説明

麺生地ロール圧延装置

【課題】安全カバー部材としての機能を適切に維持しつつ、作業効率の向上、及び安全カバー部材の破損防止を図ることのできる麺生地ロール圧延装置を提供する。
【解決手段】間隙G3を持って平行に配設され、間隙G3に通された麺生地17を回転しながら圧延する少なくとも上圧延ロール11及び下圧延ロール12と、前記両圧延ロール11,12の手前側に設けられ麺生地17を間隙G3へと案内するベース部材14と、ベース部材14の上方に設けられ、手前側の垂直壁15C下端の折り曲げ部15Gが、ベース部材14の上面との間に所定の隙間G4を有して配置された安全カバー部材15とを備え、安全カバー部材15下端の折り曲げ部15Gとベース部材14との間に、ベース部材14上の麺生地17の表面に接触し麺生地17の移動に伴って回転する回転体18を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺類を作る過程で、麺生地を圧延して延ばす際に使用される麺生地ロール圧延装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、間隙を持って平行に配設された上圧延ロールと下圧延ロールとの間に麺生地を通して、これら両圧延ロールを回転させながら麺生地を圧延する麺生地ロール圧延装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような麺生地ロール圧延装置においては、上圧延ロールと下圧延ロール間に作業者が手を巻き込まれないように安全カバー部材を設けたものが知られている。例えば、図6に示すように、麺生地ロール圧延装置1には、上圧延ロール2と下圧延ロール3とが配設され、このうち作業者から見て上圧延ロール2の手前側(図6において左側)に、板部材を折り曲げて形成された安全カバー部材4が設けられている。この安全カバー部材4は、上部壁4A、傾斜壁4B及び垂直壁4Cを有し、全体が透明な樹脂で形成されている。
【0004】
上圧延ロール2及び下圧延ロール3は両端が側板5に回転自在に支持されている。図6は、紙面垂直方向に沿って手前側の側板は取り外されており、奥側の側板5のみが視認できる状態となっている。また支持軸6は角柱で両先端は円柱加工されている。支持軸6は両側板5間に回転支持され、この支持軸6の上部面に安全カバー部材4がネジで固定されている。
【0005】
また、上圧延ロール2及び下圧延ロール3の手前側(図6において左側)で安全カバー部材4の下方には、板状のベース部材7が設けられている。
【0006】
そして、上圧延ロール2及び下圧延ロール3を互いに逆方向(上圧延ロール2はA方向、下圧延ロール3はB方向)に回転させるとともに、作業者が、麺生地8をベース部材7の上に載せて上圧延ロール2及び下圧延ロール3の方向へ押し込み、上圧延ロール2と下圧延ロール3との間の間隙G1に麺生地8を通すことにより、麺生地8は圧延されて延ばされる。
【0007】
ところで、従来の麺生地ロール圧延装置1では、安全カバー部材4の垂直壁4Cの下部先端部は内側へ(つまり、上圧延ロール2の方へ向けて)折り曲げられ、この折り曲げ部4Dの下面とベース部材7の上面との間には、所定の大きさを有する隙間G2が形成されている。この隙間G2は、通常、安全カバー部材4の折り曲げ部4Dよりも内側に作業者の手が入らないよう25mmに設定されている。
【0008】
麺類の製造の工程では、練り(ミキサ)・鍛え(プレス)・圧延(ロール)・切断(カット)の順に作業が行われる。圧延(ロール)工程は、鍛え(プレス)工程に引き続いて行われるので、鍛え工程において、麺生地の厚さを25mm以下に加工しておけば、作業者は、ベース部材7と安全カバー部材4との隙間G2に麺生地8を容易に挿入することができ、圧延工程をスムーズに実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−314266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の技術では、麺生地8の厚さが25mmを超えると、ベース部材7と安全カバー部材4との隙間G2に麺生地8を挿入することが難しくなる。すなわち、麺生地は気温や湿度または小麦粉の保管状態などの相違により、同じ条件で製造しても、いつもより硬く仕上がることがある。このような場合、麺生地8は、厚さが25mmを超えていることが多く、ベース部材7と安全カバー部材4との隙間G2よりも厚くなっている。このままでは隙間G2に麺生地8を通すことができないので、圧延工程に取りかかる前に、麺生地8を手で押して薄くする作業が追加され、作業効率が著しく悪くなってしまう。
