説明

1’−アザ−L−ヌクレオシドのデアザプリンアナログ

本発明は、L鏡像異性体のヌクレオシドアナログである式(I)の化合物、並びに同化合物を含有する医薬組成物、同化合物を使用して癌、細菌感染症、寄生虫感染症及びT細胞介在性疾患を含む特定の疾患を治療する方法、同化合物を調製するプロセス、並びに同化合物の調製において有用な中間体に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、特定のL鏡像異性体のヌクレオシドアナログ、このような化合物の医薬としての使用、同化合物を含有する医薬組成物、同化合物を使用して特定の疾患を治療する方法、同化合物を調製するプロセス、及び同化合物の調製において有用な中間体に関する。
【0002】
[背景]
プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)、メチルチオアデノシンホスホリラーゼ(MTAP)及び5'−メチルチオアデノシンヌクレオシダーゼ(MTAN)並びにヌクレオシド加水分解酵素阻害剤の分野における最近の研究の結果、イムシリン(Immucillin)として知られる一群の化合物が設計されたが、この化合物のいくつかは、先に挙げた酵素の1つ又は複数の強力な阻害剤である。イムシリンは、糖がイミノ糖部分に置換されたヌクレオシドアナログである。
【0003】
PNPは、加リン酸分解によるグアニン及びヒポキサンチンのリボ及びデオキシリボヌクレオシドの切断を触媒し、対応する糖−1−リン酸とグアニン又はヒポキサンチンとを生成する。
【0004】
PNPが欠損しているヒトは、dGTPの蓄積、及び刺激されたTリンパ球に対するその毒性により、特定のT細胞免疫不全症に罹患する。このことから、PNPに対する阻害剤は免疫抑制性であり、T細胞悪性腫瘍に対して活性がある。
【0005】
米国特許第5985848号明細書、米国特許第6066722号明細書及び米国特許第6228741号明細書には、PNP及びプリンホスホリボシルトランスフェラーゼ(PPRT)の阻害剤である化合物が記載されている。このような化合物は、寄生虫感染症、T細胞悪性腫瘍、自己免疫疾患及び炎症性障害の治療に有用である。これらはまた、臓器移植に際しての免疫抑制にも有用である。
【0006】
米国特許第6693193号明細書は、特定のPNP阻害剤化合物を調製するプロセスを記載しており、この一群の化合物の合成に至る有用な別経路を提供する。米国特許第7109331号明細書では、PNP及びPPRTの阻害剤であるさらに別の化合物が開示されている。
【0007】
上述の阻害剤化合物(イムシリンとして一般に知られる)のイミノ糖部分は、1,4−ジデオキシ−1,4−イミノ−D−リビトール化合物を形成するように、C−1及びC−4の間に位置する窒素原子を有している。リビトール環中の窒素原子の位置は、酵素への結合にとって重要である可能性がある。さらに、イミノ糖部分−ヌクレオシド塩基アナログ間の結合部の位置は、酵素阻害活性にとって重大である可能性がある。上述の化合物は、イミノ糖環のC−1にこの結合部を有している。
【0008】
より最近では、関連する別の群のヌクレオシドホスホリラーゼ及びヌクレオシダーゼ阻害剤化合物(DAD−Me−イムシリンとして知られる)が開発されている。この一群の化合物のイミノ糖環中の窒素原子の位置は多様であり、及び/又は、イミノ糖部分はメチレン橋を介してヌクレオシド塩基アナログに結合している。DAD−Me−イムシリンは、米国特許出願第10/524995号明細書に記載されている。
【0009】
いくつかのイムシリンは、MTAP及びMTANの強力な阻害剤としても確認されている。これらは、米国特許第7098334号明細書の主題である。
【0010】
MTAP及びMTANは、ポリアミン生合成経路中、哺乳動物におけるプリンサルベージ中、及び細菌におけるクオラムセンシング経路中で機能する。MTAPは、アデニン及び5−メチルチオ−α−D−リボース−1−リン酸(MTR−1P)へのMTAの可逆的な加リン酸分解を触媒する。MTANは、アデニン及び5−メチルチオ−α−D−リボースへのMTAの可逆的な加水分解、並びに、アデニン及びS−リボシルホモシステイン(SRH)へのS−アデノシル−L−ホモシステイン(SAH)の可逆的な加水分解を触媒する。形成されるアデニンは引き続き再利用され、ヌクレオチドに転換される。本質的に、ヒト細胞中の遊離アデニンの唯一の源は、これらの酵素作用の結果である。MTR−1Pは、連続的な酵素作用により、引き続きメチオニンに転換される。
【0011】
MTAは、脱炭酸されたS−アデノシルメチオニンからプトレシンへのアミノプロピル基の転移を含む、スペルミジン形成中の反応の副産物である。この反応は、スペルミジン合成酵素により触媒される。同様に、スペルミン合成酵素は、スペルミジンのスペルミンへの転換を触媒し、副産物としてMTAを同時に生成する。スペルミジン合成酵素は、MTAの蓄積による生成物阻害に非常に敏感である。したがって、MTAP又はMTANを阻害すると、細胞中でのポリアミン生合成及びアデニンのサルベージ経路が著しく制限される。
【0012】
同様に、MTAは、S−アデノシルメチオニン(SAM)とアシル−アシルキャリアタンパク質とからアシル化ホモセリンラクトンを細菌が合成する際の副産物でもあり、その合成中に続いて起きるラクトン化によりMTA及びアシル化ホモセリンラクトンの放出が生じる。アシル化ホモセリンラクトンは細菌における細菌クオラムセンシング分子であり、ヒト組織に対する細菌毒性に関与している。ホモセリンラクトン経路は、MTAの蓄積によりフィードバック阻害を受けることになろう。
【0013】
遺伝子欠失によるMTAP欠損は、多くの悪性腫瘍症例と共に報告されている。このような細胞中のMTAP酵素機能の欠損は、密接に連鎖したMTAP遺伝子及びp16/MTS1腫瘍抑制遺伝子の第9染色体上におけるホモ接合性欠失によるものであることが知られている。おそらく、p16/MTS1が存在しないことが腫瘍の原因なので、MTAP活性の欠損は、遺伝子欠失の結果であって癌の原因ではない。しかし、MTAPが存在しないと、これらの細胞中でのプリン代謝は、プリンを供給するための新生(de novo)経路に主に依存するように変化する。
【0014】
MTAは、癌細胞の分裂においてアポトーシスを誘導するが、肝細胞などの正常細胞の分裂においては逆に抗アポトーシス作用を有することが示されている(E.Ansorena他,Hepatology,2002,35:274〜280)。MTAPによるMTA分解がMTAP阻害剤によって阻害されている環境においてMTAを投与すると、MTAの循環性及び組織濃度が増大し、その結果、癌の治療効果が向上することになろう。
【0015】
したがって、MTAP及びMTANの阻害剤は、癌、細菌感染症又は寄生原虫感染症など、MTAP又はMTANを阻害することが望ましい疾患の治療において使用し得る。このような治療については、米国特許第7098334号明細書及び米国特許出願第10/524995号明細書に記載されている。
【0016】
また、イムシリン及びDAD−Me−イムシリンは、ヌクレオシド加水分解酵素の阻害剤として有用である。これらの酵素は、ヌクレオシドの加水分解を触媒する。このような酵素は哺乳動物では見られないが、数種の寄生原虫においてはヌクレオシド回収のために必要なものである。特定の寄生原虫は、ヌクレオシド加水分解酵素の代わりに、又は同酵素と併せて、ヌクレオシドホスホリラーゼをこの目的のために使用する。ヌクレオシド加水分解酵素及びホスホリラーゼの阻害剤は、寄生虫の代謝を妨げることが期待でき、そのため寄生原虫に対して有用に採用し得る。
【0017】
したがって、イムシリン及びDAD−Me−イムシリンは、PNP、MTAP、MTAN及び/又はヌクレオシド加水分解酵素の強力な阻害剤である2群の化合物を代表している。当初、この分野の薬剤設計の研究は、これらの化合物を天然型の鏡像異性体で合成することに集中していた。したがってこれまでは、このような活性阻害剤化合物は全て、D−鏡像異性体のイミノ糖部分を含んでいた。必要な阻害剤活性を化合物が示すためには、D−体の糖が必要だと考えられていたのである。
【0018】
ヒト結核菌のPNPに結合する阻害剤化合物の1つ(DAD−Me−イムシリン−H)のX線結晶構造が記載されている(A.Lewandowicz,W.Shi,G.B.Evans,P.C.Tyler,R.H.Furneaux,L.A.Basso,D.S.Santos,S.C.Almo and V.L.Schramm,Biochemistry,42(2003)6057〜6066.)。この阻害剤とPNPとの複合体は、複合体中のほとんど全ての水素結合ドナー−アクセプター部位に対し望ましい水素結合を有している。この望ましい水素結合パターンは、わずかな構造変化によっても崩れる可能性があり、このことはヒト及び熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)PNPの相互作用の遷移状態アナログのエネルギーマッピングによって示されている(A.Lewandowicz,E.A.T.Ringia,L.−M.Ting,K.Kim,P.C.Tyler,G.B.Evans,O.V.Zubkova,S.Mee,G.F.Painter,D.H.Lenz,R.H.Furneaux and V.L.Schramm,,J.Biol.Chem.,280(2005)30320〜30328)。
【0019】
示されていることの全てが、適切な阻害剤化合物の設計及び合成にとってはD−体のイミノ糖が好ましい型であるということを示唆している。D−体が天然に存在する糖の型に一致しているというだけでなく、阻害剤の結合は構造変化に非常に敏感であることが示されてもいる。
【0020】
ところが、D−鏡像異性体が強力な阻害剤であることを示す全ての証拠にもかかわらず、驚くべきことに出願人は今、DAD−Me−イムシリンのL−鏡像異性体もまた、PNP、MTAP、MTAN、及び/又はヌクレオシド加水分解酵素の強力な阻害剤であることを見出した。
【0021】
したがって、本発明の目的は、PNP、MTAP、MTAN、及び/又はヌクレオシド加水分解酵素の新規の阻害剤を提供すること、又は、少なくとも有用な選択の機会を提供することである。
【0022】
[発明の説明]
本発明の第一の態様では、式(I)の化合物
【化1】


