説明

魚箱用内装容器及び該容器が設置された魚箱

【課題】 発泡樹脂製の魚箱の汚染や腐敗臭の付着が防止され、魚箱の繰り返し使用ができコストダウンが可能で、また、繰り返し使用後も、樹脂やペレットとし、再度発泡成形して魚箱等にリサイクルすることも可能で、資源の節約と環境の保全に大きく貢献することができる魚箱用内装容器を提供する。
【解決手段】 発泡樹脂製の蓋体5aと容器本体5bとからなる魚箱5内に設置されるフィルム製の容器1aであって、前記フィルム製容器1aの少なくとも側壁に波形状部Wが形成されていることを特徴とする魚箱用内装容器1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚箱用内装容器及び該容器が設置された魚箱に関し、更に詳しくは、魚から滲み出たドリップ等による魚箱の汚れや臭いの付着を防止し、魚箱の繰り返し使用を可能とするとともに、繰り返し使用した後に、魚箱を減容、粉砕して原料樹脂とし再度魚箱等に発泡成形するリサイクルを可能とする魚箱用内装容器及び該容器が設置された魚箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚箱はトロ箱と云われ、臭いの移らないナラ、ブナ等の木製が用いられたが、今日では、軽量で断熱性に優れるとともに耐水性にも優れた発泡スチロール製のものが広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3010241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、発泡スチロール製の魚箱は、多数の発泡セルが融着して形成されているため、発泡セル間には微小の隙間が存在し、この隙間に魚介類から滲み出たドリップ(液汁)が侵入することが避けられない。この発泡セルの隙間に侵入したドリップは洗剤によっても洗浄除去できず、従って、時間の経過とともに腐敗するため、極めて非衛生的であるばかりでなく、不快な腐敗臭を放つため、通常、1回限りの使用で廃棄処分されているのが実情で極めて不経済である。
【0005】
また、廃棄処分される魚箱は、上記のようにドリップで汚染されたり、不快な腐敗臭が付着しているため、加熱して減容させ、粉砕機にかけて粒状又は粉末状としたり、これらを押出機にかけてペレット化して再び魚箱に発泡成形する所謂リサイクルが困難であり、そのため、焼却処理や埋立処理されているのが実情である。
【0006】
しかしながら、焼却処理は高温により焼却炉を損傷したり、また、有害ガスを放出して環境を悪化させる原因となり、また、埋立処理の場合も、発泡スチロールは土中で長時間分解しないため、やはり環境を悪化させる原因となる。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑み、上記の如き従来技術の問題点を解消し、ドリップの侵入等による魚箱の汚染や腐敗臭の付着を防止し、衛生的な状態で繰り返し使用を可能として魚箱のコストダウンを図るとともに、繰り返し使用した後においても、焼却や埋立処理することなく、樹脂やペレットとして原料樹脂とし、再度発泡成形して魚箱等にリサイクルでき、資源の節約と環境への負荷の軽減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するためになされたもので、本発明の請求項1に係る発明は、発泡樹脂製の蓋体と容器本体とからなる魚箱内に設置されるフィルム製の容器であって、前記フィルム製容器の少なくとも側壁に波形状部が形成されていることを特徴とする魚箱用内装容器を内容とする。
【0009】
本発明の請求項2に係る発明は、フィルム製容器に着脱自在に嵌合するフィルム製の蓋が設けられ、該蓋が天板部と該天板部の対向する2辺又は4辺から延設された垂下部とからなることを特徴とする請求項1記載の魚箱用内装容器を内容とする。
【0010】
本発明の請求項3に係る発明は、フィルム製容器の少なくとも上部付近に水平方向の波形状部が形成されるとともに、フィルム製蓋の垂下部に水平方向の波形状部が形成されていることを特徴とする請求項2記載の魚箱用内装容器を内容とする。
【0011】
本発明の請求項4に係る発明は、フィルム製容器の平面視で4角を面取りしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の魚箱用内装容器を内容とする。
【0012】
本発明の請求項5に係る発明は、フィルム製容器の側壁が底部に向かって収束するテーパー状に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の魚箱用内装容器を内容とする。
【0013】
本発明の請求項6に係る発明は、フィルム製容器が複数積層されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の魚箱用内装容器を内容とする。
