説明

(メタ)アクリレート中にコア−シェルゴム分散体を含有するシアノアクリレート組成物

本発明は、シアノアクリレート成分および硬化性(メタ)アクリレートマトリックス中に分散された3nmから100nmの範囲の粒径を有するコア−シェルゴム成分を含む、シアノアクリレート組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、シアノアクリレート成分および硬化性(メタ)アクリレートマトリックス中に分散する3nmから1,000nmの範囲の粒径を有するコア−シェルゴム成分を含むシアノアクリレート組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の簡単な説明)
シアノアクリレート組成物は、1液型反応性接着剤として周知であり、迅速に結合し、様々な基体への応用に適している。H.V.Coover、D.W.DreifusおよびJ.T.O’Connorの「シアノアクリレート接着剤(Cyanoacrylate Adhesive)」(Handbook of Adhesives、27,463−77,I.Skeist,ed.,Van Nostrand Reinhold,New York,3rd ed.(1990))を参照されたし。また、G.H.Milletの「シアノアクリレート接着剤」(Structual Adhesives:Chemistry and Technology,S.R.Hartshorn,ed.,Plenum Press,New York,p.249−307(1986))を参照されたし。
【0003】
コア−シェルゴムは公知であり、Kaneka社、Hanse Chemie社およびWacker Chemie社など多くの供給源から商業的に入手できる。これらのコア−シェルゴムのいくつかは、エポキシ樹脂への分散体として商業的に入手可能である。
【0004】
米国特許第5,994,464号公報(Ohsawa)は、(a)シアノアクリレートモノマー、(b)Tgが−10℃より低く、シアノアクリレートモノマーと相溶または相容するエラストマー、および(c)アルキルアクリレート(このアルキル基は、2から8個の炭素原子を有する)および任意に、共重合性のモノマーを重合したコア、ならびにメチルメタクリレートおよびこれと共重合できるモノマーのポリマーからなるシェルを有するコア−シェルゴムを含むシアノアクリレート接着剤組成物を記載およびクレームしている。このエラストマーは、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマーおよび(メタ)アクリルエステルと低級アルケンモノマーのコポリマーから選択される。コア−シェルゴムは、シアノアクリレートモノマーと相容するが相溶せず、ラテックスを凍結し、凍結ラテックスを融解し、次いで融解ラテックスを加熱乾燥することによって製造される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現状の技術が存在するが、既混合された分散状態でコア−シェルゴムを含有するシアノアクリレート組成物を提供して、最終利用者にさらなるシアノアクリレート製品、特に、改良された靱性を有するシアノアクリレート製品を選択できるようにすることは好ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シアノアクリレート成分および硬化性(メタ)アクリレートマトリックス中に分散する3nmから1,000nmの範囲の粒径を有するコア−シェルゴム成分を含むシアノアクリレート組成物を提供する。
【0007】
より具体的には、前記コア−シェルゴム成分は粒子を有し、少なくともこの粒子の90%は、粒径分布が3nmから500nmの範囲でなければならない。
【0008】
さらに、既混合物を形成するために、コア−シェルゴム成分は、硬化性(メタ)アクリレートマトリックス中に、5重量%から約75重量%の範囲の量、例えば、15重量%から約65重量%の範囲、好ましくは25重量%から約50重量%の範囲の量で分散されていなければならない。
【0009】
コア−シェルゴム成分/硬化性(メタ)アクリレートマトリックス既混合分散体は、5重量%から約65重量%の範囲の量、例えば、10重量%から約50重量%の範囲の量、好ましくは15重量%から約35重量%の範囲の量、より好ましくは20重量%から約25重量%の範囲の量でシアノアクリレート成分とともに存在しなければならない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、シアノアクリレート成分および硬化性(メタ)アクリレートマトリックス中に分散する3nmから1,000nmの範囲の粒径を有するコア−シェルゴム成分を含むシアノアクリレート組成物を提供する。
【0011】
より具体的には、コア−シェルゴム成分は粒子を有し、少なくともこの粒子の90%は、粒径分布が3nmから500nmの範囲でなければならない。
【0012】
本発明のナノコア−シェルゴムは、ゴム状ポリマーのコアとガラス状ポリマーのシェルを有し、シアノアクリレートモノマーと相容(compatible)するが相溶(miscible)しないものでなければならない。
【0013】
