説明

1次リチウムバッテリにおける低温性能のためのTHFベースの電解質

開放端を有する円筒形容器(12)と、開放端を密封する上部カバー(14)と、リチウム又はリチウムベース合金で基本的に構成されるアノード(18)、中実ホイル集電体(22)上に被覆された導体、結合剤、及び少なくとも80重量%の二硫化鉄を含む混合物から構成されるカソード(20)、及びアノード(18)とカソード(20)の間に配置されたセパレータ(26)を含んでこの容器の内側に配置されたジェリーロール電極アセンブリと、10−95重量%のテトラヒドロフラン及び5−90重量%の1,3−ジオキソランで基本的に構成される溶媒配合物、リチウムイミド、ヨウ化リチウム、及びその組合せから構成される群から選択された溶質を有する電解質とを含む改善された低温性能を示す電気化学セル(10)。代替的に、この電解質は、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、及び1,2−ジメトキシエタンに溶解された溶質で基本的に構成され、又はこの電解質は、10−95重量%のテトラヒドロフランベースの溶媒、5−90重量%の1,3−ジオキソラン、及び0−40重量%の1,2−ジメトキシエタンで基本的に構成される溶媒配合物と、リチウムイミド、ヨウ化リチウム、及びその組合せから構成される群から選択された溶質とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム/二硫化鉄セルのような1次電気化学セルのための非水電解質に関する。より具体的には、THFを含む電解質が考えられている。
【背景技術】
【0002】
バッテリは、多くの携帯用電子デバイスに電力を提供するのに使用される。今日の消費者主導型デバイス市場においては、標準化された1次セルサイズ(例えば、AA又はAAA)及び特定の公称電圧(典型的には1.5V)が好ましい。更に、消費者は、同等の現在利用可能な充電式(すなわち、2次)バッテリと比較して、1次バッテリをそれらの低コスト、便利さ、信頼性、及び持続的な保管寿命のために使用することを多くの場合に選択する。1次リチウムバッテリ(負極の電気化学活物質としてリチウム金属又はリチウム合金を含有するもの)は、新しいデバイスのためのバッテリの選択肢として、それらのデバイスにおけるより小サイズ及びより高電力に向う趨勢の理由から次第に普及が進んでいる。
【0003】
1.5V消費者向けデバイスのために特に有用なリチウムバッテリの1つの種類は、リチウム−二硫化鉄(又はLiFeS2)バッテリであり、AAサイズのためのIEC名称FR6及びAAAサイズのためのIEC名称FR03を有する。LiFeS2セルは、アルカリ、カーボン亜鉛、又は他の1次(すなわち、非充電式)バッテリシステムに比較して、特にドレーン速度でより高いエネルギ密度を与える。このバッテリは、正極の電気化学活物質として二硫化鉄、FeS2(パイライト又は黄鉄鉱とも称され、これは、バッテリ用途のための二硫化鉄の好ましい鉱物形態である)を使用する。
【0004】
原則的に、あらゆるバッテリ内の電解質は、望ましい温度範囲にわたって放電要件を満たすのに十分な導電率を提供するように選択すべきである。Brousselyに付与された米国特許第4,129,691号で示すように、リチウムバッテリ電解質中の溶質(すなわち、塩)濃度の増大は、その電解質の導電率及び有用性において対応する増大をもたらすことが予想される。しかし、特定の溶媒中の溶質の溶解度、リチウムベース電極上の適切な保護層の形成、及び/又はセル内の電気化学活物質又は他の材料と溶媒との適合性のような他の制限が、適切な電解質システムの選択を困難にする。非制限的な例として、Bakosに付与された米国特許第4,804,595号は、ある一定のエーテルがプロピレンカーボネートのような溶媒にどのように混合できないかを説明している。更に別の電解質の欠陥及び非適合性は、特にそれらがLiFeS2セル、並びに多くの液体、溶媒、及び一般的なポリマーシーリング材料とのリチウムの反応性に関連するので当業技術において公知であり、文書に記述されている。
【0005】
エーテルは、それらの概略低粘性、良好な濡れ性、良好な低温放電性能、及び良好な高速放電特性のために、それらの極性が一部の他の一般溶媒に比べて相対的に低くてもリチウムバッテリ電解質溶媒として好ましい場合が多い。エーテルは、パイライトを用いるセルにおいて特に有用であり、それは、それらのセルが、電極表面の劣化又は溶媒との好ましくない反応(例えば、重合)が発生する可能性があるエーテル内でのより高電圧カソード材料と比較してより安定な傾向であるためである。LiFeS2セルに使用されてきたエーテルのうちには、1,2−ジメトキシエタン(DME)及び1,3−ジオキソラン(DIOX)があり、それらは、全てがWebberに付与された米国特許第5,514,491号又は第6,218,054号又は欧州特許第0 529 802号B1に教示されたように一緒に使用されるか、又はGorkovenkoに付与された米国特許第7,316,868号(DIOX及び5−6炭素原子数の1,3−ジアルコキシアルカンの使用)、Kronenbergに付与された第3,996,069号(3−メチル−2−オキサドリドンとDIOX及び/又はDMEとの使用)、又はBowdenの米国特許公報第2008/0026296号A1(スルホラン及びDMEの使用)によって提案されたように溶媒の配合物として全部又は一部が使用されるかのいずれかである。
【0006】
Weberに付与された米国特許第5,229,227号(ジグライムのようなポリアルキレングリコールエーテルを伴う3−メチル−2−オキサゾリドンの使用)に開示されたようなDIOX又はDMEを実質的に含有しない他の溶媒も可能である。しかし、溶媒間の相互作用、並びにそれらの溶媒に対する溶質及び/又は電極材料の潜在的影響のために、機能する電気化学セル内の提案された配合物の実試験なしにこのセルの理想的な電解質溶媒配合物及び得られる放電性能を予測することは多くの場合に困難である。
【0007】
様々な溶質が、LiFeS2セルの電解質に使用されてきており、ヨウ化リチウム(LiI)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3又は「リチウムトリフラート」)、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド(Li(CF3SO22N又は「リチウムイミド」)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、リチウムヘキサフルオロアルセナート(LiAsF6)などが挙げられる。リチウムトリフラートを含有する電解質は、セルのかなり良好な電気的特性及び放電特性を提供することができるが、この電解質は、比較的低い導電率を有する。更に、リチウムトリフラートは比較的高価である。Webberに付与された先に示す米国特許第5,514,491号で説明しているように、コストの低減とセル電気性能の改善の両方のために、ヨウ化リチウム(LiI)がリチウムトリフラートの代替として使用されている。「Energizer Holdinds Inc.」によって販売される1つの特定の銘柄のAA−サイズのFR06バッテリは、DIOX及びDMEを含有する溶媒混合物中に0.75モル濃度のLiIを有する非水電解質を現在使用している。
【0008】
