説明

2−オクチル(メタ)アクリレート接着剤組成物

2−オクチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸コポリマー及び所望により架橋剤を含む感圧性接着剤組成物について記載する。接着剤組成物は、再生可能資源から誘導されてもよく、良好な剥離性、剪断性及び高温安定性を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願61/044748号(2008年4月14日出願)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
感圧性接着剤(PSA)は、次のものを含む性質を有することが知られている:(1)強力かつ恒久的粘着性、(2)指圧以下での粘着性、(3)被着体又は基材上への十分な保持力、及び(4)被着体からきれいに除去するための十分な貼着力。PSAとして良好に機能することが分かっている材料としては、必須の粘弾性特性を示し、粘着、剥離接着、及び剪断保持力の所望のバランスをもたらすように設計及び処方されたポリマーが挙げられる。PSAは、通常は、室温(例えば、20℃)で粘着性であることを特徴とする。PSAは、べたっとしていること、又は表面に付着することだけから、組成物を抱持するわけではない。
【0003】
限定された数の部類のポリマーだけが、PSAとして機能することが判っている。これらのポリマー部類には、天然及び合成ゴム、(メタ)アクリルポリマー、シリコーン、ブロックコポリマー並びにオレフィンがある。アクリルポリマーが特に有用であることが判っている。アクリル系PSAは、しばしばイソオクチルアクリレート又は2−エチルヘキシルアクリレートから調製される。これらの接着剤は、多種多様な表面に適用した際に、高剥離接着力などの多くの望ましい特性を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
更に、アクリル系(acryclic)PSAは一般に、石油原料に由来する。石油及び付随する石油由来製品の価格上昇によって、多くの接着剤製品の価格が高騰し、供給が不安定になった。石油系原料の全て又は一部を、植物などの再生可能な資源に由来するものに置き換えることが望ましいが、それはこのような材料が比較的安価になり、したがって経済的に及び社会的に有益だからである。したがって、このような植物由来材料の必要性は、ますます重要になった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、再生可能資源に由来する接着剤組成物を提供する。特に、本発明は、植物性材料に部分的に由来する接着剤組成物を提供する。このような材料は、石油由来の原料よりも多くの炭素14同位体組成物を有する。いくつかの実施形態では、本発明は、基材又は裏材もまた再生可能資源に由来する接着物品を更に提供する。感圧性接着剤組成物は、2−オクチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー及び所望により架橋剤を含む。本明細書で使用するとき、(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルは、メタクリレート及びアクリレートを含む。接着剤組成物は、別の基材又は表面へ結合させる基材又は表面上に直接、押出加工、コーティング、又はスプレーされてよい。
【0006】
本発明は、支持体又は裏材上に配置された前述の感圧性(メタ)アクリル接着剤の層を含む、テープなどの接着物品もまた提供する。支持体は、いわゆる転写テープ(この場合、露出した接着剤は、基材又は表面と接触して置かれてよく、剥離ライナーはその後、接着剤から剥がされて、別の基材又は表面へ結合させるための接着剤の別の部分が露出される)を提供するための剥離基材又はライナーであってよい。接着物品は、接着剤組成物の支持層上への押出加工、コーティング、又はスプレーなどの様々な既知の方法のうち任意のものによって調製可能な、テープ又は接着シートとして提供されてよい。感圧性(メタ)アクリル接着剤テープ又はシートは、表面又は基材上へ積層することができる。テープ又はシートは、任意の所望の形状にダイカットすることもできる。
【0007】
2−オクチル(メタ)アクリレートから誘導された本接着剤組成物は、n−オクチル及びイソオクチルのようなオクチル(メタ)アクリレートの他の異性体を比べた場合、同等の接着剤特性を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
接着剤組成物は、
(a)
1)30〜90重量%未満、好ましくは60〜90重量%未満の2−オクチル(メタ)アクリレートと、
2)0.5〜20重量%のカルボン酸官能性コモノマー、好ましくは(メタ)アクリルと、
3)その他のモノマーと、を含むコポリマー、及び
b)所望により架橋剤類を含む。
【0009】
2−オクチル(メタ)アクリレートは、従来技術によって、2−オクタノール、並びにエステル、酸、及びハロゲン化アシルなどの(メタ)アクリロイル誘導体から調製できる。2−オクタノールは、ヒマシ油(又はそのエステル若しくはハロゲン化アシル)から誘導されるリシノール酸を水酸化ナトリウムで処理し、引き続いて共生成物のセバシン酸から蒸留することによって調製できる。
【0010】
(メタ)アクリル酸エステル及びカルボン酸官能性モノマーと共重合する他のモノマーの例は、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及び6−メチルヘプチル(メタ)アクリレート等の一級オクチルアクリレートのようなC〜C10の(メタ)アクリレートを含み;更なる例は、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、アルファ−オレフィン、ビニルエーテル、アリルエーテル、スチレン、及び他の芳香族ビニル化合物、マレイン酸エステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルカプロラクタム、及びN−エチル(メタ)アクリルアミドのような置換(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、及びN−エチル−N−ジヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミドを含む。