【0014】
本発明の請求項7に係る発明は、フィルム製容器の外側に吸水性シートが貼着されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の魚箱用内装容器を内容とする。
【0015】
本発明の請求項8に係る発明は、フィルム製容器の底部に、波形状部又は複数の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の魚箱用内装容器を内容とする。
【0016】
本発明の請求項9に係る発明は、フィルム製容器の側壁外側に粘着層と該粘着部の上の剥離層とからなる固定具が設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の魚箱用内装容器を内容とする。
【0017】
本発明の請求項10に係る発明は、フィルム製容器及び/又はフィルム製蓋が透明であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の魚箱用内装容器を内容とする。
【0018】
本発明の請求項11に係る発明は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の魚箱用内装容器が、発泡樹脂製の蓋体と容器本体とからなる魚箱内に設置されていることを特徴とする魚箱を内容とする。
【0019】
本発明の請求項12に係る発明は、魚箱の蓋体及び/又は容器本体の外側に、筆記、消去が可能なフィルムが貼着されていることを特徴とする請求項11記載の魚箱を内容とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の魚箱用内装容器は、少なくともフィルム製の容器であって、該フィルム製容器の少なくとも側壁に波形状部が形成されているため、薄いフィルムでも該波形状部により強度が付与されるので形状保持性及び自立性を有し、魚箱内に密接して設置することができる。
従って、魚箱の内容積を実質的に小さくすることがなく、また、形状保持性及び自立性によりフィルム製容器が内側に倒れたりしないので、魚介類を作業性良く収納することができる。
【0021】
魚介類から滲み出たドリップは、魚箱の内側に設置された魚箱用内装容器により、魚箱との接触が妨げられるので、魚箱の発泡セル内の隙間に侵入することがなく、汚染や腐敗臭付着等の問題が解消され、衛生的な状態で繰り返し使用することができ、コストダウンが図られる。
また、繰り返し使用した後も、汚染や腐敗臭の付着がないので、樹脂やペレットとしてリサイクルし、再度発泡成形して魚箱等にリサイクルすることが可能で、資源の節約と環境の保全に貢献することができる。
【0022】
フィルム製容器に着脱自在に嵌合するフィルム製の蓋を設けると一層衛生的で好ましく、更に蓋が天板部と該天板部の対向する2辺又は4辺から延設された垂下部とからなるのが好ましい。
更に、フィルム製容器の少なくとも上部付近に水平方向の波形状部が形成され、上記フィルム製蓋の垂下部に水平方向の波形状部が形成されていると、容器の波形状部と蓋の波形状部とを重合させることにより、容易に蓋を容器に被着でき、更に、この重合の程度を調節することにより、フィルム製容器の容積を調節することができる。
【0023】
フィルム製容器の平面視で4角を面取りしたり、フィルム製容器の側壁を底部に向かって収束するテーパー状とすることにより、フィルム製容器の魚箱内への設置が容易となる。
【0024】
フィルム製容器が複数積層されていると、一のフィルム製容器が汚染したり損傷した場合に、その容器を取り去ることにより、新しいフィルム製容器を設置した状態とすることができる。
この場合、フィルム製容器の側壁が底部に向かって収束するテーパー状に形成すると、容器を複数積層し易く、また、魚箱内への挿入設置も容易となる。
【0025】
フィルム製容器の外側に吸水性シートを貼着すると、万一、フィルム製容器にピンホールやクラック等が生じたとしても、洩出したドリップが吸水性シートに吸収され、魚箱(発泡セル間隙)への侵入が阻止される。
【0026】
フィルム製容器の底部に波形状部又は複数の凹部が形成されていると、ドリップが波形状部の谷部や凹部に留まり、魚介類がドリップから分離されるので魚介類の鮮度を保持することができる。
【0027】
フィルム製容器の側壁外側に粘着層と該粘着層の上に剥離層とが設けられた固定具を設けると、剥離層を取り去り粘着層を露出させてフィルム製容器を魚箱の内壁面に固定することができる。
【0028】
フィルム製容器が透明であると、魚箱の汚染度がチェックでき、また、蓋が透明であると、例えば、魚箱の蓋体を取り去り、フィルム製蓋を被着した衛生的な状態で収納した魚介類をディスプレーに供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は魚箱用内装容器の一例を示す斜視図である。
