説明

2−アミノ−5−トリフルオロメチルピリミジン誘導体の位置選択的調製

本発明は、式(III)(式中、X2は、1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいフェニルオキシ、1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいヘテロシクリルN−オキシ、および1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいヘテロアリールN−オキシからなる群から選択される脱離基であり、R1およびR2は、水素、芳香族基および脂肪族基からなる群から独立して選択される置換基であるか、または一緒になって、−N(R1)R2が4〜11員芳香環もしくは脂肪族環を形成してもよい)のピリミジンを作製する方法であって、式(I)(式中、X1は、脱離基である)の化合物を式(II)[HN(R1)R2]のアミンと反応させて、式(III)の化合物を形成するステップを含む方法に関する。
【化1】




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬理学的に活性な化合物の調製のための中間体として使用することができる、2,4−可変5−トリフルオロメチルピリミジン構成単位および4−アミノ−5−トリフルオロメチルピリミジン誘導体の選択的調製のための新規な方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
ピリミジン化学において、2,4−官能化ピリミジンおよびアミンが関与する求核置換反応の大部分では、最初のアミン付加が、より反応性の高いピリミジン4位において優先的に(または排他的に)生じることが知られている。
式I’(特に、XおよびX’は同じで、それぞれ脱離基であり;最も一般的にはハロゲン、具体的には塩素である)のピリミジンと式IIのアミンとの反応により、通常、式III’(2−アミノピリミジン誘導体)およびIV’(4−アミノピリミジン誘導体)の位置異性体の混合物が得られる(以下のスキーム1を参照)。そのような非選択的反応の例は、当技術分野において、特に電子欠損性の2,4−ジクロロ−5−トリフルオロメチルピリミジンについて見出すことができる。
スキーム1
【0003】
【化1】

したがって、2,4−ジクロロピリミジン誘導体とアミンとの反応により、通常、2−クロロ−4−アミノ−ピリミジンおよび異性体2−アミノ−4−クロロピリミジンの非選択的混合物が得られるが、これらの反応は、その選択性の欠如(およびその全体的収率への影響)のためだけでなく、得られる異性体の分離が一般に極めて困難であり、プロセス手順において望ましくないことが多い分取クロマトグラフィーを必要とし得ることから、実用性が制限されている。
対照的に、アミンを選択的に2,4−ジクロロピリミジンに付加して2−アミノ−4−クロロピリミジンを優先的に得る例は、ごく僅かである。この種の反応の最も注目すべき例は、国際出願WO2005/023780に見出すことができ、この文献は、ルイス酸(すなわち金属イオンの塩)および非求核性塩基の存在下で、アミン官能基をCF3置換ピリミジン環のC−2位に選択的に付加するための方法を記載している。しかしながら、ルイス酸(例えばZnCl2)の使用は必ずしも好都合であるわけではなく、または、いくつかの場合ではさらに、所望の反応において実現不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本技術分野において、式III’の化合物を効率的に提供する方法が、依然として必要とされている。さらに、本技術分野において、例えばアミンのより反応性の低いC−2位への選択的付加を達成するために、CF3によりC−5位で置換されたピリミジンのC−2およびC−4位の位置可変が、依然として必要とされている。
本発明の別の目的は、上記および下記の所見から、当業者に明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで、驚くべきことに、
式I’のピリミジン上のX’として、フェノレート脱離基(有利には、前記フェノレートは、電子欠損性のフェノレートであり、例えばフェノレートは、フェニル環上に1個または複数の電子求引性官能基を含有する)、具体的には4−ニトロフェニルオキシ脱離基等を使用することにより、
および、
式I’のピリミジン上のXとして、ハロゲン化物脱離基(有利には塩素)を使用することにより、
X’よりもXを選択的に置き換え、ひいては、いかなるルイス酸金属イオンの存在も必要とすることなく、求核芳香族置換反応を介して、アミン官能基をピリミジン環のC−2位に付加することができることが見出された。
【0006】
さらに、式I’(式中、X’は、1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいフェニルオキシからなる群から選択される脱離基(具体的には4−ニトロフェニルオキシ)であり、Xは、ハロゲン化物から選択される脱離基(具体的には塩素)である)のピリミジン化合物を、
式IIのアミン(遊離形態もしくはプロトン化形態で使用されてもよい)と、適切な反応溶媒(例えば、NMP等の非プロトン性溶媒もしくは2−プロパノール等の非求核性アルコール)中、または反応溶媒の混合物(例えばNMP/2−プロパノール等)中、適切な反応温度で、任意選択で好適な無機または有機補助酸または塩基の存在下で反応させることにより、式III’の対応する化合物を選択的に得ることができる。
【0007】
さらに、2,4−ジハロ−5−トリフルオロメチルピリミジン(具体的には2,4−ジクロロ−5−トリフルオロメチルピリミジン)を、式X’−H(式中、X’は、1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいフェニルオキシから選択される基(具体的には4−ニトロフェニルオキシ)である)の適切なヒドロキシ化合物と、
好適な補助塩基(無機または有機、例えば強い無機塩基または有機塩基、例えばジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンもしくはカリウムtert−ブチレート、またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属水酸化物であってもよい)の存在下で、
あるいは、好ましくは、脱プロトン化された(アニオン性)形態のヒドロキシ化合物(例えば、in situで生成され得る、アニオンの対応する塩形態、例えば金属フェノレート、具体的にはカリウム4−ニトロフェノレート等)と、
適切な反応溶媒(例えば、エタノールもしくは2−プロパノール等の低級脂肪族アルコールまたは水)あるいは反応溶媒の混合物中で、適切な反応温度で反応させることにより、求核芳香族置換反応を介してヒドロキシル官能基X’−Hをピリミジン環のC−4位に選択的に導入し、ひいては式I’(式中、上記で定義されたように、Xは、前記ハロゲン化物(具体的には塩素)脱離基であり、X’は、前記フェノレート脱離基である)の対応する化合物を選択的に得ることができる。
【0008】
さらに、対照的に、2,4−ジハロ−5−トリフルオロメチルピリミジン(具体的には2,4−ジクロロ−5−トリフルオロメチルピリミジン)を、式X−H(式中、Xは、1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいフェニルオキシから選択される基(具体的には4−ニトロフェニルオキシまたは4−クロロフェニルオキシ)である)の適切なヒドロキシ化合物と、
好適な補助塩基(例えば、無機または好ましくは有機塩基、例えばN−メチル−モルホリン等の第3級メチルアミン)の存在下、適切な反応溶媒(例えば、エタノールもしくは2−プロパノール等の低級脂肪族アルコール)または反応溶媒の混合物中で、適切な反応温度で反応させることにより、求核芳香族置換反応を介してヒドロキシル官能基X−Hをピリミジン環のC−2位に選択的に導入し、ひいては式I’(式中、上記で定義されたように、X’は、前記ハロゲン化物(具体的には塩素)脱離基であり、Xは、前記フェノレート脱離基である)の対応する化合物を選択的に得ることができる。
したがって、本発明は、式III
【0009】
【化2】

(式中、
X2は、
1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいフェニルオキシ、
1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいヘテロシクリルN−オキシ、および
1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいヘテロアリールN−オキシからなる群から選択される脱離基であり、
R1およびR2は、水素、芳香族基および脂肪族基からなる群から独立して選択される置換基であるか、または一緒になって、それらが結合している窒素原子を含めて、4〜11員芳香環もしくは脂肪族環を形成する)
の化合物を作製する方法を含むプロセスであって、
前記方法は、式I
【0010】
【化3】

