説明

2−オキソ−1−ピロリジニルイミダゾチアジアゾール誘導体

本発明は2−オキソ−1−ピロリジンイミダゾチアジアゾール誘導体、これらの製造方法、これらを含有する医薬組成物およびそれらの医薬としての使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(序論)
本発明は2−オキソ−1−ピロリジニルイミダゾチアジアゾール誘導体、これらの製造方法、これらを含有する医薬組成物およびそれらの医薬としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヨーロッパ特許第0162036B1号は(S)−α−エチル−2−オキソ−1−ピロリジンアセトアミドを開示しており、この化合物は国際Nonproprietary Name(INN)レベチラセタム(levetiracetam)として知られている。
【0003】
レベチラセタム、左旋性化合物は中枢神経系の低酸素型および虚血型攻撃の処置および予防用の防護剤として開示されている。この化合物はまた、ヨーロッパ特許第0165919B1号からまた知られているその右旋性エナンチオマー(R)−α−エチル−2−オキソ−1−ピロリジンアセトアミドが活性を完全に欠いていることが証明されている治療指針であるてんかんに有効である(発作制御)(Gower A.J.等、Eur.J.Pharmacol.(1992)、222、193−203)。
【0004】
発作(seizure)制御における現在の問題点は現時点で利用できる処置に対し全く応答しないか、または不十分に応答するのみである患者で発生する。これらの患者は処置に無反応性であるように見え、医療機関に対する重大な挑戦の代表である。てんかんの患者の約30%は無反応であるものと分類されるべきものと推定される。従って、この群の患者を特に標的とする新規な医療の開発が求められている。
【0005】
Belavin I.Y.等は1−[1−(1H−ベンズイミダゾール−1−イル)エチル]−2−ピロリジノンおよびその抗痙攣活性を教示している(Khimiko−Farmatsevticheskii Zhurnal(1992)、26(9−10)、74−76)。
【0006】
WO01/62726は下記式を有するピロリジノン化合物を教示している:
【化1】

【0007】
WO2005/054188は式Aを有するイミダゾール化合物を教示している:
【化2】

【0008】
イミダゾールまたはベンズイミダゾールはピロリジノンのメチレン結合手に窒素により結合している。
【0009】
WO2006/128693は下記式(A)で表されるピロリジノン化合物を教示している:
【化3】

【0010】
式中、
は水素、置換または未置換C1−12アルキル、置換または未置換アリールまたは置換または未置換3−8員へテロ環である;
は水素である;別様に、RおよびRは一緒に結合し、C3−6環状アルキルを形成している;
【0011】
は、
(a)その炭素原子の1個を経て分子の残りの部分に結合している置換または未置換のへテロ環であって、このヘテロ環は、
1H−ベンズイミダゾール−6−イル;
1H−ベンズイミダゾール−7−イル;
イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル;
イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル;
イミダゾ[1,2−b][1,2,4]トリアジン−7−イル;
イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イル;
5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾール[1,2−b]ピリダジン−3−イル;
イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル
イミダゾ[2,1−b][1,3]チアジアゾール−5−イル
3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル;
1H−イミダゾール−4−イル;
1H−イミダゾール−5−イル;;
1H−インドール−2−イル;
1H−インドール−3−イル;
1H−インドール−4−イル;
1H−インドール−7−イル;
イソオキサゾール−4−イル;
1H−ピラゾール−4−イル;
1H−ピラゾール−5−イル;
1H−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル;
1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル;
ピリダジン−4−イル;
ピリジン−2−イル;
ピリジン−3−イル;
ピリジン−4−イル;
1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル;
1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル;
1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル;
1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イル;
1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−3−イル;
1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル;
1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−2−イル;
1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−3−イル;
1,3,4−チアジアゾール−2−イル;
1,3−チアゾール−5−イル;
[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−7−イル;
[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−8−イル;
インドリジン−3−イル:
からなる群から選択される;
【0012】
別様に、Rは、
(b)そのN原子の1個を経て分子の残りの部分に結合している置換または未置換のへテロ環であって、このヘテロ環は、
1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−イル;
1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル;
3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル;
7H−イミダゾ[4,5−c]ピリダジン−7−イル;
1H−インドール−1−イル;
2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル;
9H−プリン−9−イル;
1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−1−イル;
2H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−2−イル;
1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−イル;
1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル;
3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル;
8H−イソチアゾロ[5,4−b]インドール−8−イル;
1H−1,2,4,−トリアゾール−1−イル;
1H−ピロール−1−イル;
2−クロロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル;
からなる群から選択される。
【0013】
式Iにおいて、Rは水素;C1−12アルキル、この基は任意に、ハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、アジド、ニトロオキシまたはアリールにより置換されていてもよく;C2−12アルケニル、この基は任意に、ハロゲンにより置換されていてもよく;C2−12アルキニル、この基は任意に、ハロゲンにより置換されていてもよく;アジド;アルコキシカルボニルアミノ;アリールスルホニルオキシ;置換または未置換アリール;あるいは3−8員置換または未置換へテロ環を含むか、または上記からなる群から選択される。
【0014】
WO2006/128693の化合物はてんかん、てんかん誘発症、発作障害、痙攣、パーキンソン病、ドーパミン代替治療により誘発されたジスキネジー、神経弛緩薬の投与により誘発された遅発性ジスキネジー、ハンチントン舞踏病およびその他の神経学的障害、例えば双極性障害、躁病、うつ病、不安症、注意欠陥過活動障害(ADHD)、偏頭痛、群発性頭痛、三叉神経およびその他の神経痛、慢性の痛み、神経障害性痛み、脳虚血、心臓不整脈、ミオトニー、コカイン乱用、卒中、ミオクロヌス、振せん、本態性振せん、単純または複合性チック、ツーレット症候群、不穏下肢症候群およびその他の運動障害、新生児脳出血、筋萎縮性側湾症、痙性および変性疾病、気管支喘息、喘息発作重積状態およびアレルギー性気管支炎、喘息症候群、気管支過剰反応および気管支痙攣症候群、ならびにアレルギー性および血管運動性鼻炎、および鼻結膜炎(rhinoconjunctivitis)の処置に有用であると言われている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
本発明は式Iを有する新規2−オキソ−1−ピロリジニルイミダゾチアジアゾール誘導体、それらの幾何学的異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび混合物、あるいはその医薬上で許容される塩を提供する:
【化4】

【0016】
本発明の追加の態様は詳細な説明から明白になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
本発明は式Iに従う2−オキソ−1−ピロリジニルイミダゾチアジアゾール誘導体に関する:
【化5】

