説明

1−アセチル−6−アミノ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロインドールを調製するための改良された方法

本発明は、a)式(I)および式(II)を反応させてヒドラゾンを得る工程;b)フィッシャー触媒の存在下、ヒドラゾンを環化して3H−インドールを得る工程;c)3H−インドールを還元して2,3−ジヒドロ−インドールを得る工程;
d)2,3−ジヒドロ−インドールをニトロ化して6−ニトロ−2,3−ジヒドロ−インドールを得る工程;e)6−ニトロ−2,3−ジヒドロ−インドールをアシル化して、保護された6−ニトロ−2,3−ジヒドロ−インドールを得る工程;およびf)ニトロ基を変換し、6−アミノ−2,3−ジヒドロ−インドールを得る工程を含む、インドリン化合物の調製する方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本明細書は、2008年12月19日出願の米国仮出願第61/139,152号の利益を請求し、その内容全体は、本明細書に特定的に、かつ完全に記載されているかのように、あらゆる目的のために参照により組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、インドリン誘導体、特に、1−アセチル−6−アミノ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロインドールを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
インドール誘導体は、染料および医薬品の中間体として重要であり、今後も重要である。1880年代にインドール誘導体が発見されてから、Emil Fischerの合成方法は、アリールヒドラジンからインドールを調製するために、最も広く用いられている方法のひとつである。アリールヒドラジンおよびケトン/アルデヒドの反応によって誘導されるアリールヒドラゾンの環化を行うために、種々の触媒が用いられている。特に、HSO、HCl、PPA、TFA、シュウ酸、ギ酸、HI、HBr、プロピオン酸、AcOHを含むブレンステッド酸、ZnCl、ZnBr、TiCl、SnCl、CuCl、CuBr、PClを含むルイス酸、ゼオライト、およびモンモリロナイトクレーを含む固体酸、1−ブチル−ピリジウムクロリド・3AlClおよびコリンクロリド・2ZnClのようなルイス酸のイオン液体、BMImHSO、BMImHPO、HMImTA、HMImBF、HMImNO、HMImOTfを含むブレンステッド酸のイオン液体が用いられている。
【0004】
しかし、複雑な機構が関わっているため、特定のインドールに好ましい条件には、大きなばらつきがある。言い換えると、一連の試薬および条件が、すべてのインドールにとって最もよく作用するわけではない。
【0005】
米国特許第5179211号は、5当量未満のpKが1.3〜4.5の酸が存在する条件下で、水性媒体中、フェニルヒドラジンおよびケトンからインドールを調製する方法を記載している。この方法は、好ましくは、80〜110℃の温度で行われる。好ましくは、2〜4当量の酸が用いられる。
【0006】
LiuおよびRobichaud(Tet Lett.48、461(2007))は、酢酸を用い、60℃の温度で、インドレニンを良好な収率で得ることを記載している。高温では、かなりの量の副生成物が生じ、転位が起こる。
【0007】
Liuら(Org.Lett、8、5769(2006))は、AcOHおよびMsOHの混合物も、シクロヘキサンカルボアルデヒドおよびフェニルヒドラジンの反応で機能するが、ZnClおよびHSOは同じようには機能しなかったことを記載している。イソブチルアルデヒドとの反応において、HClおよびAcOHの混合物によって転位が起こり、2,3−置換されたインドールが得られる。
【0008】
Edwardsら(Bio and Med Chem Lett、8、745(1998))は、Fischerプロトコル(AcOH、60℃)の使用、インドールからインドレニンへの還元、ニトロ化し、水素化してアミノ置換された化合物を得ることを記載している。
【0009】
特定の置換されたインドリン化合物、例えば、米国特許第6995162号に記載されている、モテサニブを含む化合物は、癌の治療を含め、血管形成を伴う状態を治療するのに有用であることがわかっている。それに加え、米国特許第6878714号は、還元性Heck条件を用い、1−アセチル−6−アミノ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロインドールを製造する方法を記載している。この経路は、一般的に、パラジウム触媒によるアリルアセトアミドの環化が関わっている。Liuら(Tet Lett、48、2307(2007))は、Heck環化を用いた置換インドリンの合成を記載している。この反応にパラジウムを用いると、望ましくない費用がかかるため、避けることが有益であろう。したがって、インドリン誘導体を調製する、もっと手軽で収率の高い方法の必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5179211号
【特許文献2】米国特許第6995162号
【特許文献3】米国特許第6878714号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】LiuおよびRobichaud、Tet Lett.48、461(2007)
【非特許文献2】Liuら、Org.Lett、8、5769(2006)
【非特許文献3】Edwardsら、Bio and Med Chem Lett、8、745(1998)
【非特許文献4】Liuら(Tet Lett、48、2307(2007)
【発明の概要】
【0012】
本発明は、一般的に、改変したFischerインドール条件を用い、インドリン誘導体を調製する方法に関する。
【0013】
ある実施形態では、本発明は、インドリン化合物を調製する方法に関し、この方法は、
(a)
【0014】
【化1】