[式中、
VはCH及びNHから選択され、WはNR及びNRから選択されるか、又は、VはNR及びNRから選択され、WはCH及びNHから選択され、
XはCH及びR又はS配置のCHOHから選択され、
Yは水素、ハロゲン及びヒドロキシから選択され(VがNH、NR及びNRから選択されるときにYが水素である場合を除く)、
Zは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、SQ、OQ及びQから選択され(Qは、場合により置換されたアルキル、アラルキル又はアリール基である)、
は式(II)の基であり、
【化2】


は式(III)の基であり、
【化3】


AはN、CH及びCRから選択され(Rはハロゲン、場合により置換されたアルキル、アラルキル又はアリール、OH、NH、NHR、NR及びSRから選択され、R、R及びRは、それぞれ場合により置換されたアルキル、アラルキル又はアリール基である)、
BはOH、NH、NHR、SH、水素及びハロゲンから選択され(Rは、場合により置換されたアルキル、アラルキル又はアリール基である)、
DはOH、NH、NHR、水素、ハロゲン及びSCHから選択され(Rは、場合により置換されたアルキル、アラルキル又はアリール基である)、
EはN及びCHから選択され、
GはCH及びNHから選択されるか、又はGは存在しない(但し、WがNR又はNRであってGがNHである場合にはVはCHであり、また、VがNR又はNRであってGがNHである場合にはWはCHである)]
又はその互変異性体、又は医薬として許容可能なその塩、又はそのエステル、又はそのプロドラッグを提供する。
【0023】
好ましくは、Zは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、SQ及びOQから選択される。より好ましくは、ZはOHである。或いは、ZはSQであることが好ましい。別の好ましい実施形態では、ZはQである。
【0024】
また、VはCHであることが好ましい。XはCHであることがさらに好ましい。加えて、GはCHであることが好ましい。
【0025】
好ましくは、WはNRである。或いは、WはNRであることが好ましい。また、WがNH、NR又はNRから選択されるときにXがCHであることが好ましい。
【0026】
本発明の好ましい化合物としては、V、X及びGが全てCHであり、ZがOHであり、WがNRである化合物が挙げられる。
【0027】
本発明のその他の好ましい化合物としては、V、X及びGが全てCHであり、ZがSQであり、WがNRである化合物が挙げられる。
【0028】
好ましくは、Yは水素である。或いは、Yはヒドロキシであることが好ましい。
【0029】
好ましくは、Bはヒドロキシである。或いは、BはNHであることが好ましい。
【0030】
好ましくは、AはCHである。或いは、AはNであることが好ましい。
【0031】
好ましくは、DはHである。或いは、DはNHであることが好ましい。
【0032】
また、EはNであることが好ましい。
【0033】
いずれかのハロゲンは、塩素及びフッ素から選択されることが好ましい。
【0034】
Qは、OH、ハロゲン(特に、フッ素又は塩素)、メトキシ、アミノ、又はカルボキシから選択される1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。
【0035】
、R、R、R及びRは、それぞれ場合により、OH又はハロゲン、特にフッ素又は塩素から選択される1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。
【0036】
本発明の好ましい化合物としては、
(3S,4S)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−メチル−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(2−フェニルエチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(エチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(2−フルオロエチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(プロピルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(イソプロピルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ブチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(シクロヘキシリルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(シクロヘキシルメチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(シクロペンチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(フェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(4−クロロフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(3−クロロフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(4−メチルフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4(3−メチルフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ベンジルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−アセトキシ−4−(アセトキシメチル)−ピロリジン。
(3S,4S)−1−[(9−デアザグアニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザグアニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(9−デアザグアニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−メチル−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル)−3−ヒドロキシ−4−メチル−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(9−デアザ−8−フルオロ−ヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3R,4R)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3,4−ジヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3,4−ジヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(9−デアザキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(9−デアザキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(6−クロロ−9−デアザプリン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(6−アジド−9−デアザプリン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;及び
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−メチル−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ベンジルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(エチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(プロピルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(イソプロピルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ブチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(フェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(4−クロロフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(3−クロロフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(4−メチルフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(3−メチルフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザグアニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザグアニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−メチル−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザグアニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−メチル−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;及び
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジンが挙げられる。
【0037】
本発明の別の一態様に従い、医薬として有効な量の式(I)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0038】
好ましくは、この医薬組成物は、上述した本発明の好ましい化合物の1種を含む。
【0039】
本発明の別の一態様では、医薬として有効な量の式(I)の化合物を要治療患者に投与することを含む、PNPを阻害することが望ましい疾患又は病状の治療又は予防の方法を提供する。このような疾患又は病状としては、癌、細菌及び寄生虫感染症、並びに乾癬、狼瘡、関節炎及びその他の自己免疫疾患などのT細胞介在性疾患が挙げられる。また、本発明の本態様は、臓器移植に際しての免疫抑制のための本化合物の使用も含む。好ましくは、本化合物は、上述した本発明の好ましい化合物の1種である。
【0040】