【0011】
共重合性混合物は、所望により、得られるポリマーの分子量を制御するための連鎖移動剤を更に含んでよい。有用な連鎖移動剤の例としては、四臭化炭素、アルコール、メルカプタン及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。存在する場合、好ましい連鎖移動剤は、イソオクチルチオグリコレート及び四臭化炭素である。重合混合物は更に、連鎖移動剤を、モノマー混合物の総量100pbwを基準にして、約0.5重量部(pbw)まで、典型的には約0.01〜約0.5pbw、好ましくは約0.05〜約0.2pbw含んでもよい。
【0012】
発明の実施において、コポリマーは、従来の溶媒重合方法、エマルション重合、無溶媒バルク重合、及び紫外線、電子ビーム、及びガンマ線を用いる工程を含む放射線重合が挙げられるが、これらに限定されない方法によって重合される。モノマー混合物は、コモノマーを重合させるのに効果的なタイプ及び量の重合開始剤、特に熱反応開始剤又は光反応開始剤を含んでよい。
【0013】
本発明で使用する(メタ)アクリレート接着性ポリマーの調製において有用な反応開始剤は、熱又は光に曝した際に、モノマー混合物の(共)重合を開始させるフリーラジカルを発生させる反応開始剤である。これらの反応開始剤は、モノマー組成物100pbwあたり、約0.0001〜約3.0pbw、好ましくは約0.001〜約1.0pbw、より好ましくは約0.005〜約0.5pbwの範囲の濃度で用いることができる。
【0014】
典型的な重合方法は、水、モノマー、界面活性剤、反応開始剤、及び所望により他の添加剤を加熱(典型的な温度は50〜90℃)、攪拌して実行される。モノマーは、ポリマー粒子への重合がおきる界面活性剤ミセル中に移動すると理解される。
【0015】
典型的な溶液重合法は、モノマー、好適な溶媒、及び所望により、連鎖移動剤を反応槽に加えること;フリーラジカル反応開始剤を添加すること;窒素でパージすること;並びに反応槽をバッチサイズ及び温度に応じて、反応が完了するまで、典型的には約1〜約20時間、高温で、典型的には約40〜100℃の範囲の高温に維持すること;によって実施される。溶媒の例は、メタノール、テトラヒドロフラン、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、キシレン、及びエチレングリコールアルキルエーテルである。それらの溶媒は、単独で又はそれらの混合物として使用することができる。
【0016】
好適な反応開始剤には、E.I.du Pont de Nemours Co.から入手可能なVAZO 64(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、VAZO 52(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタニトリル)、及びVAZO 67(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系化合物、過酸化ベンゾイル及び過酸化ラウロイルのような過酸化物、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい油溶性熱反応開始剤は、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)である。使用する場合、反応開始剤は、感圧性接着剤中のモノマー成分の100pbwを基準にして、約0.05〜約1重量部、好ましくは約0.1〜約0.5重量部で含まれてよい。
【0017】
典型的な光重合法では、モノマー混合物に、光重合開始剤(すなわち、光反応開始剤)の存在下で紫外(UV)線を照射してよい。好ましい光反応開始剤には、Ciba Speciality Chemical Corp.、ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown)、からIRGACURE及びDAROCURの商品名で入手可能なものであり、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE 651)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE 2959)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン(IRGACURE 369)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907)、及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCUR 1173)が挙げられる。特に好ましい光反応開始剤は、IRGACURE 819、184、及び2959である。
【0018】
米国特許第4,619,979号及び米国特許第4,843,134号に記載されている連続フリーラジカル重合法などの無溶媒重合法、米国特許第5,637,646号に記載されているバッチ反応器を使用する実質的に断熱の重合法、及び米国特許第5,804,610号に記載されている、パッケージ化されたプレ接着剤組成物(pre-adhesive composition)を重合するために記載された方法を使用して、ポリマーを調製することもできる。
【0019】
パッケージ材料は、ベースコポリマー又は可塑化感圧性接着剤組成物と組み合わされた際に、所望の感圧性接着剤特性に対して実質的に悪影響を与えることがない材料から製造される。感圧性接着剤とパッケージ材料との混合物から製造されるホットメルトコーティングされた感圧性接着剤は、感圧性接着剤のみから製造されるホットメルトコーティングされた感圧性接着剤と比較して、改善された感圧性接着剤特性を有し得る。
