説明

黒マッコリの製造方法

【課題】黒マッコリの保存期間をふやし、げっぷと二日酔いによる頭痛を減らし、風味を改善する黒マッコリの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明はもちごめと黒米を主材料として蒸して粒麹を作り、麦芽とこうじを混合して酒母を作り、古酒と生水に浸して1次発酵し、水飴と黒砂糖を溶解した醸造用水で2次発酵(熟成)させ、2次発酵されたもろみを濾過して作られたマッコリと、熟地黄、紅花、クチナシの実および決明子で作った韓薬材の湯液とウルシ抽出物を混合して包装商品化して製造される。このように製造された黒マッコリは、炭酸ガスが多量生成されて風味が改善され、げっぷと二日酔いによる頭痛が解消され、殺菌工程がなくても長期間でも酸敗されなくて保存期間の長くなる利点がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は黒マッコリの製造方法に関する。詳しくは、例えば、黒米と韓薬材の湯液を利用してマッコリの色相を黒くし、風味を改善し、ウルシ抽出液を混合し、黒マッコリの酸敗を減らして保存期間を延ばし、げっぷと、二日酔いによる頭痛を減らす機能を付け加えた黒マッコリの製造方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
マッコリは、もちごめ、白米、小麦を主材料として粒麹を製造してから酵母(こうじ)と混合して酒母を作り、これを酒つぼに入れ水を満たして発酵(熟成)させて製造する韓国の伝統の酒である。これはアルコール度数が5〜10度で、色相は白く、乳酸菌の含量はml当たり18,000,000〜20,000,000程度である。更に、ヨーグルトに比べて乳酸菌の含量が10倍以上多いと言われ、需要が急増している状況である。
【0003】
このようなマッコリは、包装すると発酵が進行して炭酸ガスが発生するので、密封して包装する場合は、破れるから殺菌工程などを付け加えなければならないし、殺菌しない場合は酸敗して保存期間が限定される欠点がある。
【0004】
更に、前記マッコリは、飲んでからげっぷによる臭いと二日酔いによる頭痛が発生する欠点もある。
【0005】
これを解消する手段でマッコリに各種果物の粉砕物を混合するとか、黒米、玄米、豆、麦、お焦げ、カバノアナタケなどの素材を白米または小麦粉と混合して機能性マッコリを製造して、げっぷを減らし風味を改善しているが、二日酔い後に発生する頭痛と、酸敗の要因は改善することができず、乳酸菌の殺菌がなければ、保存期間も伸ばすことはできない。
【0006】
前記マッコリの製造に係わる先行技術は次のとおりである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許公告第1992−8360号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2005−42280号公報
【特許文献3】韓国登録特許第507465号公報
【特許文献4】韓国登録特許第776987号公報
【特許文献5】韓国登録特許第821713号公報
【特許文献6】韓国公開特許第2008−78774号公報
【特許文献7】韓国登録特許第954089号公報
【特許文献8】韓国登録特許第994690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記指摘のすべての欠点を解消し、もちごめと黒米を主材料として粒麹を作り、麦芽とこうじを混合して酒母を作り、古酒と生水に浸して1次発酵し、水飴と黒砂糖を混合した醸造用水で2次発酵(熟成)させ、熟地黄、紅花、クチナシの実および決明子で作った韓薬材の湯液と、ウルシ抽出物を混合して黒マッコリを製造すれば、色相は黒く、げっぷと二日酔いによる頭痛及び風味を改善して酸敗を減らすことができる機能を付け加えた黒マッコリの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の黒マッコリの製造方法は、もちごめと黒米を重量割合80:20〜60:40とし、水洗して水にふやかした後、これを蒸し、30℃まで冷却させた蒸し米と黒砂糖を重量割合95:5〜85:15としてもれなく混合して粒麹を製造する粒麹工程と、