【0018】
式中、
は少なくとも1個のハロゲン置換基を含有するC1−4アルキルである;
はハロゲン(塩素、臭素またはヨウ素)または少なくとも1個のハロゲン置換基を含有するC1−4アルキルのいずれかである;
は少なくとも1個のヒドロキシ(OH)またはアルコキシ(例えば、メトキシまたはエトキシまたはプロポキシ)置換基を含有するC1−4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である。
【0019】
また、式Iで表される化合物の互変異性体、幾何学的異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび混合物、あるいは医薬上で許容される塩が含まれる。
【0020】
特定の具体例において、Rは2,2−ジフルオロプロピル、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピルまたは2−フルオロエチル基、好ましくは2,2−ジフルオロプロピル、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチルまたは3,3,3−トリフルオロプロピル基である。
【0021】
もう一つの特定の具体例において、Rはクロロ、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチル基のいずれかである。
【0022】
さらにもう一つの具体例において、Rはヒドロキシメチル、メトキシメチル、[()メチルオキシ]メチル、メトキシ()メチル、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メチルまたは2−メトキシエチル基のいずれか、好ましくはメトキシメチル基である。
【0023】
もう一つの具体例において、式Iで表される化合物は、
が2,2−ジフルオロプロピル、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチルまたは3,3,3−トリフルオロプロピル基であり;
がクロロ、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチル基であり;
がメトキシメチル基である;
化合物である。
【0024】
本発明による特定の化合物は下記化合物からなる群から選択される化合物である:
4−(2,2−ジフルオロプロピル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
(+)4−(2,2−ジフルオロプロピル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
(−)4−(2,2−ジフルオロプロピル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン 三フッ化酢酸塩;
(4S)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
(4S)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
【0025】
1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
(4R)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
(4S)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
(4S)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
(4R)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
(4S)−1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
4−(2,2−(ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
【0026】
(+)−4−(2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
(−)−4−(2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[6−(ジフルオロメチル)−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
(−)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[6−(ジフルオロメチル)−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
(+)− 4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[6−(ジフルオロメチル)−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−({6−クロロ−2−[(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メチル]イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル}メチル)ピロリジン−2−オン;
1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
(−)−1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
(+)−1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
【0027】
1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2−フルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
(4R)−1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−{[()メチルオキシ]メチル}−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−({2−[メトキシ()メチル]−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル}メチル)ピロリジン−2−オン;
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル](2H2)メチル}ピロリジン−2−オン;
4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(2−メトキシエチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
1−{[2−(2−メトキシエチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;および
1−{[2−(2−メトキシエチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン。
【0028】
下記項は本発明による化合物を構成する各種化学基の定義を提供し、この定義は別段でより広い定義が提示されていないかぎり、明細書および特許請求の範囲全体を通し等しく適用されるものとする。
【0029】
「C1−4アルキル」は炭素原子1〜4個を有するアルキル基を表す。この用語の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチルなどの基がある。「C1−4アルキル」基はハロゲン、ヒドロキシまたはアルコキシから選択される1個または2個以上の置換基により置換されていてもよい。
【0030】
式I中の「H」基は全て同位水素、ジューテリウムまたはトリチュームである。
【0031】
「ヒドロキシ」は式−OHで表される基を表す。
【0032】
「アルコキシ」は基−O−Rを表し、ここでRは「C1−4アルキル」を包含する。
【0033】
「ハロゲン」はフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨウド原子、好ましくはフルオロおよびクロロを表す。
【0034】
本発明に従う「医薬上で許容される塩」は式Iで表される化合物がその形態であることができる治療活性である無毒性の酸塩または塩基塩を包含する。
【0035】
その遊離形態で塩基として生じる式Iで表される化合物の酸付加塩形態は遊離塩基を適当な酸、例えば無機酸、例えば塩化水素酸または臭化水素酸などのハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、または有機酸、例えば酢酸、三フッ化酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸などで処理することによって得ることができる。
【0036】
酸性プロトンを含有する式Iで表される化合物は適当な有機および無機塩基で処理することによってそれらの治療活性である無毒性の塩基付加塩形態、例えば金属塩またはアミン塩に変換することができる。適当な塩基塩形態は、例えばアンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えばN−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、ならびにアミノ酸、例えばアルギニン、リジンなどとの塩を包含する。
【0037】
可逆的に、上記塩形態は適当な塩基または酸で処理することによって遊離形態に変換することができる。
【0038】
式Iで表される化合物およびそれらの塩は溶媒和物の形態であることができ、これらは本発明の範囲内に包含される。このような溶媒和物は、例えば水和物、アルコレートなどを包含する。
【0039】
かなりの式Iで表される化合物およびある種のそれらの中間体は、それらの構造中に少なくとも1個の立体中心を有する。この立体中心はRまたはS配位で存在することができ、このRおよびSの命名はPure Appl.Chem.45(1976)、11−30に記載の法則に対応して使用されている。
【0040】
本発明はまた、式Iで表される化合物の全部の立体異性体形態、例えばエナンチオマー形態およびジアステレオマー形態またはその混合物(立体異性体の可能な混合物の全部を包含する)に関する。
【0041】
本発明に関連して、1種の化合物または複数種の化合物の表現は、特定の異性体が特別に示されていないかぎり、その可能な各異性体形態およびその混合物である化合物を包含するものとする。
【0042】
本明細書で使用されているものとして、「エナンチオマー的に純粋」の表現は95%より多いエナンチオマー過剰(ee)を有する化合物を表す。
【0043】
本発明による化合物は相違する多形形態で存在することができる。前記式において明瞭に示されていないが、このような形態は本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0044】
本発明による式Iで表される化合物は有機化学合成技術の当業者によって理解される慣用の方法に従い有利に製造することができる。
【0045】
具体例の一つに従い、一般式Iを有する化合物は下記反応式に従い式IIで表される化合物と式IIIで表されるヘテロ環との反応によって製造することができる:
【化6】


式中、R、RおよびRは式Iで表される化合物について前記に定義されている定義と同一の定義を有する。
【0046】
この反応は20℃〜100℃の温度範囲においてルイス酸、例えばAlClまたはZnClの存在下にジオキサン中で行うことができ、または当業者にとって周知のあらゆる方法に従い行うことができる。
【0047】
式IIで表される化合物はPCT特許出願WO2006/128693に記載の方法に従い、または当業者にとって周知のあらゆる別の方法に従い式IVで表される対応するピロリドンから製造することができる。
【化7】

【0048】
式IVで表される化合物の合成は刊行物に記載の方法または当業者にとって周知の方法を用いて行うことができる。
【0049】
がC1−4アルキルである式IIIで表される化合物は下記反応式に従い式Vで表される化合物と式VIで表されるブロモ誘導体との反応によって得ることができる:
【化8】


式中、RはC1−4アルキルであり、およびRは式Iで表される化合物に係わり前記されている定義と同一の定義を有する。この反応は刊行物に記載の方法または当業者にとって周知の方法を用いて行うことができる。
【0050】
がClである式IIIで表される化合物は下記反応式に従い式VIIで表される化合物の環化によって製造することができる:
【化9】


式中、RはClであり、およびRは式Iで表される化合物に係わり前記されている定義と同一の定義を有する。
【0051】
この反応は、式VIIで表される化合物をアセトニトリルなどの古典的有機溶媒中で第三アミン、例えばトリエチルアミンとともにオキシ塩化リンなどのハロゲン化剤で処理することによって、または当業者にとって周知のあらゆる他の方法に従い行うことができる。
【0052】
式VIIで表される化合物は下記反応式に従いそのアミノ基をBoc基により保護し、次いで生成する中間体を式VIで表されるブロモ誘導体(式中、RはOHである)と反応させることによって製造することができる:
【化10】