【0020】
パッケージ材料は、使用する重合法にとって適切でなければならない。例えば、光重合による場合、重合をもたらすために必要な波長の紫外線を十分に通すフィルム材料を使用する必要がある。重合は、米国特許第4,181,752号にて記載のように、紫外線(UV)放射線に露光することにより生じさせることができる。好ましい実施形態では、重合は、約0.1〜約25mW/cmの強度にて、60%超、好ましくは75%超の280〜400ナノメートル(nm)の発光スペクトルを有するUVブラックライトで実施される。
【0021】
別の好ましい無溶媒重合法では、本発明の感圧性接着剤は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,181,752号に記載される技術に従って、光反応開始重合法によって調製される。コモノマー及び光反応開始剤は、無溶媒下にて共に混合され、約0.5Pa.s(500cps)〜約50Pa.s(50,000cps)の範囲の粘度まで部分的に重合して、コーティング可能なシロップ剤となる。あるいは、モノマー及び光反応開始剤は、溶媒の不存在下にて混合され、部分的に重合してシロップ剤を作る。次に、可塑剤をシロップ剤に添加して、更なる重合のためのコーティング可能な混合物を作る。更に別の方法では、モノマー及び可塑剤を、ヒュームド親水性シリカなどのチキソトロープ剤と混合して、コーティング可能な粘度(thickness)にしてよい。次に、架橋剤及び任意のその他の成分を、初期重合されたシロップ剤又は濃縮可塑化モノマー混合物に添加する。あるいは、これら成分(架橋剤を除いて)は、初期重合に先立って、モノマー混合物へ直接添加することができる。
【0022】
得られた組成物を、基材(紫外線放射線を通してもよい)上にコーティングし、紫外線に露光することによって、不活性(すなわち、無酸素)雰囲気(例えば、窒素雰囲気)中にて重合する。好適な基材の例としては、剥離ライナー(例えば、シリコーン剥離ライナー)及びテープ裏材(プライム化された又はプライム化されていない、紙又はプラスチック)が挙げられる。十分に不活性な雰囲気は、重合性コーティング層を、実質的に紫外線を通すプラスチックフィルムで覆い、そのフィルムを通して、空気中で、上述の特許にて記載されているように、紫外線ランプを使用して照射することによっても得ることができる。あるいは、重合性コーティングを覆う代わりに、易酸化性スズ化合物を、重合性シロップ剤に添加して、米国特許第4,303,485号にて記載されているように、酸素に対するシロップ剤の耐性を増大させてよい。紫外線源は、好ましくは最大値351nmで、280〜400nm(より好ましくは、300〜400nm)の放射線の90%を有する。
【0023】
第1成分ポリマーは、例えば、溶液重合し、続いて単離することによって調製してもよい。調製に使用される任意の残留モノマー及び/又は溶媒は、蒸留、真空蒸発などの従来技術によって除去して、架橋に先立って、残留含有量を2重量%未満まで低減してよい。重合は、モノマーの酸又はエステル官能基と非反応性の、酢酸エチル、トルエン、及びテトラヒドロフランなどの好適な溶媒の存在下で実施してよい。
【0024】
ポリ(メタ)アクリレート感圧性接着剤の貼着力を増大させるために、所望により架橋剤を接着剤組成物内に組み込んでよい。主たる2つのタイプの化学架橋剤は、代表的なものである。第1の架橋添加剤は、多官能性アジリジン、イソシアネート、オキサゾール及びエポキシ化合物のような熱架橋剤である。アジリジン架橋剤の1例は、1,1’−(1,3−フェニレンジカルボニル)−ビス−(2−メチルアジリジン)(CAS番号7652−64−4)である。その他のビスアミド架橋剤は、米国特許第6,893,718号(Melanconら)(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。一般的な多官能性イソシアネート架橋剤は、トリメチロールプロパントルエンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、及び当該技術分野において既知のその他のものである。このような化学的架橋剤は、重合後に溶剤系PSAに添加して、コーティングされた接着剤のオーブン乾燥中に、熱によって活性化することができる。
【0025】
ビスアミド架橋剤は、次式のものであり、
【0026】
【化1】

【0027】
式中、
及びRは、H及びC2n+1からなる群から独立して選択され(式中、
nは、1〜5の範囲の整数である)、
は、フェニル、置換フェニル、トリアジン、及び−C2m−(式中、mは1〜10の範囲の整数である)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される二価のラジカルである。
【0028】
本発明にて有用な多官能性オキサゾリン架橋剤は、2−オキサゾリン、2−オキサジン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基を、1分子あたり2つ以上含有するものである。好ましい1,3−オキサジル複素環式化合物は、1,3−オキサゾリンであり、特に好ましい1,3−オキサゾリンは、2−フェニル−2−オキサゾリンである。ビスオキサゾリンは、典型的には、ポリカルボン酸から誘導され、このようなポリカルボン酸としては、芳香族酸、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、5−t−ブチルイソフタル酸、トリメシン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいポリカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸及びトリメシン酸が挙げられる。
【0029】