【図2】図2は魚箱用内装容器の他の例を示す斜視図である。
【図3】図3は魚箱用内装容器の他の例を示す斜視図である。
【図4】図4は魚箱用内装容器の他の例を示し、(a)は蓋の斜視図、(b)は該蓋を図1のフィルム製容器に被着した状態を示す概略図である。
【図5】図5は魚箱用内装容器の他の例を示し、(a)は蓋の斜視図、(b)は該蓋を図3のフィルム製容器に被着した状態を示す概略図である。
【図6】図6は4角を面取りした魚箱用内装容器の例を示す上面図である。
【図7】図7は複数積層した魚箱用内装容器の例を示す概略図である。
【図8】図8は外側に吸水性シートを貼着した魚箱用内装容器の例を示す概略図である。
【図9】図8は底部に凹部を設けた魚箱用内装容器の例を示す概略図である。
【図10】図10は固定具を設けた魚箱用内装容器の例を示す概略図である。
【図11】図11は図4の魚箱用内装容器を内部に設置した魚箱を示す概略図である。
【図12】図12は図5の魚箱用内装容器を内部に設置した魚箱を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の魚箱用内装容器は、発泡樹脂製の蓋体と容器本体とからなる魚箱内に設置されるフィルム製の容器であって、前記フィルム製容器の少なくとも側壁に波形状部が形成されていることを特徴とする。
【0031】
フィルム製容器の素材は特に制限されず、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。フィルムの厚さは、魚箱のサイズや収納される魚介の種類により適宜選定すればよいが、通常0.2〜0.5mm程度である。
【0032】
フィルム製容器の少なくとも側壁には波形状部が設けられる。波形状部を設けることにより、強度が大きくなり、形状保持性や自立性が付与されるので取り扱い性が容易となり、また魚箱内に設置した場合にも、例えば、内側に倒れるといったトラブルも生じないので、魚介類の収納又は取り出しの作業性も良好である。また、フィルムの厚さを小さくすることができ、コストダウンを図ることができる。
波形状部としては、上記した形状保持性や自立性を付与する目的が達成されるならば特に制限されないが、凹凸が交互に繰り返される波形状の他、凹部又は凸部又は凹部と凸部とが平坦部を介して繰り返される形状でもよい。凹凸の形状は特に制限されず、半円状、半楕円状、矩形状等のいずれでもよい。また、凹凸のサイズも特に制限されず、、例えば、半円状の場合は、通常、半径が1〜10mm、好ましくは1〜6mm程度である。
【0033】
波形状部は、水平方向、垂直方向、又はこれらの両方に設けられるが、少なくとも側壁の上部付近に水平方向に設けると、後記するように、蓋の波形状部と重合させることにより蓋を容易にフィルム製容器に被着できるので好ましい。この波形状部はクッション材の役割も果たし、輸送中や取り扱い中における振動や衝撃から魚介類を保護するので、フィルム製容器の全面に設けるのが好ましい。
【0034】
フィルム製容器には、着脱自在に嵌合するフィルム製の蓋を設けるのが好ましい。フィルム製蓋は天板部と該天板部の対向する2辺又は4辺から延設された垂下部とからなるものが好ましく、更に、該垂下部に水平方向の波形状部を設けるのが好ましい。
このように、フィルム製蓋の垂下部に水平方向の波形状部を設けることにより、フィルム製容器に設けた波形状部と重合させることにより容易にフィルム製蓋をフィルム製容器に嵌合できるとともに、その重合の程度を調節することにより、フィルム製容器の容積を調節することができる。
【0035】
フィルム製容器は、平面視で4角を面取り(角取り)することにより、魚箱内の挿入設置が容易になる。また、フィルム製容器の側壁を底部に向かって収束するテーパー状とすることにより、同様に、魚箱内への挿入設置が容易になる。
【0036】
フィルム製容器は、複数積層することもできる。このように複数積層することにより、万一、一のフィルム製容器にピンホールやクラックが生じたり、汚染されたとしても、このフィルム製容器を取り除くことにより、新しいフィルム製容器を設置した状態とすることができる。積層数には特に制限はないが、実用性の点から通常2〜5個程度である。
この場合、上記したように、側壁を底部に向かって収束するテーパー状とすれば積層が容易になるとともに、魚箱内への挿入設置が容易になる。
【0037】
フィルム製容器の外側に吸水性シートを貼着することができる。このようにすることにより、万一、フィルム製容器にピンホールが開いたり、クラックが入ったりした場合に、魚介類からのドリップを吸水性シートが吸収して、魚箱を汚染することが防止される。吸水性シートとしては、不織布等が好ましい。
【0038】