このようなナノコア−シェルゴムは、一般に、弾性またはゴム特性(すなわち、ガラス転移温度が約0℃未満、例えば、約−30℃未満)を有するポリマー材料から構成されるコアを含み、このコアは非弾性ポリマー材料(すなわち、ガラス転移温度が環境温度、例えば、約50℃より高い熱可塑性または熱硬化性樹脂/架橋ポリマー)から構成されるシェルによって囲まれている。例えば、このコアは、ジエンホモポリマーまたはコポリマー(例えば、ブタジエンまたはイソプレンのホモポリマー、ブタジエンまたはイソプレンとビニル芳香族モノマー、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリレートのような1種以上のエチレン系不飽和モノマーとのコポリマー、または類似物)から構成されていてもよく、一方、前記シェルは、(メタ)アクリレート(例えば、メチルメタクリレート)、ビニル芳香族モノマー(例えば、スチレン)、ビニルシアニド(例えば、アクリロニトリル)、不飽和酸および無水物(例えば、アクリル酸)、および(メタ)アクリルアミド等のガラス転移温度が適切に高い1種以上のモノマーのポリマーまたはコポリマーから構成されていてもよい。また、他のゴム状ポリマーもコアとして適切に使用することができ、ポリブチルアクリレートまたはポリシロキサンエラストマー(例えば、ポリジメチルシロキサン、特に架橋ポリジメチルシロキサン)が挙げられる。前記ゴム粒子は、2より多い層数で構成されていてもよい(例えば、1つのゴム状材料からなる中心コアは、異なったゴム状材料からなる第2のコアで囲まれていてもよく、または前記ゴム状コアは、異なった組成の2つのシェルによって囲まれていてもよく、または前記ゴム粒子は、軟質コア、硬質シェル、軟質シェル、硬質シェルの構造であってもよい)。本発明の1つの態様では、使用されるゴム粒子は、1つのコアと異なった化学組成および/または特性を有する少なくとも2つの同心のシェルから構成されている。コアまたはシェルもしくはコアとシェルがともに架橋されていてもよい(例えば、イオン的または共有結合的に)。シェルはコアにグラフトされていてもよい。シェルを構成するポリマーは、本発明の組成物の他の成分と相互作用ができる1つ以上の異なったタイプの官能基(例えば、エポキシ基)を有することができる。
【0014】
典型的には、コアはゴム粒子の約50から約95重量%を占め、一方、シェルはゴム粒子の約5から約50重量%を占めることができる。
【0015】
コア−シェルゴム粒子は、ナノスケールの大きさである。即ち、このゴム粒子は、平均径が約500nm未満であり、例えば、約200nm未満、好ましくは、25から100nmの範囲である。
【0016】
コア−シェル構造を有するゴム粒子を製造する方法は、当該技術分野において公知であり、例えば、米国特許第4,419,496号、同4,778,851号、同5,981,659号、同6,111,015号、同6,147,142号および同6,180,693号各公報に開示されており、各々はその全部を参照して本明細書に組み込まれる。
【0017】
コア−シェル構造を有するゴム粒子は、このゴム粒子がマトリックス中に分散されているマスターバッチとして製造することができる。本発明との関係において、このマトリックスは、(メタ)アクリレートマトリックスである。例えば、ゴム粒子を、典型的には、水性分散体またはエマルジョンとして製造する。このような分散体またはエマルジョンは、所望のエポキシ樹脂またはエポキシ樹脂の混合物と混ぜ合わせることができ、 水および他の揮発性物質を蒸留などによって除去することができる。このマスターバッチを製造するための1つの方法は、国際特許公開WO2004/108825号公報に詳細に開示されており、その全部を参照して本明細書に組み込まれる。例えば、ゴム粒子の水性ラテックスを、水への部分的な溶解度を有する有機媒体と接触させ、次いで、 この有機媒体よりも水への部分的な溶解度が低い第2の有機媒体と接触させ、水を分離し、この第2の有機媒体中のゴム粒子分散体を提供することができる。 この分散体を、次いで、所望のエポキシ樹脂(複数の樹脂)と混合し、揮発性物質を蒸留などで除去してマスターバッチを提供することができる。
【0018】
エポキシ樹脂マトリックスにコア−シェル構造を有するゴム粒子が分散している特に適した分散体としては、Kaneka社からKaneka MX−120(ビスフェノールAのジグリシジルエーテルマトリックス中にナノサイズのコア−シェルゴムが25重量%のマスターバッチ)およびKaneka MX−156などが入手できる。これもまた、マトリックスは(メタ)アクリレートマトリックスである。
【0019】
コア−シェルゴムのコア相およびシェル相は、互いにグラフトされていてもよい。これらのナノコア−シェルゴムは、多段シードエマルジョン重合方法と呼ばれる連続の多段エマルジョン重合方法によって製造することができ、この方法では、後の段階において、前の段階からのポリマーが存在する中で継続的にポリマーをシード重合する。第1に、シードラテックスをエマルジョン重合によって製造し、次いで、コア部分をシード重合によって製造し、このシード重合を繰返してコア−シェルゴムを得ることができる。
【0020】
従って、シード粒子の重合は、メチルメタクリレートまたはエチルアクリレートのようなモノマーを使って達成することができる。
【0021】
