説明

(メタ)アクリル酸の製造方法

【課題】ミカエル付加物の生成を抑制し、高収率、かつ、高濃度で(メタ)アクリル酸含有溶液を得る方法を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル酸の製造方法であって、接触気相酸化法により得られた(メタ)アクリル酸含有ガスを吸収塔で捕集溶剤と接触させて粗(メタ)アクリル酸溶液として捕集する捕集工程を含み、該捕集工程において、(メタ)アクリル酸含有ガスの供給位置と捕集溶剤の供給位置との間に位置する抜き出し口から、粗(メタ)アクリル酸溶液を抜き出し、次工程に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリル酸の製造方法に関する。なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
【背景技術】
【0002】
アクリル酸やメタクリル酸は、化学製品の原料として幅広く用いられる有用な原料であり、様々な製法が提案されている。例えば、アクリル酸は、工業的には、プロピレンおよび/またはアクロレインの接触気相酸化により製造されており、特許文献1〜4には、接触気相酸化法により得られたアクリル酸ガスを捕集溶剤に吸収させてアクリル酸含有溶液とした後、蒸留、晶析工程を経て、精製アクリル酸を得る方法が開示され、特許文献5〜7には、分別凝縮により、アクリル酸含有ガスから、直接、粗製アクリル酸を得る方法が開示されている。
【0003】
これらの製法では、アクリル酸を効率よく製造するため、様々な改良が施されている。特に、溶剤捕集を採用する技術においては、より純粋なアクリル酸を得るため、分離・精製工程で使用する重合防止剤の添加方法(特許文献1を参照)や、アクリル酸の捕集率を高める方法(特許文献2を参照)、高濃度のアクリル酸含有溶液を使用して簡便にアクリル酸の精製を行なう方法(特許文献3を参照)が提案されており、また、特許文献4では、接触気相酸化反応において効率よくアクリル酸を生成させる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2001−520213号公報
【特許文献2】特開2004−359614号公報
【特許文献3】特開2004−359615号公報
【特許文献4】特表2005−511776号公報
【特許文献5】特表2001−516737号公報
【特許文献6】特表2002−539104号公報
【特許文献7】特表2002−509903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記方法は、アクリル酸の製造効率向上にそれなりの効果を発揮しているが、溶剤捕集を採用する場合には、さらなる改善の余地がある。特に、アクリル酸は重合しやすい物質であり、また、アクリル酸同士の反応により、容易に、二量体、三量体、オリゴマーなどのミカエル付加物を生成する。かかる副生物は、アクリル酸の収率を低下させるのみならず、アクリル酸含有溶液の粘度を上昇させ、製造装置内の配管を閉塞させる原因となり、製造操業性をも低下させる。
【0006】
なお、アクリル酸からミカエル付加物が生成する反応は可逆反応であるので、アクリル酸製造工程の一環にミカエル付加物の分解工程を設けて、アクリル酸として回収する方法も提案されている。しかしながら、新たな工程の設置は、さらなる設備投資を要し、アクリル酸の製造コストを上昇させる結果となる。また、分解工程を設けても、ミカエル付加物を完全に分解することは困難であり、アクリル酸のロスは防ぎ難いものであった。
【0007】
さらに、(メタ)アクリル酸合成時に同時に生成する副生物には、(メタ)アクリル酸と同等か、それより高い沸点を有するものが存在しており、かかる高沸点成分は、分離精製工程を複雑にする上、完全に除去することは困難であった。
【0008】
本発明は、上述のような状況に着目してなされたものであり、その目的は、上述のような副生物の含有量が少なく、(メタ)アクリル酸濃度の高い(メタ)アクリル酸含有溶液を得る方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題に鑑み、本発明者らは、さらに効率のよい(メタ)アクリル酸の製造方法の提供を目的として、(メタ)アクリル酸の製造時に副生するミカエル付加物の量をいかにして低下させるかと言う観点から検討を重ね、その結果、以下に示す発明法に至ったのである。
【0010】
すなわち、上記課題を解決し得た本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法とは、接触気相酸化法により得られた(メタ)アクリル酸含有ガスを吸収塔で捕集溶剤と接触させて粗(メタ)アクリル酸溶液として捕集する捕集工程を含み、前記捕集工程において、(メタ)アクリル酸含有ガスの供給位置よりも上方で、かつ、捕集溶剤の供給位置よりも下方から、粗(メタ)アクリル酸溶液を抜き出して、次工程に供給するところに特徴を有するものである。
【0011】
通常、溶剤捕集を行なう場合、吸収塔で捕集溶剤に吸収された(メタ)アクリル酸は、(メタ)アクリル酸溶液として吸収塔の塔底部に集積され、塔底液として抜き出され、次工程に送液されている。したがって、吸収塔の塔底には、目的生成物である(メタ)アクリル酸と共に、上述のような高沸点成分や副生物などが含まれており、かかる成分が、吸収塔塔底から抜き出される塔底液の(メタ)アクリル酸濃度を低減させる原因の一つとなっていた。
【0012】
そこで、本発明者らは検討を重ね、吸収塔で生成させた粗(メタ)アクリル酸溶液を、(メタ)アクリル酸ガス供給位置より上方で捕集溶剤供給位置よりも下方から吸収塔の側流として抜き出し、次工程に供給すれば、顕著にミカエル付加物などの副生物の発生量を低下させられることを見出し、本発明法を完成した。
【0013】
すなわち、(メタ)アクリル酸含有ガスに含まれる(メタ)アクリル酸よりも沸点の高い成分は、吸収塔の比較的低い位置で、凝縮、あるいは捕集溶剤に吸収されて、吸収塔の塔底に流下する。一方、ガス状の(メタ)アクリル酸は、吸収塔内を上昇し、吸収塔内において、高沸点成分が捕集溶剤に吸収される位置よりも高い位置で捕集溶剤に吸収される。したがって、吸収塔から側流として(メタ)アクリル酸溶液を抜き出すことで、ミカエル付加物や高沸点成分の含有量が少なく、高い(メタ)アクリル酸濃度を有する(メタ)アクリル酸溶液が得られるのである。
【0014】