フィルム製容器の底部に、波形状部又は複数の凹部を形成することができる。このようにすることにより、魚介類からのドリップが波形状部の谷部又は凹部に留まり、その結果、魚介類がドリップから分離されるので魚介類の鮮度を保つことができる。波形状部は上記した補強用の波形状部でもよいが、魚介類からのドリップの量によっては、大き目と波形状とするのが好ましい。このような波形状部や凹部は、ドリップ留めとしてのみならず、クッション的な効果により、例えば、輸送中や取り扱い中の振動や衝撃から魚介類を保護する役割も果たす。
【0039】
フィルム製容器の側壁外側に、粘着層と該粘着層の上の剥離層とからなる固定具を設けることができる。このようにすることにより、剥離層を取り去り粘着層を露出させ、この粘着層によりフィルム製容器を魚箱内壁面に固定することができる。
【0040】
フィルム製容器は透明であることが好ましい。このようにすれば、魚箱の汚れ具合をチェックすることができる。また、蓋も透明であることが好ましく、このようにすることにより、蓋をしたままで収納した魚介類の種類や鮮度等をチェックでき、また、例えば、魚箱の蓋体を取り去り、蓋をした衛生的な状態でディスプレーに供することができる。
【0041】
本発明のフィルム製容器及びフィルム製蓋には、抗菌剤や防臭剤を練り込んだり、塗布することも可能である。このような抗菌剤、防臭剤としては安全なものが用いられ、例えば、青森ヒバ、ヒノキ、スギ、ユーカリ等の微粉末や抽出物、キトサン等が挙げられ、これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。これらの抗菌剤や防臭剤は、吸水性シートにも適用することができる。
【0042】
本発明の魚箱用内装容器は、発泡樹脂製の蓋体と容器本体とからなる魚箱内に設置して使用される。発泡樹脂としては特に制限はなく、ポリスチロールや、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン等が挙げられる。
本発明の魚箱用内装容器は、フィルム製であるので、魚箱内壁に沿って殆ど隙間なくフィットした状態で設置されるので、魚箱の収納容積を実質的に低下させることがなく、また、形状保持性、自立性を有し、必要に応じ、粘着層で魚箱内壁面に固定されるので、魚介類の収納や取り出しも容易である。
【0043】
本発明の魚箱用内装容器を内部に設置した魚箱は繰り返し使用されるので、魚箱の蓋体や容器本体の外側における、魚種、数量、原産地、配送先等の記録は繰り返し消去、記録が可能なものや、貼り替え可能なものが好ましい。前者の消去、記録が可能なものとしては、例えば、魚箱の蓋体や容器本体(例えば、側壁)の外側に水性筆記具等で筆記、消去が可能なフィルム(シートを含む)を貼着する方法が挙げられ、また、後者の貼り替え可能なものとしては、例えば、不用意に剥がれることがないが、必要に応じ引き剥がすことのできる弱接着剤を使用したラベルが挙げられる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細な説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されないことは云うまでもない。
以下の実施例において、透明な魚箱用内装容器について示したが、図面の複雑化を避けるために、一部簡略化されている場合がある。
【0045】
実施例1
本実施例の魚箱用内装容器1は、図1に示すように、全ての側壁及び底部に波形状部Wが形成されたフィルム製容器1aからなる。
本実施例では、側壁の波形状部Wは水平方向に設けられているので、側壁に対し横方向にかかる圧力に対して強く、従って、内側に倒れるように変形したり、魚介類の収納や取り出しの作業性を低下させるようなことはない。
また、底部にも波形状部Wが形成されているので、魚介類からのドリップは波形状部Wの谷部に留まり、魚介類とは分離されるので魚介類の鮮度が保持される。
更に、側壁及び底部の全面に波形状部Wが形成されているので、適度なクッション性が付与され、輸送中や取り扱い中における振動や衝撃から魚介類が保護される。
【0046】
実施例2
本実施例の魚箱用内装容器1は、図2に示すように、フィルム製容器1aの上部付近に波形状部Wが形成されている。
本実施例では、波形状部Wは水平方向に設けられているので、実施例1の場合と同様、側壁に対し横方向にかかる圧力に対して強く、内側に倒れるようなことはない。また、上部付近に波形状部Wが形成されているので、後記するように、蓋の波形状部と重合させることにより、蓋をフィルム製容器1に容易に被着させることができる。
【0047】
実施例3
本実施例の魚箱用内装容器1は、図3に示すように、実施例2(図2)の魚箱用内装容器1において、上部付近の水平方向の波形状部W1の下方に垂直方向の波形状部W2を形成するとともに、底部にも波形状部Wを形成してなる。