本発明にて有用な多官能性1,3−オキサジル複素環式化合物は、対応する、ポリカルボン酸及びアルカノールアミンのエステルの反応により、都合よく調製することができる。ビスオキサゾリンを含むポリ(1,3−オキサジル複素環式)化合物の非限定実施例は、次式Iによって表される核を有するようなものであり、
【0030】
【化2】

【0031】
式中、Aは、1〜20個の炭素原子を有する、環式若しくは非環式脂肪族又は置換環式若しくは非環式脂肪族部分、又は6〜20個の炭素原子を有する、芳香族(アリール)単核若しくは多核又は脂肪族置換アリール残基、及び約2〜200,000の反復単位を含むポリマー若しくはオリゴマー残基からなる群から選択され、
は、独立して、H、CH、CHCH、又はCを表し、
及びRは、独立して、H又はCHを表し、好ましくはR及びRは、両方共にCHとなることはなく、
xは0又は1の整数を示し、
nは、2以上の整数、好ましくは2又は3である。
【0032】
有用な多官能性オキサゾリン架橋剤としては、4,4’−5,5’−テトラヒドロ−2,2’−ビスオキサゾール(つまり、2,2’−ビス(2−オキサゾリン));2,2’−(アルカンジイル)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、例えば、2,2’−(1,4−ブタンジイル)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]及び2,2’−(1,2−エタンジイル)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール];2,2’−(アリーレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、例えば、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール];2,2’−(1,5−ナフタレニル)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]及び2,2’−(1,8−アントラセニル)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール];スルホニル、オキシ、チオ又はアルキレンビス2−(アリーレン)[4,5−ジヒドロオキサゾール]、例えば、スルホニルビス2−(1,4−フェニレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、オキシビス2−(1,4−フェニレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、チオビス2−(1,4−フェニレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]及びメチレンビス2−(1,4−フェニレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール];2,2’,2’’−(アリーレントリス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、例えば、2,2’,2’’−(1,3,5−フェニレントリス[4,5−ジヒドロオキサゾール];2,2’,2’’,2’’’−(アリーレンテトラ[4,5−ジヒドロオキサゾール]、例えば、2,2’,2’’,2’’’−(1,2,4,5−フェニレンテトラ[4,5−ジヒドロオキサゾール]並びに末端オキサゾリン基を有するオリゴマー及びポリマー材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
典型的には、(メタ)アクリル酸コモノマーと架橋剤との相対量は、架橋剤官能基(アミド、オキサゾール、イソシアネート又はエポキシ官能基など)の当量数対カルボン酸基の当量数の比が、約0.1以下となるように選択される。より典型的には、アミド基の当量数対カルボン酸基の当量数の比は、約0.05未満、一般的には0.0001〜0.05である。最も一般的には、架橋剤官能基の当量数対カルボン酸基の当量数の比は、0.0001〜0.05である。
【0034】
別の実施形態では、架橋反応を行うためにフリーラジカルに依存する化学的架橋剤を使用してよい。例えば、過酸化物のような試薬は、フリーラジカル供給源として機能する。十分に加熱されると、これらの前駆体は、ポリマーの架橋反応を生じさせるフリーラジカルを発生させる。一般的なフリーラジカル生成試薬は、過酸化ベンゾイルである。フリーラジカル生成剤は少量のみ必要とされるが、一般に、架橋反応を完了させるためには、ビスアミド及びイソシアネート試薬に必要とされるものより、より高温を必要とする。第二タイプの架橋添加剤は、高強度の紫外線(UV)光によって活性化される感光性架橋剤である。(メタ)アクリル系PSAに使用される2種の共通した感光性架橋剤は、ベンゾフェノン、及び米国特許第4,737,559号(Kellenら)に記載されているような共重合可能な芳香族ケトンモノマーである。溶液ポリマーに後から添加し、紫外線によって活性化することができる別の光架橋剤は、トリアジン、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−s−トリアジンである。これらの架橋剤は、中圧水銀ランプ又はUVブラックライトなどの供給源から発生する紫外線によって活性化される。
【0035】
