説明

2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノメチル‐4‐トリフルオロメチルピリジン誘導体及びその製造方法

【課題】 医薬又は農薬の製造用中間体として有用な2−シクロプロピル−6−ハロゲノメチル−4−トリフルオロメチルピリジン誘導体及びその製造方法に関する。
【解決手段】 式(I):
【化1】


(式中、Xは塩素原子又は臭素原子である)で表される2−シクロプロピル−6−ハロゲノメチル−4−トリフルオロメチルピリジン誘導体の製造方法であって、(6−シクロプロピル−4−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)メタノールと、塩素化剤又は臭素化剤とを反応させることを特徴とする前記2−シクロプロピル−6−ハロゲノメチル−4−トリフルオロメチルピリジン誘導体の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬又は農薬の製造用中間体として有用な新規な2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノメチル‐4‐トリフルオロメチルピリジン誘導体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2-シクロプロピル-6-(((4-フェニルピペリジン-4-イル)メトキシ)メチル)-4-(トリフルオロメチル)ピリジン、2-シクロプロピル-6-(((1−メチル−4-フェニルピペリジン-4-イル)メトキシ)メチル)-4-(トリフルオロメチル)ピリジン及び2-シクロプロピル-6-(((4-(4-フルオロフェニル)-1-メチルピペリジン-4-イル)メトキシ)メチル)-4-(トリフルオロメチル)ピリジン等の置換ヘテロサイクリックエーテルが、中枢神経疾患の治療に用いられることが記載されている。また、特定のハロゲノメチルピリジン誘導体から、前記置換ヘテロサイクリックエーテルが製造できることが記載されている。しかしながら、後記式(I)で表わされる2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノメチル‐4‐トリフルオロメチルピリジン誘導体に関する具体的記載はない。また、該ハロゲノメチルピリジン誘導体の製造方法は、本発明化合物の製造方法とは異なる。
【0003】
特許文献2には、2位にハロゲン原子を有するピリジン類をパラジウム錯体等の触媒の存在下、アルコール中で一酸化炭素と反応させて、2位のハロゲン原子をアルコキシカルボニル基に変換する方法が記載されている。また、2位にアルコキシカルボニル基を有するピリジン類と還元剤とを反応させて、2位にヒドロキシメチル基を有するピリジン類を製造する方法が記載されている。しかしながら、本発明化合物の製造方法は記載されていない。また、後記式(II)で表わされる化合物及び(6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐イル)メタノールに関する具体的記載はない。
【0004】
特許文献3には、後記式(III)で表わされる2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノ‐4‐トリフルオロメチルピリジン及びその製造方法が記載されている。しかしながら、本発明化合物の製造方法については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開公報 WO2009/096941
【特許文献2】国際公開公報 WO2002/066434
【特許文献3】国際公開公報 WO2010/119886
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
医薬又は農薬製造用の新規な中間体化合物の創製が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノ‐4‐トリフルオロメチルピリジンを出発原料として、有用な医薬又は農薬製造用中間体を製造する方法を種々検討した。その結果、中枢神経疾患用医薬の製造原料としても使用可能な2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノメチル‐4‐トリフルオロメチルピリジン誘導体及びその製造方法を見出し、本発明を完成した。即ち本発明は、 式(I):
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、Xは塩素原子又は臭素原子である)で表される2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノメチル‐4‐トリフルオロメチルピリジン誘導体に関する。また、本発明は、式(I):
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、Xは塩素原子又は臭素原子である)で表される2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノメチル‐4‐トリフルオロメチルピリジン誘導体の製造方法であって、(6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐イル)メタノールと、塩素化剤又は臭素化剤とを反応させることを特徴とする前記2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノメチル‐4‐トリフルオロメチルピリジン誘導体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0012】
