説明

高速可変データ転送速度を得るためのトラフィックチャネルの高速取得

【課題】新コード位相サブチャネルを割当てることにより、必要に応じて追加サブチャネルを高速に取得する方法を提供する。
【解決手段】各サブチャネルに異なるコード位相の所定の長疑似雑音(PN)コードを割当てることにより、リバースリンク上で複数の割当てサブチャネルを規定する、CDMA無線通信システムに対するサービス・オプション・オーバレイである。各オンライン加入者装置の必要瞬時帯域幅は、必要に応じて各ネットワーク層接続に基づいて1つまたは複数のサブチャネルに動的に割当てることにより適合させる。システムは、データの送受信動作することなく、加入者装置に接続されたコンピュータがパワーオンしている長いアイドル時間中に、加入者装置とリバースリンク上の基地局間に比較的多数の仮想物理接続を効率的に提供する。これらの維持サブチャネルにより、基地局と加入者装置は位相および時間同期を維持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットのようなネットワークにおいて、ディジタル信号の無線通信を提供する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線電話とパーソナルコンピュータの使用の増加は、以前は特定用途だけに使用すると考えられていた、高度な通信サービスに対する需要を招いている。1980年代には、セルラーネットワークによる無線音声通信が広く利用された。当初このサービスは、加入者コストが高いために、一般にビジネスマンの特権と考えられていた。遠隔分散型コンピュータネットワークにアクセスする場合には、実際にその通りであった、したがって、最近までは、ビジネス関係者や大きな機関だけが必要なコンピュータと有線アクセス装置を購入できた。両方の技術の普及利用の結果、今日では多数の一般の人々が、インターネットおよび専用のイントラネットなどのネットワークにアクセスするだけでなく、無線方式のネットワークにも同様にアクセスするのを望むようになっている。これは特にポータブルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ハンディタイプの個人用情報端末機器等のユーザーに特に重要なことである。これらのユーザーは、電話線に接続することなく、このようなネットワークにアクセスすることを望んでいる。
【0003】
既存の無線インフラを利用して、インターネット、専用イントラネット、およびその他のネットワークに対して、低コスト、広い受信可能範囲で、高速アクセスが可能な、広範に利用できる満足な解決手段はまだ存在していない。この状況はいくつかの不利な環境の産物に他ならない。例えば、有線ネットワーク上でビジネス環境における高速データサービスを提供する一般的方法は、大部分の家庭や事務所で利用できる音声グレードサービスに容易に適合できないものである。また、このような標準高速データサービスは、セルラー方式の無線送受信器での効率的伝送には不向きである。さらに、既存のセルラーネットワークは、本来音声サービス配送用としてだけに設計されていた。結果的に、CDMAのような特定方式はデータ伝送への適応に対しては、ある程度の非対称特性を持っているが、今日のディジタル無線通信方式で重要なのは音声である。例えば、IS−95フォワードトラフィックチャネル上のデータ転送速度は、いわゆるレートセット1に対して1.2kbpsから9.6kbpsまでの増分で、また、レートセット2に対して1.8kbpsから14.4kbpsまでの増分で調整できる。
【0004】
既存のシステムは、一般に、最高データ転送速度がフォワードで14.4kbpsの範囲だけに適応できる無線チャネルしか備えていない。このような低速データ速度チャネルは、総合サービス・ディジタル・ネットワーク(ISDN)タイプの装置で利用できる128kbpsのような高速転送速度はもとより、28.8kbpsの速度、または今日では低コスト有線モデムを使用して通常利用する56.6kbpsにおいてさえ、直接データを伝送するのに不向きである。これらのレベルのデータ転送速度はウェブ(Web)ページのブラウジングのような使用には最低限の許容速度になりつつある。米国では現在、ディジタル加入者線(xDSL)サービスのような高速のビルディング・ブロック方式を使用するデータネットワークのタイプが使用されるようになってきている。しかも、その料金は最近になってようやく一般家庭ユーザーにも魅力あるものにまで低減されてきた。
【0005】