【0053】
この反応は刊行物に記載の方法または当業者にとって周知の方法を用いて行うことができる。
【0054】
もう一つの具体例に従い、式Iで表される化合物のRラテラル鎖上の修飾は当業者にとって周知のあらゆる方法に従い行うことができる
【0055】
もう一つの具体例において、本発明は下記中間体の合成を包含する:
3−(アミノメチル)−5−クロロ−5,5−ジフルオロベンタン酸;
メチル3−(アミノメチル)−5−クロロ−5,5−ジフルオロベンタノエート;
4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−(クロロメチル)ピロリジン−2−オン;
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−(クロロメチル)ピロリジン−2−オン;
(4R)−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
エチル6,6,6−トリフルオロ−3−(ニトロメチル)ヘキサノエート;
4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
(4S)−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
4−(2,2−ジフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
4−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ピロリジン−2−オン;
4−(2,2−ジフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−2−オン;
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−2−オン;
1−(ヒドロキシメチル)−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
(4R)−1−(ヒドロキシメチル)−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
【0056】
1−(ヒドロキシメチル)−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
(4S)−1−(ヒドロキシメチル)−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
4−(2,2−ジフルオロプロピル)−1−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−2−オン;
4−[2−(ベンジルオキシ)エチル]−1−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−2−オン;
4−(2,2−ジフルオロエチル)−1−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−2−オン;
4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−(クロロメチル)ピロリジン−2−オン;
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−(クロロメチル)ピロリジン−2−オン;
1−(クロロメチル)−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
(4R)−1−(クロロメチル)−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
1−(クロロメチル)−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
(4S)−1−(クロロメチル)−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
1−(クロロメチル)−4−(2,2−ジフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
4−[2−(ベンジルオキシ)エチル]−1−(クロロメチル)ピロリジン−2−オン;
1−(クロロメチル)4−(2,2−ジフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
5−[(ベンジルオキシ)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−2−アミン;
5−[(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−2−アミン;
【0057】
2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール;
2−[(ベンジルオキシ)メチル]−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール;
6−(ジフルオロメチル)−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール;
2−(メトキシエチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール;
tert−ブチル[5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]カルバメート;
tert−ブチル{5−[(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}カルバメート;
{2−[(tert−ブトキシカルボニル)イミノ]−5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−3(2H)−イル}−酢酸;
{2−[(tert−ブトキシカルボニル)イミノ]−5−[(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−3(2H)−イル}−酢酸;
6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール;
6−クロロ−2−[(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メチル]イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール;
4−[2−(ベンジルオキシ)エチル]−1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン−2−オン;
2−(1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−5−オキソピロリジン−3−イル)エチル−4−メチルベンゼンスルホネート;
エチル6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−2−カルボキシレート;
[6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−2−イル]()メタノール;
2−[メトキシ()メチル]−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール;
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−[ヒドロキシ()メチル]ピロリジン−2−オン;および
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−[クロロ()メチル]ピロリジン−2−オン。
【0058】
本発明による化合物はてんかん、てんかん誘発症、発作障害、痙攣、特に難治性発作の処置に医薬として使用される。
【0059】
発作は、患者が最高許容薬用量で2回または3回以上抗てんかん医薬により人為的に処置された状態で12カ月またはそれより長く発作の発症を生じない状態に達するのに失敗した場合に難治性であると識別することができる。
【0060】
本発明の方法は上記症状または障害を患う哺乳動物(好ましくは、ヒト)に本発明による化合物を当該障害または症状を軽減または防止するのに充分な量で投与することを含む。
【0061】
本発明による化合物は、1個が活性成分1〜2000mg/単位投与形態、好ましくは1〜1000mg/単位投与形態、さらに好ましくは1〜500mg/単位投与形態を含有するものを包含するあらゆる適当な単位投与形態で容易に投与することができる。
【0062】
本明細書で使用されているものとして、「処置」の用語は、治療的処置および予防的処置を包含する。
【0063】
「治療」の用語は、障害または症状の現存する徴候的事変の処置における効果を意味する。
【0064】
「予防」の用語は、障害または症状の発症または再発の防止を意味する。
【0065】
本明細書で使用されているものとして、「てんかん」の用語は理由無く反復するてんかん発作を特徴とする慢性神経学的状態を表す。てんかん発作は一組の大脳ニューロンの異常で、過度の同期性放電の発現である;その臨床的発現は突発的および変転的である。本明細書で使用されているものとして、「てんかん」の用語はまた、発作の周期的発現を特徴とする脳機能の障害を表すこともできる。発作は、高熱または毒物に曝されるなどの状況により正常な脳で生起する場合に「非てんかん」であることができ、あるいは明確な誘発なしに発現する場合の「てんかん」であることができる。
【0066】
本明細書で使用されているものとして、「発作」の用語は脳の一団のニューロンの混乱した、同期的および律動的発生による挙動の律動的変化を表す。
【0067】
本発明のもう一つの態様は有効量の式Iで表される化合物を医薬上で許容される希釈剤または担体と組合わせて含む医薬組成物に関する。
【0068】
前記指示の全部における活性は特定の指示および/または一般的な臨床試験のデザインに関連する技術で当業者に知られている方法により適当な臨床試験を行うことによって決定できることは勿論のことである。
【0069】
疾病の処置において、式Iで表される化合物またはそれらの医薬上で許容される塩は有効一日薬用量で使用することができ、および医薬組成物の形態で投与することができる。
【0070】
従って、本発明のもう一つの態様は有効量の式Iで表される化合物またはそれらの医薬上で許容される塩を医薬上で許容される希釈剤または担体と組合わせて含む医薬組成物に関する。
【0071】
本発明による医薬組成物を製造するためには、1種または2種以上の式Iで表される化合物またはその医薬上で許容される塩を当業者にとって公知の慣用の医薬配合技術に従い医薬用希釈剤または担体と緊密に混合する。
【0072】
適当な希釈剤および担体は所望の投与経路、例えば経口、直腸、非経口または鼻内に依存し、広く種々の形態をとることができる。
【0073】
本発明による化合物を含む医薬組成物は、例えば経口、非経口、すなわち静脈内、筋肉内または皮下経路、盲腸内、経皮(パッチ)、吸入または鼻内に投与することができる。
【0074】
経口投与に適する医薬組成物は固形または液体であることができ、また錠剤、ピル、ドラギー、ゼラチンカプセル、溶液、シロップ,チュウインガムなどの形態であることができる。
【0075】
この目的のために、活性成分は不活性希釈剤または無毒性で医薬上で許容される担体、例えばデンプンまたは乳糖と混合することができる。任意に、これらの医薬組成物はまた、微結晶セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンなどの結合剤、アルギニン酸などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、コロイド状二酸化ケイ素などの滑剤、ショ糖またはサッカリンなどの甘味剤、または着色剤あるいはペパーミントまたはサリチル酸メチルなどの芳香剤を含有することができる。
【0076】
本発明はまた、活性成分を制御様相で放出することができる組成物を意図する。
【0077】
非経口投与に使用することができる医薬組成物は、例えば一般に、アンプル、廃棄可能な注射器、ガラスまたはプラスティックバイアルまたは注入容器内に含有されている水性または油性溶液あるいは懸濁液などの慣用の形態であることができる。
【0078】
活性成分に加えて、これらの溶液または懸濁液は任意にまた、無菌希釈剤、例えば注射用水、生理食塩溶液、油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、またはその他の合成溶剤、ベンジルアルコールなどの抗細菌剤、アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤、エチレンジアミン−テトラ酢酸などのキレート化剤、アセテート、シトレートまたはホスフェートなどの緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの浸透圧調整剤を含有することができる。
【0079】
これらの医薬形態は薬剤師により常習的に使用されている方法を用いて調製される。
【0080】
医薬組成物中の活性成分の量は広い濃度範囲内に入ることができ、種々の因子、例えば患者の性別、年齢、体重および医療状態、並びに投与方法に依存する。従って、経口投与用の組成物中の式Iで表される化合物の量は組成物の総重量に基づき少なくとも0.5重量%であり、80重量%までであることができる。
【0081】
本発明に従いまた、式Iで表される化合物またはその医薬上で許容される塩は単独で投与することができ、または別種の医薬活性成分と組合わせて投与することができる。本発明による化合物と組合わせて使用するために列挙できるこのような追加の化合物の非制限的例には、抗ウイルス剤、抗痙縮剤(例えば、バクロフェン(baclofen))、制吐剤、抗躁病挙動安定化剤、鎮痛剤(例えば、アスピリン、イブプロフェン、パラセタモル)、麻酔性鎮痛剤、局所鎮痛剤、麻薬類鎮痛剤、リチウム塩、抗うつ剤(例えば、ミアンセリン(mianserin)、フルオキセチン(fluoxetine)、トラゾドン(trazodone))、三環状抗うつ剤(例えば、イミプラミン(imipramine)、デシプラミン(desipramine))、抗痙攣剤(例えば、バルプロ酸(valproic acid)、カルバマゼピン(carbamazepine)、フェニイトイン(phenytoin))、抗精神薬(例えば、リスペリドン(risperidone)、ハロペリドール(haloperidol))、神経弛緩薬、ベンゾジアゼピン類(例えば、ジアゼピン、クロナゼパム)、フェノチアジン類(例えば、クロルプロマジン)、カルシウムチャンネルブロッカー、アンフェタミン、クロニジン、リドカイン、メキシレチン、カプサイシン、カフェイン、クエチアピン、セロトニン拮抗剤、β−ブロッカー、抗不整脈薬、トリプタン類、麦芽誘導体およびアマンタジンがある。
【0082】
経口組成物の場合、一日薬用量は式Iで表される化合物1mg〜2000mgの範囲である。経口組成物の場合、投与量単位は式Iで表される化合物1mg〜1000mg、好ましくは1mg〜500mgの範囲である。
【0083】
非経口組成物の場合、存在する式Iで表される化合物の量は組成物の総重量に基づき少なくとも0.5重量%であり、組成物の総重量に基づき33重量%までであることができる。好ましい非経口組成物の場合、投与量単位は式Iで表される化合物1mg〜2000mgの範囲である。
【0084】
一日投薬量は式Iで表される化合物の広い投与量単位範囲内に入ることができ、一般に1〜2000mg、好ましくは1〜1000mgの範囲である。しかしながら、特定の薬用量は医師の裁量で各要件に応じて特定の場合に適合させることができる。
【0085】
本発明により提供されるSV2タンパク質結合性化合物およびその標識付けした誘導体は、被験化合物(例えば、潜在的医薬)のSV2タンパク質に結合する能力の測定において標準および試薬として有用であることができる。
【0086】
本発明により提供されるSV2タンパク質リガンドの標識付けした誘導体はまた、陽電子発射断層撮影法(PET)造影または単一光子発射コンピューター連動断層撮影法(SPECT)用の放射性トレーサーとして有用であることができる。
【0087】
従って、本発明はさらに、潜在的医薬を発見するために、特に組織中のSV2タンパク質を局限化するために、SV2タンパク質に対するさらに強力な結合性に基づき本明細書に記載の状態の処置および予防用の潜在的医薬を発見するために、および純粋なSV2タンパク質を特徴付けるために、化学物質ライブラリイのスクリーニング用の用具として標識付けしたリガンドを提供する。SV2タンパク質はSV2A、SV2BおよびSV2Cを包含し、ここでSV2Aは抗発作性医薬レベチラセタムおよびその同族化合物の結合部位である。SV2イソホーム、SV2A、SV2BまたはSV2Cは、ヒト、ラットまたはマウスを包含するあらゆる哺乳動物種の組織、特に脳に由来することができる。別様に、これらのイソホームは異種発現され、分析に使用されるヒト、ラットまたはマウスを包含するあらゆる哺乳動物種のクローンバージョンであることができる。スクリーニング方法は脳膜、例えば哺乳動物またはヒトの脳膜、またはSV2Aタンパク質を発現する細胞系またはそのフラグメント、特にSV2AおよびSV2C、しかしまたSV2Bを含むフラグメントを推定薬剤にさらし、次いで膜またはタンパク質またはフラグメントおよび薬剤を標識付けした式Iで表される化合物とともにインキュベートすることを含む。この方法はさらに、式Iで表される化合物のタンパク質に対する結合が推定薬剤によって抑制されるかを測定することを含み、これによりタンパク質の結合相手を同定することができる。従って、これらのスクリーニング分析はSV2タンパク質と相互反応する新規医薬または化合物の同定を可能にする。本発明はまた、SV2タンパク質の光活性化が可能なリガンドを提供する。
【0088】
標識付けしたリガンドはまた、溶解化、精製およびクロマトグラフィー後のSV2タンパク質のコンフォーメーション状態を評価するための道具として使用することができる。標識付けしたリガンドは直接的または間接的に標識付けされたものであることができる。適当な標識の例は放射性標識、例えばH、蛍光標識、酵素、ユウロピウム、ビオチンおよびその他のこの種の分析に慣用の標識を包含する。
【0089】
式Iで表される標識付けされた化合物はSV2タンパク質(SV2A、SV2BおよびSV2C)に結合する新規化合物または薬剤をスクリーニングするための分析にプローブとして上記方法で有用である。このような分析の具体例において、リガンドは修飾することなく使用することができ、または種々の方法で修飾することもでき、例えば検出可能なシグナルを直接的に、または間接的に提供する分子に共有または非共有結合などによって標識付けすることにより修飾することができる。これらの分析法の全部において、材料は直接的または間接的に標識付けすることができる。直接標識付け可能な群は次の標識群を包含する:これらに制限されないものとして、[H]、[14H]、[32P]、[35S]または[125I]を包含する放射性標識、ペルオキシダーゼおよびアルカリ性ホスファターゼなどの酵素、および蛍光強度の変化、波長移動または蛍光偏光を追跡することができる蛍光標識、これらに制限されないものとして、フルオレセインまたはローダミンを包含する。間接的標識付けの可能性は、一つの構成成分のビオチン化、引続く上記標識群の一つにカプリングしたアビディンへの結合による方法または抗リガンド抗体を使用する方法を包含する。化合物はまた、当該化合物を固形支持体に結合させる場合、スペーサーまたはリンカーを含むことができる。本発明に従いSV2タンパク質(特に、SV2AおよびSV2C)に結合する標識付けされたリガンドと競合または相互反応する薬剤または化合物を同定するためには、完全細胞、SV2AまたはSV2Cを含有する細胞または膜のフラグメント、あるいは完全SV2タンパク質またはそのフラグメントを使用することができる。薬剤または化合物は、標識付けしたレベチラセタムまたはその類縁化合物または誘導体とインキュベートする前に、インキュベートと同時に、またはインキュベートした後に、前記細胞、膜、SV2タンパク質またはフラグメントとともにインキュベートすることができる。分析はあらゆる利用可能な方式で修正または調整することができ、これにはSV2タンパク質またはフラグメントに対するレベチラセタムの結合またはその誘導体または類縁化合物の結合を追跡する高スループットスクリーニング(HTS)分析法が包含される。化合物ライブラリイを試験するかなりの薬物スクリーニングプログラムでは、指定期間に調査される化合物の数を最大にするために、高スループット分析法が望ましい。このようなスクリーニング分析法では、SV2を含有する完全細胞、細胞フラグメントまたは膜フラグメント、ならびに精製または半精製タンパク質から誘導することができる細胞を含まない系または膜を含まない系を使用することができる。SV2または精製SV2タンパク質およびペプチドを含有する膜フラグメントを用いる分析法の利点は、被験化合物の細胞毒性および/または生体利用性の効果を一般に、無視することができ、その代わりに分析は、例えば2個の分子間の結合の抑止を証明することができるように、分子標的に対する薬物の作用に主として焦点を当てることができる点にある。分析は本発明に従う標識付けしたリガンドに対するSV2またはSV2のフラグメントの結合、あるいは標識付けしたレベチラセタムまたはその誘導体または類縁化合物に対するSV2またはSV2タンパク質フラグメントの結合を抑制する被験化合物または薬物の能力が検出されるように作成することができる。複合体形成の抑制は種々の技術、例えば濾過分析法、Flashplates(Perkin Elmer)、シンチレーション近成分析法(SPA、GE)などによって検出することができる。高スループットスクリーニング(HTS)の場合、生物学的膜を被覆したミクロスフェアまたは生物学的膜を被覆したフラッシュプレートを使用するシンチレーション近成分析法は、分離または洗浄工程を必要としない強力な方法である。
【実施例】
【0090】
下記例は式Iに包含される化合物を如何にして製造することができるかを例示するものである。これらの例は説明の目的でのみ提供されており、本発明をいかなる点でも制限しようとするものではなく、制限するものと考えられるべきでもない。当業者は下記例における慣用の変更および修正を本発明の精神または範囲から逸脱することなく行うことができることは明白である。
【0091】
NMRスペクトルは、Linux(登録商標)ワークステーションランニングXWIN NMR3.5ソフトウエアおよび5mmインバースH/BBプローブヘッドを備えたBRUKER AVANCE 400NMR分析計またはSG FuelランニングXWIN NMR2.6ソフトウエアおよび5mmインバースゲオメトリイH/13C/19Fトリプルプローブヘッドを備えたBRUKER DRX 400NMR分析計で記録する。化合物は313Kまたは300Kのプローブ温度および10mg/mlの濃度でd−ジメチルスルホキシド(またはd−クロロホルム)溶液中で試験する。装置はd−ジメチルスルホキシド(またはd−クロロホルム)のジュートリウムシグナルに固定する。化学シフトは内部標準として作用するTMS(テトラメチルシラン)からppmダウンフィールドで示す。
【0092】
HPLCは下記装置の一つを用いて行う:
−INERTSIL ODS 3C18、DP5μm、250x4.6mmカラムを備えたAgilent1100シリーズHPLC装置。グラジエントは100%溶剤A(アセトニトリル、水、リン酸(5/95/0.001容量/容量/容量))から100%溶剤B(アセトニトリル、水、リン酸(95/5/0.001容量/容量/容量))まで4分間の100%Bにおける保持を伴い6分間、進行する。流動速度は2.5ml/分に設定する。クロマトグラフィーは35℃で行う。
【0093】
−HPLC Waters Symetry C18、250x4.6mmカラムを備えたHP1090シリーズHPLC装置。グラジエントは100%溶剤A(メタノール、水、リン酸(15/85/0.001M、容量/容量/M))から100%溶剤B(メタノール、水、リン酸(85/15/0.001M、容量/容量/M))まで10分間の100%Bにおける保持を伴い10分間、進行させる。流動速度は1ml/分に設定する。クロマトグラフィーは40℃で行う。
【0094】
LC/MSモードによる質量分析測定は下記のとおりに行う:
HPLC条件
分析はINERTSIL ODS 3、DP5μm、250x4.6mmカラムを備えたWATERS Alliance HPLC装置を用いて行う。
グラジエントは100%溶剤A(アセトニトリル、水、三フッ化酢酸(90/10/0.1容量/容量/容量)から100%溶剤B(アセトニトリル、水、三フッ化酢酸(90/10/0.1容量/容量/容量)まで4分間の100%Bにおける保持を伴い7分間、行う。流動速度は2.5ml/分に設定し、および1/25スプリットをAPIソースの直前に使用する。
【0095】
MS条件
試料はアセトニトリル/水、70/30(容量/容量)中に約250μg/mlの濃度に溶解する。APIスペクトル分析(+または−)はFINNIGAN LCQイオントラップ質量分析計、450℃で操作されているAPCIソースおよび160℃の毛細管ヒーター、3.5KVで操作されているESIソースおよび210℃の毛細管ヒーターを用いて行う。
【0096】
DIP/EIモードによる質量分析測定は下記のとおりに行う:
プローブを50℃〜250℃に5分間、加熱することによって試料を気化する。EI(電子衝撃)スペクトルはFINNIGAN TSQ700タンデム四極子質量分析計を使用して記録する。ソース温度は150℃に設定する。
【0097】
TSQ700タンデム四極子質量分析計(Finnigan MAT)における質量分析測定はGC/MSモードでスプリット/スプリットレス指示計およびDB−5MS石英ガラスカラム(15mmx0.25mm ID、1μm)を備えたJ&W Scientificからのガスクロマトグラフィーモデル3400(Varian)を用いて行う。キャリアガスとしてヘリウム(純度99.999%)を使用する。インジェクター(CTC A200S オートサンプラー)およびトランスファーラインはそれぞれ、290℃および250℃で操作する。試料(1μl)をスプリットレスモードで注入し、オーブン温度は次のとおりにプログラムする:50℃で5分間、280℃に上昇させる(23℃/分)、次いで10分間、保持する。TSQ700分析計は電子衝撃(EI)または化学的イオン化(Cl/CH)モード(質量範囲33〜800、スキャン時間1.00秒)で操作する。ソース温度は150℃に設定する。
【0098】
高分解能質量分析測定はESIソースおよびダイオードアレイ検出計を有する
Waters Acquity UPLC(カラム:BEH C18(1.7μm、2.1x50mm))を備えたWaters LCT Time飛行時間型質量分析計で行う。グラジエントは98%溶剤A(水性アンモニウムホーメート)63mg/l)、30%水性アンモニア(50μl/l))から95%アセトニトリルまでにおいて行い、6分間で戻る。ソースパラメーターは次のとおりである:ESI毛細管電圧2.5KV、コーン電圧135V、ソースブロック温度135℃、脱溶解温度350℃、コーンガス流速20L/時間(窒素)、脱溶解ガス流速800L/時間。検出計はフライト管を7.2KVに設定し、およびMCP検出計を2500Vに設定する。比旋光度はPerkin−Elmer341偏光計で記録する。回転角度はメタノール中1%溶液で589nmにおいて25℃で記録する。
【0099】
融点はBuchi535または545Tottoli型融解測定計で測定し、補正しないか、またはPerkin−Elmer DSC7において開始温度により補正する。
【0100】
予備クロマトグラフィー分離はシリカゲル60Merck,粒子サイズ15〜40μm、対照1.15111.9025においてNovasep軸圧縮カラム(80mmi.d)を使用し、流動速度70〜150ml/分で行う。シリカゲルおよび溶剤混合物の量は各操作毎に記載されているとおりである。逆相分離は8−cmIDカラム中のKromasilC18、10μmシリカゲル(酸性または中性状態)またはPhenomenex GeminiC18 10μM(塩基性状態)のどちらかを500gの量で使用し、150ml/分の流速で行う。生成物は、別段の記載がないかぎり、215nmで検出する。
【0101】
予備キラルクロマトグラフィーはDAICEL Chiralpak AD 20μm、100x500mmカラムで、またはPhenomenexセルロース Lux−2、250x4.6mmカラムで屋内組み立て装置において種々の低級アルコールおよびC5〜C8線状、分枝状または環状アルカンの混合物を±350ml/分で用いて行う。溶剤混合物は各操作毎に記載されているとおりである。
【0102】
マイクロ波照射を要する実験は、操作ソフトウエアのバージョン2.0でアップグレードされたBiotage Initiator Sixtyマイクロ波オーブンにおいて行う。実験はできるだけ迅速に必要温度に到達するまで行う(最高照射力:400W、外部冷却は使用しない)。
【0103】
[例1]
4−置換1−(クロロメチル)ピロリジン−2−オン誘導体の合成
1.1 4−置換ピロリドンの合成
1.1.1 4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−(クロロメチル)ピロリジン−2−オンa4の合成
【化11】