有用なポリイソシアネートとしては、脂肪族、脂環式、及び芳香族ジイソシアネート、並びにこれらの混合物が挙げられる。多数のこのようなジイソシアネートが、市販されている。好適なジイソシアネートの代表的な例としては、ヘキサメチレン−ジイソシアネート(HDT)、トリメチルヘキサメチレン−ジイソシアネート(TMHDI)、m−及びp−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDT)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、フェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)など、並びにこれらの混合物が挙げられる。有用なポリイソシアネートとしては、上記のモノマーポリイソシアネートの誘導体も挙げられる。これらの誘導体としては、Bayer(ペンシルベニア州ピッツバーグ)からDESMODUR N−100の商品名で入手可能なヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のビウレット付加化合物などのビウレット基を含有するポリイソシアネート、Bayer(ペンシルベニア州ピッツバーグ)からDESMODUR N−3300の商品名で入手可能なものなどのイソシアヌレート基を含有するポリイソシアネート、並びにウレタン基、ウレットジオン基、カルボジイミド基、アロホネート基などを含有するポリイソシアネートが挙げられるが、これらに限定されない。所望する場合、3つ以上のイソシアネート基を有する1つ以上のポリイソシアネートを少量加えて、架橋の程度に影響をもたらすことができる。好ましいポリイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネート及びその誘導体が挙げられるが、IPDIが最も好ましい。
【0036】
加水分解可能で、フリーラジカル共重合が可能な架橋剤、例えば、限定されないが、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Gelest,Inc.、ペンシルバニア州タリータウン(Tullytown)から入手可能)、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシランなどを含むモノエチレン性不飽和モノ、ジ、及びトリアルコキシシラン化合物もまた有用な架橋剤である。架橋はまた、ガンマ線又は電子線放射線のような高エネルギー電磁放射線を使用して得られてもよい。この場合、架橋剤は必要とされない場合がある。
【0037】
その他の添加剤が、重合性混合物内に含まれ得、又は化合若しくはコーティング時に添加されて、感圧性接着剤の性質を変えることができる。このような添加剤としては、色素、粘着付与剤、ガラス性又は高分子性の気泡又はビーズ(それは拡張(expanded)又は非拡張(unexpanded)であってよい)などの充填剤、疎水性シリカ又は親水性シリカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維又は合成繊繊、発泡剤、強化剤、補強剤、難燃剤、酸化防止剤、及び安定剤が挙げられる。添加剤は、所望の最終性質を得るのに十分な量で添加される。
【0038】
その他の添加剤が用いられるなら、接着性ポリマーの全乾燥重量を基準にして、約40重量%以下、好ましくは30重量%未満、及びより好ましくは5重量%未満が好適であろう。
【0039】
感圧性接着剤組成物の粘着性を提供する又は高めるために、当該技術分野において一般的に使用される多種多様な樹脂性(又は合成)材料は、粘着付与剤(すなわち、粘着付与樹脂)として使用してよい。実施例としては、ロジン、グリセロール又はペンタエリスリトールのロジンエステル、水素添加ロジン、重合したβ−ピネンなどのポリテルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、「C5」及び「C9」重合石油留分などが挙げられる。
【0040】
「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」(Second Edition,D.Satas,ed.,Van Nostrand Reinhold,New York,N.Y.,1989)にて記載されているように、このような粘着性調整剤の使用は、当該技術分野において一般的である。粘着付与樹脂は、所望の粘着力を得るために必要とされる量で添加される。好適な市販の粘着付与剤の例としては、Hercules Inc.(デラウェア州ウィルミントン)から、FORAL 85の商品名で入手可能なものなどの合成エステル樹脂、及びExxon Chemical Co.(テキサス州ヒューストン)から、ESCOREZ 2000の商品名で入手可能なもののような、脂肪族/芳香族炭化水素樹脂が挙げられる。これは、典型的には、アクリレートコポリマー100pbwあたり、1〜約300pbwの粘着付与樹脂を添加することによって達成される。粘着付与樹脂は、アクリレートコポリマーに適切な粘着度を付与して、得られた組成物の、均衡のとれた感圧性接着剤特性(剪断力及び剥離接着力を含む)を維持するように選択される。当該技術分野において既知なように、粘着付与剤樹脂の全てが同じようにアクリレートコポリマーと相互作用するとは限らず、したがって、適切な粘着付与剤樹脂を選択し、最適な接着性能を得るために、わずかな実験が必要とされる場合がある。このようなわずかな実験は、接着剤技術の当業者なら十分に行うことができる。
【0041】
本発明の重合性組成物に使用するために選択される可塑剤は、一連の性質を有する。一般に、可塑剤は、液体又は固体であることができ、一連の分子量及び構造を有し、ベースコポリマー、モノマー又はポリマー、非揮発性及び非反応性のものと適合性がある。更に、固体と液体との混合物、モノマー及びポリマー、並びに可塑剤のその他の組み合わせを本発明で使用することができる。
【0042】
一般に、バルク重合法を使用して調製された可塑化感圧性接着剤組成物のために、液体可塑剤は、速やかにベースコポリマーと化合され及び/又はコモノマーと混和するように選択することができる。加えて、液体可塑剤は、非粘着性ベースコポリマーに又は既にコーティングされたベースコポリマーフィルム上に直接送達してもよく、典型的には素早く吸収されて、感圧性接着剤特性を活性化する。
【0043】
使用するには幾分困難ではあるが、ベースコポリマーの制御された可塑化が望まれる用途、プロセス又は物品に、固体可塑剤を有利に使用することができる。例えば、ホットメルトプロセス可能な感圧性接着剤組成物は、ベースコポリマーと可塑剤成分の両方が固体でありかつ非粘着性である場合、溶融化合前に、容易に移送しかつ取り扱うことができる。溶融温度又はガラス転移温度まで固体可塑剤を加熱すると、ベースコポリマーは可塑化し、混合物は感圧性接着剤特性を示す。