寄生虫感染症としては、ジアルジア(Giardia)属、トリコモナス(Trichomonas)属、リーシュマニア(Leishmania)属、トリパノソーマ(Trypanosoma)属、クリシジア(Crithidia)属、ヘルペトモナス(Herpetomonas)属、レプトモナス(Leptomonas)属、ヒストモナス(Histomonas)属、エイメリア(Eimeria)属、イソポラ(Isopora)属及びマラリア原虫(Plasmodium)属などの寄生原虫が原因の感染症が挙げられる。この方法は、1種又は複数種のヌクレオシド加水分解酵素を保有する任意の寄生虫に有利に適用することができ、その酵素は、本発明の化合物が酵素の存在場所で有効濃度となるような量で投与されたときに同化合物により阻害されるものである。
【0041】
別の一態様では、本発明は、医薬として有効な量の式(I)の化合物を要治療患者に投与することを含む、MTAPを阻害することが望ましい疾患又は病状を治療又は予防する方法を提供する。このような疾患としては、癌、例えば、前立腺及び頭部及び頚部の腫瘍が挙げられる。
【0042】
別の一態様では、本発明は、医薬として有効な量の式(I)の化合物を要治療患者に投与することを含む、MTANを阻害することが望ましい疾患又は病状を治療又は予防する方法を提供する。このような疾患としては、細菌感染症が挙げられる。
【0043】
別の一態様では、本発明は、このような1つ又は複数の疾患又は病状の治療用の薬剤を製造するための式(I)の化合物の使用を提供する。
【0044】
本発明のさらに別の一態様では、式(I)の化合物を調製する方法を提供する。
【0045】
本発明のさらに別の一態様では、式(I)の化合物の調製において有用な中間体を提供する。
【0046】
[詳細な説明]
定義
「アルキル」という用語は、直鎖及び分枝鎖アルキル基のいずれをも含むことを意図している。同用語は、アラルキル基の非芳香族部分にも適用される。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、2−エチルプロピル基、n−ヘキシル基及び1−メチル−2−エチルプロピル基が挙げられる。
【0047】
「アリール」という用語は、6〜18個の炭素原子を有する芳香族基を意味し、複素芳香族基を含む。例としては、単環基、並びに二環基及び三環基などの縮合基が挙げられる。いくつかの例としては、フェニル基、インデニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニル基、インダセニル基、アセナフチル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、シクロペンタシクロオクテニル基、及びベンゾシクロオクテニル基、ピリジル基、ピロリル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、プリニル基、インダゾリル基、フリル基、ピラニル基、ベンゾフリル基、イソベンゾフリル基、チエニル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、オキサゾリル基、及びイソキサゾリル基が挙げられる。
【0048】
「ハロゲン」という用語には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれる。
【0049】
本化合物は、ヒト及びその他の動物における特定の疾患及び障害の治療に有用である。したがって、本明細書で使用する場合、「患者」という用語にはヒト及びその他の動物患者のいずれもが含まれる。
【0050】
本明細書で使用する場合、「プロドラッグ」という用語は、in vivoでの誘導体の生体内変化により式(I)又は式(II)で定義する化合物が得られるような、式(I)又は式(II)の化合物の薬理学的に許容可能な誘導体を意味する。式(I)又は式(II)の化合物のプロドラッグは、修飾部分がin vivoで切断されて親化合物が得られるような方法で、化合物中に存在する官能基を修飾することにより調製し得る。
【0051】
「医薬として許容可能な塩」という用語は、無機酸又は有機酸から誘導される無毒性塩に適用されることを意図しており、例としては、以下の酸の塩が挙げられる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモエート(palmoate)、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、及びウンデカン酸塩。
【0052】
本明細書で使用する場合、「スルホネート脱離基」という用語は、メタンスルホネート若しくはベンゼンスルホネートなどのアルキル若しくはアリールスルホネート、又はその置換型、例えばブロモベンゼンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート若しくはp−トルエンスルホネートなどを意味する。
【0053】
本明細書で使用する場合、「保護基」という用語は、選択的に有機官能基を保護し、一時的にその官能基の化学的性質をマスキングし、また、その官能基に影響を与えることなく当該分子中のその他の部位を操作できるような基を意味する。適切な保護基は当業者には公知であり、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis(第3編),T.W.Greene and P.G.M.Wuts,John Wiley&Sons Inc(1999)などに記載されている。
【0054】
阻害剤化合物の説明
天然物のキラル成分が、その成分の鏡像異性体の一方で主に生じることはよく知られている。糖の場合、こうした異性体はL及びD−異性体である。酵素は鍵穴と鍵のように基質と一緒に作用するため、一方の鏡像異性体、通常は天然に存在する種の方が、他方よりも「適合性」がよいことが普通である。糖の場合には、D−体が天然に存在するため、合成薬の設計分野での研究はD糖の調査に限定されるのが普通である。
【0055】
したがって、本発明の化合物中のイミノ糖部分はL鏡像異性体であるため、この化合物がPNP、MTAP、MTAN及び/又はヌクレオシド加水分解酵素の阻害剤であることは、驚くべき、また、予想外のことである。これまでは、適切な阻害剤化合物の設計及び合成には、天然に存在する型であるD−鏡像異性体が好ましいであろうと考えられていた。加えて、D−鏡像異性体は多くの望ましい水素結合接触でPNP酵素に結合することが示されている。
【0056】
したがって、本発明の化合物は、PNP、MTAP、MTAN、及び/又はヌクレオシド加水分解酵素の阻害剤の新たな一群に相当する。そのため、これらは、癌、細菌感染症、寄生虫感染症、T細胞介在性疾患及びその他の自己免疫疾患などの疾患及び病状の治療において、並びに臓器移植に際しての免疫抑制にとって有用である。癌は任意の型の癌を意味し、非限定的な例として、頭部、頚部、膀胱、腸、皮膚、脳、CNS、乳房、子宮頚部、腎臓、喉頭、肝臓、食道、卵巣、膵臓、前立腺、肺、胃、精巣、甲状腺、及び子宮の癌、並びにメラノーマ、白血病、リンパ腫、骨肉腫、ホジキン病、神経膠腫、肉腫、及び直腸結腸、内分泌、消化管の癌などが挙げられる。
【0057】
全般的な態様
本発明の化合物は、遊離塩基の型及び塩の型のいずれでも有用である。
【0058】
B及び/又はDがヒドロキシ基であるとき、式(I)の化合物の表示は対応するアミドのエノール型互変異性体の表示であること、また、この化合物はほとんどがアミド型で存在するであろうということは理解されよう。エノール型互変異性体の表示を使用しているのは、単に、少ない構造式で本発明の化合物を示すことができるようにするためである。
【0059】
同様に、Bがチオール基であるとき、式(I)の化合物の表示は対応するチオアミドのチオエノール型互変異性体の表示であること、また、この化合物はほとんどがチオアミド型で存在するであろうということは理解されよう。チオエノール型互変異性体の表示を使用しているのは、単に、少ない構造式で本発明の化合物を示すことができるようにするためである。
【0060】
この活性化合物は、経口、非経口、吸入スプレー使用、局所、直腸、経鼻、口腔、又は埋込み式のリザーバー経由など、多様な経路で患者に投与してよい。投与する化合物の量は、患者の性質及び治療すべき障害の性質及び程度により広い範囲で変化するであろう。通常、成人向けの用量は1ミリグラム未満〜1000ミリグラムの範囲内、好ましくは0.1〜100ミリグラムとなろう。任意の特定患者にとって必要な具体的な用量は、患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別を含む、多様な要因に依存することになろう。
【0061】
経口投与の場合、本化合物は、固形又は液体製剤、例えば錠剤、カプセル、粉末、溶液、懸濁液及び分散液などに処方できる。このような製剤は、ここに列挙していない他の経口投薬方式と同様、当技術分野では周知である。錠剤の剤形では、本化合物は、乳糖、ショ糖及びコーンスターチなどの従来の錠剤基剤と、結合剤、崩壊剤及び潤滑剤とを合わせて錠剤化してよい。結合剤は例えばコーンスターチ又はゼラチンでよく、崩壊剤はジャガイモデンプン又はアルギン酸でよく、また、潤滑剤はステアリン酸マグネシウムでよい。カプセルの剤形での経口投与の場合、乳糖及び乾燥コーンスターチなどの希釈剤を採用してもよい。着色剤、甘味剤又は香味剤など、他の成分を加えてもよい。
【0062】
経口での使用に際し水性懸濁液が必要な場合には、活性成分を水及びエタノールなどの担体と組み合わせてもよく、また、乳化剤、懸濁剤及び/又は界面活性剤を使用してもよい。また、着色剤、甘味剤又は香味剤を加えてもよい。
【0063】
また、本化合物は、水又は生理食塩水など生理学的に許容可能な希釈剤中に入れて注射により投与してもよい。希釈剤は、エタノール、プロピレングリコール、油、又は医薬として許容可能な界面活性剤など他の成分を1種又は複数種含んでいてもよい。
【0064】
また、本化合物は、局所的に投与してもよい。本化合物の局所投与のための担体としては、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ろう及び水が挙げられる。本化合物は、皮膚又は粘膜への局所投与用として、ローション又はクリーム中に成分として存在していてもよい。そのようなクリームは、医薬として許容可能な1種又は複数種の担体中に懸濁又は溶解させた活性化合物を含有していてもよい。適切な担体としては、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルろう、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水が挙げられる。
【0065】
さらに本化合物は、徐放システムを用いて投与してもよい。例えば、本化合物を、ゆっくり溶解する錠剤又はカプセル中に組み込んでもよい。
【0066】
阻害剤化合物の合成
当業者には理解されようが、本発明の化合物は、当該化合物のD−鏡像異性体の合成に使用する方法と同様の方法を用いて合成し得る。
【0067】
適切な一合成法として、9−デアザプリン又は8−アザ−9−デアザプリン部分(又はその2−アザアナログ)を環状二級アミンに結合させるためにマンニッヒ反応を用いることが挙げられる。
【0068】
すなわち、式(I’)の化合物
【化4】


