鳥類忌避ゴミ収納具
【課題】ネットの糸を細くしてゴミ収納具の製造コストを低減させる一方、カラス等の鳥類がネットに近づかないようにし、ネット内に収納したゴミ袋がカラス等の嘴による攻撃で破られないようにすることを目的とする。
【解決手段】略コの字形状に形成された第1枠体2と、略コの字形状に形成された第2枠体3と、第1枠体の開口側の一対の第1端部と第2枠体の開口側の一対の第2端部とを回動可能に連結する一対の回動軸9,9と、第1枠体内、第2枠体内及び第1枠体と第2枠体との間に張られたネット4と、を備えている。ネット4は、一対の回動軸9,9を中心として第1枠体2と第2枠体3を開いた状態でゴミ袋50の投入が可能であって、閉じた状態ではゴミ袋50を収納可能であり、そのネットの、地上面から鳥類の頭の高さ位置又はその近傍に一又は二以上の磁石20を取り付けた。
【解決手段】略コの字形状に形成された第1枠体2と、略コの字形状に形成された第2枠体3と、第1枠体の開口側の一対の第1端部と第2枠体の開口側の一対の第2端部とを回動可能に連結する一対の回動軸9,9と、第1枠体内、第2枠体内及び第1枠体と第2枠体との間に張られたネット4と、を備えている。ネット4は、一対の回動軸9,9を中心として第1枠体2と第2枠体3を開いた状態でゴミ袋50の投入が可能であって、閉じた状態ではゴミ袋50を収納可能であり、そのネットの、地上面から鳥類の頭の高さ位置又はその近傍に一又は二以上の磁石20を取り付けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミが詰められたゴミ袋等をコンパクトに収納できると共に、カラスやハト等の鳥類が近づかないようにして収納したゴミ袋等が鳥類の嘴で破かれて中のゴミが飛散されるのを防止することができる鳥類忌避ゴミ収納具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からゴミ袋を収集する場所は地域で決められているが、そのゴミ収集場所において単にゴミ袋がまとめて置かれると、乱雑になって歩行者の通行の妨げになったりすることがある。また、ゴミ収集場所がカラスやハト等の鳥類の巣に近い場合には、飛来したカラス等がゴミ袋を破って中のゴミを散乱させることが多くあり、このような状態を放置すると、散らかされたゴミが腐敗して不衛生になったりするという問題があった。
【0003】
従来の、この種のゴミ収納具としては、例えば、本願特許出願人が先に特許出願したもので、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、ゴミ袋を圧縮して収納するゴミ収納具に関するものが記載されている。
この特許文献1に記載されたゴミ収納具は、一対の端部を有する略コの字形状の少なくとも一つの第1枠体と、少なくとも一つの第1枠体の一対の端部が回動可能に取り付けられる一対の角部を有する略矩形状の第2枠体と、第1枠体内、第2枠体内及び第1枠体と第2枠体との間に張られたネットと、を具備している。第1枠体及び第2枠体は、一対の角部間を回動軸として相対的に開閉可能であり、開いた状態でゴミの投入が可能であり、閉じた状態で両者間にゴミを収納する、ことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−219247号公報 (第3−8頁、第1〜5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のゴミ収納具においては、ネットを構成する糸が太くて丈夫であったため、カラスやハト等の鳥類の嘴による攻撃に対してネットが充分な抵抗力を備えており、収納したゴミ袋に対する鳥類からの防護機能を果たすことが可能であった。ところが、ネットの強度を充分に確保するために、ネットを形成する糸の材料として太くて丈夫なものが用いられていた。そのため、ネットが高価なものとなり、ゴミ収納具全体として高価なものになっているという問題があった。また、ゴミ収集場所にゴミ袋が乱雑に置かれると、車椅子や老人、子供達の通行の妨げになるという問題もある。
【0006】
かかる問題点の対策としては、例えば、使用する糸を細くしてネットの価格を下げることが考えられる。しかしながら、ネットの糸を細くすると、ネット自体の強度が低下してしまうために、カラス等の嘴による攻撃に対して抵抗力が低下してしまう。そのため、ネットごとゴミ袋が破られて中のゴミが飛散してしまうおそれがあり、生ゴミが飛散してしまうと、ゴミの腐敗によってゴミ収集場所の周囲が不衛生になるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、ネットの糸を細くしてゴミ収納具の製造コストを低減させる一方、カラス等の鳥類がネットに近づかないように してネット内に収納したゴミ袋がカラス等の嘴による攻撃で破られないようにし、衛生的で使い勝手の良いゴミ収納具を安価に提供できようにすることを目的とする。また、ネットを用いてゴミ袋を収集することにより、車椅子や老人、子供達の通行の妨げになるのを防ぐことができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の鳥類忌避ゴミ収納具は、略コの字形状に形成された第1枠体と、略コの字形状に形成された第2枠体と、第1枠体の開口側の一対の第1端部と第2枠体の開口側の一対の第2端部とを回動可能に連結する一対の回動軸と、第1枠体内、第2枠体内及び第1枠体と第2枠体との間に張られたネットと、を備えている。ネットは、一対の回動軸を中心として第1枠体と第2枠体を開いた状態でゴミの投入が可能であって、閉じた状態ではゴミを収納可能であり、そのネットの、地上面から鳥類の頭の高さ位置又はその近傍に一又は二以上の磁石を取り付けたことを特徴としている。
【0009】
また、本発明の鳥類忌避ゴミ収納具は、限定されるわけではないが、ネットの磁石の取付位置は、地上面から10cm以上25cm以下であることが好ましい。同じく限定されるわけではないが、磁石の磁力は、1000ガウスから1500ガウスまでの範囲内であることが好ましい。磁石は、複数の磁石片の組み合わせからなり、複数の磁石片でネットを挟持し、その複数の磁石片を接着剤で固着した構成とすることができる。また、磁石に、ネットに対する固定手段を設け、その固定手段を用いて磁石をネットに着脱可能に取り付ける構成としてもよい。さらに、ネットは、適当な間隔をあけて配置される多数の縦糸と、適当な間隔をあけて配置される多数の横糸とにより編成され、多数の縦糸と多数の横糸により形成される網目の大きさは20mmから30mmの範囲内であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の鳥類忌避ゴミ収納具によれば、一対の回動軸を中心として第1枠体と第2枠体を開いた状態にすると、ネットの上側開口部が大きく開かれるため、その開口部からゴミの投入が可能であってゴミを収納することができ、また、第1枠体と第2枠体を閉じた状態にすると、ゴミが詰められたゴミ袋等を軽く圧縮してコンパクトに収納することができる。また、第1枠体と第2枠体に保持されているネットの地上面から鳥類の頭の高さ位置又はその近傍に一又は二以上の磁石を取り付けているため、ネットに近づく鳥類に対して磁石の磁力を作用させることができ、これにより、カラスやハト等の鳥類が近づかないようにすることができる。これにより、ネット内に収納したゴミ袋等が鳥類の嘴で破かれて中のゴミが飛散されるのを防ぎ、ゴミの腐敗によってゴミ収集場所の周囲が不衛生になるおそれを防止することができる。
【0011】
更に、本発明の鳥類忌避ゴミ収納具によれば、ネットの磁石の取付位置を地上面から25cm又はその近傍の高さに設定することにより、地上面から略25cmの高さ位置に頭があるカラスに対して、その磁石が発生する磁力をカラスの頭に作用させて、鳥類忌避ゴミ収納具に近づくのを防止することができる。また、ネットの磁石の取付位置を地上面から10cm又はその近傍の高さに設定することにより、地上面から略10cmの高さ位置に頭があるハトに対して、その磁石が発生する磁力をハトの頭に作用させて、鳥類忌避ゴミ収納具に近づくのを防止することができる。
【0012】
本発明の鳥類忌避ゴミ収納具によれば、磁石の磁力を1000ガウスから1500ガウスまでの範囲内に設定すると共に、ネットへの磁石の取付位置を、地上面から鳥類の頭の高さ(例えば、カラスの場合は25cm、ハトの場合は10〜12cm程度)に設定することにより、この鳥類忌避ゴミ収納具が設置されるゴミ収納場所の周囲において磁石による電波障害等の弊害を発生することなく、カラスやハト等の鳥類が嫌がる磁石の磁場を必要な範囲内において発生させて、カラス等の鳥類が鳥類忌避ゴミ収納具に近づくのを効果的に防止することができる。
