説明

魚節香味改善剤

【課題】
削りたての魚節、特にカツオ節をイメージさせるウッディー感、節感のある魚節フレーバー、魚節風味調味料、魚節風味飲食品を提供することを目的とする。
【解決手段】
2,4,7−トリデカトリエナールおよび/または4,7−トリデカジエナールを有効成分とする魚節香味改善剤、2,4,7−トリデカトリエナールおよび/または4,7−トリデカジエナールを10−3ppm〜10ppm含有させたことを特徴とする魚節香料組成物、2,4,7−トリデカトリエナールおよび/または4,7−トリデカジエナールを10−4ppb〜10ppb含有させたことを特徴とする調味料および飲食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚節風味の嗜好性を高めるための香味改善剤に関し、さらに詳しくは、
【0002】
【化1】

【0003】
[式中、・・・・は単結合または二重結合を示し、波線はシスまたはトランス配置の立体配置を示す]で表される不飽和アルデヒドを微量添加することにより、魚節が本来有する特有のウッディー感、節感を付与する香味改善剤に関する。
【背景技術】
【0004】
鰹節をはじめとする魚節類は、塩、砂糖、醤油、味噌などとともに調味料の原料として用いられる他、そのまま蛋白源、カルシウム源、ミネラル源として食することもでき、日本の日常生活において大変なじみの深い食材である。また、魚節類、特に鰹節は、昆布とともに、旨味などを目的とした出汁を抽出するための素材として多く用いられるが、出汁はその呈味、旨味のみならず、香りも極めて重要な要素である。そのため、鰹節の香気に関する研究報告も多く、フェノール類、カルボン酸類、アルデヒド類、ケトン類、アルコール類、フラン類、含窒素塩基類、炭化水素類、エステル類、ラクトン類、含硫化合物類、エーテル類など数百成分が見出されている(非特許文献1)。また、これらの鰹節をはじめとする魚節類の香気を調合香料で再現することも試みられている(特許文献1)。
【0005】
一方、近年、消費者の嗜好性が多様化してきていることに伴い、各種各様の商品の開発が望まれている。特に、飲食品業界はこの傾向が強く、消費者の嗜好性に合うバラエティーに富んだ飲食品の開発が強く要求されている。これらの要求に対して、飲食品の一つの原料素材である香料についても、従来から提案されている香料化合物だけでは十分には対応しきれず、従来にないユニークな香気香味特性を有し、且つ、その持続性に優れた香料化合物の開発が緊急の課題となっている。
【0006】
2,4,7−トリデカトリエナールは、調理したチキンのフレーバーから見いだされ(非特許文献2)、また、アラキドン酸の熱分解物(非特許文献3)やリン脂質の熱分解物(非特許文献4)などから見出される天然にも存在する香気を有する揮発性化合物である。香料用途としては、鶏を想起させるフレーバーを付与する方法(特許文献2)、4−シスデセナールと2,4,7−トリデカトリエナールを併用することによる、鶏を想起させるフレーバーを付与する方法(特許文献3)などが提案されている。
【0007】
4,7−トリデカジエナールは天然物からはオリビ(Ourebia ourebi)の目の上の分泌線からの外分泌物の成分としての報告があり(非特許文献5)、香料用途としては、鶏を想起させるフレーバーを付与する方法(特許文献2)、香粧品香料としての使用(特許文献4)が提案されている。しかしながら、前記非特許文献1〜3および特許文献1〜4には、2,4,7−トリデカトリエナールまたは4,7−トリデカジエナールを魚節風味を有する飲食品に極微量添加することにより、魚節特有のウッディー感、節感を増強し、魚節の香味を改善することができることは記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−135522号公報
【特許文献2】特公昭41−7822号公報
【特許文献3】特公昭54−12550号公報
【特許文献4】特開昭61−65814号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】周知・慣用技術集(香料)第II部 食品用香料 p.735〜p.749
【非特許文献2】Journal of American Oil Chemist‘ Society. 51(8),356−9(1974)
【非特許文献3】Frontiers of Flavour Science, [Proceedings of the Weurman Flavour Research Symposium], 9th, Freising, Germany, June 22―25,1999(2000)
【非特許文献4】Journal of Agricultural and Food Chemistry(2004),52(3),581―586
【非特許文献5】Journal of Chmical Ecology(1995),21(8),1191−1215