上記製造方法においては、吸収塔から抜き出される前記(メタ)アクリル酸溶液中の(メタ)アクリル酸濃度が80質量%以上であるのが好ましい。また、上記粗(メタ)アクリル酸溶液を供給する次工程が、捕集工程で得られた粗(メタ)アクリル酸溶液から(メタ)アクリル酸を分離精製する工程であるのは、本発明の好ましい実施態様である。さらに、上記分離精製工程は晶析工程および/または蒸留工程を含むものであるのが好ましい。また、上記捕集溶剤としては水を用いることが推奨される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の製造方法によれば、高沸点成分や固形分の含有量が低レベルに抑えられた(メタ)アクリル酸溶液が得られるため、捕集工程に続く工程を効率よく行なうことができる。また、ミカエル付加物の生成量も減じられるので、反応工程で生成した(メタ)アクリル酸をより高い収率で回収することができる。したがって、本発明の製法を採用すれば、例えば精製工程において、高沸点成分やミカエル付加物といった副生成物を処理する工程を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の好ましい態様の一例を示す工程図である。
【図2】本発明の好ましい態様の他の例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法とは、接触気相酸化法により得られた(メタ)アクリル酸含有ガスを吸収塔で捕集溶剤と接触させて粗(メタ)アクリル酸溶液として捕集する捕集工程を含み、前記捕集工程において、(メタ)アクリル酸含有ガスの供給位置と捕集溶剤の供給位置との間に位置する抜き出し口から、粗(メタ)アクリル酸溶液を抜き出し、次工程に供給するところに特徴を有するものである。
【0018】
本発明法により高濃度の(メタ)アクリル酸溶液が得られる理由は、上述した通りであるが、本発明者らは、さらに、本発明法が、(メタ)アクリル酸の製造時に不可避的に生成するミカエル付加物の生成に起因する(メタ)アクリル酸のロス低減にも効果的であることを見出した。
【0019】
すなわち、従来の(メタ)アクリル酸含有溶液を吸収塔塔底から抜き出す方法では、上記ミカエル付加物は、主に、吸収塔塔底で滞留している間に生成、増加するものと考えられている。したがって、吸収塔の側流として(メタ)アクリル酸溶液を抜き出せば、吸収塔塔底から抜き出される(メタ)アクリル酸量が減少するので、ミカエル付加物量を減少させることができる。
【0020】
また、本発明法のように吸収塔の側流として粗(メタ)アクリル酸溶液を抜き出せば、単位時間あたりの塔底液の抜き出し量は減少し、塔底液の吸収塔内における滞留時間は長くなる。しかしながら、ミカエル付加物の生成は平衡反応であるので、塔底液の滞留初期段階ではミカエル付加物の生成速度は速いが、ミカエル付加物の増加にしたがって生成速度は減少する。したがって、塔底液の滞留時間が長くなっても、単位時間あたりのミカエル付加物の生成量と言う点で見れば、その量は減少する。本発明の採用により(メタ)アクリル酸のロスを低減できるのは、上記理由によるものと考えられる。
【0021】
以下に、本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法について説明する。
【0022】
[(メタ)アクリル酸の合成]
まず、本発明に係る(メタ)アクリル酸の合成法について説明する。
【0023】
上述のように、本発明の製造方法は、反応工程で生成した(メタ)アクリル酸含有ガスを、吸収塔で捕集溶剤に吸収させた後、(メタ)アクリル酸含有ガスの供給位置と捕集溶剤の供給位置との間に位置する抜き出し口から、吸収塔の側流として粗(メタ)アクリル酸溶液を抜き出し、次工程に供給する点に特徴を有するものであるので、その他の工程は限定されず、従来公知の方法を採用できる。すなわち、(メタ)アクリル酸の合成も、従来公知の接触気相酸化法により合成すればよい。例えば、アクリル酸を合成する場合には、プロピレンおよび/またはアクロレインなどのアクリル酸原料と、空気などの分子状酸素含有ガス、および希釈ガスを混合し、原料ガスを調製する。次いで、原料ガスを、接触気相酸化触媒を充填した反応器に供給し、接触気相酸化反応を行なえば、アクリル酸含有ガスを得ることができる。また、メタクリル酸を合成する場合であれば、イソブチレンおよび/またはt−ブチルアルコールなどを原料とし、アクリル酸合成の場合と同様にして原料ガスを調製し、接触気相酸化反応を行なえばよい。
【0024】
接触気相酸化反応時の条件は特に限定されず、従来公知の条件を採用すればよい。なお、上記原料ガスには、後述する(メタ)アクリル酸吸収塔で生成するリサイクルガスを使用してもよい。接触気相酸化反応を行う反応器も特に限定されないが、反応効率に優れる点で、多管式反応器を用いるのが好ましい。また、接触気相酸化反応は、二段階の反応をシングルリアクターで行う態様であっても、異なる2つの反応器を直列に接続して行う態様であってもよい。
【0025】
[捕集工程]
次に、本発明に係る捕集工程について説明する。上述のように、捕集工程は、接触気相酸化法により得られた(メタ)アクリル酸含有ガスを吸収塔内で捕集溶剤と接触させて、粗(メタ)アクリル酸溶液として捕集する工程である。
【0026】
本発明において、(メタ)アクリル含有ガスは吸収塔の塔底部から、他方、(メタ)アクリル酸ガスを吸収させる捕集溶剤は吸収塔の塔頂部から、それぞれ導入する。吸収塔内に導入された(メタ)アクリル酸含有ガスは、塔内を上昇する間に捕集溶剤に吸収され、粗(メタ)アクリル酸溶液が生成する。本発明では、この粗(メタ)アクリル酸溶液が吸収塔の底部に下降する過程において、上記(メタ)アクリル酸含有ガス供給位置と捕集溶剤の供給位置との間に位置する抜き出し口から粗(メタ)アクリル酸溶液を吸収塔の側流として抜き出す。
【0027】
従来、(メタ)アクリル酸の収率を減少させ、(メタ)アクリル酸製造の操業性を悪化させていたミカエル付加物や、装置内の配管の閉塞や汚れの原因となっていた(メタ)アクリル酸重合物などの固形分は、主に、吸収塔の塔底部で、(メタ)アクリル酸溶液が滞留している間に生成すると考えられている。したがって、吸収塔の側流として粗(メタ)アクリル酸溶液を抜き出す本発明の製造方法を採用することで、上記のような副生物の生成量を低減でき、(メタ)アクリル酸を効率よく回収することが可能となるのである。
【0028】
また、(メタ)アクリル酸含有ガス中に含まれる高沸点成分は、吸収塔内に導入された後、(メタ)アクリル酸ガスよりも先に、凝縮、あるいは、捕集溶剤に吸収されるため、粗(メタ)アクリル酸溶液の抜き出し位置を、(メタ)アクリル酸含有ガス供給位置よりも上方に設けることで、粗(メタ)アクリル酸溶液への高沸点成分の混入も抑制することができる。
【0029】
なお、本発明において、「高沸点成分」とは、標準状態において(メタ)アクリル酸よりも沸点が高い成分を意味し、「低沸点成分」とは、標準状態において(メタ)アクリル酸よりも沸点の低い成分を意味する。
【0030】
本発明で使用可能な吸収塔は、(メタ)アクリル酸含有ガスと(メタ)アクリル酸を捕集する捕集溶剤とを、充分に接触させることができるものであれば、特に限定されないが、例えば、棚段塔、充填塔、濡れ壁塔、スプレー塔などの従来公知の吸収塔を使用できる。
