ管理層をさらに含み得る。一般的に、サージ管理層は、物品の吸収性構造体内に急速に導入された波となって打ち寄せるまたは勢い良く流れる液体の迅速な吸収及び拡散を促進する。サージ管理層は、吸収性コア44の保持部分に放出される前の液体を一時的に保持することができる。適切なサージ管理層の例は、特許文献10ないし特許文献12に説明されている(これらの文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。
【0123】
物品20は、吸収性コア44をさらに含み得る。吸収性コア44は、様々な形状を有し得る。例えば、吸収性コア44は、2次元構造または3次元構造を有し得、長方形、三角形、楕円形、レーストラック形、I字型、概ね砂時計形、T字形などであり得る。多くの場合、吸収性コア44は、股部分26を後側部分24または前側部分22よりも狭くすることが適切である。吸収性コア44は吸収性物品内において例えばバックシート40及び/またはトップシート42に、例えば超音波、加圧、接着、開口形成、加熱、糸若しくはストランドの縫合、自発的若しくは自己接着、フックアンドループ、またはそれらの組み合わせなどの当該技術分野で既知の結合手段を用いて取り付けることができる。
【0124】
いくつかの態様では、吸収性コア44は、十分な量の伸縮性を有し得る。例えば、吸収性コア44は、有効な量の弾性ポリマー繊維を含有する繊維マトリクスを含み得る。当該技術分野で既知の他の方法には、その構造内に切断部または切込部を有する不織基材を利用して、伸縮可能フィルムに超吸水性ポリマー粒子を付着させる方法などがある。
【0125】
吸収性コア44は、当該技術分野で既知の方法を用いて作製され得る。特定の作製方法に限定するものではないが、吸収性コアはメルトブローン工程を利用して作成することができ、かつ、さらにはコフォームライン上に形成することができる。例示的なメルトブローン工程は、様々な刊行物(非特許文献1及び2)や特許文献(特許文献13及び14)に説明されている(これらは、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。
【0126】
「コフォーム」材料を作製するために、メルトブローン繊維を成形面に堆積させるときに、メルトブローン繊維に追加的な成分が混合される。例えば、本発明の超吸水性ポリマー組成物及び例えば木材パルプ繊維などの綿毛を、メルトブローン繊維に捕捉及び/または結合されるように、メルトブローン繊維流の中に注入する。例示的なコフォーム工程は、特許文献15〜21に説明されている(これらの各特許文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。大量の超吸収体を含有している吸収性の弾性メルトブローンウェブが特許文献22に説明されており、大量の超収体を含有しかつ低い超収体シェイクアウト値を有する吸収性の弾性メルトブローンウェブが特許文献23に説明されている(両特許文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。
【0127】
本発明に使用される吸収性コア44の作製方法の一例が図10に示されている。図10の装置の態様は、一例として示されている。異なる態様及び/または異なる構造を有する他の種類の装置も、吸収性コア44の作製に使用し得る。図10に示すように、ペレット形態のエラストマー材料72が、2つのペレットホッパー74から2つの単軸スクリュー押し出し機76を通ってスピンポンピング78へ供給される。エラストマー材料72は、エクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)(米国テキサス州ヒューストンに本拠地を置く)からビスタマックス(VISTAMAXX)2370の商品名で市販されている多成分エラストマー混合体並びに本明細書中で言及した他のものであり得る。各スピンポンプ78から個々のメルトブローンダイ80へ、エラストマー材料が供給される。各メルトブローンダイ80は、2.54cm(1インチ)当たり約30個の孔を有する。前記ダイの傾斜は、0度から70度の間で任意に調節され、適切には45度に設定される。成形高さは最大で約40.64cm(約16インチ)であり得る。しかし、この制限は、装置の種類によって異なり得る。
【0128】
約61cm(約24インチ)の幅を有するシュート82がメルトブローンダイ80,80の間に配置される。シュート82の深さ(すなわち厚さ)は、約1.3cmないし約3.2cm(約0.5インチないし約1.25インチ)、または約1.9cmないし約2.5cm(約0.75インチないし約1.0インチ)の範囲で調整され得る。シュート82の上部にピッカー144が接続される。ピッカー144はパルプ繊維86をほぐすのに使用される。ピッカー144の使用は、低強度または分解された(処理された)パルプの処理に限定され得る。その場合、ピッカー144を使用する図示した方法は、非常に小範囲のパルプ種類の処理に限定され得る。ハンマーを使用してパルプ繊維に衝撃を繰り返して与える従来の粉砕機とは対照的に、ピッカー144は小型の歯を使用してパルプ繊維86をばらばらにほぐす。図10に図示した方法に使用するための適切なパルプ繊維86には、例えばNB480(米国ワシントン州フェデラルウエイに本拠地を置くウェアーハウザー社(Weyerhaeuser Co.)から入手可能)などの本明細書中で言及したものが含まれる。
【0129】
シュート82におけるピッカー144と反対側の端部には、超吸水性ポリマー供給機88が接続されている。供給機88は、パイプ94の孔92に、本発明の超吸水性ポリマー組成物90を注入する。超吸水性ポリマー組成物90は、パイプ94から送風ファン96に供給される。送風ファン96の長さは、直径約10cm(4インチ)のパイプ98が、超吸水性ポリマー組成物粒子90の分散を可能にする約1524m/分(5000フィート/分)の完全発達乱流を十分に発達させることができる長さにする。パイプ98の直径は、超吸水性ポリマー組成物90がパルプ繊維86と混合する地点で約10cm(4インチ)から約61cm×1.9cm(約24インチ×0.75インチ)に広がる。そして、超吸水性ポリマー組成物90とパルプ繊維86の混合物は前記混合地点から真下に落下し、混合物の両側にエラストマー材料72が約45度の角度で混合する。超吸水性ポリマー組成物90とパルプ繊維86とエラストマー材料72の混合物は、約4.27〜10.67m/分(約14〜35フィート/分)ワイヤーコンベヤ100上に落下する。また一方、コンベヤ100に当たる前に、スプレーブーム102が前記混合物に対して界面活性剤の水性混合物104を霧状に噴霧する。このことにより、作製された吸収性コア44は、湿潤性に改変される。界面活性剤混合物104は、GLUCOPON 220UP(米国オハイオ州のシンシナティに本拠地を置くコグニス社(Cognis Corporation)から収入可能)と、AHCOVEL Base N-62(米国デラウェア州ニューカッスルに本拠地を置くユニケマ社(Uniqema)から収入可能)との混合比1:3の混合物であり得る。吸収性コア44の成形を補助するために、ワイヤ下真空機106がコンベヤ100の真下に配置されている。
【0130】
一般的に、吸収性コア44は、実質的に均一分布の超吸水性ポリマー組成物粒子、繊維、及び任意の他の随意的な添加物を含む単一構造体である場合が多い。しかし、図11を参照して、いくつかの態様では、吸収性コア44は、本発明の超吸水性ポリマー組成物粒子を組み合わせた場合、構造改変によってさらに強化され得る。例えば、NB480または他の天然若しくは合成繊維などの綿毛繊維を十分に含有する層62と層64との間に、本発明の超吸水性ポリマー組成物粒子を十分に含有する層60を設けることにより、超吸水性ポリマー組成物粒子及び綿毛繊維を実質的に均一に分布させる場合よりも、吸収性コアの吸収性(例えば被吸収液体の吸収率)を向上させることができる。このような積層化は、吸収性コアのz方向において行われ、随意的に、吸収性コアのx−y領域完全をカバーする。また一方、層60、62及び64は、互いに異なる必要はない。例えば、いくつかの態様では、吸収性コアのz方向の中央部分60に、吸収性コアの上側層62及び/または下側層64よりも高い割合(例えば、少なくとも10重量%)の超吸水性ポリマー組成物粒子が含まれるようにするだけでもよい。層60、62及び64は、吸収性コアにおける被吸収標的領域内に存在することが望ましい。
【0131】
上述したように、吸収性コア44は、例えば超吸水性ポリマー組成物及び/または綿毛などの吸収性材料も含む。さらに、有効な量の超吸水性ポリマー組成物を、例えばポリマー繊維などの繊維マトリックス内に含めることができる。したがって、吸収性コア44は、繊維マトリックス内に、大量の超吸水性ポリマー組成物及び/または綿毛を含むことができる。いくつかの態様では、向上した利益を吸収性コアに提供するためには、吸収性コア44内の超吸水性ポリマー組成物の量は、前記コアの重量の少なくとも約10重量%、例えば少なくとも約30重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約90重量、少なくとも約10重量%ないし約99重量%、少なくとも約30重量%ないし約90重量%などであり得る。随意的に、超吸水性ポリマー組成物の量は、吸収性コアの重量の少なくとも約95重量%であり得る。他の態様では、吸収性コア44は、約35重量%またはそれ未満の、例えば約20重量%またはそれ未満、約10重量%またはそれ未満の綿毛を含むことができる。
【0132】
本発明は、超吸水性ポリマー組成物粒子及び/または綿毛の使用に限定されないことを理解されたい。いくつかの態様では、吸収性コア44は、追加的にまたは代替的に、例えば界面活性剤、イオン交換樹脂粒子、湿潤剤、皮膚軟化剤、香料、天然繊維、合成繊維、流体改変剤、悪臭防止添加剤、及びそれらの組み合わせなどの材料を含み得る。あるいは、吸収性コア44は、発泡体を含むことができる。
【0133】
より良く機能させるために、吸収性コア44は、向上した性能の他にもユーザにとっての快適性及び信頼性も提供するためのいくつかの望ましい性質を有することができる。例えば、吸収性コア44は、液体吸上げ率、吸収容量、液体分配または適合性(例えば形状維持及び審美性)などの吸収特性の所望の組み合わせを提供するために選択的に構成され配置された、吸収容量、密度、坪量及び/または大きさに対応した構造を有することができる。同様に、吸収性コアは、所望の湿潤対乾燥強度比、平均流孔径、透過性及び伸び値を有することができる。