Webberの関連米国特許公報第2006/0046154号に説明されているように、改善した低温放電性能を提供するためにヨウ化リチウム及びリチウムトリフラートの塩が組み合わせて使用されている。そこに説明されているように、高いエーテル含量及び溶質としてLiI(単独溶質又はリチウムトリフラートとの組合せのいずれでも)を有するLiFeS2セルは、低温での高速放電において放電の最初の部分の電圧の急速な低下を時に示す場合がある。電圧は、このセルによって給電されているデバイスが作動しないことになるほど低く低下する場合がある。溶質としてのLiIを除去し、リチウムトリフラートを単独溶質とすることでこの問題を解決することができるが、その結果、室温での高速かつ高電力の放電において作動電圧が低下し過ぎる場合がある。また、過塩素酸塩の使用は、単独塩、主塩としても、共用塩としてでさえも、それらの化合物によってもたらされる潜在的な健康上又は安全上の課題のために問題になる場合がある。
【0009】
セルのある一定の態様及び/又はその性能を改善するために、添加物を電解質内に使用することができる。例えば、Bolsterに付与された米国特許第5,691,083号は、FeS2、MnO2、又はTiS2を含むカソード材料を有するセルにおける望ましい開路電圧を達成するための非常に低濃度のカリウム塩の使用を説明している。Jiangの米国特許公報第2008/0026290号は、リチウム電極の表面上の保護フィルムの成長を遅らせるためのアルミニウム添加物の使用を開示している。これらの例の各々において、選択された添加物の利点は、あらゆる有害な反応又は影響(バッテリの放電特性、安全性、及び寿命に関する)に対して均衡を取る必要がある。
【0010】
最後に、上述のように、溶質のより高い濃度は、電解質の導電率を一般的に増大させると考えられる。しかし、ある一定のシステム(一般的に、非カルコゲンポリスルフィドが好ましいカソード材料である充電式リチウム−硫黄バッテリシステムにおける)は、電極自体の一部分が電解質溶液中に溶解してイオン導電率をもたらす「カソライト」を利用する。こうしたシステムにおいては、Mikhaylikに付与された米国特許第7,189,477号によって教示するように、最小から存在しないまでのリチウムイオン濃度を完全に充電されたセルに性能を低下させることなく提供することができる。最後に、LiFeS2及び他のリチウム電気化学セルは、電極から電解質にイオンをもたらすこの性向を示さず、従って、LiFeS2システムにおいてはこの手法の有用性は排除され、より一般的には、所定の電気化学システムからの教示を別の異種のシステムへ盲目的に適用することに関連する落とし穴を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,129,691号
【特許文献2】米国特許第4,804,595号
【特許文献3】米国特許第5,514,491号
【特許文献4】米国特許第6,218,054号
【特許文献5】欧州特許第0 529 802号B1
【特許文献6】米国特許第7,316,867号
【特許文献7】米国特許第3,996,069号
【特許文献8】米国特許公報第2008/0026296号A1
【特許文献9】米国特許第5,229,227号
【特許文献10】米国特許公報第2006/0046154号
【特許文献11】米国特許第5,691,083号
【特許文献12】米国特許公報第2008/0026290号
【特許文献13】米国特許第7,189,477号
【特許文献14】米国特許公報第2006/0244706号
【特許文献15】米国特許公報第20060046152号
【特許文献16】米国特許出願出願番号第11/439,835号
【特許文献17】米国特許出願出願番号第11/787,436号
【特許文献18】米国特許第5,290,414号
【特許文献19】米国特許公報第2005/0112462号
【特許文献20】米国特許公報第2005/233214号
【特許文献21】米国特許出願出願番号第11/493,314号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Matsuda他、JES、131、2821
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
別途定められない限り、本発明で使用される時の下記の用語は、本発明の開示全体を通じて以下のように定義されて使用される。
【0014】
周囲温度(又は室温)−約20℃から約25℃、別途明記されない限り、全ての実施例と、データと、製造情報とは、周囲温度で提供され/行われた。
【0015】
アノード−負極、より具体的には、本発明の意義の範囲内で、それは、1次電気化学セルの活物質として基本的にリチウム又は重量基準で少なくとも90%のリチウムを含有する合金から構成される。
【0016】
カソード−正極、より具体的には、本発明の意義の範囲内で、それは、1次電気化学セルの活物質として二硫化鉄を含み、1つ又はそれよりも多くの流動性のポリマー及び/又は導電性添加物と共に金属集電体上に被覆される。
【0017】
セルハウジング−完全に機能するバッテリを構成する電気化学活物質と、安全デバイスと、他の不活性成分とを物理的に包み込む構造体、容器(カップの形状に形成され、「缶」とも称される)と、閉鎖部(容器の開口部に取り付けられ、電解質の流出及び水分/大気の流入を妨げるための排気及び密封機構から構成される)とから構成される。
【0018】
電解質−1つ又はそれよりも多くの液状の有機溶媒中に溶解された1つ又はそれよりも多くの溶質、セルにイオン導電率に与えるためにカソードが部分的又は完全に溶解することが予想されるあらゆる電気化学システム(すなわち、リチウム−硫黄バッテリに利用されるもののような「カソライト」)を含まない
【0019】
ジェリーロール(又は螺旋巻)電極アセンブリ−アノード及びカソードのストリップが、適切なポリマーセパレータと共に、それらの長さ又は幅に沿った例えばマンドレル又は中心コアの周りの巻き付けによって結合されてアセンブリとされる。
【0020】
公称−その特性又は性能に対して予想することができるものを表す製造業者によって指定された値。
【0021】
パーセント放電−その意図された使用結果としてセルから除去される容量の百分率であるが、このセルを消費者使用ためにより適切とするように製造業者によって行われる計画的調節又は予備的放電によって除去される容量は除かれる。
【0022】
塩−電解質の一部としてのイオン性化合物であり、典型的にリチウム又は一部の他の金属を含み、1つ又はそれよりも多くの溶質に溶解される。
【0023】
DIOX−1,3−ジオキソラン
【0024】
DME−1,2ジメトキシエタン
【0025】
THF−テトラヒドロフラン
【0026】
2MeTHF−2メチルテトラヒドロフラン
【0027】
DMP−1,2−ジメトキシプロパン
【0028】
PC−プロピレンカーボネート
【0029】
EC−エチレンカーボネート
【0030】
MA−酢酸メチル
【0031】
EA−酢酸エチル
【0032】
LiTfSi又はLiイミド−リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】以下の実施例に開示する実施形態に関連する情報を収載する図である。
【図2】以下の実施例に開示する実施形態に関連する情報を収載する図である。
【図3】以下の実施例に開示する実施形態に関連する情報を収載する図である。
【図4】以下の実施例に開示する実施形態に関連する情報を収載する図である。
【図5】以下の実施例に開示する実施形態に関連する情報を収載する図である。
【図6】以下の実施例に開示する実施形態に関連する情報を収載する図である。
【図7】以下の実施例に開示する実施形態に関連する情報を収載する図である。
【図8】以下の実施例に開示する実施形態に関連する情報を収載する図である。
【図9】以下の実施例に開示する実施形態に関連する情報を収載する図である。
【図10】LiFeS2セルの構成要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
セル設計