【0011】
また、安全カバー部材4は透明な樹脂で形成されているので、厚いままで麺生地8をベース部材7と安全カバー部材4との隙間G2に無理やり押し込もうとすると、安全カバー部材4を破損させてしまうこともある。
【0012】
安全カバー部材4の強度を高めるために、安全カバー部材4をステンレス製とすることも考えられるが、ステンレス製にしてしまうと、上圧延ロール2と下圧延ロール3による麺生地8の圧延加工の状態が見えなくなってしまい、作業時の視認性が損なわれる。
【0013】
また、ベース部材7と安全カバー部材4との隙間G2を拡げることも考えられるが、隙間G2の大きさが25mmを超えると、隙間G2を介して麺生地ロール圧延装置1の内部に作業者の手が入りやすくなって、安全面での問題が生じる。
【0014】
本発明の課題は、安全カバー部材としての機能を適切に維持しつつ、作業効率の向上、及び安全カバー部材の破損防止を図ることのできる麺生地ロール圧延装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、間隙を持って平行に配設され、前記間隙に通された麺生地を回転しながら圧延する少なくとも2本の圧延ロールと、前記圧延ロールの手前側に設けられ麺生地を前記間隙へと案内するベース部材と、前記ベース部材の上方に設けられ、手前側の下端縁部が前記ベース部材の上面との間に所定の隙間を有して配置された安全カバー部材とを備え、前記安全カバー部材の手前側の下端縁部と前記ベース部材との間に、前記ベース部材上の麺生地の表面に接触し麺生地の移動に伴って回転する回転体を設けたことを特徴としている。
【0016】
上記構成によれば、ベース部材上に載せられた麺生地は、ベース部材に案内されて圧延ロールへ導かれ圧延ロール間の間隙を通って圧延され延ばされる。圧延ロールは回転しており、圧延後の麺生地を安全カバー部材の上面側へ排出するとともに、ベース部材上の未圧延の麺生地を圧延ロール間の間隙へと移動させる。
【0017】
そして、安全カバー部材の手前側の下端縁部とベース部材との間に回転体が設けられているので、ベース部材上に麺生地が載せられたとき、麺生地の表面に回転体の外周面が接触し、麺生地の厚さが多少厚くても麺生地の移動に伴って回転体が回転することにより、安全カバー部材の手前側の下端縁部とベース部材との間に麺生地をスムーズに挿入することが可能となる。
【0018】
このように、上記構成においては、安全カバー部材の手前側の下端縁部とベース部材との間に回転体が設けられているので、作業者の手が麺生地ロール圧延装置の内部に入ることはなく、また、安全カバー部材に麺生地が当たることがないので、安全カバー部材は透明樹脂のままでよいから、作業時の視認性を確保することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記回転体の両端は、前記圧延ロールの両端を回転自在に支持する側板に、回転自在に支持されていることを特徴としている。このように構成すれば、回転体を回転自在にかつ確実に支持することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記回転体は、円筒形のパイプまたは円柱形の棒状ロールで形成されていることを特徴としている。このように構成すれば、回転体の強度を高めることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記安全カバー部材は、少なくとも一部が透明になっていることを特徴としている。このように構成すれば、圧延ロールによって圧延されている麺生地の様子を容易に視認することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、請求項2又は3において、前記圧延ロールの両端を支持する前記側板間に梁状のセンサ取付部材を設け、該センサ取付部材に麺生地の厚さを測定する麺生地厚さ測定センサを取り付けたことを特徴としている。このように構成すれば、麺生地を目的の厚さに容易に圧延することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、安全カバー部材としての機能を適切に維持しつつ、作業効率の向上、及び安全カバー部材の破損防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1による麺生地ロール圧延装置の概略構成図である。