【0134】
上述したように、吸収性コア44は、随意的に、エラストマー性ポリマー繊維を含むことができる。前記ポリマー繊維のエラストマー性材料は、所望に応じて、オレフィン系エラストマーまたは非オレフィン系エラストマーを含み得る。例えば、前記エラストマー性繊維は、オレフィンコポリマー、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリイソプレン、架橋ポリブタジエン、ジブロック、トリブロック、テトラブロックまたは他のマルチブロック熱可塑性エラストマー性及び/または柔軟性コポリマー(例えばブロックコポリマー(水素化ブタジエン−イソプレン−ブタジエンブロックコポリマー)など);ステレオブロックポリプロピレン;エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーまたはエチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)エラストマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマー(EPM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、及びエチレン−アクリル酸メチル(EMA)を含むグラフトコポリマー;クラトン社(Kraton Inc.)からKRATONエラストマー性樹脂の商品名で市販されているまたはエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)の一部門であるデキスコ(Dexco)からVECTOR(SIS及びSBSポリマー)の商品名で市販されている、例えばスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン(SIBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)またはスチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(SEPS)などのジブロック及びトリブロックコポリマーを含むスチレンブロックコポリマー;動的に加硫されたエラストマー−熱可塑性混合体を有する熱可塑性エラストマーの混合体;熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマー;アイオノマー系熱可塑性エラストマー;インビスタ社(Invista Corporation)からLYCRAポリウレタンの商品名で市販されているもの、及び米国オハイオ州クリーブランドに本拠地を置くノベオン社(Noveon, Inc.)からESTANEの商品名で市販されているものを含む熱可塑性弾性ポリウレタン;米国ペンシルベニア州フイラデルフイアに本拠地を置くアトフィナケミカルズ社(AtoFina Chemicals, Inc.)からPEBAXの商品名で市販されているポリエーテルブロックアミドを含む熱可塑性弾性ポリアミド;ポリエーテルブロックアミド;デュポン社(E. I. Du Pont de Nemours Co.)からHYTRELの商品名で市販されているもの、米国インディアナ州エバンズビルに本拠地を置くDSMエンジニアリングプラスチックス社(DSM Engineering Plastics)からARNITELの商品名で市販されているもの、及び、米国テキサス州フリーポートに本拠地を置くダウケミカル社(Dow Chemical Co.)からAFFINITYの商品名で市販されている約0.89g/立方メートル未満の密度を有するシングルサイトまたはメタロセン触媒ポリオレフィンを含む熱可塑性弾性ポリエステル;並びにそれらの組み合わせを含み得る。
【0135】
本明細書中では、トリブロックコポリマーは、ABA構造を有する。ここで、AはA型のいくつかの反復単位を示し、BはB型のいくつかの反復単位を示す。上述したように、スチレンブロックコポリマーのいくつかの例は、SBS、SIS、SIBS、SEBS及びSEPSである。これらのコポリマーでは、Aブロックはポリスチレンであり、Bブロックはゴム性成分である。一般的に、これらのトリブロックコポリマーは、数千から数百までの様々な分子量を有し、スチレン含有量は、トリブロックコポリマーの総量に基づいて5%から75%の範囲であり得る。ジブロックコポリマーは、AB構造であることを除いてはトリブロックコポリマーと同様である。適切なジブロックコポリマーには、同一のAブロック対Bブロック比率を有するトリブロックコポリマーの分子量の約2分の1の分子量を有するスチレン‐イソプレンジブロックが含まれる。
【0136】
望ましい態様では、ポリマー繊維は、スチレンブロックコポリマー、弾性ポリオレフィンポリマー及びコポリマー、並びにEVA/EMA型ポリマーから成る群より選択される少なくとも1つの材料を含み得る。
【0137】
いくつかの特定の態様では、例えば、ポリマー繊維のエラストマー材料は、米国テキサス州ヒューストンに本拠地を置くエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)からビスタマックス(VISTAMAXX)の商品名で市販されている様々な商用グレードの低結晶度、低分子量のメタロセンポリオレフィンを含むことができる。いくつかのビスタマックス(VISTAMAXX)材料は、メタロセンポリオレフィンエチレンコポリマーであると考えられている。例えば、ある態様では、エラストマーポリマーはVISTAMAXX PLTD 2210であり得る。他の態様では、エラストマーポリマーはVISTAMAXX PLTD 1778であり得る。特定の態様では、エラストマーポリマーはVISTAMAXX PLTD 2370であり得る。別の任意選択のエラストマーポリマーは、クラトン社(Kraton Inc.)製のKRATON blend G 2755である。前記KRATON材料は、スチレンエチレン‐ブチレンスチレンポリマーとエチレンワックスと粘着付与樹脂との混合物であると考えられている。
【0138】
いくつかの態様では、エラストマーポリマー繊維は、選択されたメルトフローレート(melt flow rate:MFR)を有するポリマー材料から作製することができる。特定の態様では、MFRは、最大で約300までであり得る。あるいは、MFRは、最大で約230〜250までであり得る。別の態様では、MFRは、最小で少なくとも約9、または少なくとも約20であり得る。あるいは、所望の性能を提供するために、MFRは、少なくとも約50であり得る。前述したメルトフローレートの単位は、10分間当たりに流れるグラム数(g/10分)である。メルトフローレートのパラメータは周知であり、例えばASTM D 1238 70(押し出し可塑度計)(標準状態「L」は230℃であり、2.16kgの力が加えられる)試験方法などの従来技術によって測定することができる。
【0139】
上述したように、吸収性コア44のポリマー繊維は、多量の界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、作用可能な任意の方法で吸収性コアのポリマー繊維と結合させることができる。界面活性剤を結合させるための様々な技術は、従来どおりであり、当業者には周知である。例えば、界面活性剤は、メルトブローン繊維構造の作製に使用されるポリマーに配合させることができる。特定の態様では、繊維の冷却時に、有効な量の界面活性剤が、繊維の外面に移転または分離するように構成され得る。あるいは、界面活性剤は、ポリマー繊維の成形後に、ポリマー繊維に塗布または他の方法で結合され得る。
【0140】
ポリマー繊維は、繊維及び界面活性剤の全重量に基づいて、有効な量の界面活性剤を含むことができる。いくつかの態様では、ポリマー繊維は、水抽出法で測定された、少なくとも約0.1重量%の界面活性剤を含むことができる。あるいは、所望の利益を提供するために、界面活性剤の量は少なくとも約0.15重量%であり得、任意選択で少なくとも約0.2重量%であり得る。他の態様では、向上した性能を提供するために、界面活性剤の量は、最大で約2重量%まで、例えば最大で約1重量%まで、最大で多くて約0.5重量%までなどであり得る。
【0141】
もし界面活性剤の量が望ましい範囲を外れた場合、様々な不都合が生じ得る。例えば、界面活性剤の量が少なすぎると、疎水性メルトブローン繊維などの繊維を吸収液体で湿潤させることができない。対照的に、界面活性剤の量が多すぎると、望ましくないことに、繊維から洗い流された界面活性剤が、吸収性コアの液体輸送能力を妨げ得るかまたは吸収性コアの吸収性物品への付着強度に悪影響を与え得る。界面活性剤をポリマー繊維に配合してもまたは他の方法によりポリマー繊維の内部に加えても、界面活性剤の量が多すぎると、ポリマー繊維及び内部繊維結合の形成を弱くする状態が創出され得る。
【0142】
いくつかの構成では、界面活性剤には、ポリエチレングリコールエステル凝縮物及びアルキルグリコシド界面活性剤から成る群より選択される少なくとも1つの材料が含まれ得る。例えば、界面活性剤は、40%の水と、60%のD‐グルコース、デシル、オクチルエステル及びオリゴマーとから成る、コグニス社(Cognis Corporation)から入手可能なグルコポン(GLUCOPON)界面活性剤であり得る。
【0143】
本発明の他の態様では、界面活性剤は、0.20kgのGLUCOPON 220 UP界面活性剤(コグニス社(Cognis Corporation)から入手可能)及び0.36kgのAHCOVEL Base N-62(ユニケマ社(Uniqema)から入手可能)に混合された16リットルの熱湯(約45℃ないし約50℃)を含む水/界面活性剤溶液を含有し、噴霧塗布される界面活性剤であり得る。噴霧塗布される界面活性剤を使用する場合は、超吸水性ポリマー組成物粒子の所望の閉じ込めを提供するために、噴霧塗布される界面活性剤の量は比較的少量であることが望ましい。例えば、液体界面活性剤の量が多すぎると、溶融されたエラストマーメルトブローン繊維への超吸水性ポリマー組成物粒子の所望の付着が妨げられる。
【0144】
エラストマー繊維ポリマーと配合させることができる内部界面活性剤または湿潤剤の例としては、米国テキサス州フリーポートに本拠地を置くBASF社から入手可能なMAPEG DO 400 PEG(ポリエチレングリコール)エステルなどが挙げられる。他の内部界面活性剤としては、ポリエステル、脂肪酸エステル、せっけんなど、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0145】
