説明

魚釣用リール

【課題】スプールの制動装置の制動力を調整する操作部の位置がどこにあるのか、認識し易くすることが可能な魚釣用リールを提供すること。
【解決手段】魚釣用リール10は、リール本体12の側板16a,16b間にスプール20を回転自在に支持し、このスプールの回転を制動する制動装置54の制動力を、側板16bに配置した回動操作部86を介して調整可能としている。釣糸をスプール20に巻き取るハンドル30に対して反対側の側板16bの下部には、釣竿8およびリール本体12を握持保持した際に手の掌に対して離れた位置に回動操作部86を配置して外部に露出させ、回動操作部86をリール本体を保持した手の指で操作可能としている。そして、回動操作部86によって調整される制動装置54の制動力をリール本体12を握持保持した釣り人の視覚又は触覚により認識させる窓部W及び指示部88をリール本体12及び側板16bに設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用リールに関し、特に、リール本体の側板間にスプールを回転自在に支持し、このスプールの回転を制動する制動装置の制動力を、側板に配置した操作部を介して調整可能とした魚釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばキャスティング等の釣糸放出時にスプールの過回転を防止するための遠心摩擦ブレーキ装置あるいは磁気ブレーキ装置等のブレーキ装置が従来から知られている。
例えば特許文献1では、魚釣用リールの1対の側板の間に回転自在に支持したスプールに制動力を付与する制動装置の操作部は、ハンドルと反対側の側板の前方に設けられている。例えば特許文献2では、魚釣用リールの1対の側板の間に回転自在に支持したスプールに制動力を付与する制動装置の操作部は、スプール後方の側板間に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−5362号公報
【特許文献2】特公平1−27698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の魚釣用リールでは、側板の前方側や中央部にスプールの制動装置の操作部(スプールを制動させる制動力を変化させる操作部)が操作可能に露出されて配置されている。この場合、魚釣用リールを釣竿とともに握持する際に掌に操作部の露出する突出部が喰い込んでしまって違和感が生じ、握持保持性に劣る。
特許文献2のように、スプールの後方の側板間に操作部(スプールを制動させる制動力を変化させる操作部)を設けた場合、クラッチをOFFにした後のキャスティング時におけるサミング操作の邪魔になって釣糸放出操作をスムーズに行えなかったり、不用意に操作部に触れて制動状態(制動力)を変化させるおそれがあり、安定性に欠ける。
さらに、実用時や釣場移動時に突出している外周部に外力が加わり易く、制動装置に支障が生じる可能性がある。
また、魚釣りの最中にスプールの制動装置の操作部の位置(現在の操作部の位置でのスプールを制動させる制動力)を把握しておきたいという要望がある。
【0005】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、例えば釣竿と一緒に握持保持して操作する際に違和感を無くすとともに、キャスティング操作時にもスプールの制動装置の操作部が邪魔になることがなく、かつ、制動装置に支障をきたすのを防止できるとともに、制動装置の操作部の位置がどこにあるのか、認識し易くすることが可能な魚釣用リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明に係る、リール本体の側板間にスプールを回転自在に支持し、このスプールの回転を制動する制動装置の制動力を、側板に配置した操作部を介して調整可能とした魚釣用リールでは、釣糸をスプールに巻き取るハンドルに対して反対側の側板の下部の外周領域に前記操作部を配置して前記側板の外部に露出させて前記操作部をリール本体を握持保持した手の指で操作可能とし、前記操作部によって調整される制動装置の制動力を前記リール本体を握持保持した釣り人の視覚又は触覚により認識させる認識手段が前記リール本体及び前記側板の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする。
また、前記操作部には前記操作部の操作により連動して動く連動部材が設けられ、前記認識手段は前記連動部材の位置を認識可能な連動部材認識部を有することが好適である。
また、前記連動部材認識部は、前記側板に設けられた窓部を有することが好適である。
また、前記連動部材は、前記窓部を通して操作可能であることが好適である。
また、前記操作部は、基準制動力を設定し、前記ハンドルに対して反対側の側板には、前記基準制動力をベースに前記制動装置の制動力を微調整する別の操作部が設けられていることが好適である。
【発明の効果】
【0007】
操作部をハンドルに対して反対側の側板の下部で、かつ、手の掌から離れた位置に配置したことによって、釣竿およびリールを握持保持した際に操作部に掌が当たることが防止されている。このため、握持保持の際に掌に違和感がなく、キャスティング操作も操作部が邪魔になったり、支障が生じることなく、安定して行える。また、実釣時や釣り場移動時に操作部に外力が加わり難くなるので、操作部に傷が付いたり、回動操作力が低下したりするなど、制動装置に支障をきたすのを防止できる。さらに、認識手段がリール本体及び側板の少なくとも一方に設けられていることによって、釣り人は操作部の位置がどこにあるのか、実際に認識手段を視認して確認でき、又は、触覚により視認しなくても認識し易くすることができる。
操作部の操作により連動して動く連動部材が設けられ、認識手段は連動部材の位置を認識可能な連動部材認識部を有することによって、連動部材認識部で連動部材の位置を認識できるので、操作部の位置を認識できる。このため、操作部がどの位置にあるのかを認識でき、制動装置の制動力を知ることができる。
連動部材認識部が側板に設けられた窓部を有すること、又は、連動部材は、前記窓部を通して操作可能であることによって、連動部材を窓部を通して視覚的及び/又は触覚的に容易に認識できる。
制動装置の制動力を大きく変化させる操作部だけでなく、操作部で変化させた制動力を微調整する別の操作部を設けることによって、釣場の実情に適した幅広い制動力調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(A)及び(B)は第1の実施の形態に係る、釣竿に魚釣用リールを取り付けた釣具を示すとともに、左手で釣竿およびリールを保持した状態を示し、(A)は図1(B)中の矢印IA方向から観察した状態を示す概略的な正面図であり、(B)は図1(A)中の矢印IB方向から観察した状態を示す概略的な左側面図。
【図2】第1の実施の形態に係る魚釣用リールのうち、ハンドルが取り付けられた側と反対側から観察した状態を示し、図1(A)中の矢印IB方向から見た概略的な左側面図。
【図3】第1の実施の形態に係る魚釣用リールを示し、図2中のIII−III線に沿う概略的な部分横断面図。
【図4】第1の実施の形態に係る魚釣用リールの図2中のIV−IV線に沿う部分の概略的な横断面拡大図。
【図5】第2の実施の形態に係る、釣竿に魚釣用リールを取り付けた釣具を示し、(A)は左手で釣竿およびリールを保持して右手でハンドルを保持した状態を示し、図5(B)中の矢印V(A)方向から観察した状態を示す概略的な上面図であり、(B)は左手で釣竿およびリールを保持した状態を示し、図5(A)中の矢印V(B)方向から観察した状態を示す概略的な左側面図。
【図6】第2の実施の形態に係る魚釣用リールのうち、ハンドルが取り付けられた側と反対側から観察した状態を示し、図5(A)中のV(B)方向から見た概略図。
【図7】第2の実施の形態に係る魚釣用リールを示し、図6中のVII−VII線に沿う概略的な部分横断面図。
