魚釣用電動リール
【課題】釣竿とリール本体を片手で容易に把持できるとともに、その手の親指でモータ出力を調整する操作部材を巧みに操作でき、更には、操作部材の操作中や急に大きな負荷がかかっても十分な把持性を有する魚釣用電動リールを提供する。
【解決手段】本発明に係る魚釣用電動リールは、釣糸が巻回されるスプールと、リール本体5に設けられ、スプールを回転駆動する駆動モータと、駆動モータの出力を調整する操作部材30とを有する。操作部材30は、スプールのフランジ前端よりも後方側で、少なくとも左右の側板5A,5Bの一方の上部に、略前後方向に回転可能に支持されており、操作部材30の操作面30aは、その周辺の表面に対して、0.5〜12mm突出した状態で支持されている。
【解決手段】本発明に係る魚釣用電動リールは、釣糸が巻回されるスプールと、リール本体5に設けられ、スプールを回転駆動する駆動モータと、駆動モータの出力を調整する操作部材30とを有する。操作部材30は、スプールのフランジ前端よりも後方側で、少なくとも左右の側板5A,5Bの一方の上部に、略前後方向に回転可能に支持されており、操作部材30の操作面30aは、その周辺の表面に対して、0.5〜12mm突出した状態で支持されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用電動リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚釣用電動リールは、主に深場の釣りに適用させるべく、仕掛けの放出から巻き取りに至るまで、釣竿を船縁に装着された竿掛けに置いたままの状態で行えるように構成されたものが多いが、最近では、手持ち状態で操作が行えるように工夫されたものが知られている。
【0003】
例えば、魚釣用電動リールのスプールを巻き取り操作する(モータ出力を連続的に可変操作する)ための操作部材を、様々な位置に配置することが知られている。例えば、特許文献1には、リール本体の側方の前方側に、モータ出力を調整するスライドレバー式の操作部材を前後方向に移動可能に支持したもの、或いは、リール本体の後方に、モータ出力を調整する回転式の操作部材を回転可能に支持したものが開示されている。また、特許文献2には、制御ケースの上面から円板状の回転摘み(操作部材)の一部を露出させ、上方から親指を押し付けながら回転操作することで、モータ出力を連続的に可変させる構成が開示されている。さらに、特許文献3には、左側板上に、プッシュボタン式のモータ出力操作部材を設置したものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−169700号
【特許文献2】特開2003−92959号
【特許文献3】特開2001−169701号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、最近の魚釣用電動リールでは、ルアーフィッシングに用いられる魚釣用(ベイトキャスティング)リールと同様、手持ち状態で操作することが可能なタイプも望まれているが、従来のモータ出力を調整する操作部材の配置を工夫した魚釣用電動リールでは、操作性の面でさらに改良すべき余地がある。すなわち、釣竿とリール本体を把持する片手の親指での操作と把持の両面で満足できるものとはなっておらず、特に、釣竿とリール本体を把持する片手で、モータの出力調整操作をあらゆるシーン(単なる仕掛け回収のような巻き取りや、魚を誘う場合に応じた複雑(緩急)な巻き取り操作等)に適宜対応できるものとはなっていない。また、急激な魚の引きに対して把持状態が不安定になったり、親指が届いても、力を入れることができない位置に操作部材(操作部)があり、所望の巻き取り状態が得られない可能性もある。
【0006】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、釣竿とリール本体を片手で容易に把持できるとともに、その手の親指でモータ出力を調整する操作部材を巧みに操作でき、更には、操作部材の操作中や急に大きな負荷がかかっても十分な把持性を有する魚釣用電動リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用電動リールは、リール本体の左右側板間に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、前記リール本体に設けられ、スプールを回転駆動する駆動モータと、前記駆動モータの出力を調整する操作部材と、を有しており、前記操作部材は、前記スプールのフランジ前端よりも後方側で、少なくとも左右の側板の一方の上部に、略前後方向に回転可能に支持されており、前記操作部材の操作面は、その周辺の表面に対して、0.5〜12mm突出した状態で支持されていることを特徴とする。
【0008】
上記した構成の魚釣用電動リールでは、操作部材がスプールのフランジ前端よりも後方側で、少なくとも左右の側板の一方の上部に設置されているため、釣竿とリール本体を把持する片手の掌の一部が本体の側板にフィットした状態で、操作部材に親指が届き、操作した際の力を十分に伝えることができる。また、操作部材は、略前後方向に回転可能に支持されているため、露出部分を少なくしても操作領域を確保することができるとともに、把持している手の親指で回転操作した際、親指が左右にずれることがなく把持安定性が高くなる。さらに、操作部材の操作面を、その周辺の表面に対して、0.5〜12mm突出した状態で支持したことにより、突出している面積を比較的小さくして、親指の腹側で操作面とリール本体の周辺部を同時に把持することができるようになり、これにより、大きな負荷が掛かっても、親指の周辺でリール本体を直接把持した状態となり、しっかりとした把持、及び操作が行えるようになる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、釣竿とリール本体を片手で容易に把持できるとともに、その手の親指でモータ出力を調整する操作部材を巧みに操作でき、更には、操作部材の操作中や急に大きな負荷がかかっても十分な把持性を有する魚釣用電動リールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る魚釣用電動リールの平面図。
【図2】図1に示した魚釣用電動リールを左側板側から見た側面図。
【図3】図1に示した魚釣用電動リールを後方側から見た後面図。
【図4】図1に示した魚釣用電動リールの内部機構を部分的に示した平面図。
【図5】図1のA−A線に沿う要部拡大断面図。
【図6】図1に示した魚釣用電動リールの内部駆動機構を側方から見た概略図。
【図7】図1のB−B線に沿う断面図。
【図8】釣竿とともにリール本体を把持した状態で操作部材を操作する状態を示す平面図。
【図9】図8を左側板側から見た図。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る魚釣用電動リールの平面図。
【図11】図10に示した魚釣用電動リールを左側板側から見た側面図。
【図12】図10のC−C線に沿う要部拡大断面図。
【図13】図10のD−D線に沿う要部拡大断面図。
【図14】操作部材の第1の変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は中央断面図、(c)は側面図。
【図15】操作部材の第2の変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は中央断面図、(c)は側面図。
【図16】操作部材の第3の変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は中央断面図、(c)は側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る魚釣用電動リールの実施形態について説明する。
図1から図7は本発明の第1の実施形態を示す図であり、図1は平面図、図2は左側板側から見た側面図、図3は後方側から見た後面図、図4は内部機構を部分的に示した平面図、図5は図1のA−A線に沿う要部拡大断面図、図6は内部駆動機構を側方から見た概略図、そして、図7は図1のB−B線に沿う断面図である。
なお、以下の説明において、前後方向、左右方向、上下方向は、図1及び図2に記載の方向と定義する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る魚釣用電動リール1は、左右のフレーム3a,3bに左右カバー(左右サイドプレート)4a,4bを取着して構成される左右側板5A,5Bを具備したリール本体5を有している。リール本体5を構成する一方の側板(右側板5B)側には、巻取り操作される手動ハンドル6が設けられており、左右側板5A,5B間には、釣糸が巻回されるスプール7が、回転軸であるスプール軸7a(図7参照)を中心に回転可能に支持されている。また、本実施形態では、図6及び図7に示すように、スプール7の前方側における左右側板5A,5B間に駆動モータ8を保持しており、スプール7は、手動ハンドル6の巻取り操作および駆動モータ8の回転駆動によって、動力伝達機構10を介して釣糸巻取り方向に回転駆動される。