このように構成することにより、上部付近の水平方向の波形状部W1により横方向にかかる圧力に対し抵抗力を発揮し、一方、下方の垂直方向の波形状部W2により縦方向にかかる圧力に対し抵抗力を発揮し、縦横両方向の形状保持性及び自立性が高められる。
【0048】
実施例4
本実施例の魚箱用内装容器1は、図4に示すように、実施例1(図1)の魚箱用内装容器1のフィルム製容器1a((b)参照)と、天板部2aとその対向する2辺から延設された垂下部2bとからなり、該垂下部2bに水平方向の波形状部Wを形成した蓋2((a)参照)とからなる。
本実施例では、蓋2は、垂下部2bの波形状部Wをフィルム製容器1aの波形状部Wの内側で重合させている(内嵌め)。
【0049】
実施例5
本実施例の魚箱用内装容器1は、図5に示すように、実施例3(図3)の魚箱用内装容器1のフィルム製容器1a((b)参照)と、天板部2aとその対向する4辺から延設された垂下部2bからなり、該垂下部2bに波形状部Wを形成した蓋2((a)参照)とからなる。
本実施例では、蓋2は、垂下部2bの波形状部Wをフィルム製容器1aの波形状部Wの外側で重合させている(外嵌め)。
また、本実施例では、フィルム製蓋2の垂下部2bの波形状部Wを少し上方にずらせてフィルム製容器1aの波形状部Wと重合しているので、ずらせた距離Hだけフィルム製容器1aの容積が拡大されている。
【0050】
実施例6
本実施例の魚箱用内装容器1は、図6に示すように、フィルム製容器の4角が面取り(角取り)処理され、この面取り(角取り)部1bにより魚箱への挿入設置が容易である。
【0051】
実施例7
本実施例の魚箱用内装容器1は、図7に示すように、複数(図では3個)積層されたフィルム製容器1aからなる。
本実施例では、フィルム製容器1aが底部に向かって収束するテーパー状に形成されているこのテーパー状部1cにより、積層も容易であり、また、魚箱内への挿入設置も容易である。
このように複数積層することにより、例えば、一のフィルム製容器が破壊したり、汚染したとしても、これを取り除くことにより、新たなフィルム製容器を設置した状態で使用することができる。
【0052】
実施例8
本実施例は、図8に示すように、フィルム製容器1aの外側に吸水性シート4が貼着されている。フィルム製容器1aに、万一、ピンホールが開いたり、クラックが入ったような場合には、ドリップが洩出するが、この吸水性シート4に吸収されて、魚箱(発泡セルの間隙)に侵入することが防止される。
【0053】
実施例9
本実施例の魚箱用内装容器1は、図9に示すように、フィルム製容器1aの底部にドリップ留め用の凹部1dが複数個設けられている。魚介類からのドリップはこれらの凹部に留まり、魚介類はドリップと分離されるので、鮮度を保持することができます。
【0054】
実施例10
本実施例の魚箱用内装容器1は、図10に示すように、フィルム製容器1aの上方角部に粘着層3aとその上に設けられた離型層3bとからなる固定具3が設けられている。
固定具3の離型層3bを取り去り粘着層3aを露出させ、この貼着層3aにより、フィルム製容器1aを魚箱の内壁面に固定することができる。
【0055】
実施例11
本実施例は、図11に示すように、発泡樹脂製の蓋体5aと容器本体5bとからなる魚箱5内に、実施例4(図4)の魚箱用内装容器1を設置したものである。本実施例では、魚箱5は、容器本体5bの開口部内周に設けた凸部と、蓋体5aの外周に設けた凹部との嵌合により、蓋体5aが容器本体5bに被着されている。
【0056】
実施例12
本実施例は、図12に示すように、発泡樹脂製の蓋体4aと容器本体4bとからなる魚箱4内に、実施例5(図5)の魚箱用内装容器1を設置したものである。本実施例では、箱体5は容器本体5bの開口部の略中央部に設けた凹部と、蓋体5aの略中央部に設けた凸部との嵌合により、蓋体5aが容器本体5bに被着されている。
【0057】
「魚箱のコストダウンの試算例」
本発明の魚箱用内装容器を使用することにより、発泡スチロール製魚箱がリサイクル(再使用)されると、どの程度コストダウンされるかについて、1000箱をベースとして試算した。結果を表1に示す。
【0058】
表1中、A欄に示すように、魚箱の新品価格を1箱1,000円とした。一方、本発明の魚箱用内装容器の1個の価格を370円とし、従って、これを設置した魚箱の1箱の価格は1,370円である。
B欄は、(ア)は回収率で30%、40%、50%、60%とし、(イ)は回収箱数で、「1000箱×(ア)回収率」である。
(ウ)はリサイクルコストで、1箱当り200円とした(「小売店等でのリサイクルコスト100円/箱」プラス「運送業者のリサイクルコスト100円/箱」)。
C欄は、本発明の魚箱用内装容器を設置した魚箱をリサイクルした場合の価格で、(エ)の非リサイクル箱数×1箱当りの新品価格1,370円で算出された(オ)の非リサイクル箱価格と、上記(ウ)のリサイクルコストとの合計額である。