【図8】第2の実施の形態に係る魚釣用リールの図7中の矢印VIIIで示す部分の概略的な拡大図。
【図9】(A)は第2の実施の形態に係る魚釣用リールの左フレームから取り外した左側板の表面側を示す概略図、(B)は第2の実施の形態に係る魚釣用リールのうち、ハンドルが取り付けられた側と反対側の左側板を取り外した状態で観察した状態を示す概略的な左側面図。
【図10】第2の実施の形態に係る魚釣用リールの第1の操作機構の回動操作部を示し、(A)は正面図、(B)は背面図、(C)は図10(A)中の10C−10C線に沿う縦断面図、(D)は図10(A)中の10D−10D線に沿う縦断面図。
【図11】第2の実施の形態に係る魚釣用リールのうち、ハンドルが取り付けられた側と反対側から観察した状態を示し、かつ、左側板及び第1の操作機構の回動操作部を取り外した状態を示す概略図。
【図12】第2の実施の形態に係る魚釣用リールのうち、ハンドルが取り付けられた側と反対側から観察した状態を図11中のXII−XIIに沿って観察した状態を示す概略図。
【図13】第2の実施の形態に係る魚釣用リールのうち、ハンドルが取り付けられた側と反対側から第1の操作機構を観察した状態を示し、(A)は第1の操作機構の回動操作部の内側突状部を図12中の第1の段部に配置した状態を示す概略図、(B)は第1の操作機構の回動操作部の内側突状部を図12中の第2の段部に配置した状態を示す概略図、(C)は第1の操作機構の回動操作部の内側突状部を図12中の第3の段部に配置した状態を示す概略図。
【図14】第2の実施の形態に係る魚釣用リールのうち、第1の操作機構の概略的な横断面を示し、(A)は図13(A)に示す状態に対応し第1の操作機構の回動操作部の内側突状部を図12中の第1の段部に配置した状態を示す概略図、(B)は図13(B)に示す状態に対応し第1の操作機構の回動操作部の内側突状部を図12中の第2の段部に配置した状態を示す概略図、(C)は図13(C)に示す状態に対応し第1の操作機構の回動操作部の内側突状部を図12中の第3の段部に配置した状態を示す概略図。
【図15】第2の実施の形態に係る魚釣用リールを示し、(A)は図5(A)及び図6中のXV(A)−XV(A)線に沿う部分の要部を示す概略的な縦断面図、(B)は図5(A)及び図6中のXV(B)−XV(B)線に沿う部分の要部を示すとともに、左手でリールを保持しながら図5及び図6に示す第2の操作機構の回動操作部に左手の親指を当てて操作する状態を示す概略的な縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図4は、本発明の好ましい実施形態による魚釣用リール10を示す。
図1から図3に示すように、本実施形態の魚釣用リール10は、両軸受型手巻きリールとして形成してある。図1(A)及び図1(B)に示すように、ここでは釣り人が左手LHで釣竿8および魚釣用リール10を保持し、右手RHで魚釣用リール10のハンドル30を回すように形成されている場合について説明する。もちろん、左手LHでハンドル30を操作するようにハンドル30の配置が逆であっても良い。
【0010】
図1(A)及び図3に示すように、魚釣用リール10のリール本体12は、図示しない連結部材等で一体化される左右一対のフレーム14a,14bのそれぞれの外側に、例えばビス、螺合あるいは嵌合等の手段により、側板16a,16bを取り付けて、全体的に剛性構造のハウジングとして形成され、リール取付脚部18を介して釣竿8に固定される。
釣糸が巻回されるスプール20は、左右のフレーム14a,14b間に回転自在に支持され、右側板16aはスプール20を回転駆動させる巻取り駆動部22を支持し、この右側板16aと右フレーム14aとの間に形成された空間内に、この巻取り駆動部22を形成する駆動力伝達系やドラグ系等の各種機構が収容されている。なお、上下、左右は図1(A)中に示すように、実釣中における上下、左右の方向を示す。また、前後は図1(B)中に示すように、実釣中における前後の方向を示す。
【0011】
図3に示すように、このリール本体12のフレーム14a,14b間には、スプール20を装着してこのスプール20と共に回転するスプール軸26の両端部が、例えば図示のようなボール軸受28a,28bを介して回転自在に支持されている。このスプール軸26の一端側には、ハンドル30の回転を軸受32a,32bに支持されたハンドル軸34、ハンドル軸34に回り止め嵌合されたドラグ機構44を経由してドライブギヤ36を介して回転駆動されるピニオンギヤ38がこのスプール軸26と同軸状に配置されている。
なお、ハンドル軸34には、公知のスタードラグ(ドラグ調整ノブ)42が配設され、ドライブギヤ36には公知のドラグ機構44が配設されているが、これらについては説明を省略する。
【0012】
ドライブギヤ36を介して回転駆動されるピニオンギヤ38は、詳細には図示しない公知のクラッチ(伝達機構)48を介して、側板16a,16b間に配置したクラッチレバー50(図2参照)と連動しており、このクラッチレバー50を下方に押圧作動することにより、クラッチ48がOFFとなり軸方向に沿って図3中の右側に移動することができる。例えば、クラッチレバー50の操作により、スプール軸26の右端部にピニオンギヤ38が嵌合した位置すなわち巻取状態と、スプール軸26の右端部からピニオンギヤ38を分離した状態(スプールフリー状態)とすることができる。又、ピニオンギヤ38が分離した状態で、ハンドル30を回転させると、図示しない公知の復帰機構を介して、ピニオンギヤ38がスプール軸26の右端部に嵌合して元の状態(巻取状態)に復帰し、スプール軸26と一体化されているスプール20が、ピニオンギヤ38と共に一体的に回転する。
【0013】
このスプール20は、軸方向の両側に形成された1対の鍔部20a間に位置する円筒状の胴部20bを有し、胴部20bの内周側に位置する中央壁部20cを介してスプール軸26に一体的に装着され、1対の鍔部20aと釣糸巻回胴部20bの外周面とで形成される環状溝内に釣糸(図示しない)が巻回される。この環状溝の底部を形成する胴部20b上に釣糸(図示しない)を均等に巻回するため、ハンドル30の釣糸巻取り回転に連動して、1対の左右のフレーム14a,14b間を往復動する公知のレベルワインド機構(図示せず)が配置されている。このレベルワインド機構は、右側板16a内の駆動部と連動する係合子を左右に移動することにより、ハンドル30の回転操作にともなって、釣糸をスプール20の胴部20b上に均等に巻き取ることができる。
【0014】
そして、左フレーム14bのうち、ハンドル30の反対側に位置する一側には、スプール20の過回転を防止する磁気制動装置(ブレーキ装置)54を配置してある。
この磁気制動装置54は、スプール20と一体回転するように取り付けた導電体56を備える。図4に示すように、本実施形態の導電体56は、スプール軸26に強固に固定されるボス部56aと、このボス部56aから半径方向外方に延びるディスク状部56bと、このディスク状部56bの外周縁部からハンドル30と反対側に延びる円筒状部56cとを有し、例えばアルミニウムあるいは銅等の非磁性の導電性材料で形成される。
円筒状部56cは、後述する内側リング磁石68および外側リング磁石70とほぼ等しい軸方向寸法を有し、その全体がこれらの磁石68,70間の環状間隙72内に挿入されている。このため、円筒状部56cは、これらのリング磁石68,70の側面側から漏れ出る磁束の範囲内に配置されている。これらの円筒状の導電体56は、非磁性の導電性材料で形成されているので、これらの磁束内を移動するときに、渦電流が誘導される。
【0015】
一方、この導電体56に対向する左フレーム14bの外側には、左側板16bが例えば複数本のねじで強固に固定される。左側板16bは、図2に示す方向から視認できる範囲に規定される略円盤状の外表面OSと、図4に示すように、この外表面OSの外周面に連続的に形成された略筒状の筒状面CSとを有する。なお、外表面OSは、左側板16bの面取りされた縁部を含む。
【0016】