【0013】
なお、駆動モータ8については、スプール7の内部に設置する構成であっても良いが、本実施形態のように、スプール7の前方に設置することで、スプール7の糸巻き量を確保しつつ、リール本体5を可及的にコンパクト化することが可能となる。また、動力伝達機構10については、駆動モータ8の回転駆動力を減速してスプール7側に伝達する機能(減速機構102および伝達ベルト103(図4参照)などによって果たされる)、駆動モータ8が回転駆動しても手動ハンドル6を連れ回しさせない機能や手動ハンドル6の逆回転を防止する機能(ラチェット104を含む)などを備えた公知のものによって構成することが可能である。また、そのような動力伝達機構10については、左側板5A側に配設されていても良いし、右側板5B側に配設されていても良く、或いは、左右側板それぞれに振り分けて配設されていても良い。なお、図中(特に図4)、符号116は、ハンドル6に結合されたハンドル軸、符号118は、ハンドル軸116に回転可能に支持されたドライブギヤ、符号120は、ドライブギヤ118に噛合するピニオンであり、これらは前述した動力伝達機構10を構成する。また、図中、符号125は、魚釣時にスプール7から釣糸が繰り出された際にスプール7の回転にドラグ力を付与する公知のドラグ機構であり、リール本体5とハンドル6との間には、ドラグ機構125によるドラグ力の調整を行なうための星型のドラグ調整ノブ(スタードラグ)139が設けられている。
【0014】
また、スプール7の前方の左右側板5A,5B間には、スプール7に対して均等に釣糸を巻回する機能を備えた公知のレベルワインド機構142(図6および図7参照)が設置されている。さらに、リール本体5を構成する左右側板5A,5B間のスプール7の上方には、駆動モータ8を制御する制御部100(制御基板100A,100Bを有する)を収容した箱型の制御ケース15が配設されている。本実施形態の制御ケース15は、リール本体を構成する左右側板5A,5Bの表面と面一状になるように構成されており、前後方向の長さ寸法が左右方向の長さ寸法よりも長く設定されている。また、制御ケース15の後端部15aは、図5に示すように、側板を構成するフレーム(図では、左フレーム3aが示されている)に対して面一となるように設置されている。
【0015】
また、リール本体5内には、前記ピニオン120を軸方向に移動させてスプール7を釣糸巻き取り状態/フリー回転状態に切り換える公知のクラッチ機構17(図4及び図6参照)が配置されている。このクラッチ機構17は、動力伝達機構10に介在されて手動ハンドル6および駆動モータ8からの動力伝達を継脱する機能を備えており、本実施形態では、右側板5B側に設置されている。このクラッチ機構17を構成するクラッチプレート17aには、動力伝達をON状態からOFF状態に切り換えるクラッチOFF切換部材18と、動力伝達をOFF状態からON状態に切り換えるクラッチON切換部材19が係合している。
【0016】
本実施形態におけるクラッチOFF切換部材18は、スプール7をサミングしながら操作が可能となるように、スプール7の後方側の左右側板5A,5B間に橋設された構成となっており、図7に示す状態から、その表面となる操作部18aに親指を載置して下方に押し下げ操作することで、クラッチ機構17をON状態からOFF状態に切り換えるよう構成されている。このクラッチOFF切換部材18は、図6に示される振り分け保持バネ200によって、図7に示すクラッチON位置とクラッチOFF位置(図示せず)との間で振り分け保持される。
【0017】
また、本実施形態におけるクラッチON切換部材19は、右側板5B側に設置されており、振り分け保持バネ200(図6参照)によって、クラッチON位置とクラッチOFF位置との間で揺動可能となるよう振り分け保持されている。この場合、クラッチON切換部材19は、クラッチON状態では、図6に示すように、その表面の操作部19aが右側板5Bの表面と略面一状となり、クラッチOFF状態では、操作部19aは揺動して右側板5Bの表面から突出するようになっている。そして、クラッチON切換部材19は、スプール7に巻回された釣糸に対して親指の腹部でサミング操作している状態から容易にON操作できるように(左側板の後端側を支点として親指が届き易いように)、巻回されている釣糸の側方でやや後方側に設置されていることが好ましい。
なお、クラッチON切換部材19は、上記のように揺動される機械式以外にも、電気式(例えば、ソレノイドを利用したもの)で構成されていても良い。また、クラッチOFF切換部材18と一体部材で構成されていても良い。
【0018】
前記リール本体5には、駆動モータ8に対して電力を供給するための給電部20が設けられている。この給電部20は、左側板5Aの前方側の下面領域に形成されており、この給電部20に対しては、着脱可能な携帯バッテリ22(図8,図9参照)を装着したり、或いは、足元に置いたバッテリや釣り船に設置されている電源部から電力供給される給電コードが装着される。
【0019】
前記制御ケース15は、図7に示すように、スプール7の上方で、その回転軸(この回転軸としては、本実施形態ではスプール7の外側に駆動モータ8が配置されているためスプール軸7aが該当するが、スプール7の内部に駆動モータ8が配置される別の形態ではスプール軸7aが存在しないためモータ8の回転軸が該当する)近傍からレベルワインド機構142および駆動モータ8を覆うような大きさを備えている。
【0020】
前記制御ケース15の後方部分、特に、図4に示すように、スプール7のフランジ7fの前端位置Pfよりも後方側には、駆動モータ8の出力を調整する操作部材30が配置されている。本実施形態の操作部材30は、制御ケース15の後方側で、左側板5Aの上部で回転可能となるように支持されており、制御ケース15に対して、スプール軸7aと略平行に支持された支軸31の左側板側端部に、略前後方向D1に向けて回転操作可能に装着されている。また、本実施形態の操作部材30は、親指を前後方向にスライドさせて、親指の腹部で転がし操作が可能となるように略円筒形状に構成されており、その操作面30a(親指を接触させて操作される外表面であり、操作部30aとも称する)の略上半分の円弧領域が露出した状態となっている。このため、制御ケース15の左側板側には、操作部材30の操作部30aを露出させるように、左側に開口する凹陥部15Aが形成されており、操作部材30は、凹陥部15Aに収容された状態となっている。
【0021】
この場合、制御ケース15の後方の左側板側には、前記操作部材30が配置される領域に、制御ケース15の表面15bから落ち込むように凹所15Bが形成されており、前記凹陥部15Aは、その凹所15Bの範囲内で略円筒形状の操作部材30が配置されるように、下方側が半円状に窪んだ形状となっている(図5参照)。このため、制御ケース15は、後述するように液晶表示部や、各種制御部材が収容されて厚肉化されるものの、その後端側に凹所15Bを形成し、かつ、その凹所15B内に上記した形状の凹陥部15Aを形成して、操作部材30を配置することで、可及的にロープロファイル化を図るようにしている。また、制御ケース15の表面15bから窪んだ凹所15Bを形成し、その凹所内に操作部材30を配置しておくことで、リール本体5を把持した状態で、視認しなくても、親指で凹所15Bの位置が把握でき、これにより、感覚的に操作部材30が存在する位置を正確に認識することが可能となる。すなわち、操作部材30の周囲を凹状に窪ませておくなど、親指で感知できるように、表面を形状変化させておくことで、感覚的に操作部材30の正確な位置を把握させ易くすることが可能となる。
【0022】
なお、本実施形態では、凹陥部15Aは、半円状に窪んだ湾曲部15cによって、前記略円筒形状の操作部材30の下方領域を収容しているが、凹陥部15Aは、上下方向に貫通した状態で操作部材30を収容するようにしても良い。また、左側板5Aの上面には、操作部材30、或いは凹陥部15Aの湾曲部15cに対応して、円弧状の凹所を形成しておいても良い。
【0023】