【0104】
4−(2,2−ジフルオロエテニル)−1−(2,4−ジメトキシベンジル)ピロリジン−2−オンa0(50g)を酢酸(4容量)および37%塩酸(1容量)に溶解し、混合物を4時間にわたり90℃で加熱する。冷却後、4−(2,2−ジフルオロエテニル)ピロリジン−2−オンa1を粉砕し、反応混合物を濾過する。この中間体a1を37%塩酸(5容量)中に取り入れ、生成する反応混合物を5日間にわたり75℃に加熱し、主要化合物(LC−MS(MH):202/204)として開環生成物a2を得る。この反応混合物を次いで、蒸発させ、トルエンを用いる2回のストリッピングによって乾燥させる。生成する粗製油状物をメタノール(6容量)に溶解し、およびSOCl(1.2モル当量)を2〜7℃で添加する。室温で一夜、攪拌した後、反応混合物を蒸発乾燥させ、粗製メチル3−(アミノメチル)−5−クロロ−5,5−ジフルオロペンタノエートa3を油状物として得る。この粗製油状物をメタノール(4容量)に溶解し、pH=9までジイソプロピルエチルアミン(〜1.5モル当量)を添加する。反応混合物を4時間にわたり60℃で加熱し、環化を完了させる。メタノールの蒸発、続く水性2M水酸化ナトリウム(6容量)の添加により仕上げ処理し、次いでジクロロメタンにより抽出する。集めたジクロロメタン有機層は、pHが僅かに酸性になるまで0.5M HClのフラクションで逆洗浄し、最終化合物中の痕跡量のDIPEAを除去する。溶媒を減圧下に除去した後、4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−(クロロメチル)ピロリジン−2−オンa4を得る。この生成物はさらに精製することなく次の工程で直接に使用する。
収率:66%
LC−MS(MH):184/186。
【0105】
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−(クロロメチル)ピロリジン−2−オンa4Rは、4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−(クロロメチル)ピロリジン−2−オンa4のキラルクロマトグラフィー(相:Chiralpak AD−H;30℃;カラム:100x500mm;溶出剤:MeOH/EtOH/イソへキサン/ジエチルアミン 8:2:90:0.1;300ml/分)による分離によって得られる。
【0106】
1.1.2 (4R)−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オンa5Rの合成
(4R)−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オンa5Rは4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オンa5のキラルクロマトグラフィー(相:Phenomenex セルロース Lux−2;30℃;カラム:250x4.6mm;溶出剤:n−PrOH/イソへキサン/ジエチルアミン 50:50:0.1;1ml/分)による分離によって得られる。
LC−MS(MH):168。
【0107】
1.1.3 4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オンa8の合成
【化12】