本発明は、実施することができる特定のセル設計を示す図10を参照してより良く理解することができる。セル10は、FR6型円筒形LiFeS2バッテリセルであるが、本発明は、FR03又は他の円筒形セルに同等な適用を有するはずである。セル10は、密封底部とセルカバー14及びガスケット16で密封される開放上端とを有する缶12の形態の容器を含むハウジングを有する。缶12は、ガスケット16及びカバー14を支持するために上端付近のビード又は縮小直径ステップを有する。ガスケット16は、缶12とカバー14の間に圧縮され、アノード又は負極18、カソード又は正極20及び電解質がセル10内部に密封される。
【0035】
アノード18、カソード20、及びセパレータ26は、電極アセンブリ内に一緒に螺旋状に巻かれる。カソード20は、電極アセンブリの上端から延びて接触バネ24を用いてカバー14の内面に接続される金属集電体22を有する。アノード18は、金属リード(又はタブ)36によって缶12の内面に電気的に接続される。リード36はアノード18に固定され、電極アセンブリの底部から延び、この底部にわたって折り畳まれ、かつ電極アセンブリの側面に沿って上昇する。リード36は缶12の側壁の内面に加圧接触する。電極アセンブリが巻かれた後、それは、製造工程内の工具によって挿入前に互いに保持することができ、又は材料(例えば、セパレータ又はポリマーフィルム外側ラップ38)の外端は、例えば、ヒートシール、接着、又はテーピングによって留めることができる。
【0036】
絶縁コーン46が電極アセンブリの上部の周囲部分の周りに設けられてカソード集電体22の缶12への接触が防止され、カソード20の底縁と缶12の底部との接触は、内側に折り畳まれたセパレータ26の延長部と缶12の底部に配置された電気絶縁性底部ディスク44とによって防止される。
【0037】
セル10は、分離した正端子カバー40を有し、これは、缶12の内側に圧着された上縁とガスケット16とによって所定の位置に保持され、1つ又はそれよりも多くの通気開口(図示せず)を有する。缶12は、負接触端子として機能する。接着ラベル48のような絶縁性ジャケットを缶12の側壁に付加することができる。
【0038】
端子カバー40の周囲フランジとセルカバー14の間には、不正な電気状態の下での電流の流れを実質的に制限する正温度係数(PTC)デバイス42が配置される。セル10は、圧力除去通気も含む。セルカバー14は、ウェル28の底部に通気孔30を有する内向き突出の中央通気ウェル28を含む開口を有する。開口は、通気ボール32と、通気ウェル28の垂直壁と通気ボール32の周囲との間に圧縮された薄壁熱可塑性ブッシング34とによって密封される。セル内部圧力が所定のレベルを超えると、通気ボール32、又は通気ボール32及びブッシング34の両方が開口から押し出され、セル10から加圧ガスを放出する。別の実施形態では、圧力除去通気部は、本明細書に引用によって全体的に組込まれる米国特許公報第2006/0244706号に開示するような破裂膜によって密封された開口とすることができ、又は引き裂き又は他の方法で破断することができ、密封プレート又は容器壁のようなセルの一部分内に通気開口を形成する鋳造溝のような比較的薄い区域とすることができる。
【0039】
電極アセンブリの側部と缶の側壁の間に配置された電極リード36の端子部分は、缶の側壁との電気的接触を容易にし、缶側壁に向けてリードを付勢するためにバネ様の力を提供する好ましくは非平面の缶内への電極アセンブリの挿入よりも前の形状を有することができる。セル製造中に、リードの成形された端子部分は、例えば、電極アセンブリの側部に向けて変形させることができ、缶内へのその挿入が容易にされ、それに続いてリードの端子部分はその初期の非平面形状に向けて部分的にはね返るが、少なくとも部分的に圧縮されたままとなって缶の側壁の内面に力が印加され、それによって缶との良好な物理的及び電気的接触が行われる。
【0040】
電解質
汚染物質として非常に少量(例えば、使用された電解質塩の重量基準で約500ppmよりも多くない)のみの水を含有する非水電解質が、製造中にセル内に配置される。電解質は、LiFeS2セル内のイオン移動の主要媒体であるので、適切な溶質及び溶媒の組合せの選択が、セルの性能を最適化するのに重要である。更に、電解質のように選択された溶質と溶媒は、製造及び得られたセルの使用目的での適切な混和性及び粘性を有し、一方で大部分の消費者向けバッテリが潜在的に受ける温度の全体範囲(すなわち、−40℃から60℃)にわたって適切な放電性能を更にもたらさなければならない。更に、電解質は非反応性又は不揮発性(又は従来型のポリマーの密封及び密封機構によって実用的に保持されるのに十分低い沸点を少なくとも有する)でなければならない。
【0041】
溶媒及び電解質の混和性及び粘性は、バッテリの製造及び作動の態様に対して重要である。配合物に使用される全ての溶媒は、均質な溶液を保証するように混和可能でなくてはならない。同様に、大量生産の要求に適切であるためには、溶媒は迅速に流れ、かつ分配されるのに十分低い粘性を有するべきである。
【0042】
加えて、溶媒及び電解質は、バッテリが恐らく露出されて保管されると考えられる温度範囲(すなわち、−40℃から60℃)に適切な沸点を有するべきである。より具体的には、溶媒は、この示された温度範囲内でのバッテリの安全な貯蔵及び作動を可能にするように十分に不揮発性でなければならない。同様に、溶媒及び電解質は、電極を劣化させ又は放電でのバッテリの性能に悪影響を及ぼすようには電極材料と反応してはならない。LiFeS2セルに使用されてきた又は使用される場合がある適切な有機溶媒は、1,3ジオキソラン、1,3ジオキソランベースのエーテル(例えば、2−メチル−1,3−ジオキソラン又は4−メチル−1,3−ジオキソランなどのようなアルキル−及びアルコキシ−置換DIOX)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタンベースのエーテル(例えば、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、エチルグライムなど)、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ギ酸メチル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピレン尿素、1,1,3,3−テトラメチル尿素、ベータアミノエノン、ベータアミノケトン、メチルテトラヒドロフルフリルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(「THF」)、2−メチルテトラヒドロフラン、2−メトキシテトラヒドロフラン、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、3,5−ジメチルイソキサゾール(「DMI」)、1,2−ジメトキシプロパン(「DMP」)、及び1,2−ジメトキシプロパンベースの化合物(例えば、置換DMPなど)のうちの1つ又はそれよりも多くを含む。
【0043】
塩は、選択された溶媒にほぼ又は完全に可溶でなければならず、かつ上述の溶媒の説明と同様にあらゆる劣化又は悪影響があってはならない。LiFeS2セルに使用されてきた又は使用される場合がある代表的な塩の例としては、LiI(ヨウ化リチウム)、LiCF3SO3(リチウムトリフラート)、LiClO4(過塩素酸リチウム)、Li(CF3SO22N(リチウムイミド)、Li(CF3CF2SO22N、及びLi(CF3SO23Cが挙げられる。他の可能な候補は、リチウムビス(オキサラート)ボラート、臭化リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、及びヘキサフルオロヒ酸リチウムである。塩選択の2つの重要な態様は、それらがハウジング、電極、密封材料、又は溶媒と反応しないこと、及びバッテリが露出されるか又は作動を要求されると考えられる典型的に予期される条件(例えば、温度、電気的負荷など)の下で、それらが劣化又は電解質から沈殿しないことである。性能のある一定の態様を最大に引き出すために、1つよりも多い溶質を用いることは可能である。