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、魚節特有のウッディー感、節感を増強し、魚節の香味を改善することができる魚節香味改善剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記の課題を解決するため鋭意研究を行ってきた結果、極微量の2,4,7−トリデカトリエナールまたは4,7−トリデカジエナールを魚節香料組成物中に添加することにより、魚節香料組成物に魚節特有のウッディー感、節感を増強し、魚節の香味を改善することができることを見いだし本発明を完成するに至った。かくして本発明は以下のものを提供する
(a)下記式(1)
【0012】
【化2】

【0013】
[式中、・・・・は単結合または二重結合を示し、波線はシスまたはトランス配置の立体配置を示す]で表される不飽和アルデヒドを有効成分とする魚節香味改善剤を提供するものである。
(b)式(1)の不飽和アルデヒドが2,4,7−トリデカトリエナールである前記の魚節香味改善剤。
(c)式(1)の不飽和アルデヒドが(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールである前記の魚節香味改善剤。
(d)式(1)の不飽和アルデヒドが4,7−トリデカジエナールである前記の魚節香味改善剤。
(e)式(1)の不飽和アルデヒドが(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールである前記の魚節香味改善剤。
(f)式(1)の不飽和アルデヒドが2,4,7−トリデカトリエナールと4,7−トリデカジエナールの混合比率が99:1〜1:99の範囲内である混合物である前記の魚節香味改善剤。
(g)前記の魚節香味改善剤を式(1)の不飽和アルデヒド濃度として10−3ppm〜10ppm含有させたことを特徴とする魚節香料組成物。
(h)前記の魚節香料組成物を式(1)の不飽和アルデヒド濃度として10−4ppb〜10ppb含有させたことを特徴とする調味料。
(i)前記の魚節香料組成物を式(1)の不飽和アルデヒド濃度として10−4ppb〜10ppb含有させたことを特徴とする飲食品。
【0014】
本発明で使用される2,4,7−トリデカトリエナールおよび4,7−トリデカジエナールは天然物から見いだされた報告があり、また、チキン様フレーバーとしての用途が提案されているが、魚節の成分としては未だ報告されたことはなく、魚節フレーバーとして使用されている記載も見あたらない。
【発明の効果】
【0015】
本発明の魚節香味改善剤の有効成分である不飽和アルデヒドは、魚節様、特に鰹節様の香気を有する魚節香料組成物中に10−3ppm〜10ppm配合することで、従来にはない、魚節特有のウッディー感、節感を付与することができる。また、その香味改善剤を調味料または飲食品に不飽和アルデヒドとして10−4ppb〜10ppbとなるように添加することにより魚節様のウッディー感、節感のある香味を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明で使用される2,4,7−トリデカトリエナールは、8種類の幾何異性体が存在するが、前記非特許文献2〜4などにおいて天然から見いだされている(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールが好ましい。
【0017】
また、本発明で使用される4,7−トリデカジエナールは、4種類の幾何異性体が存在するが、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールが好ましい。
【0018】
本発明で使用される(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールは、公知文献による方法で合成することができ、例えば、2−オクチン−1−オールを出発物質としてブロム化した後、(E)−2−ペンテン−4−イン−1−オールのグリニヤール誘導体と銅触媒を用いてカップリングし、リンドラー触媒を用いて部分的に水素添加した後、二酸化マンガンにより酸化して合成することができる(J.Agric.Food Chem.2001,49,2959−2965)。
【0019】
また、本発明で使用される(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールも、公知文献による方法で合成することができ、例えば、非特許文献5記載の以下の方法で合成することが出来る。まず、2−オクチン−1−オールをリンドラー触媒により部分的に水素添加してブロム化しZ体の1−ブロモ−2−オクテンを得る。一方で、1−ブロモ−3−テトラヒドロピラニルオキシプロパンとアセチレン化ナトリウムをアンモニア存在下で反応させて5−テトラヒドロピラニルオキシプロパニル−1−ペンチンを得、次いでグリニヤール誘導体とし、先に得られた1−ブロモ−2−オクテンと塩化銅存在下でカップリングして1−テトラヒドロピラニルオキシ−7−トリデセン−1−インとする。次いで、リンドラー触媒により部分的に水素添加した後、保護基であるテトラヒドロピラニル基を脱離し、生じた水酸基を酸化することで(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを得ることが出来る。