【0031】
吸収塔内における(メタ)アクリル酸含有ガスと捕集溶剤との接触方法は限定されず、例えば、泡鐘トレイ、ユニフラットトレイ、多孔板トレイ、ジェットトレイ、バブルトレイ、ベンチュリートレイを用いる十字流接触;ターボグリッドトレイ、デュアルフロートレイ、リップルトレイ、キッテルトレイ、ガーゼ型、シート型、グリット型の規則充填物、および、不規則充填物を用いる向流接触など、従来公知の接触方法は、いずれも使用できる。
【0032】
捕集溶剤の供給位置は、(メタ)アクリル酸含有ガスとの接触を効率よく行なうためには、吸収塔の塔頂に設けるのが好ましいが、(メタ)アクリル酸含有ガスを吸収するのに支障がなければ、吸収塔の塔頂部から塔底部において塔頂側を基点とする総理論段数の1〜30%の範囲に設けるのが好ましい。より好ましくは1〜20%、さらに好ましくは1〜10%の範囲の位置である。
【0033】
一方、(メタ)アクリル酸含有ガスの供給位置は、吸収塔の塔頂部から塔底部において塔頂側を基点とする総理論段数の50%〜100%(すなわち、吸収塔の高さ方向の中間部から塔底側;例えば、塔頂を1段、塔底を100段とする場合であれば、50〜100段の位置)、より好ましくは70%〜100%、さらに好ましくは90%〜100%の範囲内に設けるのが好ましい。
【0034】
なお、粗(メタ)アクリル酸溶液の抜き出し口は、(メタ)アクリル酸含有ガスの供給位置と捕集溶剤投入口との間であればよい。なお、精製工程を効率よく行なう観点からは、本発明の製造方法の代表例を示す図1にも記載しているように、粗(メタ)アクリル酸溶液35の抜き出し口は、(メタ)アクリル酸含有ガス25の供給位置よりも塔頂側に設けるのが好ましい。他方、抜き出し口の位置が高すぎると、粗(メタ)アクリル酸溶液の(メタ)アクリル酸濃度が低下し、吸収塔の塔頂から排出される(メタ)アクリル酸ガスの量が増加する場合がある(すなわち、(メタ)アクリル酸のロス率の増加)。なお、吸収塔の塔頂から排出されるガスは、通常、(メタ)アクリル酸の合成時にリサイクルガスとして使用されたり、あるいは、冷却された後、当該ガス中に含まれる凝縮性物質は、捕集溶剤の一部として吸収塔で使用されたりする。しかしながら、(メタ)アクリル酸のロス率が高い場合には、吸収塔や反応器、冷却工程での負荷が大きくなり、設備投資やユーティリティー面でも不利である。したがって、粗(メタ)アクリル酸溶液の抜き出し口は、吸収塔の塔頂部から塔底部において塔頂側を基点とする総理論段数で20〜99%の範囲に設けるのが好ましく、より好ましくは50〜99%の範囲、さらに好ましくは70〜99%、最も好ましくは80〜99%である。粗(メタ)アクリル酸溶液の抜き出し口を、吸収塔の上記範囲に設けることで、ミカエル付加物や(メタ)アクリル酸の重合物の含有量が少なく、かつ、当該溶液中に含まれる(メタ)アクリル酸濃度の高い粗(メタ)アクリル酸溶液が得られる。さらに、接触気相酸化反応時に副生する高沸点成分(マレイン酸、ベンズアルデヒド、フルフラール、プロトアネモニンなど)の含有量を低レベルに抑えることもできる。また、(メタ)アクリル酸のロス率を低減するためにも、粗(メタ)アクリル酸溶液の抜き出し口は上記範囲に設けるのが好ましい。
【0035】
また、粗(メタ)アクリル酸溶液を効率よく抜き出すために、粗(メタ)アクリル酸溶液抜き出し口には、集液器を設けるのが好ましい。
【0036】
吸収塔の側流として抜き出す粗(メタ)アクリル酸溶液の量は、吸収塔から抜き出される溶液の量(すなわち、側流および塔底液の合計量)に対して、20質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上であり、また、96.0質量%以下とするのが好ましい。ミカエル付加物の生成量を減少させるには、抜き出し量は多いほど好ましいが、抜き出し量が多すぎる場合には、高沸点成分や捕集溶剤に溶解し難い固形分が塔底に蓄積されて、塔底液の粘度が高くなったり、装置内の配管などが閉塞して、吸収塔の運転を継続することが困難になったりする場合がある。
【0037】
なお、吸収塔から抜き出す粗(メタ)アクリル酸溶液の(メタ)アクリル酸濃度は、80質量%以上であるのが好ましく、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
【0038】
捕集溶剤としては、(メタ)アクリル酸を吸収、溶解できるものであれば、特に限定されないが、例えば、ジフェニルエーテル、ジフェニル、ジフェニルエーテルとジフェニルとの混合物、水、(メタ)アクリル酸の精製工程から発生する有機酸を含んだ水(例えば、吸収塔の塔頂から排出されるガス(すなわち、リサイクルガス)を冷却して、当該ガス中に含まれる凝縮性物質を凝縮させた凝縮液など)など、従来公知のものを広く使用することができる。なかでも、水、および/または、(メタ)アクリル酸の精製工程から発生する有機酸を含んだ水を用いるのが好ましい。
【0039】
なお、本明細書では、吸収塔の塔頂から排出されるガスのうち、反応器((メタ)アクリル酸合成)に循環させる排出ガスを「リサイクルガス」、吸収塔の塔頂から系外に排出されるガスを「廃ガス」とする。
【0040】
リサイクルガスの冷却方法に制限はなく、リサイクルガスに含まれる凝縮性物質を凝縮できる装置を用いればよい。例えば、多管式熱交換器、フィンチューブ式熱交換器、空冷式熱交換器、二重管式熱交換器、コイル式熱交換器、直接接触式熱交換器、プレート式熱交換器などを使用できる。なお、リサイクルガスの冷却により生成する凝縮液は、(メタ)アクリル酸などの重合性物質を含んでいる場合が多いので、例えば、冷却塔と冷却器とを組み合わせた冷却方法を採用すれば重合防止剤を容易に供給できるので好ましい。
【0041】
リサイクルガスの冷却温度に制限はないが、反応器に供給する原料ガス全量中の水分濃度は0〜10体積%とするのが好ましく、より好ましくは0〜7体積%、特に0〜6体積%となるようにするのが好ましく、さらに、好ましくは全酸濃度を0〜0.2体積%、より好ましくは0〜0.1体積%になるようにすることが推奨されるので、リサイクルガスと原料ガスに含まれる水分量が上記範囲となるように冷却し、凝縮性物質を凝縮させることが好ましい。なお、分子状酸素含有ガスとして空気を使用する場合、該空気には、水分が含まれている。このような場合には、原料ガスの好ましい水分濃度と、原料ガスと空気の配合量から、リサイクルガスを冷却した後の水分量を求め、好適な水分濃度になるように冷却すればよい。冷却温度の目安としては、廃ガスの温度よりもリサイクルガスの温度を1〜50℃、より好ましくは2〜40℃、特に好ましくは3〜30℃低い温度に冷却するのが好ましい。
【0042】
なお、本発明において「凝縮性物質」とは、20℃、標準大気圧において、液体である物質を意味する。
【0043】