上述したように、吸収性コア44は、随意的に、例えばセルロース繊維などの綿毛を含むことができる。そのようなセルロース繊維には、これらに限定しないが、例えば亜硫酸パルプ及び硫酸塩パルプなどの化学木材パルプ(クラフトとも呼ばれる)、並びに、例えばグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ及びケミサーモメカニカルパルプなどの機械パルプが含まれ得る。より具体的には、パルプ繊維には、綿、他の種類の木材パルプ、酢酸セルロース、ボンデッドケミカル木材パルプ、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。落葉樹及び針葉樹の両方から得られたパルプも使用可能である。さらに、セルロース繊維には、天然植物繊維、トウワタ綿毛、綿繊維、微結晶性セルロース、超微細化セルロース、またはそれらの材料のいずれかと木材パルプ繊維との組み合わせなどの親水性材料が含まれ得る。適切なセルロース系綿毛繊維には、例えば、NB 480(ウェアーハウザー社(Weyerhaeuser Co.)から入手可能)、漂白した南部針葉樹クラフトパルプであるNB 416(ウェアーハウザー社から入手可能)、漂白した南部針葉樹クラフトパルプであるCoosAbsorb S(米国サウスカロライナ州グリーンビルに本拠地を置くボウウオーター社(Bowater Inc.)から入手可能)、化学修飾された広葉樹パルプであるSULPHATATE HJ(米国ジョージア州エサップに本拠地を置くレイオニール社(Rayonier Inc.)から入手可能)、化学修飾された漂白南部針葉樹クラフトパルプであるNF 405(ウェアーハウザー社から入手可能)、及び漂白南部針葉樹クラフトパルプと広葉樹クラフトパルプの混合物であるCR 1654(ボウウオーター社(Bowater Inc.)から入手可能)が含まれ得る。
【0146】
上述したように、吸収性コア44は、望ましい量の本発明の超吸水性ポリマー組成物粒子も含む。一般的に、超吸水性ポリマー(superabsorbent polyme:SAP)は、典型的には、不飽和のカルボン酸またはその誘導体のポリマーである。これらのポリマーは、二官能性または多官能性の内部架橋剤と架橋結合させることにより、不水溶性であるが水膨潤可能に改変することができる。これらの内部架橋結合されたポリマーは、少なくとも部分的に中和されており、そのポリマーバックボーンに、ポリマーが例えば体液などの液体を吸収することを可能にするペンダントアニオン性カルボキシル基を含む。
【0147】
SAPは、水溶液内でのゲル重合などの既知の重合技術により製造される。この重合過程により超吸水性を有するポリマーが得られ、得られたポリマーは、その後、機械力により小粒子化され、当該技術分野で既知の乾燥手順及び装置を用いて乾燥させられる。乾燥過程の後に、得られた粒子を所望の粒子サイズに粉砕する過程が行われる。一般的に、粒子サイズが非常に小さい場合は、液体の吸収後に膨潤し、さらなる液体の吸収が阻害される。しかし一方、粒子サイズが非常に大きい場合は、表面積が減少するので、吸収率が減少し得る。
【0148】
液体吸収プロファイルを向上させるために、吸収容量、吸収速度、取り込み時間及び/または透過率のうちの1つ若しくは複数に関して粒子を最適化させることができる。この最適化により吸収性物品における綿毛繊維の量を減らすことを可能にし、その結果、物品を薄くすることができる。しかし、一般的に、これらの吸収プロファイル特性の全てを最大化することは不可能なほど困難であり得る。
【0149】
超吸水性ポリマーに前処理を施して粒子表面上にペンダントアニオン性カルボキシル基を架橋結合させるか、及び/または粒子表面上にコーティングを施して超吸水性ポリマー組成物粒子を形成することが望ましいであろう。例えば、本発明のいくつかの態様は、超吸水性ポリマー組成物の総量に基づいて約0.01重量%ないし約2重量%の無機金属化合物を含有する表面添加物で表面処理された超吸水性ポリマー粒子を含有する超吸水性ポリマー組成物を含む。いくつかの態様では、超吸水性ポリマー組成物は、遠心保持容量試験で測定された少なくとも約30g/gの遠心保持容量と、自由膨潤ゲルベッド透過率試験で測定された少なくとも10ダルシーの自由膨潤ゲルベッド透過率とを有する。
【0150】
本発明の他の態様は、(a)超吸水性ポリマーの総量に基づいて約55重量%ないし約99.9重量%の重合可能な不飽和の酸性基含有モノマーと、(b)重合可能な不飽和の酸性基含有モノマーの総量に基づいて、約0.001重量%ないし約5重量%の内部架橋剤とを含有する吸収性物品を含む。前記超吸水性ポリマーは、約25%を超える中和度を有する。前記要素(a)及び(b)は、重合化され超吸水性ポリマー粒子に製剤化される。表面処理された超吸水性ポリマー粒子を形成するために、前記超吸水性ポリマー粒子は表面添加物をさらに含む。前記表面添加物は、(i)超吸水性ポリマー組成物の総量に基づいて約0.001重量%ないし約5重量%の表面架橋剤と、(ii)超吸水性ポリマー組成物の総量に基づいて約0.01重量%ないし約2重量%の不水溶性の無機金属化合物と、(iii)超吸水性ポリマー組成物の総量に基づいて約0重量%ないし約5重量%のポリマーコーティングとを含む。表面処理された超吸水性ポリマー粒子は、さらに、熱処理され得る。いくつかの態様では、超吸水性ポリマー組成物は、遠心保持容量試験で測定された少なくとも約30g/gの遠心保持容量と、自由膨潤ゲルベッド透過率試験で測定された少なくとも10ダルシーの自由膨潤ゲルベッド透過率とを示す。
【0151】
本発明のさらなる他の態様は、微粉化された不水溶性の無機金属塩で処理された超吸水性ポリマー粒子を含有する超吸水性ポリマー組成物を含み、該組成物は、(a)超吸水性ポリマー粒子を準備するステップと、(b)第1の無機金属塩を含有する第1の溶液を調製するステップと、(c)前記(b)の第1の溶液に、第2の無機金属塩を含有する第2の溶液を加えて混合し、第1の溶液と第2の溶液との混合反応により第3の不水溶性金属塩である沈殿物を生じさせ、不水溶性金属塩スラリーを形成するステップと、(d)随意的に、不水溶性金属塩スラリーの金属を酸化させ、より高い原子価状態にするステップと、(e)不水溶性金属塩スラリーを分離及び乾燥させることなく、不水溶性金属塩スラリーを超吸水性ポリマー粒子に塗布するステップとを含む方法により作製される。
【0152】
本発明のさらなる他の態様は、微粉化された不水溶性の無機金属塩で処理された超吸水性ポリマー粒子を含有する超吸水性ポリマー組成物を含み、該組成物は、(a)超吸水性ポリマー粒子を提供するステップと、(b)第1の無機金属塩を含有する第1の溶液を準備するステップと、(c)第2の無機金属塩を含有する第2の溶液を準備するステップと、(d)前記第1及び第2の溶液を前記超吸水性ポリマー粒子に塗布し、不水溶性無機金属塩の沈殿物を前記超吸水性ポリマー粒子の表面またはその近傍に直接的に形成するステップとを含む方法により作製される。
【0153】
本発明のいくつかの態様に記載の超吸水性ポリマー粒子は、超吸水性ポリマーの総量に基づいて、約55重量%ないし約99.9重量%の重合可能な不飽和の酸性基含有モノマーの初期重合により得られる。適切なモノマーには、例えばアクリル酸、メタアクリル酸または2‐アクリルアミド‐2‐メチルプロパンスルホン酸あるいはそれらの混合体のなどのカルボキシル基のいずれかを含有するものが含まれる。酸性基の少なくとも約50重量%、例えば少なくとも75重量%などが、カルボキシル基であることが適切である。
【0154】
酸性基は、少なくとも約25mol%まで中和される。すなわち、酸性基は、ナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩として存在することが望ましい。いくつかの態様では、中和度は、少なくとも約50mol%であり得る。いくつかの態様では、内部架橋剤の存在下で、アクリル酸またはメタアクリル酸の重合により得られたポリマーを使用し、カルボキシル基を約50mol%ないし約58mol%の程度まで中和することが望ましい。
【0155】
いくつかの態様では、エチレン性不飽和モノマーと共重合され得る適切なモノマーには、これらに限定しないが、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ヒドロキシエチル、ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリル酸、エトキシ化(メタ)アクリル酸、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、またはアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドが含まれる。このようなモノマーは、共重合化モノマーの0重量%ないし約40重量%の範囲で存在し得る。
【0156】
本発明の超吸水性ポリマー組成物は、適切には、内部架橋剤も含み得る。内部架橋剤は、少なくとも2つのエチレン性不飽和二重結合を有するか、または1つのエチレン性不飽和二重結合と、重合可能な不飽和の酸性基含有モノマーの酸性基に対して反応性がある1つの官能基とを有するか、または内部架橋成分として使用することができる酸性基に対して反応性がある数個の官能基を有し、重合可能な不飽和の酸性基含有モノマーの重合中に存在することが望ましい。
【0157】
内部架橋剤の例には、これらに限定しないが、メチレンビスアクリルアミド、メタクリルアミドまたはエチレンビスアクリルアミドなどの脂肪族不飽和アミド;ブタンジオール若しくはエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート若しくはトリ(メタ)アクリレート、ポリグリコールまたはトリメチロールプロパンなどの、エチレン系不飽和酸を有するポリオールまたはアルコキシ化ポリオールの脂肪族エステル;約1モルないし30モルのアルキレンオキシドでオキシエチル化された、望ましくはエトキシ化されたトリメチロールプロパンのジアクリレートエステル及びトリアクリレートエステル;グリセロール及びペンタエリトリトールのアクリレート及びアクリレートエステル、並びに、望ましくは約1モルないし30モルのエチレンオキシドでオキシエチル化されたグリセロール及びペンタエリトリトールのアクリレート及びアクリレートエステル;アリル(メタ)アクリレート、望ましくは約1モルないし30モルのエチレンオキシドと反応したアルコキシ化アリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、マレイン酸ジアリルエステル、ポリ‐アリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、ジオール、ポリオール、ヒドロキシアリル、またはリン酸若しくは亜リン酸のアクリレート化合物及びアリスエステルなどのアリル化合物;不飽和アミド(例えばメタクリルアミドまたはアクリルアミド)のN−メチロール化合物及びそれらから誘導されたエステルなどの架橋結合可能なモノマーが含まれる。