【0044】
本発明によるLiFeS2セルで用いるのに適切なエーテルは、次の判断基準、すなわち、(1)大きい有効液体範囲、特に非常に低い融点、(2)低粘性、(3)リチウム塩に関する良好な溶媒和特性、(4)Liアノード及びFeS2カソードに対する良好な化学的及び熱安定性、並びに(5)DME及びDIOXと類似した又はより安全な毒性を含むようにして選択される。図1は、考慮された溶媒の表であり、融点、沸点、及び粘性が含まれる。図1に記載された溶媒の全ては、上述の判断基準に適合していると見なされる。
【0045】
THF、2MeTHF、及びDMPが、LiI及びLiイミド塩を用いて評価された。溶媒比率を判断するために2つの手法が用いられた。現在市販の65:35DIOX:DME配合物(容積による)を使用するLiFeS2セルの範囲で、DIOX及び/又はDMEが新規なエーテルの1つと置換され、低温性能に対して試験された。第2の手法は、所定量の代替溶媒を溶媒配合物65DIOX:35DME(v/v)に添加することである。この手法は、何の直接の比較も与えないが、多くの代替の溶媒の迅速選別に適していた。これらの手法の詳細は図2に要約され、そこに列挙されたロット番号は、本出願全体を通じて残りの図に適用される。
【0046】
カーボネート及びアセテートを含有する溶媒配合物に対しては、LiIとカーボネートとの化学反応がLiIを不溶性のLi2CO3に変換するので、Liイミド塩のみが使用された。ここで注意すべきは、カーボネート及びアセテートは低温のための2次リチウムイオンセルにおけるそれらの使用に基づいて最初に選択されたが、以下で示すように1次リチウムセルのために十分な稼働を提供できなかったことである。
【0047】
全ての電解質のための塩濃度は、周囲温度での溶媒配合物のリットル当たり0.75モルで固定された。全ての溶媒は、DMP以外は(5〜50ppm)で開始する比較的低い水分を有したが、DMPは受入れたサンプルに対して2800ppmの水分レベルを有した。それによってDMPは、その水分を低減するために4Å分子篩と共に保存された。保存後、DMPの水分は197ppmに低減された。
【0048】
分注された電解質の充填容積は、全てのロットに対して1.47mlであった。セルは予備放電された。アセンブリ及び構成の全ての他の態様は、本明細書に収載された開示内容に合致した。
【0049】
THFを利用する電解質は、米国特許公報第20060046152号及び/又は第20060046154号に開示されたもののような既に認められた最良の低温電解質に比較して、大幅な予期されない大きな性能改善を極低温(すなわち、−40℃)で示した。注意すべきことに、これらの公報は、極低温でのセルの「突然死」の公知の問題を記録しているが、極低温及び高速で実質的な稼働を提供する実行可能な解決法がそれらの公報においても知られていないことが容易に理解されると考えられる。
【0050】
対照的に、本発明は、極低温での実質的な容量を有するバッテリを提供することによって従来技術の欠点を解決する。更に、従来技術が、LiIとリチウムトリフラートの配合物が低温でのあらゆる稼働を達成する最良の(かつ恐らく唯一の)手段であったことを示しているのに対して、THFの使用は、塩が変わることを考慮する。更に、本発明は、塩濃度を0.75Mに保ち、それは、室温性能の維持を助けるはずである。要約すれば、THFは従来知られていたものよりも、低温でのより大きい容量を可能にし、一方、殆どの周囲温度ドレーン速度に対して、同等でないとしても、十分な稼働をなお提供する。
【0051】
従って、この電解質が、上述の構成に従ったLiFeS2バッテリに関連して使用される時に、極低温での非常な改善が認められる。多くの実施形態では、2倍の容量を予想することができる。更に、これらの改善は、室温での性能又は米国規格協会(ANSI)デジタルスチルカメラパルス試験のような専門的放電試験の性能を犠性にすることなく達成することができる。
【0052】
他のセル構成要素
セル容器は、多くの場合に金属缶であり、図10での缶のように密封底部を有する。缶材料は、セル内に使用される活物質と電解質にある程度依存することになる。一般的な材料の種類は鋼である。例えば、缶は鋼で製造され、缶の外側を腐食から保護するために少なくとも外側がニッケルでメッキされる。メッキの種類は、様々な程度の耐食性を提供し又は望ましい外観を提供するように変えることができる。鋼の種類は、容器が形成される方式にある程度依存することになる。絞り缶のためには、拡散焼鈍された低炭素のアルミニウムキルドSAE1006又は同等の鋼とすることができ、ASTM9から11の粒径及び等軸から僅かに細長い粒形を有する。ステンレス鋼のような他の鋼を特別な要求を満たすために使用することができる。例えば、缶がカソードと電気的に接触している場合には、ステンレス鋼がカソード及び電解質による腐食に対する改善した耐性のために使用することができる。
【0053】
セルカバーは金属とすることができる。ニッケルメッキ鋼を使用することができるが、特にカバーがカソードに電気的に接触している時は、ステンレス鋼が多くの場合に望ましい。カバー形状の複雑さも材料選択におけるファクタであることになる。セルカバーは、厚い平坦円板のような単純な形状を有することができ、又はそれは、図10に示すカバーのようなより複雑な形状を有することができる。カバーが図1におけるものと類似した複雑な形状を有する時に、ASTM8−9粒径を有する304型軟焼鈍ステンレス鋼を使用することができ、望ましい耐食性及び金属成形の容易さを提供する。成形されたカバーは、例えば、ニッケルでメッキすることができる。
【0054】
端子カバーは、周囲環境内の水による腐食に対する良好な耐性、良好な導電率、及び消費者向けバッテリ上で見る時の見栄えのする外観を有するべきである。端子カバーは、多くの場合、ニッケルメッキされた冷間圧延鋼から製造されるか又はカバーが成形された後にニッケルメッキされる鋼から製造される。端子が圧力除去通気部の上に設けられる時に、端子カバーは、セルの排気を容易にするために1つ又はそれよりも多くの孔を一般的に有する。
【0055】
ガスケットは、望ましい密封特性を提供するあらゆる適切な熱可塑性材料で製造される。材料選択は、電解質組成にある程度依存する。適切な材料の例としては、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、テトラフルオリド−ペルフルオロアルキルビニルエーテル・コポリマー、ポリブチレンテレフタレート、及びその組合せが挙げられる。好ましいガスケット材料としては、ポリプロピレン(例えば、米国デラウェア州ウィルミントン所在の「Basell Polyolefins」が提供するPRO−FAX(登録商標)6524)及びポリフェニレンスルフィド(例えば、米国テキサス州ザウッドランズ所在の「Chevron Phillips」が提供するXTEL(登録商標)XE3035又はXE5030)が挙げられる。少量の他のポリマー、強化のための無機充填剤、及び/又は有機化合物もガスケットの主レジンに添加することができる。
【0056】
ガスケットは、最善の密封を提供するためにシーラントで被覆することができる。エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)が適切なシーラント材料であるが、他の適切な材料を使用することもできる。
【0057】
