説明

2−アシルアミノ−3−ジフェニルプロパン酸の製造および分割のためのプロセス

医薬的に活性な化合物、特に中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤の合成に有用な、2−アシルアミノ−3−ジフェニルプロパン酸および中間体の製造および分割のためのプロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、医薬的に活性な化合物、特に中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤の合成において有用な新規プロセス、新規プロセスのステップおよび新規中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は、ビフェニルアラニンのN−アシル誘導体を調製する方法に関する。ビフェニルアラニンのN−アシル誘導体は、医薬的に活性な化合物、特に中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、例えば、米国特許第4,722,810号、米国特許第5,223,516号、米国特許第4,610,816号、米国特許第4,929,641号、南アフリカ特許出願第84/0670号、UK69578、米国特許第5,217,996号、EP00342850、GB02218983、WO92/14706、EP0034391 1、JP06234754、EP00361365、WO90/09374、JP07157459、WO94/15908、米国特許第5,273,990号、米国特許第5,294,632号、米国特許第5,250,522号、EP00636621、WO93/09101、EP00590442、WO93/10773、WO2008/031567および米国特許第5,217,996号に記載されたものなどの合成における重要な中間体である。
【0003】
ビフェニルアラニン誘導体を調製する合成方法は、典型的には、非天然D−チロシンなどの高価な出発原料を使用する。その上、前記方法は、所望のビフェニル構造を生じるアリールカップリング反応を遂行するためにフェノール性ヒドロキシルを活性化するのに、やはり高価なトリフルオロメタンスルホン酸無水物の使用を必要とする。そのような合成手法の一例は、Journal of Medicinal Chemistry 1995年、38巻、10号、1689〜1700頁に記載されている。スキーム1はこれらの方法の1つを例示する。
【化1】

【0004】
2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を調製する方法はChemical and Pharmaceutical Bulletin、1976、24(12)、3149〜57で報告されている。前記方法は、下に概略を示すステップi)およびii)を含む。
【化2】

【0005】
このプロセスの弱点は、アセチル基が第1ステップの反応条件で除去され、その結果それを再び導入する(reinstall)ためにさらなる化学的ステップが必要なことである。したがって、そのような望ましくないアセチル除去は、原子を節約する見地および試薬コストの視点の両方からプロセスを魅力のないものにする。その上、このプロセスは、鏡像異性的に純粋な2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を得る手段を提供せず、特に、医薬的に活性な化合物、特に中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤の合成において、上記のように重要な中間体である(S)−2アシルアミノ−3−ビフェニル酸の調製を可能にしない。
【0006】
それ故、費用のかからないビフェニルアラニン誘導体を調製する方法を開発する強い要望がある。本発明はこの目的に合致し、したがって工業的に有利なプロセスを提供することが見出される。
【発明の概要】
【0007】
発明の要旨
本発明は、本明細書において定義する式(I)のN−アシルビフェニルアラニンを調製する方法を提供する。式(I)のキラル化合物を製造する本発明による新しいプロセスは、スキーム2にまとめられ、スキーム中において、
− ステップa)、b)およびc)は本明細書で定義された通りであり;
− 式(I)、(II)、(III)および(IV)の化合物は本明細書で定義された通りであり;ならびに
− 「」は絶対立体化学(absolute stereochemistry)(R)もしくは(S)に関するキラル中心を意味する。
【化3】

【0008】
一実施形態において、本発明のプロセスは、スキーム3にまとめたように式(Ia)の化合物を提供し、スキーム3において
− ステップa)、b)およびc)は本明細書で定義された通りであり;ならびに
− 式(Ia)、(IIa)、(III)および(IV)の化合物は本明細書で定義された通りである。
【化4】

【0009】
他の実施形態において、本発明のプロセスは、スキーム4にまとめたように、式(Ib)の化合物を提供し、スキーム4において、
− ステップa)、b)およびc)は本明細書で定義された通りであり;ならびに
− 式(Ib)、(IIb)、(III)および(IV)の化合物は本明細書で定義された通りである。
【化5】

【0010】
式(I)のキラル化合物は、例えば、各々の開示が参照により本明細書に組み込まれる、Journal of Medicinal Chemistry、1995年、38巻、10号、1691頁、および本明細書中で前に挙げた特許文献に記載されているように中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤に変換することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
ステップa:
第1の実施形態において、本発明は、式(III)の化合物またはその塩:
【化6】


(式中、
R1は、メチルもしくはエチルなどのC1−7アルキルであるか、またはフェニルもしくはパラ−クロロフェニルなどの置換されたもしくは置換されていないC6−10アリールである)
を調製する方法であって、
式(IV)の化合物またはその塩:
【化7】


(式中、R1は式(III)の化合物について定義された通りである)
を脱炭酸反応条件下で反応させて、式(III)の化合物を提供する工程を含む方法に関する。
【0012】
ステップa)は、当該分野において一般的に知られたの溶媒中で、例えば、水、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)および1−メチル−2−ピロリドン(NMP)から選択される溶媒(溶媒1と名づける)の存在下に実施することができる。前記溶媒1の量は、例えば、本明細書において定義された式IVの化合物の供給量の0から50倍(重量による)である。
【0013】
典型的には、脱炭酸反応条件は加熱により達成され、特に、ステップaは、80℃から250℃の反応温度で実施される。一実施形態において、ステップa)は本明細書において定義された溶媒1の還流温度で実施される。
【0014】
一実施形態において、ステップa)のための反応時間は、2から48時間である。
【0015】
ステップb:
さらなる実施形態において、本発明は、式(II)のキラル化合物:
【化8】


(式中、
R1はメチルもしくはエチルなどのC1−7アルキルであるか、またはフェニルもしくはパラ−クロロフェニルなどの置換されたもしくは置換されていないC6−10アリールであり;
R2はメチルなどのC1−7アルキルであるか、またはR3R4NC(=O)−もしくはR5OC(=O)−(式中、R3およびR4は水素もしくはC1−7アルキルから独立に選択され、R5はC1−7アルキルである)であり;
R6はフェニルなどのC6−10アリールであり、ならびに
」は絶対立体化学(R)もしくは(S)に関するキラル中心を意味する)
を調製する方法であって、
式(III)の化合物またはその塩:
【化9】


(式中、R1は式(II)の化合物について定義された通りである)
を、式(V)のキラルアミン:
【化10】


(式中、R2およびR6は式(II)の化合物について定義された通りであり、
」は絶対立体化学(R)もしくは(S)に関するキラル中心を意味する)
と反応させる工程、および、
生じるジアステレオマー混合物を結晶化により分割して、式(II)の化合物を提供する工程を含む方法に関する。
【0016】
本明細書において定義された式(II)のキラル化合物は、式:
【化11−1】

【化11−2】


(式中、R1、R2およびR6は式(II)の化合物について定義された通りである)
を有する化合物を意味する。
【0017】
さらなる実施形態において、本発明は、式(IIa)のキラル化合物:
【化12】