【図2】麺生地が圧延されて厚さが薄くなっていく様子を示す図である。
【図3】2本の圧延ロールと回転体を示す図である。
【図4】実施例2による麺生地ロール圧延装置の概略構成図である。
【図5】麺生地厚さ測定センサが取り付けられたセンサ取付部材と回転体とを示す図である。
【図6】従来技術による麺生地ロール圧延装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
【実施例】
【0026】
《実施例1》
図1及び図2は、実施例1による麺生地ロール圧延装置の概略構成を示しており、両図ともに麺生地ロール圧延装置の一側(手前側)の側板を取り外したときの側面図である。
【0027】
図1に示すように、麺生地ロール圧延装置10には、上圧延ロール11及び下圧延ロール12がそれらの外周面間に所定の間隙G3を持って平行に配設されている。上圧延ロール11及び下圧延ロール12の両端(紙面垂直方向に沿って両端)には円柱状の支持軸11A,12Aがそれぞれ固定され、これら支持軸11A,12Aは側板13に回転自在に支持されている。側板13には、支持軸11Aを支持する部分及び支持軸12Aを支持する部分がそれぞれ長孔に形成され、これら長孔は、その軸(長径方向に軸)が同一直線上にくるよう配置されている。これにより、上圧延ロール11及び下圧延ロール12は、互いに接近する方向に移動自在であるとともに互いに離間する方向へも移動自在、すなわち、略上下方向に移動自在となっている。なお、上圧延ロール11及び下圧延ロール12は、図示していないモータによって回転駆動される。
【0028】
上圧延ロール11は、上述のように、略上下方向に移動可能であるが、図示していないスプリングによって下圧延ロール12側へ付勢されており、麺生地圧延の作業が行われていない時は、最下位の位置(下圧延ロール12の外周面との間に間隙G3を維持する位置)に位置している。
【0029】
一方、下圧延ロール12は、上圧延ロール11の外周面との間に間隙G3を維持しているとき(図1の状態のとき)が最も最下位の位置にあるときであり、この状態から上圧延ロール11に対して段階的に接近することができるよう構成されている。そして、下圧延ロール12は、上圧延ロール11に対して段階的に接近するとき、各段階での位置を保持できるよう構成されている。
【0030】
作業者は、麺生地圧延の作業時には、図1及び図2では麺生地ロール圧延装置10の左側に立って作業を行う。
【0031】
麺生地ロール圧延装置10には、作業者から見て上圧延ロール11及び下圧延ロール12の手前側(図1において両圧延ロール11,12の左側)に板状のベース部材14が設けられている。このベース部材14は、麺生地ロール圧延装置10の左側から下圧延ロール12の外周面上部に向かって配置され、全体が図示していない支持部材によって支持されている。また、ベース部材14は、麺生地ロール圧延装置10の左側が低く、下圧延ロール12の外周面上部に近い側が高くなっており、全体が少し傾斜して配置されている。
【0032】
また、ベース部材14の上方には、板部材を折り曲げて形成された安全カバー部材15が設けられている。この安全カバー部材15は、上部壁15A、傾斜壁15B及び垂直壁15Cを有し、全体が透明な樹脂で形成されている。支持軸16は角柱で両先端16Aは円柱加工されている。支持軸16は両側板13間で円柱加工された16A部で回転支持され、この支持軸16の上面部に上部壁15Aがネジで固定されている。このため、上部壁15Aつまり安全カバー部材15は、支持軸16周りに回転自在となっている。
【0033】