【0013】
本発明の鳥類忌避ゴミ収納具によれば、磁石を複数の磁石片の組み合わせによって構成し、その複数の磁石片でネットを挟持して接着剤で固着する構成とすることにより、磁石をネットに簡単且つ確実に取り付けることができる。また、磁石に固定手段を設け、その固定手段を用いて磁石をネットに取り付けることにより、ネットに対して磁石を着脱自在に構成することができ、磁石の取付位置の調整や磁力の強度調整等を簡単且つ容易に行うことができる。
【0014】
さらに、本発明の鳥類忌避ゴミ収納具によれば、適当な間隔をあけて配置される多数の縦糸と、適当な間隔をあけて配置される多数の横糸によってネットを編成すると共に、多数の縦糸と多数の横糸により形成される網目の大きさを20mmから30mmの範囲内に設定することにより、頭の大きさが3cmよりやや大きいカラスや、頭の大きさが2cmよりやや大きいハトが網目に頭を差し込むのを防ぎ、カラス等の頭が網目から抜け出なくなるおそれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例に係る鳥類忌避ゴミ収納具の分解斜視図である。
【図2】図1に示す鳥類忌避ゴミ収納具の使用状態を示す組立斜視図である。
【図3】図2に示す鳥類忌避ゴミ収納具の正面図である。
【図4】図2に示す鳥類忌避ゴミ収納具の磁石と鳥類との高さ関係を表した説明図である。
【図5】本発明の鳥類忌避ゴミ収納具に係る磁石の第1の実施例を示す球形磁石を説明するもので、図5Aはネットへの球形磁石の取付状態を示す説明図、図5Bは球形磁石の接合面の第1の形態を示す一対の分割片の分解斜視図、図5Cは球形磁石の接合面の第2の形態を示す分割片の正面図、図5Dは球形磁石の接合面の第3の形態を示す分割片の正面図である。
【図6】本発明の鳥類忌避ゴミ収納具に係る2分割球形磁石の取付状態を説明するもので、図6Aは割りピンによるピン結合方式、図6Bはロックピンの一端をカシメたカシメ方式、図6Cは固定ネジとナットを用いたねじ結合方式を示す、それぞれ説明図である。
【図7】本発明の鳥類忌避ゴミ収納具に係る複数の磁石の位置関係を表した説明図である。
【図8】本発明の鳥類忌避ゴミ収納具に係る磁石の第2〜第4の実施例を説明するもので、図8Aはドーナッツ形磁石、図8Bは直方体形磁石、図8Cは球形磁石を示す、それぞれ説明図である。
【図9】本発明の鳥類忌避ゴミ収納具に係る枠体組立体の第2の実施例を示す側面図である。
【図10】図9に示す第2の実施例に係る枠体組立体の組立工程を表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1〜図3に示すように、本発明の実施の形態に係る鳥類忌避ゴミ収納具1は、第1枠体2と第2枠体3とネット4とから主に構成されている。
【0017】
第1枠体2は、例えば、パイプのような管状体によって略コの字形状に形成されており、所定の間隔をあけて略平行をなすように配置された一対の支柱部2a,2bと、両支柱部2a,2bの一方の端部間を連結する連接部2cを有している。第1枠体2の一対の支柱部2a,2bの端部(第1端部)には、ゴミ集積場所の地上面や床面等の載置面上に鳥類忌避ゴミ収納具1を載置するために、両支柱部2a,2bが延在する方向と直交する方向に延在されたスタンド板5a,5bがそれぞれ固定されている。このスタンド板5a,5bは、鳥類忌避ゴミ収納具1を建物の壁や塀等に設置する場合は不要となるものである。
【0018】
スタンド板5a,5bは、一対の支柱部2a,2bを載置面に対して略垂直の状態にして支持するもので、例えば、リボン状に細長く形成された金属製の板材によって形成されている。各支柱部2a,2bの先端は、各スタンド板5a,5bの長手方向の略中央部に溶接等の固着手段によって固定されている。各支柱部2a,2bと各スタンド板5a,5bとの間には、それぞれ2本の支持棒6,6が掛け渡されており、2本の支持棒6,6で各支柱部2a,2bを両側から支えている。各支持棒6の一端は、各支柱部2a,2bの先端から所定距離離れた位置において当該支柱部2a,2bを両側から挟むように配置されている。そして、これらと各支柱部2a,2bを貫通するボルト7及びナットからなる固定手段により、各支柱部2a,2bに対して着脱可能に固定されている。また、各支持棒6の他端は、ボルト8によって各スタンド板5a,5bの長手方向の両端に着脱可能に固定されている。
【0019】
第2枠体3は、例えば、パイプのような管状体によって略コの字形状に形成されており、所定の間隔をあけて略平行をなすように配置された一対の支柱部3a,3bと、両支柱部3a,3bの一方の端部間を連結する連接部3cを有している。第2枠体3は、第1枠体2と略同程度の大きさに形成されており、第2枠体3の一対の支柱部3a,3bの先端側の端部は第1枠体2の一対の支柱部2a,2bの先端側に、それぞれ回動軸9によって回動自在に支持されている。
【0020】
第2枠体3の一対の支柱部3a,3bの先端側の端部(第2端部)は、一対の支柱部3a,3bと連接部3cの略全体を結ぶことによって得られる平面に対して一面側に所定角度(本実施例では150°程度)湾曲させて形成している。これにより、一対の回動軸9,9で第1枠体2と第2枠体3を連結した状態において、両枠体2,3を近づけたときに、互いの一対の支柱部2a,2b及び一対の支柱部3a,3bと連接部2c及び連接部3cとが、それぞれ略平行となるように構成されている。そして、第1枠体2の連接部2cの長手方向の中途部には安全ストッパ16を取り付けている。この安全ストッパ16は、両枠体2,3を閉じた状態において、一対の支柱部2a,2b及び一対の支柱部3a,3bと連接部2c及び連接部3cとがするのを防止し、支柱部2a,3a及び2b,3b間や連接部2c及び3c間に指等が挟まれるのを防止するものである。
【0021】
更に、第1枠体2と第2枠体3の間には、両者の連接部2c及び連接部3c側が所定距離以上に離れるのを防止するための2本の離反規制チェーン10,10が設けられている。各離反規制チェーン10の一端は一対の支柱部2a,2bの連接部2c側に固定され、他端は一対の支柱部3a,3bの連接部3c側に固定されている。この離反規制チェーン10,10が伸びた状態が2つの枠体2,3が開いた状態、即ち、鳥類忌避ゴミ収納具1が開いた状態である。
【0022】
更に、第1枠体2の一対の支柱部2a,2bの第1端部間には、一対の支柱部2a,2bの変形を防止するための変形防止ロッド17が掛け渡されて一体的に固定されている。この変形防止ロッド17は、一対の支柱部2a,2bが互いに内側へ曲げられたり、外側へ曲げられたりするのを防止するものである。変形防止ロッド17の材質としては、例えば、金属性の丸棒、角棒、パイプ等を用いることができる。そして、変形防止ロッド17の両端は、溶接等の固着手段によって各支柱部2a,2bに固定する。
【0023】
第2枠体3の連接部3cの長手方向の略中央部には、第2枠体3を第1枠体2側に固定するための固定具11が取り付けられている。固定具11は、第2枠体3に固定するための固定部11aと、この固定部11aに回動可能に連結された係止部11bとを有している。第2枠体3を第1枠体2に接触させた状態で係止部11bを第1枠体2の連接部2cに掛け止めることにより、鳥類忌避ゴミ収納具1が閉じた状態となる。固定具11の材質としては、例えば、ステンレス鋼、スチール鋼等の金属が好適であるが、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、PC(ポリカーボネート)等のプラスチックを適用することもできる。この固定具11によれば、鳥類忌避ゴミ収納具1の開閉動作を簡単且つ確実に行うことができる。なお、固定部11aは、取付ネジ12によって連接部3cに着脱可能に取り付けられている。
【0024】
上述した第1枠体2と第2枠体3とスタンド板5a,5bと支持棒6〜6と回動軸9,9と固定具11と安全ストッパ16と変形防止ロッド17によって第1の実施例に係る枠体組立体18が構成されている。本発明に係る枠体組立体は、この実施例に限定されるものではなく、例えば、スタンド板5a,5bと支持棒6〜6と変形防止ロッド17を廃止して第1枠体2と第2枠体3と回動軸9,9と固定具11と安全ストッパ16で構成することができる。この場合には、例えば、第1枠体を建物の壁や塀等の建築物の壁面に取り付けるようにして使用することができる。また、部品点数を削減することにより、製造費を安くすることができる。
【0025】