また、多価金属塩などのイオン性架橋剤も使用し得る。また、上記した架橋剤の混合物も使用し得る。内部架橋剤の含有量は、重合可能な不飽和の酸性基含有モノマーの総量に基づいて、約0.01重量%ないし5重量%、例えば約0.2重量%ないし3重量%などである。
【0158】
いくつかの態様では、ラジカル重合を開始させるために開始剤が使用され得る。好適な開始剤には、これらに限定しないが、アゾ若しくはペルオキソ化合物、酸化還元系若しくはUV開始剤、増感剤、及び/または放射線が含まれる。
【0159】
重合後、超吸水性ポリマーは一般的に粒子に形成される。いくつかの態様では、SAP粒子は、重合後、表面架橋剤添加及び加熱処理によって表面架橋される。一般的に、表面架橋は、SAP粒子の表面付近のポリマーマトリクスの架橋密度を、粒子内部の架橋密度よりも増加させると考えられる過程である。
【0160】
いくつかの特定の態様では、望ましい表面架橋剤には、ポリマー鎖ペンダント基(典型的には酸性基)に対して反応性を有する1つ若しくは複数の官能基を含有する化学薬品が含まれる。表面架橋剤は、超吸水性ポリマー組成物の乾燥重量に基づいて、約0.001重量%ないし約5重量%、例えば約0.01重量%ないし約3重量%または約0.1重量%ないし約1重量%などの量で存在し得る。加熱処理工程は、表面架橋剤を加えた後に行われることが望ましい。
【0161】
ある特定の態様では、SAP粒子をアルキレン炭酸塩で被覆または表面処理した後に加熱することにより、表面架橋結合に影響を及ぼし、表面架橋の密度及びSAP粒子のゲル強度特性を向上させることができる。より具体的には、SAP粒子とアルキレン炭酸塩表面架橋剤の水性アルコール溶液とを混合することにより、SAP粒子上に表面架橋剤が被覆される。アルコールの量は、アルキレン炭酸塩の溶解度により決定され、例えば爆発防止など様々な理由によりできる限り低く抑えられる。適切なアルコールは、メタノール、イソプロパナノール、エタノール、ブタノール、またはブチルグリコール、並びにそれらのアルコールの混合物である。いくつかの態様では、溶媒は水であることが望ましく、典型的には、超吸水性ポリマーの乾燥重量に基づいて約0.3重量%ないし約5重量%の量で使用される。いくつかの態様では、アルキレン炭酸塩表面架橋剤は、アルコールを含まない水に溶解される。さらなる他の態様では、アルキレン炭酸塩表面架橋剤は、例えば無機担体材料(例えばシリコン酸化物(SiO))などとの粉末混合物、またはアルキレン炭酸塩を昇華させることにより気相状態で塗布され得る。
【0162】
所望の表面架橋特性を得るために、アルキレン炭酸塩は、微粒子状の超吸水性ポリマー上に均等に分散させられる。この目的のために、混合は、例えば流動床ミキサ、パドルミキサ、回転ドラムミキサまたはツインウォームミキサなどの当該技術分野で既知の適切なミキサ(混合器)により行われる。SAP粒子の製造過程のうちの1つの過程中に、粒子状超吸水性ポリマー粒子の被覆を行うことも可能である。ある特定の態様では、この目的のための適切な方法は、逆相懸濁重合法である。
【0163】
被覆処理に続く加熱処理は、次のようにして行うことができる。一般的に、加熱処理は、約100℃ないし約300℃の範囲の温度で行うことができる。高反応性のエポキシド架橋剤を使用する場合は、加熱処理をより低い温度で行うことが可能である。また一方、アルキレン炭酸塩を使用する場合は、熱処理は約150℃ないし約250℃の温度で行うことが適切である。この特定の態様では、処理温度は、ドウェル時間及びアルキレン炭酸塩の種類によって決まる。例えば、熱処理は、約150℃の温度で1時間またはそれ以上行われる。一方、約250℃の温度と、数分間(例えば約0.5分間ないし約5分間)の加熱時間が、所望の表面架橋特性を得るのに十分である熱処理は、当該技術分野で既知の従来のドライヤまたはオーブンの内部で行われ得る。
【0164】
粒子は、超吸水性ポリマー組成物の物理的形態の一例として用いられている。本発明はこの形態に限定されず、上記したように、例えば繊維、発泡体、フィルム、ビーズ、ロッドなどの他の形態を適用することも可能である。いくつかの態様では超吸水性ポリマー組成物が粒子または顆粒形態で存在する場合、超吸水性体業界で周知のふるい分け過程に基づいて、これらの粒子は約150μmないし850μmの粒径を有することが望ましい。
【0165】
いくつかの態様では、本発明の超吸水性ポリマー組成物には、(超吸水性ポリマー組成物の乾燥重量に基づいて)0重量%ないし約5重量%の、例えば約0.001重量%ないし約5重量%または約0.01重量%ないし約0.5重量%などの、熱可塑性コーティング、カチオン性コーティングまたはそれらの組み合わせなどのポリマーコーティングが含まれる。いくつかの特定の態様では、ポリマーコーティングは、固体、乳濁液、懸濁液、コロイド状、可溶化状態またはそれらの組み合わせのポリマーであることが望ましい。本発明に好適なポリマーコーティングには、これらに限定しないが、熱可塑性コーティングが含まれ得る。前記熱可塑性コーティングはその溶融温度で前記粒子に塗布され、同時にまたはその後に、前記処理された超吸水性ポリマー粒子は前記溶融温度付近の温度で加熱される。
【0166】
適切な熱可塑性ポリマーには、これらに限定しないが、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、スチレンポリブタジエン、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)、エチレンアルキルメタクリルコポリマー(EMA)、ポリプロピレン(PP)、マレイン化ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリエステル、ポリアミド、及びポリオレフィンの全てのファミリーの混合物、例えばPP、EVA、EMA、EEA、EBA、HDPE、MDPE、LDPE、LLDPE及び/またはVLDPEなどの混合物が含まれる。いくつかの特定の態様では、本発明で使用される熱可塑性ポリマーは、マレイン化ポリプロピレンが望ましい。熱可塑性ポリマーを官能化することにより、例えば水溶性または分散性などのさらなる利点を得ることができる。
【0167】
本発明のポリマー性コーティングは、カチオン性ポリマーも含み得る。本明細書中において使用されるカチオン性ポリマーという用語は、水溶液中でイオン化されたときに正電荷イオンとなる可能性を有する官能基を含むポリマーまたはポリマーの混合物を指す。カチオン性ポリマーに適切な官能基には、これらに限定しないが、第1級、第2級若しくは第3級アミノ基、イミノ基、イミド基、アミド基及び第4級アンモニウム基が含まれる。カチオン性合成ポリマーの例には、これらに限定しないが、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アミノプロパノールビニルエーテル)、ポリ(アクリルアミドプロピルトリメチル塩化アンモニウム)及びポリ(ジアリルジメチル塩化アンモニウム)の塩または部分塩が含まれる。ポリ(ビニルアミニン)には、これらに限定しないが、米国ニュージャージー州のマウントオリーブのBASF社(BASF Corporation)から入手可能なLUPAMIN 9095が含まれる。天然ベースのカチオン性ポリマーの例には、これらに限定しないが、部分的に脱アセチル化されたキチン、キトサン及びキトサン塩が含まれる。ポリアスパラギン、ポリリシン、ポリグルタミン及びポリアルギニンなどの合成ポリペプチドもまた、適切なカチオン性ポリマーである。
【0168】
本発明の超吸水性ポリマー粒子は、超吸水性ポリマー組成物の乾燥重量に基づいて、約0.01重量%ないし約2重量%の、例えば約0.01重量%ないし約1重量%などの不水溶性無機金属化合物を含み得る。不水溶性の無機金属化合物には、これらに限定しないが、アルミニウム、チタン、カルシウムまたは鉄から選択されるカチオン、及び、リン酸塩、ホウ酸塩またはクロム酸塩から選択されるアニオンが含まれる。不水溶性無機金属化合物の例には、リン酸アルミニウム及び/または不水溶性金属ホウ酸塩が含まれる。不水溶性金属ホウ酸塩は、チタンホウ酸塩、アルミニウムホウ酸塩、鉄ホウ酸塩、マグネシウムホウ酸塩、マンガンホウ酸塩、またはカルシウムホウ酸塩から選択される。本明細書中では、化学式「TiBO」は、チタンホウ酸塩と、例えばチタン(III)ホウ素酸TiBOなどの類似化合物を示すのに使用される。また、前記化学式は、チタン(IV)ホウ素酸を得るためにチタン(III)ホウ素酸TiBOが過酸化水素で処理された場合も示す。無機金属化合物は、約2μm未満の、例えば約1μm未満の質量平均粒径を有し得る。
【0169】
無機金属化合物は、超吸水性ポリマー粒子の表面上に、乾燥形態で塗布することができる。このことにより、超吸水性ポリマー粒子を、微粉化した無機金属化合物と緊密に混合させることができる。微粉化した無機金属化合物は、適切には、超吸水性ポリマー粒子に室温で加えられ、均一な混合物になるまで混合される。この目的のために、混合は、例えば流動床ミキサ、パドルミキサ、回転ドラムミキサまたはツインウォームミキサなどの当該技術分野で既知の適切なミキサ(混合器)により行われる。超吸水性ポリマー粒子と微粉化した不水溶性無機金属化合物との混合は、任意の表面架橋の前または後に行うことができ、例えば、表面架橋剤の塗布中に行うことができる。
【0170】
あるいは、微粉化した不水溶性無機金属化合物の懸濁液を調製して、粒子状の吸水性ポリマーに塗布することもできる。懸濁液は、当該技術分野で既知の手段により塗布され、例えば噴霧法によって塗布される。懸濁液の調製に有用な分散媒体には、水、例えばアルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、ケトン(アセトン)及びメチルエチルケトンなどの有機溶媒、または水と前記有機溶媒との混合物が含まれる。他の有用な分散媒体には、分散助剤、界面活性剤、保護コロイド、粘度調整剤、及び懸濁液の調製を助ける他の助剤が含まれる。懸濁液は、室温から分散媒体の沸点未満まで範囲の温度で、好ましくは大体室温で、上述した従来の反応ミキサまたは混合及び乾燥システム内で塗布され得る。微粉化された不水溶性金属塩を表面架橋剤の溶液中に分散させることにより、懸濁液の塗布と表面架橋過程とを組み合わせることが望ましい。あるいは、前記懸濁液は、表面架橋過程の前または後に塗布することもできる。いくつかの態様では、前記スラリー(懸濁液)を塗布した後に、乾燥ステップが行われ得る。