とを反応させ、ヒドラゾンを得る工程;
(b)Fischer触媒存在下、ヒドラゾンを環化して3H−インドールを得る工程;
(c)3H−インドールを還元して2,3−ジヒドロ−インドールを得る工程;
(d)2,3−ジヒドロ−インドールをニトロ化して6−ニトロ−2,3−ジヒドロ−インドールを得る工程;
(e)6−ニトロ−2,3−ジヒドロ−インドールをアシル化して、保護された6−ニトロ−2,3−ジヒドロ−インドールを得る工程;および
(f)ニトロ基を変換し、6−アミノ−2,3−ジヒドロ−インドールを得る工程を含む。
【0015】
他の実施形態では、この方法は、さらに、下式のヒドラゾンの混合物を調製する方法に関する。
【0016】
【化2】

[(E/Z)−1−(2−メチルプロピリデン)−2−フェニルヒドラジン]
【0017】
他の実施形態では、この方法は、さらに、以下の化合物を調製する方法に関する。
【0018】
【化3】

【0019】
他の実施形態では、本発明は、下式のヒドラゾンの混合物を非水系で環化することに関する。
【0020】
【化4】

【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書で用いる用語および略語を完全に理解するために、以下の定義が与えられる。
【0022】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形である「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」は、文脈が明確に他の意味を示さない限り、複数の対象物も含む。したがって、例えば、「アンタゴニスト」について述べている場合、このようなアンタゴニストが複数のものを含み、「化合物」について述べている場合、1つ以上の化合物および当業者なら知っている等価物について述べたものである。用語「〜を含む(comprising)」は、非限定的であることを意味し、その示した要素を含むが、他の要素を排除するものではない。
【0023】
本明細書中の省略語は、以下のように、測定単位、技術、特性、または化合物に対応している。「min」は、分であり、「h」は時間であり、「μL」は、マイクロリットルであり、「mL」は、ミリリットルであり、「mM」は、ミリモル濃度であり、「M」はモル濃度であり、「mmole」はミリモルであり、「cm」はセンチメートルであり、「SEM」は、平均の標準誤差であり、「IU」は、国際単位を意味する。
【0024】
本明細書で用いられている化学式および名称は、その対象となる化学化合物を正しく、正確に反映していると考えられる。しかし、本発明の性質および価値は、これらの式の理論的な正しさには完全にも部分的にも依存しない。したがって、本明細書で使用する式、これに対応する所定の化合物に帰属する化学名称は、任意の特定の互変異性体形態または任意の特定の光学異性体または幾何異性体に限定することを含め、本発明をいかなる様式でも限定するものではないことを理解されたい。
【0025】
本明細書で、分子量のような物理特性のために、または化学式のような化学特性のために、範囲を用いる場合、特定の実施形態の範囲のすべての組み合わせ、および部分的な組み合わせを含むことが意図される。
【0026】
任意の変数が、任意の構成要素または任意の式で2回以上存在する場合、それぞれの場合における定義は、それぞれの他の場合の定義とは独立している。
【0027】
(一般的な手順)
【0028】
【化5】