コアの重合は、シードラテックスの存在下、共役ジエンまたはアルキルアクリレートモノマー(炭素原子が2から8個のアルキル基を有する)のエマルジョン重合によって達成することができる。このような方法において、コアは、ガラス転移温度(Tg)が室温より低く、好ましくは−10℃未満であるゴム状ポリマーをベースとした。共役ジエンの例としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、またはクロロプレンが挙げられ、ブタジエンが特に好ましい。アルキルアクリレートの例としては、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、または2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられ、ブチルアクリレートが特に好ましい。
【0022】
コアの共重合では、アルキルアクリレートと共に、このアクリレートと共重合可能なモノマーを使うことができ、例としては、スチレン、ビニルトルエン、およびメチルスチレンのような芳香族ビニルおよびビニリデンモノマー、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルのようなビニルシアニドおよびビニリデンシアニドモノマー、メチルメタクリレートおよびブチルメタクリレートのようなアルキルメタクリレートが挙げられる。
【0023】
架橋可能なモノマーおよびグラフトモノマーがコモノマーとして好ましい。架橋可能なモノマーの例としては、ジビニルベンゼンのような芳香族ジビニルモノマー、さらには、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、およびトリメチロールプロパントリメタクリレートのようなアルカンポリオールポリアクリレートまたはアルカンポリオールポリメタクリレートが挙げられ、ブチレングリコールジアクリレートおよびヘキサンジオールジアクリレートが特に好ましい。グラフトモノマーの例としては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、およびジアリルイタコネートのような不飽和カルボン酸アリルエステルが挙げられ、アリルメタクリレートが特に好ましい。
【0024】
ゴム状ポリマーのコア部は、コア−シェルゴム全体の50から90重量%の範囲であることが好ましい。
【0025】
コア−シェルゴムの製造では、モノマーエマルジョン重合における重合開始剤として、例えば、ナトリウム過硫酸塩およびカリウム過硫酸塩のような過硫酸塩の開始剤、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン、およびジメチルメチルプロパンイソブチレートのようなアゾ型の開始剤、ならびにクメンヒドロペルオキシドおよびジイソプロピル−ベンゼンヒドロペルオキシドのような有機ペルオキシド開始剤を使うことができる。
【0026】
ポリマーシェルは、コア・ラテックスの存在下、メチルメタクリレートまたはスチレンおよび共重合可能なモノマーを重合して、最外部シェルとして室温より高いTg、好ましくは60℃より高いTgを有するガラス状ポリマーを形成することによって製造することができる。メチルメタクリレートと共重合できるモノマーの例としては、アルキルアクリレート(例えば、エチルアクリレートおよびブチルアクリレート)、アルキルメタクリレート(例えば、エチルメタクリレートおよびブチルメタクリレート)、芳香族ビニルおよびビニリデンモノマー(例えば、スチレン、ビニルトルエンおよびメチルスチレン)、ビニルシアニドおよびビニリデンシアニドモノマー(例えば、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル)のようなビニル重合可能なモノマーが挙げられる。特に好ましいのは、エチルアクリレート、スチレンおよびアクリロニトリルである。スチレンと共重合可能なモノマーの例としては、アルキルアクリレート(例えば、メチルアクリレートおよびエチルアクリレート)、アルキルメタクリレート(例えば、メチルメタクリレートおよびエチルメタクリレート)、芳香族ビニルおよびビニリデンモノマー(例えば、ビニルトルエンおよびメチルスチレン)、ならびにビニルシアニドおよびビニリデンシアニドモノマー(例えば、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル)のようなビニル重合可能なモノマーが挙げられ、メチルメタクリレートおよびアクリロニトリルが特に好ましい。
【0027】
本発明で製造されるコア−シェルゴムでは、コアと最終ポリマー層、またはシェルとの間に、ポリマー単層(または複数層)、即ち、中間単層(または複数層)が存在してもよい。シードまたはコアを形成した後、グリシジルメタクリレートまたは不飽和カルボン酸のような官能基を含有する重合可能なモノマー、メチルメタクリレートのようなガラス状ポリマーを形成する重合可能なモノマー、またはブチルアクリレートのようなゴム状ポリマーを形成する重合可能なモノマーを適切に選択し、次いで、このように選択されたモノマーをエマルジョン重合に付することによって、前記の中間層を形成することができる。
【0028】
例えば、コアは、ポリブタジエン、ポリアクリレート、ポリブタジエン/アクリロニトリル混合物、ポリオールおよび/またはポリシロキサンもしくは低いガラス転移温度を達成する任意の他のモノマーの供給原料から主に形成することができる。外部シェルは、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンまたはポリビニル塩化物もしくは高いガラス転移温度を達成する、任意の他のモノマーの供給原料から主に形成することができる。
【0029】