【0171】
いくつかの態様では、本発明の超吸水性ポリマー組成物は、該組成物の総量に基づいて、0重量%ないし約5重量%の、例えば約0.01重量%ないし約3重量%などのシリカを含有し得る。シリカの例には、これらに限定しないが、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、二酸化ケイ素、ケイ酸及びケイ酸塩が含まれる。いくつかの特定の態様では、微小非結晶性二酸化ケイ素が望ましい。いくつかの態様では、無機粉末の粒径は、1000μmまたはそれ以下、例えば100μmまたはそれ以下であり得る。
【0172】
いくつかの態様では、超吸水性ポリマー組成物は、該組成物の総量に基づいて、0重量%ないし約30重量%の、例えば約0.1重量%ないし約5重量%の、水溶性ポリマー、例えば、部分的に若しくは完全に加水分解されたポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、でんぷん若しくはでんぷん誘導体、ポリグリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、またはポリアクリル酸などを含み得る。いくつかの特定の態様では、水溶性ポリマーは、重合した形態であることが望ましい。
【0173】
いくつかの態様では、随意的に、例えば臭気結合物資(シクロデキストリン、ゼオライト)、無機若しくは有機塩及び同様の材料、凝固防止剤、流動調節剤、界面活性剤、粘度調節剤などの追加的な表面添加剤が、超吸水性粒子と共に使用され得る。さらに、表面改質中にいくつかの役割を果す表面添加剤が使用され得る。例えば、或る1つの添加剤は界面活性剤、粘度調節剤であり得、架橋ポリマー鎖と反応し得る。
【0174】
いくつかの態様では、本発明の超吸水性ポリマー組成物は、加熱処理過程の後に、該組成物の水分含有量が該組成物の総量に基づいて最大で約10重量%となるように水で処理される。前記水は、上記した1つ若しくは複数の表面添加剤と共に加えることができる。
【0175】
本発明の超吸水性ポリマー組成物は、大規模な産業的な方法で連続的若しくは不連続的に調製することが望ましい。その結果、その後に本発明の架橋結合が行われる。例えば、或る調製方法によれば、部分的に中和されたモノマー(例えばアクリル酸)は、架橋剤及び任意のさらなる成分の存在下での水溶液中のラジカル重合によってゲルに変換される。ゲルは、その後、粉砕、乾燥、摩砕及びふるい分けされ、所望の粒径にされる。この重合は、連続的若しくは不連続的に行うことができる。本発明では、大容量超吸水性ポリマー組成物粒子の粒径は、摩砕及びふるい分けを含む製造工程に依存する。超吸水性ポリマー粒子の粒径分布が、正規分布または釣鐘曲線に類似していることは当業者には周知である。また、様々な理由により、粒径分布の正規分布は、いずれかの方向に偏り得ることが知られている。
【0176】
本発明の超吸水性ポリマー組成物粒子は一般的に、約50ミクロンないし約1000ミクロン、例えば約150ミクロンないし850ミクロンの粒径を有する。本発明は、少なくとも約40wt%の約300μmないし約600μmの粒径を有する粒子、例えば少なくとも約50wt%の約300μmないし約600μmの粒径を有する粒子または少なくとも約60wt%の約300μmないし約600μmの粒径を有する粒子などを含み得る。粒径は、ふるい分けして、US標準30メッシュスクリーンを通過させ、US標準50メッシュスクリーン上に保持させることによって測定した。さらに、本発明の超吸水性ポリマー組成物粒子の粒径分布は、例えば米国オハイオ州のメンターに本拠地を置くW.S.テイラー社(W. S. Tyler, Inc.)から入手可能なRO−TAP機械式ふるい振とう器モデルBを使用して測定したところ、粒径が約600ミクロンを超える粒子を約30重量%、粒径が約300ミクロン未満の粒子を約30重量%含んでいた。
【0177】
別の調製方法では、本発明の超吸水性ポリマー組成物の調整に、逆懸濁液及び乳濁液重合も使用することができる。これらの過程では、部分的に中和されたモノマー(例えばアクリル酸)の水溶液が疎水性の有機溶媒中に保護コロイド及び/または乳濁液の助けを借りて分散させられ、その後、自由ラジカル開始剤によって重合が開始される。内部架橋剤は、モノマー溶液中に溶解され前記溶液と共に計量されるか、または、別々に及び随意的に重合中に加えられるかのいずれかである。グラフト基材としての水溶性ポリマーの追加は、随意的にモノマー溶液を介して行われるか、または有機溶媒中に直接的に導入される。前記水はその後、混合物から共沸除去され、前記ポリマーはふるい分けされ、随意的に乾燥させられる。内部架橋は、重合過程中に、モノマー溶液中に溶解された多官能性架橋剤内での重合により、及び/または適切な架橋剤とポリマーの官能基との反応により行われる。
【0178】
本発明の超吸水性ポリマー組成物は、自由膨潤ゲルベッド透過率(GBP)試験、遠心保持容量(CRC)試験、及び約0.9psiでの負荷下吸収性(AUL(0.9psi))試験で測定された、いくつかの特徴または特性を示す。自由膨潤ゲルベッド透過率(GBP)試験は、一般的に「自由膨潤」と呼ばれる状態後の、拘束圧下での超吸水性材料の膨潤ベッドの透過率(ダルシー)を測定する。この文脈において、「自由膨潤」という用語は、超吸水性材料が、上述したような生理食塩水試験溶液の吸収中に膨潤制限負荷を受けることなく膨潤可能であることを意味する。
【0179】
遠心保持容量(CRC)試験は、飽和し、制御条件下で遠心分離された後における、超吸水性組成物がその内部に液体を保持する能力を測定する。結果として得られる保持容量は、サンプル1g当たりに保持される液体のグラム(g/g)として表される。
【0180】
いくつかの態様では、本発明の超吸水性ポリマー組成物は、高い吸収率及び/または保持容量を維持しながら、既知の超吸水性ポリマー組成物と比較して、透過率において著しい向上(すなわち、膨潤状態での液体搬送の向上)を示した。
【0181】
他の態様では、本発明の超吸水性ポリマー組成物は、高い透過性を維持しながら、既知の超吸水性ポリマー組成物と比較して、保持容量の著しい向上(すなわち、超吸水性ポリマー組成物が吸収できる液体の量の向上)を示した。
【0182】
本発明の組成物は、生理用ナプキン、おむつまたは創傷被覆材などの様々な製品に用いることができ、それらは、多量の生理血、尿または他の体液を迅速に吸収する特性を有する。本発明の超吸水性ポリマー組成物は、通常の現行の吸収性コア組成物と比べると、吸収された液体を圧力下であっても保持することができ、かつ、膨潤状態においてさらなる液体を構造体内に分散させることが可能であり、より望ましくは、例えば綿毛などの他の吸収性コア要素よりも高い濃度で用いられる。また、本発明の組成物は、吸収性物品構造体内での、綿毛成分を含まない均一な超吸水性層としての使用にも適しており、本発明の組成物を使用することにより特に薄い物品が可能となる。
【0183】
広義の積層体、並びに、押し出し及び共押し出しされた湿潤及び乾燥結合並びにその後の結合構造の作製が、さらなる作製工程として可能である。また、これらの可能性がある過程を互いに組み合わせることも可能である。
【0184】
本発明の超吸水性ポリマー組成物は、その他の用途に適切な吸収性物品に用いることもできる。特に、本発明の超吸水性ポリマー組成物は、パーソナルケア用吸収性物品、保健用/医療用吸収性物品、家庭用/産業用吸収性物品、またはスポーツ用/建設業用吸収性物品などに使用することができる。
【0185】
上記の吸収性物品に加えて、本発明は吸収性創傷被覆材として例示され得る。図12A及び図12Bを注目すれば、本発明の創傷被覆材として可能性がある構造が示されている。図12Aは、後述する随意的な層を有する吸収性創傷被覆材の断面図を示す。図12Bは、図示しない随意的または取り外し除去ないくつかの層を有する本発明の創傷被覆材の斜視図を示す。吸収性創傷被覆材150は、体側の面159及びその反対側の第2の面158を有するストリップ(strip)151を含む。ストリップは本質的にバックシートであり、前述したバックシートと同一材料から作製することが望ましい。さらに、ストリップは、例えば多孔性フィルムなどの多孔性材料、またはそうでなければ、例えばガス透過性フィルムなどのガス透過性材料であり得る。ストリップ151は、ストリップにおける体側の面159に取り付けられた、本発明の超吸水性ポリマー組成物を含む吸収性コア152を支持する。さらに、ストリップ151と同一の広がりを有し得る吸収性保護層153が、吸収性コア152に取り付けられる。
【0186】
本発明の吸収性創傷被覆材150は、ストリップ151の体側の面159に塗布される感圧接着剤154も有し得る。ユーザの皮膚を刺激しないものであれば、任意の感圧接着剤を使用することができる。好適には、感圧接着剤としては、同様の従来の創傷被覆材に現在使用されている従来の感圧接着剤が用いられる。この感圧接着剤は、吸収性コア152上、または、吸収性コア152の領域における吸収性保護層153上に設けないことが望ましい。吸収性保護層が、ストリップ151と同一の広がりを有する場合、感圧接着剤は、吸収性保護層153における吸収性コア152が位置しない部分に塗布される。ストリップ151上に感圧接着剤を有することによって、創傷被覆材を必要としているユーザの皮膚上に創傷被覆材を固定することができる。感圧接着剤及び吸収性コアを保護するために、創傷被覆材の体側の面159上に剥離片155を配置することもできる。剥離片は、物品取付接着剤に対して除去可能に固定され、吸収性物品を例えば皮膚に固定する前に、接着剤の早期汚染を防止する役割を果す。剥離片は、創傷被覆材の体側の面に、1枚で(図示せず)または図12A示すように複数枚で配置することができる。
【0187】
本発明の他の態様では、前記創傷被覆材の吸収性コアは、折り畳まれたストリップの間に配置され得る。この方法を創傷被覆材の作製に用いる場合、ストリップは液体透過性であることが適切である。
【0188】
