説明

麦芽飲料のフレーバー寿命を延長するためにシソ科ハーブ調合物を使用する方法

本発明は、シソ科ハーブエキスを完成した飲料又は飲料の製造工程に添加することによって飲料(ビール及びその他の麦芽飲料を含む)のフレーバー寿命を増加させる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シソ科ハーブエキス(Labiatae herb extracts)を完成した飲料に又は飲料製造の工程に加えることによって、ビール及びその他の麦芽飲料を含む飲料のフレーバー寿命を増加させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレッシュビールフレーバーは極めて不安定であり、そして新たに醸造し容器詰された時から、飲まれる時までに低下する。ビールが輸送又は貯蔵中に高い温度にさらされればさらされるほど,フレーバーはますます早く低下する。貯蔵温度が容易に40-50°C(104-122°F)に到達しうる熱帯又は砂漠気候で,ビールのフレーバーは一日又は二日で深刻に影響をうけることになる。温暖な気候でさえも,温度変化が起こりうる。したがって,ビールの賞味期限は月単位でなく、週間単位で判定される。
【0003】
本明細書において,用語“ビール”を27CFRサブパートB,セクション25.11の定義にしたがって使用する。すなわち:
“アルコール分0.5%以上を有する、あらゆる名称又は銘柄のうちのビール,エール,ポーター,スタウト及びその他の類似の醗酵飲料(酒又は類似品を含む)であって、これらは全部又は一部が麦芽から、又は麦芽のあらゆる代替物から醸造されるか又は製造される。”
【0004】
麦芽飲料(malt beveages)は27CFRサブパートBセクション7.10で次のように定義される。すなわち:
“大麦麦芽とホップ,又はその一部,又はその生成物を,その他の麦芽穀物の存在又は不在下に,そして麦芽処理されていない又は処理された穀物,その他の炭水化物又はこれから製造された生成物の添加又は不添加下に,そして二酸化炭素の添加又は不添加下に,そしてヒトの食物摂取に適するその他の有益な生成物の存在又は不在下に、飲料用水醸造(potable brewing water)中でインフュージョン又は煮沸式仕込み(decoction)又はこれらの組み合わせによるアルコール醗酵によって作られた飲料。”
【0005】
フレーバー麦芽飲料はビールと及び麦芽飲料と極めて異なっていると通常みなされ,そして別々に取り扱つかわれる。フレーバー麦芽飲料は、規定作成案の通知,連邦公報(Federal Register)/Vol.68,No.56/2003年3月24日(月曜日)の記載と同様に、その他の麦芽飲料と区別されて定義され、認識されている:
“フレーバー麦芽飲料は醸造所で製造されるが,その製造方法はその他の麦芽飲料又はビールの製造と著しく異なる。フレーバー麦芽飲料の製造で,醸造者は麦芽及びその他の醸造材料からビールの醗酵されたベースを醸造する。ついで醸造者は麦芽飲料特徴をベースから除くために、種々の処理工程によってこのベースを処理する;すなわち醸造者はビール,エールポーター,スタウト及びその他の麦芽飲料が通常伴う色,苦味及び味を除く。この処理によって、醸造者が種々のフレーバー(これは通常蒸留酒に含まれる)を添加するベース生成物に、所望の味質及びアルコールレべルが達成される。”
【0006】
本明細書において,用語"麦芽飲料"はビール,エール,ドライビール,ニアビール,ライトビール,低アルコールビール,低カロリービール,ポーター,ボックビール,スタウト,麦芽酒(maltliquor),ノン-アルコール麦芽飲料、アルコールが除かれたビール等のような泡を形成する、醗酵された麦芽飲料を含む。その他に明記しない限り,用語"ビール"はフレーバー麦芽飲料でない、醗酵麦芽飲料の全グループの総称として本明細書全体を通して使用される。
【0007】
Bamforthによる総論[2000]にうまく要約されているように、醸造者はさまざまな方法でフレーバー安定性問題を解決しようと試みてきた:
1. ビール製品の輸送及び貯蔵の温度を低下させることによって-極めて高価な工程で,発展途上国で実現不可能。
2. 醸造工程の種々の段階で醸造材料と酸素の接触を減少させることによって。
3. 低リポキシナーゼ活性を有する大麦を選ぶことによって。
4. 焙乾温度を最大することによって。
5. 砂糖副原料及び着色麦芽(colored malt)(高ポリフェノール類含有量)の使用を増加させることによって。
6. 嫌気性製粉を使用することによって。
7. 麦汁煮沸中で、過度に長い加熱サイクル(heating cycles)を避けることによって。
8. 完成品中の二酸化イオウレベルを増大させる酵母品種を使用することによって。
9. 酸素を捕捉するクラウンライナー(crown liners)を使用することによって。
10. 還元されたイソ-α-酸を使用することによって。
11. 流通販売システムで在庫の回転の効率を増加させることによって。
12. アスコルビン酸を添加することによって。
【0008】
ビールは、成分の複合混合物を含む。ビール中に自然に存在する化合物のいくつかは、内生の酸化防止剤の役目をすることによって、ある種の“酸化緩衝液”をもたらす。酸化防止剤は、酸化反応の進行を遅くする材料である。いくつかの酸化防止剤は、これらが保護する基質よりも容易に酸化を受ける犠牲物質として作用することによって機能する。有効であるために,その酸化生成物は無害でなければならず、そして次の酸化反応に巻き込まれる可能性がないことが必要である。酸化及び還元反応は対になっているので,これらの酸化防止剤は還元剤として作用する。醸造者は、低下電圧(the reducing potential),還元電位,酸化還元電位又はビールの還元活性としてさまざまに知られていることを測定することによって、ビール中のこれらの内生の酸化防止剤のレべルの指標を定期的に得る。還元活性又は酸化還元電位が高ければ高いほど,ビールはますますフレーバー安定であることはこの業界で一般に合意されている。
【0009】
酸化還元電位は、多くの方法によって測定することができる。これらの方法で、ビールはさまざまな形の酸化攻撃(oxidative insult)を受け、ついでその応答を測定する。ビールをジクロロインドフェノール(DCIP)で処理することは、これらのテストのうちの1つの基準であり,そして本出願におけるすべての酸化還元電位測定の基準となりうる。公知の量の着色料をビールに添加する。内生の酸化防止剤は着色料の量を低下させ,低下されるその量を分光光度法で測定する。別のテストはビールを比較的に安定なフリーラジカル,ジフェニルピクリルヒドラジル(DPPH)で処理することを含む。フリーラジカルはビール中に存在する還元剤によって捕捉される。再度,どの程度フリーラジカルが消費されるのかを分光光度法で測定する。
【0010】
還元活性に寄与すると知られている、ビール中に存在する化合物の少なくとも3つの顕著な包括的分類がある。これらはメラノイジン類,ポリフェノール類及び亜硫酸塩である。ビールのフレッシュフレーバーを守る1つの方法は、これらの内生酸化防止剤群を保護することであるらしい。
【0011】
メラノイジン類は、アミノ酸と還元糖の間に生じるメラード反応に起因する、不完全に定義された構造を有する化学物質の複合混合物である。メラノイジン類の酸化促進活性及び酸化防止活性については優れた論文で公表された[Ames,2001]。
【0012】
ビール中のポリフェノール類は2つの主要な供給源,麦芽及びポップに由来し、そしてビール中でいくつかの複合的な役割を果たす。これらは酸化還元電位に寄与する。すなわち内生の酸化防止剤としての役目をする。これらはまたビール熟成のもう一つの不利な現れである寒冷混濁の形成に関与した。ポリフェノール類が酸化重合されて十分に高い分子量になり、ビール中に存在するある種の蛋白質と不溶性複合体を形成する時、寒冷混濁は生じる。ビールは常に材料、たとえばポリビニルポリピロリドン(PVPP)及びシリカゲルで処理されて、ポリフェノール類を除去し、容器詰において安定性を改善する。
【0013】
ビールフレーバー安定性にとって明らかに重要である、1つの内生の酸素捕捉物質は二酸化硫黄である。こえは醗酵工程中に酵母によって製造される。いくつかの国々で,補足SO2の添加は許可されている。ビール中で常に直面するpHで,SO2は常に酸素を吸収して硫酸塩を生じる亜硫酸塩の形で存在する。SO2がビールフレーバー安定性に不利な影響を与えうる証拠もある。これは醗酵工程の間アルデヒド類と共に錯化剤として働き,これらの不快な風味の化合物のアルコールへの変換を防ぎ、そしてこれらを完成したビール中にまで持ち続けさせる。二酸化硫黄は酵母生成物であり、そして自然にビール中にあるので,劣化を妨げるには不十分である。
【0014】
関連技術の説明
麦芽飲料
ビールのフレッシュフレーバーを維持する課題は2つの別個のものに分けることができるが,これらは相互に関連する問題である。第一の課題はフレッシュビールの感覚刺激に反応する性質に関与するこれらの化学物質の保護に関する。ビールと同じく化学的に複雑な飲料中に,多数の味及びアロマ活性成分が存在する。重要な味及びアロマ活性化合物の多くはまだ識別されていない。感覚刺激に反応する変化を防ぐために,これらの材料を維持する必要がある。これらをその他の化合物に変換する化学反応は防止されねばならないか,又は少なくとも遅延させねばならない。ビールのフレッシュフレーバーを維持する第二の課題は、望ましくない味及びアロマ効果を発生する不快な風味の化合物(これはしばしば劣化化合物と呼ばれる)の生成を防止することに関する。脂肪酸ヒドロパーオキサイド類の分解から嫌な味のするアルデヒド類及びケトン類の発生は、よく知られた例である。当然,有益なフレーバー又はアロマ活性成分をフレーバー又はアロマニュートラル成分に変換すると共に、重要な,有益なフレーバー活性化合物が望ましくない不快な風味を発生する化合物に変換されることも起こりうる。加水分解,酸化,還元,縮合,メラード及びその他の化学反応の主役は、ビール中のフレーバー変化のすべての化学においてさまざまな形でおそらく関与している。
【0015】
酸化現象がビールの不快な風味の発現に顕著な役割を果たすと一般に合意されている。容器詰されたビール中で酸化工程がどのように生じるか又はこれらが冷蔵による以外にどのように最善の醸造技術を用いて遅延されうるのかにつてのコンセンサスはない。
醸造工程は極めて簡単な式で以下の通り表わされる。
【0016】
麦芽製造

焙乾

マッシング

麦汁濾過又はビールの濾過

麦汁煮沸

沈殿(Settling)

