説明

黄銅鉱を含有する硫化銅鉱の浸出方法

【課題】黄銅鉱を含有する硫化銅鉱から常温で銅を効率よく浸出する方法を提供すること。
【解決手段】黄銅鉱を含有する硫化銅鉱から銅を採取するに際し、塩化物イオン濃度を6g/L以上18g/L未満、pHを1.6以上2.5未満に調整した硫酸溶液を浸出液として用い、かつ、該浸出液に塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌を添加して銅の浸出を行うことを特徴とする、硫化銅鉱からの銅の採取方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硫化銅鉱、特には黄銅鉱などの一次硫化銅鉱から銅を効率良く採取する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の銅製錬は、精鉱を熔錬して得られる粗銅を電解して銅地金とする乾式製錬が主流であったが、環境に及ぼす影響や省エネルギーの観点から、近年では乾式製錬に代わる技術として熔錬を必要としない湿式製錬(SX-EW:溶媒抽出・電解採取)が急速に採用されている。SX-EW法は銅鉱石から銅を硫酸などで溶解し、その溶液から銅を有機溶媒で取り出した後、電気分解により電気銅を得る方法である。銅鉱石の湿式製錬に使用される溶媒は硫酸が主流であるため、湿式製錬の対象鉱は硫酸などで容易に溶解する酸化銅鉱に限られていた。しかしながら、酸化銅鉱は硫化銅鉱に比べて一般に鉱量が少ないため、鉱量の多い硫化銅鉱を湿式製錬の対象鉱として用いることが検討されている。
【0003】
湿式製錬による硫化銅鉱の浸出形態としては、硫酸または塩酸を用いた回分攪拌反応による浸出形態、積層体を形成しその頂部から硫酸または塩酸を供給して重力により滴り落ちる液を回収する浸出形態(ヒープリーチング法)などが知られている。しかし、ヒープリーチング法では、浸出に数年を要し、しかも浸出率は非常に低く効率が悪い。また、鉄酸化バクテリアなどの微生物の力を借りて銅を効率よく浸出し、回収する方法(バクテリアリーチング法)も採用されている。バクテリアリーチング法では、鉄酸化バクテリアによって浸出液中の鉄(II)イオンが強力な酸化剤である鉄(III)イオンに酸化され、この鉄(III)イオンによって鉱石中に含まれる硫黄が酸化されて硫酸が生成し、生成した硫酸によって鉱石中の銅が硫酸銅として溶出される。
【0004】
バクテリアリーチング法は、既に斑岩銅鉱床の二次富化帯に存在する輝銅鉱(CuS),銅藍(CuS)等の二次硫化銅鉱に対しては実用化されているが、現在、技術開発の主体は銅資源の中で最も大量に存在する黄銅鉱(CuFeS)を含有する一次硫化銅鉱である。
【0005】
しかしながら、黄銅鉱は硫酸にはほとんど溶けず、銅の浸出速度が極端に遅いため、浸出速度を上げるため酸化剤の添加に加えて様々な技術が提案されている。
【0006】
例えば、高温加圧処理(特許文献1〜3)、鉄量や3価鉄と2価鉄の比率の調整による一定の酸化還元電位(銀‐塩化銀電極基準)の維持(特許文献4)、浸出液に活性炭と鉄を添加することによる一定の酸化還元電位の維持(特許文献5)などが報告されている。しかしながら、上記の方法はいずれも浸出速度の改善にある程度の効果があるもの、エネルギーや試薬の点でコスト高になるという問題がある。また、浸出反応が進んだ場合には精鉱に含まれる硫黄分が表面に残留することに起因する浸出阻害現象のため、浸出速度が著しく低下することという問題もある。従って、黄銅鉱を含有する一次硫化銅鉱に対する湿式製錬は実用化に至る技術がないのが現状である。
【0007】
【特許文献1】特許第3046986号
【特許文献2】特開2001‐515145号
【特許文献3】特開2003‐328050号
【特許文献4】特開平10‐265864号
【特許文献5】特開2005‐15864号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、上記のような事情に鑑み、実操業レベルで汎用性ある条件で黄銅鉱を主体とする一次硫化銅鉱から銅を効率よくかつ経済的に採取する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、黄銅鉱を含有する一次硫化銅鉱から湿式製錬により銅を採取するに際して、浸出液の塩化物イオン濃度を調整し、かつ塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌を添加することによって、銅の浸出速度を常温でも促進できること、また、その浸出促進効果が浸出液の銅(II)イオン初期濃度と鉄(II)イオン初期濃度を調整することによってより向上されることを見出した。本発明はかかる知見により完成されたものである。
