説明

魔鏡とその製造方法

【課題】太陽光線などの平行光線が得られないときであっても、投影した反射光で鮮明な意匠文様を確認でき、加えて、投影に用いる反射光の性質もすぐに確認可能であり、色彩を有する投影の際にその色具合がすぐに判明するような魔鏡を提供する。
【解決手段】鏡面(1)上に肉眼で認められる可視可能な意匠文様(2)と肉眼で凹凸が認められない可視不能な微細な凹凸からなる意匠文様(3)を施した魔鏡面(4)を有する鏡面(1)を用いた魔鏡とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平滑な鏡面でありながら、太陽光線のような平行光を当てると、反射光が明暗の模様として、スクリーンに投影される鏡面を有する魔鏡とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
魔鏡に関する製造方法はメッキによる方法やマスキングを施しサンドブラストで微細な凹凸を得る方法、あるいは鏡面にレーザー光線や電子ビーム等の高エネルギー密度熱源を用いて高エネルギー線を照射する方法など知られている。
昨今では、光から、微細な屈折の差異に基づき、光のスペクトラムから、色彩を導く出す手法まで、考えられている。いずれも、微細な凹凸を得て魔鏡現象を得る方法として広く知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−313009号公報
【特許文献2】特開2000‐106994号公報
【特許文献3】特許3274196
【特許文献4】特開2006‐23567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、鏡面に魔鏡現象を得る方法はさまざま工夫されてきたが、鏡面における加工に関して、特段の工夫もされずにいた。そのため、鏡面だけで味気ない魔鏡となり、特に太陽光線などの平行光線が得られないときに、投影した反射光で鮮明な意匠文様を確認できず、面白さに欠けていた。
加えて、投影に用いる反射光の性質も、すぐに確認できないでいた。色彩を有する投影の際にその色具合がすぐに判明するような魔鏡が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鏡面(1)上に肉眼で認められる可視可能な意匠文様(2)と肉眼で凹凸が認められない可視不能な微細な凹凸からなる意匠文様(3)を施した魔鏡面(4)を有する鏡面(1)を用いた魔鏡とした。
【0006】
本発明の製造方法として、魔鏡面(4)に施された意匠文様(3)をレーザー光線や電子ビーム等の高エネルギー密度熱源の描的走行照射により魔鏡現象として投影する反射光の吸う役または拡散を起こさせるための歪を付与することにより、得る方法がある。
【0007】
あるいは、以下にあげる前記意匠文様(3)を得る方法がある。プレス加工により得る方法や、マスキングを施し、サンドブラストもしくは研磨やエッチングを施して、得る方法や、古来の手法により、肉厚部と薄い部分との研磨時における研削の差異を利用する方法などがある。
【0008】
また本発明の製造方法として、鏡面(1)上に肉眼で認められる可視可能な意匠文様(2)の作成方法として、上記で魔鏡面を得る方法と同様に、レーザー光線や電子ビーム等の高エネルギー密度熱源の描的走行照射により魔鏡現象として投影する反射光の吸う役または拡散を起こさせるための歪を付与することにより、得る方法を用いると、位置決めやさまざまな工夫と同じ装置でもできるために便利である。
【0009】
もちろん、通常のプリント加工や、サンドブラストによって、表面を可視できるように荒らしてもよい。
【0010】
さらに、可視可能な意匠文様(2)が光を屈折により、スペクトラム分解せしめ、色彩を放つようなものであってもよい。製造方法としてのポイントは、基本的に微細なスリットで構成させることで、そのような色彩を放つことができる。つまり、光のスペクトラムの色彩を利用して、色づけするときれいな意匠文様の表現ができる。可視不能な意匠文様(3)もどうように色づけすることもバリエーションが広がり、美しい表現が可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明で請求項1の発明によれば、本発明を鏡として利用した場合に、可視できる意匠文様により、鏡のバリエーションや高級感を付与することが簡便にできる。そのため、鏡としてだけでも、美術品やアート作品として、鑑賞品として、利用しやすい。
【0012】
加えて、肉眼で認められる可視可能な意匠文様(2)と肉眼で凹凸が認められない可視不能な微細な凹凸からなる意匠文様(3)との合成調和した投影が得られるため、思いもよらない意匠の組み合わせの投影を得ることができる。
【0013】
請求項3による製造方法をもちいると、従来の技術がそのまま生かせて、便利である。
