説明

2’’オキソ−ボルウスカリンおよびその誘導体

本発明は、新規な化合物2''オキソ-ボルウスカリンおよび誘導体に関する。さらに、本発明は、新規な2''オキソ-ボルウスカリンまたは誘導体を含む医薬組成物に関する。さらに、本発明は、薬剤として使用するための、および癌治療用薬剤の調製において使用するための2''オキソ-ボルウスカリンおよび誘導体に関する。本発明は、癌の治療方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な2''オキソ-ボルウスカリン(oxo-voruscharin)およびその誘導体に関する。さらに、本発明は、新規な2''オキソ-ボルウスカリンまたは誘導体を含む医薬組成物に関する。さらに、本発明は、薬剤としての、および癌治療用薬剤を調製するための2''オキソ-ボルウスカリンおよび誘導体の使用に関する。本発明は、癌の治療方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ガガイモ(Asclepiadaceae)科植物は、極めて有毒であることが知られている。よく知られているガガイモ科の代表は、カロトロピスプロセラ(Calotropis procera)である。従来、カロトロピスプロセラ植物由来の抽出物は、堕胎薬として、嬰児殺し用に、リウマチ痛用に、および下剤を製造するために使用されてきた。この植物は有毒であるが、様々な病気の民間療法に少量で使用されており、抗血液凝固特性および抗癌特性に関してこの植物は研究され続けている。カロトロピスプロセラ植物の茎、花、および葉は、カルデノリドとして知られているある種の化合物を含むことが知られている。C.プロセラに見出されたカルデノリドグリコシドの例には、アスクレピン、ボルウスカリン、ウスカリン(uscharin)、ウスカリジン(uscharidin)、カロトロピン(calotropin)、カラクチン(calactin)、カロトキシン(calotoxin)、カロトロパゲニン(calotropagenin)、ウザリゲニン(uzarigenin)が含まれる。近年では、細胞障害活性がこうしたカルデノリドグリコシドによるものであり、これらはヒト治療で心不全の治療に利用されている。
【0003】
カルデノリドウスカリンが、医療目的に特に有用であることは記載されている。ウスカリンは単離されており、その化学構造(構造式I)が決定された。
【0004】
【化1】

【0005】
ウスカリンまたはその塩を含む組成物は、細胞増殖に関係する病状の治療に利用可能であると報告されてきた。たとえば、米国特許第6,342,490号(特許文献1)および国際公開公報WO-9852562号(特許文献2)は両方とも、ウスカリンまたはその塩を含む組成物、ならびに、たとえば癌治療における、細胞増殖に対処するためのウスカリンの使用を説明している。
【0006】
既知のカルデノリドグリコシドのいくつか、たとえば、カロトロピンやウザリゲニンは、細胞培養では細胞障害性であるが、in vivoで腫瘍阻害活性を示すとは述べられていない。また、ウスカリンは、in vitroで腫瘍細胞に対していくぶんかの細胞障害活性を有することも示されている。さらに、ウスカリンは、たとえば、米国特許第6,342,490号(特許文献1)に記載されているようにin vivoで腫瘍阻害作用を有することも記載されている。現在まで、ウスカリン誘導体が医療用途に有用であることは報告されていない。
【特許文献1】米国特許第6,342,490号
【特許文献2】国際公開公報WO-9852562号
【発明の開示】
【0007】
細胞障害活性を有する新規なカルデノリドグリコシドを提供することが本発明の概括的な目的である。医療用途に利用することができる新規なカルデノリドグリコシドを提供することが本発明の別の概括的な目的である。
【0008】
(概要)
第1態様では、本発明は、式Iの化合物またはその医薬的に受容可能な塩に関する。
【0009】
【化2】