醗酵

低温殺菌

容器詰

流通販売

醸造工程は多くの段階からなり、品質及び化学特徴を変化させながら多くの成分が関与することができるので、醸造工程を通して使用される条件及び材料は、完成品のフレーバー安定性に著しい影響を与える。
【0017】
酸化の結果としての不快な風味の発生は、ビール製造のほぼすべての段階で起こりうる。大麦を麦芽にする場合,酸素及び活性リポキシナーゼ酵素は存在するいくつかの脂肪酸をヒドロキシペーオキシド類に変える。これらの化合物は、種々の揮発性カルボニル化合物に分類されることは周間知である。そのうちのいくつかは紙様の又はボール紙様の又は革様のフレーバー及び劣化ビールのアロマ特徴を有する。アセトアルデヒドも顕著な初期劣化化合物である。これらのいわゆる劣化化合物のいくつかは、極めて低いフレーバー/アロマ閾値を有する。トランス-2-ノネナールは1ppbより少ない閾値を有し、ビール熟成の初期の段階で発生される紙様の/ボール紙様のアロマ及びフレーバーに主に関与すると大部分の調査員によってみなされる。最初の酸化生成物として生じるヒドロパーオキサイド化合物は、醸造工程であとで生じる有害反応の開始剤として役割を果たすこともできる。その他のアルデヒド類,たとえばフェニルアセトアルデヒド及び3-メチルブタナールは、ビールに対する不適切な温度環境(不適切な環境温度)の公知の指標である。
【0018】
醗酵性砂糖が麦芽から抽出される方法を、マッシングと呼ぶ。マッシング段階で製造された液体をマッシュと呼ぶ。リポキシナーゼ酵素はマッシング段階の間まだ活性であり、後の段階で酸化開始剤として働くことができる過酸化脂質を迅速に発生させることができる。醸造工程においてこの段階で又はほぼすべての他の段階で酵素にさらすことは、最終的なビールフレーバー安定性に有害な影響を与える。
【0019】
マッシングで製造された醗酵性液体は、いくつかの濾過形によって麦芽カスから分離される。空気に完全にさらされながら高められた温度で行われるこの濾過操作の間マッシュを酸素にふれさせ、酸化が起こりうる。
【0020】
あらゆる添加副原料と共に醗酵性液体を、ポップ又はホップエキスと混合し、ついで煮沸してマッシュを生じさせる。酸化がこの熱処理で起こりうる。マッシュを冷却した後,酵母を入れ、混合物をその間中泡だった空気によって酸化でする。この段階は酸化が起こりうるもう一つの明らかな場所である。
【0021】
空気の添加後,酵母は酸素を新陳代謝し、ついで醗酵は嫌気的に進む。前酸化段階で製造されたアルデヒド類及びケトン類のほとんどすべては、酵母によってアルコールに還元される。幾人かの研究員は、酵母によって製造された亜硫酸塩がアルデヒド類との1,2-付加物を生じさせ、そしてそれらの還元を防ぐと考えている。これらの保護された亜硫酸水素塩付加物は完成したビールに移行し,そこでこの付加反応は逆になり、アルデヒド類を遊離し、不快な風味の化合物の製造を生じさせる。その他の研究員は、醸造工程の初期に形成されるアルデヒド類がシッフ塩基化合物を蛋白質と共に生じさせること、そしてこれらの化合物が容器詰されたビール中で解離して、劣化アルデヒド類を発生すると信じている。
【0022】
この場合,醸造工程の初期に生じる酸化はこの工程のずっと後に明らかに起こる。
容器詰は酸化が容易に生じうる工程の別の重要な部分である。この段階の間瓶又は缶に入る酸素の量を制限することは極めて困難である。この数十年にわたって,醸造者は、容器詰の間ビールに入る酸素の量を劇的に低下させることができた。この改善は一般により良い製品賞味期限と解されるが、酸素のレベルでの更なる還元ははるかに大きい費用を必要とし、フレーバー安定性の比較的に僅かな改善しかもたらさない。Bamforth[2000]は、0.1ppbの酸素(ばかばかしいほど低いレベル)でさえ酸化損害を与えるには十分な範囲であると述べている。その他の著者は、結合された形、たとえばヒドロパーオキシドの形にある、完成したビールに存在する酸素がたとえば更なる熟成を生じさせる有害なフレーバー変化を引き起こすのに十分であると指摘している。
【0023】
所望されないフレーバー変化は、低温殺菌の間に生じ、この反応のいくつかは確かに酸化工程に起因する。低温殺菌処理で,醸造者は新たに醸造されたフレーバーのある量の損失を増加された微生物の安定性と引き換えている。
【0024】
ビールフレーバー安定性問題の複雑さは、その原因及び解決に対して産業及び研究団体の双方において合意されていない現在の動向によって浮き彫りにされる。多くの課題が活発に議論されている。劣化フレーバー発生に対する種々の提案された道筋の相対的重要性ははっきりしないままであり、そして劣化化合物に対する前駆体の性質ははっきりと確立されなかった[DeCooman等,2000]。ビールフレーバー不安定性の問題を解決するための多様な試みのいくつかを以下に記載する。
【0025】
議論の意向は、下記文献(及びここに引用された参考資料)中にビールフレーバー安定性の化学に関する多くの論文から得ることができる:
【非特許文献1】M.Dadic,“Beer Stability-A Key to Success in Brewing,”Tech.Q.Master醸造物.Assoc.Am.,21(1): 9-26,1984。
【非特許文献2】M.T.Walters,“Natural Antioxidants and Flavour Stability,”Ferment,10(2), 111-119, 1997。
【非特許文献3】W.Back,C.Forster,M.Kratienthaler,J.Lehmann,B.Sacher and B.Thum,“New Research Findings on Improving Taste Stability,”BrauweltInt., 394-405, 1999。
【非特許文献4】C.W.Bamforth,“Making Sense of Flavor Change in Beer,”Proc.Cong.-Eur.Brew.Conv., 37(2), 165-171, 2000。
【0026】
外因の酸化防止剤
多くの物質がビールのフレッシュフレーバーを維持すると判定された。これらはアスコルビン酸,EDTA,カテキン類,ポリフェノール類及びアスコルベート類である。これらのいくつかはビールフレーバー安定性に害のある作用を有する。たとえば,アスコルビン酸がビール中に存在するポリフェノール類に対する酸化促進剤として作用しうることを示唆させた。
【0027】
Walter等[1997,パート1及び2]は、規格化された酸化防止剤検査で多くの帰属の天然酸化防止剤を選別した。中でもポリフェノール類であるか又はこれを含むカテキン,ケルシチン及び緑茶エキスが挙げられ、そしてこれらが効果がないことが分かった。かれらはフェルラ酸,コーヒー酸及びシナピン酸も試した。とりわけ,ジンジャー,オレガノ(シソ科のメンバー),“スパイスカクテル”,及びHerborH41と呼ばれる商標登録された物質のハーブエキスを試した。オレガノ及びHerbor41を含むハーブエキスは更に研究することに選ばれなかった。というのはこれらが更なる検査を保証するのに十分に有効でないからである。フェルラ酸及びカテキンをビール劣化検査を伴う更なる研究に選んだ。それ故,公知技術は、シソ科エキス及び更に詳しくはCA,CN及びRAを含むものは劣化を防ぐのに有効でないこと、そしてだれも劣化に関してビール調合物中でシソ科ハーブエキスを調査しなかったことを示す程度のものである。
【0028】
Dadic[1984]は、広汎に使用される食品用酸化防止剤,BHA及びBHTは効果がないことを結論づけた。
【0029】
今日まで、ビールフレーバー不安定性の複雑な問題に対する本当に有効な又は商業上発展しうる解決策は、醸造工業によって全く実施されなかった。
【0030】
自家醸造共同体はインターネットでレシピを共有する。独特のフレーバーを得ることを目的とする醸造工程にスパイスを添加することを特徴とするいくつかのレシピがある。http://byo.com/feature/56.htmlwebsiteで,タイム,バジル,ペパーミント及びローズマリーを自家製ビールに添加することが議論されている。使用法は、ウォッカを用いて調製されたスパイスのエタノールエキス又は溶液又はペパーミントの場合熱い水から調製されたお茶を添加することについて述べられている。これらのスパイスはフレーバー安定性を改善するために添加されない。これらは香味付け剤として、そして量的にフレーバー閾値を軽く上回って単に添加され、生成物にフレーバーを与える。その他の例としてhttp://byo.com/recipe/298.html及びhttp://www.cs.csustan.edu/~gcrawfor/beerfiles/holiday.htmlが挙げられる。これに反して、本発明はフレーバー変化を飲料に与えない、フレーバー安定化方法である。
【0031】
蒸留酒及び精製された醗酵水ベースを使用するために,フレーバー麦芽飲料はビールに関連するさまざまな劣化フレーバーがあまり発見されない傾向がある。にもかかわらず,醗酵からの残留物によって,添加されたフレーバーの不安定性及び劣化が起こりうる。このフレーバー不安定性及び劣化を、CA,CN及びRAの混合物によってRA単独でを用いるよりも有効に低下させることができる。RAがシトラールの分解を防ぐのに特に有効であることは周間知であり、そしてRAが水溶性であるので、炭酸かんきつ飲料に添加された。しかし,本発明者は、本発明のRAとCAの組み合わせがかんきつフレーバー飲料及びフレーバー麦芽飲料中でフレーバー分解を防ぐのに驚くほどより有効であることを見出した。注目すべきは、フレーバー麦芽飲料は成分でビール及び麦芽飲料と極めて相違することである。というのはこれらが蒸留酒の添加に依存し、それゆえに極めて低下された酸化還元電位を有するからである。ビール芳香化合物及びホップフレーバーは奪われて、非常に低下する。ビール中の有効量は必ずしもフレーバー麦芽飲料中の有効量と関係せず、有効量中にあるメラノイジン又は類似の化合物のどれも存在しない。
【0032】
ビールフレーバー安定性に影響を及ぼすファクターを把握し、そして許容し得るフレーバー安定性を有するビールを製造するために努力したのにもかかわらず、課題は相変わらず顕著な経済的影響を伴う品質問題にある。課題の重要性は、フレーバー安定性研究が今日の醸造研究の最も大きい領域であるという事実から明らかである[N.J.Huige,1993]。
シソ科ハーブエキスの使用によって、この課題が解決されることは実証されなかったか又は提案されなかった。
【0033】
非麦芽飲料
2つの特許に、かんきつ-フレーバー及びその他の飲料中でシトラールの消失又はリモネンの分解等々を防ぐためにローズマリーエキスを使用することが公表された。Todd(米国特許第5,023,017号明細書)及びBank等(米国特許第6,306,450号明細書)。これらの飲料はノン-アルコールであり、そしてビール中に存在するボール紙様の及びその他の劣化フレーバーの発生の影響を受けない。というのはこれらが麦芽からの醗酵生成物でないからである。CA,CN及びRAがビール劣化を遅らせることはこれらの参考文献から示唆されないか、又は推測されない。これらの飲料は、添加されたフレーバーの分解反応によるフレーバー損失及び不快な風味発生の損害を受ける。
【0034】
この特許出願中のこれらの教示及び知見から明らかなことは、ビールのフレーバー安定性に酸化防止添加物が影響を及ぼすことが予測されえないことである。ビール中にフレッシュフレーバーを維持するのを助けるシソ科ハーブエキスの使用は、以前に開示されていなかったか又は示唆されなかった。
【0035】
シソ科ハーブエキスはその他の飲料系に保存効果を与える。そのフレーバー及びアロマがフレーバー及びアロマ化学物質の複合混合物の結果である。複合フレーバー及びアロマ系の良好な例は、コーヒーフレーバーエキスである。
【0036】
油溶性又は親油性シソ科ハーブエキス又は成分の能力は、水性ベースの飲料系、たとえばビール,かんきつ,フルーツ,ベリー及びコーラフレーバー非炭酸ソフトドリンク及び炭酸飲料及びコーヒーで特に驚くべきことがである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
本発明の対象
本発明の対象は、カルノシン酸,カルノソール又はそれらの混合物で完成したビールを処理することによって麦芽飲料及びビールのフレーバー寿命を増加させる方法を提供することである。
【0038】
本発明の別の対象は、醸造工程で種々の段階にロズマリン酸,カルノシン酸及びカルノソールを含む成分を添加することによって、麦芽飲料及びビールのフレーバー寿命を増加させる方法を提供することである。
【0039】
本発明の別の対象は、麦汁煮沸前の醸造処理段階のいずれか又はすべてでロズマリン酸を含む成分を添加することによって及び麦汁煮沸中の又は麦汁煮沸の後の醸造処理段階のいずれか又はすべてにカルノシン酸及び(又は)カルノソールを含む成分を添加することによって、麦芽飲料及びビールのフレーバー安定性を改善する方法を提供することである。
【0040】
本発明の別の対象は、麦芽穀粒からマッシュを生成させる前又はその間にロズマリン酸を含む成分の添加によって、醸造で使用されるマッシュの酸化還元電位を増加させることである。
【0041】
本発明の別の対象は、カルノシン酸を含む成分をビールに醗酵後に添加することによって、完成したビールの酸化還元電位を増加させることである。
【0042】
本発明の別の対象は、麦汁煮沸を含む工程から低温殺菌処理の直前までの醸造工程であらゆる段階でカルノシン酸及び(又は)カルノソールを含む成分の添加によって、低温殺菌処理中に、麦芽飲料及びビールの酸化還元電位の損失を最小化することである。
【0043】
本発明の別の対象は、カルノシン酸又はカルノシン酸とロズマリン酸の混合物を含む成分を完成したビールに又はビール製造のあらゆる段階で添加することによって、ビールを貯蔵した時に,イソフムロン又は還元されたイソフムロンのシス対トランスの比率の変化速度を低下させることである。
【0044】
本発明の別の対象は、カルノシン酸又はカルノシン酸とロズマリン酸の混合物を含む成分を完成したビール又はビール製造のあらゆる段階で添加することによって、貯蔵中にビールの色を維持することである。
【0045】
本発明の別の対象は、製造工程である段階にカルノシン酸,ロズマリン酸又はそれらの混合物を含む成分の添加によって、酸素の害となる量にさらされた完成したビールの酸化還元電位を維持する方法を提供することである。
【0046】
本発明の別の対象は、カルノシン酸又はロズマリン酸及び特にそれらの混合物を含む成分の添加によって、熟成されたビール,特に酸素の害となる量にさらされたビールのかすみ形成を遅らせる方法を提供することである。
【0047】
本発明の別の対象は、カルノシン酸又はロズマリン酸及び特にそれらの混合物を含む成分の添加によって、熟成された又は不適切な温度環境に置かれたビール中にフェニルアセトアルデヒド及び3-メチルブタナールの生成を遅らせる方法を提供することである。
【0048】
本発明の別の対象は、カルノシン酸、及びカルノシン酸,カルノソール及びロズマリン酸の混合物を含む成分の添加によって、フレーバーコーヒー,かんきつ,フルーツ,ベリー及びコーラフレーバー非炭酸ソフトドリンク及び炭酸飲料のフレーバー寿命を増加させる方法を提供することである。
【0049】
定義
本明細書において酸化還元電位は、“Methodensammlung der Mitteleuropaischen Brautechnischene Analosen Kommission, Vierte Ausgabe 2002, Editor Prof. Dr. H. Miedaner, Weihenstephan, p.104-107”に記載されてた方法によって測定されるようにDCIPテストによって得られる値である。
【0050】
本明細書において完成したビールを、醸造工程全体を経て、ついでミニ樽,ビヤ樽,瓶又はカン又はその他の容器に詰められる直前であるか、又は詰められた後に関係なく、飲用できる状態にあるたビールとして定義する。
【0051】
本明細書において本発明の調合物は、カルノシン酸;カルノソール;ロズマリン酸;フラボノイド,たとえばルテオリン7-グルクロニド,ルテオリン3'-グルクロニド,ルテオリン7-ジグルクロニド及びルテオリン7-グルクロニド-3'-フェルリルグルコシドオ;ロズマリキノン;ロズマノール;エピ-ロズマノール;イソロズマノール;ロズマリジフェノール;12-メトキシカルノシン酸;及びカルノシン酸のエステル,たとえばカルノシン酸メチル及びカルノシン酸エチル;及び場合によりイソフムロン類;ジヒドロ-イソフムロン類;テトラヒドロ-イソフムロン類;ヘキサヒドロイソフムロン類及びホップ油を含むシソ科ハーブエキス又はシソ科ハーブ成分を意味する。油溶性調合物を、水中での分散性を高めるために食品用添加物,乳化剤又は希釈剤と混合することができる。許容し得る食品用キャリヤーは、エタノール,プロピレングリコール,ベンジルアルコール又はグリセリン,脂肪酸のモノグリセリド,脂肪酸のジグリセリド,又はショ糖エステル及びそれらの混合物である。水溶性調合物を同様にエタノール,プロピレングリコール,ベンジルアルコール又はグリセリン,又はそれらの混合物のような食品用添加物と混合して、取り扱いを容易にし、そして使用を簡単にすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0052】
本発明の要旨
したがって本発明によって含まれると考えられる要件を、特に下記の様に要約することができる:
ビールの安定化
シソ科ハーブエキス又はシソ科ハーブ由来の化合物を醸造工程の1つ以上の段階で又は容器詰の前の完成した飲料に添加することによってビールを含む麦芽飲料のフレーバー安定性を劇的に改善することができることを本発明者は見出した。増加されたフレーバー安定性を、訓練されたフレーバーパネリストによって行われるパネル試験を用いて様々なビールにおいて測定した。安定性の増加は、処理されていないビール対処理されたビールの酸化還元電位の増加からも推察することができる。
【0053】
シソ科ハーブエキス又はその有効成分,主にカルノシン酸(CA),カルノソール(CN),ロズマリン酸(RA)又はフラボノイド,たとえばルテオリン7-グルクロニド;ルテオリン3'-グルクロニド;ルテオリン7-ジグルクロニド及びルテオリン7-グルクロニド-3'-フェルリルグルコシドオを、麦芽製造,マッシング,醗酵又は醗酵後又はその組み合わせの間の醸造工程で添加することができる。RA及びフラボノイドだけ,たとえばルテオリン7-グルクロニド;ルテオリン3'-グルクロニド;ルテオリン7-ジグルクロニド及びルテオリン7-グルクロニド-3'-フェルリルグルコシドオが水溶性であるとみなされる。CN及びCAは油溶性であるが,水中に分散することができる。100ppmより少ない低い濃度で,カルノシン酸及びカルノソールは、ビール及び麦芽飲料に溶解する。これらのフェノールタイプの化合物に加えて,その他はハーブエキス中に僅かな量で存在することができ,そしてこれらはビール安定性に良い影響を与える。これらの化合物は次の化合物を含む:ロズマリキノン,ロズマノール,エピ-ロズマノール,イソロズマノール,ロズマリジフェノール,12-メトキシカルノシン酸,及びカルノシン酸のエステル,たとえばカルノシン酸メチル及びカルノシン酸エチル。
【0054】
カルノシン酸,カルノソール,ロズマリン酸,フラボノイド,たとえばルテオリン7-グルクロニド;ルテオリン3'-グルクロニド;ルテオリン7-ジグルクロニド及びルテオリン7-グルクロニド-3'-フェルリルグルコシドオ及び関連する化合物は、いくつかのシソ科ハーブ中に及びシソ科ハーブの種々のエキス中に存在する。カルノシン酸及び(又は)カルノソールを含有するシソ科ハーブは、ローズマリー(Rosmarinus officinalis),セージ(Salvia officinalis)及びその他のものを含む。ロズマリン酸及び(又は)フラボノイド,たとえばルテオリン7-グルクロニド;ルテオリン3'-グルクロニド;ルテオリン7-ジグルクロニド及びルテオリン7-グルクロニド-3'-フェルリルグルコシドオを含有するシソ科ハーブは、ローズマリー(Rosmarinus officinalis),セージ(Salvia officinalis),マジョラム(Majorana hortensis),タイム(Thymus vulgaris),スペアミント(Mentha spicata),ペパーミント(Mentha piperita),バジル(Ocimum basilicum),サマーサボリー(Satureja hortensis),オレガノ(Origanum vulgare)及びその他のものを含む。多くの場合,得るのがより困難である精製された成分の代わりにシソ科ハーブエキスを所望の安定化作用を得るために使用することができる。その他の場合,粗製エキスを精製して、安定化させる成分の濃度を増加させ,そしてフレーバーが多いか又は完成した飲料製品と何らかの理由で適合しないそれらの成分を除去することが必要である。2-25%有効成分(カルノシン酸,カルノソール及びロズマリン酸+フラボノイド)を含有する含油樹脂エキスを使用し、醸造工程のある時点で添加した場合、安定化作用を得ることができる。部分的に精製されたカルノソール又はカルノシン酸(25〜70%有効成分を含有する)は、本発明に適合する有用な形態である。高度に精製されたカルノシン酸,カルノソール及びロズマリン酸(>70%純度)を本発明において有効に使用することができる。カルノソール,カルノシン酸ロズマリン酸,フラボノイド,たとえばルテオリン7-グルクロニド;ルテオリン3'-グルクロニド;ルテオリン7-ジグルクロニド又はルテオリン7-グルクロニド-3'-フェルリルグルコシドオ及び上記のその他の化合物の混合物は本発明においても有効であり、時折並外れた安定化作用を示す。
【0055】
成分シソ科ハーブ酸化防止剤の作用は、複雑である。ロズマリン酸は、完成品に添加した場合ビールの酸化還元電位を増加させるために極めて有効な化合物でないが、一方醸造工程の初期に添加した場合、完成したビール及び醸造工程の中間段階の酸化還元電位を増加させるのに極めて有効であることを見出した。ロズマリン酸は、マッシュの酸化還元電位を増加させるのに特に有効である。ロズマリン酸は、醸造工程の初期に添加された場合、ビール中にフレッシュフレーバーを維持する。ロズマリン酸は、完成品に添加した場合、時々フレッシュフレーバーを維持するが、ときどき維持しない。この変化する挙動の理由はわからないが,本発明者が検査したビールの成分、温度状況及び熟成状況に僅かな違いがあるのが原因かもしれないと考えられる。ロズマリン酸は、マッシング処理に添加した場合,DCIP法によって測定されるようにマッシュの酸化還元電位を増加させる。マッシング処理に添加されるカルノシン酸の等量は、酸化還元電位に増大する影響を与えるが,ロズマリン酸の添加と同じほど大きい影響を与えない。DCIP法によって測定されるように酸化還元電位にほとんど作用を示さないカルノソールは、にもかかわらずフレッシュビールフレーバーを維持する。カルノシン酸は、醸造工程の後期に又は完成したビールに添加した場合、ビール中で酸化還元電位を増加及び維持し(DCIP法)、そしてフレッシュビールフレーバーを維持するが、醸造工程の初期に添加した場合、酸化還元電位にあまり影響を与えない。
【0056】
シソ科ハーブエキス,又はシソ科ハーブエキス由来の化合物とホップビター酸(これはイソフムロン,ジヒドロイソフムロン,テトラヒドロイソフムロン又はへキサヒドロイソフムロン,又はそれらの混合物,及び場合によりホップ油を含む)を混合して有する調合物を、増加されたフレーバー安定性を有するビールを製造する、特に好都合な、そしてコスト効率のよい方法で、醗酵後の段階でビールに添加することができる。
【0057】
非麦芽飲料の安定化
エキス又はシソ科ハーブの成分で特定の非麦芽飲料を処理することはそのフレーバー寿命を延長することができることも見出した。油溶性酸化防止剤シソ科ハーブの成分,たとえばカルノシン酸及びカルノソール,及びロズマリン酸及びフラボノイドのみ,たとえばルテオリン7-グルクロニド;ルテオリン3'-グルクロニド;ルテオリン7-ジグルクロニド及びルテオリン7-グルクロニド-3'-フェルリルグルコシドオとは対照的に、特に油溶性及び水溶性シソ科ハーブの成分の組み合わせを用いてかんきつ,フルーツ,ベリー及びコーラフレーバー非炭酸ソフトドリンク及び炭酸飲料を安定化することも本発明に含まれる。下記のようなフレーバー安定化調合物を、完成した飲料に又はその製造のある段階で添加することができる。
【0058】
このような飲料の安定性を増加させる方法は、場合により食品用キャリヤー中に調合されたシソ科ハーブエキス又はシソ科ハーブの成分を飲料に又はその製造のある時点で添加する。
【0059】
このような方法は,飲料が麦芽飲料,ビール,エール,ドライビール,ニアビール,ライトビール,低アルコールビール,低カロリービール,ポーター,ボックビール,スタウト,麦芽酒,ノン-アルコール麦芽飲料及びアルコールが除かれたビールから選ばれる。
【0060】
このような方法は,飲料がコーヒー,フレーバーコーヒー,強化ソフトドリンク,栄養飲料,かんきつ飲料,フルーツドリンク,ベリー及びコーラフレーバー非炭酸ソフトドリンク及び炭酸飲料,フルーツジュース及びフレーバー麦芽飲料から選ばれる。
【0061】
このような方法は,シソ科ハーブエキスが粗製のシソ科ハーブエキス,カルノシン酸及びカルノシン酸,カルノソール及びロズマリン酸の混合物を含む。
【0062】
麦芽飲料及びビールのフレーバー安定性を増加させるこのような方法は、シソ科ハーブエキスをビール又は麦芽飲料に添加することを含む。
【0063】
このような方法は,シソ科ハーブエキスが粗製のシソ科ハーブエキス,カルノシン酸及びカルノシン酸,カルノソール及びロズマリン酸の混合物を含む。
【0064】
麦芽飲料及びビールのフレーバー安定性を増加させるこのような方法は、ビール製造中ににシソ科ハーブエキスを添加することを含む。
【0065】
このような方法は、シソ科ハーブエキスが粗製のシソ科ハーブエキス,カルノシン酸及びカルノシン酸,カルノソール及びロズマリン酸の混合物を含む。
【0066】
このような方法は,シソ科ハーブエキスを、次の工程:
穀物に麦芽製造工程前,
穀物に麦芽製造工程間、
マッシング処理の前,
マッシング処理の間,
濾過処理の前,
濾過処理の間,
麦汁煮沸の前,
麦汁煮沸の間,
醗酵処理の直前,
醗酵処理の間,及び
醗酵後、
から選ばれる、麦芽飲料又はビール製造工程のうちの1つ以上の段階で添加する。
【0067】
麦芽飲料及びビールのフレーバー安定性を増加させるこのような方法は、麦汁煮沸前の飲料製造工程のいずれか又はすべての段階でロズマリン酸を添加するか及び(又は)麦汁煮沸の間又はその後の飲料製造工程のいずれか又はすべての段階でカルノシン酸及び(又は)カルノソールを添加する。