ネット4は、第1枠体2の支柱部2a,2b及び連接部2cとの間に展開される第1面領域14aと、第2枠体3の支柱部3a,3b及び連接部3cとの間に展開される第2面領域14bと、第1面領域14aと第2面領域14bとの間に展開される左右の側面領域14c,14dと、第1面領域14aと第2面領域14bと左右の側面領域14c,14dとの間に展開される底面領域とを有し、全体として上面に開口されて袋状に構成されている。ネット4は、伸び縮みする弾性を有するプラスチック、布、ゴム等の材料によって形成されており、例えば、多数の縦糸と多数の横糸を格子状に織り込むことによって構成される。ネット4の表面には光触媒がコーティングされており、この光触媒のコーティングでホコリや汚れ等が付着し難いように構成している。そして、ネット4の開口側の縁には、縦糸及び横糸の解れを防止する縁綴じ部15が無端状に連続するように設けられている。
【0026】
ネット4の網目の大きさは、忌避目的の対象とする鳥の種類によっても異なるが、カラスやハト等の鳥類の頭の大きさよりも少し小さく設定する。例えば、カラスを忌避対象とする場合には、網目の大きさは一辺が3cm程度の正方形に形成し、また、ハトを忌避対象とする場合には、網目の大きさは一辺が2cm程度の正方形に形成すると良い。
【0027】
一般に、カラスの頭の大きさは3cm程度であり、ハトの頭の大きさは2cm程度だからである。即ち、網目の大きさを一辺3cmより大きく設定すると、その網目にカラスが頭を差し込むことにより、カラスの頭が網目に引っ掛かって抜け出なくなるおそれがあるからである。同様に、網目の大きさを一辺2cmより大きく設定すると、その網目にハトが頭を差し込むことにより、ハトの頭が網目に引っ掛かって抜け出なくなるおそれがあるからである。なお、ネット4の網目の大きさは、収容するゴミ袋よりも小さい必要があることは勿論である。
【0028】
また、ネット4の網目の形状は、上述した四角形のものに限定されるものでないことは勿論である。ネット4の網目の他の形状としては、例えば、亀甲形、菱形、三角形その他各種形状のものを適用することができる。
【0029】
図2及び図3に示すように、ネット4の、鳥類忌避ゴミ収納具1が置かれる地上面(載置面)Eから所定の高さ位置Hに、複数の磁石20が取り付けられている。図示した実施例では、ネット4の第2面領域14bの所定の高さ位置Hに、複数(本実施例では8個)の磁石20が横方向(地上面と平行をなす方向)へ所定の間隔をあけて横並びに配置した例について説明している。しかしながら、磁石20は、第1面領域14aに設けてもよく、また、第2面領域14bと第1面領域14aの両方、或いは、これらに左右の側面領域14c,14dを加えた3面又は4面に配置する構成としてもよい。
【0030】
磁石20が取り付けられるネット4の所定高さ位置Hは、対象とする鳥類の種類によっても異なるが、カラスの場合は24〜26cm程度、ハトの場合は10〜12cm程度が好適である。その理由は、一般的に、カラスの成鳥の頭の高さが地上面(載置面)Eから25cm程度であり、ハトの成鳥の頭の高さが地上面(載置面)Eから11cm程度だからである。なお、ここでは、鳥類としてカラスとハトを例にとって説明するが、これらカラス及びハトは、ゴミ集積場所に集まる鳥類として代表的な鳥だからであり、他の鳥類に対して適用できることは勿論である。
【0031】
ここで、ネット4の所定高さ位置Hに磁石20を配置する理由は、カラスやハト等の鳥類は磁石の磁場に発生する磁力を嫌がることが知られており、磁力をカラスやハトの脳に作用させると、カラスやハトをその場から退散させることができるためである。そのための磁石20の磁力の強さは、1000ガウス〜1500ガウスの範囲内にあることが好ましく、好適な強さは1300ガウス程度である。その理由は、磁力が1000ガウス未満の場合には、磁力の強度が弱いためにカラスやハトに対する磁力の影響が少なく、カラス等を退散させることが困難だからである。また、磁力が1500ガウス以上の場合には、周囲の環境に対する磁力の影響が大きくなりすぎてしまい、電波妨害等の弊害を生じるおそれがあるからである。磁力が1300ガウス程度である場合には、その磁場に近づくカラスやハトに対して、その磁力を確実に作用させてカラスやハトを確実に忌避させることができる。
【0032】
磁石の大きさは、発生する磁力の強さが1000ガウス〜1500ガウスの範囲内のものであれば、各種の大きさ、形状のものを適用することができる。図5A〜5Dは、磁石20を2個の磁石分割片20a,20bで形成し、これを組み立てることにより全体として1個の球体からなる磁石20を構成したものである。図5Aは、ネット4を2個の磁石分割片20a,20bで両側から挟み、接着剤で2個の磁石分割片20a,20bを接合した例を示すものである。この場合、図5Bに示すように、2個の磁石分割片20a,20bの各接着面には、2つの縦糸用の縦溝21,21と、2つの横糸用の横溝22,22がそれぞれ設けられている。このように、縦溝21,21内にネット4の縦糸を収容し、横溝22,22内に横糸を収容することにより、2個の磁石分割片20a,20bの各接着面を突き合わせて接合することができる。
【0033】
図5Cは、磁石分割片20a,20bの各接着面に、1つの縦糸用の縦溝21と、1つの横糸用の横溝22を設けた実施例を示すものである。また、図5Dは、磁石分割片20a,20bの各接着面に、3つの縦糸用の縦溝21〜21と、3つの横糸用の横溝22〜22を設けた実施例を示すものである。このように、縦溝及び横溝の数は、上記実施例に限定されるものではない。
【0034】
図6A〜6Cは、2個の磁石分割片20a,20bの固定手段の他の実施例を示すものである。これらの実施例では、2個の磁石分割片20a,20bには、その中央部を貫通するように貫通穴23が設けられている。図6Aは、ネット4を挟むように配置された2個の磁石分割片20a,20bの貫通穴23,23に割りピン24を挿通し、その先端を折り曲げて、割りピン24で固定する例を示したものである。図6Bは、ネット4を挟むように配置された2個の磁石分割片20a,20bの貫通穴23,23にロックピン25を挿通し、その先端をカシメて、ロックピン25でカシメ止めする例を示したものである。また、図6Cは、ネット4を挟むように配置された2個の磁石分割片20a,20bの貫通穴23,23に固定ネジ26を挿通し、その先端にナット27を螺合させて、ネジ26とナット27で固定する例を示したものである。
【0035】
図7は、ネット4に取り付けられる複数の磁石20の横方向の取付間隔Fを説明するものである。この横方向の間隔Fは、磁石20の大きさによって異なるが、隣り合う磁石20,20の、少なくとも互いの磁場Gの一部(ある程度の影響力を有する強度を備えた範囲)の領域が重なり合うように配置する。例えば、磁石20の磁力を1300ガウスに設定した場合において、磁石20の直径を10mmとした場合には、横方向の間隔Fは24cm、磁石20の直径を8mmとした場合に横方向の間隔Fは20cm、磁石20の直径を12mmとした場合に横方向の間隔Fは27cm、磁石20の直径を15mmとした場合に横方向の間隔Fは30cm、磁石20の直径を20mmとした場合に横方向の間隔Fは35cm程度に設定するとよい。これにより、隣り合う磁石20,20間において、互いの磁場の一部を重ね合わせることができ、ネット4の周囲に隙間なく磁気を発生させることができる。なお、横方向の間隔Fは、全ての間隔を等しく(F1=F2=F3=‥=Fn)設定してもよく、また、一部若しくは全ての間隔を異ならせる(例えば、F1>F2=F3=‥<Fn)構成としてもよい。
【0036】
図8A〜8Cは、ネット4に取り付ける磁石の形状及び取付方法の他の実施例を示す。図8Aは、磁石をドーナッツ形に形成し、そのドーナッツ形磁石31を取付バンド32でネット4に取り付ける構成としたものである。取付バンド32は、リボン状に形成されたバンド部32aと、このバンド部32aの一側に設けられた挟持部32bとを有している。バンド部32aを磁石31の穴に貫通させ、その一側を挟持部32bに挿通させて締め込むことにより、取付バンド32を介して磁石31がネット4に着脱可能に取り付けられる。取付バンド32の材質としては、例えば、ABS等のプラスチックやステンレス鋼等の金属を用いることができる。
【0037】
図8Bは、磁石をブロック状の直方体に形成し、その直方体磁石34の一面に取付フック35を設け、その取付フック35でネット4に取り付ける構成としたものである。取付フック35は、略U字状に形成し、その一辺を磁石34に接着剤等で固定すると共に、他辺に弾性を付与するように構成する。この取付フックの係止片をネット4の横糸に掛け止めることにより、磁石34をネット4に着脱可能に取り付けることができる。