式中、
R1は、水素、アルキル(alkyl)、アルケニル(alkenyl)、アルキニル(alkynyl)、アルキルオキシ(alkyloxy)、アルキルオキシアルキル(alkyloxyalkyl)、アルキルチオアルキル(alkylthioalkyl)、アルキルオキシカルボニル(alkyloxycarbonyl)、アルキルチオカルボニル(alkylthiocarbonyl)、アルカノイル(alkanoyl)、シクロアルキルアルキル(cycloalkylalkyl)、シクロアルキルカルボニル(cycloalkylcarbonyl)、シクロアルキルアルカノイル(cycloalkylalkanoyl)、シクロアルキルチオカルボニル(cycloalkylthiocarbonyl)、シクロアルキルアルコキシカルボニル(cycloalkylalkoxycarbonyl)、シクロアルキルアルコキシチオカルボニル(cycloalkylalkoxythiocarbonyl)、シクロアルキルチオアルキル(cycloalkylthioalkyl)、アルキルカルボニルオキシアルキル(alkylcarbonyloxyalkyl)、アリールカルボニルオキシアルキル(arylcarbonyloxyalkyl)、シクロアルキルカルボニルオキシアルキル(cycloalkylcarbonyloxyalkyl)、シリルオキシアルキル(silyloxyalkyl)、アラルキル(aralkyl)、アリールアルケニル(arylalkenyl)、アリールカルボニル(arylcarbonyl)、アリールオキシカルボニル(aryloxycarbonyl)、アリールチオカルボニル(arylthiocarbonyl)、アラルコキシカルボニル(aralkoxycarbonyl)、アリールアルキルチオカルボニル(arylalkylthiocarbonyl)、アリールオキシアルキル(aryloxyalkyl)、アリールチオアルキル(arylthioalkyl)、ハロアルキル(haloalkyl)、ヒドロキシアルキル(hydroxyalkyl)、アラルカノイル(aralkanoyl)、アロイル(aroyl)、アリールオキシカルボニルアルキル(aryloxycarbonylalkyl)、アリールオキシアルカノイル(aryloxyalkanoyl)、カルボキシル(carboxyl)、ホルミル(formyl)、アルケニルカルボニル(alkenylcarbonyl)、アルキニルカルボニル(alkynylcarbonyl)、Het1、Het1アルキル、Het1オキシアルキル(oxyalkyl)、Het1アリール(aryl)、Het1アラルキル、Het1シクロアルキル(cycloalkyl)、Het1カルボニル(carbonyl)、Het1アルコキシカルボニル(alkoxycarbonyl)、Het1アルキルチオカルボニル(alkylthiocarbonyl)、Het1オキシカルボニル(oxycarbonyl)、Het1チオカルボニル(thiocarbonyl)、Het1アルカノイル(alkanoyl)、Het1アラルカノイル(aralkanoyl)、Het1アリールオキシアルキル(aryloxyalkyl)、Het1アルキルオキシアルキル(alkyloxyalkyl)、Het1アリールチオアルキル(arylthioalkyl)、Het1アリールオキシカルボニル(aryloxycarbonyl)、Het1アラルコキシカルボニル(aralkoxycarbonyl)、Het1アロイル(aroyl)、Het1オキシアルキルカルボニル(oxyalkylcarbonyl)、Het1アルキルオキシアルキルカルボニル(alkyloxyalkylcarbonyl)、Het1アリールオキシアルキルカルボニル(aryloxyalkylcarbonyl)、Het1カルボニルオキシアルキル(carbonyloxyalkyl)、Het1アルキルカルボニルオキシアルキル(alkylcarbonyloxyalkyl)、Het1アラルキルカルボニルオキシアルキル(aralkylcarbonyloxyalkyl)、Het2アルキル;Het2オキシアルキル(oxyalkyl)、Het2アルキルオキシアルキル(alkyloxyalkyl)、Het2アラルキル、Het2カルボニル(carbonyl)、Het2オキシカルボニル(oxycarbonyl)、Het2チオカルボニル(thiocarbonyl)、Het2アルカノイル(alkanoyl)、Het2アルキルチオカルボニル(alkylthiocarbonyl)、Het2アルコキシカルボニル(alkoxycarbonyl)、Het2アラルカノイル(aralkanoyl)、Het2アラルコキシカルボニル(aralkoxycarbonyl)、Het2アリールオキシカルボニル(aryloxycarbonyl)、Het2アロイル(aroyl)、Het2アリールオキシアルキル(aryloxyalkyl)、Het2アリールチオアルキル(arylthioalkyl)、Het2オキシアルキルカルボニル(oxyalkylcarbonyl)、Het2アルキルオキシアルキルカルボニル(alkyloxyalkylcarbonyl)、Het2アリールオキシアルキルカルボニル(aryloxyalkylcarbonyl)、Het2カルボニルオキシアルキル(carbonyloxyalkyl)、Het2アルキルカルボニルオキシアルキル(alkylcarbonyloxyalkyl)、Het2アラルキルカルボニルオキシアルキル(aralkylcarbonyloxyalkyl)、シアノ(cyano)、アミノカルボニル(aminocarbonyl)、アミノアルカノイル(aminoalkanoyl)、アミノアルキル(aminoalkyl)、CR6=NR7またはCR6=N(OR7)を含む群から選択され、ここで、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル(hydroxyl)、アルキル(alkyl)、アリール(aryl)、Het1、Het1アルキル、Het1アリール、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル(aminoalkyl)、アミノアリール(aminoaryl)、アルキルカルボニルアミノ(alkylcarbonylamino)、アリールカルボニルアミノ(arylcarbonylamino)、アルキルチオカルボニルアミノ(alkylthiocarbonylamino)、およびアリールチオカルボニルアミノ(arylthiocarbonylamino)を含む群から選択され;
【0010】
式中、R2およびR3は、それぞれ独立に、ヒドロキシル、アルキルオキシ、アルキルシリルオキシ(alkylsilyloxy)、アリールシリルオキシ(arylsilyloxy)、アルキルオキシアルキルオキシ(alkyloxyalkyloxy)、シクロアルキルオキシシクロアルキルアルキルオキシ(cycloalkyloxycycloalkylalkyloxy)、アラルキルオキシ(aralkyloxy)、アリールオキシアルキルオキシ(aryloxyalkyloxy)、シリルオキシ(silyloxy)、アルキルカルボニルオキシ(alkylcarbonyloxy)、アリールカルボニルオキシ(arylcarbonyloxy)、シクロアルキルカルボニルオキシ(cycloalkylcarbonyloxy)、ハロアルキルオキシ、ヒドロキシアルキルオキシ(hydroxyalkyloxy)、アラルカノイルオキシ(aralkanoyloxy)、アロイルオキシ(aroyloxy)、アリールオキシカルボニルアルキルオキシ(aryloxycarbonylalkyloxy)、ホルミルオキシ(formyloxy)、Het1アルキルオキシ、Het1オキシ(oxy)、Het1オキシアルキルオキシ(oxyalkyloxy)、Het1アリールオキシ(aryloxy)、Het1アラルキルオキシ(aralkyloxy)、Het1シクロアルキルオキシ(cycloalkyloxy)、Het1カルボニルオキシ(carbonyloxy)、Het1オキシカルボニルオキシ(oxycarbonyloxy)、Het1アルカノイルオキシ(alkanoyloxy)、Het1アラルカノイルオキシ(aralkanoyloxy)、Het1アリールオキシアルキルオキシ(aryloxyalkyloxy)、Het1アロイル(aroyl)、Het2オキシ、Het2アルキルオキシ(alkyloxy);Het2オキシアルキルオキシ(oxyalkyloxy)、Het2アラルキルオキシ(aralkyloxy)、Het2シクロアルキルオキシ(cycloalkyloxy)、Het2アルカノイルオキシ(alkanoyloxy)、Het2アラルカノイルオキシ(aralkanoyloxy)、Het2カルボニルオキシル(carbonyloxyl)、Het2アリールオキシ(aryloxy)、Het2アリールオキシアルキルオキシ(aryloxyalkyloxy)を含む群から選択され、
【0011】
その場合、R1、R2、およびR3は、任意に、アルキル、アラルキル、アリール、Het1、Het2、シクロアルキル(cycloalkyl)、アルキルオキシカルボニル(alkyloxycarbonyl)、カルボキシル(carboxyl)、アミノカルボニル(aminocarbonyl)、モノまたはジ(アルキル)アミノカルボニル(aminocarbonyl)、アミノスルホニル(aminosulfonyl)、アルキルS(=O)t(alkylS(=O)t)、ヒドロキシ、シアノ(cyano)、ハロゲン、または任意に1置換または2置換されているアミノを含む群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換されており、ここでその置換基は、それぞれ独立に、アルキル、アリール、アラルキル、アリールオキシ(aryloxy)、アリールアミノ(arylamino)、アリールチオ(arylthio)、アリールオキシアルキル(aryloxyalkyl)、アリールアミノアルキル(arylaminoalkyl)、アラルコキシ(aralkoxy)、アルキルチオ(alkylthio)、アルコキシ(alkoxy)、アリールオキシアルコキシ(aryloxyalkoxy)、アリールアミノアルコキシ(arylaminoalkoxy)、アラルキルアミノ(aralkylamino)、アリールオキシアルキルアミノ(aryloxyalkylamino)、アリールアミノアルキルアミノ(arylaminoalkylamino)、アリールチオアルコキシ(arylthioalkoxy)、アリールチオアルキルアミノ(arylthioalkylamino)、アラルキルチオ(aralkylthio)、アリールオキシアルキルチオ(aryloxyalkylthio)、アリールアミノアルキルチオ(arylaminoalkylthio)、アリールチオアルキルチオ(arylthioalkylthio)、アルキルアミノ(alkylamino)、シクロアルキル(cycloalkyl)、シクロアルキルアルキル(cycloalkylalkyl)、Het1、Het2、Het1アルキル、Het2アルキル、Het1アミノ、Het2アミノ、Het1アルキルアミノ、Het2アルキルアミノ、Het1チオ、Het2チオ、Het1アルキルチオ、Het2アルキルチオ、Het1オキシおよびHet2オキシ、OR8、SR8、SO2NR8R9、SO2N(OH)R8、CN、CR8=NR9、S(O)R8、SO2R8、CR8=N(OR9)、N3、NO2、NR8R9、N(OH)R8、C(O)R8、C(S)R8、CO2R8、C(O)SR8、C(O)NR8R9、C(S)NR8R9、C(O)N(OH)R9、C(S)N(OH)R8、NR8C(O)R9、NR8C(S)R9、N(OH)C(O)R9、N(OH)C(S)R8、NR8CO2R9、NR8C(O)NR9R10、およびNR8C(S)NR9R10、N(OH)CO2R8、NR8C(O)SR9、N(OH)C(O)NR8R9、N(OH)C(S)NR8R9、NR8C(O)N(OH)R9、NR8C(S)N(OH)R9、NR8SO2R9、NHSO2NR8R9、NR8SO2NHR9、P(O)(OR8)(OR9)を含む群から選択され、
【0012】
tは1〜2の整数であり、かつR8、R9、およびR10は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、Het1、Het1アルキル、Het1アリール、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル(aminoalkyl)、アミノアリール(aminoaryl)、アルキルカルボニルアミノ(alkylcarbonylamino)、アリールカルボニルアミノ(arylcarbonylamino)、アルキルチオカルボニルアミノ(alkylthiocarbonylamino)、およびアリールチオカルボニルアミノ(arylthiocarbonylamino)を含む群から選択され;
式中、R4は、水素、オキソ、式Iの窒素含有複素環上のN原子とC炭素原子間の二重結合によって置き換えられ;ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカンジイル(alkanediyl)、アルキルオキシ、アルキルチオ(alklylthio)、アルキルアミノ(alkylamino)、アルキルオキシアルキル(alkyloxyalkyl)、アリールカルボニルアルキル(arylcarbonylalkyl)、アルキルカルボニルアルキル(alkylcarbonylalkyl)、アルカノイル(alkanoyl)、シクロアルキルカルボニルアルキル(cycloalkylcarbonylalkyl)、シクロアルキル(cycloalkyl)、シクロアルキルオキシ(cycloalkyloxy)、シクロアルキルチオ(cycloalkylthio)、シクロアルキルアミノ(cycloalkylamino)、シクロアルキルアルキル(cycloalkylalkyl)、シクロアルキルアルカノイル(cycloalkylalkanoyl)、アリール、アラルキル、アリールアルケニル(arylalkenyl)、アリールカルボニルオキシ(arylcarbonyloxy)、アリールオキシカルボニルオキシ(aryloxycarbonyloxy)、アラルコキシカルボニルオキシ(aralkoxycarbonyloxy)、アリールオキシアルキル(aryloxyalkyl)、ハロアルキルオキシ、ハロアルキルチオ(haloalkylthio)、ハロアルキルアミノ(haloalkylamino)、ヒドロキシアルキル(hydroxyalkyl)、アラルカノイル(aralkanoyl)、アリールオキシカルボニルアルキル(aryloxycarbonylalkyl)、アリールオキシアルカノイル(aryloxyalkanoyl)、Het1、Het1アルキル、Het1オキシ、Het1オキシアルキル(oxyalkyl)、Het1アリール、Het1アラルキル、Het1シクロアルキル(cycloalkyl)、Het1アリールオキシアルキル(aryloxyalkyl)、Het1アロイル(aroyl)、Het2、Het2オキシ、Het2アルキル;Het2オキシアルキル(oxyalkyl)、Het2アラルキル、Het2シクロアルキル(cycloalkyl)、Het2アリール、Het2アルカノイル(alkanoyl)、Het2アラルカノイル(aralkanoyl)、Het2アロイル(aroyl)、Het2アリールオキシアルキル(aryloxyalkyl)、アミノカルボニル(aminocarbonyl)、アミノアルカノイル(aminoalkanoyl)、アミノアルキル(aminoalkyl)を含む群から選択され、任意に、アルキル、アラルキル、アリール、Het1、Het2、シクロアルキル(cycloalkyl)、アルキルオキシカルボニル(alkyloxycarbonyl)、カルボキシル(carboxyl)、アミノカルボニル(aminocarbonyl)、モノまたはジ(アルキル)アミノカルボニル(aminocarbonyl)、アミノスルホニル(aminosulfonyl)、アルキルS(=O)t(alkylS(=O)t)、ヒドロキシ、シアノ(cyano)、ハロゲン、または任意に1置換または2置換されているアミノを含む群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換されておりここでその置換基は、それぞれ独立に、アルキル、アリール、アラルキル、アリールオキシ(aryloxy)、アリールアミノ(arylamino)、アリールチオ(arylthio)、アリールオキシアルキル(aryloxyalkyl)、アリールアミノアルキル(arylaminoalkyl)、アラルコキシ(aralkoxy)、アルキルチオ(alkylthio)、アルコキシ(alkoxy)、アリールオキシアルコキシ(aryloxyalkoxy)、アイルアミノアルコキシ(aylaminoalkoxy)、アラルキルアミノ(aralkylamino)、アリールオキシアルキルアミノ(aryloxyalkylamino)、アリールアミノアルキルアミノ(arylaminoalkylamino)、アリールチオアルコキシ(arylthioalkoxy)、アリールチオアルキルアミノ(arylthioalkylamino)、アラルキルチオ(aralkylthio)、アリールオキシアルキルチオ(aryloxyalkylthio)、アリールアミノアルキルチオ(arylaminoalkylthio)、アリールチオアルキルチオ(arylthioalkylthio)、アルキルアミノ(alkylamino)、シクロアルキル(cycloalkyl)、シクロアルキルアルキル(cycloalkylalkyl)、Het1、Het2、Het1アルキル、Het2アルキル、Het1アミノ、Het2アミノ、Het1アルキルアミノ、Het2アルキルアミノ、Het1チオ、Het2チオ、Het1アルキルチオ、Het2アルキルチオ、Het1オキシおよびHet2オキシ、OR11、SR11、SO2NR11R12、SO2N(OH)R11、CN、CR11=NR12、S(O)R11、SO2R11、CR11=N(OR12)、N3、NO2、NR11R12、N(OH)R11、C(O)R11、C(S)R11、CO2R11、C(O)SR11、C(O)NR11R12、C(S)NR11R12、C(O)N(OH)R12、C(S)N(OH)R11、NR11C(O)R12、NR11C(S)R12、N(OH)C(O)R12、N(OH)C(S)R11、NR11CO2R12、NR11C(O)NR12R13、およびNR11C(S)NR12R13、N(OH)CO2R11、NR11C(O)SR12、N(OH)C(O)NR11R12、N(OH)C(S)NR11R12、NR11C(O)N(OH)R12、NR11C(S)N(OH)R12、NR11SO2R12、NHSO2NR11R12、NR11SO2NHR12、P(O)(OR11)(OR12)を含む群から選択され、tは1〜2の整数であり、R11、R12、およびR13は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、およびアルキニルを含む群から選択され;かつ
【0013】
式中、R5は、水素、オキソ、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカンジイル(alkanediyl)、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル(alkyloxyalkyl)、アリールカルボニルアルキル(arylcarbonylalkyl)、アルキルカルボニルアルキル(alkylcarbonylalkyl)、アルカノイル(alkanoyl)、シクロアルキルカルボニルアルキル(cycloalkylcarbonylalkyl)、シクロアルキル(cycloalkyl)、シクロアルキルアルキル(cycloalkylalkyl)、シクロアルキルアルカノイル(cycloalkylalkanoyl)、アリール、アラルキル、アリールアルケニル(arylalkenyl)、アリールカルボニルオキシ(arylcarbonyloxy)、アリールオキシカルボニルオキシ(aryloxycarbonyloxy)、アラルコキシカルボニルオキシ(aralkoxycarbonyloxy)、アリールオキシアルキル(aryloxyalkyl)、ハロアルキル(haloalkyl)、ヒドロキシアルキル(hydroxyalkyl)、アラルカノイル(aralkanoyl)、アリールオキシカルボニルアルキル(aryloxycarbonylalkyl)、アリールオキシアルカノイル(aryloxyalkanoyl)、Het1、Het1アルキル、Het1オキシ、Het1オキシアルキル(oxyalkyl)、Het1アリール、Het1アラルキル、Het1シクロアルキル(cycloalkyl)、Het1アリールオキシアルキル(aryloxyalkyl)、Het1アロイル(aroyl)、Het2、Het2オキシ、Het2アルキル;Het2オキシアルキル(oxyalkyl)、Het2アラルキル、Het2シクロアルキル(cycloalkyl)、Het2アリール、Het2アルカノイル(alkanoyl)、Het2アラルカノイル(aralkanoyl)、Het2アロイル(aroyl)、Het2アリールオキシアルキル(aryloxyalkyl)、アミノカルボニル(aminocarbonyl)、アミノアルカノイル(aminoalkanoyl)、アミノアルキル(aminoalkyl)を含む群から選択され、任意に、アルキル、アラルキル、アリール、Het1、Het2、シクロアルキル(cycloalkyl)、アルキルオキシカルボニル(alkyloxycarbonyl)、カルボキシル(carboxyl)、アミノカルボニル(aminocarbonyl)、モノまたはジ(アルキル)アミノカルボニル(aminocarbonyl)、アミノスルホニル(aminosulfonyl)、アルキルS(=O)t(alkylS(=O)t)、ヒドロキシ、シアノ(cyano)、ハロゲン、または任意に1置換または2置換されているアミノを含む群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換され、ここでその置換基は、それぞれ独立に、アルキル、アリール、アラルキル、アリールオキシ(aryloxy)、アリールアミノ(arylamino)、アリールチオ(arylthio)、アリールオキシアルキル(aryloxyalkyl)、アリールアミノアルキル(arylaminoalkyl)、アラルコキシ(aralkoxy)、アルキルチオ(alkylthio)、アルコキシ(alkoxy)、アリールオキシアルコキシ(aryloxyalkoxy)、アイルアミノアルコキシ(aylaminoalkoxy)、アラルキルアミノ(aralkylamino)、アリールオキシアルキルアミノ(aryloxyalkylamino)、アリールアミノアルキルアミノ(arylaminoalkylamino)、アリールチオアルコキシ(arylthioalkoxy)、アリールチオアルキルアミノ(arylthioalkylamino)、アラルキルチオ(aralkylthio)、アリールオキシアルキルチオ(aryloxyalkylthio)、アリールアミノアルキルチオ(arylaminoalkylthio)、アリールチオアルキルチオ(arylthioalkylthio)、アルキルアミノ(alkylamino)、シクロアルキル(cycloalkyl)、シクロアルキルアルキル(cycloalkylalkyl)、Het1、Het2、Het1アルキル、Het2アルキル、Het1アミノ、Het2アミノ、Het1アルキルアミノ、Het2アルキルアミノ、Het1チオ、Het2チオ、Het1アルキルチオ、Het2アルキルチオ、Het1オキシおよびHet2オキシ、OR11、SR11、SO2NR11R12、SO2N(OH)R11、CN、CR11=NR12、S(O)R11、SO2R11、CR11=N(OR12)、N3、NO2、NR11R12、N(OH)R11、C(O)R11、C(S)R11、CO2R11、C(O)SR11、C(O)NR11R12、C(S)NR11R12、C(O)N(OH)R12、C(S)N(OH)R11、NR11C(O)R12、NR11C(S)R12、N(OH)C(O)R12、N(OH)C(S)R11、NR11CO2R12、NR11C(O)NR12R13、およびNR11C(S)NR12R13、N(OH)CO2R11、NR11C(O)SR12、N(OH)C(O)NR11R12、N(OH)C(S)NR11R12、NR11C(O)N(OH)R12、NR11C(S)N(OH)R12、NR11SO2R12、NHSO2NR11R12、NR11SO2NHR12、P(O)(OR11)(OR12)を含む群から選択され、tは1〜2の整数であり、R11、R12、およびR13は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、およびアルキニルを含む群から選択される。
【0014】
一実施形態では、本発明は、式Iの化合物、式中、R1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルキルオキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルカノイル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルキルアルカノイル、シクロアルキルチオカルボニル、シクロアルキルアルコキシカルボニル、シクロアルキルアルコキシチオカルボニル、シクロアルキルチオアルキル、アルキルカルボニルオキシアルキル、アリールカルボニルオキシアルキル、シクロアルキルカルボニルオキシアルキル、シリルオキシアルキル、アラルキル、アリールアルケニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールチオカルボニル、アラルコキシカルボニル、アリールアルキルチオカルボニル、アリールオキシアルキル、アリールチオアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アラルカノイル、アロイル、アリールオキシカルボニルアルキル、アリールオキシアルカノイル、カルボキシル、ホルミル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、Het1、Het1アルキル、Het1オキシアルキル、Het1アリール、Het1アラルキル、Het1シクロアルキル、Het1カルボニル、Het1アルコキシカルボニル、Het1アルキルチオカルボニル、Het1オキシカルボニル、Het1チオカルボニル、Het1アルカノイル、Het1アラルカノイル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アルキルオキシアルキル、Het1アリールチオアルキル、Het1アリールオキシカルボニル、Het1アラルコキシカルボニル、Het1アロイル、Het1オキシアルキルカルボニル、Het1アルキルオキシアルキルカルボニル、Het1アリールオキシアルキルカルボニル、Het1カルボニルオキシアルキル、Het1アルキルカルボニルオキシアルキル、Het1アラルキルカルボニルオキシアルキル、Het2アルキル;Het2オキシアルキル、Het2アルキルオキシアルキル、Het2アラルキル、Het2カルボニル、Het2オキシカルボニル、Het2チオカルボニル、Het2アルカノイル、Het2アルキルチオカルボニル、Het2アルコキシカルボニル、Het2アラルカノイル、Het2アラルコキシカルボニル、Het2アリールオキシカルボニル、Het2アロイル、Het2アリールオキシアルキル、Het2アリールチオアルキル、Het2オキシアルキルカルボニル、Het2アルキルオキシアルキルカルボニル、Het2アリールオキシアルキルカルボニル、Het2カルボニルオキシアルキル、Het2アルキルカルボニルオキシアルキル、Het2アラルキルカルボニルオキシアルキル、シアノ、アミノカルボニル、アミノアルカノイル、アミノアルキル、CR6=NR7またはCR6=N(OR7)を含む群から選択され、
ここでR6およびR7は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、Het1、Het1アルキル、Het1アリール、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、アミノアリール、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルキルチオカルボニルアミノ、およびアリールチオカルボニルアミノを含む群から選択され;
【0015】
式中、R2およびR3は、それぞれ独立に、ヒドロキシル、アルキルオキシ、アルキルシリルオキシ、アリールシリルオキシ、アルキルオキシアルキルオキシ、シクロアルキルオキシシクロアルキルアルキルオキシ、アラルキルオキシ、アリールオキシアルキルオキシ、シリルオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、シクロアルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルオキシ、ヒドロキシアルキルオキシ、アラルカノイルオキシ、アロイルオキシ、アリールオキシカルボニルアルキルオキシ、ホルミルオキシ、Het1アルキルオキシ、Het1オキシ、Het1オキシアルキルオキシ、Het1アリールオキシ、Het1アラルキルオキシ、Het1シクロアルキルオキシ、Het1カルボニルオキシ、Het1オキシカルボニルオキシ、Het1アルカノイルオキシ、Het1アラルカノイルオキシ、Het1アリールオキシアルキルオキシ、Het1アロイル、Het2オキシ、Het2アルキルオキシ;Het2オキシアルキルオキシ、Het2アラルキルオキシ、Het2シクロアルキルオキシ、Het2アルカノイルオキシ、Het2アラルカノイルオキシ、Het2カルボニルオキシル、Het2アリールオキシ、Het2アリールオキシアルキルオキシを含む群から選択され、
【0016】
その場合、R1、R2、およびR3は、任意に、アルキル、アラルキル、アリール、Het1、Het2、シクロアルキル、アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノまたはジ(アルキル)アミノカルボニル、アミノスルホニル、アルキルS(=O)t(alkylS(=O)t)、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、または任意に1置換または2置換されているアミノを含む群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換されており、ここでその置換基は、それぞれ独立に、アルキル、アリール、アラルキル、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールチオ、アリールオキシアルキル、アリールアミノアルキル、アラルコキシ、アルキルチオ、アルコキシ、アリールオキシアルコキシ、アリールアミノアルコキシ、アラルキルアミノ、アリールオキシアルキルアミノ、アリールアミノアルキルアミノ、アリールチオアルコキシ、アリールチオアルキルアミノ、アラルキルチオ、アリールオキシアルキルチオ、アリールアミノアルキルチオ、アリールチオアルキルチオ、アルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、Het1、Het2、Het1アルキル、Het2アルキル、Het1アミノ、Het2アミノ、Het1アルキルアミノ、Het2アルキルアミノ、Het1チオ、Het2チオ、Het1アルキルチオ、Het2アルキルチオ、Het1オキシおよびHet2オキシ、OR8、SR8、SO2NR8R9、SO2N(OH)R8、CN、CR8=NR9、S(O)R8、SO2R8、CR8=N(OR9)、N3、NO2、NR8R9、N(OH)R8、C(O)R8、C(S)R8、CO2R8、C(O)SR8、C(O)NR8R9、C(S)NR8R9、C(O)N(OH)R9、C(S)N(OH)R8、NR8C(O)R9、NR8C(S)R9、N(OH)C(O)R9、N(OH)C(S)R8、NR8CO2R9、NR8C(O)NR9R10、およびNR8C(S)NR9R10、N(OH)CO2R8、NR8C(O)SR9、N(OH)C(O)NR8R9、N(OH)C(S)NR8R9、NR8C(O)N(OH)R9、NR8C(S)N(OH)R9、NR8SO2R9、NHSO2NR8R9、NR8SO2NHR9、P(O)(OR8)(OR9)を含む群から選択され、
tは1〜2の整数であり、かつR8、R9、およびR10は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、Het1、Het1アルキル、Het1アリール、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、アミノアリール、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルキルチオカルボニルアミノ、およびアリールチオカルボニルアミノを含む群から選択され、
式中、R4はオキソであり、かつR5は水素またはアルキルである化合物に関する。
【0017】
特に、本発明は、R1がホルミル(-CHO)であり;R2およびR3がヒドロキシルであり;R4がオキソであり;かつR5が水素である、上記式Iの化合物に関する。この特定の化合物は、2''オキソ-ボルウスカリンと称する。したがって、本発明は、新規な2''オキソ-ボルウスカリンおよびその誘導体を提供する。重要なことには、これらの化合物は、in vitroおよびin vivoで細胞障害性抗腫瘍作用を示し、したがって以下に記述するようにあらゆる種類の治療用途で使用するのに非常に適している。
【0018】
さらに、本発明は、上記化合物を含む医薬組成物に関する。さらに、本発明は、細胞増殖に関連付けられる疾患の治療、特に癌治療の薬としての前記化合物の使用に関する。さらに、本発明は、癌治療薬を調製する際の上記化合物の使用および癌治療法に関する。
【0019】
(図面の詳細な説明)
図1は、6種のヒト癌細胞系に働く化合物ウスカリンの抗腫瘍活性を示す。
図2〜8は、6種のヒト癌細胞系に働く本発明による種々の化合物の抗腫瘍活性を示す。図2は、2''オキソ-ボルウスカリンの活性を示す。図3,4,5,6,7および8は、化合物B,C,D,E,HおよびIの活性をそれぞれ示す。
図9は、6種のヒト癌細胞系に働くウスカリンと2''オキソ-ボルウスカリンの細胞障害活性を比較する。図10は、6種のヒト癌細胞系に働くウスカリン、2''オキソ-ボルウスカリン、および化合物B,C,D,E,H,およびIの細胞障害活性を比較する。
図11および12は、Hs683ヒト癌細胞の細胞周期動態に働く化合物ウスカリンおよび2''オキソ-ボルウスカリンの作用を、それぞれ示す。図13および14は、J82ヒト癌細胞に細胞周期動態に働く化合物ウスカリンおよび2''オキソ-ボルウスカリンの作用を、それぞれ示す。図15および16は、HCT-15ヒト癌細胞に細胞周期動態に働く化合物ウスカリンおよび2''オキソ-ボルウスカリンの作用を、それぞれ示す。
図17〜22は、種々のモデルの腫瘍マウスに働く化合物Bの抗腫瘍作用を示す。図17は、MCF-7-TD5腫瘍マウスの腫瘍寸法に働く、異なる濃度での化合物Bの抗腫瘍作用を示す。図18は、MCF-7-TD5腫瘍マウスの体重に働く化合物Bの作用を示す。図19は、C32腫瘍マウスの腫瘍寸法に働く、異なる濃度での化合物Bの作用を示す。図20は、C32腫瘍マウスの体重に働く化合物Bの作用を示す。図21は、化合物Bで処置後の、A549腫瘍マウスの死亡率を示す。図22は、A549腫瘍マウスの体重に働く化合物Bの作用を示す。
【0020】
(詳細な説明)
第一の実施形態では、本発明は、式Iの化合物またはその医薬的に受容可能な塩またはそのエステルを提供する。
【化3】