【0020】
本発明の2,4,7−トリデカトリエナールと4,7−トリデカジエナールはそれぞれ単独で使用しても良いが、それぞれ単独よりも、両者を併用して使用した方が、より魚節特有のウッディー感、節感のある香味を付与するために効果的である。この場合、2,4,7−トリデカトリエナールと4,7−トリデカジエナールの配合比率は、通常は1:99〜99:1(質量比)、好ましくは10:90〜90:10(質量比)で使用される。
【0021】
また、2,4,7−トリデカトリエナールおよび/または4,7−トリデカジエナールはカツオ節、宗田節、サバ節、イワシ節、ムロ節、サンマ節、ナマリ節、マグロ節、煮干しなどの魚節香味を有する飲食品に対して単独で使用しても良いが、好ましくはこれらの魚節風味を有する香料組成物に2,4,7−トリデカトリエナールおよび/または4,7−トリデカジエナールを極微量配合して香料組成物を得、それを飲食品や調味料に配合することで、従来にはない魚節特有のウッディー感、節感のある香味を付与することができる。
【0022】
かかる魚節香味料組成物の素材としては、例えば、カツオ節エキス、宗田節エキス、サバ節エキス、イワシ節エキス、ムロ節エキス、サンマ節エキス、ナマリ節エキス、マグロ節エキス、煮干しエキスなどの魚肉エキス類;ビール酵母、パン酵母、トルラ酵母などの酵母を自己消化法、酵素分解法、酸分解法などの方法により得られる酵母エキス類;大豆、小麦、コーン、ゼラチン、ホエー蛋白質、魚粉、カゼイン、卵白、ボーンエキスなどのタンパク質を、化学的分解または酵素分解して得られる動植物蛋白分解物類;魚節あるいは魚節エキスから、抽出および/または蒸留および/または吸着処理から選ばれる分画手段により得られる香気成分である魚節分画香気成分;および香料類を例示することができる。また、香料類としては、例えば、リモネン、シクロペンテン、メチルベンゼン、δ−カジネンなどの炭化水素類;イソアミルアルコール、1−ペンテン−3−オール、1−オクテン−3−オール、(Z、Z)−1,5,8−ウンデカトリエン−3−オール、2−フェニルエタノール、2,5−オクタジエン−3−オール、(Z)−または(E)−2−ペンテン−1−オール、(Z)−2−ペンテン−3−オール、(E)−2−ヘキセン−1−オール、(E)−2−オクテン−1−オール、(Z)−または(E)−1,5−オクタジエン−3−オール、(Z)−1,5−ウンデカジエン−3−オールなどのアルコール類;プロパナール、ブタナール、ペンタナール、(E)−2−ペンテナール、ヘキサナール、(Z)−3−ヘキセナール、(E)−2−ヘキセナール、ヘプタナール、(E)−2−ヘプテナール、(Z)−4−ヘプテナール、2,4−ヘプタジエナール、(E、Z)または(E、E)−2,4−ヘプタジエナール、オクタナール、(Z)または(E)−2−オクテナール、(E、E)−2,4−オクタジエナール、(E、Z)−2,5−オクタジエナール、ノナナール、(E)−2−ノネナール、(E、Z)−2,6−ノナジエナール、デカナール、2,4−デカジエナール、(E、Z)または(E、E)−2,4−デカジエナール、(E)−2−ウンデセナール、ベンズアルデヒド、クミンアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、シンナムアルデヒド、2−フェニル−2−ブテナールなどのアルデヒド類;2−ブタノン、アセトイン、ジアセチル、3−ペンテン−2−オン、3−ヒドロキシ−2−ペンタノン、2,3−ペンタンジオン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、6−メチル−5−ヘプテン−2−オン、2−オクタノン、3−オクタノン、(E、Z)または(E、E)−3,5−オクタジエン−2−オン、2−ノナノン、2−デカノン、2−ウンデカノン、(E)−6,10−ジメチル−5,9−ウンデカジエン−2−オン、シクロペンタノン、2−シクロペンテン−1−オン、2−または3−メチルシクロペンタノン、2,3,4あるいは5−メチル−2−シクロペンテン−1−オン、2,3−ジメチル−2−シクロペンテン−1−オン、2,4−、2,5−、3,4−あるいは3,5−ジメチル−2−シクロペンテン−1−オン、2,3,4−トリメチル−2−シクロペンテン−1−オン、インダノン、シクロテン、シクロヘキサノン、2−シクロヘキセン−1−オン、2−あるいは3−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン、アセトフェノン、プロピオフェノン、カンファーなどのケトン類;酢酸、プロピオン酸、2−メチルプロピオン酸、乳酸、酪酸、2−メチル酪酸、イソ吉草酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、安息香酸、フェニル酢酸などの酸類;ギ酸エチル、酢酸エチル、安息香酸メチル、2−メチル安息香酸メチル、4−メチル安息香酸メチルなどのエステル類;ブチロラクトン、4−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸ラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