(式中、
R1はメチルもしくはエチルなどのC1−7アルキルであるか、またはフェニルもしくはパラ−クロロフェニルなどの置換されたもしくは置換されていないC6−10アリールであり;
R2はメチルなどのC1−7アルキルであるか、またはR3R4NC(=O)−もしくはR5OC(=O)−(式中、R3およびR4は水素もしくはC1−7アルキルから独立に選択され、R5はC1−7アルキルである)であり;および
R6はフェニルなどのC6−10アリールである)
を調製する方法であって;
式(III)の化合物またはその塩:
【化13】


(R1は式(IIa)の化合物について定義された通りである)
を、式(Va)のキラルアミン:
【化14】


(式中、R2およびR6は、式(IIa)の化合物について定義された通りである)
と反応させる工程、および、
生じるジアステレオマー混合物を結晶化により分割して、
式(II)の化合物を提供する工程を含む方法に関する。
【0018】
さらなる実施形態において、本発明は、式(IIb)のキラル化合物:
【化15】


(式中、
R1はメチルもしくはエチルなどのC1−7アルキルであるか、またはフェニルもしくはパラ−クロロフェニルなどの置換されたもしくは置換されていないC6−10アリールであり;
R2はメチルなどのC1−7アルキルであるか、またはR3R4NC(=O)−もしくはR5OC(=O)−(式中、R3およびR4は水素もしくはC1−7アルキルから独立に選択され、R5はC1−7アルキルである)であり;
R6はフェニルなどのC6−10アリールである)
を調製する方法であって;
式(III)の化合物またはその塩:
【化16】


(式中、R1は式(IIb)の化合物について定義された通りである)
を、
式(Vb)のキラルアミン:
【化17】


(式中、R2およびR6は式(IIb)の化合物について定義された通りである)
と反応させる工程、および、
生じるジアステレオマー混合物を結晶化により分割して、
式(IIb)の化合物を提供する工程を含む方法に関する。
【0019】
上に記載した反応は、当該分野において一般的に知られた溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびそれらの水溶液から選択される溶媒(溶媒2と名づける)中で実施される。結晶化のために添加される溶媒は、式(III)の化合物の調製において添加されるものとは異なっていてよい。溶媒2の供給量(重量による)は、本明細書において定義された式(III)の化合物の量の例えば、10から50倍である。
【0020】
特に、ステップbは、−10℃から40℃の反応温度で実施される。特に、結晶化は0から40℃の温度で実施される。
【0021】
ステップb)において、本明細書において定義された式(III)の2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸化合物の、本明細書において定義された式(V)、(Va)または(Vb)の化合物に対するモル比は、典型的には、1.0:(0.5から3.0)である。
【0022】
ステップc:
さらなる実施形態において、本発明は、式(I)のキラル化合物またはその塩:
【化18】


(式中、
R1はメチルもしくはエチルなどのC1−7アルキルであるか、またはフェニルもしくはパラ−クロロフェニルなどの置換されたもしくは置換されていないC6−10アリールであり;および
」は絶対立体化学(R)もしくは(S)に関するキラル中心を意味する)
を調製する方法であって、
式(II)のキラル化合物:
【化19】


(式中、
R1はメチルもしくはエチルなどのC1−7アルキルであるか、またはフェニルもしくはパラ−クロロフェニルなどの置換されたもしくは置換されていないC6−10アリールであり;
R2はメチルなどのC1−7アルキルであるか、またはR3R4NC(=O)−もしくはR5OC(=O)−(式中、R3およびR4は水素もしくはC1−7アルキルから独立に選択され、R5はC1−7アルキルである)であり;
R6はフェニルなどのC6−10アリールであり、および
」は絶対立体化学(R)もしくは(S)に関するキラル中心を意味する)
を、酸性試薬で処理して式(I)の化合物を提供する工程を含む方法に関する。
【0023】
さらなる実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物またはその塩:
【化20】


(式中、
R1はメチルもしくはエチルなどのC1−7アルキルであるか、またはフェニルもしくはパラ−クロロフェニルなどの置換されたもしくは置換されていないC6−10アリールである)
を調製する方法であって;
式(IIa)の化合物:
【化21】


(式中、
R1はメチルもしくはエチルなどのC1−7アルキルであるか、またはフェニルもしくはパラ−クロロフェニルなどの置換されたもしくは置換されていないC6−10アリールであり;
R2はメチルなどのC1−7アルキルであるか、またはR3R4NC(=O)−もしくはR5OC(=O)−(式中、R3およびR4は水素もしくはC1−7アルキルから独立に選択され、R5はC1−7アルキルである)であり、および
R6はフェニルなどのC6−10アリールである)
を酸性試薬で処理して式(I)の化合物を提供する工程を含む方法に関する。
【0024】
さらなる実施形態において、本発明は、式(Ib)の化合物またはその塩:
【化22】


(式中、
R1はメチルもしくはエチルなどのC1−7アルキルであるか、またはフェニルもしくはパラ−クロロフェニルなどの置換されたもしくは置換されていないC6−10アリールである)
を調製する方法であって;
式(IIb)の化合物:
【化23】


(式中、
R1はメチルもしくはエチルなどのC1−7アルキルであるか、またはフェニルもしくはパラ−クロロフェニルなどの置換されたもしくは置換されていないC6−10アリールであり;
R2はメチルなどのC1−7アルキルであるか、またはR3R4NC(=O)−もしくはR5OC(=O)−(式中、R3およびR4は水素もしくはC1−7アルキルから独立に選択され、R5はC1−7アルキルである)であり、および
R6はフェニルなどのC6−10アリールである)
を酸性試薬で処理して式(Ib)の化合物を提供する工程を含む方法に関する。
【0025】
酸性試薬は、典型的には、塩酸、硫酸、リン酸、シュウ酸、クエン酸、ギ酸もしくは酢酸などの無機酸または有機酸である。
【0026】
ステップc)は、典型的には、当該分野において一般的に知られた溶媒、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびテトラヒドロフランから選択される溶媒(溶媒3と名づける)中で実施される。前記溶媒3の量は、本明細書において定義された式IIの化合物の供給量(重量による)の、例えば2から20倍である。
【0027】
特に、ステップcは、10℃から95℃の反応温度で実施される。
【0028】
一実施形態において、ステップc)のための反応時間は10分から5時間である。
【0029】
ステップc)において、本明細書において定義された式(II)の化合物の、酸性試薬に対するモル比は、典型的には1.0:(1.0から4.0)である。
【0030】
さらなる実施形態:
さらなる態様において、本発明は、本明細書において定義された式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物またはその塩を調製する方法であって、
i)上記のステップa)、
ii)上記のステップb)、および
iii)上記のステップc)
を含む方法に関する。
【0031】
なおさらなる態様において、本発明は、本明細書において定義された式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物またはその塩を調製する方法であって、
iv)上記のステップb)、および
v)上記のステップc)
を含む方法に関する。
【0032】
好ましい実施形態:
実施形態1:以下のステップ:
【化24】