【0068】
麦芽飲料及びビールのフレーバー安定性を増加させるこのような方法は、麦汁煮沸の前の飲料製造工程のいずれか又はすべての段階でロズマリン酸を添加する。
【0069】
麦芽飲料及びビールのフレーバー安定性を増加させるこのような方法は、麦汁煮沸の間又はその後の飲料製造工程のいずれか又はすべての段階でカルノシン酸及び(又は)カルノソールを添加する。
【0070】
麦芽飲料又はビールの酸化還元電位を増加させるこのような方法は、製造工程のいずれか又はすべての段階でシソ科ハーブエキスを添加する。
【0071】
麦芽飲料又はビールの酸化還元電位を増加させるこのような方法は、製造工程のいずれか又はすべての段階でロズマリン酸を添加する。
【0072】
麦芽飲料又はビールの酸化還元電位を増加させるこのような方法は、マッシング処理,麦芽製造,焙乾処理又はその組み合わせの前にシソ科ハーブエキスを添加する。
【0073】
マッシュの酸化還元電位を増加させるこのような方法は、麦芽穀粒からマッシュを生成させる前に、ロズマリン酸を添加する。
【0074】
マッシュの酸化還元電位を増加させるこのような方法は、麦芽穀粒からマッシュを生成させる間に、ロズマリン酸を添加する。
【0075】
麦芽飲料又はビールの酸化還元電位を増加させるこのような方法は、製造工程のいずれか又はすべての段階でカルノシン酸を添加する。
【0076】
麦芽飲料又はビールの酸化還元電位を増加させるこのような方法は、醗酵後に、飲料にカルノシン酸を添加する、麦芽飲料又はビールの酸化還元電位を増加させる。
【0077】
低温殺菌処理中に、麦芽飲料及びビールの酸化還元電位の損失を最小化するこのような方法は、麦汁煮沸を含む工程から低温殺菌処理の直前までの醸造工程で、あらゆる段階でカルノシン酸及び(又は)カルノソールを含む成分を添加する。
【0078】
貯蔵時に麦芽飲料及びビール中にホップビター酸を維持するこのような方法は、カルノシン酸、又はカルノシン酸とロズマリン酸の混合物を完成した麦芽飲料又はビールに、又は麦芽飲料又はビール製造のいずれかの段階で添加する。
【0079】
このような方法は、イソフムロン又は還元されたイソフムロンのシス対トランスの比率の変化速度を低下させる。
【0080】
貯蔵中に麦芽飲料又はビールの色を維持するこのような方法は、カルノシン酸、又はカルノシン酸とロズマリン酸の混合物を飲料に又は飲料製造のいずれかの段階で添加する。
【0081】
酸素の害となる量にさらされた麦芽飲料又はビールの酸化還元電位を維持するこのような方法は、カルノシン酸,ロズマリン酸及び(又は)それらの混合物を飲料製造の1つの段階で添加する。
【0082】
熟成された麦芽飲料又はビールのかすみ形成(haze formation)を遅延させるこのような方法は、カルノシン酸,ロズマリン酸及び(又は)それらの混合物を飲料に添加する。
【0083】
このような方法は、熟成された麦芽飲料又はビールが酸素の害となる量にさらされる。
【0084】
熟成された又は不適切な温度環境にある麦芽飲料又はビール中でホップ及び(又は)麦芽分解生成物の醗酵を遅延させるこのような方法は、カルノシン酸,ロズマリン酸,及び(又は)それらの混合物を麦芽飲料又はビール製造の前に、製造中に又は製造後に添加する。
【0085】
このような方法は、ホップ及び(又は)麦芽分解生成物が揮発性カルボニル化合物,トランス-2-ノネナール,フェニルアセトアルデヒド及び3-メチルブタナールから選ばれる。
【0086】
麦芽飲料又はビール中の天然メラノイジン類,ポリフェノール類及び亜硫酸塩を保護するこのような方法は、製造前又は製造中あるいは製造前と製造中の両方でシソ科ハーブエキスを添加する。
【0087】
酸化現象から保護するこのような方法は、麦芽飲料又はビール製造前又は製造中あるいは製造前と製造中の両方でシソ科ハーブエキスを添加する。
【0088】
麦芽飲料又はビール製造のマッシング工程中に過酸化脂質から保護するこのような方法は、製造前又は製造中あるいは製造前と製造中の両方でシソ科ハーブエキスを添加する。
【0089】
このような方法は、シソ科ハーブエキスがフレーバー閾値を下回って供給される。
【0090】
このような方法は、プロピレングリコール,エタノール,水,脂肪酸のモノグリセリド,脂肪酸のジグリセリド又はグリセリン,又はそれらの混合物を含む食品用キャリヤー中にシソ科ハーブエキスを調合する。
【0091】
麦芽飲料及びビール
本発明は、麦芽飲料(ビールも含む)のフレッシュフレーバーを維持するのを助けるために、シソ科ハーブ由来のシソ科ハーブエキス又は化合物を使用することに関する。シソ科ハーブ由来のシソ科ハーブエキス又は化合物の形は、性質及び純度の点で著しく変化することができる。シソ科ハーブ中の有効な酸化防止剤成分の多くは、フェノール性化合物,たとえばカルノシン酸,カルノソール,ロズマリン酸,及びフラボノイド及びそれらの誘導体である。本発明を、醸造工程中のいろいろな段階で又はこれらの処理段階の組み合わせで実施することができる。
【0092】
本発明者は、シソ科ハーブエキス又は種々の純度でこれらのエキスに由来する、主にカルノシン酸,カルノソール,ロズマリン酸及びそれらの誘導体からなる化合物を、醸造工程の種々の段階で使用し、得られた麦芽飲料のフレーバー安定性を改善することができることを見出した。エキス又は化合物を、単一段階で又は以下に概略が説明される段階の組み合わせで添加することができる。水溶性(親水性)エキスも、油溶性(親油性)エキスも使用することができる。この種のエキスの一方又は他方は、特定の処理段階でより良好に作用することができる。油溶性エキス,又はその部分的又は高度に精製された成分,カルノシン酸及びカルノソールを、食品用添加物,乳化剤又は希釈剤と混合して、水中での分散性を増加させることができる。許容し得る食品用キャリヤーは、エタノール,プロピレングリコール,ベンジルアルコール又はグリセリン,脂肪酸のモノグリセリド,脂肪酸のジグリセリド,又はショ糖エステル及びそれらの混合物である。シソ科ハーブエキスの水溶性成分を、同様に食品用添加物、たとえばエタノール,プロピレングリコール,ベンジルアルコール又はグリセリン、又はそれらの混合物と混合して,取り扱いを容易にし、そして使用を簡単にすることができる。
【0093】
醸造工程の後半で,ホップビター酸(hop bittering acid)及びシソ科ハーブエキスも又はシソ科ハーブから単離された化合物の双方を含む調合物は苦味及びフレーバー安定性を麦芽飲料にもたらすための特に有利な調合物を生じさせる。これらの調合物は、例10に詳細に記載されている。
【0094】
麦芽製造の間
シソ科ハーブエキス又は主にカルノシン酸,カルノソール,ロズマリン酸,シソ科ハーブ由来のフラボノイド及びそれらの誘導体からなるシソ科ハーブ化合物を、穀粒-麦芽製造工程の前に又は製造中に添加することができる。エキス又は化合物を添加する有利な方法は、エキス又は化合物を穀粒水分を増加させるために、及び発芽を開始させるために使用される水にエキス又は化合物を添加することにある。ロウを含有する粗製エキスでさえこの処理での使用に適する。油溶性化合物は、これを水溶性キャリヤー,たとえばエタノール,プロピレングリコール,グリセリンと,又は部分的に水溶性キャリヤーたとえばベンジルアルコール,脂肪酸のモノグリセリド,脂肪酸のジグリセリド,ショ糖エステル又はそれらの混合物と混合することによって水に分散しうる形態に最も良好に調合される。このエキスを、穀粒の重量あたり5〜5000ppmの量で添加することができる。この範囲は、エキス中に生じうる有効成分の種々の濃度に反映する。明らかに,使用される有効成分の濃度が高ければ高いほど、エキス添加量はますます少なくなる必要がある。これはこの処理段階にとって及びその他のすべてにとっても当てはまる。
【0095】
より一層精製された形にある化合物、たとえばカルノシン酸,カルノソール,ロズマリン酸又はシソ科ハーブ由来のフラボノイドを、穀粒重量あたり約2〜250ppmの純粋化合物の最終濃度を生じさせる。ロズマリン酸は最大の利点をもたらすが、油溶性エキスも、水溶性エキスも、醸造工程のこの段階で有効に使用されて、有益な効果を生じさせることができる。驚くことに,たとえロズマリン酸を完成したビールに添加することがビールの酸化還元電位を増加させないにしても、そしてたとえロズマリン酸がDCIPに反応しないとしても、醸造工程で初期に,たとえばこの段階で添加されるロズマリン酸は、DCIP法によって測定されるようにビールの酸化還元電位を増加させる。処理のこの段階で添加した場合、油溶性シソ科ハーブ成分はいくつかの利点をもたらすが、処理の後半で添加した場合、より一層有効である。
【0096】
焙乾及び粉砕の間
シソ科ハーブエキス又はシソ科ハーブ由来の化合物を、焙乾の前に穀粒に添加し、脂質を保護することができる。大麦は約2.5%脂質であって、そしてこの処理から空気を排除する有用な方法はない。本発明の調合物を、焙乾の前に穀粒上に噴霧することができる。ロウを含有する粗製エキスはこの処理で使用するのに適するが,より高度に精製されたシソ科ハーブ成分も有効に使用することができる。油溶性化合物は、これを水溶性キャリヤー,たとえばエタノール,プロピレングリコール,グリセリンと,又は部分的に水溶性キャリヤーたとえばベンジルアルコール,脂肪酸のモノグリセリド,脂肪酸のジグリセリド,ショ糖エステル又はそれらの混合物と混合することによって水に分散しうる形態に最も良好に調合される。焙乾の後,穀粒を湿式又は乾式法を用いて粉砕する。新たに培乾された穀粒を、粉砕処理の前に又はその間に本発明の調合物で処理することができる。添加すべき本発明の調合物の量は、麦芽製造の項に記載したのと同じである。
【0097】
マッシングの間
シソ科ハーブエキス又はカルノシン酸,カルノソール,ロズマリン酸,フラボノイド及びシソ科ハーブに由来するそれらの誘導体を含む化合物をマッシング段階中に添加することができる。エキス又は化合物を添加する有利な方法は、エキス又は化合物を使用される水に入れ、醗酵性糖を抽出することである。エキスを麦芽穀粒の重量あたり5〜5000ppmの量で添加することができる。化合物、たとえばより一層精製された形にあるカルノシン酸,カルノソール又はロズマリン酸を麦芽穀粒重量あたり2〜250ppmの最終濃度を生じるレベルで添加することができる。油溶性エキスも、水溶性エキスも、醸造工程のこの段階で有効に使用することができる。油溶性成分を、これと水溶性キャリヤー,たとえばエタノール,プロピレングリコール,グリセリン,又は部分的水溶性キャリヤーたとえばベンジルアルコール,脂肪酸のモノグリセリド,脂肪酸のジグリセリド,又はショ糖エステル又はそれらの混合物を混合することによって水分散性形に最も良好に調合する。ロウを含有する粗製エキスでさえこの処理での使用に適当である。ロズマリン酸が最大の利点をもたらすが、油溶性エキスも、水溶性エキスも、醸造工程のこの段階で有効に使用して、有利な効果を生じることができる。処理のこの段階に添加した場合、油溶性シソ科ハーブ成分はいくつかの利点をもたらすが、処理の後半で添加した場合、より一層有効である。
【0098】
濾過(麦汁濾過)後
シソ科ハーブエキス又はカルノシン酸,カルノソール,ロズマリン酸,フラボノイド及びシソ科ハーブに由来するそれらの誘導体を含む化合物を、麦芽カスから分離後、マッシュに添加することができる。このエキスを、醗酵性液体の重量あたり5〜5000ppmの量で添加することができる。化合物、たとえばより一層精製された形にあるカルノシン酸,カルノソール又はロズマリン酸を、醗酵性液体の重量あたり5〜250ppmの最終濃度を生じるレベルで添加することができる。油溶性エキスも、水溶性エキスも、醸造工程のこの段階で有効に使用することができる。油溶性成分を、これと水溶性キャリヤー,たとえばエタノール,プロピレングリコール,グリセリン,又は部分的水溶性キャリヤーたとえばベンジルアルコール,脂肪酸のモノグリセリド,脂肪酸のジグリセリド,又はショ糖エステル又はそれらの混合物を混合することによって水分散性形に最も良好に調合する。
【0099】
麦汁煮沸の間
シソ科ハーブエキス又はカルノシン酸,カルノソール,ロズマリン酸,フラボノイド及びシソ科ハーブに由来するそれらの誘導体を含む化合物を、麦汁煮沸の前、麦汁煮沸中又は麦汁煮沸の後、麦汁に添加することができる。このエキスを、麦汁の重量あたり5〜5000ppmの量で添加することができる。化合物、たとえばより一層精製された形にあるカルノシン酸,カルノソール又はロズマリン酸を、麦汁の重量あたり2〜250ppmの最終濃度を生じるレベルで添加することができる。油溶性エキスも、水溶性エキスも、醸造工程のこの段階で有効に使用することができる。ロウを含有する粗製エキスでさえこの処理での使用に適当である。
【0100】
醗酵の間
シソ科ハーブエキス又はカルノシン酸,カルノソール,ロズマリン酸,フラボノイド及びシソ科ハーブに由来するそれらの誘導体を含む化合物を、醗酵の前又は醗酵中に、麦汁に添加することができる。このエキスを、麦汁の重量あたり5〜5000ppmの量で添加することができる。化合物、たとえばより一層精製された形にあるカルノシン酸,カルノソール又はロズマリン酸を、麦汁の重量あたり2〜250ppmの最終濃度を生じるレベルで添加することができる。より好ましい範囲は、10〜200ppmである。比較的にトリグリセリド又は遊離脂肪酸が少ないエキスが好ましいが、油溶性エキスも、水溶性エキスも、醸造工程のこの段階で有効に使用することができる。カルノシン酸又はカルノシン酸含有エキスは、等量で添加されるロズマリン酸又はロズマリン酸含有エキスよりも有効である。
【0101】
醗酵後
シソ科ハーブエキス又はシソ科ハーブ由来の化合物を、醗酵麦芽飲料に添加することができる。このエキスを麦芽飲料の重量あたり1〜2000ppmの量で添加することができる。化合物、たとえばより一層精製された形にあるカルノシン酸,カルノソール又はロズマリン酸を、麦芽飲料の重量あたり1〜100ppmの最終濃度を生じるレベルで添加することができる。驚くことに,より油溶性の成分,カルノシン酸及びカルノソールがこの段階で最も有効な添加物である。この段階でのロズマリン酸添加も、フレーバー安定性に有益である。驚くことに,カルノシン酸とロズマリン酸の混合物は、成分単独のどちらかの等量よりも有効である。純粋な化合物,カルノシン酸,カルノソール及びロズマリン酸の溶液を、エタノール,プロピレングリコール,グリセリン又はベンジルアルコール,又は場合により多くの水を含有するそれらの混合物中の溶液として添加することができる。
【0102】
シソ科ハーブエキス,又はシソ科ハーブエキス由来の化合物とホップビター酸(これはイソフムロン,ジヒドロイソフムロン,テトラヒドロイソフムロン又はへキサヒドロイソフムロン又はそれらの混合物,及び場合によりホップ油のどれかを含み,醗酵後段階でビールに添加される)とが混合された調合物は、適当なフレーバー,所望の泡特性及び増加されたフレーバー安定性を有するビールを製造する、特に有利かつ価格上有効な方法である。添加されたエキス又は化合物の純度が十分に高い場合,調合物をビールに添加して、ろ過を必要としない澄明な製品を生じさせることができる。純度レベル又は添加レベルが澄明な製品をもたらすのに不十分である場合,添加後濾過段階が要求されるかもしれない。濾過前にフレーバー安定化容器に加えるのが好ましい。醸造工程のこの段階でシソ科ハーブ成分の添加は、低温殺菌処理中にフレーバー及び酸化還元電位を維持する格別に有効な方法である。
【0103】
シソ科ハーブエキス及び(又は)シソ科ハーブ成分を多数の醸造工程の段階で添加及び添加の順序の重要性
シソ科ハーブエキス及び(又は)シソ科ハーブ成分を醸造工程の段階の1つより多くに添加することができること、及び処理の添加順序がフレーバー安定化結果に顕著な影響を与えることができることを見出した。商業的試作品醸造所(a commercial pilot brewery)で行われた2つの実験で,2つの醸造酒を醸造工程においてスパージ水開始点及び釜煮沸開始点の双方で添加することによって製造した。醸造酒うちの一方で,ロズマリン酸調製物をスパージ水に添加し、そしてカルノシン酸調製物を釜煮沸の開始で添加した。他方の醸造酒において,カルノシン酸調製物をスパージ水に添加し、ロズマリン酸調製物を釜煮沸の開始で添加した。ロズマリン酸が工程の初期に添加され、そしてカルノシン酸がその後に添加される実施例は最良のフレーバー安定性を有することを証明した。添加の順序が逆転された実施例は、熟成されたビールのフレーバー判定において未処理コントロールに比べて実際に悪い評価であった。
【0104】
ホップ酸安定性にシソ科ハーブエキス及びシソ科ハーブ成分が影響を及ぼす。
Araki等[2002]及びL.DeCooman等[2001]は、イソフムロンのシス異性体対トランス異性体の比率がビール熟成の化学マーカーであることを示唆した。本発明者は、シソ科ハーブエキス又はシソ科ハーブ成分をビールに添加することは、この比率に保護的な影響を与えることを見出した。カルノシン酸は有効な保護剤であるが,カルノシン酸とロズマリン酸の組み合わせは更に有効である。
【0105】
不適切な温度環境マーカーの形成にシソ科ハーブエキス及びシソ科ハーブ成分が影響を及ぼす。
【0106】
フェニルアセトアルデヒド及び3-メチルブタナール濃度は、不適切な環境温度の結果としてビール中で増加する。ビールを本発明の調合物で処理することは、これらの分解生成物の形成の速度を減速させることができる。ロズマリン酸,カルノシン酸及びこの2つの混合物は、特に空気の存在で形成を減速させることに極めて有効である。
【0107】
本発明者は、シソ科ハーブ化合物が酸素にさらされた熟成されたビールでかすみ形成を減少させることに有利な作用を示すことを見出した。カルノシン酸及びロズマリン酸及びカルノシン酸とロズマリン酸の組み合わせは、空気にさらされた熟成ビール中でかすみ形成の速度を低下させることにめざましく有利な影響を与える。この処理は、適切に容器詰され、そして空気から保護された熟成されたビール中に形成されるかすみの量を増加させない。
【0108】
以下の例は、粗製及び精製ローズマリー,セージ,及びその他のシソ科エキスがビール中で劣化フレーバーの発生の抑制及び遅延に極めて著しい影響を与えることを示す。これらは本発明の調合物を完成したビールに及び醸造工程で種々の段階に添加することによって効果を示す。以下の例は、酸化還元電位の維持において及びフレッシュビールフレーバーの維持においてロズマリン酸及びカルノシン酸の挙動の点で独自の、予測できない差異を示す。以下の例は、シソ科ハーブエキス又はシソ科ハーブ成分が熟成時のビールに,及び特に酸素にさらされたビールの熟成に生じる色の変化の速度を減速させることに有利に影響することを示す。例はロズマリン酸が醸造工程の初期に添加されるのが最良であること及びカルノシン酸が後半に添加されたときに最も有効であるという興味深い事象が記載されている。これらの実験は、ビールの異なるタイプで行われた:極めてホップ風味のある,苦い,及び芳香なビール,従来のラガー,濃いライトビール及び極めて薄いライトビール。すべてがエキスの有利な効果を示す。同一の作用は上記のように別のタイプの麦芽飲料に起こる。
【0109】
市販のビールにはさまざまな種類があるので,あるビール中で他のビール中よりもエキスの効果が顕著であることは当然である。ビールがすでに悪くなり始めたか,又は標準以下の原料で製造されいるならば,エキスはより少ない効果を示すであろう。
【0110】
シソ科ハーブエキス及びシソ科ハーブ成分は、添加した結果としてビールのフレーバーに変化がないように、芳香族アロマ及びフレーバーの大部分を水蒸気蒸留,減圧蒸留又は類似方法によって除去させる。
【0111】
熟成は2つの温度,39-40°C及び32°Cで行った。これらの温度は米国南部及び熱帯諸国での流通販売システムで遭遇する。
【0112】
大ざっぱにいえば,4日間40°Cでの貯蔵は、20°Cで3-4ヶ月の貯蔵に相当するが[Back等、1999],この相互関係は恐らく検査されたビールの種類に依る。例1におけるように、熟成コントロールは1週間たらずで劣化する。一方添加されたサンプルは依然としてコールドフレッシュビールのようである。処理されたビールは約4ヶ月よりほぼ長い賞味期限を有していた。例3(32°C)で,無添加のビールは6日後に劣化したが、添加されたビールは6日後まだ新鮮であった。
【0113】
通常の流通経路で劣化が生じないことは、醸造者に極めて顕著な経済的衝撃を与える。というのはその劣化飲料があまり返還されなくなるからである。
【0114】
種々のタイプのビールが種々の速度で熟成することを確認するのは、醸造者にとって重要である。したがって,1又は2ppmの極めて低い添加量は比較的に安定なビールに有効であり、一方高度に不安定なビールは所望の賞味期限を得るために5ppm以上を必要とする。好ましい添加は、ビールによってさまざまであるが,一般にライトビール中に約1〜100ppm,及び好ましくは5〜25ppmの範囲である。ある場合には、100ppm以上の添加量が望ましい。適切に調製されれば,添加されたエキスは最高レベルでさえフレーバーをビールに与えない。なぜならばこのエキスは、所望のフレーバー及びアロマ効果を1ppmでさえ与えていまう通常のハーブエキス又はチンキのような香りを有しないからである。この濃厚なフレーバータイプのエキス又はチンキは、ハーブフレーバーが存在しないように希釈した場合、実質上1ppmより少ないRA,CA及びCNを含有する。しかしこれは劣化を防ぐのに十分でない。
【0115】
特定のシソ科ハーブエキス又はシソ科ハーブ由来の化合物は、醗酵後に添加した場合ビールのフレッシュフレーバーを維持するのに驚くべき効果をもたらす。この効果は、次の例の検討から容易に明らかである。
【0116】
シソ科ハーブはローズマリー,セージ,スペアミント,ペパーミント,バジル,オレガノ及びシソ科グループのその他のすべてのハーブを含む。次の例によって本発明を説明
するが、本発明はこれによって限定されない。
【0117】
非麦芽飲料
非麦芽飲料,たとえばフレーバーコーヒー,かんきつ,フルーツコーラ及びベリーフレーバーソフトドリンク及び炭酸飲料中のフレーバー不安定性に関連する化学は,ビール中のフレーバー不安定性に関連する化学と確かに異なるが,シソ科ハーブエキス及びシソ科ハーブ成分がやはりこれらの飲料中でフレーバー寿命を延長させることができる有用な添加物であることを見出した。供試(model)かんきつ-フレーバー飲料が係わる試験で,既存の公知技術に反して,ロズマリン酸は有効なフレーバー安定剤でないことが分かった。供試飲料中の劣化のスケーリング検査で,ロズマリン酸とカルノシン酸の組み合わせは、最も有効なフレーバー安定化処理であることが分かった。
【0118】
フレーバー安定化調合物を、この調合物とその製造で使用される香味料を混合することによって最も有利に非麦芽飲料に添加することができる。当然,フレーバー安定化成分を、容器詰の直前に完成した飲料に添加することも含む、飲料製造工程の種々の段階で別々に添加することができる。
【実施例】
【0119】
本発明を、以下の例によって更に詳述する。これらの例は本発明を説明することを意図し、本発明の範囲を限定するものではない。
【0120】
全般的材料及び方法
シソ科ハーブエキス(油性及び水溶性の双方のもの)を、全ハーブから従来公知の方法を用いて抽出することによって製造する。フレーバー強度が低下したエキスを、抽出前又は抽出後に、これらのエキスの揮発性フレーバー成分の一部を除去して従来公知の方法を用いて製造するのが好ましい。
【0121】
カルノシン酸(CA)をローズマリーから及びセージエキスから単離し、ついで再結晶化によって精製する。その純度を逆相HPLC分析によって確認する。
【0122】
カルノソール(CN)をローズマリーから及びセージエキスから単離し、ついで再結晶化によって精製する。その純度を逆相HPLCによって確認する。
【0123】
ロズマリン酸(RA)をローズマリー,セージ又はスペアミントから単離し、ついで再結晶化によって精製する。その純度を逆相HPLCによって確認する。
【0124】
また、ビールの自然に低下する能力又は酸化還元電位の増加又は維持にシソ科ハーブエキスが影響をおよぼすのを測定することによって,ホップ酸シス/トランス比率に影響をおよぼすのを測定することによって及びビール劣化マーカーであるアルデヒド類の形成に影響をおよぼすのを測定することによって、シソ科ハーブエキスの効果を化学的に測定する。
【0125】
例1 強制された熟成条件下で、市販のピルスナーのフレーバーに選ばれたシソ科ハーブエキス及び成分が影響。
【0126】
2%純粋なロズマリン酸又は純粋なカルノシン酸を含有する個々の溶液を、それぞれの化合物を500mgだけ量り分け、別々の容量フラスコに入れ、100%EtOHで25mLに希釈することによって製造する。
【0127】
この検査で使用されるビール(製造日が使用36日前である)を地場市場で購入する。ボトル添加を次のように行う:
1. ビール1本を開け,口を激しくたたき、泡立ち(“ホビング(fobbing)”と呼ぶ)を誘い,ついで栓をする。ホビングは空気を排除する。この瓶を回転させ、逆さにする。このサンプルを“無添加”に指定する。
2. ビール瓶を開け、ロズマリン酸溶液又はカルノシン酸溶液あるいはそれぞれの組み合わせのアリコートを、正しい添加速度を生じる量で添加する。ついで瓶を上述のようにホビングし、栓をする。ついで瓶を回転させ、逆さにする。このサンプルを、添加及び濃度を反映させて適切に指定する。
【0128】
次のサンプルを製造する:
A. 水溶性ローズマリーエキス-25ppmRA
B. 20ppmCA(精製された)
C. 20ppmCA(精製された)+20ppmRA(精製された)
D. 5ppmCA(精製された)
E. 10ppmCA精製された
F. 水溶性ローズマリーエキス-5ppmRA
G. 無添加
H. フレッシュコントロール
瓶を暖められた部屋に40±1℃で暗所にさまざまな量の時間置く。割り当てられて熟成時間の後,ビール瓶を暗い冷蔵庫中に移し、これらを分析するまで約2°〜4℃で貯蔵する。同一ビールコードから別の瓶を2〜4℃の貯蔵で開栓しないまま保つ。同一ビールコードからのこれらの開栓していないサンプルを“フレッシュコントロール”と呼び、訓練されたパネリストにフレッシュサンプルを提供するために使用される。
【0129】
適当な時間で,訓練された7又は8人のパネリストがビールを判定する。第一検査パネルで,フレッシュサンプルは識別されない。メンバーは、ビールの特徴である9つの特性に関してビールを評価する:麦芽,酵母,エステルのような,ポップ,甘味,劣化/酸化,サワー/酸味,溶剤臭(化学物質),及び苦味。パネリストは1つのセッションで4つより多くのビールを判定しない。評点を以下に示す。ランキングを表1に示す。場合により、結果を8人のパネリスト全員の好みの標準化された合計として示す(1は最も好ましい,そして4は少なくとも好ましい。)。
【0130】
表1.市販のピルスナービールの賞味期限を増加
【0131】
【表1】