吸収性家具及び/またはベットパッド若しくはライナーもまた、本発明に含まれる。図13は、家具またはベットパッド若しくはライナー160(以降「パッド」と称する)の斜視図である。パッド160は、家具側の面168と、その反対側である上側の面169とを有する液体不透過性バックシート161を備えている。液体不透過性バックシート161は、上側の面169に取り付けられた、本発明の超吸水性ポリマー組成物を含む吸収性コア162を支持する。さらに、随意的な吸収保護層163が吸収性コアに取り付けられ得る。吸収性コアの随意的な基材層は、パッドの液体透過性層161または吸収保護層163であり得る。
【0189】
パッドを一定位置に保つため、パッドの家具側の面168は、感圧接着剤、高摩擦性コーティング、または使用中にパッドを一定位置に保つのを助ける他の適切な材料を含み得る。本発明のパッドは、パッドと接触し得る任意の液体を吸収するために、椅子、ソファー、ベッド、自動車のシートなどへの設置を含む様々な用途に使用することができる。
【0190】
また、例えば汗吸収用の吸収性ヘッドバンドまたは拭きとって乾燥させるための用品などのスポーツ用または建設業用の用品も、本発明に含まれる。図14は、吸収性汗止めバンド170の斜視図である。汗止めバンド170は、随意的なトップシート174及び/または随意的な液体不透過性バックシート176との間に配置された吸収性コア180を有する。吸収性コア180は、本発明の超吸水性ポリマー組成物を含み、いくつかの態様では、所望であれば、随意的な追加的領域178(例えば分散層など)を含むことができる。汗止めバンド170は、手や目と接触する前に、汗を止めるのに有用であり得る。調節を容易にするためまたは快適にするために、ベロクロ(登録商標)または他の締結具を使用することができる。
【0191】
本発明は、以下の例を参照することにより、より良く理解できるであろう。
【実施例】
【0192】
予生成物微粒子
【0193】
攪拌器及び冷却コイルを備えたポリエチレン容器に貯留した蒸留水37kgに、50%のNaOH25.0kgを加え、20℃まで冷却した。この苛性溶液に氷アクリル酸9.6kgを加え、その後、再び20℃まで冷却した。この溶液に、ポリエチレングリコールモノアリルエーテルアクリル酸塩47.8g、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリル酸塩であるSARTOMER 454(米国ペンシルベニア州エクストンに本拠地を置くサートマー社(Sartomer Company)から入手可能)47.8g、及び氷アクリル酸19.2kgを加え、その後、4〜6℃まで冷却した。このモノマー溶液に窒素を約10分間バブリングした。その後、このモノマー溶液を、7.7kgバッチで、長方形のトレイ中に排出した。各バッチについて、モノマー貯留層からトレイに搬送されるモノマー溶液流中にエリソルビン酸ナトリウム溶液を噴射することによって、このモノマー溶液流中に、1重量%のH水溶液80g、2重量%の過硫酸ナトリウム水溶液120g、及び0.5重量%のエリソルビン酸ナトリウム水溶液72gを均一的に加えた。このモノマーを20分間重合させた後175℃で乾燥させ、その後、粉砕した。この生成物を、MINOX MTS 600DS3Vを用いてふるい分けし、150ミクロンよりも小さい粒子を取り除いた。この150ミクロン未満の粒子を、予生成物微粒子と呼ぶ。
【0194】
予生成物A
【0195】
攪拌器及び冷却コイルを備えたポリエチレン容器に貯留した蒸留水37kgに、50%のNaOH25.0kgを加え、20℃まで冷却した。この苛性溶液に氷アクリル酸9.6kgを加え、その後、再び20℃まで冷却した。この溶液に、ポリエチレングリコールモノアリルエーテルアクリル酸塩47.8g、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリル酸塩SARTOMER 454製品47.8g、及び氷アクリル酸19.2kgを加え、その後、4〜6℃まで冷却してモノマー溶液を調製した。このモノマー溶液に窒素を約10分間バブリングし、その後、予生成物微粒子1.88kgを加えた。その後、このモノマー溶液を、7.7kgバッチで、長方形のトレイ中に排出した。モノマー貯留層からトレイに搬送されるモノマー溶液流中にエリソルビン酸ナトリウム溶液を噴射することによって、このモノマー溶液流中に、1重量%のH水溶液80g、2重量%の過硫酸ナトリウム水溶液120g、及び0.5重量%のエリソルビン酸ナトリウム水溶液72gを均一的に加えた。このモノマーを20分間重合させた後175℃で乾燥させ、その後、粉砕した。この生成物を、MINOX MTS 600DS3Vを用いてふるい分けし、850ミクロンよりも大きい粒子と150ミクロンよりも小さい粒子を取り除いた。150ミクロンよりも小さい粒子を取り除いた。
【0196】
予生成物AlPOコーティングスラリー
【0197】
硫酸アルミニウムテトラ十水和物1269gを、脱イオン水1500g中に溶解させた。前記水の温度範囲は、約85℃ないし約95℃であった。リン酸三ナトリウム860gを、高温の脱イオン水1200g中に溶解させた。その後、前記硫酸アルミニウム溶液を、前記リン酸三ナトリウム溶液中に素早く注いだ。その結果得られたスラリーを、PLURONIC 25R2界面活性剤(米国ニュージャージー州フォーハムパークに本拠地を置くBASF社(BASF Corporation)から入手可能)10gと素早く混合させ、十分な量の50%NaOHを加えて、pHを中性(すなわちpH7)にした。前記溶液に、純粋なエチレンカーボネート1413gを加えて、6.14kgの正味重量にした。この液体スラリーを、100メッシュスクリーンを通してろ過し、粒径が大きいものを除去した後、予生成物Aに噴霧した。
【0198】
AlPO圧搾ケーキ
【0199】
硫酸アルミニウムテトラ十水和物1269gを、脱イオン水1500g中に溶解させた。前記水の温度範囲は、約85℃ないし約95℃であった。リン酸三ナトリウム860gを、別の脱イオン水1200g中に溶解させた。前記水の温度範囲は、約85℃ないし約95℃であった。その後、前記硫酸アルミニウム溶液を、前記リン酸三ナトリウム溶液中に素早く注いだ。その結果得られたスラリーを、PLURONIC 25R2界面活性剤10gと迅速に混合させ、十分な量の50%NaOHを加えて、pHを中性(すなわちpH7)にした。AlPOの沈殿後、前記懸濁液をブフナー漏斗でろ過し、その結果得られたケーキを脱イオン水500mlで3回洗浄した。オーブン乾燥により、圧搾ケーキの固形分は20重量%であると測定された。
【0200】
ホウ酸チタン圧搾ケーキ
【0201】
800mlの蒸留水に三ホウ酸ジナトリウム200gを溶解させた。前記水の温度範囲は、約85℃ないし約95℃であった。上記溶液に45%のチタンIII硫化物150gを加え、ダークスラリーを作成した。前記スラリーに35%のHを、均一な黄色の懸濁液になるまで滴加した。前記生成物をブフナー漏斗ろ過し、その結果得られたケーキを脱イオン水で洗浄した。オーブン乾燥により、圧搾ケーキの固形分は19.8重量%であると測定された。
【0202】
比較例1&2と例1〜7
【0203】
予生成物A(上述の)を、20重量%の水溶液を用いて、1重量%のエチレンカーボネート及び4重量%の水で被覆した。被覆された予生成物Aを連続式パドル反応器へ、215℃のピーク温度、約50分間の滞留時間、60〜70g/分の速度で供給し、特定のポリマーの表面架橋を達成した。表面架橋された特定の材料をその後、下記の表1に記載の様々な表面処理剤で後処理した。
【0204】
その後、前記材料に対して、遠心分離保持容量(CRC)、自由膨潤ゲルベッド透過率(自由膨張(0psi)GBP)、及び0.9psiでの負荷下吸収性(AUL(0.9psi))の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0205】
【表1】

【0206】
1. 5重量%の予生成物の水溶液と共に加えた後処理成分
2. ポリビニルアミンのLUPAMIN 9095水溶液
【0207】
例8
【0208】
2.5部のAlPO圧搾ケーキ、1部のエチレンカーボネート、及び2部の水を含有する混合物を調製した。空気噴霧ノズルを用いて、前記混合物を100部の予生成物Aに噴霧塗布した。被覆された予生成物Aを連続式パドル反応器へ、215℃のピーク温度、約50分間の滞留時間、60〜70g/分の速度で供給し、特定のポリマーの表面架橋を達成した。表面架橋された特定の材料をその後、2重量%の10重量%LUPAMIN 9095水溶液で後処理した。従来の超吸水性ポリマー組成物と比較した例8の性質を下記の表2に示す。
【0209】
【表2】

【0210】
1 FAVOR SXM 9300は、米国ノースカロライナに本拠地を置くストックハウゼン社(Stockhausen Inc)から入手可能。
【0211】
表2に示されているように、本発明のポリマー組成物は、従来の超吸水性ポリマー組成物と同様の負荷下吸収性を維持しながら、向上した遠心分離保持容量(CRC)及び向上した自由膨潤ゲルベッド透過率(FSGBP)を示す。
【0212】
予生成物B
【0213】
断熱性を有し平底に形成された反応槽内で、蒸留水3090.26gに50重量%NaOH1866.7g加え、25℃まで冷却した。この苛性溶液にアクリル酸800gを加え、その後、再び20℃まで冷却した。この溶液に、50重量%のメトキシポリエチレングリコールモノメタクリラート120gを含有するアクリル酸1600gの第2の溶液、及びエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリル酸塩14.4gを加え、その後、5℃まで冷却してモノマー溶液を調製した(溶液への注入及び冷却は攪拌しながら行った)。このモノマー溶液をその後、断熱条件下で、100ppmの過酸化水素、200ppmのアゾ−ビス−(2−アミジノ−プロペン)二塩酸塩、200ppmの過硫酸ナトリウム、及び40ppmのアスコルビン酸(全て水溶液)か成る混合物と重合させ、最高温度(Tmax)付近で25分間維持した。その結果得られたゲルを切り刻んで、市販の押出機HOBART 4M6で押し出し、その後、最終製品の水分レベルが5重量%未満となるように、PROCTER & SCHWARTZ Model 062強制換気オーブン内で、51cm×102cm(20インチ×40インチ)の穿孔された金属トレイ上で、175℃で、上昇流で10分間、下降流で6分間乾燥させた。乾燥させた材料を、PRODEVA Model 315-S粉砕機内で粗引きし、MPI 666-F three-stage roller mill内で破砕し、MINOX MTS 600DS3Vでふるい分けし、850μmよりも大きい粒子及び150μmよりも小さい粒子を除去した。
【0214】