吸収塔に供給する捕集溶剤の質量は、目的とする粗(メタ)アクリル酸溶液の濃度によって適宜決定すればよいが、(メタ)アクリル酸の精製を効率よく行うためには、(メタ)アクリル酸濃度はできるだけ高いほうがよい。かかる観点からは、吸収塔に導入する捕集溶剤の質量流量は、(メタ)アクリル酸含有ガスに含まれる(メタ)アクリル酸の質量流量の0.1倍以上であるのが好ましく、より好ましくは0.15倍以上であり、1.5倍以下とするのが好ましく、より好ましくは1.0倍以下(さらに好ましくは0.8倍以下)とすることが推奨される。捕集溶剤の質量流量比が小さすぎる場合には、(メタ)アクリル酸吸収塔の極端な効率低下を引き起こす場合があり、他方、捕集溶剤の質量流量が大きすぎる場合には、高濃度の(メタ)アクリル酸溶液を得ることが困難となる場合がある。
【0044】
なお、吸収塔内に導入する捕集溶剤の温度は、通常、0〜60℃とするのが好ましい。より好ましくは10〜50℃である。また、捕集溶剤を好適な温度とするために、必要に応じて、多管式熱交換器、二重管式熱交換器、スパイラル式熱交換器、プレート式熱交換器などを使用してもよい。
【0045】
吸収塔内における重合性物質の重合防止を目的として、上記捕集溶剤には重合防止剤を添加してもよい。重合防止剤としては、特開2001−348360号公報、2001−348358号公報、2001−348359号公報などに記載されるN−オキシル化合物、フェノール化合物、酢酸マンガンなどのマンガン塩、ジブチルチオカルバミン酸銅などのジアルキルジチオカルバミン酸銅塩、ニトロソ化合物、アミン化合物およびフェノチアジンよりなる群から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
【0046】
(メタ)アクリル酸の吸収塔は、塔頂圧力(ゲージ圧)0〜0.4MPaで運転するのが好ましく、より好ましくは0.1MPa以下、さらに好ましくは0.03MPa以下で運転することが推奨される。塔頂圧力が低すぎる場合には、減圧装置が必要となり設備費、用役費がかかる。他方、塔頂圧力が高すぎると、吸収塔の塔頂から低沸点物質を排出させるために、吸収塔の温度を上げる必要が生じ、(メタ)アクリル酸の捕集効率が低下する場合がある。なお、吸収塔の塔頂温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、好ましくは85℃以下、より好ましくは80℃以下とすることが推奨される。
【0047】
捕集工程で吸収塔の底部に滞留する塔底液は、高沸点成分に富むものであるため、廃棄してもよいが、(メタ)アクリル酸やミカエル付加物を含む場合があるので、(メタ)アクリル酸収率の向上を目的として、塔底液の一部を、蒸留やミカエル付加物の分解などを行なう工程に供給してもよい。また、塔底液の一部を冷却または加熱して、吸収塔に戻してもよい。
【0048】
他方、捕集工程で、吸収塔の側流として抜き出された粗(メタ)アクリル酸溶液は、次工程に供給する。例えば、粗(メタ)アクリル酸溶液は、そのまま(メタ)アクリル酸エステルの原料としてエステル化反応工程に供給してもよく、あるいは、さらに高純度の(メタ)アクリル酸とするべく分離精製工程に供給してもよい。
【0049】
なお、本発明の製造方法は、(メタ)アクリル酸の捕集工程に特徴を有するものであって、捕集工程以外の工程は特に限定されず、従来公知の方法によって、あるいは、従来公知の方法に適宜変更を加えて実施することができる。
【0050】
[次工程例1−エステル化工程]
まず、次工程として、エステル化を行なう場合について説明する。エステル化の方法についても特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。例えば、捕集工程で得られた粗(メタ)アクリル酸溶液とアルコールとを、酸性触媒の存在下でエステル化反応させる方法、粗(メタ)アクリル酸溶液とアルキレンオキシドとを、触媒の存在下でエステル化反応させる方法などが挙げられる。
【0051】
アルコールとしては、例えば、炭素数1〜12の飽和または不飽和の脂肪族アルコール、炭素数3〜10の脂環式アルコール、炭素数6〜10の芳香族アルコールなどが挙げられる。なかでも、炭素数1〜12の脂肪族アルコールおよび炭素数3〜10の脂環式アルコールが好ましく、その代表例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、イソノニルアルコール、ラウリルアルコールなどが挙げられる。これらのアルコールは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0052】
アルキレンオキシドとしては、例えば、炭素数2〜6のアルキレンオキシドが挙げられる。代表例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどが挙げられる。
【0053】
酸性触媒としては、例えば、陽イオン交換樹脂を例示できる。陽イオン交換樹脂であれば、樹脂の構造や架橋度などの樹脂物性によって限定されず、例えば、多孔質あるいはゲルタイプの強酸性陽イオン交換樹脂を用いるのが好ましい。多孔質タイプの強酸性陽イオン交換樹脂の代表例としては、MSC−1(ダウ社製)、PK−208、PK−212、PK−216、PK−220、PK−228(以上、三菱化学社製)、アンバーリスト−16(「アンバーリスト」は、ローム・アンド・ハース社の登録商標である)、IR−116、IR−118、IR−122、C−26、C−26TR、C−264、C−265(以上、ローム・アンド・ハース社製)、SPC−108、SPC−112(以上、バイエル社製)、KC−470(住友化学社製)などが挙げられる。また、ゲルタイプの強酸性陽イオン交換樹脂の代表例としては、HCR−S、HCR−W2、HGR−W2(以上、ダウ社製)、SK−1B、SK−106、SK−110(以上、三菱化学社製)、デュオライトC20H、C255LFH(以上、ローム・アンド・ハース社製、「デュオライト」は、ローム・アンド・ハース社の登録商標である)、K1221、K1431(以上、バイエル社製)などが挙げられる。もちろん、これらに限定されるものではなく、弱酸性陽イオン交換樹脂や、硫酸などの無機酸を用いてもよい。これらの陽イオン交換樹脂や無機酸は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、(メタ)アクリル酸溶液とアルキレンオキシドとをエステル化反応させる際には、クロムや鉄などを含む金属触媒が用いられる。なお、エステル化工程の具体的な方法および反応温度などの諸条件については、適宜設定すればよく、特に制限されるものではない。
【0054】