(式中、X1は、ハロゲン化物等の脱離基(具体的には塩素)である)
の化合物を、式II[HN(R1)R2]のアミンと反応させて、式IIIの化合物を形成することを含むプロセスに関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によるこの方法の一実施形態において、本発明の意味での脱離基として使用するための1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいフェニルオキシは、フェニル環上で1〜5個の電子求引性置換基、例えばハロ(具体的にはフルオロまたはクロロ)、ニトロ、シアノ等により独立して置換されたフェニルオキシを示し得る。
この実施形態に関連して、本発明の意味での脱離基として使用され得る1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいフェニルオキシの実例には、2−または4−ニトロフェニルオキシ等のニトロフェニルオキシおよびペンタフルオロフェニルオキシが含まれるが、これらに限定されず、特に4−ニトロフェニルオキシが挙げられる。
本発明によるこの方法の別の実施形態において、本発明の意味での脱離基として使用するための1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいヘテロシクリルN−オキシは、単環式または縮合二環式N−オキシイミド誘導体を示し得る。
【0012】
この実施形態に関連して、本発明の意味での脱離基として使用され得る1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいヘテロシクリルN−オキシの実例には、N−スクシンイミドオキシおよびN−フタルイミドオキシが含まれるが、これらに限定されない。
本発明によるこの方法の別の実施形態において、本発明の意味での脱離基として使用するための1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいヘテロアリールN−オキシは、単環式もしくは縮合二環式N−オキシ−アゾール誘導体または単環式もしくは縮合二環式N−オキシ−アジノン誘導体を示し得る。
【0013】
この実施形態に関連して、本発明の意味での脱離基として使用され得る1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよい例示的ヘテロアリールN−オキシには、ベンゾトリアゾール−1−オキシ、7−アザ−ベンゾトリアゾール−1−オキシおよび1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン−3−オキシが含まれるが、これらに限定されない。
X2として使用するためのN−オキシド脱離基(例えば、ヘテロシクリルN−オキシドまたはヘテロアリールN−オキシド脱離基)は、例えば、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環上での1個もしくは複数の電子求引性官能基での置換により、および/または1個、2個、3個、4個もしくはそれ以上の環窒素原子を含有することにより、有利には電子欠損性であってもよい。
【0014】
本発明の具体的実施形態において、X1およびX2は、異なる脱離基である。本発明のより具体的な実施形態において、X1は、ハロゲン化物脱離基、具体的には塩化物である。
例えば、X1は、塩素であり、X2は、
フェニル環上で1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいフェニルオキシ(例えば、2−もしくは4−ニトロフェニルオキシ等のニトロフェニルオキシ、ペンタフルオロフェニルオキシまたは4−クロロフェニルオキシ等)、
ヘテロシクリル環上で1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいヘテロシクリルN−オキシ(例えば、N−スクシンイミドオキシまたはN−フタルイミドオキシ等)、および
ヘテロアリール環上で1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいヘテロアリールN−オキシ(例えば、ベンゾトリアゾール−1−オキシ、7−アザ−ベンゾトリアゾール−1−オキシもしくは1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン−3−オキシ等)
からなる群から選択される。
本発明の具体的な好ましい実施形態において、X1は、塩素であり、X2は、4−ニトロフェニルオキシである。
本発明の意味での4−ニトロフェニルオキシ基は、以下の式の基であることを理解されたい。
【0015】
【化4】