【0029】
Fischerインドール合成の総説については、B.Robinson、Chem.Rev.1963、63、373−401を参照のこと。望ましい化合物を調製する方法のひとつを上のスキームAに示している。
【0030】
(ヒドラゾンの生成および環化)
この方法の実施形態は、イソブチルアルデヒドをフェニルヒドラジンで処理することによる、化合物の環化を含む。
【0031】
この方法では、まずフェニルヒドラジンを可溶化するか、またはまずアルデヒドを可溶化するか、または同時に加えることが可能である。この方法のこの工程の特定の実施形態では、まず、フェニルヒドラジンを溶媒で希釈した後、アルデヒドを加える。この方法のこの工程の特定の実施形態では、フェニルヒドラジンが固体になるまで冷却した後、アルデヒドを加える。また、本発明は、過剰量のイソブチルアルデヒドをフェニルヒドラジンに加える方法に関する。また、本発明は、最低限の酸素が存在する雰囲気下、例えば、窒素環境での方法に関する。この方法は、約10℃から約30℃の温度範囲で行われるヒドラジンの生成を含んでいてもよい。この方法の実施形態は、約20未満から約25℃の温度で行われるヒドラゾンの生成を含む。
【0032】
また、本発明は、フェニルヒドラゾンを単離した後に環化工程を行う方法に関する。適切に単離されたフェニルヒドラゾンを酸、例えば、メタンスルホン酸で処理することによって環化し、上述のようなインドールを得てもよい。
【0033】
または、ヒドラゾンを単離せずに、酸で処理する。
【0034】
Fischerインドール化学を用いた環化は、触媒としてブレンステッド酸を用いることを含む。適切な酸としては、トリフルオロ酢酸(TFA)、酢酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ジフルオロ酢酸、硫酸が挙げられる。また、本発明は、触媒としてメタンスルホン酸を用いることに関する。
【0035】
この方法の実施形態は、使用するヒドラジン1モルあたり、酸化合物を5当量より多い量で含む。また、本発明は、約8当量の酸の使用にも関する。
【0036】
この方法の実施形態は、非水系の溶媒環境での環化を含む。このような溶媒としては、ヘプタン、ヘキサン、トルエン、ベンゼン、キシレン、イソプロピルアルコール、ジオキサン、ジクロロメタン、エタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフランが挙げられる。または、ある種の触媒酸を、溶媒を加えずに無希釈で用いてもよく、この場合には、酸が溶媒としての役割もはたすことになる。このような酸としては、酢酸およびギ酸が挙げられる。また、本発明は、例えば、ヘプタン、ヘキサン、トルエン、ベンゼン、キシレンのような非極性溶媒を用いる方法にも関する。また、本発明は、溶媒混合物を利用する方法にも関する。本発明の特定の実施形態では、溶媒としてヘプタンを用いる。用語「非水系」を用いる場合、反応工程によって水が生成しないことを意図しているわけではない。
【0037】
この方法の実施形態は、約−15℃を超える温度〜その溶液の還流温度までの温度で行われる環化を含む。この方法の実施形態は、約−15℃を超える温度から約30℃の温度で行われる環化を含む。また、本発明は、室温付近の温度よりも高い温度で行われる環化に関する。また、本発明は、触媒酸の融点よりも高い温度で行われる環化に関する。また、本発明は、最低限の酸素が存在する雰囲気下、例えば、窒素環境での方法に関する。
【0038】
(インドリンの生成)