【0010】
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1) 黄銅鉱を含有する硫化銅鉱から銅を採取するに際し、塩化物イオン濃度を6g/L以上18g/L未満、pHを1.6以上2.5未満に調整した硫酸溶液を浸出液として用い、かつ、該浸出液に塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌を添加して銅の浸出を行うことを特徴とする、硫化銅鉱からの銅の採取方法。
(2) 前記浸出液の銅(II)イオン初期濃度と鉄(II)イオン初期濃度をそれぞれ0.5g/L以上5g/L未満に調整することを特徴とする、(1)に記載の方法。
(3) 塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌が、アシディチオバチルス・スピーシーズ(Acidithiobacillus sp.)TTH-19A株(NITE P-164)である、(1)又は(2)に記載の方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、黄銅鉱を含有する硫化銅鉱から銅を常温にて効率よく浸出することができる。本発明の方法は、高温加圧処理を必要とせず、浸出液の塩化物イオン濃度を、例えば塩化ナトリウムで調整するだけで銅の浸出速度を高めることができるため、簡便でかつ経済性に優れる。また、浸出液に塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌を添加することにより、硫化銅鉱の浸出反応において副生し、鉱物表面に付着して浸出性の低下を招く原因となる硫黄を硫酸に変えることができる。従って、副生する硫黄の鉱物表面へのコーティング現象を防ぐことができるとともに、産生した硫酸が銅の浸出に消費されるためさらに銅を効率よく浸出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の硫化銅鉱からの銅の採取方法は、黄銅鉱を含有する硫化銅鉱から銅を採取するに際し、塩化物イオン濃度を6g/L以上18g/L未満、pHを1.6以上2.5未満に調整した硫酸溶液を浸出液として用い、かつ、該浸出液に塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌を添加して銅の浸出を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明方法の対象鉱である黄銅鉱を含有する硫化銅鉱は、黄銅鉱を主体とする硫化銅鉱であっても、黄銅鉱を一部に含有する硫化銅鉱であってもいずれでもよく、その含量は特に限定はされない。
【0014】
本発明方法は、硫酸溶液を浸出液とする銅の湿式製錬であれば、いずれの浸出形態にも用いることができ、例えば、回分攪拌浸出のみならず、鉱石を堆積させた上から硫酸を散布して、銅を硫酸中に浸出させるヒープリーチング、ダンプリーチングのいずれであってもよい。
【0015】
硫化銅鉱の溶解、浸出は下記(式1)から(式3)に示す一連の反応によって進行する。
[化1]
Cu2++Fe2+ ⇔ Cu+Fe3+ (式1)
[化2]
CuFeS+Cu+Fe3+ →CuS+ 2Fe2++S (式2)
[化3]
CuS+4Fe3+→2Cu2++ 4Fe2++S (式3)
【0016】
本発明方法では、浸出液の塩化物イオン濃度を増加させることによって、(式1)の平衡状態が右側に傾く効果が働き(D.M. Muir, M.D. Benari, B.W. Clare et al, Hydrometallurgy, 9, 257, 1981)、(式2)の反応を加速させることができる。
【0017】
本発明方法では、浸出液の塩化物イオン濃度を6g/L以上18g/L未満に調整する。浸出液の塩化物イオン濃度の調整は、例えば塩化ナトリウムの添加にて行えばよい。浸出液の塩化物イオン濃度が6g/Lより少ないと浸出促進効果が小さく、また、18g/Lを越えると、塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌であったとしても、その生育が阻害されてしまうことから好ましくない。
【0018】
塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌を添加することによって、上記(式2)、(式3)の反応で生成しコーティング現象の要因となる元素硫黄を、下記(式4)の反応にて取り除くことによって、浸出速度の鈍化を防ぎ、効率良い浸出を実現することができる。