図3および図4に示すように、左フレーム14bの外側には、例えばビス、螺合あるいは嵌合等の手段により、受部材(セットプレート)58と、左側板16bとが取り付けられている。そして、左側板16bは、左フレーム14bとの間に空間を有し、その空間内に受部材58およびスプール制動力調整部80が配設されている。
図4に示すように、受部材58は、スプール軸26および軸受28bを収容する中央開口60と同心状に、スプール軸26側から小径部62aと大径部62bとを順に形成した支持台部62を有する。
【0017】
小径部62aの外周部には、磁石ホルダ66を収容する環状溝64を形成してある。磁石ホルダ66は環状溝64に対して摺動可能である。この磁石ホルダ66の外周には、内側リング磁石68を固定してある。左フレーム14bには、内側リング磁石68に対向した外側リング磁石70が固定されている。
なお、内側リング磁石68は磁石ホルダ66が環状溝64に対して摺動することにより外側リング磁石70に対して回動可能である。このため、磁石ホルダ66を支持台部62の小径部62aに対して摺動させることにより磁界を無段階で変化させることができる。
【0018】
受部材58は、リール10の前側で左フレーム14bに対して遠位側(左側板16b側)に延びる腕部63を有する。この腕部63は、左フレーム14bおよび左側板16bとの間のスプール制動力調整部80の後述する回動操作部(操作部)86を左側板16bの外表面OSから離すスペーサとして機能する。さらに、腕部63は、図2に示す回動操作部86の動作範囲を規定させることも可能である。
【0019】
受部材58と左フレーム14bとの間には、それぞれ磁石ホルダ66から延出された第1延出部76(図3参照)及び第2延出部(連動部材)78(図4参照)が配設されている。図2に示すように、第1延出部76及び第2延出部78はそれぞれ磁石ホルダ66から真っ直ぐに延出されていることが好ましい。第1延出部76と第2延出部78とは例えば略90度から略180度(好ましくは略120度)程度の角度分だけ離れた位置にある。このため、第1の延出部76(後述する回動操作部86)及び第2延出部78(後述する指示部88)は常に等角度だけ離れた状態で連動して動く。第1延出部76の下側には、スプール制動力調整部80の回動操作部86が形成されている。回動操作部86は左フレーム14b及び左側板16bの下側領域に形成された筒状面CSの周方向の空間(凹部)内を移動可能に、左フレーム14b及び左側板16bの下側に突出(露出)している。そして、回動操作部86は、ハンドル30に対して反対側の左側板16bの下部に、左側板16bの外表面OSよりもハンドル30に近接する側に設けられている。左側板16bの下面(最下面)に対する回動操作部86の突出量Lは例えば0mmよりも大きく、10mm以下であることが好ましいが、回動操作部86を操作できるのであれば、後述する第2の実施の形態のスプール制動力調整部(別の操作部、第2の操作部)172のように、左フレーム14b及び左側板16bの外周面OSに対して引き込んだ状態であっても良い。すなわち、回動操作部86は左フレーム14b及び左側板16bの下側で操作可能であれば良い。
【0020】
そして、回動操作部86を左フレーム14bに対して例えば図2中のP方向に回動させると、第1延出部76は左フレーム14bの押圧受部15a,15bでその力を受けながらスプール軸26の軸回りに回動するので、磁石ホルダ66がR方向に回動する。すなわち、内側リング磁石68が固定された外側リング磁石70に対して回動し、内側リング磁石68に対する外側リング磁石70の相対位置が変化する。これにより、導電体56の円筒状部56cを配置した内側リング磁石68と外側リング磁石70との間に形成される環状間隙72の磁界の強さを、例えば制動力を全く形成しないゼロ制動の状態から、最大制動力を形成する全制動の状態まで無段階的に変化させることができる。
【0021】
図1(B)、図2及び図4に示すように、左側板16bの外表面OSには第2延出部78の現在位置(回動位置)を確認するために外表面OSを貫通した窓部(認識手段、連動部材認識部)Wが形成されている。窓部Wは左側板16bの上下方向の半分よりも上側に形成されていることが好ましい。窓部Wは例えば扇子の扇面(地紙)のような形状に開口されている。窓部Wには例えばポリカーボネート、PET、PMMA等の透明なプラスチック材等が嵌め込まれて左側板16b内にゴミや海水等の浸入を防止するようにしても良いし、図4に示すように何も存在しない、いわゆる素通しの状態であっても良い。なお、窓部Wのうち、左側板16bの外表面OSの面取りされた縁部に近接する側には、第2延出部78の位置、すなわち、制動装置54の制動状態を視覚的に容易に認識できるようにする目盛り(連動部材認識部)SMが付されている。目盛りSMは、制動装置54によりスプール20の制動力を増す方向を「強」又は「大」、制動力を小さくする方向を「弱」又は「小」として表示したり、用途(例えばロングキャストをする際に用いる側等)を表示するなど、種々の表示で第2延出部78(指示部88)の位置を容易に認識させることができる。なお、目盛りSMは図4中では外表面OSに対して凹状に形成しているが、凸状であることも好適であるし、凹状及び凸状を組み合わせても良い。また、目盛りSMは印刷等、外表面OSに対して凹凸がない状態であっても良い。
なお、第2延出部78のうち、磁石ホルダ66から最も離れた遠位端部には、窓部Wを通して容易に認識できる形状を有していたり、色付けされたりして目盛りSMに対する位置を容易に認識できる指示部(認識手段)88が形成されている。すなわち、指示部88は例えば一般的な時計の針のように、目盛りSMに対する指示針(ポインタ)の役割を果たす。
【0022】
回動操作部86を左フレーム14bに対して例えば図2中のP方向に回動させると、第1延出部76が連動して回動して磁石ホルダ66がR方向に回動する。このため、第2延出部78が磁石ホルダ66に連動して回動する。そして、第2延出部78の回動によって、指示部88も回動する。なお、回動操作部86は所定の範囲内でのみ回動するので、指示部88も所定の範囲内でのみ回動する。
【0023】
図1(A)に示すように、釣り人が例えば釣竿8及びリール10を左手LHで握持保持し、右手でハンドル30を操作する場合、左手LHの人差し指LFを釣竿8の下側にあてがい、人差し指LFの付根から親指(図示せず)の付根にかけての領域LThを左側板16bの外表面OSにあてがって握持保持する。図1(B)に示すように、親指LTはリール本体12の上側にあてがう。例えば、図1(A)に示すように、左側板16bの外表面OSの下部領域と釣竿8の下側(釣竿8の外周が円形であると仮定したときの接線に相当する位置)とを結ぶ線分LSを仮想する。この線分LSは回動操作部86を横切っておらず、人差し指LFの指腹とも回動操作部86の近傍で交差していない。このため、人差し指LFの指腹は回動操作部86に対して離れた位置にある。すなわち、回動操作部86に対して左手LHの全体が離れた位置にある。したがって、左手LHが回動操作部86に当たることが防止(触れ難く形成)されているので、回動操作部86を誤操作するのを防止できる。また、左手LHの掌が当たる左側板16bの外表面OSには突起物(凸状の目盛りSMは除く)がないので、釣竿8及びリール10を左手LHで握持保持したときのフィット感を良好に維持することができる。
一方、回動操作部86を操作する場合、釣竿8から人差し指LFを離して回動操作部86にあてがうことによって操作可能である。スプール20を回転させると、導電体56には内側リング磁石68および外側リング磁石70による磁界の影響で渦電流が発生し、スプール20の回転を抑制する。
【0024】