ボール通気が使用される時に、通気ブッシングは、高温での(例えば、75℃)コールドフローに抵抗性のある熱可塑性材料で製造される。熱可塑性材料は、エチレン−テトラフルオロエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタルアミド、ペルフルオロ−アルコキシルカン、フッ素化ペルフルオロエチレン・ポリプロピレン、及びポリエーテルエーテルケトンのような主レジンを含む。エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリフタルアミドが好ましい。レジンは、高温での望ましい密封及び排気特性を有する通気ブッシングを提供するために熱安定化充填剤の添加によって改質することができる。ブッシングは、熱可塑性材料から射出成形することができる。TEFZEL(登録商標)HT2004(25重量パーセントの細断ガラス充填剤を含むFTFEレジン)、ポリフタルアミド(例えば、テキサス州ヒューストン所在の「Solvay Advanced Polymers」が提供するAMODEL(登録商標)ET10011NT)、及びポリフェニレンスルフィド(米国テキサス州ザウッドランズ所在の「Chevron Phillips」が提供するXTEL(登録商標)XE3035又はXE5030)が、好ましい熱可塑性ブッシング材料である。
【0058】
通気ボール自体は、セル内容物と接触して安定であり、かつ望ましい密封及び排気特性を提供するあらゆる適切な材料で製造することができる。ガラス又はステンレス鋼のような金属を使用することができる。上述の通気ボールアセンブリに代えてホイル通気が利用される場合は(例えば、米国特許出願公報第2005/0244706号に従って)、上記で参照した材料で依然として適切に置換することができる。
【0059】
電極
アノードは、リチウム金属のストリップを含み、リチウムホイルとも称される。リチウムの組成は変えることができるが、バッテリ等級のリチウムに対しては、純度は常に高い。リチウムは、望ましいセルの電気性能又は取扱いの容易さを提供するために、アルミニウムのような他の金属との合金とすることができるが、それにも関わらずあらゆる合金内のリチウムの量は最大化すべきであり、かつ高温適用(すなわち、純リチウムの融点を超える)に対して設計される合金は考えられていない。適切なバッテリ等級のリチウム−アルミニウムホイルは、0.5重量パーセントのアルミニウムを含有し、米国ノースカロライナ州キングスマウンテン所在の「Chemetall Foote Corp.」から市販されている。
【0060】
共アノード、合金材料、又は個別の単一アノードのいずれかとしてナトリウム、カリウム、亜鉛、マグネシウム、及びアルミニウムを含む他のアノード材料が可能である。最終的に、適切なアノード材料の選択は、そのアノードとLiI、カソード、及び/又は選択されたエーテルとの適合性とに依存することになる。
【0061】
図10でのセルなどでは、リチウムが高い導電率を有するので、個別の集電体(すなわち、その上にアノードが溶接又は被覆される金属ホイル又はアノードの長さに沿って延びる導電率ストリップのような導電率部材)は、アノードに対して必要ではない。そのような集電体を用いないことにより、より多くの空間が容器内で活物質のような他の成分のために利用可能である。アノード集電体は、銅及び/又はそれらがセルの他の内部構成要素に露出された時に安定である限り他の高導電性金属で製造される場合があり、従って、コストも加わる。
【0062】
電極の各々とハウジングに近接し又はこれと一体化した反対端子との間には電気接続を維持すべきである。電気リード36は、セル端子のうちの1つへのアノード又は負極を接続する薄い金属ストリップで製造することができる(図10に示されているFR6の場合における缶)。アノードがこうしたリードを含む時に、リードは、ジェリーロール電極アセンブリの縦軸に沿って実質的に向けられ、かつアノードの幅に沿って部分的に延びている。これは、リードの端部をアノードの一部分内に埋め込むか、又はリードの端部のような一部分をリチウムホイルの表面上に単にプレスすることによって達成される。リチウム又はリチウム合金は粘着性を有し、リードと電極の間の一般的に少なくとも僅かで十分な圧力又は接触が構成要素を互いに溶接する。負極には、ジェリーロール構成に巻かれる前にリードを設けることができる。リードは、適切な溶接によって接続することができる。
【0063】
リード36を構成する金属ストリップは、リードを通過して流れる電流の十分な伝達を可能にし、セルの耐用期間への影響が極めて少ないか又はないようにするために、十分に低い抵抗(例えば、一般的に15mΩ/cm未満及び好ましくは4.5mΩ/cm)を有するニッケル又はニッケルメッキ鋼で多くの場合に製造される。好ましい材料は、304ステンレス鋼である。他の適切な負極リード材料の例としては、それらに制限されないが、銅、例えば、銅合金7025(約3%のニッケル、約0.65%のシリコン、及び0.15%のマグネシウムを含み、残りが銅及び少量の不純物である銅、ニッケル合金)、及び銅合金110である銅合金、及びステンレス鋼が挙げられる。リード材料は、この組成物が非水電解質を含む電気化学セル内で安定であるように選択すべきである。一般的に回避すべきであるが比較的少量の不純物として存在する可能な金属の例は、アルミニウム、鉄、及び亜鉛である。
【0064】
カソードは、集電体と1つ又はそれよりも多くの電気化学的活物質を典型的に微粒子形態で含む混合物とを含むストリップの形態である。二硫化鉄が好ましい活物質であるが、本発明は、LiIに対して安定であり、かつ2.8V未満である対Li電位を有する大部分のカソード材料に適用することができ、それらにはCuO、CuO2、及びビスマスの酸化物(例えば、Bi23など)が恐らく含まれる。特に、MnO2は不適切であり、それは、このカソードがI2/I-レドックス対に比較して高すぎる電位を有するからである。
【0065】
LiFeS2セルにおいて、活物質は50重量パーセントを超えるFeS2を含む。カソードは、望ましいセル電気特性及び放電特性に基づいて1つ又はそれよりも多くの上述の付加活物質を含有することもできる。より好ましくは、LiFeS2セルカソードのための活物質は、少なくとも95重量パーセントのFeS2、より好ましくは少なくとも99重量パーセントのFeS2を含み、最も好ましくは、FeS2が単独のカソード活物質である。少なくとも95重量パーセントの純度レベルを有するFeS2は、米国マサチューセッツ州ノースグラフトン所在の「Washington Mills」、オーストリア国ウィーン所在の「Chemical GmbH」、及び米国バージニア州ディルウィン所在の「Kyanite Mining Corp.」から市販されている。カソードのより広範囲の説明、その調製、及びカソードを製造する方法を以下に提供する。
【0066】
集電体は、カソード表面内に配置されるか又はその中に組み込むことができ、又はカソード混合物を薄い金属ストリップの一面又は両面上に被覆することができる。アルミニウムが、通例使用される材料である。集電体は、カソード混合物を包含するカソードの部分を超えて延びることができる。集電体のこの延長部分は、正端子に接続した電気リードに接触するための有利な領域を提供することができる。集電体の延長部分の容積を最小に保つことは、活物質及び電解質のために利用することができるセルの内部容積をそれに応じて大きくするのに望ましい。
【0067】
カソードは、セルの正端子に電気的に接続される。これは、多くの場合に図10に示すような薄い金属ストリップ又はバネの形態にある電気リードを用いて達成されるが、溶接接続も可能である。リードは、多くの場合、ニッケルメッキされたステンレス鋼で製造される。更に別の実施形態は、2007年11月29日又はその後に公開されるはずである米国特許出願出願番号第11/439,835号及び/又は2008年10月16日又はその後に公開されるはずである米国特許出願出願番号第11/787,436号に開示されたものに類似した接続を利用することができ、これらの両方は本出願の出願人に譲渡され、本明細書に引用によって組込まれている。特に、セル設計がこの代替の電気接続/電流制限デバイスを利用することができる範囲において、PTCの使用を回避することができる。標準PTCのような任意的な電流制限デバイスが、セルの暴走放電/加熱を防止するための安全機構として利用される場合には、適切なPTCは、米国カリフォルニア州メンロパーク所在の「Tyco Electronics」によって販売されている。他の代替品を使用することもできる。