【0044】
更に、可塑剤は、一連の分子量及び構造を有することができる。すなわち、可塑剤は、本質的にポリマー又はモノマーのいずれか一方であることができる。典型的に、モノマー可塑剤は、低分子量の酸又はアルコールから誘導され、それらは次に単官能性アルコール又は単官能性酸によってそれぞれエステル化される。これらの例は、単塩基酸及び多塩基酸のエステル、例えば、イソプロピルミリステート、ジブチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジブチルアジパート、ジブチルセバケートなどである。有用なポリマー可塑剤は、非アクリル系であり、典型的には、カチオン又はフリーラジカル重合可能な、縮合重合可能な、又は開環重合可能なモノマーから誘導されて、低分子量ポリマーを製造できる。これらポリマー可塑剤の例としては、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリビニルエーテル、ポリエーテル、ポリエステルなどの材料が挙げられる。本適用で使用される「非アクリル系」は、ポリマー可塑剤が約20重量%未満の任意の(メタ)アクリルのモノマーを含むことを意味する。
【0045】
更に、有用な可塑剤は非反応性あり、したがって、ベースコポリマーのコモノマーとの共重合を防ぐ。このため、アクリレート官能基、メタクリレート官能基、スチレン官能基、又はその他のエチレン性不飽和、フリーラジカル反応性官能基を有する可塑剤は、通常使用されない。
【0046】
特に有用な可塑剤としては、約150〜約5、000の、好ましくは約150〜約1,500の重量平均分子量を有するポリアルキレンオキシド、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール;アルキル又はアリール官能化ポリアルキレンオキシド、例えば、PYCAL 94(ICI Chemicalsから市販されているポリエチレンオキシドのフェニルエーテル);ベンゾイル官能化ポリエーテル、例えば、BENZOFLEX 400(ポリプロピレングリコールジベンゾエート、Velsicol Chemicalsから市販されている)及びポリエチレンオキシドのモノメチルエーテル;モノマーアジパート、例えば、ジオクチルアジパート、ジブトキシエトキシエチルアジパート及びジブトキシプロポキシプロピルアジパート;ポリマーアジパート、例えば、ポリエステルアジパート;シトレート、例えば、アセチルトリ−n−ブチルシトレート;フタレート、例えば、ブチルベンジルフタレート、トリメリテート、セバケート、ポリエステル、例えば、Paraplexの商標名で知られているようなもの(C.P.Hall Co.から入手可能);ホスフェートエステル(Santicizerの商標名で知られているようなもの、Ferroから入手可能)、例えば、2−エチルヘキシルジフェニルジホスフェート及びt−ブチルフェニルジフェニルホスフェート;グルタレート、例えば、Plasthall 7050(C.P.Hall Co.)から入手可能なジアルキルジエーテルグルタレート);並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0047】
可塑剤は、コポリマー100pbwに対して約1〜100pbwの量で使用されてもよい。最も好ましくは、可塑剤は、コポリマーの重量に対して、10重量%以下の可塑剤量で存在する。
【0048】
感圧性接着剤組成物は、シート、繊維、又は成形物品であり得る任意の好適な基材に適用することができる。しかし、好ましい基材は、感圧性接着剤製品に使用されるようなものである。
【0049】
本発明は、裏材又は好適な基材上に配置した硬化済み接着剤組成物を含む接着物品を更に提供する。テープ、ラベル、ステッカー、転写テープ及びその他物品などの各種の従来の感圧性接着剤物品に加えて、感圧性接着剤物品を、装飾、照明管理及び光学物品にて使用することが可能である。
【0050】
本発明の接着物品のための可撓性支持体又は裏材として有用な好適な材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン(アイソタクチックポリプロピレンを含む)などのポリオレフィン;ポリスチレン;ポリ(エチレンテレフタレート)を含むポリエステル;ポリ塩化ビニル;ポリ(ブチレンテレフタレート);ポリ(カプロラクタム);ポリビニルアルコール;ポリウレタン;ポリ(フッ化ビニリデン);セルロースアセテート及びセロハン(登録商標)などのセルロース及びセルロース誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。本発明で有用な市販の裏材は、クラフト紙(Monadnock Paper,Inc.から入手可能;スパンボンドポリ(エチレン)及びポリ(プロピレン)のようなTyvek(商標)及びTypar(商標)(DuPont,Inc.)から入手可能);並びにTeslin(商標)(PPG Industries,Inc.から入手可能)及びCellguard(商標)(Hoechst−Celaneseから入手可能)のようなポリ(エチレン)及びポリ(プロピレン)から得られる多孔質フィルムが挙げられる。
【0051】
接着剤組成物に有用である従来のテープ裏材として使用される可撓性裏材の典型的な例としては、紙、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、又はポリ(乳酸)、酢酸セルロース、エチルセルロース、これらのコポリマー及びこれらの誘導体など)のようなプラスチックフィルムから作製されるものが挙げられる。ポリマーブレンド又は多重フィルム層からなるフィルムを使ってもよい。裏材はまた、綿、ナイロン、レーヨン、ガラス、セラミック材料などの合成若しくは天然材料の糸から形成される織布、又は天然、合成繊維若しくはこれらのブレンドのエアレイドウェブなどの不織布などの布地から調製されてもよい。裏材はまた、金属、金属化ポリマーフィルム、又はセラミックシート材料から形成されてもよく、ラベル、テープ、印、カバー、マーキング印などの感圧性接着剤組成物が利用されていることが従来から知られているあらゆる物品の形態を取ってもよい。