本発明の具体的態様は、前記反応が求核芳香族置換反応として行われることを特徴とする上述の方法である。
【0016】
本発明の別の具体的態様は、前記反応が、ルイス酸金属イオンの非存在下で行われることを特徴とする上述の方法である。
別段の指定がない限り、本明細書に記載の化合物を説明するために上記および下記において使用されるいくつかの用語は、以下のようにより厳密に定義され得る。
本明細書で使用される場合、「芳香族」および具体的に「芳香族基」という用語は、本明細書において定義されるようなアリールまたはヘテロアリール基を示す。
【0017】
さらに、「芳香族アミン」または「芳香族アミン基」は、アリールまたはヘテロアリール基の一部である少なくとも1個のsp2炭素原子に結合した任意のアミンまたはアミン基を示す。アミンまたはアミン基は、アミン窒素が1個のsp2炭素原子に加えて水素またはsp3炭素原子に結合している場合であっても、芳香族アミンまたは基と呼ばれる。したがって、例えば、−HN(C6−C10)アリールおよび−N((C1−C6)アルキル)((C6−C10)アリール)は、それぞれ、各アミン窒素が非芳香族置換基に結合しているにもかかわらず、本明細書において定義されるような芳香族アミン基を示す。
「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル等の芳香族基を示す。別段に指定されない限り、「アリール」基は、本明細書において定義されるような1〜3個の好適な置換基で置換されていてもよい。「アリール」はまた、非芳香族ヘテロ環に縮合したフェニル基を示す。そのような基の例には、1〜3個の好適な置換基で置換されていてもよい、2−オキソ−インドリニル、クロマニル、インドリニルおよび2−オキソ−3,4−ジヒドロキノリニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、通常、O、SおよびNから選択される1個のヘテロ原子を環内に有する芳香族ヘテロ環式基を示し、別段に指定されない限り、芳香族ヘテロ環式基は、本明細書において定義されるような3個までの好適な置換基で置換されていてもよい。前記1個のヘテロ原子に加えて、芳香族ヘテロ環式基は、4個までのN原子を環内に有していてもよい。ヘテロアリール基の例には、1〜3個の好適な置換基で置換されていてもよい、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チエニル、フリル、イミダゾリル、ピロリル、オキサゾリル(例えば、1,3−オキサゾリル、1,2−オキサゾリル)、チアゾリル(例えば、1,2−チアゾリル、1,3−チアゾリル)、ピラゾリル、テトラゾリル、トリアゾリル(例えば、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル)、オキサジアゾリル(例えば、1,2,3−オキサジアゾリル)、チアジアゾリル(例えば、1,3,4−チアジアゾリル)、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、インドリル等が含まれるが、これらに限定されない。あるいは、上述のヘテロアリール基の任意の環炭素、−CH−は、−C=Oまたは−SO2から選択される基で置き換えられていてもよい。
【0019】
「ヘテロアリール」はまた、非芳香族ヘテロ環に縮合した上述のヘテロアリール基のうちの1つを示す。そのような基の例には、1,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−オン、3,4−ジヒドロ−1H−[1,8]ナフチリジン−2−オン、1,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−b]ピリジンおよび3,4−ジヒドロ−2H−ピラノ[2,3−b]ピリジンが含まれるが、これらに限定されない。
「脂肪族」および具体的に「脂肪族基」とは、本明細書において定義されるようなアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基を示す。脂肪族基は、本明細書において定義されるような3個までの好適な置換基で置換されていてもよい。
【0020】
本明細書で使用される場合、「脂肪族アミン」または「脂肪族アミノ基」は、アミンまたは基の窒素原子が、アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基の一部であるsp3炭素に結合している任意のアミンまたはアミン基を示す。脂肪族アミン基は、本明細書において定義されるような3個までの好適な置換基で置換されていてもよい。
「アルキル」という用語は、本明細書において定義されるような1〜3個の好適な置換基で置換されていてもよい、C1−C10直鎖または分岐鎖アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等)、具体的にはC1−C4アルキルを示す。
【0021】
「シクロアルキル」または「シクリル」という用語は、本明細書において定義されるような1〜3個の好適な置換基で置換されていてもよい、C3−C12単環式、二環式または三環式炭素環(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[3.2.1]オクタニルおよびビシクロ[5.2.0]ノナン)等)を示す。二環式または三環式の種は、縮合、架橋またはスピロ環式であってもよい。したがって、本明細書において定義されるような「シクロアルキル」または「シクリル」基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロヘキセニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[3.2.1]オクタニル、ビシクロ[3.1.0]ヘキシルおよびスピロ[2.4]ヘプチルが含まれるが、これらに限定されない。
【0022】
「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロシクリル」または「ヘテロ環」という用語は、3〜9個の炭素原子ならびに−N、−NR、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する単環式、二環式または三環式基を示し、別段に指定されない限り、環式基は、本明細書において定義されるような1〜3個の好適な置換基で置換されていてもよい。二環式または三環式の種は、縮合、架橋またはスピロ環式であってもよい。そのような基の例には、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、オキセタニル、チオモルホリニル、キヌクリジニル、5−アザ−スピロ[2.4]ヘプチルおよび3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキシルが含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨード、またはフッ化物、塩化物、臭化物もしくはヨウ化物を含む。
本明細書で使用される場合、「カルボニル」または「(C=O)」(アルキルカルボニル、アルキル−(C=O)−またはアルコキシカルボニル等の語句で使用される場合)は、>C=O部分の、アルキルまたはアミノ基等の第2の部分への結合(すなわちアミド基)を示す。
【0024】
窒素原子に結合した2個の置換基[例えば−N(R1)R2または−N(R3)R4または−N(R5)R6の場合]が一緒になって、それらが結合している窒素原子を含めて環式アミンを形成する場合、前記アミンは、3〜9個の炭素原子ならびに−N−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される0〜3個のさらなるヘテロ原子(2個の置換基が結合している窒素原子を除く)を有する、単環式、二環式または三環式環であってもよい。
【0025】
環式アミンは、本明細書において定義されるような1〜3個の好適な置換基で置換されていてもよい。二環式または三環式の種は、縮合、架橋またはスピロ環式であってもよい。そのような環式アミンの例には、モルホリン、アゼチジン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、インドリン、チオモルホリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
「好適な置換基」とは、その意図される機能に好適な官能基を意味する。したがって、前記「好適な置換基」は、化学的に、また所望により薬学的に許容される官能基であってもよい。上述のアリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキル基に対するそのような好適な置換基は、当業者により通例的に説明されているものであってもよい。前記好適な置換基の実例には、水素、ハロ基、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、オキソ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、ペルフルオロアルキルスルホネート基、アルコキシ基、アリールまたはヘテロアリール基、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基、アリールオキシまたはヘテロアリールオキシ基、アラルキルまたはヘテロアラルキル基、アラルコキシまたはヘテロアラルコキシ基、HO−(C=O)−基、アミノ基、アルキル−およびジアルキルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、スルホンアミド基、アルキルスルホンアミド基、ジアルキルスルホンアミド基、アミド基、N−アシル基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基等、ならびに、意図される機能に依存して、ニトロ、シアノ等が含まれるが、これらに限定されない。また、メチレン基がカルボニル(C=O)基と置き換わってもよい。多くの置換基は追加的な置換基を含有し得ることが、当業者に理解される。
【0027】
一般に、残基、置換基または基が、1つの化合物内で複数存在する場合、それらは同じまたは異なる意味を有し得る。
本発明の方法により調製される化合物および塩は、いくつかの異性体型で存在し得る。本発明の方法により調製される化合物およびその塩の全ての異性体型(例えば、キラル異性体、鏡像異性体、ジアステレオマーまたはラセミ体等の全ての立体異性体型、アトロプ異性体、互変異性体および全ての幾何異性体型)は、特定の異性体型が具体的に示されない限り、本発明の範囲内であることが意図される。
したがって、例えば、本発明の方法により調製される化合物および塩は、ケト型とエノール型およびイミン型とエナミン型を含むいくつかの互変異性体型、ならびに幾何異性体、ならびにそれらの混合で存在し得る。全てのそのような互変異性体型の調製が、本発明の範囲内に含まれる。互変異性体は、溶液中で互変異性体セットの混合物として存在する。固体形態では、通常、一方の互変異性体が支配的となる。一方の互変異性体の調製が説明され得るとしても、本発明は、本化合物の全ての互変異性体の調製を包含する。
本発明はまた、化合物のアトロプ異性体の調製を含む。アトロプ異性体は、回転が制限された異性体に分離することができる化合物を示す。
【0028】
本発明の方法により調製される化合物は、オレフィン様二重結合を含有し得る。そのような結合が存在する場合、化合物は、シス型およびトランス型立体配置またはE−およびZ−異性体として、ならびにこれらの混合物として存在するが、本発明は、記載される化合物のこれらの異性体の全ての調製を企図する。
【0029】
本明細書に開示されるように、式IIIの化合物は、好適な有機溶媒または溶媒の混合物中での、式Iのピリミジンと、式IIの第1級または第2級アミン求核試薬(遊離形態または酸付加塩形態であってもよい)との反応により調製され得る。式Iのピリミジン上のX1およびX2の意味は、上述のような意味を含む。優先的には、X1およびX2は異なる。この反応に特に好適な式Iのピリミジン上の脱離基X1およびX2は、X1については塩化物およびX2については4−ニトロフェニルオキシを含み、したがって、反応物質として、好ましくは2−クロロ−4−(4−ニトロフェニルオキシ)−5−トリフルオロメチルピリミジンが使用される。
一実施形態において、式Iのピリミジン化合物と式IIのアミンとのこの反応は、好適な無機または有機補助酸、例えばメタンスルホン酸またはHCl等(アルコールの存在下、好適なクロロシランから、例えばトリメチルシリルクロリド/2−プロパノールから、または例えばジオキサン中のHClからin situで生成することができる)の存在下で行われる。
【0030】
別の代替の実施形態において、式Iのピリミジン化合物と式IIのアミンとのこの反応は、好適な無機または有機補助塩基、例えばアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属炭酸塩(例えば炭酸ナトリウムもしくはカリウム)、またはジイソプロピルエチルアミン等の存在下で行われる。
これらの実施形態のうち、特に式IIのアミン化合物内に1種または複数種のさらなる塩基性官能基が存在する場合、酸媒介変形例が好ましい。
【0031】
本発明による上述の反応において有用である式IIの第1級または第2級アミン求核試薬は、上述のものを含む。式Iのピリミジン化合物とのこの反応に特に好適な式IIのアミン求核試薬は、本明細書に記載のような第1級芳香族アミン(例えばアニリン誘導体等)である。これらの式IIのアミン求核試薬は、遊離形態またはその酸付加塩の形態で(例えば、塩酸、メシレートまたはトシレート塩として)使用され得るが、これらはこの反応においてin situで調製され得るか、または単離形態で適用され得る。
この反応のための適切な有機溶媒は、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフランもしくはジオキサン等の非プロトン性溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホンまたはN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)もしくはN−エチル−2−ピロリジノン(NEP)等の極性溶媒、および/あるいは第2級アルコール(例えば2−プロパノール等)または第3級アルコール(例えばtert−ブタノール、tert−ペンタノール等)等の非求核性アルコール、あるいはこれらの混合物を含むがこれらに限定されない、求核芳香族置換反応に好適な有機溶媒である。
【0032】
この反応のための反応温度は、約室温から、使用される溶媒(複数種可)の約沸点までの範囲となり得る。具体的には、反応は、高温で行われる。一実施形態において、NMP、2−プロパノールまたはこれらの混合物が反応溶媒として使用され、反応温度は、約30℃から約80℃、より優先的には約60℃から約70℃の範囲となり得る。
式Iのピリミジン化合物と式IIのアミンとの上述の反応において、その沸点を考慮した反応溶媒(複数種可)の適切な選択により、使用される溶媒(複数種可)の沸点における達成可能な最高反応温度は、反応に必要とされる通りに調節することができる。
好ましくは、いくつかの実施形態において、上述の反応は、実質的に水を含まない条件下(水を含まない反応物質および溶媒の使用を含む)で行われる。
【0033】
任意選択で、トリメチルシリルクロリド等の追加の補助剤を、この反応における水捕捉剤として使用することができる。
好ましくは、本発明のこの反応において、式IIのアニリンが、第1級、第2級または第3級アミノ基等の1種または複数種のさらなる塩基性官能基を含有する場合、これらのさらなるアミノ基(複数種可)は、例えばプロトン化により、例えば約1当量の強酸(例えば水を含まない溶媒中の塩化水素(例えばジオキサン中のHCl)、トルエンスルホン酸またはメタンスルホン酸)を使用して、上記反応における使用に特に好適なそれぞれの酸付加塩を生成することにより、ブロックされるべきである。
本発明はまた、本明細書に開示されるプロセスに関連し、前記プロセスは、本明細書に記載のような式I、IIIおよび/またはIII’の化合物を作製および/または反応させる方法を含み得る。本発明はまた、その塩、異性体およびこれらの異性体の塩を含む中間体(本明細書に開示されるような式I、IIIまたはIII’の化合物を含む)に関する。
【0034】
本明細書に記載のプロセスは、単一のステップまたはいくつかの逐次的ステップで行うことができる。中間体は、単離され得るか、または精製ありもしくはなしで、in situで合成され得る。
単離および精製方法は当技術分野において知られており、例えば、溶媒(複数種可)の除去、沈殿(例えば共溶媒を用いて)、結晶化、好適な支持材料でのクロマトグラフィー(例えば順相または逆相)、抽出、磨砕等を含む。
さらに、得られる化合物は、遊離形態もしくはその塩の形態であってもよく、またはそれらに変換されてもよい。また、使用される反応物質は、遊離形態もしくはその塩の形態(in situで調製され得るか、または単離形態で適用され得る)であってもよい。対応するプロセスは、当業者に知られている。
【0035】
無機または有機酸(例えば塩酸、トリフルオロ酢酸等)の存在下または形成下で(最終)反応ステップの1つまたは精製が行われる場合、生成物は、その個々の化学的性質および使用もしくは形成される酸の個々の性質に依存して、遊離化合物として得られてもよく、または化学量論的もしくは非化学量論的な量で前記酸を含有してもよい(例えば酸付加塩として)。含有される酸は、当技術分野において知られた手順に従い、例えば滴定またはNMRにより分析することができ、任意選択で、当業者が精通した手順に従い除去することができる。
【0036】
任意選択で、本明細書に記載のような式IIIまたはIII’の遊離化合物は、例えば精製のために、その酸付加塩に変換されてもよく、例えば酸性化等による対応するプロセスが当業者に知られている。同様に、任意選択で、式IIIまたはIII’の化合物の酸付加塩は、遊離化合物に変換されてもよく、例えば中和等による対応するプロセスが当業者に知られている。
酸付加塩を形成するための好適な酸は、例えば、塩酸、メタンスルホン酸等を含むが、これらに限定されない。
【0037】
塩は、遊離化合物を所望の酸または塩基と反応させることにより、例えば遊離化合物を、所望の酸もしくは塩基を含有する、または所望の酸もしくは塩基が次いで添加される好適な溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトンもしくはメチルイソブチルケトン等のケトン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランもしくはジオキサン等のエーテル、塩化メチレンもしくはクロロホルム等の塩素化炭化水素、メタノール、エタノールもしくは2−プロパノール等の低分子量脂肪族アルコール、または酢酸エチル等のエステル)に溶解することにより得ることができる。塩は、濾過する、再沈殿させる、付加塩の貧溶媒を用いて沈殿させることにより、または溶媒を蒸発させることにより得ることができる。得られた塩は、例えば適切な酸もしくは塩基と反応させることにより、または好適なイオン交換体の使用により、他の塩に変換することができる。同様に、得られた塩は、遊離化合物に変換することができ、一方この遊離化合物は、アルカリ化により、または酸性化により塩に変換することができる。このようにして、許容されない塩を許容される塩に変換することができる。
それぞれの場合における最も適切な手順の選択は、当業者により、その専門知識に基づいて決定され得る。
【0038】
本発明による反応において使用され得る式II[HN(R1)R2]の例示的アミンは、トルイジン(例えば2−もしくは4−メチルアニリン)、5−アミノ−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン、クロロアニリン(例えば3−もしくは4−クロロアニリン)、メトキシアニリン(例えば4−メトキシアニリンもしくは2−メトキシアニリン)、(置換されていてもよいアミノ)−アニリン(例えばN−(4−アミノフェニル)−アミン)、(置換されていてもよいアミノカルボニル)−アニリンまたは(置換されていてもよいアミノカルボニル)−メトキシアニリン(例えばN−{4−[R6(R5)N−C(=O)]−フェニル}−アミンもしくはN−{2−メトキシ−4−[R6(R5)N−C(=O)]−フェニル}−アミンもしくはそのフッ素置換誘導体(例えばN−{2−メトキシ−4−[R6(R5)N−C(=O)]−5−フルオロ−フェニル}−アミン)、各式中R5およびR6は、本明細書に定義される通りである)、ベンジルアミン、N−(4−メチルベンジル)−アミン、N,N−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、シクロヘキシルアミン、N−(シクロヘキシルメチル)−アミン、カルボキシアニリン(例えば4−カルボキシアニリン)、カルボキシアニシジン(例えば2−メトキシ−4−カルボキシ−アニリン)、カルボキシ(フルオロ)アニシジン(例えば2−メトキシ−4−カルボキシ−5−フルオロ−アニリン)、ピペリジン、N−メチル−トルイジン(例えばN−メチル−p−トルイジン)等を含み得るが、これらに限定されない。
【0039】
さらに、出発化合物または中間化合物上に複数の反応中心がある場合、所望の反応中心において特異的に反応を進行させるために、保護基により一時的に1つまたは複数の反応中心をブロックすることが必要となり得ることが、当業者に知られている。多数の実証された保護基の使用に関する詳細な説明は、例えば、T.GreeneおよびP.Wuts著、「Protective Groups in Organic Synthesis」(John Wiley & Sons, Inc. 2007、第4版)またはP.Kocienski著、「Protecting Groups(Thieme Foundations Organic Chemistry Series N Group)」ieme Medical Publishers、2004)に見出される。
【0040】
本明細書に記載の反応において、カルボキシ−、カルボニル−、ヒドロキシ−、アミノ−、アルキルアミノ−またはイミノ−基等の存在する任意の反応基は、反応の間、反応後に再び開裂する従来の保護基により保護され得る。
【0041】
例えば、カルボキシ基に対する保護基は、メチル−、エチル−、tert.−ブチル−またはベンジル−基、具体的にはtert−ブチル−またはベンジル−基であってもよい。
例えば、カルボニル基に対する保護基は、1,3−ジオキソラン−または1,3−ジオキサン−基等のアセタールまたはケタールであってもよい。
例えば、ヒドロキシ基に対する保護基は、トリメチルシリル−、tert.−ブチルジメチルシリル−、アセチル−、トリチル−、ベンジル−またはテトラヒドロピラニル−基であってもよい。
【0042】
アミノ、アルキルアミノまたはイミノ基に対する保護基は、例えば、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ベンジル、メトキシベンジルまたは2,4−ジメトキシベンジル基であってもよく、アミノ基に対しては、さらにフタリル基であってもよい。
したがって、例えば、本発明の意味での好適に保護されたカルボキシアニリンまたはカルボキシアニシジンは、例えば、4−アミノ−安息香酸tert−ブチルエステルもしくは4−アミノ−安息香酸ベンジルエステル、または、それぞれ、4−アミノ−3−メトキシ−安息香酸ベンジルであってもよい。
したがって、例えば、本発明の意味での好適に保護されたアミノアニリンは、例えば、(4−N−Boc−アミノフェニル)−アミンであってもよい。
【0043】
酸性または塩基性条件下で行われる反応では、通常、選択された条件下で実質的に安定なそのような保護基の使用が好ましい。
カルボキシメチル−またはカルボキシエチル−基の開裂は、例えば、水性溶媒中、例えば水、メタノール/水、2−プロパノール/水、酢酸/水、テトラヒドロフラン/水またはジオキサン/水中で加水分解的に、トリフルオロ酢酸、塩酸もしくは硫酸等の酸の存在下、または水酸化リチウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム等のアルカリ塩基であるが、好ましくは水酸化ナトリウムの存在下、または非プロトン性で、例えばヨードトリメチルシランの存在下で、0℃から120℃の間の温度、好ましくは10℃から100℃の間の温度で行うことができる。
【0044】
アセタールまたはケタールは、水との混合物中、または例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエンもしくはアセトン等の有機溶媒中で、−20℃〜150℃の間の温度であるが、好ましくは0℃〜120℃の間の温度で、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸またはp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(pyridiumium)で開裂させることができる。
ベンジル、メトキシベンジルまたはベンジルオキシカルボニル基は、有利には、水素化分解的に、例えばパラジウム/木炭等の触媒の存在下、メタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたは氷酢酸等の好適な溶媒中、任意選択で塩酸等の酸を添加して、0℃〜100℃の間の温度であるが、好ましくは20℃〜60℃の間の周囲温度で、また1〜7バールであるが、好ましくは3〜5バールの水素圧下で、水素により開裂される。しかしながら、2,4−ジメトキシベンジル基は、好ましくは、アニソールの存在下、トリフルオロ酢酸中で開裂される。
【0045】
tert−ブチルまたはtert−ブチルオキシカルボニル基は、好ましくは、任意選択でジクロロメタン、ジオキサン、メタノールまたはジエチルエーテル等の溶媒を使用して、トリフルオロ酢酸もしくは塩酸等の酸で処理することにより、またはヨードトリメチルシランで処理することにより開裂される。
【0046】
トリメチルシリル−またはtert.−ブチルジメチルシリル−基は、例えばテトラブチルアンモニウムフルオリドもしくはフッ化セシウム等のフッ化物試薬により、または例えばトリフルオロ酢酸、塩酸もしくは硫酸等の酸により、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリルまたはトルエン等の溶媒中で、−50℃〜120℃の間の温度であるが、好ましくは−20℃〜80℃の間の温度で開裂される。
【0047】
フタリル基は、好ましくは、ヒドラジン、またはメチルアミン、エチルアミン、エタノールアミンもしくはn−ブチルアミン等の第1級アミンの存在下、メタノール、エタノール、2−プロパノール、トルエン/水またはジオキサン等の溶媒中で、20〜50℃の間の温度で開裂される。
式IIまたはVのアミンは、本明細書に開示されるように提供することができ、あるいはそれらのアミンは既知であり、または知られている手順と類似して、もしくはそれと同様に得ることができる。例えば、式Vのアミン、例えばシスペンタシン−イソプロピルアミド等は、WO2007/135036に記載のように得ることができる。具体的実施形態において、式IIおよびVのアミンは、共に第1級アミンである。
本発明は、さらに、式I
【0048】
【化5】