第2の延出部78(指示部88)は第1延出部76(回動操作部86)と連動して常に等角度だけ離れた状態で動く。このため、窓部Wで指示部88の位置を認識できるので、回動操作部86の位置を認識できる。したがって、回動操作部86がどの位置にあるのかを認識でき、制動装置54の制動力を知ることができる。そして、魚釣りを実際にしている状態で回動操作部86の位置、すなわち、制動装置54の制動力を確認する場合、手首を大きく動かしたり釣り人自身の顔を大きく動かして回動操作部86の位置を視認しなくても、左側板16bの外表面OSに形成された窓部Wから第2延出部78の指示部88の位置を確認することによって制動装置54の制動力を確認できる。このとき、回動操作部86の位置を目視確認するよりも、窓部Wを通して指示部88の位置を目視確認する方が釣竿8及びリール10の移動量や釣り人自身の顔の移動量を小さくできる。
したがって、回動操作部86の位置を目視確認する場合、釣竿8及びリール10を大きく動かすことが必要となるが、窓部Wを通して指示部88を目視観察できるので、釣竿8及びリール10の移動量、釣り人の顔の移動量を大きく減少させることができる。このため、例えばルアー釣りでルアーを泳がせるために釣糸を巻き取っている状態で制動装置54の制動状態を目視確認する場合に、釣竿8及びリール10の移動量や釣り人の顔の移動量を小さくでき、意図せず釣竿8の穂先の位置を急激に大きく変えてしまうなど、ルアーの泳ぎに影響を与えるのを防止できる。
【0025】
また、図4に示す指示部88は左側板16bの外表面OSに対して僅かに右側板16a側の位置にあり、左手の指腹等で触ることができる。このため、窓部Wに対する指示部88の位置を釣り人が覚えておけば指示部88を目視観察する必要はなく、指示部88の手触り(触覚)だけで指示部88の位置、すなわち、回動操作部86の位置を認識することができる。したがって、制動装置54が発揮する制動力を窓部Wを通して指示部88を触るだけで認識できる。この場合、左手LHの親指や人差し指等で窓部Wを通して指示部88に触る際、指の位置を変更するだけで良いので、釣竿8及びリール10の移動量や釣り人の顔の移動量をゼロ又は略ゼロにすることができる。したがって、制動装置54の制動状態を確認するのに実際の釣りに影響を与えるのを防止できる。
【0026】
なお、指示部88は図4中の上下方向の幅は一定であるが、窓部Wは左側板16bの外表面OSに近接する側の開口量が左側板16bの裏面IS側の開口量に比べて大きい。このため、左側板16bの外表面OSに近接する側の方が裏面IS側に比べて指示部88の縁部と窓部Wとの間が大きいので、指示部88に指腹を当てる際に容易に当てることができる。一方、指示部88と窓部Wとの間は左側板16bの外表面OSから裏面ISに向かうにつれて狭くなるので、指示部88と窓部Wとの間からゴミが左側板16bの内部に侵入するのを抑制できる。
【0027】
指示部88には滑り止め等の加工が施されていることが好ましい。また、第2延出部78の厚さ等を適宜に設定したり、剛性を有する材料を用いることが好ましい。そうすると、指示部88に左手の指の腹を押し当てて指示部88の位置、すなわち、回動操作部86の位置を変化させることができる。このように、指示部88を左手LHの指腹で触れることができる場合、第1延出部76の回転操作部86と、第2延出部78の指示部88とのいずれを操作しても、制動装置54の制動状態を適宜に設定できる。
【0028】
以上説明したように、回転操作部86によって調整される制動装置54の制動状態をリール本体12を握持保持した釣人の視覚又は触覚(視覚及び触覚の少なくとも一方)により認識させる認識手段(窓部W、指示部88)を左側板16bに設けた。このため、釣竿8及びリール10の移動量や釣り人の顔の移動量を減少(ゼロを含む)させた状態で制動装置54の制動状態を確認できるので、特にルアー釣りの場合など、実際の釣りを邪魔せずに、必要な場合に制動装置54の制動状態の調整を容易に行うことができる。
【0029】
このリール10をリール取付脚部18を介して釣竿8に取り付けた釣り具を用いて魚釣りを実際に行う場合の一連の動作について簡単に説明する。(1)ハンドル30を操作して釣糸を巻き取るとともに、左手LHでリール10を保持しつつ人差し指LFで回動操作部86を操作し、次キャスティング時の調整を行う。(2)そして、釣糸の巻取りを完了する。(3)釣竿8とリール10を左手LHから右手RHに持ち替えて、右手RHで釣竿8とリール10を持つ。(4)このように持った状態でキャスティングする。
すなわち、この実施の形態に係る釣り具を用いると、釣竿8を操作しながら、又は、リール10のハンドル30を操作しながら人差し指LF一本でスプール20の制動調整を行うことができる。このとき、窓部Wに対する指示部88の位置を目視観察することもでき、また、手触りで指示部88の位置を認識して制動装置54の状態を認識することもできる。したがって、右手RHで釣竿8とリール10を持った後に左手LHで回動操作部86を調整する(スプール20の制動調整を行う)手間を省くことができる。このため、一連の動作のサイクルを短縮でき、一定時間内での投入回数を多くすることができるので、魚釣りのチャンスを逃し難い。そして、回動操作部86を操作するのに釣竿8を持ち替えたりする手間がないので、魚釣りをしながら次の投入プランに合わせてスプール20の制動力を調整できる。
【0030】
その一方、図1に示すように、左手LHで釣竿8とリール10を保持している際に、回動操作部86と左手LHとの間には空間が形成されるので、回動操作部86に左手LHを当てるのを防止でき、意図せず回動操作部86を操作する誤操作を防止できる。また、リール10を左手LHで保持した状態で、左側板16bの外表面OSには突起物がないので、掌に喰い込むことがなく、握持保持性が良く、必要な場合に人差し指LFを動かして回動操作部86の一部に人差し指LFを掛けることによって、容易に回動操作部86を操作できる。また、手指が回動操作部86に強く当たることによる誤操作も発生し難い。
【0031】
なお、この実施形態では、第1延出部76に連動して動く第2延出部78を左側板16bの外表面OSに形成した窓部Wから観察する例について説明したが、左側板16bの筒状面CSに窓部Wが形成されていても良いし、外表面OS及び筒状面CSの両者にまたがって窓部Wが形成されていることも好適である。これらの場合、窓部Wが左手の親指が当たる位置よりも前方側にあれば、握持しているリール10の手が視認の妨げになり難く、かつ、窓部Wがリール10の操作の妨げになり難い。また、窓部Wは同様の理由で図1(B)及び図2に示すようにリール10を配置したときに左側板16bの上下方向の半分より上側に形成されることが好ましい。そうすると、指示部88を目視観察する場合に釣り人自身の顔を動かしたり、釣竿8及びリール10を動かす量を減らすことができる。
【0032】
また、この実施形態では磁石ホルダ66から第2延出部78を延出させた例について説明したが、例えば磁石ホルダ66や第1延出部76の回転量や位置を認識できる、例えば太陽光発電等により機能するエンコーダや位置センサ等を用いれば、太陽光発電等による液晶表示や有機EL、LED等の発光による表示(光表示)等によっても制動装置54の状態を視覚的に認識できる。この場合、その表示(有機EL、LED等の発光による表示)をリール10の上側から観察できる位置(リール本体12)に配置すれば、視覚的に容易に制動装置54の状態を認識できる。また、視覚的だけでなく、上述したように、左側板16bに触覚的に制動装置54の状態を認識させるようにすること、すなわち視覚的及び触覚的に認識させることの両者を組み合わせて配置することも好適であるし、一方だけ配置しても良い。
【0033】
次に、第2の実施の形態について図5から図15を用いて説明する。この実施の形態は第1の実施の形態の変形例であって、第1の実施の形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。すなわち、第2の実施の形態のリール10は、第1の実施の形態で説明したリール10の構造を適宜に有する。
図5(A)及び図5(B)に示すように、この実施の形態においても、左手LHで釣竿8及び魚釣用リール10を保持し、右手RHでハンドル30を操作する場合について説明する。
【0034】