[式中、
VはCH及びNHから選択され、WはNRであるか、又は
VはNRであり、WはCH及びNHから選択され、
XはCH及びR又はS配置のCHOHから選択され(WがNH及びNRから選択されるときにXがCHである場合を除く)、
Yは水素、ハロゲン及びヒドロキシから選択され(VがNH及びNRから選択されるときにYが水素である場合を除く)、
Zは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、スルホネート脱離基、SQ、OQ及びQから選択され(Qは場合により置換されたアルキル、アラルキル又はアリール基である)、並びに
は式(II’)の基であり、
【化5】


式中、
AはN、CH及びCRから選択され(Rはハロゲン、場合により置換されたアルキル、アラルキル又はアリール、OH、NH、NHR、NR及びSRから選択され、R、R及びRは、それぞれ場合により置換されたアルキル、アラルキル又はアリール基である)、
BはOH、NH、NHR、SH、水素及びハロゲンから選択され(Rは、場合により置換されたアルキル、アラルキル又はアリール基である)、
DはOH、NH、NHR、水素、ハロゲン及びSCHから選択され(Rは、場合により置換されたアルキル、アラルキル又はアリール基である)、並びに
EはN及びCHから選択される]
は、式(IV)の化合物
【化6】


[式中、
VはCH及びNHから選択され、WはNHであるか、又は、
VはNHであり、WはCH及びNHから選択され、
XはCH及びR又はS配置のCHOHから選択され(WがNHであるときにXがCHである場合を除く)、
Yは水素、ハロゲン及びヒドロキシから選択され(VがNHから選択されるときにYが水素である場合を除く)、並びに
Zは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、スルホネート脱離基、SQ、OQ及びQから選択される(Qは、場合により置換されたアルキル、アラルキル又はアリール基である)]
と、式(V)の化合物
【化7】


(式中、A、B、D、及びEは、上に定義したとおり)
と、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド同等物
との反応により調製してもよい。
【0069】
上に定義した式(IV)の化合物は、国際公開第2004/018496号パンフレット及び同パンフレット中に引用された文献中に記載されているような公知の方法により調製してもよい。
【0070】
上に定義した式(V)の化合物は、公知の方法により調製してもよい。特に、以下に示す化合物A及びBである化合物3H,5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(9−デアザヒポキサンチン)及び2−アミノ−3H,5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(9−デアザグアニン)の調製プロセスは、米国特許第6693193号明細書、及びR.H.Furneaux and P.C.Tyler,J.Org.Chem.,64(1999)8411〜8412に記載されている。さらに、9−デアザアデニン(C)は、9−デアザヒポキサンチン(A)をPOClで、その後エタノール性アンモニアで処理することにより調製できる。
【化8】