上記エステル化工程についで、蒸留、放散、晶析、抽出、分縮、濾過あるいはこれらを適宜組み合わせた分離・精製工程を経た後、製品である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、または、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが得られる。
【0055】
[次工程例2−精製工程]
次に、捕集工程に続く次工程において精製を行なう場合について説明する。(メタ)アクリル酸の精製法としては、蒸留、放散、晶析、抽出、分縮およびこれらを適宜組み合わせた方法を採用できる。また、捕集工程で捕集溶剤として水を使用する場合、精製工程は、蒸留工程の一部に共沸脱水工程を含んでいてもよい。なお、精製工程に供給する粗(メタ)アクリル酸溶液が、(メタ)アクリル酸濃度70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上といった、高濃度の(メタ)アクリル酸溶液である場合には、晶析法を採用して(メタ)アクリル酸の精製を行なうのが好ましい。
【0056】
例えば、晶析による精製を行なう場合、使用可能な結晶化法に制限はなく、連続式、または、回分式のいずれも採用でき、また、結晶化の操作を、1段または2段以上実施してもよい。
【0057】
連続式の晶析装置としては、結晶化部、固液分離部および結晶精製部が一体となった塔型のBMC型晶析器(Backmixing Column Crystallizer、新日鐵化学株式会社製)や、結晶化部(例えば、CDC晶析装置(Cooling Disk Crystallizer、GMF GOUDA社製))、固液分離部(例えば、ベルトフィルター、遠心分離機など)、および、結晶精製部(例えば、KCP精製装置(Kureha Crystal Purifier、呉羽テクノエンジ株式会社)など)を組み合わせた晶析装置を使用することができる。
【0058】
回分式晶析装置としては、例えば、Sulzer Chemtech社製の層結晶化装置(動的結晶化装置)、BEFS PROKEM社製の静的結晶化装置などを使用することができる。
【0059】
上記晶析装置の運転条件および結晶化の回数は、晶析装置に供給する粗(メタ)アクリル酸の濃度や、目的とする精製(メタ)アクリル酸の純度などに応じて適宜決定すればよい。
【0060】
蒸留による精製を行なう場合には、例えば、1つの蒸留塔で、粗(メタ)アクリル酸溶液中に含まれる低沸点成分を塔頂部から、高沸点成分を塔底部から除去し、蒸留塔中段から製品である(メタ)アクリル酸を得る態様、あるいは、低沸点成分および高沸点成分などの除去を目的とした蒸留塔をそれぞれ個別に設けて精製(メタ)アクリル酸を得る態様など、様々な態様を採用できる。かかる精製法で使用可能な蒸留塔としては、塔内に複数のトレイを備えた棚段塔や、充填物を充填した充填塔などが挙げられる。なお、このとき棚段塔に設けるトレイ、および、充填塔に充填する充填物は、捕集工程で使用する吸収塔と同様のものが使用可能である。なお、蒸留塔で精製した(メタ)アクリル酸は、そのまま製品としてもよいし、さらに晶析法により精製してもよい。
【0061】
なお、蒸留塔には、塔内温度を調整するためのリボイラーや、塔頂から流出する蒸気を冷却あるいは還流させるコンデンサー、真空装置などを必要に応じて設けてもよい。
【0062】
蒸留塔の運転条件も限定されず、供給される粗(メタ)アクリル酸溶液の濃度や、目的とする精製(メタ)アクリル酸の純度に応じて、適宜決定すればよい。例えば、蒸留塔の塔頂圧力(絶対圧)は、好ましくは20〜400hPa、より好ましくは30〜300hPa、さらに好ましくは30〜200hPa;塔頂温度は、好ましくは30〜70℃、より好ましくは40〜60℃;塔底温度は、好ましくは70〜120℃、より好ましくは80〜110℃;とすることが推奨される。
【0063】
精製工程において、残渣として排出される残留母液(晶析法)や蒸留塔の塔底液(蒸留法)は、廃液として系外へ排出してもよいが、残渣中に含まれる有用成分を回収する工程に供給してもよい。回収工程は、特に限定されず、残渣中に残留する(メタ)アクリル酸を回収する蒸留工程、ミカエル付加物を分解して(メタ)アクリル酸として回収する工程などが挙げられる。
【0064】
なお、上述のように、本発明の製造方法はミカエル付加物などが生じ難い製法であるため、分解工程は従来法に比べて、小規模で簡易なものとすることができる。
【0065】
分解工程は、ミカエル付加物を分解して、(メタ)アクリル酸として回収できるものであれば、特に限定されず、従来公知の方法および装置はいずれも採用できる。例えば、分解工程に採用可能な装置としては、薄膜蒸発器に熱分解槽を備えたものや、ミカエル付加物の分解と同時に分解生成物を蒸留させられる蒸留装置などが挙げられる。なお、分解工程や蒸留工程で得られた(メタ)アクリル酸は、吸収塔(すなわち、捕集工程)あるいは精製工程に供給すればよい。
【0066】
ここで、図1を参照しながら、本発明に係る(メタ)アクリル酸の製造方法の代表的な製造プロセスを説明する。なお、本発明の製造方法は、この代表例に限定されず、本発明の効果を阻害しない範囲で、適宜変更を加えて実施できる。
【0067】
プロピレンおよび/またはアクロレインなどの(メタ)アクリル酸原料1、空気などの分子状酸素含有ガス3、および希釈ガス5を混合した原料ガスを、接触気相酸化触媒10を充填した反応器20に供給し、接触気相酸化反応によって(メタ)アクリル酸含有ガス25を得る。得られた(メタ)アクリル酸ガス25を吸収塔30の塔底から供給し、このガス25を、吸収塔30の塔頂から供給する捕集溶剤33に接触させて粗(メタ)アクリル酸溶液を得る。なお、図1では、吸収塔30に、後記する蒸留塔70(これは高沸点分離塔と呼ばれる)からの留出液71を供給しているが、もちろん、かかる態様には限定されず、留出液71の一部を系外へ排出してもよい。また、吸収塔30塔頂からの排出ガスは、リサイクルガスとして反応器20へ循環させてもよく、また、その際に、冷却して、排出ガスに含まれる凝縮性成分を分離した後、凝縮性成分(凝縮液の形態)と捕集溶剤33とを混合して吸収塔30に供給してもよい(図示せず)。
【0068】
次いで、吸収塔30の(メタ)アクリル酸含有ガス25の供給位置よりも上方で、且つ、捕集溶剤33の供給位置よりも下方から、粗(メタ)アクリル酸溶液35を抜き出す。得られた粗(メタ)アクリル酸溶液35を晶析器50に供給し、精製すれば製品(メタ)アクリル酸60が得られる。
【0069】
他方、晶析器50からの残留母液は全量系外に排出してもよいが(図示せず)、その一部または全量を51として吸収塔30から排出された塔底液37と共に蒸留塔70に供給してもよい。もちろん、塔底液37は、すべてを蒸留塔70(この場合、高沸点分離塔と呼ばれる)に供給してもよいが、一部または全量を系外に排出してもよく(図示せず)、また、図1に示しているように、その一部を熱交換器39で冷却して吸収塔30に循環させてもよい。また、晶析器50からの晶析残留母液51は、蒸留塔70の留出液71と混合して、吸収塔30に供給してもよい。好ましくは、晶析残留母液51を、吸収塔30の塔底液37に混合して、高沸点成分を分離する蒸留塔70に供給することが推奨される。