このような方法で製造したコア−シェルゴムは、製造または配合温度で液体の(メタ)アクリレートを選択して、この(メタ)アクリレートマトリックス中に分散することができる 例えば、(メタ)アクリレートの例としては、本発明の(メタ)アクリレート成分として使うのに適した(メタ)アクリレートモノマーを含み、式、HC=CGCOで表される様々な物質から選択することができ、式中、Gは、水素、ハロゲンまたは1から約4個の炭素原子を有するアルキル基であってもよく、Rは、1から約16個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルカリール、アラルキルまたはアリール基から選択することができ、これらのあらゆるものは、それぞれの場合に従い、シラン、シリコン、酸素、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、尿素、ウレタン、カーボネート、アミン、アミド、硫黄、スルホネート、スルホン等によって任意に、置換されていてもまたは割り込まれていてもよい。
【0030】
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(「HEMA」)、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(「HPMA」)、イソボルニルアクリレート(「IBOA」)、および類似物のようなモノ−官能性(メタ)アクリレートは、本発明で適切に使用することができ、特に下記のようにジ−またはトリ−官能性(メタ)アクリレートとの組合せが適している。
【0031】
本発明で使用するのに適した追加の(メタ)アクリレートモノマーとしては、多官能性(メタ)アクリレートモノマー、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(「PEGMA」)、テトラヒドロフラン(メタ)アクリレートおよびジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(「TMPTMA」)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(「TRIEGMA」)、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(ペンタメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンジグリコールジ(メタ)アクリレート、ジグリセロールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ならびにビスフェノール−A−モノおよびジ(メタ)アクリレート[例えば、エトキシル化ビスフェノール−A(メタ)アクリレート(「EBIPMA」)]およびビスフェノール−Fモノおよびジ(メタ)アクリレート[例えば、エトキシル化ビスフェノール−A(メタ)アクリレート]のようなジ−またはトリ−官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0032】
さらに、本発明で使用することができる他の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、米国特許第5,605,999号公報(Chu)で教示されているシリコーン(メタ)アクリレート部分構造(「SiMA」)が挙げられ、この特許の開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。当然ながら、これらの(メタ)アクリレートモノマーの組合せも使うことができる。
【0033】
コア−シェルゴムは、(メタ)アクリレート分散体中に約5から約50重量%の範囲の量、好ましくは約15から約25重量%の範囲の量で存在することができる。
【0034】
Kaneka社から入手できるコア−シェルゴムの多くは、(メタ)アクリレート−ブタジエン−スチレン(「MBS」)のコポリマーから製造されるコアを有し、このコポリマーにおいてブタジエンは、エポキシ樹脂中に分散した相分離粒子の主要な成分であると考えられる。エポキシ樹脂にコア−シェルゴム粒子が分散された他の市販のマスターバッチとしては、Waker Chemie GmbH(ドイツ)から入手できるGENIOPERL M23A(ビスフェノールAジグリシジルエーテルをベースにした芳香族エポキシ樹脂中に30重量%のコア−シェル粒子の分散体であり、このコア−シェル粒子は平均径が100nmであり、エポキシ官能のアクリレートコポリマーがグラフトしている架橋シリコンエラストマーコアを含み、このシリコンエラストマーコアは、コア−シェルゴムの約65重量%に相当する)が挙げられる。
【0035】
さらに、コア−シェルゴム成分は、1重量%から約95重量%の範囲の量、例えば、15重量%から約75重量%の範囲の量、好ましくは20重量%から約60重量%の範囲の量で硬化性(メタ)アクリレートマトリックス中に分散されなければならない。
【0036】
コア−シェルゴム成分/硬化性(メタ)アクリレートマトリックス分散体は、1重量%から約18重量%の範囲の量、例えば、2重量%から約15重量%の範囲の量、好ましくは4重量%から約12重量%の範囲の量で、シアノアクリレート成分とともに存在しなければならない。
【0037】
シアノアクリレート成分は、少なくとも1種の、式:
【0038】
【化1】