【0071】
マンニッヒ法の一利点は、アミン又は複素環成分のいずれも、反応化学に直接関与していない官能基上に保護基を有する必要がないことである。それでも、保護された型の式(IV)及び/又は式(V)の化合物をこの反応における成分として利用することが有利な場合があり得る。
【0072】
適切に保護された型の式(IV)の化合物は、米国特許第5985848号明細書、米国特許第6066722号明細書、及び米国特許第7109331号明細書に記載されている。必須要件は、適切に保護された型の式(V)の化合物が、9−デアザプリン又は8−アザ−9−デアザプリン部分(又はその2−アザアナログ)の9位にプロトンを有していることである。
【0073】
適切に保護された型の式(V)の化合物は、米国特許出願第10/524995号明細書に記載されている。必須要件は、保護された型の式(IV)の化合物が、無保護の環状アミノ基を有していることである。
【実施例】
【0074】
以下の実施例は、本発明をさらに例証するものである。本発明はこの実施例に限定されないということは理解されるべきである。
【0075】
全般事項
全ての試薬は供給されたままの状態で使用し、無水溶媒は市販品を購入した。空気に敏感な反応は、アルゴン下で実施した。有機溶液をMgSOで乾燥させた後、溶媒を減圧下で蒸発させた。クロマトグラフィー溶媒は、使用前に蒸留した。60F254シリカでコーティングしたガラス又はアルミニウムシート上で薄層クロマトグラフィー(t.l.c.)を実施した。有機化合物は、紫外線下で、又は、硫酸(2M)中の硫酸セリウム(IV)(0.2%、w/v)及びモリブデン酸アンモニウム(5%)、若しくはHSO(M)中のI(0.2%)及びKI(7%)の一方、若しくは窒素含有化合物についてはHCl(37%)−MeOH 1:3(100ml)中のp−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド(1%)(エールリッヒ試薬)のスプレー若しくは浸漬液の使用により、可視化した。Scharlauシリカゲル60(40〜60μm)上でフラッシュカラムクロマトグラフィーを実施した。融点をReichert高温顕微鏡で記録し、補正は行っていない。光路長1dmでの旋光度をPerkin−Elmer241偏光計で記録した(単位は10−1deg cm−1、濃度はg/100mlである)。
【0076】
Bruker AC300E分光計でNMRスペクトルを記録した。300MHzでのHスペクトルをCDCl又はCDOD(内部基準MeSi、δ0)中で、また、75.5MHzでの13CスペクトルをCDCl(基準、溶媒中心線、δ77.0)又はCDOD(基準、溶媒中心線δ49.0)中で測定した。H及び13Cの共鳴値の割当は2D(H−H DQF−COSY、H−13C HSQC)スペクトルに基づいており、DEPT実験からは各炭素原子に結合したプロトンの数について明確なデータが得られた。13C共鳴値の割当は、観察された多重度と一致した。結合定数(J)はHzで示してある。グリセロールマトリックス中のVG7070装置で陽イオン高速原子衝撃(FAB+)HRMSを測定し、VG70SE装置で陽イオン電子衝撃(EI+)HRMSを測定した。微量分析はCampbell Microanalytical Laboratory,University of Otagoが実施した。
【0077】
1.(3S,4S)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3−オール及びその塩酸塩
この化合物の合成は、既に記載のとおりに(国際公開第2005/033076号パンフレット)実施した。
【0078】
【化9】