【0052】
上記接着剤組成物は、特定基材に適合するように修正された、従来のコーティング技術を用い、基材上にコーティングされる。例えば、これらの組成物は、ロール、ブラシコーティング、フロー、ディップ、スピン、スプレー、ナイフ、スプレッド、ワイヤー、グラビア、ドクターブレード及びダイコーティングなどの方法によって、種々の固体基材に適用することができる。これらの種々のコーティング法は、組成物を可変の厚さで基材上に定置することを可能にし、それにより組成物をより広い範囲で使用することを可能にする。
【0053】
コーティング厚は、例えば、特定用途、コーティング処方、及び基材の性質(例えば、その吸収性、多孔性、表面の粗さ、縮み(crepe)、化学組成、等)などの各種要因に応じて変化する。2〜250マイクロメートル(乾燥厚み)、好ましくは約10〜約200マイクロメートルのコーティング厚が考えられる。コーティング可能な接着剤組成物は、後続のコーティングのための任意の望ましい濃度であってよいが、典型的には、30〜70重量%固形分、より典型的には65〜35重量%固形分であり、残余部分は溶媒又は水である。接着剤組成物を更に希釈することにより、又は部分乾燥により、所望の濃度を得ることができる。
【0054】
可撓性支持体又は裏材は、剥離コーティング基材を更に含んでよい。このような基材は、典型的には、接着転写テープが提供される場合に利用される。剥離コーティング基材の例は、当該技術分野において周知である。それらには、例としてシリコーンコーティングクラフト紙などが挙げられる。本発明のテープは、同様に低接着性バックサイズ(LAB)及び/又はプライマーを組み込んでもよい。典型的には、プライマーは、接着剤コーティングの前に、接着剤と同じテープ裏材表面に適用され、一方、LABは、典型的には、感圧性接着剤を有するのとは反対側のテープ裏材表面に適用される。LAB及びプライマーは技術的に既知である。
【実施例】
【0055】
これらの実施例は、単に例示目的のためだけであって、特許請求の範囲を限定することを意味するものではない。実施例及び明細書の他の箇所における全ての部、パーセント、比等は、他に記載がない限りにおいて、重量あたりである。使用される溶媒及びその他の試薬は、特に記載のない限り、Sigma−Aldrich Chemical Company(ウイスコンシン州、ミルウォーキー(Milwaukee))より入手した。
【0056】
【表1】

【0057】
試験方法
剥離接着力試験
使用した剥離接着力試験方法は、ステンレス鋼の代わりにガラス基材を用いた以外は、試験方法ASTM D 3330−78と同様とした。1.3cm(0.5インチ)のサンプルテープのストリップ2本を、2キログラム(4.5ポンド)のローラーをテープ上で転がすことによって、ガラスプレートに付着させた。結合した組立体を室温に約1分間置いて、IMASSスベリ/剥離試験機(型式3M90、Instrumentors Inc.)(オハイオ州ストロングスヴィル(Strongsville)より市販されている))を使用して、180°剥離接着力を毎分229cm(毎分90インチ)の速度で試験した。剥離力は、1.27cm(0.5インチ)あたりのオンスで測定し、デシメートルあたりのニュートン(N/dm)に変換した。試料は、3度試験し、平均した。サンプルは、特に指示がない限り、23℃及び50%の相対湿度にて実施した。
【0058】
剪断強度試験
使用した剪断強度試験法は、ASTM D−3654−78、PSTC−7試験方法と同様であった。1.3cm(0.5インチ)幅のサンプルテープのストリップを、ステンレス鋼プレートに付着させ、スチールプレート上に1.3cm×1.3cm(0.5インチ×0.5インチ)の正方形が残るように切り落とした。2kg(4.5ポンド)の重量を接着部分上で転がした。1,000グラムの重りを各試料に取り付け、試料が破壊するまでつりさげた。破壊の時間は3回測定し、平均した。試験は、特に指示がない限り、23℃及び50%の相対湿度にて実施した。
【0059】
2−オクチルアクリレート用の調製例
1つの典型的な調製では、2−オクタノール(268.51グラム、2.1モル)、AA(183.75グラム、2.6モル)、p−トルエンスルホン酸一水和物(5.00グラム、26ミリモル)、トルエン(250グラム)及びフェノチアジン(1.0グラム)の混合物を加熱還流させた。Dean Stark蒸留トラップを使用して、トルエン/水の共沸混合物から水を分離した。6時間の還流後、総量37ミリリットルの水をトラップ内に収集した。反応混合物を1モル濃度の水酸化ナトリウム水溶液(200ミリリットル)で洗浄し、次に減圧下で濃縮した。残留油を減圧下(65〜67℃、267Pa(2mmHg))で蒸留して、無色油としての生成物を得た。
【0060】
溶液エマルション重合
他のモノマーと一緒の2−OAの溶液エマルション共重合は、表1に示す材料を、ガラスジャーで合わせ、5分間窒素でパージし、ジャーを密閉することにより実施した。ジャーをララウンデロメーターセット内に70℃、20時間放置した。溶液ポリマーの粘度をRV−4スピンドルを備えたBrookfield粘度計を用いて決定した。
【0061】
【表2】

【0062】
エマルションポリマー(実施例7及び8)は重合中にある程度の凝個を起こし、これらのサンプルについては、更なる試験は行わなかった。しかしながら、蒸発によって水が無くなった後、エマルションサンプルは、感圧性接着剤として機能したことが分かった。
【0063】
テープサンプルの調製と試験