図5(A)及び図5(B)に示すリール本体12の左右一対のフレーム14a,114bの上側であって、側板16a,116bの間にはサムレスト119が、例えばビス、螺合あるいは嵌合等の手段を適宜に組み合わせて取り付けられている。この実施形態では、サムレスト119の外観はスプール20に巻回された釣糸に親指LTをかけてサミング操作を行うためにリール10の後側が開いた略U字状(図5(A)参照)である。
【0035】
図6および図7に示すように、この実施の形態ではスプール20の制動力の調整を行う第1および第2の操作機構(スプール制動力調整部)110,112が左フレーム114bと左側板116bとサムレスト119の左側縁部119aとの間に配設された例について説明する。第1の操作機構110の操作部(第1の操作部)124を操作すると、スプール20に対する制動効果を大きく変化させて基準制動力を設定でき、第2の操作機構112のスプール制動力調整部(別の操作部、第2の操作部)172を操作すると、第1の操作機構110の操作部124の操作による基準制動力(制動効果)を微調整できる。
【0036】
図9(B)に示すように、左フレーム114bの平面部115には、左側板116bの後述する着脱ネジ(係合部)118が螺合するネジ穴(係合部)115aが形成されている。このネジ穴115aは左フレーム114bの下側の下側フランジ部115bの前方側縁部に近接した位置に形成されている。
【0037】
図9(A)に示す左側板116bは、左フレーム114bを覆うとともに、左フレーム114bから左方に突出した第1および第2の操作機構110,112を覆う空間を有するカバー部材として形成されている。左側板116bは、左手LHの掌を受ける外面部117と、上側縁部ULと、下側縁部LLとを一体的に有する。
外面部117は、左フレーム114bに対して左側板116bを装着した状態で外側となり左手LHの掌を受けるように膨出した表面部(外壁部)OSと、左フレーム114bに対向するように内側となり第1および第2の操作機構110,112を収容する凹状の裏面部(内壁部)IS(図8参照)とを有する。この実施形態における左側板116bの表面部OSは左手LHの掌の母指球周辺に当たる位置が滑らかな膨らみを持った状態に形成されている。左側板116bの裏面部ISは、左フレーム114bおよび左フレーム114bに装着された第1および第2の操作機構110,112との間に空間を形成する。なお、上側縁部ULおよび下側縁部LLは表面部OSに滑らかに連続して形成されている。
上側縁部ULは、この実施形態ではサムレスト119の左側縁部119aに嵌合する嵌合部として形成され、例えばその後方側で外方に向かって突出する突起部(爪部)ULaを有する。そして、上側縁部ULはその突起部ULaによってサムレスト119の左側縁部119aの下側の所定の位置に嵌合される。左側板116bの上側縁部ULとサムレスト119の左側縁部119aとが嵌合された場合、サムレスト119の左側縁部119aと左側板116bの表面部OSとの間の隙間は小さく、サムレスト119の左側縁部119aと左側板116bの表面部OSとの間の境界部分は、指等に対する引っ掛かりなく滑らかに処理されている。
【0038】
下側縁部LLのうちスプール軸26の延長線上よりも前側には、図9(A)に示すように、着脱ネジ118が装着されている。なお、着脱ネジ118の頭部118aの一部は、下側縁部LLの前側の外表面に対して突出していても、前側の外表面に対して引き込まれた状態にあっても、操作可能であれば良い。そして、着脱ネジ118を左フレーム114bのネジ穴115aに螺合可能である。着脱ネジ118のネジ部(図示せず)および左フレーム114bのネジ穴115aは左ネジとして形成されていることが好ましい。これは、釣竿8やリール10の操作の際に頭部118aに指が当たっても着脱ネジ118が締まる方向に力を加えるようにするためである。
なお、下側縁部LLには、第1および第2の操作機構110,112の後述する操作突起160が操作可能に配設される凹部(操作開口部)120(図15(A)参照)が形成されている。
【0039】
また、外表面OSはスプール軸26を延長した位置周辺(第1の操作部124の周辺)から第2の操作部172の周辺が最も膨らんでいる。例えば本実施形態では図9(A)に示す左側板116bの外表面OSのうち、一点鎖線Lで示す部分がその上下よりも左フレーム14bに対して最も突き出した部分(領域)である。外面部117には回動操作部(第1の操作部)124の環状部142を配置する第1の凹部(認識手段、連動部材認識部、窓部)186と、第2の操作部172を操作可能に配置する第2の凹部(開口部、窓部)188とが形成され、下側面LLには回動操作部124の操作突起(第1の操作部)160を操作可能に配置する図15(A)に示す開口部(凹部)120が形成されている。
【0040】
図8に示すように、第1操作機構110は、セットプレート122と、回動操作部(第1の操作部)124と、内側磁石ホルダ126と、外側磁石ホルダ128とを有する。
セットプレート122は、左フレーム114bに対してネジ留めや嵌合等の手段により固定されている。セットプレート122は、スプール軸26および軸受28bを収容する中央開口132と同心状に、スプール軸26側から小径部134aと大径部134bとを順に形成した支持台部134を有する。
小径部134aの外周部には、内側磁石ホルダ126を収容する環状溝136を形成してある。内側磁石ホルダ126は環状溝136に対して摺動可能である。この内側磁石ホルダ126の外周には、第1の実施の形態で説明した内側リング磁石68を固定してある。
大径部134bの内周部には、外側磁石ホルダ128を収容する環状溝138を形成してある。外側磁石ホルダ128は環状溝138に対して摺動可能である。この外側磁石ホルダ128の内周には、第1の実施の形態で説明した外側リング磁石70を固定してある。
すなわち、セットプレート122のうち、スプール20側には、内側磁石ホルダ126および外側磁石ホルダ128が配設されている。そして、内側磁石ホルダ126は外側磁石ホルダ128に対して回動可能である。また、内側磁石ホルダ126は外側磁石ホルダ128とともにスプール軸26の軸方向への移動は可能であるが、単独での移動は規制されている。
【0041】
図9(B)には左フレーム114bに対して図9(A)に示す左側板116bを取り外した状態の第1の操作機構110のセットプレート122および回動操作部124を示す。セットプレート122の外側には、図10(A)から図10(D)に示す回動操作部124が回動可能に配設されている。図11はセットプレート122から回動操作部124を取り外した状態を示す。図12には、図11中のXII−XII線に沿った方向から観察した状態を示す概略図を示す。
【0042】
回動操作部124は、図10(A)から図10(D)に示すように、略環状に形成された環状部142と、環状部142の縁部から例えば環状部142の中心軸に略平行に延出された延出部144a,144bと、延出部144a,144bから環状部142の径方向外方に向かって突出したフランジ部146a,146bとを有する。
環状部142には適宜の間隔ごとに目盛り(認識手段)142aが付されている。これら目盛り142aは環状部142に対して突出していたり、着色により目立つように形成されている。これら目盛り142aは、後述するように、左側板116bの第1の凹部(認識手段)186を通して視認可能である。このとき、目盛り142aは図5(A)に示す上面からも視認可能であるし、図5(B)に示す左側面からも視認可能である。
なお、環状部142の目盛り142aを親指LT等の指腹で操作する場合、目盛り142aが滑り止めとして機能するように、凸状等に形成されていることが好ましい。
【0043】
延出部144a,144bは、環状部142の中心軸に対して対向する位置に形成されている。フランジ部146a,146bは、延出部144a,144bのうち環状部142に対する遠位の位置から環状部142の中心軸に対して離れる方向に形成されている。