(上記ステップ中において、
R1は、アルキル基、フェニル、または置換基を含むフェニルであり;
R2はメチルまたは以下の構造を特徴とする基:
【化25】


(R3、R4は、Hまたはアルキル基であり;および
R5はアルキル基である)
である)
を含むことを特徴とする、式IIIの2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸化合物を調製して分割するプロセス。
【0033】
実施形態2:前記アルキルは、好ましくは、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルであり、置換基を含む前記フェニルは好ましくはパラ−クロロフェニルであることを特徴とする、実施形態1に記載の2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸化合物を調製して分割するプロセス。
【0034】
実施形態3:ステップaが80℃から250℃の温度に加熱することにより実施されることを特徴とする、実施形態1または2に記載の2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸化合物を調製して分割するプロセス。
【0035】
実施形態4:ステップaの間に、溶媒1中で式IVの化合物が還流温度で反応して前記2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸化合物を提供することを特徴とする、実施形態1または2に記載の2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸なる化合物を調製して分割するプロセス。
【0036】
実施形態5:前記溶媒1が水、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミドおよび1−メチル−2−ピロリドンから選択されることを特徴とする、実施形態4に記載の2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸化合物を調製して分割するプロセス。
【0037】
実施形態6:ステップbの間に、前記2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸化合物が式VaまたはVbの化合物と溶媒2中で反応して粗な湿潤した式IIaまたはIIbの化合物が得られることを特徴とする、実施形態1に記載の2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸化合物を調製して分割するプロセス。
【0038】
実施形態7:ステップbの間に、前記2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸化合物が、溶媒2中で式VaまたはVbの化合物と特定の温度で反応して粗な湿潤した式IIaまたはIIbの化合物が得られることを特徴とする、実施形態1に記載の2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸化合物を調製して分割するプロセス。
【0039】
実施形態8:前記反応が−10℃から40℃の温度で起こることを特徴とする、実施形態7に記載の2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を調製して分割するプロセス。
【0040】
実施形態9:粗な湿潤した式IIaまたはIIbの化合物に溶媒2が添加され、特定の温度でそれが結晶化して、式IIaまたはIIbの固体の化合物が得られることを特徴とする、実施形態7に記載の2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸化合物を調製して分割するプロセス。
【0041】
実施形態10:前記結晶化が0℃から40℃の温度で起こることを特徴とする、実施形態9に記載の2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸化合物を調製して分割するプロセス。
【0042】
実施形態11:前記溶媒2がメタノール、エタノール、イソプロパノール、またはそれらそれぞれの水溶液であってよいことを特徴とする、実施形態6、7、8、9または10のいずれか1つに記載の2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸化合物を調製して分割するプロセス。
【0043】
実施形態12:ステップbの間に、2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸なる化合物の式VaまたはVbの化合物に対するモル比が、1.0:(0.5から3.0)であることを特徴とする、実施形態1または2に記載の2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸化合物を調製して分割するプロセス。
【0044】
実施形態13:ステップcが酸性試薬を添加することにより実施されて、式IaまたはIbの化合物が得られることを特徴とする、実施形態1または2に記載の2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸化合物を調製して分割するプロセス。
【0045】
実施形態14:酸性試薬が、塩酸、硫酸、リン酸、シュウ酸、クエン酸、ギ酸および酢酸から選択されることを特徴とする、実施形態13に記載の2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸化合物を調製して分割するプロセス。
【0046】
実施形態15:式IIaまたはIIbの化合物の酸性試薬に対するモル比が1.0:(1.0から4.0)であることを特徴とする、実施形態14に記載の2−アシルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸化合物を調製して分割するプロセス。
【0047】
全般的用語:
下のリストは本発明を説明するために使用された種々の用語の定義である。これらの定義は、本開示において使用される1つの、1つ超のまたは全ての一般的表現または記号(symbol)を置き換えて、その結果本発明の好ましい実施形態をもたらすことにより、それらが本明細書を通して使用されるときに、特別の場合に個々にまたはより大きい群の一部としてのいずれかで別の意味に限定されない限り、用語に好ましく適合する。
【0048】
基または基の一部であるアルキルは、直鎖のまたは分岐した(1回または、所望および可能であれば2回以上)炭素鎖であり、特にC−C−アルキル、例えばC−C−アルキルなど、特にイソプロピルなどの分岐C−C−アルキルである。用語「低級」または「C−C−」は、最大で7までの炭素原子を含む、特に最大で4までの炭素原子を含む部分を規定し、前記部分は分岐(1回または複数回)または直鎖状であり、末端または非末端炭素を通じて結合している。低級またはC−C−アルキルは、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシルまたはn−ヘプチルまたは好ましくはC−C−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、sec−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなど、特にメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルである。C−C−アルキルは、特に、メチル、エチル、プロピル、またはイソプロピルである。一実施形態において、C−C−アルキルはメチルまたはエチルである。
【0049】
基または基の一部としてのアリールは、例えば、6から22個の炭素原子を有する単環式または二環式アリール、例えば、フェニル、インデニル、インダニルまたはナフチル、特にフェニルなどである。置換されたC6−10アリールは、例として、例えば、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシおよびハロから独立に選択される1つ以上の置換基(例えば1〜3個の置換基)により置換されたC6−10アリールである。一実施形態において、置換されたC6−10アリールは、パラ−クロロフェニルなどの、ハロにより置換されたC6−10アリールである。
【0050】
基または基の一部としてのアルコキシは、例えば、C−C−アルコキシであり、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシであり、対応するペンチルオキシ、ヘキシルオキシおよびヘプチルオキシ基も含む。C−Cアルコキシが好ましい。
【0051】
ハロまたはハロゲンは、好ましくは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードであり、最も好ましくはクロロである。
【0052】
本出願の式中で、C−spに付いた:
【化26】