【0108】
ニトロメタン(250ml)中のエチル6,6,6−トリフルオロヘキシ−2−エノエートa6(54.42g、0.277モル、1当量)に、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン(DBU、41.5ml、0.277モル、1当量)を少しずつ添加する。反応混合物を室温で3時間にわたり攪拌し、次いでニトロメタン層を2N HCl水性溶液(250ml)で2回、洗浄する。集めた水性層を酢酸エチル(2x250ml)により抽出する。集めた有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、および減圧下で濃縮し、粗製エチル6,6,6−トリフルオロ−3−(ニトロメチル)ヘキサノエートa7 50gを生成する。この生成物はあらゆる追加の精製を行うことなく次工程で使用する。
LC−MS(MH):258。
【0109】
エタノール(1l)中の粗製エチル6,6,6−トリフルオロ−3−(ニトロメチル)ヘキサノエートa7(50g)、ラネイニッケル(570mg、9.7ミリモル、0.05当量)およびバナジウムメタバナデート(227mg、2ミリモル、0.01当量)の混合物を水素圧(50バール)下に50℃において40時間にわたりオートクレーブ内に入れる。冷却、セライト上における濾過および減圧濃縮の後、4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オンa8(34.3g)を単離する。
収率:68.4%。
LC−MS(MH):182。
【0110】
同一の方法に従い下記化合物を合成することができる。
【表1】

【0111】
4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オンa8のキラルクロマトグラフィー(相:Chiralpak AD−H;30℃;カラム:250x4.6mm;溶出剤:MeOH/EtOH/イソへキサン/ジエチルアミン 8:2:90:0.1;1ml/分)による分離によって、(4S)−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オンa8Sを得る。
LC−MS(MH):182。
【0112】
1.1.4 4−(2,2−ジフルオロエチル)ピロリジン−2−オンa11の合成
【化13】

【0113】
メタノール(500ml)中の4−(2,2−ジフルオロエテニル)ピロリジン−2−オンa1(2.8g、18.77ミリモル、1当量)および木炭上パラジウム(10重量%、300mg)の溶液を水素雰囲気(40psi)下に室温で一夜にわたり攪拌する。反応混合物をセライト上で濾過し、および溶媒を減圧下に除去し、4−(2,2−ジフルオロエチル)ピロリジン−2−オンa11を得る。この生成物はあらゆる追加の精製を行うことなく次工程で使用することができる。
収率:100%。
LC−MS(MH):150。
【0114】
1.2 4−置換1−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−2−オンおよび4−置換1−(クロロメチル)ピロリジン−2−オンの合成
これらの中間体はPCT特許出願WO2006/128692、WO2006/128693およびWO2005/054188に記載の方法に従い製造することができる。
【0115】
【表2】

【0116】
[例2]
4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロ−メチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン4およびエナンチオマーの合成
【化14】

【0117】
2.1 5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−アミンa25の合成
ジオキサン(400ml)中のチオセミカルバジドa24(40g、0.44モル、1当量)の懸濁液に、メトキシ酢酸(39.56g、0.44モル、1当量)を室温で少しずつ添加し、反応混合物を80℃で加熱し、次いでオキシ塩化リン(67.54g、0.44モル、1当量)を1.5時間かけて注意深く添加する。反応完了後(4時間)、水を添加し、この溶液を水酸化ナトリウムペレットでpH=6.7に中和する。抽出EtOAc/iPrOH(9/1)および減圧における蒸発の後、残留物をMeTHF/iPrOHから再結晶させ、純粋な5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−アミンa25 51gを得る。
収率:81%
LC−MS(MH):146。
【0118】
5−[(ベンジルオキシ)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−2−アミンa26(LC−MS(MH):222)および5−(2−メトキシエチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−アミンa40(LC−MS(MH):160)は同一の方法に従い得ることができる。
LC−MS(MH):222。
【0119】
5−[(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−2−アミンa27の別の合成方法:チオセミカルバジドa24(4.9g、35ミリモル、1当量)のTFA(25ml)溶液およびTFA(25ml)中の(2,2,2−トリフルオロエトキシ)アセトニトリル(3.2g、35ミリモル、1当量)を60℃で1時間にわたり加熱する。冷却後、三フッ化酢酸を減圧で除去し、粗製生成物を氷冷水酸化ナトリウム溶液(30重量%、50ml)上に注ぎ入れ、予想される生成物を粉砕する。濾過および引続く結晶生成物の減圧における乾燥により純粋な5−[(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−2−アミンa27を白色固形物として得る(4.8g、64%)。
収率:64%。
LC−MS(MH):214。
【0120】
2.2 2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾールa28の合成
1,2−ジメトキシエタン(6l)中の5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−アミンa25(346g、1当量)の懸濁液にブロモトリフルオロアセトン(478g、1.05当量)を20℃において添加する。反応混合物を最大変換まで80℃に加熱する(<24時間)。反応混合物に32℃において水(4l)を添加し、反応混合物から予想される化合物が晶出した。この結晶懸濁液を10℃に冷却させ、結晶化プロセスを完了させ、濾過し、結晶沈殿物を水(1.5l)で洗浄し、純粋な2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾールa28 266gを得る。
収率:47%。
LC−MS(MH):238。
【0121】
同一の方法に従い下記化合物を合成することができる。
【表3】