この方法のこの工程の特定の実施形態では、還元は、水に感受性ではない還元剤を用いることを含む。例えば、水素化ホウ素ナトリウム、NaBH(OAc)、シアノ水素化ホウ素ナトリウムが許容される。この方法のこの工程の特定の実施形態では、過剰量の還元剤を用いる。この方法のこの工程の特定の実施形態では、1当量よりも多い量から約2当量の還元剤を用いる。この方法のこの工程の特定の実施形態では、約1.2から約1.8当量の還元剤を用いる。この方法のこの工程の特定の実施形態では、約1.2当量または約1.8当量の還元剤を用いる。
【0039】
この方法の実施形態は、約15℃を超える温度から約25℃の温度で行われる還元を含む。この方法のこの工程の特定の実施形態では、反応をほぼ室温で行ってもよい。塩基性にするのは、NaOH、水酸化アンモニウムなどを用いて行われる。
【0040】
酸、例えばHClで処理することによって、インドリンを塩として単離してもよい。
【0041】
(ニトロ化)
SOおよび発煙HNOを用いた、室温以下の温度でのジヒドロ−インドール環のニトロ化によって、さらに、約−15℃から約10℃、好ましくは約0℃でのジヒドロ−インドール環のニトロ化によって、6−ニトロ−3,3−ジメチルインドリンが得られる。他のニトロ化方法も許容されるであろう。
【0042】
(ジヒドロ−インドールの保護)
インドリンの遊離アミンを、例えばアセチル化によって保護してもよい。アセチル化は、例えば、塩化アセチルまたは無水酢酸を用い、標準的なカップリング化学試薬、例えば、DIEA、DMAPを用い、ほぼ室温の温度で、DCM、DMFおよび/またはDMACのような適切な溶媒中で行ってもよい。
【0043】
(ニトロ基のアミンへと変換)
ニトロ基のアミンへの変換は、例えば、水素化による方法を含む還元、遷移金属触媒、例えば、炭素またはアルミナに担持されたPtまたは硫化Pt、炭素に担持されたPd、硫酸バリウム、炭酸カルシウムまたはRaneyスポンジニッケルの存在下での水素を用いた処理を含む触媒的水素化等によって、当業者に既知の方法によって行うことができる。この方法のこの工程の特定の実施形態では、触媒は、10% Pd/Cを含む。
【0044】
この方法のこの工程の特定の実施形態では、水素化は、溶媒、例えば、MeOHまたはEtOHのようなアルコール、THFのような環状エーテル、EtOAcの存在下で行う。
【0045】
または、鉄粉末を用い、好ましくは、約50℃より高い温度で、さらに好ましくは、約80℃でのニトロ化合物の還元によって、アミンが得られる。または、過剰量のNHCOH存在下、10% Pd/Cを用いることができる。または、例えば、AcOHのような酸、亜鉛を用いたニトロ化合物の還元によって、アミンが得られる。
【0046】
Waters Symmetry C18(150×4.6cm)カラムを用いたAgilent HPLCシステムによって、検出器を254nmに設定し、反応混合物および固体サンプルを分析する。勾配をもった溶出用溶媒混合物は、TFA0.1%を含む水およびMeOHであり、流速1.0mL/minで、MeOH90%水溶液から始め、15分かけてMeOH60%水溶液にし、次いで、次の5分間でMeOH65%水溶液まで増加させる。
【0047】
本発明を以下の実施例によって定義するが、ここで、他の意味であると示されていない限り、すべての部およびパーセントは、重量および面積百分率(A%)によるものであり、温度は摂氏である。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示したものであるが、単なる説明のために与えられていることを理解すべきである。上の記載およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の必須の特徴を確定することができ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の用途および条件に適用するように本発明をさまざまに変更し、改変することができる。
【実施例】
【0048】
省略語
【0049】
【表1】