の記号(term)は、(R)もしくは(S)のいずれかの絶対立体化学を示す。
【0053】
本出願の式中で、C−spに付いた:
【化27】


の記号は、(R)もしくは(S)のいずれかの絶対立体化学を示す。
【0054】
本出願の式中で、C−spに付いた:
【化28】


の記号は、ラセミ混合物を示し、したがってそれは(S)立体異性体と(R)立体異性体とが50:50の比にあるキラル中心を意味する。
【0055】
本出願の式中で、用語「Ph」はフェニルを意味する。
【0056】
本明細書中で使用される用語「キラル」は、それらの対応する鏡像(mirror image partner)に重ね合わせできない性質を有する分子を指し、一方、「アキラル」は対応する鏡像に重ね合わせできる分子を指す。任意の可能な純粋鏡像異性体または鏡像異性体の混合物、純粋なジアステレオ異性体(diastereoisomer)またはジアステレオマー(diasteromer)混合物は、本発明により包含される。一実施形態において、キラルという用語は、鏡像異性的に富化された(entiomerically enriched)鏡像異性体混合物を指す。本明細書中で使用される用語「鏡像異性的に富化された」は、一方の鏡像異性体の量が50%を超える鏡像異性体の混合物を指す。他の実施形態において、キラルという用語は、ジアステレオ異性的に富化されたジアステレオマーの混合物を指す。本明細書中で使用される用語「ジアステレオ異性的に富化された」は、一方のジアステレオマーの量が50%を超えるジアステレオマー混合物を指す。
【0057】
さらなる実施形態において、本明細書中で使用されるキラルという用語は、「ジアステレオマー混合物」、特に、(R、R)と(S、R)との、または(R、S)と(S、S)とのジアステレオ異性体混合物(RおよびSはカルボキシル基含有分子の不斉炭素の絶対配置を指し、RおよびSはアミン含有分子の不斉炭素の絶対配置を指す)を指す。したがって、式(II)の化合物は、本明細書において定義されたジアステレオマーの混合物であってよい。
【0058】
本明細書中で使用される用語「結晶化」は、単一のジアステレオ異性体が、本明細書において定義されたジアステレオ異性体の混合物から優先的に結晶化するプロセスを指す。したがって、結晶化は、一実施形態において、ジアステレオ異性体(R、R)または(S、R)が上で定義された(R、R)と(S、R)との混合物から優先的に結晶化して析出する(crystallizing out)プロセスを指す。他の実施形態において、結晶化は、ジアステレオ異性体(R、S)または(S、S)が上で定義された(R、S)と(S、S)との混合物から優先的に結晶化して析出するプロセスを指す。
【0059】
本明細書中で使用される用語「分割」は、上で定義されたジアステレオ異性体(R、R)と(S、R)との、または(R、S)と(S、S)との50:50混合物を、ジアステレオ異性体のいずれか一方が富化された混合物に変換することを指す。したがって、富化された混合物は、一方のジアステレオ異性体を他方より豊富にまたは高い比率で含有する混合物である。
【0060】
用語「還流」は、反応混合物が沸騰する温度、好ましくは180℃までの、好ましくは140℃までの温度を指す。
【0061】
本明細書中で使用される、用語「室温」または「周囲温度」は、20から35℃、例えば20から25℃などの温度を意味する。
【0062】
遊離型にある化合物および中間体と、塩型にある化合物および中間体(例えば、該化合物またはそれらの塩の精製もしくは同定において中間体として使用することができるこれらの塩が挙げられる)との間の密接な関係に鑑みて、「化合物」、「出発原料」および「中間体」に対するこれまでのおよび今後の如何なる参照も、1つ以上のそれらの塩、または対応する遊離の化合物、中間体または出発原料および1つ以上のそれらの塩の混合物も指すと理解されるべきであり、それらの各々は、明確な断りがなければ、適当および適切な任意の溶媒和物、エステルもしくはアミドなどの代謝の前駆体、またはこれらの任意の1つ以上の塩も含むことが意図される。異なる結晶型が生じ得ることがあり、したがってそれらも含まれる。塩基性基または酸性基などの塩形成基が存在する場合には、例えばpH4から10の範囲内の水溶液中で、少なくとも部分的に解離型で存在することができる塩、または特に固体で、特に結晶性形態で単離することができる塩が形成され得る。塩基性基(例えば、イミノまたはアミノ)の存在において、塩は、好ましくは、有機または無機酸を用いて形成することができる。適当な無機酸は、例えば、塩酸などのハロゲン酸、硫酸、またはリン酸である。適当な有機酸は、例えば、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸またはスルファミン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、アミノ酸(例えば、グルタミン酸もしくはアスパラギン酸など)、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、安息香酸、メタン−もしくはエタン−スルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレン−ジスルホン酸、N−シクロヘキシルスルファミン酸、N−メチル−、N−エチル−もしくはN−プロピル−スルファミン酸、またはアスコルビン酸などの他の有機プロトン酸である。カルボキシまたはスルホなどの負に荷電した基の存在で、塩は塩基を用いて形成することができる:例えば、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩などの金属塩またはアンモニウム塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウムもしくはカルシウム塩、またはアンモニアもしくは第三級モノアミンなどの適当な有機アミン、例えばトリエチルアミンもしくはトリ(2−ヒドロキシエチル)アミン、またはヘテロシクロ塩基、例えばN−エチル−ピペリジンまたはN,N’−ジメチルピペラジンとのアンモニウム塩。塩基性基と酸基とが同じ分子中に存在するときは、内部塩が形成され得る。特に有用な塩には、式(I)、(III)または(IV)の化合物等の、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、酒石酸、トリル酒石酸、ベンゾイル酒石酸、オロチン酸、ニコチン酸、メタン−スルホン酸または4−メチルベンゼンスルホン酸の、上記試薬との反応により形成される塩が含まれる。酸付加塩を調製する方法は、文献、例えば、「CRC Handbook of Optical Resolutions via Diasteromeric Salt Formation」、D.Kozma、CRC Press 2002の関連する章に、Acta Cryst、2006、B62、498-505に、およびSynthesis、2003、13、1965-1967に記載されている。
【0063】
化合物、出発原料、中間体、塩、医薬製剤、疾患、および障害等に対して複数形が使用される場合、これは、1種の(好ましい)もしくはそれ以上の単一の化合物(単数もしくは複数)、塩(単数もしくは複数)、医薬製剤(単数もしくは複数)、疾患(単数もしくは複数)、または障害(単数もしくは複数)等を意味することを意図し、単数または不定冠詞(「a」、「an」)が使用される場合、これは、複数を排除することを意図するのではなくて、好ましくは「1種(one)」を意味するだけである。
【0064】
本発明の特定の実施形態が以下の実施例において提供される。これらの実施例は、それらの範囲を限定することなく、本発明を例示するのに役立ち、同時に一方では、それらは、本発明の反応ステップ、中間体および/またはプロセスの好ましい実施形態を提示する。
【実施例1】
【0065】
2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化29】


乾燥した清浄な反応ビン中に、40gの2−アセチルアミノ−2−(4−フェニルベンジル)マロン酸を加える。1000mlの水を加えて還流温度に48時間保つ。反応の完結をHPLCで試験する。室温に冷却してそれを真空濾過する。90から100℃および常圧のオーブン中で乾燥する。乾燥後、31.1gの2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を得る。収率(yield ratio):89.9%。
【数1】

【実施例2】
【0066】
2−(N−パラ−クロロベンゾイル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化30】


20gの2−(N−パラ−クロロベンゾイル)アミノ−2−(4−フェニルベンジル)マロン酸を取り、105℃および常圧の乾燥オーブン中に12時間置く。反応の完結をHPLCで試験する。16.4gの乾燥生成物、2−(N−パラ−クロロベンゾイル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸を得る。収率:94.8%。
【数2】

【実施例3】
【0067】
2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化31】


乾燥した清浄な反応ビン中に、20gの2−アセチルアミノ−2−(4−フェニルベンジル)マロン酸を加える。100mlのキシレンを加えて還流温度に3時間保つ。反応の完結をHPLCで試験する。室温に冷却してそれを真空濾過する。90から100℃および常圧のオーブン中で乾燥する。乾燥後、15.6gの2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を得る。収率:90.2%。スペクトルデータは実施例1と同じ。
【実施例4】
【0068】
2−(N−ホルミルフェニル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化32】


清浄な乾燥した反応ビン中に、40gの2−(N−ホルミルフェニル)アミノ−2(フェニルベンジル)マロン酸を加える。2100mlのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を加えて還流温度で40時間保つ。反応の完結をHPLCで試験する。室温に冷却してそれを真空濾過する。90から100℃および常圧のオーブン中で乾燥する。乾燥後、32.8gの2−(N−ホルミルフェニル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸を得る。収率:92.8%。
【数3】

【実施例5】
【0069】
2−(N−イソプロピルホルミル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化33】