また上部壁15Aには、上圧延ロール11の近い側に尖り部15Fが形成されている。そして支持軸16は図示省略のばねにより尖り部15Fが上圧延ロール11に接する方向に付勢されているので、尖り部15Fは常時上圧延ロール11に接触している。これにより、尖り部15Fは、上圧延ロール11を回転させたときに、上圧延ロール11の外周面の付着物を除去する、いわゆるスクレーパとしての機能を有している。
【0034】
また、上述したように、上圧延ロール11は、スプリングによって下圧延ロール12側へ付勢されているが、略上下方向に移動自在であるから、麺生地17に異物があって上圧延ロール11に略上方向に力が加わったとき、上圧延ロール11は前記スプリングの付勢力に抗して略上方向に瞬間的に移動する。この場合、安全カバー部材15は支持軸16周りに回動自在であるので、上圧延ロール11が上方向へ瞬間的に移動したとき、上圧延ロール11の外周面が尖り部15Fにぶつかり、安全カバー部材15は支持軸16周りに回動する。これにより、上圧延ロール11が上方向へ瞬間的に移動しても、安全カバー部材15が破損することはない。
【0035】
安全カバー部材15の垂直壁15Cの下部は内側へ(つまり、上圧延ロール11の方へ向けて)折り曲げられ、この折り曲げ部15Gの下面とベース部材14の上面との間には、所定の大きさを有する隙間G4が形成されている。
【0036】
そして、本実施例では、折り曲げ部15Gの下面とベース部材14の上面との間の隙間G4に、パイプからなる回転体18が設けられている。回転体18の両端には、図3に示すように、側板13の内壁面に設けられた円柱状突起19が嵌合しており、回転体18は円柱状突起19周りに回転自在となっている。
【0037】
なお、本実施例では、図1に示すように、回転体18の下部外表面とベース部材14の下面との間に隙間aが形成されるよう、回転体18が配置されている。この隙間aは25mmに設定されている。
【0038】
次に、本実施例における麺生地ロール圧延装置の作用について説明する。
【0039】
先ず、作業者は、モータの電源を入れて、図1に示すように、上圧延ロール11をA方向に、下圧延ロール12をB方向にそれぞれ回転駆動し、さらに、鍛え(プレス)工程後の麺生地17をベース部材14(ベース部材14のうち、麺生地ロール圧延装置10の左側端部)の上に載せ、さらに回転体18の下側を通して、上圧延ロール11と下圧延ロール12との間の間隙G3まで麺生地17を押し込んでいく。このとき、麺生地17はベース部材14に案内されて間隙G3へと達する。
【0040】
麺生地17は、ベース部材14の上に載せたときの厚さが例えばbとすると、回転体18の下部外表面とベース部材14の下面との間が隙間aであるので、回転体18の下側を通るときに厚さはa(つまり、25mm)となる。そして、麺生地17は厚さがaのままで上圧延ロール11と下圧延ロール12との間の間隙G3まで達し、間隙G3を通過する際に、上圧延ロール11と下圧延ロール12によって圧延され延ばされる。
【0041】
麺生地17は上圧延ロール11と下圧延ロール12によって圧延され、その圧延後の麺生地17は、上圧延ロール11の矢印A方向への回転に伴って上圧延ロール11の外周面に沿って移動し、安全カバー部材15の上部壁15Aの上面側へ排出される。このときの麺生地17の厚さは、麺生地特有の反発力が働き、上圧延ロール11と下圧延ロール12間の間隙G3よりも若干厚くなる。
【0042】
回転駆動された上圧延ロール11及び下圧延ロール12は、上記のように圧延後の麺生地17を排出するが、これに伴って、ベース部材14の上に載せられた未圧延の麺生地17を順次間隙G3の方向へ引っ張って移動させる。
【0043】
そして本実施例では、安全カバー部材15の垂直壁15Cの下端縁部(つまり、折り曲げ部15G)とベース部材14の上面との間に回転体18が設けられているので、麺生地17が回転体18の下側を通る際に、麺生地17の表面に回転体18の外周面が接触し、麺生地17が厚さb(bは25mmを超える厚さ)のように多少厚くても、麺生地17の移動に伴って回転体18が回転することにより、麺生地17をスムーズに通過させることが可能となる。
【0044】