で表されるα−シアノアクリレートモノマーを含んでおり、式中、R1は、1から12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基(ハロゲン原子またはアルコキシ基のような置換基で置換されていてもよい)、2から12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルケニル基、2から12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基または任意のアリール基を表す。Rの具体例は、メチル基、エチル基、nプロピル基、イソプロピル基、nブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、アリル基、メタリル基、クロチル基、プロパギル基、シクロへキシル基、ベンジル基、フェニル基、クレシル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、2−クロロブチル基、トリフルオロエチル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシブチル基および2−エトキシエチル基が挙げられる。エチルシアノアクリレートは、本発明の組成物において選択して使用するのに特に好ましい。
【0039】
一般に、α−シアノアクリレート組成物に、組成物の全重量を基準として約0.0001から10重量%の量でアニオン重合禁止剤を添加し、保存中の組成物の安定性を増す。有用な禁止剤の例としては、二酸化硫黄、三酸化硫黄、一酸化窒素、フッ化水素、有機スルトン禁止剤、三フッ化ボロンおよびメタンスルホン酸、芳香族スルホン酸、脂肪族スルホン酸、およびスルホンが挙げられる。禁止剤の量は、組成物の硬化を遅くするのに適当に任意の都合のよい量であってもよい。アニオン重合禁止剤は、組成物の全重量を基準にして約0.0001%から約0.1重量%存在することが好ましい。
【0040】
保存中に光によって形成されるラジカルを捕捉する目的で、ラジカル重合禁止剤を、一般に、組成物の全重量を基準として約0.001から2.0%、特に0.03から0.5%の量でさらにα−シアノアクリレートに添加する。 このような禁止剤は、通常、フェノール型であり、例えば、ヒドロキノンおよびヒドロキノンモノメチルエーテルが挙げられる。本発明で使用するのに適した他の禁止剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエンおよびブチル化ヒドロキシアニソールが挙げられる。
【0041】
増粘剤を添加して、α−シアノアクリレート組成物の粘度を増加することができる。各種ポリマーを増粘剤として使用することができ、例としては、ポリ(メチルメタクリレート)(「PMMA」)、ポリ(エチルメタクリレート)(「PEMA」)、メタクリレート型のコポリマー、アクリルゴム、セルロース誘導体、ポリビニルアセテートおよびポリ(α−シアノアクリレート)が挙げられる。増粘剤の適した量は、一般に、シアノアクリレート組成物の全重量を基準として、約0.01から30重量%、好ましくは5.0から25重量%である。
【0042】
シアノアクリレート成分に可塑剤も添加して、さらに、耐久性、耐衝撃、耐熱および耐湿気を助けることができる。この可塑剤は、組成物の全重量を基準として、好ましくは約0.05から約25重量%、より好ましくは約1%から約15重量%、例えば、約5%から約10重量%の量で存在する。
【0043】
香料、色素、顔料、および類似物は、α−シアノアクリレートモノマーの安定性に悪い影響を与えず、使用目的によって決まる量で本発明の組成物に添加することができる。このような添加剤の使用は、シアノアクリレート接着剤の分野で当業者の実施技術の範囲であり、本明細書で詳述する必要はない。
【0044】
シアノアクリレート組成物で役立つことのできる促進剤としては、例えば、カリックスアレーン、オキサカリックスアレーン、およびこれらの組合せが挙げられる。カリックスアレーンおよびオキサカリックスアレーンの多くは、公知であり、特許文献に記載されている。例えば、米国特許第4,556,700号、同4,622,414号、同4,636,539号、同4,695,615号、同4,718,966号、および同4,855,461号各公報を参照されたし。これらの開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0045】
他の有用な促進剤成分は、クラウンエーテルである。多数のクラウンエーテルが公知である。例えば、本発明で個別にまたは組合せて使用するか、もしくは上記のカリックスアレーンおよびオキサカリックスアレーンと組合わせて使用することができるクラウンエーテルの例としては、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、ベンゾ−15−クラウン−5、ジベンゾ−24−クラウン−8、ジベンゾ−30−クラウン−10、トリベンゾ−18−クラウン−6、asym−ジベンゾ−22−クラウン−6、ジベンゾ−14−クラウン−4、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、シクロへキシル−12−クラウン−4、1,2−デカリル−15−クラウン−5、1,2−ナフト−15−クラウン−5、3,4,5−ナフチル−16−クラウン−5、1,2−メチルベンゾ−18−クラウン−6、1,2−メチルベンゾ−5,6−メチルベンゾ−18−クラウン−6、1,2−t−ブチル−18−クラウン−6、1,2−ビニルベンゾ−15−クラウン−5、1,2−ビニルベンゾ−18−クラウン−6、1,2−t−ブチルシクロへキシル−18−クラウン−6、asym−ジベンゾ−22−クラウン−6および1,2−ベンゾ−1,4−ベンゾ−5−酸素−20−クラウン−7が挙げられる。米国特許第4,837,260号(Sato)公報を参照されたし。この開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0046】