前記操作部材30(操作部30a)は、上記したように、上方から押え付けて転がすような操作ができるよう露出した状態で回転可能に支持されているが、図5に示すように、周辺の表面(本実施形態では、制御ケース15の凹所15Bの表面15d)に対して、その操作部(操作面)30aが突出した状態となっている。具体的に、本実施形態の略円筒形状の操作部材30(操作部30a)は、直径Dが12mmに形成されており、表面15dに対して突出高さhが3.6mmとなるように設置されている。また、操作部30aの表面には、転がし操作する際に、滑り難いように、周方向に連続する凹凸30bを形成しておくことが好ましい。
【0024】
この場合、操作部材30は、リール本体を確実に把持した状態で、安定して転がす操作ができるように、前記突出高さhについては、0.5〜12mmの範囲に設定しておくことが好ましい。これは、突出高さhが0.5mm未満となると、親指の接触面積が小さくなり過ぎて、滑りが生じる等、操作性が悪くなるためである。また、12mmを超えてしまうと、大きく突出した状態となってしまい、その周辺部の把持圧力が小さくなって、把持安定度が低下してしまうためである。
【0025】
また、前記操作部材30の直径Dについては、10〜24mmの範囲のものを用いることが好ましい。これは、直径が10mm未満のものを用いると、親指との接触面積が小さくなり過ぎて、滑りが生じる等、操作性が悪くなるためである。また、24mmを超えてしまうと、周辺部(本体)の把持領域が少なくなり、把持安定度が低下するためである。なお、操作部材30の軸方向長さLについては、親指を押え付けて安定して転がし操作ができるように、2.0〜20mmとしておくことが好ましい。
【0026】
さらに、制御ケース15に、上記したような構成で操作部材30を回転可能に支持する場合、操作部材30は、その頂部Pが、制御ケース15の表面15b(図5においてP1で示す)に対して下方となるように設置することが好ましい。このようにすることで、制御ケース15表面に、親指を当て付けた状態で親指を表面に沿ってシフトするだけで、引っかかることなく、操作部材30上に親指を載置することができ、迅速な巻き取り操作に移行することが可能となる。
【0027】
前記操作部材30は、制御ケース15に配設される支軸31に装着されており、その支軸31の右端部には、操作部材30の操作角度を検知する検知手段、具体的には、角度センサ130が設置されている。この角度センサ130は、制御ケース15の後端側で右側板側に設けられた収容部15Dにシールされた状態で組み込まれており、制御ケース後端側で回転可能に支持された支軸31の回転位置に応じた操作位置信号を出力する。すなわち、角度センサ130は、操作部材30の操作位置に応じて操作信号を出力し、モータ8の出力は、操作部材30の操作位置に応じて調整することが可能となっている。
【0028】
上記したように、制御ケース15は、左右側板5A,5B間に装着される構造となっており、そのような制御ケースに、支軸31、操作部材30、及び角度センサ130を予め組み込んでおくことで、構造が簡略化され、生産性及びメンテナンス性の向上が図れるようになる。特に、角度センサ130も併せて制御ケース内に組み込んでおくことで、配線及び防水性の面でも有利となる。また、制御ケース15は、左右方向よりも前後方向に長い形状としたことで、操作部材30や角度センサ130の組み込みスペースが確保できる。
【0029】
また、上記したように、前記支軸31は、前記スプール7の回転軸(スプール軸7a)と略平行となるように回転可能に支持されているため、前記操作部材30は、略前後方向(釣竿の方向;矢印D1に示す方向)に変位できるようになっている。この操作部材30は、リール本体5を掌で把持した状態で操作することから、操作部材30に親指を当接させた際、親指の位置が大きく横にずれることがなく、特に、外側にずれることがないため、把持安定性が高くなる。この場合、操作部材30を回転させた際の指(親指)の位置の横方向のずれを考慮すると、上記した略平行の範囲については、スプール7の回転軸に対して±30°の範囲内であれば良い。すなわち、±30°の範囲内であれば、リール本体5を把持保持した状態で、操作部材30を自由に回転しても、親指の位置が横方向にずれ難くなり、リール本体を把持保持した際のバランスが悪くなることがなくなる。
なお、本実施形態のリール本体5は、釣竿とともに片手で把持して操作可能な大きさに構成されており、上記した操作部材30は、リール本体5を、竿取付部5aを介して釣竿に装着した際に、図8及び図9に示すように、釣竿Rとともにリール本体5を把持保持した状態の手の親指Tが届く位置に配設されている。
【0030】
上記した制御ケース15には、図7に示されるように、駆動モータ8の駆動を制御する制御部100が収容されており、操作部材30の回転操作量に応じて駆動モータ8の出力を調整するようになっている。この場合、制御部100は、操作部材30を前方に向けて回転操作することで、駆動モータ8の出力が上昇するように設定されている。なお、操作部材30の回転操作量と駆動モータ8の出力との関係については任意であるが、本実施形態では、操作部材30の基準位置をモータの出力値0として、所定角度(例えば、120°)前方に回転操作した際、モータ出力がMaxになるように設定されている。すなわち、前方方向に向けて操作した際に増速とすることで、釣竿とリール本体を持つ手に負荷がかかる高速巻き取り時に、より前方を把持できるので、把持保持性が高くなり、操作性が良く、疲れ難くなる。もちろん、操作部材30については、後方に向けて回転操作した際に、駆動モータ8の出力が上昇するように設定しても良い。
【0031】
前記制御ケース15の表面には、繰り出された釣糸の長さ(糸長情報)などを表示する表示部(液晶表示部)16が設けられており、また、その周囲には、各種の情報が設定可能な複数の操作ボタン16a,16bが配設されている。この場合、本実施形態では、操作ボタン16a,16bは、図8に示されるように、制御ケース15の上面において、表示部16と操作部材30との間で、且つ釣竿Rとともにリール本体5を把持保持した状態で親指が届く位置とされている。
【0032】
前記制御ケース15に収容される制御部100は、魚釣用電動リールの動作を制御するCPU(Central Processing Unit)等を実装した制御基板(マイクロコンピュータ)100A、及び各種駆動回路を実装した回路基板100Bを備えており、これらは、省スペース化のため、表示部16の下方で上下方向に重なるように配置されている。すなわち、前記制御基板100Aは、操作部材30の支軸31の操作角度に応じて操作位置信号を出力する前記角度センサ130、スプール7に巻回されている釣糸の繰り出し量を検知することが可能な糸長計測装置、制御ケース15上に設けられた液晶表示部16に対して各種の情報を表示させる表示制御回路、制御ケース15上に設けられた操作ボタン16a,16b、及び駆動モータ8の出力を停止状態から高出力値まで連続的に増減調整するモータ駆動回路との間で信号の送受信を行い、魚釣用電動リールの動作を制御する。
【0033】
上記した構成の魚釣用電動リールによれば、操作部材30がスプール7のフランジ7f前端よりも後方側で、左側板5Aの上部に設置されているため、図8及び図9に示すように、釣竿Rとリール本体5を把持する片手の掌の一部が本体5の左側板5Aにフィットした状態で、操作部材30に親指Tが届き、操作した際の力を十分に伝えることができる。また、操作部材30は、略円筒形状に構成されて、略前後方向に回転可能に支持されているため、露出部分を少なくしても操作領域を確保することができる。また、把持している手の親指Tで、前後方向にスライドするような操作をすることで、操作部材を転がすことができ、モータ出力操作を自在に操ることが可能となる。また、前後方向に操作することから、親指が左右にずれることがなく把持安定性が高くなる。
【0034】
さらに、操作部材30の操作面は、その周辺の表面に対して、0.5〜12mm突出させていることで、突出している面積を比較的小さくして、親指の腹側で操作面とリール本体5の周辺部を同時に把持することが可能となり、これにより、大きな負荷が掛かっても、親指Tの周辺でリール本体5を直接把持した状態となり、しっかりとした把持、及び操作が行えるようになる。
【0035】
上記した構成では、操作部材30は、左側板5Aの上部に配設したが、操作ハンドルが左側板側に設置された構成では、右側板5Bの上部に配設するようにしても良い。また、上記した支軸31の右端部側(右側板5Bの上部)に、同様な構成の操作部材を配設しても良い。このような構成では、モータ出力の調整を行う操作部が、左右側板上に振り分けて配設されるため、置き竿時等、操作性に優れた構成とすることができる。この場合、角度センサについては、支軸31の中央領域に設置することができ、構造を簡略化することも可能である。もちろん、左右側板上に設置される操作部材については、略前後に操作されるものであれば良く、レバータイプに構成しても良い。