このように、本実施例においては、安全カバー部材15の折り曲げ部15Gとベース部材14との間に回転体18が設けられているので、作業者の手が麺生地ロール圧延装置10の内部に入ることはなく、また、安全カバー部材15に麺生地17が直接当たることがないので、安全カバー部材15を破損させることもない。これにより、安全カバー部材を透明樹脂で形成することができ、作業時の視認性を確保することができる。
【0045】
次に、上圧延ロール11と下圧延ロール12との間の間隙G3を通って、厚さが少し薄くなった麺生地17を更に圧延して延ばす作業が実行される。このとき作業者は、図2に示すように、下圧延ロール12を一段階上方へ移動させ、上圧延ロール11と下圧延ロール12との間を間隙G5(G5<G3)に設定する。そして、厚さが少し薄くなった麺生地17を、図1の場合と同様にして、上圧延ロール11と下圧延ロール12との間の間隙G5を通過させ、麺生地17の厚さを更に薄くする。このような作業を数回繰り返すことにより、所定の厚さを有する麺生地17を得ることができる。なお、図2の場合は、ベース部材14上に載せられた麺生地17は厚さが薄くなっているので、麺生地17の表面が回転体18に接触することはなく、回転体18は回転することはなく静止したままである。この場合も、回転体18が存在するので、作業者の手が麺生地ロール圧延装置の内部に入り込むのは防止され、安全性を維持することができる。
【0046】
《実施例2》
図4及び図5は実施例2を示しており、図4は麺生地ロール圧延装置10の概略構成図、図5は麺生地厚さ測定センサが取り付けられたセンサ取付部材と回転体とを示す図である。
【0047】
本実施例では、図4に示すように、上圧延ロール11及び下圧延ロール12の両端を支持する側板13間に梁状のセンサ取付部材21が固定され、このセンサ取付部材21の略中央部に麺生地17の厚さを測定する麺生地厚さ測定センサ22が取り付けられている。
【0048】
ここで、センサ取付部材21の固定方法について説明する。各側板13の内面には板状の固定部材23が固定され、この固定部材23の上端には、その上端の一部が麺生地ロール圧延装置10の中心部に向けて水平に折り曲げられた折り曲げ片23Aが形成されている。すなわち、麺生地ロール圧延装置10の左側(つまり作業者側)から見ると、図5に示すように、固定部材23は逆L字型を成している。
【0049】
センサ取付部材21は、図4に示すように、断面の一部が欠けた矩形状を成し、作業者側の縦壁21Aと、作業者に対して奥側の縦壁21Bと、縦壁21Aの上端と縦壁21Bの上端とを接続する上壁21Cと、縦壁21Aの下端に接続された下壁21Dとからなっている。縦壁21Bは縦壁21Aよりも縦方向の長さが短く、また下壁21Dは上壁21Cよりも横方向の長さが短くなっており、これにより、センサ取付部材21は断面の一部が欠けた矩形状となっている。また、センサ取付部材21の上壁21Cの下面には、固定部材23の折り曲げ片23Aが当接し、さらに上壁21Cと折り曲げ片23Aとはリベット23B(図5参照)で互いに締結されている。このような構成によって、センサ取付部材21が側板13に固定されている。
【0050】
縦壁21Bの内面にはセンサ取付板24が固定され、このセンサ取付板24に麺生地厚さ測定センサ22が取り付けられている。この麺生地厚さ測定センサ22は、その下面(つまり、麺生地17の厚さを測定するための測定面)の位置が、回転体18の外周面のうち最下位の位置よりも高くなるよう設置されている。このように構成すると、麺生地厚さ測定センサ22の測定面に麺生地17が接触することがない。
【0051】
また、本実施例では、上圧延ロール11及び下圧延ロール12よりも作業者に近い側にセンサ取付部材21が設けられているので、作業時に作業者の手が麺生地ロール圧延装置10の内部に入りにくい。そのため、本実施例においては、安全カバー部材15は、上部壁15Aと傾斜壁15Bとから構成され、実施例1の場合のような垂直壁15C(図1又は図2参照)は設けられていない。
【0052】
次に、本実施例における麺生地ロール圧延装置の作用について説明する。
麺生地17を圧延する際、上圧延ロール11に対して下圧延ロール12を段々と接近させて、間隙G6を段階的に狭くしながら圧延を行っていくが、本実施例においては、間隙G6を狭くした各段階で麺生地厚さ測定センサ22によって麺生地17の厚さ測定を実行する。