式中、
R1は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルキルオキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルカノイル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルキルアルカノイル、シクロアルキルチオカルボニル、シクロアルキルアルコキシカルボニル、シクロアルキルアルコキシチオカルボニル、シクロアルキルチオアルキル、アルキルカルボニルオキシアルキル、アリールカルボニルオキシアルキル、シクロアルキルカルボニルオキシアルキル、シリルオキシアルキル、アラルキル、アリールアルケニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールチオカルボニル、アラルコキシカルボニル、アリールアルキルチオカルボニル、アリールオキシアルキル、アリールチオアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アラルカノイル、アロイル、アリールオキシカルボニルアルキル、アリールオキシアルカノイル、カルボキシル、ホルミル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、Het1、Het1アルキル、Het1オキシアルキル、Het1アリール、Het1アラルキル、Het1シクロアルキル、Het1カルボニル、Het1アルコキシカルボニル、Het1アルキルチオカルボニル、Het1オキシカルボニル、Het1チオカルボニル、Het1アルカノイル、Het1アラルカノイル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アルキルオキシアルキル、Het1アリールチオアルキル、Het1アリールオキシカルボニル、Het1アラルコキシカルボニル、Het1アロイル、Het1オキシアルキルカルボニル、Het1アルキルオキシアルキルカルボニル、Het1アリールオキシアルキルカルボニル、Het1カルボニルオキシアルキル、Het1アルキルカルボニルオキシアルキル、Het1アラルキルカルボニルオキシアルキル、Het2アルキル;Het2オキシアルキル、Het2アルキルオキシアルキル、Het2アラルキル、Het2カルボニル、Het2オキシカルボニル、Het2チオカルボニル、Het2アルカノイル、Het2アルキルチオカルボニル、Het2アルコキシカルボニル、Het2アラルカノイル、Het2アラルコキシカルボニル、Het2アリールオキシカルボニル、Het2アロイル、Het2アリールオキシアルキル、Het2アリールチオアルキル、Het2オキシアルキルカルボニル、Het2アルキルオキシアルキルカルボニル、Het2アリールオキシアルキルカルボニル、Het2カルボニルオキシアルキル、Het2アルキルカルボニルオキシアルキル、Het2アラルキルカルボニルオキシアルキル、シアノ、アミノカルボニル、アミノアルカノイル、アミノアルキル、CR6=NR7またはCR6=N(OR7)を含む群から選択され、ここで、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、Het1、Het1アルキル、Het1アリール、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、アミノアリール、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルキルチオカルボニルアミノ、およびアリールチオカルボニルアミノを含む群から選択され;
【0021】
式中、R2およびR3は、それぞれ独立に、ヒドロキシル、アルキルオキシ、アルキルシリルオキシ、アリールシリルオキシ、アルキルオキシアルキルオキシ、シクロアルキルオキシシクロアルキルアルキルオキシ、アラルキルオキシ、アリールオキシアルキルオキシ、シリルオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、シクロアルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルオキシ、ヒドロキシアルキルオキシ、アラルカノイルオキシ、アロイルオキシ、アリールオキシカルボニルアルキルオキシ、ホルミルオキシ、Het1アルキルオキシ、Het1オキシ、Het1オキシアルキルオキシ、Het1アリールオキシ、Het1アラルキルオキシ、Het1シクロアルキルオキシ、Het1カルボニルオキシ、Het1オキシカルボニルオキシ、Het1アルカノイルオキシ、Het1アラルカノイルオキシ、Het1アリールオキシアルキルオキシ、Het1アロイル、Het2オキシ、Het2アルキルオキシ;Het2オキシアルキルオキシ、Het2アラルキルオキシ、Het2シクロアルキルオキシ、Het2アルカノイルオキシ、Het2アラルカノイルオキシ、Het2カルボニルオキシル、Het2アリールオキシ、Het2アリールオキシアルキルオキシを含む群から選択され、
【0022】
その場合、R1、R2、およびR3は、任意に、アルキル、アラルキル、アリール、Het1、Het2、シクロアルキル、アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノまたはジ(アルキル)アミノカルボニル、アミノスルホニル、アルキルS(=O)t(alkylS(=O)t)、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、または場合によっては1置換または2置換されているアミノを含む群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換され、ここでその置換基は、それぞれ独立に、アルキル、アリール、アラルキル、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールチオ、アリールオキシアルキル、アリールアミノアルキル、アラルコキシ、アルキルチオ、アルコキシ、アリールオキシアルコキシ、アリールアミノアルコキシ、アラルキルアミノ、アリールオキシアルキルアミノ、アリールアミノアルキルアミノ、アリールチオアルコキシ、アリールチオアルキルアミノ、アラルキルチオ、アリールオキシアルキルチオ、アリールアミノアルキルチオ、アリールチオアルキルチオ、アルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、Het1、Het2、Het1アルキル、Het2アルキル、Het1アミノ、Het2アミノ、Het1アルキルアミノ、Het2アルキルアミノ、Het1チオ、Het2チオ、Het1アルキルチオ、Het2アルキルチオ、Het1オキシおよびHet2オキシ、OR8、SR8、SO2NR8R9、SO2N(OH)R8、CN、CR8=NR9、S(O)R8、SO2R8、CR8=N(OR9)、N3、NO2、NR8R9、N(OH)R8、C(O)R8、C(S)R8、CO2R8、C(O)SR8、C(O)NR8R9、C(S)NR8R9、C(O)N(OH)R9、C(S)N(OH)R8、NR8C(O)R9、NR8C(S)R9、N(OH)C(O)R9、N(OH)C(S)R8、NR8CO2R9、NR8C(O)NR9R10、およびNR8C(S)NR9R10、N(OH)CO2R8、NR8C(O)SR9、N(OH)C(O)NR8R9、N(OH)C(S)NR8R9、NR8C(O)N(OH)R9、NR8C(S)N(OH)R9、NR8SO2R9、NHSO2NR8R9、NR8SO2NHR9、P(O)(OR8)(OR9)を含む群から選択され、
tは1〜2の整数であり、かつR8、R9、およびR10は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、Het1、Het1アルキル、Het1アリール、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、アミノアリール、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルキルチオカルボニルアミノ、およびアリールチオカルボニルアミノを含む群から選択され;
【0023】
式中、R4は、水素、オキソ、式Iの窒素含有複素環上のN原子とC炭素原子間の二重結合によって置き換えられ;ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカンジイル(alkanediyl)、アルキルオキシ、アルキルチオ(alklylthio)、アルキルアミノ、アルキルオキシアルキル、アリールカルボニルアルキル(arylcarbonylalkyl)、アルキルカルボニルアルキル(alkylcarbonylalkyl)、アルカノイル、シクロアルキルカルボニルアルキル(cycloalkylcarbonylalkyl)、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ(cycloalkylthio)、シクロアルキルアミノ(cycloalkylamino)、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルカノイル、アリール、アラルキル、アリールアルケニル、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ(aryloxycarbonyloxy)、アラルコキシカルボニルオキシ(aralkoxycarbonyloxy)、アリールオキシアルキル、ハロアルキルオキシ、ハロアルキルチオ(haloalkylthio)、ハロアルキルアミノ(haloalkylamino)、ヒドロキシアルキル、アラルカノイル、アリールオキシカルボニルアルキル、アリールオキシアルカノイル、Het1、Het1アルキル、Het1オキシ、Het1オキシアルキル、Het1アリール、Het1アラルキル、Het1シクロアルキル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アロイル、Het2、Het2オキシ、Het2アルキル;Het2オキシアルキル、Het2アラルキル、Het2シクロアルキル、Het2アリール、Het2アルカノイル、Het2アラルカノイル、Het2アロイル、Het2アリールオキシアルキル、アミノカルボニル、アミノアルカノイル、アミノアルキル、を含む群から選択され、任意に、アルキル、アラルキル、アリール、Het1、Het2、シクロアルキル、アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノまたはジ(アルキル)アミノカルボニル、アミノスルホニル、アルキルS(=O)t(alkylS(=O)t)、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、または任意に1置換または2置換されているアミノを含む群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換されており、ここでその置換基は、それぞれ独立に、アルキル、アリール、アラルキル、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールチオ、アリールオキシアルキル、アリールアミノアルキル、アラルコキシ、アルキルチオ、アルコキシ、アリールオキシアルコキシ、アイルアミノアルコキシ(aylaminoalkoxy)、アラルキルアミノ、アリールオキシアルキルアミノ、アリールアミノアルキルアミノ、アリールチオアルコキシ、アリールチオアルキルアミノ、アラルキルチオ、アリールオキシアルキルチオ、アリールアミノアルキルチオ、アリールチオアルキルチオ、アルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、Het1、Het2、Het1アルキル、Het2アルキル;Het1アミノ、Het2アミノ、Het1アルキルアミノ、Het2アルキルアミノ、Het1チオ、Het2チオ、Het1アルキルチオ、Het2アルキルチオ、Het1オキシおよびHet2オキシ、OR11、SR11、SO2NR11R12、SO2N(OH)R11、CN、CR11=NR12、S(O)R11、SO2R11、CR11=N(OR12)、N3、NO2、NR11R12、N(OH)R11、C(O)R11、C(S)R11、CO2R11、C(O)SR11、C(O)NR11R12、C(S)NR11R12、C(O)N(OH)R12、C(S)N(OH)R11、NR11C(O)R12、NR11C(S)R12、N(OH)C(O)R12、N(OH)C(S)R11、NR11CO2R12、NR11C(O)NR12R13、およびNR11C(S)NR12R13、N(OH)CO2R11、NR11C(O)SR12、N(OH)C(O)NR11R12、N(OH)C(S)NR11R12、NR11C(O)N(OH)R12、NR11C(S)N(OH)R12、NR11SO2R12、NHSO2NR11R12、NR11SO2NHR12、P(O)(OR11)(OR12)を含む群から選択され、
【0024】
tは1〜2の整数であり、R11、R12、およびR13は、それぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、およびアルキニルを含む群から選択され;かつ
式中、R5は、水素、オキソ、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカンジイル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アリールカルボニルアルキル、アルキルカルボニルアルキル、アルカノイル、シクロアルキルカルボニルアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルカノイル、アリール、アラルキル、アリールアルケニル、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アラルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アラルカノイル、アリールオキシカルボニルアルキル、アリールオキシアルカノイル、Het1、Het1アルキル、Het1オキシ、Het1オキシアルキル、Het1アリール、Het1アラルキル、Het1シクロアルキル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アロイル、Het2、Het2オキシ、Het2アルキル;Het2オキシアルキル、Het2アラルキル、Het2シクロアルキル、Het2アリール、Het2アルカノイル、Het2アラルカノイル、Het2アロイル、Het2アリールオキシアルキル、アミノカルボニル、アミノアルカノイル、アミノアルキルを含む群から選択され、任意に、アルキル、アラルキル、アリール、Het1、Het2、シクロアルキル、アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノまたはジ(アルキル)アミノカルボニル、アミノスルホニル、アルキルS(=O)t(alkylS(=O)t)、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、または任意に1置換または2置換されているアミノを含む群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換され、ここでその置換基は、それぞれ独立に、アルキル、アリール、アラルキル、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールチオ、アリールオキシアルキル、アリールアミノアルキル、アラルコキシ、アルキルチオ、アルコキシ、アリールオキシアルコキシ、アイルアミノアルコキシ、アラルキルアミノ、アリールオキシアルキルアミノ、アリールアミノアルキルアミノ、アリールチオアルコキシ、アリールチオアルキルアミノ、アラルキルチオ、アリールオキシアルキルチオ、アリールアミノアルキルチオ、アリールチオアルキルチオ、アルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、Het1、Het2、Het1アルキル、Het2アルキル、Het1アミノ、Het2アミノ、Het1アルキルアミノ、Het2アルキルアミノ、Het1チオ、Het2チオ、Het1アルキルチオ、Het2アルキルチオ、Het1オキシおよびHet2オキシ、OR11、SR11、SO2NR11R12、SO2N(OH)R11、CN、CR11=NR12、S(O)R11、SO2R11、CR11=N(OR12)、N3、NO2、NR11R12、N(OH)R11、C(O)R11、C(S)R11、CO2R11、C(O)SR11、C(O)NR11R12、C(S)NR11R12、C(O)N(OH)R12、C(S)N(OH)R11、NR11C(O)R12、NR11C(S)R12、N(OH)C(O)R12、N(OH)C(S)R11、NR11CO2R12、NR11C(O)NR12R13、およびNR11C(S)NR12R13、N(OH)CO2R11、NR11C(O)SR12、N(OH)C(O)NR11R12、N(OH)C(S)NR11R12、NR11C(O)N(OH)R12、NR11C(S)N(OH)R12、NR11SO2R12、NHSO2NR11R12、NR11SO2NHR12、P(O)(OR11)(OR12)を含む群から選択され、tは1〜2の整数であり、R11、R12、およびR13は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、およびアルキニルを含む群から選択される。
【0025】
別の実施形態では、本発明は、式Iの化合物、式中、R1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルキルオキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルカノイル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルキルアルカノイル、シクロアルキルチオカルボニル、シクロアルキルアルコキシカルボニル、シクロアルキルアルコキシチオカルボニル、シクロアルキルチオアルキル、アルキルカルボニルオキシアルキル、アリールカルボニルオキシアルキル、シクロアルキルカルボニルオキシアルキル、シリルオキシアルキル、アラルキル、アリールアルケニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールチオカルボニル、アラルコキシカルボニル、アリールアルキルチオカルボニル、アリールオキシアルキル、アリールチオアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アラルカノイル、アロイル、アリールオキシカルボニルアルキル、アリールオキシアルカノイル、カルボキシル、ホルミル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、Het1、Het1アルキル、Het1オキシアルキル、Het1アリール、Het1アラルキル、Het1シクロアルキル、Het1カルボニル、Het1アルコキシカルボニル、Het1アルキルチオカルボニル、Het1オキシカルボニル、Het1チオカルボニル、Het1アルカノイル、Het1アラルカノイル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アルキルオキシアルキル、Het1アリールチオアルキル、Het1アリールオキシカルボニル、Het1アラルコキシカルボニル、Het1アロイル、Het1オキシアルキルカルボニル、Het1アルキルオキシアルキルカルボニル、Het1アリールオキシアルキルカルボニル、Het1カルボニルオキシアルキル、Het1アルキルカルボニルオキシアルキル、Het1アラルキルカルボニルオキシアルキル、Het2アルキル;Het2オキシアルキル、Het2アルキルオキシアルキル、Het2アラルキル、Het2カルボニル、Het2オキシカルボニル、Het2チオカルボニル、Het2アルカノイル、Het2アルキルチオカルボニル、Het2アルコキシカルボニル、Het2アラルカノイル、Het2アラルコキシカルボニル、Het2アリールオキシカルボニル、Het2アロイル、Het2アリールオキシアルキル、Het2アリールチオアルキル、Het2オキシアルキルカルボニル、Het2アルキルオキシアルキルカルボニル、Het2アリールオキシアルキルカルボニル、Het2カルボニルオキシアルキル、Het2アルキルカルボニルオキシアルキル、Het2アラルキルカルボニルオキシアルキル、シアノ、アミノカルボニル、アミノアルカノイル、アミノアルキル、CR6=NR7またはCR6=N(OR7)を含む群から選択され、
【0026】
ここでR6およびR7は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、Het1、Het1アルキル、Het1アリール、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、アミノアリール、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルキルチオカルボニルアミノ、およびアリールチオカルボニルアミノを含む群から選択され;
式中、R2およびR3は、それぞれ独立に、ヒドロキシル、アルキルオキシ、アルキルシリルオキシ、アリールシリルオキシ、アルキルオキシアルキルオキシ、シクロアルキルオキシシクロアルキルアルキルオキシ、アラルキルオキシ、アリールオキシアルキルオキシ、シリルオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、シクロアルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルオキシ、ヒドロキシアルキルオキシ、アラルカノイルオキシ、アロイルオキシ、アリールオキシカルボニルアルキルオキシ、ホルミルオキシ、Het1アルキルオキシ、Het1オキシ、Het1オキシアルキルオキシ、Het1アリールオキシ、Het1アラルキルオキシ、Het1シクロアルキルオキシ、Het1カルボニルオキシ、Het1オキシカルボニルオキシ、Het1アルカノイルオキシ、Het1アラルカノイルオキシ、Het1アリールオキシアルキルオキシ、Het1アロイル、Het2オキシ、Het2アルキルオキシ;Het2オキシアルキルオキシ、Het2アラルキルオキシ、Het2シクロアルキルオキシ、Het2アルカノイルオキシ、Het2アラルカノイルオキシ、Het2カルボニルオキシル、Het2アリールオキシ、Het2アリールオキシアルキルオキシを含む群から選択され、
【0027】
その場合、R1、R2、およびR3は、任意に、アルキル、アラルキル、アリール、Het1、Het2、シクロアルキル、アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノまたはジ(アルキル)アミノカルボニル、アミノスルホニル、アルキルS(=O)t(alkylS(=O)t)、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、または任意に1置換または2置換されているアミノを含む群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換されており、ここでその置換基は、それぞれ独立に、アルキル、アリール、アラルキル、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールチオ、アリールオキシアルキル、アリールアミノアルキル、アラルコキシ、アルキルチオ、アルコキシ、アリールオキシアルコキシ、アリールアミノアルコキシ、アラルキルアミノ、アリールオキシアルキルアミノ、アリールアミノアルキルアミノ、アリールチオアルコキシ、アリールチオアルキルアミノ、アラルキルチオ、アリールオキシアルキルチオ、アリールアミノアルキルチオ、アリールチオアルキルチオ、アルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、Het1、Het2、Het1アルキル、Het2アルキル、Het1アミノ、Het2アミノ、Het1アルキルアミノ、Het2アルキルアミノ、Het1チオ、Het2チオ、Het1アルキルチオ、Het2アルキルチオ、Het1オキシおよびHet2オキシ、OR8、SR8、SO2NR8R9、SO2N(OH)R8、CN、CR8=NR9、S(O)R8、SO2R8、CR8=N(OR9)、N3、NO2、NR8R9、N(OH)R8、C(O)R8、C(S)R8、CO2R8、C(O)SR8、C(O)NR8R9、C(S)NR8R9、C(O)N(OH)R9、C(S)N(OH)R8、NR8C(O)R9、NR8C(S)R9、N(OH)C(O)R9、N(OH)C(S)R8、NR8CO2R9、NR8C(O)NR9R10、およびNR8C(S)NR9R10、N(OH)CO2R8、NR8C(O)SR9、N(OH)C(O)NR8R9、N(OH)C(S)NR8R9、NR8C(O)N(OH)R9、NR8C(S)N(OH)R9、NR8SO2R9、NHSO2NR8R9、NR8SO2NHR9、P(O)(OR8)(OR9)を含む群から選択され、
tは1〜2の整数であり、かつR8、R9、およびR10は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、Het1、Het1アルキル、Het1アリール、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、アミノアリール、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルキルチオカルボニルアミノ、およびアリールチオカルボニルアミノを含む群から選択され、
式中、R4はオキソであり、かつR5は水素またはアルキルである化合物に関する。
【0028】
用語「置換されている」を本発明で使用する場合はいつでも、この用語は「置換されている」を使用する表現で示される原子上の1個または複数の水素が、表示した群の選択物で置換されていることを示すが、ただし表示した原子の通常の原子価を超えず、その置換によって化学的に安定した化合物、すなわち、反応混合物から単離して有用な程度の純度にすること、および治療薬の製剤化に耐え得るほど十分に強い化合物がもたらされることを意味する。
【0029】
本明細書では、基または基の一部としての用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードの総称である。
【0030】
用語「アルキル」は、単独でまたは組合せて、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子を含む直鎖および分枝鎖飽和炭化水素ラジカルを意味する。そのようなラジカルの例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、2-メチルブチル、ペンチル、イソ-アミル、ヘキシル、3-メチルペンチル、オクチルなどが含まれる。
【0031】
用語「アルケニル」は、単独でまたは組合せて、たとえば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなど、少なくとも1個の二重結合を含み、2〜約18個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子を含む直鎖および分枝鎖炭化水素ラジカルを意味する。
【0032】
用語「アルキニル」は、単独でまたは組合せて、少なくとも1個の三重結合を含み2〜10個の炭素原子、より好ましくは2〜約6個の炭素原子を含む直鎖および分枝鎖炭化水素ラジカルを定義する。アルキニルラジカルの例には、エチニル、プロピニル、(プロパルギル)、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどが含まれる。
【0033】
用語「シクロアルキル」は、単独でまたは組合せて、各環状部分が約3〜約8個の炭素原子、より好ましくは約3〜約7個の炭素原子を含む、飽和または部分飽和した単環式、2環式、または多環式アルキルラジカルを意味する。単環式シクロアルキルラジカルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが含まれる。多環式シクロアルキルラジカルの例には、デカヒドロナフチル、ビシクロ[5.4.0]ウンデシル、アダマンチルなどが含まれる。
【0034】
用語「シクロアルキルアルキル」は、本明細書で定義したアルキルラジカルを意味し、その際アルキルラジカル上の少なくとも1個の水素原子は、本明細書で定義したシクロアルキルラジカル置き換えられている。そのようなシクロアルキルアルキルラジカルの例には、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、1-シクロペンチルエチル、1-シクロヘキシルエチル、2-シクロペンチルエチル、2-シクロヘキシルエチル、シクロブチルプロピル、シクロペンチルプロピル、3-シクロペンチルブチル、シクロヘキシルブチルなどが含まれる。
【0035】
用語「アリール」は、単独でまたは組合せて、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、ハロアルキル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、シクロアルキル、Het1、アミド、場合によっては1置換または2置換されているアミノカルボニル、メチルチオ、メチルスルホニルからそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって場合によっては置換されていてよいフェニルおよびナフチル、ならびにC1‐6アルキル、C1‐6アルキルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、場合によっては1置換または2置換されているアミノ、ニトロ、シアノ、ハロC1‐6アルキル、カルボキシル、C1‐6アルコキシカルボニル、C3‐7シクロアルキル、Het1、場合によっては1置換または2置換されているアミノカルボニル、メチルチオおよびメチルスルホニルから選択した1個または複数の置換基によって任意に置換されていてよいフェニルを含み;それによって全てのアミノ官能基上の任意に用いられる置換基は、それぞれ独立に、アルキル、アルキルオキシ、Het1、Het1アルキル、Het1アルキル、Het1オキシ、Het1オキシアルキル、フェニル、フェニルオキシ、フェニルオキシアルキル、フェニルアルキル、アルキルオキシカルボニルアミノ、アミノ、およびアミノアルキルから選択され、それによってアミノ基の各々は、任意に、アルキルによって1置換、可能ならば2置換されていてよいことを意味する。アリールの例には、フェニル、p-トリル、4-メトキシフェニル、4-(tert-ブトキシ)フェニル、3-メチル-4-メトキシフェニル、4-フルオロフェニル、4-クロロフェニル、3-ニトロフェニル、3-アミノフェニル、3-アセトアミドフェニル、4-アセトアミドフェニル、2-メチル-3-アセトアミドフェニル、2-メチル-3-アミノフェニル、3-メチル-4-アミノフェニル、2-アミノ-3-メチルフェニル、2,4-ジメチル-3-アミノフェニル、4-ヒドロキシフェニル、3-メチル-4-ヒドロキシフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、3-アミノ-1-ナフチル、2-メチル-3-アミノ-1-ナフチル、6-アミノ-2-ナフチル、4,6-ジメトキシ-2-ナフチルなどが含まれる。
【0036】
用語「アラルキル」は、単独でまたは組合せて、アルキルの水素原子が本明細書で定義したアリールで置き換えられている、本明細書で定義したアルキルを意味する。アラルキルラジカルの例には、ベンジル、フェネチル、ジベンジルメチル、メチルフェニルメチル、3-(2-ナフチル)-ブチルなどが含まれる。
【0037】
本明細書では、用語「オキソ」または「=O」は、それが結合している炭素原子と共にカルボニル部分を形成する。用語「ホルミル」または「-CHO」は、アルデヒド部分であり、それによってこのC原子はそれが結合している炭素原子に結合する。本明細書では、用語「ホルミルオキシ」または「-OCHO」は、ギ酸エステル部分を形成し、それによってこの酸素原子はそれが結合している炭素原子に結合する。本明細書では、用語「カルボキシル」または「-COOH」は酸部分であり、それによってこの炭素原子は、それが結合している炭素原子に結合する。
【0038】
用語「ハロアルキル」は、単独でまたは組合せて、1個または複数の水素がハロゲン、好ましくはクロロまたはフルオロ原子、より好ましくフルオロ原子で置換されている、先に定義した意味を有するアルキルラジカルを意味する。そのようなハロアルキルラジカルの例には、クロロメチル、1-ブロモエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1,1,1-トリフルオロエチルなどが含まれる。
【0039】
用語「Het1」は、単独でまたは組合せて、好ましくは3〜12環員、より好ましくは5〜10環員、より好ましくは5〜6環員の、飽和または部分的に不飽和の単環式、2環式、または多環式複素環で、窒素、酸素、または硫黄から選択した1個または複数のヘテロ原子環員を含み、かつ1個または複数の炭素原子上で、アルキル、アルキルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、場合によっては1置換または2置換されているアミノ、ニトロ、シアノ、ハロアルキル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、シクロアルキル、任意に1置換または2置換されているアミノカルボニル、メチルチオ、メチルスルホニル、アリール、および窒素、酸素、または硫黄から選択した1個または複数のヘテロ原子環員を含む3〜12環員の飽和または部分的に不飽和の単環式、2環式、または3環式複素環によって任意に置換されている複素環として定義され、その際、全てのアミノ官能基上の任意に用いられる置換基も、それぞれ独立に、アルキル、アルキルオキシ、Het2、Het2アルキル、Het2オキシ、Het2オキシアルキル、アリール、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、アラルキル、アルキルオキシカルボニルアミノ、アミノ、およびアミノアルキルから選択され、その際アミノ基のそれぞれは、任意に、アルキルによって1置換または可能ならば2置換されていてよい。
【0040】
基または基の一部として用語「Het2」は、好ましくは3〜12環員、より好ましくは5〜10環員、より好ましくは5〜6環員の芳香族単環式、2環式、または3環式複素環で、窒素、酸素、または硫黄から選択した1個または複数のヘテロ原子環員を含み、かつ1個または複数の炭素原子上で、アルキル、アルキルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に1置換または2置換されているアミノ、ニトロ、シアノ、ハロアルキル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、シクロアルキル、任意に1置換または2置換されているアミノカルボニル、メチルチオ、メチルスルホニル、アリール、Het1および3〜12環員の芳香族の単環式、2環式、または3環式複素環によって任意に置換されている環として定義され;その際、全てのアミノ官能基上の任意に用いられる置換基も、それぞれ独立に、アルキル、アルキルオキシ、Het1、Het1アルキル、Het1オキシ、Het1オキシアルキル、アリール、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、アラルキル、アルキルオキシカルボニルアミノ、アミノ、およびアミノアルキルから選択され、その際アミノ基のそれぞれは、任意に、アルキルで1置換または可能ならば2置換されていてよい。
【0041】
用語「アルコキシ」または「アルキルオキシ」は、単独でまたは組合せて、アルキルエーテルラジカルを意味し、その場合用語アルキルは先に定義した通りである。適当なアルキルエーテルラジカルの例には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ヘキサンオキシなどが含まれる。
【0042】
用語「アリールチオアルコキシ」は、アルキル水素原子が本明細書で定義したアリールチオで置き換えられている本明細書で定義したアルコキシを意味する。(アリールチオ)アルコキシラジカルの例には、2-(フェニルチオ)-エトキシなどが含まれる。
【0043】
用語「アルカノイル」または「アルキルカルボニル」は、単独でまたは組合せて、アルカンカルボン酸に由来するアシルラジカルを意味し、この例にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、4-メチルバレリルなどが含まれる。
【0044】
用語「アルキルアミノ」は、用語「アルキル」が上記定義の通りであるアルキルアミンラジカルを意味する。アルキルアミノラジカルの例には、メチルアミノ(NHCH3)、エチルアミノ(NHCH2CH3)、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、イソブチルアミノ、sec-ブチルアミノ、tert-ブチルアミノ、n-ヘキシルアミノなどが含まれる。
【0045】
用語「アルキルチオ」は、用語「アルキル」が上記定義の通りである、アルキルチオエーテルラジカルを意味する。アルキルチオラジカルの例には、メチルチオ(SCH3)、エチルチオ(SCH2CH3)、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、n-ヘキシルチオなどが含まれる。
【0046】
用語「アミノアルカノイル」は、アミノ基が、アルキル、アリール、アラルキル(arアルキル)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルラジカルなどから選択された置換基を含む、第1級、第2級、または第3級アミノ基であってよい、アミノ置換アルキルカルボン酸に由来するアシル基を意味する。
【0047】
用語「アミノカルボニル」は、単独でまたは組合せて、アミノ基が、アルキル、アリール、アラルキル(arアルキル)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルラジカルなどから選択され置換基を含む、第1級、第2級、または第3級アミノ基であってよいアミノ置換カルボニル(カルバモイル)基を意味する。
【0048】
用語「アラルカノイル」は、フェニルアセチル、3-フェニルプロピオニル(ヒドロシンナモイル)、4-フェニルブチリル、(2-ナフチル)アセチル、4-クロロヒドロシンナモイル、4-アミノヒドロシンナモイル、4-メトキシヒドロシンナモイルなどのアリール置換アルカンカルボン酸に由来するアシルラジカルを意味する。
【0049】
用語「アラルコキシ」は、アルキル水素原子が本明細書で定義したアリールで置き換えられている、本明細書で定義したアルコキシを意味する。アラルコキシラジカルの例には、2-フェニルエトキシ、2-フェニル-1-プロポキシなどが含まれる。
【0050】
用語「アラルコキシカルボニル」は、単独でまたは組合せて、用語「アラルキル」が上記の意味である式アラルキル-O-C(O)-ラジカルを意味する。アラルコキシカルボニルラジカルの例は、ベンジルオキシカルボニルおよび4-メトキシフェニルメトキシカルボニルである。
【0051】
用語「アラルキルアミノ」は、アルキル水素原子が本明細書で定義したアリールで置き換えられている、本明細書で定義したアルキルアミノを意味する。アラルキルアミノラジカルの例には、2-フェネチルアミノ、4-フェニル-n-ブチルアミノなどが含まれる。
【0052】
用語「アラルキルチオ」は、アルキル水素原子が本明細書で定義したアリールで置き換えられている、本明細書で定義したアルキルチオを意味する。アラルキルチオラジカルの例には、3-フェニル-2-プロピルチオ、2-(2-ナフチル)-エチルチオなどが含まれる。
【0053】
用語「アロイル」は、アリールが上記の意味であるアリールカルボン酸に由来するアシルラジカルを意味する。そのようなアリールカルボン酸ラジカルの例には、ベンゾイル、4-クロロベンゾイル、4-カルボキシベンゾイル、4-(ベンジルオキシカルボニル)ベンゾイル、1-ナフトイル、2-ナフトイル、6-カルボキシ-2ナフトイル、6-(ベンジルオキシカルボニル)-2-ナフトイル、3-ベンジルオキシ-2-ナフトイル、3-ヒドロキシ-2-ナフトイル、3-(ベンジルオキシホルムアミドール-2-ナフトイルなどの置換および非置換の安息香酸またはナフトエ酸が含まれる。
【0054】
用語「アリールアミノアルコキシ」は、アルキル水素原子が本明細書で定義したアリールアミノで置き換えられている、本明細書で定義したアルコキシを意味する。(アリールアミノ)アルコキシラジカルの例には、2-(フェニルアミノ)-エトキシ、2-(2-ナフチルアミノ)-1-ブトキシなどが含まれる。
【0055】
用語「アリールアミノアルキル」は、アルキル水素原子が本明細書で定義したアリールアミノで置き換えられている、本明細書で定義したアルキルを意味する。アリールアミノアルキルラジカルの例には、フェニルアミノエチル、4-(3-メトキシフェニルアミノ)-1-ブチルなどが含まれる。
【0056】
用語「アリールアミノアルキルアミノ」は、アルキル水素原子が本明細書で定義したアリールアミノで置き換えられている、本明細書で定義したアルキルアミノを意味する。(アリールアミノ)アルキルアミノラジカルの例には、3-(ナフチルアミノ)-プロピルアミノ、4-(フェニルアミノ)-1-ブチルアミノなどが含まれる。
【0057】
用語「アリールアミノアルキルチオ」は、アルキル水素原子が本明細書で定義したアリールアミノで置き換えられている、本明細書で定義したアルキルチオを意味する。(アリールアミノ)アルキルチオラジカルの例には、2-(フェニルアミノ)-エチルチオ、3-(2-ナフチルアミノ)-n-プロピルチオなどが含まれる。
【0058】
用語「アリールオキシ」は、用語アリールが上記の意味である、式アリール-O-のラジカルを意味する。
【0059】
用語「アリールオキシアルカノイル」は、アリールおよびアルカノイルが上記の意味である、式アリール-O-アルカノイルアシルラジカルを意味する。
【0060】
用語「アリールオキシアルコキシ」は、アルキル水素原子が本明細書で定義したアリールオキシで置き換えられている、本明細書で定義したアルコキシを意味する。(アリールオキシ)アルコキシラジカルの例には、2-フェノキシエトキシ、4-(3-アミノフェノキシ)-1-ブトキシなどが含まれる。
【0061】
用語「アリールオキシアルキル」は、アルキル水素原子が本明細書で定義したアリールオキシで置き換えられている、本明細書で定義したアルキルを意味する。アリールオキシアルキルラジカルの例には、フェノキシエチル、4-(3-アミノフェノキシ)-l-ブチルなどが含まれる。
【0062】
用語「アリールオキシアルキルアミノ」は、アルキル水素原子が本明細書で定義したアリールオキシで置き換えられている、本明細書で定義したアルキルアミノを意味する。(アリールオキシ)アルキルアミノラジカルの例には、3-フェノキシ-nプロピルアミノ、4-フェノキシブチルアミノなどが含まれる。
【0063】
用語「アリールオキシアルキルチオ」は、アルキル水素原子が本明細書で定義したアリールオキシで置き換えられている、本明細書で定義したアルキルチオを意味する。(アリールオキシ)アルキルチオラジカルの例には、3-フェノキシプロピルチオ、4(2-フルオロフェノキシ)-ブチルチオなどが含まれる。
【0064】
用語「アリールチオアルキルアミノ」は、アルキル水素原子が本明細書で定義したアリールチオで置き換えられている、本明細書で定義したアルキルアミノを意味する。(アリールチオ)アルキルアミノラジカルの例には、2-(フェニルチオ)-エチルアミノなどが含まれる。
【0065】
用語「アリールチオアルキルチオ」は、アルキル水素原子が本明細書で定義したアリールチオで置き換えられている、本明細書で定義したアルキルチオを意味する。アリールチオ)アルキルチオラジカルの例には、2-(ナフチルチオ)-エチルチオ、3-(フェニルチオ)-プロピルチオなどが含まれる。
【0066】
用語「シクロアルキルアルコキシカルボニル」は、シクロアルキルアルキルが上記の意味である、式シクロアルキルアルキル-O-COOHのシクロアルキルアルコキシカルボン酸に由来するアシル基を意味する。
【0067】
用語「シクロアルキルカルボニル」は、シクロプロピルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、アダマンチルカルボニルなど、単環式または架橋シクロアルカンカルボン酸に由来するアシル基、あるいはアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、ハロアルキル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルカノイルアミノ、アミド、モノおよびジアルキル置換アミノ、モノおよびジアルキル置換アミドなどから選択した1個または複数の置換基によって場合によっては置換されているbenz縮合単環式シクロアルカンカルボン酸から由来するアシル基、1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフトイル、2-アセトアミド-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフトイルなどがある。
【0068】
用語「Het2アルコキシ」は、アルキル水素原子が本明細書で定義したHet2で置き換えられている、本明細書で定義したアルコキシを意味する。Het2アルコキシラジカルの例には、2-ピリジルメトキシ、4-(l-イミダゾリル)-ブトキシなどが含まれる。
【0069】
用語「Het2アルキル」は、アルキル水素原子が本明細書で定義したHet2で置き換えられている、本明細書で定義したアルキルを意味する。Het2アルキルラジカルの例には、2-ピリジルメチル、3-(4-チアゾリル)-プロピルなどが含まれる。
【0070】
用語「Het2アルキルアミノ」は、アルキル水素原子が本明細書で定義したHet2で置き換えられている、本明細書で定義したアルキルアミノを意味する。Het2アルキルアミノラジカルの例には、4-ピリジルメチルアミノ、3(2-フラニル)-プロピルアミノなどが含まれる。
【0071】
用語「Het2アルキルチオ」は、アルキル水素原子が本明細書で定義したHet2で置き換えられている、本明細書で定義したアルキルチオを意味する。Het2アルキルチオラジカルの例には、3-ピリジルメチルチオ、3(4-チアゾリル)-プロピルチオなどが含まれる。
【0072】
用語「Het2アミノ」は、Het2環上の水素原子が窒素で置き換えられている、本明細書で定義したHet2を意味する。Het2アミノラジカルには、たとえば、4-チアゾリルアミノ、2-ピリジルアミノなどが含まれる。
【0073】
用語「Het2オキシ」は、Het2環上の水素原子が酸素で置き換えられている、本明細書で定義したHet2を意味する。Het2オキシラジカルには、たとえば、4-ピリジルオキシ、5-キノリルオキシなどが含まれる。
【0074】
用語「Het2オキシカルボニル」は、Het2が上記の意味である、Het2-O-COOHによって表される炭酸に由来するアシルラジカルを意味する。
【0075】
用語「Het2チオ」は、Het2環上の水素原子が硫黄で置き換えられている、本明細書で定義したHet2を意味する。Het2チオラジカルにはたとえば、3-ピリジルチオ、3-キノリルチオ、4-イミダゾリルチオなどが含まれる。
【0076】
用語「Het1アルカノイル」は、Het1が上記の意味である、Het1置換アルキルカルボン酸に由来するアシルラジカルである。
【0077】
用語「Het1アルコキシカルボニル」は、Het1が先に定義した通りである、Het1-O-COOHに由来するアシル基を意味する。
【0078】
先に本明細書で使用した通り、用語「1個または複数」は、利用可能なC原子全ての可能性を包含し、適切には、置換するものは1個、2個、または3個が好ましい。どんな可変種、たとえば、ハロゲンやアルキルがどんな構成要素で数回生じても、各定義は独立している。
【0079】
別の実施形態によれば、本発明は、式Iの化合物、式中、R1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルキルオキシカルボニル、アルカノイル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルキルアルカノイル、シクロアルキルアルコキシカルボニル、シクロアルキルチオアルキル、アルキルカルボニルオキシアルキル、アリールカルボニルオキシアルキル、シクロアルキルカルボニルオキシアルキル、シリルオキシアルキル、アラルキル、アリールアルケニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アリールチオアルキル、アラルカノイル、アロイル、カルボキシル、ホルミル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、Het1オキシアルキル、Het1アルコキシカルボニル、Het1オキシカルボニル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アルキルオキシアルキル、Het1アリールチオアルキル、Het1アリールオキシカルボニル、Het1アラルコキシカルボニル、Het1オキシアルキルカルボニル、Het1アルキルオキシアルキルカルボニル、Het1アリールオキシアルキルカルボニル、Het1カルボニルオキシアルキル、Het1アルキルカルボニルオキシアルキル、Het1アラルキルカルボニルオキシアルキル、Het2オキシアルキル、Het2アルキルオキシアルキル、Het2オキシカルボニル、Het2アルコキシカルボニル、Het2アラルコキシカルボニル、Het2アリールオキシカルボニル、Het2アリールオキシアルキル、Het2アリールチオアルキル、Het2オキシアルキルカルボニル、Het2アルキルオキシアルキルカルボニル、Het2アリールオキシアルキルカルボニル、Het2カルボニルオキシアルキル、Het2アルキルカルボニルオキシアルキル、Het2アラルキルカルボニルオキシアルキル、CR6=NR7、CR6=N(OR7)を含む群から選択され、
【0080】
ここで、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、Het1、Het1アルキル、Het1アリール、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、アミノアリール、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルキルチオカルボニルアミノ、およびアリールチオカルボニルアミノを含む群から選択され;
式中、R2およびR3は、それぞれ独立に、ヒドロキシル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキルオキシ、シクロアルキルオキシシクロアルキルアルキルオキシ、アラルキルオキシ、アリールオキシアルキルオキシ、シリルオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、シクロアルキルカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルアルキルオキシ、ホルミルオキシ、Het1アルキルオキシ、Het1オキシ、Het1オキシアルキルオキシ、Het1アリールオキシ、Het1アラルキルオキシ、Het1シクロアルキルオキシ、Het1カルボニルオキシ、Het1アルカノイルオキシ、Het1アラルカノイルオキシ、Het1アリールオキシアルキルオキシ、Het2オキシ、Het2アルキルオキシ;Het2オキシアルキルオキシ、Het2アラルキルオキシ、Het2シクロアルキルオキシ、Het2アルカノイルオキシ、Het2アラルカノイルオキシ、Het2カルボニルオキシル、Het2アリールオキシ、Het2アリールオキシアルキルオキシを含む群から選択され、
その場合、R1、R2、およびR3は、任意に、請求項1に示した群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換され;
式中、R4は、オキソ、ヒドロキシアルキル、アルキル、アルケニル、アルキルカルボニルアルキル、アリールカルボニルアルキルを含む群から選択され、かつR5は水素、オキソ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルキル、アルケニル、アルキルカルボニルアルキル、アリールカルボニルアルキルである化合物に関する。
【0081】
別の実施形態によれば、本発明は、式Iの化合物、式中、R1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルキルオキシカルボニル、アルカノイル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルキルアルカノイル、シクロアルキルアルコキシカルボニル、シクロアルキルチオアルキル、アルキルカルボニルオキシアルキル、アリールカルボニルオキシアルキル、シクロアルキルカルボニルオキシアルキル、シリルオキシアルキル、アラルキル、アリールアルケニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アリールチオアルキル、アラルカノイル、アロイル、カルボキシル、ホルミル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、Het1オキシアルキル、Het1アルコキシカルボニル、Het1オキシカルボニル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アルキルオキシアルキル、Het1アリールチオアルキル、Het1アリールオキシカルボニル、Het1アラルコキシカルボニル、Het1オキシアルキルカルボニル、Het1アルキルオキシアルキルカルボニル、Het1アリールオキシアルキルカルボニル、Het1カルボニルオキシアルキル、Het1アルキルカルボニルオキシアルキル、Het1アラルキルカルボニルオキシアルキル、Het2オキシアルキル、Het2アルキルオキシアルキル、Het2オキシカルボニル、Het2アルコキシカルボニル、Het2アラルコキシカルボニル、Het2アリールオキシカルボニル、Het2アリールオキシアルキル、Het2アリールチオアルキル、Het2オキシアルキルカルボニル、Het2アルキルオキシアルキルカルボニル、Het2アリールオキシアルキルカルボニル、Het2カルボニルオキシアルキル、Het2アルキルカルボニルオキシアルキル、Het2アラルキルカルボニルオキシアルキル、CR6=NR7、CR6=N(OR7)を含む群から選択され、
【0082】
ここで、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、Het1、Het1アルキル、Het1アリール、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、アミノアリール、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルキルチオカルボニルアミノ、およびアリールチオカルボニルアミノを含む群から選択され;
式中、R2およびR3は、それぞれ独立に、ヒドロキシル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキルオキシ、シクロアルキルオキシシクロアルキルアルキルオキシ、アラルキルオキシ、アリールオキシアルキルオキシ、シリルオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、シクロアルキルカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルアルキルオキシ、ホルミルオキシ、Het1アルキルオキシ、Het1オキシ、Het1オキシアルキルオキシ、Het1アリールオキシ、Het1アラルキルオキシ、Het1シクロアルキルオキシ、Het1カルボニルオキシ、Het1アルカノイルオキシ、Het1アラルカノイルオキシ、Het1アリールオキシアルキルオキシ、Het2オキシ、Het2アルキルオキシ;Het2オキシアルキルオキシ、Het2アラルキルオキシ、Het2シクロアルキルオキシ、Het2アルカノイルオキシ、Het2アラルカノイルオキシ、Het2カルボニルオキシル、Het2アリールオキシ、Het2アリールオキシアルキルオキシを含む群から選択され、
その場合、R1、R2、およびR3は、任意に、上述した群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換されており、
式中、R4はオキソであり、かつR5は水素またはアルキルである化合物に関する。
【0083】
好ましい実施形態によれば、本発明は、式Iの化合物、式中、R1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルカノイル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルキルアルカノイル、シクロアルキルチオアルキル、シリルオキシアルキル、アラルキル、アリールアルケニル、アリールカルボニル、アリールチオアルキル、アラルカノイル、アロイル、カルボキシル、ホルミル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、Het1オキシアルキル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アルキルオキシアルキル、Het1アリールチオアルキル、Het1オキシアルキルカルボニル、Het1アルキルオキシアルキルカルボニル、Het1アリールオキシアルキルカルボニル、Het2オキシアルキル、Het2アルキルオキシアルキル、Het2アリールオキシアルキル、Het2アリールチオアルキル、Het2オキシアルキルカルボニル、Het2アルキルオキシアルキルカルボニル、Het2アリールオキシアルキルカルボニル、CR6=NR7、CR6=N(OR7)を含む群から選択され、
【0084】
ここで、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、Het1、Het1アルキル、Het1アリール、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、アミノアリール、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルキルチオカルボニルアミノ、およびアリールチオカルボニルアミノを含む群から選択され;
式中、R2およびR3は、それぞれ独立に、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、シクロアルキルカルボニルオキシ、ホルミルオキシ、Het1カルボニルオキシ、Het1アルカノイルオキシ、Het1アラルカノイルオキシ、Het2カルボニルオキシル、Het2アルカノイルオキシ、Het2アラルカノイルオキシを含む群から選択され、
その場合、R1、R2、およびR3は、任意に、上述した群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換されており;
式中、R4はオキソであり、かつR5は水素またはアルキルである化合物に関する。
【0085】
さらに別の好ましい実施形態によれば、本発明は、式Iの化合物、式中、R1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルチオアルキル、シリルオキシアルキル、アラルキル、アリールアルケニル、アリールチオアルキル、カルボキシル、ホルミル、Het1オキシアルキル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アルキルオキシアルキル、Het1アリールチオアルキル、Het2オキシアルキル、Het2アルキルオキシアルキル、Het2アリールオキシアルキル、Het2アリールチオアルキルを含む群から選択され、任意に、上述した群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換されており;式中、R2およびR3はヒドロキシルであり、式中、R4がオキソであり、かつR5は水素である化合物に関する。
【0086】
さらにより好ましい実施形態によれば、本発明は、式Iの化合物、式中、R1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、シクロアルキルアルキル、シリルオキシアルキル、アラルキル、アリールアルケニル、カルボキシル、ホルミル、Het1オキシアルキル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アルキルオキシアルキル、Het2オキシアルキル、Het2アルキルオキシアルキル、Het2アリールオキシアルキルを含む群から選択され、任意に、上述した群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換され;式中、R2およびR3はヒドロキシルであり、R4はオキソであり、かつR5は水素である化合物に関する。
【0087】
どんな本発明による化合物も、R1がアルキル、カルボキシル、ホルミルを含む群から選択され;R2およびR3基がヒドロキシルであり、R4基がオキソであり、かつR5が水素であることがよりさらに好ましい。
【0088】
好ましい実施形態では、本発明は、式Iの化合物、式中、R1はホルミルであり、R2およびR3はヒドロキシルであり、R4はオキソであり、かつR5は水素である化合物に関する。この特定の化合物は、本明細書では2''オキソ-ボルウスカリンと称され、式IIによって表される:
【0089】
【化4】