このようなネットワークは、セルラーシステムが当初採用された時点で既に大部分知られていたが、セルラーネットワーク接続形態(トポロジー)を介して高速ISDNまたはxDSLグレードのデータサービスを提供する設備がなかった。不利なことには、無線環境では、複数加入者によるチャネルへのアクセスに費用がかかり、かつそれらに対する競争があることである。複数アクセスが、無線搬送波グループ上のアナログ変調を使用する従来の周波数分割多元接続方式(FDMA)によるか、もしくは時分割多元接続方式(TDMA)または符号分割多元接続方式(CDMA)を使用する無線搬送波の共有可能な新しいディジタル変調方式により提供されるかのいずれかであっても、無線スペクトルは本質的には共有が期待される媒体である。これはデータ伝送のための従来環境と全く異なる。従来は、有線媒体が比較的廉価で得られ、そして一般に共有を意図しない。
【0006】
他の考慮すべき事項は、データ自体の特性である。例えば、一般にウェブページへのアクセスは非対称データ転送速度の伝送を必要とするバースト指向である。特に遠隔クライアントコンピュータは、ブラウザソフトウェアに対して最初にウェブページアドレスを指定する。その時、ブラウザソフトウェアはこのウェブページアドレスデータ(通常100バイト以下の長さ)を、ネットワークを介してサーバーコンピュータへ送る。サーバーコンピュータは要求されたウェブページの内容に応答する。ウェブページの内容は、10kバイトから数Mバイトのテキスト、画像、オーディオ、またはビデオデータを含むことがある。この時ユーザーはページの内容を読み、その後別のページのダウンロードを要求するのに少なくとも数秒または数分を費やすことがある。したがって、基地局から加入者への必要なフォワードチャネルデータ転送速度は、通常必要なリバースチャネルデータ転送速度の数倍速い。
【0007】
オフィス環境においては、大部分の従業員の日常のコンピュータワークとしては、一般に2〜3のウェブページをチェックし、その延長時間として他にローカルに格納されたデータにアクセスしたり、コンピュータの使用を全く止めるなどを行う。したがって、このようなユーザーがインターネットまたは専用イントラネットに1日中連続して接続を維持することを望む場合でも、実際の全体特性として特定の加入者との間の必要なデータ伝送をサポートするのに要求されるのは、現実的には散発的なものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に利用できるインフラを使用して、インターネットと専用イントラネットなどのポータブルコンピュータからコンピュータネットワークへのような無線データ通信をサポートするに十分な方式が必要とされる。不利なことには、CDMAなどの広範囲に使用されている最近の無線標準規格のほとんどは、ウェブページのブラウジングのような最も一般的機能をサポートする適正な構造を備えていないことである。フォワードおよびリバースリンク方向において、IS−95タイプのCDMAシステムの最大利用可能なチャネル帯域幅はわずか14.4kbpsである。回線交換されるIS−95のために、最大でも64の回線交換ユーザーだけが同時に使用できるだけである。実際にはこの最大限度は実現が困難であり、通常20または30のユーザーが同時に使用できるのみである。
【0009】
さらに、既存のCDMAシステムは、チャネルが使用可能になる前に特定の操作を必要とする。アクセスとトラフィックチャネルの両方は、ロングコード疑似雑音(PN)シーケンスと呼ばれるもので変調される。したがって、受信者が正しく操作するには、最初に送信機と同期を取る必要がある。したがって、チャネルの設定と解除はこの同期化を実行するオーバーヘッドを必要とする。このオーバーヘッドは加入者装置のユーザーに対して明らかな遅延を招く。
【0010】
所定のユーザーに対するデータ転送速度を増加させる有効な方法は、フォワードおよびリバースリンク方向の両方におけるチャネルの共有である。これは、特にCDMAを用いて多重アクセスを容易に得る有効なオプションであり、さらにIS−95システムにおいて、フォワードリンクに対しては追加コードを、リバースリンクにはコードの位相を簡単に追加することにより追加のユーザをサポートできる。このサブチャネルオーバーヘッドを最小にするには、理論的には、追加サブチャネルを接続に対して割当てる必要があるときに、それらをできる限り速く利用可能にすることにより可能となる。
【0011】