【0050】
(実施例1 3,3−ジメチル−3H−インドールの調製[Fischerインドール反応])
【0051】
【化6】

【表2】

【0052】
2Lの乾燥させた丸底フラスコに、窒素下、10〜12℃でフェニルヒドラジン(200g)およびヘプタン(600mL)を入れ、この容器を窒素/減圧で3回脱気し、次いで、20℃未満の温度でイソブチルアルデヒド(146.7g)を滴下した。得られた混合物を18〜20℃で1時間撹拌するか、または転化率が99A%になるまで撹拌した。5Lの反応器に、MSA(1.422kg)を入れた後、2L丸底フラスコ内で調製した上述の反応混合物をゆっくりと加えた。反応混合物を18〜20℃で一晩撹拌し、3,3−ジメチル−3H−インドールの未精製の混合物を得た(出発物質は2A%未満、アッセイ:収率91%)。
【0053】
以下のFischerインドール反応研究(実施例1A〜1S)を、上に記載した方法によって、特に記載されていない場合には、溶媒、酸および温度を変えずに調製した。例えば、1A〜1D、1J〜1K、1O〜1Sで、ヒドラゾンは系中で生成した。
【0054】
A:TFA/DCM/35℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラジン(5.41g)、400mL DCM、イソブチルアルデヒド(4.69g)、TFA(11.5mL)、35℃で17時間、所望の生成物は、わずか5A%。
【0055】
B:TFA/ACN/35℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラジン(5.41g)、50mL ACN、イソブチルアルデヒド(4.69g)、TFA(11.5mL)、35℃で17時間、所望の生成物は、わずか15A%。
【0056】
C:TFA/THF/35℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラジン(5.41g)、50mL ACN、イソブチルアルデヒド(4.69g)、TFA(11.5mL)、35℃で17時間、所望の生成物は、わずか10A%。
【0057】
D:AcOH/60℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラジン(5.40g)、イソブチルアルデヒド(3.97g)、AcOH(9g)、60℃で17時間、所望の生成物は、わずか57A%。
【0058】
J:MSA/トルエン/20℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラジン(2.16g)、イソブチルアルデヒド(1.59g)、40mL トルエン、MSA(5.77g)、20℃で17時間、所望の生成物は90A%。
【0059】
K:MSA/ヘプタン/20℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラジン(8.64g)、イソブチルアルデヒド(6.36g)、24mL ヘプタン、MSA(38.4g)、20℃で2日間、所望の生成物は92A%。
【0060】
O:TFA/DCM/25℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラジン(2.163g)、50mL DCM、イソブチルアルデヒド(1.59g)、TFA(4.62mL)、室温で17時間、所望の生成物は1A%未満。
【0061】
P:ギ酸/THF/20℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラジン(2.163g)、イソブチルアルデヒド(1.59g)、40mL THF、ギ酸(2.76g、3g Sieve)、20℃で17時間、35℃で2時間、所望の生成物は3A%。
【0062】
Q:MSA/ヘプタン/25℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラジン(100g)、300mL ヘプタン、イソブチルアルデヒド(73.35g)、MSA(711.14g)、18〜25℃で17時間、所望の生成物は91A%。
【0063】
R:MSA/ヘプタン/30℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラジン(4.32g)、12mL ヘプタン、イソブチルアルデヒド(3.18g)、MSA(19.2g)、30℃で17時間、所望の生成物は85A%。
【0064】
S:TFA/60℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラジン(5.40g)、イソブチルアルデヒド(3.97g)、TFA(17g)、60℃で17時間、所望の生成物は1A%未満。
【0065】
(実施例2 ヒドラゾンの調製)
フェニルヒドラジン(21.64g)、モレキュラーシーブ10g、THF(100ml)を240mlの乾燥した丸底フラスコに、窒素下、0〜5℃で入れ、次いで、この容器を窒素/減圧で3回脱気した後、イソブチルアルデヒド(15.86g)を加えた。得られた混合物を0.5時間撹拌した(転化率99A%)。モレキュラーシーブを濾去し、減圧下でTHFを除去し、ヒドラゾンを油状物として得た(38g)。
【0066】
例えば、1E−1Iおよび1L−1Nで、実施例2の単離したヒドラゾンを直接環化した。
【0067】
E:TFA/IPAC/40℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラゾン(1.62g)、20mL IPAC、TFA(3.42g)、40℃で17時間によって、所望の生成物は1A%未満。
【0068】
F:HSO/THF/40℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラゾン(1.62g)、15mL THF、50% HSO(2.94g)、40℃で3時間、所望の生成物は40A%。
【0069】
G:p−トルエンスルホン酸/THF/40℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラゾン(1.62g)、15mL THF、p−トルエンスルホン酸(5.7g)、40℃で3時間、所望の生成物は58A%。
【0070】
H:MSA/THF/40℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラゾン(1.62g)、15mL THF、MSA(1.45g)、40℃で3時間、所望の生成物は60A%。
【0071】
I:FCHCOOH/THF/40℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラゾン(1.62g)、15mL THF、FCHCOOH(1.44g)、40℃で3時間、所望の生成物の20A%。
【0072】
L:AcOH/40℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラゾン(1.62g)、AcOH(5mL)、室温で1時間、40℃で24時間によって、所望の生成物は20A%。
【0073】
M:ギ酸/70℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラゾン(1.62g)、ギ酸(5mL)、70℃で17時間によって、所望の生成物は1A%未満。
【0074】
N:TFA/トルエン/48℃:上のFischerインドール反応と同じ手順、フェニルヒドラゾン(1.62g)、20mL トルエン、TFA(3.42g)、48℃で17時間によって、所望の生成物は1A%未満。
【0075】
【表3】