前記粒麹と、麦芽と、こうじを重量割合90:5:5〜70:15:15で混合して酒母を製造する酒母工程と、
前記酒母と、古酒と、生水を重量割合60:10:30〜40:20:40になるように酒つぼに入れて混合し、これを20〜30℃で少なくとも2日間発酵させてもろみを作る浸し及び1次発酵工程と、
生水と水飴と黒砂糖を重量割合90:6:4〜80:12:8になるように、水飴と黒砂糖を生水に溶解させる醸造用水の造成工程と、
1次発酵工程を経た前記もろみと、前記醸造用水を重量割合65:35〜45:55になるように混合し、20〜30℃で少なくとも2日間発酵させる2次発酵工程と、
熟地黄、紅花、クチナシの実および決明子を重量割合70:5:12.5:12.5〜50:15:17.5:17.5で混合した韓薬材と、生水を重量割合30:70〜10:90として4〜5時間を煮詰めてから濾過して作った韓薬材の湯液造成工程と、
前記2次発酵工程を経て濾過されたマッコリと、前記韓薬材の湯液と、7%のウルシ抽出液を重量割合90:9.85:0.15〜80:14.85:5.15の割合で混合する混合工程を備える。
【0010】
また、本発明の黒マッコリの製造方法は、もちごめと黒米を重量割合70:30とし、水洗して水にふやかした後、これを蒸し、30℃まで冷却させた蒸し米と黒砂糖を重量割合90:10としてもれなく混合して粒麹を製造する粒麹工程と、
前記粒麹と、麦芽と、こうじを重量割合80:10:10で混合して酒母を製造する酒母工程と、
前記酒母と、古酒と、生水を重量割合50:15:35になるように酒つぼに入れて混合し、これを20〜30℃で2日間発酵させて、もろみを作る浸し及び1次発酵工程と、
生水と水飴と黒砂糖を重量割合90:6:4になるように、水飴と黒砂糖を生水に溶解させる醸造用水の造成工程と、
1次発酵工程を経た前記もろみと、前記醸造用水を重量割合55:45になるように混合し、20〜30℃で2日間発酵させる2次発酵工程と、
韓薬材の熟地黄、紅花、クチナシの実および決明子を重量割合60:10:15:15で混合した韓薬材と、生水を重量割合20:80にして4〜5時間を煮詰めてから濾過して作った韓薬材の湯液造成工程と、
前記2次発酵工程で濾過されたマッコリと、前記韓薬材の湯液と、7%のウルシ抽出液を重量割合90:9.85:0.15の割合で混合する混合工程と、
前記混合工程を経た黒マッコリを規格容器で包装して商品化する包装商品化工程を備える。
【0011】
前記韓薬材の湯液造成工程から、熟地黄は、マッコリに漬けて蒸し乾かす作業を7〜9回繰り返し、色相は黒色になるように加工したものを使い、紅花はソーダ(水酸化ナトリウム)を投与して茶色に変化させるように加工したものを使い、クチナシの実と決明子は弱い火で加熱したものを使うことができる。
【発明の効果】
【0012】
前記のように製造された黒マッコリは、色相が黒く麦芽とこうじ及び古酒の乳酸菌(微生物)がなだらかに生成され、黒マッコリには炭酸ガスが多量生成されて風味が改善され、げっぷと二日酔いによる頭痛が解消され、殺菌工程がなくても長期間でも酸敗されず、保存期間が長くなる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の黒マッコリの製造工程の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は図1のように粒麹工程と、酒母工程と、浸し工程と、1次発酵工程と、醸造用水の造成工程と、2次発酵工程と、韓薬材の湯液造成工程と、混合工程及び包装商品化工程で黒マッコリを製造する。これを工程別に詳しく説明すれば次のとおりである。
【0015】