【0079】
エチル(R,S/S,R)−1−ベンジル−4−ヒドロキシピロリジン−3−カルボキシレート[(±)−1]
この化合物は、既に記載のとおりに(E.Jaeger and J.H.Biel,J.Org.Chem.,1965,30,740〜744)調製したが、Pintoらの方法(A.C.Pinto,R.V.Abdala and P.R.R.Costa,Tetrahedron:Asymm.,2000,11,4239〜4243)により調製したエチルN−ベンジル−N−(2−カルボエトキシエチル)グリシネートを、同様にDeshmukhらにより記載されたディークマン環化条件(M.N.Deshmukh,K.K.Gangakhedkar and U.S.Kumar,Synth.Commun.,1996,26,1657〜1661)で使用した。クロマトグラフィー(EtOAc−ヘキサン、1:2→1:1→EtOAc)によりラセミ体のトランス異性体を精製し、その結果生じたゴムを−20℃で結晶化させた(5mmolスケールでグリシネートから44%)。少量の試料を−20℃でEtOAc−ヘキサンから再結晶化させ、無色の針状晶、融点52〜53℃、NMR δ(300MHz;CDCl):1.26(3H,t,J 7.1,CH)、2.32(1H,br.s,OH,DOと交換)、2.55(1H,dd,J2,2’ 9.4,J2,3 7.4,H−2)、2.65(1H,dd,J5,5’ 10.0,J5,4 5.5,H−5)、2.76(1H,dd,J5’,4 2.8,H−5’)、2.95(1H,dt,J3,2=J3,2’ 8.0,J3,4 3.3,H−3)、3.12(1H,t,J 9.0,H−2’)、3.64(2H,s,PhC)、4.16(2H,q,J 7.1 CCH)、4.51(1H,m,H−4)、7.22〜7.37(5H,m,Ar);δ(75.5MHz;CDCl)14.2(Me)、53.1(C−3)、55.3(C−2)、59.7(Ph)、60.8(CH)、61.9(C−5)、74.1(C−4)、127.1(ArH)、128.3(ArH)、128.8(ArH)、138.2(Ar)、173.3(CO);HRMS(EI+)m/z 249.1365;C1419NO(M)計算値 249.1365。(実測値:C,67.6;H,7.5;N,5.6;C1419NO 計算値 C,67.5;H,7.7;N,5.6%)を得た。
【0080】
エチル(R,S/S,R)−4−(アセチルオキシ)−1−ベンジルピロリジン−3−カルボキシレート[(±)−2]
ラセミ体化合物1(100mg、0.4mmol)をピリジン(4ml)及びAcO(2ml)の混合物中に溶解させ、20℃で一晩放置した。溶媒を蒸発させ、その結果生じた油をEtOAc中に溶解させ、水性NaHCO(飽和)で洗浄し、乾燥させた後、溶媒を再度蒸発させた。残留物をクロマトグラフィー(EtOAc−ヘキサン、15:85)に掛け、無色の油としてジエステル(±)−2(111mg、95%)、NMR δ(300MHz;CDCl)1.25(3H,t,J 7.1,CH)、2.04(3H,s,COCH)、2.50(1H,t,J2,2’=J2,3 8.3,H−2)、2.74〜2.87(2H,m,H−5,5’)、3.06(1H,dt,J3,2=J3.2’ 7.9,J3,4 3.9,H−3)、3.15(1H,t,J 8.5,H−2’)、3.59(1H,d,J 12.9,PhCH)、3.65(1H,d,PhCH)、4.16(2H,q,J 7.1,CCH)5.40(1H,m,H−4)、7.22〜7.38(5H,m,Ar);δ(75.5MHz;CDCl)14.1(CH)、21.0(COCH)、50.1(C−3)、56.0(C−2)、59.5(Ph又はC−5)、59.6(Ph又はC−5)、61.0(CH)、76.0(C−4)、127.2(ArH)、128.3(ArH)、128.7(ArH)、138.0(Ar)、170.5(CO)、172.3(CO);HRMS(FAB+)m/z 292.1563;C1622NO(M+H) 計算値 292.1549を得、これを−20℃で保存した。
【0081】
(R,R/S,S)−1−ベンジル−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3−オール[(±)−3]
ラセミ体化合物1(500mg、2.01mmol)を乾燥EtO−乾燥THF(10ml:5ml)中に溶解させ、氷浴中で冷却した。水酸化リチウムアルミニウムのEtO溶液(4.2ml、M、4.2mmol)を加え、この混合物を20℃まで温めた後、1時間撹拌した。この溶液を氷浴中で冷却した後、過剰な水素化物を水(0.50ml)の液滴添加により急冷した後、この混合物をEtOAcで抽出した。この有機抽出液を水性NaHCO(飽和)で洗浄し、乾燥及び蒸発させて油性の残留物を得、これをクロマトグラフィー[CHCl−MeOH−NHOH(0.88)、95:5:0.5→90:10:0.5]に掛けて、無色のゴムとしてラセミ体のジオール3(364mg、88%)NMR δ(300MHz;CDOD)2.18(1H,m,H−4)、2.34(1H,dd,J5,5’ 9.6,J5,4 6.6,H−5)、2.55(1H,dd,J2,2’ 10.0,J2,3 4.1,H−2)、2.72(1H,dd,J2’,3 6.3,H−2’)、2.89(1H,t,J5’,4=J5’,5 8.8,H−5’)、3.47〜3.68(4H,m,PhC,CO)、4.00(1H,m,H−3)、7.20〜7.42(5H,m,Ar);δ(75.5MHz;CDOD)51.2(C−4)、57.3(C−5)、61.5(Ph又はO)、63.1(C−2)、64.2(Ph又はO)、74.1(C−3)128.3(ArH)、129.3(ArH)、130.2(ArH)、139.4(Ar);HRMS(FAB+)m/z 208.1346;C1218NO(M+H) 計算値 208.1338を得た。
【0082】
エチル(3S,4R)−1−ベンジル−4−ヒドロキシピロリジン−3−カルボキシレート[(+)−1]及びエチル(3R,4S)−4−(アセチルオキシ)−1−ベンジルピロリジン−3−カルボキシレート[(−)−2]
酢酸ビニル(6.66ml、72.21mmol)及び、カンジダ・アンタークチカ(Candida antarctica)由来のNovozyme(登録商標)435リパーゼ(4.2g、Novozymes Australia Pty.Ltd,バッチ番号LC200207)を、(±)−1(6.00g、24.1mmol)のtert−ブチルメチルエーテル(200ml)溶液に連続的に加えた。この混合物を40℃で2.5時間撹拌し、Celite(登録商標)を通して濾過し、この固形物を少量の酢酸エチルで洗浄した後、この混合濾液を水性NaHCO(飽和)で洗浄し、乾燥及び蒸発させた。H NMR分析では、この残留物は等モル比のアルコール1及び酢酸エステル2からなることが示された。これをクロマトグラフィー(EtOAc−ヘキサン、6:4)に掛けて無色のゴムとして第1の(−)−2(3.44g、97%)を得、これを−20℃で保存した:[α]21−41.5(c0.74、CHCl)。H NMRスペクトルは上述の化合物(±)−2のものと同一であった。カラムをEtOAcでさらに溶出して同様に無色のゴムとして(+)−1を得、これを−20℃で結晶化させた(2.53g、85%):融点51〜52℃、[α]21+16.9(c0.71、CHCl)。H NMRスペクトルは上述の化合物(±)−1のものと同一であった。
【0083】
同条件下で、但し100分間、(±)−1(0.80g、3.21mmol)で酵素的アセチル化を繰り返し、近似比率1.2:1(H NMR測定)の1と2の混合物を得た。クロマトグラフィー分離の後、純粋な(−)−2(406mg、96%)、[α]21−41.8(c0.895、CHCl)及び不純な(+)−1(0.393g、89%)、[α]21+14.0(c0.81 CHCl)を単離した。後者は約10%の未反応の(−)鏡像異性体を含有していた。
【0084】
(3R,4R)−1−ベンジル−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3−オール[(+)−3]
ラセミ体化合物に対して示したとおり、化合物(+)−1(2.53g、10.15mmol)を還元し、無色のゴムとしての(+)−3(1.54g、73%)を得た:[α]21+33.0(c0.75、MeOH)。H NMRスペクトルは化合物(±)−3のものと同一であった。
【0085】
tert−ブチル(3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシレート[(+)−7]
A.ジオール(+)−3から。
ジオール(+)−3(1.49g、7.19mmol)及びジ−tert−ブチルジカーボネート(1.63g、7.47mmol)の撹拌されたMeOH溶液(30ml)中にPd−C(300mg、10%)を加えた後、24時間にわたりバルーンから水素を加えた。Celite(登録商標)を通してこの混合物を濾過し、溶媒を蒸発させた後、残留物をクロマトグラフィー(EtOAc−MeOH、19:1)に掛け、無色のゴムとしての保護されたN−Bocピロリジン(+)−7(1.56g、100%)を得た:[α]21+15.9(c1.09、MeOH)。方法Bにより作製したサンプルから得られた値と十分一致している。
【0086】
B.1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリジン−α−D−グルコースから。
既に記載のとおり(V.V.Filichev and E.B.Pedersen,Tetrahedron,2001,57,9163〜9168)、1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリジン−α−D−グルコースから3−C−アジドメチル−3−デオキシ−1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−α−D−グルコース(42.6g、142mmol)を作製し、加水分解及び還元して、無保護のピロリジンを得、MeOH(500ml)中の同化合物から、ジ−tert−ブチルジカーボネート(40g、185mmol)及びEtN(25.7ml、185mmol)で処理することにより化合物6を得た。揮発物を除去し、残留物をシリカゲル上に吸着させた後、クロマトグラフィーに掛け、未精製のカルバメート6(26.7g、68%)を得た。この生成物をEtOH(500ml)中に溶解させ、氷浴中で冷却した後、水(500ml)中のNaIO(47g、0.22mol)の液滴添加により酸化させた。生成物を氷浴中で再冷却した後、小分けにして加えたNaBH(7.3g、0.19mmol)で生成物を還元させた。この混合物を室温に温め、濾過により固形物を除去し、蒸発により揮発物を除去した後、残留物をクロマトグラフィー(CHCl−MeOH、9:1)により精製した。淡黄色のシロップとして化合物(+)−7(17g、81%)を得たが、この化合物から得られたH及び13C NMRデータは、方法Aによって作製したサンプルのもの及び文献データ(G.B.Evans,R.H.Furneaux,A.Lewandowicz,V.L.Schramm and P.C.Tyler,J.Med.Chem.2003,46,5271〜5276)と一致した。このようにして調製した、EtOAc中の化合物(+)−7のサンプル(50mg)を、水及び続いて塩水で洗浄することによりさらに精製し、溶媒の蒸発後、無色のシロップ(28mg)を得た:[α]21+16.2(c0.795、MeOH)。
【0087】
(3R,4R)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3−オール[(+)−8]及びその塩酸塩[(+)−8.HCl]
A.カルバメート7から。
化合物(+)−7のサンプル(28mg)をMeOH(2ml)及びHCl(37%、1ml)中に溶解させ、数分後、溶媒を蒸発させて(+)−8.HClを得た:[α]21+18.9(c0.92、MeOH)。H NMRスペクトルは、ジオール(+)−3から作製したサンプル(方法B)のものと同一であった。
【0088】
B.(+)−3から。
ジオール(+)−3(52mg、0.25mmol)をMeOH、HCOOH(98%)(9:1、8ml)中に溶解させた後、Pd−C(10%、80mg)を加えた(T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第3編,John Wiley and Sons,New York,1999,p.79)。この混合物を還流下で30分間加熱し、Celite(登録商標)を通して濾過した後、溶媒を蒸発させた。クロマトグラフィー[CHCl−MeOH−NHOH(0.88)−HO、4:3:0.5:0.5]に掛け、無色のゴムとして無保護のピロリジン(16mg、55%)を得たが、放置中に徐々に暗色化した。H NMRスペクトル(CDOD)は、文献のスペクトルデータ(V.V.Filichev,M.Brandt and E.B.Pedersen,Carbohydr.Res.,2001,333,115〜122)と一致していた。この生成物をMeOH(2ml)、HCl(5%、1ml)中に溶解させた後、溶媒を蒸発させ、無色のゴムとして塩酸塩(+)−8.HCl(21mg、55%)を得た:[α]21+19.1(c1.05、MeOH)、lit.23[α]25+19.0(c1.0、MeOH)。H NMRスペクトル(DO)は、文献のスペクトルデータ(S.Karlsson and H.−E.Hogberg,Tetrahedron:Asymmetry,2001,12,1977〜1982)と一致しており、また、方法Aにより作製した化合物のものと同一であった。
【0089】
(3S,4S)−1−ベンジル−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3−オール[(−)−3]
化合物(±)−3の調製について上述したように、化合物(−)−2(400mg、1.37mmol)をEtO(9ml)及びTHF(4ml)中に溶解させた後、EtO(5.62ml、1M、5.62mmol)中の水素化リチウムアルミニウムで処理し、無色のゴムとして(−)−3(190mg、67%)を得た:[α]21−33.4(c0.805、MeOH)。H NMRスペクトルは、(±)−3のものと同一であった。
【0090】
(3S,4S)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3−オール及びその塩酸塩[(−)−8.HCl]
(+)鏡像異性体に関しては、化合物(−)−3(189mg、0.91mmol)を脱N−ベンジル化させ(T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第3編,John Wiley and Sons,New York,1999,p.79)、無色のゴムとして無保護のアミン(107mg、100%)を得、その一部(30mg)を塩酸塩(−)−8.HCl(39mg)に転換させた:[α]21−18.9(c0.74、MeOH)、lit.23[α]25−18.7(c1.2、MeOH)。H NMRスペクトル(DO)は、文献データ(S.Karlsson and H.−E.Hogberg,Tetrahedron:Asymmetry,2001,12,1977〜1982)と一致しており、また、(+)−8.HClのものと同一であった。
【0091】
【化10】