【0036】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。なお、以下に例示する実施形態では、上述した第1の実施形態と同様な構成要素については、同一の参照符号を付し、詳細な説明については省略する。
図10から図13は、本発明の第2の実施形態を示す図であり、図10は平面図、図11は左側板側から見た側面図、図12は図10のC−C線に沿う要部拡大断面図、そして、図13は図10のD−D線に沿う要部拡大断面図である。
【0037】
上記した実施形態では、操作部材は制御ケース部分に配設されていたが、操作部材は、制御ケースと関係ない部分に配設しても良い。本実施形態の操作部材40は、制御ケース15の後方側で、スプール7のフランジ7f後端より前方側に、左側板5A上に凹所5eを形成し、その凹所5e内に設置されている。この操作部材40は、略円筒形状(内部を中空状にしたカップ形状)に形成されており、好ましくは、その操作部40aの内部に、角度センサ140を収容する空洞部40bが形成されている。具体的には、操作部材40は、スプール側が開口しており、この開口部分に、左フレーム3aに突出形成された環状突起3dが嵌入されている。環状突起3d内には、固定部材142によって固定された角度センサ140が嵌入されており、前記操作部材40は、空洞部40b内に前記固定部材142及び環状突起3dが収容された状態で、これらの部材に対して相対回転可能となっている。また、前記操作部材40の底部40cには、断面非円形の穴40dが形成されており、その部分に角度センサ140の軸140aが嵌合固定され、操作部材40の操作部40aを回転した際、軸140aの回転量が検知できるようになっている。
【0038】
さらに、操作部材40の底部40cには、軸方向外方に突起40eが形成されており、この突起40eが、左側板を構成する左サイドプレート4aに一体形成された支持部(支持穴)4dに係止されている。これにより、操作部材40は、角度センサ140の軸140aに取り付けられた状態で、その両側が、左側板を構成する左フレーム3aと左フレームに装着される左サイドプレート4aとの間に支持された状態となり、大きな負荷に対して強い支持構造となっている。
【0039】
また、操作部材40の操作部40aの内部に、角度センサ140を軸方向に重合するように収容したことで、左右幅方向の省スペース化が図れるようになる。特に、本実施形態のように、左側板5Aの上部に、直接、操作部材40を設置するような構成では、小さいスペース内に、効率的に機能部品を配設することが可能となる。なお、角度センサ140は、本実施形態のように、略全体が空洞部40b内に収容されているのが好ましいが、一部が軸方向に重合するように収容される構造であっても、省スペース化を実現することが可能である。
また、操作部材40は、スプール7のフランジ7f後端より前方側に配置するのが、操作性および把持性において、より好ましい(後方側に操作部を配置するに従い、指の長さが余り、折り曲げて操作・把持することになる。従って、やや前方側がより好ましい。)。
【0040】
上記したように構成される操作部材40は、図12に示すように、その表面の操作部40aの直径Dが12mmで、その周辺部となる左サイドプレート4aの表面4fに対して、所定の高さh(5.5mm)だけ突出するように支持されている。これにより、上記した第1実施形態と同様な操作を行うことが可能となる。もちろん、第1実施形態と同様、操作部40aの直径Dについては、10〜24mmにすることが好ましく、その突出高さについては、0.5〜12mmに設定しておくことが好ましい。
【0041】
また、本実施形態では、操作部材40を、左側板5A上に設置したことで、制御ケース15そのものを、前後方向に長く構成することが可能である。このため、図10に示すように、制御ケース15に設置される操作ボタン16a,16bを、親指から近くなる(操作が容易になる)後方側に設置したり、制御ケースの後端部に膨出部15Eを形成し、その部分に操作ボタンを配置して操作性を向上することも可能となる。或いは、液晶表示部16を大型化して、視認し易くすることも可能である。
【0042】
以上のように、操作部材については、リール本体を構成する側板上に設置しても良く、また、本実施形態のように、側板を構成するフレームとサイドプレート(カバー)を挟むようにして、操作部材を設置しても良い。
【0043】
図14から図16は、それぞれ上記した略円筒形状の操作部材の変形例を示しており、各図における(a)は操作部材の平面図、各図における(b)は操作部材の断面図、そして、各図における(c)は操作部材の側面図である。
【0044】
操作部材を上述した実施形態のように略円筒形状に構成するのであれば、その略円筒形状については、種々変形することが可能である。例えば、内部を中空状にしたり、その表面形状を変形しても良い。すなわち、操作部材は、回転操作可能であり、その操作表面部が、親指を押え付けて略前後方向に操作できれば、様々な形状で構成することが可能である。
【0045】
図14に示す操作部材50は、その中間部分が湾曲面によって収縮した鼓形状にすると共に、その外周面(操作面50a)に、周方向に沿って連続して凹溝50bを形成している。このような構成では、親指の腹部がフィットし易いと共に、滑りが生じ難くなる。また、図15に示す操作部材60は、その中間部分が湾曲面によって膨出した樽形状にすると共に、その外周面(操作面60a)に、周方向に沿って連続して突起60bを形成している。このような構成では、親指の腹部が掛かり易くなって、滑り難く操作性の向上が図れるようになる。また、図16に示す操作部材70は、円筒形状の表面の一部にレバー部(操作部)70aを形成している。このような構成では、初期値(駆動モータの出力が0)となる位置を明確化することができ、置き竿時における揺れる船上においても、レバー部70aを摘んで操作できることから、操作性の向上が図れるようになる。
なお、前記突出高さを定義する場合、前記突起60bおよびレバー部70aは、操作時に指の腹に十分食い込む程度なので、それらを除いた状態での仮想外径により定義される。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、駆動モータの出力を調整する操作部材が、左右側板上で、略前後方向に回転可能に支持され、かつ、その周辺部に対して僅かに(具体的には、0.5mm〜12mm)突出した構造であれば良く、その設置位置や設置方法、周辺部の形状など、適宜変形することが可能である。また、操作部材の設置位置や形状については、リール本体の大きさ(手持ちタイプ、中型タイプ、大型タイプ)や対象魚に応じて適宜変形することが可能である。さらに、操作部材の操作角度を検知する検知手段についても、その構成や設置方法等、適宜変形することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 魚釣用電動リール
3a,3b 左右フレーム
4a,4b カバー(サイドプレート)
5 リール本体
5A,5B 左右側板
6 手動ハンドル
7 スプール
7a スプール軸
7f フランジ
8 駆動モータ
15 制御ケース
30,40,50,60,70 操作部材
31 支軸
30a,40a,50a,60a,70a 操作面
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用電動リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚釣用電動リールは、主に深場の釣りに適用させるべく、仕掛けの放出から巻き取りに至るまで、釣竿を船縁に装着された竿掛けに置いたままの状態で行えるように構成されたものが多いが、最近では、手持ち状態で操作が行えるように工夫されたものが知られている。
【0003】
例えば、魚釣用電動リールのスプールを巻き取り操作する(モータ出力を連続的に可変操作する)ための操作部材を、様々な位置に配置することが知られている。例えば、特許文献1には、リール本体の側方の前方側に、モータ出力を調整するスライドレバー式の操作部材を前後方向に移動可能に支持したもの、或いは、リール本体の後方に、モータ出力を調整する回転式の操作部材を回転可能に支持したものが開示されている。また、特許文献2には、制御ケースの上面から円板状の回転摘み(操作部材)の一部を露出させ、上方から親指を押し付けながら回転操作することで、モータ出力を連続的に可変させる構成が開示されている。さらに、特許文献3には、左側板上に、プッシュボタン式のモータ出力操作部材を設置したものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−169700号