テープサンプル調製のために、表1の実施例1、2、4、5、及び6の溶液10.0グラムを相当する量の化学架橋剤B−212と一緒にバイアル瓶に入れる。処方中のB−212の量は、表2に示すように0〜0.3重量%の間で変えた。得られた溶液を、ナイフコーターでPLAフィルム上にコーティングした。ナイフ高は、ポリエステル上、102〜127マイクロメートル(4〜5ミル)に設定して、乾燥した際約25マイクロメートル(1ミル)のコーティングを得た。コーティングされた溶液を2分間空気乾燥させて、溶媒を除去した。次に、コーティングされたPLAシートを、薄い剛体パネル上にテープ止めし、オーブン内に70℃、5分間置いた。サンプルをオーブンから取り出した後、剥離ライナーを接着剤の上に置いて、コーティングを保護した。コーティングされたフィルムを一定温度/一定湿度(23℃/50%相対湿度)の室内にて、24時間、試験に先だって平衡させた。テープ試験を、上記試験方法にて記載されているようにして実施し、データを表2に示す。
【0064】
【表3】

【0065】
熱安定性サンプルの調製と試験
熱安定性試験サンプルを調製するために、溶液ポリマー実施例6及びC1の10gを相当する量の化学架橋剤B−212と一緒にバイアル瓶に入れた。本溶液を、ナイフコーターでシリコーン剥離ライナー上にコーティングした。ナイフ高はライナー上、254マイクロメートル(10ミル)に設定した。コーティングされた溶液を5分間空気乾燥させて、溶媒を除去した。次に、コーティングされたフィルムを、薄いアルミニウムパネル上にテープ止めし、オーブン内に150℃にて2分間置いた。コーティングされた接着剤を一定温度/一定湿度(CT/CH)の室内にて、24時間、試験に先だって平衡させた。分解開始温度を決定するために、TA Instruments TGA 2950熱重量分析器(TA Instruments Inc.、デラウェア州ニューキャッスル)を使用して、接着剤サンプル(約30〜65ミリグラム)を分析した。サンプルは、室温から500℃まで10℃/分の速度で温度傾斜に曝した。次に、分解開始点を、サンプル重量対温度プロット(TA Instrumentsユニバーサル分析ソフトウェアを使用して計算された)から決定した。熱重量分析試験を用いて、150℃及び175℃でのそれぞれの接着力の熱安定性を比較した。この実験においては、サンプルの温度を、室温から所望の設定値(150℃又は175℃のいずれか)に200℃/分の割合で上昇させ、3.5時間設定値に維持した。サンプル重量をモニターし、最初のサンプル重量を基準にして、3.5時間後の重量喪失を元のサンプルの重量を基準にして決定した。表3に示すデータ、150℃で得られたデータは、定性的に同じような結果の2つの試験の平均値である。
【0066】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)30〜90重量%未満の2−オクチル(メタ)アクリレートと、
2)0.5〜20重量%の(メタ)アクリル酸コモノマーと、
3)他のモノマーと、の反応生成物であるコポリマーを含む、接着剤組成物。
【請求項2】
前記2−オクチル(メタ)アクリレートが、アクリル酸と2−オクチルアルコールの反応生成物であって、前記2−オクチルアルコールが、1.0×10−14以上の14C/C比を有する、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
前記他のモノマーが、一級オクチルアクリレートの群から選択されるモノマーを含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項4】
前記他のモノマーが、一級オクチルアクリレートの群から選択されるモノマーを含む、請求項2に記載の接着剤。
【請求項5】
粘着付与剤を更に含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項6】
可塑剤を更に含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項7】
架橋剤を更に含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項8】
前記架橋剤が、ペルオキシド、多官能性アジリジン、イソシアネート、オキサゾール、及びエポキシ化合物からなる群から選択される、請求項7に記載の接着剤。
【請求項9】
前記(メタ)アクリル酸コモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の接着剤。
【請求項10】
前記コポリマーが、60〜90重量%未満の2−オクチル(メタ)アクリレート、0.5〜10重量%の(メタ)アクリル酸、及び10〜39.5重量%のブチル(メタ)アクリレートを含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項11】
前記コポリマーが、60〜90重量%未満の2−オクチル(メタ)アクリレート、0.5〜10重量%の(メタ)アクリル酸、及び10〜39.5重量%のブチル(メタ)アクリレートから本質的になる、請求項1に記載の接着剤。
【請求項12】
請求項1に記載の接着剤及び裏材を含む、接着物品。
【請求項13】
前記裏材が、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリ(フッ化ビニリデン)、セルロース及びセルロース誘導体から選択される、請求項12に記載の接着物品。
【請求項14】
架橋した請求項1に記載の接着剤を含む、接着剤組成物。
【請求項15】
1)2−オクチル(メタ)アクリレートと、
2)0.5〜20重量%の(メタ)アクリル酸コモノマーと、
3)少なくとも10重量%の他のモノマーと、の反応生成物を含む、コポリマー。

【公表番号】特表2011−516690(P2011−516690A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504123(P2011−504123)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/039756
【国際公開番号】WO2009/129087
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】