したがって、同期を維持するには、オンデマンドで追加のコードの位相のチャネルの効率的かつ高速立ち上げを同時に維持しながら、最低可能速度接続がリバースリンク上で提供されるように、サブチャネルを用意することが有効である。さらにこれは、全体システム容量における影響を最小にする一方で、利用可能な接続数を最大化する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、IS−95に基づくCDMA無線通信システムに対するサービスオプションオーバーレイであり、上述した要求を達成するものである。特に、各サブチャネルに対して異なる直交コードを割当てることなどにより、フォワードリンクに対する多数のサブチャネルを単一CDMA無線チャネル帯域幅内に規定する。各サブチャネルに対し所定のロング疑似雑音(PN)コードの中の相違するコードの位相を割当てることにより、複数サブチャネルをリバースリンク上に規定する。その時、各オンライン加入者装置の必要瞬時帯域幅は、必要に応じて各ネットワーク層接続に基づいて、1つまたは複数のサブチャネルに動的に割当て(または割当てない場合もある)ることにより適合させる。
【0013】
さらに特徴とすることは、本発明は、データの送受信動作をすることなく、加入者装置に接続されたコンピュータがパワーオンされている長いアイドル時間中に、リバースリンク上の基地局と加入者装置間に比較的多数の仮想物理接続を効率的に提供することである。これらの維持サブチャネルにより、基地局と加入者装置は位相と時間の同期性を維持できる。これにより、新しいコードの位相のサブチャネルを割当てることによって、必要とされる追加サブチャネルを高速に取得することができる。好ましくは、新しいチャネルのコードの位相を、対応する維持サブチャネルのコードの位相に対して予め決められたコード位相関係に従って割当てる。
【0014】
アイドルモードでは、加入者装置は、加入者装置が基地局と同期を維持するのに十分必要なだけのデータ転送速度で、維持サブチャネル上に同期または“ハートビート(heartbeat)”メッセージを送る。ハートビート信号の持続時間は、基地局の受信機内のコードの位相のロック回路のキャプチャまたはロックレンジを考慮して決定される。
【0015】
例えば、一般に受信機は、コードチップ速度で動作するPNコード相関器を有している。このようなコード相関器の一例は、前−後検出器から構成される遅延ロックループを使用する。ループフィルタは、位相ロックを確立する前に、結果的にコード相関器をどのくらい長い時間作動させる必要があるかを決定するループの帯域幅を制御する。このループ時定数は許容できる“ジッタ”の量を決定し、位相ロックは、通常チップ時間の約1/8のようなチップ時間の一部分で得られるように考慮されている。
【0016】
好ましくは、ハートビートメッセージは、コードの位相により規定されたサブチャネル上に形成されたタイムスロット内に送られる。タイムスロットの使用により、アイドル状態のリバースリンクを維持するのに専用の基地局受信機の数を最小にする。特に、リバース維持チャネルリンクは、同一ロングコードを使用することの外に、各加入者装置にこのようなコード上にタイムスロットを割当てることにより提供される。これにより、基地局における多数の接続を維持するオーバーヘッドが減少する。
【0017】
リバース維持チャネルのタイムスロット特性のために、基地局受信機を複数のリバースリンク間で時間分割することも可能になる。これを可能にするために、各タイムスロットを特定の加入者装置に割当てる間に、基地局受信機が最終に認識したE(Early)−L(Late)相関器の状態などの最終に認識した位相ロック状態に関する情報を最初に読み込む。その後E−L相関器に、位相ロックが有効に機能して、タイムスロットの終端に相関器状態の格納を確実にする必要時間を知らせる。
【0018】
帯域幅要求を満たすために追加サブチャネルを必要とするときは、ロックしたコードに対して予め決められた位相関係で追加のコードの位相を割当て、基地局トラフィックチャネルプロセッサが必要とするオーバーヘッド伝送を最小にする。その結果、数千のアイドル加入者装置を単一CDMAリバースリンク無線チャネル上でサポートし、一方で同時にチャネルを割当てる必要のあるときの立上がり遅延を最小にできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による帯域幅管理方式を使用する無線通信システムのブロック図である。
【図2】所定のフォワードリンク無線周波数(RF)チャネル内でサブチャネルを割当てる方法を示す図である。
【図3】所定のフォワードリンク無線周波数(RF)チャネル内でサブチャネルを割当てる方法を示す図である。
【図4】加入者装置におけるリバースリンク帯域幅管理機能の状態図である。
【図5】基地局におけるリバースリンク帯域幅管理機能の状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
さらに図面により具体的に説明する。図1はシステム100のブロック図であり、例えば符号分割多元接続方式(CDMA)のようなディジタル変調無線サービスを用いる総合サービス・ディジタル・ネットワーク(ISDN)などのディジタルデータプロトコルをシームレスに統合することにより、無線接続を介して高速転送データおよび音声サービスを提供するものである。