[化4]
S+1.5O +HO+ 硫黄酸化細菌 → HSO (式4)
【0019】
ここで、「塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌」とは、上記の浸出液の塩化物イオン濃度である6g/L以上18g/L未満の高濃度の塩化物イオン濃度下において、増殖阻害、または硫黄酸化能力阻害を受けない硫黄酸化細菌であれば特に限定はされない。
【0020】
かかる硫黄酸化細菌として、好適には、2006年1月13日付で独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に受託番号NITE P-164として寄託されている、アシディチオバチルス・スピーシーズTTH-19A株(Acidithiobacillus sp. TTH-19A株)を用いることができる。
【0021】
一方、前記(式2)で生じるCu2Sは下記(式5)の反応で溶解するため、pHは低く設定するほうが浸出には有利である。(式4)で生成する硫酸は浸出を加速させるが、pH1.6より低い場合は、硫黄酸化細菌の生育が阻害される。
【0022】
また、pH2.5より高い場合は、鉄明礬石(jarosite)の生成などによる浸出反応の阻害が起こる。従って、浸出液のpHは1.6以上2.5未満が好ましい。
[化5]
CuS +4H+O→ 2Cu2++2HO+S (式5)
【0023】
上記硫黄酸化細菌の浸出液への添加量は、特に限定されないが、一般的には、菌濃度が1×10〜1×10cells/mLになるように添加する。時間の経過とともに変動する菌の濃度は特に調整する必要はない。
【0024】
また、本発明方法の好ましい別の態様としては、上記の浸出液の塩化物イオン濃度の調整に加え、銅(II)イオンと鉄(II)イオンの初期濃度を調整することにより、さらに(式1)の反応を促進して、浸出速度を加速させることができる。
【0025】
浸出液の銅(II)イオン初期濃度は0.5g/L以上5g/L未満に調整することが好ましい。浸出液の初期銅(II)イオン濃度の調整は、例えば硫酸銅(II)の添加にて行なうか、または浸出後液をSX−EW法などの溶媒抽出で銅の回収を行う場合、溶媒抽出後のラフィネート(抽出後液)が浸出前液として繰り返されるが、そのラフィネート(抽出後液)中の銅(II)イオン濃度が所定濃度となるように調整すればよい。0.5g/Lより少ないと浸出促進効果が小さいが、5g/Lを越えると試薬添加量の増大や溶媒抽出の歩留まりの悪化により、経済的に効率がよくないため好ましくない。
【0026】
また、浸出液の鉄(II)イオン初期濃度は0.5g/L以上5g/L未満に調整することが好ましい。浸出液の鉄(II)イオン濃度の調整は、例えば硫酸鉄(II)の添加にて行えばよい。浸出液の鉄(II)イオン濃度が0.5g/Lより少ないと浸出促進効果が小さく、また、5g/Lを越えると、試薬添加量の増大により、経済的に効率がよくないため好ましくない。
【実施例】
【0027】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
(実施例1,2)
対象鉱として、黄銅鉱を主成分とするカンデラリア産の精鉱を用いた。この品位は、Cu:28mass%、Fe:28mass%、S:32mass%であった。
【0029】
上記の精鉱3gを、硫酸にてpH1.8に調整した浸出液(硫酸アンモニウム3g/L、リン酸水素カリウム0.5g/L、硫酸マグネシウム七水和物0.5g/L、塩化カリウム0.1g/Lを含む)300mLに混合し、500mL容量の坂口フラスコに注いだ。上記のフラスコ内の浸出液に、塩化物イオン濃度が6g/L(実施例1)、12g/L(実施例2)になるように、塩化ナトリウムを添加し、さらに、塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌(Acidithiobacillus sp. TTH-19A株 受託番号NITE P-164)を1×10cells/mLの濃度で添加して常温にて一定時間振とう浸出した。浸出液の上澄みの菌濃度、pHと銅濃度を測定し、経時変化を調べた。
【0030】
(比較例1〜4)
実施例1に記載の浸出液に、塩化ナトリウムを添加しない以外は実施例1と同様にして常温で振とう浸出(比較例1)、また、塩化物イオン濃度が3g/L(比較例2)、18g/L(比較例3)、30g/L(比較例4)となるように塩化ナトリウムをそれぞれ添加する以外は実施例1と同様にして常温で振とう浸出した。
【0031】