【0076】
(実施例3 3,3−ジメチルインドリンHCl塩の調製)
【0077】
【化7】

【0078】
【表4】

【0079】
実施例1で得た混合物に、NaBH(84g)の脱イオン水溶液400mL溶液を5NのNaOH(pH約13)水で塩基性にしたものを10℃未満の温度でゆっくりと加えて処理し、次いで、室温付近まで加温した。反応物を14.5NのNHOHを用いてpHを8に調節することにより後処理し、次いで相を分離させた。水相をIPACで抽出した(300mL×2回)。有機相を合わせ、脱イオン水(80mL)および飽和ブライン(80mL)で洗浄し、対応するインドリン溶液(3,3−ジメチルインドリン231gを含む、アッセイ収率85%)を得た。
【0080】
このインドリン溶液(ヘプタン/IPAC溶液)に、プロパン−2−オール194mLを加えた後、IPA中の5NのHCl溶液(408mL)を加えて懸濁物を作成し、これを2時間撹拌した後、濾過した。濡れたケーキをヘプタンで洗浄し(100mL×2回)、3,3−ジメチルインドリンHCl塩を得た(255.6g、収率75.5%、HCl塩として98.4A%)。
【0081】
(実施例4 3,3−ジメチル−6−ニトロインドリンの調製)
【0082】
【化8】

【0083】
【表5】

【0084】
SO(1.42kg)および3,3−ジメチルインドリンHCl塩(実施例3、200g)を乾燥した5L丸底フラスコに、窒素下、20〜25℃で入れた。反応混合物を−15〜10℃まで冷却した。HNO(75.6g)の水(18.89g)溶液を滴下した。得られた反応混合物を1時間撹拌した。この混合物を、0〜5℃で、30%のNHOH 2.084Lおよび水600mLの混合物に移した。NHOHを用いてpHを8〜9に調節し、IPAC 800mLを加えた後に、相を分離した。水相をIPAC(400mL)で抽出した。有機相を合わせ、飽和ブライン(400mL)で洗浄し、3,3−ジメチル−6−ニトロインドリン溶液を得た(190.5g、91%、94A%)。
【0085】
(実施例5 1−(3,3−ジメチル−6−ニトロインドリン−1−イル)エタノンの調製)
【0086】
【化9】

【0087】
【表6】

【0088】
3,3−ジメチル−6−ニトロインドリン(実施例4、190.5g)のIPAC 1200mL溶液、EtN(200.6g)を1−Lのジャケット付反応器に入れ、その後、反応温度を25℃未満に維持しつつ、塩化アセチル(155.4g)を滴下した。反応内容物を20〜25℃で1時間撹拌した。脱イオン水1200mLを30℃未満でゆっくりと入れ、懸濁物を作成した。この生成物を濾過によって単離した。濡れたケーキを脱イオン水で洗浄し(200mL×2回)、ヘプタン(200mL)で洗浄し、減圧下、一定重量になるまで50℃で乾燥させた(193g、補正した収率83.2wt%、99.15A%、99.5重量%(乾燥))。
【0089】
(実施例6 1−(6−アミノ−3,3−ジメチル−インドリン−1−イル)エタノンの調製)
【0090】
【化10】