清浄な乾燥した反応ビン中に、20gの(2−(N−イソプロピルホルミル)アミノ−2(フェニルベンジル)マロン酸を加える。200mlの1,3−ジクロロベンゼンを加え、還流温度に加熱して温度を25時間保つ。反応の完結をHPLCで試験する。室温に冷却してそれを真空濾過する。90から100℃および常圧のオーブン中で乾燥する。乾燥後、16.3gの2−(N−イソプロピルホルミル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸を得る。収率:94.2%。
【数4】

【実施例6】
【0070】
2−プロピオニルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化34】


乾燥した清浄な反応ビン中に、20gの2−プロピオニルアミノ−2−(4−ベンジフェニル(benzyphenyl))マロン酸を加える。100mlのニトロベンゼンを加え、還流温度に加熱して、温度を2時間保つ。反応の完結をHPLCで試験する。室温に冷却してそれを真空濾過する。90から100℃および常圧のオーブン中で乾燥する。乾燥後、15.8gの2−プロピオニルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を得る。収率:92.1%。
【数5】

【実施例7】
【0071】
2−ブチリルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化35】


乾燥した清浄な反応ビン中に、20gの2−ブチリルアミノ−2−(4−ベンジフェニル)マロン酸を加える。100mlの1−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加え、還流温度に加熱して、温度を15時間保つ。反応の完結をHPLCで試験する。室温に冷却してそれを真空濾過する。90から100℃および常圧のオーブン中で乾燥する。乾燥後、16.0gの2−ブチリルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を得る。収率:93.5%。
【数6】

【実施例8】
【0072】
2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化36】


乾燥した清浄な反応ビン中に、40gの2−アセチルアミノ−2−(4−ベンジフェニル)マロン酸を加える。5mlのエチルベンゼンを加えて、温度を80℃に48時間保つ。反応の完結をHPLCで試験する。室温に冷却してそれを真空濾過する。90から100℃および常圧のオーブン中で乾燥する。乾燥後、30.5gの2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を得る。収率:87.6%。スペクトルデータは実施例1と同じ。
【実施例9】
【0073】
2−ブチリルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化37】


20gの2−ブチリルアミノ−2−(4−フェニルベンジル)マロン酸を取り、165℃および常圧の乾燥オーブン中に18時間置く。反応の完結をHPLCで試験する。14.3gの2−ブチリルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸の乾燥生成物を得る。収率:90.3%。スペクトルデータは実施例7と同じ。
【実施例10】
【0074】
2−(N−ホルミルフェニル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化38】


20gの2−(N−ホルミルフェニル)アミノ−2−(4−フェニルベンジル)マロン酸を取り、80℃および常圧の乾燥オーブン中に12時間置く。反応の完結をHPLCで試験する。12.7gの生成物、2−(N−ホルミルフェニル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸を得る。収率:91.7%。スペクトルデータは実施例4と同じ。
【実施例11】
【0075】
2−プロピオニルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化39】