【特許文献2】特開2003−92959号
【特許文献3】特開2001−169701号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、最近の魚釣用電動リールでは、ルアーフィッシングに用いられる魚釣用(ベイトキャスティング)リールと同様、手持ち状態で操作することが可能なタイプも望まれているが、従来のモータ出力を調整する操作部材の配置を工夫した魚釣用電動リールでは、操作性の面でさらに改良すべき余地がある。すなわち、釣竿とリール本体を把持する片手の親指での操作と把持の両面で満足できるものとはなっておらず、特に、釣竿とリール本体を把持する片手で、モータの出力調整操作をあらゆるシーン(単なる仕掛け回収のような巻き取りや、魚を誘う場合に応じた複雑(緩急)な巻き取り操作等)に適宜対応できるものとはなっていない。また、急激な魚の引きに対して把持状態が不安定になったり、親指が届いても、力を入れることができない位置に操作部材(操作部)があり、所望の巻き取り状態が得られない可能性もある。
【0006】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、釣竿とリール本体を片手で容易に把持できるとともに、その手の親指でモータ出力を調整する操作部材を巧みに操作でき、更には、操作部材の操作中や急に大きな負荷がかかっても十分な把持性を有する魚釣用電動リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用電動リールは、リール本体の左右側板間に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、前記リール本体に設けられ、スプールを回転駆動する駆動モータと、前記駆動モータの出力を調整する操作部材と、を有しており、前記操作部材は、前記スプールのフランジ前端よりも後方側で、少なくとも左右の側板の一方の上部に、略前後方向に回転可能に支持されており、前記操作部材の操作面は、その周辺の表面に対して、0.5〜12mm突出した状態で支持されていることを特徴とする。
【0008】
上記した構成の魚釣用電動リールでは、操作部材がスプールのフランジ前端よりも後方側で、少なくとも左右の側板の一方の上部に設置されているため、釣竿とリール本体を把持する片手の掌の一部が本体の側板にフィットした状態で、操作部材に親指が届き、操作した際の力を十分に伝えることができる。また、操作部材は、略前後方向に回転可能に支持されているため、露出部分を少なくしても操作領域を確保することができるとともに、把持している手の親指で回転操作した際、親指が左右にずれることがなく把持安定性が高くなる。さらに、操作部材の操作面を、その周辺の表面に対して、0.5〜12mm突出した状態で支持したことにより、突出している面積を比較的小さくして、親指の腹側で操作面とリール本体の周辺部を同時に把持することができるようになり、これにより、大きな負荷が掛かっても、親指の周辺でリール本体を直接把持した状態となり、しっかりとした把持、及び操作が行えるようになる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、釣竿とリール本体を片手で容易に把持できるとともに、その手の親指でモータ出力を調整する操作部材を巧みに操作でき、更には、操作部材の操作中や急に大きな負荷がかかっても十分な把持性を有する魚釣用電動リールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る魚釣用電動リールの平面図。
【図2】図1に示した魚釣用電動リールを左側板側から見た側面図。
【図3】図1に示した魚釣用電動リールを後方側から見た後面図。
【図4】図1に示した魚釣用電動リールの内部機構を部分的に示した平面図。
【図5】図1のA−A線に沿う要部拡大断面図。
【図6】図1に示した魚釣用電動リールの内部駆動機構を側方から見た概略図。
【図7】図1のB−B線に沿う断面図。
【図8】釣竿とともにリール本体を把持した状態で操作部材を操作する状態を示す平面図。
【図9】図8を左側板側から見た図。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る魚釣用電動リールの平面図。
【図11】図10に示した魚釣用電動リールを左側板側から見た側面図。
【図12】図10のC−C線に沿う要部拡大断面図。
【図13】図10のD−D線に沿う要部拡大断面図。
【図14】操作部材の第1の変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は中央断面図、(c)は側面図。
【図15】操作部材の第2の変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は中央断面図、(c)は側面図。
【図16】操作部材の第3の変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は中央断面図、(c)は側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る魚釣用電動リールの実施形態について説明する。
図1から図7は本発明の第1の実施形態を示す図であり、図1は平面図、図2は左側板側から見た側面図、図3は後方側から見た後面図、図4は内部機構を部分的に示した平面図、図5は図1のA−A線に沿う要部拡大断面図、図6は内部駆動機構を側方から見た概略図、そして、図7は図1のB−B線に沿う断面図である。
なお、以下の説明において、前後方向、左右方向、上下方向は、図1及び図2に記載の方向と定義する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る魚釣用電動リール1は、左右のフレーム3a,3bに左右カバー(左右サイドプレート)4a,4bを取着して構成される左右側板5A,5Bを具備したリール本体5を有している。リール本体5を構成する一方の側板(右側板5B)側には、巻取り操作される手動ハンドル6が設けられており、左右側板5A,5B間には、釣糸が巻回されるスプール7が、回転軸であるスプール軸7a(図7参照)を中心に回転可能に支持されている。また、本実施形態では、図6及び図7に示すように、スプール7の前方側における左右側板5A,5B間に駆動モータ8を保持しており、スプール7は、手動ハンドル6の巻取り操作および駆動モータ8の回転駆動によって、動力伝達機構10を介して釣糸巻取り方向に回転駆動される。
【0013】
なお、駆動モータ8については、スプール7の内部に設置する構成であっても良いが、本実施形態のように、スプール7の前方に設置することで、スプール7の糸巻き量を確保しつつ、リール本体5を可及的にコンパクト化することが可能となる。また、動力伝達機構10については、駆動モータ8の回転駆動力を減速してスプール7側に伝達する機能(減速機構102および伝達ベルト103(図4参照)などによって果たされる)、駆動モータ8が回転駆動しても手動ハンドル6を連れ回しさせない機能や手動ハンドル6の逆回転を防止する機能(ラチェット104を含む)などを備えた公知のものによって構成することが可能である。また、そのような動力伝達機構10については、左側板5A側に配設されていても良いし、右側板5B側に配設されていても良く、或いは、左右側板それぞれに振り分けて配設されていても良い。なお、図中(特に図4)、符号116は、ハンドル6に結合されたハンドル軸、符号118は、ハンドル軸116に回転可能に支持されたドライブギヤ、符号120は、ドライブギヤ118に噛合するピニオンであり、これらは前述した動力伝達機構10を構成する。また、図中、符号125は、魚釣時にスプール7から釣糸が繰り出された際にスプール7の回転にドラグ力を付与する公知のドラグ機構であり、リール本体5とハンドル6との間には、ドラグ機構125によるドラグ力の調整を行なうための星型のドラグ調整ノブ(スタードラグ)139が設けられている。
【0014】
また、スプール7の前方の左右側板5A,5B間には、スプール7に対して均等に釣糸を巻回する機能を備えた公知のレベルワインド機構142(図6および図7参照)が設置されている。さらに、リール本体5を構成する左右側板5A,5B間のスプール7の上方には、駆動モータ8を制御する制御部100(制御基板100A,100Bを有する)を収容した箱型の制御ケース15が配設されている。本実施形態の制御ケース15は、リール本体を構成する左右側板5A,5Bの表面と面一状になるように構成されており、前後方向の長さ寸法が左右方向の長さ寸法よりも長く設定されている。また、制御ケース15の後端部15aは、図5に示すように、側板を構成するフレーム(図では、左フレーム3aが示されている)に対して面一となるように設置されている。