【0038】
図8Cは、磁石を球体として形成し、その球体磁石37の中央部を貫通する貫通穴38を設け、その球体磁石37を取付バンド32でネット4に取り付ける構成としたものである。このように構成することによっても、様々な形状の磁石をネット4に固定又は着脱可能に取り付けることができる。
【0039】
ネット4は、例えば、次のようにして枠体組立体18に取り付けることができる。図1には、ネット4を第1枠体2及び第2枠体3に取り付けるための複数の取付バンド40を示している。そして、図2には、複数の取付バンド40によってネット4が枠体組立体18に取り付けられた状態を示している。取付バンド40は、取付バンド32と略同様の構成からなっており、リボン状に形成されたバンド部40aと、このバンド部40aの一側に設けられた挟持部40bとを有している。
【0040】
図1に示したように、ネット4を、その底面領域側から第1枠体2と第2枠体3の開口側に差し込み、ネット4の第1面領域14aの縁綴じ部15を第1枠体2の連接部2cに沿わせ、同じく第2面領域14bの縁綴じ部15を第2枠体3の連接部3cに沿わせる。そして、複数本の取付バンド40を用いてネット4の各縁綴じ部15を各連接部2c,3cに締め付け固定する。この実施例では、各連接部2c,3cに対して4個の取付バンド40を使用しているが、各連接部2c,3cの数はこの実施例に限定されるものではなく、3本以下であってもよく、また、5本以上を使用してもよいことは勿論である。
【0041】
このように、ネット4を枠体組立体18に取り付けることにより、図2に示すような構成を有する鳥類忌避ゴミ収納具1を作成することができる。なお、ネット4を枠体組立体18に取り付ける方法は、上述した取付バンド40を用いるものに限定されるものではなく、例えば、針金や紐等を用いて行うことができることは勿論である。
【0042】
このような構成を有する鳥類忌避ゴミ収納具1は、例えば、次のようにして使用することができる。
図2及び図4は、ネット4に多数のゴミ袋50を収容した状態を示している。鳥類忌避ゴミ収納具1は、ゴミ集積場所の平らなコンクリート面や地面等の地上面に載置して使用する。この鳥類忌避ゴミ収納具1にゴミ袋50を収納する場合は、第2枠体3の連接部3cに取り付けられている固定具11の係止部11bを第1枠体2の連接部2cから引き剥がす。そして、第1枠体2の支柱部2a,2bの先端部と第2枠体3の支柱部3a,3bの先端部とを回動可能に連結する2つの回動軸9,9を回動中心として、第2枠体3の連接部3cを第1枠体2の連接部2cから離れる方向に移動させる。
【0043】
これにより、ネット4の開口側が大きく開かれ、ネット4へのゴミ袋50の投入が可能となる。そこで、ネット4の開口部からゴミ袋50をネット4内に投入し、その後、ネット4の開口部を閉じるように第2枠体3の連接部3cを第1枠体2の連接部2cに近づけ、固定具11の係止部11bを第1枠体2の連接部2cに掛け止める。これにより、図2に示すような状態となり、ネット4の開口部を閉じて、ネット4内に複数のゴミ袋50を収納することができる。
【0044】
このとき、図4に示すように、ネット4の地上面Eから所定の高さ位置Hには、一又は二以上の磁石20が取り付けられており、その高さ位置Hは、地上面Eからカラスやハト等の鳥類の頭の高さと略等しい位置に設定されている。そのため、所定の高さ位置Hが、例えば、24〜26cm程度である場合には、地上面Eを歩いて鳥類忌避ゴミ収納具1に近づくカラスの脳に磁石20の磁力を効果的に作用させて、カラス60を追い払うことができる。これにより、ネット4内に収納されているゴミ袋50がカラス60の嘴により突かれて破かれ、ゴミ袋50内に収納されている生ゴミ等が周囲に飛散するのを防止することができる。
【0045】
また、所定の高さ位置Hが、例えば、10〜12cm程度である場合には、地上面Eを歩いて鳥類忌避ゴミ収納具1に近づくハトの脳に磁石20の磁力を作用させて、ハトを効果的に追い払うことができる。
【0046】
鳥類忌避ゴミ収納具1からゴミ袋50を取り出す場合には、固定具11の係止部11bを第1枠体2の連接部2cから引き剥がし、第2枠体3の連接部3cを第1枠体2の連接部2cから離間させる。これにより、ネット4の開口部が大きく開口され、その開口部からゴミ袋50の取り出しが可能となる。また、前記実施例においては、複数の磁石20を横一列に配置した例について説明したが、複数個の磁石20を上下に複数列配置する構成とすることができることは勿論である。例えば、磁石20の配列高さを12cmと25cmの2列に設定することにより、カラスとハトの両者を共に忌避することができる。
【0047】
図9は、本発明の鳥類忌避ゴミ収納具に係る枠体組立体の第2の実施例を示すもので、固定スタンド71に対して枠体組立体70を着脱可能に構成したものである。枠体組立体70は、第1枠体2と第3枠体3を有しており、第1枠体2の一対の支柱部2a,2bの第1端部から少し内側に入った部分に第2枠体3の一対の支柱部3a,3bの第2端部が回動軸9,9によってそれぞれ回動自在に支持されている。
【0048】
固定スタンド71は、2枚のスタンド板5a,5bと、各スタンド板5a,5bの長手方向の略中央部に立設された金属製のパイプからなる筒状軸受部72によって構成されている。筒状軸受部72の下端は、溶接等の固着手段によって各スタンド板5a,5bに固定されている。また、筒状軸受部72の軸方向(高さ方向)の中途部にはナット73が溶接等の固着手段により固定されていて、このナット73に固定ネジ74が螺合されている。固定ネジ74は、筒状軸受部72に挿入された第1枠体2の一対の支柱部2a,2bの各先端部(第1端部)を側方から押圧し、第1枠体2の一対の下端部を固定スタンド71に着脱可能に固定するものである。
【0049】
以上説明したが、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で各種の変形実施が可能である。例えば、上記実施例においては第1枠体及び第2枠体をパイプ状の部材で構成したが、ベルト状の板材等で構成することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1‥鳥類忌避ゴム収納具、 2‥第1枠体、 2a,2b‥支柱部、 2c‥連接部、 3‥第2枠体、 3a,3b‥支柱部、 3c‥連接部、 4‥ネット、 5a,5b‥スタンド板、 6‥支持棒、 9‥回動軸、 10‥離反規制チェーン、 11‥固定具、 11a‥固定部、 11b‥係止部、 15‥縁綴じ部、 16‥安全ストッパ、 17‥変形防止ロッド、 20‥磁石、 20a,20b‥磁石分割片、 24‥割りピン、 25‥ロックピン、 26‥固定ネジ、 31‥ドーナッツ形磁石、 32‥取付バンド、 34‥直方体磁石、 35‥取付フック、 37‥球体磁石、 40‥取付バンド、 50‥ゴミ袋、 60‥カラス(鳥類)、 70‥枠体組立体、 71‥固定スタンド、 72‥筒状軸受部、 74‥固定ネジ、 E‥地上面、 H‥鳥類の頭の高さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミが詰められたゴミ袋等をコンパクトに収納できると共に、カラスやハト等の鳥類が近づかないようにして収納したゴミ袋等が鳥類の嘴で破かれて中のゴミが飛散されるのを防止することができる鳥類忌避ゴミ収納具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からゴミ袋を収集する場所は地域で決められているが、そのゴミ収集場所において単にゴミ袋がまとめて置かれると、乱雑になって歩行者の通行の妨げになったりすることがある。また、ゴミ収集場所がカラスやハト等の鳥類の巣に近い場合には、飛来したカラス等がゴミ袋を破って中のゴミを散乱させることが多くあり、このような状態を放置すると、散らかされたゴミが腐敗して不衛生になったりするという問題があった。
【0003】
従来の、この種のゴミ収納具としては、例えば、本願特許出願人が先に特許出願したもので、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、ゴミ袋を圧縮して収納するゴミ収納具に関するものが記載されている。