【0122】
2.3 4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン4およびエナンチオマー5および6の合成
ジオキサン(200ml)中のZnCl(0.23g、1.69ミリモル、10モル%)および2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾールa28(4g、16.96ミリモル)の熱い溶液(80℃)に、ジオキサン(5ml)中の4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−(クロロメチル)ピロリジン−2−オンa18の溶液を添加する。反応混合物を85℃で5日間にわたり加熱し、次いで追加のピロリジノンa18 2gを少しずつ添加し、反応混合物を攪拌下に90℃において1日間、保持する。化合物a28の完全変換を確実にするためにピロリジノンa18(2g)をさらに添加し、反応混合物を還流下に3日間にわたりさらに加熱し、イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾールa28の変換を有意に増加させる。冷却および加水分解(水250ml)の後、粗製混合物をCHCHにより抽出する(2x250ml)。集めた有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、および減圧で濃縮する。残留物をシリカゲル上で精製し(溶出剤:CHCl/MeOH/NHOH 99/1/0.1)、4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン4を得る。
収率:74%。
LC−MS(MH):433/435。
【0123】
エナンチオマーはキラルクロマトグラフィー(相:Chiralpak AS−V;30℃;カラム:50x500mm;溶出剤:エタノール/n−ヘプタン 30:70)による分離によって分離する。
【0124】
CHCH/ヘキサン中における再結晶後、純粋な(4S)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン5(2.10g)が得られる。
収率:28.6%。
LC−MS(MH):433/435。
【0125】
CHCH/ヘキサン中における再結晶後、純粋な(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン6(2.15g)を得る。
収率:29.3%。
LC−MS(MH):433/435。
【0126】
化合物1、2、3、10、11、12、14、15、16、18、19、20、21、22、23、33、34および35は同一の方法に従い合成することができる。
【0127】
[例3]
(+)−1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン27の合成
【化15】

【0128】
3.1 tert−ブチル[5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]カルバメートa31の合成
ジクロロメタン(1l)中の5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−アミンa25(100g、0.69モル、1当量)の懸濁液に、室温において、順次およびそれぞれ少しずつ、ジ−tert−ブチルジカルボネート(132g、0.76モル、1.1当量)およびN,N−ジメチルアミノピリジン(8.35g、0.069モル、0.1当量)を添加する。室温で一夜にわたり攪拌した後、反応混合物を1N HCl(pH5)で洗浄し、N,N−ジメチルアミノピリジンを除去する。溶媒を次いで、減圧下に除去し、残留物をジイソプロピルエーテルから再結晶させ、純粋なtert−ブチル[5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]カルバメートa31 148.9gを得る。
収率:88.1%。
LC−MS(MH):246。
【0129】
tert−ブチル{5−[(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}カルバメートa32は同一の方法に従い合成することができる。
LC−MS(MH):314。
【0130】
3.2 {2−[(tert−ブトキシカルボニル)イミノ]−5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−3(2H)−イル}酢酸a33の合成
テトラヒドロフラン(3l)中のtert−ブチル[5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]カルバメートa31(360g、1.468モル、1当量)の溶液に、室温においてヨウ化酢酸(409.3g、2.2モル、1.5当量)を少しずつ添加する。次いで、水素化ナトリウム(52.83g、2.2モル、1.5当量)を室温において30分かけて滴下添加する。反応混合物を60℃で一夜にわたり加熱し、および溶媒を減圧下に蒸発させる。残留物に水を添加し、この溶液を水性6N HClによりpH=2に酸性化し、次いでCHCHにより抽出する。有機層を10%水性Naで洗浄し(ヨウ素による着色を除く)、次いで蒸発乾燥させ、{2−[(tert−ブトキシカルボニル)イミノ]−5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−3(2H)−イル}酢酸a33を得る。この生成物はあらゆる追加の精製を行うことなく次工程で直接に使用する。
収率:89.8%。
LC−MS(MH):304。
【0131】
{2−[(tert−ブトキシカルボニル)イミノ]−5−[(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−3(2H)−イル}酢酸a34は同一の方法に従い合成することができる。
LC−MS(MH):372。
【0132】
3.3 6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾールa35の合成
アセトニトリル(2.5l)中の{2−[(tert−ブトキシカルボニル)イミノ]−5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−3(2H)−イル}酢酸a33(418g、1.378モル、1当量)に、トリエチルアミン(278.9g、2.756モル、2当量)、次いでオキシ塩化リン(633.9g、4.134モル、3当量)を室温において順次、ゆっくりと添加する。反応混合物を80℃で1時間、加熱する。反応完了後、水(2.2l)を50℃においてゆっくり、注意して添加する。反応混合物をジクロロメタン(2x1.2l)により抽出し、集めた有機層をNaOH/NaCl水性溶液(飽和NaCl溶液1.4l+2N NaOH400ml)により洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、および減圧下に濃縮する。残留物をアセトニトリル/水(1/1)から再結晶させ、純粋な6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾールa35 99.8gを得る。
収率:35.6%。
LC−MS(MH):204/206。
【0133】
6−クロロ−2−[(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メチル]イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾールa36は同一の方法に従い合成することができる。
LC−MS(MH):272/274。
【0134】
3.4 (+)−1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン27の合成
ジオキサン(35ml)中のAlCl(0.842g、6.3ミリモル、1当量)および6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾールa35(0.634g、3.156ミリモル、1当量)の熱い溶液(80℃)に、ジオキサン(5ml)中の1−(クロロメチル)−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オンa20(1.2g)の溶液を添加する。反応混合物を85℃で3日間にわたり加熱する。冷却し、NaHCOの飽和溶液(40ml)により加水分解した後、粗製反応混合物を酢酸エチル(3x25ml)により抽出する。集めた有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、および減圧で濃縮する。残留物をシリカゲル上におけるクロマトグラフィー(溶出剤:CHCl/MeOH/NHOH 99:1:0.1)により精製し、およびジイソプロピルエーテルから再結晶させ、純粋な(+)−1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン27を得る。
収率:56%。
LC−MS(MH):397/399。
【0135】
化合物24、25および26は同一方法に従い合成することができる。
【0136】
4−[2−(ベンジルオキシ)エチル]−1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オンa37はまた、同一方法に従い合成することができる。
LC−MS(MH):435/437
【0137】
[例4]
1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2−フルオロエチル)ピロリジン−2−オン28の合成
【化16】

【0138】
4.1 2−(1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−5−オキソピロリジン−3−イル)エチル4−メチルベンゼンスルホネートa39の合成
4−[2−(ベンジルオキシ)エチル]−1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オンa37(300mg、0.69ミリモル、1当量)を三フッ化酢酸(3ml)中で60℃において3時間にわたり加熱する。冷却し、減圧下に揮発性物質を蒸発させた後、粗製1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン−2−オンa38を得る。残留物にジクロロメタン(10ml)を添加し、混合物を0℃に冷却させ、次いでトシルクロライド(158mg、0.828ミリモル、1.2当量)、トリエチルアミン(0.48ml、3.45ミリモル、5当量)および4−ジメチルアミノピリジン(8mg、10モル%)を0℃において添加する。反応を0℃で1時間、保持し、次いで室温まで温め、および攪拌を2日間、継続する。加水分解(HO、10ml)およびCHCHによる抽出(4x10ml)の後、集めた有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、および減圧下に蒸発させる。残留物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(溶出剤:CHCH/MeOH97:3)により精製し、2−(1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−5−オキソピロリジン−3−イル)エチル4−メチルベンゼンスルホネートa39 308gを得る。
収率:89%。
LC−MS(MH):246。
【0139】
4.2 1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2−フルオロエチル)ピロリジン−2−オン28の合成
THF溶液(4ml)中のテトラブチルアンモニウムフルオライドの1M溶液を2−(1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−5−オキソピロリジン−3−イル)エチル4−メチルベンゼンスルホネートa39(308mg、0.617ミリモル、1当量)に添加する。生成する溶液を100℃において1時間、マイクロ波装置(Biotage)中で照射処理する。反応混合物に水(10ml)を添加し、粗製化合物を酢酸エチル(4x10ml)により抽出する。集めた有機層を飽和NHCl水性溶液(2x10ml)、水(2x10ml)により順次洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、および減圧下で濃縮する。残留物をシリカゲル上におけるフラッシュクロマトグラフィー(溶出剤:CHCH/MeOH99:1)によって精製し、純粋な1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2−フルオロエチル)ピロリジン−2−オン28 47mgを得る。
収率:22%。
LC−MS(MH):347/349。
【0140】
[例5]
4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン7の合成
【化17】

【0141】
ジオキサン(5ml)中の4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−(クロロメチル)ピロリジン−2−オンa18の溶液をジオキサン(5ml)中の2−[(ベンジルオキシ)メチル]−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾールa29(1.3g、4ミリモル、1当量)および乾燥ZnCl(0.272g、2ミリモル、0.5当量)の熱い溶液(90℃)に添加する。反応混合物を90℃において3日間、加熱し、および1,4−ジオキサンを減圧下に除去する。粗製反応混合物を三フッ化酢酸(20ml)中に取り入れ、60℃で2時間にわたり加熱する。冷却後、三フッ化酢酸を減圧下に除去する。残留物をシリカゲル上におけるクロマトグラフィー(MeOH/CHCH)により精製し、酢酸エチルからの再結晶後、純粋な4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン7(573mg)を得る。
収率:36%。
LC−MS(MH):419/421。
【0142】
化合物13、29および17は同一の方法に従い合成することができる。
【0143】
化合物7のエナンチオマーはキラルクロマトグラフィー(相:Chiralpak AS−V;30℃;カラム:50x500mm;溶出剤:iPrOH/n−ヘプタン 50:50)により分離し、(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン8および(4S)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン9を得る。
【0144】
[例6]
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−{[()メチルオキシ]メチル}−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン30の合成
【化18】