[第1工程(粒麹工程)]
もちごめと黒米を重量割合70:30にし、水洗して水にふやかした後、これを蒸してから30℃まで冷却させた蒸し米と黒砂糖を重量割合90:10として、もれなく混合して粒麹を製造する。
前記もちごめと黒米は、嗜好度に応じて混合割合を調整することができる。
【0016】
[第2工程(酒母工程)]
粒麹と、破鎖した麦芽と、破鎖したこうじを重量割合80:10:10で混合して酒母を製造する。
前記混合割合は素材の品質にしたがって調整される。
【0017】
[第3工程(浸し及び1次発酵(熟成)工程)]
酒つぼに、酒母と、古酒と、生水を重量割合50:15:35になるようにいれて混合し、酒つぼの入り口をガーゼでかぶせ、20〜30℃で2日間発酵(熟成)させて、もろみをつくる。
【0018】
前記古酒としては、殺菌工程を経ないマッコリあるいはドンドン酒(韓国の伝統酒)を使う。
【0019】
[第4工程(醸造用水の造成工程)]
生水と水飴と黒砂糖を重量割合90:6:4になるように、水飴と黒砂糖を生水に溶解させて醸造用水を造成する。
【0020】
[第5工程(醸造用水の混合工程及び2次発酵工程)]
酒つぼで1次発酵(熟成)工程を経たもろみに、醸造用水を重量割合55:45になるように投入して、もれなくかき回して混合し、20〜30℃で2日間発酵させる。
【0021】
2日程度発酵させた後、酒つぼにかぶせたガーゼを脱がせ、マッチで火をつけてから消えれば、発酵が進行中なので、ガーゼをまた覆っておき、火がともっている状態を維持すれば発酵工程が完了したものとする。
更に、酒つぼの温度は、冬期には高くし夏期には低く管理する。
【0022】
[第6工程(韓薬材の湯液造成工程)]
マッコリに漬けて蒸し乾かす作業を7〜9回経て色相が黒色になった熟地黄と、ソーダ(水酸化ナトリウム)を利用して黄色を脱色させた紅花と、弱い火で加熱して加工したクチナシの実と、決明子を重量割合60:10:15:15で混合した韓薬材と、生水を重量割合20:80にして4〜5時間、煮詰めてから濾過して韓薬材の湯液を作る。
【0023】
[第7工程(濾過及び韓薬材の湯液の混合工程)]
2次発酵工程が完了したもろみを濾過してマッコリを作り、前記マッコリと、韓薬材の湯液と、7%のウルシ抽出液を重量割合90:9.85:0.15の割合で混合し、かき回して黒マッコリを完成する。
前記7%のウルシ抽出液は、毒素を取り除き、食用に加工したものを使う。
【0024】
[第8工程(包装商品化工程)]
混合工程を経た黒マッコリを規格容器で包装して商品化する。
マッコリと、韓薬材の湯液と、ウルシ抽出液を混合して完成された前記黒マッコリのアルコール含量は6〜10%で、色相は淡い黒色で、乳酸菌数はml当たり21,000,000〜25,000,000程度である。
【0025】
本発明において、酒母工程でこうじに含有された微生物(乳酸菌)と、浸し工程で古酒に含まれる微生物(乳酸菌)は、酒母を栄養源として生長されるので、発酵を効率的にすることができる。
【0026】
更に、醸造用水に含まれる水飴と黒砂糖は微生物(乳酸菌)の栄養源になり、発酵が完成されたもろみを濾過し、前記濾過されたマッコリに韓薬材の湯液と、ウルシ抽出液を混合しながら甘味料と香を添加させて味と香を調整することができる。
【0027】
本発明において、韓薬材の湯液の原料の、熟地黄は虚弱体質や消渇症などに主に使われる韓薬材であり、紅花は血を循環するようにし解毒する効能の薬材であり、クチナシの実は体内の熱を引く薬材であり、決明子は肝腸と目を良くし、強壮、利尿の効果があり、高血圧や胃が弱い人に良い生薬材である。
【0028】
前記薬材たちを煮詰めてマッコリに含有させても、薬材の香が弱くて飲みやすく、黒米と共にマッコリの色度を黒くする機能も有することになる。
【0029】
本発明において、黒米はアントシアニンの色素が豊かで、貧血、高血圧、糖尿、便秘などの各種成人病を予防する効能が、白米と小麦粉に比べて卓越して高く現われており、健康を増進することができる。