この特許文献1に記載されたゴミ収納具は、一対の端部を有する略コの字形状の少なくとも一つの第1枠体と、少なくとも一つの第1枠体の一対の端部が回動可能に取り付けられる一対の角部を有する略矩形状の第2枠体と、第1枠体内、第2枠体内及び第1枠体と第2枠体との間に張られたネットと、を具備している。第1枠体及び第2枠体は、一対の角部間を回動軸として相対的に開閉可能であり、開いた状態でゴミの投入が可能であり、閉じた状態で両者間にゴミを収納する、ことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−219247号公報 (第3−8頁、第1〜5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のゴミ収納具においては、ネットを構成する糸が太くて丈夫であったため、カラスやハト等の鳥類の嘴による攻撃に対してネットが充分な抵抗力を備えており、収納したゴミ袋に対する鳥類からの防護機能を果たすことが可能であった。ところが、ネットの強度を充分に確保するために、ネットを形成する糸の材料として太くて丈夫なものが用いられていた。そのため、ネットが高価なものとなり、ゴミ収納具全体として高価なものになっているという問題があった。また、ゴミ収集場所にゴミ袋が乱雑に置かれると、車椅子や老人、子供達の通行の妨げになるという問題もある。
【0006】
かかる問題点の対策としては、例えば、使用する糸を細くしてネットの価格を下げることが考えられる。しかしながら、ネットの糸を細くすると、ネット自体の強度が低下してしまうために、カラス等の嘴による攻撃に対して抵抗力が低下してしまう。そのため、ネットごとゴミ袋が破られて中のゴミが飛散してしまうおそれがあり、生ゴミが飛散してしまうと、ゴミの腐敗によってゴミ収集場所の周囲が不衛生になるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、ネットの糸を細くしてゴミ収納具の製造コストを低減させる一方、カラス等の鳥類がネットに近づかないように してネット内に収納したゴミ袋がカラス等の嘴による攻撃で破られないようにし、衛生的で使い勝手の良いゴミ収納具を安価に提供できようにすることを目的とする。また、ネットを用いてゴミ袋を収集することにより、車椅子や老人、子供達の通行の妨げになるのを防ぐことができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の鳥類忌避ゴミ収納具は、略コの字形状に形成された第1枠体と、略コの字形状に形成された第2枠体と、第1枠体の開口側の一対の第1端部と第2枠体の開口側の一対の第2端部とを回動可能に連結する一対の回動軸と、第1枠体内、第2枠体内及び第1枠体と第2枠体との間に張られたネットと、を備えている。ネットは、一対の回動軸を中心として第1枠体と第2枠体を開いた状態でゴミの投入が可能であって、閉じた状態ではゴミを収納可能であり、そのネットの、地上面から鳥類の頭の高さ位置又はその近傍に一又は二以上の磁石を取り付けたことを特徴としている。
【0009】
また、本発明の鳥類忌避ゴミ収納具は、限定されるわけではないが、ネットの磁石の取付位置は、地上面から10cm以上25cm以下であることが好ましい。同じく限定されるわけではないが、磁石の磁力は、1000ガウスから1500ガウスまでの範囲内であることが好ましい。磁石は、複数の磁石片の組み合わせからなり、複数の磁石片でネットを挟持し、その複数の磁石片を接着剤で固着した構成とすることができる。また、磁石に、ネットに対する固定手段を設け、その固定手段を用いて磁石をネットに着脱可能に取り付ける構成としてもよい。さらに、ネットは、適当な間隔をあけて配置される多数の縦糸と、適当な間隔をあけて配置される多数の横糸とにより編成され、多数の縦糸と多数の横糸により形成される網目の大きさは20mmから30mmの範囲内であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の鳥類忌避ゴミ収納具によれば、一対の回動軸を中心として第1枠体と第2枠体を開いた状態にすると、ネットの上側開口部が大きく開かれるため、その開口部からゴミの投入が可能であってゴミを収納することができ、また、第1枠体と第2枠体を閉じた状態にすると、ゴミが詰められたゴミ袋等を軽く圧縮してコンパクトに収納することができる。また、第1枠体と第2枠体に保持されているネットの地上面から鳥類の頭の高さ位置又はその近傍に一又は二以上の磁石を取り付けているため、ネットに近づく鳥類に対して磁石の磁力を作用させることができ、これにより、カラスやハト等の鳥類が近づかないようにすることができる。これにより、ネット内に収納したゴミ袋等が鳥類の嘴で破かれて中のゴミが飛散されるのを防ぎ、ゴミの腐敗によってゴミ収集場所の周囲が不衛生になるおそれを防止することができる。
【0011】
更に、本発明の鳥類忌避ゴミ収納具によれば、ネットの磁石の取付位置を地上面から25cm又はその近傍の高さに設定することにより、地上面から略25cmの高さ位置に頭があるカラスに対して、その磁石が発生する磁力をカラスの頭に作用させて、鳥類忌避ゴミ収納具に近づくのを防止することができる。また、ネットの磁石の取付位置を地上面から10cm又はその近傍の高さに設定することにより、地上面から略10cmの高さ位置に頭があるハトに対して、その磁石が発生する磁力をハトの頭に作用させて、鳥類忌避ゴミ収納具に近づくのを防止することができる。
【0012】
本発明の鳥類忌避ゴミ収納具によれば、磁石の磁力を1000ガウスから1500ガウスまでの範囲内に設定すると共に、ネットへの磁石の取付位置を、地上面から鳥類の頭の高さ(例えば、カラスの場合は25cm、ハトの場合は10〜12cm程度)に設定することにより、この鳥類忌避ゴミ収納具が設置されるゴミ収納場所の周囲において磁石による電波障害等の弊害を発生することなく、カラスやハト等の鳥類が嫌がる磁石の磁場を必要な範囲内において発生させて、カラス等の鳥類が鳥類忌避ゴミ収納具に近づくのを効果的に防止することができる。
【0013】
本発明の鳥類忌避ゴミ収納具によれば、磁石を複数の磁石片の組み合わせによって構成し、その複数の磁石片でネットを挟持して接着剤で固着する構成とすることにより、磁石をネットに簡単且つ確実に取り付けることができる。また、磁石に固定手段を設け、その固定手段を用いて磁石をネットに取り付けることにより、ネットに対して磁石を着脱自在に構成することができ、磁石の取付位置の調整や磁力の強度調整等を簡単且つ容易に行うことができる。
【0014】
さらに、本発明の鳥類忌避ゴミ収納具によれば、適当な間隔をあけて配置される多数の縦糸と、適当な間隔をあけて配置される多数の横糸によってネットを編成すると共に、多数の縦糸と多数の横糸により形成される網目の大きさを20mmから30mmの範囲内に設定することにより、頭の大きさが3cmよりやや大きいカラスや、頭の大きさが2cmよりやや大きいハトが網目に頭を差し込むのを防ぎ、カラス等の頭が網目から抜け出なくなるおそれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例に係る鳥類忌避ゴミ収納具の分解斜視図である。
【図2】図1に示す鳥類忌避ゴミ収納具の使用状態を示す組立斜視図である。
【図3】図2に示す鳥類忌避ゴミ収納具の正面図である。
【図4】図2に示す鳥類忌避ゴミ収納具の磁石と鳥類との高さ関係を表した説明図である。
【図5】本発明の鳥類忌避ゴミ収納具に係る磁石の第1の実施例を示す球形磁石を説明するもので、図5Aはネットへの球形磁石の取付状態を示す説明図、図5Bは球形磁石の接合面の第1の形態を示す一対の分割片の分解斜視図、図5Cは球形磁石の接合面の第2の形態を示す分割片の正面図、図5Dは球形磁石の接合面の第3の形態を示す分割片の正面図である。
【図6】本発明の鳥類忌避ゴミ収納具に係る2分割球形磁石の取付状態を説明するもので、図6Aは割りピンによるピン結合方式、図6Bはロックピンの一端をカシメたカシメ方式、図6Cは固定ネジとナットを用いたねじ結合方式を示す、それぞれ説明図である。
【図7】本発明の鳥類忌避ゴミ収納具に係る複数の磁石の位置関係を表した説明図である。
【図8】本発明の鳥類忌避ゴミ収納具に係る磁石の第2〜第4の実施例を説明するもので、図8Aはドーナッツ形磁石、図8Bは直方体形磁石、図8Cは球形磁石を示す、それぞれ説明図である。
【図9】本発明の鳥類忌避ゴミ収納具に係る枠体組立体の第2の実施例を示す側面図である。
【図10】図9に示す第2の実施例に係る枠体組立体の組立工程を表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1〜図3に示すように、本発明の実施の形態に係る鳥類忌避ゴミ収納具1は、第1枠体2と第2枠体3とネット4とから主に構成されている。
【0017】