【0021】
システム100は異なる2種類の構成要素から構成されており、加入者装置101−1、101−2、...、101−u(ここでは、まとめて加入者装置101と称する)および1つまたは複数の基地局170を含む。加入者装置101と基地局170は協働して必要な機能を備え、ラップトップコンピュータ、ポータブルコンピュータ、個人用情報端末機器(PDA)その他などのポータブルコンピュータ装置110に無線データサービスを提供する。基地局170は加入者装置101と協働して、加入者装置および公衆交換電話網(PSTN)180間との最終的データ伝送を可能にする。
【0022】
さらに、データおよび/または音声サービスも加入者装置101により、ポータブルコンピュータ110、および電話器112−1、112−2(ここでは、まとめて電話器112と称する)のような1つまたは複数のその他の装置に対して提供される。その結果、電話器112自身は図示しない他のモデムおよびコンピュータに接続される。ISDNの通常用語では、ポータブルコンピュータ110と電話器112は端末装置(TE)と呼ばれる。加入者装置101はネットワーク端末タイプ1(NT=1)と呼ばれる機能を備える。図示する加入者装置101は、特にいわゆる基本速度インタフェース(BRI)タイプISDN接続で動作し、通常2B+Dと呼ばれる、2つの搬送すなわち“B”チャネルと単一データすなわち“D”チャネルを備える。
【0023】
加入者装置101は、ISDNモデム120、スプーフィング(Spoofing)132と帯域幅管理134を含む本発明による各種機能を実行するプロトコル変換器130と呼ぶ装置、CDMAトランシーバ140、および加入者装置アンテナ150から構成される。加入者装置101の各種構成要素は別々の装置または一体化した装置として実現される。例えば、多くのメーカから販売されている既存の従来のISDNモデム120を、既存のCDMAトランシーバ140と組合せて使用できる。この場合、別個の装置として販売されるプロトコル変換器130により、固有の機能全体が提供される。一方、ISDNモデム120、プロトコル変換器130、およびCDMAトランシーバ140は、完成装置として統合され、単独の加入者装置101として販売できる。イーサネット(登録商標)またはPCMCIAなどのその他のタイプのインタフェース接続を使用して、コンピュータ装置をプロトコル変換器130に接続できる。この装置はまたISDN“U”インターフェース以外にイーサネット(登録商標)インタフェースにも接続できる。
【0024】
ISDNモデム120は、端末装置110と112間のデータおよび音声信号を、標準ISDN“U”インタフェースで要求されるフォーマットに変換する。UインタフェースはISDNシステムの基準点であり、ネットワーク端末(NT)と電話会社間の接続点を指定する。
【0025】
プロトコル変換器130は、スプーフィング132および基本帯域幅管理機能134を実行する。一般に、スプーフィング132は、加入者装置101が、基地局170の反対側の公衆交換電話網180に常に接続されているかのように、端末装置110、112に対して見せることを確実にするものである。帯域幅管理機能134は、必要に応じてCDMA無線チャネル160の割当てと割当て解除とを実行する。また帯域幅管理機能134は、CDMA無線チャネル160のサブ部分を動的に割当てて、所定のセッションに割当てられる帯域幅を動的に管理する機能を含む。この方法は後で詳しく説明する。
【0026】
CDMAトランシーバ140は、プロトコル変換器130からデータを受取り、このデータをCDMA無線リンク160−1上で加入者装置アンテナ150を通して伝送するのに適した形式に再フォーマットする。CDMAトランシーバ140は、単一の1.25MHz無線周波数チャネルだけで動作するか、または別の好ましい実施形態では、多重割当て無線周波数チャネルに同調してもよい。
【0027】
この時CDMA信号伝送は基地局170で受信され、処理される。基地局170は、通常多重チャネルアンテナ171、多重CDMAトランシーバ172、および帯域幅管理機能174から構成される。帯域幅管理は、加入者装置101と類似の方法でCDMA無線チャネル160とサブチャネルの割当てを制御する。つぎに、基地局170が復調した無線信号を、従来から既知の方法を用いて公衆交換電話網(PSTN)180に結合する。例えば基地局170は、1次群速度ISDN、またはIS−634やV5.2のようなその他のLAPDベースプロトコルなどの、多数の異なる効率的通信プログラムを介して、PSTN180と通信できる。
【0028】