例9
【0215】
ANVIL MIX9180ミキサ内で、予生成物Bに、超吸水性ポリマーの乾燥重量に基づいて、1%エチレンカーボネート、4%水、上述の0.5%予生成物AlPOスラリー、350ppmマレイン化ポリプロピレン、及び0.2% SIPERNAT S22Sシリカを被覆する。ポリマー粒子の表面架橋を生じさせるために、被覆された超吸水性ポリマーを、約205℃で、約40〜50分間の滞留時間で加熱処理した。
【0216】
表面架橋後、その結果得られた粒子を室温まで冷却し、その後、ワイヤウイスクを有するキッチン型混合機器内で、前記粒子に対して5部のLUPAMIN 9095ポリビニルアミン溶液及び95部の水から調製された2重量%の溶液を噴霧することにより後処理する。その結果得られた生成物を少なくとも2時間平衡させ、その後、US標準#20メッシュを通してふるい分けし、US標準#100メッシュ上に保持した。その結果得られたに超吸水性ポリマー組成物に対して、その後、CRC、自由GBPの試験を行った。その結果を表3に示す。
【0217】
【表3】

【0218】
1. LUPAMIN 9095ポリビニルアミン水溶液
2. マレイン化ポリプロピレン
【0219】
表3に示されているように、本発明のポリマー組成物は、従来の超吸水性ポリマー組成物と同様の自由膨潤ゲルベッド透過率(FSGBP)を維持しながら、向上した遠心分離保持容量(CRC)を示す。
【0220】
さらに、RO-TAP機械式ふるい振とう器Model B(米国オハイオ州メンターに本拠地を置くW.S.テイラー社(W. S. Tyler, Inc.)社から入手可能)を用いて、前述の例を10分間ふるい分けすることにより、下記の表4に記載の粒径分布が得られることが分かった。
【0221】
【表4】

【0222】
例10
【0223】
シュージ(Shugi)混合機内で、3重量%の33%エチレンカーボネート水溶液の予生成物、2.5重量%の20%リン酸アルミニウムスラリーの予生成物、及び0.2重量%のSIPERNAT S22Sの予生成物で、予生成物Bを連続的に被覆した。20%リン酸アルミニウムスラリーは、CHEMCOR 43G40SPマレイン化ポリプロピレン(MMP)と混合され、リン酸アルミニウムスプレー内に350ppmMMPを供給する。被覆された予生成物Bを、連続式パドル反応器に、約30分間の滞留時間、約199℃のピーク温度で供給した。その結果得られた表面架橋超吸水性ポリマー粒子をその後冷却し、ワイヤウイスクを有するキッチン型混合機器ANVIL Model Number MIX9180内で、5部のLUPAMIN 9095ポリビニルアミン溶液及び95部の水から調製された2重量%の溶液で後処理した。後処理の後、超吸水性ポリマー粒子を2時間放置し、その後、US標準#20メッシュを通してふるい分けし、US標準#100メッシュ上に保持した。その結果得られたに超吸水性ポリマー組成物微粒子に対して、その後、CRC、自由GBP及びAULの試験を行った。その結果を表5に示す。
【0224】
【表5】

【0225】
表5に示されているように、本発明のポリマー組成物は、従来の超吸水性ポリマー組成物と同様の負荷下吸収性を維持しながら、向上した遠心分離保持容量(CRC)及び向上した自由膨潤ゲルベッド透過率(FSGBP)を示す。
【0226】
例11 吸収性コア
【0227】
標準的な空気成形装置を使用して、25cm×43cm(10インチ×17インチ)の合成ハンドシートを作製する。まず、約36.19gのFAVOR SXM 9300(米国ノースカロライナに本拠地を置くストックハウゼン社(Stockhausen Inc)から入手可能)と、約24.13gのWeyerhaeuser NB480綿毛繊維とを使用して、目標坪量550g/平方メートル(GSM)を有する比較(対照)サンプル合成物を作成する。その後、約32.90gの上記の例8の超吸水性ポリマー組成物と、約21.94gのWeyerhaeuser NB480綿毛繊維とを使用して、目標坪量550g/平方メートル(GSM)を有する本発明の各サンプル作成する。約16.6gsmの坪量を有するフォーミングティッシュ(米国コネティカット州イーストハートフォードに本拠地を置くセルティッシュホールディング社(Cellu Tissue Holdings, Inc)から入手可能なWhite Wrap Sheet)を、各サンプルの上部及び底部に使用した。フォーミングティッシュのシートを、フォーマの底部に配置した。その後、超吸水性材料及びNB480をそれぞれ、ほぼ等しい部に分けた(すなわち、6部の綿毛と5部の超吸水性材料に分けた)。各綿毛部分及び超吸水性ポリマー部分を、フォーマの上部に代替的に導入し、綿毛及び超吸水性材料をフォーマチャンバー内に真空吸引して、フォーミングティッシュ上に分散させた。この過程は、綿毛の最後の部分が消費され、綿毛及び超吸水性材料の分布が実質的に均一になるまで継続した。フォーミングティッシュの他のシートを、その後、サンプル上に配置させ、そのサンプルを約0.28g/ccまで緻密化させた。緻密化のための適切な装置は、例えばCARVER PRESSモデル#4531(米国インディアナ州ウォバシュに本拠地を置くカーバー社(Carver, Inc.)から入手可能)などのカーバープレスである。その後、上述した試験手順に記載した試験のために、サンプルを複合ハンドシートから適切なサイズに切断した。サンプルに対して、上述した試験手順で説明したようにして、液体飽和容量(SAT CAP)及び垂直吸上げ(FIR)の試験を行った。その結果を表6に示す。
【0228】
【表6】

【0229】
表6は、本発明の超吸水性ポリマー組成物を含有する混合物が、(比較例よりも)飽和容量が増加したこと、及び、比較例よりも坪量が10%低い場合でさえも、2回目の被吸収液体の吸上げ率は比較例と同様であることを実証する。
【0230】
例12 吸収性コア
【0231】
上記の例10の超吸水性ポリマー組成物を使用して、吸収性物品を作製した。また、市販の超吸水性体であるFAVOR SXM 9300を使用して、比較物品(対照)を作製した。各々の物品は、超吸水性ポリマーの種類及び/または量を除いては、構造は同一である。各物品は、トップシート、サージ層、下記の表7に示す超吸水性ポリマー組成物を含有する吸収性コア、ラップシート、及びバックシートを備える。各物品内の吸水性体の種類及び量を下記の表7に示す。
【0232】
【表7】

【0233】
その後、前記物品のホームユーステスト(Home Use Test)を実施した。382のパネリスト(女性190、男性192名)が、前記物品を通常の条件下で着用した。被験者は、一日当たり約4つの製品を使用して、通常使用の各コードを3日間試験した。
【0234】
質問が記載されているダイアリーシートを全ての個々の製品に提供し、前記ダイアリーシートにパネリストの介護者が漏れに関する情報を記録する。使用された製品を全て回収し、製品に含まれている尿の量を測定した。前記物品についての特定の関心の1つの側面は、失敗する(漏れる)前に製品に含まれていた液体の量である。製品の大部分は失敗する前に交換されるので、通常の使用では、このことを直接観察するのは難しいだろう。失敗する前に除去した製品はその製品における失敗するときの容量の下限を提供するが、失敗した製品は失敗するときの容量の正確な測定値を提供する(製品を除去したときに)。ある量が与えられたときの失敗の可能性を推定するために、これらの2種類の情報は、信頼性として知られている統計的方法論または生存率分析に教えられるように、組み合わせることができる。これらの失敗曲線の一般的な概要は、漏れのときの中央値(量)(LD50としても知られている)である。これらの失敗曲線は通常は右側に偏るので、平均よりも中央値が概要としてより一般的に使用される。全ての比較される製品について前記曲線の形状パラメータが同一である通常の場合は、LD50値と比較するだけで、失敗時の容量による製品の順序付けを十分に行うことができる。
【0235】
このホームユーステストで回収した物品のダイアリーシート及び生存率分析の結果(性別ごとの結果)を、表8及び表9に示す。
【0236】
【表8】

【0237】
【表9】

【0238】
表8及び表9に示されているように、例10の超吸水性ポリマー組成物を含む物品は、製品当たりの超吸水性体の量(重量で)が少ない場合であっても、市販の超吸水性ポリマーを含む物品と同様の漏出挙動を有する。
【0239】
上述した例の詳細は、説明を目的したものであって、本発明の範囲を限定するためのものではないことを理解されたい。また、本発明のいくつかの実施形態についてのみ詳細に説明したが、本発明の技術及び利点から著しく逸脱することなく様々な改変が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。例えば、1つの例に関連して説明された特徴は、本発明の他の例にも組み込まれ得る。
【0240】
したがって、それらの改変は全て、本発明の範囲、すなわち、添付した特許請求及びその均等物に規定された範囲に含まれる。さらに、いくつかの実施形態の、特に望ましい実施形態の利点の全てを達成しない多く実施形態が考えられるが、特定の利点の欠失は、必ずしもその実施形態が本発明の範囲外であることを意味すると解釈されるべきではない。本発明の範囲から逸脱することなく、上述した構造に様々な改変が可能であり、上述した説明に含まれる事項は全て、説明目的であり、限定を意味するものではないと解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性コアを備える吸収性物品であって、
前記吸収性コアが、超吸水性ポリマー及び表面添加物を含有する超吸水性ポリマー組成物を含み、
前記超吸水性ポリマーが、
(a)前記超吸水性ポリマーの総量に基づいて約55重量%ないし約99.9重量%の重合可能な不飽和の酸性基含有モノマーと、
(b)前記重合可能な不飽和の酸性基含有モノマーの総量に基づいて約0.001重量%ないし約5重量%の内部架橋剤とを含み、
前記超吸水性ポリマーが、約25%を超える中和度を有し、
前記要素(a)及び(b)が、重合化され超吸水性ポリマー粒子に製剤化され、
前記表面添加物が、
(i)前記超吸水性ポリマー組成物の総量に基づいて約0.001重量%ないし約5重量%の表面架橋剤と、
(ii)前記超吸水性ポリマー組成物の総量に基づいて約0.01重量%ないし約2重量%の不水溶性の無機金属化合物と、
(iii)前記超吸水性ポリマー組成物の総量に基づいて0重量%ないし約5重量%のポリマーコーティングとを含む