類;トリメチルアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ブタンジアミン、フェニルエチルアミン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ブタンジアミン、ピロール、2−アセチルピロール、インドール、2−メチルインドール、3−メチルインドール、ピリジン、2,3あるいは4−メチルピリジン、2あるいは3−エチルピリジン、3−ビニルピリジン、3−メトキシピリジン、キノリン、ピラジン、メチルピラジン、エチルピラジン、2,3−、2,5−あるいは2,6−ジメチルピラジン、2−エチル−5−あるいは6−メチルピラジン、トリメチルピラジン、3−エチル−2,5−ジメチルピラジン、2−エチル−3,5−ジメチルピラジン、テトラメチルピラジン、2−エチル−3,5−ジメトキシピラジンなどの含窒素塩基類;メタンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、カーボンジスルフィド、メチオナール、チアゾール、2,4−ジメチルチアゾール、2,4,5−トリメチルチアゾールなどの含硫化合物類;1,8−シネオール、1,4−シネオールなどのエーテル類;アセトニトリル、3−メチルブタンニトリル、4−メチルペンタンニトリル、ベンゾニトリル、フェニルアセトニトリルなどのニトリル類;o−,m−あるいはp−クレゾール、2−エチルフェノール、4−ビニルフェノール、2−イソプロピルフェノール、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−あるいは3,5−ジメチルフェノール、2−エチル−5−メチルフェノール、5−エチルー3−メチルフェノール、2,3,5−あるいは2,4,6−トリメチルフェノール、1−メトキシ−3−メチルベンゼン、1−メトキシ−4−プロピルベンゼン、2−メトキシ−4−メチルフェノール、4−エチル−2−メトキシフェノール、2−メトキシ−4−プロピルフェノール、オイゲノール、イソオイゲノール、1,2−ジメトキシベンゼン、1,2−ジメトキシ−4−メチルベンゼン、1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼン、4−エチル−1,2−ジメトキシベンゼン、1,2−ジメトキシ−4−プロピルベンゼン、メチルオイゲノール、メチルイソオイゲノール、(Z)または(E)−1,2−ジメトキシ−4−(1−プロペニル)ベンゼン、サフロール、イソサフロール、1,2,3−あるいは1,3,5−トリメトキシベンゼン、2,6−ジメトキシフェノール、2,6−ジメトキシ−4−メチルフェノール、4−エチル−2,6−ジメトキシフェノール、2,6−ジメトキシ−4−プロピルフェノール、1,2,3−トリメトキシ−5−メチルベンゼン、5−エチル−1,2,3−トリメトキシベンゼン、1,2,3−トリメトキシ−5−ビニルベンゼン、1,2,3−トリメトキシ−5−プロピルベンゼン、1,2,3−トリメトキシ−5−(1−プロペニル)−ベンゼン、グアヤコール、4−メチルグアヤコール、4−エチルグアヤコールなどの芳香族化合物類;2−メチルフラン、2−エチルフラン、2−ペンチルフラン、(Z)−2−(2−ペンテニル)フラン、2−ヘキシル−5−メチルフラン、2−エチル−5−ビニルフラン、ベンゾフラン、2−メチルベンゾフラン、2−エチルベンゾフラン、フルフラール、2−メチル−ジヒドロ−3(2H)−フラノン、3−メチル−2(5H)−フラノン、3,4−ジメチル−2(5H)−フラノン、3,4,5−トリメチル−2(3H)−フラノン、3,4,5−トリメチル−2(5H)−フラノン、5−エチル−3,4−ジメチル−2(5H)−フラノン、3,4−ジメチル−5−プロピル−2(5H)−フラノン、3,4−ジメチル−5−ペンチル−2(5H)−フラノン、2−アセチルフラン、2−アセチル−5−メチルフラン、フルフリルアルコール、2−フランカルボン酸、5−メチル−2−フランカルボン酸、2−フランカルボン酸メチル、酢酸フルフリル、マルトール、2,3−ジメチルベンゾピランなどのフラン類およびピラン類などを挙げることができ、これらを任意に組み合わせて混合した魚節香料組成物をあげることができる。
【0023】
また、ここで魚節とは、例えば、カツオ節、宗田節、サバ節、イワシ節、ムロ節、サンマ節、ナマリ節、マグロ節、煮干しなどあげることができる。
【0024】
本発明の2,4,7−トリデカトリエナールおよび/または4,7−トリデカジエナールの配合量は重要であり、その目的、あるいは魚節香料組成物の種類によっても異なるが、例えば、魚節香料組成物の全体質量に対して、10−3ppm〜10ppm、好ましくは10−2ppm〜100ppm、より好ましくは10−1ppm〜10ppmの範囲内を例示することができる。これらの範囲内では、魚節香料組成物に対し魚節に特有の、ウッディー感、節感などを付与する優れた効果を有する。ここで、ウッディー感、節感とは、カツオ節などの魚節類に特有の好ましい香気で、カツオ節などを削るときに発生する削りたてをイメージさせるようなフレッシュな香気で、木材を削るときの香気をやや想起させるようなさわやかな香気を意味する。