【0091】
【表7】

【0092】
1−(3,3−ジメチル−6−ニトロインドリン−イル)エタノン(実施例5、50g)、5% Pd/C(1g、50湿重量%)、THF(200mL)を400mLの水素化反応器に入れた。スラリーを減圧/水素で3回脱気し、水素下(30PSI)、60℃で6時間撹拌した。得られた混合物をCeliteTMの薄層で濾過し、ケーキをTHFで洗浄した(150mL×2回)。濾液および洗液を合わせ、減圧下で濃縮し、次いで、トルエン(150mL)を加えた。生成物を濾過によって単離し、濡れたケーキを脱イオン水で洗浄し(100mL×2回)、トルエン50mLで洗浄し、1−(6−アミノ−3,3−ジメチル−インドリン−1−イル)エタノンを得た(38.5g、収率94%、99.9 A%超、100重量%)。
【0093】
本明細書で、分子量のような物理特性のために、または化学式のような化学特性のために、範囲を用いる場合、特定の実施形態の範囲のすべての組み合わせ、および部分的な組み合わせを含むことが意図される。
【0094】
この文献に引用されているか、または記載されているそれぞれの特許、特許明細書、刊行物の開示は、その全体が参照により組み込まれる。
【0095】
当業者は、本発明の好ましい実施形態に対して多くの変更および改変を行うことができ、このような変更および改変は、本発明の精神から逸脱することなく行うことができることを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の正しい精神および範囲内にあるような等価な改変をすべて含むことを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】

を作成するための方法であって、
(a)
【化2】

とを反応させ、ヒドラゾンを得る工程;
(b)Fischer触媒存在下、ヒドラゾンを環化して3H−インドールを得る工程;
(c)3H−インドールを還元して2,3−ジヒドロ−インドールを得る工程;
(d)2,3−ジヒドロ−インドールをニトロ化して6−ニトロ−2,3−ジヒドロ−インドールを得る工程;
(e)6−ニトロ−2,3−ジヒドロ−インドールをアシル化して、保護された6−ニトロ−2,3−ジヒドロ−インドールを得る工程;および
(f)ニトロ基を変換し、6−アミノ−2,3−ジヒドロ−インドールを得る工程
を含む、方法。
【請求項2】
Fischerインドール触媒がメタンスルホン酸である、請求項1の方法。
【請求項3】
Fischerインドール触媒が、少なくとも1当量のメタンスルホン酸を含む、請求項1の方法。
【請求項4】
環化が、−15℃から約30℃の温度で起こる、請求項3の方法。
【請求項5】
環化が、約20℃の温度で起こる、請求項1の方法。
【請求項6】
環化が、ヘプタン、ヘキサン、トルエン、ベンゼン、キシレンから選択される溶媒を含む、請求項1の方法。
【請求項7】
還元が、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素ナトリウムでの処理を含む、請求項1の方法。
【請求項8】
還元が、ほぼ室温の温度で起こる、請求項1の方法。
【請求項9】
ニトロ化が、HNOおよび硫酸を用いた処理を含む、請求項1の方法。
【請求項10】
アシル化が、塩化アセチルを用いた処理を含む、請求項1の方法。
【請求項11】
ニトロ基の還元が、水素化を含む、請求項1の方法。
【請求項12】
溶媒がヘプタンである、請求項6の方法。
【請求項13】
メタンスルホン酸存在下、(E)−1−(2−メチルプロピリデン)−2−フェニルヒドラジンを還化するための方法。
【請求項14】
少なくとも1当量のメタンスルホン酸を含む、請求項13の方法。
【請求項15】
温度が約−15℃から約30℃である、請求項13の方法。
【請求項16】
温度が約20℃である、請求項13の方法。
【請求項17】
ヘプタン、ヘキサン、トルエン、ベンゼン、キシレンから選択される溶媒を含む、請求項13の方法。
【請求項18】
溶媒がヘプタンである、請求項17の方法。
【請求項19】
少なくとも5当量のメタンスルホン酸を含む、請求項13の方法。

【公表番号】特表2012−512905(P2012−512905A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542498(P2011−542498)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/068798
【国際公開番号】WO2010/071828
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(500049716)アムジエン・インコーポレーテツド (242)
【Fターム(参考)】