【0132】
あらゆる場合,フレーバーパネリストは、シソ科ハーブエキスで処理された熟成ビールサンプルが,処理されなかった熟成されたサンプルに比べて強く好みを示した。シソ科ハーブエキス又はシソ科ハーブ由来の化合物を用いる処理は、ビールのフレッシュフレーバーを維持するのを助けた。
【0133】
例2 強制された熟成条件下で、ホップを効かした,芳香の市販ビールのフレーバーに選ばれたシソ科ハーブエキス及び成分が影響。
【0134】
2%純粋なロズマリン酸又は純粋なカルノシン酸を含有する個々の溶液を、それぞれの化合物を500mgだけ量り分け、別々の容量フラスコに入れ、100%EtOHで25mLに希釈することによって製造する。
【0135】
検査に使用されるビールは、入手できる最も新鮮な材料であり、コード化されたNov03162Cである。地場市場で購入する。瓶添加を例1におけるように行う。次のサンプルを製造する:
I. 20ppmCA(精製された)
J. 20ppmRA(精製された)
K. 無添加
L. フレッシュコントロール
瓶を暖められた部屋に40±1℃で暗所にさまざまな量の時間置く。割り当てられて熟成時間の後,ビール瓶を暗い冷蔵庫中に移し、これらを分析するまで(常に48時間以内に)約2°〜4℃で貯蔵する。同一ビールコードから別の瓶を2〜4℃の貯蔵で開栓しないままで置く。同一ビールコードからのこれらの開栓していないサンプルを“フレッシュコントロール”と呼び、訓練されたパネリストにフレッシュサンプルを提供するために使用される。
【0136】
適当な時間で,訓練された8人のパネリストがビールを判定する。この検査パネルで,フレッシュサンプルの同一性は熟成されたビールに対して検査するためにこれをを用いてパネリストに明かされる。3つのビールをそれぞれのセッションで判定する-フレッシュコントロール,熟成された無添加、及びシソ科の1つで処理された熟成されたビール。すべての好みランク,アロマの性質及び同一性、紙/ボール紙様のアロマ及びフレーバーのレベル,サワー又は不快なフレーバー,後味(hang)及び渋み及び苦味品質及び強度を判定する。結果を表2に示す。
【0137】
表2.ホップを効かした,芳香な市販ビールの賞味期限の増加
【0138】
【表2】