【0025】
一方、魚節香料組成物に対する2,4,7−トリデカトリエナールおよび/または4,7−トリデカジエナールの配合料が10ppmを超えた場合には、シトラス様、石鹸様、劣化した油様の異臭としての香気・香味特性が出てしまい好ましくない。また、魚節香料組成物に対する2,4,7−トリデカトリエナールおよび/または4,7−トリデカジエナールの配合料が10−4ppmを下回る場合は、本発明特有の香気・香味付与効果が得られない。
【0026】
さらに、本発明は、2,4,7−トリデカトリエナールおよび/または4,7−トリデカジエナールを有効成分とする魚節香味増強剤を含有させた魚節香料組成物を有効量添加したことを特徴とする調味料または飲食品に関し、該製品に魚節様のウッディー感、節感のある香気・香味を付与することができる。かかる調味料または飲食品としては、魚節香味を少なくとも一部に含有するものであればよく、広い分野の各種調味料または飲食品に配合利用することができる。
【0027】
調味料としては、例えば、アミノ酸系調味料、核酸系調味料、酸味調味料、発酵調味料、ポークエキス、チキンエキス、魚介エキス、酵母エキス、蛋白加水分解物、醤油、味噌、食酢、三杯酢、粉末すし酢、ドレッシング、マヨネーズ、ソース、ケチャップ、魚醤、豆板醤、魚節類、昆布だし、スープストック、中華の素、天つゆ、麺つゆ、焼き肉のタレ、カレールウ、シチューの素、スープの素、ダシの素、複合調味料、みりん、本みりん、新みりんなどをあげることができる。また、飲食品としては、例えば、コンソメスープ、ポタージュスープ、ラーメンスープ等のスープ類、みそ汁、吸い物、豚汁等の汁物、レトルト食品用のデミグラスソース、ホワイトソース、トマトソース、ミートソース等のソース類、カレー類、シチュー類、ハヤシ類、おでんなどを例示することができる。
【0028】
また、本発明の2,4,7−トリデカトリエナールおよび/または4,7−トリデカジエナールの調味料または飲食品への配合量は、その目的あるいは飲食品の種類によっても異なるが、前記魚節香味増強剤または前記魚節香味増強剤を配合した魚節香料を2,4,7−トリデカトリエナールおよび/または4,7−トリデカジエナールとして有効量添加することにより魚節様のウッディー感、節感のある香味を付与することができる。その際の調味料または飲食品への配合量は、2,4,7−トリデカトリエナールおよび/または4,7−トリデカジエナールとして、例えば、飲食品の全体質量に対して10−4ppb〜10ppb好ましくは、10−3ppb〜10ppb、より好ましくは10−2ppb〜10ppbの範囲を例示することができる。一方、調味料または飲食品の全体質量に対する2,4,7−トリデカトリエナールおよび/または4,7−トリデカジエナールの配合料が10ppbを超えた場合には、シトラス様、石鹸様、劣化した油様の異臭としての香気・香味特性が出てしまい好ましくない。また、調味料または飲食品に対する2,4,7−トリデカトリエナールおよび/または4,7−トリデカジエナールの配合量が10−4ppbを下回る場合は本発明特有の香気・香味付与効果が得られない。
【0029】
以下、実施例、比較例および参考例をあげて本発明の好ましい態様をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0030】
(参考例1)水蒸気蒸留によるカツオ節フレーバーの調製
5リットル容の水蒸気蒸留釜に鰹荒節粉砕物200gおよび水1800gを仕込み、釜の下部より水蒸気を吹き込み、約100℃で約3時間水蒸気蒸留を行った。留出する揮発性香気成分を含んだ水蒸気を水冷式ガラス冷却管に導き、約20℃に冷却し、凝縮させることにより回収香400gを得た。得られた回収香400gにODO(登録商標:日清オイリオ社製の中鎖脂肪酸トリグリセライドの商品名)40gを添加して、室温下30分撹拌抽出した。抽出後60分静置し、油層部をデカント分離し、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、濾紙濾過してカツオ節フレーバー(参考品1)38gを得た。
【0031】
(参考例2)含水アルコール抽出によるカツオ節フレーバーの調製
3リットル容のフラスコに鰹本枯節粉砕物200gおよび80%含水アルコール100gを加え、80〜85℃にて3時間撹拌抽出した。抽出後、遠心分離、濾過して抽出液800gを得、減圧下にてアルコールを回収しカツオ節フレーバー(参考品2)15gを得た。
【0032】
(参考例3)香料化合物の調合によるカツオ節フレーバーの調製
下記の各成分を調合した(参考品3)
4−エチルグワヤコール 1質量部
2,6−ジメトキシフェノール 0.5
1,2−ジメトキシ−4−プロピルベンゼン 2
4−エチル−2,6−ジメトキシフェノール 1
オイゲノール 0.5
シス−3−ヘキセナール 0.9
シクロテン 1
3−ヘキサノン 1
6−メチル−5−ヘプテン−2−オン 2
2−メチルインドール 0.5
2−エチル−3,5−ジメチルピラジン 3
2−エチル−3,5−ジメトキシピラジン 2.4
2,4−ジメチルチアゾール 1
2,3−ジメチルベンゾピラン 1