他の適した促進剤としては、米国特許第5,312,864号(Wenz)公報に記載された、シアノアクリレートに少なくとも部分的に可溶性であるα−、β−またはγ−シクロデキストリンのヒドロキシル基誘導体、米国特許第4,906,317号(Liu)公報に記載された、木材のような非活性化基体上に固定化および硬化を加速するためのシラクラウン化合物が挙げられる。シラクラウン化合物の例としては、以下の構造:
【0047】
【化2】

のものが含まれ、式中、RおよびRは、これら自体がシアノアクリレートモノマーの重合を起こさない有機基であり、Rは、HまたはCH、nは、1から4の整数である。適したRおよびR基の例としては、R基、メトキシのようなアルコキシ基、およびフェノキシのようなアリールオキシ基である。前記RおよびR基は、ハロゲンまたは他の置換基を含んでいてもよく、トリフルオロプロピルは1例である。しかしながら、RおよびR基として適していないのは、アミノ、置換アミノおよびアルキルアミノ基のような塩基性の基である。
【0048】
本発明の組成物で有用なシラクラウン化合物の具体例としては、
【0049】
【化3】

【0050】
【化4】

および
【0051】
【化5】

が挙げられる。
【0052】
組成物中に促進剤成分は、組成物の全重量を基準にして、約0.1%から約10%の範囲、 好ましくは約0.5%から約5%の範囲、特に好ましくは約0.1%から約1重量%の範囲で含まれなければならない。例えば、米国特許第4,170,585号、同4,450,265号、同6,294,629号、および同6,475,331号各公報を参照されたし。これらの内容は、参照により本明細書に全体として組み込まれる。
【0053】
また、好ましくは本発明の組成物を、米国特許第4,440,910号(O’Connor)公報に記載されているような第2の強化成分で共強化することができ、この特許では、弾性の、即ち、本来はゴム状の強化添加剤として特定の有機ポリマーを使用して、ゴム強化シアノアクリレート組成物を最初に開発している。従って、前記’910特許は、(a)シアノアクリレートエステルと、(b)約0.5%から約20重量%の弾性ポリマーとの実質的に溶媒を含まない混合物を含む硬化性接着剤を志向し、クレームしている。この弾性ポリマーは、低級アルケンモノマーと、(i)アクリル酸エステル、(ii)メタクリル酸エステルまたは(iii)ビニルアセテートとの弾性コポリマーから選択される。より具体的には、’910特許は、シアノアクリレートのための強化添加剤として、アクリルゴム、ポリエステルウレタン、エチレン-ビニルアセテート、フッ素化ゴム、イソプレン-アクリロニトリルポリマー、クロロスルホン化ポリエチレン、およびポリビニルアセテートのホモポリマーは特に有用であることを見出したと指摘している。
【0054】
’910特許では、弾性ポリマーは、アクリル酸のアルキルエステルのホモポリマー、低級アルケンのような他の重合可能なモノマーとアクリル酸アルキルまたはアルコキシエステルとのコポリマー、およびアクリル酸のアルキルまたはアルコキシエステルのコポリマーのいずれかとして記載されている。アクリルのアルキルおよびアルコキシエステルと共重合できる他の不飽和モノマーとしては、ジエン、反応性ハロゲン含有不飽和化合物およびアクリルアミドのような他のアクリルモノマーが挙げられる。
【0055】
弾性ポリマーの1つの群は、例えば、VAMAC N123およびVAMAC B−124のようなVAMACという名でDuPont社によって製造されたメチルアクリレートとエチレンのコポリマーである。VAMAC N123およびVAMAC B−124は、エチレン/アクリルエラストマーのマスターバッチであることがDuPont社によって公表されている。
【0056】
Henkel社(Loctite社の後継会社として)は、’910特許の出願以来、長年にわたってゴム強化成分として、VAMAC B−124およびN123と言われるDupont社からの材料を使用してゴム強化シアノアクリレート接着剤製品を商標名BLACK MAXで販売してきた。従って、これらのDupont社の材料を使って、本発明の組成物を共強化することができる。さらに、従来、Henkel社は、ゴム強化成分としてDupont社の材料であるVAMAC Gを使う、透明で実質的に無色のゴムで強化されたシアノアクリレート接着剤製品、即ち、LOCTITE4203、4204および4205を販売してきた。VAMAC Gを使って、同様に本発明の組成物を共強化することができる。
【0057】
VAMAC VCSゴムはベースゴムで、このゴムからVMAC製品ラインの残りの製品は構成されるように思われる。VAMAC VCS(VAMAC MRとも言われる)は、エチレン、メチルアクリレートおよびカルボン酸硬化サイトを有するモノマーの組合せ反応生成物であり、一旦形成されるとその結果、実質的に、離型剤のオクタデシルアミン、複合有機リン酸エステルおよび/またはステアリン酸のような加工助剤、および置換ジフェニルアミンのような抗酸化剤を含まない。