【0139】
再度,それぞれの場合,パネリストは、シソ科ハーブエキスで処理された熟成ビールサンプルが,処理されなかった熟成されたサンプルに比べて強い好みを示した。シソ科ハーブエキス又はシソ科ハーブ由来の化合物を用いる処理は、ビールのフレッシュフレーバーを維持するのを助けた。
【0140】
処理されたビールが、より少ない紙/ボール紙様のフレーバー(これはあまりすっぱくない)を有し、そして苦味の後味があまりない。
【0141】
例3. 強制された熟成条件下で、ライトビールのフレーバーに選ばれたシソ科ハーブエキス及び成分が影響。
【0142】
純粋なロズマリン酸,純粋なカルノソール及び純粋なカルノシン酸の個々の溶液を前述のようにエタノール中で製造する。
【0143】
この検査で使用されるライトビールは製造後約1ヶ月たったものであり、そして地場市場で購入する。ボトル添加を例1におけるように行う。
【0144】
次のサンプルを製造する:
M. 5ppmCA(精製された)
N. 5ppmRA(精製された)
O. 5ppmCN(精製された)
P. 無添加
Q. フレッシュコントロール
瓶を暖められた部屋の暗所に、32±1℃でさまざまな量の時間置く。割り当てられて熟成時間の後,ビール瓶を暗い冷蔵庫中に移し、これらを分析するまで約2〜4℃で貯蔵する。同一ビールコードから別の瓶を2〜4℃の貯蔵で開栓しないまま保つ。同一ビールコードからのこれらの開栓していないサンプルを“フレッシュコントロール”と呼び、訓練されたパネリストにフレッシュサンプルを提供するために使用される。
【0145】
適当な時間で,訓練された7人のパネリストがビールを判定する。この検査パネリストで,フレッシュサンプルの同一性は熟成されたビールに対して検査するのにこれをを用いるパネリストに明かされる。5つのビールをそれぞれのセッションで判定する-フレッシュコントロール,熟成された無添加、及びシソ科の1つで処理された熟成されたビール。すべての好みランク,アロマの性質及び同一性、紙/ボール紙様のアロマ及びフレーバーのレベル,サワー又は不快なフレーバー,後味及び渋み及び苦味品質及び強度を判定する。結果を表3に示す。
【0146】
表3.市販ライトビールの賞味期限の増加
【0147】
【表3】

【0148】
再度,それぞれの場合,パネリストは、シソ科ハーブエキスで処理された熟成ビールサンプルが,処理されなかった熟成されたサンプルに比べて強い好みを示した。シソ科ハーブエキス又はシソ科ハーブ由来の化合物を用いる処理は、ビールのフレッシュフレーバーを維持するのを助けた。
【0149】
これらの結果は、6日間、夏季温度でのライトビールの熟成がフレーバーを損なうには十分であり、そしてCA,RA又はCNの低いレベルの添加は劣化の速度を極めて顕著に遅延させる。
【0150】
例4 例1のビールの酸化還元電位にカルノシン酸が影響を及ぼすのを示す。
カルノシン酸の10mg/mL溶液を、HPLCによって250mgの100%純粋な結晶を取り、ついでエタノールで全量25mLに希釈することによって製造する。
【0151】
例1によるボトル添加処理を変更させ、空気の封入を許す。
【0152】
ビール1本を開け,口を激しくたたき、泡立ち(“ホビング(fobbing)”と呼ぶ)を誘い,ついで栓をする。ホビングは空気を排除する。この瓶を回転させ、逆さにする。このサンプルをNoCA,NoAirに指定する。
【0153】
瓶を開け、ついで7.1mgのCA(20ppm)と共に、710μLの上記溶液を含む12オンス瓶に添加する。添加後、25mLスクイーズバルブから空気を瓶の口の空間に2回吹き込む。瓶に栓をし、回転させ、ついで及びホビングせずに逆さにする。指定表示は20ppmCA,PlusAirである。
【0154】
瓶を開けるが、ホビングの代わりに,瓶の口の空間を介してスクイーズバルブから瓶にそれぞれ約25mLの空気を2回吹き込む。ついで瓶に栓をする。瓶を回転させ、ついで逆さにする。このサンプルは“NoCA,PlusAir”である。
【0155】
145mg/dLの濃度で2,4-ジクロロインドフェノールナトリウム塩(DCIP)を有する標準溶液を“Methodensammlung der Mitteleuropaeischen Brautechnischene Analoesen Kommission, Vierte Ausgabe 2002, Editor Prof. Dr. H. Miedaner, Weihenstephan, p.104-107”に記載された方法によって製造する。100mgのDCIPをビーカー中で計量する。50mLの純水を添加し、ついで混合物を20分間攪拌する。溶液をWhatman#1paperを介して濾過する。10mLの濾過されたDCIPを、1.0gKI及び容量フラスコ中で100mLとされた14.3mL濃H2SO4からなる溶液2mLを有する125mLフラスコにピペットで移す。4滴のデンプンインジケータを添加し、ついでDCIPを0.01で滴定する;チオ硫酸ナトリウム。DCIPの濃度(mg/dL)を、14.5まで滴定量のmLを増加させて測定する。純水を添加して最終濃度を1.45mg/mLに調整する。
【0156】
ビールを39°Cの箱中で14日間貯蔵する。貯蔵期間の後、ビールを熱い部屋から出し、一晩冷蔵する。分析すべきビール(4つの上記処理)を、15分間6,000rpmで遠心分離して脱気する。10mLのそれぞれ脱気されたビールを小さい25mLのエルレンメイヤーフラスコに移す。脱気されたビールのいくつかを、1cmのキュベットを満たすために注ぎいれ、分光光度計セット中に置き、520nmで吸光度を記録する。脱気された“NoCA,NoAir”ビールを使用して、ベースラインを定める。
【0157】
250μLの調整されたDCIPを10mLの脱気されたビールに添加し、フラスコを回転して混合させ,ついで1分タイマーを始動させる。ビール/DCIPを1cmのキュベットに注ぎいれ、ついで分光光度計中に置く。吸光度を正確に1分で読む。これらの分析を3回行い、ついで平均する。
【0158】
“酸化還元電位”を次式を用いて計算する:
Rox=100x(1-(A520)).
0.96
この例及びその他の例に対する結果を下記表4中にまとめて示す。
【0159】
表4.例1のビールの酸化還元電位。カルノシン酸の効果。
【0160】
【表4】

【0161】
これは、カルノシン酸がホップを効かしたビールに著しい保存影響を与えることを示す。
【0162】
例5 セミライトビール及びライトビールの酸化還元電位にカルノシン酸濃度が影響。
【0163】
ライトビールを地場市場で購入し、製造後2ヶ月たったものを使用する。カルノシン酸を、純粋なCAを用いて製造された1%エタノール溶液によって添加する。添加のレベルは0,5,10,15及び20ppmである。例4に記載したように、ビールの栓を開け,添加を行い、ついでビールをホッブし、栓をする。すべての分析を、例4に記載したように、DCIP法を用いて3回行う。サンプルを脱気及び分析する前に約4時間冷蔵する。結果を表5に示す。
【0164】
同一に実験を、5ヶ月たったことを示す製造コードを有するセミライトビールを用いて実施する。
【0165】
表5.セミライト及びライトビール中で酸化還元電位にCA濃度が影響。
【0166】
【表5】