フルフリルアルコール 0.1
マルトール 1
3,4,5−トリメチル2−(3H)−フラノン 1
メタンチオール 0.1
合計 20.0
【0033】
(実施例1)カツオ節様調合香料組成物の調合および(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールの添加
カツオ節様の調合香料組成物として、下記の各成分(質量部)を調合した(比較品1)。
【0034】
参考品1 10質量部
参考品2 25
参考品3 0.5
アルコール 35
水 29.5
合計 100
上記カツオ節様調合香料組成物(比較品1)に対し、(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールを表1に記載する割合で添加したものを本発明品1〜4および比較品2、3とした。それぞれの発明品および比較品の調製に当たっては、(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールをエタノールにて適宜希釈した溶液を調製し、表1に示した濃度となるよう添加した。それぞれの調合香料は、専門のパネラー10名により、官能評価を行った。その平均的な香気評価結果を表1に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
表1に示した通り、カツオ節様調合香料組成物に対し、(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールを10−3ppm、10−2ppm、1ppm、10ppm、10ppm添加した本発明品1〜5はカツオ節的なウッディー感、節感が賦与され、良好なカツオ節様香気が強調されているとの評価であり、香料組成物中に僅か10−3ppm存在するだけでも香気にカツオ節的なウッディー感が付与されるという結果であった。一方、10−4ppmの添加では無添加と大差なく、10ppm(1%)の添加ではシトラス様、石鹸様、劣化した脂肪様の異臭が出てしまい、良好ではなかった。
【0037】
(実施例2)カツオ節様調合香料組成物への(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールの配合
比較品1に対し、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを表2に記載する割合で添加したものを本発明品6〜10および比較品4、5とした。それぞれの発明品および比較品の調製に当たっては、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールをエタノールにて適宜希釈した溶液を調製し、表2に示した濃度のなるよう添加した。それぞれの調合香料は、専門のパネラー10名により、官能評価を行った。その平均的な香気評価結果を表2に示す。
【0038】
【表2】

【0039】
表2に示した通り、カツオ節様調合香料組成物に対し、(Z,Z)−4,7−トリデカトリエナールを10−3ppm、10−2ppm、1ppm、10ppm、10ppm添加した本発明品6〜10はカツオ節的なウッディー感、節感が賦与され、良好なカツオ節様香気が強調されているとの評価であり、香料組成物中に僅か10−3ppm存在するだけでも香気にカツオ節的なウッディー感が付与されるという結果であった。一方、10−4ppmの添加では無添加と大差なく、10ppm(1%)の添加ではシトラス様、石鹸様、劣化した脂肪様の異臭が出てしまい、良好ではなかった。
【0040】
(実施例3)
(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールおよび(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを表3に示した割合で混合した。
【0041】
【表3】

【0042】
比較品1に対し、表3に示した本発明品11〜23をそれぞれ1ppmずつ添加し、専門のパネラー10名により、官能評価を行った。官能評価の基準はウッディー感、節感、天然感、好ましさについて、非常によい:10点、良い:8点、やや良い:6点、やや悪い:4点、悪い:2点、非常に悪い0点として行い、その平均点を表4に示した。
【0043】
【表4】

【0044】
表4に示したとおり、2,4,7−トリデカトリエナールと4,7−トリデカジエナールの配合比率が1:99〜99:1、さらには10:90〜90:10の時に、ウッディー感、節感、天然感、好ましさのいずれもがそれぞれの単独使用時よりも良好な評価であった。
【0045】
(参考例4)カツオ節エキスの調製
カツオ節10Kgをハンマーミル(スクリーン3mm)にて粉砕し、50Lカラム式抽出機に仕込み、カラム上部より60℃に加温した10%エタノール水溶液50Kgを50Kg/時間の流速で通液して抽出液35Kgを得、濾過後減圧下に濃縮し、濃縮液7Kgを得た(参考品4)。
【0046】
(実施例4)カツオ節風味調味料の調製