【0015】
また、リール本体5内には、前記ピニオン120を軸方向に移動させてスプール7を釣糸巻き取り状態/フリー回転状態に切り換える公知のクラッチ機構17(図4及び図6参照)が配置されている。このクラッチ機構17は、動力伝達機構10に介在されて手動ハンドル6および駆動モータ8からの動力伝達を継脱する機能を備えており、本実施形態では、右側板5B側に設置されている。このクラッチ機構17を構成するクラッチプレート17aには、動力伝達をON状態からOFF状態に切り換えるクラッチOFF切換部材18と、動力伝達をOFF状態からON状態に切り換えるクラッチON切換部材19が係合している。
【0016】
本実施形態におけるクラッチOFF切換部材18は、スプール7をサミングしながら操作が可能となるように、スプール7の後方側の左右側板5A,5B間に橋設された構成となっており、図7に示す状態から、その表面となる操作部18aに親指を載置して下方に押し下げ操作することで、クラッチ機構17をON状態からOFF状態に切り換えるよう構成されている。このクラッチOFF切換部材18は、図6に示される振り分け保持バネ200によって、図7に示すクラッチON位置とクラッチOFF位置(図示せず)との間で振り分け保持される。
【0017】
また、本実施形態におけるクラッチON切換部材19は、右側板5B側に設置されており、振り分け保持バネ200(図6参照)によって、クラッチON位置とクラッチOFF位置との間で揺動可能となるよう振り分け保持されている。この場合、クラッチON切換部材19は、クラッチON状態では、図6に示すように、その表面の操作部19aが右側板5Bの表面と略面一状となり、クラッチOFF状態では、操作部19aは揺動して右側板5Bの表面から突出するようになっている。そして、クラッチON切換部材19は、スプール7に巻回された釣糸に対して親指の腹部でサミング操作している状態から容易にON操作できるように(左側板の後端側を支点として親指が届き易いように)、巻回されている釣糸の側方でやや後方側に設置されていることが好ましい。
なお、クラッチON切換部材19は、上記のように揺動される機械式以外にも、電気式(例えば、ソレノイドを利用したもの)で構成されていても良い。また、クラッチOFF切換部材18と一体部材で構成されていても良い。
【0018】
前記リール本体5には、駆動モータ8に対して電力を供給するための給電部20が設けられている。この給電部20は、左側板5Aの前方側の下面領域に形成されており、この給電部20に対しては、着脱可能な携帯バッテリ22(図8,図9参照)を装着したり、或いは、足元に置いたバッテリや釣り船に設置されている電源部から電力供給される給電コードが装着される。
【0019】
前記制御ケース15は、図7に示すように、スプール7の上方で、その回転軸(この回転軸としては、本実施形態ではスプール7の外側に駆動モータ8が配置されているためスプール軸7aが該当するが、スプール7の内部に駆動モータ8が配置される別の形態ではスプール軸7aが存在しないためモータ8の回転軸が該当する)近傍からレベルワインド機構142および駆動モータ8を覆うような大きさを備えている。
【0020】
前記制御ケース15の後方部分、特に、図4に示すように、スプール7のフランジ7fの前端位置Pfよりも後方側には、駆動モータ8の出力を調整する操作部材30が配置されている。本実施形態の操作部材30は、制御ケース15の後方側で、左側板5Aの上部で回転可能となるように支持されており、制御ケース15に対して、スプール軸7aと略平行に支持された支軸31の左側板側端部に、略前後方向D1に向けて回転操作可能に装着されている。また、本実施形態の操作部材30は、親指を前後方向にスライドさせて、親指の腹部で転がし操作が可能となるように略円筒形状に構成されており、その操作面30a(親指を接触させて操作される外表面であり、操作部30aとも称する)の略上半分の円弧領域が露出した状態となっている。このため、制御ケース15の左側板側には、操作部材30の操作部30aを露出させるように、左側に開口する凹陥部15Aが形成されており、操作部材30は、凹陥部15Aに収容された状態となっている。
【0021】
この場合、制御ケース15の後方の左側板側には、前記操作部材30が配置される領域に、制御ケース15の表面15bから落ち込むように凹所15Bが形成されており、前記凹陥部15Aは、その凹所15Bの範囲内で略円筒形状の操作部材30が配置されるように、下方側が半円状に窪んだ形状となっている(図5参照)。このため、制御ケース15は、後述するように液晶表示部や、各種制御部材が収容されて厚肉化されるものの、その後端側に凹所15Bを形成し、かつ、その凹所15B内に上記した形状の凹陥部15Aを形成して、操作部材30を配置することで、可及的にロープロファイル化を図るようにしている。また、制御ケース15の表面15bから窪んだ凹所15Bを形成し、その凹所内に操作部材30を配置しておくことで、リール本体5を把持した状態で、視認しなくても、親指で凹所15Bの位置が把握でき、これにより、感覚的に操作部材30が存在する位置を正確に認識することが可能となる。すなわち、操作部材30の周囲を凹状に窪ませておくなど、親指で感知できるように、表面を形状変化させておくことで、感覚的に操作部材30の正確な位置を把握させ易くすることが可能となる。
【0022】
なお、本実施形態では、凹陥部15Aは、半円状に窪んだ湾曲部15cによって、前記略円筒形状の操作部材30の下方領域を収容しているが、凹陥部15Aは、上下方向に貫通した状態で操作部材30を収容するようにしても良い。また、左側板5Aの上面には、操作部材30、或いは凹陥部15Aの湾曲部15cに対応して、円弧状の凹所を形成しておいても良い。
【0023】
前記操作部材30(操作部30a)は、上記したように、上方から押え付けて転がすような操作ができるよう露出した状態で回転可能に支持されているが、図5に示すように、周辺の表面(本実施形態では、制御ケース15の凹所15Bの表面15d)に対して、その操作部(操作面)30aが突出した状態となっている。具体的に、本実施形態の略円筒形状の操作部材30(操作部30a)は、直径Dが12mmに形成されており、表面15dに対して突出高さhが3.6mmとなるように設置されている。また、操作部30aの表面には、転がし操作する際に、滑り難いように、周方向に連続する凹凸30bを形成しておくことが好ましい。
【0024】
この場合、操作部材30は、リール本体を確実に把持した状態で、安定して転がす操作ができるように、前記突出高さhについては、0.5〜12mmの範囲に設定しておくことが好ましい。これは、突出高さhが0.5mm未満となると、親指の接触面積が小さくなり過ぎて、滑りが生じる等、操作性が悪くなるためである。また、12mmを超えてしまうと、大きく突出した状態となってしまい、その周辺部の把持圧力が小さくなって、把持安定度が低下してしまうためである。
【0025】
また、前記操作部材30の直径Dについては、10〜24mmの範囲のものを用いることが好ましい。これは、直径が10mm未満のものを用いると、親指との接触面積が小さくなり過ぎて、滑りが生じる等、操作性が悪くなるためである。また、24mmを超えてしまうと、周辺部(本体)の把持領域が少なくなり、把持安定度が低下するためである。なお、操作部材30の軸方向長さLについては、親指を押え付けて安定して転がし操作ができるように、2.0〜20mmとしておくことが好ましい。
【0026】
さらに、制御ケース15に、上記したような構成で操作部材30を回転可能に支持する場合、操作部材30は、その頂部Pが、制御ケース15の表面15b(図5においてP1で示す)に対して下方となるように設置することが好ましい。このようにすることで、制御ケース15表面に、親指を当て付けた状態で親指を表面に沿ってシフトするだけで、引っかかることなく、操作部材30上に親指を載置することができ、迅速な巻き取り操作に移行することが可能となる。
【0027】
前記操作部材30は、制御ケース15に配設される支軸31に装着されており、その支軸31の右端部には、操作部材30の操作角度を検知する検知手段、具体的には、角度センサ130が設置されている。この角度センサ130は、制御ケース15の後端側で右側板側に設けられた収容部15Dにシールされた状態で組み込まれており、制御ケース後端側で回転可能に支持された支軸31の回転位置に応じた操作位置信号を出力する。すなわち、角度センサ130は、操作部材30の操作位置に応じて操作信号を出力し、モータ8の出力は、操作部材30の操作位置に応じて調整することが可能となっている。