(式中、
X2は、
1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいフェニルオキシ、
1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいヘテロシクリルN−オキシ、および
1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいヘテロアリールN−オキシからなる群から選択される脱離基、
具体的には4−ニトロ−フェニルオキシであり、
X1は、ハロゲン化物等の脱離基(具体的には塩素)である)
の化合物を作製する方法を含むプロセスであって、
前記方法は、式I’
【0049】
【化6】

(式中、
XおよびX’は、同じまたは異なり(優先的には同じである)、
Xは、X1であり、
X’は、ハロゲン化物等の脱離基(具体的には塩素)、具体的には2,4−ジクロロ−5−トリフルオロメチルピリミジンである)
の化合物を、
式X2−Hのヒドロキシ化合物(具体的には4−ニトロフェノール)と、
好適な補助塩基(例えば強い無機塩基または有機塩基、例えばジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンもしくはカリウムtert−ブチレート、またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属水酸化物)の存在下で、
あるいは、好ましくは、
式X2−M(式中、Mは、金属である)の脱プロトン化化合物と、
適切な反応溶媒(例えば、エタノールもしくは2−プロパノール等の低級脂肪族アルコールまたは水)あるいは反応溶媒の混合物中で、適切な反応温度で反応させることを含むプロセスに関する。
本発明はまた、さらに、式Ia
【0050】
【化7】

(式中、
X2は、
1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいフェニルオキシ(具体的には4−ニトロフェニルオキシまたは4−クロロフェニルオキシ)、
1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいヘテロシクリルN−オキシ、および
1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいヘテロアリールN−オキシからなる群から選択される脱離基であり、
X1は、ハロゲン化物等の脱離基(具体的には塩素)である)
の化合物を作製する方法を含むプロセスであって、
前記方法は、式I’
【0051】
【化8】