参考品4(600g)を用いて、下記に示した調味素材ならびに(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールまたは(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールの希釈液をそれぞれ表5に示した濃度となるように加え、90℃加熱溶解した後冷却し、本発明品24〜35および比較品6〜10のカツオ節風味調味料を得た。
【0047】
参考品4 600質量部
食塩 40
グルタミン酸ナトリウム 70
コハク酸ナトリウム 5
グラニュー糖 40
核酸系調味料 5
植物蛋白質加水分解物(HVP) 20
酵母エキス 10
(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールまたは
(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール希釈液(濃度は表5参照) 1
水 209
合計 1000
それぞれのカツオ節風味調味料は、専門のパネラー10名により、官能評価を行った。その平均的な香気評価結果を表5に示す。
【0048】
【表5】

【0049】
表5に示した通り、カツオ節風味調味料に対し、(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールまたは(Z,Z)4,7−トリデカジエナールをそれぞれ10−4ppb、10−3ppb、10−2ppb、1ppb、10ppb、10ppb添加した本発明品24〜29、および本発明品30〜35はカツオ節的なウッディー感、節感が賦与され、良好なカツオ節様の風味が強調されているとの評価であり、カツオ節風味調味料中に僅か10−4ppb存在するだけでも香気にカツオ節的なウッディー感が付与されるという結果であった。一方、いずれの化合物も10−5ppbの添加では無添加と大差なく、10ppbの添加ではシトラス様、石鹸様、劣化した脂肪様の異臭が出てしまい、良好ではなかった。
【0050】
実施例5(麺つゆへの配合)
実施例1で得られたカツオ節様調合香料組成物(本発明品3または比較品1)を下記処方で配合した麺つゆに添加し、常法により麺つゆを調製し、官能評価を行った。
【0051】
麺つゆ配合処方
醤油 170g
みりん 100g
グルタミン酸ナトリウム 2.5g
砂糖 15g
食塩 3g
水 709g
本発明品3(または比較品1) 0.5g
合計 1000g
これらの麺つゆを、専門パネラー10人により官能評価を行った。その結果、専門パネラー10人全員が、本発明品3を添加した麺つゆは比較品1を添加した麺つゆに比べて、カツオ節様のウッディー感、節感が強調されていると評価した。
【0052】
実施例6(カツオ節風味蒲鉾への配合)
冷凍すけそうすり身100質量部、食塩2.5質量部、L−グルタミン酸ナトリウム1.5質量部、グリシン1質量部、キサンタンガム0.1質量部、実施例2で得られたカツオ節様調合香料組成物(本発明品8または比較品1)0.2質量部、馬鈴薯澱粉8質量部、卵白11質量部および氷水50質量部(合計174.3.6質量部)を混練し成形したすり身を95℃、40分間蒸し、カツオ節風味蒲鉾を調製した。
【0053】
これらのカツオ節風味かまぼこを、専門パネラー10人により官能評価を行った。その結果、専門パネラー10人全員が、本発明品8を添加したカツオ節風味かまぼこは比較品1を添加したカツオ節風味かまぼこに比べて、カツオ節様のウッディー感、節感が強調されていると評価した。
【0054】
実施例7(粉末香料の調製)
水150gにアラビアガム70g及びトレハロース20gを加えて溶解し、85〜90℃で15分間加熱殺菌した。これを40℃に冷却した後、実施例1で得られたカツオ節様調合香料組成物(本発明品4または比較品1)10gを添加混合し、TK−ホモミキサーで乳化した。この乳化液をニロ社のモービルマイナー型スプレードライヤーを使用して、入口温度140℃、出口温度75℃にて噴霧乾燥し、カツオ節粉末香料95g(本発明品36または比較品11)を得た。
【0055】
実施例8(カツオ節ふりかけへの配合)
市販カツオ節ふりかけ(おかか)100質量部に実施例7で得られたカツオ節粉末香料(本発明品36または比較品11)0.1gを加えて良く混合した。これらのカツオ節ふりかけを、専門パネラー10人により官能評価を行った。その結果、専門パネラー10人全員が、本発明品36を添加したカツオ節ふりかけは比較品11を添加したカツオ節ふりかけに比べて、カツオ節様のウッディー感、節感が強調されていると評価した。
【0056】
実施例9(茶碗蒸しへの配合)
薄口醤油1.6質量部、食塩0.8質量部、グルタミン酸ナトリウム0.06質量部、核酸系調味料0.003質量部、鰹節エキス(参考品4)0.6質量部、昆布抽出粉末0.03質量部、砂糖3質量部、水78質量部を混合し、85℃にて15分間加熱溶解した。ここに、実施例1で得られたカツオ節様調合香料組成物(本発明品3または比較品1)0.1質量部を加え、裏ごしした鶏卵19質量部と混合し、水で全量を100質量部とし、卵汁を調製した。容器にうずらのゆで卵2個、かまぼこ1切れ、椎茸1切れ、銀杏1個を入れ、卵汁を入れてパックし、120℃にて20分間レトルト殺菌し、茶碗蒸しを調製した。
【0057】