第1枠体2は、例えば、パイプのような管状体によって略コの字形状に形成されており、所定の間隔をあけて略平行をなすように配置された一対の支柱部2a,2bと、両支柱部2a,2bの一方の端部間を連結する連接部2cを有している。第1枠体2の一対の支柱部2a,2bの端部(第1端部)には、ゴミ集積場所の地上面や床面等の載置面上に鳥類忌避ゴミ収納具1を載置するために、両支柱部2a,2bが延在する方向と直交する方向に延在されたスタンド板5a,5bがそれぞれ固定されている。このスタンド板5a,5bは、鳥類忌避ゴミ収納具1を建物の壁や塀等に設置する場合は不要となるものである。
【0018】
スタンド板5a,5bは、一対の支柱部2a,2bを載置面に対して略垂直の状態にして支持するもので、例えば、リボン状に細長く形成された金属製の板材によって形成されている。各支柱部2a,2bの先端は、各スタンド板5a,5bの長手方向の略中央部に溶接等の固着手段によって固定されている。各支柱部2a,2bと各スタンド板5a,5bとの間には、それぞれ2本の支持棒6,6が掛け渡されており、2本の支持棒6,6で各支柱部2a,2bを両側から支えている。各支持棒6の一端は、各支柱部2a,2bの先端から所定距離離れた位置において当該支柱部2a,2bを両側から挟むように配置されている。そして、これらと各支柱部2a,2bを貫通するボルト7及びナットからなる固定手段により、各支柱部2a,2bに対して着脱可能に固定されている。また、各支持棒6の他端は、ボルト8によって各スタンド板5a,5bの長手方向の両端に着脱可能に固定されている。
【0019】
第2枠体3は、例えば、パイプのような管状体によって略コの字形状に形成されており、所定の間隔をあけて略平行をなすように配置された一対の支柱部3a,3bと、両支柱部3a,3bの一方の端部間を連結する連接部3cを有している。第2枠体3は、第1枠体2と略同程度の大きさに形成されており、第2枠体3の一対の支柱部3a,3bの先端側の端部は第1枠体2の一対の支柱部2a,2bの先端側に、それぞれ回動軸9によって回動自在に支持されている。
【0020】
第2枠体3の一対の支柱部3a,3bの先端側の端部(第2端部)は、一対の支柱部3a,3bと連接部3cの略全体を結ぶことによって得られる平面に対して一面側に所定角度(本実施例では150°程度)湾曲させて形成している。これにより、一対の回動軸9,9で第1枠体2と第2枠体3を連結した状態において、両枠体2,3を近づけたときに、互いの一対の支柱部2a,2b及び一対の支柱部3a,3bと連接部2c及び連接部3cとが、それぞれ略平行となるように構成されている。そして、第1枠体2の連接部2cの長手方向の中途部には安全ストッパ16を取り付けている。この安全ストッパ16は、両枠体2,3を閉じた状態において、一対の支柱部2a,2b及び一対の支柱部3a,3bと連接部2c及び連接部3cとがするのを防止し、支柱部2a,3a及び2b,3b間や連接部2c及び3c間に指等が挟まれるのを防止するものである。
【0021】
更に、第1枠体2と第2枠体3の間には、両者の連接部2c及び連接部3c側が所定距離以上に離れるのを防止するための2本の離反規制チェーン10,10が設けられている。各離反規制チェーン10の一端は一対の支柱部2a,2bの連接部2c側に固定され、他端は一対の支柱部3a,3bの連接部3c側に固定されている。この離反規制チェーン10,10が伸びた状態が2つの枠体2,3が開いた状態、即ち、鳥類忌避ゴミ収納具1が開いた状態である。
【0022】
更に、第1枠体2の一対の支柱部2a,2bの第1端部間には、一対の支柱部2a,2bの変形を防止するための変形防止ロッド17が掛け渡されて一体的に固定されている。この変形防止ロッド17は、一対の支柱部2a,2bが互いに内側へ曲げられたり、外側へ曲げられたりするのを防止するものである。変形防止ロッド17の材質としては、例えば、金属性の丸棒、角棒、パイプ等を用いることができる。そして、変形防止ロッド17の両端は、溶接等の固着手段によって各支柱部2a,2bに固定する。
【0023】
第2枠体3の連接部3cの長手方向の略中央部には、第2枠体3を第1枠体2側に固定するための固定具11が取り付けられている。固定具11は、第2枠体3に固定するための固定部11aと、この固定部11aに回動可能に連結された係止部11bとを有している。第2枠体3を第1枠体2に接触させた状態で係止部11bを第1枠体2の連接部2cに掛け止めることにより、鳥類忌避ゴミ収納具1が閉じた状態となる。固定具11の材質としては、例えば、ステンレス鋼、スチール鋼等の金属が好適であるが、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、PC(ポリカーボネート)等のプラスチックを適用することもできる。この固定具11によれば、鳥類忌避ゴミ収納具1の開閉動作を簡単且つ確実に行うことができる。なお、固定部11aは、取付ネジ12によって連接部3cに着脱可能に取り付けられている。
【0024】
上述した第1枠体2と第2枠体3とスタンド板5a,5bと支持棒6〜6と回動軸9,9と固定具11と安全ストッパ16と変形防止ロッド17によって第1の実施例に係る枠体組立体18が構成されている。本発明に係る枠体組立体は、この実施例に限定されるものではなく、例えば、スタンド板5a,5bと支持棒6〜6と変形防止ロッド17を廃止して第1枠体2と第2枠体3と回動軸9,9と固定具11と安全ストッパ16で構成することができる。この場合には、例えば、第1枠体を建物の壁や塀等の建築物の壁面に取り付けるようにして使用することができる。また、部品点数を削減することにより、製造費を安くすることができる。
【0025】
ネット4は、第1枠体2の支柱部2a,2b及び連接部2cとの間に展開される第1面領域14aと、第2枠体3の支柱部3a,3b及び連接部3cとの間に展開される第2面領域14bと、第1面領域14aと第2面領域14bとの間に展開される左右の側面領域14c,14dと、第1面領域14aと第2面領域14bと左右の側面領域14c,14dとの間に展開される底面領域とを有し、全体として上面に開口されて袋状に構成されている。ネット4は、伸び縮みする弾性を有するプラスチック、布、ゴム等の材料によって形成されており、例えば、多数の縦糸と多数の横糸を格子状に織り込むことによって構成される。ネット4の表面には光触媒がコーティングされており、この光触媒のコーティングでホコリや汚れ等が付着し難いように構成している。そして、ネット4の開口側の縁には、縦糸及び横糸の解れを防止する縁綴じ部15が無端状に連続するように設けられている。
【0026】
ネット4の網目の大きさは、忌避目的の対象とする鳥の種類によっても異なるが、カラスやハト等の鳥類の頭の大きさよりも少し小さく設定する。例えば、カラスを忌避対象とする場合には、網目の大きさは一辺が3cm程度の正方形に形成し、また、ハトを忌避対象とする場合には、網目の大きさは一辺が2cm程度の正方形に形成すると良い。
【0027】
一般に、カラスの頭の大きさは3cm程度であり、ハトの頭の大きさは2cm程度だからである。即ち、網目の大きさを一辺3cmより大きく設定すると、その網目にカラスが頭を差し込むことにより、カラスの頭が網目に引っ掛かって抜け出なくなるおそれがあるからである。同様に、網目の大きさを一辺2cmより大きく設定すると、その網目にハトが頭を差し込むことにより、ハトの頭が網目に引っ掛かって抜け出なくなるおそれがあるからである。なお、ネット4の網目の大きさは、収容するゴミ袋よりも小さい必要があることは勿論である。
【0028】
また、ネット4の網目の形状は、上述した四角形のものに限定されるものでないことは勿論である。ネット4の網目の他の形状としては、例えば、亀甲形、菱形、三角形その他各種形状のものを適用することができる。
【0029】
図2及び図3に示すように、ネット4の、鳥類忌避ゴミ収納具1が置かれる地上面(載置面)Eから所定の高さ位置Hに、複数の磁石20が取り付けられている。図示した実施例では、ネット4の第2面領域14bの所定の高さ位置Hに、複数(本実施例では8個)の磁石20が横方向(地上面と平行をなす方向)へ所定の間隔をあけて横並びに配置した例について説明している。しかしながら、磁石20は、第1面領域14aに設けてもよく、また、第2面領域14bと第1面領域14aの両方、或いは、これらに左右の側面領域14c,14dを加えた3面又は4面に配置する構成としてもよい。
【0030】