【0090】
別の実施形態によれば、本発明は、式Iの化合物、式中、R1は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルカノイル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルキルアルカノイル、シクロアルキルチオアルキル、シリルオキシアルキル、アラルキル、アリールアルケニル、アリールカルボニル、アリールチオアルキル、アラルカノイル、アロイル、カルボキシル、ホルミル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、Het1オキシアルキル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アルキルオキシアルキル、Het1アリールチオアルキル、Het1オキシアルキルカルボニル、Het1アルキルオキシアルキルカルボニル、Het1アリールオキシアルキルカルボニル、Het2オキシアルキル、Het2アルキルオキシアルキル、Het2アリールオキシアルキル、Het2アリールチオアルキル、Het2オキシアルキルカルボニル、Het2アルキルオキシアルキルカルボニル、Het2アリールオキシアルキルカルボニル、CR6=NR7、CR6=N(OR7)を含む群から選択され、
ここで、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、Het1、Het1アルキル、Het1アリール、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、アミノアリール、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルキルチオカルボニルアミノ、およびアリールチオカルボニルアミノを含む群から選択され、
式中、R2およびR3は、それぞれ独立に、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、シクロアルキルカルボニルオキシ、ホルミルオキシ、Het1カルボニルオキシ、Het1アルカノイルオキシ、Het1アラルカノイルオキシ、Het2カルボニルオキシル、Het2アルカノイルオキシ、Het2アラルカノイルオキシを含む群から選択され、
その場合、R1、R2、およびR3は、任意に、請求項1に示した群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換されており、
式中、R4は、オキソ、ヒドロキシアルキル、アルキル、アルケニル、アリールカルボニルアリール、アルキルカルボニルアルキルであり、かつR5は水素またはアルキルである化合物に関する。
【0091】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、式Iの化合物、式中、R1は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルチオアルキル、シリルオキシアルキル、アラルキル、アリールアルケニル、アリールチオアルキル、カルボキシル、ホルミル、Het1オキシアルキル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アルキルオキシアルキル、Het1アリールチオアルキル、Het2オキシアルキル、Het2アルキルオキシアルキル、Het2アリールオキシアルキル、Het2アリールチオアルキルを含む群から選択され、任意に、請求項1に示した群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換されており;式中、R2およびR3はヒドロキシルであり、式中、R4はヒドロキシアルキル、アリールカルボニルアルキル、アルキルカルボニルアルキルであり、かつR5は水素である化合物に関する。
【0092】
より好ましい実施形態では、式Iの化合物は、R1が、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、アルキルオキシアルキル、シクロアルキルアルキル、シリルオキシアルキル、アラルキル、アリールアルケニル、カルボキシル、ホルミル、Het1オキシアルキル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アルキルオキシアルキル、Het2オキシアルキル、Het2アルキルオキシアルキル、Het2アリールオキシアルキルを含む群から選択され、任意に、請求項1に示した群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換されており;式中、R2およびR3がヒドロキシルであり、R4がヒドロキシアルキル、アリールカルボニルアルキル、アルキルカルボニルアルキルであり、かつR5が水素である。
【0093】
特に、本発明は、式1の化合物、式中、R1は、アルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシル、ホルミルを含む群から選択され;R2およびR3がヒドロキシルであり、R4はアリールカルボニルアルキルであり、かつR5は水素である化合物に関する。より具体的には、本発明は、式1の化合物、式中、R1はヒドロキシアルキルであり、R2およびR3はヒドロキシルであり、R4はアリールカルボニルアルキルであり、かつR5は水素である化合物に関する。
【0094】
本発明は、細胞障害活性を有し、したがって医療用途に使用することができる、新規なカルデノリドグリコシドを提供することを目標としている。
【0095】
先に説明したように、本発明は、新規な2''オキソ-ボルウスカリンおよびその誘導体を提供する。別の態様では、本発明は、C.プロセラのカルデノリドグリコシドウスカリンの新規な誘導体にも関する。本発明による新規なウスカリン誘導体は、植物から抽出しても合成してもよい。
【0096】
別の実施形態では、したがって、本発明は、式Iの化合物またはその医薬的に受容可能な塩に関し、
【0097】
【化5】