データ信号はCDMA無線チャネル160で双方向に伝送される。つまり、PSTN180から受信されたデータ信号は、フォワードリンクでポータブルコンピュータ110に結合され、ポータブルコンピュータ110で発生したデータ信号はリバースリンクでPSTN180に結合される。特に、本発明はリバースリンクチャネルを実現する方法を含む。
【0029】
図1のスプーフィング132は、ISDN通信経路上でこれらの同期データをループバックし、端末装置110、112をスプーフ(送信欺瞞)して十分広い無線通信リンク160が連続して利用できるように信じさせるCDMAトランシーバ140を含む。しかし、実際に端末装置から無線トランシーバ140へのデータが存在するときは、無線帯域幅を割当てる。データがネットワーク装置に対する端末装置に存在しない場合は、帯域幅管理機能134は最初に割当てた無線チャネル帯域幅160の割当てを解除し、別のトランシーバおよび別の加入者装置101が利用できるようにする。
【0030】
図2によって帯域幅管理134と174が無線チャネルの動的割当てを実現する方法を理解できるであろう。この図は、本発明による無線リンク160用の1つの可能な周波数案を示す。具体的には通常のトランシーバは、最大30MHzのような極めて広い帯域幅内の任意の1.25MHzチャネルに対する命令に同調される。既存のセルラー無線周波数帯域内の周波数設定は、これらの帯域幅は通常800〜900MHzの範囲内で利用できる。個人用通信システム(PCS)タイプの無線システムに対しては、帯域幅は通常約1.8〜2.0GHzの範囲に割当てられる。さらに、一般的には80MHzのようなガード帯域で分離されている2つのマッチング帯域が同時に動作する。2つのマッチング帯域はフォワードおよびリバースの全二重リンクを形成する。
【0031】
加入者装置101内のトランシーバ140や基地局170内のトランシーバ172などのCDMAトランシーバの各々は、所定の1.25MHz無線周波数チャネルに任意の時間点で同調可能である。このような1.25MHz無線周波数搬送波は、許容ビットエラー限界内で、最高でも約500〜600kbpsの最大データ速度伝送程度であると、一般に理解されている。
【0032】
これに対して、本発明では、利用可能な約500〜600kbpsデータ転送速度を比較的多数のサブチャネルに細分する。図示した例では、帯域幅を64のサブチャネル300に分割し、各々は8kbpsのデータ転送速度を有する。所定のサブチャネル300では、複数の異なる指定可能な疑似ランダムコードの1つで伝送を符号化して、物理的に実現される。例えば、64のサブチャネル300は、フォワードリンクに対して、各々規定されたサブチャネル300に対して別々の直交ウォルシュコードを使用して、単一のCDMA無線周波数(RF)搬送波内で定義できる。
【0033】
上述のように、サブチャネル300は必要な場合だけ割当てされる。例えば、特定のISDN加入者装置101が多量のデータを伝送するよう要求する時間中に、複数のサブチャネル300が許可される。加入者装置101が比較的軽負荷の時間中は、これらのサブチャネル300は即座に開放される。
【0034】
特に本発明はリバースリンクを維持しており、その結果チャネルを開放しその後再度付与する毎に、サブチャネルの同期を再確立する必要がない。
【0035】
図3はサブチャネルをリバースリンク上に割当てる方法を示す図である。基地局で利用する必要のある電力の節約および受信機資源の節約に可能な範囲で、リバースリンク上の単一無線搬送波信号を使用するのが望ましい。したがって、単一の1.2288MHz帯域350を利用可能な無線スペクトルから選択する。
【0036】
この時は、単一のロング疑似雑音(PN)コードを特定の方法で使用して、比較的大きいN個、例えば1000の個々の加入者装置をサポートする。最初に、p個のコードの位相を利用可能な242−1の相違するロングコードの位相から選択する。所定のロングコードの位相は特定の加入者装置に固有であり、変化しない。次に説明するように、これは追加のコードの位相に対しても同様である。p個のコードの位相のシフトを使用して、p個のサブチャネルを準備する。次に、p個のサブチャネルの各々をs個のタイムスロットに分割する。タイムスロットはアイドルモードの間だけ使用され、2つの利点を備える。1つは基地局の“メンテナンス”受信機の数を減少させ、もう1つは伝送電力および干渉を減少させてリバースチャネル容量への影響を減少させる。したがって、加入者装置の最大サポート可能数Nは、p×sになる。アイドルモードの間、異なる位相とタイムスロットを持つ同一PNコードの使用は、基地局104の単一レイク(RAKE)受信機の使用を可能にして多数の異なるサブチャネルを提供する。
【0037】