【0167】
例6 例4のホップを効かしたビール中で酸化還元電位,DPPHラジカルスカベンジング及び色にカルノシン酸及びロズマリン酸が影響。
【0168】
25mLの100%エタノールに精製された添加物(500mg)を溶解することによって、ロズマリン酸及びカルノシン酸(2%w/v)の溶液を個々に製造する。使用されるボトル添加方法は、例1に記載された方法と同一である。次のサンプルを調製した:
1. 20ppmカルノシン酸
2. 20ppmカルノシン酸+空気
3. 20ppmロズマリン酸
4. 20ppmロズマリン酸+空気
5. 10ppmカルノシン酸+10ppmロズマリン酸
6. 10ppmカルノシン酸+10ppmロズマリン酸+空気
7. 無添加+空気
8. 無添加。
【0169】
処理物1〜8を40℃で設定された、温度調節部屋に入れ、ついで±1℃で保つ。ゼロ時間,3日、7日、14日及び21日間隔で,サンプルを回収し、酸化還元電位を例4に概略が示された方法によって測定する。色測定をMinolta Spectrophotometer model CM-3500dでL,a,bシステムを用いて行う。L,a,b,色度及び色相角カラーメジャー単位を記録する。DPPHラジカルスカベンジングナンバーを、次の方法を用いて測定する。脱イオン化されたH20/EtOH緩衝液を、250mLの純水中に250mgのクエン酸ナトリウム二水和物及び10gの無水エタノールを溶解させることによって製造する。ついで溶液を1回に1滴の0.1Nクエン酸(6.404g/L無水クエン酸)で滴定し、4.35〜4.5のpHに到達させる。
【0170】
試験を行うために,約0.04gのDPPHを100mL容量で0.1mgの位まで量り、DPPHの正確な重量を記録する。DPPHをメタノールに溶解させ、ついでメタノールを添加して容量を100mLとする。溶液を超音波で分解し、溶解を促進する。測定すべきビールの栓を開け、2mLのそれぞれビールを別々の15mL遠心分離管に注ぎ,すべての管中の容量が等しいことを確認する。分析をそれぞれのビールに対して3回行う。規格外のビールサンプルは、分光光度計ブランクとして利用される。ビールを15分間6,000rpmでビールを遠心分離することによって脱気する。2つの25mLフラスコのそれぞれに、5mLのpH4.5の水-エタノール緩衝液をピペットで入れる。分光光度計波長を531nmに設定し、緩衝された水ブランクをゼロにする。1.0mLのDPPH溶液を水緩衝液に添加し,これをタイマーが始動したのと同時に回転させる。10分が経過する直前に,サンプルをキュベットに移し、吸光度(ABL)を測定する。分析を別の緩衝液を用いて繰り返す。正確さのために、高度の注意を払って正確に1mLの試薬を添加することが必要である。アッセイが酸素に及び使用される試薬の量に敏感であるので、サンプルを常に回転(混合)させるのも重要である。脱気されたビールを使用してベースラインを531nmで得る。遠心分離の後、5mLのビールを適当に標識された25mLフラスコに移す。1.0mLのDPPH溶液を添加し,溶液を回転させ、ついでタイマーを始動させる。ビールサンプルの吸光度(A531)を記録する。この処理はすべてのサンプルに対して繰り返される。すべての起こりうる分析順序の偏見を排除するために、サンプルを無作為に分析する。つぎの式を使用して、5mLのビールと反応するDPPHの量を算出する:
μmolDPPH=((1-A531/ABL)×(gDPPH/394))×106
この検査の結果を下記表6中にまとめて示す。
【0171】
表6.例4のホップを効かしたビール中で酸化還元電位及び色にシソ科成分が影響。
【0172】
【表6】

【0173】

【0174】
ビールの酸化還元電位は増加された熟成時間と共に減少され、そして空気は酸化還元に劇的な悪影響を与える。カルノシン酸は最初のビールのDCIP酸化還元電位を増加させ、そして時間と共にDCIP酸化還元電位を維持することに劇的な影響を及ぼす。ロズマリン酸は、この特別のビール中でDCIP酸化還元電位に又は酸化還元電位の維持に何ら影響を与えない。カルノシン酸及びロズマリン酸の混合物は、フレッシュビールの酸化還元電位を増加させないが,酸化還元電位を熟成の間劇的に維持する。カルノシン酸は、添加された空気を含む熟成されたビールに対して有益な効果を示す。試験の最後でDCIP酸化還元電位は、CA処理されたビールに対して比較的高い。ロズマリン酸は空気によって品質の落ちたビール中にDCIP酸化還元電位を維持するのに有効でない。CAも、RAも空気で処理されていないビール中でDPPH数にあまり影響を与えない。CA,RA及びCAとRAの混合物は、空気で処理されたビール中でDPPH数を維持する。表6は、添加物及び空気が、熟成されたビールの色に,特にa*として知られている色値に影響を及ぼすことを示す。空気にさらされたビールは、“a*”値を急速に変える。RAはその空気に誘発された色変化を防ぐのに役に立たないようにみえるが、CAは有利な効果を有する。
【0175】
例7 例3のライトビールの酸化還元電位にカルノソールが影響。
【0176】
セージエキスから単離されたカルノソールの2%溶液を、200mgの純粋なカルノソールを量り、ついで純粋なエタノールで10mLとすることによって製造する。瓶に、瓶の口から標準の瓶添加方法によって,10及び20ppmカルノソールを入れ、ホビングして空気を排除し,ついで栓をする。
【0177】
分析前、瓶を2〜4℃で1日間貯蔵する。標準DCIP及びDPPH測定を行う。以下の表7に結果をまとめる。
【0178】
表7.市販のライトビールの酸化還元電位にカルノソールが影響。
【0179】
【表7】

【0180】
驚くことに,カルノソールは、DCIP法によって測定されるようにビールの酸化還元電位を増加させない。カルノソールは、DPPHを低下させるビールの能力を増加させない。ビール中に5ppmのカルノソールはフレッシュフレーバーを維持することに顕著な、有利な影響を与えることが分かった。これがどんなメカニスムで起こるのか知られていない。
【0181】
例8 イソフムロンの維持に関するカルノシン酸とロズマリン酸の混合物の例.
例1のビール(購入した時点で27日間たったことを示す製造コードがある)を、この例のために使用する。1ケースのビール瓶を開栓し、プロピレングリコール溶液の形にある20ppmのカルノシン酸及び20ppmのロズマリン酸を添加し、例1に詳述した処理にしたがって瓶をホビングし、栓をする。同一の方法で別のケースを開け,ホビングし、栓をし、これを“コントロール”とする。すべての瓶を、40°Cの温度でコントロールされた熱い部屋に置く。上記ビールのサンプルを、Burroughs及びWilliams[1999]の方法の変法によるHPLCホップ酸分析のために、0時間、7,21,35,44及び58日間で採取する。ビールサンプル(100mL)を、過剰の泡立ちを避けるために背の高いビーカーに穏やかに入れる。オクタノール(1-2滴)を添加して、泡を最小化し,ついでビールにヘリウムを10-15分間スパージングして、これを脱気する。脱気されたビールを2mLのオートサンプラーガラス瓶に移し、文献に示された方法にしたがって検査する。
【0182】
最近の文献,Araki等[2002]及びL.DeCooman等[2001]は、イソ-アルファ酸のトランス異性体がビール熟成の指標である証拠を示す。トランス異性体のレベルは、シス異性体のレベルよりも速く減少する。この例においてトランス異性体は、全ホップ酸の28%である。ビール中で、イソフムロンのシス/トランス比率で添加されたシソ科ハーブエキス成分が影響を及ぼすことを表8に示す。
【0183】
表8.シソ科ハーブ成分含有及び不含ビール中でイソフムロンのシス/トランス比率。40°Cで貯蔵の効果。
【0184】
【表8】

【0185】
カルノシン酸は、最大約35日まで、シス/トランスレベルを維持するのを助ける。カルノシン酸とロズマリン酸の混合物は、シス/トランス比率にさらに大きい影響を維持に与える。この作用は例1-4に記載されたフレーバー劣化に無関係であることに注意しなければならない。シス/トランス比率で言及された無視できないほどの効果は、数周間の熟成後まではっきりしない。一方,フレーバー変化はこれよりもはるかに早く生じる。この例で、RAとCAの相乗効果を示す。相乗効果はCNと共にも生じる。
【0186】
例9 マッシュの酸化還元電位にCA及びRAが影響。
【0187】
地方の醸造所から得られた二条ペール(pale)大麦麦芽のサンプル300gを、ハンドグラインダーを用いて粉砕して“醸造所粉砕(brewerygrind)”とする。粉砕された麦芽のサンプル50gを3つの600mLビーカーのそれぞれに量りいれる。水道水を5分間煮沸し、塩素を除き、水を消毒する。冷却する時に、水のpHは7.86〜5.5に0.1NH2SO4を用いて調整する。ついで水を43℃(109.4oF)に加熱し、この調整された水160gをそれぞれのビーカーに添加する。ビーカーの一方に、エタノール中にカルノシン酸を有する2%溶液210μL(マッシュに対して20mgCA/kgを生じる)を添加する。他方のビーカーに、ロズマリン酸の2%溶液210μLを添加する。1つのビーカーは処理されない。ビーカーを、10分間43℃で、温度プローブコントロールされたホットプレート上でビーカーの1つ中のプローブと共に攪拌する。10分間、ビーカーを別の温度プローブコントロールされたホットプレート(68℃(154.4oF)で設定されている)上に置き、ついでプローブをマッシュビーカーの1つ中にいれる。発生時間は43℃〜68℃で約15分である。ビーカーを15分間この温度で攪拌する。15分のマッシュ後,ビーカーをホットプレートから除き、氷浴中で冷却する。それぞれビーカーの内容物をペーパーフィルターによって水気を切る。約75mLの最初のマッシュを、それぞれ麦汁から集める。穀粒はスパージングされない。麦汁のoボウリング(oBalling)を、温度補償屈折計(Abbe, Leica Mark II)を用いて測定する。それぞれの麦汁のDCIP低下力を、前記の標準法を用いて2回分析する。結果を表9に示す。
【0188】
表9.マッシュの酸化還元電位にCA及びRAが影響。
【0189】
【表9】

【0190】
RAはビールの酸化還元電位を増加させる効果があった場合ほんの僅かであることが分かった。CAは、この点においてより一層強力な添加物であることがわかった。麦芽の場合,RAは大きい増加効果を有する化合物であることが分かる。これは醸造工程の初期に添加されたRAが増加効果を有するからである。CAも増加効果を有するが、RAで見られるほんの約半分の効果である。
【0191】
例10 醗酵後、苦味成分及び安定成分をビールに有利に添加するのに適するホップビター酸及びシソ科ハーブ成分の唯一の組み合わせ
pH8で9.5%テトラヒドロイソフムロン中にロズマリン酸を有する溶液を製造し、室温で長期間放置し、安定性を測定する。RAは少なくとも3ヶ月この調合物中で安定である。結果を表10に示す。
【0192】
表10.時間の関数としてテトラヒドロイソフムロン中のRA濃度
【0193】
【表10】

【0194】
RAはホップ酸溶液中で極めて安定である。CA,RA及びCNの溶液は、溶解度によってのみ制限された、種々のホップ酸中で製造することができる。ホップ酸は、イソフムロン,ジヒドロ-イソフムロン,テトラヒドロ-イソフムロン,及びへキサヒドロイソフムロン又はあらゆる組み合わせを含む。こっらの組み合わせは、苦味及びフレーバー安定性をビールに添加する極めて有利な方法をもたらす。PHが低ければ低いほど,安定性はますます大きくなる。この例は好ましい上限を示すが,最も好ましいpH範囲は約6〜7.5である。しかしpH3.5まで低い範囲は許容範囲であるが、貯蔵時間は短く、そして混合物は冷たく保たれる。混合物のすべては、アルカリ水で希釈した場合、pH10でビールに添加される。
【0195】
例11 低温殺菌の間、酸化還元電位にシソ科ハーブエキスが影響。
【0196】
実験の時点で81日たっているが、2℃で貯蔵されていた市販のライトビール5瓶をこの実験で使用する。次の5つの処理を行う:
1. 非低温殺菌コントロールを、分析まで冷蔵庫中で一瓶を開栓せずに置くことによって調製する。
2. 別の瓶の栓を開け,20ppmのカルノシン酸を純粋な材料から製造された溶液から添加し、瓶をホビングし、ついで栓をする。このサンプルも低温殺菌しない。
3. 瓶の栓を開け,ホビングして空気を除き,ついで栓をする。このサンプルを
無添加の低温殺菌されたコントロールとする。
4. 瓶の栓を開け,20ppmのカルノシン酸を純粋な化合物から製造された溶液から添加する。瓶をホビングし、ついで栓をし、低温殺菌を行う。
5. 瓶の栓を開け,20ppmのロズマリン酸を純粋な化合物から製造された溶液から添加する。瓶をホビングし、ついで栓をし、低温殺菌を行う。
【0197】
処理3,4及び5を環境温度の水浴中に浸し、60℃に加熱する。環境温度から60℃に達する大体の時間は12分である。瓶は60℃で12分間保たれる。ついでこれらを移し、冷却する。すべての5つの処理を、例4に記載されたCIP-酸化還元法によって分析する。
【0198】
結果を表11に示す:
表11.低温殺菌されたビール酸化還元電位にCA及びRAが影響。
【0199】
【表11】

【0200】
これらの結果はCAの保護力を示す。ビールの還元力は、未処理の,非低温殺菌コントロールよりも高いレベルで保持される。ロズマリン酸は、低温殺菌中でビールの酸化還元電位を維持する効力を示さない。
【0201】
例12 麦芽製造の前にシソ科ハーブエキス,カルノシン酸,カルノソール又はロズマリン酸又はその組み合わせを添加することによる有利な効果を示す。
【0202】
大麦をロズマリン酸含有シソ科ハーブエキスの水溶液で処理する。別のテストで,大麦をカルノシン酸及びカルノソール含有シソ科ハーブエキスの水性懸濁液で処理する。後者のエキスを、これをより容易に分散させる食品用乳化剤と一緒にする。十分なそれぞれのエキス溶液又は懸濁液を、個々に大麦に添加し、穀粒に水分レベルを14-15%にする。エキス溶液及び懸濁液の濃度は、添加が10〜250ppmのカルノシン酸,カルノソール又はロズマリン酸の最終濃度を生じる程度のものである。穀粒を従来公知の方法によって麦芽にする。麦芽を培乾し、マッシングし、マッシュを使用して麦汁を製造する。マッシュ及び麦汁の酸化還元電位は、水だけが麦芽製造中に添加されたコントロールに比べて処理テストで高い。供試調合物から製造されたビールは、そのフレッシュフレーバーをコントロールから製造されたビールよりも長がもちする。大麦をロズマリン酸,カルノソール又はカルノシン酸,又はその3つあらゆる調合物の水溶液又は懸濁液で処理した時に、類似の結果が得られる。
【0203】
例13 醸造工程においてカルノシン酸及びロズマリン酸で処理された、試作品醸造所ビールの熟成されたフレーバー改善の測定。多数処理及び添加の順序。
ビールを下記のように、商業的試作品醸造所で醸造する。
マッシュイン(マッシュ-イン)
3.85Kgのブレイス(Breiss)2条ペール麦芽を50-60mLの散水で湿らせ、0.025インチに設定された2本のローラーの間を通って粉砕する。粉砕された穀粒を、16Lの濾過された醸造水に130oFで添加する。pHを5.1〜5.4に75%リン酸で調整する。
【0204】
マッシュプログラム
混合水/穀粒又は“マッシュ”を122oFで10分間攪拌する。エタノール中の最初のローズマリーエキス化合物(RA又はCA)を、マッシュインで添加する。コントロールを含むカルノシン酸/ロズマリン酸調合物添加を表12にまとめて示す。CA及びRA溶液を純度に応じて調整する。“マッシュ-イン”サンプルを、還元力(DCIP),%RA,%CA及び%CN分析のためにこの時点で取り出す。これらの結果及び工程の後半でその他のサンプリングポイントの結果を、表13にまとめて示す。10分保った後,マッシュを11分で1分あたり2度で145oFに上げる(ramp)。マッシュを145oFで45分間保つ。マッシュを5分で1分あたり2度で155oFに上げる(ramp)。マッシュを155oFで30分間攪拌する。30分保った後,混合温度を7分で1分あたり2度で170oFに上げ、ついで170oFで10分間保つ。
【0205】
表12.処理添加の要約
【0206】
【表12】