一方、セットプレート122には回動操作部124のフランジ部146a,146bを回動可能に保持する1対の保持部150a,150b(図9、図11、図13、図14参照)が形成され、回動操作部124を所定の範囲内で回動可能としている。なお、回動操作部124の中心軸はスプール軸26の中心軸と略一致する。また、回動操作部124はスプール軸26の中心軸回りに回動するが、セットプレート122の1対の保持部150a,150bによって保持されているので、スプール軸26の軸方向には移動しない。
【0044】
図10(A)から図10(D)に示すように、1対の延出部144a,144bには、環状部142の中心軸に向かって突出する内側突状部148a,148bが形成されている。セットプレート122の大径部134bの環状溝138に摺動可能に配設された外側磁石ホルダ128には、図12に示すように、内側突状部148a,148bが係合される係合溝152が形成されている。この係合溝152は、スプール軸26と平行に形成された軸方向溝154と、軸方向溝154に連続し例えば略螺旋状に形成された螺旋状溝156とを有する。このうち、軸方向溝154は内側突状部148a,148bを外側磁石ホルダ128に着脱する際に用いられる。
【0045】
そして、回動操作部124の内側突状部148a,148bが外側磁石ホルダ128の係合溝152に係合された状態で、回動操作部124を回動させると、回動操作部124の内側突状部148a,148bは外側磁石ホルダ128の係合溝152の螺旋状溝156をスプール軸26の軸方向に押圧する。すなわち、外側磁石ホルダ128がスプール軸26の軸方向に沿って移動する。図8および図14に示すように、外側磁石ホルダ128と内側磁石ホルダ126とは互いにスプール軸26の軸方向に一体に動く構成となっているため、外側磁石ホルダ128とともに内側磁石ホルダ126もスプール軸26の軸方向に沿って移動する。
【0046】
図10(A)から図10(C)に示すように、回動操作部124は、環状部142から延出された突出部160aを介して操作突起160を有する。図6および図9に示すように、この操作突起160は、リール10の左側板116bの下側面LLから突出するように形成されている。なお、図示しないが、左側板116bの下側面LLには、操作突起160の回動量を所定の範囲内に規制するように開口部が規定されている。
なお、操作突起160は、左側板116bの下側面LLから突出する突出量は小さく、第1の実施の形態で説明したように、釣竿8および本実施形態に係るリール10を握持保持したときに左手LHが当たらない位置にあるように設定されている。
そして、図13(A)から図13(C)に示すように、セットプレート122に装着された回動操作部124の操作突起160を操作し、操作突起160に連動して動く環状部(連動部材)142すなわち回動操作部124をセットプレート122に対して回動させると、図14(A)から図14(C)に示すように、導電体56の円筒状部56cが内側磁石68と外側磁石70との間の環状間隙72に入る量が変更される。なお、図13(A)に示す状態は図14(A)に、図13(B)に示す状態は図14(B)に、図13(C)に示す状態は図14(C)にそれぞれ対応する。
【0047】
この実施の形態では、図12に示すように、外側磁石ホルダ128の係合溝152の螺旋状溝156は3つの段部156a,156b,156cを連続して有する。第1段部156aと第2段部156bとの間に、第2段部156bと第3段部156cとの間には共に段差(滑らかに連続していない部分)があり、回動操作部124の内側突状部148a,148bが第1段部156aと第2段部156bとの間や第2段部156bと第3段部156cとの間を移動する際にクリック感が得られる。
第1段部156aは軸方向溝154に近接する位置にあり、第1段部156aに内側突状部148a,148bが係合されているときには、図14(A)に示すように、内側磁石68および外側磁石70に対する導電体56のディスク状部56bの位置(距離L1)は最も遠い。このため、導電体56の円筒状部56cが磁石68,70の間に配設されている量は小さい。
第2段部156bは、第1段部156aと螺旋状溝156の最も奥側の第3段部156cとの間にあり、図14(B)に示すように、第1段部156aに内側突状部148a,148bが係合されている状態よりも内側磁石68および外側磁石70に対する導電体56のディスク状部56bの位置は近い(距離L2<L1)。このため、導電体56の円筒状部56cが磁石68,70の間に配設されている量は、第1段部156aに内側突状部148a,148bが係合されている状態よりも大きい。
第3段部156cは螺旋状溝156の最も奥側にあり、図14(C)に示すように、第2段部156bに内側突状部148a,148bが係合されている状態よりも内側磁石68および外側磁石70に対する導電体56のディスク状部56bの位置は近い(距離L3<L2<L1)。このため、導電体56の円筒状部56cが磁石68,70の間に配設されている量は、第2段部156bに内側突状部148a,148bが係合されている状態よりも大きい。
【0048】
すなわち、操作突起160を図13(A)に示す位置から図13(C)に示す位置に向かって回動させると、図14(A)から図14(C)に示すように、円筒状部56cが環状間隙72に入る量が次第に大きくなる。このため、図13(C)および図14(C)に示す位置では、磁石68,70により大きな磁力を受ける。一方、図13(A)および図14(A)に示すように、円筒状部56cが環状間隙72に入る量が小さくなると、磁石68,70により受ける磁力が小さくなる。このように、回動操作部124を操作することによって、スプール20の基準制動力を設定することができる。その基準制動力(抑制力)は第1段部156aに内側突状部148a,148bがある状態から、第2段部156b、第3段部156cと奥側に移動するにつれて大きくなる。
そして、スプール20を回転させると、導電体56には内側リング磁石68および外側リング磁石70による磁界の影響で渦電流が発生するが、導電体56の円筒状部56cが磁石68,70の間に配設されている量(内側突状部148a,148bが段部156a,156b,156cに係合されている位置)に応じてスプール20の回転抑制力を規定する。
【0049】
図9(A)に示すように、左側板116bの第1の凹部186は、左側板116bの上方で、上下方向よりも前後方向に長く形成されている。なお、第1の凹部186は第2の凹部188の後方に形成されている。左フレーム114bに配設された回動操作部124の環状部142は第1の凹部186を通してその一部が視認できる状態にある。すなわち、環状部142の目盛り142aは第1の凹部186を通して視認可能である。そして、回動操作部124の環状部142は、図15(A)中に破線で示す左側板116bの外表面OSの延長面Sから外方に突出させることなく、第1の凹部186の内側に配置した状態で外部に露出させている。
図9(A)及び図15(A)に示すように、左側板116bの第1の凹部186の縁部には、左手LHの親指LTを保護したり、左側板116bの第1の凹部186から左フレーム114bとの間にゴミが浸入するのを防止するため、例えば環状の保護部材162が固定されている。この保護部材162は硬度が低く、摩擦係数が小さい材料としてPTFE、ナイロン、ABS樹脂、アセタール樹脂(POM)などの樹脂材が用いられることが好ましい。
第1の凹部186の下側の縁部に配設された保護部材162は、親指LTを置く部分として第1の凹部186の下側縁部から外部に突出した状態に固定されている。第1の凹部186の上側の縁部に配設された保護部材162は、ゴミの侵入を防止するように左側板116bの内周面から回動操作部124に向かって延出されている。
【0050】
図5(A)に示すように、操作部124の環状部142を上側から見た場合、環状部142の目盛り142aの一部が第1の凹部186から突出している。このため、左側板116の外表面OSを上側に向かって傾けなくても回動操作部124の環状部142の状態を確認することができる。したがって、回動操作部124の状態を確認したい場合、釣りの際の釣竿8及びリール10の移動量、顔の移動量を抑制した状態で視認により確認することができる。