式中、
R1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルキルオキシカルボニル、アルカノイル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルキルアルカノイル、シクロアルキルアルコキシカルボニル、シクロアルキルチオアルキル、アルキルカルボニルオキシアルキル、アリールカルボニルオキシアルキル、シクロアルキルカルボニルオキシアルキル、シリルオキシアルキル、アラルキル、アリールアルケニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アリールチオアルキル、アラルカノイル、アロイル、シリルオキシアルキル、カルボキシル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、Het1オキシアルキル、Het1アルコキシカルボニル、Het1オキシカルボニル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アルキルオキシアルキル、Het1アリールチオアルキル、Het1アリールオキシカルボニル、Het1アラルコキシカルボニル、Het1オキシアルキルカルボニル、Het1アルキルオキシアルキルカルボニル、Het1アリールオキシアルキルカルボニル、Het1カルボニルオキシアルキル、Het1アルキルカルボニルオキシアルキル、Het1アラルキルカルボニルオキシアルキル、Het2オキシアルキル、Het2アルキルオキシアルキル、Het2オキシカルボニル、Het2アルコキシカルボニル、Het2アラルコキシカルボニル、Het2アリールオキシカルボニル、Het2アリールオキシアルキル、Het2アリールチオアルキル、Het2オキシアルキルカルボニル、Het2アルキルオキシアルキルカルボニル、Het2アリールオキシアルキルカルボニル、Het2カルボニルオキシアルキル、Het2アルキルカルボニルオキシアルキル、Het2アラルキルカルボニルオキシアルキル、CR6=NR7、CR6=N(OR7)を含む群から選択され、
ここで、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、Het1、Het1アルキル、Het1アリール、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、アミノアリール、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルキルチオカルボニルアミノ、およびアリールチオカルボニルアミノを含む群から選択され;
式中、R2およびR3は、上記と同じ定義を有し;
その場合、R1、R2、およびR3は、任意に、上述した群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換されており、かつ
式中、R4および5は水素またはアルキルである。
【0098】
好ましい実施形態では、本発明によるウスカリン誘導体は、式Iの化合物、式中、R1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルカノイル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルキルアルカノイル、シクロアルキルチオアルキル、シリルオキシアルキル、アラルキル、アリールアルケニル、アリールカルボニル、アリールチオアルキル、アラルカノイル、アロイル、シリルオキシアルキル、カルボキシル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、Het1オキシアルキル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アルキルオキシアルキル、Het1アリールチオアルキル、Het1オキシアルキルカルボニル、Het1アルキルオキシアルキルカルボニル、Het1アリールオキシアルキルカルボニル、Het2オキシアルキル、Het2アルキルオキシアルキル、Het2アリールオキシアルキル、Het2アリールチオアルキル、Het2オキシアルキルカルボニル、Het2アルキルオキシアルキルカルボニル、Het2アリールオキシアルキルカルボニル、CR6=NR7、CR6=N(OR7)を含む群から選択され、ここでR6およびR7は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、Het1、Het1アルキル、Het1アリール、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、アミノアリール、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルキルチオカルボニルアミノ、およびアリールチオカルボニルアミノを含む群から選択され;式中、R2およびR3は上記と同じ定義を有し;その場合、R1、R2、およびR3は、任意に、上述した群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換されており、かつ式中、R4およびR5は水素またはアルキルである化合物に関する。
【0099】
さらにより好ましい実施形態では、本発明は、式Iのウスカリン誘導体、R1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルチオアルキル、シリルオキシアルキル、アラルキル、アリールアルケニル、アリールチオアルキル、シリルオキシアルキル、カルボキシル、Het1オキシアルキル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アルキルオキシアルキル、Het1アリールチオアルキル、Het2オキシアルキル、Het2アルキルオキシアルキル、Het2アリールオキシアルキル、Het2アリールチオアルキルを含む群から選択され、任意に、上記の群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換されており、R2およびR3はヒドロキシルであり、R4および5は水素またはアルキルであるものに関する。
【0100】
別の好ましい実施形態では、本発明は、式Iのウスカリン誘導体、式中、R1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、シクロアルキルアルキル、シリルオキシアルキル、アラルキル、アリールアルケニル、カルボキシル、Het1オキシアルキル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アルキルオキシアルキル、Het2オキシアルキル、Het2アルキルオキシアルキル、Het2アリールオキシアルキルを含む群から選択され、任意に、上述した群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換されており;式中、R2およびR3はヒドロキシルであり、かつR4および5は水素であるものに関する。
【0101】
本発明のさらに別の実施形態は、式Iの化合物、式中、R1は、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルキルオキシカルボニル、アルカノイル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルキルアルカノイル、シクロアルキルアルコキシカルボニル、シクロアルキルチオアルキル、アルキルカルボニルオキシアルキル、アリールカルボニルオキシアルキル、シクロアルキルカルボニルオキシアルキル、シリルオキシアルキル、アラルキル、アリールアルケニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アリールチオアルキル、アラルカノイル、アロイル、シリルオキシアルキル、カルボキシル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、Het1オキシアルキル、Het1アルコキシカルボニル、Het1オキシカルボニル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アルキルオキシアルキル、Het1アリールチオアルキル、Het1アリールオキシカルボニル、Het1アラルコキシカルボニル、Het1オキシアルキルカルボニル、Het1アルキルオキシアルキルカルボニル、Het1アリールオキシアルキルカルボニル、Het1カルボニルオキシアルキル、Het1アルキルカルボニルオキシアルキル、Het1アラルキルカルボニルオキシアルキル、Het2オキシアルキル、Het2アルキルオキシアルキル、Het2オキシカルボニル、Het2アルコキシカルボニル、Het2アラルコキシカルボニル、Het2アリールオキシカルボニル、Het2アリールオキシアルキル、Het2アリールチオアルキル、Het2オキシアルキルカルボニル、Het2アルキルオキシアルキルカルボニル、Het2アリールオキシアルキルカルボニル、Het2カルボニルオキシアルキル、Het2アルキルカルボニルオキシアルキル、Het2アラルキルカルボニルオキシアルキル、CR6=NR7、CR6=N(OR7)を含む群から選択され、
ここで、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、Het1、Het1アルキル、Het1アリール、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、アミノアリール、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルキルチオカルボニルアミノ、およびアリールチオカルボニルアミノを含む群から選択され;
式中、R1は、任意に、上述した群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換されており、
式中、R2およびR3はヒドロキシルであり、R4が式Iの窒素含有複素環のN原子とC炭素原子間の二重結合で置き換えられ、かつR5が水素である化合物に関する。
【0102】
この実施形態によれば、この化合物は式IIIによって表すこともできる:
【0103】
【化6】