磁石20が取り付けられるネット4の所定高さ位置Hは、対象とする鳥類の種類によっても異なるが、カラスの場合は24〜26cm程度、ハトの場合は10〜12cm程度が好適である。その理由は、一般的に、カラスの成鳥の頭の高さが地上面(載置面)Eから25cm程度であり、ハトの成鳥の頭の高さが地上面(載置面)Eから11cm程度だからである。なお、ここでは、鳥類としてカラスとハトを例にとって説明するが、これらカラス及びハトは、ゴミ集積場所に集まる鳥類として代表的な鳥だからであり、他の鳥類に対して適用できることは勿論である。
【0031】
ここで、ネット4の所定高さ位置Hに磁石20を配置する理由は、カラスやハト等の鳥類は磁石の磁場に発生する磁力を嫌がることが知られており、磁力をカラスやハトの脳に作用させると、カラスやハトをその場から退散させることができるためである。そのための磁石20の磁力の強さは、1000ガウス〜1500ガウスの範囲内にあることが好ましく、好適な強さは1300ガウス程度である。その理由は、磁力が1000ガウス未満の場合には、磁力の強度が弱いためにカラスやハトに対する磁力の影響が少なく、カラス等を退散させることが困難だからである。また、磁力が1500ガウス以上の場合には、周囲の環境に対する磁力の影響が大きくなりすぎてしまい、電波妨害等の弊害を生じるおそれがあるからである。磁力が1300ガウス程度である場合には、その磁場に近づくカラスやハトに対して、その磁力を確実に作用させてカラスやハトを確実に忌避させることができる。
【0032】
磁石の大きさは、発生する磁力の強さが1000ガウス〜1500ガウスの範囲内のものであれば、各種の大きさ、形状のものを適用することができる。図5A〜5Dは、磁石20を2個の磁石分割片20a,20bで形成し、これを組み立てることにより全体として1個の球体からなる磁石20を構成したものである。図5Aは、ネット4を2個の磁石分割片20a,20bで両側から挟み、接着剤で2個の磁石分割片20a,20bを接合した例を示すものである。この場合、図5Bに示すように、2個の磁石分割片20a,20bの各接着面には、2つの縦糸用の縦溝21,21と、2つの横糸用の横溝22,22がそれぞれ設けられている。このように、縦溝21,21内にネット4の縦糸を収容し、横溝22,22内に横糸を収容することにより、2個の磁石分割片20a,20bの各接着面を突き合わせて接合することができる。
【0033】
図5Cは、磁石分割片20a,20bの各接着面に、1つの縦糸用の縦溝21と、1つの横糸用の横溝22を設けた実施例を示すものである。また、図5Dは、磁石分割片20a,20bの各接着面に、3つの縦糸用の縦溝21〜21と、3つの横糸用の横溝22〜22を設けた実施例を示すものである。このように、縦溝及び横溝の数は、上記実施例に限定されるものではない。
【0034】
図6A〜6Cは、2個の磁石分割片20a,20bの固定手段の他の実施例を示すものである。これらの実施例では、2個の磁石分割片20a,20bには、その中央部を貫通するように貫通穴23が設けられている。図6Aは、ネット4を挟むように配置された2個の磁石分割片20a,20bの貫通穴23,23に割りピン24を挿通し、その先端を折り曲げて、割りピン24で固定する例を示したものである。図6Bは、ネット4を挟むように配置された2個の磁石分割片20a,20bの貫通穴23,23にロックピン25を挿通し、その先端をカシメて、ロックピン25でカシメ止めする例を示したものである。また、図6Cは、ネット4を挟むように配置された2個の磁石分割片20a,20bの貫通穴23,23に固定ネジ26を挿通し、その先端にナット27を螺合させて、ネジ26とナット27で固定する例を示したものである。
【0035】
図7は、ネット4に取り付けられる複数の磁石20の横方向の取付間隔Fを説明するものである。この横方向の間隔Fは、磁石20の大きさによって異なるが、隣り合う磁石20,20の、少なくとも互いの磁場Gの一部(ある程度の影響力を有する強度を備えた範囲)の領域が重なり合うように配置する。例えば、磁石20の磁力を1300ガウスに設定した場合において、磁石20の直径を10mmとした場合には、横方向の間隔Fは24cm、磁石20の直径を8mmとした場合に横方向の間隔Fは20cm、磁石20の直径を12mmとした場合に横方向の間隔Fは27cm、磁石20の直径を15mmとした場合に横方向の間隔Fは30cm、磁石20の直径を20mmとした場合に横方向の間隔Fは35cm程度に設定するとよい。これにより、隣り合う磁石20,20間において、互いの磁場の一部を重ね合わせることができ、ネット4の周囲に隙間なく磁気を発生させることができる。なお、横方向の間隔Fは、全ての間隔を等しく(F1=F2=F3=‥=Fn)設定してもよく、また、一部若しくは全ての間隔を異ならせる(例えば、F1>F2=F3=‥<Fn)構成としてもよい。
【0036】
図8A〜8Cは、ネット4に取り付ける磁石の形状及び取付方法の他の実施例を示す。図8Aは、磁石をドーナッツ形に形成し、そのドーナッツ形磁石31を取付バンド32でネット4に取り付ける構成としたものである。取付バンド32は、リボン状に形成されたバンド部32aと、このバンド部32aの一側に設けられた挟持部32bとを有している。バンド部32aを磁石31の穴に貫通させ、その一側を挟持部32bに挿通させて締め込むことにより、取付バンド32を介して磁石31がネット4に着脱可能に取り付けられる。取付バンド32の材質としては、例えば、ABS等のプラスチックやステンレス鋼等の金属を用いることができる。
【0037】
図8Bは、磁石をブロック状の直方体に形成し、その直方体磁石34の一面に取付フック35を設け、その取付フック35でネット4に取り付ける構成としたものである。取付フック35は、略U字状に形成し、その一辺を磁石34に接着剤等で固定すると共に、他辺に弾性を付与するように構成する。この取付フックの係止片をネット4の横糸に掛け止めることにより、磁石34をネット4に着脱可能に取り付けることができる。
【0038】
図8Cは、磁石を球体として形成し、その球体磁石37の中央部を貫通する貫通穴38を設け、その球体磁石37を取付バンド32でネット4に取り付ける構成としたものである。このように構成することによっても、様々な形状の磁石をネット4に固定又は着脱可能に取り付けることができる。
【0039】
ネット4は、例えば、次のようにして枠体組立体18に取り付けることができる。図1には、ネット4を第1枠体2及び第2枠体3に取り付けるための複数の取付バンド40を示している。そして、図2には、複数の取付バンド40によってネット4が枠体組立体18に取り付けられた状態を示している。取付バンド40は、取付バンド32と略同様の構成からなっており、リボン状に形成されたバンド部40aと、このバンド部40aの一側に設けられた挟持部40bとを有している。
【0040】
図1に示したように、ネット4を、その底面領域側から第1枠体2と第2枠体3の開口側に差し込み、ネット4の第1面領域14aの縁綴じ部15を第1枠体2の連接部2cに沿わせ、同じく第2面領域14bの縁綴じ部15を第2枠体3の連接部3cに沿わせる。そして、複数本の取付バンド40を用いてネット4の各縁綴じ部15を各連接部2c,3cに締め付け固定する。この実施例では、各連接部2c,3cに対して4個の取付バンド40を使用しているが、各連接部2c,3cの数はこの実施例に限定されるものではなく、3本以下であってもよく、また、5本以上を使用してもよいことは勿論である。
【0041】
このように、ネット4を枠体組立体18に取り付けることにより、図2に示すような構成を有する鳥類忌避ゴミ収納具1を作成することができる。なお、ネット4を枠体組立体18に取り付ける方法は、上述した取付バンド40を用いるものに限定されるものではなく、例えば、針金や紐等を用いて行うことができることは勿論である。
【0042】
このような構成を有する鳥類忌避ゴミ収納具1は、例えば、次のようにして使用することができる。
図2及び図4は、ネット4に多数のゴミ袋50を収容した状態を示している。鳥類忌避ゴミ収納具1は、ゴミ集積場所の平らなコンクリート面や地面等の地上面に載置して使用する。この鳥類忌避ゴミ収納具1にゴミ袋50を収納する場合は、第2枠体3の連接部3cに取り付けられている固定具11の係止部11bを第1枠体2の連接部2cから引き剥がす。そして、第1枠体2の支柱部2a,2bの先端部と第2枠体3の支柱部3a,3bの先端部とを回動可能に連結する2つの回動軸9,9を回動中心として、第2枠体3の連接部3cを第1枠体2の連接部2cから離れる方向に移動させる。
【0043】