【0058】
最近、Dupont社は市場にVAMAC VMX1012およびVCD6200の商標表示で、エチレンおよびメチルアクリレートから製造されるゴムを供給した。このVAMAC VMX1012ゴムは、ポリマー骨格中にほとんどか、まったくカルボン酸を含まないと考えられる。VAMAC VCSゴムと同様、VAMAC VMX1012およびVCD6200ゴムは、上記のように、実質的に、離型剤のオクタデシルアミン、複合有機リン酸エステルおよび/またはステアリン酸のような加工助剤、および置換ジフェニルアミンのような抗酸化剤を含まない。
【0059】
また、本発明の組成物は、(a)エチレン、メチルアクリレートおよびカルボン酸硬化サイトを有するモノマーの組合せの反応生成物、(b)エチレンおよびメチルアクリレートのジポリマー、および(a)と(b)の組合せを有するゴム強化成分で共強化することができ、一旦前記反応生成物および/またはジポリマーが形成されると、その結果、これらは実質的に、離型剤のオクタデシルアミン(ARMEEN18Dという商標名でAkzo Nobel社から商業的に入手できることがDupont社によって公表されている)、複合有機リン酸エステル(VANFRE VAMの商標名でR.T.Vanderbilt社から商業的に入手できることがDupont社によって公表されている)、ステアリン酸および/またはポリエチレングリコールエーテルワックスのような加工助剤、および置換ジフェニルアミン(NAUGARD445の商標名で、Uniroyal Chemical社から商業的に入手できることがDupont社によって公表されている)のような抗酸化剤を含まない。
【0060】
さらに、ポリメチルメタクリレート(「PMMA」)およびポリブチルアクリレート(「PB」)から構成されたポリマー材料は、共強化材として本発明の組成物に含まれてもよい。この種のポリマー材料は、ポリメチルメタクリレート−ブロック−ポリブチルアクリレート−ブロックポリメチルメタクリレートコポリマー(「MAM」)と呼ばれる。
【0061】
製造業者のArkemaグループによって公表されているように、MAMは、約70%PMMAおよび30%PBからなるトリブロックコポリマーである。MAMは、分子スケールで自己組織化する能力を提供する独特のセグメントから構成されている。即ち、Mはポリマーに硬度を与え、Aはポリマーに弾性特性を与える。硬質ポリマーセグメントはシアノアクリレートに溶解する傾向があるが、弾性セグメントは、硬化によって形成する高分子シアノアクリレートに靱性を提供する。また、MAMは、固有の物理的特性を落とすことなく機械特性を強化する。MAMは、ArkemaグループからNanostrength(登録商標)の名で市販品が入手できる(現在、2つの異なったグレード、即ち、M−22およびM−42)。
【0062】
Arkemaグループは、多くのポリマーと相溶するアクリルブロックコポリマーとして、Nanostrength(登録商標)製品ラインを推進しており、製造業者によれば、これらの製品のほとんどは主要な工業エポキシ樹脂である。米国特許第6,894,113号公報も参照されたし。’113特許の要約では、改良された耐衝撃性を有する熱硬化性材料について言及されている。耐衝撃性は、S−B−MおよびM−B−Mブロックを含む少なくとも1種のコポリマーを含有する衝撃改質剤1から80%によって導かれ、各ブロックは共有結合によって結合されているか、または中間分子によって複数ブロックの1つに共有結合、他のブロックに他の共有結合で結合されている。Mは、少なくとも50重量%のメチルメタクリレートを含むPMMAホモポリマーまたはコポリマーであり、Bは、熱硬化性樹脂およびMと非相容であり、このガラス転移温度Tgは、熱硬化性材料の動作温度よりも低く、Sは、熱硬化性樹脂、BブロックおよびMブロックと非相容であり、このTgまたは融点は、BのTgよりも高い。Sはポリスチレンが有利であり、Bはポリブタジエンであると公表されている。
【0063】
共強化材を使用する場合、最高、約10重量%、例えば、最高、約5重量%、好ましくは2重量%から4重量%くらいより少ない量で加えることができる。
【0064】
下記の実施例は、本発明をさらに説明するであろう。
【実施例】
【0065】
ここで10ppmの三フッ化ボロンで不安定化したシアノアクリレートへ添加するために、(メタ)アクリレートマトリックス中の既混合物としてナノコア−シェルゴム分散体を製造した。この(メタ)アクリレートマトリックスとしてPEGMAを選択した。試料番号1は、ナノコア−シェルゴムを含んでいないので、1つのコントロールとして使用した。試料番号7はPEGMAを含んでいないので、別のコントロールとして使用した。
【0066】
【表1】

【0067】
このように、ナノコア−シェルゴムは、(メタ)アクリレートマトリックス(ここでは、PEGMA)中に、それぞれ、0、20、40、50、60、および80重量%、ならびにコントロールとして100重量%の量で既混合分散体として存在する。
【0068】
シアノアクリレート組成物は、上記で特定した既混合分散体を使って、各々、80重量%のシアノアクリレートおよび20重量%の分散体で配合する。従って、エチルシアノアクリレート(0.8グラム)に対しては、各分散体(すなわち、試料番号1−7)を0.2グラムを添加し、以下のナノコア−シェルゴム濃度を調製する:
配合物1:0%ナノコア−シェルゴム
配合物2:4%ナノコア−シェルゴム