【0104】
別の実施形態では、本発明は、式IIIの化合物、式中、R1は、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、シクロアルキルアルキル、シリルオキシアルキル、アラルキル、アリールアルケニル、カルボキシル、Het1オキシアルキル、Het1アリールオキシアルキル、Het1アルキルオキシアルキル、Het2オキシアルキル、Het2アルキルオキシアルキル、Het2アリールオキシアルキルを含む群から選択され、任意に、上記の群からそれぞれ独立に選択した1個または複数の置換基によって置換されているものに関する。
【0105】
本発明による化合物の限定されない例には、R1がホルミルであり、R2およびR3はヒドロキシルであり、R4がオキソであり、かつR5が水素である式Iの化合物;R1がヒドロキシメチレンであり、R2およびR3はヒドロキシルであり、R4がフェニルカルボニルメチレンであり、かつR5が水素である式Iの化合物;R1がヒドロキシメチレンであり、R2およびR3はヒドロキシルであり、R4がオキソであり、かつR5が水素である式Iの化合物;R1がアセチルオキシメチレンであり、R2およびR3はヒドロキシルであり、R4がオキソであり、かつR5が水素である式Iの化合物;R1がベンゾイルオキシメチレンであり、R2およびR3はヒドロキシルであり、R4がオキソであり、かつR5が水素である式Iの化合物;R1がヒドロキシメチレンであり、R2およびR3はヒドロキシルであり、R4が式Iの窒素含有複素環のN原子とC炭素原子間の二重結合で置き換えられており;かつR5が水素である式Iの化合物、R1がアセチルオキシメチレンであり、R2およびR3はヒドロキシルであり、R4が式Iの窒素含有複素環のN原子とC炭素原子間の二重結合で置き換えられており;かつR5が水素である式Iの化合物;R1がベンゾイルオキシメチレンであり、R2およびR3はヒドロキシルであり、R4が式Iの窒素含有複素環のN原子とC炭素原子間の二重結合で置き換えられており;かつR5が水素である式Iの化合物が含まれる。
【0106】
以後使用される場合はいつでも、用語「本発明の化合物」、「誘導体」、「類似体」または類似の用語は、一般式I、式II、または式IIIの化合物、すなわち2''オキソ-ボルウスカリンおよびその誘導体、ウスカリン誘導体、ならびにそのどんな下位群も含むものとする。この用語は、表Aに示す化合物、ならびにそれらのN酸化物、塩、立体異性体、ラセミ混合物、プロドラッグ、エステルおよび代謝産物、さらにそれらの四価窒素誘導体もさす。前記化合物のN酸化物体は、1個またはいくつかの窒素原子がいわゆるN酸化物に酸化される化合物を含むことを意味する。
【0107】
本明細書で使用される用語「プロドラッグ」は、エステル、アミド、ホスフェートなど、得られる誘導体のin vivo生体内変換生成物が活性薬物であるような薬理学的に受容可能な誘導体を意味する。プロドラッグを説明するGoodmanおよびGilmanの参考文献(The Pharmacological Basis of Therapeutics、第8版、McGraw-Hill、 Int. Ed. 1992年、「Biotransformation of Drugs」、13〜15ページ)をこれにより概括的に組み込む。本発明の化合物のプロドラッグは、通常の操作でまたはin vivoで修飾物が親成分に切断されるように、前記成分中に存在する官能基を修飾することによって調製することができる。典型的なプロドラッグの例は、たとえば、WO99/33795号、WO99/33815号、WO99/33793号、WO99/33792号に記載されており、全てを参照により本明細書に組み込む。プロドラッグは、優れた水溶解性や高い生体利用能によって特徴付けられ、in vivoで容易に活性阻害剤に代謝される。
【0108】
本発明による化合物は、その互変異性体で存在することもできる。本明細書に記載の化合物では明白に示されていないが、そのような形体は本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0109】
本明細書では、用語、本発明による化合物の立体異性体は、同じ結合配列によって結合した同じ原子から成り立つが、本発明の化合物が保持できる、互換性のない異なる三次元構造を有することが可能な化合物全てと定義する。別段の記載または表示が無い限り、本明細書では、化合物の化学名称は、前記化合物が保持できる、全ての可能な立体異性体の混合物を包含する。前記混合物には、前記化合物の基本分子構造のジアステレオマーおよび/または鏡像異性体全てを含めてもよい。純粋形のまたは互いに混合した、本発明の化合物の立体異性体形は全て、本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0110】
治療用途に関しては、本発明による化合物の塩は、対イオンが医薬的にまたは生理学的に受容可能な塩である。
【0111】
本発明による化合物の医薬的に受容可能な塩、すなわち、水溶性、油溶性、または分散性生成物の形をとる塩には、たとえば、無機酸、有機酸、または塩基から形成される、従来の無毒な塩または第4級アンモニウム塩が含まれる。そのような酸付加塩の例には、酢酸塩(acetate)、アジピン酸塩(adipate)、アルギン酸塩(alginate)、アスパラギン酸塩(aspartate)、安息香酸塩(benzoate)、ベンゼンスルホン酸塩(benzenesulfonate)、重硫酸塩(bisulfate)、酪酸塩(butyrate)、クエン酸塩(citrate)、ショウノウ酸塩(camphorate)、ショウノウスルホン酸塩(camphorsulfonate)、シクロペンタンプロピオン酸塩(cyclopentanepropionate)、ジグルコン酸塩(digluconate)、ドデシル硫酸塩(dodecylsulfate)、エタンスルホン酸塩(ethanesulfonate)、フマル酸塩(fumarate)、グルコヘプタン酸塩(glucoheptanoate)、グリセロリン酸塩(glycerophosphate)、ヘミ硫酸塩(hemisulfate)、ヘプタン酸塩(heptanoate)、ヘキサン酸塩(hexanoate)、塩酸塩(hydrochloride)、臭化水素酸塩(hydrobromide)、ヨウ化水素酸塩(hydroiodide)、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩(2-Hydroxyethanesulfonate)、乳酸塩(lactate)、マレイン酸塩(maleate)、メタンスルホン酸塩(methanesulfonate)、2-ナフタレンスルホン酸塩(2-naphthalenesulfonate)、ニコチン酸塩(nicotinate)、シュウ酸塩(oxalate)、パモ酸塩(pamoate)、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩(persulfate)、3-フェニルプロピオン酸塩(3-phenylpropionate)、ピクリン酸塩(picrate)、ピバル酸塩(pivalate)、プロピオン酸塩(propionate)、コハク酸塩(succinate)、酒石酸塩(tartrate)、チオシアン酸塩(thiocyanate)、トシル酸塩(tosylate)、ウンデカン酸塩(undecanoate)が含まれる。塩基性塩には、アンモニウム塩、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩やマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩などの有機塩基性塩、N-メチル-D-グルカミン、およびサルギニンやリジンなどのアミノ酸塩が含まれる。さらに、塩基性窒素含有基は、メチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物など、低級ハロゲン化アルキル;ジメチル、ジエチル、ジブチルのようなジアルキル硫酸塩;およびジアミル硫酸塩、デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステアリルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物など、長鎖ハロゲン化物、ベンジルやフェネチルの臭化物のようなハロゲン化アラルキル他などの薬剤によって四価にすることができる。他の医薬的に受容可能な塩には、硫酸塩エタノラートおよび硫酸塩が含まれる。
【0112】
本発明による化合物の医薬的に受容可能なエステルは、無毒のエステルをさし、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルのエステルなど、アルキルエステルが好ましく、特にメチルエステルが好ましい。しかし、望むならば、フェニル-アルキルなどの他のエステルを使用することもできる。
【0113】
本発明による化合物は細胞障害活性を示し、それはこの化合物が様々な医療用途に使用できることを意味している。以下に示す実施例で実証した通り、本発明による化合物はin vitro抗腫瘍活性を有する。
【0114】
さらに、本発明による化合物は毒性レベルが低い。「毒性」は、化合物が健全な細胞、組織、器官に及ぼし得る有害な作用に関係する。本発明による化合物の毒性レベルは驚くほど低い。本発明による化合物は、良好な抗腫瘍活性の重要な特徴と低レベルの毒性を併せ持つ。したがって本発明による化合物は、様々な疾患を治療するための医薬組成物に使用することができる。さらに、毒性レベルが低いので、本発明による化合物は長期間の治療に使用することもできる。
【0115】
本発明は、医薬的に受容可能な賦形剤および治療量の本発明による化合物を含む医薬組成物にも関する。より特には、本発明は、治療有効量の2''オキソ-ボルウスカリンおよび医薬的に受容可能な賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0116】
本明細書で使用される用語「治療有効量」は、研究者、獣医、医学博士、または他の臨床医によって探求されており、治療する病気の症状の緩和を含む、組織、系、動物、またはヒトにおいて生体応答または医薬応答を引き出す活性化合物、成分、または薬物の量を意味する。
【0117】
医薬組成物は、当業者にそれ自体知られているような方式で調製することができる。この目的のために、少なくとも1種の本発明による式Iの化合物、どんな下位群、またはその誘導体、1種または複数の固体または液体薬剤賦形剤、必要に応じて他の薬剤活性化合物を組合せて適当な投与形または剤形にし、次いでこれらをヒト用医薬または動物用医薬の薬剤として使用することができる。
【0118】
特定の医薬組成物形は、たとえば、溶液、懸濁液、乳濁液、クリーム、錠剤、カプセル剤、鼻内スプレー、リポソーム、マイクロ貯留所(micro reservoir)であってよく、特に経口摂取可能な形または滅菌注入可能な形の組成物、たとえば、滅菌注入可能な水性もしくは油性の懸濁液または座薬であってよい。意図された好ましい組成物形は、カプセル剤、顆粒、錠剤、丸剤、大量瞬時投与剤、粉剤を含む乾燥固体形である。固体担体には、1種または複数の賦形剤、たとえば、乳糖、充填剤、崩壊剤、結合剤、たとえば、セルロース、カルボキシメチルセルロース、もしくは澱粉;または錠剤が打錠装置に付着するのを防止するための抗固着剤、たとえば、ステアリン酸マグネシウムを含めてよい。錠剤、丸剤、および大量瞬時投与剤は、活性成分を急速に崩壊させる、または徐放するように形成することができる。
【0119】
本発明による医薬組成物の化合物の溶解性および/または安定性を強化するために、α-、β-、またはγ-シクロデキストリンまたはその誘導体を使用することが有利であり得る。さらに、アルコールなどの共溶媒によって化合物の溶解性および/または安定性を改善することもできる。水性組成物の調製では、本発明の化合物の塩を添加することは、その高い水溶解性のために明らかにより適切である。
【0120】
適切なシクロデキストリンは、α-、β-、もしくはγ-シクロデキストリン(CD)、あるいはそれらのエーテルおよび混合エーテルであり、その場合、シクロデキストリンの無水グルコース単位の1個または複数の水酸基は、アルキル、特にメチル、エチルまたはイソプロピル、たとえば、無作為にメチル化したβ-CD;ヒドロキシアルキル、特にヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、またはヒドロキシブチル;カルボキシアルキル、特にカルボキシメチルまたはカルボキシエチル;アルキルカルボニル、特にアセチル;アルキルオキシカルボニルアルキルまたはカルボキシアルキルオキシアルキル、特にカルボキシメトキシプロピル、またはカルボキシエトキシプロピル;アルキルカルボニルオキシアルキル、特に2-アセチルオキシプロピルで置換されている。複合体化剤および/または溶解剤として特に注目に値するのは、β-CD、無作為にメチル化したβ-CD、2,6-ジメチル-β-CD、2-ヒドロキシエチル-β-CD、2-ヒドロキシエチル-γ-CD、2-ヒドロキシプロピル-γ-CDおよび(2-カルボキシメトキシ)プロピル-β-CD、特に2-ヒドロキシプロピル-β-CD(2-HP-β-CD)である。用語混合エーテルは、少なくとも2個のシクロデキストリンの水酸基が、異なる基、たとえば、ヒドロキシプロピルやヒドロキシエチルなどでエーテル化されているシクロデキストリン誘導体を意味する。シクロデキストリンまたはその誘導体と組合せて本発明による化合物を製剤化する興味深い方式は、欧州特許出願第721,331号に記載されている。その中で記載されている製剤は抗真菌活性成分との製剤であるが、本発明による化合物の製剤化にもそれらは同等に興味深い。前記製剤は、医薬として許容可能な甘味料および/または矯味剤を加えることによってより口当たりのよいものにすることができる。
【0121】
より具体的には、組成物は、本発明の化合物の固体分散体からなる治療有効量の粒子、ならびに1種または複数の医薬的に受容可能な水溶性ポリマーを含む医薬製剤に製剤することができる。
【0122】
用語「固体分散体」は、少なくとも2種の成分を含む(液状または気体状とは対照的に)固体状態の系と定義され、その場合、一成分は1種または複数の他の成分全体にわたって多少均等に分散されている。成分の前記分散が、系が全体にわたって化学的および物理的に均一もしくは同質である、または熱力学で定義されるように一相からなるようなものである場合、そのような固体分散体を「固溶体」と称する。固溶体は、好ましい物理性の系である。というのは、その中の成分は通常それらを投与した生物にとって容易に生体利用が可能であるからである。用語「固体分散体」は、固溶体よりも全体にわたって同質性が劣る分散剤も含む。そのような分散剤は、全体にわたって化学的および物理的に均一ではなく、または1以上の複数の相を含む。
【0123】
水溶性ポリマーは、好都合には、20℃の溶液で2%水溶液に溶解した場合、粘度が明らかに1〜100mPa.sのポリマーである。好ましい水溶性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはHPMCである。一般には、メトキシ置換度が約0.8〜約2.5であり、およびヒドロキシプロピルのモル置換度が約0.05〜約3.0であるHPMCが水溶性である。メトキシ置換度は、セルロース分子の無水グルコース1単位当たりに存在する平均メチルエーテル基数をさす。ヒドロキシ-プロピルのモル置換度は、セルロース分子の各無水グルコース単位と反応した酸化プロピレンの平均モル数をさす。以上本明細書で定義した本発明による化合物は、最初に本発明による化合物の固体分散体を調製し、次いで、場合によって、その分散体を磨砕または粉砕することによって調製することができる。溶融押出し法、スプレー乾燥法、溶液気化法を含め、固体分散体を調製するために様々な技術が存在するが溶融押出し法が好ましい。
【0124】
本発明による化合物をナノ粒子形に製剤することはさらに好都合であるかもしれず、このナノ粒子には1000nm未満の有効平均粒子径を維持するのに十分な量の表面調節物質がその表面に吸着している。適当な表面調節物質は、既知の有機および無機薬剤賦形剤から選択できることが好ましい。そのような賦形剤には、様々なポリマー、低分子量オリゴマー、天然生成物、界面活性剤が含まれる。好ましい表面調節物質には、非イオン性界面活性剤および陰イオン性界面活性剤が含まれる。
【0125】
本発明による化合物を製剤化する、さらに別の興味深い方法では、化合物を親水性ポリマーに組み込み、この混合物をコート被膜として多数の小ビーズ上に塗布し、それによって良好な生体利用能を有する組成物を得るという医薬組成物が関与し、この組成物は好都合に製造することができ、経口投与向けの薬剤投与形態に調製するのに適当である。前記ビーズは、(a)中心の丸形または球形コア、(b)親水性ポリマーおよび抗レトロウイルス剤のコーティング、ならびに(c)シールコーティングポリマー層を含む。ビーズ中のコアとして使用に適当な物質は様々あるが、前記物質は医薬的に受容可能であり、適切な大きさおよび堅さを有する物質である。そのような物質の例は、ポリマー、無機物質、有機物質、糖類、およびその誘導体である。
【0126】
本発明による化合物の属性と考えられる別の重要な特徴は、その広範な応用可能性である。本発明による化合物は、いくつかの型の癌に対して高い活性を有する。下記の実施例に示す通り、本発明による化合物は、神経膠腫癌、大腸癌、肺癌、膀胱癌(実施例を参照のこと)を含め、試験したいくつかの腫瘍モデルに著しい抗腫瘍作用を発揮する。重要なことに、本発明による化合物は、組織腫瘍型の広範なパネルで抗腫瘍活性を示す。
【0127】
したがって、その好都合な薬理学的特性のために、本発明による化合物は、細胞増殖に関連付けられる疾患を患う個体の治療において薬剤としての使用に特に適している。別の実施形態では、本発明による化合物はある種の薬剤として使用される。さらに別の実施形態では、本発明による化合物は、細胞増殖に関連付けられる疾患の治療用薬剤の調製に使用される。特に本発明による化合物は、癌治療用薬剤の調製に使用される。
【0128】
本明細書で使用される用語「個体」は、動物をさし、哺乳動物が好ましく、治療、観察、または実験の対象となってきたヒトが最も好ましい。
【0129】
本明細書で使用される用語「細胞増殖に関連付けられる疾患」は、それだけには限らないが、細胞増殖を伴う全ての癌型または状態をさす。本発明の化合物は、特に、これだけには限らないが、白血病、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、大腸癌、CNS癌、メラノーマ、卵巣癌、腎臓癌、前立腺癌、乳癌、神経膠腫、膀胱癌、頭頚部癌、膵臓癌、皮膚癌、肝臓癌、骨癌、リンパ腫などの癌治療に使用することができる。
【0130】
さらに、本発明による化合物は、瘢痕組織および創傷の治療にも非常に適切であろう。全てではなくても本発明の化合物のほとんどは、瘢痕組織の治療、創傷治癒、および組織再生の促進に活性成分として作用し得ると考えられる。
【0131】
別の実施形態では、本発明は、このような治療を必要とする個体に本発明による医薬組成物を投与することを含む、細胞増殖に関連付けられる疾患の治療方法に関する。特に、本発明は、このような治療を必要とする個体に本発明による医薬組成物を投与することを含む癌治療法に関する。
【0132】
これらの目的のために、本発明の医薬組成物は、経口的に、非経口的に、すなわち、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内への注射または注入術式、吸入スプレーによって、または経直腸的投与を含め、従来の無毒の医薬的に受容可能な担体、アジュバンド、およびビヒクルを含む単位用量製剤で投与することができる。
【0133】
本発明の方法にしたがって、前記医薬組成物は、治療の流れの中で別々に異なる回数で、または分割もしくは単一合剤の形で同時に投与することができる。したがって、そのような同時または交互の治療プログラム全てを包含し、用語「投与」はそれに応じて解釈されるとして本発明は理解されるものとする。
【0134】
本質的に、固形腫瘍癌の治療の主たる方式には、外科、放射療法、および化学療法が別々におよび組合せて含まれる。本発明による化合物は、これらの医療技術と組合せての使用に適当である。放射線治療の放射に対する腫瘍細胞の感受性の上昇、さらに化学療法薬によって腫瘍が受ける損傷の増進または強化に本発明の化合物を使用することができる。化合物およびその医薬的に受容可能な塩は、多剤耐性腫瘍細胞の感作にも使用することができる。本発明による化合物は、その作用を増進するための、他のDNA損傷細胞障害性薬物または放射線治療で使用される放射線と併せて投与することに有用な治療化合物である。
【0135】
本発明の方法の別の実施形態では、食物、たとえば、高脂肪食と共に投与を実施することができる。用語「食物と共に」は、本発明による医薬組成物の投与中または前後約1時間以内の食事の消費を意味する。
【0136】
経口投与形には、本発明の組成物は、賦形剤、安定剤、不活性希釈液など、適当な添加剤と混合し、慣用の方法によって、錠剤、コート錠、硬カプセル、水溶液、アルコール溶液、油性溶液など、適当な投与形にすることができる。適当な不活性担体の例は、アラビアガム、苦土、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、乳糖、ブドウ糖、または澱粉、特に、コーンスターチである。この場合は、乾燥顆粒および湿潤顆粒として調製を行うことができる。適当な油性賦形剤または溶媒は、ヒマワリ油やタラ肝油などの植物油または動物油である。水溶液またはアルコール溶液に適当な溶媒は、水、エタノール、糖液、またはそれらの混合物である。ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールは、さらに他の投与形の助剤としても有用である。即時放出錠剤として、これらの組成物には、当技術分野で知られている、微結晶セルロース、リン酸二カルシウム、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、および乳糖、ならびに/または他の賦形剤、結合剤、特性強化剤、崩壊剤、希釈剤、および滑沢剤を含めてもよい。
【0137】
本発明による化合物またはその医薬的に受容可能な塩もしくはそのエステルを含む医薬組成物の経口投与は、適当な量の本発明による化合物を、任意に微粉化した固体担体も含めて、一緒に粉体形で均一によく混合し、その混合物を、たとえば、硬ゼラチンカプセルにカプセル化することによって適切に実現される。固体担体には、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤などの役割をする1種または複数の物質を含めてもよい。適当な固体担体には、たとえば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖類、乳糖、デキストリン、澱粉、ゼラチン、セルロース、ポリビニルピロリジン、低融点ワックス、およびイオン交換樹脂が含まれる。
【0138】
本発明による化合物またはその医薬的に受容可能な塩もしくはそのエステルを含む医薬組成物の経口投与は、所望の量の本発明による化合物を含み、場合によっては上記の固体担体と混合した、カプセル剤または錠剤を調製することによって実現することもできる。本発明の医薬組成物を含む圧縮錠剤は、活性成分と上記のものなどの固体担体を均一によく混合して、必要な圧縮特性を有する混合物を得、次いで適当な機械中で混合物を所望の形および寸法に圧縮することによって調製することができる。モールド錠剤は、おそらく、適当な機械中で、不活性希釈液により湿潤にした本発明による粉末化合物の混合物をモールド成形することによって製造される。
【0139】
経鼻エアロゾルまたは吸入によって投与する場合は、これらの組成物は当製剤技術分野で周知の技術にしたがって調製することができ、ベンジルアルコールまたは他の適当な保存料、生体利用能を強化するための吸収プロモータのフルオロカーボン、および/または当技術分野で知られている他の可溶化剤または分散剤を使用して生理食塩水溶液として調製することができる。エアロゾルまたはスプレー形の投与に適当な医薬製剤は、エタノールや水、またはそのような溶媒の混合物など、医薬的に受容可能な溶媒に含まれた、本発明の化合物またはその生理学的に受容可能な塩の、たとえば、溶液、懸濁液、乳濁液である。必要な場合は、製剤には、さらに、界面活性剤、乳化剤、安定剤、ならびに他の薬剤助剤、噴霧剤などを含めてもよい。
【0140】
皮下または静脈内投与には、望む場合は、溶解剤、乳化剤、別の助剤などのこの化合物のための慣用物質と共に、本発明の活性化合物を溶液、懸濁液、または乳濁液にする。本発明の化合物は、凍結乾燥することもでき、得られた凍結乾燥物は、たとえば、注射または注入調製物の生成に使用することができる。適当な溶媒は、たとえば、水、生理食塩水、アルコール、たとえば、エタノール、プロパノール、グリセロール、さらにブドウ糖やマンニトール溶液などの糖溶液、あるいは記載した様々な溶媒の混合物である。マンニトール、1,3-ブタンジオール、水、リンゲル溶液、塩化ナトリウムの等張溶液などの適当な無毒の非経口で許容される希釈液もしくは溶媒、または合成のモノもしくはジグリセリド、およびオレイン酸を含む脂肪酸を含む滅菌した口当たりのよい不揮発性油など、適当な分散剤、湿潤剤、懸濁化剤を使用し既知の技術によって注入可能な溶液または懸濁液を製剤化することができる。
【0141】
座薬形で経直腸的に投与する場合、これらの製剤は、本発明による化合物と、ココアバター、合成グリセリドエステル、ポリエチレングリコールなどの適当な非刺激性賦形剤を混合することによって調製することができ、これらの賦形剤は常温で固体であるが、直腸腔内で液化および/または溶解して薬物を放出する。
【0142】
本発明の医薬組成物は、前記組成物中に含まれている本発明の各化合物に特異的な用量範囲でヒトに投与することができる。前記組成物に含まれる化合物は、一緒にまたは別々に投与することができる。
【0143】
しかし、全ての特定の患者に対する具体的な用量レベルおよび投薬頻度は変化させてもよく、使用する具体的な本発明の化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用時間、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食餌、投与方式および投与時間、排泄速度、薬物の組合せ、特定の状態の重症度、療法を受けている主体を含め、様々な要因によって決まることは理解されよう。
【0144】
本発明による化合物は、2''オキソ-ボルウスカリン、ウスカリン、または他の化合物から出発して、化学合成法によって調製することができる。本発明による化合物の合成法には、2''オキソ-ボルウスカリン、ウスカリン、またはその誘導体の化学的修飾が伴う。便利な方法のいずれによっても、たとえば、化学合成によって2''オキソ-ボルウスカリンまたはウスカリンを得ることができる。あるいは、これは、たとえば、アスクレピアダセア(Asclepiadacaeae)科の植物からの抽出および精製より得ることもでき、この科の植物、たとえば、カロトロピスプロケラ(Calotropis procera)は2''オキソ-ボルウスカリンおよびウスカリンを自然に生成する。
【0145】
以下の実施例は、本発明を例示するものである。これらの実施例は本発明を例示するために存在し、本発明の範囲を限定しないものとみなされる。
【実施例】
【0146】
実施例1は、本発明による化合物の例の限定されないリストを提供する。実施例2は、本発明による、ある種の化合物の調製を例示する。実施例3および4は、本発明による化合物のin vitro抗腫瘍作用を例示する。本発明によるいくつかの化合物の抗腫瘍作用をウスカリンの抗腫瘍活性と比較する。実施例5は、本発明による化合物についての最大耐用量の測定に関する。実施例6は、異なる癌モデルでの本発明による化合物のin vivo抗腫瘍薬理作用の測定に関する。
【0147】
実施例1:本発明による化合物の限定されない例を下表Aに収載する。
【0148】
【化7】