20gの2−プロピオニルアミノ−2−(4−フェニルベンジル)マロン酸を取り、250℃および常圧の乾燥オーブン中に12時間置く。反応の完結をHPLCで試験する。15.4gの2−プロピオニルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸の乾燥生成物を得る。収率:89.8%。スペクトルデータは実施例6と同じ。
【0076】
上の実施例(1〜11)からの生成物をそれに続く反応ステップ(ステップb)における反応物として使用する。
【実施例12】
【0077】
(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−1−フェネチルアミン塩の調製
乾燥した清浄な反応ビン中に、300mlのエタノールおよび10gの2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を加える。加熱して温度を上げ、化合物を溶解する。4gのS−1−フェネチルアミンを加える。10℃にゆっくり冷却する。温度を0.5時間保つ。それを真空濾過する。(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−1−フェネチルアミン塩の粗湿潤生成物を得る。
【0078】
次に、(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−1−フェネチルアミン塩の粗湿潤生成物を乾燥した清浄な反応ビンに加える。100mlのエタノールを加える。加熱して温度を還流まで上げる。0℃にゆっくり冷却する。それを真空濾過する。乾燥オーブン中で8時間50から60℃で乾燥する。5.7gの生成物を得る。収率:39.9%。
【実施例13】
【0079】
(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−1−フェネチルアミン塩の調製
乾燥した清浄な反応ビン中に、300mlのメタノールおよび10gの2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を加える。加熱して温度を上げ、化合物を溶解する。3gのS−1−フェネチルアミンを加える。30℃にゆっくり冷却する。温度を0.5時間保つ。それを真空濾過する。(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−1−フェネチルアミン塩の粗湿潤生成物を得る。
【0080】
次に、(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−1−フェネチルアミン塩の粗湿潤生成物を乾燥した清浄な反応ビンに加える。100mlのメタノールを加える。加熱して温度を還流まで上げる。30℃にゆっくり冷却する。それを真空濾過する。乾燥オーブン中で8時間50から60℃で乾燥する。5.5gの生成物を得る。収率:38.5%。
【実施例14】
【0081】
(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−1−フェネチルアミン塩の調製
乾燥した清浄な反応ビン中に、300mlのエタノール、30mlの水道水(tap water)、および10gの2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を加える。加熱して温度を上げ、化合物を溶解する。3gのS−1−フェネチルアミンを加える。35℃にゆっくり冷却する。温度を1時間保つ。それを真空濾過する。(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−1−フェネチルアミン塩の粗湿潤生成物を得る。
【0082】
次に、(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−1−フェネチルアミン塩の粗湿潤生成物を乾燥した清浄な反応ビンに加える。100mlのエタノールを加える。加熱して温度を還流まで上げる。35℃にゆっくり冷却する。それを真空濾過する。乾燥オーブン中で8時間50から60℃で乾燥する。5.8gの生成物を得る。収率:40.6%。
【実施例15】
【0083】
(L)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−1−フェネチルアミン塩の調製
乾燥した清浄な反応ビン中に、634mlのエタノールおよび10gの2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を加える。加熱して温度を上げ、化合物を溶解する。12.7gのR−1−フェネチルアミンを加える。15℃にゆっくり冷却する。温度を0.5時間保つ。それを真空濾過する。(L)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−1−フェネチルアミン塩の粗湿潤生成物を得る。
【0084】
次に、(L)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−1−フェネチルアミン塩の粗湿潤生成物を乾燥した清浄な反応ビンに加える。200mlのメタノールを加える。加熱して温度を還流まで上げる。20℃にゆっくり冷却する。それを真空濾過する。乾燥オーブン中で8時間50から60℃で乾燥する。6.0gの生成物を得る。収率:42.0%。
【実施例16】
【0085】
(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−2−アミノ−2−フェニルアセトアミド塩の調製
乾燥した清浄な反応ビン中に、380mlのメタノールおよび10gの2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を加える。加熱して温度を上げ、化合物を溶解する。9.2gのS−2−アミノ2−フェニルアセトアミドを加える。40℃にゆっくり冷却する。温度を0.5時間保つ。それを真空濾過する。(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−2−アミノ2−フェニルアセトアミド塩の粗湿潤生成物を得る。
【0086】
次に、(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−2−アミノ2−フェニルアセトアミド塩の粗湿潤生成物を乾燥した清浄な反応ビンに加える。100mlのエタノールを加える。加熱して温度を還流まで上げる。30℃にゆっくり冷却する。それを真空濾過する。乾燥オーブン中で8時間50から60℃で乾燥する。5.7gの生成物を得る。収率:39.8%。
【実施例17】
【0087】
(L)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−2−アミノN−メチル2−フェニルアセトアミド塩の調製
乾燥した清浄な反応ビン中に、127mlのイソプロパノール、および10gの2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を加える。加熱して温度を上げ、化合物を溶解する。2.9gのR−2−アミノN−メチル2−フェニルアセトアミドを加える。−10℃にゆっくり冷却する。温度を1時間保つ。それを真空濾過する。(L)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−2−アミノN−メチル2−フェニルアセトアミド塩の粗湿潤生成物を得る。
【0088】
次に、(L)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−2−アミノN−メチル2−フェニルアセトアミド塩の粗湿潤生成物を乾燥した清浄な反応ビンに加える。100mlのエタノールを加える。加熱して温度を還流まで上げる。40℃にゆっくり冷却する。それを真空濾過する。乾燥オーブン中で8時間50から60℃で乾燥する。6.1gの生成物を得る。収率:42.7%。
【実施例18】
【0089】
(L)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−2−アミノN,N−ジメチル−2−フェニルアセトアミド塩の調製
乾燥した清浄な反応ビン中に、400mlのエタノールおよび10gの2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を加える。加熱して温度を上げ、化合物を溶解する。5gのR−2−アミノN,N−ジメチル−2−フェニルアセトアミドを加える。25℃にゆっくり冷却する。温度を0.5時間保つ。それを真空濾過する。(L)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−2−アミノN,N−ジメチル−2−フェニルアセトアミド塩の粗湿潤生成物を得る。
【0090】
次に、(L)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−2−アミノN,N−ジメチル−2−フェニルアセトアミド塩の粗湿潤生成物を乾燥した清浄な反応ビンに加える。100mlのエタノールを加える。加熱して温度を還流まで上げる。0℃にゆっくり冷却する。それを真空濾過する。乾燥オーブン中で8時間50から60℃で乾燥する。4.9gの生成物を得る。収率:38.7%。
【実施例19】
【0091】
(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−アミノ−フェニル−エチルアセテートアミン塩の調製
乾燥した清浄な反応ビン中に、300mlのイソプロパノール、100mlの水道水、および10gの2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を加える。加熱して温度を上げ、化合物を溶解する。3.5gのS−アミノ−フェニル−酢酸エーテルを加える。0℃にゆっくり冷却する。温度を0.5時間保つ。それを真空濾過する。(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−アミノ−フェニル−エチルアセテートアミン塩の粗湿潤生成物を得る。
【0092】
次に、(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−アミノ−フェニル−エチルアセテートアミン塩の粗湿潤生成物を乾燥した清浄な反応ビンに加える。100mlのメタノールを加える。加熱して温度を還流まで上げる。30℃にゆっくり冷却する。それを真空濾過する。乾燥オーブン中で8時間50から60℃で乾燥する。5.6gの生成物を得る。収率:39.0%。
【実施例20】
【0093】
(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−アミノ−フェニル−メチルアセテートアミン塩の調製
乾燥した清浄な反応ビン中に、300mlのメタノール、30mlの水道水、および10gの2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を加える。加熱して温度を上げ、化合物を溶解する。10gのS−アミノ−フェニル−メチルアセテートを加える。−5℃にゆっくり冷却する。温度を1時間保つ。それを真空濾過する。(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−アミノ−フェニル−メチルアセテートアミン塩の粗湿潤生成物を得る。
【0094】
次に、(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−アミノ−フェニル−メチルアセテートアミン塩の粗湿潤生成物を乾燥した清浄な反応ビンに加える。100mlのエタノールを加える。加熱して温度を還流まで上げる。35℃にゆっくり冷却する。それを真空濾過する。乾燥オーブン中で8時間50から60℃で乾燥する。6.0gの生成物を得る。収率:41.5%。
【実施例21】
【0095】
(L)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−アミノ−フェニル−イソプロピルアセテートアミン塩の調製
乾燥した清浄な反応ビン中に、300mlのエタノールおよび10gの2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を加える。加熱して温度を上げ、化合物を溶解する。15gのR−アミノ−フェニル−イソプロピルアセテートアミンを加える。20℃にゆっくり冷却する。温度を0.5時間保つ。それを真空濾過する。(L)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−アミノ−フェニル−イソプロピルアセテートアミン塩の粗湿潤生成物を得る。
【0096】
次に、(L)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−アミノ−フェニル−イソプロピルアセテートアミン塩の粗湿潤生成物を乾燥した清浄な反応ビンに加える。100mlのエタノールを加える。加熱して温度を還流まで上げる。20℃にゆっくり冷却する。それを真空濾過する。乾燥オーブン中で8時間50から60℃で乾燥する。5.2gの生成物を得る。収率:36.5%。
【実施例22】
【0097】
(L)−2−プロピオニルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−2−アミノN,N−ジメチル−2−フェニル−アセトアミド塩の調製
乾燥した清浄な反応ビン中に、400mlのエタノールおよび10gの2−プロピオニルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を加える。加熱して温度を上げ、化合物を溶解する。5gのR−2−アミノN,N−ジメチル−2−フェニルアセトアミドを加える。25℃にゆっくり冷却する。温度を0.5時間保つ。それを真空濾過する。(L)−2−プロピオニルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−2−アミノN,N−ジメチル−2−フェニル−アセトアミド塩の粗湿潤生成物を得る。
【0098】
次に、(L)−2−プロピオニルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−2−アミノN,N−ジメチル−2−フェニル−アセトアミド塩の粗湿潤生成物を乾燥した清浄な反応ビンに加える。100mlのエタノールを加える。加熱して温度を還流まで上げる。0℃にゆっくり冷却する。それを真空濾過する。乾燥オーブン中で8時間50から60℃で乾燥する。4.8gの生成物を得る。収率:32.7%。
【実施例23】
【0099】
(D)−2−ブチリルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−アミノ−フェニル−エチルアセテートアミン塩の調製
乾燥した清浄な反応ビン中に、300mlのイソプロパノール、100mlの水道水、および10gの2−ブチリルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を加える。加熱して温度を上げ、化合物を溶解する。3.5gのS−アミノ−フェニル−エチルアセテートを加える。0℃にゆっくり冷却する。温度を0.5時間保つ。それを真空濾過する。(D)−2−ブチリルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−アミノ−フェニル−エチルアセテートアミン塩の粗湿潤生成物を得る。
【0100】
次に、(D)−2−ブチリルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−アミノ−フェニル−エチルアセテートアミン塩の粗湿潤生成物を乾燥した清浄な反応ビンに加える。100mlのメタノールを加える。加熱して温度を還流まで上げる。30℃にゆっくり冷却する。それを真空濾過する。乾燥オーブン中で8時間50から60℃で乾燥する。4.3gの生成物を得る。収率:31.5%。
【実施例24】
【0101】
(D)−2−(N−ホルミルフェニル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−アミノ−フェニル−メチルアセテートアミン塩の調製
乾燥した清浄な反応ビン中に、300mlのメタノール、30mlの水道水、および10gの2−(N−ホルミルフェニル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸を加える。加熱して温度を上げ、化合物を溶解する。10gのS−アミノ−フェニル−メチルアセテートを加える。−5℃にゆっくり冷却する。温度を1時間保つ。それを真空濾過する。(D)−2−(N−ホルミルフェニル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−アミノ−フェニル−メチルアセテートアミン塩の粗湿潤生成物を得る。
【0102】
次に、(D)−2−(N−ホルミルフェニル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−アミノ−フェニル−メチルアセテートアミン塩の粗湿潤生成物を乾燥した清浄な反応ビンに加える。100mlのエタノールを加える。加熱して温度を還流まで上げる。35℃にゆっくり冷却する。それを真空濾過する。乾燥オーブン中で8時間50から60℃で乾燥する。5.0gの生成物を得る。収率:38.6%。
【実施例25】
【0103】
(L)−2−(N−パラ−クロロベンゾイル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−アミノ−フェニル−イソプロピルアセテートアミン塩の調製
乾燥した清浄な反応ビン中に、300mlのエタノールおよび10gの2−(N−パラ−クロロベンゾイル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸を加える。加熱して温度を上げ、化合物を溶解する。15gのR−アミノ−フェニル−イソプロピルアセテートアミンを加える。20℃にゆっくり冷却する。温度を0.5時間保つ。それを真空濾過する。(L)−2−(N−パラ−クロロベンゾイル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−アミノ−フェニル−イソプロピルアセテートアミン塩の粗湿潤生成物を得る。
【0104】
次に、(L)−2−(N−パラ−クロロベンゾイル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−アミノ−フェニル−イソプロピルアセテートアミン塩の粗湿潤生成物を乾燥した清浄な反応ビンに加える。100mlのエタノールを加える。加熱して温度を還流まで上げる。20℃にゆっくり冷却する。それを真空濾過する。乾燥オーブン中で8時間50から60℃で乾燥する。4.5gの生成物を得る。収率:30.5%。
【0105】
上の実施例(12〜25)からの生成物は、それに続く反応ステップ(ステップc)における反応物として使用される。
【実施例26】
【0106】
(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化40】