実施例1,2、及び比較例1〜4の試験結果のうち、菌濃度の推移を図1に、pHの推移を図2に、銅濃度の推移を図3に示す。
【0032】
図1に示されるように、実施例1,2および比較例1,2では菌が生育しているが、比較例3,4においては菌の増殖が見られない。これは、塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌(Acidithiobacillus sp. TTH-19A株 受託番号NITE P-164)の生育条件の上限を超えているためである。
【0033】
図2に示されるように、菌が生育していない比較例3,4の場合は、式4の硫黄の酸化による硫酸の生成が起こらないため、pHが上昇した。同時に、元素硫黄によるコーティング現象によって、液面に精鉱粒子が浮遊した。
【0034】
図3に示されるように、実施例1の銅濃度(34日後:1.0g/L)は比較例1(30日後:0.74g/L)に比べると高く、銅の浸出速度が速いことが確認できた。実施例2では、さらに銅浸出速度が速くなる(34日後:1.4g/L)。
【0035】
一方、比較例2では銅の浸出速度の増加が小さく(34日後:0.84g/L)、塩化ナトリウムを添加した効果は見られない。
【0036】
以上の結果から、pH1.8においては、浸出液への6g/L以上18g/L未満の塩化物イオンの添加、かつ塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌の添加により、効率よい銅の浸出ができることがわかった。
【0037】
(実施例3,4)
硫酸にてpH1.6(実施例3)、pH2.0(実施例4)に調整すること以外は実施例1と同様にして常温で振とう浸出し、浸出液の上澄みの菌濃度、銅濃度を測定し、経時変化を調べた。
【0038】
(比較例5,6)
硫酸にてpH1.4(比較例5)、pH2.5(比較例6)に調整すること以外は実施例1と同様にして常温で振とう浸出し、浸出液の上澄みの菌濃度、銅濃度を測定し、経時変化を調べた。
【0039】
実施例1,3,4、及び比較例5,6の試験結果のうち、菌濃度の推移を図4に、銅濃度の推移を図5に示す。
【0040】
図4に示されるように、実施例1,3,4および比較例6では菌が生育しているが、比較例5においては菌の増殖が見られない。これは、塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌(Acidithiobacillus sp. TTH-19A株 受託番号NITE P-164)が、低pHによる生育阻害を受けているためである。
【0041】
図5に示されるように、実施例3の銅濃度(30日後:1.2g/L)および実施例4の銅濃度(30日後:0.96g/L)は、実施例1(34日後:1.0g/L)とほぼ同じかそれ以上であるが、比較例6(30日後:0.82g/L)では鉄明礬石(jarosite)の生成などによる浸出反応の阻害が起こり、銅の浸出速度が遅いことが確認できた。
【0042】
(実施例5,6)
浸出液の銅(II)イオンと鉄(II)イオンの初期濃度をそれぞれ0.5g/L(実施例5)、1.0g/L(実施例6)に調整すること以外は実施例1と同様にして常温で振とう浸出し、浸出液の上澄みの銅濃度増加量を測定し、経時変化を調べた。
【0043】
(比較例7,8)
浸出液の銅(II)イオンと鉄(II)イオンの初期濃度をそれぞれ0.1g/L(比較例7)、5.0g/L(比較例8)に調整すること以外は実施例1と同様にして常温で振とう浸出し、浸出液の上澄みの銅濃度増加量を測定し、経時変化を調べた。
【0044】
実施例1,5,6、及び比較例7,8の銅濃度増加量の推移を図6に示す。実施例5の銅濃度増加量(30日後:1.1g/L)および実施例6の銅濃度増加量(30日後:1.2g/L)は、実施例1(34日後:1.0g/L)以上であるが、比較例7(30日後:0.98g/L)では浸出液の銅(II)イオンと鉄(II)イオンの初期濃度を調整した効果が確認できない。比較例8は銅の濃度増加量は大きいが、浸出液の銅(II)イオンと鉄(II)イオンの初期濃度が5g/Lを越えると試薬添加量の増大や溶媒抽出の歩留まりの悪化により、経済的に効率がよくないため好ましくない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施例1,2及び比較例1〜4の浸出液(pH1.8)を用いて銅の浸出を行った場合における、浸出液中の菌濃度の経時変化を示す図である(実施例1:塩化物イオン濃度6g/L、実施例2:塩化物イオン濃度12g/L、比較例1:塩化物イオン濃度0g/L、比較例2:塩化物イオン濃度3g/L、比較例3:塩化物イオン濃度18g/L、比較例4:塩化物イオン濃度30g/L。いずれも塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌を1×10cells/mL添加)。