(式中、
XおよびX’は、同じまたは異なり(優先的には同じである)、
X’は、X1であり、
Xは、ハロゲン化物等の脱離基(具体的には塩素)、具体的には2,4−ジクロロ−5−トリフルオロメチルピリミジンである)
の化合物を、
式X2−Hのヒドロキシ化合物(具体的には4−ニトロフェノールまたは4−クロロフェノール)と、
好適な補助塩基(例えば無機または好ましくは有機塩基、例えばN−メチル−モルホリン等の第3級メチルアミン)の存在下、適切な反応溶媒(例えば、エタノールもしくは2−プロパノール等の低級脂肪族アルコール)または反応溶媒の混合物中で、適切な反応温度で反応させることを含むプロセスに関する。
【0052】
本発明において、好ましくは、当業者に知られている酸性ヒドロキシ化合物が、これらの式I(式中、X1およびX2は、本発明による同じまたは異なる(優先的には異なる)脱離基である)の化合物の調製に使用される。これらのヒドロキシ化合物のヒドロキシル基は、特に、窒素原子またはフェニル環に結合し得る。知られている酸性ヒドロキシ化合物は、フェノール(例えば4−ニトロフェノール(HOPnp)またはペンタフルオロフェノール(HOPfp)または4−クロロフェノール)、N−ヒドロキシ−イミド(例えばN−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)またはN−ヒドロキシフタルイミド(HOPh))、N−ヒドロキシ−アゾール(例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)または1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt))、N−ヒドロキシ−アジノン(環式N−ヒドロキシ−アミド)(例えば3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン(HOOBt、HODhbt))等、および2−シアノ−2−(ヒドロキシイミノ)酢酸エチルエステルを含み得るが、これらに限定されない。
【0053】
本発明の意味での式X2−Hの適切な具体的ヒドロキシ化合物は、4−ニトロフェノール(HOPnp)である。
本発明の意味での式X2−Hの適切な別のヒドロキシ化合物は、4−クロロフェノール(HOPcp)である。
【0054】
これらの式I(式中、X1およびX2は、本発明による同じまたは異なる(優先的には異なる)脱離基である)の化合物の調製に使用され得るピリミジン化合物は、式I’(式中、XおよびX’は、ハロゲン化物、アリールスルホネート、アルキルスルホネート、ペルフルオロアルキルスルホネート、アリールスルフィネートおよびアルキルスルフィネート、例えば2,4−ジハロ−5−トリフルオロメチルピリミジン、具体的には2,4−ジクロロ−5−トリフルオロメチルピリミジンからなる群から選択され得る、同じまたは異なる(優先的には同じ)脱離基である)の化合物である。
【0055】
より具体的な例において、式I(式中、X1は、塩素であり、X2は、4−ニトロフェニルオキシである)の化合物は、以下の例に記載のものと類似して、またはそれと同様に、2,4−ジクロロ−5−トリフルオロメチルピリミジン(典型的には約1.0当量の量)およびHOPnp(例えば約1.0当量の量)、好ましくはその脱プロトン化形態から、例えば、HOPnpを、好適な強い無機補助塩基(例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属水酸化物等)、または特に、好適な強い有機非求核性補助塩基(例えば、カリウムtert.−ブチレート、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等;典型的には約1.0当量の量)の存在下、好適な極性反応溶媒またはその混合物中、例えば低級脂肪族アルコール、具体的にはエタノールもしくは2−プロパノール中、または水中で脱プロトン化し、次いで、in situで形成された4−ニトロフェノレート(具体的にはカリウム4−ニトロフェノレートの反応溶媒中の溶液/懸濁液として)を、2,4−ジクロロ−5−トリフルオロメチルピリミジンと、好ましくは約−20℃から使用される反応溶媒(複数種可)の還流温度までの範囲である好適な反応温度、例えば約70℃で反応させることにより、得ることができる。有益である場合には、反応をより低温で開始させ、所望のより高い温度まで温度を上昇させる。
【0056】
式I’(式中、XおよびX’は、ハロゲン化物、アリールスルホネート、アルキルスルホネート、ペルフルオロアルキルスルホネート、アリールスルフィネートおよびアルキルスルフィネートからなる群から独立して選択される、同じまたは異なる脱離基である)の化合物は、既知であるか、または知られている手順(例えば、2,4−ジクロロ−5−トリフルオロメチルピリミジンの調製が、WO2005/0123780に記載されている)と類似して、または同様に得ることができる。
【0057】
任意選択で、さらなる反応の前に、上記反応により得ることができる式IIIの化合物が、好適な保護基により(例えばベンジルオキシカルボニルとしてのベンジル保護基、またはtert−ブチルオキシカルボニルとしてのtert−ブチル保護基により)一時的に保護されていてもよい官能基(例えば−COOH)を含有する場合、保護基は、存在する場合は、その後除去されてもよく、遊離官能基が別の官能基に転換されてもよく、例えば、カルボキシル基を、例えばアミド結合形成用の好適なカップリング試薬の補助により、または各カルボン酸塩化物を介して、単離ありまたはなしで、式VI[HN(R5)R6]の第1級または第2級アミンと反応させて、アミド基−CON(R5)R6を得てもよい。別の実施形態において、官能基のそのような変換は、後に、例えば本明細書の以下に記載の反応後に、例えば後述の式III’(式中、X’は、−N(R3)R4または−OR7である)の化合物に対して行われてもよい。同様に(例えばアミドカップリングにより)、式IIの各アミド化合物は、対応する安息香酸(またはその誘導体)と式VIのアミンとの反応により調製することができる。
【0058】
式IIIの化合物は、酸素、硫黄または窒素求核試薬(例えば、式III’(式中、X’は、−N(R3)R4である)の2,4−ジアミノ生成物を生成する式V[HN(R3)R4]の第1級もしくは第2級アミン、または式III’(式中、X’は、−OR7である)の2−アミノ−4−オキソ生成物を生成する式VII[HO−R7]のアルコール等)と反応した場合、例えば哺乳動物における癌等の異常細胞成長の治療に有用となり得るタンパク質キナーゼ阻害剤等の薬理活性化合物の調製における、有用な中間体である。そのような化合物は、例えば、WO03/030909、WO03/032997、WO03/078404、WO2004/046118、WO2004/048343、WO2004/056807、WO2004/056786、WO2005/026130、WO2005/049033、WO2005/111023、WO2005/113515、WO2006/021544、US2006/025433、WO2006/074057、WO2006/091737、WO2006/099974、WO2006/117560、WO2007/003596、WO2007/049041、WO2007/063384、WO2007/072158、WO2007/096351、WO2007/115999、US2007/203161、WO2007/132010、WO2007/140957、WO2008/003766、WO2008/129380、WO2008/025556、WO2008/045978、WO2008/051547、WO2008/074515、WO2008/079907、WO2008/077885、WO2008/092049、WO2008/118822、WO2008/129380、WO2009/012421、WO2009/017838、WO2009/032668、WO2009/063240、WO2009/071535、WO2009/158431、WO2009/158571、WO2010/002655、WO2010/046034、WO2010/046035、WO2010/058030、WO2010/058032、およびWO2010/055117に記載されている。
【0059】
式VまたはVIのアミンは、第1級または第2級アミンであり、式中、R3およびR4、もしくはR5およびR6はそれぞれ、水素、芳香族基および脂肪族基からなる群から独立して選択される置換基であり、または、R3およびR4、もしくはR5およびR6はそれぞれ、一緒になって、それらが結合している窒素原子を含めて、4〜11員芳香環もしくは脂肪族環を形成する。式VまたはVIのアミンは、環式アミンまたは第1級もしくは第2級脂肪族アミン、例えば、本明細書に記載されるもの(例えば、R3およびR4またはR5およびR6のうちの一方が、それぞれ水素またはアルキルであり、他方が、本明細書に記載のような置換されていてもよいアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルであるもの)、例えば、各アルキル、ベンジル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルが本明細書に定義されるように置換されていてもよい、N−アルキル−アミン、N−シクロアルキル−アミン、N−ヘテロシクロアルキル−アミン、N−ベンジル−アミン、N−アルキル−N−メチル−アミン、N−シクロアルキル−N−メチル−アミンまたはN−ヘテロシクロアルキル−N−メチル−アミン等を含むが、これらに限定されない。式Vのアミンの例には、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、N−(2−アミノメチル−5−メチル−フェニル)−N−メチル−メタンスルホンアミド、(1S,2R)−2−アミノ−1−シクロペンタンカルボン酸またはそのアミドもしくはイソプロピルアミド、(1S,2R)−2−アミノ−シクロヘキシル−カルバミン酸ベンジルエステルまたは−カルバミン酸tert.ブチルエステル等が含まれるが、これらに限定されない。式VIのアミンの例には、(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミン、(1−Boc−ピペリジン−4−イル)−アミン、(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−メチル−アミン、(1−Boc−ピペリジン−4−イル)−メチル−アミン、ピペリジン、モルホリン、N−Boc−ピペラジン、N−メチル−ピペラジン、ホモピペリジン、N−メチル−ホモピペラジン、N−Boc−ホモピペラジン等が含まれるが、これらに限定されない。BocまたはCbz保護基を反応後に除去して、遊離アミンを得ることができる。
【0060】
式VIIのアルコールは、第1級、第2級または第3級アルコールであり、式中、R7は、例えば第1級または第2級脂肪族アルコールまたは芳香族アルコール(例えばフェノール誘導体等のHO−アリール)等の脂肪族基または芳香族基である。
【0061】
本明細書において定義されるような式IIIまたはIII’のある特定の化合物は、例えば以下に記載の方法a)〜h)のうちの1つまたは複数を含む、当業者にとって慣例的な合成戦略および反応を介して、それぞれ式IIIまたはIII’の他の化合物に変換され得ることを理解されたい。
【0062】
したがって、任意選択で、例えば、
a)カルボキシル基を含有する本明細書において定義されるような式IIIまたはIII’の化合物から、エステル化反応により対応するエステル化合物を得ることができ、および/またはアミド化反応により対応するアミド化合物を得ることができ、
b)エステル基を含有する本明細書において定義されるような式IIIまたはIII’の化合物から、脱エステル化反応(例えば鹸化)により対応する遊離酸化合物を得ることができ、
c)第1級または第2級アミノ基を含有する本明細書において定義されるような式IIIまたはIII’の化合物から、アシル化反応により対応するアミドを得ることができ、および/またはスルホニル化反応により対応するスルホンアミドを得ることができ、
d)ヒドロキシル基を含有する本明細書において定義されるような式IIIまたはIII’の化合物から、アシル化反応により対応するエステルを得ることができ、