上述のチャネル割当て方式では、無線資源は基本的に必要な場合にだけ配分される。しかし、通常は新しいCDMAチャネルを設定するために、所定のリバースリンクチャネルは受信機にコードの位相がロックされる時間を与える必要があることも考慮しなければならない。本発明では、以下に詳しく述べるいくつかのメカニズムによって設定する毎に、各チャネルがコードの位相がロックされるのを待つ必要がない。一般にこの方法は、データのない場合にも各サブチャネルに対してコードの位相のロックを維持するのに十分な速度でメンテナンス信号を送出する。
【0038】
ここで、この目的は各タイムスロットのサイズを最小化することであり、その結果、アイドルモード内に維持できる加入者数を最大にする。各タイムスロットのサイズtは、加入者装置の送信機と基地局の受信機間の位相ロックを保証するのに要する最小時間で決定される。特に受信機内のコード相関器が、一定の時間単位で少なくとも一定数のメンテナンスビットから構成されるメンテナンスまたは“ハートビート”信号を受取る必要がある。このハートビート信号は、各リバースリンク上の各加入者装置から予め決められた時間内、例えば予め決められたNサブチャネルの1つ上で指定されたタイムスロットの制限内において、最低限1ビットを送ることにより、送出される。
【0039】
最小タイムスロット時間tは、信号対雑音比およびセル内の加入者装置の予測される最高速度を含む要素の数に依存する。信号対雑音比については次式に依存する。
[数1]
Eb/No+Io
【0040】
ここで、Ebはビット当りのエネルギー、Noは周囲雑音下限、Ioは同一スペクトルを共有するリバースリンク上のサブチャネルの他のコード化伝送からの相互干渉である。一般に、リンクを閉じるには受信機に8チップ時間以上の持続を必要とし、検出を保証するのに20回の多重化を必要とする。したがって、リバースリンク上のコード化信号を正確に受信するためには、通常約160チップ時間が必要である。1.2288MHzコードでは、チップ時間Tcは813.33nsであり、この最小持続時間は約130μsである。その結果、これはデータビットの絶対最小持続時間、つまりスロットタイムtの最小持続時間を設定する。最小スロット時間130μsは、各位相コード化信号に対して1秒当り、最大で7692タイムスロットを利用できることを意味する。
【0041】
所定のパワー制御グループタイミング条件に一致させることにより、タイムスロット時間を多少緩和できる。例えば、IS−95標準規格では、パワー制御グループタイミング条件は、1.25ms毎に各加入者装置からパワー出力サンプルを必要とする。
【0042】
コードの位相のロックを受取ると、基地局の受信機内のコードの位相のロック回路のキャプチャおよびロックレンジを考慮して、ハートビート信号の持続時間が決定される。例えば、受信機は通常コードチップ速度で作動するPNコード相関器を持つ。このコード相関器の一例は、E(Early)−L(late)検出器から構成される遅延ロックループを使用している。ループフィルタはこのループの帯域幅を制御し、コード相関器が作動するのに必要な長さを決定した後に位相ロックを保証できる。このループ時定数は、チップ時間Tcの約1/8のようなコード相関器内で許容できる時間オフセット量を決定する。
【0043】
好ましい実施形態では、システム100は移動性をサポートすることを意図している。つまり、セルラー方式電話で通常の移動中の自動車内での高度の移動性操作は必要がないと予測される。むしろ、動作中のポータブルコンピュータの一般ユーザーは、通常時速約4.5マイル(MPH)で歩いて移動する。4.5(MPH)は、1秒当り6.6フィートに相当し、ユーザーは1/1.2288MHzチップ時間(Tc)の1/8中に101フィート移動する。したがって、コードの位相の同期ループがロックを維持するのを保証されない遠方の地点にまでユーザーが移動するには、約101フィートを6.6フィートで割算した値、つまり約15秒を要する。したがって、完全な同期信号を所定のリバースリンクチャネルに対して15秒毎に送出する限り、リバースリンクループはロックを維持する。
【0044】
図4は加入者装置のリバースリンク帯域幅管理機能の状態図である。アイドルモード400では、第1状態401に入り、加入者装置がそのコードの位相のリバースチャネルに対するタイムスロット割当てを受取る。このタイムスロットはアイドルモードにおいてのみ使用される。同一ロングコードの位相は予め割当てられ、加入者装置に固定される。
【0045】
次の状態402では、ハートビート信号は割当てられたタイムスロット内に送られる。その後状態403に入り、加入者装置がその内部データバッフアを監視して、追加のコードの位相のチャネルが、トラフィックチャネルをサポートして動作させるに十分な帯域幅を持つリバースリンクの確立をサポートする必要があるかどうかを決定する。その必要のない場合は、加入者は状態402に戻り、アイドルモード400を維持する。