これにより、ネット4の開口側が大きく開かれ、ネット4へのゴミ袋50の投入が可能となる。そこで、ネット4の開口部からゴミ袋50をネット4内に投入し、その後、ネット4の開口部を閉じるように第2枠体3の連接部3cを第1枠体2の連接部2cに近づけ、固定具11の係止部11bを第1枠体2の連接部2cに掛け止める。これにより、図2に示すような状態となり、ネット4の開口部を閉じて、ネット4内に複数のゴミ袋50を収納することができる。
【0044】
このとき、図4に示すように、ネット4の地上面Eから所定の高さ位置Hには、一又は二以上の磁石20が取り付けられており、その高さ位置Hは、地上面Eからカラスやハト等の鳥類の頭の高さと略等しい位置に設定されている。そのため、所定の高さ位置Hが、例えば、24〜26cm程度である場合には、地上面Eを歩いて鳥類忌避ゴミ収納具1に近づくカラスの脳に磁石20の磁力を効果的に作用させて、カラス60を追い払うことができる。これにより、ネット4内に収納されているゴミ袋50がカラス60の嘴により突かれて破かれ、ゴミ袋50内に収納されている生ゴミ等が周囲に飛散するのを防止することができる。
【0045】
また、所定の高さ位置Hが、例えば、10〜12cm程度である場合には、地上面Eを歩いて鳥類忌避ゴミ収納具1に近づくハトの脳に磁石20の磁力を作用させて、ハトを効果的に追い払うことができる。
【0046】
鳥類忌避ゴミ収納具1からゴミ袋50を取り出す場合には、固定具11の係止部11bを第1枠体2の連接部2cから引き剥がし、第2枠体3の連接部3cを第1枠体2の連接部2cから離間させる。これにより、ネット4の開口部が大きく開口され、その開口部からゴミ袋50の取り出しが可能となる。また、前記実施例においては、複数の磁石20を横一列に配置した例について説明したが、複数個の磁石20を上下に複数列配置する構成とすることができることは勿論である。例えば、磁石20の配列高さを12cmと25cmの2列に設定することにより、カラスとハトの両者を共に忌避することができる。
【0047】
図9は、本発明の鳥類忌避ゴミ収納具に係る枠体組立体の第2の実施例を示すもので、固定スタンド71に対して枠体組立体70を着脱可能に構成したものである。枠体組立体70は、第1枠体2と第3枠体3を有しており、第1枠体2の一対の支柱部2a,2bの第1端部から少し内側に入った部分に第2枠体3の一対の支柱部3a,3bの第2端部が回動軸9,9によってそれぞれ回動自在に支持されている。
【0048】
固定スタンド71は、2枚のスタンド板5a,5bと、各スタンド板5a,5bの長手方向の略中央部に立設された金属製のパイプからなる筒状軸受部72によって構成されている。筒状軸受部72の下端は、溶接等の固着手段によって各スタンド板5a,5bに固定されている。また、筒状軸受部72の軸方向(高さ方向)の中途部にはナット73が溶接等の固着手段により固定されていて、このナット73に固定ネジ74が螺合されている。固定ネジ74は、筒状軸受部72に挿入された第1枠体2の一対の支柱部2a,2bの各先端部(第1端部)を側方から押圧し、第1枠体2の一対の下端部を固定スタンド71に着脱可能に固定するものである。
【0049】
以上説明したが、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で各種の変形実施が可能である。例えば、上記実施例においては第1枠体及び第2枠体をパイプ状の部材で構成したが、ベルト状の板材等で構成することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1‥鳥類忌避ゴム収納具、 2‥第1枠体、 2a,2b‥支柱部、 2c‥連接部、 3‥第2枠体、 3a,3b‥支柱部、 3c‥連接部、 4‥ネット、 5a,5b‥スタンド板、 6‥支持棒、 9‥回動軸、 10‥離反規制チェーン、 11‥固定具、 11a‥固定部、 11b‥係止部、 15‥縁綴じ部、 16‥安全ストッパ、 17‥変形防止ロッド、 20‥磁石、 20a,20b‥磁石分割片、 24‥割りピン、 25‥ロックピン、 26‥固定ネジ、 31‥ドーナッツ形磁石、 32‥取付バンド、 34‥直方体磁石、 35‥取付フック、 37‥球体磁石、 40‥取付バンド、 50‥ゴミ袋、 60‥カラス(鳥類)、 70‥枠体組立体、 71‥固定スタンド、 72‥筒状軸受部、 74‥固定ネジ、 E‥地上面、 H‥鳥類の頭の高さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略コの字形状に形成された第1枠体と、
略コの字形状に形成された第2枠体と、
前記第1枠体の開口側の一対の第1端部と前記第2枠体の開口側の一対の第2端部とを回動可能に連結する一対の回動軸と、
前記第1枠体内、前記第2枠体内及び前記第1枠体と前記第2枠体との間に張られたネットと、を備え、
前記ネットは、前記一対の回動軸を中心として前記第1枠体と前記第2枠体を開いた状態でゴミの投入が可能であって、閉じた状態では前記ゴミを収納可能であり、
前記ネットの、地上面から鳥類の頭の高さ位置又はその近傍に一又は二以上の磁石を取り付けた
ことを特徴とする鳥類忌避ゴミ収納具。
【請求項2】
前記ネットの前記磁石の取付位置は、前記地上面から10cm以上25cm以下である
ことを特徴とする請求項1記載の鳥類忌避ゴミ収納具。
【請求項3】
前記磁石の磁力は、1000ガウスから1500ガウスまでの範囲内である
ことを特徴とする請求項1記載の鳥類忌避ゴミ収納具。
【請求項4】
前記磁石は、複数の磁石片の組み合わせからなり、
前記複数の磁石片で前記ネットを挟持し、当該複数の磁石片を接着剤で固着した
ことを特徴とする請求項1記載の鳥類忌避ゴミ収納具。
【請求項5】
前記磁石に、前記ネットに対する固定手段を設け、
前記固定手段を用いて前記磁石を前記ネットに着脱可能に取り付けた
ことを特徴とする請求項1記載の鳥類忌避ゴミ収納具。
【請求項6】
前記ネットは、適当な間隔をあけて配置される多数の縦糸と、適当な間隔をあけて配置される多数の横糸とにより編成され、
前記多数の縦糸と前記多数の横糸により形成される網目の大きさは20mmから30mmの範囲内である
ことを特徴とする請求項1記載の鳥類忌避ゴミ収納具。
【請求項1】
略コの字形状に形成された第1枠体と、
略コの字形状に形成された第2枠体と、
前記第1枠体の開口側の一対の第1端部と前記第2枠体の開口側の一対の第2端部とを回動可能に連結する一対の回動軸と、
前記第1枠体内、前記第2枠体内及び前記第1枠体と前記第2枠体との間に張られたネットと、を備え、
前記ネットは、前記一対の回動軸を中心として前記第1枠体と前記第2枠体を開いた状態でゴミの投入が可能であって、閉じた状態では前記ゴミを収納可能であり、
前記ネットの、地上面から鳥類の頭の高さ位置又はその近傍に一又は二以上の磁石を取り付けた
ことを特徴とする鳥類忌避ゴミ収納具。
【請求項2】
前記ネットの前記磁石の取付位置は、前記地上面から10cm以上25cm以下である
ことを特徴とする請求項1記載の鳥類忌避ゴミ収納具。
【請求項3】
前記磁石の磁力は、1000ガウスから1500ガウスまでの範囲内である
ことを特徴とする請求項1記載の鳥類忌避ゴミ収納具。
【請求項4】
前記磁石は、複数の磁石片の組み合わせからなり、
前記複数の磁石片で前記ネットを挟持し、当該複数の磁石片を接着剤で固着した
ことを特徴とする請求項1記載の鳥類忌避ゴミ収納具。
【請求項5】
前記磁石に、前記ネットに対する固定手段を設け、
前記固定手段を用いて前記磁石を前記ネットに着脱可能に取り付けた
ことを特徴とする請求項1記載の鳥類忌避ゴミ収納具。
【請求項6】
前記ネットは、適当な間隔をあけて配置される多数の縦糸と、適当な間隔をあけて配置される多数の横糸とにより編成され、
前記多数の縦糸と前記多数の横糸により形成される網目の大きさは20mmから30mmの範囲内である
ことを特徴とする請求項1記載の鳥類忌避ゴミ収納具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−52930(P2013−52930A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190167(P2011−190167)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(593018541)大庭ビルメインテナンス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(593018541)大庭ビルメインテナンス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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