【0070】
蒸留塔70では、吸収塔30の塔底液37および晶析残留母液51に含まれる低沸点成分および(メタ)アクリル酸を塔頂から留出させ、留出液71は吸収塔30に循環させる。他方、蒸留塔70の塔底液に含まれる高沸点成分には、ミカエル付加物が含まれるため、これを薄膜蒸発器73を経て熱分解槽75に滞留させて(メタ)アクリル酸に熱分解する(すなわち、ミカエル付加物分解工程)。生成した(メタ)アクリル酸を薄膜蒸発器73に戻すと蒸留塔70の塔頂から留出して留出液71となり、さらに、これを吸収塔30に循環させれば最終的に製品(メタ)アクリル酸60として回収することができる。
【0071】
ミカエル付加物の分解工程では、ミカエル付加物の分解反応が促進され、(メタ)アクリル酸生成量が増加する向きに平衡が移動するように、ミカエル付加物の分解と生成した(メタ)アクリル酸の留出とが同時に起こるような、反応蒸留形式を採用してもよい。例えば、図2に示すように、蒸留塔70の塔底液を反応蒸留装置80に供給し、ミカエル付加物の分解を行うと共に、生成した(メタ)アクリル酸の蒸留を行う。(メタ)アクリル酸を含有する塔頂液は蒸留塔70に循環させ、高沸点成分を含む塔底液は廃油として系外に排出する。
【0072】
なお、図1および2では、精製工程として晶析法を採用する例を示したが、晶析法以外の精製工程を採用してもよく、また、精製工程の前工程としてエステル化工程を設けるものであってもよい。
【0073】
本発明は、上記のように、吸収塔の側流として、粗(メタ)アクリル酸溶液を抜き出すところに特徴を有するものであるので、この吸収塔の塔底部には、ミカエル付加物を含む高沸点成分(すなわち、(メタ)アクリル酸よりも沸点の高い成分)が集まり易くなる。なお、ミカエル付加物は、分解させることにより(メタ)アクリル酸として回収できるので、本発明の製造方法に、吸収塔の塔底液の分解を行なう工程(すなわち、分解工程)を設けてもよい。分解工程は、上記のような方法に限られるものではなく、他の方法を使用して(メタ)アクリル酸を製造する場合であっても採用することができる。例えば、(メタ)アクリル酸の製造条件や、吸収塔の運転条件によって、吸収塔の塔底部に高沸点成分が濃縮される場合には、吸収塔の塔底液を抜き出し、ミカエル付加物の分解工程で分解処理する態様は、好ましい実施態様となる。
【0074】
なお、通常、ミカエル付加物を分解したり、高沸点成分を処理する工程は、精製工程の最終工程近くに設置され、高沸点分離塔を経由した廃油を分解するものであったり(例えば、特開平11−12222号など)、あるいは、共沸脱水塔から排出される塔底液から(メタ)アクリル酸と高沸点成分を分離した後の高沸点成分を分解するものである(例えば、特開2004−51489号など)。これに対して、上記の工程は、吸収塔の塔底液に含まれるミカエル付加物を、精製工程などを経ずに分解する工程であり、特に、吸収塔の塔底部に高沸点成分が集まり易い場合には、かかる工程を採用することで、(メタ)アクリル酸をより効率よく製造できる。
【0075】
吸収塔の塔底液、すなわち、粗(メタ)アクリル酸溶液を吸収塔の側流として抜き出す場合に、吸収塔の塔底部に溜まった塔底液は、蒸留工程(すなわち、高沸点成分を分離する工程)を経た後、分解工程に供給してもよい。分解工程を経た吸収塔の塔底液は、直接、あるいは、高沸点分離塔を経由させて、吸収塔に循環させればよい。これにより、吸収塔の塔底液の分解により精製した(メタ)アクリル酸は、反応工程に由来する(メタ)アクリル酸と共に、捕集溶剤に吸収され、粗(メタ)アクリル酸溶液として吸収塔から抜き出されることとなる。
【0076】
吸収塔の塔底液を分解する工程(すなわち、ミカエル付加物の分解処理)は、特開平11−12222号に示されるような、薄膜蒸発器と熱分解槽に加えて、高沸点分離塔が設置された工程(例えば、図1を参照)で行なってもよいし、特開2003−171342号に示されるような、ミカエル付加物の分解と分解後の(メタ)アクリル酸の留出とが同時に行なわれる、反応蒸留形式を採用する工程(例えば、図2を参照)で行なってもよい。これらの工程のうち、吸収塔の塔底液からアクリル酸を効率よく回収できることから、薄膜蒸発器と熱分解槽に加えて、高沸点分離塔が設置された工程より、反応蒸溜形式を採用する工程の方がより好ましい。また、いずれの場合も、必要に応じて、重合禁止剤を配合してもよい。
【実施例】
【0077】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0078】
[実験例1および2:アクリル酸の捕集]
下記方法に従って、アクリル酸の捕集を行なった。なお、実験例1は、粗アクリル酸溶液の抜き出し位置を特定の位置に固定し(すなわち、吸収塔の塔頂部から塔底部において塔頂側を基点とする総理論段数の89%の位置)、粗アクリル酸溶液の抜き出し量を変更した例であり、実験例2は、粗アクリル酸溶液の抜き出し位置を変更し、粗アクリル酸溶液の抜き出し量を所定量に固定した例である(すなわち、抜き出し量6kg)。
【0079】
実験例1
吸収塔として、吸収塔の塔頂にガス排出口、塔底に塔底液の排出口を有し、計算上の理論段数が18段となるように充填物を充填したものを用いた。吸収塔において、アクリル酸含有ガスの供給口は、充填物の最下段より下部に設け、捕集溶剤の投入口および捕集溶剤を吸収塔内に分散させる液分散器は、充填物の最上段より上方に設けた。また、吸収塔の塔頂部から塔底部において塔頂側を基点とする総理論段数の89%の位置(すなわち、充填物の最上段から数えて、理論段数16段)に集液器を設置し、ここから粗アクリル酸溶液の抜き出しを行なった。
【0080】
吸収塔の塔頂温度を69.6℃、塔頂圧力0.015MPaに制御して、アクリル酸の捕集を行なった。なお、吸収塔の温度制御は、塔底液の一部を冷却し、これを循環させることにより行なった。
【0081】
接触気相酸化法によって得られたアクリル酸含有ガス(組成:アクリル酸7.1体積%、水13.9体積%、窒素74.2体積%、酸素1.5体積%、その他(プロピレン、プロパン、COx、酢酸、アルデヒドなど)3.3体積%)を、270℃、34.9Nm/時で、アクリル酸ガス供給口(吸収塔の塔頂部から塔底部において塔頂側を基点とする総理論段数の100%の位置、すなわち理論段数18段)から吸収塔に導入すると共に、捕集溶剤投入口より捕集溶剤(水:アクリル酸:酢酸:その他=95:2:2:1、アクリル酸含有ガス中のアクリル酸に対して200質量ppm相当のTEMPO(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシル)を含む)を4.5kg/時で導入し、吸収塔内で、気液接触させて、捕集溶剤にアクリル酸含有ガスを吸収させ、粗アクリル酸溶液を、吸収塔中段より塔底部側(すなわち、吸収塔の塔頂部から塔底部において塔頂側を基点とする総理論段数の89%の位置)に設けた集液器を介して吸収塔から抜き出した。