D欄の1箱当りの価格は、従来の魚箱の1箱当りの価格はリサイクルしないので1000円と変わらず、一方、本発明の魚箱用内装容器を設置した魚箱の1箱当りの価格は、Cのリサイクルした場合の価格/1000箱である。
D欄の結果から明らかなように、回収率が30%では1箱当りの価格は1,019円と従来の魚箱の1,000円に比べ若干割高となるが、回収率が40%では902円とコストダウンとなり、回収率が60%では668円と大巾なコストダウンとなることがわかる。
【0059】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0060】
叙上のとおり、本発明の魚箱用内装容器によれば、発泡樹脂製の魚箱の汚染や腐敗臭の付着が防止され、従って、魚箱の繰り返し使用が可能となり、大巾なコストダウンが可能である。また、繰り返し使用後も、汚染や腐敗臭の付着がないので、樹脂やペレットとしリサイクルし、再度発泡成形して魚箱等にリサイクルすることも可能で、資源の節約と環境の保全に大きく貢献することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 魚箱用内装容器
1a フィルム製容器
1b 面取り(角取り)部
1c テーパー状部
1d 凹部
2 フィルム製蓋
2a 天板部
2b 垂下部
3 固定具
3a 粘着層
3b 剥離層
4 吸水性シート
5 魚箱
5a 蓋体
5b 容器本体
W 波形状部
W1 水平方向の波形状部
W2 垂直方向の波形状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂製の蓋体と容器本体とからなる魚箱内に設置されるフィルム製の容器であって、前記フィルム製容器の少なくとも側壁に波形状部が形成されていることを特徴とする魚箱用内装容器。
【請求項2】
フィルム製容器に着脱自在に嵌合するフィルム製の蓋が設けられ、該蓋が天板部と該天板部の対向する2辺又は4辺から延設された垂下部とからなることを特徴とする請求項1記載の魚箱用内装容器。
【請求項3】
フィルム製容器の少なくとも上部付近に水平方向の波形状部が形成されるとともに、フィルム製蓋の垂下部に水平方向の波形状部が形成されていることを特徴とする請求項2記載の魚箱用内装容器。
【請求項4】
フィルム製容器の平面視で4角を面取りしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の魚箱用内装容器。
【請求項5】
フィルム製容器の側壁が底部に向かって収束するテーパー状に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の魚箱用内装容器。
【請求項6】
フィルム製容器が複数積層されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の魚箱用内装容器。
【請求項7】
フィルム製容器の外側に吸水性シートが貼着されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の魚箱用内装容器。
【請求項8】
フィルム製容器の底部に、波形状部又は複数の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の魚箱用内装容器。
【請求項9】
フィルム製容器の側壁外側に粘着層と該粘着部の上の剥離層とからなる固定具が設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の魚箱用内装容器。
【請求項10】
フィルム製容器及び/又はフィルム製蓋が透明であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の魚箱用内装容器。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の魚箱用内装容器が、発泡樹脂製の蓋体と容器本体とからなる魚箱内に設置されていることを特徴とする魚箱。
【請求項12】
魚箱の蓋体及び/又は容器本体の外側に、筆記、消去が可能なフィルムが貼着されていることを特徴とする請求項11記載の魚箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−254309(P2010−254309A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103183(P2009−103183)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(503394936)
【出願人】(301012586)
【Fターム(参考)】