【0149】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【0150】
実施例2 本発明による異なる化合物の調製
以下の実施例は、本発明による8種の誘導体の調製を示す。これらの化合物を下表Bに表す。
【表20】

【0151】
2''オキソ-ボルウスカリンをカロトロピスプロケラから単離した。最初に、この植物の葉身、茎、樹皮、および根を微粉末に磨砕した。次いで、ソックスレー抽出器を使用し、その粉をジクロロメタンによって少なくとも6、12、18時間、好ましくは24時間抽出した。容器を傾けてジクロロメタン相を移し、空孔率n°3のフリットガラスを使用してろ過した。ろ液を蒸発させると乾燥抽出物が得られた。乾燥抽出物をヘキサンに懸濁し、室温で少なくとも12〜16時間マグネティックスターラーで攪拌した。次いで容器を傾けてヘキサン懸濁液を移し、空孔率n°3のフリットガラスでろ過した。次いで、不溶性部分をメタノールによって少なくとも6時間、12〜16時間抽出し、混合物を空孔率n°3のフリットガラスを使用してろ過した。次いで、C18グラフト化フラッシュシリカゲルを使用し、比率が50:50〜80:20で変化する2成分溶出剤メタノール/水を使用し、混合物の不溶性部分をカラムクロマトグラフィーにかけた。
【0152】
2成分溶出剤の比率が60:40〜70:30で構成される画分に生体活性が観察された。これらの画分を蒸発して乾燥させ、さらに2成分溶出剤としてジクロロメタン/メタノールを使用し、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにかけた。これにより2種の純粋な化合物:2''オキソ-ボルウスカリンおよびウスカリンの単離が可能になった。
【0153】
化合物Bを調製するため、23.9mgの2''オキソ-ボルウスカリン(0.39 10-4mol)を含む2mlのメタノールのマグネティックスターラーで攪拌した溶液に5当量のNaBH4(7.5mg、1.98 10-4molを加えた。混合物を1時間攪拌した。次いで、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2;CH2Cl2/MeOH:95/5)にかけることによって15.9mgの化合物Bが得られた。この調製方法の収量は66%であった。
【0154】
別の誘導体は化合物Cから構成された。上記した化合物Bのアセチル化によってこの化合物を調製した。3.04mgの化合物B(5.0 10-6mol)を含む1mlの酢酸無水物/ピリジンの50/50混合液の溶液を1時間20分、室温で攪拌した。続いて、攪拌下0℃で1mlの水を加えた。15分後、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH:9/1)にかけることによって3.00mgの化合物Cが得られた。この調製方法の収量は92%であった。
【0155】
化合物Bをベンゾイル化することによって化合物Fを調製した。10.05mgの化合物B(1.66 10-5モル)および0.5mlのピリジンの溶液をマグネティックスターラーで攪拌し、5滴の塩化ベンゾイルを25分間攪拌した。残留物を水で取り上げジクロロメタンで抽出した。分離後、有機層を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2、CH2Cl2/MeOH:99:1、98:2、97:3、96:4)にかけることによって8.13mgの化合物Fが得られた。この調製方法の収量は69%であった。
【0156】
47mgのウスカリン(0.80 10-4mol)を含む3mlのメタノール溶液のマグネティックスターラーで攪拌した溶液に5.5当量のNaBH4(16.8mg、4.44 10-4mol)を加えることによって化合物Dを調製した。混合物を10分間攪拌した。次いで、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2;CH2Cl2/MeOH:95:5)にかけることによって31.5mgの化合物Dが得られた。この調製方法の収量は67%であった。
【0157】
別の半合成誘導体は化合物Eからなった。化合物Dのアセチル化によってこの化合物を調製した。6.09mgの化合物D(0.10 10-4mol)を含む2mlの酢酸無水物/ピリジンの50/50混合液の溶液を室温で2時間攪拌した。攪拌下0℃で2mlの水を加えた。15分後、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH:9/1)にかけることによって5.86mgの化合物Eが得られた。この調製方法の収量は90%であった。
【0158】
化合物Dのベンゾイル化によって化合物Gを調製した。15.13mgの化合物D(2.57 10-5mol)および0.5mlのピリジンの溶液をマグネティックスターラーで攪拌し、5滴の塩化ベンゾイルを15分間攪拌した。残留物を水で取り上げジクロロメタンで抽出した。分離後、有機層を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2、CH2Cl2/MeOH:9/1)にかけることによって12.5mgの化合物Gが得られた。この調製方法の収量は70%であった。
【0159】
出発物質として化合物Dを使用し反応式1にしたがって化合物HおよびIを調製した。
【0160】
【化8】

【0161】
2mlのTHFに、順次、37.3mgの化合物D(589g/mol、63.3 10-6mol)および30μlのBF3.Et2O(141.9g/mol、3当量)を加えた。0℃のN2下で混合液を攪拌した。30分後、混合液を-78℃に冷却した。75.0mgの1-フェニル-1(トリメチルシリルオキシ)エチレン(4当量)を含む0.5mlのTHF溶液を最後に加えた。反応混合液を-78℃で20分間攪拌し、次いで室温で1時間攪拌した。この溶液を1NのNaHCO3溶液で中和した後、混合液をジクロロメタンで抽出し有機層を減圧下で蒸発させた。2種の異性体、化合物H、および化合物Iをシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、長さ=20cm、直径=1cm、溶離の勾配:CH2Cl2、CH2Cl2/MeOH 99:1、98:2)によって単離した。
【0162】
8.4mg(709g/mol)の純粋化合物Hが得られ(収量=19%)、3.5mg(709g/mol)の化合物Iが得られた(収量=8%)。さらに、化合物HおよびIの混合物3.3mg(709g/mol)を単離した(収量=7%)。2種の異性体に関するこの方法の全体的収量は34%であった。IR分光法およびプロトンNMR分光測定によって得られた異性体を分析した。
【0163】
実施例3 本発明による異なる化合物が細胞系の全般的な細胞増殖に及ぼす作用
本発明による化合物のin vitro活性を特徴付けるためにMTT試験を実施した。当技術分野で周知の試験であるMTT試験は、迅速に、すなわち5日以内に、所与の生成物が全般的な細胞増殖に及ぼす作用を測定する間接的な技術である。ミトコンドリアの還元によって、黄みを帯びたMTT生成物(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5ジフェニルテトラゾリウムブロミド)を、青色の生成物ホルマザン染料に転換させることができる代謝的に活性な生細胞数をこの試験では測定する。実験の最後で得られるホルマザン量を分光光度計を用いて測定するが、この量は生細胞数に直接比例する。対照条件(未処置細胞)と比較しながら光学濃度を測定することによって調査化合物の作用の定量的測定、およびそれと他の参照化合物との比較が可能になる。以下の実施例では、本発明による異なる化合物を試験し、ウスカリンである参照化合物と比較した。
【0164】
表Cに記載した6種のヒト癌細胞系を本発明による化合物の存在下で試験した。これらの細胞系は、神経膠腫、大腸癌、肺癌、および膀胱癌の4種の組織学的癌型を包含した。細胞型に依存して4000個の細胞/ウェルになるように、1ウェル当たり100μlの量の細胞懸濁液を入れた平底の96穴マイクロウェル中で細胞を放置して増殖させた。各細胞系をそれ自体の細胞培地に播種した(表C)。
【0165】
【表21】

37℃で24時間培養した後、培地を100μlの新鮮培地と交換する。この新鮮培地には試験対象となる化合物が異なる必須の濃度で溶解させてある。異なる化合物は、10-9M、5×10-9M、10-8M、5×10-8M、10-7M、5×10-7M、10-6M、5×10-6M、および10-5Mで試験した。各実験条件を8通り実施する。試験化合物は、2''オキソ-ボルウスカリン、および上の表Bに示した化合物B、C、D、E、H、およびIである。
【0166】
37℃で化合物と一緒に(実験条件)、または化合物なしに(対照条件)72時間培養した後、RPMIに溶解させた濃度が1mg/mlのMTT 100μlに培地を置換した。続いて、37℃で3時間マイクロウェルを培養し、400gで10分間遠心分離した。MTTを除去するとホルマザンの結晶が形成され、100μlのDMSOに溶解した。マイクロウェルを5分間振盪し、ホルマザンの最大吸光波長に相当する570nmの波長、およびバックグラウンドノイズ波長である630nmの波長で分光光度計を読み取った。
【0167】
各実験条件に関して、各条件(6個のウェル)のSEM(平均値標準誤差)に関連付けられる平均値ODを算出した。対照と比較して残った生細胞の百分比を算出した。これらの実験の結果を図2〜8に表す。
【0168】
図1は、6種の試験細胞系のうち5種に対する既知の化合物ウスカリンの抗腫瘍活性を表す(表Dを参照のこと)。膀胱から得られたヒト腫瘍細胞系(J82)は、ウスカリンに対して感受性が低かった。
【0169】
図2〜8に例示するように、本発明による化合物も6種の試験細胞系のうち5種で抗腫瘍活性を発揮した。6種の化合物に対して、膀胱から得られたヒト腫瘍細胞系だけが残りの5種の細胞系よりも感受性が低かった。7種の化合物のうちで、化合物CとEが最も細胞障害活性が低かった。
【0170】
本発明による化合物が50%の細胞集団を死滅させる濃度、すなわちIC50値を表Dに示す。
【0171】
【表22】