e)アシル化ヒドロキシル基および/またはアシル化アミノ基を含有する本明細書において定義されるような式IIIまたはIII’の化合物から、脱アシル化反応により対応する遊離アルコールおよび/または遊離アミンを得ることができ、
f)第1級もしくは第2級アミノ基および/またはヒドロキシル基を含有する本明細書において定義されるような式IIIまたはIII’の化合物から、それぞれN−アルキル化および/またはO−アルキル化反応により、それぞれ対応するN−アルキル化および/またはO−アルキル化化合物を得ることができ、
g)置き換え可能な脱離基を含有する本明細書において定義されるような式IIIまたはIII’の化合物から、N、OまたはS求核試薬での求核置換反応により、対応する置換化合物を生成する置き換えを得ることができ、ならびに/あるいは、
h)酸化性窒素または硫黄原子を含有する本明細書において定義されるような式IIIまたはIII’の化合物(例えば、アミノ型またはイミノ型環窒素または硫黄原子を含有する芳香族または脂肪族ヘテロ環)から、それぞれN−酸化および/またはS−酸化反応により、それぞれ対応するN−酸化物および/またはS−酸化物(一酸化物および二酸化物を含む)を得ることができる。
【0063】
a)からh)に示した方法は、当業者に知られた方法、または本明細書において例示されるような方法と類似して、好都合に行うことができる。
【0064】
最後に、任意選択で、X’が本明細書において定義されるような−N(R3)R4である式III’の2,4−ジアミノピリミジン誘導体、またはX’が本明細書において定義されるような−OR7である式III’の2−アミノ−4−オキソピリミジン誘導体のトリフルオロメチル基は、加水分解して対応する酸を形成することができ、また任意選択で、このようにして得られた酸は、その後脱カルボキシル化されて対応するデス−トリフルオロメチル誘導体を形成することができる。対応する方法は、当業者に知られている。
【0065】
得られた化合物または中間体は、単離することなく、もしくはin situでさらに反応させることができ、あるいは、それ自体知られた様式で、例えば、本明細書に記載のように、例えば減圧下で溶媒を蒸発もしくは留去することにより、または、1種、2種もしくはそれ以上の好適な有機溶媒もしくは水性溶媒(例えば、本明細書に記載の溶媒から選択される)から得られた残渣を沈殿させる(例えば溶液を濃縮する、冷却する、および/もしくは貧溶媒を添加することにより)、回収する、ならびに任意選択で再結晶化させることにより、または、例えば好適な支持材料でのカラムクロマトグラフィー等の慣例的な精製方法のうちの1つに供することにより、単離および精製することができる。
本発明の範囲は、本明細書に記載の特定の実施形態により限定されるものではない。本明細書に記載のものに加え、本開示から、本発明の様々な修正が当業者には明らかとなり得る。そのような修正は、添付の特許請求の範囲内に包含されることが意図される。
本明細書において引用されるすべての特許出願は、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる。
【0066】
以下の例から、本発明のさらなる実施形態、特徴および利点が明らかとなり得る。以下の例は、本発明の原理を制限することなく例示的に示す役割を果たす。
【実施例】
【0067】
2−クロロ−4−(4−ニトロフェニルオキシ)−5−トリフルオロメチルピリミジンの調製
a.)カリウムtert.−ブチレート12.9gを、4−ニトロフェノール16.8gの2−プロパノール200mL中の溶液に添加した(発熱反応)。懸濁液を周囲温度で40分間撹拌し、続いて−15℃〜−10℃に冷却した。2,4−ジクロロ−5−トリフルオロメチルピリミジン25.0gを、−15℃〜−10℃で徐々に添加した。反応混合物を−15℃〜−10℃で30分間撹拌した。冷却浴を取り外し、反応混合物を周囲温度で16時間撹拌した(位置選択性[HPLC]1:2〜87:13)。反応混合物を還流加熱し、蒸留水50mLを添加した。得られた溶液を周囲温度に徐々に冷却し、2日間撹拌した。沈殿物を濾過し、精製水/2−プロパノール(1:1)で洗浄した。真空乾燥炉内で乾燥後、位置異性体的に純粋な無色の表題生成物27.7g(理論値の75%)が得られた(この化合物は、任意選択でエタノール/水から再結晶化させることができた)。
HPLC:Rt=6.4分
[カラム:Inertsil ODS−3、5μm;寸法:4.0×150mm;温度:20℃;移動相:A:水/0.2%KH2PO4 pH3.0、B:アセトニトリル;アイソクラチックA/B(45:55);10分後に停止;流量:1,5mL/分;検出UV 205nm]
【0068】
別の方法として、4−ニトロフェノール33.7gを、2−プロパノール250mLに溶解した。精製水42mLで希釈した水酸化ナトリウム水溶液(50%)18.3gを添加した。精製水50mLをさらに添加した。反応混合物を50℃で30分間撹拌し、次いで−15℃に冷却した。2,4−ジクロロ−5−トリフルオロメチルピリミジン50gを、−15℃で、激しく撹拌しながら添加した。追加量50mLの冷却(−15℃)2−プロパノールを添加した。懸濁液を−15℃で2時間撹拌し、次いで2時間20℃まで温めた。エタノール100mLを添加した。反応物を還流加熱した。表題生成物を約60℃で分注しながら、溶液を20℃に冷却した。懸濁液を20℃で30分間撹拌後、沈殿物を濾過し、2−プロパノール150mLおよび精製水75mLの混合物、次いで精製水150mLで洗浄した。生成物を真空乾燥炉内にて50℃で乾燥させた。位置異性体的に純粋な無色の表題生成物54.3g(理論値の74%)が得られた。
【0069】
また、別の方法として、4−ニトロフェノール0.67gを、エタノール5mLに溶解した。1M水酸化ナトリウム水溶液4.6mLを添加した。混合物を−15℃に冷却した。2,4−ジクロロ−5−トリフルオロメチルピリミジン1.0gのエタノール2mL中の溶液を、−15℃で数回に分けて添加した。懸濁液を−15℃〜−10℃で1.5時間撹拌し、次いで3時間20℃まで温めた。懸濁液を20℃で16時間撹拌した。沈殿物を濾過し、メタノールおよび精製水の1:1混合物で洗浄した。生成物を真空乾燥炉内で乾燥させた。位置異性体純度88:12(2−クロロ−4−(4−ニトロフェニルオキシ)−5−トリフルオロメチルピリミジン:2−(4−ニトロフェニルオキシ)−4−クロロ−5−トリフルオロメチルピリミジン)の表題生成物1.3g(理論値の88%)が得られた。
【0070】
位置異性体純度94:6((2−クロロ−4−(4−ニトロフェニルオキシ)−5−トリフルオロメチルピリミジン:2−(4−ニトロフェニルオキシ)−4−クロロ−5−トリフルオロメチルピリミジン)の粗表題生成物2.0gを、アセトン4mLに溶解した。エタノール10mLを添加した。溶液に精製水2mLを徐々に添加した。沈殿が開始した。30分後、精製水8mLをさらに添加した。懸濁液を20℃で5時間撹拌した。沈殿物を濾過し、エタノール/精製水の混合物、次いで精製水で洗浄した。真空乾燥炉内で40℃で乾燥後、位置異性体的に純粋な表題生成物1.7gが得られた。
【0071】
2−クロロ−4−(4−ニトロフェニルオキシ)−5−トリフルオロメチルピリミジン内の塩素原子の求核試薬による置換
b−1.)2−クロロ−4−(4−ニトロフェニルオキシ)−5−トリフルオロメチルピリミジン50.0gを、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)200mLに溶解した。4−アミノ−N−メチル−N−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−ベンズアミドのモノ−4−トルエンスルホン酸塩65.6g、トリメチルシリルクロリド(水捕捉剤として)9.44mL、およびメタンスルホン酸1.50gを添加した。懸濁液を60℃で39時間撹拌した。塩化メチレン500mLおよび精製水100mLを添加した。有機相を分離し、続いて精製水、1N水酸化ナトリウム水溶液および飽和ブラインで洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で蒸発させると、対応する粗2−アミノピリミジン誘導体生成物、すなわちN−メチル−N−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−4−[4−(4−ニトロ−フェノキシ)−5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ]−ベンズアミドが、油状物として得られた。油状物をエタノール500mLに溶解した。tert.−ブチルメチルエーテル(TBME)500mLおよびメタンスルホン酸15gを添加した。結晶化が開始し、懸濁液を周囲温度で5時間撹拌する。沈殿物を濾過し、エタノール/tert−ブチルメチルエーテル(1:1)およびtert.−ブチルメチルエーテルで洗浄し、真空乾燥炉内で40℃で乾燥させた。生成物N−メチル−N−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−4−[4−(4−ニトロ−フェノキシ)−5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ]−ベンズアミド61g(理論値の62%)が、モノメタンスルホン酸塩として得られた。
HPLC:Rt=10.8分
[カラム:Cadenza CD−C18、3μm;寸法:4.6×150mm;温度:20℃;移動相:A:水/0.1%KH2PO4 pH1.7(HClO4で調節)、B:アセトニトリル;勾配:A/B(95:5)で5分間保持、10分でA/B(95:5)からA/B(20:80)、停止時間:15分;流量:1mL/分;検出UV 200nm]
【0072】
別の方法として、2−クロロ−4−(4−ニトロフェニルオキシ)−5−トリフルオロメチルピリミジン1.0gを、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)5mLに溶解した。4−アミノ−N−メチル−N−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−ベンズアミドのモノ−4−トルエンスルホン酸塩1.44g、トリメチルシリルクロリド(水捕捉剤として)76μL、およびメタンスルホン酸60mgを添加した。懸濁液を55℃で18時間撹拌した。塩化メチレン15mLおよび2N水酸化ナトリウム溶液10mLを添加した。有機相を分離し、濃縮溶液5gが残留するように溶媒を減らした。この溶液に、2−プロパノール20mLおよびメタンスルホン酸0.32gを添加した。結晶化が生じた。懸濁液を濾過し、洗浄して乾燥させると、生成物N−メチル−N−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−4−[4−(4−ニトロ−フェノキシ)−5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ]−ベンズアミド1.5g(理論値の77%)がメタンスルホン酸塩として得られた。
【0073】
b−2.)4−アミノ−3−メトキシ−N−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−ベンズアミド21.4gを、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)35mLに75℃で懸濁させた。トリメチルシリルクロリド(TMSCl)11.8mLおよび2−プロパノール5.9gを添加した(発熱反応)。溶液を70℃で1時間撹拌すると、懸濁液が生成した。次いで、2−クロロ−4−(4−ニトロフェニルオキシ)−5−トリフルオロメチルピリミジン26gを添加した。反応混合物を70℃で17時間撹拌した。この温度でアセトン300mLを添加した。懸濁液を周囲温度に徐々に冷却し、5時間撹拌した。沈殿物を濾過し、アセトンで洗浄した。真空乾燥炉内で乾燥後、対応する2−アミノピリミジン誘導体生成物、すなわち3−メトキシ−N−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−4−[4−(4−ニトロ−フェノキシ)−5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ]−ベンズアミド47g(理論値の99%)が、一塩酸塩として得られた。