【図2】実施例1,2及び比較例1〜4の浸出液(pH1.8)を用いて銅の浸出を行った場合における、浸出液のpHの経時変化を示す図である(実施例1:塩化物イオン濃度6g/L、実施例2:塩化物イオン濃度12g/L、比較例1:塩化物イオン濃度0g/L、比較例2:塩化物イオン濃度3g/L、比較例3:塩化物イオン濃度18g/L、比較例4:塩化物イオン濃度30g/L。いずれも塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌を1×10cells/mL添加)。
【図3】実施例1,2及び比較例1〜4の浸出液(pH1.8)を用いて銅の浸出を行った場合における、浸出液中の銅濃度の経時変化を示す図である(実施例1:塩化物イオン濃度6g/L、実施例2:塩化物イオン濃度12g/L、比較例1:塩化物イオン濃度0g/L、比較例2:塩化物イオン濃度3g/L、比較例3:塩化物イオン濃度18g/L、比較例4:塩化物イオン濃度30g/L。いずれも塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌を1×10cells/mL添加)。
【図4】実施例1,3,4及び比較例5,6の浸出液を用いて銅の浸出を行った場合における、浸出液中の菌濃度の経時変化を示す図である(実施例1:pH1.8、実施例3:pH1.6、実施例4:pH2.0、比較例5:pH1.4、比較例6:pH2.5。いずれも塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌を1×10cells/mL添加)。
【図5】実施例1,3,4及び比較例5,6の浸出液を用いて銅の浸出を行った場合における、浸出液中の銅濃度の経時変化を示す図である(実施例1:pH1.8、実施例3:pH1.6、実施例4:pH2.0、比較例5:pH1.4、比較例6:pH2.5。いずれも塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌を1×10cells/mL添加)。
【図6】実施例1,5,6及び比較例7,8の浸出液を用いて銅の浸出を行った場合における、浸出液中の銅濃度増加分の経時変化を示す図である(実施例1:銅(II)イオン初期濃度0g/L,鉄(II)イオン初期濃度0g/L、実施例5:銅(II)イオン初期濃度0.5g/L,鉄(II)イオン初期濃度0.5g/L、実施例6:銅(II)イオン初期濃度1.0g/L,鉄(II)イオン初期濃度1.0g/L、比較例7:銅(II)イオン初期濃度0.1g/L,鉄(II)イオン初期濃度0.1g/L、比較例8:銅(II)イオン初期濃度5.0g/L,鉄(II)イオン初期濃度5.0g/L。いずれも塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌を1×10cells/mL添加)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黄銅鉱を含有する硫化銅鉱から銅を採取するに際し、塩化物イオン濃度を6g/L以上18g/L未満、pHを1.6以上2.5未満に調整した硫酸溶液を浸出液として用い、かつ、該浸出液に塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌を添加して銅の浸出を行うことを特徴とする、硫化銅鉱からの銅の採取方法。
【請求項2】
前記浸出液の銅(II)イオン初期濃度と鉄(II)イオン初期濃度をそれぞれ0.5g/L以上5g/L未満に調整することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
塩化物イオン耐性を有する硫黄酸化細菌が、アシディチオバチルス・スピーシーズ(Acidithiobacillus sp.)TTH-19A株(NITE P-164) である、請求項1又は2に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−31504(P2008−31504A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−204454(P2006−204454)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(591007860)日鉱金属株式会社 (545)
【Fターム(参考)】