【0028】
上記したように、制御ケース15は、左右側板5A,5B間に装着される構造となっており、そのような制御ケースに、支軸31、操作部材30、及び角度センサ130を予め組み込んでおくことで、構造が簡略化され、生産性及びメンテナンス性の向上が図れるようになる。特に、角度センサ130も併せて制御ケース内に組み込んでおくことで、配線及び防水性の面でも有利となる。また、制御ケース15は、左右方向よりも前後方向に長い形状としたことで、操作部材30や角度センサ130の組み込みスペースが確保できる。
【0029】
また、上記したように、前記支軸31は、前記スプール7の回転軸(スプール軸7a)と略平行となるように回転可能に支持されているため、前記操作部材30は、略前後方向(釣竿の方向;矢印D1に示す方向)に変位できるようになっている。この操作部材30は、リール本体5を掌で把持した状態で操作することから、操作部材30に親指を当接させた際、親指の位置が大きく横にずれることがなく、特に、外側にずれることがないため、把持安定性が高くなる。この場合、操作部材30を回転させた際の指(親指)の位置の横方向のずれを考慮すると、上記した略平行の範囲については、スプール7の回転軸に対して±30°の範囲内であれば良い。すなわち、±30°の範囲内であれば、リール本体5を把持保持した状態で、操作部材30を自由に回転しても、親指の位置が横方向にずれ難くなり、リール本体を把持保持した際のバランスが悪くなることがなくなる。
なお、本実施形態のリール本体5は、釣竿とともに片手で把持して操作可能な大きさに構成されており、上記した操作部材30は、リール本体5を、竿取付部5aを介して釣竿に装着した際に、図8及び図9に示すように、釣竿Rとともにリール本体5を把持保持した状態の手の親指Tが届く位置に配設されている。
【0030】
上記した制御ケース15には、図7に示されるように、駆動モータ8の駆動を制御する制御部100が収容されており、操作部材30の回転操作量に応じて駆動モータ8の出力を調整するようになっている。この場合、制御部100は、操作部材30を前方に向けて回転操作することで、駆動モータ8の出力が上昇するように設定されている。なお、操作部材30の回転操作量と駆動モータ8の出力との関係については任意であるが、本実施形態では、操作部材30の基準位置をモータの出力値0として、所定角度(例えば、120°)前方に回転操作した際、モータ出力がMaxになるように設定されている。すなわち、前方方向に向けて操作した際に増速とすることで、釣竿とリール本体を持つ手に負荷がかかる高速巻き取り時に、より前方を把持できるので、把持保持性が高くなり、操作性が良く、疲れ難くなる。もちろん、操作部材30については、後方に向けて回転操作した際に、駆動モータ8の出力が上昇するように設定しても良い。
【0031】
前記制御ケース15の表面には、繰り出された釣糸の長さ(糸長情報)などを表示する表示部(液晶表示部)16が設けられており、また、その周囲には、各種の情報が設定可能な複数の操作ボタン16a,16bが配設されている。この場合、本実施形態では、操作ボタン16a,16bは、図8に示されるように、制御ケース15の上面において、表示部16と操作部材30との間で、且つ釣竿Rとともにリール本体5を把持保持した状態で親指が届く位置とされている。
【0032】
前記制御ケース15に収容される制御部100は、魚釣用電動リールの動作を制御するCPU(Central Processing Unit)等を実装した制御基板(マイクロコンピュータ)100A、及び各種駆動回路を実装した回路基板100Bを備えており、これらは、省スペース化のため、表示部16の下方で上下方向に重なるように配置されている。すなわち、前記制御基板100Aは、操作部材30の支軸31の操作角度に応じて操作位置信号を出力する前記角度センサ130、スプール7に巻回されている釣糸の繰り出し量を検知することが可能な糸長計測装置、制御ケース15上に設けられた液晶表示部16に対して各種の情報を表示させる表示制御回路、制御ケース15上に設けられた操作ボタン16a,16b、及び駆動モータ8の出力を停止状態から高出力値まで連続的に増減調整するモータ駆動回路との間で信号の送受信を行い、魚釣用電動リールの動作を制御する。
【0033】
上記した構成の魚釣用電動リールによれば、操作部材30がスプール7のフランジ7f前端よりも後方側で、左側板5Aの上部に設置されているため、図8及び図9に示すように、釣竿Rとリール本体5を把持する片手の掌の一部が本体5の左側板5Aにフィットした状態で、操作部材30に親指Tが届き、操作した際の力を十分に伝えることができる。また、操作部材30は、略円筒形状に構成されて、略前後方向に回転可能に支持されているため、露出部分を少なくしても操作領域を確保することができる。また、把持している手の親指Tで、前後方向にスライドするような操作をすることで、操作部材を転がすことができ、モータ出力操作を自在に操ることが可能となる。また、前後方向に操作することから、親指が左右にずれることがなく把持安定性が高くなる。
【0034】
さらに、操作部材30の操作面は、その周辺の表面に対して、0.5〜12mm突出させていることで、突出している面積を比較的小さくして、親指の腹側で操作面とリール本体5の周辺部を同時に把持することが可能となり、これにより、大きな負荷が掛かっても、親指Tの周辺でリール本体5を直接把持した状態となり、しっかりとした把持、及び操作が行えるようになる。
【0035】
上記した構成では、操作部材30は、左側板5Aの上部に配設したが、操作ハンドルが左側板側に設置された構成では、右側板5Bの上部に配設するようにしても良い。また、上記した支軸31の右端部側(右側板5Bの上部)に、同様な構成の操作部材を配設しても良い。このような構成では、モータ出力の調整を行う操作部が、左右側板上に振り分けて配設されるため、置き竿時等、操作性に優れた構成とすることができる。この場合、角度センサについては、支軸31の中央領域に設置することができ、構造を簡略化することも可能である。もちろん、左右側板上に設置される操作部材については、略前後に操作されるものであれば良く、レバータイプに構成しても良い。
【0036】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。なお、以下に例示する実施形態では、上述した第1の実施形態と同様な構成要素については、同一の参照符号を付し、詳細な説明については省略する。
図10から図13は、本発明の第2の実施形態を示す図であり、図10は平面図、図11は左側板側から見た側面図、図12は図10のC−C線に沿う要部拡大断面図、そして、図13は図10のD−D線に沿う要部拡大断面図である。
【0037】
上記した実施形態では、操作部材は制御ケース部分に配設されていたが、操作部材は、制御ケースと関係ない部分に配設しても良い。本実施形態の操作部材40は、制御ケース15の後方側で、スプール7のフランジ7f後端より前方側に、左側板5A上に凹所5eを形成し、その凹所5e内に設置されている。この操作部材40は、略円筒形状(内部を中空状にしたカップ形状)に形成されており、好ましくは、その操作部40aの内部に、角度センサ140を収容する空洞部40bが形成されている。具体的には、操作部材40は、スプール側が開口しており、この開口部分に、左フレーム3aに突出形成された環状突起3dが嵌入されている。環状突起3d内には、固定部材142によって固定された角度センサ140が嵌入されており、前記操作部材40は、空洞部40b内に前記固定部材142及び環状突起3dが収容された状態で、これらの部材に対して相対回転可能となっている。また、前記操作部材40の底部40cには、断面非円形の穴40dが形成されており、その部分に角度センサ140の軸140aが嵌合固定され、操作部材40の操作部40aを回転した際、軸140aの回転量が検知できるようになっている。
【0038】
さらに、操作部材40の底部40cには、軸方向外方に突起40eが形成されており、この突起40eが、左側板を構成する左サイドプレート4aに一体形成された支持部(支持穴)4dに係止されている。これにより、操作部材40は、角度センサ140の軸140aに取り付けられた状態で、その両側が、左側板を構成する左フレーム3aと左フレームに装着される左サイドプレート4aとの間に支持された状態となり、大きな負荷に対して強い支持構造となっている。
【0039】