これらの茶碗蒸しを、専門パネラー10人により官能評価を行った。その結果、専門パネラー10人全員が、本発明品3を添加した茶碗蒸しは比較品1を添加した茶碗蒸しに比べて、カツオ節様のウッディー感、節感が強調されていると評価した。
【0058】
実施例10(カツオ節風味ドレッシングへの配合)
水46.6質量部と果糖ぶどう糖液糖3質量部を混合し、ここにジェランガム含有製剤0.1質量部とこんにゃく加工品3質量部の粉体混合物を加え、80℃10分間加熱攪拌溶解した。更に、淡口醤油3質量部、白しょうゆ12質量部、レモン果汁透明濃縮還元4質量部、食塩1質量部、L−グルタミン酸ナトリウム0.3質量部、カツオ節エキス(参考品4)1質量部を加え溶解させた後、醸造酢(酸度4.2%)6質量部、リンゴ酢5質量部、を加え攪拌し、水層部を調製した。一方、油層部としてコーンサラダ油14.9質量部および実施例1で得られたカツオ節様調合香料組成物(本発明品3または比較品1)0.1質量部を攪拌混合し、合計15kgの油層部を調製した。そして、水層部と油層部が85:15の割合となるように容器に充填・殺菌し、カツオ節風味のセパレートドレッシング(pH3.8)を調製した。
【0059】
これらのカツオ節風味ドレッシングを、専門パネラー10人により官能評価を行った。その結果、専門パネラー10人全員が、本発明品3を添加したカツオ節風味ドレッシングは比較品1を添加したカツオ節風味ドレッシングに比べて、カツオ節様のウッディー感、節感が強調されていると評価した。
【0060】
実施例11(みそ汁への配合)
水9928.5質量部と味噌50質量部、カツオ節エキス(参考品4)3質量部。食塩5質量部、酵母エキス10質量部、グルタミン酸ナトリウム2.5質量部を混合した(合計9999質量部)。ここに、実施例3で得られた本発明品17((E,Z,Z)−4,7−トリデカトリエナールと(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールの1:1混合物)の1ppmエタノール溶液を1質量部添加したもの(みそ汁中の(E,Z,Z)−4,7−トリデカトリエナールおよび(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール濃度はそれぞれ0.5ppb)と、エタノールのみを1質量部添加したものを調製し、加熱殺菌後冷却し、みそ汁を調製した。
【0061】
これらのみそ汁を、専門パネラー10人により官能評価を行った。その結果、専門パネラー10人全員が、本発明品17を添加したみそ汁はエタノールのみ添加のみそ汁に比べて、カツオ節様のウッディー感、節感が強調されていると評価した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】

[式中、・・・・は単結合または二重結合を示し、波線はシスまたはトランス配置の立体配置を示す]で表される不飽和アルデヒドを有効成分とする魚節香味改善剤。
【請求項2】
式(1)の不飽和アルデヒドが2,4,7−トリデカトリエナールである請求項1に記載の魚節香味改善剤。
【請求項3】
式(1)の不飽和アルデヒドが(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールである請求項1に記載の魚節香味改善剤。
【請求項4】
式(1)の不飽和アルデヒドが4,7−トリデカジエナールである請求項1に記載の魚節香味改善剤。
【請求項5】
式(1)の不飽和アルデヒドが(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールである請求項1に記載の魚節香味改善剤。
【請求項6】
式(1)の不飽和アルデヒドが2,4,7−トリデカトリエナールと4,7−トリデカジエナールの混合比率が99:1〜1:99の範囲内である混合物である請求項1に記載の魚節香味改善剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の魚節香味改善剤を式(1)の不飽和アルデヒド濃度として10−3ppm〜10ppm含有させたことを特徴とする魚節香料組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の魚節香料組成物を式(1)の不飽和アルデヒド濃度として10−4ppb〜10ppb含有させたことを特徴とする調味料。
【請求項9】
請求項7に記載の魚節香料組成物を式(1)の不飽和アルデヒド濃度として10−4ppb〜10ppb含有させたことを特徴とする飲食品。

【公開番号】特開2012−34662(P2012−34662A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180193(P2010−180193)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【特許番号】特許第4676572号(P4676572)
【特許公報発行日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000214537)長谷川香料株式会社 (176)
【Fターム(参考)】