【0053】
本実施例によれば、ノギス等を用いることなく、間隙G6を狭くした各段階で麺生地厚さ測定センサ22で測定できるので、麺生地17を目的の厚さに容易に圧延することが可能となる。
【0054】
また、本実施例によれば、麺生地厚さ測定センサ22の測定面に麺生地17が接触することがないので、麺生地厚さ測定センサ22の測定面が麺生地17で汚されるのを防止することができる。
【0055】
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、上記各実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記各実施例の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【0056】
例えば、上記各実施例では、回転体18として、パイプつまり内部が中空な円筒状部材が用いられているが、円筒状部材の代わりに、内部が中実な円柱状の棒状ロールを用いても良い。この場合は、棒状ロールの両端をベアリング等を介して側板13で支持するように構成すれば良い。
【0057】
また、上記各実施例では、安全カバー部材15の全体が透明な樹脂で形成されていたが、麺生地8の圧延加工の状態が視認できれば、一部だけ透明な樹脂で形成し、他の部分は透明な樹脂でなくても良い。さらには、他の部分が樹脂ではなく、他の材料で形成されていても良い。
【0058】
さらに、上記各実施例では、圧延ロールとして、上圧延ロール11及び下圧延ロール12つまり2本の圧延ロールが設けられていたが、圧延ロールは3本以上設けられていても良い。
【符号の説明】
【0059】
10 麺生地ロール圧延装置
11 上圧延ロール
12 下圧延ロール
13 側板
14 ベース部材
15 安全カバー部材
17 麺生地
18 回転体
19 円柱状突起
21 センサ取付部材
22 麺生地厚さ測定センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隙を持って平行に配設され、前記間隙に通された麺生地を回転しながら圧延する少なくとも2本の圧延ロールと、
前記圧延ロールの手前側に設けられ麺生地を前記間隙へと案内するベース部材と、
前記ベース部材の上方に設けられ、手前側の下端縁部が前記ベース部材の上面との間に所定の隙間を有して配置された安全カバー部材とを備え、
前記安全カバー部材の手前側の下端縁部と前記ベース部材との間に、前記ベース部材上の麺生地の表面に接触し麺生地の移動に伴って回転する回転体を設けたことを特徴とする麺生地ロール圧延装置。
【請求項2】
前記回転体の両端は、前記圧延ロールの両端を回転自在に支持する側板に、回転自在に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の麺生地ロール圧延装置。
【請求項3】
前記回転体は、円筒形のパイプまたは円柱形の棒状ロールで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の麺生地ロール圧延装置。
【請求項4】
前記安全カバー部材は、少なくとも一部が透明になっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の麺生地ロール圧延装置。
【請求項5】
前記圧延ロールの両端を支持する前記側板間に梁状のセンサ取付部材を設け、該センサ取付部材に麺生地の厚さを測定する麺生地厚さ測定センサを取り付けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の麺生地ロール圧延装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−60886(P2012−60886A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205084(P2010−205084)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(591210932)株式会社大和製作所 (4)
【Fターム(参考)】