【0207】
表13.種々のサンプルポイントに対するDCIP,ppmRA,CA及びCN測定値
【0208】
【表13】

【0209】
麦汁濾過(WortStraining)
マッシュを濾過樽(LauterTun)に滴下し、ついで30分間そのまま置く。穀粒が移動したときに、濾過液を30分間又は流出物が澄明になるまで“前処理する(Vorlauffed)”(麦汁を底から取り出し、噴霧形で頂部に再循環させる)。“前駆体(Vorlauf)”サンプルをこの時点でDCIP,%RA,%CA及び%CN分析のために取り出し、そしてその結果を表13にまとめて示す。澄明になったときに,液を醸造釜の底に150oFでポンプ送入する。一方,20Lのスパージ水を170oFに前加熱し、pH5.1〜5.4に75%リン酸で調整する。穀粒が最初の麦汁の表面を通して透けて見える前に、この“スパージ水”をグレインベッドの頂部を介して噴霧する。第二ローズマリーエキス化合物(RA又はCA)(エタノール中)を、噴霧前にスパージ水に添加する。すべての添加を表12にまとめて示す。最後の流出を屈折率で測定される3oBrixで終了する。麦芽カスをアッセイのためにサンプリングし、廃棄する。“最後の流出”サンプルをこの時点でDCIP,%RA,%CA及び%CN分析のために取り出し、その結果を表13にまとめて示す。
【0210】
釜煮沸
約11-12Lの濾過された醸造水を醸造釜に添加して,比重5.5〜6.5oBrixにする。醸造釜を90分間蓋をあけて沸騰させる。沸騰の開始時に、0.2gのホップ由来の非酸性樹脂コード及び2.6gのイソフムロンを添加する。“スタートボイル(Start Boil)”サンプルをこの時点でDCIP,%RA,%CA及び%CN分析のために取り出し、その結果を表13にまとめて示す。第三ローズマリーエキス化合物(RA又はCA)(エタノール中)を醸造釜に釜煮沸の開始時に添加する。すべての添加を表12にまとめて示す。釜煮沸の終了前の20分間,1.6Kgの液体醸造所シロップ60/44IXを煮沸麦汁に添加する。加熱を停止した後,“エンドボイル(End Boil)”サンプルを、DCIP,%RA,%CA及び%CN分析のために取り出す。その結果を表13にまとめて示す。釜を約180oFに1時間そのまま冷却させる。麦汁のBrixをこの時点ではかり、10.8〜11.2の許容し得る範囲である。“ウォートセトル(Wort Settle)”サンプルをこの時点でDCIP,%RA,%CA及び%CN分析のために取り出し、その結果を表13にまとめて示す。
【0211】
麦汁冷却
MasterFlexぜん動ポンプを用いて、麦汁を熱交換器を経てポンプ送入し、瓶詰めされた医療グレード空気によってエアレーションしながら,45-50oFに冷却し、Gelman0.2umフィルターによって濾過する。麦汁を釜の底の上方に取り除き、ホットトルーブ(粕)を取るのを避ける。
【0212】
醗酵及び熟成
Wyeast酵母株2007(300mL)を、醗酵器中で酸素注入された麦芽液に添加する。“醗酵器(Fermenter)”サンプルをこの時点でDCIP,%RA,%CA及び%CN分析のために取り出し、その結果を表13にまとめて示す。第一醗酵温度は50oBrixである。醗酵中に、ビールをpH及び比重示度のために毎日サンプリングする。醗酵マッシュを水浴中に50oFで5-7日間又は比重が3.3-3.6oBrixに下がるまで放置する。ついで醗酵器を60oF水浴に移動させ、“ジアセチル残部(Diacetyl Rest)”サンプルをこの時点でDCIP,%RA,%CA及び%CN分析のために取り出し、その結果を表13にまとめて示す。醗酵器をジアセチル残部のために60oFに水浴中で3日間保つ。ついでビールを滅菌水で満たされ、消毒されたタンクに移す。タンクに移す前に、ミニ樽中に酸素が残っていないことを保証するためにタンク内部をCO2で吹き飛ばす。熟成のために、ミニ樽を45oFで7日間貯蔵する。“熟成”サンプルをこの時点でDCIP,%RA,%CA及び%CN分析のために取り出し、その結果を表13にまとめて示す。ついでミニ樽を32oFで熟成の10日間冷却貯蔵庫に移動させる。
【0213】
仕上げ
冷却貯蔵の後、ビールをCuno filter housing及びa Cuno 70-H four disc filterで濾過して、滅菌水で満たされ、タンク内部をCO2で吹き飛ばされ、消毒されたタンクに入れる。この“ブライトビール”を12psiで25分間炭酸を注入し、ついで38oFでCO2ヘッドスペースをもって貯蔵する。
【0214】
熟成
ついで熟成のために、ミニ樽を32℃でwalk-inhotboxsetに移動させる。ビールを5日後と、7日後に官能検査パネル試験によってサンプリングする。官能検査パネリストは高度に訓練されたパネリストである。かれらは訓練を100時間かけて行い、劣化特性及びその他のフレーバー特性を十分に学んだ。熟成の7日後、ミニ樽をパネリストによってサンプリングする前にミニ樽を35oFに冷却する。
【0215】
表中のデータは、ロズマリン酸をマッシュ-インの開始時に添加することがこの段階で還元力を維持することを示す。文献は、リノール酸及びリノレイン酸のヒドロパーオキサイドをこの段階で生じさせることを示している(Kobayashi, Naoyuki, et.al. Journal of Fermentation and Bioengineering vol 76(5),371-375, 1993: Araki, Shigeki, et.al. J.Am.Brew.Soc.57(!), 34-37,1999)。この時点でのRAの添加は、たとえRAそれ自体がDCIPに敏感でなく、そしてマッシュがまだ本来の還元力を発現していなくでも有利な還元力を維持させる。
【0216】
官能検査結果
官能検査パネリストは100時間ほとんど劣化に起因するフレーバーについて専門的に学んだ20人からなる。官能検査データを以下の方法で得る。それぞれの処理サンプルを、それぞれのサンプルにつき全部で3つの複製に対して3つの異なるセッションでそれぞれ1回、パネリストに提示する。パネリストはビールを0-10のスケールで(0がフレッシュであり、そして10が最も劣化している)ランク付けする。概してパネリスト達の判定が望ましいが、すなわち個々のパネリストのいずれかの判定でなく、それぞれの反復グループにおいてそれぞれの処理サンプルの平均を算出し、表14中でカラム"Rep1","Rep2"及び"Rep3"と表わす。これらの"Rep"の平均を算出し、表14中でカラムの最初の"平均"下に表す。熟成された試作品醸造所ビールの不快な風味特性の公知量が加えられたサンプルを、対照ビールとして使用する。この特徴付けは、別々の記述セッションで行われる。試作品醸造所ビールの特徴的な不快な風味は紙様及びアセトアルデヒドであり、そしてこれらはフレッシュコントロールビールに0.75及び1.5倍の典型的なフレーバー閾値でそれぞれ加えられる。正しい順序でスパイク(spike)をランク付けしてくれないパネリストは、そのデータを分析から除いてもらう。というのはかれらがそのセッションにおけるその属性を十分に感知しないことを示すからである。
【0217】
それぞれのビールを別々に醸造したので,2つのコントロールを"平均コントロール"と呼ばれる一連の平均データに組み入れる。1つの平均コントロールからどのようであるかを推察するよりも良いからである。コントロールに対するすべての比較を"平均コントロール"データを用いて行う。
【0218】
統計に基づく分析は、いずれか1つの処理サンプルの3つの複製vs.別の処理サンプルの3つの複製についてペアーのt-テストを、処理サンプル1の複製1を処理サンプル2の複製1に比べて行うことからなる(表15)。片側テストを用いて、一方の処理の劣化値は統計学的に他方のものと相違するがどうかを調べる(たとえば処理対コントロール)。信頼水準をp値と共に示す。
【0219】
表14.パネリスト劣化スケーリングデータ
【0220】
【表14】

【0221】
表15.ペアーt-テストを用いて選択されたサンプルの比較
【0222】
【表15】

【0223】
この例で同ような結果をもって、親油性ローズマリーエキスをカルノシン酸に変えることができ、そして親水性ローズマリーエキスをロズマリン酸に変えることができる。但しエキスを上記カルノシン酸及びロズマリン酸のレベルに匹敵するのに十分な量で使用する。
【0224】
例14 瓶詰めされたビールにおいてカルノシン酸及びロズマリン酸で処理されたビールの熟成されたフレーバー改善を測定
標準のアメリカンラガー及びライトラガーを市場で購入する。処理瓶の栓を開け,添加し,ホビングし,栓をし、ついで逆さにする。コントロール瓶の栓を開け,栓をし、ついで逆さにする。使用される酸化防止剤処理を表16にまとめて示す。添加を次のように行った。1gの純粋な酸化防止剤(実際の純度に対して補正される)を100mLのエタノールに溶解させ、超音波で分解して、1重量/容量%の酸化防止剤溶液とする。表16に示された容量は、最終飲料調合物中に全量10ppmカルノシン酸及び(又は)ロズマリン酸を得るために添加される酸化防止剤溶液の量を示す。
【0225】
表16.使用された酸化防止剤処理の概要
【0226】
【表16】

【0227】
官能データを次の方法で得る。それぞれの処理サンプルを、異なる量の熟成時間(5vs.10日)でそれぞれ2つの異なるセッションでそれぞれ1回パネリストに提示する。パネリストはビールを0-10のスケールで(0がフレッシュであり、そして10が最も劣化している)ランク付けする。概してパネリスト達の判定が望ましいが、すなわち個々のパネリストのいずれかの判定でなく、それぞれの反復グループにおいてそれぞれの処理サンプルの平均を算出し、表17に示すように表す。熟成された標準アメリカンラガーの不快な風味特性の公知量でスパイクされたサンプルを、対照ビールとして使用する。この特徴付けは、別々の記述セッションで行われる。試作品醸造所ビールの特徴的な不快な風味は紙様及び革様風味であり、そしてこれらはフレッシュコントロールビールに0.75及び1.5倍の典型的なフレーバー閾値でそれぞれ加えられる。正しい順序でスパイク(spikes)をランク付けしてくれないパネリストは、そのデータを分析から除いてもらう。というのはかれらがそのセッションにおけるその属性を十分に感知しないことを示すからである。
【0228】
統計に基づく分析は、処理サンプルvs.熟成されたコントロールサンプルについてペアーのt-テストを行うことからなる(表18)。片側テストを使用して、一方の処理の劣化値は統計学的に他方のものと相違するがどうかを調べる(たとえば処理対コントロール)。信頼水準をp値と共に示す。
【0229】
表17.処理された標準アメリカンラガーvs.コントロールビールに関するパネリスト平均
【0230】
【表17】

【0231】
表18.処理された標準アメリカンラガーvs.熟成されたコントロールサンプルの比較ペアーのt-テストを用いる。
【0232】
【表18】

【0233】
例15 ホップビター酸/ロズマリン酸,ホップビター酸/カルノシン酸,ホップビター酸/カルノソール又はホップビター酸/組み合わせシソ科フェノール性化合物調合物の添加が有利な効果を示す。
【0234】
新たに醸造されたビールを、低温殺菌の直前に所望の苦味及び賞味期限の改善を行うのに必要な量で例10の調合物を用いて処理する。製造されたビールは、ポップビター酸単独で添加されて製造されたビールよりもそのフレッシュフレーバーを長く維持する。
【0235】
例16 ホップ油とシソ科ハーブ成分の組み合わせ
ホップ油をホールポップからか又はホップエキスから従来公知の方法によって蒸留する。ホップ油を従来公知の方法によって更に精製してよい。ホップ油/シソ科ハーブ調合物を、カルノシン酸,カルノソール又はロズマリン酸又はそれらのあらゆる組み合わせを完全な溶解が行われるのに十分なホップ油に容器で表わされるさせることによって製造する。調合物をビールに添加し,醗酵後に増加されたフレーバー及びフレーバー安定性を有するビールをもたらす。この例の調合物をホップビター酸と混合し、ビールに添加し、醗酵後に増加されたフレーバー及びフレーバー安定性を有するビールをもたらす。添加物、たとえばエタノール,グリセリン及びプロピレングリコールを使用してこの例の調合物の溶解度を増加させることができる。
【0236】
例17 シソ科ハーブエキスはコーヒーエキス中のフレーバーを延長させる。
コーヒーフレーバーエキスを、従来技術において通常使用される方法によって製造する。コーヒーフレーバーエキスをシソ科ハーブエキス又はシソ科ハーブから単離された成分で処理する。処理されたサンプルは、未処理コントロールよりも改善されたフレーバー安定性を示す。親油性又はより油溶性エキス又は成分は、驚くほどフレッシュコーヒーフレーバーを維持するのに有効である。
【0237】
例18 熟成のインジケータとしてのフェニルアセトアルデヒド及び3-メチルブタナール形成にカルノシン酸及びロズマリン酸が影響。
【0238】
例2からのホップを効かしたビールを、エタノール中にカルノシン酸を有する溶液エタノール中にロズマリン酸を有する溶液又はエタノール中にカルノシン酸とロズマリン酸の混合物を有する溶液で前述のように処理する。製造を以下のように行う:
1. “フレッシュ”,これはビールを開栓しないまま、冷たい部屋に2-4℃で貯蔵することを意味する。
2. “20ppmCA”、これは瓶の栓を開け、20ppmのカルノシン酸を純粋なCAの2%溶液(355μLの2%溶液)から添加することを意味する。瓶をホビングし、空気を排除し、ついで栓をする。
3. “20ppmCA+空気”、これは瓶の栓を開け、20ppmのCAを上述のように添加すること意味する。これらの瓶は、25mLバルブから残ったヘッドスペースに空気を2回吹きこまれる。瓶に栓をするが、ホビングしない。
4. “20ppmRA”、これは瓶の栓を開け、20ppmのロズマリン酸を2%溶液から添加することを意味する。瓶をホビングし、栓をする。
5. “20ppmRA+空気”、これは上記No.4ように行われ、20ppmのRAを添加することを意味する。これらの瓶に2回空気を吹きこみ、栓をするが、ホビングしない。
6. “10ppmRA+10ppmCA”、これは瓶の栓を開け、それぞれ10ppmのカルノシン酸及びロズマリン酸を純粋な溶液(12オンス瓶あたり178μLの2%溶液)を添加することを意味する。瓶をホビングし、栓をする。
7. “10ppmRA+10ppmCA+空気”、これはそれぞれ10ppmのRA及びCAを添加することを意味する。この処理に2回空気を吹きこみ、栓をする前にホビングしない。
8. “コントロール+空気”、これは瓶の栓を開け、2回空気を吹きこみ、ついで栓をするが、ホビングしないことを意味する。
9. “コントロール”、これは瓶の栓を開け、ホビングし、栓をする。
処理物2〜9を40℃の熱い部屋で貯蔵する。種々の時間で,瓶の栓を開け、サンプルを"Vesely等”の方法によってフェニルアセトアルデヒド及び3-メチルブタナールに関して分析する。その結果を表19に示す。
【0239】
表19.熟成されたビールのヘッドスペース中のフェニルアセトアルデヒド及び3-メチルブタナールのppm。カルノシン酸,ロズマリン酸及び空気の効果。
【0240】
【表19】