【0068】
セパレータ
セパレータは、イオン透過性で電気非導電性である薄い微孔性膜である。セパレータの微孔隙内部に少なくとも一部の電解質をセパレータが保持することができる。セパレータは、アノードとカソードとの隣接する表面の間に配置され、この電極を互いから電気的に分離する。セパレータの一部分は、内部短絡を防止すうるためにセル端子と電気的に接触する他の構成要素も絶縁することができる。セパレータの縁部は、多くの場合に少なくとも1つの電極の縁部から延び、アノードとカソードをそれらが完全に互いに整列していなくても電気的に接触しないことを保証する。しかし、電極を超えて延びるセパレータの量を最小にすることが望ましい。
【0069】
良好な高電力放電性能を提供するために、1994年3月1日に付与され、引用により本明細書に組み込まれる米国特許第5,290,414号に開示された特性(少なくとも0.005μmの最小寸法及び5μmよりも大きくない最大寸法の直径を有する微孔隙、30から70パーセントの範囲の空隙率、2から15オーム−cm2の面積比抵抗、及び2.5未満のねじれ度)をセパレータが有することが望ましい。
【0070】
適切なセパレータ材料は、セル製造工程並びにセル放電の間にセパレータに加わる圧力に対して内部短絡を引き起こす可能性がある裂け、割れ、孔、又は他の間隙の発現なしに持ちこたえるのに十分強くなければならない。セル内の全体のセパレータ容積をできるだけ小さくするために、セパレータはできるだけ薄くなければならず、好ましくは25μm未満の厚み、より好ましくは20μm又は16μmのような22μmよりも大きくない厚みである。好ましくは少なくとも800、より好ましくは少なくとも1000キログラム力/平方センチメートル(kgf/cm2)である高い引張応力が望ましい。FR6型セルに対しては、好ましい引張応力は、縦方向において少なくとも1500kgf/cm2、横方向において少なくとも1200kgf/cm2であり、FR03型セルに対しては、好ましい引張強度は、縦及び横方向においてそれぞれ1300及び1000kgf/cm2である。好ましくは、平均絶縁破壊電圧は、少なくとも2000ボルト、より好ましくは少なくとも2200ボルト、最も好ましくは2400ボルトであることになる。好ましい最大有効孔径は、0.08μmから0.40μm、より好ましくは0.20μmよりも大きくない。好ましくは、BET比表面積は40m2/gよりも大きくなく、より好ましくは少なくとも15m2/g、最も好ましくは少なくとも25m2/gである。好ましくは、面積比抵抗は、4.3オーム−cm2、より好ましくは4.0オーム−cm2、最も好ましくは3.5オーム−cm2である。これらの特性は、引用により本明細書に組込まれる米国特許公報第2005/0112462号により詳細に説明されている。
【0071】
リチウムバッテリに使用されるセパレータ膜は、多くの場合にポリプロピレン、ポリエチレン、又は超高分子量ポリエチレンで製造され、ポリエチレンが好ましい。セパレータは、二軸配向微孔性膜の単層とすることができ、又は2つ又はそれよりも多くの層を直交方向における望ましい引張強度を提供するように一緒に張り合わすことができる。コストをできるだけ低くするためには単層が好ましい。4適切な二軸配向ポリエチレン微孔性セパレータは、「Tonen Chemical Corp.」から市販され、米国ニューヨーク州マセドニア所在の「EXXON Mobile Chemical Co.」から市販されている。「Setela F20DHI」等級セパレータは、20μmの公称厚みを有し、「Setela 16MMS」等級セパレータは、20μmの公称厚みを有する。類似の特性を有する適切なセパレータは、米国オリエンタル州レバノン所在の「Entek Membrances」からも市販されている。
【0072】
セル構成及び製造
アノード、カソード、及びセパレータストリップは、電極アセンブリ内で互いに結合される。電極アセンブリは、図10に示すような螺旋巻設計とすることができ、カソード、セパレータ、アノード、及びセパレータの交互のストリップをマンドレルの周りに巻くことによって製造され、巻き付けが終了した時にマンドレルは、電極アセンブリから引き抜かれる。セパレータの少なくとも1つの層及び/又は電気絶縁フィルム(例えば、ポリプロピレン)の少なくとも1つの層が、電極アセンブリの周りに一般的に巻き付けられる。これは、いくつかの目的に役立ち、それは、アセンブリが互いに保持されることを助け、かつアセンブリの幅又は直径を望ましい寸法に調整するために使用することができる。セパレータ又は他の外側フィルム層の最も外側の端部は一片の接着テープを用いて又はヒートシールによって押さえることができる。図10に示すように、アノードは、最も外側の電極とすることができ、又はカソードが、最も外側の電極とすることもできる。いずれの電極もセル容器と電気的に接触することができるが、最も外側の電極が、缶と電気的に接触することを意図されたものと同じ電極である時は、最も外側の電極と容器の側壁の間の内部短絡を回避することができる。
【0073】
セルの缶は、あらゆる適切な処理を用いて閉鎖かつ密封することができる。この処理としては、以下に制限されるものではないが、圧着、リドロー、コレット、及びその組合せが挙げられる。例えば、図10のセルに対しては、電極と誘電体コーンが挿入された後、缶内にビードが形成され、ガスケット及びカバーアセンブリ(セルカバー、コンタクトバネ、及び通気ブッシング)が、缶の開放端内に置かれる。ガスケット及びカバーアセンブリがビードに向けて下方に押される時、セルはビードで支持される。ビードの上の缶の上部の直径は、セグメント化コレットを用いて縮小され、ガスケット及びカバーアセンブリがセル内の所定の位置に保持される。通気ブッシング及びカバー内の開口を通過して電解質がセル内に分注された後、通気ボールがブッシング内に挿入され、セルカバー内の開口が密封される。PTCデバイス及び端子カバーが、セルカバーを覆ってセルの上に置かれ、缶の先端が圧着ダイを用いて内側に曲げられ、ガスケット、カバーアセンブリ、PTCデバイス、及び端子カバーが保持され、ガスケットによる缶の開放端の密封が終わる。
【0074】
カソードに関しては、カソードは、一般的に、18から20μmの厚みを有するアルミニウムホイルである金属ホイル集電体上にいくつかの材料を含有する混合物として被覆され、この材料は、コーティングの加工性、導電性、及び全体の効率を均衡させるように注意部深く選択すべきである。このコーティングは、主として二硫化鉄(及びその不純物)、微粒子材料を互いに保持してこの混合物を集電体に付加させるのに一般的に使用される結合剤、導体の量が活物質及び結合剤の導電率、集電体上のこの混合物の厚み、及び集電体設計に依存するが、この混合物に改善した導電率を提供するために添加される金属、グラファイト、及びカーボンブラック粉末のような1つ又はそれよりも多くの導電性材料、及びコーティング方法、使用される溶媒、及び/又は混合方法自体に依存する様々な加工及び流動助剤から構成される。
【0075】
以下のもの、すなわち、パイライト(少なくとも95%純度)、導体(イリノイ州シカゴ所在の「Superior Graphite」が提供する「Pure Black205−110」及び/又はオハイオ州ウエストレーク所在のTimcalが提供するMX15)、及び結合剤/加工助剤(テキサス州ヒューストン所在の「Kraton Polymers」が提供するg1651のようなスチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)ブロックコポリマー、及びオランダ国のヘーレンフェーンからの「Efka 6950」)は、カソード混合物調製に利用することができる代表的な材料である。少量の不純物は、上述の材料のいずれにも当然存在する可能性があるが、カソード内部に存在するFeS2の量をできるだけ多くするために入手可能である最高純度のパイライト源を利用するように注意すべきである。