このように、リール10の上側から観察したときに回動操作部124の環状部142の目盛り142aを視認できるのは、左側板116bの外表面OSに対する法線が水平状態よりも上向きにある状態である。このような状態(条件)を満たした上で左側板116bに開口186を形成した場合、外表面OSは上側よりも下側の方が左側に出っ張る。このため、図15(A)に示すように、目盛り142aを突起162aに隣接する位置に配置すれば、目盛り142aを上側から観察できる。
なお、回動操作部124の環状部142を親指LTの指腹に触れるように配置しても良いし、触れないように配置しても良い。触れるように配置する場合、指の感覚で第1の操作機構110の状態(基準制動力)を容易に認識できる。この場合、環状部142を操作部として用いても良い。この状態でスプール20の基準制動力を調整する場合、操作突起160を操作しても良いし、環状部142を操作しても良い。
【0051】
図5(B)及び図6に示す回動操作部124の環状部142の目盛り142aには、例えば数字等が付されている。一方、保護部材162には突起162aが形成されている。突起162aは図9(A)に示すように保護部材162のうちの下側に形成され、環状部142の目盛り142aの数値がいくつであるかを表わすポインタとして機能する。このとき、図15(A)に示すように、回動操作部124の環状部142の目盛り142aと保護部材162の突起162aとは近接した位置にあるので、突起162a及び環状部142の目盛り142aは見る角度によらず、突起162aが指し示す位置を特定できる。
【0052】
図8及び図15(B)に示すように、第2の操作機構112は、スプール制動力調整部(第2の操作部)172と、第1の操作機構110の内側磁石ホルダ126から延出された延出部174と、この延出部174の遠位端に固定された連動歯車176とを有する。延出部174と連動歯車176は一体でも良いが、別体とすると組み立て性が良いので別体であることが好ましい。
スプール制動力調整部172は、セットプレート122及び左フレーム114bに対して螺合固定可能な螺合固定部182と、螺合固定部182の回りを回動可能な回動操作部184とを備えている。回動操作部184は螺合固定部182によってセットプレート122に対して適度に押圧され、適当な力を加えないと回動操作部184が回動しないようになっている。
【0053】
回動操作部184は外周部184cの縁部184dに少なくとも凹凸による滑り止めKが形成された例えば円形ダイヤル形状を有する。このような円形ダイヤル形状を有すると、図15(B)に示す親指LTの腹部が外周部184cと側面184eの2面に跨る縁部184dへの押圧となって接触面積を大きく取れ、かつ、親指LTへの圧力を広範囲に分散できる。このため、左手LHの親指LTが痛くなり難く、回動操作部184の操作もし易い。また、親指LTを回動操作部184に押し当てた際に凹凸部に指の腹が喰い込むので、操作の際の滑りを防止できる。
なお、凹凸による滑り止めKは回動操作部184の外周部184cの全体や側面184eの全体に形成しても良い。また、回動操作部184の径方向内方の側面184eに目盛り184fや、回動操作部184に対向する保護部材190に指標部190a等が形成されている。なお、保護部材190は上述した保護部材162と一体であっても良い。
【0054】
図15(B)に示すように、回動操作部184の縁部184dの近傍の側面184eには、例えば環状に溝184aが形成されている。このため、指に水分が付着している場合に、その水分を溝184aに逃がすことができ、回動操作部184を滑り難くすることができる。特に、左側板116bにより形成される第2の凹部188内に親指LTを押し付けるので、この回動操作部184への親指LTへの押し付け力は小さくなり、これらの滑り防止は効果的である。なお、このような形状、機能をそのまま上述した環状部142の目盛り142aに用いることも好ましい。
また、回動操作部184には、セットプレート122に対して当接するときにクリック音を発生するリーフスプリング192が配設されている。このため、回動操作部184を操作すると、クリック音が発生し、調整位置がズレ難くなる。
そして、スプール制動力調整部80の回動操作部184の外周には回動操作部側歯車184bが形成され、これが連動歯車176に噛み合わせられている。このため、回動操作部184を左フレーム114bに対して例えば図6中のP方向に回動させると、回動操作部側歯車184bを介して連動歯車176をQ方向に回動させる。そして、連動歯車176に連結された第1延出部76を介して内側磁石ホルダ66が外側磁石ホルダ128に対してR方向に回動する。このため、内側リング磁石68に対する外側リング磁石70の相対位置が変化する。これにより、導電体56の円筒状部56cを配置した内側リング磁石68と外側リング磁石70との間に形成される環状間隙72の磁界の強さを微調整することができる。
【0055】
したがって、第1の操作機構110と第2の操作機構112とを組み合わせることによって、スプール20に対して所望の制動力を付与することができる。
【0056】
図7および図8に示すように、左側板116bは、左フレーム114bを覆うとともに、左フレーム114bから左方に突出した第1および第2の操作機構110,112を覆う空間を有するカバーとして形成されている。この左側板116bには、第1の操作機構110の回動操作部124の環状部142の一部を視認可能な第1の凹部186と、第2の操作機構112の回動操作部184の一部を操作可能なように左手LHの親指LTを押し当てるための第2の凹部(開口部)188とが形成されている。
【0057】
図6に示すように、左側板116bの第2の凹部188は、左側板116bの上方かつ前方側(第1の凹部186の前方側)で、上下方向よりも前後方向に長く形成されている。ここでは、第2の凹部188は外観が略平行四辺形に形成されている。左フレーム114bに配設された回動操作部184は第2の凹部188を通してその外周部および側部の一部(ここでは図5および図6に示すように回動操作部184の上側)が視認できる状態にある。そして、回動操作部184は、図15(B)中に破線で示す左側板116bの外表面の延長面Sから外方に突出させることなく、第2の凹部188の内側に配置した状態で外部に露出させている。
図15(B)中に破線で示す左側板116bの外表面の延長面Sから回動操作部184までの距離は、例えば0mmから5mm程度で、0.5mmから3.0mm程度であればなお好ましい。すなわち、回動操作部184は左側板116bの外表面OSに対して突出しないように露出されている。
【0058】
なお、延長面Sの形状は、左側板116bの第2の凹部188の周囲の形状によって変わる。第2の凹部188の周囲がこの実施の形態のように曲面の場合、延長面Sも曲面であり、第2の凹部188の周囲が平面の場合、延長面Sも平面である。すなわち、図15(B)中、第2の凹部188の周囲が曲面であるから、延長面Sを示す破線は曲線である。
【0059】
そして、左側板116bの外表面の延長面Sから回動操作部184が外方に突出しないことの判断は、リール取付脚部18を水平に配置したときに、第2の凹部188の水平方向および上下方向の短寸法方向で判断するものとする。この実施の形態では図6に示す第2の凹部188の上下方向が前後方向に比べて短寸法方向であるため、延長面S上に図示しない基準線が第2の凹部188の上下方向に採られ、その基準線に回動操作部184が触れているか否かで突出しているか否かが判断される。なお、基準線は、第2の凹部188の周囲が曲面であるからこの実施の形態では曲線である。また、この曲面は第2の凹部188の周囲の曲率面が延長した形で定義付けられる。
【0060】