ウスカリンおよび2''オキソ-ボルウスカリンのIC50値は、J82を除き試験細胞系に依存して5×10-8〜10-9Mの範囲であったが、J82のIC50値はウスカリンでは10-5〜5×10-6Mの範囲であり、2''オキソ-ボルウスカリンでは10-5Mよりも高かった(表Dを参照のこと)。
【0172】
細胞系Hs683に対するウスカリンおよび2''オキソ-ボルウスカリンのIC50値は、化合物BのIC50値の1000分の1以下であった。ウスカリン、2''オキソ-ボルウスカリン、ならびに化合物B、D、H、およびIによって細胞系U-373、HCT-15、LoVo、A549の増殖も同じ方法で影響を受けた。細胞系により、ウスカリンおよび2''オキソ-ボルウスカリンのIC50値は、化合物CおよびEのIC50値の100〜1000分の1以下であった。J82細胞系は、その他の試験細胞系よりも感受性が低かった。
【0173】
図9では、6種の細胞系に対するウスカリンおよび2''オキソ-ボルウスカリンの細胞障害活性を比較する。両化合物は、各試験細胞系に対して同様の抗腫瘍作用を誘発した。J82(膀胱癌)細胞系は、試験した他の細胞系よりも感受性が低かった。図10では、ウスカリン、2''オキソ-ボルウスカリン、ならびに化合物B、C、D、E、H、およびIの細胞障害活性を比較する。Hs683に対しては、ウスカリンおよび2''オキソ-ボルウスカリンは化合物Bよりも活性が強力であった。U-373、HCT-15、LoVo、A549細胞系の増殖は、ウスカリン、2''オキソ-ボルウスカリン、ならびに化合物B、D、H、およびIによって同じ方法で影響を受けた。J82細胞系は、その他の試験細胞系よりも感受性が低かった。
【0174】
要するに、本発明による新規な化合物2''オキソ-ボルウスカリンは、本実験でアッセイした5種のヒト癌細胞系に対して劇的な抗腫瘍作用を示した。これらの抗腫瘍作用は、4種の代表的な組織型に属するこれらのヒト癌モデルの全般的な増殖での顕著な低下に対応した。
【0175】
ウスカリン、2''オキソ-ボルウスカリン、ならびに化合物B、C、D、E、H、およびIも抗腫瘍活性を示す。
【0176】
実施例4 本発明による異なる化合物の細胞動態に及ぼす作用
実施例2に記載のMTT比色アッセイによって実施した実験によれば、本発明による化合物が、MTTアッセイにかけたヒト癌細胞系のほとんどの全般的な増殖を低減することは明らかである。以下の実施例では、細胞動態に対する本発明による化合物2''オキソ-ボルウスカリンの作用を試験し既知の化合物ウスカリンの作用と比較した。
【0177】
7mlの培地を含むフラスコに細胞系を播種(25cm2面積)した。37℃で48時間培養した後、細胞培地を、試験対象となる物質を必須の異なる濃度で溶解しておいた新鮮培地と交換した。それぞれ、IC50値およびIC30値によって表される、50%および30%の細胞集団を死滅させる濃度でウスカリンおよび2''オキソ-ボルウスカリンを試験した。24時間または72時間処置した後、細胞を懸濁液に回収し、4℃のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、-20℃で(4℃の)70%エタノールにより終夜、透過処理した。次いで、細胞をPBSで洗浄し、ヨウ化プロピジウム溶液(80μg/ml)によって37℃で30分間、その後4℃で終夜培養した。リボヌクレアーゼA(3%V/V)をPI溶液に加えて2重鎖RNAを分解した。細胞周期のポートレートを試料ごとに確立した。フローサイトメーターに組み込んだソフトウェアを使用して異なる細胞周期相中の細胞の百分比を正確に測定した。各細胞周期相をピーク表面という用語で報告し百分比として算出した。細胞周期全体の表面は100%であった。各実験を3度実施した。異なる各相の平均百分比および関連する平均値の標準誤差を算出した。所与の条件の各細胞周期相を対照の同じ細胞周期相と比較した。未処理細胞が対照を構成した。
【0178】
ウスカリンおよび2''オキソ-ボルウスカリンは、ヒト腫瘍細胞系に極めて有毒である。フローサイトメトリー実験で使用した濃度は、MTTの結果(実施例2)にしたがって選択した。3種のヒト癌細胞系、Hs683、J82、およびHCT-15を試験し、細胞培地を化合物の濃度を上昇させて24時間または72時間処理したときは、30%および50%の細胞を死滅させる用量を適用して、細胞周期相の1相中へのウスカリンおよび2''オキソ-ボルウスカリンの蓄積が促進されたかどうか調査した。試験した3種の細胞系に対応するウスカリンおよび2''オキソ-ボルウスカリンのIC50値およびIC30値を表Eに表す。
【0179】
【表23】

Hs683を1.7×10-7Mのウスカリンで24時間および72時間処理したとき、ウスカリンで処理したHs683細胞を分析(図11)するとS期中で細胞の蓄積が示された。この作用は統計上有意であった。細胞を1.7×10-7Mのウスカリンで24時間処理したとき、G2/M期で有意な蓄積が観察された。24時間処理後には8.3×10-9Mで、および72時間の処理では両濃度で、2''オキソ-ボルウスカリンによってG2/M期で蓄積が誘導された(図12)。これらの作用も有意であった。
【0180】
ウスカリンで処理したJ82細胞の細胞周期を分析(図13)すると、適用した濃度または処理のタイミングに依存しない有意な増加がS集団で生じたことが示された。2''オキソ-ボルウスカリンでは、試験した両濃度で72時間の処理後にしかS集団の上昇は誘発されなかった(図14)。
【0181】
ウスカリン(図15)および2''オキソ-ボルウスカリン(図16)で処理したHCT-15細胞の細胞周期を分析から、両化合物は試験した最高濃度、それぞれ、4.3×10-8Mおよび1.2×10-8Mで72時間処理した後にS期で蓄積を誘発したことが示された。
【0182】
24時間および72時間の処理後に使用した3種の細胞系の周期動態に働く、ウスカリンおよび2''オキソ-ボルウスカリンで得られる最も重要な効果を下表Fに要約する。要するに、試験した各細胞系のS期でウスカリンによって蓄積が誘発された。2''オキソ-ボルウスカリンによってS期およびG2/M期で蓄積が誘発された。これらの結果から、2''オキソ-ボルウスカリンよりもウスカリンによってS期でより多くの細胞の蓄積が誘発されたことが示されている。ウスカリン処理によるS期での細胞の蓄積は、細胞がDNA損傷または破壊を受けることを示す。すなわち、2''オキソ-ボルウスカリンで処理中よりもウスカリンで処理中にS期でより多く細胞が蓄積されることは、2''オキソ-ボルウスカリンがウスカリンよりも毒性が低く、したがって健康な細胞で副作用の誘発を抑えることができることを示している。
【0183】
【表24】

ここで、n.s.は、「有意差なし」を意味し;*は「高い有意差あり」;***は「非常に高い有意差あり」を意味する。
【0184】
実施例5 本発明による化合物の最大耐用量の測定:
所与の薬物の最大耐用量(MTD)は、健康な動物、すなわち、腫瘍が移植されていない動物に短時間に投与できる薬物の最大量(すなわち1回の腹腔内、静脈内、皮下投与、または経口単一用量)として定義される。動物の生存期間および体重を注射後14日間まで記録する。MTD指標の測定に各薬物の5の異なる用量を使用する。MTD指標が160mg/kg(腹腔内投与)より高い場合、薬物は、通常、無毒と見なされ、担腫瘍マウスに投与される最大用量はMTD/2=80mg/kgである。MTD指標を測定するために各実験群を3匹のマウスから構成した。
【0185】
2''オキソ-ボルウスカリン、化合物B、化合物C、化合物D、化合物H、および化合物IのMTD指標を測定した。これらの化合物のマウスでの単一投与用に測定したMTD指標は、2''オキソ-ボルウスカリンでは20mg/kg、化合物Bでは80mg/kg、化合物Cでは40mg/kgを超えて、化合物Dでは10mg/kg、化合物Hでは80mg/kg、および化合物Iでは80mg/kgであった。
【0186】
実施例6 本発明による化合物に関するin vivo抗腫瘍薬理作用の測定
in vivo抗腫瘍薬理で3つの型の結果が得られた:1) 処理中の担腫瘍マウスの体重を記録することによる化学療法的投与の蓄積毒性、2) 腫瘍増殖レベルで発揮された実際の抗腫瘍作用。腫瘍モデルが皮下移植(s.c)である場合、腫瘍寸法をノギスによって週3回測定し、2個の直交する最大直径を掛け合わせることによって面積(mm2)で表し、3) 処理した動物のT/C指数によって評価した生存率の増分。この指数は、処理動物群(T)と対照群の間の生存時間中央値の割合である。T/C値が130%(P<0.05)より上ならば薬物は活性であり、70%以下の値は有毒であると見なされる。
【0187】
化合物Bの抗腫瘍活性を異なる異種移植モデル:皮下モデル:MCF-7-TD5(乳癌)およびC32(メラノーマ癌)、および正所性モデル:A549(肺癌)で評価した。
【0188】
a.乳癌モデル:
本明細書に記載のMCF-7-TD5モデルは、v-Ha-ras発癌遺伝子およびネオマイシン-耐性遺伝子をトランスフェクトしたMCF-7のホルモン感受性の形体である。化合物Bを週5回MTD/8(10mg/kg)およびMTD/16(5mg/kg)でアッセイした。
【0189】
増殖培地へのエストラジオールの添加によってin vitroではMCF-7-TD5の増殖速度は上昇されなかったが、それによって親細胞は有意に刺激された(Int. J. Cancer、46、522〜532ページ(1990))。未処理雌nu/nuマウスにMCF-7-TD5を皮下注射した後、7〜18週間の潜伏期をおいてMCF-7TD5によって腫瘍が生成された。マウスを追加のエストラジオールで処理すると潜伏期が劇的に短縮され、より急速に腫瘍が増殖した。本実施例に記載した実験中はエストラジオールを使用しなかった。
【0190】
図17では、10mg/kgおよび5mg/kgの化合物Bを60回投与することによって、MCF-7-TD5腫瘍増殖は有意に減少したが、この作用はMCF-7-TD5担腫瘍マウスの生存期間を有意に延長するには十分ではなかったことが示されている。図18は、本実験で使用した化合物Bの投与スケジュールが、重大な有毒な副作用を誘発しなかったことを示している。それは、MCF-7-TD5担腫瘍マウスが化合物Bの継続的な投与中、いかなる有意な体重減少もなかったからである。図17〜22では、↑Mxまたは↓Mxは、各実験で中央値のマウスが死亡した日をさす。
【0191】
化合物Bは、MCF-7-TD5乳癌モデルで目立つ副作用もなく有意な抗腫瘍作用を発揮している。
【0192】
b.メラノーマ癌モデル
その皮膚に発がん性物質を塗布することによって、マウスで実験用メラノーマを準備した。これらの実験用メラノーマは、ヒトメラノーマのそれに類似するある種の形態学的特性を示すが生物的攻撃性は低い。化合物Bを週3回DMT/4(20mg/kg)、DMT/8(10mg/kg)、およびDMT/16(5mg/kg)でアッセイした。25×20mg/kg、28×10mg/kg、および21×5mg/kgの投与スケジュールの化合物Bは、C32肺癌担持マウスの生存期間をそれほど延長しなかった。実際、測定したT/C指数値は、それぞれ、95%、107%、および81%であった。
【0193】
図19および20は、本実験で使用した化合物Bの投与スケジュールが、腫瘍面積を減少させ、いかなる重大な有毒な副作用も誘発しなかったことを示している。それは、C32担腫瘍マウスが化合物Bの継続的な投与中、いかなる有意な体重減少もなかったからである。最も重要な作用は、10mg/kgの投与スケジュールで得られた。
【0194】
したがって、化合物Bは、腫瘍面積を減少させることによって、C32メラノーマ癌モデルで有意な抗腫瘍作用を発揮する。
【0195】
c.肺癌モデル
肺癌は、世界中で癌死亡の主要原因である。攻撃的、局所的、かつ全身的治療にもかかわらず、ほとんどの患者は進行性転移性疾患で死亡する。肺癌の病因は、他の癌と比べて、その攻撃的生物的性質およびかなりの異種性のために、依然として非常にとらえ所がない。腫瘍細胞懸濁液の気管支内、胸腔内、または静脈内注射を使用し、新鮮腫瘍組織の外科的移植による正所性肺癌モデルが文献に記載されている。腫瘍細胞は、ヌードマウス肺に直接注入される。正所性モデルの利点には、改良化腫瘍の獲得および浸潤特性および転移特性の強化が含まれる。
【0196】
化合物Bを週3回DMT/2(40mg/kg)、DMT/4(20mg/kg)、およびDMT/8(10mg/kg)でアッセイした。3×40mg/kgの投与スケジュールの化合物Bは、値が124%であったT/C指数の分析に続き、A549肺癌マウスの生存期間をそれほど延長しなかった。これに反して化合物Bを7×20mg/kgおよび10×10mg/kgで投与したとき、T/C指数は、それぞれ、152%および186%であった。これらの値は統計上有意である。
【0197】
図21は、実験中の対照群および試験群、それぞれの9匹のマウスの死亡率を表す。カプラン‐マイヤ統計分析を使用した。統計値によって、対照群の一般的適合と比較した試験対照の一般的適合が強調される。図22から知ることができるように、この実験中で使用された用量がなんであろうと、化合物Bは、未処理マウスと比較してマウスの生存を有意に延長する。有意性レベルはp<0.05であった。
【0198】
図22は、本実験で使用した化合物B投与スケジュールがいかなる重大な有毒な副作用も誘発しなかったことを示す。それはA549担腫瘍マウスが化合物Bの継続的な投与中、有意な体重の低下が観察された40mg/kgの投与第1週を除いて、いかなる有意な体重減少もなかったからである。
【0199】
生存期間を有意に延長することによって、化合物BはA549肺癌モデルで有意な抗腫瘍作用を発揮する。
【0200】
最後に、化合物Bは、この一連の実験で使用したモデル全てにおいて有意な抗腫瘍作用を有する。これらのモデルは、乳癌、肺癌、およびメラノーマを含む組織腫瘍型のパネルを代表する。これらのモデルは臨床上適切である。というのは、これらのモデルはヒト癌の具体的な臨床段階を模倣しているからである。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】6種のヒト癌細胞系に働く化合物ウスカリンの抗腫瘍活性を示す図である。
【図2】6種のヒト癌細胞系に働く2''オキソ-ボルウスカリンの抗腫瘍活性を示す図である。
【図3】6種のヒト癌細胞系に働く化合物Bの抗腫瘍活性を示す図である。
【図4】6種のヒト癌細胞系に働く化合物Cの抗腫瘍活性を示す図である。
【図5】6種のヒト癌細胞系に働く化合物Dの抗腫瘍活性を示す図である。
【図6】6種のヒト癌細胞系に働く化合物Eの抗腫瘍活性を示す図である。
【図7】6種のヒト癌細胞系に働く化合物Hの抗腫瘍活性を示す図である。
【図8】6種のヒト癌細胞系に働く化合物Iの抗腫瘍活性を示す図である。
【図9】6種のヒト癌細胞系に働くウスカリンと2''オキソ-ボルウスカリンの細胞障害活性の比較を示す図である。
【図10】6種のヒト癌細胞系に働くウスカリン、2''オキソ-ボルウスカリン、および化合物B、C、D、E、H、Iの細胞障害活性の比較を示す図である。
【図11】Hs683ヒト癌細胞の細胞周期動態に働く化合物ウスカリンの作用を示す図である。
【図12】Hs683ヒト癌細胞の細胞周期動態に働く2''オキソ-ボルウスカリンの作用を示す図である。
【図13】J82ヒト癌細胞に細胞周期動態に働く化合物ウスカリンの作用を示す図である。
【図14】J82ヒト癌細胞に細胞周期動態に働く2''オキソ-ボルウスカリンの作用を示す図である。
【図15】HCT-15ヒト癌細胞に細胞周期動態に働く化合物ウスカリンの作用を示す図である。
【図16】HCT-15ヒト癌細胞に細胞周期動態に働く2''オキソ-ボルウスカリンの作用を示す図である。
【図17】MCF-7-TD5腫瘍マウスの腫瘍寸法に働く、異なる濃度での化合物Bの抗腫瘍作用を示す図である。
【図18】MCF-7-TD5腫瘍マウスの体重に働く化合物Bの抗腫瘍作用を示す図である。
【図19】C32腫瘍マウスの腫瘍寸法に働く、異なる濃度での化合物Bの抗腫瘍作用を示す図である。
【図20】C32腫瘍マウスの体重に働く化合物Bの抗腫瘍作用を示す図である。
【図21】化合物Bで処理後、A549腫瘍マウスの死亡率を示す図である。
【図22】A549腫瘍マウスの体重に働く化合物Bの抗腫瘍作用を示す図である。


Notice: Undefined index: CLJ in /mnt/www/gzt_disp.php on line 301

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公表番号】特表2006−511483(P2006−511483A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542474(P2004−542474)
【出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011194
【国際公開番号】WO2004/033465
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(505129585)ユニバイオスクリーン エス.アー. (8)
【Fターム(参考)】