【0092】
(3S,4S)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3−オール [L−DADMe−ImmH,(−)−10]
(3S,4S)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3−オール遊離塩基(−)−8(77mg、0.66mmol)のHO(1.5ml)溶液に9−デアザヒポキサンチン(9)(R.H.Furneaux and P.C.Tyler,J.Org.Chem.,1999,64,8411〜8412)(81mg、0.60mmol)及び水性ホルムアルデヒド(53μl、12.3M、0.65mmol)を加えた。この混合物を85℃で15時間加熱し(少量の沈殿物が形成された)、シリカゲルを加えて溶媒を吸収させ、溶媒を蒸発させてから顆粒状の残留物をシリカゲルのカラムに加えた後、CHCl−MeOH−NHOH(0.88) 5:4.5:0.5で溶出させ、少量の低温MeOHで洗浄の後、無色固体としてヌクレオシドアナログ(−)−10(82mg、48%)を得た:[α]21−16.8(c0.71、HO)。本研究中に調製し、最終的に(+)−6→(+)−7→(+)−8→(+)−10の順を経てD−グルコースから誘導した(3R,4R)−鏡像異性体(+)−10のサンプルの値は、[α]21+16.9(c0.935、HO)であった。化合物(−)−10のH NMRスペクトルは、(+)−10についての文献データ(G.B.Evans,R.H.Furneaux,A.Lewandowicz,V.L.Schramm and P.C.Tyler,J.Med.Chem.,2003,46,5271〜5276)、及び本研究中に作製した後者の異性体のスペクトルと一致していた。
【0093】
生物学的データ
化合物(+)−10及び(−)−10と、ヒト、マラリア原虫及びウシのPNPアーゼとの間の相互作用の動力学的研究を、既報の方法(R.W.Miles,P.C.Tyler,R.H.Furneaux,C.K.Bagdassarian,and V.L.Schramm,Biochemistry,1998,37,8615〜8621;G.B.Evans,R.H.Furneaux,A.Lewandowicz,V.L.Schramm and P.C.Tyler,J.Med.Chem.2003,46,3412〜3423)により実施し、その結果を表1に示してある。阻害定数Kiは、最初の反応速度から測定した酵素−阻害剤複合体の解離定数である。全てではないが多くのイムシリン阻害剤については、酵素において、定数Kiで特徴づけられる結合の強化をもたらす時間依存的な構造変化が起きる結果、次いで、遅い阻害開始が生じる(J.F.Morrison and C.T.Walsh,Adv,Enzymol.Relat.Areas Mol.Biol.,1988,61,201〜310)。
【0094】
化合物[(−)−10]で観察される阻害が、活性がより高い少量の残存D−化合物によるものではないことを確認するために、0.5〜1.0モル等量のヒトPNPアーゼでL鏡像異性体のサンプルを前処理し、その生成物を限外濾過に供した。この場合、[(+)−10]からは、本来の製剤のパラメータと比較して変わらない速度パラメータでPNPアーゼを阻害するサンプルを得た。したがって、阻害の速度定数の誤差限界に基づき、最初の阻害剤(−)−10中にはせいぜい2%しかD−鏡像異性体が夾雑物として存在し得なかったと結論づけた。
【0095】
【表1】

【0096】
L鏡像異性体[(−)−10]は、ヒト、ウシ及び熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum、マラリアの原因となる寄生原虫)に由来するPNPの、遅効性で強い結合阻害剤であることは明らかである。この化合物は、上述の試験において驚くべき効力を示している。
【0097】
実施例を通じて本発明を説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく変化又は修飾を加え得ることは理解されるべきである。さらに、特定の対象に向けた公知の同等物が存在する場合、そのような同等物は具体的に参照されたものとして本明細書中に組み込まれる。
【0098】
[産業上の利用可能性]
本発明は、ヌクレオシドアナログのL鏡像異性体である化合物に関する。このような化合物は、癌、細菌感染症、寄生虫感染症、及びT細胞介在性疾患など特定の疾患の治療における医薬として有用であると期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】


[式中、
VはCH及びNHから選択され、WはNR及びNRから選択されるか、又は、VはNR及びNRから選択され、WはCH及びNHから選択され、
XはCH及びR又はS配置のCHOHから選択され、
Yは水素、ハロゲン及びヒドロキシから選択され(VがNH、NR及びNRから選択されるときにYが水素である場合を除く)、
Zは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、SQ、OQ及びQから選択され(Qは、場合により置換されたアルキル、アラルキル又はアリール基である)、
は式(II)の基であり、
【化2】