図6、図15(B)に示すように、左側板116bの第2の凹部188の縁部には、左手LHの親指LTを保護したり、左側板116bの第2の凹部188から左フレーム114bとの間にゴミが浸入するのを防止するため、例えば環状の保護部材190が固定されている。この保護部材190は硬度が低く、摩擦係数が小さい材料としてPTFE、ナイロン、ABS樹脂、アセタール樹脂(POM)などの樹脂材が用いられることが好ましい。
第2の凹部188の下側の縁部に配設された保護部材190は、親指LTを置く部分として第2の凹部188の下側縁部から外部に突出した状態に固定されている。第2の凹部188の上側の縁部に配設された保護部材190は、ゴミの侵入を防止するように左側板116bの内周面から回動操作部184に向かって延出されている。
図15(B)に示すように保護部材190の下側に親指LTを押し当てると、親指LTは下側に向けた力を掛けることとなる。このとき、親指LTが保護部材190に強く擦れるので、親指LTに負担を掛けるのを防止するため、R形状に丸められている。この保護部材190は、親指LTが強く擦れるため、未塗装、未メッキ仕上げとすることが好ましい。
【0061】
そして、釣り人はリール10を左手LHで保持した状態で左側板116bの第2の凹部188を通して回動操作部184の上側部分に親指LTを押し当てることができる。このため、上側部分に押し当てた親指LTを第2の凹部188の保護部材190に沿って前後方向に移動させると回動操作部184を回動操作可能である。そして、スプール20を回転させると、導電体56には内側リング磁石68および外側リング磁石70による磁界の影響で渦電流が発生し、スプール20の回転を抑制する。
【0062】
この実施の形態による魚釣用リール10は、左側板116bの下側面LLから第1の操作機構110の操作突起160を操作可能に露出させている。そして、操作突起160が左側板116bの下側面LLから突出する突出量は小さく、釣竿8およびリール10を握持保持したときに左手LHが当たらない位置にあるので、左手LHで釣竿8とリール10を保持した状態で、第1の操作機構110の操作突起160と左手LHとの間に隙間がある。このため、操作突起160の誤操作を防止できる。また、第2の操作機構112の回動操作部184は左側板116bの第2の凹部188の内部に配設されているので、左手LHの親指LTで回動操作部184を誤操作するのを防止できる。すなわち、リール10を握持保持する際に操作突起160および回動操作部184の両者が左手LHに接触することが防止されているので、釣竿8およびリール10を握持保持した際の違和感がなく、キャスティング操作も操作突起160および回動操作部184が邪魔になることなく支障なく安定して行える。また、実釣時や釣り場移動時に操作突起160および回動操作部184に外力が加わり難くなるので、操作突起160および回動操作部184に傷が付いたり、操作突起160および回動操作部184の回転操作性が低下したり、磁気制動装置54に支障をきたすことを防止できる。
そして、この実施の形態では、第1の操作機構110に加えて第2の操作機構112を設けているので、良好な握持保持性の維持を図りながら、釣り場の実情に適した幅広い制動力調整が可能となる。
【0063】
第2の操作機構112の回動操作部184が第2の凹部188内に配設されているので、リール10を左手LHで保持した状態で回動操作部184が掌に喰い込むことがなく、握持保持性が良く、必要な場合に親指LTを動かして回動操作部184の一部に親指LTを掛けることによって、容易に回動操作部184を操作できる。また、手指が回動操作部184に強く当たることによる誤操作も発生し難い。
また、回動操作部184に凹凸を有する滑り止めを形成することによって、回動操作部184の凹凸を親指LTに引っ掛けることができ、回動操作部184を操作しようとする際の滑りを防止できる。また、回動操作部184に溝184aが形成されていることによって、操作時の水分を溝184a内に入れることができる。このため、回動操作部184に対する親指LTの滑りをより確実に防止できる。特に、第2の凹部188内に親指LTを押し付けるので、この回動操作部184への親指LTからの押し付け力は小さくなり、これらの滑り防止は効果的である。
また、この実施形態では、第1の操作機構110の回動操作部124の環状部142の一部を左側板116bから視認可能としたことによって、視覚によって、又は視覚及び触覚によって操作突起160の位置を容易に把握することができる。同様に、第2の操作機構112の第2の操作部172の回動操作部184の一部を左側板116bから視認可能としたことによって、視覚によって、又は視覚及び触覚によって回動操作部184の状態を容易に把握することができる。
【0064】
この実施の形態では、制動装置54に2つの操作部(第1及び第2の延出部76,78)を設ける例について説明したが、1つの操作部76だけ形成されている(第2の延出部78は存在しない)ことも好適である。
なお、上述した実施形態では磁気ブレーキ装置を用いて説明したが、遠心摩擦ブレーキ装置や他のブレーキ装置を左フレーム14b,114bと左側板16b,116bとの間に配置したときにもブレーキの状態を認識できるようにすることも同様に可能である。
【0065】
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
【符号の説明】
【0066】
OS…外表面、W…窓部、SM…目盛り、12…リール本体、16b,116b…左側板、20…スプール、26…スプール軸、28a,28b…ボール軸受、30…ハンドル、54…磁気制動装置、56…導電体、56a…ボス部、56b…ディスク状部、56c…円筒状部、58…受部材、60…中央開口、62a…小径部、62b…大径部、62…支持台部、64…環状溝、66…磁石ホルダ、68…内側リング磁石、70…外側リング磁石、72…環状間隙、76…第1延出部、78…第2延出部、80…スプール制動力調整部、86,160…第1の操作部(回動操作部)、88…指示部、110…第1の操作機構、112…第2の操作機構、124…回動操作部、184…第2の操作部(回動操作部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体の側板間にスプールを回転自在に支持し、このスプールの回転を制動する制動装置の制動力を、側板に配置した操作部を介して調整可能とした魚釣用リールであって、
釣糸をスプールに巻き取るハンドルに対して反対側の側板の下部に、釣竿およびリール本体を握持保持した際に手の掌に対して離れた位置に前記操作部を配置して外部に露出させて前記操作部をリール本体を握持保持した手の指で操作可能とし、
前記操作部によって調整される制動装置の制動力を前記リール本体を握持保持した釣り人の視覚又は触覚により認識させる認識手段を前記リール本体及び前記側板の少なくとも一方に設けたことを特徴とする魚釣用リール。
【請求項2】
前記操作部には、前記操作部の操作により連動して動く連動部材が設けられ、
前記認識手段は、前記連動部材の位置を認識可能な連動部材認識部を有することを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項3】
前記連動部材認識部は、前記側板に設けられた窓部を有することを特徴とする請求項2に記載の魚釣用リール。
【請求項4】
前記連動部材は、前記窓部を通して操作可能であることを特徴とする請求項3に記載の魚釣用リール。
【請求項5】
前記操作部は、基準制動力を設定し、
前記ハンドルに対して反対側の側板には、前記基準制動力をベースに制動力を微調整する別の操作部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1に記載の魚釣用リール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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