【0082】
得られた粗アクリル酸溶液の組成および抜き出し量を、吸収塔の塔底液の組成などと共に表1に記載する。なお、表1において、「側流」とは、吸収塔の中段より塔底部側(すなわち、吸収塔の塔頂部から塔底部において塔頂側を基点とする総理論段数の89%の位置、すなわち理論段数16段)から抜き出した粗アクリル酸溶液を意味し、「塔底液」は、吸収塔の底部から抜き出した抜き出し液を意味し、「二量体」はアクリル酸2分子が反応して生成したミカエル付加物(アクリル酸二量体)を意味する。「側流抜き出し量の割合」とは、側流の質量と塔底液の質量の合計量に対する側流(すなわち、粗アクリル酸溶液)の質量の割合を示すものである。また、「塔頂ロス率」とは、吸収塔に導入したアクリル含有酸ガス量に対して、捕集溶剤に吸収されずに吸収塔から排出されたアクリル酸含有ガス量の割合を示すものである。
【0083】
実験例1−1〜実験例1−6は、吸収塔の塔側部から粗アクリル酸溶液を抜き出した例であり、実験例1−7は、粗アクリル酸溶液を吸収塔の塔底液として抜き出した例である。なお、実験例1−1〜実験例1−6は、粗アクリル酸溶液の抜き出し量以外は、同一の条件下でアクリル酸の捕集を行なった。
【0084】
【表1】

【0085】
表1中※で示した実験例1−7のアクリル酸濃度および二量体濃度は、それぞれ塔底液のアクリル酸濃度および二量体濃度を示す。
【0086】
表1の結果より、吸収塔の側流として粗アクリル酸溶液を取り出しても、塔底液として取り出す場合と同程度、あるいはそれ以上の高い濃度を有する粗アクリル酸溶液が得られることがわかる。また、吸収塔の側流中には、固形分やアクリル酸二量体が含まれていないため、粗アクリル酸溶液を吸収塔の側流として取り出す方法を採用することで、固形分を除去するフィルターやアクリル酸二量体の分解工程などを省略あるいは簡略化できる。
【0087】
さらに、表1の結果より、吸収塔の側流として粗アクリル酸溶液を抜き出した実験例1−1〜1−6では、粗アクリル酸溶液を塔底液として抜き出した実験例1−7の場合と比較して、塔底部のアクリル酸二量体生成量を87質量%以下に低減でき、また、かかるアクリル酸二量体生成量は、側流の抜き出し量の増加と共に減少することがわかる(すなわち、実験例1−1:0.117kg/時(実験例1−7の86.7%)、実験例1−2:0.099kg/時(73.2%)、実験例1−3:0.075kg/時(55.6%)、実験例1−4:0.067kg/時(49.8%)、実験例1−5:0.058kg/時(42.9%)、実験例1−6:0.047kg/時(34.5%))。なお、側流の単位時間当たりの抜き出し量が8.0kg/時を超える場合は(吸収塔から抜き出される側流および塔底液の合計に対して96.9質量%)、吸収塔の塔底における配管が閉塞し、吸収塔の運転継続が不能となった。
【0088】
すなわち、粗アクリル酸溶液を吸収塔の側流として取り出すことで、塔底液として抜き出す場合に比べて、アクリル酸二量体の生成量が低減できるので、アクリル酸のロス率が少なく、高収率でアクリル酸を回収することができる。
【0089】
実験例2
実験例2では、側流として抜き出す粗アクリル酸溶液量を6kgとし、粗アクリル酸溶液の抜き出し位置を、表2に示すように、吸収塔の塔頂部から塔底部において塔頂側を基点とする総理論段数の28〜89%の位置に変更したこと以外は、実験例1と同様にして、粗アクリル酸溶液を抜き出した(実験例2−1〜2−5)。
【0090】
得られた粗アクリル酸溶液の組成および吸収塔の塔底液の組成を、抜き出し口の位置などと共に、表2に示す。また、表2には、粗アクリル酸溶液を吸収塔の塔底液として抜き出した実験例1−7の結果も併せて示した。
【0091】
【表2】

【0092】
表2中、抜き出し段の欄に記載の数値は、粗アクリル酸溶液の抜き出し口を理論段数で示したものであり、括弧内の数値は、抜き出し口を、吸収塔の塔頂部から塔底部において塔頂側を基点とする総理論段数の割合で示したものである。また、表2中※で示した実験例1−7のアクリル酸濃度および二量体濃度は、それぞれ塔底液のアクリル酸濃度および二量体濃度を示す。
【0093】
表2の結果から、粗アクリル酸溶液の抜き出し口が上段(すなわち、吸収塔の塔頂部側)であるほど、アクリル酸二量体の生成量は減少するが、粗アクリル酸溶液のアクリル酸濃度も低下し、吸収塔の塔頂からのアクリル酸含有ガスのロス率が増加する傾向があることが分かる。また、粗アクリル酸溶液の抜き出し口をアクリル酸含有ガスの供給位置と捕集溶剤の供給位置との間に設けることで、塔底液として粗アクリル酸溶液を抜き出す場合に比べて、アクリル酸二量体の生成量を低減できることが分かる。
【0094】
[実験例3:粗アクリル酸溶液の精製]
実験例1−3と同様の条件で製造した粗アクリル酸溶液6kgを、晶析精製法あるいは蒸留精製法によって精製した。
【0095】
実験例3−1:晶析精製法
特公昭53−41637号公報に記載される晶析装置に準じた晶析精製装置を使用して、動的結晶化を行った。晶析精製装置は、下部に貯蔵器を備えた、長さ6m、内径70mmの金属管からなり、循環ポンプにより貯蔵器中の液体を管上部へ移送し、液体を管内壁面に落下皮膜(falling film)状に流すことができるようになっている。管の外表面は二重のジャケットから構成され、このジャケットは、サーモスタットで一定の温度になるように制御されている。この貯蔵器に、粗アクリル酸溶液(組成:アクリル酸92.75質量%、水4.99質量%、酢酸2.50質量%、その他の不純物0.16質量%)を6kg/時で供給し、下記手順に従って動的結晶化を行なった。なお、以下の手順は、1回の動的結晶化操作を示すものである。
【0096】
1.結晶化:貯蔵器に供給した粗アクリル酸溶液を、循環ポンプにより管内壁面に落下被膜状に流し、ジャケットの温度をアクリル酸の凝固点以下にまで下降させて、貯蔵器に供給した粗アクリル酸溶液に含まれるアクリル酸の約60〜80質量%を管内壁面に結晶化させた。
【0097】
2.発汗:循環ポンプを停止し、ジャケットの温度をアクリル酸の凝固点付近まで上昇させ、結晶化させたアクリル酸の約2〜5質量%を発汗させた。発汗後、貯蔵器内に残留する粗アクリル酸溶液および発汗液をポンプで汲み出した。
【0098】
3.融解:ジャケットの温度をアクリル酸の凝固点以上に上昇させ、結晶を融解し、これをポンプで汲み出した。
【0099】
以上の操作を4回繰り返して、精製アクリル酸を得た。以上の操作において、温度、および凝固点は実施されるそれぞれの工程に依存させた。
【0100】