配合物3:8%ナノコア−シェルゴム
配合物4:10%ナノコア−シェルゴム
配合物5:12%ナノコア−シェルゴム
配合物6:16% ナノコア−シェルゴム
配合物7:20%ナノコア−シェルゴム
【0069】
配合物1は、ナノコア−シェルゴムが存在しないので、このゴムによる強化効果を示さない。配合物7は、ナノコア−シェルゴムの凝集を示し、その結果、混合が不良で均一性が十分でない。配合物2−6は、凝集の影響もなく、ナノコア−シェルゴムによる様々な程度の靱性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアノアクリレート成分、および
硬化性(メタ)アクリレートマトリックス中に分散され、3nmから100nmの範囲の粒径を有するコア−シェルゴム成分
を含有することを特徴とするシアノアクリレート組成物。
【請求項2】
前記コア−シェルゴム成分が、前記硬化性(メタ)アクリレートマトリックスに1重量%から約95重量%の範囲の量で分散している、請求項1に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項3】
前記コア−シェルゴム成分が、前記硬化性(メタ)アクリレートマトリックスに15重量%から約75重量%の範囲の量で分散している、請求項1に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項4】
前記コア−シェルゴム成分が、前記硬化性(メタ)アクリレートマトリックスに20重量%から約60重量%の範囲の量で分散している、請求項1に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項5】
前記コア−シェルゴム成分/硬化性(メタ)アクリレートマトリックス分散体が、1重量%から約18重量%の範囲の量で前記シアノアクリレート成分とともに存在する、請求項1に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項6】
前記コア−シェルゴム成分/硬化性(メタ)アクリレートマトリックス分散体が、2重量%から約15重量%の範囲の量で前記シアノアクリレート成分とともに存在する、請求項1に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項7】
前記コア−シェルゴム成分/硬化性(メタ)アクリレートマトリックス分散体が、4重量%から約12重量%の範囲の量で前記シアノアクリレート成分とともに存在する、請求項1に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項8】
前記シアノアクリレート成分が、式:
【化1】

[式中、Rは、1から12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基(ハロゲン原子またはアルコキシ基のような置換基で置換されていてもよい)、2から12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルケニル基、2から12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基または任意のアリール基を表す]で表される、少なくとも1種のα−シアノアクリレートモノマーからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項9】
前記シアノアクリレート組成物が、さらに、低級アルケンモノマーと(i)アクリル酸エステル、(ii)メタクリル酸エステルまたは(iii)ビニルアセテートとの弾性ポリマー;エチレン、メチルアクリレートおよびカルボン酸硬化サイトを有するモノマーの組合せの反応生成物(一旦形成されると実質的に、加工助剤および抗酸化剤を含まない);エチレン、メチルアクリレートおよびカルボン酸硬化サイトを有するモノマーの組合せの反応生成物;エチレンおよびメチルアクリレートのジポリマー;ポリメチルメタクリレートおよびポリブチルアクリレート・セグメントから構成されるポリマー成分;ならびにこれらの組合せ、からなる群より選択される共強化材を含む、請求項1に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項10】
前記シアノアクリレート組成物が、さらに、クラウンエーテル類、シクロデキストリン類、シラクラウン類、カリックスアレーン類およびクラウンエーテル類からなる群より選択される促進剤を含む、請求項1に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項11】
前記コア−シェルゴムが分散されている前記(メタ)アクリレートが、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである、請求項1に記載のシアノアクリレート組成物。

【公表番号】特表2010−513665(P2010−513665A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542816(P2009−542816)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/025598
【国際公開番号】WO2008/085285
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【Fターム(参考)】