乾燥した清浄な反応ビン中に、200mlのエタノールおよび10gの(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−1−フェネチルアミン塩を加える。温度を50℃に上げる。3.5gの塩酸を滴下する。温度を1時間保つ。0から5℃に冷却する。それを真空濾過する。6.5gの生成物(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を得る。収率:93.7%。
【数7】

【実施例27】
【0107】
(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化41】


乾燥した清浄な反応ビン中に、100mlの水道水および10gの(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−1−フェネチルアミン塩を加える。温度を60℃に上げる。2.5gの硫酸を滴下する。温度を10分間保つ。反応溶液を0から5℃にゆっくり冷却する。それを真空濾過する。6.5gの生成物(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を得る。収率:92.9%。スペクトルデータは実施例26と同じ。
【実施例28】
【0108】
(L)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化42】


乾燥した清浄な反応ビン中に、50mlのテトラヒドロフランおよび10gの(L)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−1−フェネチルアミン塩を加える。温度を40℃に上げる。3.5gの塩酸を滴下する。温度を1時間保つ。10から20℃に冷却する。それを真空濾過する。6.4gの生成物(L)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を得る。収率:91.4%。
【数8】

【実施例29】
【0109】
(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化43】


乾燥した清浄な反応ビン中に、253mlのメタノールおよび10gの(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−1−フェネチルアミン塩を加える。温度を95℃に上げる。9.8gのリン酸を滴下する。温度を5時間保つ。0から5℃に冷却する。それを真空濾過する。6.3gの生成物(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を得る。収率:90.7%。スペクトルデータは実施例26と同じ。
【実施例30】
【0110】
(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化44】


乾燥した清浄な反応ビン中に、25mlのイソプロパノールおよび10gの(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−1−フェネチルアミン塩を加える。温度を10℃に上げる。4.5gのシュウ酸を滴下する。温度を10分間保つ。反応溶液を0から5℃にゆっくり冷却する。それを真空濾過する。6.7gの生成物(D)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を得る。収率:95.7%。スペクトルデータは実施例26と同じ。
【実施例31】
【0111】
(L)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化45】


乾燥した清浄な反応ビン中に、100mlのテトラヒドロフランおよび10gの(L)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−1−フェネチルアミン塩を加える。温度を40℃に上げる。3.5gの塩酸を滴下する。温度を4時間保つ。10から20℃に冷却する。それを真空濾過する。6.6gの生成物(L)−2−アセチルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を得る。収率:94.3%。スペクトルデータは実施例28と同じ。
【実施例32】
【0112】
(L)−2−プロピオニルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化46】


乾燥した清浄な反応ビン中に、200mlのメタノールおよび10gの(L)−2−プロピオニルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−2−アミノN,N−ジメチル−2−フェニル−アセトアミド塩を加える。温度を90℃に上げる。15gのクエン酸を滴下する。温度を5時間保つ。0から5℃に冷却する。それを真空濾過する。6.4gの生成物(L)−2−プロピオニルアミノ−3−ビフェニルプロパン酸を得る。収率:91.8%。
【数9】

【実施例33】
【0113】
(D)−2−(N−ホルミルフェニル)アミノ−3−ビフェニルプロピオン酸の調製
【化47】


乾燥した清浄な反応ビン中に、25mlのイソプロパノールおよび10gの(D)−2−(N−ホルミルフェニル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(S)−アミノ−フェニル−メチルアセテートアミン塩を加える。温度を10℃に上げる。4gの酢酸を滴下する。温度を30分間保つ。反応溶液を0から5℃にゆっくり冷却する。それを真空濾過する。6.0gの生成物(D)−2−(N−ホルミルフェニル)アミノ−3−ビフェニルプロピオン酸を得る。収率:89.7%。
【数10】

【実施例34】
【0114】
(L)−2−(N−パラ−クロロベンゾイル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸の調製
【化48】


乾燥した清浄な反応ビン中に、100mlのテトラヒドロフランおよび10gの(L)−2−(N−パラ−クロロベンゾイル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸−(R)−アミノ−フェニル−イソプロピルアセテートアミンを加える。温度を40℃に上げる。5gのギ酸を滴下する。温度を2.5時間保つ。10から20℃に冷却する。それを真空濾過する。5.3gの生成物(L)−2−(N−パラ−クロロベンゾイル)アミノ−3−ビフェニルプロパン酸を得る。収率:87.6%。
【数11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(III)の化合物、またはその塩、
【化49】


(式中、
R1は、メチルもしくはエチルなどのC1−7アルキルであるか、またはフェニルもしくはパラ−クロロフェニルなどの置換されたもしくは置換されていないC6−10アリールである)
を調製する方法であって、
式(IV)の化合物またはその塩:
【化50】


(式中、R1は式(III)の化合物について定義された通りである)
を脱炭酸反応条件下で反応させて式(III)の化合物を提供する工程を含む、前記方法。
【請求項2】
脱炭酸反応条件が80℃から250℃の温度で加熱することにより達成される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
式(II)のキラル化合物:
【化51】