新規な2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノメチル‐4‐トリフルオロメチルピリジン誘導体を提供することにより、新規な農薬又は医薬の創製を促進する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本発明化合物の製造)
以下に、本発明の2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノメチル‐4‐トリフルオロメチルピリジン誘導体の製造方法につき反応フローを示し詳述する。2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノメチル‐4‐トリフルオロメチルピリジン誘導体は、(6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐イル)メタノールと、塩素化剤又は臭素化剤とを反応させて成る以下のフロー中の(iii)の反応で得られるが、フロー中に示した(i)〜(iii)の3段階の方法にて効率的に製造できる。また、フロー中に示した(ii)〜(iii)の2段階の方法でも製造できる。
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、Xは塩素原子又は臭素原子であり、RはC1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルである)
【0016】
前記フロー中のRで表わされるC1−6アルキルとしては、直鎖状又は分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。一方、Rで表わされるC3-6シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられる。また、前記した式(III)で表わされる化合物は、前記した特許文献3に記載の方法にて製造できる。
【0017】
第一段階の反応(フロー中の(i))では、式(III)の化合物を、カルボニル化金属触媒及び塩基の存在下、式(IV)で表わされるアルコール及び一酸化炭素と反応させて、式(II)で表わされる化合物が得られる。第一段階の反応は、通常30〜300℃、望ましくは50〜200℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.1〜48時間程度、望ましくは0.2〜24時間程度とすることができる。第一段階の反応により、ピリジン環の2位にアルコキシカルボニル基を導入することができる。式(IV)のアルコールは、式(III)の化合物に対し1倍モル〜大過剰、望ましくは1〜100倍モル使用できる。また、一酸化炭素は、式(III)の化合物に対し1倍モル〜大過剰、望ましくは1〜100倍モル使用できる。
【0018】
カルボニル化金属触媒としては、例えば、パラジウム炭素、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、アセチルアセトンパラジウム等のパラジウム金属触媒、パラジウム錯体又は錯塩;ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のホスフィン配位子を適度に組み合わせたパラジウム錯体;等が挙げられる。
前記したホスフィン配位子としては、トリフェニルホスフィン、1,3‐ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4‐ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5‐ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,1′‐ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、2,2’‐ビピリジル、トリ(オルトトリル)ホスフィン、トリ(t−ブチル)ホスフィン等が使用できる。
【0019】
塩基としては、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム第3級ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような炭酸塩;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムのような重炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような金属水酸化物;トリエチルアミン、トリブチルアミンのようなアミン類;ピリジン、ピコリン、ルチジンのようなピリジン類;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ酢酸塩などから1種又は2種以上を適宜選択できる。塩基は、式(III)の化合物に対し1〜10倍モル、望ましくは1〜2倍モル使用できる。
【0020】