【0241】
この例は、CAとRAの双方がビール中にこれらの不快な風味化合物の形成を低下させるのに劇的な効果を有することを示す。
【0242】
例19. 熟成されたビール中でかすみ形成にシソ科ハーブ化合物が影響。
【0243】
例18で製造されたサンプルを次の方法でかすみについて分析する。清潔,乾燥,澄明フリント瓶に、それぞれの測定のために瓶を一列に並べてマジックインクで瓶の首にマークをつける。瓶を首の底まで蒸留水で満たし、ついでかすみメーター中に線列マークを前に向けて一列に並べ(Haze Meter, Type UKM1d, Radio meter Copenhagen)、機器をゼロにする。瓶をカラにし、ついでテストすべき脱気されたビールサンプルで満たし、かすみをASBC Formazin unitsに記録する。その結果を表20に示す。
【0244】
表20.熟成されたビール中のかすみ形成にシソ科ハーブが影響。
【0245】
【表20】

【0246】
この実験は、CA及びRAが空気にさらされた熟成ビール中のかすみ形成の速度を低下させることに劇的な有利な影響を与えることを示す。CA及びRAが厳密に容器詰され、そして空気から保護された熟成されたビール中に形成されるかすみの量を増加させないことも示す。CNは同一の劇的な効果を有する。
【0247】
例20 フレーバー麦芽飲料中でシソ科ハーブ化合物の維持効果を示す。
【0248】
フレーバー麦芽飲料に、10ppmのCA及び5ppmのCNを添加し、ついで飲料を熟成する。同一の飲料に,10ppmのRAを添加する。飲料をCAで安定化し、CNは、フレーバー判定及び機器分析によってコントロールよりもほんのわずかによいRAで処理された飲料よりもフレーバー安定である。RAをCA及び(又は)CNに添加した場合,改善が観察された。
【0249】
例21 カルノシン酸及びロズマリン酸で処理された熟成されたかんきつフレーバー飲料のフレーバー安定性改善の測定
飲料製造
炭で濾過された水をビールの容量の3.5〜4倍に炭酸化させる。糖シロップを表21に示めされた成分の種類及び表に挙げた量と組み合わせて製造する。59.2mLのシロップをそれぞれ355mlの瓶に添加する。それぞれの瓶に、個々に表22に挙げた処理と共にエタノール中にカルノソール又はロズマリン酸を有する1%(重量/容量)溶液1.775mLを添加して、それぞれ50ppmにすることによって配量する。瓶を、栓をし、逆さにする前に炭酸水で約355mlに満たす。
【0250】
表21.糖シロップ中に使用される成分の概要
【0251】
【表21】

【0252】
表22.使用される酸化防止剤処理の概要
【0253】
【表22】

【0254】
フレッシュサンプルを冷蔵庫(0℃)に貯蔵する。熱にさらされたサンプルをオーブン中で(32℃)7日間熟成する。
【0255】
官能トライアングル判定
ブラインドトライアングルパネル試験をパネル試験(20人のパネリスト)で行う。それぞれのパネル試験は、奇妙なサンプルとしてコントロールを与えた半分のパネリスト,変なサンプルとして処理されたサンプルを与えたもう半分のパネリストで釣り合っている。パネリストはパネル試験の間水を飲むことを許される。
【0256】
官能トライアングル結果
官能パネル試験は、フレッシュ未処理サンプルとフレッシュ処理コントロールの間に有意差がないことを検出した。サンプルを7日間熟成した後、官能パネル試験は95%信頼水準で未処理サンプルとRA処理及びCA+RA処理サンプルの間に有意差を検出することができた。官能パネル試験からの結果を表23にまとめて示す。下記表中の第5欄及び第6欄のサンプルは、95%信頼水準で顕著に異なる。トライアングルデータは顕著な差異を示すが、このデータからこれらの差異の傾向は分からない。もう一つのパネル試験をビールパネル試験中に使用されるパネル試験のように行い、供試かんきつ飲料中のフレーバー損失又は劣化の量を測定する。
【0257】
表23.供試かんきつ飲料パネル試験に対する官能結果
【0258】
【表23】

【0259】
かんきつ飲料評価での差異に関する官能パネル試験を評価
官能データを次の方法で得る。それぞれのサンプル(コントロール及び処理)を1回パネリストに与える。パネリストはビールを0-10のスケールで(0がフレッシュであり、そして10が最も劣化している)ランク付けする。パネリストはこれの特性について訓練するために、フレッシュ及び劣化材料の例がフレッシュ及び劣化材料の例がパネル試験の前に与えられる。概してパネリスト達の判定が望ましいが、すなわち個々のパネリストのいずれかの判定でなく、それぞれの反復グループにおいてそれぞれの処理サンプルの平均を算出し、表24に示すように表す。サンプルセットの一部が2及び4のファクターまで希釈されたフレッシュコントロールであるように、サンプルを製造し、ブラインド(blindly)判定する。これらの希釈されたサンプルは、サンプルが温まって熟成され時に生じるフレーバーの損失を最も良く示す。正しい順序で1)熟成されたコントロールvs.フレッシュコントロール,ついで2)2倍及び4倍希釈をランク付けしてくれないパネリストは、そのデータを分析から除いてもらう。というのはかれらがそのセッションにおけるその属性を十分に感知しないことを示すからである。
【0260】
統計に基づく分析は、処理サンプルvs.熟成されたコントロールサンプルについてペアーのt-テストを行うことからなる(表25)。片側テストを使用して、一方の処理の劣化値は他方のものよりの低いかどうかを調べる(たとえば処理対コントロール)。信頼水準をp値と共に示す。
【0261】
表24.供試かんきつ飲料に対するパネリスト平均
【0262】
【表24】

【0263】
表24に、熟成されたRA/CAは1/2濃度フレッシュコントロールに相当し、そして熟成されたコントロールは1/2濃度コントロールと1/4濃度コントロールの間の約中間であることが分かる。フレッシュRA/CAは、統計学的にフレッシュコントロールと異ならないことも分かる(表25参照)。したがって出発ポイントが同じだが、最終ポイントが異なった。
【0264】
表25.ペアーのt-テストを用いてかんきつ飲料評価パネル試験結果の比較
【0265】
【表25】

【0266】
結論
シソ科ハーブ化合物のすべてがビールをフレーバー分解から保護することがわかるが,特定の化合物が醸造工程の特定の段階で酸化還元電位を維持するのに有効であるかどうか,そしてまたすべての化合物が1つ以上の段階で酸化還元電位を維持することは例から明らかである。これらの入り組んだ結果(これらのうちのすべてはビールの点からみて有利である)は、公知技術が合意していないフレーバー維持する最良の方法及びフレーバーが分解するメカニズムに一致する。更に,この結果からビール劣化のメカニズムは明白にならない。というのは有効化合物が極めて異なって挙動するからである。
【0267】
かんきつ飲料のフレーバーを安定化するためにロズマリン酸を使用することを教示する先行技術文献はあるが、その文献から、シソ科ハーブのより一層油溶性の酸化防止剤成分がこの点で有用であることは教示又は示唆されない。したがって、ロズマリン酸に対するより一層油溶性の成分,カルノシン酸及びカルノソールの極めて異なる挙動及び作用は,これらの物質がかんきつ,フルーツ,ベリー及びコーラフレーバー非炭酸ソフトドリンク及び炭酸飲料のフレーバー安定性に有利な影響を与えることを文献から推測させない。
【0268】
本発明はここの記載された具体的な実施態様に限定されない。実際に,ここの記載された実施態様に加えて本発明の種々の変更は、前記記載から当業者に明らかとなる。
すべての特許,特許出願,刊行物,テスト方法,文献,及びここに引用されたその他の文献を本願に引用して援用する。
【0269】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料の安定性を増加させる方法において, 場合により食品用キャリヤー中に調製されたシソ科ハーブエキス又はシソ科ハーブの成分を飲料に添加するか又はその製造のある時点で添加する, 上記方法。
【請求項2】
飲料が麦芽飲料 , ビール, エール, ドライ ビール, ニアビール, ライトビール, 低アルコールビール, 低カロリービール, ポーター, ボック ビール, スタウト, 麦芽酒, ノン-アルコール麦芽飲料 , 及びアルコールが除去されたビールから選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
飲料が コーヒー, フレーバーコーヒー, 強化ソフトドリンク, 栄養飲料, かんきつ飲料, フルーツドリンク, ベリー及びコーラフレーバー 非炭酸ソフトドリンク及び炭酸飲料, フルーツジュース, 及びフレーバー 麦芽飲料から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
シソ科ハーブエキスが粗製のシソ科ハーブエキス, カルノシン酸、及びカルノシン酸, カルノソール及びロズマリン酸の混合物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
シソ科ハーブエキスをビール又は麦芽飲料 に添加する、請求項1記載の麦芽飲料及びビールのフレーバー安定性を増加させる方法。
【請求項6】
シソ科ハーブエキスが粗製のシソ科ハーブエキス, カルノシン酸、及びカルノシン酸, カルノソール及びロズマリン酸の混合物を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
ビール製造中に、シソ科ハーブエキスを添加する、請求項1記載の麦芽飲料及びビールのフレーバー安定性を増加させる方法。
【請求項8】
シソ科ハーブエキスが粗製のシソ科ハーブエキス, カルノシン酸、及び カルノシン酸, カルノソール及びロズマリン酸の混合物を含む、請求項 7記載の方法。
【請求項9】
シソ科ハーブエキスを、次の工程:
穀物に麦芽製造工程前,
穀物に麦芽製造工程の間、
マッシング工程の前,
マッシング工程の間,
麦汁濾過工程の前,
麦汁濾過工程の間,
麦汁煮沸の前,
麦汁煮沸の間,
醗酵工程の直前,
醗酵工程の間, 及び
醗酵後
から選ばれる、麦芽飲料 又はビール製造工程のうちの1つ以上の段階で添加する、請求項7記載の方法。
【請求項10】
麦汁煮沸前の飲料製造工程のいずれか又はすべての段階でロズマリン酸を添加するか及び(又は)麦汁煮沸の間又はその後の飲料製造工程のいずれか又はすべての段階でカルノシン酸及び(又は)カルノソールを添加する、麦芽飲料及びビールのフレーバー安定性を増加させる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
麦汁煮沸の前の飲料製造工程のいずれか又はすべての段階でロズマリン酸を添加する、 麦芽飲料及びビールのフレーバー安定性を増加させる、請求項9記載の方法。
【請求項12】
麦汁煮沸の間又はその後の飲料製造工程のいずれか又はすべての段階でカルノシン酸及び(又は) カルノソールを添加する、麦芽飲料及びビールのフレーバー安定性を増加させる、請求項9記載の方法。
【請求項13】
製造工程のいずれか又はすべての段階でシソ科ハーブエキスを添加する、麦芽飲料又はビールの酸化還元電位を増加させる、請求項1記載の方法。
【請求項14】
製造工程のいずれか又はすべての段階でロズマリン酸を添加する、麦芽飲料又はビールの酸化還元電位を増加させる、請求項13記載の方法
【請求項15】
マッシング工程, 麦芽製造, 焙乾工程又はその組み合わせの前にシソ科ハーブエキスを添加する、マッシュの酸化還元電位を増加させる、請求項13記載の方法。
【請求項16】
麦芽穀粒からマッシュを生成させる前に、ロズマリン酸を添加する、マッシュの酸化還元電位を増加させる、請求項13記載の方法。
【請求項17】
麦芽穀粒からマッシュを生成させる間に、ロズマリン酸を添加する、マッシュの酸化還元電位を増加させる、請求項13記載の方法。
【請求項18】
製造工程のいずれか又はすべての段階でカルノシン酸を添加する、麦芽飲料又はビールの酸化還元電位を増加させる、請求項13記載の方法
【請求項19】
醗酵後に、カルノシン酸を飲料に添加する、麦芽飲料又はビールの酸化還元電位を増加させる、請求項13記載の方法。
【請求項20】
麦汁煮沸を含む工程から低温殺菌処理の直前までの製造工程のいずれかの段階でカルノシン酸 及び(又は) カルノソールを含む成分を添加することによって、低温殺菌処理中に、麦芽飲料及びビールの酸化還元電位の損失を最小化する、請求項1記載の方法。
【請求項21】
カルノシン酸 、又はカルノシン酸とロズマリン酸の混合物を完成した麦芽飲料 又はビールに、又は麦芽飲料 又はビール製造のいずれかの段階で添加する、貯蔵時に麦芽飲料 及びビール中にホップビター酸を維持する、請求項1記載の方法 。
【請求項22】
イソフムロン又は還元されたイソフムロンのシス対トランスの比率の変化速度を低下させる、請求項21の方法。
【請求項23】
カルノシン酸、又はカルノシン酸とロズマリン酸の混合物を飲料に又は飲料製造のいずれかの段階で添加する、貯蔵中に麦芽飲料又はビールの色を維持する、請求項1記載の方法
【請求項24】
カルノシン酸, ロズマリン酸及び(又は)それらの混合物を飲料製造の1つの段階で添加する、酸素の害となる量にさらされた麦芽飲料又はビールの酸化還元電位を維持する、請求項1記載の方法。
【請求項25】
カルノシン酸, ロズマリン酸 及び(又は)それらの混合物を飲料に添加する、熟成された麦芽飲料又はビールのかすみ形成を遅延させる、請求項1記載の方法。
【請求項26】
熟成された麦芽飲料 又はビールが酸素の害となる量にさらされる、請求項25記載の方法。
【請求項27】
カルノシン酸, ロズマリン酸, 及び(又は)それらの混合物を麦芽飲料又はビールの製造の前、製造中又は製造後に添加する、熟成された又は不適切な温度環境にある麦芽飲料 又はビール中でホップ及び(又は)麦芽分解生成物の醗酵を遅延させる、請求項1記載の方法。
【請求項28】
ホップ及び(又は) 麦芽分解生成物が揮発性カルボニル化合物, トランス-2-ノネナール, フェニルアセトアルデヒド 及び3-メチルブタナールから選ばれる、請求項27記載の方法。
【請求項29】
製造前又は製造中あるいは製造前と製造中の両方でシソ科ハーブエキスを添加する、麦芽飲料 又はビール中の天然メラノイジン類, ポリフェノール類及び亜硫酸塩を保護する、請求項1記載の方法。
【請求項30】
麦芽飲料 又はビール製造前又は製造中あるいは製造前と製造中の両方でシソ科ハーブエキスを添加する、酸化現象から保護する、請求項1記載の方法。
【請求項31】
製造前又は製造中あるいは製造前と製造中の両方でシソ科ハーブエキスを添加する、麦芽飲料 又はビール製造のマッシング工程中に過酸化脂質から保護する、請求項1記載の方法。
【請求項32】
シソ科ハーブエキスがフレーバー 閾値を下回って供給される、請求項1記載の方法。
【請求項33】
プロピレングリコール, エタノール, 水, 脂肪酸のモノグリセリド, 脂肪酸のジグリセリド 又はグリセリン, 又はそれらの混合物を含む食品用キャリヤー中にシソ科ハーブエキスを調合する、請求項1記載の方法。

【公表番号】特表2007−504828(P2007−504828A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526322(P2006−526322)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/029625
【国際公開番号】WO2005/027665
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(506083257)カラマズー・ホールディングス・インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】