(式中、
R1はメチルもしくはエチルなどのC1−7アルキルであるか、またはフェニルもしくはパラ−クロロフェニルなどの置換されたもしくは置換されていないC6−10アリールであり;
R2はメチルなどのC1−7アルキルであるか、またはR3R4NC(=O)−もしくはR5OC(=O)−(式中、R3およびR4は水素もしくはC1−7アルキルから独立に選択され、R5はC1−7アルキルである)であり;
R6はフェニルなどのC6−10アリールであり、および
」は絶対立体化学(R)もしくは(S)に関するキラル中心を意味する)
を調製する方法であって、
式(III)の化合物またはその塩:
【化52】


(式中、R1は式(II)の化合物について定義された通りである)
を、式(V)のキラルアミン:
【化53】


(式中、R2およびR6は式(II)の化合物について定義された通りであり、
」は絶対立体化学(R)または(S)に関するキラル中心を意味する)
と反応させる工程、および
生じるジアステレオマー混合物を結晶化により分割して、式(II)の化合物を提供する工程を含む、前記方法。
【請求項4】
式(V)のキラルアミンが式(Va):
【化54】


のものであるか、または
式:
【化55】


(式中、R2およびR6は請求項3において定義された通りである)
のものである、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
式(II)のキラル化合物が、式:
【化56−1】

【化56−2】


(式中、R1、R2およびR6は請求項3において定義された通りである)
のものである、請求項3に記載のプロセス。
【請求項6】
式(II)のキラル化合物が、式(IIa):
【化57】


(式中、R1、R2およびR6は請求項3において定義された通りである)
のものであり;ならびに
式(V)のキラルアミンが、式(Va):
【化58】


(式中、R1、R2およびR6は請求項3において定義された通りである)
のものである、請求項3に記載のプロセス。
【請求項7】
式(II)のキラル化合物が、式(IIb):
【化59】


(式中、R1、R2およびR6は請求項3において定義された通りである)
のものであり;ならびに
式(V)のキラルアミンが、式(Vb):
【化60】


(式中、R2およびR6は請求項3において定義された通りである)
のものである、請求項3に記載のプロセス。
【請求項8】
式(I)の化合物またはその塩:
【化61】


(式中、
R1はメチルもしくはエチルなどのC1−7アルキルであるか、またはフェニルもしくはパラ−クロロフェニルなどの置換されたもしくは置換されていないC6−10アリールであり;および
」は絶対立体化学(R)もしくは(S)に関するキラル中心を意味する)
を調製する方法であって、
式(II)の化合物:
【化62】


(式中、
R1はメチルもしくはエチルなどのC1−7アルキルであるか、またはフェニルもしくはパラ−クロロフェニルなどの置換されたもしくは置換されていないC6−10アリールであり;
R2はメチルなどのC1−7アルキルであるか、またはR3R4NC(=O)−もしくはR5OC(=O)−(式中、R3およびR4は水素もしくはC1−7アルキルから独立に選択され、R5はC1−7アルキルである)であり;
R6はフェニルなどのC6−10アリールであり、ならびに
」は絶対立体化学(R)もしくは(S)に関するキラル中心を意味する)
を、酸性試薬で処理して式(I)の化合物を提供する工程を含む、前記方法。
【請求項9】
酸性試薬が、塩酸、硫酸、リン酸、シュウ酸、クエン酸、ギ酸もしくは酢酸などの無機酸または有機酸である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
式(I)のキラル化合物が、式(Ia):
【化63】


(式中、R1は請求項8において定義された通りである)
のものであり;および
式(II)のキラル化合物が式(IIa):
【化64】


(式中、R1、R2およびR6は請求項8において定義された通りである)
のものである、請求項8または9に記載のプロセス。
【請求項11】
式(I)のキラル化合物が、式(Ib):
【化65】


(式中、R1は請求項8において定義された通りである)
のものであり;および
式(II)のキラル化合物が、式(IIb):
【化66】


(式中、R1、R2およびR6は請求項8において定義された通りである)
のものである、請求項8または9に記載のプロセス。
【請求項12】
請求項8において定義された式(I)の化合物を調製するプロセスであって、
i)請求項1において定義された式(III)の化合物を、請求項1または2において定義されたプロセスにしたがって調製する工程;
ii)請求項3において定義された式(II)の化合物を、請求項3〜7において定義されたプロセスのいずれか1つにしたがって、好ましくは請求項6において定義されたプロセスにしたがって調製する工程;および
iii)式(I)の化合物を、請求項8〜11において定義されたプロセスのいずれか1つにしたがって、好ましくは請求項10において定義されたプロセスにしたがって得る工程
を含む、前記プロセス。
【請求項13】
請求項8において定義された式(I)の化合物を調製するプロセスであって、
i)請求項3において定義された式(II)の化合物を、請求項3〜7において定義されたプロセスのいずれか1つにしたがって、好ましくは請求項6において定義されたプロセスにしたがって調製する工程;および
ii)式(I)の化合物を、請求項8〜11において定義されたプロセスのいずれか1つにしたがって、好ましくは請求項10において定義されたプロセスにしたがって得る工程
を含む、前記プロセス。
【請求項14】
式(II)のキラル化合物であって、
【化67】


式中、
R1はメチルもしくはエチルなどのC1−7アルキルであるか、またはフェニルもしくはパラ−クロロフェニルなどの置換されたもしくは置換されていないC6−10アリールであり;
R2はメチルなどのC1−7アルキルであるか、またはR3R4NC(=O)−もしくはR5OC(=O)−(式中、R3およびR4は水素もしくはC1−7アルキルから独立に選択され、R5はC1−7アルキルである)であり;
R6はフェニルなどのC6−10アリールであり、および
」は絶対立体化学(R)もしくは(S)に関するキラル中心を意味し、
好ましくは、式(II)の化合物は、式(IIa)または(IIb):
【化68】


(式中、R1、R2およびR6は上で定義された通りである)
のものである、前記キラル化合物。
【請求項15】
R6がフェニルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
γ−アミノ−δ−ビフェニル−α−メチルアルカン酸もしくは酸エステル骨格を含むNEP阻害剤またはそのプロドラッグなどのNEP−阻害剤またはそのプロドラッグの合成における、請求項14または15に記載の化合物の使用。
【請求項17】
NEP−阻害剤が、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸またはその塩もしくはプロドラッグである、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
NEP−阻害剤プロドラッグが、N−(3−カルボキシル−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステルまたはその塩である、請求項16に記載の使用。
【請求項19】
N−(3−カルボキシル−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステル、またはその塩を調製するプロセスであって、請求項14または15において定義された式(II)の化合物またはその塩の製造を含む、前記プロセス。
【請求項20】
N−(3−カルボキシル−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステル、またはその塩を調製するプロセスであって、請求項14または15において定義された式(IIa)の化合物またはその塩の製造を含む、前記プロセス。

【公表番号】特表2012−515142(P2012−515142A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544780(P2011−544780)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【国際出願番号】PCT/CN2010/070144
【国際公開番号】WO2010/081410
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(511169955)ジャージャン ジュウジョウ ファーマシューティカル シーオー.,エルティーディー. (2)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】