第二段階の反応(フロー中の(ii))では、式(II)の化合物と還元剤とを反応させて、(6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐イル)メタノールを得ることができる。還元剤としては、例えば、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム等のような金属水素化物;金属ナトリウムのようなアルカリ金属;等を挙げることができる。また、高温高圧下、亜クロム酸銅触媒やアダムス触媒等を用いた水素接触還元法なども選択することができる。第二段階の反応は、通常-70〜100℃、望ましくは-10〜60℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.1〜48時間程度、望ましくは0.1〜24時間程度とすることができる。
【0021】
第二段階の反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、のような芳香族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ヘキサン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類;ピリジン、アセトニトリル、プロピオニトリルのような極性非プロトン性溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類などから1種又は2種以上を適宜選択できる。
【0022】
第三段階の反応(フロー中の(iii))では、(6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐イル)メタノールと、塩素化剤又は臭素化剤とを反応させて、前記式(I)の2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノメチル-4‐トリフルオロメチルピリジン誘導体が得られる。第三段階の反応は、通常-20〜150℃、望ましくは-10〜100℃の反応温度で行われる。反応時間は、通常0.1〜48時間、望ましくは0.5〜24時間である。塩素化剤又は臭素化剤は、(6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐イル)メタノールに対して0.2〜10倍モル、望ましくは1〜2倍モル使用できる。
【0023】
塩素化剤としては、例えば塩酸、塩素、N-クロロコハク酸イミド、塩化チオニル、塩化オキサリル、オキシ塩化リン、三塩化リン、五塩化リン、トリフェニルホスフィン四塩化炭素付加物、トリスオクチルホスフィン四塩化炭素付加物、トリフェニルフォスファイトベンジル クロライド等を、臭素剤としては例えば臭化水素酸、臭素化ナトリウム、臭素、N-ブロモコハク酸イミド、臭化チオニル、臭化オキサリル、オキシ臭化リン、三臭化リン、五臭化リン、トリフェニルホスフィン ジブロマイド、トリフェニルフォスファイトベンジル ブロミド、等を挙げることができる。
【0024】
第三段階の反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンのような芳香族炭化水素類;四塩化炭素、塩化メチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテルのような脂肪族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類;塩酸、臭化水素酸、硫酸、酢酸のような極性プロトン性溶媒;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ピリジン、アセトニトリル、プロピオニトリルのような極性非プロトン性溶媒などから1種又は2種以上を適宜選択できる。
【0025】
第一段階〜第三段階における各反応諸条件は、各々適宜相互に組み合わせることができる。これら反応諸条件の中には、通常範囲の反応条件と望ましい範囲の反応条件を有するものがあるが、これらも適宜相互に選択し、組み合わせることができる。本発明の2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノメチル‐4‐トリフルオロメチルピリジン誘導体の実施形態を以下に記載する。
【0026】
(1)(6−シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐イル)メタノールと、塩素化剤又は臭素化剤とを反応させることを特徴とする前記式(I)の2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノメチル‐4‐トリフルオロメチル‐ピリジン誘導体の製造方法。
(2)前記式(II)の化合物と還元剤とを反応させて、(6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐イル)メタノールを得た後、このものと塩素化剤又は臭素化剤とを反応させることを特徴とする前記(1)に記載の製造方法。
(3)(i)前記式(III)の化合物を、カルボニル化金属触媒及び塩基の存在下、前記式(IV)のアルコール及び一酸化炭素と反応させて、前記式(II)の化合物を得る第一段階;(ii)第一段階で得られた式(II)の化合物と、還元剤とを反応させて、(6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐イル)メタノールを得る第二段階;及び(iii)第二段階で得られた(6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐イル)メタノールと、塩素化剤又は臭素化剤とを反応させる第三段階から成ることを特徴とする前記(1)に記載の製造方法。
なお、前記した第一段階の反応の生成物である式(II):
【0027】
【化4】