HPLC:Rt=7.5分
[カラム:Inertsil ODS−3、5μm;寸法:4.0×150mm;温度:30℃;移動相:A:水/0.2%KH2PO4 pH3.0、B:アセトニトリル;勾配:12分でA/B(90:10)からA/B(20:80)、A/B(20:80)で3分間保持;流量:1.5mL/分;検出UV 220nm]
【0074】
b−3.)2−クロロ−4−(4−ニトロフェニルオキシ)−5−トリフルオロメチルピリミジン1.0gおよび4−アミノ−3−メトキシ−安息香酸ベンジルエステル0.77gを、2−プロパノール15mLに懸濁させた。懸濁液を50℃に加熱し、トリメチルシリルクロリド(TMSCl)0.08mLを添加した。懸濁液を50℃で16時間撹拌した。懸濁液を周囲温度に冷却し、3時間撹拌した。沈殿物を濾過し、2−プロパノールで洗浄した。真空乾燥炉内で乾燥後、対応する2−アミノピリミジン誘導体生成物、すなわち3−メトキシ−4−[4−(4−ニトロ−フェノキシ)−5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ]−安息香酸ベンジルエステル1.38g(理論値の85%)が得られた。
HPLC:Rt=5.9分
[カラム:Inertsil ODS−3、3μm;寸法:2.1×50mm;温度:40℃;移動相:A:水/0.1%酢酸、B:アセトニトリル/0.1%酢酸;勾配:6分間でA/B(80:20)からA/B(10:90)、A/B(10:90)で1.5分間保持;流量:1.0mL/分;検出UV 254nm]
【0075】
b−4.)2−クロロ−4−(4−ニトロフェニルオキシ)−5−トリフルオロメチルピリミジン3.50gおよび4−アミノ−3−メトキシ−安息香酸2.03gを、2−プロパノール90mLに懸濁させた。濃塩酸0.18mLを添加した。反応混合物を3.5時間還流加熱した。懸濁液を20℃に冷却し、この温度で30分間撹拌した。沈殿物を濾過し、2−プロパノール18mLおよびメタノール10mLで洗浄した。真空乾燥炉内で50℃で乾燥後、対応する2−アミノピリミジン誘導体生成物、すなわち3−メトキシ−4−[4−(4−ニトロ−フェノキシ)−5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ]−安息香酸4.69g(理論値の88%)が、塩酸塩として得られた。3−
HPLC:Rt=14.1分
[カラム:Inertsil ODS−3、5μm;寸法:150×4.0mm;温度:30℃;移動相:A:水/0.3% KH2PO4 pH=3、B:アセトニトリル;勾配:A/B(85:15)1分、5分でA/B(85:15)からA/B(60:40)、5分でA/B(60:40)からA/B(40:60)、3分でA/B(40:60)からA/B(30:70)、A/B(30:70)で3分間保持;流量:2.0mL/分;検出UV 210nm]
【0076】
b−5.)4−アミノ−5−メトキシ−2−フルオロ−N−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−ベンズアミド(例えばWO2008/040951を参照)5.0gの1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)20mL中の懸濁液に、塩化水素のジオキサン中の4M溶液5.33mLを添加した。懸濁液を45℃で1時間撹拌した。2−クロロ−4−(4−ニトロフェニルオキシ)−5−トリフルオロメチルピリミジン5.68gを添加した。反応混合物を73℃で17時間撹拌した。この温度で、アセトン40mLを添加し、混合物を還流加熱した。懸濁液を周囲温度に徐々に冷却した。沈殿物を濾過し、アセトンで洗浄した。真空加熱炉内で乾燥後、対応する2−アミノピリミジン誘導体生成物、すなわち5−メトキシ−2−フルオロ−N−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−4−[4−(4−ニトロ−フェノキシ)−5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ]−ベンズアミド7.93g(理論値の74%)が、一塩酸塩として得られた。あるいは、4−アミノ−3−メトキシ−5−フルオロ−N−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−ベンズアミドの塩酸塩を使用することができる。
HPLC:Rt=9.3分
[カラム:Zorbax SB−C18;1.8μm;寸法:3.0×50mm;温度:10℃;移動相:A:水/0.1%KH2PO4 pH1.7(HCLO4)、B:アセトニトリル;勾配:7分でA/B(85:15)からA/B(50:50)、A/B(50:50)で3分間保持、2分でA/B(50:50)からA/B(30:70)、5分間保持;流量:0.5mL/分;検出UV 205nm]。
【0077】
2−アミノ−4−(4−ニトロフェニルオキシ)−5−トリフルオロメチルピリミジン誘導体内の4−ニトロフェニルオキシ基の求核試薬による置換
c−1.)上記ステップb−1.)のメタンスルホン酸塩(例えば1.0当量)、適切な式Vのアミンまたはその適切な塩(例えば1.1当量)、および好適な無機または有機補助塩基、例えばジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンまたはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属炭酸塩(例えば炭酸ナトリウム、例えば5当量)を、好適な溶媒中、例えば本明細書において求核芳香族置換反応に好適であるとして記載されている溶媒(例えば1−メチル−2−ピロリジノン[NMP])中に懸濁または溶解し、任意選択で高温で、例えば70〜85℃で、16〜24時間撹拌した。生成物は、当業者が精通した手順に従い単離することができた。反応混合物を周囲温度に冷却した。ブラインまたは水および有機抽出剤(例えば2−プロピルアセテートまたはメチルテトラヒドロフラン)を添加した。有機相を希釈ブラインおよび/または水で数回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過した。減圧下で濾液を蒸発させると、対応する粗2,4−ジアミノピリミジン誘導体が生成物として得られた。任意選択で、例えば好適な溶離液(例えば塩化メチレン/メタノール/濃アンモニア)によるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー等により、粗生成物を精製した。
【0078】
c−2.)上記ステップb−2.)で得られた2−アミノピリミジン誘導体(例えば1.0当量)、適切な式Vのアミンまたはその適切な塩(例えば1.1当量)、および好適な無機または有機補助塩基、例えばジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンまたはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属炭酸塩(例えば炭酸ナトリウム、例えば5当量)を、好適な溶媒中、例えば本明細書において求核芳香族置換反応に好適であるとして記載されている溶媒(例えば1−メチル−2−ピロリジノン[NMP])中に懸濁または溶解し、任意選択で高温で、例えば80℃で、21時間撹拌した。生成物は、当業者が精通した手順に従い単離することができた。反応混合物を周囲温度に冷却し、希釈ブラインに注ぎ込んだ。適切な有機抽出剤、例えば2−プロピルアセテートを添加し、有機相を分離した。有機相を希釈ブラインで数回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過した。減圧下で濾液を蒸発させると、対応する粗2,4−ジアミノピリミジン誘導体が生成物として得られた。任意選択で、例えば、好適な溶媒または溶媒の混合物(例えばエタノール/水)から再結晶化させる等して、粗生成物を精製した。
【0079】
c−3.)上記ステップb−2.)またはb−5で得られた2−アミノピリミジン誘導体(例えば1.0当量)、第1級もしくは第2級アルコールまたは芳香族アルコール(例えばフェノール誘導体)、および好適な無機または有機補助塩基、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属炭酸塩(例えば炭酸ナトリウムもしくはカリウム、例えば3〜5当量)を、好適な溶媒中、例えば本明細書において求核芳香族置換反応に好適であるとして記載されている溶媒(例えば1−メチル−2−ピロリジノン[NMP]またはアセトニトリル)中に懸濁または溶解し、任意選択で高温で、例えば60℃〜80℃で、10〜30時間撹拌した。生成物は、当業者が精通した手順に従い単離することができた。若干高温で反応混合物に水を添加することができ、生成物を結晶化させることができた。あるいは、反応混合物を希釈ブラインに注ぎ込んだ。適切な有機抽出剤、例えば2−プロピルアセテートまたは2−メチル−テトラヒドロフランを添加し、有機相を分離した。有機相を希釈ブラインで数回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過した。減圧下で濾液を蒸発させると、対応する粗2−アミノ−4−オキソ−ピリミジン誘導体が生成物として得られた。あるいは、粗生成物をクロマトグラフィーで精製することができた。任意選択で、例えば、好適な溶媒または溶媒の混合物(例えばエタノール/水もしくはアセトン/水)から結晶化させる等して、粗生成物を精製した。
【0080】
2−(4−ニトロフェニルオキシ)−4−クロロ−5−トリフルオロメチルピリミジンの調製
N−メチルモルホリン11.6gを、4−ニトロフェノール16.3gの2−プロパノール200mL中の溶液に添加した。溶液を−5℃に冷却した。2,4−ジクロロ−5−トリフルオロメチルピリミジン25gを、温度が0℃未満に維持されるように徐々に添加した。反応混合物を周囲温度まで温めながら4時間撹拌した(位置選択性[HPLC]1:2〜7:93)。精製水400mLを添加し、懸濁液を1.5時間撹拌した。沈殿物を濾過し、精製水/2−プロパノール(2:1)で洗浄した。真空乾燥炉内で乾燥後、粗表題生成物35g(理論値の96%)が、無色固体として得られた(位置異性体純度[HPLC]1:2〜3:97)。純度を上げるために、粗生成物36gを、2−プロパノール300mL/精製水200mLから再結晶化させた。表題生成物31.6g(理論値の90%)が得られた(位置異性体純度[HPLC]1:2<1:99)。
HPLC:Rt=6.4分
[カラム:Inertsil ODS−3、5μm;寸法:4.0×150mm;温度:20℃;移動相:A:水/0.2%KH2PO4 pH3.0、B:アセトニトリル;アイソクラチックA/B(45:55);10分後に停止;流量:1.5mL/分;検出UV 205nm]
【0081】
2−(4−クロロフェニルオキシ)−4−クロロ−5−トリフルオロメチルピリミジンの調製
N−メチルモルホリン0.25mLを、4−クロロフェノール0.23mLの2−プロパノール5mL中の溶液に添加した。溶液を0℃に冷却した。2,4−ジクロロ−5−トリフルオロメチルピリミジン0.5gを、温度が0℃未満に維持されるように添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、周囲温度まで温めながらさらに1時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を塩化メチレンに溶解し、水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で蒸発させた。油状物0.68gが得られ、これを静置すると結晶化した。シクロヘキサン/酢酸エチル(40:1)を溶離液として使用したシリカゲルでのクロマトグラフィーで、粗生成物を精製した。2−(4−クロロフェニルオキシ)−4−クロロ−5−トリフルオロメチルピリミジン0.52g(理論値の73%)が、無色固体として得られた。
HPLC:Rt=4.7分
[カラム:Inertsil ODS−3、3μm;寸法:2.1×50mm;温度:40℃;移動相:A:水/0.1%酢酸、B:アセトニトリル/0.1%酢酸;勾配:6分間でA/B(80:20)からA/B(10:90)、A/B(10:90)で1.5分間保持;流量:1.0mL/分;検出UV 254nm]