【0145】
テトラヒドロフラン(10ml)中の4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン7(0.2g、0.48ミリモル、1当量)および水酸化セシウム(0.16g、0.96ミリモル、2当量)の溶液を過重水素化(perdeuterated)ヨウ化メチル(0.277g、1.91ミリモル、2当量)で処理する。混合物を22℃で24時間にわたり攪拌する。次いで、酢酸エチルで希釈し、水(2x10ml)およびブラインで洗浄する。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、および減圧で濃縮し、オレンジ色油状物を得る。逆相HPLC(X−架橋C18、溶出剤:MeCN/HO/NH)により精製し、淡黄色油状物100mgを得る。ジイソプロピルエーテル中ですり混ぜ、次いで濾過する。生成する固形物を減圧で40℃において乾燥させ、(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−{[()メチルオキシ]メチル}−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン30 50mgを白色固形物として得る。
収率:42%。
LC−MS(MH):436/438。
【0146】
[例7]
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−[メトキシ()メチル]−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン31の合成
【化19】

【0147】
7.1 エチル6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−2−カルボキシレートa42の合成
市販のエチル5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−カルボキシレートから例2に記載のとおりにしてエチル6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−2−カルボキシレートa42を製造する。
収率:24%。
LC−MS(MH):266。
【0148】
7.2 [6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−2−イル]()メタノールa43の合成
エタノール(20ml)中のエチル6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−2−カルボキシレートa42(1g、3.77ミリモル、1当量)の溶液をナトリウムボロジュートライド(0.316g、7.54ミリモル、2当量)で処理する。混合物を22℃において24時間にわたり攪拌下に攪拌する。混合物を次いで、水中に注ぎ入れ、酢酸エチルにより抽出する。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、および減圧で濃縮し、[6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−2−イル]()メタノールa43 554mgをオレンジ色油状物として得る。この油状物はあらゆる追加の精製を行うことなく次工程で使用する。
収率:65%。
LC−MS(MH):226。
【0149】
7.3 2−[メトキシ()メチル]−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾールa44の合成
テトラヒドロフラン(50ml)中の[6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−2−イル]()メタノールa43(554mg、2.46ミリモル、1当量)および水酸化セシウム(0.826g、4.92ミリモル、2当量)の溶液をヨウ化メチル(612μl、9.84ミリモル、4当量)により処理する。混合物を22℃で24時間にわたり攪拌する。次いで、酢酸エチルで希釈し、水(3x50ml)で洗浄する。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、および減圧で濃縮し、オレンジ色油状物を得る。シリカゲル上におけるクロマトグラフィー(溶出剤:CHCH/ヘプタン50:50、23ml/分,室温)により精製し、2−[メトキシ()メチル]−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾールa44 307mgを得る。
収率:59%。
LC−MS(MH):240。
【0150】
7.4 (4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−[メトキシ()メチル]−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル}メチル)ピロリジン−2−オン31の合成
ジクロロメタン(25ml)中の(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−2−オンa12R(0.281g、1.32ミリモル、1.5当量)の溶液をチオニルクロライド(382μl、5.27ミリモル、6当量)により処理する。混合物を22℃で1時間にわたり攪拌し、次いで減圧で濃縮し、(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−(クロロメチル)ピロリジン−2−オンa18Rを得る。生成する液状物を無水塩化アエン(0.239g、1.76ミリモル、2当量)およびジオキサン中の2−[メトキシ()メチル]−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾールa44(0.210g、0.88ミリモル、1当量)の溶液に添加する。混合物を80℃で4日間、攪拌する。若干の追加の(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−2−オンa12R(1.5当量)を添加し、混合物をさらに24時間にわたり攪拌する。(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−2−オンa12R(2当量)を再度、添加し、混合物をさらに3日間にわたり攪拌する。混合物を次いで、ジクロロメタンで希釈し、および水(2x25ml)で洗浄する。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、および減圧下に濃縮し、褐色油状物1.28gを得る。混合物を逆相HPLC(X−架橋C18、溶出剤:MeCN/HO/NH)により精製し、(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−[メトキシ()メチル]−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル}メチル)ピロリジン−2−オン31を黄色油状物として得る。
収率:36%。
LC−MS(MH):435/437。
【0151】
[例8]
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]()メチル}ピロリジン−2−オン32の合成
【化20】

【0152】
8.1 (4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−[ヒドロキシ()メチル]ピロリジン−2−オンa45の合成
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−(クロロメチル)ピロリジン−2−オンa4R(1.67g)を0℃に冷却した水および(5.1ml)中に懸濁する。触媒量の水酸化カリウム(0.03g、0.05当量モル)の添加後、温度を5℃以下に維持しながら、ジュートレート化ホルムアルデヒド(3.4g、1.2当量モル)を添加する。反応完了後(HPLCにより検査する)、生成物を重亜硫酸ナトリウムでクエンチし、メチレンクロライドで抽出し、次いで蒸発乾燥させ、(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−[ヒドロキシ()メチル]ピロリジン−2−オンa45 1.89gを得る。
収率:95%。
LC−MS(MH):216/218。
【0153】
8.2 (4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−[クロロ()メチル]ピロリジン−2−オンa46の合成
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−[ヒドロキシ()メチル]ピロリジン−2−オンa45(0.80g)をメチレンクロライド(5ml)に溶解し、0℃に冷却する。メチレンクロライド(1ml)で希釈したチオニルクロライド(0.44g、1.05当量モル)を次いで、滴下添加する。反応完了後、混合物をストリッピング乾燥させ、(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−[クロロ()メチル]ピロリジン−2−オンa46を得る。この生成物は次工程でそのまま使用する。
【0154】
8.3 (4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]()メチル}ピロリジン−2−オン32の合成
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−[クロロ()メチル]ピロリジン−2−オンa46を乾燥ジオキサン(3.4ml)中に再溶解し、次いでジオキサン(5ml)中の2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾールa28(0.85g、1.0当量モル)および塩化アエン(0.27g、0.55当量モル)の混合物に90℃で添加する。反応混合物をこの温度で5日間にわたり攪拌する。反応の完了および抽出仕上げ処理後、生成物を予備逆相クロマトグラフィー(溶出剤:CHCN/HO/NHOH 30/70/0.1)、引続く正相上におけるクロマトグラフィー(溶出剤:CHCH/EtOH/NHOH 99.5/0.5/0.05)により精製し、(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]()メチル}ピロリジン−2−オン32 0.46gを得る。
収率:30%。
LC−MS(MH):435/437。
【0155】
表1は化合物のIUPAC名、質量分析で見出されたイオンピーク、H NM測定値、融点またはDSCにおける発現およびαを示している。
【表4】