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
吸収性コアを備える吸収性物品であって、
前記吸収性コアが、超吸水性ポリマー粒子を含有する超吸水性ポリマー組成物を含み、
前記超吸水性ポリマー粒子が、前記超吸水性ポリマー組成物の総量に基づいて約0.01重量%ないし約2重量%の、不水溶性金属リン酸塩または不水溶性金属ホウ酸塩から選択される無機金属化合物で表面処理されたことを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
吸収性コアを備える吸収性物品であって、
前記吸収性コアが超吸水性ポリマー組成物を含み、
前記超吸水性ポリマー組成物が、
(a)超吸水性ポリマー粒子を準備するステップと、
(b)第1の無機金属塩を含有する第1の溶液を調製するステップと、
(c)第2の無機金属塩を含有する第2の溶液を調製するステップと、
(d)前記第1及び第2の溶液を前記超吸水性ポリマー粒子に塗布し、不水溶性無機金属塩の沈殿物を前記超吸水性ポリマー粒子の表面またはその近傍に直接的に形成するステップとを含む方法により調製されたことを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記ポリマーコーティングが、前記超吸水性ポリマー組成物の総量に基づいて約0.01重量%ないし約0.5重量%の熱可塑性ポリマーであることを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記ポリマーコーティングが、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンアクリル酸コポリマー、スチレンコポリマー、エチレンアルキルメタクリル酸塩コポリマー、ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、または、それらの混合物及びコポリマーから選択されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記ポリマーコーティングが、カチオン性ポリマーであることを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記ポリマーコーティングが、ポリビニルアミンであることを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記ポリマーコーティングが、マレイン化ポリプロピレンとエチレンアクリル酸コポリマーとの混合物であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項9】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記重合可能な不飽和の酸性基含有モノマーの少なくとも約50重量%の酸性基が、カルボキシル基を含み、
前記酸性基が少なくとも50モル%まで中和されており、
前記内部架橋剤が、前記重合可能な不飽和の酸性基含有モノマーの総量に基づいて約0.2重量%ないし約3重量%含まれることを特徴とする吸収性物品。
【請求項10】
請求項3に記載の吸収性物品であって、
前記第1の無機金属塩には、アルミニウム、チタン、カルシウムまたは鉄から選択されるカチオンが含まれ、
前記第2の無機金属塩には、リン酸塩、ホウ酸塩またはクロム酸塩から選択されるアニオンが含まれることを特徴とする吸収性物品。
【請求項11】
請求項3に記載の吸収性物品であって、
前記第1の無機金属塩が、硫酸アルミニウムリン酸三ナトリウム14水和物であり、
前記第2の無機金属塩が、リン酸三ナトリウムであることを特徴とする吸収性物品。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記超吸水性ポリマー組成物が、熱処理されたことを特徴とする吸収性物品。
【請求項13】
請求項12に記載の吸収性物品であって、
前記超吸水性ポリマー組成物が、約150℃ないし約250℃の温度で熱処理されたことを特徴とする吸収性物品。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記不水溶性の無機金属化合物が、金属リン酸塩、チタンホウ酸塩、アルミニウムホウ酸塩、鉄ホウ酸塩、マグネシウムホウ酸塩、マンガンホウ酸塩、及びカルシウムホウ酸塩から選択されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項15】
請求項14に記載の吸収性物品であって、
前記金属リン酸塩が、アルミニウムリン酸塩であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項16】
請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記無機金属化合物の粒子が、約2μm未満の質量中央粒径を有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項17】
請求項1ないし請求項16のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記不水溶性の無機金属化合物が、前記超吸水性ポリマー粒子の表面に懸濁液形態で塗布されたことを特徴とする吸収性物品。
【請求項18】
請求項1ないし請求項17のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記不水溶性の無機金属化合物が、前記超吸水性ポリマー粒子の表面に乾燥形態で塗布されたことを特徴とする吸収性物品。
【請求項19】
請求項1ないし請求項18のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記超吸水性ポリマー組成物の少なくとも約40重量%が、約300μmないし約600μmの粒径を有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項20】
請求項19に記載の吸収性物品であって、
前記超吸水性ポリマー組成物の少なくとも約50重量%が、約300μmないし約600μmの粒径を有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項21】
請求項1ないし請求項20のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記超吸水性ポリマー組成物が、
遠心保持容量試験で測定された少なくとも約30g/gの遠心保持容量と、
自由膨潤ゲルベッド透過率試験で測定された少なくとも約10ダルシーの自由膨潤ゲルベッド透過率とを有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項22】
請求項21に記載の吸収性物品であって、
前記超吸水性ポリマー組成物が、
遠心保持容量試験で測定された少なくとも約32g/gの遠心保持容量と、
自由膨潤ゲルベッド透過率試験で測定された少なくとも約20ダルシーの自由膨潤ゲルベッド透過率とを有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項23】
請求項21に記載の吸収性物品であって、
前記超吸水性ポリマー組成物が、
遠心保持容量試験で測定された少なくとも約32g/gないし約40g/gの遠心保持容量と、
自由膨潤ゲルベッド透過率試験で測定された少なくとも約40ダルシーの自由膨潤ゲルベッド透過率とを有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項24】
請求項1ないし請求項23のいずれかに記載の吸収性物品であって、
トップシート及びバックシートをさらに備え、
前記吸収性コアが、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項25】
請求項24に記載の吸収性物品であって、
前記トップシート、前記バックシート及び前記吸収性コアのうちの少なくとも1つが伸縮可能であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項26】
請求項1ないし請求項25のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアが、少なくとも約30重量%の前記超吸水性ポリマー組成物を含むことを特徴とする吸収性物品。
【請求項27】
請求項26に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアが、少なくとも約60重量%ないし約95重量%の前記超吸水性ポリマー組成物を含むことを特徴とする吸収性物品。
【請求項28】
請求項1ないし請求項27のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアが、綿毛をさらに含むことを特徴とする吸収性物品。
【請求項29】
請求項1ないし請求項28のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアが、界面活性剤をさらに含むことを特徴とする吸収性物品。
【請求項30】
請求項1ないし請求項29のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアが、複数の層から成ることを特徴とする吸収性物品。
【請求項31】
請求項30に記載の吸収性物品であって、
前記複数の層のうちの少なくとも1つの層が、実質的に前記超吸水性ポリマー組成物のみから成り、
前記複数の層のうちの少なくとも1つの別の層が、実質的に綿毛のみから成ることを特徴とする吸収性物品。
【請求項32】
請求項1ないし請求項31のいずれかに記載の吸収性物品であって、
該吸収性物品が、パーソナルケア用吸収性物品、保健用/医療用吸収性物品、家庭用/産業用吸収性物品、またはスポーツ用/建設業用吸収性物品から選択されることを特徴とする吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−522008(P2010−522008A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554103(P2009−554103)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050467
【国際公開番号】WO2008/117186
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】