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式III
【化1】

(式中、
X2は、
1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいフェニルオキシ、
1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいヘテロシクリルN−オキシ、および
1〜5個の好適な置換基で置換されていてもよいヘテロアリールN−オキシからなる群から選択される脱離基であり、
R1およびR2は、水素、芳香族基および脂肪族基からなる群から独立して選択される置換基であるか、または一緒になって、−N(R1)R2が4〜11員芳香環もしくは脂肪族環を形成してもよい)
の化合物を作製する方法を含むプロセスであって、
前記方法は、式I
【化2】

(式中、X1は、脱離基である)
の化合物を式II[HN(R1)R2]のアミンと反応させて、式IIIの化合物を形成することを含む、プロセス。
【請求項2】
X1およびX2が、異なる脱離基である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
X1が、塩素である、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
R1およびR2のうちの一方が、水素であり、他方が、芳香族基である、請求項1から3のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
X1が、塩素であり、X2が、4−ニトロフェニルオキシである、請求項1から4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記反応が、無機または有機補助酸、例えばメタンスルホン酸または塩化水素等の存在下で行われる、請求項1から5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記反応が、無機または有機補助塩基、例えばアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属炭酸塩(例えば炭酸ナトリウムもしくはカリウム)またはジイソプロピルエチルアミン等の存在下で行われる、請求項1から5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記反応が、非プロトン性溶媒中または非求核性アルコール中またはその両方の混合物中で行われる、請求項1から7のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記反応が、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、1−エチル−2−ピロリジノン(NEP)およびイソプロパノールから選択される1種または複数を含む反応溶媒中で行われる、請求項1から8のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記反応が、およそ室温から使用される溶媒(複数種可)のおよそ沸点までの反応温度で行われる、請求項1から9のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記反応が、いかなるルイス酸金属カチオンもなしに行われることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
式I’
【化3】

(式中、
XおよびX’は、同じまたは異なり、
Xは、X1であり、
X’は、脱離基である)
の化合物を、好ましくは好適な無機または有機補助塩基の存在下で、式X2−Hのヒドロキシ化合物、またはその脱プロトン化された形態と反応させて、前記式Iの化合物を形成することを含む、前記式Iの化合物を調製するステップをさらに含む、請求項1から11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
XおよびX’が、同じであって塩素であり、および/または、前記補助塩基として、ジイソプロピルエチルアミン、カリウムtert.−ブチレートまたは水酸化ナトリウムが存在する、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記式Iの化合物の調製反応が、低級脂肪族アルコールもしくは水等の極性反応溶媒、またはこれらの混合物中で行われる、請求項12または13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記式IIIの化合物を、酸素、硫黄または窒素求核試薬と反応させるステップをさらに含む、請求項1から14のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項16】
2−クロロ−4−(p−ニトロフェニルオキシ)−5−トリフルオロメチルピリミジンである式Iの化合物。

【公表番号】特表2013−501759(P2013−501759A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524242(P2012−524242)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061840
【国際公開番号】WO2011/018518
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】