は式(III)の基であり、
【化3】


AはN、CH及びCRから選択され(Rはハロゲン、場合により置換されたアルキル、アラルキル又はアリール、OH、NH、NHR、NR及びSRから選択され、R、R及びRは、それぞれ場合により置換されたアルキル、アラルキル又はアリール基である)、
BはOH、NH、NHR、SH、水素及びハロゲンから選択され(Rは、場合により置換されたアルキル、アラルキル又はアリール基である)、
DはOH、NH、NHR、水素、ハロゲン及びSCHから選択され(Rは、場合により置換されたアルキル、アラルキル又はアリール基である)、
EはN及びCHから選択され、
GはCH及びNHから選択されるか、又はGは存在しない(但し、WがNR又はNRであってGがNHである場合にはVはCHであり、また、VがNR又はNRであってGがNHである場合にはWはCHである)]
又はその互変異性体、又は医薬として許容可能なその塩、又はそのエステル、又はそのプロドラッグ。
【請求項2】
GがCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
VがCHである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
XがCHである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
Zが水素、ハロゲン、ヒドロキシ、SQ、OQ又はQである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
ZがOHである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
ZがSQである、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
ZがQである、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
ZがSQ、OQ又はQであるとき、Qは、OH、ハロゲン、メトキシ、アミノ、又はカルボキシから選択される1つ又は複数の置換基で置換されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Qが、フッ素又は塩素から選択される1つ又は複数の置換基で置換されている、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
WがNRである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
WがNRである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
WがNH、NR又はNRであり、XがCHである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
V、X及びGが全てCHであり、ZがOHであり、WがNRである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
V、X及びGが全てCHであり、ZがSQであり、WがNRである、請求項1〜5又は7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
Yが水素である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
Yがヒドロキシである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
Bがヒドロキシである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
BがNHである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
AがCHである、請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
AがNである、請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
DがHである、請求項1〜21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
DがNHである、請求項1〜21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
EがNである、請求項1〜23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
いずれかのハロゲンが塩素又はフッ素である、請求項1〜24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
[請求項25]
、R、R、R及びRのいずれか1つ又は複数が、OH又はハロゲンから選択される1つ又は複数の置換基でそれぞれ置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
[請求項26]
前記ハロゲンがフッ素又は塩素である、請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
[請求項27]
(3S,4S)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−メチル−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(2−フェニルエチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(エチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(2−フルオロエチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(プロピルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(イソプロピルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ブチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(シクロヘキシリルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(シクロヘキシルメチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(シクロペンチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(フェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(4−クロロフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(3−クロロフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(4−メチルフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(3−メチルフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ベンジルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−アセトキシ−4−(アセトキシメチル)−ピロリジン。
(3S,4S)−1−[(9−デアザグアニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザグアニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(9−デアザグアニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−メチル−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−メチル−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(9−デアザ−8−フルオロ−ヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3R,4R)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3,4−ジヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3,4−ジヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(9−デアザキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(9−デアザキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(6−クロロ−9−デアザプリン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(6−アジド−9−デアザプリン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−メチル−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ベンジルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(エチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(プロピルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(イソプロピルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ブチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(フェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニルチオメチル)ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(4−クロロフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(3−クロロフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(4−メチルフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4R)−1−[(8−アザ−9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(3−メチルフェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザグアニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザグアニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−メチル−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザグアニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−メチル−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン;
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;及び
(3S,4S)−1−[(8−アザ−9−デアザキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジンから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
[請求項28]
医薬として有効な量の請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項30】
[請求項29]
前記化合物が請求項27に記載の化合物である、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項31】
[請求項30]
医薬として有効な量の請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物を要治療患者に投与することを含む、PNPを阻害することが望ましい疾患又は病状を治療又は予防する方法。
【請求項32】
[請求項31]
前記疾患又は病状が癌、細菌感染症、寄生虫感染症、又はT細胞介在性疾患である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
[請求項32]
前記T細胞介在性疾患が乾癬、狼瘡、関節炎又は別の自己免疫疾患である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
[請求項33]
前記寄生虫感染症が、寄生原虫が原因の感染症である、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
[請求項34]
前記寄生原虫が、ジアルジア(Giardia)属、トリコモナス(Trichomonas)属、リーシュマニア(Leishmania)属、トリパノソーマ(Trypanosoma)属、クリシジア(Crithidia)属、ヘルペトモナス(Herpetomonas)属、レプトモナス(Leptomonas)属、ヒストモナス(Histomonas)属、エイメリア(Eimeria)属、イソポラ(Isopora)属若しくはマラリア原虫(Plasmodium)属の寄生虫、又は、請求項1に記載の化合物により阻害される1つ若しくは複数のヌクレオシド加水分解酵素若しくはホスホリラーゼを保有する任意の寄生虫である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
[請求項35]
臓器移植を受けた患者における免疫抑制の方法であって、医薬として有効な量の請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物を、前記患者に投与することを含む方法。
【請求項37】
[請求項36]
医薬として有効な量の請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物を要治療患者に投与することを含む、MTAPを阻害することが望ましい疾患又は病状を治療又は予防する方法。
【請求項38】
[請求項37]
前記疾患が癌である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
[請求項38]
前記癌が前立腺癌、又は頭部若しくは頚部腫瘍である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
[請求項39]
医薬として有効な量の請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物を要治療患者に投与することを含む、MTANを阻害することが望ましい疾患又は病状を治療又は予防する方法。
【請求項41】
[請求項40]
前記疾患が細菌感染症である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
[請求項41]
前記化合物が請求項27に記載の化合物である、請求項30〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
[請求項42]
PNPを阻害することが望ましい疾患又は病状の治療又は予防用の薬剤を製造するための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項44】
[請求項43]
前記疾患又は病状が癌、細菌感染症、寄生虫感染症、又はT細胞介在性疾患である、請求項42に記載の使用。
【請求項45】
[請求項44]
前記T細胞介在性疾患が乾癬、狼瘡、関節炎又は別の自己免疫疾患である、請求項43に記載の使用。
【請求項46】
[請求項45]
前記寄生虫感染症が、寄生原虫が原因の感染症である、請求項43に記載の使用。
【請求項47】
[請求項46]
前記寄生原虫が、ジアルジア(Giardia)属、トリコモナス(Trichomonas)属、リーシュマニア(Leishmania)属、トリパノソーマ(Trypanosoma)属、クリシジア(Crithidia)属、ヘルペトモナス(Herpetomonas)属、レプトモナス(Leptomonas)属、ヒストモナス(Histomonas)属、エイメリア(Eimeria)属、イソポラ(Isopora)属若しくはマラリア原虫(Plasmodium)属の寄生虫、又は、請求項1に記載の化合物がヌクレオシド加水分解酵素若しくはホスホリラーゼの存在場所で有効濃度となるような量で投与されたときに前記化合物により阻害される、1つ若しくは複数の前記酵素を保有する任意の寄生虫である、請求項45に記載の使用。
【請求項48】
[請求項47]
臓器移植を受けた患者における免疫抑制用の薬剤を製造するための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項49】
[請求項48]
MTAPを阻害することが望ましい疾患又は病状の治療又は予防用の薬剤を製造するための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項50】
[請求項49]
前記疾患が癌である、請求項48に記載の使用。
【請求項51】
[請求項50]
前記癌が前立腺癌、又は頭部若しくは頚部腫瘍である、請求項49に記載の使用。
【請求項52】
[請求項51]
MTANを阻害することが望ましい疾患又は病状の治療又は予防用の薬剤を製造するための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項53】
[請求項52]
前記疾患が細菌感染症である、請求項51に記載の使用。
【請求項54】
[請求項53]
請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物を調製する方法。
【請求項55】
[請求項54]
請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物の調製において有用な中間体。

【公表番号】特表2009−519330(P2009−519330A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545525(P2008−545525)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/NZ2006/000331
【国際公開番号】WO2007/069923
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(506364927)インダストリアル リサーチ リミテッド (12)
【出願人】(303065887)アルバート・アインシュタイン・カレッジ・オブ・メディシン・オブ・イエシヴァ・ユニバーシティー (3)
【Fターム(参考)】