【0076】
セパレータに穴をあける危険性をできるだけ小さくするために、小さい粒径を有するカソード材料を使用することも望ましい。例えば、好ましくは、FeS2は、使用前に230メッシュ(62μm)スクリーンを通過させて篩分され、又はFeS2は、米国特許公報第2005/233214号に説明するように粉砕又は加工することができ、この公報は引用により本明細書に組み込まれる。他のカソード混合組成物は、化学的適合性/反応性に向けた観点、かつ類似の粒径に基づく機械的破損問題を回避するように注意深く選択すべきである。
【0077】
カソード混合物は、3ロールリバース、コンマコーティング、又はスロットダイコーティングのような多くの適切な処理を用いてホイル集電体に付加される。2008年1月31日又はその後に公開されるはずである米国特許出願出願番号第11/493,314号に説明されたコーティングの方法を使用することができ、この出願は引用により組み込まれる。FeS2カソードを製造する1つの方法は、高揮発性有機溶媒(例えば、トリクロロエチレン)内の活物質混合物材料のスラリをアルミニウムシートの両側の上に圧延被覆し、コーティングを乾燥して溶媒を除去し、被覆されたホイルをカレンダー加工してコーティングを圧密化し、被覆されたホイルを望ましい幅で縦に切り、かつ縦に切られたカソード材料のストリップを切断することである。揮発性溶媒の使用は、こうした溶媒の回収効率を最大にするが、上述のカソード混合物を圧延被覆するために、水性組成物を含む他の溶媒を利用することも可能である。
【0078】
あらゆる不要な溶媒を除去するための乾燥の後又はそれと同時に、得られたカソードストリップはカレンダリングなどによって緻密化され、全体の正極が更に圧密化される。このストリップが次にセパレータ及び類似(しかし、必ずしも同じとは限らない)寸法のアノードと共に螺旋状に巻かれてジェリーロール電極アセンブリを形成することになる事実を考慮すれば、この緻密化は、ジェリーロール電極アセンブリ内の電気化学活物質の装填量を最大にする。しかし、ある程度の内部カソード空隙は放電時の二硫化鉄の膨張と有機電解質による二硫化鉄の濡れとを可能にするために、並びにコーティングの不要な延び及び/又は層間剥離を回避するのに必要であるので、カソードは過度に緻密化されることはできない。
【実施例1】
【0079】
セルが図1及び図2に収載された情報に従って構成された。これらのセルは、21℃から0℃、−20℃、及び−40℃に冷却された。セルのインピーダンスデータは、各温度での1時間の均衡化の後、65kHzから1Hzまでの周波数での掃引によって記録された。
【0080】
DIOX及びDMEのみを有する「対照」電解質と比較して、THF、2MeTHF、及びDMPの添加は、セルOCVを僅かに抑制したが、それに対してDIOX含有溶媒へのPC及びECの添加はセルOCVを有意に上昇させた。Liイミドを使用するセルは、LiI塩を同様に使用するセルに比較して僅かに高いOCVを有した。
【0081】
セルのオーミックインピーダンスによれば、65:35のDIOX:DME(本明細書で示された全ての比率は、室温で配合された容積比率である)溶媒配合物は、LiI塩を使用する時に最も低いインピーダンスを有した。THF及び2MeTHFは、溶媒配合物がDIOX及びDMEの両方を含有する時に、インピーダンスを僅かに増大させた。しかし、LiI塩を使用するTHF−DME及びDIOX−THF−2MeTHF配合物に対しては、インピーダンスは非常に大きかった。対照的に、塩がLiIからLiイミドに換えられた時に、LiCF3SO3及びLiClO4、更にLiI(より少ない程度であるが)と共に良好に機能しない多くのエーテル溶媒は、恐らくイオン会合の影響により、Liイミド塩と共に1次リチウムセルのために良好に機能することになる。しかし、Liイミドを使用する時に、カーボネートベース及びアセテートベースの溶媒は、あらゆるエーテルベースの溶媒よりも幾分高いインピーダンスを与えたが、それは、粘性が同様に有意な影響を与える場合があることを表している。
【実施例2】
【0082】
実施例1からのセル(そこに説明した冷却方式を含む)を用いて、カットオフ電圧(比較のために、1.0及び0.9ボルト両方までのカットオフ)に到達した後の標準の休止期間を伴って連続的低下ドレーン速度で連続的に放電される形跡試験が行われた。セルは、その後に次のドレーン速度で試験され、試験は完結するまで行われる。しかし、最初の1A放電に対しては、その間にセルのオーミック抵抗を観測することができる、放電の1分ごとの100mSの短い電流遮断が使用された。全ての低温試験に対して、試験スケジュールは、指定の試験温度での最低2−3時間の滞留時間を可能にするために組込まれた5時間の遅延も有する。
【0083】
図3は、3つの異なる温度(21°、−20°、及び−40℃)での形跡試験の1A段階に関する稼働を要約している。塩がLiIからLiイミドに換えられた時に、それらは、対照溶媒に比べて同等に又は単に僅かに劣って機能する。これは、エーテル溶媒内でのLiイミドのLiIよりも高いイオン解離に主として起因する。−20℃では、カーボネート及びアセテート溶媒配合物が、1A/−20℃試験に対して基本的にゼロの稼働を与えた。−40℃では、対照(ロット1113)を含むロットの過半数は、あらゆる稼働時間を与えなかった。良好な稼働を示すロットのうちで、THFを含む溶媒配合物が、21°、−20°、及び−40℃での全体的な1A性能に関して最良であった。
【0084】
これらの結果が与えられると、THFは、1A/−40℃試験に関係する突然停止問題の解決及び−40℃での低/中程度速度試験に関するその性能の改善に関して、DME、2MeTHE、及びDMPと比較して最も予想することができる溶媒として特定された。
【0085】
Liイミド塩に対しては、THFの使用は、20°及び−20℃両方での性能へのいずれの悪影響も引き起こすことなく、1A/−40℃試験に関する性能を改善した。2MeTHFのような低いカチオンイオン溶媒和力を有する溶媒を使用する溶媒配合物は、THF及び2MeTHF含有エーテル溶媒内のLiI塩に対してよりもLiイミドに関するイオン解離のより少ない傾向に恐らく起因して、良好に機能することができる。
【0086】
Liイオンセルの低温性能を改善したカーボネートベース及びアセテートベースの電解質は、リチウムアノード表面の極めて抵抗性のSEI層の生成に恐らく起因して、−20℃であってもLi/FeS2AAセルにおいて最悪の性能を示している。
【0087】
図4から図7は、21°、−20°、及び−40℃での全ロットに関する詳細な形跡試験のデータを示している。ここで注意すべきは、エラーバーが、適切な場合には含まれていることである。21℃では、L91−20ジェリーロールを使用して評価された全ての速度機能は、35:30:35のDIOX:THF:2MeTHF溶媒配合物に溶解された0.75M’LiIを使用したロット1114を除いては非常に良好であった。低速度性能は、その製造に問題があった可能性があるロット1114以外の全てのLiIロットに対して、電流が10mAまで低減される時に2800から3000mAhに向う放電容量の漸次収束に見ることができるように、使用された溶媒に非常に鈍感であった。全てのLiイミドのロットは、LiI対照ロットに等しいか又はそれより僅かに良好な性能を示している。−20℃では、いずれの代替溶媒もLiI及びLiイミドの性能を改善しなかった。しかし、−40℃では、代替の溶媒配合物の一部は、Liイミド電解質の性能及びLiI電解質の性能を低ドレーンであってさえも改善した。