【0156】
【表5】

【0157】
【表6】

【0158】
【表7】

【0159】
【表8】

【0160】
【表9】

【0161】
【表10】

【0162】
【表11】

【0163】
[例9]
SV2Aに対する結合検定
未標識の被験物質を各種濃度で用い、化合物の阻害定数(Ki)を平衡状態における単一濃度の放射活性リガンドの結合を測定することによる競合結合試験によって測定する。放射性リガンドの特異的結合の50%を阻害する被験物質の濃度はIC50と称される。平衡解離定数KiはIC50に比例し、ChengおよびPrusoffの方程式(Cheng Y.等、Biochem.Pharmacol.(1972)、22、3099−3108)を用いて計算される。
【0164】
濃度範囲は通常、変更可能な段階(0.3〜0.5log)であって、6log単位を包含する。分析は一重または二重方式で行い、各Ki測定は被験化合物の2種の相違する試料で行う。
【0165】
200−250g雄Sprague−Dawleyラットからの大脳皮質を、20ミリモル/1 Tris−HCl(pH7.4)、250ミリモル/l ショ糖(緩衝液A)中でPotter Sホモジナイザー(1000rpmで10ストローク;Braun、ドイツ)を用い均質化する。全操作は4℃で行う。このホモジネートを30,000gで15分間、遠心分離する。得られた粗製膜ペレットを50ミリモル/1 Tris−HCl(pH7.4)(緩衝液B)中に再懸濁し、次いで37℃で15分間、インキュベートし、30,000gで15分間、遠心分離し、次いで同一緩衝液で2回、洗浄する。最終ペレットを15〜25mg/mlのタンパク質濃度範囲で緩衝液Aに再懸濁し、液体窒素内で保存する。
【0166】
膜(タンパク質/検定の150〜200μg)を、2ミリモル/1 MgCl、[3H]−2−[4−(3−アジドフェニル)−2−オキソ−1−ピロリジニル]ブタンアミド1〜2x10−9モル/lおよび増加する濃度の式Iで表される被験化合物を含有する50ミリモル/1 Tris−HCl緩衝液(pH7.4)0.5ml中で4℃において120分間、インキュベートする。非特異的結合(NSB)は、基本的に全部のレセプターを結合する濃度の対照物質(例えば、10−3モル/l レベチラセタム)の存在下に見出される残存結合であると定義される。膜−結合した放射性リガンドと遊離放射性リガンドとは、0.1%ポリエチレンイミンおよび10−3モル/l レベチラセタムを予め吸着させ、非特異的結合を減少させたガラス繊維フィルター(Whatman GF/CまたはGF/B;VEL、ベルギーと同等)を通す迅速濾過によって分離する。試料およびフィルターを少なくとも6mlの5ミリモル/l Tris−HCl(pH7.4)緩衝液によりすすぐ。濾過操作全体は10秒/試料を超えないようにする。フィルター上に捕獲された放射活性をβ−カウンター(Tri−Carb 1900またはTopCount9206、Camberra Packard、ベルギー、またはいづれか別の同等のカウンター)によって計測する。データ分析は、一団の独立非相互反応性レセプターを分析する数種の結合モデルを示す一式の方程式を用いるコンピューター制御非線型カーブフィッティング法によって行う。これは質量の法則に従う方法である。
【0167】
本発明による式Iで表される化合物は少なくとも7.0のpIC50値を示す。
【0168】
[例10]
SV2Cに対する結合性検定
この検定の場合、COS−7細胞で発現されたSV2Cを標準条件下(例6参照)に使用する。SV2Cに選択的に結合する放射性リガンドとして、[3H−1]−(+)−4−(3−アジド−2,4−ジフルオロフェニル)−1−(1H−イミダゾール−1−イルメチル)ピロリドン−2−オンを使用し、それにより被験化合物の相違する結合性が測定され、被験化合物のIC50が当業者に知られている条件下に計算される。
【0169】
本発明による式Iで表される化合物は少なくとも6.5のpIC50値を示す。
【0170】
[例11]
発作モデル
下記3種の発作モデルはてんかんを患う患者における発作の制御に潜在的に有用である化合物の評価を予知させるものと見られている。さらに、6Hz発作モデルは難治性発作を患う患者に対し臨床活性を有する化合物の同定に有用であることが提案されている(Barton等、Epilepsy Res.(2001)、47、217−27)。
【0171】
11.1 音感受性マウスの動物モデル(聴覚性発作)
この試験の目的は、反射性発作を患う遺伝学型動物モデルである聴覚感受性マウスにおける化合物の抗痙攣能力を評価することにある。この原発性てんかんのモデルにおいては、発作は電気的または化学的刺激なしに発生し、その発作のタイプは少なくとも部分的に、それらの臨床上の現象がヒトで生じる発作に類似している(Loscher W.&Schmidt D.、Epilepsy Res.(1998);2、145−181;Buchhalter J.R.、Epilepsia(1993)、34、S41−S41)。
【0172】
Dr.Lehmann of the Laboratory of Acoustic Physiology(Paris)により初めて選択され、1978以来、UCB Pharma Sector飼育ユニットで飼育されているDBA種に由来する雄または雌の遺伝学的音感受性マウス(14−28g;数=10匹)を使用する。実験デザインはベヒクル対照を受容する一群および種々の投与量で被験化合物を受容する別の群の数群からなる。化合物は聴覚性発作の誘発前の60分の時点で腹腔内投与する。投与される投与量範囲は一般に、1.0x10−5mg/kg〜1.0x10−3mg/kg対数関数的累進を有していたが、必要に応じて、さらに少ない量または多い量でも試験する。
【0173】
試験に際し、動物は音を弱めた室内の小型ケージに1マウス/ケージで入れる。30秒のオリエンテーション期間後、聴覚刺激(90dB、10−20kHz)を各ゲージの上部に位置するラウンドスピーカーを経て30秒間にわたり供給する。この期間中、マウスを観察し、3相の発作活動、すなわち野生的走行、慢性痙攣および毒性痙攣の存在を記録する。野生的走行、慢性痙攣および毒性痙攣に対し防護されたマウスの割合を計算する。
【0174】
活性化合物について、ED50値、すなわち対照群に対し50%防護を生じさせる投与量を95%信頼限界とともに、Probit Analysis(SAS/STAT(登録商標)ソフトウエア、バージョン6.09、PROBIT法)を使用し、3相の発作活動のそれぞれについて防護されたマウスの割合を計算する。
【0175】
例1〜5に記載されている方法に従い合成された化合物および表1に記載の化合物を前記方法に従いマウスにおける聴覚性発作について試験し、活性が見出される。
【0176】
11.2 6Hz発作モデル
全部の実験で体重20−30kgの雄NMRIマウス(Charles River、フランス)を使用する。動物は0600時に点灯する明/暗サイクルに保持し、および20〜21℃の温度および約40%の湿度に維持されている室内に入れる。マウスは一群10匹/ケージ(38x26x14cm)で収容する。各10匹からなる実験群を無作為に評価する以前、全部の動物は標準ペレット状餌および水に自由に接触するようにする。全部の実験動物はヘルシンキ宣言に従い取り扱い、およびEuropean Community Council指令86/609/EECの指針に従い行う。地方倫理基準委員会は実験計画を承認した。
【0177】
6Hzモデルは、前記計画(Kaminsky等、Epilepsia(2004)、45、864−867)に従い行う。簡単に説明すると、角膜刺激(44mA、0.2秒−持続単極長方形パルス、6Hzで3秒間)は定電流装置(ECT Unit57800;Ugo Basile、Comerio、イタリア)により供給する。1滴の0.4%オキシブロカイン塩酸塩(Unicane、Thea、フランス)を実験刺激の前に眼に入れる。刺激期間中、マウスは手で静止させ、次いで電流適用後直ちに、観察ケージ(38x26x14cm)に放出する。発作はしばしば、短時間(〜2−3秒)の強烈な歩行運動(野生的走行および跳躍)によって進行する。動物は次いで、直立、前肢自発運動およびクローヌス、鼻毛のねじれ、およびストルーベ(Strube)−尾を伴う「気絶」姿勢を示す。発作終了時点で、動物はそれらの正常な探索行動を再び開始する。実験終了時点は発作の防護である。刺激から7秒以内にその正常な探索行動を再開する場合、動物は防護されているものと考える。
【0178】
被験化合物について測定されたインビボ活性は0.05mg/kg〜10mg/kgを含む。
【0179】
11.3 ペンチレンテトラゾール(PIZ)発作モデル
動物は例11.2に記載のとおりに準備する。
ペンチレンテトラゾールは、全部で4回の実験でマウスの97%に慢性痙攣を発生させる痙攣誘発投与量である89mg/kgの従来確立されているCD97投与量で使用する(Klitgaard等、Eur.J.Pharmacol.(1998)、353、191−206)。ペンチレンテトラゾール注射後直ちに、マウスをそれぞれ、Perspexケージに入れ、全部で4回の実験における慢性痙攣の存在および60分間の期間中の毒による前肢伸張の存在について観察する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iに従う2−オキソ−1−ピロリジニルイミダゾチアジアゾール誘導体、それらの幾何学的異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび混合物、あるいは医薬上で許容されるその塩:
【化1】


式中、
は少なくとも1個のハロゲン置換基を含有するC1−4アルキルである;
はハロゲンまたは少なくとも1個のハロゲン置換基を含有するC1−4アルキルである;
は少なくとも1個のヒドロキシまたはアルコキシ置換基を含有するC1−4アルキルである。
【請求項2】
が2,2−ジフルオロプロピル、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピルまたは2−フルオロエチル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がクロロ、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチル基のいずれかである、請求項1または2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項4】
がヒドロキシメチル、メトキシメチル、[()メチルオキシ]メチル、メトキシ()メチル、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メチルまたは2−メトキシエチル基のいずれかである、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
が2,2−ジフルオロプロピル、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチルまたは3,3,3−トリフルオロプロピル基である;
はクロロ、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチル基である;
はメトキシメチル基である、
前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
下記化合物を含む群から選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物:
4−(2,2−ジフルオロプロピル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
(+)4−(2,2−ジフルオロプロピル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
(−)4−(2,2−ジフルオロプロピル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン 三フッ化酢酸塩;
(4S)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
(4S)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
(4R)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
(4S)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
(4S)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
(4R)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
(4S)−1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
4−(2,2−(ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
(+)−4−(2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン、異性体A;
(−)−4−(2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン、異性体B;
4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[6−(ジフルオロメチル)−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
(−)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[6−(ジフルオロメチル)−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
(+)− 4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[6−(ジフルオロメチル)−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−({6−クロロ−2−[(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メチル]イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル}メチル)ピロリジン−2−オン;
1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
(−)−1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
(+)−1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン;
1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2−フルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
(4R)−1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−{[()メチルオキシ]メチル}−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−({2−[メトキシ()メチル]−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル}メチル)ピロリジン−2−オン;
(4R)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]()メチル}ピロリジン−2−オン;
4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(2−メトキシエチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−オン;
1−{[2−(2−メトキシエチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン−2−オン;および
1−{[2−(2−メトキシエチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ピロリジン−2−オン。
【請求項7】
医薬として使用するための請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
有効量の請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物を医薬上で許容される希釈剤または担体と組合わせて含む医薬組成物。
【請求項9】
難治性てんかん患者の処置において使用される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。

【公表番号】特表2013−508321(P2013−508321A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534579(P2012−534579)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006434
【国際公開番号】WO2011/047860
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(507073918)ユセベ ファルマ ソシエテ アノニム (70)
【Fターム(参考)】