【0046】
アイドルモード400から動作状態450に入る前に、加入者装置は基地局に要求を出す必要がある。許可された場合は(ステップ403−b)、処理はステップ451に進行し、許可されない場合は、ステップ403に進行する。しかし、加入者装置が伝送するデータを持たない場合は、動作モード450に入る。このモードの第1状態451では、新しいコード位相チャネルが必要な場合は、新しいコードの位相を状態452で計算する。特に、加入者装置は、基本チャネルのコードの位相のチャネルに対して予め決められた関係においてコードの位相のチャネルが割当てられていることを認識する。すなわち次式で表される。
[数2]
n+1=F{Po
【0047】
ここで、Pn+1は新しいチャネル(n+1)に対するコードの位相、Poは特定の加入者に対する基本チャネルに割当てられたコードの位相である。この位相関係Fは、例えば、利用可能な242コードから、単一加入者に対して1024(210)リバースリンクをサポートするシステム内の各242/210番目または各232番目のコードの位相を一様に選択してもよい。
【0048】
これら新しいコードの位相の数Cを、単に追加のコードの位相チャネル数に基づいて瞬時に計算する。このとき各新チャネルに対するコードの位相同期を要求する必要はない。
【0049】
ステップ452を処理後、コードの位相チャネルに対し要求がなされる。それが許可されると(ステップ452−b)、処理はステップ453に進行する。許可されない場合は、処理はステップ451に進行し、追加チャネル要求を処理する。次の状態453では、加入者装置は割当てられたコードの位相チャネル上にそのデータの伝送を開始する。状態454では、内部データバッファおよび割当てられたフォワードアクセスチャネルを連続監視して、新しいコードの位相チャネルを割当てる必要があるかどうかを決定するために、アイドルモード400や状態451へ戻る時、または割当を解除する状態455へ進む時を決定する。
【0050】
図5は、基地局104のリバースリンク管理機能におけるアイドルモード処理の状態図である。第1状態501では、各アイドル加入者装置101に対し、状態502に入り、前の同期セッションから現在のタイムスロット(p,s)に対する相関器の格納状態を読み込む。次の状態503では、タイムスロット期間中にE(Early)−L(late)相関器を再設定する。次の状態504では相関器状態を格納する。状態505では、ループは各加入者に対して連続して実行する。
【0051】
本発明を好ましい実施形態により具体的に示しまた説明してきたが、当業者には、請求の範囲に限定する本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および細部の各種変更が可能なことは理解されるであろう。
【0052】
例えばISDNの代わりに、xDSL、イーサネット(登録商標)、およびX.25など、他の有線およびネットワークプロトコルを採用できる。したがって、本明細書で述べた動的無線サブチャネル割当て方式を有効に使用することもできる。
【0053】
当業者は、必要以上の実験をすることなく、本明細書で特に述べる本発明の特定の実施形態の多くの均等物を認識しまたは確認できるであろう。このような均等物は請求の範囲に包含されるものとする。
【符号の説明】
【0054】
101…加入者装置
110…ポータブルコンピュータ
160…CDMA無線リンク
170…基地局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号分割多元接続(CDMA)通信ユニットであって、
所定の数のタイムスロットを有する無線フレームにて送信されるCDMA送信を受信する手段と、
タイムスロット内においてトラフィックデータなしのビットを受信する手段と
を備え、
前記受信されるビットは、受信機の時間同期を維持するために使用されることを特徴と
するCDMA通信ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−81254(P2013−81254A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−2916(P2013−2916)
【出願日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【分割の表示】特願2009−157910(P2009−157910)の分割
【原出願日】平成11年5月26日(1999.5.26)
【出願人】(593096712)インテル コーポレイション (931)
【Fターム(参考)】