【0014】
本発明で請求項2、4の発明の製造方法によれば、位置決めなどが、割合容易にできることと、同一設備で、可視可能な意匠文様(2)と可視不能な意匠文様(3)と製作可能なため、合理的である。また、レーザー光線や高エネルギー密度熱源により、微細な意匠文様まで、描写可能なため、精緻な魔鏡を得ることができる。
【0015】
請求項6に記載の発明によれば、さまざまな色彩が利用できて、カラフルできれいである。可視可能な文様(3)で事前の光の性質を判別できる方法は便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の鈴の具体的な形態について、図面に基づいて説明する。素材としては、厚さ1mm程度で、名刺サイズのステンレスを、レーザー加工することで、歪を生じさせる工程を行う。この魔鏡面の製造方法は、特許3274196の手法が参考になる。次に、この工程に磨き仕上げを行うことで、魔鏡として、魔鏡面(4)を得る。その魔鏡面(4)に、再度レーザー加工を施し、可視可能な意匠文様(2)を加えて製造する。
【0017】
上記工程で本発明である、鏡面(1)上に肉眼で認められる可視可能な意匠文様(2)と肉眼で凹凸が認められない可視不能な微細な凹凸からなる意匠文様(3)を施した魔鏡面(4)を有する鏡面(1)を用いた魔鏡を得ることができる。
【0018】
あらかじめ、可視可能な意匠文様(2)を光により発色するような、いわゆるホログラムのような、可視可能な意匠文様にしておくと、きれいである。また、鏡に照射されている光の成分がスペクトラムの出現具合で簡便に直視するだけで、判断できるので、便利である。
【0019】
もちろん、特開2006‐23567のように、投影する投影像にさまざまなスペクトラムによる発色を得る魔鏡面を有することで、直視ともども、色とりどりの魔鏡の投影を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 鏡面
2 可視可能な意匠文様
3 可視不能な意匠文様
4 魔鏡面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡面(1)上に肉眼で認められる可視可能な意匠文様(2)と肉眼で凹凸が認められない可視不能な微細な凹凸からなる意匠文様(3)を施した魔鏡面(4)を有することを特徴とした鏡面(1)を用いた魔鏡
【請求項2】
請求項1における魔鏡の製造方法において、
肉眼で凹凸が認められない可視不能な微細な凹凸からなる意匠文様(3)を施した魔鏡面(4)の製造方法が、
レーザー光線や電子ビーム等の高エネルギー密度熱源の描的走行照射により魔鏡現象として投影する反射光の吸う役または拡散を起こさせるための歪を付与することにより、得る方法を用いたことを特徴とする製造方法。
【請求項3】
請求項1における魔鏡の製造方法において、
肉眼で凹凸が認められない可視不能な微細な凹凸からなる意匠文様(3)を施した魔鏡面(4)の製造方法が、
A:プレス加工により得る方法、B:マスキングを施し、サンドブラストもしくは研磨やエッチングを施して得る方法、C:古来の手法により、肉厚部と薄い部分との研磨時における研削の差異を利用する方法、のうち、少なくとも(A、B、Cのいずれか、)1工程を用いた製造方法。
【請求項4】
請求項1における魔鏡の製造方法において、
肉眼で認められる可視可能な意匠文様(2)の製造方法が、
レーザー光線や電子ビーム等の高エネルギー密度熱源の描的走行照射により魔鏡現象として投影する反射光の吸う役または拡散を起こさせるための歪を付与することにより得る方法を用いたことを特徴とする請求項2または請求項3の製造方法。
【請求項5】
請求項1における魔鏡の製造方法が請求項2、3または4に記載の製造方法を用いた請求項1に記載の魔鏡
【請求項6】
請求項1、2における魔鏡において、鏡面(1)上に肉眼で認められる可視可能な意匠文様(2)と肉眼で凹凸が認められない可視不能な微細な凹凸からなる意匠文様(3)の二つの文様のうち、すくなくとも一つの意匠文様が光のスペクトラムの色彩を利用して、色づけされたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の魔鏡

【図1】
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【公開番号】特開2011−59201(P2011−59201A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206213(P2009−206213)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(392031790)株式会社小泉製作所 (49)
【出願人】(509251626)有限会社コウノ (2)
【Fターム(参考)】