(式中、RはC1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルである)で表される化合物、前記した第二段階の反応の生成物である(6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐イル)メタノール、及び前記した第三段階の反応の生成物である式(I):
【0028】
【化5】

(式中、Xは塩素原子又は臭素原子である)で表わされる化合物は、新規化合物である。
【実施例】
【0029】
本発明をより詳しく述べるために、以下に実施例を記載するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
【0030】
合成例1 6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐カルボン酸 エチルエステルの合成
一酸化炭素ガス雰囲気下(1.5Mpa)、2‐クロロ‐6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン(803mg, 3.63mmol)、 酢酸ナトリウム(615mg, 7.49mmol)、 エタノール(10ml)及びパラジウム-炭素(128mg, 5wt%, 湿体デグッサタイプ E 105CA/W)と、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(66mg, 1.62x10-4mol)をミニオートクレーブに入れ、100〜105℃で21時間加熱反応させた。内圧は2.0MPaまで上昇した。冷却後、冷水を投入した。セライトろ過し、触媒を取り除いた。酢酸エチルで触媒を洗浄した後、あわせたろ液を酢酸エチルで三度抽出した。有機層を芒硝で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた薄茶色液体をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=0:10〜1:9)にて精製し、無色の液体765mgを単離した(純度98.8%、収率80%)。このものの1H-NMR(CDCl3)を測定したところ、δ 1.13(m, 4H), 1.40(t, 3H), 2.22(m, 1H), 4.45(q, 2H), 7.40(s, 1H), 8.02(s, 1H)であった。また、GC-MS分析により、このものが目的物であることを確認した。
【0031】
合成例2 (6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐イル)メタノールの合成
水素化アルミニウムリチウム (49mg, 1.29mmol)を乾燥ジエチルエーテル(10ml)に懸濁させた。そこへ、6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐カルボン酸 エチルエステル (302mg, 1.17mmol)を乾燥ジエチルエーテル(5ml)に溶解した溶液を8〜11℃で滴下した。室温で一晩攪拌した後、水素化アルミニウムリチウム (5mg)を追加し、室温でさらに2時間攪拌した。水(1ml)を8℃以下で加えた後、室温で1.5時間攪拌した。この溶液をセライトろ過した後、セライトを酢酸エチルで洗浄した。あわせたろ液を濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:9〜3:7)にて精製し、融点50.1〜51.2℃の白色結晶201mgを単離した(純度99%以上、収率79%)。このものの1H-NMR(CDCl3)を測定したところ、δ 1.06-1.11(m, 4H), 2.10-2.15(m, 1H), 3.65-3.90(bs, 1H), 4.74(s, 2H), 7.18(s, 1H), 7.26(s, 1H)であった。また、GC-MS分析により、このものが目的物であることを確認した。
【0032】
合成例3 2‐クロロメチル‐6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジンの合成
アミレンで安定化したクロロホルム(20ml), ジメチルホルムアミド (22mg)と(6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐イル)メタノール(587mg, 2.71mmol)の混合液を氷で冷却した。塩化チオニル (365mg, 3.07mmol)を10分間かけ+5℃以下で滴下した後、室温で3時間攪拌した。濃縮後、冷水と酢酸エチルを加えた。炭酸水素ナトリウム(583mg、6.94mmol)を加え室温で40分間攪拌した。酢酸エチルで三度抽出した後、有機層を三度水洗した。有機層を芒硝で乾燥した後、溶媒を留去して茶色液体(583mg)を得、蒸留にて精製し、沸点63.0〜64.5℃/4hPaの透明液体292mgを単離した(純度86.2%、収率39%)。このものの1H-NMR(CDCl3)を測定したところ、δ 1.04-1.08(m, 4H), 2.09-2.11(m, 1H), 4.62(s, 2H), 7.26(s, 1H), 7.43(s, 1H)であった。また、GC-MS分析により、このものが目的物であることを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、Xは塩素原子又は臭素原子である)で表される2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノメチル‐4‐トリフルオロメチルピリジン誘導体。
【請求項2】
式(I):
【化2】

(式中、Xは塩素原子又は臭素原子である)で表される2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノメチル‐4‐トリフルオロメチルピリジン誘導体の製造方法であって、(6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐イル)メタノールと、塩素化剤又は臭素化剤とを反応させることを特徴とする前記2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノメチル‐4‐トリフルオロメチルピリジン誘導体の製造方法。
【請求項3】
式(II):
【化3】

(式中、RはC1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルである)で表される化合物と還元剤とを反応させて、(6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐イル)メタノールを得た後、このものと塩素化剤又は臭素化剤とを反応させることを特徴とする前記請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
(i)式(III):
【化4】

(式中、Xは塩素原子又は臭素原子である)で表わされる化合物を、カルボニル化金属触媒及び塩基の存在下、式(IV):ROH (式中、RはC1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルである)で表わされるアルコール及び一酸化炭素と反応させて、式(II):
【化5】

(式中、Rは前述の通りである)で表される化合物を得る第一段階;
(ii)第一段階で得られた式(II)で表される化合物と、還元剤とを反応させて、(6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐イル)メタノールを得る第二段階;及び
(iii)第二段階で得られた(6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐イル)メタノールと、塩素化剤又は臭素化剤とを反応させる第三段階から成ることを特徴とする前記請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
式(II):
【化6】

(式中、RはC1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルである)で表される化合物。
【請求項6】
(6‐シクロプロピル‐4‐トリフルオロメチルピリジン‐2‐イル)メタノール。

【公開番号】特開2012−106964(P2012−106964A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258516(P2010−258516)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】