また、操作部材40の操作部40aの内部に、角度センサ140を軸方向に重合するように収容したことで、左右幅方向の省スペース化が図れるようになる。特に、本実施形態のように、左側板5Aの上部に、直接、操作部材40を設置するような構成では、小さいスペース内に、効率的に機能部品を配設することが可能となる。なお、角度センサ140は、本実施形態のように、略全体が空洞部40b内に収容されているのが好ましいが、一部が軸方向に重合するように収容される構造であっても、省スペース化を実現することが可能である。
また、操作部材40は、スプール7のフランジ7f後端より前方側に配置するのが、操作性および把持性において、より好ましい(後方側に操作部を配置するに従い、指の長さが余り、折り曲げて操作・把持することになる。従って、やや前方側がより好ましい。)。
【0040】
上記したように構成される操作部材40は、図12に示すように、その表面の操作部40aの直径Dが12mmで、その周辺部となる左サイドプレート4aの表面4fに対して、所定の高さh(5.5mm)だけ突出するように支持されている。これにより、上記した第1実施形態と同様な操作を行うことが可能となる。もちろん、第1実施形態と同様、操作部40aの直径Dについては、10〜24mmにすることが好ましく、その突出高さについては、0.5〜12mmに設定しておくことが好ましい。
【0041】
また、本実施形態では、操作部材40を、左側板5A上に設置したことで、制御ケース15そのものを、前後方向に長く構成することが可能である。このため、図10に示すように、制御ケース15に設置される操作ボタン16a,16bを、親指から近くなる(操作が容易になる)後方側に設置したり、制御ケースの後端部に膨出部15Eを形成し、その部分に操作ボタンを配置して操作性を向上することも可能となる。或いは、液晶表示部16を大型化して、視認し易くすることも可能である。
【0042】
以上のように、操作部材については、リール本体を構成する側板上に設置しても良く、また、本実施形態のように、側板を構成するフレームとサイドプレート(カバー)を挟むようにして、操作部材を設置しても良い。
【0043】
図14から図16は、それぞれ上記した略円筒形状の操作部材の変形例を示しており、各図における(a)は操作部材の平面図、各図における(b)は操作部材の断面図、そして、各図における(c)は操作部材の側面図である。
【0044】
操作部材を上述した実施形態のように略円筒形状に構成するのであれば、その略円筒形状については、種々変形することが可能である。例えば、内部を中空状にしたり、その表面形状を変形しても良い。すなわち、操作部材は、回転操作可能であり、その操作表面部が、親指を押え付けて略前後方向に操作できれば、様々な形状で構成することが可能である。
【0045】
図14に示す操作部材50は、その中間部分が湾曲面によって収縮した鼓形状にすると共に、その外周面(操作面50a)に、周方向に沿って連続して凹溝50bを形成している。このような構成では、親指の腹部がフィットし易いと共に、滑りが生じ難くなる。また、図15に示す操作部材60は、その中間部分が湾曲面によって膨出した樽形状にすると共に、その外周面(操作面60a)に、周方向に沿って連続して突起60bを形成している。このような構成では、親指の腹部が掛かり易くなって、滑り難く操作性の向上が図れるようになる。また、図16に示す操作部材70は、円筒形状の表面の一部にレバー部(操作部)70aを形成している。このような構成では、初期値(駆動モータの出力が0)となる位置を明確化することができ、置き竿時における揺れる船上においても、レバー部70aを摘んで操作できることから、操作性の向上が図れるようになる。
なお、前記突出高さを定義する場合、前記突起60bおよびレバー部70aは、操作時に指の腹に十分食い込む程度なので、それらを除いた状態での仮想外径により定義される。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、駆動モータの出力を調整する操作部材が、左右側板上で、略前後方向に回転可能に支持され、かつ、その周辺部に対して僅かに(具体的には、0.5mm〜12mm)突出した構造であれば良く、その設置位置や設置方法、周辺部の形状など、適宜変形することが可能である。また、操作部材の設置位置や形状については、リール本体の大きさ(手持ちタイプ、中型タイプ、大型タイプ)や対象魚に応じて適宜変形することが可能である。さらに、操作部材の操作角度を検知する検知手段についても、その構成や設置方法等、適宜変形することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 魚釣用電動リール
3a,3b 左右フレーム
4a,4b カバー(サイドプレート)
5 リール本体
5A,5B 左右側板
6 手動ハンドル
7 スプール
7a スプール軸
7f フランジ
8 駆動モータ
15 制御ケース
30,40,50,60,70 操作部材
31 支軸
30a,40a,50a,60a,70a 操作面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体の左右側板間に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、
前記リール本体に設けられ、スプールを回転駆動する駆動モータと、
前記駆動モータの出力を調整する操作部材と、
を有する魚釣用電動リールにおいて、
前記操作部材は、前記スプールのフランジ前端よりも後方側で、少なくとも左右の側板の一方の上部に、略前後方向に回転可能に支持されており、
前記操作部材の操作面は、その周辺の表面に対して、0.5〜12mm突出した状態で支持されていることを特徴とする魚釣用電動リール。
【請求項2】
前記操作部材は、略円筒形状であることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用電動リール。
【請求項3】
前記操作部材の操作角度を検知する角度センサを有しており、前記角度センサの少なくとも一部を、前記操作部材の内部に配設したことを特徴とする請求項2に記載の魚釣用電動リール。
【請求項4】
前記操作部材は、前記左右側板間に設置される制御ケースに回転可能に支持されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の魚釣用電動リール。
【請求項5】
前記操作部材は、前記角度センサの軸に取り付けられ、前記側板を構成するフレームとフレームに装着されるサイドプレートとの間に支持されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の魚釣用電動リール。
【請求項1】
リール本体の左右側板間に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、
前記リール本体に設けられ、スプールを回転駆動する駆動モータと、
前記駆動モータの出力を調整する操作部材と、
を有する魚釣用電動リールにおいて、
前記操作部材は、前記スプールのフランジ前端よりも後方側で、少なくとも左右の側板の一方の上部に、略前後方向に回転可能に支持されており、
前記操作部材の操作面は、その周辺の表面に対して、0.5〜12mm突出した状態で支持されていることを特徴とする魚釣用電動リール。
【請求項2】
前記操作部材は、略円筒形状であることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用電動リール。
【請求項3】
前記操作部材の操作角度を検知する角度センサを有しており、前記角度センサの少なくとも一部を、前記操作部材の内部に配設したことを特徴とする請求項2に記載の魚釣用電動リール。
【請求項4】
前記操作部材は、前記左右側板間に設置される制御ケースに回転可能に支持されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の魚釣用電動リール。
【請求項5】
前記操作部材は、前記角度センサの軸に取り付けられ、前記側板を構成するフレームとフレームに装着されるサイドプレートとの間に支持されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の魚釣用電動リール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−17415(P2013−17415A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152514(P2011−152514)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
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