【実施例3】
【0088】
更に別の試験が、実施例1からのセル(そこに説明した冷却方式を含む)を用いて行われたが、今回は、低温(−40℃)及び周囲温度での最良の性能に対して最適化された組成を有するDIOX:DME:THF溶媒配合物を使用するLiIが用いられた。
【0089】
この実施例におけるセルは、従来の教示(例えば、Matsuda他、JES、131、2821の参照文献を参照されたい)に比較して、−40℃での予期しない利点を示している。
【0090】
この溶媒組成は、「Stat−Ease,Inc.」による「Design Expert(登録商標)バージョン7.1.13」を使用して最適化された。すなわち、セルの低温性能の改善に重点を置いた最適化溶媒組成は、57.3重量%DIOX、23.8重量%DME、及び18.9重量%THFであった。
【0091】
より一般的には、−40℃「突然死」問題を解決することができる溶媒組成の範囲として、25−70重量%でのDIOX、0−67重量%でのDME、及び10−80重量%でのTHFが挙げられる。これらの値は、図8に記録された一連の実験から導出されたものである。
【0092】
DME(これは、催奇性である)を全く含まないか又はDMEが非常に僅かな量である二元DIOX−THFシステムも可能である。DIOX:DME配合物内のLiイミド塩に対しては突然死問題がないので、Liイミドと、10−95重量%の範囲、より好ましくは35−85重量%の範囲、最も好ましくは45−75重量%の範囲のTHFとを使用するDIOX:THF溶媒システムが可能である。このシステムの残りは、DIOXであると考えられる。更に別の支持するデータが図9に表されている。
【0093】
本発明の特徴及びその利点は、特に、本明細書に提供された実施例、図、表、及び他の情報と、本発明を更に良好に理解するのに必要でありかつ本明細書にその範囲まで組み込まれた上述のあらゆる特許文献とを参照して、本発明を実施する人々によって更に良く理解されるであろう。同様に、開示された概念の意図を逸脱することなく様々な修正及び改良を本発明に対して行うことができることは、本発明の実施者、並びに当業者によって理解されるであろう。与えられる保護の範囲は、特許請求の範囲、並びに法的に許容される解釈の幅によって判断されることになる。
【符号の説明】
【0094】
12 円筒形容器
14 上部カバー
18 アノード
20 カソード
26 セパレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放端を有する円筒形容器と、
前記開放端を密封する上部カバーと、
リチウム又はリチウムベース合金で基本的に構成されたアノード、中実ホイル集電体上に被覆された導体と、結合剤と、少なくとも80重量%の二硫化鉄とを含む混合物から構成されるカソード、及び該アノードと該カソードの間に配置されたセパレータを含み、前記容器の内側に配置されたジェリーロール電極アセンブリと、
10−95重量%のテトラヒドロフラン及び5−90重量%の1,3−ジオキソランで基本的に構成される溶媒配合物と、リチウムイミド、ヨウ化リチウム、及びその組合せから構成される群から選択された溶質とを有する電解質と、
を含むことを特徴とする電気化学セル。
【請求項2】
前記溶媒配合物は、35−85重量%テトラヒドロフラン及び15−65重量%1,3−ジオキソランで基本的に構成されることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項3】
前記溶媒配合物は、45−75重量%テトラヒドロフラン及び25−55重量%1,3−ジオキソランで基本的に構成されることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項4】
開放端を有する円筒形容器と、
前記開放端を密封する上部カバーと、
リチウム又はリチウムベース合金で基本的に構成されたアノード、中実ホイル集電体上に被覆された導体と、結合剤と、少なくとも80重量%の二硫化鉄とを含む混合物から構成されるカソード、及び該アノードと該カソードの間に配置されたセパレータを含み、前記容器の内側に配置されたジェリーロール電極アセンブリと、
テトラヒドロフランと、1,3−ジオキソランと、1,2−ジメトキシエタンとに溶解された溶質で基本的に構成される電解質と、
を含むことを特徴とするFR6又はFR03バッテリ。
【請求項5】
前記溶質は、リチウムイミド、ヨウ化リチウム、及びその組合せから構成される群から選択されることを特徴とする請求項4に記載のバッテリ。
【請求項6】
前記電解質は、1,3−ジオキソラン及び1,2−ジメトキシエタンのみで基本的に構成され、前記溶質は、リチウムイミドで基本的に構成されることを特徴とする請求項5に記載のバッテリ。
【請求項7】
前記電解質は、少なくとも30重量%のテトラヒドロフランを有することを特徴とする請求項5に記載のバッテリ。
【請求項8】
前記電解質は、1,2−ジメトキシエタンを含まないことを特徴とする請求項7に記載のバッテリ。
【請求項9】
前記電解質はまた、少なくとも40重量%の1,3−ジオキソラン及び少なくとも20重量%の1,2−ジメトキシエタンを有することを特徴とする請求項7に記載のバッテリ。
【請求項10】
開放端を有する円筒形容器と、
前記開放端を密封する上部カバーと、
リチウム又はリチウムベース合金で基本的に構成されたアノード、中実ホイル集電体上に被覆された導体と、結合剤と、少なくとも80重量%の二硫化鉄とを含む混合物から構成されるカソード、及び該アノードと該カソードの間に配置されたセパレータを含み、前記容器の内側に配置されたジェリーロール電極アセンブリと、
10−95重量%のテトラヒドロフランベースの溶媒と、5−90重量%の1,3−ジオキソランと、0−40重量%の1,2−ジメトキシエタンとで基本的に構成された溶媒配合物、及びリチウムイミド、ヨウ化リチウム、及びその組合せから構成される群から選択された溶質を有する電解質と、
を含むことを特徴とする電気化学セル。
【請求項11】
前記テトラヒドロフランベースの溶媒は、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、及びその組合せから構成される群から選択されることを特徴とする請求項10に記載の電気化学セル。
【請求項12】
前記電解質は、1,2−ジメトキシエタンを含まないことを特徴とする請求項11に記載の電気化学セル。
【請求項13】
前記電解質は、少なくとも30重量%テトラヒドロフランを有することを特徴とする請求項11に記載の電気化学セル。
【請求項14】
前記電解質は、2−メチルテトラヒドロフランを含み、かつ重量百分率に基づいてテトラヒドロフランよりも多くの2−メチルテトラヒドロフランを有することを特徴とする請求項13に記載の電気化学セル。
【請求項15】
前記電解質は、少なくとも40重量%の1,3−ジオキソラン及び少なくとも20重量%の1,2−ジメトキシエタンを有することを特徴とする請求項11に記載の電気化学セル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−529625(P2011−529625A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521114(P2011−521114)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/004340
【国際公開番号】WO2010/014194
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(397043422)エバレデイ バツテリ カンパニー インコーポレーテツド (123)
【Fターム(参考)】