【0030】
本発明において、粒麹と醸造用水を造成する時に使用する黒砂糖は、こうじと古酒に含有された微生物の円滑な栄養源になり、マッコリのさっぱりしない味を順化させてさわやかな味にすることができる。
【0031】
本発明において、ウルシ抽出液は、黒マッコリに含まれている微生物(乳酸菌)の活動を抑制して、黒マッコリが酸敗されることを防止して保存期間を増やすことができる。
【0032】
前記のように製造された黒マッコリは、微細な炭酸ガスの含有量が米マッコリなどに比べて卓越して高くて黒い色相を有し、飲めば凉しい感じの風味を有することになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
もちごめと黒米を重量割合80:20〜60:40とし、水洗して水にふやかした後、これを蒸し、30℃まで冷却させた蒸し米と黒砂糖を重量割合95:5〜85:15としてもれなく混合して粒麹を製造する粒麹工程と、
前記粒麹と、麦芽と、こうじを重量割合90:5:5〜70:15:15で混合して酒母を製造する酒母工程と、
前記酒母と、古酒と、生水を重量割合60:10:30〜40:20:40になるように酒つぼに入れて混合し、これを20〜30℃で少なくとも2日間発酵させてもろみを作る浸し及び1次発酵工程と、
生水と水飴と黒砂糖を重量割合90:6:4〜80:12:8になるように、水飴と黒砂糖を生水に溶解させる醸造用水の造成工程と、
1次発酵工程を経た前記もろみと、前記醸造用水を重量割合65:35〜45:55になるように混合し、20〜30℃で少なくとも2日間発酵させる2次発酵工程と、
熟地黄、紅花、クチナシの実および決明子を重量割合70:5:12.5:12.5〜50:15:17.5:17.5で混合した韓薬材と、生水を重量割合30:70〜10:90として4〜5時間を煮詰めてから濾過して作った韓薬材の湯液造成工程と、
前記2次発酵工程を経て濾過されたマッコリと、前記韓薬材の湯液と、7%のウルシ抽出液を重量割合90:9.85:0.15〜80:14.85:5.15の割合で混合する混合工程を備える
ことを特徴とする黒マッコリの製造方法。
【請求項2】
もちごめと黒米を重量割合70:30とし、水洗して水にふやかした後、これを蒸し、30℃まで冷却させた蒸し米と黒砂糖を重量割合90:10としてもれなく混合して粒麹を製造する粒麹工程と、
前記粒麹と、麦芽と、こうじを重量割合80:10:10で混合して酒母を製造する酒母工程と、
前記酒母と、古酒と、生水を重量割合50:15:35になるように酒つぼに入れて混合し、これを20〜30℃で2日間発酵させてもろみを作る浸し及び1次発酵工程と、
生水と水飴と黒砂糖を重量割合90:6:4になるように、水飴と黒砂糖を生水に溶解させる醸造用水の造成工程と、
1次発酵工程を経た前記もろみと、前記醸造用水を重量割合55:45になるように混合し、20〜30℃で2日間発酵させる2次発酵工程と、
熟地黄、紅花、クチナシの実および決明子を重量割合60:10:15:15で混合した韓薬材と、生水を重量割合20:80として4〜5時間を煮詰めてから濾過して作った韓薬材の湯液造成工程と、
前記2次発酵工程を経て濾過されたマッコリと、前記韓薬材の湯液と、7%のウルシ抽出液を重量割合90:9.85:0.15の割合で混合する混合工程と、
前記混合工程を経た黒マッコリを規格容器で包装して商品化する包装商品化工程を備える
ことを特徴とする黒マッコリの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−110323(P2012−110323A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252665(P2011−252665)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(511281590)
【Fターム(参考)】