上記のような動的結晶操作により、99.91質量%の純度を有するアクリル酸を2.92kg/時で得た。このとき、アクリル酸結晶中に含まれる水は248質量ppmであり、酢酸は602質量ppmであった。
【0101】
実験例3−2:蒸留精製法
理論段数18段相当の無堰多孔板トレイを有し、塔頂部に、蒸留塔から排出されるガス中の凝縮性成分を凝縮させ再び吸収塔内に導入する還流ラインを備えた蒸留塔に、粗アクリル酸溶液を6kg/時で供給し、アクリル酸の精製を行なった。この精製工程で使用した蒸留塔は、塔頂部にコンデンサーを備え、塔頂部より理論段9段目に粗アクリル酸溶液の供給口を有し、塔頂部より理論段17段目に塔側流抜き出し口およびコンデンサーを備え、塔底部にはリボイラーを備えたものであった。
【0102】
蒸留塔の粗アクリル酸溶液供給口より、粗アクリル酸溶液(組成:アクリル酸93.10質量%、酢酸1.88質量%、水4.87質量%、アクロレイン0.04質量%、その他0.11質量%)を6kg/時で供給し、塔頂部の還流ラインから、重合防止剤(ジブチルジチオカルバミン酸銅40質量ppm、フェノチアジン100質量ppm[対アクリル酸蒸発蒸気量])を投入した。このとき、塔頂操作圧が100hPa(絶対圧)となるように、スチームエジェクターにより蒸留塔内を減圧すると共に、塔側流の抜き出し口と、該抜き出し口の下流側に設けた真空装置と間の調節弁を調節し、塔側部と塔頂部との差圧を95hPaに制御し、塔側流の抜き出し口から抜き出される蒸気量と塔頂部の流出液の流量比が4対1となるようにし、さらに、塔底液を0.8kg/時で抜き出して、塔側流の抜き出し口から精製アクリル酸の蒸気を4.3kg/時で得た。なお、このとき、蒸留塔の底部に備えたリボイラーによりアクリル酸の蒸気を供給して塔底液面を制御し、蒸留塔内における還流比を3.4とした。
【0103】
このとき得られた精製アクリル酸は、純度99.82%であり、不純物として、水100質量ppm、酢酸1300質量ppm、アクロレイン1質量ppm(検出限界)以下、その他400質量ppmを含むものであった。
【0104】
実験例3の結果より、捕集工程において、アクリル酸含有ガスの供給位置と捕集溶剤の供給位置との間に位置する抜き出し口から粗アクリル酸溶液を抜き出す本発明の製造方法を採用することで、精製法の種類にかかわらず、高純度のアクリル酸を効率よく得られることがわかる。
【0105】
[実験例4:分解工程]
実験例1−3と同様の条件で得られた高沸点成分を含有する塔底液の蒸留およびミカエル付加物の分解を行ってアクリル酸を回収した。
【0106】
実験例4−1:薄膜蒸発器と熱分解槽に加えて、高沸点分離塔が設置された工程
吸収塔の塔底液(組成:アクリル酸87.7質量%、水2.0質量%、酢酸1.1%、マレイン酸1.5質量%、アクリル酸二量体6.2質量%、その他の不純物1.5質量%)を、理論段数20段相当の多孔板トレイとリボイラーとを備えた蒸留塔(すなわち、高沸点分離塔)の中段に、2.25kg/h(アクリル酸二量体0.075kg/h)で供給した。このとき、蒸留塔は、操作圧93hPa、還流比0.3の条件で制御した。熱分解槽では、熱分解槽温度170℃、滞留時間30時間の条件で、ミカエル付加物の熱分解を行い、薄膜蒸発器は、塔底温度が95℃になるように制御し、塔頂圧力33hPa、還流比1.5の条件でアクリル酸を回収した。このとき、ミカエル付加物の転化率は65%、アクリル酸選択率は75%であり、アクリル酸二量体から48.8%(0.037kg/h)のアクリル酸を回収することができた。
【0107】
実験例4−2:反応蒸留形式を採用する工程
ミカエル付加物の分解工程において、図2に示すように強制循環型の外部熱交換器を備えた段塔つき反応蒸留装置を用いたこと以外は、実験例4−1と同様の操作を行った。反応蒸留装置は、熱分解温度170℃、滞留時間4時間、圧力266hPaの条件でミカエル付加物の熱分解を行った。このとき、ミカエル付加物の転化率は82%、アクリル酸選択率は98%であり、アクリル酸二量体から80.4%(0.060kg/h)のアクリル酸を回収することができた。
【0108】
実験例4の結果より、吸収塔の塔底液からアクリル酸を効率よく回収するには、薄膜蒸発器と熱分解槽に加えて、高沸点分離塔が設置された工程より、反応蒸留形式を採用する工程の方がより好ましいことがわかる。
【符号の説明】
【0109】
1 プロピレンおよび/またはアクロレイン
3 空気
5 希釈ガス
10 接触気相酸化触媒
20 反応器
25 (メタ)アクリル酸含有ガス
30 (メタ)アクリル酸吸収塔
33 捕集溶剤
35 粗(メタ)アクリル酸溶液
37 吸収塔の塔底液
39 熱交換器
50 晶析器
51 晶析残留母液
60 製品(メタ)アクリル酸
70 蒸留塔
71 蒸留塔の留出液
73 薄膜蒸発器
75 熱分解槽
80 反応蒸留装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸の製造方法であって、
接触気相酸化法により得られた(メタ)アクリル酸含有ガスを吸収塔で捕集溶剤と接触させて粗(メタ)アクリル酸溶液として捕集する捕集工程を含み、
該捕集工程において、(メタ)アクリル酸含有ガスの供給位置と捕集溶剤の供給位置との間に位置する吸収塔の抜き出し口から、粗(メタ)アクリル酸溶液を抜き出し、次工程に供給することを特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法。
【請求項2】
吸収塔から抜き出される前記粗(メタ)アクリル酸溶液中の(メタ)アクリル酸濃度が80質量%以上である請求項1記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
【請求項3】
前記次工程が、粗(メタ)アクリル酸溶液から(メタ)アクリル酸を分離精製する工程である請求項1または2記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
【請求項4】
前記分離精製工程が、晶析工程および/または蒸留工程を含むものである請求項3記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
【請求項5】
前記捕集溶剤が水である請求項1〜4のいずれか1項記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−232996(P2012−232996A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−162091(P2012−162091)
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【分割の表示】特願2006−333758(P2006−333758)の分割
【原出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】